JP2004204952A - すべり軸受及びその潤滑方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、軸受面に一対の潤滑油溝を形成することにより、洗浄時にかじり現象等の損傷が発生しないようにすることを目的とする。
【解決手段】本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法は、すべり軸受(20)の軸受面(22)の異なる少なくとも2箇所に第1、第2潤滑油溝(24,24A)が形成され、第1潤滑油溝(24)が一方の高圧側(50)から他方の低圧側(51)の途中まで、第2潤滑油溝(24A)が他方の低圧側(51)から一方の高圧側(50)の途中まで形成され、前記各潤滑油溝(24,24A)の先端が円周方向で重合するようにした構成と方法である。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法は、すべり軸受(20)の軸受面(22)の異なる少なくとも2箇所に第1、第2潤滑油溝(24,24A)が形成され、第1潤滑油溝(24)が一方の高圧側(50)から他方の低圧側(51)の途中まで、第2潤滑油溝(24A)が他方の低圧側(51)から一方の高圧側(50)の途中まで形成され、前記各潤滑油溝(24,24A)の先端が円周方向で重合するようにした構成と方法である。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべり軸受及びその潤滑方法に関し、特に、高圧側と低圧側に設けた一対の潤滑油溝により高気密性を保持すると共に潤滑性を向上させて洗浄時のかじりをなくすための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ギアポンプあるいはスクリュポンプのような回転体を内蔵する高圧加工用各種産業機器において、回転軸を支持するすべり軸受が機器内に内蔵されて機器内の処理材料に直接触れながら使用される場合がある。このようなすべり軸受は摩耗に対する耐久性が必要であり、軸受面に耐摩耗材料を採用するか、処理材料に潤滑性成分を添加するか、軸受面に潤滑油溝を形成して潤滑材を供給するかなどの工夫がなされている。更には、潤滑油溝は、軸受面を横断すなわち貫通して設けられた場合、処理材料および潤滑材が潤滑油溝を容易に流動して気密性が低下するため、軸受面の内側(高圧側)の端から外側(低圧側)の端に到達する直前まで設けられ、軸受面の外側の端部に潤滑油溝の無い平面分を残すように構成されている。
【0003】
図3は従来及び本発明のすべり軸受が適用され回転体および軸受を内蔵する高圧加工用機器の一例であるギアポンプを示す断面構成図であり、図4、図5は従来のすべり軸受を示す正面図及び矢視B−B断面図である。図3において、符号1で示されるものはギアポンプであり、このギアポンプ1は、ケーシング2、駆動側カバー3、被駆動側カバー4、駆動ギア5及び被駆動ギア5Aにより構成されている。前記ケーシング2の側周壁の中央部には、一方に材料吸入口6、他方に材料吐出口7が形成されている。また、前記駆動ギア5の駆動軸8は駆動側カバー3の軸孔9及び軸シール10を介して外部に設けられ矢印Aの方向にモータ(図示せず)によって回転されるように構成されている。
【0004】
前記駆動ギア5及び前記被駆動ギア5Aは、互いに噛合し、その軸部5a、5Aa及び駆動軸8がそれぞれ4個のすべり軸受20に挿入されて回転駆動可能な状態で前記ケーシング2に設けられている。前記被駆動側カバー4の前記軸部5aが位置する部分には洗浄液注入孔21が形成されている。また、前記駆動側カバー3及び前記被駆動側カバー4には、図示しない潤滑油排出孔が形成されている。
【0005】
前記すべり軸受20は、図4及び図5に示されている。すなわち、前記すべり軸受20は厚肉円筒形状に構成され、内周面が前記軸部5a、5Aa及び駆動軸8が挿入される軸受面22を有し、この軸受面22の両側端面部にはRによる曲面加工部23が形成されている。前記軸受面22には、高圧(駆動ギア5及び被駆動ギア5A)側50から低圧(駆動側カバー3及び被駆動側カバー4)側51の前記曲面加工部23の僅か手前まで、軸方向における軸受け幅Wに第1潤滑油溝24が形成されている。なお、前記第1潤滑油溝24には、外部に設けられた図示しない潤滑装置から前記駆動側カバー3及び被駆動側カバー4の潤滑剤供給孔(図示せず)を経て潤滑油が供給される。
【0006】
以上のように構成されたギアポンプ1は以下のように作動する。駆動ギア5がモータ等の回転駆動装置(図示せず)により矢印Aの方向へ回転駆動され、被駆動ギア5Aが回転駆動された状態で、材料吸入口6から吸入された処理材料は高圧に加圧され材料吐出口7から吐出される。この間、駆動ギア5の軸部5aと駆動軸8及び被駆動ギア5Aの軸部5Aaの外周面とすべり軸受20の軸受面22との隙間には、外部の図示しない潤滑装置から供給される高圧の潤滑油により潤滑される。前記第1潤滑油溝24が軸受け幅Wの僅か手前まで形成され軸受面22の低圧側51に溝の無い部分が設けられていることにより、容易に低圧側51に直接流出することはなく、高圧が保たれる。
【0007】
また、処理材料が食品材料、医薬品材料、化粧品材料等の場合、適宜の時間間隔でギアポンプ1を洗浄することが行われている。このギアポンプ1において洗浄を行う場合には、処理材料の供給を停止し、駆動ギア5及び被駆動ギア5Aを回転駆動した状態で、洗浄液注入孔21から洗浄液を供給する。この洗浄液は各ギア5、5Aを洗浄して図示しない洗浄液吐出口から排出すると共に、第1潤滑油溝24から軸部5a、5Aa及び駆動軸8と軸受面22との隙間を洗浄することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のすべり軸受及びその潤滑方法は以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、軸受面に形成された潤滑油溝が1本であるため、ギアポンプを回転駆動状態で洗浄する際に、軸部の外周面と軸受面との間にかじり現象等の損傷が発生することがある。この場合、洗浄液としては、通常、温水、酸性あるいはアルカリ性洗浄液が使用され、これ等の洗浄液は潤滑性に乏しい。また、液密性を得るための回転軸とすべり軸受けとの隙間は、一般にC/R=0.0005〜0.002(C:隙間、R:回転軸の半径)に設計され、非常に小さい。その結果、軸受面の潤滑油溝の無い低圧側の部分に洗浄液が流入し難く、無潤滑状態となり易く、そのために損傷が発生し易い。
【0009】
従って、ギアポンプの洗浄は、損傷の危険性を排除するために分解洗浄が一般に行われているが、処理材料が食品材料、医薬品材料、化粧品材料等の場合、洗浄は1日1回程度の間隔で行われており、その都度ギアポンプが分解され、洗浄され、組立てられ、長時間の洗浄作業が必要とされている。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、高圧側と低圧側に設けた一対の潤滑油溝により高気密性を保持すると共に潤滑性を向上させて洗浄時のかじりをなくすようにしたすべり軸受及びその潤滑方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法は、円筒状の内周面を軸受面とするすべり軸受において、前記軸受面の高圧側から低圧側へ向けて形成され前記低圧側へ貫通していない第1潤滑油溝と、前記低圧側から高圧側へ向けて形成され前記高圧側へ貫通していない第2潤滑油溝とを有し、前記各潤滑油溝は前記軸受面の円周方向において互いに異なる位置に形成されている構成であり、また、前記第1潤滑油溝が前記軸受面の軸受け幅の少なくとも9/10の範囲に形成されている構成であり、また、前記各潤滑油溝は、前記軸受面の円周方向において互いに重合している構成であり、また、本発明によるすべり軸受の潤滑方法は、円筒状の内周面を軸受面とするすべり軸受に軸部を設けて潤滑油を供給するようにしたすべり軸受の潤滑方法において、前記すべり軸受の高圧側と低圧側から非貫通の第1、第2潤滑油溝を位置をずらせて穿設し、気密性を保持して前記潤滑油を潤滑させる方法であり、また、前記各潤滑油溝は、前記軸受面の円周方向において互いに重合している方法であり、また、前記第1潤滑油溝は、前記軸受面の軸方向における軸受け幅の少なくとも9/10の範囲に形成されている方法であり、また、前記すべり軸受における潤滑油の油送り方向と洗浄液の液送り方向とは、切換えられる方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法の好適な実施の形態について説明する。尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。また、本発明において用いるギアポンプの構成はすべり軸受の構成以外は従来と同一であるため、図3の構成を援用し、ここでは説明を省略するものとする。
【0013】
図1及び図2において、符号20で示されるものはすべり軸受であり、このすべり軸受20は厚肉円筒形状に構成され、内周面は軸部が回転自在に挿入される軸受面22で構成され、両側端面にはRからなる曲面加工部23が形成されている。前記軸受面22には、一方の高圧側50から他方の低圧側51の前記曲面加工部23の僅か手前まで、軸方向に沿って第1潤滑油溝24が形成されている。前記軸受面22の前記第1潤滑油溝24と内周面の円周方向の異なる位置に、他方の低圧側51から一方の高圧側50へ、軸方向に沿って第2潤滑油溝24Aが形成されている。前記第1潤滑油溝24の先端と前記第2潤滑油溝24Aの先端とは、円周方向において相互に距離eだけ重合している。なお、前記第1潤滑油溝24には、図示しない潤滑装置からギアポンプ1の前記駆動側カバー3及び被駆動側カバー4を経て潤滑油が供給されるように構成されている。
【0014】
以上のように構成された本発明によるすべり軸受20を図3のギアポンプ1に装着し、駆動ギア5及び被駆動ギア5Aが回転駆動された状態で、駆動ギア5の軸部5aと駆動軸8及び被駆動ギア5Aの軸部5Aaの外周面とすべり軸受20の軸受面22との隙間には、外部の図示しない潤滑装置から供給される高圧の潤滑油により、軸受面22の軸受け幅W全てにおいて、潤滑される。
【0015】
第1潤滑油溝24が低圧側51の曲線加工部23の僅か手前まで形成され、軸受面22の低圧側51に溝の無い部分24aが設けられていることにより、高圧側50から低圧側51にかけて貫通しておらず、第1潤滑油溝24の先端で一旦堰き止められ、その後僅かの隙間を経て第2潤滑油溝24Aへ流動することにより、容易に低圧側51へ流出することはなく、隙間から僅かずつ流出して外部へ排出される。
【0016】
また、ギアポンプ1を用いた機器の洗浄時において、洗浄液注入孔21から供給される洗浄液は各ギア5、5Aを洗浄して材料吐出口7から流出する。尚、前述の潤滑油及び洗浄液の送り方向は切換えが可能であり、軸受洗浄時には送り液体を洗浄液に切換えて行うことができる。また、実際の運転においては、ギアポンプ1に流動パラフィンを50MPaの圧力状態で運転し、洗浄時には逆方向から洗浄液を0.5MPaの低圧で強制送りして運転した。
【0017】
前記すべり軸受20は厚肉円筒形状に限定されるものではなく、軸受面22が円筒状であれば、外周断面形状は円筒以外の多角形、楕円形、半円形等でも良い。また、第1潤滑油溝24及び第2潤滑油溝24Aは、各1本設けられることに限定されるものではなく、周方向の任意の位置あるいは等間隔の位置に、複数本あるいは複数組設けても良い。さらには、潤滑油の高圧状態の範囲を出来るだけ広くするため、第1潤滑油溝24の軸方向長さを出来るだけ長くすることが望ましく、軸受け幅Wの少なくとも9/10は形成することが望ましい。また、同様の理由により、第1潤滑油溝24と第2潤滑油溝24Aの重合する距離eは短い方が望ましく、例えば、軸受面22の軸受け幅Wが30mmの場合、eとして1〜5mmであれば充分な潤滑効果が得られた。
【0018】
【発明の効果】
本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
(1)すべり軸受の軸受面の異なる複数の箇所に第1、第2潤滑油溝が形成され、少なくとも1本の潤滑油溝が一方の高圧側から他方の低圧側の途中まで、残りの潤滑油溝が他方の低圧側から一方の高圧側の途中まで形成され、対向する各潤滑油溝の先端が円周方向において相互に重合するように構成されていることにより、洗浄時において、洗浄液が軸受面の全面に流入し、全面が潤滑状態となる。従って、軸受部の外周面と軸受面との間にかじり現象等の損傷の危険性が無くなり、ギアポンプの組立状態による洗浄が可能になり、洗浄の作業時間が大幅に短縮できた。
(2)第1潤滑油溝が軸受面の幅の少なくとも9/10の範囲に形成されていることにより、潤滑油の高圧状態の範囲が広くなり、高い液密性を確保することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるすべり軸受を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明によるすべり軸受を適用したギアポンプを示す断面構成図である。
【図4】従来のすべり軸受を示す正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【符号の説明】
1 ギアポンプ
3 駆動側カバー
4 被駆動側カバー
5 駆動ギア
5A 被駆動ギア
20 すべり軸受
22 軸受面
24 第1潤滑油溝
24A 第2潤滑油溝
【発明の属する技術分野】
本発明は、すべり軸受及びその潤滑方法に関し、特に、高圧側と低圧側に設けた一対の潤滑油溝により高気密性を保持すると共に潤滑性を向上させて洗浄時のかじりをなくすための新規な改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、ギアポンプあるいはスクリュポンプのような回転体を内蔵する高圧加工用各種産業機器において、回転軸を支持するすべり軸受が機器内に内蔵されて機器内の処理材料に直接触れながら使用される場合がある。このようなすべり軸受は摩耗に対する耐久性が必要であり、軸受面に耐摩耗材料を採用するか、処理材料に潤滑性成分を添加するか、軸受面に潤滑油溝を形成して潤滑材を供給するかなどの工夫がなされている。更には、潤滑油溝は、軸受面を横断すなわち貫通して設けられた場合、処理材料および潤滑材が潤滑油溝を容易に流動して気密性が低下するため、軸受面の内側(高圧側)の端から外側(低圧側)の端に到達する直前まで設けられ、軸受面の外側の端部に潤滑油溝の無い平面分を残すように構成されている。
【0003】
図3は従来及び本発明のすべり軸受が適用され回転体および軸受を内蔵する高圧加工用機器の一例であるギアポンプを示す断面構成図であり、図4、図5は従来のすべり軸受を示す正面図及び矢視B−B断面図である。図3において、符号1で示されるものはギアポンプであり、このギアポンプ1は、ケーシング2、駆動側カバー3、被駆動側カバー4、駆動ギア5及び被駆動ギア5Aにより構成されている。前記ケーシング2の側周壁の中央部には、一方に材料吸入口6、他方に材料吐出口7が形成されている。また、前記駆動ギア5の駆動軸8は駆動側カバー3の軸孔9及び軸シール10を介して外部に設けられ矢印Aの方向にモータ(図示せず)によって回転されるように構成されている。
【0004】
前記駆動ギア5及び前記被駆動ギア5Aは、互いに噛合し、その軸部5a、5Aa及び駆動軸8がそれぞれ4個のすべり軸受20に挿入されて回転駆動可能な状態で前記ケーシング2に設けられている。前記被駆動側カバー4の前記軸部5aが位置する部分には洗浄液注入孔21が形成されている。また、前記駆動側カバー3及び前記被駆動側カバー4には、図示しない潤滑油排出孔が形成されている。
【0005】
前記すべり軸受20は、図4及び図5に示されている。すなわち、前記すべり軸受20は厚肉円筒形状に構成され、内周面が前記軸部5a、5Aa及び駆動軸8が挿入される軸受面22を有し、この軸受面22の両側端面部にはRによる曲面加工部23が形成されている。前記軸受面22には、高圧(駆動ギア5及び被駆動ギア5A)側50から低圧(駆動側カバー3及び被駆動側カバー4)側51の前記曲面加工部23の僅か手前まで、軸方向における軸受け幅Wに第1潤滑油溝24が形成されている。なお、前記第1潤滑油溝24には、外部に設けられた図示しない潤滑装置から前記駆動側カバー3及び被駆動側カバー4の潤滑剤供給孔(図示せず)を経て潤滑油が供給される。
【0006】
以上のように構成されたギアポンプ1は以下のように作動する。駆動ギア5がモータ等の回転駆動装置(図示せず)により矢印Aの方向へ回転駆動され、被駆動ギア5Aが回転駆動された状態で、材料吸入口6から吸入された処理材料は高圧に加圧され材料吐出口7から吐出される。この間、駆動ギア5の軸部5aと駆動軸8及び被駆動ギア5Aの軸部5Aaの外周面とすべり軸受20の軸受面22との隙間には、外部の図示しない潤滑装置から供給される高圧の潤滑油により潤滑される。前記第1潤滑油溝24が軸受け幅Wの僅か手前まで形成され軸受面22の低圧側51に溝の無い部分が設けられていることにより、容易に低圧側51に直接流出することはなく、高圧が保たれる。
【0007】
また、処理材料が食品材料、医薬品材料、化粧品材料等の場合、適宜の時間間隔でギアポンプ1を洗浄することが行われている。このギアポンプ1において洗浄を行う場合には、処理材料の供給を停止し、駆動ギア5及び被駆動ギア5Aを回転駆動した状態で、洗浄液注入孔21から洗浄液を供給する。この洗浄液は各ギア5、5Aを洗浄して図示しない洗浄液吐出口から排出すると共に、第1潤滑油溝24から軸部5a、5Aa及び駆動軸8と軸受面22との隙間を洗浄することができる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来のすべり軸受及びその潤滑方法は以上のように構成されていたため、次のような課題が存在していた。すなわち、軸受面に形成された潤滑油溝が1本であるため、ギアポンプを回転駆動状態で洗浄する際に、軸部の外周面と軸受面との間にかじり現象等の損傷が発生することがある。この場合、洗浄液としては、通常、温水、酸性あるいはアルカリ性洗浄液が使用され、これ等の洗浄液は潤滑性に乏しい。また、液密性を得るための回転軸とすべり軸受けとの隙間は、一般にC/R=0.0005〜0.002(C:隙間、R:回転軸の半径)に設計され、非常に小さい。その結果、軸受面の潤滑油溝の無い低圧側の部分に洗浄液が流入し難く、無潤滑状態となり易く、そのために損傷が発生し易い。
【0009】
従って、ギアポンプの洗浄は、損傷の危険性を排除するために分解洗浄が一般に行われているが、処理材料が食品材料、医薬品材料、化粧品材料等の場合、洗浄は1日1回程度の間隔で行われており、その都度ギアポンプが分解され、洗浄され、組立てられ、長時間の洗浄作業が必要とされている。
【0010】
本発明は、以上のような課題を解決するためになされたもので、特に、高圧側と低圧側に設けた一対の潤滑油溝により高気密性を保持すると共に潤滑性を向上させて洗浄時のかじりをなくすようにしたすべり軸受及びその潤滑方法を提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法は、円筒状の内周面を軸受面とするすべり軸受において、前記軸受面の高圧側から低圧側へ向けて形成され前記低圧側へ貫通していない第1潤滑油溝と、前記低圧側から高圧側へ向けて形成され前記高圧側へ貫通していない第2潤滑油溝とを有し、前記各潤滑油溝は前記軸受面の円周方向において互いに異なる位置に形成されている構成であり、また、前記第1潤滑油溝が前記軸受面の軸受け幅の少なくとも9/10の範囲に形成されている構成であり、また、前記各潤滑油溝は、前記軸受面の円周方向において互いに重合している構成であり、また、本発明によるすべり軸受の潤滑方法は、円筒状の内周面を軸受面とするすべり軸受に軸部を設けて潤滑油を供給するようにしたすべり軸受の潤滑方法において、前記すべり軸受の高圧側と低圧側から非貫通の第1、第2潤滑油溝を位置をずらせて穿設し、気密性を保持して前記潤滑油を潤滑させる方法であり、また、前記各潤滑油溝は、前記軸受面の円周方向において互いに重合している方法であり、また、前記第1潤滑油溝は、前記軸受面の軸方向における軸受け幅の少なくとも9/10の範囲に形成されている方法であり、また、前記すべり軸受における潤滑油の油送り方向と洗浄液の液送り方向とは、切換えられる方法である。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、図面と共に本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法の好適な実施の形態について説明する。尚、従来例と同一又は同等部分には同一符号を用いて説明する。また、本発明において用いるギアポンプの構成はすべり軸受の構成以外は従来と同一であるため、図3の構成を援用し、ここでは説明を省略するものとする。
【0013】
図1及び図2において、符号20で示されるものはすべり軸受であり、このすべり軸受20は厚肉円筒形状に構成され、内周面は軸部が回転自在に挿入される軸受面22で構成され、両側端面にはRからなる曲面加工部23が形成されている。前記軸受面22には、一方の高圧側50から他方の低圧側51の前記曲面加工部23の僅か手前まで、軸方向に沿って第1潤滑油溝24が形成されている。前記軸受面22の前記第1潤滑油溝24と内周面の円周方向の異なる位置に、他方の低圧側51から一方の高圧側50へ、軸方向に沿って第2潤滑油溝24Aが形成されている。前記第1潤滑油溝24の先端と前記第2潤滑油溝24Aの先端とは、円周方向において相互に距離eだけ重合している。なお、前記第1潤滑油溝24には、図示しない潤滑装置からギアポンプ1の前記駆動側カバー3及び被駆動側カバー4を経て潤滑油が供給されるように構成されている。
【0014】
以上のように構成された本発明によるすべり軸受20を図3のギアポンプ1に装着し、駆動ギア5及び被駆動ギア5Aが回転駆動された状態で、駆動ギア5の軸部5aと駆動軸8及び被駆動ギア5Aの軸部5Aaの外周面とすべり軸受20の軸受面22との隙間には、外部の図示しない潤滑装置から供給される高圧の潤滑油により、軸受面22の軸受け幅W全てにおいて、潤滑される。
【0015】
第1潤滑油溝24が低圧側51の曲線加工部23の僅か手前まで形成され、軸受面22の低圧側51に溝の無い部分24aが設けられていることにより、高圧側50から低圧側51にかけて貫通しておらず、第1潤滑油溝24の先端で一旦堰き止められ、その後僅かの隙間を経て第2潤滑油溝24Aへ流動することにより、容易に低圧側51へ流出することはなく、隙間から僅かずつ流出して外部へ排出される。
【0016】
また、ギアポンプ1を用いた機器の洗浄時において、洗浄液注入孔21から供給される洗浄液は各ギア5、5Aを洗浄して材料吐出口7から流出する。尚、前述の潤滑油及び洗浄液の送り方向は切換えが可能であり、軸受洗浄時には送り液体を洗浄液に切換えて行うことができる。また、実際の運転においては、ギアポンプ1に流動パラフィンを50MPaの圧力状態で運転し、洗浄時には逆方向から洗浄液を0.5MPaの低圧で強制送りして運転した。
【0017】
前記すべり軸受20は厚肉円筒形状に限定されるものではなく、軸受面22が円筒状であれば、外周断面形状は円筒以外の多角形、楕円形、半円形等でも良い。また、第1潤滑油溝24及び第2潤滑油溝24Aは、各1本設けられることに限定されるものではなく、周方向の任意の位置あるいは等間隔の位置に、複数本あるいは複数組設けても良い。さらには、潤滑油の高圧状態の範囲を出来るだけ広くするため、第1潤滑油溝24の軸方向長さを出来るだけ長くすることが望ましく、軸受け幅Wの少なくとも9/10は形成することが望ましい。また、同様の理由により、第1潤滑油溝24と第2潤滑油溝24Aの重合する距離eは短い方が望ましく、例えば、軸受面22の軸受け幅Wが30mmの場合、eとして1〜5mmであれば充分な潤滑効果が得られた。
【0018】
【発明の効果】
本発明によるすべり軸受及びその潤滑方法は、以上のように構成されているため、次のような効果を得ることができる。
(1)すべり軸受の軸受面の異なる複数の箇所に第1、第2潤滑油溝が形成され、少なくとも1本の潤滑油溝が一方の高圧側から他方の低圧側の途中まで、残りの潤滑油溝が他方の低圧側から一方の高圧側の途中まで形成され、対向する各潤滑油溝の先端が円周方向において相互に重合するように構成されていることにより、洗浄時において、洗浄液が軸受面の全面に流入し、全面が潤滑状態となる。従って、軸受部の外周面と軸受面との間にかじり現象等の損傷の危険性が無くなり、ギアポンプの組立状態による洗浄が可能になり、洗浄の作業時間が大幅に短縮できた。
(2)第1潤滑油溝が軸受面の幅の少なくとも9/10の範囲に形成されていることにより、潤滑油の高圧状態の範囲が広くなり、高い液密性を確保することが出来た。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明によるすべり軸受を示す正面図である。
【図2】図1のA−A断面図である。
【図3】本発明によるすべり軸受を適用したギアポンプを示す断面構成図である。
【図4】従来のすべり軸受を示す正面図である。
【図5】図4のB−B断面図である。
【符号の説明】
1 ギアポンプ
3 駆動側カバー
4 被駆動側カバー
5 駆動ギア
5A 被駆動ギア
20 すべり軸受
22 軸受面
24 第1潤滑油溝
24A 第2潤滑油溝
Claims (7)
- 円筒状の内周面を軸受面(22)とするすべり軸受において、前記軸受面(22)の高圧側(50)から低圧側(51)へ向けて形成され前記低圧側(51)へ貫通していない第1潤滑油溝(24)と、前記低圧側(51)から高圧側(50)へ向けて形成され前記高圧側(50)へ貫通していない第2潤滑油溝(24A)とを有し、前記各潤滑油溝(24,24A)は前記軸受面(22)の円周方向において互いに異なる位置に形成されていることを特徴とするすべり軸受。
- 前記第1潤滑油溝(24)が前記軸受面(22)の軸受け幅(W)の少なくとも9/10の範囲に形成されていることを特徴とする請求項1記載のすべり軸受。
- 前記各潤滑油溝(24,24A)は、前記軸受面(22)の円周方向において互いに重合していることを特徴とする請求項1又は2記載のすべり軸受。
- 円筒状の内周面を軸受面(22)とするすべり軸受(20)に軸部(5a,5Aa)を設けて潤滑油を供給するようにしたすべり軸受の潤滑方法において、前記すべり軸受(20)の高圧側(50)と低圧側(51)から非貫通の第1、第2潤滑油溝(24,24A)を位置をずらせて穿設し、気密性を保持して前記潤滑油を潤滑させることを特徴とするすべり軸受の潤滑方法。
- 前記各潤滑油溝(24,24A)は、前記軸受面(22)の円周方向において互いに重合していることを特徴とする請求項4記載のすべり軸受の潤滑方法。
- 前記第1潤滑油溝(24)は、前記軸受面(22)の軸方向における軸受け幅(W)の少なくとも9/10の範囲に形成されていることを特徴とする請求項4又は5記載のすべり軸受の潤滑方法。
- 前記すべり軸受(20)における潤滑油の油送り方向と洗浄液の液送り方向は、切換えられることを特徴とする請求項4ないし6の何れかに記載のすべり軸受の潤滑方法。
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JP2008196530A (ja) * | 2007-02-08 | 2008-08-28 | Mitsubishi Materials Pmg Corp | 焼結含油軸受とその製造方法 |
WO2015190364A1 (ja) * | 2014-06-12 | 2015-12-17 | 株式会社Ihi | 軸受構造、および、過給機 |
CN109519476A (zh) * | 2018-11-23 | 2019-03-26 | 中国航发北京航科发动机控制系统科技有限公司 | 一种滑动轴承 |
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2002
- 2002-12-25 JP JP2002374897A patent/JP2004204952A/ja active Pending
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