JP2004205132A - 空気調和装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】空気調和装置において、ドレン配管に何ら抗菌処理を施すことなく、ドレンパンおよびドレン配管全体に亘ってスライムの発生を確実に抑制することである
。
【解決手段】空気調和装置(1)は、ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えている。
上記ドレンパン(8)の内表面は、銅または銅合金などの銅系材料で形成される一方、上記ドレンポンプ(11)の出口付近に、逆止弁(16)が設けられている。
この結果、スライムの発生を抑制することができる。
【選択図】 図1
。
【解決手段】空気調和装置(1)は、ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えている。
上記ドレンパン(8)の内表面は、銅または銅合金などの銅系材料で形成される一方、上記ドレンポンプ(11)の出口付近に、逆止弁(16)が設けられている。
この結果、スライムの発生を抑制することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に関し、特に、ドレン水の排出構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空気調和装置には、冷房運転や除湿運転の際に、ケーシング内で発生するドレン水を殺菌処理して排出するようにしたものがある。これは、空気中の水蒸気が室内熱交換器で冷却されて凝縮してできるドレン水には、空気中の雑菌が含まれており、殺菌処理を行わないと、ドレン水がドレンパンやドレン配管内に溜まったときに、雑菌が繁殖してスライムが発生するおそれがあるためである。
【0003】
上記スライムは半固形状の物質で、該スライムがドレン配管などで発生すれば、配管が詰まり水漏れを生じたり、蓄積物の腐敗により異臭が発生したりするなどの問題が生じてしまう。
【0004】
上記殺菌処理の方法の具体例としては、ドレンパン底部に銅合金箔を接着する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、ドレンパンに溜まったドレン水を、該ドレンパンの底部に接着した銅合金箔から溶出する銅イオンにより殺菌処理することにより、ドレンパンでのスライムの発生を防止している。また、ドレン配管に形成されたトラップ等にドレン水が溜まったとしても、該ドレン水には銅イオンが含まれていることにより、上記トラップ等でのスライムの発生を防止している。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−106630号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空気調和装置は、上述したように、ドレン配管に形成されたトラップ等においては、ドレン水が適量に溜まり、該ドレン水には多量の銅イオンが含まれているため、ドレン水の殺菌作用が高い。
【0007】
一方、ドレンポンプの停止後、ドレン水がドレンパンに逆流するドレン配管部においては、少量のドレン水が残留する程度、または水滴量のドレン水が管内面に付着する程度の状態となる。そして、このドレン水に含まれる銅イオンは微量であるため、ドレン水の殺菌作用が極めて低い。
【0008】
したがって、従来方法では、ドレン配管全体に亘って、スライムの発生を抑制することは期待できないという問題があった。
【0009】
そこで、ドレン配管全体に亘ってスライムの発生を抑制するために、ドレン配管全体に何らかの抗菌処理を施すことが考えられるが、その場合、ドレン配管の製作コストが大幅に高くなるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気調和装置において、ドレン配管に何ら抗菌処理を施すことなく、ドレンパンおよびドレン配管全体に亘ってスライムの発生を確実に抑制することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
具体的に、請求項1に係る発明は、ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えた空気調和装置を前提としている。
【0012】
そして、上記ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されている。一方、上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている。
【0013】
上記の発明では、冷房運転時や除湿運転時に、ケーシング(2)内で発生したドレン水は、ドレンパン(8)に溜まる。ここで、該ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されているため、銅系材料を用いた場合、銅イオンがドレン水に溶出する。そして、該銅イオンは殺菌作用を有しているため、ドレン水は殺菌される。また、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料を用いた場合、ドレン水が抗菌剤等に接することでドレン水は殺菌される。
【0014】
そして、上記ドレンパン(8)に溜まったドレン水は、ドレンポンプ(11)によってドレン排出管(15)へ排出され、このドレン水排出完了後、ドレンポンプ(11)は停止する。ここで、該ドレンポンプ(11)の出口付近には、逆止弁(16)が設けられているため、多量のドレン水がドレンパン(8)に逆流することなく、上記ドレン排出管(15)のドレンポンプ(11)側に停滞する。この停滞したドレン水には、ドレン水を停滞させない場合に比して多量の銅イオン等が含まれているため、ドレン水の殺菌作用が高い。また、上記ドレン排出管(15)に形成されたトラップ等には、適量の銅イオン等を含んだドレン水が溜まる。
【0015】
したがって、上記何れの材料を用いた場合でも、ドレンパン(8)でのスライムの発生が抑制され、さらに、ドレン配管(15)全体に亘って、スライムの発生が積極的に抑制されるため、水漏れおよび異臭の発生がより防止される。
【0016】
また、請求項2に係る発明は、ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えた空気調和装置を前提としている。
【0017】
そして、上記ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品が配置されている。一方、上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている。
【0018】
上記の発明では、冷房運転時や除湿運転時に、ケーシング(2)内で発生したドレン水は、ドレンパン(8)に溜まる。ここで、該ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品が配置されているため、該補助部品にドレン水が接し、銅イオンの溶出等によりドレン水は殺菌される。その後の作用および効果は、請求項1と同様であり、ドレンパン(8)でのスライムの発生が抑制され、さらに、ドレン配管(15)全体に亘って、スライムの発生が積極的に抑制される。
【0019】
また、請求項3に係る発明は、請求項1において、ドレンパン(8)の全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されている。
【0020】
上記の発明では、ドレンパン(8)の全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されているため、ドレン水の殺菌作用が高い。したがって、ドレンパン(8)およびドレン排出管(15)でのスライムの発生や、水漏れ及び異臭の発生がより確実に防止される。
【0021】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項において、ドレンポンプ(11)は、圧送式ポンプとしている。
【0022】
上記の発明では、ドレンポンプ(11)に圧送式ポンプを用いることによって、ドレン排出管(15)にトラップが形成されても、ドレン水がスムーズに排出されることとなるが、ドレンポンプ(11)が停止した時、上述の効果と相まって、ドレン排出管(15)でのスライムの発生がより効果的に抑制される。
【0023】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか1項において、空気調和装置(1)は、高所設置型としている。該高所設置型の空気調和装置(1)は、例えば、天井埋込型や天井吊型の室内ユニットのことである。
【0024】
上記の発明では、ドレン排出管(15)にトラップが形成され、ドレン水が溜まったとしても、スライムの発生が抑制されるため、トラップを考慮することなく上記ドレン配管を配設することができる。したがって、現地での配管作業性を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置(1)を示す断面図である。この実施形態は、高所設置型の一つである天井埋込型の空気調和装置(1)に本発明を適用したものである。該空気調和装置(1)は、天井(R)に形成された開口(H)に挿入配置されており、下向きに開放するケーシング(2)が天井裏空間(S)に設置されている。
【0027】
上記ケーシング(2)内の中央部には、ターボファン(3)が配設されている。該ターボファン(3)は、インペラ(4)とファンモータ(5)とベルマウス(6)とを備えている。上記インペラ(4)は、シュラウド(4a)とハブ(4b)と、該シュラウド(4a)とハブ(4b)の間に保持されたブレード(4c)とで形成され、ハブ(4b)の中心部が上記ファンモータ(5)の駆動軸下端部に連結されている。上記ファンモータ(5)は、上記ケーシング(2)の中央上部に固定されている。上記ターボファン(3)は、ファンモータ(5)の駆動によるブレード(4c)の回転によって、下側から吸い込んだ室内空気を上記インペラ(4)の径方向外側に吹き出すようになっている。また、上記ベルマウス(6)は、上記インペラ(4)に室内空気を案内するように、該インペラ(4)の下側に配設されている。
【0028】
上記インペラ(4)の周囲には、室内熱交換器(7)が配設されている。該室内熱交換器(7)は、図示しない室外機に冷媒配管を介して連結されている。また、上記室内熱交換器(7)は、冷房運転時には蒸発器として、暖房運転時には凝縮器として機能するようになっており、上記ターボファン(3)から吹き出された室内空気の温度と湿度を調整する。
【0029】
また、上記室内熱交換器(7)の下方には、冷房運転時や除湿運転時に、該室内熱交換器(7)で発生するドレン水を回収するためのドレンパン(8)が配設されている。そして、該ドレンパン(8)に溜まったドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)が配設され、該ドレンポンプ(11)には、ドレン水を室外へ導くためにドレン排出管(15)が接続されている。また、上記ドレンポンプ(11)は、ドレンパン(8)のドレン水が所定水位まで溜まると、図示しないフロートスイッチが作動することによって起動し、また、ドレン水が所定水位まで低下すると、上記フロートスイッチが作動することによって、停止するように構成されている。なお、上記フロートスイッチは、ドレンパン(8)内に設けられ、該ドレンパン(8)に溜まったドレン水の水位を検出するためのものである。
【0030】
そこで、上記ドレンパン(8)の内表面は、溜まったドレン水を殺菌処理するように銅または銅合金などの銅系材料で形成されている。つまり、ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分が、銅系材料で構成されている。
【0031】
上記ドレン排出管(15)は、機内ドレン配管(12)とコネクタ(13)と機外ドレン配管(14)とを備えている。機内ドレン配管(12)は、上記ドレンポンプ(11)に鉛直上方に立ち上がって接続され、ケーシング(2)の天板近傍で側板側に屈曲し、コネクタ(13)を介して機外ドレン配管(14)の一端に接続されている。
【0032】
上記機外ドレン配管(14)は、天井裏空間(S)内で建物の壁面(W)の方へ向かって配設されている。またそのとき、該機外ドレン配管(14)は、天井裏空間(S)内に梁(B1,B2)を避けるように屈曲した形で配設されている。図の例では、機外ドレン配管(14)は、上記梁(B1)の下方へ屈曲した部分がトラップになっている。該機外ドレン配管(14)の他端側は、建物の壁面(W)に沿って下方へ引かれており、その端部は、図示しないドレン用集合配管に接続されている。該ドレン用集合配管とは、ビルなどに設けられている複数台の空気調和装置(1)の機外ドレン配管(14)が接続されるものである。
【0033】
一方、上記ケーシング(2)の下端部には、平面視が矩形状の化粧パネル(9)が取り付けられている。該化粧パネル(9)には、その中央部に、矩形状の開口からなる空気吸込口(9a)が形成されるとともに、該化粧パネル(9)の側縁部の複数箇所(例えば4箇所)には、該化粧パネル(9)の各辺に対応して空気吹出口(9b,9b…)が形成されている。上記空気吸込口(9a)には、該空気吸込口(9a)より吸い込んだ室内空気中の塵埃を除去するためのエアフィルタ(9c)が設けられており、該エアフィルタ(9c)の下側には、吸込グリル(図示せず)が取り付けられている。
【0034】
また、上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、本発明の特徴として、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている。
【0035】
すなわち、上記逆止弁(16)は、ドレンポンプ(11)によりドレン排出管(15)へ排出されたドレン水が、上記ドレンポンプ(11)の停止後、ドレンパン(8)に逆流せずに、ドレン排出管(15)のドレンポンプ(11)側に停滞するように構成されている。
【0036】
−運転動作−
次に、この実施形態でのドレン水発生過程及び該ドレン水の排出行程について説明する。
【0037】
空気調和装置(1)の冷房運転時や除湿運転時には、ファンモータ(5)が駆動しターボファン(3)が回転することにより、室内空気が空気吸込口(9a)からケーシング(2)の内部へ吸引される。その後、該室内空気は、エアフィルタ(9c)とベルマウス(6)を通過し、さらにインペラ(4)から径方向外側に吹き出されて室内熱交換器(7)を通過する。そして、室内空気は室内熱交換器(7)により冷却又は除湿され、空気吹出口(9b)から室内へ吹き出される。
【0038】
上記室内熱交換器(7)では、室内空気中の水蒸気が凝縮され、ドレン水が発生する。該ドレン水は、上記室内熱交換器(7)から滴下してドレンパン(8)に溜まる。
【0039】
ここで、上記ドレンパン(8)の内表面は、銅または銅合金などの銅系材料で形成されているため、該内表面からドレン水に銅イオンが溶出する。したがって、ドレンパン(8)内に溜まったドレン水は、該銅イオンにより殺菌される。
【0040】
そして、ドレンパン(8)のドレン水が所定水位まで溜まると、図2に示すように、フロートスイッチが作動し、ドレンポンプ(11)が起動する。そして、ドレンパン(8)のドレン水は、ドレンポンプ(11)によりドレン排出管(15)へ排出される。
【0041】
その後、図3に示すように、上記ドレンパン(8)のドレン水が所定水位まで低下すると、フロートスイッチが作動し、ドレンポンプ(11)が停止する。
【0042】
そして、上記ドレンポンプ(11)の出口付近に逆止弁(16)が設けられているため、ドレンポンプ(11)からドレン排出管(15)に排出されたドレン水は、ドレンパン(8)に逆流せずに、ドレン排出管(15)のドレンポンプ(8)側に停滞する。この停滞したドレン水には、ドレン水をドレンパン(8)に逆流させた場合、つまり、停滞させない場合に比して多量の銅イオンが含まれているため、ドレン水の殺菌作用が高い。
【0043】
また、ドレン排出管(15)に形成されたトラップ等に溜まったドレン水には、銅イオンが含まれているため、ドレン水の殺菌作用を有する。
【0044】
したがって、銅イオンを含んだドレン水をドレン排出管(15)に積極的に停滞させることにより、ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を確実に抑制することができる。
【0045】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、ドレンパン(8)の内表面を銅または銅合金などの銅系材料で形成するようにしたために、上記ドレンパン(8)でのスライムの発生を抑制することができる。一方、ドレンポンプ(11)の出口付近に逆止弁(16)を設けるようにしたために、ドレンポンプ(11)の運転停止後、殺菌処理された多量のドレン水をドレン排出管(15)に積極的に停滞させることができるので、該ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を積極的に抑制することができる。この結果、ドレン水が流れなくなって水漏れが生じたり、蓄積物の腐敗により異臭が発生したりするような問題を確実に防止することができる。
【0046】
また、上述の効果により、上記ドレン排出管(15)に何ら抗菌処理を施す必要性はないため、該ドレン排出管(15)の製作コストの大幅な低減を図ることができる。
【0047】
また、ドレンポンプ(11)に、圧送式ポンプを用いることによって、機外ドレン配管にトラップが形成されても、ドレン水がスムーズに排出されることとなるが、ドレンポンプ(11)が停止した時、上述の効果と相まって、ドレン配管(15)でのスライムの発生をより効果的に抑制することができる。
【0048】
また、機外ドレン配管(14)を配管する際に、例えば、天井埋込型空気調和装置の場合、極力トラップが生じないように天井裏の梁を避けながら配管しなければならないが、上述の効果により、トラップでのスライム化を抑制できるので、トラップを考慮することなく配管することができる。
【0049】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0050】
例えば、上記実施形態では、ドレンパン(8)の内表面を銅または銅合金などの銅系材料で形成している例について説明したが、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成していてもよい。その場合、ドレンパン(8)に溜まったドレン水が抗菌剤等に接することにより、該ドレン水は殺菌される。したがって、スライムの発生や、水漏れ及び異臭の発生を防止することができる。
【0051】
また、ドレンパン(8)全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されていてもよい。
【0052】
要するに、ドレンパン(8)は、少なくともドレン水が接する一部分が銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されていればよい。
【0053】
また、他の発明の実施形態としては、ドレンパン(8)の内部に、銅系材料 、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品を配置するようにしてもよい。その場合、補助部品は少なくとも一部がドレン水に接するように設ければよく、ドレン水が補助部品に接し、銅イオンの溶出等により、ドレン水は殺菌される。
【0054】
また、上記実施形態では、ドレンポンプ(11)に高揚程の圧送式ポンプを用いているが、低揚程の跳ね上げ式ポンプなどを用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】
したがって、請求項1に係る発明によれば、ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成される一方、ドレンポンプ(11)の出口付近に、逆止弁(16)を設けているので、冷房運転時や除湿運転時にケーシング(2)内で発生したドレン水を、上記ドレンパン(8)で銅イオンの溶出等により殺菌することができ、そして、ドレンポンプ(11)の運転停止後、この殺菌処理されたドレン水をドレン排出管(15)に積極的に停滞させることができる。したがって、ドレンパン(8)でのスライムの発生を抑制することができ、さらに、ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を積極的に抑制し、水漏れ及び異臭の発生を確実に防止することができる。
【0056】
また、上述の効果により、上記ドレン排出管(15)に何ら抗菌処理を施す必要性はないため、該ドレン排出管(15)の製作コストの大幅な低減を図ることができる。
【0057】
また、請求項2に係る発明によれば、ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品を配置する一方、ドレンポンプ(11)の出口付近に、逆止弁(16)を設けているので、ドレンパン(8)に溜まったドレン水を、補助部品から溶出する銅イオン等により殺菌することができる。したがって、請求項1と同様に、ドレンパン(8)でのスライムの発生を抑制することができ、さらに、ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を積極的に抑制し、水漏れ及び異臭の発生を確実に防止することができる。
【0058】
また、請求項3に係る発明によれば、ドレンパン(8)全体を、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成しているので、ドレン水の殺菌作用を高めることができ、スライムの発生や、水漏れ及び異臭の発生をより確実に防止することができる。
【0059】
また、請求項4に係る発明によれば、ドレンポンプ(11)に高揚程の圧送式ポンプを用いているので、ドレン排出管(15)にトラップが形成されても、ドレン水がスムーズに排出されることとなるが、ドレンポンプ(11)が停止した時、上述の効果と相まって、ドレン排出管(15)でのスライムの発生をより効果的に抑制することができる。
【0060】
また、請求項5に係る発明によれば、ドレン排出管(15)にトラップが形成され、ドレン水が溜まったとしても、請求項1〜4の効果によりスライムの発生を抑制できるため、トラップを考慮しなくても、つまり天井裏の梁を避けるようにしなくても、上記ドレン配管を配設することができる。したがって、現地での配管施工の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略断面図である。
【図2】ドレンポンプ(11)の起動時における、ドレン水排出構造部を示す模式図である。
【図3】ドレンポンプ(11)の停止時における、ドレン水排出構造部を示す模式図である。
【符号の説明】
(1)空気調和装置
(2)ケーシング
(8)ドレンパン
(11)ドレンポンプ
(15)ドレン排出管
(16)逆止弁
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気調和装置に関し、特に、ドレン水の排出構造に係るものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、空気調和装置には、冷房運転や除湿運転の際に、ケーシング内で発生するドレン水を殺菌処理して排出するようにしたものがある。これは、空気中の水蒸気が室内熱交換器で冷却されて凝縮してできるドレン水には、空気中の雑菌が含まれており、殺菌処理を行わないと、ドレン水がドレンパンやドレン配管内に溜まったときに、雑菌が繁殖してスライムが発生するおそれがあるためである。
【0003】
上記スライムは半固形状の物質で、該スライムがドレン配管などで発生すれば、配管が詰まり水漏れを生じたり、蓄積物の腐敗により異臭が発生したりするなどの問題が生じてしまう。
【0004】
上記殺菌処理の方法の具体例としては、ドレンパン底部に銅合金箔を接着する方法が提案されている(例えば、特許文献1参照)。この特許文献1では、ドレンパンに溜まったドレン水を、該ドレンパンの底部に接着した銅合金箔から溶出する銅イオンにより殺菌処理することにより、ドレンパンでのスライムの発生を防止している。また、ドレン配管に形成されたトラップ等にドレン水が溜まったとしても、該ドレン水には銅イオンが含まれていることにより、上記トラップ等でのスライムの発生を防止している。
【0005】
【特許文献1】
特開平2−106630号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従来の空気調和装置は、上述したように、ドレン配管に形成されたトラップ等においては、ドレン水が適量に溜まり、該ドレン水には多量の銅イオンが含まれているため、ドレン水の殺菌作用が高い。
【0007】
一方、ドレンポンプの停止後、ドレン水がドレンパンに逆流するドレン配管部においては、少量のドレン水が残留する程度、または水滴量のドレン水が管内面に付着する程度の状態となる。そして、このドレン水に含まれる銅イオンは微量であるため、ドレン水の殺菌作用が極めて低い。
【0008】
したがって、従来方法では、ドレン配管全体に亘って、スライムの発生を抑制することは期待できないという問題があった。
【0009】
そこで、ドレン配管全体に亘ってスライムの発生を抑制するために、ドレン配管全体に何らかの抗菌処理を施すことが考えられるが、その場合、ドレン配管の製作コストが大幅に高くなるという問題が生じる。
【0010】
本発明は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、空気調和装置において、ドレン配管に何ら抗菌処理を施すことなく、ドレンパンおよびドレン配管全体に亘ってスライムの発生を確実に抑制することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
具体的に、請求項1に係る発明は、ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えた空気調和装置を前提としている。
【0012】
そして、上記ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されている。一方、上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている。
【0013】
上記の発明では、冷房運転時や除湿運転時に、ケーシング(2)内で発生したドレン水は、ドレンパン(8)に溜まる。ここで、該ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されているため、銅系材料を用いた場合、銅イオンがドレン水に溶出する。そして、該銅イオンは殺菌作用を有しているため、ドレン水は殺菌される。また、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料を用いた場合、ドレン水が抗菌剤等に接することでドレン水は殺菌される。
【0014】
そして、上記ドレンパン(8)に溜まったドレン水は、ドレンポンプ(11)によってドレン排出管(15)へ排出され、このドレン水排出完了後、ドレンポンプ(11)は停止する。ここで、該ドレンポンプ(11)の出口付近には、逆止弁(16)が設けられているため、多量のドレン水がドレンパン(8)に逆流することなく、上記ドレン排出管(15)のドレンポンプ(11)側に停滞する。この停滞したドレン水には、ドレン水を停滞させない場合に比して多量の銅イオン等が含まれているため、ドレン水の殺菌作用が高い。また、上記ドレン排出管(15)に形成されたトラップ等には、適量の銅イオン等を含んだドレン水が溜まる。
【0015】
したがって、上記何れの材料を用いた場合でも、ドレンパン(8)でのスライムの発生が抑制され、さらに、ドレン配管(15)全体に亘って、スライムの発生が積極的に抑制されるため、水漏れおよび異臭の発生がより防止される。
【0016】
また、請求項2に係る発明は、ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えた空気調和装置を前提としている。
【0017】
そして、上記ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品が配置されている。一方、上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている。
【0018】
上記の発明では、冷房運転時や除湿運転時に、ケーシング(2)内で発生したドレン水は、ドレンパン(8)に溜まる。ここで、該ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品が配置されているため、該補助部品にドレン水が接し、銅イオンの溶出等によりドレン水は殺菌される。その後の作用および効果は、請求項1と同様であり、ドレンパン(8)でのスライムの発生が抑制され、さらに、ドレン配管(15)全体に亘って、スライムの発生が積極的に抑制される。
【0019】
また、請求項3に係る発明は、請求項1において、ドレンパン(8)の全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されている。
【0020】
上記の発明では、ドレンパン(8)の全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されているため、ドレン水の殺菌作用が高い。したがって、ドレンパン(8)およびドレン排出管(15)でのスライムの発生や、水漏れ及び異臭の発生がより確実に防止される。
【0021】
また、請求項4に係る発明は、請求項1〜3の何れか1項において、ドレンポンプ(11)は、圧送式ポンプとしている。
【0022】
上記の発明では、ドレンポンプ(11)に圧送式ポンプを用いることによって、ドレン排出管(15)にトラップが形成されても、ドレン水がスムーズに排出されることとなるが、ドレンポンプ(11)が停止した時、上述の効果と相まって、ドレン排出管(15)でのスライムの発生がより効果的に抑制される。
【0023】
また、請求項5に係る発明は、請求項1〜4の何れか1項において、空気調和装置(1)は、高所設置型としている。該高所設置型の空気調和装置(1)は、例えば、天井埋込型や天井吊型の室内ユニットのことである。
【0024】
上記の発明では、ドレン排出管(15)にトラップが形成され、ドレン水が溜まったとしても、スライムの発生が抑制されるため、トラップを考慮することなく上記ドレン配管を配設することができる。したがって、現地での配管作業性を向上させることができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0026】
図1は、本発明の実施形態に係る空気調和装置(1)を示す断面図である。この実施形態は、高所設置型の一つである天井埋込型の空気調和装置(1)に本発明を適用したものである。該空気調和装置(1)は、天井(R)に形成された開口(H)に挿入配置されており、下向きに開放するケーシング(2)が天井裏空間(S)に設置されている。
【0027】
上記ケーシング(2)内の中央部には、ターボファン(3)が配設されている。該ターボファン(3)は、インペラ(4)とファンモータ(5)とベルマウス(6)とを備えている。上記インペラ(4)は、シュラウド(4a)とハブ(4b)と、該シュラウド(4a)とハブ(4b)の間に保持されたブレード(4c)とで形成され、ハブ(4b)の中心部が上記ファンモータ(5)の駆動軸下端部に連結されている。上記ファンモータ(5)は、上記ケーシング(2)の中央上部に固定されている。上記ターボファン(3)は、ファンモータ(5)の駆動によるブレード(4c)の回転によって、下側から吸い込んだ室内空気を上記インペラ(4)の径方向外側に吹き出すようになっている。また、上記ベルマウス(6)は、上記インペラ(4)に室内空気を案内するように、該インペラ(4)の下側に配設されている。
【0028】
上記インペラ(4)の周囲には、室内熱交換器(7)が配設されている。該室内熱交換器(7)は、図示しない室外機に冷媒配管を介して連結されている。また、上記室内熱交換器(7)は、冷房運転時には蒸発器として、暖房運転時には凝縮器として機能するようになっており、上記ターボファン(3)から吹き出された室内空気の温度と湿度を調整する。
【0029】
また、上記室内熱交換器(7)の下方には、冷房運転時や除湿運転時に、該室内熱交換器(7)で発生するドレン水を回収するためのドレンパン(8)が配設されている。そして、該ドレンパン(8)に溜まったドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)が配設され、該ドレンポンプ(11)には、ドレン水を室外へ導くためにドレン排出管(15)が接続されている。また、上記ドレンポンプ(11)は、ドレンパン(8)のドレン水が所定水位まで溜まると、図示しないフロートスイッチが作動することによって起動し、また、ドレン水が所定水位まで低下すると、上記フロートスイッチが作動することによって、停止するように構成されている。なお、上記フロートスイッチは、ドレンパン(8)内に設けられ、該ドレンパン(8)に溜まったドレン水の水位を検出するためのものである。
【0030】
そこで、上記ドレンパン(8)の内表面は、溜まったドレン水を殺菌処理するように銅または銅合金などの銅系材料で形成されている。つまり、ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分が、銅系材料で構成されている。
【0031】
上記ドレン排出管(15)は、機内ドレン配管(12)とコネクタ(13)と機外ドレン配管(14)とを備えている。機内ドレン配管(12)は、上記ドレンポンプ(11)に鉛直上方に立ち上がって接続され、ケーシング(2)の天板近傍で側板側に屈曲し、コネクタ(13)を介して機外ドレン配管(14)の一端に接続されている。
【0032】
上記機外ドレン配管(14)は、天井裏空間(S)内で建物の壁面(W)の方へ向かって配設されている。またそのとき、該機外ドレン配管(14)は、天井裏空間(S)内に梁(B1,B2)を避けるように屈曲した形で配設されている。図の例では、機外ドレン配管(14)は、上記梁(B1)の下方へ屈曲した部分がトラップになっている。該機外ドレン配管(14)の他端側は、建物の壁面(W)に沿って下方へ引かれており、その端部は、図示しないドレン用集合配管に接続されている。該ドレン用集合配管とは、ビルなどに設けられている複数台の空気調和装置(1)の機外ドレン配管(14)が接続されるものである。
【0033】
一方、上記ケーシング(2)の下端部には、平面視が矩形状の化粧パネル(9)が取り付けられている。該化粧パネル(9)には、その中央部に、矩形状の開口からなる空気吸込口(9a)が形成されるとともに、該化粧パネル(9)の側縁部の複数箇所(例えば4箇所)には、該化粧パネル(9)の各辺に対応して空気吹出口(9b,9b…)が形成されている。上記空気吸込口(9a)には、該空気吸込口(9a)より吸い込んだ室内空気中の塵埃を除去するためのエアフィルタ(9c)が設けられており、該エアフィルタ(9c)の下側には、吸込グリル(図示せず)が取り付けられている。
【0034】
また、上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、本発明の特徴として、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている。
【0035】
すなわち、上記逆止弁(16)は、ドレンポンプ(11)によりドレン排出管(15)へ排出されたドレン水が、上記ドレンポンプ(11)の停止後、ドレンパン(8)に逆流せずに、ドレン排出管(15)のドレンポンプ(11)側に停滞するように構成されている。
【0036】
−運転動作−
次に、この実施形態でのドレン水発生過程及び該ドレン水の排出行程について説明する。
【0037】
空気調和装置(1)の冷房運転時や除湿運転時には、ファンモータ(5)が駆動しターボファン(3)が回転することにより、室内空気が空気吸込口(9a)からケーシング(2)の内部へ吸引される。その後、該室内空気は、エアフィルタ(9c)とベルマウス(6)を通過し、さらにインペラ(4)から径方向外側に吹き出されて室内熱交換器(7)を通過する。そして、室内空気は室内熱交換器(7)により冷却又は除湿され、空気吹出口(9b)から室内へ吹き出される。
【0038】
上記室内熱交換器(7)では、室内空気中の水蒸気が凝縮され、ドレン水が発生する。該ドレン水は、上記室内熱交換器(7)から滴下してドレンパン(8)に溜まる。
【0039】
ここで、上記ドレンパン(8)の内表面は、銅または銅合金などの銅系材料で形成されているため、該内表面からドレン水に銅イオンが溶出する。したがって、ドレンパン(8)内に溜まったドレン水は、該銅イオンにより殺菌される。
【0040】
そして、ドレンパン(8)のドレン水が所定水位まで溜まると、図2に示すように、フロートスイッチが作動し、ドレンポンプ(11)が起動する。そして、ドレンパン(8)のドレン水は、ドレンポンプ(11)によりドレン排出管(15)へ排出される。
【0041】
その後、図3に示すように、上記ドレンパン(8)のドレン水が所定水位まで低下すると、フロートスイッチが作動し、ドレンポンプ(11)が停止する。
【0042】
そして、上記ドレンポンプ(11)の出口付近に逆止弁(16)が設けられているため、ドレンポンプ(11)からドレン排出管(15)に排出されたドレン水は、ドレンパン(8)に逆流せずに、ドレン排出管(15)のドレンポンプ(8)側に停滞する。この停滞したドレン水には、ドレン水をドレンパン(8)に逆流させた場合、つまり、停滞させない場合に比して多量の銅イオンが含まれているため、ドレン水の殺菌作用が高い。
【0043】
また、ドレン排出管(15)に形成されたトラップ等に溜まったドレン水には、銅イオンが含まれているため、ドレン水の殺菌作用を有する。
【0044】
したがって、銅イオンを含んだドレン水をドレン排出管(15)に積極的に停滞させることにより、ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を確実に抑制することができる。
【0045】
−実施形態の効果−
以上説明したように、本実施形態によれば、ドレンパン(8)の内表面を銅または銅合金などの銅系材料で形成するようにしたために、上記ドレンパン(8)でのスライムの発生を抑制することができる。一方、ドレンポンプ(11)の出口付近に逆止弁(16)を設けるようにしたために、ドレンポンプ(11)の運転停止後、殺菌処理された多量のドレン水をドレン排出管(15)に積極的に停滞させることができるので、該ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を積極的に抑制することができる。この結果、ドレン水が流れなくなって水漏れが生じたり、蓄積物の腐敗により異臭が発生したりするような問題を確実に防止することができる。
【0046】
また、上述の効果により、上記ドレン排出管(15)に何ら抗菌処理を施す必要性はないため、該ドレン排出管(15)の製作コストの大幅な低減を図ることができる。
【0047】
また、ドレンポンプ(11)に、圧送式ポンプを用いることによって、機外ドレン配管にトラップが形成されても、ドレン水がスムーズに排出されることとなるが、ドレンポンプ(11)が停止した時、上述の効果と相まって、ドレン配管(15)でのスライムの発生をより効果的に抑制することができる。
【0048】
また、機外ドレン配管(14)を配管する際に、例えば、天井埋込型空気調和装置の場合、極力トラップが生じないように天井裏の梁を避けながら配管しなければならないが、上述の効果により、トラップでのスライム化を抑制できるので、トラップを考慮することなく配管することができる。
【0049】
【発明のその他の実施の形態】
本発明は、上記実施形態について、以下のような構成としてもよい。
【0050】
例えば、上記実施形態では、ドレンパン(8)の内表面を銅または銅合金などの銅系材料で形成している例について説明したが、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成していてもよい。その場合、ドレンパン(8)に溜まったドレン水が抗菌剤等に接することにより、該ドレン水は殺菌される。したがって、スライムの発生や、水漏れ及び異臭の発生を防止することができる。
【0051】
また、ドレンパン(8)全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されていてもよい。
【0052】
要するに、ドレンパン(8)は、少なくともドレン水が接する一部分が銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されていればよい。
【0053】
また、他の発明の実施形態としては、ドレンパン(8)の内部に、銅系材料 、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品を配置するようにしてもよい。その場合、補助部品は少なくとも一部がドレン水に接するように設ければよく、ドレン水が補助部品に接し、銅イオンの溶出等により、ドレン水は殺菌される。
【0054】
また、上記実施形態では、ドレンポンプ(11)に高揚程の圧送式ポンプを用いているが、低揚程の跳ね上げ式ポンプなどを用いてもよい。
【0055】
【発明の効果】
したがって、請求項1に係る発明によれば、ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成される一方、ドレンポンプ(11)の出口付近に、逆止弁(16)を設けているので、冷房運転時や除湿運転時にケーシング(2)内で発生したドレン水を、上記ドレンパン(8)で銅イオンの溶出等により殺菌することができ、そして、ドレンポンプ(11)の運転停止後、この殺菌処理されたドレン水をドレン排出管(15)に積極的に停滞させることができる。したがって、ドレンパン(8)でのスライムの発生を抑制することができ、さらに、ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を積極的に抑制し、水漏れ及び異臭の発生を確実に防止することができる。
【0056】
また、上述の効果により、上記ドレン排出管(15)に何ら抗菌処理を施す必要性はないため、該ドレン排出管(15)の製作コストの大幅な低減を図ることができる。
【0057】
また、請求項2に係る発明によれば、ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品を配置する一方、ドレンポンプ(11)の出口付近に、逆止弁(16)を設けているので、ドレンパン(8)に溜まったドレン水を、補助部品から溶出する銅イオン等により殺菌することができる。したがって、請求項1と同様に、ドレンパン(8)でのスライムの発生を抑制することができ、さらに、ドレン排出管(15)の全体に亘って、スライムの発生を積極的に抑制し、水漏れ及び異臭の発生を確実に防止することができる。
【0058】
また、請求項3に係る発明によれば、ドレンパン(8)全体を、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成しているので、ドレン水の殺菌作用を高めることができ、スライムの発生や、水漏れ及び異臭の発生をより確実に防止することができる。
【0059】
また、請求項4に係る発明によれば、ドレンポンプ(11)に高揚程の圧送式ポンプを用いているので、ドレン排出管(15)にトラップが形成されても、ドレン水がスムーズに排出されることとなるが、ドレンポンプ(11)が停止した時、上述の効果と相まって、ドレン排出管(15)でのスライムの発生をより効果的に抑制することができる。
【0060】
また、請求項5に係る発明によれば、ドレン排出管(15)にトラップが形成され、ドレン水が溜まったとしても、請求項1〜4の効果によりスライムの発生を抑制できるため、トラップを考慮しなくても、つまり天井裏の梁を避けるようにしなくても、上記ドレン配管を配設することができる。したがって、現地での配管施工の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態に係る空気調和装置の概略断面図である。
【図2】ドレンポンプ(11)の起動時における、ドレン水排出構造部を示す模式図である。
【図3】ドレンポンプ(11)の停止時における、ドレン水排出構造部を示す模式図である。
【符号の説明】
(1)空気調和装置
(2)ケーシング
(8)ドレンパン
(11)ドレンポンプ
(15)ドレン排出管
(16)逆止弁
Claims (5)
- ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えた空気調和装置であって、
上記ドレンパン(8)における少なくともドレン水が接する一部分は、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成される一方、
上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている
ことを特徴とする空気調和装置。 - ケーシング(2)内で発生したドレン水を回収するためのドレンパン(8)と、該ドレンパン(8)のドレン水を排出するためのドレンポンプ(11)と、該ドレンポンプ(11)からドレン水を外部に導くドレン排出管(15)とを備えた空気調和装置であって、
上記ドレンパン(8)の内部に、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成された補助部品が配置される一方、
上記ドレンポンプ(11)の出口付近には、該ドレンポンプ(11)の運転停止後、ドレン水をドレン排出管(15)内に停滞させるための逆止弁(16)が設けられている
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1において、
上記ドレンパン(8)の全体が、銅系材料、抗菌性のある樹脂材料又は抗菌剤を添加した樹脂材料で形成されている
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜3の何れか1項において、
上記ドレンポンプ(11)は、圧送式ポンプである
ことを特徴とする空気調和装置。 - 請求項1〜4の何れか1項において、
高所設置型である
ことを特徴とする空気調和装置。
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Cited By (2)
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JP2009014243A (ja) * | 2007-07-03 | 2009-01-22 | Paloma Ind Ltd | 給湯器 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376078A patent/JP2004205132A/ja active Pending
Cited By (3)
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EP1840475A4 (en) * | 2005-01-12 | 2010-11-24 | Daikin Ind Ltd | AIR CONDITIONER |
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