JP2004204717A - 筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置 - Google Patents

筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置 Download PDF

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Masayuki Yamashita
正行 山下
Katsuhiko Miyamoto
勝彦 宮本
Takashi Kawabe
敬 川辺
Taketoshi Hirata
健敏 平田
Kazuhiko Kawasaki
川崎  和彦
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Abstract

【課題】シリンダ壁面への燃料の付着を効率よく防止し、排ガス特性の向上を図った筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置を提供する。
【解決手段】筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置において、燃料噴射制御手段は、内燃機関の運転状態に応じて要求燃料総量を算出する要求燃料総量算出手段(S16)と、吸気行程中の第1燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第1限界燃料量を算出し(S200)、要求燃料総量が当該第1限界燃料量よりも大きいときには、第1燃料噴射時に第1限界燃料量だけ燃料噴射する(S206)とともに残りの第1残り燃料量(S208)を第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する(S30)一方、要求燃料総量が第1限界燃料量以下のときには、第1燃料噴射時に要求燃料総量の全てを1回で燃料噴射する(S204)第1限界噴射制御手段(S20)とを備えている。
【選択図】 図2

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置に係り、詳しくは筒内噴射型火花点火式内燃機関の冷態時における燃料噴射制御技術に関する。
【0002】
【関連する背景技術】
筒内噴射型火花点火式内燃機関は、筒内(シリンダ内)に燃料を直接噴射可能な燃料噴射弁を備えており、内燃機関の運転状態に応じて、圧縮行程で燃料噴射を行い希薄空燃比で層状燃焼を実現する圧縮行程噴射モードと、吸気行程で燃料噴射を行い理論空燃比近傍等で均質混合燃焼を実現する吸気行程噴射モードとの2つのモードに燃料噴射モードを切換可能に構成されている。
【0003】
そして、当該筒内噴射型火花点火式内燃機関では、上記のように筒内が高圧となる圧縮行程でも燃料を噴射するため、高圧下でも確実に燃料を供給できるよう、燃料噴射弁として高圧型燃料噴射弁を採用しており、当該高圧型燃料噴射弁は、開閉弁制御されることで高燃圧の燃料を適正量、適正なタイミングで応答性よく筒内に噴射可能である。
【0004】
ところで、筒内噴射型火花点火式内燃機関であっても、上記のように吸気行程噴射モードでは吸気行程で燃料を噴射することになる。しかしながら、当該吸気行程では筒内が負圧となり、このような筒内圧が低い状況下で上記高圧型燃料噴射弁から燃料を噴射すると、筒内の空気抵抗が小さいために燃料噴霧が直進しようとする貫徹力が強く、特にピストンが下降して燃料噴霧がピストンと干渉しないときには、燃料噴霧の先端が対向するシリンダ壁面に容易に到達し、燃料がシリンダ壁面に付着したりピストンクレビスに侵入し易くなるという問題がある。このように燃料がシリンダ壁面に付着したりピストンクレビスに侵入したりすると、燃焼に寄与しない燃料の割合が増大してHCの排出量が増加し、排ガス特性の悪化を招くことになり好ましいことではない。特に、始動時のように内燃機関が冷機状態にあり、排気通路に設けた排気浄化触媒が未活性であるような場合においてこの問題は顕著である。
【0005】
また、シリンダ壁面に付着した燃料の一部は、潤滑油中に取り込まれることになるため、潤滑性能が低下するという問題もある。
一方で、筒内噴射型火花点火式内燃機関において、燃料を例えば分割して筒内に噴射する技術が開発されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
【0006】
【特許文献1】
特開平8−193536号公報
【特許文献2】
特開平10−212987号公報
【特許文献3】
特開平11−062680号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記公報に開示された燃料の分割噴射技術のうち、特許文献1に開示の技術は、内燃機関の始動性を向上させるために燃料噴射時期を吸気行程と圧縮行程とに分けるというものであり、特許文献2に開示の技術は、燃料噴射時期を吸気行程と圧縮行程とに分けることでHC、NOxの排出量を低減するというものである。
【0008】
即ち、これら特許文献1、2に開示の分割手法には、シリンダ壁面への燃料付着を防止するという技術思想がなく、このような分割手法を用いたとしても上記の問題を解決することはできない。
また、特許文献3に開示の技術は、機関温度に応じて分割比を設定して分割噴射を行うというものである。
【0009】
しかしながら、当該特許文献3に開示の分割手法では、機関温度に応じて単純に燃料噴射量を分割しているに過ぎず、燃料噴霧の先端がシリンダ壁面に到達するまで距離的に余裕があるにも拘わらず、1回目の燃料噴射量が比較的少なく設定されてしまい、全体として燃料の霧化時間を十分に稼ぐことができないという問題がある。このように燃料の霧化時間を十分に稼ぐことができないと、排ガス特性の悪化や燃費の悪化に繋がり好ましいことではない。
【0010】
本発明は、上述した事情に基づきなされたもので、その目的とするところは、シリンダ壁面への燃料の付着を効率よく防止し、排ガス特性の向上を図った筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するため、請求項1の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置では、燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、燃料噴射制御手段とを有した筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置において、前記燃料噴射制御手段は、内燃機関の運転状態に応じて要求燃料総量を算出する要求燃料総量算出手段と、吸気行程中の第1燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第1限界燃料量を算出し、前記要求燃料総量が前記第1限界燃料量よりも大きいときには、前記第1燃料噴射時に前記第1限界燃料量だけ燃料噴射するとともに残りの第1残り燃料量を前記第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する一方、前記要求燃料総量が前記第1限界燃料量以下のときには、前記第1燃料噴射時に前記要求燃料総量の全てを1回で燃料噴射する第1限界噴射制御手段とを備えたことを特徴としている。
【0012】
即ち、吸気行程噴射モードで燃料噴射を行う場合、筒内圧の低い吸気行程で燃料を噴射すると上述の如く燃料の貫徹力が大きくなるが、例えば当該貫徹力(筒内圧等に相関)に応じて吸気行程中の第1燃料噴射時に燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第1限界燃料量を算出し、要求燃料総量が当該第1限界燃料量よりも大きいときには、吸気行程中の第1燃料噴射時に第1限界燃料量だけ燃料噴射するようにし、要求燃料総量と第1限界燃料量の差分である残りの第1残り燃料量については、第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射するようにしている。
【0013】
従って、吸気行程噴射モードにおいて、少なくとも吸気行程中の最初の第1燃料噴射時には、燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのないぎりぎりの第1限界燃料量で燃料を噴射することが可能であり、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ壁への付着を効率よく確実に防止することが可能である。これにより、吸気行程噴射モードにおいて、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量が低減され、排ガス特性の悪化、潤滑性能の悪化が防止される。
【0014】
また、請求項2の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置では、前記燃料噴射制御手段は、さらに、前記第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第2燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第2限界燃料量を算出し、前記第1残り燃料量が前記第2限界燃料量よりも大きいときには、前記第2燃料噴射時に前記第2限界燃料量だけ燃料噴射するとともに残りの第2残り燃料量を前記第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する一方、前記第1残り燃料量が前記第2限界燃料量以下のときには、前記第2燃料噴射時に前記第1残り燃料量の全てを1回で燃料噴射する第2限界噴射制御手段を含むことを特徴としている。
【0015】
即ち、要求燃料総量が比較的多いような場合には、例えば貫徹力(筒内圧等に相関)に応じて第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第2燃料噴射時に燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第2限界燃料量を算出し、第1残り燃料量がある場合において、当該第1残り燃料量が上記第2限界燃料量よりも大きいときには、第2燃料噴射時に第2限界燃料量だけ燃料噴射するようにし、第1残り燃料量と第2限界燃料量の差分である残りの第2残り燃料量については、第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射するようにしている。
【0016】
従って、吸気行程噴射モードにおいて、少なくとも吸気行程中の最初の第1燃料噴射時及び次の第2燃料噴射時には、燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのないぎりぎりの第1限界燃料量、第2限界燃料量で燃料を噴射することが可能であり、やはり、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ壁への付着を効率よく確実に防止することが可能である。これにより、吸気行程噴射モードにおいて、要求燃料総量が比較的多いような場合であっても、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量が低減され、排ガス特性の悪化、潤滑性能の悪化が防止される。
【0017】
また、請求項3の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置では、前記燃料噴射制御手段は、さらに、前記第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第3乃至第n燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第3乃至第n限界燃料量をそれぞれ算出し、前記第2乃至第n−1残り燃料量がそれぞれ前記第3乃至第n限界燃料量よりも大きいときには、前記第3乃至第n燃料噴射時にそれぞれ前記第3乃至第n限界燃料量だけ燃料噴射するとともに残りの第3乃至第n残り燃料量を前記第3乃至第n燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する一方、前記第2乃至第n−1残り燃料量がそれぞれ前記第3乃至第n限界燃料量以下のときには、前記第3乃至第n燃料噴射時にそれぞれ前記第2乃至第n−1残り燃料量の全てを1回で燃料噴射する第3乃至第n限界噴射制御手段を含むことを特徴としている。
【0018】
ここに、nは要求燃料総量に応じて決まる4以上の整数である。
即ち、要求燃料総量が多いような場合には、第2限界燃料量のみならず、例えば貫徹力(筒内圧等に相関)に応じて第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第3乃至第n燃料噴射時に燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第3乃至第n限界燃料量をそれぞれ算出し、第2乃至第n−1残り燃料量がある場合において、当該第2乃至第n−1残り燃料量が上記第3乃至第n限界燃料量よりもそれぞれ大きいときには、第3乃至第n燃料噴射時にそれぞれ第3乃至第n限界燃料量だけ燃料噴射するようにし、第2乃至第n−1残り燃料量と第3乃至第n限界燃料量の各差分である残りの第3乃至第n残り燃料量については、第3乃至第n燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射するようにしている。
【0019】
従って、吸気行程噴射モードにおいて、吸気行程中の最初の第1燃料噴射時及び次の第2燃料噴射時のみならず第3乃至第n燃料噴射時には、燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのないぎりぎりの第1限界燃料量、第2限界燃料量、第3乃至第n限界燃料量でそれぞれ燃料を順次噴射することが可能であり、やはり、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ壁への付着を効率よく確実に防止することが可能である。これにより、吸気行程噴射モードにおいて、要求燃料総量が多いような場合であっても、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量が低減され、排ガス特性の悪化、潤滑性能の悪化が防止される。
【0020】
また、請求項4の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置では、内燃機関が特定の運転状態にあるときにのみ、前記燃料噴射制御手段による燃料噴射を実行することを特徴としている。
従って、例えば燃料がシリンダ壁に付着し易いような運転状態において燃料噴射制御手段の第1乃至第n限界噴射制御手段による燃料噴射を実行することにより、燃料のシリンダ壁への付着が必要に応じて効率よく防止され、排ガス特性の悪化を良好に防止することが可能である。
【0021】
また、請求項5の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置では、前記特定の運転状態は内燃機関の冷機状態であって、内燃機関が冷機状態にあるときにのみ、前記燃料噴射制御手段による燃料噴射を実行することを特徴としている。
従って、内燃機関が冷機状態にあるときには燃料が気化し難いためにシリンダ壁に特に付着し易いのであるが、このような運転状態において燃料噴射制御手段の第1乃至第n限界噴射制御手段による燃料噴射を実行することにより、内燃機関の冷態時における燃料のシリンダ壁への付着が効率よく防止され、排ガス特性の悪化を効果的に防止することが可能である。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。
図1を参照すると、車両に搭載された筒内噴射型火花点火式内燃機関、即ち筒内噴射ガソリンエンジンの縦断面図及び本発明に係る燃料噴射制御装置の概略構成図が示されており、以下同図に基づき本発明に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置の構成を説明する。
【0023】
符号1は自動車用の筒内噴射型ガソリンエンジン(以下、単にエンジンと記す)であり、燃焼室5や吸気装置等が筒内噴射専用に設計されている。
詳しくは、エンジン1は、例えば、燃料噴射モード(運転モード)を切換えることで、吸気行程噴射モードでの運転、即ち均質混合燃焼を行う吸気行程での燃料噴射、または圧縮行程噴射モードでの運転、即ち層状燃焼を行う圧縮行程での燃料噴射をそれぞれ実施可能な筒内噴射型火花点火式直列4気筒ガソリンエンジンであり、吸気行程噴射モードでは、容易にして理論空燃比(ストイキオ)での運転やリッチ空燃比での運転の他、リーン空燃比での運転が可能であり、圧縮行程噴射モードでは、リーン空燃比での運転及び超リーン空燃比での運転が可能である。
【0024】
エンジン1のシリンダヘッド2には、各気筒毎に、点火プラグ3とともに電磁式にして高圧型の燃料噴射弁4がシリンダ6に対し斜めに取り付けられており、燃焼室5内に燃料を直接噴射可能である。また、シリンダ6内を摺動して往復動するピストン7の頂面には、圧縮行程において燃料噴射弁4から噴射した燃料噴霧が上死点近傍で点火プラグ3に到達するよう半球状の窪み、即ちキャビティ8が形成されている。
【0025】
動弁機構としてはDOHC(ダブルオーバヘッドカム)型4弁式の機構が採用されており、シリンダヘッド2の上部には、吸排気弁9,10をそれぞれ駆動するべく、吸気側カムシャフト11と排気側カムシャフト12とが回転自在に軸支されている。
シリンダヘッド2には、両カムシャフト11,12の間を抜けるようにして、略直立方向に延びて吸気ポート13が形成されており、該吸気ポート13を通過した吸気流が燃焼室5内で通常とは逆方向の逆タンブル流を生起可能である。排気ポート14については、通常のエンジンと同様に略水平方向に形成されている。
【0026】
図中符号16は冷却水温Tw を検出する水温センサである。また、符号17はクランク角信号を出力するクランク角センサであり、クランク角情報からはエンジン回転速度Neを検出可能である。クランクシャフトの半分の回転数で回転するカムシャフト11には、気筒判別信号を出力する気筒判別センサ(図示せず)が取り付けられており、これによりクランク角信号がどの気筒のものか判別可能である。
【0027】
なお、吸気ポート13には、吸気マニホールド21を介して、エアクリーナ、スロットル弁(共に図示せず)、スロットル弁のスロットル開度θthを検出するスロットルポジションセンサ(TPS)22、吸入空気量Qaを検出するエアフローセンサ24等の設けられた吸気管が接続されている。
また、排気ポート14には、O2 センサ40が取付けられた排気マニホールド41を介して、三元触媒やマフラー等(共に図示せず)の設けられた排気管が接続されている。
【0028】
図中符号50は、上記燃料噴射弁4に高圧の燃料を供給するための燃料供給ユニットであり、該燃料供給ユニット50は、管路を介して燃料噴射弁4に接続される一方、燃料タンク52に接続されている。詳しくは、燃料供給ユニット50には、高圧燃料ポンプ54が介装されており、当該高圧燃料ポンプ54は、カムシャフト12の端部に同期回転可能に連結されている。そして、この高圧燃料ポンプ54により、高燃圧(例えば、5MPa)の燃料を燃料噴射弁4に供給可能であり、これにより、筒内が高圧となる圧縮行程においても燃料を燃料噴射弁4から筒内に向けて良好に噴射可能である。なお、燃料供給ユニット50には、図示しないが、高圧燃料ポンプ54から吐出された燃料の燃圧を所望の圧力に調圧する調圧弁等が設けられている。
【0029】
車室内には、電子コントロールユニット(ECU)70が設置されており、このECU70には図示しない入出力装置、制御プログラムや制御マップ等の記憶に供される記憶装置(ROM,RAM,不揮発性RAM等)、中央処理装置(CPU)、タイマカウンタ等が備えられており、このECU70によりエンジン1の総合的な制御が行われる。
【0030】
そして、ECU70の入力側には上述の水温センサ16、クランク角センサ17、TPS22、エアフローセンサ24、O2 センサ40等の各種センサ類が電気的に接続されており、一方、出力側には燃料噴射弁4、燃料供給ユニット50等の各種駆動装置類が接続されており、各種駆動装置類には各種センサ類からの検出情報に基づき演算された燃料噴射量、燃料噴射時期、点火時期等がそれぞれ出力される。これにより、例えば、空燃比が適正な目標空燃比に制御されて燃料噴射弁4から適正量の燃料が適正なタイミングで噴射され、点火プラグ3により適正なタイミングで火花点火が実施される。
【0031】
詳しくは、筒内噴射型火花点火式ガソリンエンジンでは、TPS22からのスロットル開度情報θthとクランク角センサ17からのエンジン回転速度情報Neとに基づいてエンジン負荷に対応する目標平均有効圧Peを求めており、当該目標平均有効圧Peとエンジン回転速度情報Neとに応じて燃料噴射モード設定マップ(図示せず)より燃料噴射モード(運転モード)が設定される。
【0032】
例えば、目標平均有効圧Peとエンジン回転速度Neとが共に小さく低負荷状態のときには、燃料噴射モードは圧縮行程噴射モードとされ、燃料はリーン空燃比の下に圧縮行程で噴射され点火プラグ4近傍に集約されて層状燃焼が実施される。一方、目標平均有効圧Peが大きくなり或いはエンジン回転速度Neが大きくなって中高負荷状態になると、燃料噴射モードは吸気行程噴射モードとされ、燃料は吸気行程で噴射され均質混合燃焼が実施される。なお、燃料噴射モードの設定に当たり、冷却水温Tw等を加味するようにしてもよい。
【0033】
また、特にエンジン1の冷態始動時には、始動性を高めるために燃料噴射量を増量し目標A/Fをリッチ空燃比に設定するようにしており、故に、エンジン1の冷態始動時においても通常は燃料噴射モードを吸気行程噴射モードとしている。
燃料噴射量決定の概略について説明すると、先ず、基本的な燃料噴射量は、圧縮行程噴射モード、吸気行程噴射モードともエアフローセンサ24からの吸入空気量Qaに基づいて決定する。同時に、両モードともエンジン回転速度Neとエンジン負荷(目標平均有効圧Pe、吸入空気量Qaに基づき演算した体積効率Ev等)から目標A/Fを決定する。そして、上記決定した基本的な燃料噴射量を目標A/Fに応じて補正し、最終的な燃料噴射量を決定する。具体的には、燃料噴射のパルス幅(燃料噴射弁4の開弁時間)を決定する。
【0034】
目標A/Fに応じた補正は、例えばA/Fが当量値よりも大であれば燃料噴射量を減量するように行う。なお、一部運転条件においては、A/Fが当量値付近となるように、O2 センサ40の出力に応じて燃料噴射量をフィードバック制御(ストイキオフィードバック制御)することもある。また、目標A/Fの設定に当たり、冷却水温Tw等を加味するようにしてもよい。これにより、目標A/Fに応じて適正量の燃料が適正なタイミングで噴射され、適正なタイミングで点火が実施される。
【0035】
ところで、筒内噴射型火花点火式ガソリンエンジンでは、圧縮行程でも良好に燃料噴射できるように高圧型の燃料噴射弁4を採用していることから、上述のように、筒内圧が負圧となる吸気行程で燃料噴射を行う吸気行程噴射モードでは、調圧弁によって燃圧を減圧しても、燃料の貫徹力が強く、シリンダ6の壁面に燃料が付着するという問題がある。
【0036】
そこで、本発明に係る筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置では、吸気行程噴射モードにおいて生じる係る問題を解決すべく図っており、以下、上記のように構成された筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置の本発明に係る作用について説明する。
図2乃至図5を参照すると、ECU70により実行される本発明に係る燃料噴射制御(燃料噴射制御手段)の制御ルーチンがフローチャートで示されており、以下、同フローチャートに沿い説明する。
【0037】
先ず、ステップS10では、吸気行程噴射モードであるか否かを判別する。即ち、エンジン1が中高負荷状態或いは冷態始動時にあって、吸気行程で燃料噴射を行っている状況か否かを判別する。判別結果が偽(No)で吸気行程噴射モードではない場合、即ち圧縮行程噴射モードである場合には、ステップS18において燃料噴射制御を通常制御とし、当該ルーチンを抜ける。一方、判別結果が真(Yes)で吸気行程噴射モードであると判定された場合には、ステップS14に進む。
【0038】
ステップS14では、水温センサ16からの情報に基づき、冷却水温Tw が所定値T1以下であるか否かを判別する。具体的には、エンジン1が冷態始動時にあるか否かを判別する。エンジン1が冷態始動時にあってシリンダ6が冷機状態にあるときには、燃料はシリンダ6の壁面に付着すると付着したまま気化し難く、故に、エンジン1の温度という側面からシリンダ6の壁面に燃料が付着し易い状況であるか否かを判別する。
【0039】
ステップS14の判別結果が偽(No)の場合には、上記ステップS18に進んで通常制御を行い、判別結果が真(Yes)の場合、即ち燃料がシリンダ6の壁面に付着し易い状況であると判定された場合には、ステップS16に進む。
ステップS16では、要求燃料総量Qfd、即ち目標A/Fに応じて一つの気筒内に噴射すべき燃料量の総量を算出する(要求燃料総量算出手段)。
【0040】
そして、次のステップS20では、本発明に係る第1限界噴射制御を実施する(第1限界噴射制御手段)。具体的には、ステップS200以降を実行する。
ステップS200では、先ず、吸気行程の第1燃料噴射時における第1限界燃料量Qfex1を算出する。即ち、第1燃料噴射時において燃料噴射を実施した場合に燃料噴霧の先端がシリンダ6の対向する壁面にぎりぎり到達しないような燃料量を算出する。
【0041】
燃料噴霧の先端がシリンダ6の対向する壁面にぎりぎり到達しないような限界燃料量Qfexは、主としてエンジン1のシリンダボア径、燃料噴射弁4の取付け角度、噴霧特性等の固有値と燃料の貫徹力とに基づいて決定される。実際には、限界燃料量Qfexは、当該エンジン1の固有値と燃料の貫徹力の相関値である燃料噴射弁4の燃圧、筒内圧とに基づき、予め実験等により設定され、マップ化されている。故に、ここでは、当該限界燃料量マップより第1限界燃料量Qfex1を読み出す。
【0042】
具体的には、エンジン1の固有値以外、即ち燃料噴射弁4の燃圧情報、筒内圧情報をパラメータとして第1限界燃料量Qfex1を限界燃料量マップより読み出す。この際、燃圧情報については高圧燃料ポンプ54の定格出力と調圧弁の作動量から容易に求められ、筒内圧情報については、エアフローセンサ24からの吸入空気量Qaとクランク角センサ17からの噴射時期情報(第1燃料噴射時のクランク角位置)とから容易に求められる。
【0043】
次のステップS202では、ステップS16で求めた要求燃料総量Qfdと上記第1限界燃料量Qfex1とを比較し、要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1よりも大きい(Qfd>Qfex1)か否かを判別する。判別結果が偽(No)で要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1以下の範囲内である場合には、ステップS204に進み、吸気行程の第1燃料噴射時における第1噴射量Qf1を要求燃料総量Qfdとする(Qf1=Qfd)。つまり、要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1の範囲内である場合には、要求燃料総量Qfdの全量を第1燃料噴射時に1回で噴射しても燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達することがないと判断でき、この場合には要求燃料総量Qfdの全量を第1燃料噴射時に1回で噴射するようにする。一方、判別結果が真(Yes)で、要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1より大きいと判定された場合には、ステップS206に進む。
【0044】
ステップS206では、吸気行程の第1燃料噴射時における第1噴射量Qf1を第1限界燃料量Qfex1とする(Qf1=Qfex1)。つまり、要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1より大きいような場合には、要求燃料総量Qfdの全量を1回で噴射すると燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達してしまうため、第1燃料噴射時において、先ず燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達しない第1限界燃料量Qfex1だけを噴射するようにする。
【0045】
ステップS208では、要求燃料総量Qfdと第1限界燃料量Qfex1との差から噴射すべき残りの第1残り燃料量Qfre1を算出する(Qfd−Qfex1=Qfre1)。
次のステップS30では、第1限界噴射制御の一部として第2限界噴射制御を実施する(第2限界噴射制御手段)。つまり、要求燃料総量Qfdが比較的多いような場合には、さらに第2限界噴射制御を実施する。具体的には、図3に示すサブルーチンのステップS300以降を実行する。
【0046】
ステップS208で求めた第1残り燃料量Qfre1については、上記第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに噴射することになるが、ステップS300では、次の第2燃料噴射時における第2限界燃料量Qfex2を算出する。即ち、第2燃料噴射時において燃料噴射を実施した場合に燃料噴霧の先端がシリンダ6の対向する壁面にぎりぎり到達しないような第2限界燃料量Qfex2を、上記第1限界燃料量Qfex1と同様に、燃料噴射弁4の燃圧情報、筒内圧情報をパラメータとして限界燃料量マップより読み出す。
【0047】
ステップS302では、ステップS208で求めた第1残り燃料量Qfre1と上記第2限界燃料量Qfex2とを比較し、第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2よりも大きい(Qfre1>Qfex2)か否かを判別する。判別結果が偽(No)で第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2以下の範囲内である場合には、ステップS304に進み、第2燃料噴射時における第2噴射量Qf2を第1残り燃料量Qfre1とする(Qf2=Qfre1)。つまり、第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2の範囲内である場合には、第1残り燃料量Qfre1の全量を第2燃料噴射時に1回で噴射しても燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達することがないと判断でき、この場合には第1残り燃料量Qfre1の全量を圧縮行程終了までの第2燃料噴射時に1回で噴射するようにする。一方、判別結果が真(Yes)で、第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2より大きいと判定された場合には、ステップS306に進む。
【0048】
ステップS306では、第2燃料噴射時における第2噴射量Qf2を第2限界燃料量Qfex2とする(Qf2=Qfex2)。つまり、第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2より大きいような場合には、第1残り燃料量Qfre1の全量を1回で噴射すると燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達してしまうため、圧縮行程終了までの第2燃料噴射時において、燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達しない第2限界燃料量Qfex2だけを噴射するようにする。
【0049】
ステップS308では、上記第1残り燃料量Qfre1を求めたのと同様に、第1残り燃料量Qfre1と第2限界燃料量Qfex2との差から噴射すべき残りの第2残り燃料量Qfre2を算出する(Qfre1−Qfex2=Qfre2)。
そして、次のステップS40では、ステップS30の場合と同様に、第2限界噴射制御の一部として第3限界噴射制御を実施する(第3限界噴射制御手段)。つまり、要求燃料総量Qfdが多いような場合には、さらに第3限界噴射制御を実施する。具体的には、図4に示すサブルーチンのステップS400以降を実行する。なお、第3限界噴射制御の各ステップは、基本的には上記第2限界噴射制御と同様であり、ここでは簡単に説明する。
【0050】
ステップS400では、次の第3燃料噴射時における第3限界燃料量Qfex3を算出する。即ち、第3燃料噴射時において燃料噴射を実施した場合に燃料噴霧の先端がシリンダ6の対向する壁面にぎりぎり到達しないような第3限界燃料量Qfex3を上記同様に限界燃料量マップより読み出す。
ステップS402では、ステップS308で求めた第2残り燃料量Qfre2が第3限界燃料量Qfex3よりも大きい(Qfre2>Qfex3)か否かを判別する。判別結果が偽(No)で第2残り燃料量Qfre2が第3限界燃料量Qfex3以下である場合には、ステップS404に進み、第3燃料噴射時における第3噴射量Qf3を第2残り燃料量Qfre2とする(Qf3=Qfre2)。一方、判別結果が真(Yes)で、第2残り燃料量Qfre2が第3限界燃料量Qfex3より大きいと判定された場合には、ステップS406に進む。
【0051】
ステップS406では、第3燃料噴射時における第3噴射量Qf3を第3限界燃料量Qfex3とする(Qf3=Qfex3)。つまり、第3燃料噴射時において、燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達しない第3限界燃料量Qfex3だけを噴射するようにする。そして、ステップS408において、第2残り燃料量Qfre2と第3限界燃料量Qfex3との差から噴射すべき残りの第3残り燃料量Qfre3を算出する(Qfre2−Qfex3=Qfre3)。
【0052】
次のステップS50では、ステップS40の場合と同様に、やはり第2限界噴射制御の一部として第n限界噴射制御を実施する(第n限界噴射制御手段)。ここに、nは要求燃料総量Qfdに応じて決まる4以上の整数である。つまり、要求燃料総量Qfdがかなり多いような場合には、さらに第4限界噴射制御、第5限界噴射制御・・・第n限界噴射制御を順次実施する。具体的には、図5に示すサブルーチンのステップS500以降を実行する。なお、この場合にも、各ステップは基本的には上記同様であり、やはり簡単に説明する。
【0053】
ステップS500では、第n燃料噴射時における第n限界燃料量Qfexnを算出する。即ち、第n燃料噴射時において燃料噴射を実施した場合に燃料噴霧の先端がシリンダ6の対向する壁面にぎりぎり到達しないような第n限界燃料量Qfexnを限界燃料量マップより読み出す。
ステップS502では、ステップS408等で求めた第n−1残り燃料量Qfre(n-1)が第n限界燃料量Qfexnよりも大きい(Qfre(n-1)>Qfexn)か否かを判別する。判別結果が偽(No)で第n−1残り燃料量Qfre(n-1)が第n限界燃料量Qfexn以下の範囲内である場合には、ステップS504に進み、第n燃料噴射時における第n噴射量Qfnを第n−1残り燃料量Qfre(n-1)とする(Qfn=Qfre(n-1))。一方、判別結果が真(Yes)で、第n−1残り燃料量Qfre(n-1)が第n限界燃料量Qfexnより大きいと判定された場合には、ステップS506に進む。
【0054】
ステップS506では、第n燃料噴射時における第n噴射量Qfnを第n限界燃料量Qfexnとする(Qfn=Qfexn)。つまり、第n−1残り燃料量Qfre(n-1)が第n限界燃料量Qfexnより大きいような場合には、第n燃料噴射時において、先ず燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達しない第n限界燃料量Qfexnだけを噴射するようにする。そして、ステップS508において、第n−1残り燃料量Qfre(n-1)と第n限界燃料量Qfexnとの差から噴射すべき残りの第n残り燃料量Qfrenを算出し(Qfre(n-1)−Qfexn=Qfren)、最後に、ステップS510において、第n残り燃料量Qfrenを噴射する。これにより、一つの気筒における一連の燃料噴射制御を完了する。
【0055】
つまり、図6を参照すると、上記燃料噴射制御を実施した場合の制御結果がタイムチャートで例示されているが、同図に示すように、ステップS202の判別により要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1以下(Qfd≦Qfex1)と判定された場合には、第1燃料噴射時に1回で燃料噴射を終え、要求燃料総量Qfdが第1限界燃料量Qfex1より大きく(Qfd>Qfex1)且つステップS302の判別により第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2以下(Qfre1≦Qfex2)と判定された場合には、第1燃料噴射時に第1限界燃料量Qfex1だけ噴射した後、吸気行程または圧縮行程の第2燃料噴射時において第1残り燃料量Qfre1を噴射する。
【0056】
さらに、要求燃料総量Qfdが比較的多く、第1残り燃料量Qfre1が第2限界燃料量Qfex2より大きく(Qfre1>Qfex2)且つステップS402の判別により第2残り燃料量Qfre2が第3限界燃料量Qfex3以下(Qfre2≦Qfex3)と判定された場合には、第2燃料噴射時に第2限界燃料量Qfex2だけ噴射した後、吸気行程または圧縮行程の第3燃料噴射時において第2残り燃料量Qfre2を噴射する。
【0057】
なお、図示を省略するが、以下同様に、要求燃料総量Qfdが多くなるに従い、燃料噴射回数が増加する。
これにより、吸気行程噴射モード時、特に冷態始動時において、要求燃料総量Qfdに拘わらず、1回の燃料噴射で極力多くの燃料噴射を可能としながら、確実に燃料噴霧の先端がシリンダ6の壁面に到達しないようにすることが可能となる。
【0058】
即ち、図7を参照すると、上記燃料噴射制御に基づいて第1燃料噴射とともに第2燃料噴射を行った場合の燃料噴霧の様子が模式図で示されているが、上記第1乃至第n限界噴射制御を実施することにより、このように、燃料噴霧がシリンダ6の壁面に到達せず、例えば燃料噴霧がシリンダ6の壁面に到達しないうちに拡散してしまうようにできる。
【0059】
故に、吸気行程噴射モードにおいて、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ6の壁面への付着を効率よく確実に防止することができ、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量を低減し、排ガス特性の悪化を良好に防止することができる。この効果は、特に三元触媒が未活性であってHCの浄化能力の低いエンジン1の冷態始動時において顕著である。
【0060】
また、シリンダ6の壁面において燃料が潤滑油に取り込まれることも抑制されるので、潤滑性能の悪化をも防止することができる。
以上で実施形態の説明を終えるが、本発明の実施形態は上記実施形態に限られるものではない。
例えば、上記実施形態では、冷却水温Tw が所定値T1以下であるか否か(ステップS14)を判別することでシリンダ6の壁面に燃料が付着し易い状況であるか否かを判別するようにしたが、シリンダ6の壁面に燃料が付着し易いその他の要因に基づく判別を加えるようにしてもよい。
【0061】
【発明の効果】
以上、詳細に説明したように、本発明に係る請求項1の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、吸気行程噴射モードで燃料噴射を行う場合、筒内圧の低い吸気行程で燃料を噴射すると上述の如く燃料の貫徹力が大きくなるが、例えば当該貫徹力(筒内圧等に相関)に応じて吸気行程中の第1燃料噴射時に燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第1限界燃料量を算出し、要求燃料総量が当該第1限界燃料量よりも大きいときには、吸気行程中の第1燃料噴射時に第1限界燃料量だけ燃料噴射するようにし、要求燃料総量と第1限界燃料量の差分である残りの第1残り燃料量については、第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射するので、吸気行程噴射モードにおいて、少なくとも吸気行程中の最初の第1燃料噴射時には、燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのないぎりぎりの第1限界燃料量で燃料を噴射することができ、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ壁への付着を効率よく確実に防止することができる。これにより、吸気行程噴射モードにおいて、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量を低減し、排ガス特性の悪化、潤滑性能の悪化を防止することができる。
【0062】
また、請求項2の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、要求燃料総量が比較的多いような場合には、例えば貫徹力(筒内圧等に相関)に応じて第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第2燃料噴射時に燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第2限界燃料量を算出し、第1残り燃料量がある場合において、当該第1残り燃料量が上記第2限界燃料量よりも大きいときには、第2燃料噴射時に第2限界燃料量だけ燃料噴射するようにし、第1残り燃料量と第2限界燃料量の差分である残りの第2残り燃料量については、第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射するので、吸気行程噴射モードにおいて、少なくとも吸気行程中の最初の第1燃料噴射時及び次の第2燃料噴射時には、燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのないぎりぎりの第1限界燃料量、第2限界燃料量で燃料を噴射することができ、やはり、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ壁への付着を効率よく確実に防止することができる。これにより、吸気行程噴射モードにおいて、要求燃料総量が比較的多いような場合であっても、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量を低減し、排ガス特性の悪化、潤滑性能の悪化を防止することができる。
【0063】
また、請求項3の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、要求燃料総量が多いような場合には、第2限界燃料量のみならず、例えば貫徹力(筒内圧等に相関)に応じて第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第3乃至第n燃料噴射時に燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第3乃至第n限界燃料量をそれぞれ算出し、第2乃至第n−1残り燃料量がある場合において、当該第2乃至第n−1残り燃料量が上記第3乃至第n限界燃料量よりもそれぞれ大きいときには、第3乃至第n燃料噴射時にそれぞれ第3乃至第n限界燃料量だけ燃料噴射するようにし、第2乃至第n−1残り燃料量と第3乃至第n限界燃料量の各差分である残りの第3乃至第n残り燃料量については、第3乃至第n燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射するので、吸気行程噴射モードにおいて、吸気行程中の最初の第1燃料噴射時及び次の第2燃料噴射時のみならず第3乃至第n燃料噴射時には、燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのないぎりぎりの第1限界燃料量、第2限界燃料量、第3乃至第n限界燃料量でそれぞれ燃料を順次噴射することができ、やはり、燃料の霧化時間を十分に稼ぎながら、燃料のシリンダ壁への付着を効率よく確実に防止することができる。これにより、吸気行程噴射モードにおいて、要求燃料総量が多いような場合であっても、燃費の悪化を防止しながら、特にHCの排出量を低減し、排ガス特性の悪化、潤滑性能の悪化を防止することができる。
【0064】
また、請求項4の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、例えば燃料がシリンダ壁に付着し易いような運転状態において上記第1乃至第n限界噴射制御手段による燃料噴射を実行するので、燃料のシリンダ壁への付着を必要に応じて効率よく防止でき、排ガス特性の悪化を良好に防止することができる。
【0065】
また、請求項5の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置によれば、内燃機関が冷機状態にあるときには燃料が気化し難いためにシリンダ壁に特に付着し易く、このような運転状態において上記第1乃至第n限界噴射制御手段による燃料噴射を実行するので、内燃機関の冷態時における燃料のシリンダ壁への付着を効率よく防止でき、排ガス特性の悪化を効果的に防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】筒内噴射ガソリンエンジンの縦断面図及びその燃料噴射制御装置を示す概略構成図である。
【図2】本発明に係る燃料噴射制御の制御ルーチンを示すフローチャートである。
【図3】第2限界噴射制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図4】第3限界噴射制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図5】第n限界噴射制御のサブルーチンを示すフローチャートである。
【図6】本発明に係る燃料噴射制御を実施した場合の制御結果を示すタイムチャートである。
【図7】本発明に係る燃料噴射制御を実施した場合の燃料噴霧の様子を示す模式図である。
【符号の説明】
1 エンジン(筒内噴射型火花点火式内燃機関)
4 燃料噴射弁
5 燃焼室
6 シリンダ
7 ピストン
16 水温センサ
17 クランク角センサ
22 スロットルポジションセンサ(TPS)
24 エアフローセンサ
50 燃料供給ユニット
54 高圧燃料ポンプ
70 電子コントロールユニット(ECU)

Claims (5)

  1. 燃焼室に燃料を直接噴射する燃料噴射弁と、燃料噴射制御手段とを有した筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置において、
    前記燃料噴射制御手段は、
    内燃機関の運転状態に応じて要求燃料総量を算出する要求燃料総量算出手段と、
    吸気行程中の第1燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第1限界燃料量を算出し、前記要求燃料総量が前記第1限界燃料量よりも大きいときには、前記第1燃料噴射時に前記第1限界燃料量だけ燃料噴射するとともに残りの第1残り燃料量を前記第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する一方、前記要求燃料総量が前記第1限界燃料量以下のときには、前記第1燃料噴射時に前記要求燃料総量の全てを1回で燃料噴射する第1限界噴射制御手段と、
    を備えたことを特徴とする筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  2. 前記燃料噴射制御手段は、さらに、前記第1燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第2燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第2限界燃料量を算出し、前記第1残り燃料量が前記第2限界燃料量よりも大きいときには、前記第2燃料噴射時に前記第2限界燃料量だけ燃料噴射するとともに残りの第2残り燃料量を前記第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する一方、前記第1残り燃料量が前記第2限界燃料量以下のときには、前記第2燃料噴射時に前記第1残り燃料量の全てを1回で燃料噴射する第2限界噴射制御手段を含むことを特徴とする、請求項1記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  3. 前記燃料噴射制御手段は、さらに、前記第2燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までの第3乃至第n燃料噴射時に1回の燃料噴射で燃料噴霧がシリンダ壁にまで到達することのない第3乃至第n限界燃料量をそれぞれ算出し、前記第2乃至第n−1残り燃料量がそれぞれ前記第3乃至第n限界燃料量よりも大きいときには、前記第3乃至第n燃料噴射時にそれぞれ前記第3乃至第n限界燃料量だけ燃料噴射するとともに残りの第3乃至第n残り燃料量を前記第3乃至第n燃料噴射終了時以降圧縮行程終了時までに燃料噴射する一方、前記第2乃至第n−1残り燃料量がそれぞれ前記第3乃至第n限界燃料量以下のときには、前記第3乃至第n燃料噴射時にそれぞれ前記第2乃至第n−1残り燃料量の全てを1回で燃料噴射する第3乃至第n限界噴射制御手段を含むことを特徴とする、請求項2記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  4. 内燃機関が特定の運転状態にあるときにのみ、前記燃料噴射制御手段による燃料噴射を実行することを特徴とする、請求項1乃至3のいずれか記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置。
  5. 前記特定の運転状態は内燃機関の冷機状態であって、
    内燃機関が冷機状態にあるときにのみ、前記燃料噴射制御手段による燃料噴射を実行することを特徴とする、請求項4記載の筒内噴射型火花点火式内燃機関の燃料噴射制御装置。
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