JP2004203928A - Thermoplastic resin composition - Google Patents

Thermoplastic resin composition Download PDF

Info

Publication number
JP2004203928A
JP2004203928A JP2002371660A JP2002371660A JP2004203928A JP 2004203928 A JP2004203928 A JP 2004203928A JP 2002371660 A JP2002371660 A JP 2002371660A JP 2002371660 A JP2002371660 A JP 2002371660A JP 2004203928 A JP2004203928 A JP 2004203928A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
thermoplastic resin
resin composition
group
weight
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Granted
Application number
JP2002371660A
Other languages
Japanese (ja)
Other versions
JP4137627B2 (en
Inventor
Masaki Mitsunaga
正樹 光永
Katsuhiko Hironaka
克彦 弘中
Yasuyuki Iimuro
靖之 飯室
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Teijin Ltd
Original Assignee
Teijin Chemicals Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Teijin Chemicals Ltd filed Critical Teijin Chemicals Ltd
Priority to JP2002371660A priority Critical patent/JP4137627B2/en
Publication of JP2004203928A publication Critical patent/JP2004203928A/en
Application granted granted Critical
Publication of JP4137627B2 publication Critical patent/JP4137627B2/en
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Processes Of Treating Macromolecular Substances (AREA)
  • Compositions Of Macromolecular Compounds (AREA)

Abstract

<P>PROBLEM TO BE SOLVED: To provide a thermoplastic resin composition comprising a phyllosilicate finely dispersed therein, having good rigidity, good hydrolytic resistance and further good thermal stability, especially useful for a thermoplastic resin composition composed of an aromatic polycarbonate resin. <P>SOLUTION: The thermoplastic resin composition comprises (A) 100 pts. wt. of an amorphous thermoplastic resin (component A) and (B) 0.1-50 pts. wt. of a phyllosilicate (component B) having 50-200 mequivalents/100 g cation exchange capacity. The component B in the resin composition has 5-40 average number of laminates of the silicate layer determined by X-ray diffraction and the bottom face interval is within the range of 1.3-2.3 nm. <P>COPYRIGHT: (C)2004,JPO&NCIPI

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、非晶性熱可塑性樹脂および層状珪酸塩、殊に有機化層状珪酸塩からなり、かつ該層状珪酸塩が特定の分散構造を有する熱可塑性樹脂組成物に関する。殊に本発明は、層状珪酸塩を微分散させてなる高い剛性を持つ熱可塑性樹脂組成物であって、分子量低下が少なく、熱安定性に優れ、また高温高湿下での環境安定性すなわち耐加水分解性を大幅に改善した新規な熱可塑性樹脂組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、無機充填剤として粘土鉱物、特に層状珪酸塩を用い、その層間イオンを各種の有機オニウムイオンにイオン交換させ樹脂中への分散を容易にすることにより、成形品の表面外観や比重を良好に保ったまま、機械特性を改良する試みが、特にポリアミド系樹脂やポリオレフィン系樹脂において多くなされており、それらにおいては実用例も見ることができる。
【0003】
しかしながら、これら層状珪酸塩などを微分散させた芳香族ポリカーボネート樹脂の樹脂組成物は、いずれも十分な熱安定性を有するものではなく実用性に乏しいのが現状であった。すなわち、無機充填材などを含まない樹脂単体と同等の良好な表面外観を有し、強化充填材で強化した樹脂と同等の剛性を有し、かつ実用上十分な熱安定性を示す非晶性熱可塑性樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物は得られていないのが現状であった。
【0004】
一般に、熱可塑性樹脂の剛性(曲げ弾性率)を改良する手段として、ガラス繊維等の繊維状補強材や無機充填剤を混合することが行われてきたが、かかる従来法によるものは、製品の比重が大きくなったり、製品の表面外観が損なわれるという欠点がある。
【0005】
一方で、比較的少量の充填剤で高い曲げ弾性率を達成する技術の1つとして、無機充填剤として層状珪酸塩、より好ましくはかかる層状珪酸塩の層間イオンを各種の有機オニウムイオンでイオン交換してなる層状珪酸塩、を熱可塑性樹脂中へ微分散させた樹脂組成物が提案されており、芳香族ポリカーボネート樹脂と層状珪酸塩の層間イオンを各種の有機オニウムイオンでイオン交換した層状珪酸塩とを組み合わせた樹脂組成物も知られている(特許文献1〜特許文献6参照)。
【0006】
そして、このような層状珪酸塩の層間イオンをイオン交換するための有機オニウムイオンとしては、ジメチルジオクタデシルアンモニウムイオンで代表される炭素原子数12以上のアルキル基を有する有機オニウムイオンやポリエチレングリコール鎖を有するアンモニウムイオン等が提案されている(特許文献2および特許文献3参照)。さらに、熱可塑性樹脂全般に対しては、有機オニウムイオンとして炭素原子数15〜30の第4級アンモニウムイオンが好ましいとする提案や(特許文献7参照)、第4級アンモニウムイオン(またはホスホニウムイオン)であってその有機基の1つは炭素原子数8以上であり、他の3つの有機基は炭素原子数1〜4である有機オニウムイオンが好ましいとの提案もなされている(特許文献8参照)。
【0007】
これらのいずれの提案においても、熱可塑性樹脂組成物における耐加水分解性に関しては何ら示唆するところがなく、また現実に、かかる有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩を含む熱可塑性樹脂組成物では耐加水分解性に問題があることから、かかる層状珪酸塩を含む芳香族ポリカーボネート樹脂等の非晶性熱可塑性樹脂組成物における耐加水分解性の向上は、その実用性をさらに増大させる上で重要な技術的課題となっている。
【0008】
ところで非特許文献1〜3には、溶融混練によりポリカーボネート樹脂/相溶化剤/有機フルオロマイカ系の樹脂組成物が検討されており、該組成物は比較的分子量の低下や耐熱性の低下が少なく、曲げ弾性率に優れていることを開示している。更に非特許文献2、3にはフルオロマイカが3〜4層に分散していることも開示されている。しかし、かかる非特許文献には底面間隔は記載されておらず、更に本発明の適度な分散状態やその効果の1つである成形品の良好な高温高湿下での耐加水分解性(以下、単に耐加水分解性と称することがある。)については何ら示唆するところがない。また該組成物は、分子量低下の抑制が完全ではなく、高温高湿下での耐加水分解性にも劣る面があり、ペレット化時の溶融温度を低くしたり、成形品の保管条件を高温多湿にならない様注意が必要であった。
【0009】
【特許文献1】
特開平3−215558号公報
【特許文献2】
特開平7−207134号公報
【特許文献3】
特開平7−228762号公報
【特許文献4】
特開平7−331092号公報
【特許文献5】
特開平9−143359号公報
【特許文献6】
特開平10−60160号公報
【特許文献7】
特開2002−88255号公報
【特許文献8】
WO99/32403(特表2001−526313号公報)
【非特許文献1】
第51回高分子学会年次大会,第51巻(No.3),669頁,2002年
【非特許文献2】
成型加工’02,15頁,2002年
【非特許文献3】
第51回高分子学会討論会,第51巻(No.11),2645頁,2002年
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点を鑑みた上で、層状珪酸塩を従来にない微分散状態を達成した熱可塑性樹脂組成物であって、良好な剛性を有し、良好な耐加水分解性を有し、更に分子量低下が少なく、良好な熱安定性を有する熱可塑性樹脂組成物、殊に芳香族ポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物を提供することにある。
【0011】
本発明者らは、かかる目的を達成すべく鋭意検討した結果、熱可塑性樹脂に層状珪酸塩を分散させたものであって、その層状珪酸塩のシリケート層の平均積層数及び底面間隔が特定の範囲にあること、即ち従来の層状珪酸塩を配合した樹脂組成物では達成できない分散状態を創出することにより、上記課題を解決し得ることを見出した。本発明者らはかかる発見より更に鋭意検討を行い、本発明を完成するに至った。即ち、本発明の熱可塑性樹脂組成物の特性は、特定の原料を使用する手段、高純度な原料を用いる手段、熱可塑性樹脂組成物の組成割合を特定範囲とする手段、予めマスターバッチを作成する手段、溶融混練時に剪断力を与える手段等を単独で用いても達成できない。これら種々な手段を複数用いて本発明の分散状態を得ることで始めて達成できたものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(1)(A)非晶性熱可塑性樹脂(A成分)100重量部あたり、(B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩(B成分)0.1〜50重量部からなる熱可塑性樹脂組成物であって、B成分は樹脂組成物中において、X線回折より求められるシリケート層の平均積層数が5〜40であり、かつ底面間隔が、1.3〜2.3nmの範囲内であるる熱可塑性樹脂組成物にかかるものである。
【0013】
本発明の好適な態様の1つは、(2)上記B成分が、層状珪酸塩の陽イオン交換容量の40%以上の割合で有機オニウムイオンが層間にイオン交換されてなる有機化層状珪酸塩である上記(1)の熱可塑性樹脂組成物である。
【0014】
本発明の好適な態様の1つは、(3)上記熱可塑性樹脂組成物は、更にA成分100重量部あたり、(C)A成分の非晶性熱可塑性樹脂との親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)0.1〜50重量部を含んでなる上記(1)または(2)のいずれかの熱可塑性樹脂組成物である。
【0015】
本発明の好適な態様の1つは、(4)上記A成分は少なくとも50重量%が芳香族ポリカーボネート樹脂である上記(1)〜(3)のいずれかの熱可塑性樹脂組成物である。
【0016】
本発明の好適な態様の1つは、(5)上記C成分は、カルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体である上記(3)または(4)のいずれかの熱可塑性樹脂組成物である。
【0017】
本発明の好適な態様の1つは、(6)上記B成分とC成分とを予め溶融混練した後に、該溶融混練物とA成分とを多軸押出機を用いて溶融混練してなる上記(3)〜(5)のいずれかの熱可塑性樹脂組成物である。
【0018】
以下本発明の詳細を説明する。
<A成分について>
本発明において非晶性熱可塑性樹脂(A成分)としては、例えばポリスチレン、アクリル樹脂、AS樹脂(アクリロニトリル−スチレン共重合体から主としてなる樹脂)、SMA樹脂(スチレン−無水マレイン酸共重合体から主としてなる樹脂)、MS樹脂(メチルメタクリレート−スチレン共重合体から主としてなる樹脂)およびABS樹脂(アクリロニトリル−スチレン−ブタジエン共重合体から主としてなる樹脂)、および芳香族ポリカーボネート樹脂などの非晶性エンジニアリングプラスチックなどが例示される。
【0019】
更に本発明において好ましい非晶性熱可塑性樹脂は、そのガラス転移温度(Tg)が120℃以上の非晶性熱可塑性樹脂である。かかるTgはより好ましくは130℃以上、更に好ましくは140℃以上である。一方かかるTgは280℃以下が適切であり、250℃以下が好ましい。かかる高いTgの非晶性熱可塑性樹脂は高温の成形加工温度を必要とし、その熱安定性の改良はより求められるところである。尚、本発明におけるガラス転移温度はJIS K7121に規定される方法にて測定されたものである。
【0020】
上記の非晶性熱可塑性樹脂の好ましい態様としては、例えば芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリフェニレンオキサイド樹脂、ポリサルホン樹脂、ポリエーテルサルホン樹脂、ポリアリレート樹脂、環状ポリオレフィン樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリイミド樹脂、およびポリアミノビスマレイミド樹脂、などが例示される。更に好ましくは、これらの中でも成形加工性に優れ、より広範な分野に適用が可能な芳香族ポリカーボネート樹脂、ポリアリレート樹脂、および環状ポリオレフィン樹脂が例示される。本発明の非晶性熱可塑性樹脂としては、上記の中でも機械的強度に特に優れる芳香族ポリカーボネート樹脂が好ましく、したがって上記A成分は少なくとも50重量%が芳香族ポリカーボネート樹脂であることが好ましい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂に、ABS樹脂、芳香族ポリエステル樹脂などの他の熱可塑性樹脂を1種以上組み合わせても用いることができる。
【0021】
本発明のA成分の非晶性熱可塑性樹脂として特に好適な芳香族ポリカーボネート樹脂について説明する。
【0022】
本発明の代表的な芳香族ポリカーボネート樹脂は、2価フェノールとカーボネート前駆体とを反応させて得られるものであり、反応の方法としては界面重縮合法、溶融エステル交換法、カーボネートプレポリマーの固相エステル交換法および環状カーボネート化合物の開環重合法等を挙げることができる。
【0023】
前記2価フェノールの具体例としては、ハイドロキノン、レゾルシノール、4,4’−ビフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(通称“ビスフェノールA”)、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−1−フェニルエタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ペンタン、4,4’−(p−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−4−イソプロピルシクロヘキサン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)オキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エステル、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)プロパン、ビス(3,5−ジブロモ−4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)スルフィド、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレン、9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン等が挙げられる。これらのなかでも、ビス(4−ヒドロキシフェニル)アルカン、特にビスフェノールA(以下“BPA”と略称することがある)が汎用されている。
【0024】
本発明では、汎用の芳香族ポリカーボネート樹脂であるビスフェノールA系のポリカーボネート樹脂以外にも、さらに良好な耐加水分解性を得る目的で、他の2価フェノール類を使用した特殊な芳香族ポリカーボネート樹脂をA成分として使用することが可能である。
【0025】
例えば、2価フェノール成分の一部または全部として、4,4’−(m−フェニレンジイソプロピリデン)ジフェノール(以下“BPM”と略称することがある)、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン(以下“Bis−TMC”と略称することがある)、9,9−ビス(4−ヒドロキシフェニル)フルオレンおよび9,9−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)フルオレン(以下“BCF”と略称することがある)を用いた芳香族ポリカーボネート樹脂(単独重合体または共重合体)は、ポリマー自体が良好な耐加水分解性を有するので、吸水による寸法変化や形態安定性の要求が特に厳しい用途に適当である。これらのBPA以外の2価フェノールは芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分全体の5モル%以上、特に10モル%以上、使用するのが好ましい。
【0026】
殊に、高剛性かつより良好な耐加水分解性が要求される場合には、芳香族ポリカーボネート樹脂組成物を構成するA成分が次の(1)〜(3)の共重合ポリカーボネート樹脂であるのが特に好適である。
(1)該芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBCFが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート樹脂。
(2)該芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分100モル%中、BPAが10〜95モル%(より好適には50〜90モル%、さらに好適には60〜85モル%)であり、かつBCFが5〜90モル%(より好適には10〜50モル%、さらに好適には15〜40モル%)である共重合ポリカーボネート樹脂。
(3)該芳香族ポリカーボネート樹脂を構成する2価フェノール成分100モル%中、BPMが20〜80モル%(より好適には40〜75モル%、さらに好適には45〜65モル%)であり、かつBis−TMCが20〜80モル%(より好適には25〜60モル%、さらに好適には35〜55モル%)である共重合ポリカーボネート樹脂。
【0027】
これらの特殊な芳香族ポリカーボネート樹脂は、単独で用いてもよく、2種以上を適宜混合して使用してもよい。また、これらを汎用されているビスフェノールA型の芳香族ポリカーボネート樹脂と混合して使用することもできる。
【0028】
これらの特殊な芳香族ポリカーボネート樹脂の製法および特性については、例えば、特開平6−172508号公報、特開平8−27370号公報、特開2001−55435号公報および特開2002−117580号公報等に詳しく記載されている。
【0029】
なお、上述した各種の芳香族ポリカーボネート樹脂のなかでも、共重合組成等を調整して、吸水率およびTg(ガラス転移温度)を下記の範囲内にしたものは、ポリマー自体の耐加水分解性が良好で、かつ成形後の低反り性においても格段に優れているため、形態安定性が要求される、例えばミラー等の分野では特に好適である。
(i)吸水率が0.05〜0.15%、好ましくは0.06〜0.13%であり、かつTgが120〜180℃である芳香族ポリカーボネート樹脂、あるいは
(ii)Tgが160〜250℃、好ましくは170〜230℃であり、かつ吸水率が0.10〜0.30%、好ましくは0.13〜0.30%、より好ましくは0.14〜0.27%である芳香族ポリカーボネート樹脂。
【0030】
ここで、芳香族ポリカーボネート樹脂の吸水率は、直径45mm、厚み3.0mmの円板状試験片を用い、ISO62−1980に準拠して23℃の水中に24時間浸漬した後の水分率を測定した値である。また、Tg(ガラス転移温度)は、JIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求められる値である。
【0031】
一方、カーボネート前駆体としては、カルボニルハライド、カーボネートエステルまたはハロホルメート等が使用され、具体的にはホスゲン、ジフェニルカーボネートまたは2価フェノールのジハロホルメート等が挙げられる。
【0032】
このような2価フェノールとカーボネート前駆体とから界面重合法によってポリカーボネート樹脂を製造するに当っては、必要に応じて触媒、末端停止剤、2価フェノールが酸化するのを防止するための酸化防止剤等を使用してもよい。また、芳香族ポリカーボネート樹脂は3官能以上の多官能性芳香族化合物を共重合した分岐ポリカーボネート樹脂であってもよい。ここで使用される3官能以上の多官能性芳香族化合物としては、1,1,1−トリス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、1,1,1−トリス(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)エタン等が挙げられる。
【0033】
分岐ポリカーボネート樹脂を生ずる多官能性化合物を含む場合、その割合は、芳香族ポリカーボネート樹脂全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%である。また、特に溶融エステル交換法の場合、副反応として分岐構造が生ずる場合があるが、かかる分岐構造量についても、芳香族ポリカーボネート樹脂全量中、0.001〜1モル%、好ましくは0.005〜0.9モル%、特に好ましくは0.01〜0.8モル%であるものが好ましい。なお、かかる分岐構造の割合については1H−NMR測定により算出することが可能である。
【0034】
また、A成分となる芳香族ポリカーボネート樹脂は、芳香族もしくは脂肪族(脂環族を含む)の2官能性カルボン酸を共重合したポリエステルカーボネート、2官能性アルコール(脂環族を含む)を共重合した共重合ポリカーボネート樹脂並びにかかる2官能性カルボン酸および2官能性アルコールを共に共重合したポリエステルカーボネートであってもよい。また、得られた芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上をブレンドした混合物でも差し支えない。
【0035】
ここで用いる脂肪族の2官能性のカルボン酸は、α,ω−ジカルボン酸が好ましい。脂肪族の2官能性のカルボン酸としては、例えば、セバシン酸(デカン二酸)、ドデカン二酸、テトラデカン二酸、オクタデカン二酸、イコサン二酸等の直鎖飽和脂肪族ジカルボン酸およびシクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が好ましく挙げられる。2官能性アルコールとしては、脂環族ジオールがより好適であり、例えばシクロヘキサンジメタノール、シクロヘキサンジオール、トリシクロデカンジメタノール等が例示される。
【0036】
さらに、本発明では、ポリオルガノシロキサン単位を共重合した、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体の使用も可能である。
【0037】
本発明の樹脂組成物においてA成分となる芳香族ポリカーボネート樹脂は、上述した2価フェノールの異なるポリカーボネート樹脂、分岐成分を含有するポリカーボネート樹脂、ポリエステルカーボネート、ポリカーボネート−ポリオルガノシロキサン共重合体等の各種芳香族ポリカーボネート樹脂の2種以上を混合したものであってもよい。さらに、製造法の異なるポリカーボネート樹脂、末端停止剤の異なるポリカーボネート樹脂等を2種以上混合したものも使用することもできる。
【0038】
芳香族ポリカーボネート樹脂の重合反応において、界面重縮合法による反応は、通常、2価フェノールとホスゲンとの反応であり、酸結合剤および有機溶媒の存在下に反応させる。酸結合剤としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム等のアルカリ金属水酸化物またはピリジン等のアミン化合物が用いられる。有機溶媒としては、例えば塩化メチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化炭化水素が用いられる。また、反応促進のために、例えばトリエチルアミン、テトラ−n−ブチルアンモニウムブロマイド、テトラ−n−ブチルホスホニウムブロマイド等の第3級アミン、第4級アンモニウム化合物、第4級ホスホニウム化合物等の触媒を用いることもできる。その際、反応温度は通常0〜40℃、反応時間は10分〜5時間程度、反応中のpHは9以上に保つのが好ましい。
【0039】
また、かかる重合反応においては、通常、末端停止剤が使用される。かかる末端停止剤として単官能フェノール類を使用することができる。単官能フェノール類のとしては、例えばフェノール、p−tert−ブチルフェノール、p−クミルフェノール等の単官能フェノール類を用いるのが好ましい。さらに、単官能フェノール類としては、デシルフェノール、ドデシルフェノール、テトラデシルフェノール、ヘキサデシルフェノール、オクタデシルフェノール、エイコシルフェノール、ドコシルフェノールおよびトリアコンチルフェノール等を挙げることができる。かかる末端停止剤は単独で使用しても、2種以上混合して使用してもよい。
【0040】
溶融エステル交換法による反応は、通常、2価フェノールとカーボネートエステルとのエステル交換反応であり、不活性ガスの存在下に2価フェノールとカーボネートエステルとを加熱しながら混合して、生成するアルコールまたはフェノールを留出させる方法により行われる。反応温度は生成するアルコールまたはフェノールの沸点等により異なるが、殆どの場合120〜350℃の範囲である。反応後期には反応系を1.33×103〜13.3Pa程度に減圧して生成するアルコールまたはフェノールの留出を容易にさせる。反応時間は1〜4時間程度である。
【0041】
前記カーボネートエステルとしては、置換基を有していてもよい炭素原子数6〜10のアリール基、アラルキル基あるいは炭素原子数1〜4のアルキル基等のエステルが挙げられ、なかでもジフェニルカーボネートが好ましい。
【0042】
また、重合速度を速めるために重合触媒を用いることができる。かかる重合触媒としては、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、2価フェノールのナトリウム塩、カリウム塩等のアルカリ金属化合物;水酸化カルシウム、水酸化バリウム、水酸化マグネシウム等のアルカリ土類金属化合物;テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトラエチルアンモニウムヒドロキシド、トリメチルアミン、トリエチルアミン等の含窒素塩基性化合物等の触媒を用いることができる。さらに、アルカリ(土類)金属のアルコキシド類、アルカリ(土類)金属の有機酸塩類、ホウ素化合物類、ゲルマニウム化合物類、アンチモン化合物類、チタン化合物類、ジルコニウム化合物類等のエステル化反応、エステル交換反応に使用される触媒を用いることができる。触媒は単独で使用してもよく2種以上を組み合わせて使用してもよい。これらの重合触媒の使用量は、原料の2価フェノール1モルに対し、好ましくは1×10-8〜1×10-3当量、より好ましくは1×10-7〜5×10-4当量の範囲で選ばれる。
【0043】
溶融エステル交換法による反応では、生成ポリカーボネート樹脂のフェノール性末端基を減少する目的で、重縮反応の後期あるいは終了後に、例えば2−クロロフェニルフェニルカーボネート、2−メトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート、2−エトキシカルボニルフェニルフェニルカーボネート等の化合物を加えることができる。
【0044】
さらに溶融エステル交換法では触媒の活性を中和する失活剤を用いることが好ましい。かかる失活剤の量としては、残存する触媒1モルに対して0.5〜50モルの割合で用いるのが好ましい。また、重合後のポリカーボネート樹脂に対し、0.01〜500ppmの割合、より好ましくは0.01〜300ppm、特に好ましくは0.01〜100ppmの割合で使用するのが適当である。好ましい失活剤の例としては、ドデシルベンゼンスルホン酸テトラブチルホスホニウム塩等のホスホニウム塩、テトラエチルアンモニウムドデシルベンジルサルフェート等のアンモニウム塩が挙げられる。
【0045】
A成分となる芳香族ポリカーボネート樹脂の粘度平均分子量は限定されない。しかしながら、粘度平均分子量は、10,000未満であると強度等が低下し、50,000を超えると成形加工特性が低下するようになるので、10,000〜50,000の範囲が好ましく、12,000〜30,000の範囲がより好ましく、14,000〜28,000の範囲がさらに好ましい。この場合、成形性等が維持される範囲内で、粘度平均分子量が前記範囲外であるポリカーボネート樹脂を混合することも可能である。例えば、粘度平均分子量が50,000を超える高分子量の芳香族ポリカーボネート樹脂成分を配合することも可能である。
【0046】
本発明でいう粘度平均分子量は、まず、次式にて算出される比粘度(ηSP)を20℃で塩化メチレン100mlに芳香族ポリカーボネート樹脂0.7gを溶解した溶液からオストワルド粘度計を用いて求め、
比粘度(ηSP)=(t−t0)/t0
[t0は塩化メチレンの落下秒数、tは試料溶液の落下秒数]
求められた比粘度(ηSP)から次の数式により粘度平均分子量Mを算出する。
ηSP/c=[η]+0.45×[η]2c(但し[η]は極限粘度)
[η]=1.23×10-40.83
c=0.7
【0047】
尚、本発明の熱可塑性樹脂組成物における粘度平均分子量を測定する場合は次の要領で行う。すなわち、該組成物を、その20〜30倍重量の塩化メチレンに溶解し、かかる可溶分をセライト濾過により採取した後、溶液を除去して十分に乾燥し、塩化メチレン可溶分の固体を得る。かかる固体0.7gを塩化メチレン100mlに溶解した溶液から、上式により算出される20℃における比粘度を、オストワルド粘度計を用いて求めることにより測定する。
【0048】
<B成分について>
本発明のB成分は50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有しする層状珪酸塩である。更に本発明において好適には、本発明のB成分は50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有し、かつ該陽イオン交換容量の40%以上の割合で有機オニウムイオンが層間にイオン交換されてなる層状珪酸塩である。尚、ここで40%の割合とは、例えば層状珪酸塩の陽イオン交換容量が110ミリ当量/100gの場合には、その40%となる44ミリ当量/100g分が有機オニウムイオンでイオン交換されていることを指す。また、以下“陽イオン交換容量を有し、かつ有機オニウムイオンが層間にイオン交換されてなる層状珪酸塩”を、単に“有機化層状珪酸塩”と称する場合がある。
【0049】
本発明の有機化層状珪酸塩における有機オニウムイオン化合物は、通常、ハロゲンイオン、ヒドロキシドイオンおよびアセテートイオン等のアニオン類との塩として取り扱われる。かかる有機オニウムイオンの塩化合物を層状珪酸塩に反応させることによって得られる。ここで有機オニウムイオンとしては、例えばアンモニウムイオン、ホスホニウムイオン、スルホニウムイオン、複素芳香環由来のオニウムイオン等が挙げられ、オニウムイオンとしては1級、2級、3級、4級のいずれも使用できるが、4級オニウムイオンが好ましい。
【0050】
該オニウムイオン化合物には各種の有機基が結合したものが使用できる。有機基としてはアルキル基が代表的であるが、芳香族基をもったものでもよく、またエーテル基、エステル基、二重結合部分、三重結合部分、グリシジル基、カルボン酸基、酸無水物基、水酸基、アミノ基、アミド基、オキサゾリン環など各種官能基を含有したものでもよい。
【0051】
有機オニウムイオンの具体例としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム等の同一のアルキル基を有する4級アンモニウム、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルテトラデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、およびトリメチルイコサニルアンモニウム等のトリメチルアルキルアンモニウム、トリメチルオクタデセニルアンモニウム等のトリメチルアルケニルアンモニウム、トリメチルオクタデカジエニルアンモニウム等のトリメチルアルカジエニルアンモニウム、トリエチルドデシルアンモニウム、トリエチルテトラデシルアンモニウム、トリエチルヘキサデシルアンモニウム、およびトリエチルオクタデシルアンモニウム等のトリエチルアルキルアンモニウム、トリブチルドデシルアンモニウム、トリブチルテトラデシルアンモニウム、トリブチルヘキサデシルアンモニウム、およびトリブチルオクタデシルアンモニウム等のトリブチルアルキルアンモニウム、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、およびジメチルジオクタデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム等のジメチルジアルキルアンモニウム、ジメチルジオクタデセニルアンモニウム等のジメチルジアルケニルアンモニウム、ジメチルジオクタデカジエニルアンモニウム等のジメチルジアルカジエニルアンモニウム、ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、およびジエチルジオクタデシルアンモニウム等のジエチルジアルキルアンモニウム、ジブチルジオクチルアンモニウム、ジブチルジデシルアンモニウム、ジブチルジドデシルアンモニウム、ジブチルジテトラデシルアンモニウム、ジブチルジヘキサデシルアンモニウム、およびジブチルジオクタデシルアンモニウム等のジブチルジアルキルアンモニウム、メチルベンジルジヘキサデシルアンモニウム等のメチルベンジルジアルキルアンモニウム、ジベンジルジヘキサデシルアンモニウム等のジベンジルジアルキルアンモニウム、トリオクチルメチルアンモニウム、トリドデシルメチルアンモニウム、およびトリテトラデシルメチルアンモニウム等のトリアルキルメチルアンモニウム、トリオクチルエチルアンモニウム、およびトリドデシルエチルアンモニウム等のトリアルキルエチルアンモニウム、トリオクチルブチルアンモニウム、およびトリデシルブチルアンモニウム等のトリアルキルブチルアンモニウム、トリメチルベンジルアンモニウム等の芳香環を有する4級アンモニウム、トリメチルフェニルアンモニウム等の芳香族アミン由来の4級アンモニウム、メチルジエチル[PEG]アンモニウム、およびメチルジエチル[PPG]等のトリアルキル[PAG]アンモニウム、メチルジメチルビス[PEG]アンモニウム等のジアルキルビス[PAG]アンモニウム、エチルトリス[PEG]アンモニウム等のアルキルトリス[PAG]アンモニウム、並びに上記アンモニウムイオンの窒素原子がリン原子に置き換わったホスホニウムイオンが挙げられる。なお、これらの有機オニウムイオンは、単独の使用および2種以上の組合せの使用のいずれも選択できる。尚、上記“PEG”の表記はポリエチレングリコールを、“PPG”の表記はポリプロピレングリコールを“PAG”の表記はポリアルキレングリコールを示す。ポリアルキレングリコールの分子量としては100〜1,500のものが使用できる。
【0052】
これら有機オニウムイオン化合物の分子量は、100〜600であることがより好ましい。より好ましくは150〜500である。分子量が600より多いときには、場合により芳香族ポリカーボネート樹脂など非晶性熱可塑性樹脂の熱劣化を促進したり、熱可塑性樹脂組成物の耐熱性を損なってしまう傾向が現れる。尚、かかる有機オニウムイオンの分子量は、ハロゲンイオン等のカウンターイオン分を含まない有機オニウムイオン単体の分子量を指す。
【0053】
有機オニウムイオンの好ましい態様としては、トリメチルオクチルアンモニウム、トリメチルデシルアンモニウム、トリメチルドデシルアンモニウム、トリメチルヘキサデシルアンモニウム、トリメチルオクタデシルアンモニウム、メチルトリオクチルアンモニウム、エチルトリオクチルアンモニウム、ブチルトリオクチルアンモニウム、トリフェニルメチルアンモニウム、トリメチルオクチルホスホニウム、トリメチルデシルホスホニウム、トリメチルドデシルホスホニウム、トリメチルヘキサデシルホスホニウム、トリメチルオクタデシルホスホニウム、メチルトリオクチルホスホニウム、エチルトリオクチルホスホニウム、ブチルトリオクチルホスホニウム、トリフェニルメチルホスホニウム等の有機オニウムイオン及び1分子中に炭素原子数6〜16のアルキル基(好ましくは炭素原子数7〜14であり、より好ましくは炭素原子数7〜11)と炭素原子数1〜4のアルキル基(好ましくは炭素原子数1〜3であり、より好ましくはメチル基またはエチル基であり、さらに好ましくはメチル基)を有する有機オニウムイオンが好ましい。
【0054】
本発明において、B成分の更に好適な態様は、下記一般式(I)で示される有機オニウムイオンでイオン交換された層状珪酸塩である。
【0055】
【化1】

Figure 2004203928
【0056】
上記一般式(I)は次の条件を満足する。すなわち、Mは窒素原子またはリン原子であり、R1およびR2はそれぞれ炭素原子数6〜16のアルキル基である。R3は炭素原子数1〜16のアルキル基であり、かつR4は炭素原子数1〜4のアルキル基である。なお、R1とR2とは互いに同一の基であっても相異なる基であってもよく、また、R3とR4とは互いに同一の基であっても相異なる基であってもよい。
【0057】
上記一般式(I)で示される有機オニウムイオンのより好適な態様は、(i)前記R3が炭素原子数1〜4のアルキル基の場合である。より好しくは(ii)R3およびR4がそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基であって、かつR1およびR2がそれぞれ炭素原子数7〜14のアルキル基の場合である。さらに好ましくは、(iii)R3およびR4がそれぞれ炭素原子数1〜4のアルキル基で、かつR1およびR2は炭素原子数7〜11のアルキル基の場合である。なお、これらのうちでも、R3およびR4が炭素原子数1〜3のアルキル基、より好ましくはメチル基またはエチル基、さらに好ましくはメチル基の4級アンモニウムイオンが特に好適である。
【0058】
これら(i)〜(iii)のより好適な態様(さらに好ましい態様を含む)によれば、樹脂組成物の耐加水分解性が特に優れたものとなり、本発明の熱可塑性樹脂組成物に良好な長期実用特性を与える。
【0059】
なお、上記式(I)においてR1〜R4はいずれも直鎖状および分岐状のいずれも選択できる。
【0060】
かかる好適な4級アンモニウムイオンの例としては、ジメチルジオクチルアンモニウム、ジメチルジデシルアンモニウム、ジメチルジドデシルアンモニウム、ジメチルジテトラデシルアンモニウム、ジメチルジヘキサデシルアンモニウム、ジエチルジドデシルアンモニウム、ジエチルジテトラデシルアンモニウム、ジエチルジヘキサデシルアンモニウム、ジブチルジオクチルアンモニウム、ジブチルジデシルアンモニウム、ジブチルジドデシルアンモニウム等が例示される。
【0061】
B成分の層状珪酸塩は、SiO2連鎖からなるSiO4四面体シート構造とAl、Mg、Li等を含む八面体シート構造との組み合わせからなる層からなり、その層間に交換性陽イオンの配位した珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)である。これらの珪酸塩(シリケート)または粘土鉱物(クレー)は、スメクタイト系鉱物、バーミキュライト、ハロイサイトおよび膨潤性雲母等に代表される。具体的には、スメクタイト系鉱物としては、モンモリロナイト、ヘクトライト、フッ素ヘクトライト、サポナイト、バイデライト、スチブンサイト等が挙げられ、膨潤性雲母としては、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母、Li型四珪素フッ素雲母等の膨潤性合成雲母等が挙げられる。これら層状珪酸塩は天然品および合成品のいずれも使用可能である。合成品は、例えば、水熱合成、溶融合成、固体反応によって製造される。
【0062】
層状珪酸塩のなかでも、陽イオン交換容量等の点から、モンモリロナイト、ヘクトライト等のスメクタイト系粘土鉱物、Li型フッ素テニオライト、Na型フッ素テニオライト、Na型四珪素フッ素雲母等の膨潤性を持ったフッ素雲母が好適に用いられ、ベントナイトを精製して得られるモンモリロナイトや合成フッ素雲母が、純度等の点からより好適である。なかでも、良好な機械特性が得られる合成フッ素雲母が特に好ましい。
【0063】
前記B成分である層状珪酸塩の陽イオン交換容量(陽イオン交換能ともいう)は、50〜200ミリ当量/100gであることが必要とされ、好ましくは80〜150ミリ当量/100g、さらに好ましくは100〜150ミリ当量/100gである。陽イオン交換容量は、土壌標準分析法として国内の公定法となっているショーレンベルガー改良法によってCEC値として測定される。すなわち、層状珪酸塩の陽イオン交換容量は、A成分である非晶性熱可塑性樹脂への良好な分散性を得るために、50ミリ当量/100g以上必要であるが、200ミリ当量/100gより大きくなると熱可塑性樹脂組成物(特に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物)の熱劣化が大きくなり、それに伴って本発明の非晶性熱可塑性樹脂組成物の熱劣化への影響が大きくなってくる。この層状珪酸塩は、そのpHの値が9〜10.5であることが好ましい。pHの値が10.5より大きくなると、本発明の熱可塑性樹脂組成物の熱安定性が低下する傾向が現れてくる。
【0064】
層状珪酸塩への有機オニウムイオンのイオン交換は、極性溶媒中に分散させた層状珪酸塩に、有機オニウムイオン化合物(有機オニウムイオンの塩化合物)を添加し、析出してくるイオン交換化合物を収集することによって作成することができる。通常、このイオン交換反応は、有機オニウムイオン化合物を、層状珪酸塩のイオン交換容量の1当量に対し1.0〜1.5当量の割合で加えて、ほぼ全量の層間の金属イオンを有機オニウムイオンで交換させるのが一般的である。しかし、このイオン交換容量に対する交換割合を一定の範囲に制御することも、芳香族ポリカーボネート樹脂の熱劣化を抑制する上で有効である。ここで有機オニウムイオンでイオン交換される割合は、層状珪酸塩のイオン交換容量に対して40%以上であることが好ましい。かかるイオン交換容量の割合は好ましくは40〜95%であり、特に好ましくは40〜80%である。ここで、有機オニウムイオンの交換割合は、交換後の化合物について、熱重量測定装置等を用いて、有機オニウムイオンの熱分解による重量減少を求めることにより算出することができる。
【0065】
本発明の層状珪酸塩(B成分)のX線回折より求められるシリケート層の平均積層数は5〜40(特徴A)であり、好ましくは5〜30、より好ましくは5〜20、最も好ましくは5〜15である。平均積層数が5未満であると熱可塑性樹脂組成物の熱安定性が低下する場合があり、40を超えると剛性向上効果が低減する。
【0066】
芳香族ポリカーボネート樹脂などの非晶性熱可塑性樹脂に層状珪酸塩を微分散させた熱可塑性樹脂組成物は、従来単に有機化層状珪酸塩などを層間部分で剥離させ、基体樹脂中において出来る限り微分散させることを課題としていた。しかし、分散が進みすぎると返って剛性向上効果が減少し、また熱安定性等が悪化する。そこで剛性向上や熱安定性の保持のために、本発明の適度な分散状態を必要とした。
【0067】
本発明の層状珪酸塩(B成分)の熱可塑性樹脂組成物中の層状珪酸塩の底面間隔は、1.3〜2.3nm(特徴B)であり、より好ましくは1.5〜2.3nm、最も好ましくは1.8〜2.3nmである。この底面間隔を得るためには、有機化層状珪酸塩を用いることが好ましい。底面間隔が、1.3nm未満であると剛性向上効果が不十分になることがあり、2.3nmを超えると熱可塑性樹脂組成物の熱安定性が低下する場合がある。
【0068】
上記の特徴Bは、X線回折測定における回折線の回折角度からBraggの条件により求められる。層状珪酸塩の底面間隔およびX線回折測定については、たとえば「粘土ハンドブック」(日本粘土学会編:技報堂出版)などに記載されている。有機化層状珪酸塩のX線回折測定を行うには、粉末状の試料を試料台に充填して測定することができ、また組成物中の層状珪酸塩のX線回折測定を行うには、組成物を例えば射出成形や押出成形などで平板に成形した後、平面部分を試料台開口部に、測定基準面と同一になるよう試料を設置し測定することができる。
【0069】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、層状珪酸塩を微分散させる、すなわち上記特徴A、更に特徴Bを兼ね備えることにより、良好な剛性を有し、良好な耐加水分解性を有し、更に良好な熱安定性を有する熱可塑性樹脂組成物を得るに至ったものである。
【0070】
本発明における上記特徴Aまたは特徴Bを達成する方法としては例えば次の方法が例示される。▲1▼特定範囲の陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩を用いる、▲2▼多軸押出機を用いて拡散効率の高い溶融混練を行う、▲3▼特定の有機化層状珪酸塩を用いる、▲4▼非晶性樹脂と層状珪酸塩との相溶化剤(C成分等の第3成分)を配合する、▲5▼層状珪酸塩のマスターバッチを用いる等の方法があげられ、これらを組合せて用いることができ、殊に▲1▼〜▲4▼を組み合わせること、殊に好適には▲1▼〜▲5▼を組み合わせることが好ましい。
【0071】
上記▲4▼の方法における第3成分としては、A成分の非晶性熱可塑性樹脂と親和性を有し、かつ親水性成分を有する化合物が好適である。したがって本発明はより好適には、更にA成分100重量部あたり、(C)A成分の非晶性熱可塑性樹脂との親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)0.1〜50重量部を含んでなる熱可塑性樹脂組成物を挙げることができる。
【0072】
本発明で用いられるB成分の層状珪酸塩の、A成分との組成割合は、A成分100重量部あたり0.1〜50重量部、好ましくは0.5〜20重量部、更に好ましくは0.5〜10重量部である。この組成割合が0.1重量部より小さいときには芳香族ポリカーボネート樹脂など非晶性熱可塑性樹脂の機械特性の改良効果が見られず、また50重量部より大きくなると、組成物の熱安定性が低下し実用的な熱可塑性樹脂組成物は得られにくい。
【0073】
<C成分について>
本発明のC成分は、非晶性熱可塑性樹脂(A成分)との親和性を有し、かつ親水性成分を有する化合物である。C成分のかかる構成は、非晶性熱可塑性樹脂および層状珪酸塩、殊に有機化層状珪酸塩の双方に対する良好な親和性を生み出す。非晶性熱可塑性樹脂および層状珪酸塩、殊に有機化層状珪酸塩双方に対する親和性は2種の成分の相溶性を向上させ、層状珪酸塩は非晶性熱可塑性樹脂中での微細かつ安定して分散するようになる。
【0074】
有機化層状珪酸塩の分散に関するかかるC成分の働きは、異種ポリマー同士を相溶化させるために使用されるポリマーアロイ用相溶化剤(コンパティビライザー)と同様である。したがってC成分は低分子化合物よりも単量体が重合してなる重合体であることが好ましい。また重合体は混練加工時の熱安定性にも優れる。重合体の平均繰り返し単位数は2以上であることが必要であり、5以上が好ましく、10以上がより好ましい。一方、重合体の平均分子量の上限においては数平均分子量で2,000,000以下であることが好ましい。かかる上限を超えない場合には良好な成形加工性が得られる。
【0075】
本発明のC成分の基本的構造としては、例えば次の構造(i)および(ii)を挙げることができる。
【0076】
構造(i):非晶性熱可塑性樹脂に親和性を有する成分をα、親水性成分をβとするとき、αとβとからなるグラフト共重合体(主鎖:α、グラフト鎖:β、並びに主鎖:β、グラフト鎖:αのいずれも選択できる。)、αとβとからなるブロック共重合体(ジ−、トリ−、などブロックセグメント数は2以上を選択でき、ラジアルブロックタイプなどを含む。)、並びにαとβとからなるランダム共重合体。α、βはそれぞれ単一の重合体だけでなく共重合体であってもよい。
【0077】
ここでαおよびβは重合体セグメント単位、および単量体単位のいずれも示す。α成分は非晶性熱可塑性樹脂との親和性の観点から重合体セグメント単位であることが好ましい。
【0078】
構造(ii):非晶性熱可塑性樹脂に親和性を有する成分をα、親水性成分をβとするとき、αの機能は重合体全体によって発現され、βは該α内に含まれる構造を有する重合体。
【0079】
すなわちα単独では非晶性熱可塑性樹脂との親和性が十分ではないものの、αとβが組み合わされ一体化されることにより、非晶性熱可塑性樹脂との良好な親和性が発現する場合である。α単独の場合にも非晶性熱可塑性樹脂との親和性が良好であって、βとの組合せによって更に親和性が向上する場合もある。かかる態様は上記構造(i)に含まれる。したがって構造(i)および(ii)はその一部を重複する。一方、構造(i)はα単独では非晶性熱可塑性樹脂との親和性が十分ではあるが、αとβが組み合わされ一体化されることにより、非晶性熱可塑性樹脂との良好な親和性が逆に低下する態様もあり得る。当然のことながらかかる態様はC成分に含まれる。
【0080】
上記構造(i)および(ii)は本発明においていずれも選択できる。殊に構造(i)の条件および構造(ii)の条件を共に満足する態様、すなわちαのみでも非晶性熱可塑性樹脂に対する親和性が高く、βが付加したC成分全体において更にその親和性が高くなる態様が好適である。
【0081】
本発明における非晶性熱可塑性樹脂に親和性を有する成分(以下、上記に従いαと称する場合がある)について説明する。上記の如くC成分は、ポリマーアロイにおける相溶化剤との同様の働きをすることから、αには相溶化剤と同様の重合体に対する親和性が求められる。したがってαは大きく非反応型と反応型とに分類できる。
【0082】
非反応型では、以下の要因を有する場合に親和性が良好となる。即ち、非晶性熱可塑性樹脂とαとの間に、▲1▼化学構造の類似性、▲2▼溶解度パラメータの近似性(溶解度パラメータの差が1(cal/cm31/2以内、即ち約2.05(MPa)1/2以内が目安とされる)、▲3▼分子間相互作用(水素結合、イオン間相互作用など)、およびランダム重合体特有の擬引力的相互作用などの要因を有することが必要である。これらの要因は相溶化剤とポリマーアロイのベースになる重合体との親和性を判断する指標として知られている。
【0083】
また反応型では、相溶化剤において非晶性熱可塑性樹脂と反応性を有する官能基として知られた各種を挙げることができる。例えば非晶性熱可塑性樹脂として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂に対しては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、エポキシ基、オキサゾリン基、エステル基、エステル結合、カーボネート基、およびカーボネート結合などを例示することができる。
【0084】
一方で、非晶性熱可塑性樹脂とαが良好な親和性を得た場合、その結果として非晶性熱可塑性樹脂とαとの混合物において単一のガラス転移温度(Tg)を示すか、または非晶性熱可塑性樹脂のTgがαのTgの側に移動する挙動が認められることも広く知られるところである。本発明において親和性を有する成分(α)として、かかる挙動を有する成分をその態様の1つとして挙げることができる。
【0085】
上記の如く、本発明のC成分における非晶性熱可塑性樹脂と親和性を有する成分(α)は、各種の要因によりその親和性を発揮することが可能である。中でもαは非反応型であることが好ましく、殊に溶解度パラメータが近似することは、良好な親和性を発揮するので好ましい。これは反応型に比較して非晶性熱可塑性樹脂との親和性により優れるためである。また反応型は過度に反応性を高めた場合、副反応によって重合体の熱劣化が促進される欠点がある。
【0086】
非晶性熱可塑性樹脂およびαの溶解度パラメータは次の関係を有することが好ましい。即ち、非晶性熱可塑性樹脂(A成分)の溶解度パラメータをδA((MPa)1/2)、およびC成分におけるαの溶解度パラメータまたはC成分全体の溶解度パラメータをδα((MPa)1/2)としたとき、
δα=δA±2 ((MPa)1/2
であることが好ましい。
【0087】
例えば、A成分として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂の溶解度パラメータは通常約10(cal/cm31/2(即ち約20.5((MPa)1/2))とされていることから、かかるA成分におけるδαは18.5〜22.5((MPa)1/2)の範囲が好ましく、19〜22((MPa)1/2)の範囲がより好ましい。
【0088】
例えばA成分として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂におけるかかる溶解度パラメータδαを満足する重合体成分の具体例は、芳香族ポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、およびシクロヘキサンジメタノール共重合ポリエチレンテレフタレートなどに代表される)、および脂肪族ポリエステル(ポリカプロラクトンに代表される)などのポリエステル系重合体が挙げられる。またかかる具体例としては、スチレンポリマー、アルキル(メタ)アクリレートポリマー、およびアクリロニトリルポリマー(ポリスチレン、スチレン−無水マレイン酸共重合体、ポリメチルメタクリレート、スチレン−メチルメタクリレート共重合体、およびスチレン−アクリロニトリル共重合体などに代表される)などのビニル系重合体を挙げることができる。本発明の組成物の耐熱性の保持のためには、Tgの高い重合体成分を用いることが好ましい。
【0089】
ここで溶解度パラメータは、「ポリマーハンドブック 第4版」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION,1999年)中に記載されたSmallの値を用いた置換基寄与法(Group contribution methods)による理論的な推算方法が利用できる。また非晶性熱可塑性樹脂のTgはJIS K7121に準拠した示差走査熱量計(DSC)測定により求めることが可能である。
【0090】
上記のA成分の非晶性熱可塑性樹脂に親和性を有する成分αは、C成分中5重量%以上であることが好ましく、10重量%以上がより好ましく、30重量%以上が更に好ましく、50重量%以上が特に好ましい。C成分全体をαとする態様も可能であることから上限は100重量%であってよい。
【0091】
一方、C成分における親水性成分(以下、βと称する場合がある)は、親水基(水との相互作用の強い有機性の原子団)を有する単量体及び親水性重合体成分(重合体セグメント)より選択される。親水基はそれ自体広く知られ、下記の基が例示される。
1)強親水性の基:−SO3H、−SO3M、−OSO3H、−OSO3H、−COOM、−NR3X(R:アルキル基、X:ハロゲン原子、M:アルカリ金属、−NH4) 等、
2)やや小さい親水性を有する基:−COOH、−NH2、−CN、−OH、−NHCONH2 等、
3)親水性が無いか又は小さい基:−CH2OCH3、−OCH3、−COOCH3、−CS 等
上記1)〜3)の群の中で本発明における親水基は1)および2)に分類されるものが使用される。上記の例示以外にも、1)強親水性の基としてはスルフィン基などが例示され、2)あまり親水性の強くない基としては、カルボン酸無水物基、オキサゾリン基、ホルミル基およびピロリドン基などが例示される。
【0092】
上記2)の親水基は非晶性熱可塑性樹脂、殊に本発明において好適な芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融加工時の熱安定性により優れるため好ましい。親水性が高すぎる場合には芳香族ポリカーボネート樹脂などの熱劣化が生じやすくなる。これはかかる親水基が直接カーボネート結合と反応し、熱分解反応を生じるためである。
【0093】
尚、本発明の親水基は1価および2価以上のいずれも含む。C成分が重合体の場合、2価以上の官能基とは該基が主鎖を構成しないものをを指し、主鎖を構成するものは結合として官能基とは区別する。具体的には、主鎖を構成する炭素などの原子に付加した基、側鎖の基、および分子鎖末端の基は、2価以上であっても官能基である。
【0094】
親水基のより具体的な指標は、溶解度パラメータである。溶解度パラメータの値が大きいほど親水性が高くなることは広く知られている。基ごとの溶解度パラメータは、Fedorsによる基ごとの凝集エネルギー(Ecoh)および基ごとのモル体積(V)より算出することができる(「ポリマー・ハンドブック 第4版」(A WILEY−INTERSCIENCE PUBLICATION),VII/685頁、1999年、またはPolym.Eng.Sci.,第14巻,147および472頁,1974年等参照)。かかる算出方法は簡便であり広く知られる。更に親水性の大小関係のみを比較する観点からは、凝集エネルギー(Ecoh)をモル体積(V)で除した数値(Ecoh/V;以下単位は“J/cm3”とする)を親水性の指標として使用できる。
【0095】
本発明のC成分におけるβに含まれる親水基は、Ecoh/Vが600以上であることが必要である。好ましくはEcoh/Vは800以上であり、800以上の場合には本発明のA成分として好適な芳香族ポリカーボネート樹脂におけるカーボネート結合のEcoh/Vを超え、カーボネート結合よりも高い親水性を有する。更にEcoh/Vは900以上がより好ましく、950以上が更に好ましい。一方、親水性が高すぎる場合には、既に述べたように芳香族ポリカーボネート樹脂の熱劣化が生じ易くなる。このため、Ecoh/Vは2,500以下が好ましく、2,000以下がより好ましく、1,500以下がさらに好ましい。
【0096】
C成分の親水性成分(β)として、親水性重合体成分(重合体セグメント)も選択される。したがってC成分の重合体中に含まれる親水性重合体のセグメントはβとなる、親水性重合体としては、例えばポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸金属塩(キレート型を含む)、ポリビニルピロリドン、ポリアクリルアミド、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートなどが例示される。これらの中でもポリアルキレンオキシド、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリビニルピロリドン、およびポリヒドロキシエチルメタクリレートが好ましく例示される。これらは良好な親水性と本発明において好適な芳香族ポリカーボネート樹脂に対する熱安定性(溶融加工時の芳香族ポリカーボネート樹脂の分解の抑制)とを両立できるためである。尚、ポリアルキレンオキシドとしては、ポリエチレンオキシドおよびポリプロピレンオキシドが好ましい。
【0097】
親水基を有する単量体および親水性重合体成分のいずれにおいても、βは酸性の官能基(以下単に“酸性基”と称する場合がある)を有することが好ましい。酸性基は本発明において好適な芳香族ポリカーボネート樹脂を主成分とする熱可塑性樹脂組成物の溶融加工時の熱劣化を抑制する。とりわけ、窒素原子を含まない酸性基がより好適である。好適な酸性基としては、カルボキシル基、カルボン酸無水物基、スルホン酸基、スルフィン酸基、ホスホン酸基及びホスフィン酸基等が例示される。
【0098】
これに比して、アミド基やイミド基等の窒素原子を含む官能基は溶融加工時の芳香族ポリカーボネート樹脂の熱劣化を十分には抑制しない場合がある。これは窒素原子が局所的に塩基性を有しカーボネート結合の熱分解を生じさせるためと考えられる。
【0099】
C成分におけるβの割合は、βが親水基を有する単量体の場合、官能基1つ当たりの分子量である官能基当量として60〜10,000であり、70〜8,000が好ましく、80〜6,000がより好ましく、100〜3,000が更に好ましい。またβが親水性重合体セグメントの場合、C成分100重量%中βが5〜95重量%の範囲にあることが適当であり、10〜90重量%が好ましい。とりわけ、30〜70重量%がより好ましく、30〜50重量%が更に好ましい。
【0100】
非晶性熱可塑性樹脂に親和性を有する成分(α)と親水性成分(β)とを有する化合物の製造方法としては、βの単量体とαを構成する単量体とを共重合する方法、βの重合体成分をαとブロックまたはグラフト共重合する方法、およびβをαに直接反応させて付加する方法などが例示される。
【0101】
本発明のC成分の好ましい態様として、“A成分の樹脂との親和性を有しかつ酸性の官能基を有する重合体”、“A成分の樹脂との親和性を有しかつポリアルキレンオキシドセグメントを有する重合体”、“A成分の樹脂との親和性を有しかつオキサゾリン基を有する重合体”、または“A成分の樹脂との親和性を有しかつ水酸基を有する重合体”が例示される。これらのC成分として好ましい態様の重合体においては、その分子量は重量平均分子量において1万〜100万の範囲が好ましく、5万〜50万の範囲がより好ましい。かかる重量平均分子量は標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出されるものである。
【0102】
上記の中でもA成分の樹脂との(より好適には芳香族ポリカーボネート樹脂との)親和性を有しかつ酸性の官能基を有する重合体が好ましく、更に好ましくは芳香族ポリカーボネート樹脂との親和性を有しかつカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基とを有する重合体である。また、芳香族ポリカーボネート樹脂の耐熱性保持効果の観点から、重合体は芳香環成分を主鎖に有するもの、およびスチレン成分を主鎖に有するものが好ましい。上記の点からカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C1成分)が本発明のC成分として特に好適である。ここでスチレン含有重合体とはスチレン等の芳香族ビニル化合物を重合した繰返し単位を重合体成分として含有する重合体を指す。
【0103】
本発明のC成分として特に好適なカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C1成分)について詳述する。かかるカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基の割合としては、0.1〜12ミリ当量/gが好ましく、0.5〜5ミリ当量/gがより好ましい。ここでC1成分における1当量とは、カルボキシル基が1モル存在することをいい、かかる値は水酸化カリウムなどの逆滴定により算出することが可能である。
【0104】
カルボキシル基の誘導体からなる官能基としては、カルボキシル基の水酸基を(i)金属イオンで置換した金属塩(キレート塩を含む)、(ii)塩素原子で置換した酸塩化物、(iii)−ORで置換したエステル(Rは一価の炭化水素基)、(iv)−O(CO)Rで置換した酸無水物(Rは一価の炭化水素基)、(v)−NR2で置換したアミド(Rは水素又は一価の炭化水素基)、並びに(vi)2つのカルボキシル基の水酸基を=NRで置換したイミド(Rは水素又は一価の炭化水素基)などを挙げることができる。
【0105】
カルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基(以下、単に“カルボキシル基類”と称する)を有するスチレン含有重合体の製造方法としては、従来公知の各種の方法を取ることができる。例えば、▲1▼カルボキシル基類を有する単量体とスチレン系単量体とを共重合する方法、及び▲2▼スチレン含有重合体に対してカルボキシル基類を有する化合物又は単量体を結合または共重合する方法などを挙げることができる。
【0106】
上記▲1▼の共重合においては、ランダム共重合体の他に交互共重合体、ブロック共重合体、テーパード共重合体などの各種形態の共重合体が使用できる。また共重合の方法においても溶液重合、懸濁重合、塊状重合などのラジカル重合法の他、アニオンリビング重合法やグループトランスファー重合法などの各種重合方法を取ることができる。更に一旦マクロモノマーを形成した後重合する方法も可能である。
【0107】
上記▲2▼の方法は、一般的にはスチレン含有重合体又は共重合体に必要に応じて、パーオキサイドや2,3−ジメチル−2,3ジフェニルブタン(ジクミル)などのラジカル発生剤を加えて、高温化で反応又は共重合する方法を挙げることができる。かかる方法はスチレン含有重合体または共重合体に熱的に反応活性点を生成し、かかる活性点に反応する化合物または単量体を反応させるものである。反応に要する活性点を生成するその他の方法として、放射線や電子線の照射やメカノケミカル手法による外力の付与などの方法も挙げられる。更にスチレン系共重合体中に予め反応に要する活性点を生成する単量体を共重合しておく方法も挙げられる。反応のための活性点としては不飽和結合、パーオキサイド結合、および立体障害が高く熱的に安定なニトロオキシドラジカルなどを挙げることができる。
【0108】
上記カルボキシル基類を有する化合物又は単量体としては、例えば、アクリル酸、メタクリル酸、アクリルアミド、メタクリルアミド等の不飽和モノカルボン酸及びその誘導体、無水マレイン酸、無水シトラコン酸、N−フェニルマレイミド、N−メチルマレイミド等の無水マレイン酸の誘導体、並びにグルタルイミド構造やアクリル酸と多価の金属イオンで形成されたキレート構造等が挙げられる。これらの中でも金属イオンや窒素原子を含まない官能基を有する単量体が好適であり、カルボキシル基およびカルボン酸無水物基を有する単量体がより好適である。これらの中でも特に好ましくは無水マレイン酸である。
【0109】
また、スチレン系単量体化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等を用いることができるが、特にスチレンが好ましい。
【0110】
さらに、これらの化合物と共重合可能な他の化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等を共重合成分として使用しても差し支えない。
【0111】
本発明におけるC成分として好ましいものは、カルボキシル基類を有する単量体を共重合してなるスチレン含有共重合体である。かかる共重合体においては比較的多くのカルボキシル基類を安定してスチレン含有重合体中に含むことが可能となるためである。より好適な態様としてカルボキシル基類を有する単量体とスチレン系単量体とを共重合してなるスチレン含有共重合体を挙げることができる。そして殊に好適な態様はスチレン−無水マレイン酸共重合体である。スチレン−無水マレイン酸共重合体は、層状珪酸塩中のイオン成分及び芳香族ポリカーボネート樹脂のいずれに対しても高い相溶性を有することから、層状珪酸塩(B成分)を良好に微分散させる。さらに、カルボン酸無水物基の作用により層状珪酸塩、殊に有機化層状珪酸塩を含有する樹脂組成物において良好な熱安定性が得られる。またかかる共重合体それ自体の熱安定性が良好であるため、芳香族ポリカーボネート樹脂の溶融加工に必要な高温条件に対しても高い安定性を有する。
【0112】
上記カルボキシル基類を有する単量体を共重合してなるスチレン含有共重合体の組成については上述のβの割合における条件を満足する限り制限されないが、カルボキシル基類を有する単量体からの成分を1〜30重量%(特に5〜25重量%)、スチレン系単量体化合物成分99〜70重量%(特に95〜75重量%)を含み、共重合可能な他の化合物成分を0〜29重量%を含むものを用いるのが好ましく、カルボキシル基類を有する単量体を1〜30重量%(特に5〜25重量%)、スチレン系単量体化合物99〜70重量%(特に95〜75重量%)含む共重合体が特に好ましい。
【0113】
また、本発明のC成分の好ましい態様であるC1成分の分子量は特に制限されない。C1成分の重量平均分子量は1万〜100万の範囲にあることが好ましく、5万〜50万の範囲がより好ましい。尚、ここで示す重量平均分子量は、標準ポリスチレン樹脂による較正直線を使用したGPC測定によりポリスチレン換算の値として算出されたものである。
【0114】
本発明のC成分として好適なポリアルキレンオキシドセグメントを有する重合体、殊に好ましいポリエーテルエステル共重合体(C2成分)について説明する。
【0115】
ポリエーテルエステル共重合体は、ジカルボン酸、アルキレングリコール、およびポリ(アルキレンオキシド)グリコール、並びにこれらの誘導体から重縮合を行うことで製造される重合体である。殊に好適な例としては、下記式(II)で示されるポリアルキレンオキシド単位を有するポリ(アルキレンオキシド)グリコールあるいはその誘導体(C2▲1▼成分)、テトラメチレングリコールを65モル%以上含有するアルキレングリコールあるいはその誘導体(C2▲2▼成分)、およびテレフタル酸を60モル%以上含有するジカルボン酸あるいはその誘導体(C2▲3▼成分)から製造される共重合体である。
【0116】
【化2】
Figure 2004203928
【0117】
(ここで、Xは一価の有機基を表し、nおよびmはいずれも0を含む整数であり、かつ10≦(n+m)≦120である。mが2以上の場合Xは互いに同一および異なる態様のいずれも選択できる。)
上記式(II)においてXは−CH3、−CH2Cl、−CH2Br、−CH2I、および−CH2OCH3から選択される少なくとも1種の置換基が好ましい。Xがこれら以外の場合には置換基による立体障害が大きくなり共重合体の重合度を上げることが困難となる。またn+mが10未満の場合には層状珪酸塩が十分に分散しない場合があり、n+mが120を超える場合には、重合度の高いポリエーテルエステル共重合体が得られ難くなり、C2成分の相溶化機能が低下する場合がある。
【0118】
上記式(II)におけるポリアルキレンオキシド成分は、ポリエチレンオキシド成分と置換基Xを有する成分とのランダム共重合体、テーパード共重合体およびブロック共重合体のいずれも選択できる。上記式(II)におけるポリアルキレンオキシドは、特にm=0、すなわちポリエチレンオキシド成分のみからなる重合体成分が好ましい。
【0119】
C2▲1▼成分の共重合割合は、全グリコール成分の30〜80重量%であり、より好適には40〜70重量%である。C2▲1▼成分が30重量%より少ない場合には層状珪酸塩は十分に分散されず、機械特性の低下や外観の悪化を生ずる場合がある。C2▲1▼成分が80重量%より多い場合にも層状珪酸塩は十分に分散されず、またポリエーテルエステル共重合体自身の強度低下も加わることで、機械特性の低下や外観の悪化を生ずる場合がある。
【0120】
C2成分のポリエーテルエステル共重合体のC2▲2▼成分においては、テトラメチレングリコール以外のジオールを共重合することができる。かかるジオールとしては、エチレングリコール、トリメチレングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ジエチレングリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールが例示される。C2▲2▼成分中テトラメチレングリコールは65モル%以上であり、75モル%以上が好ましく、85モル%以上がより好ましい。テトラメチレングリコールが65モル%未満のポリエーテルエステル共重合体は、熱可塑性樹脂組成物の成形性の低下を招く。
【0121】
ポリエーテルエステル共重合体のジカルボン酸あるいはその誘導体(C2▲3▼成分においては、テレフタル酸以外のジカルボン酸(カルボキシル基が2を超えるものを含む)を共重合することができる。かかるジカルボン酸としては、イソフタル酸、フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸、ドデカン二酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ナフタレンジカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸が例示される。イソフタル酸を共重合したポリエーテルエステル共重合体はC成分として特に好適である。C2▲3▼成分中テレフタル酸は60モル%以上であり、70モル%以上が好ましく、75〜95モル%がより好ましい。テレフタル酸が60モル%未満のポリエーテルエステル共重合体は、共重合体の重合度が低下しやすく、十分な重合度のポリエーテルエステル共重合体の製造が困難となるため好ましくない。
【0122】
他の好適なC成分としては、親水基としてオキサゾリン基を含有するスチレン含有共重合体が挙げられる。かかる共重合体を形成するスチレン系単量体化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン、o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、tert−ブチルスチレン、α−メチルビニルトルエン、ジメチルスチレン、クロルスチレン、ジクロルスチレン、ブロムスチレン、ジブロムスチレン、ビニルナフタレン等を用いることができる。さらに、これらの化合物と共重合可能な他の化合物、例えばアクリロニトリル、メタクリロニトリル等、を共重合成分として使用しても差し支えない。中でも、特に好適なものとして、スチレン(2−イソプロペニル−2−オキサゾリン)−スチレン−アクリロニトリル共重合体が例示される。
【0123】
本発明のC成分の組成割合は、A成分100重量部あたり0.5〜50重量部が好ましく、0.5〜20重量部がより好ましい。0.5重量部より少ない場合には層状珪酸塩の分散効果が十分でなく、また芳香族ポリカーボネート樹脂の熱劣化を抑制する効果も不十分となる場合がある。また50重量部を超えると耐衝撃性および耐熱性などが低下する場合がある。
【0124】
本発明の熱可塑性樹脂組成物には、本発明の効果を発揮する範囲で、B成分以外の強化充填材を更に配合することができる。強化充填材としては、ガラス繊維、炭素繊維、ガラスフレーク、ワラストナイト、カオリンクレー、マイカ、タルクおよび各種ウイスカー類(チタン酸カリウムウイスカー、ホウ酸アルミニウムウイスカーなど)といった一般に知られている各種フィラーを併用することができる。形状は繊維状、フレーク状、球状、中空状を自由に選択できる。ガラス繊維、炭素繊維およびガラスフレークなどは熱可塑性樹脂組成物の強度や耐衝撃性の向上のためには好適である。一方本発明の樹脂組成物が有する極めて良好な表面外観(表面平滑性)をより有効に活用する場合には、強化充填材の大きさは微小であることが好ましい。具体的には繊維状充填材の場合にはその繊維径が、また板状充填材や粒状充填材の場合にはその大きさが、5μm以下が好ましく、4μm以下がより好ましく、3μm以下が更に好ましい。下限は0.05μm程度が適切である。かかる微小な強化充填材としてはタルク、ワラストナイト、カオリンクレー、および各種ウイスカー類が例示される。強化充填材の配合量は、全熱可塑性樹脂組成物100重量%あたり50重量%以下が適切であり、0.5〜50重量%の範囲が好ましく、1〜35重量%の範囲がより好ましい。かかる配合量が50重量%を超えると、成形加工性が悪化し、本発明の効果が得られないため好ましくない。
【0125】
さらに本発明の目的を損なわない範囲で、他の熱可塑性樹脂(例えば、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、芳香族ポリエステル樹脂、液晶ポリエステル樹脂、ポリオレフィン樹脂、シンジオタクチックポリスチレン樹脂およびポリフェニレンサルファイド樹脂等の結晶性熱可塑性樹脂)、難燃剤(例えば、臭素化エポキシ樹脂、臭素化ポリスチレン、臭素化ポリカーボネート、臭素化ポリアクリレート、モノホスフェート化合物、ホスフェートオリゴマー化合物、ホスホネートオリゴマー化合物、ホスホニトリルオリゴマー化合物、ホスホン酸アミド化合物、有機スルホン酸アルカリ(土類)金属塩、シリコーン系難燃剤等)、難燃助剤(例えば、アンチモン酸ナトリウム、三酸化アンチモン等)、滴下防止剤(フィブリル形成能を有するポリテトラフルオロエチレン等)、核剤(例えば、ステアリン酸ナトリウム、エチレン−アクリル酸ナトリウム等)、酸化防止剤(例えば、ヒンダ−ドフェノ−ル系化合物、イオウ系酸化防止剤等)、衝撃改良剤、紫外線吸収剤、光安定剤、離型剤、滑剤、着色剤(染料、無機顔料等)、および蛍光増白剤等を配合してもよい。これら各種の添加剤は、芳香族ポリカーボネート樹脂に配合する際の周知の配合量で利用することができる。
【0126】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、リン系熱安定剤を含むことが好ましい。かかるリン系熱安定剤としてはトリメチルホスフェート等のリン酸エステル、トリフェニルホスファイト、トリスノニルフェニルホスファイト、ジステアリルペンタエリスリト−ルジホスファイト、ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリト−ルジホスファイト、トリス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ホスファイト、2,2−メチレンビス(4,6−ジ−tert−ブチルフェニル)オクチルホスファイト、およびビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジホスファイト等の亜リン酸エステル、並びにテトラキス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)−4,4’−ビフェニレンジホスホナイト等の亜ホスホン酸エステルなど、芳香族ポリカーボネート樹脂のリン系熱安定剤として広く知られた化合物が好適に例示される。かかるリン系熱安定剤は全組成物100重量%中0.001〜1重量%を含むことが好ましく、0.01〜0.5重量%を含むことがより好ましく、0.01〜0.2重量%を含むことが更に好ましい。かかるリン系熱安定剤の配合によりさらに熱安定性が向上し良好な成形加工特性を得ることができる。
【0127】
本発明の熱可塑性樹脂組成物を製造するには、任意の方法が採用される。例えば各成分、並びに任意に他の成分を予備混合し、その後溶融混練し、ペレット化する方法を挙げることができる。予備混合の手段としては、ナウターミキサー、V型ブレンダー、ヘンシェルミキサー、メカノケミカル装置、押出混合機などを挙げることができる。予備混合においては場合により押出造粒器やブリケッティングマシーンなどにより造粒を行うこともできる。予備混合後、ベント式二軸押出機に代表される溶融混練機で溶融混練、およびペレタイザー等の機器によりペレット化する。溶融混練機としては他にバンバリーミキサー、混練ロール、恒熱撹拌容器などを挙げることができるが、ベント式二軸押出機に代表される多軸押出機が好ましい。かかる多軸押出機を用いることにより強力なせん断力で有機化層状珪酸塩は基体樹脂中に微分散させられる。一方その分散は層間を縮小させる作用が存在する下で行われることにより、層間のイオンの外部への露出は抑制される。結果して良好な分散と熱安定性とのより高度な両立が達成される。
【0128】
更に、本発明の熱可塑性樹脂組成物の溶融混練機による溶融混練において次の態様がより好適である。すなわち、50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換能を有する層状珪酸塩(B成分)と、A成分の非晶性熱可塑性樹脂との親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)、殊に好適にはカルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体(C1成分)とを予め溶融混練しておく。その後該溶融混練物とA成分の非晶性熱可塑性樹脂、殊に好適には芳香族ポリカーボネート樹脂とを多軸押出機により溶融混練する。かかる溶融混練方法は非晶性熱可塑性樹脂の熱安定性を向上させるため好ましい。芳香族ポリカーボネート樹脂においてはその分子量低下が特に抑制されるため好ましい溶融混練方法である。これはB成分とC成分とが予め溶融混練されることによりB成分に対してC成分が十分に相互作用し、所定の効果が効率的に得られているためと考えられる。したがって本発明によれば上記B成分とC成分とを予め溶融混練した後に、該溶融混練物とA成分とを多軸押出機を用いて溶融混練してなる、本発明の樹脂組成物および該樹脂組成物の製造方法が提供される。
【0129】
より具体的には、例えば、(i)B成分とC成分をベント式二軸押出機にて溶融混練しペレット化したものを、再度A成分と溶融混練する方法や、(ii)B成分とC成分をベント式二軸押出機の主供給口より投入し、A成分の一部または全部を二軸押出機の途中段階に設けられた供給口から、B成分とC成分が既に溶融混練された状態の中へ投入する方法などが挙げられる。これらB成分とC成分を予め溶融混練する方法においては、その溶融混練時に、A成分の一部を含んでいても構わない。
【0130】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は通常上記の如く製造されたペレットを射出成形して各種製品を製造することができる。かかる射出成形においては、通常の成形方法だけでなく、適宜目的に応じて、射出圧縮成形、射出プレス成形、ガスアシスト射出成形、発泡成形(超臨界流体の注入によるものを含む)、インサート成形、インモールドコーティング成形、断熱金型成形、急速加熱冷却金型成形、二色成形、サンドイッチ成形、および超高速射出成形などの射出成形法を用いて成形品を得ることができる。これら各種成形法の利点は既に広く知られるところである。また成形はコールドランナー方式およびホットランナー方式のいずれも選択することができる。
【0131】
また本発明の熱可塑性樹脂組成物は、押出成形により各種異形押出成形品、シート、フィルムなどの形で使用することもできる。またシート、フィルムの成形にはインフレーション法や、カレンダー法、キャスティング法なども使用可能である。更に特定の延伸操作をかけることにより熱収縮チューブとして成形することも可能である。また本発明の熱可塑性樹脂組成物を回転成形やブロー成形などにより中空成形品とすることも可能である。
【0132】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、良好な剛性を有し、良好な耐加水分解性を有し、更に良好な熱安定性を有する。したがって上記の如く得られた樹脂成形品は、実用上問題のない幅広い成形加工条件の下で製造され、かつ良好な剛性および良好な表面外観を有する。より具体的には本発明によれば、本発明の熱可塑性樹脂組成物より形成された樹脂成形品であって、その表面のJIS B0601に準拠して測定された算術平均粗さRaの値が、0.1μm以下、かつASTM D790に準拠して測定された曲げ弾性率の値が、2,500MPa以上であることを特徴とする樹脂成形品が提供され、かかる樹脂成形品はその工業的価値が更に高い。従来、樹脂成形品の曲げ弾性率を向上させるためには、繊維上強化材や無機充填材を配合するのが一般的であったが、その場合にはその表面粗さは顕著に低下し、上記のバランスをとることができるものが得られていなかったためである。
【0133】
樹脂成形品の算術表面粗さRaの値は、より好ましくは0.08μm以下であり、更に好ましくは0.05μm以下である。かかる下限は成形を行う金型によるところが大きいが約0.001μm程度が適切である。また、曲げ弾性率の値は、より好ましくは2,800MPa以上であり、更に好ましくは3,000MPa以上である。一方、その上限は8,000MPaが適切であり、7,000MPaが好ましく、6,000MPaがより好ましい。
【0134】
本発明の樹脂成形品には、表面改質を施すことにより、平滑性に優れた表面改質成形品を得ることができる。ここでいう表面改質とは、蒸着(物理蒸着、化学蒸着など)、メッキ(電気メッキ、無電解メッキ、溶融メッキなど)、塗装、コーティング、印刷などの樹脂成形品の表層上に新たな層を形成させるものであり、通常の芳香族ポリカーボネート樹脂に用いられる方法が適用できる。これら表面改質では、改質される樹脂成形品の表面平滑性が、改質後の表面性に大きな影響を与えるが、本発明の樹脂成形品を使用すると、表面平滑性に優れた成形品を得ることができる。一般にこれらの表面改質は、表面修飾や機能付与だけでなく、樹脂成形品の表面平滑性を高める目的で施されることもあり、表面平滑性が悪いと改質の厚さを大きくとる必要があるが、本発明の樹脂成形品では、薄い厚みにて効率よく改質することができる。すなわち、50μm以下であることが本発明の効果が発揮され好ましい。更にかかる厚みは20μm以下がより好ましく、5μm以下が更に好ましく、2μm以下が更に好ましい。下限値としては0.001μm以上が適切である。更に、金属層または金属酸化物層を有しない樹脂成形品単体におけるJIS B0601に準拠して測定される算術平均粗さRaの値に対して、かかるRaの500倍以内の厚みで表面改質を行うと、本発明の樹脂成形品の特長が生かされ、かかるRaの200倍以内の値の厚みであればより好ましく、100倍以内は更に好ましく、50倍以内は特に好ましい。本発明において好ましい表面改質方法は、蒸着、メッキなどの改質厚みの小さい手法である。
【0135】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、上記の特性を生かし樹脂材料として従来使用できなかった部品に用途展開が可能である。殊に従来ガラス成形品または金属の精密切削品でなければ達成できなかった極めて高い耐加水分解性と剛性が要求される用途に使用可能である。かかる用途としては例えば光学精密機器内に配されたミラー、レーザー式複写・印刷装置などに配されたポリゴンミラー、およびハードディスクなどが例示される。
【0136】
更に本発明の熱可塑性樹脂組成物は、各種電子・電気機器、OA機器、車両部品、機械部品、その他農業資材、漁業資材、搬送容器、包装容器、および雑貨などの各種用途にも有用である。本発明の熱可塑性樹脂組成物は成形加工性にも優れていることから、各種薄肉成形品にも好適であり、薄肉射出成形品の具体例としては、電池ハウジングなどの各種ハウジング成形品、鏡筒、メモリーカード、スピーカーコーン、ディスクカートリッジ、面発光体、マイクロマシン用機構部品、銘板、パソコンのハウジング、CDやDVDドライブのトレーやシャシー、複写機のトレーやシャシー、液晶装置の直下型バックライト用光拡散板(特に大型液晶表示装置(15インチ以上の大型液晶テレビ)用直下型バックライト用光拡散板)およびICカードなどが例示される。
【0137】
【実施例】
以下、実施例により本発明を詳述する。ただし、本発明はこれらに限定されるものではない。なお、実施例中の各種特性の測定は、以下の方法によった。原料は以下の原料を用いた。
(1)熱可塑樹脂組成物中の層状珪酸塩(無機分)の含有量
試験片を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)によりシリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で成形し、成形した試験片を切削してるつぼに入れて秤量し、600℃まで昇温し、そのまま6時間保持した後で放冷し、るつぼに残った灰化残渣を秤量することで層状珪酸塩(無機分)の量を測定した。すなわち、樹脂組成物の曲げ弾性率(剛性)等の特性は無機分の割合によって影響されるため、各実施例および比較例2、3では、試験片中の無機分の割合を測定し、表1にB成分の無機分の割合(重量%)として表示した。
(2)熱可塑樹脂組成物中の層状珪酸塩のシリケート層の底面間隔および平均積層数
粉末X銭回折装置(RIGAKU ROTAFLEX RU300:(株)リガク製)を用いて測定を行った。厚み6.4mmの棒状試験片を(1)と同条件にて成形し、長さ20mmに切断した測定成形品を、試料台の開口部に測定基準面と同一面になるように固定して測定に供した。測定によって得られた回折ピークは層状珪酸塩の底面ピークであるが、そのうち、最も小角側の回折ピークが(001)面の底面間隔に対応するピークであるとして、下記Braggの式により底面間隔を算出した。
d=λ/(2sinθ)
(但し、式中 d:底面間隔(層間距離)(nm)、2θ:回折ピークの回折角度(°)、λ:X線測定波長(nm))
更に、下記式から平均積層数(N)を求めた。
N=(D/d)+1
(但し、式中 N:積層数(枚)、D:積層厚み(nm)、d:底面間隔(nm))
D=0.9*λ/(βcosΘ)
(但し、式中 D:積層厚み(nm)、λ:X線測定波長(nm)、β:半値幅(rad)、2Θ:回折ピークの回折角度(rad)、ここで半値幅は回折ピークの最大値I0の1/2の高さにおける2Θ(rad)の幅であり、回折ピークの回折角度とはピークの最大値I0部分での2Θの値を指す)
尚、測定の条件については以下に示す。
X−ray source:Cu−Kα(X線測定波長1.5418×10-10m)、50kV−200mA
Slit:DS/SS 1/2°
Rs 0.15mm−graphite monochrometer−0.45mm
Method:2θ−θ
Scan:0.05step/1〜4sec
Scan範囲:1〜20°
【0138】
(3)熱可塑性樹脂組成物における粘度平均分子量
試験片を上記(1)と同条件で成形し、試験片の粘度平均分子量を本文中記載の方法にて測定した。
(4)曲げ弾性率
前記(1)と同条件で成形した同形状の試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)を、温度23℃および相対湿度50%RHの雰囲気下においてASTM−D790に準拠の方法により曲げ弾性率(MPa)を測定した。この数値が大きいほど成形した樹脂組成物の剛性が優れていることを意味する。
(5)高温高湿試験後の粘度平均分子量の低下率(ΔMratio
前記(1)と同条件で成形した同形状の試験片(寸法:長さ127mm×幅12.7mm×厚み6.4mm)を温度105℃、相対湿度100%のプレッシャークッカーに10時間放置して処理した後、温度23℃、相対湿度50%の環境下で24時間放置した試験片(処理後の試験片)を用いて測定した粘度平均分子量と、温度23℃、相対湿度50%の環境下で74時間放置した試験片(処理前の試験片)を用いて測定した粘度平均分子量を、下記数式にしたがって計算し、恒温恒湿試験後の粘度平均分子量の低下率(ΔMratio)を算出した。
ΔMratio=100×[(処理前の試験片の粘度平均分子量)−(処理後の試験片の粘度平均分子量)]/(処理前の試験片の粘度平均分子量)
この数値が小さいほど成形した樹脂組成物の耐加水分解性が良好であることを示す。
【0139】
[原料]
原料としては、以下のものを用いた。
(A成分:ポリカーボネート樹脂)
粘度平均分子量23,800のビスフェノールA型芳香族ポリカ−ボネ−ト樹脂パウダー[帝人化成(株)製「パンライトL−1250WP」]
【0140】
(B成分およびB成分以外)
B−1:合成雲母(ソマシフ ME−100:コープケミカル(株)製、陽イオン交換容量:110ミリ当量/100g)
B−2:合成雲母(ソマシフ ME−100:コープケミカル(株)製)にトリオクチルメチルアンモニウムクロライドをほぼ完全にイオン交換したもの
B−3:合成雲母(ソマシフ ME−100:コープケミカル(株)製)にジデシルジメチルアンモニウムクロライドをほぼ完全にイオン交換したもの
B−4:合成雲母(ソマシフ ME−100:コープケミカル(株)製)にトリフェニルメチルアンモニウムクロライドをほぼ完全にイオン交換したもの
B−5:合成雲母(ソマシフ ME−100:コープケミカル(株)製)にジオクタデシルジメチルアンモニウムクロライドをほぼ完全にイオン交換したもの
【0141】
(C成分)
C−1:スチレン−無水マレイン酸共重合体(ノヴァケミカルジャパン(株)製:「DYLARK 332−80」、無水マレイン酸量約15重量%)
(その他の成分)
TMP:トリメチルホスフェート(大八化学工業(株)製:TMP)、添加量は全ての組成物でA成分100重量部当り0.1重量部。
【0142】
[実施例1、2、比較例1〜3]
B成分とC成分を、表1の量割合にて、径30mmφ、L/D=33.2、混練ゾーン2箇所のスクリューを装備したベント付き二軸押出機((株)神戸製鋼所製:KTX30)を用い、シリンダー温度200℃にて溶融混練し、押出し、ストランドカットしてペレットを得た。得られたペレットを用い、最終割合が表3に示す割合になるよう、上記B成分とC成分の混合物と、A成分などをドライブレンドした後、径30mmφ、L/D=33.2、混練ゾーン2箇所のスクリューを装備したベント付き二軸押出機((株)神戸製鋼所製:KTX30)を用い、シリンダー温度280℃にて溶融混練し、押出し、ストランドカットしてペレットを得た。
【0143】
得られたペレットを100℃で5時間熱風循環式乾燥機により乾燥した。乾燥後、試験片を射出成形機(東芝機械(株)製:IS−150EN)によりシリンダー温度260℃、金型温度80℃、成形サイクル40秒で成形した。これらについての測定結果を表1に示す。
【0144】
【表1】
Figure 2004203928
【0145】
上記表から明らかなように、本発明の熱可塑性樹脂組成物は特定の分散形態を満足することにより、良好な剛性および極めて良好な耐加水分解性を有し、更に良好な熱安定性を有する熱可塑性樹脂組成物を提供することがわかる。殊に熱安定性はB成分の層状珪酸塩とC成分とを予め混練した場合において特に良好である。これにより実用的であり幅広い分野において適用可能な層状珪酸塩を含んでなる熱可塑性樹脂組成物、殊に芳香族ポリカーボネート樹脂組成物が提供される。上記の特有の効果は具体的には本発明の特異な分散状態で得られていることが判る。この分散状態によって、剛性、耐加水分解性の向上が顕著になる。
【0146】
【発明の効果】
本発明の熱可塑性樹脂組成物は、良好な剛性を有し、良好な耐加水分解性を有し、更に良好な熱安定性を有する熱可塑性樹脂組成物、殊に芳香族ポリカーボネート樹脂からなる熱可塑性樹脂組成物である。更に本発明の熱可塑性樹脂組成物は射出成形および押出成形の双方に適した溶融粘度特性を有しており成形加工性に優れる。したがって本発明の熱可塑性樹脂組成物、電気電子部品分野、OA機器部品分野、自動車部品分野、農業資材分野、漁業資材分野、搬送容器分野、包装容器分野、および雑貨分野等の幅広い分野において有用であり、特に電気電子部品分野、のOA機器部品分野、自動車部品分野に有用であり、その奏する工業的効果は格別である。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a thermoplastic resin composition comprising an amorphous thermoplastic resin and a layered silicate, particularly an organically modified layered silicate, wherein the layered silicate has a specific dispersion structure. In particular, the present invention is a thermoplastic resin composition having a high rigidity obtained by finely dispersing a layered silicate, has a small decrease in molecular weight, is excellent in thermal stability, and has environmental stability under high temperature and high humidity. The present invention relates to a novel thermoplastic resin composition having significantly improved hydrolysis resistance.
[0002]
[Prior art]
In recent years, the surface appearance and specific gravity of molded products have been improved by using clay minerals, especially layered silicates, as inorganic fillers and ion-exchanging the interlayer ions with various organic onium ions to facilitate dispersion in the resin. Many attempts have been made to improve the mechanical properties while maintaining the above conditions, especially for polyamide resins and polyolefin resins, and practical examples can be seen in these.
[0003]
However, at present, none of the resin compositions of aromatic polycarbonate resins in which these layered silicates or the like are finely dispersed have sufficient thermal stability and are poor in practicality. In other words, it has the same good surface appearance as a resin alone without an inorganic filler, etc., has the same rigidity as a resin reinforced with a reinforced filler, and exhibits practically sufficient thermal stability. At present, a thermoplastic resin composition comprising a thermoplastic resin has not been obtained.
[0004]
In general, as a means for improving the rigidity (flexural modulus) of a thermoplastic resin, mixing of a fibrous reinforcing material such as glass fiber and an inorganic filler has been performed. There are drawbacks in that the specific gravity increases and the surface appearance of the product is impaired.
[0005]
On the other hand, as one of the techniques for achieving a high flexural modulus with a relatively small amount of filler, a layered silicate as an inorganic filler, more preferably, an interlayer ion of such a layered silicate is ion-exchanged with various organic onium ions. A layered silicate obtained by finely dispersing in a thermoplastic resin, a layered silicate obtained by ion-exchanging interlayer ions between an aromatic polycarbonate resin and a layered silicate with various organic onium ions. Are also known (see Patent Documents 1 to 6).
[0006]
Examples of the organic onium ion for ion-exchanging interlayer ions of the layered silicate include an organic onium ion having an alkyl group having 12 or more carbon atoms represented by dimethyldioctadecyl ammonium ion and a polyethylene glycol chain. Have been proposed (see Patent Literature 2 and Patent Literature 3). Furthermore, for thermoplastic resins in general, a quaternary ammonium ion having 15 to 30 carbon atoms is preferable as an organic onium ion (see Patent Document 7), and a quaternary ammonium ion (or phosphonium ion) It has also been proposed that one of the organic groups has 8 or more carbon atoms and the other three organic groups are preferably organic onium ions having 1 to 4 carbon atoms (see Patent Document 8). ).
[0007]
In any of these proposals, there is no suggestion as to the hydrolysis resistance of the thermoplastic resin composition, and in fact, in the thermoplastic resin composition containing a layered silicate ion-exchanged with such an organic onium ion, Since there is a problem in hydrolysis resistance, the improvement of hydrolysis resistance in an amorphous thermoplastic resin composition such as an aromatic polycarbonate resin containing such a layered silicate is important for further increasing its practicality. Technical issues.
[0008]
By the way, Non-Patent Documents 1 to 3 discuss a polycarbonate resin / compatibilizer / organic fluoromica-based resin composition by melt-kneading, and the composition has a relatively small decrease in molecular weight and heat resistance. Discloses that the flexural modulus is excellent. Further, Non-Patent Documents 2 and 3 also disclose that fluoromica is dispersed in 3 to 4 layers. However, such a non-patent document does not describe the distance between the bottom surfaces, and furthermore, has an appropriate dispersion state of the present invention and one of its effects, that is, good molded article having good hydrolysis resistance under high temperature and high humidity (hereinafter referred to as “hydrolysis resistance”). , Simply referred to as hydrolysis resistance.). In addition, the composition is not completely suppressed in molecular weight reduction, and has poor hydrolysis resistance under high temperature and high humidity, and has a low melting temperature at the time of pelletization and a high storage condition for molded articles. Care needed to be taken not to be humid.
[0009]
[Patent Document 1]
JP-A-3-215558
[Patent Document 2]
JP-A-7-207134
[Patent Document 3]
JP-A-7-228762
[Patent Document 4]
JP-A-7-331092
[Patent Document 5]
JP-A-9-143359
[Patent Document 6]
JP-A-10-60160
[Patent Document 7]
JP-A-2002-88255
[Patent Document 8]
WO 99/32403 (Japanese Unexamined Patent Publication No. 2001-526313)
[Non-patent document 1]
The 51st Annual Meeting of the Society of Polymer Science, Vol. 51 (No. 3), p. 669, 2002
[Non-patent document 2]
Molding '02, p. 15, 2002
[Non-Patent Document 3]
The 51st Symposium of the Society of Polymer Science, Vol. 51 (No. 11), p. 2645, 2002
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
In view of the above problems, an object of the present invention is a thermoplastic resin composition in which a layered silicate has achieved an unprecedented finely dispersed state, and has a good rigidity and a good hydrolysis resistance. It is another object of the present invention to provide a thermoplastic resin composition having good thermal stability, in particular, having a small decrease in molecular weight and having a good thermal stability, particularly a thermoplastic resin composition comprising an aromatic polycarbonate resin.
[0011]
The present inventors have conducted intensive studies in order to achieve such an object, and as a result, a layered silicate is dispersed in a thermoplastic resin. It has been found that the above problems can be solved by being in the range, that is, by creating a dispersion state that cannot be achieved by a resin composition containing a conventional layered silicate. The present inventors have conducted further intensive studies based on such a finding, and have completed the present invention. That is, the characteristics of the thermoplastic resin composition of the present invention include a means for using a specific raw material, a means for using a high-purity raw material, a means for setting the composition ratio of the thermoplastic resin composition to a specific range, and preparation of a master batch in advance. However, this cannot be achieved even by using a single means, a means for applying a shearing force during melt-kneading, or the like. This has been achieved for the first time by obtaining the dispersion state of the present invention using a plurality of these various means.
[0012]
[Means for Solving the Problems]
The present invention relates to (1) (A) a layered silicate (component (B)) having a cation exchange capacity of 50 to 200 meq / 100 g per 100 parts by weight of an amorphous thermoplastic resin (component (A)). .1 to 50 parts by weight of the thermoplastic resin composition, wherein the component B has an average number of stacked silicate layers of 5 to 40 determined by X-ray diffraction in the resin composition, and the bottom surface interval is The present invention relates to a thermoplastic resin composition having a range of 1.3 to 2.3 nm.
[0013]
One preferred embodiment of the present invention is (2) an organically modified layered silicate in which the component B is ion-exchanged between layers of organic onium ions at a ratio of 40% or more of the cation exchange capacity of the layered silicate. The thermoplastic resin composition according to (1) above,
[0014]
One preferred embodiment of the present invention is that (3) the thermoplastic resin composition further has an affinity for (C) the amorphous thermoplastic resin of component (C) per 100 parts by weight of component A, and The thermoplastic resin composition according to any one of the above (1) and (2), comprising 0.1 to 50 parts by weight of a compound having a hydrophilic component (component C).
[0015]
One preferred embodiment of the present invention is the thermoplastic resin composition according to any one of (1) to (3), wherein (4) the component A is at least 50% by weight of an aromatic polycarbonate resin.
[0016]
One of preferred embodiments of the present invention is (5) the component (C), wherein the C component is a styrene-containing polymer having a functional group consisting of a carboxyl group and / or a derivative thereof. It is a thermoplastic resin composition.
[0017]
One preferred embodiment of the present invention is (6) after melt-kneading the components B and C in advance, and then melt-kneading the melt-kneaded product and the component A using a multi-screw extruder. The thermoplastic resin composition according to any one of (3) to (5).
[0018]
Hereinafter, the present invention will be described in detail.
<About component A>
In the present invention, examples of the amorphous thermoplastic resin (component A) include, for example, polystyrene, acrylic resin, AS resin (resin mainly composed of acrylonitrile-styrene copolymer), and SMA resin (styrene-maleic anhydride copolymer mainly). Resins), MS resins (resins mainly composed of methyl methacrylate-styrene copolymer), ABS resins (resins mainly composed of acrylonitrile-styrene-butadiene copolymer), and amorphous engineering plastics such as aromatic polycarbonate resins. Is exemplified.
[0019]
Further, a preferred amorphous thermoplastic resin in the present invention is an amorphous thermoplastic resin having a glass transition temperature (Tg) of 120 ° C. or higher. Such Tg is more preferably at least 130 ° C, further preferably at least 140 ° C. On the other hand, the Tg is suitably 280 ° C or lower, and preferably 250 ° C or lower. Such a high Tg amorphous thermoplastic resin requires a high molding temperature, and improvement of its thermal stability is more demanded. Incidentally, the glass transition temperature in the present invention is measured by a method specified in JIS K7121.
[0020]
Preferred embodiments of the amorphous thermoplastic resin, for example, aromatic polycarbonate resin, polyphenylene oxide resin, polysulfone resin, polyethersulfone resin, polyarylate resin, cyclic polyolefin resin, polyetherimide resin, polyamideimide resin, Examples thereof include a polyimide resin and a polyaminobismaleimide resin. More preferably, among these, an aromatic polycarbonate resin, a polyarylate resin, and a cyclic polyolefin resin which are excellent in moldability and can be applied to a wider range of fields are exemplified. As the amorphous thermoplastic resin of the present invention, among the above, an aromatic polycarbonate resin having particularly excellent mechanical strength is preferable. Therefore, at least 50% by weight of the component A is preferably an aromatic polycarbonate resin. Further, one or more kinds of other thermoplastic resins such as an ABS resin and an aromatic polyester resin may be used in combination with the aromatic polycarbonate resin.
[0021]
The aromatic polycarbonate resin particularly suitable as the amorphous thermoplastic resin of the component A of the present invention will be described.
[0022]
The representative aromatic polycarbonate resin of the present invention is obtained by reacting a dihydric phenol with a carbonate precursor, and the reaction may be performed by an interfacial polycondensation method, a melt transesterification method, or a solidification of a carbonate prepolymer. Examples include a phase transesterification method and a ring-opening polymerization method of a cyclic carbonate compound.
[0023]
Specific examples of the dihydric phenol include hydroquinone, resorcinol, 4,4′-biphenol, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) ethane, and 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane (commonly called “bisphenol A ″), 2,2-bis (4-hydroxy-3-methylphenyl) propane, 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) butane, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) -1-phenylethane 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) cyclohexane, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) -3,3,5-trimethylcyclohexane, 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) pentane, 4, 4 '-(p-phenylenediisopropylidene) diphenol, 4,4'-(m-phenylenediisopropylidene) Phenol, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) -4-isopropylcyclohexane, bis (4-hydroxyphenyl) oxide, bis (4-hydroxyphenyl) sulfide, bis (4-hydroxyphenyl) sulfoxide, bis (4- (Hydroxyphenyl) sulfone, bis (4-hydroxyphenyl) ketone, bis (4-hydroxyphenyl) ester, 2,2-bis (3,5-dibromo-4-hydroxyphenyl) propane, bis (3,5-dibromo- 4-hydroxyphenyl) sulfone, bis (4-hydroxy-3-methylphenyl) sulfide, 9,9-bis (4-hydroxyphenyl) fluorene, 9,9-bis (4-hydroxy-3-methylphenyl) fluorene, etc. Is mentioned. Among these, bis (4-hydroxyphenyl) alkane, particularly bisphenol A (hereinafter sometimes abbreviated as “BPA”) is widely used.
[0024]
In the present invention, besides the bisphenol A-based polycarbonate resin which is a general-purpose aromatic polycarbonate resin, for the purpose of obtaining better hydrolysis resistance, a special aromatic polycarbonate resin using other dihydric phenols is used. It can be used as the A component.
[0025]
For example, as part or all of the dihydric phenol component, 4,4 ′-(m-phenylenediisopropylidene) diphenol (hereinafter sometimes abbreviated as “BPM”), 1,1-bis (4-hydroxy Phenyl) cyclohexane, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) -3,3,5-trimethylcyclohexane (hereinafter sometimes abbreviated as “Bis-TMC”), 9,9-bis (4-hydroxyphenyl) Aromatic polycarbonate resins (homopolymers or copolymers) using fluorene and 9,9-bis (4-hydroxy-3-methylphenyl) fluorene (hereinafter sometimes abbreviated as “BCF”) are polymers themselves. Has good hydrolysis resistance, so that it is suitable for applications where dimensional changes and dimensional stability due to water absorption are particularly severe. These dihydric phenols other than BPA are preferably used in an amount of 5 mol% or more, particularly 10 mol% or more of the entire dihydric phenol component constituting the aromatic polycarbonate resin.
[0026]
Particularly, when high rigidity and better hydrolysis resistance are required, the component A constituting the aromatic polycarbonate resin composition is the following copolymerized polycarbonate resin (1) to (3). Is particularly preferred.
(1) BPM is 20 to 80 mol% (more preferably 40 to 75 mol%, and still more preferably 45 to 65 mol%) in 100 mol% of the dihydric phenol component constituting the aromatic polycarbonate resin. And a copolycarbonate resin having a BCF of 20 to 80 mol% (more preferably 25 to 60 mol%, and still more preferably 35 to 55 mol%).
(2) BPA is 10 to 95 mol% (more preferably 50 to 90 mol%, more preferably 60 to 85 mol%) in 100 mol% of the dihydric phenol component constituting the aromatic polycarbonate resin. And a copolycarbonate resin having a BCF of 5 to 90 mol% (more preferably 10 to 50 mol%, and still more preferably 15 to 40 mol%).
(3) BPM is 20 to 80 mol% (more preferably 40 to 75 mol%, more preferably 45 to 65 mol%) in 100 mol% of the dihydric phenol component constituting the aromatic polycarbonate resin. And a copolymer polycarbonate resin having a Bis-TMC of 20 to 80 mol% (more preferably 25 to 60 mol%, and still more preferably 35 to 55 mol%).
[0027]
These special aromatic polycarbonate resins may be used alone, or two or more kinds may be appropriately mixed and used. These can also be used by mixing with a commonly used bisphenol A type aromatic polycarbonate resin.
[0028]
The production method and properties of these special aromatic polycarbonate resins are described, for example, in JP-A-6-172508, JP-A-8-27370, JP-A-2001-55435, and JP-A-2002-117580. It is described in detail.
[0029]
Among the above-mentioned various aromatic polycarbonate resins, those whose water absorption and Tg (glass transition temperature) are adjusted to the following ranges by adjusting the copolymer composition and the like have the hydrolysis resistance of the polymer itself. Since it is excellent and has extremely low warpage after molding, it is particularly suitable in the field of, for example, a mirror or the like, which requires form stability.
(I) an aromatic polycarbonate resin having a water absorption of 0.05 to 0.15%, preferably 0.06 to 0.13%, and a Tg of 120 to 180 ° C, or
(Ii) Tg is 160 to 250 ° C, preferably 170 to 230 ° C, and water absorption is 0.10 to 0.30%, preferably 0.13 to 0.30%, more preferably 0.14 to 0.30%. Aromatic polycarbonate resin that is 0.27%.
[0030]
Here, the water absorption of the aromatic polycarbonate resin was measured using a disc-shaped test piece having a diameter of 45 mm and a thickness of 3.0 mm and immersed in water at 23 ° C. for 24 hours in accordance with ISO62-1980. Value. Further, Tg (glass transition temperature) is a value determined by a differential scanning calorimeter (DSC) measurement based on JIS K7121.
[0031]
On the other hand, as the carbonate precursor, carbonyl halide, carbonate ester, haloformate, or the like is used, and specific examples include phosgene, diphenyl carbonate, and dihaloformate of dihydric phenol.
[0032]
In producing a polycarbonate resin from such a dihydric phenol and a carbonate precursor by an interfacial polymerization method, if necessary, a catalyst, a terminal stopper and an antioxidant for preventing the dihydric phenol from being oxidized. An agent may be used. Further, the aromatic polycarbonate resin may be a branched polycarbonate resin obtained by copolymerizing a polyfunctional aromatic compound having three or more functional groups. Examples of the polyfunctional aromatic compound having three or more functional groups include 1,1,1-tris (4-hydroxyphenyl) ethane and 1,1,1-tris (3,5-dimethyl-4-hydroxy). Phenyl) ethane and the like.
[0033]
When a polyfunctional compound that produces a branched polycarbonate resin is contained, the proportion thereof is 0.001 to 1 mol%, preferably 0.005 to 0.9 mol%, and particularly preferably 0.01 to 1 mol%, based on the total amount of the aromatic polycarbonate resin. 0.8 mol%. In addition, particularly in the case of the melt transesterification method, a branched structure may occur as a side reaction, and the amount of such a branched structure is also 0.001 to 1 mol%, preferably 0.005 to 5 mol%, of the total amount of the aromatic polycarbonate resin. It is preferably 0.9 mol%, particularly preferably 0.01 to 0.8 mol%. In addition, about the ratio of such a branched structure,1It can be calculated by 1 H-NMR measurement.
[0034]
Further, the aromatic polycarbonate resin as the component A includes a polyester carbonate obtained by copolymerizing an aromatic or aliphatic (including alicyclic) bifunctional carboxylic acid, and a bifunctional alcohol (including an alicyclic group). It may be a copolymerized polycarbonate resin and a polyester carbonate obtained by copolymerizing the bifunctional carboxylic acid and the bifunctional alcohol together. A mixture obtained by blending two or more of the obtained aromatic polycarbonate resins may be used.
[0035]
The aliphatic bifunctional carboxylic acid used here is preferably α, ω-dicarboxylic acid. Examples of the aliphatic bifunctional carboxylic acid include straight-chain saturated aliphatic dicarboxylic acids such as sebacic acid (decane diacid), dodecandioic acid, tetradecandioic acid, octadecandioic acid, and icosane diacid, and cyclohexanedicarboxylic acid. And the like. Preferred are alicyclic dicarboxylic acids. As the bifunctional alcohol, an alicyclic diol is more preferable, and examples thereof include cyclohexanedimethanol, cyclohexanediol, and tricyclodecanedimethanol.
[0036]
Further, in the present invention, it is possible to use a polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer obtained by copolymerizing a polyorganosiloxane unit.
[0037]
The aromatic polycarbonate resin as the component A in the resin composition of the present invention includes various aromatic resins such as the above-described polycarbonate resins having different dihydric phenols, polycarbonate resins containing a branching component, polyester carbonate, and polycarbonate-polyorganosiloxane copolymer. It may be a mixture of two or more of the aromatic polycarbonate resins. Further, a mixture of two or more kinds of polycarbonate resins having different production methods, polycarbonate resins having different terminal stoppers and the like can also be used.
[0038]
In the polymerization reaction of the aromatic polycarbonate resin, the reaction by the interfacial polycondensation method is usually a reaction between dihydric phenol and phosgene, and is performed in the presence of an acid binder and an organic solvent. Examples of the acid binder include alkali metal hydroxides such as sodium hydroxide and potassium hydroxide and amine compounds such as pyridine. As the organic solvent, for example, halogenated hydrocarbons such as methylene chloride and chlorobenzene are used. In order to promote the reaction, a catalyst such as a tertiary amine such as triethylamine, tetra-n-butylammonium bromide, or tetra-n-butylphosphonium bromide, a quaternary ammonium compound, or a quaternary phosphonium compound is used. You can also. At that time, the reaction temperature is usually 0 to 40 ° C., the reaction time is preferably about 10 minutes to 5 hours, and the pH during the reaction is preferably maintained at 9 or more.
[0039]
In such a polymerization reaction, a terminal stopper is usually used. Monofunctional phenols can be used as such a terminal stopper. As the monofunctional phenols, it is preferable to use monofunctional phenols such as phenol, p-tert-butylphenol and p-cumylphenol. Further, examples of the monofunctional phenols include decylphenol, dodecylphenol, tetradecylphenol, hexadecylphenol, octadecylphenol, eicosylphenol, docosylphenol, and tricontylphenol. Such terminal stoppers may be used alone or in combination of two or more.
[0040]
The reaction by the melt transesterification method is usually a transesterification reaction between a dihydric phenol and a carbonate ester. The dihydric phenol and the carbonate ester are mixed while heating in the presence of an inert gas to form an alcohol or It is carried out by a method of distilling phenol. The reaction temperature varies depending on the boiling point of the alcohol or phenol to be formed, but in most cases is in the range of 120 to 350 ° C. In the late stage of the reaction, the reaction system was 1.33 × 10ThreeThe alcohol or phenol produced by reducing the pressure to about 13.3 Pa is easily distilled. The reaction time is about 1 to 4 hours.
[0041]
Examples of the carbonate ester include an ester such as an aryl group having 6 to 10 carbon atoms which may have a substituent, an aralkyl group or an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, among which diphenyl carbonate is preferable. .
[0042]
Further, a polymerization catalyst can be used to increase the polymerization rate. Examples of such a polymerization catalyst include alkali metal compounds such as sodium hydroxide, potassium hydroxide, sodium salts and potassium salts of dihydric phenols; alkaline earth metal compounds such as calcium hydroxide, barium hydroxide, and magnesium hydroxide; A catalyst such as a nitrogen-containing basic compound such as methylammonium hydroxide, tetraethylammonium hydroxide, trimethylamine and triethylamine can be used. Further, esterification reaction, transesterification of alkali (earth) metal alkoxides, alkali (earth) metal organic acid salts, boron compounds, germanium compounds, antimony compounds, titanium compounds, zirconium compounds, etc. The catalyst used for the reaction can be used. The catalyst may be used alone or in combination of two or more. The amount of these polymerization catalysts used is preferably 1 × 10-8~ 1 × 10-3Equivalent, more preferably 1 × 10-7~ 5 × 10-FourIt is selected within the range of equivalents.
[0043]
In the reaction by the melt transesterification method, for example, 2-chlorophenylphenyl carbonate, 2-methoxycarbonylphenylphenyl carbonate, 2-ethoxycarbonyl, for the purpose of reducing the phenolic terminal group of the produced polycarbonate resin at a later stage or after completion of the polycondensation reaction. Compounds such as phenylphenyl carbonate can be added.
[0044]
Further, in the melt transesterification method, it is preferable to use a deactivator for neutralizing the activity of the catalyst. The amount of the deactivator is preferably 0.5 to 50 mol per 1 mol of the remaining catalyst. Moreover, it is suitable to use it at a ratio of 0.01 to 500 ppm, more preferably 0.01 to 300 ppm, particularly preferably 0.01 to 100 ppm, based on the polycarbonate resin after polymerization. Examples of preferred quenching agents include phosphonium salts such as tetrabutylphosphonium dodecylbenzenesulfonate and ammonium salts such as tetraethylammonium dodecylbenzyl sulfate.
[0045]
The viscosity average molecular weight of the aromatic polycarbonate resin as the component A is not limited. However, when the viscosity average molecular weight is less than 10,000, the strength and the like are reduced, and when the viscosity average molecular weight is more than 50,000, the molding characteristics are deteriorated. The range is more preferably from 3,000 to 30,000, and even more preferably from 14,000 to 28,000. In this case, it is also possible to mix a polycarbonate resin having a viscosity average molecular weight outside the above-mentioned range as long as the moldability and the like are maintained. For example, a high molecular weight aromatic polycarbonate resin component having a viscosity average molecular weight exceeding 50,000 can be blended.
[0046]
First, the viscosity average molecular weight referred to in the present invention is a specific viscosity (η) calculated by the following equation.SP) Was determined at 20 ° C. from a solution of 0.7 g of an aromatic polycarbonate resin dissolved in 100 ml of methylene chloride using an Ostwald viscometer.
Specific viscosity (ηSP) = (Tt)0) / T0
[T0Is the number of seconds of falling methylene chloride, and t is the number of seconds of falling of the sample solution.
The calculated specific viscosity (ηSP) Is used to calculate the viscosity average molecular weight M by the following equation.
ηSP/C=[η]+0.45×[η]Twoc (where [η] is the intrinsic viscosity)
[Η] = 1.23 × 10-FourM0.83
c = 0.7
[0047]
The viscosity average molecular weight of the thermoplastic resin composition of the present invention is measured in the following manner. That is, the composition is dissolved in 20 to 30 times the weight of methylene chloride, and the soluble matter is collected by filtration through celite, the solution is removed and dried sufficiently, and the solid matter soluble in methylene chloride is removed. obtain. From a solution of 0.7 g of the solid dissolved in 100 ml of methylene chloride, the specific viscosity at 20 ° C. calculated by the above equation is measured by using an Ostwald viscometer.
[0048]
<About component B>
The component B of the present invention is a layered silicate having a cation exchange capacity of 50 to 200 meq / 100 g. Further preferably, in the present invention, the component B of the present invention has a cation exchange capacity of 50 to 200 meq / 100 g, and an organic onium ion is present between the layers in an amount of 40% or more of the cation exchange capacity. It is a layered silicate that has been exchanged. Here, the ratio of 40% means, for example, when the cation exchange capacity of the layered silicate is 110 meq / 100 g, 44 meq / 100 g corresponding to 40% thereof is ion-exchanged with organic onium ions. Point. In the following, the “layer silicate having a cation exchange capacity and formed by ion exchange of organic onium ions between layers” may be simply referred to as “organized layered silicate”.
[0049]
The organic onium ion compound in the organically modified layered silicate of the present invention is generally handled as a salt with anions such as a halogen ion, a hydroxide ion and an acetate ion. It is obtained by reacting such a salt compound of an organic onium ion with a layered silicate. Here, examples of the organic onium ion include an ammonium ion, a phosphonium ion, a sulfonium ion, an onium ion derived from a heteroaromatic ring, and the like. As the onium ion, any of primary, secondary, tertiary, and quaternary can be used. However, a quaternary onium ion is preferable.
[0050]
As the onium ion compound, those having various organic groups bonded thereto can be used. The organic group is typically an alkyl group, but may have an aromatic group, or may have an ether group, an ester group, a double bond, a triple bond, a glycidyl group, a carboxylic acid group, or an acid anhydride group. And various functional groups such as a hydroxyl group, an amino group, an amide group and an oxazoline ring.
[0051]
Specific examples of the organic onium ion include quaternary ammonium having the same alkyl group such as tetraethylammonium and tetrabutylammonium, trimethyloctylammonium, trimethyldecylammonium, trimethyldodecylammonium, trimethyltetradecylammonium, trimethylhexadecylammonium, trimethyl Octadecyl ammonium, and trimethylalkylammonium such as trimethylicosanilammonium, trimethylalkenylammonium such as trimethyloctadecenylammonium, trimethylalkadienylammonium such as trimethyloctadecadienylammonium, triethyldodecylammonium, triethyltetradecylammonium, Triethylhexadecyl ammonium And triethylalkylammonium such as triethyloctadecyl ammonium, tributyldodecylammonium, tributyltetradecylammonium, tributylhexadecylammonium, and tributylalkylammonium such as tributyloctadecylammonium, dimethyldioctylammonium, dimethyldidecylammonium, dimethylditetradecylammonium, dimethyl Dihexadecyl ammonium, dimethyl dioctadecyl ammonium, dimethyl dialkyl ammonium such as dimethyl didodecyl ammonium, dimethyl dialkenyl ammonium such as dimethyl dioctadecenyl ammonium, dimethyl dialkadienyl ammonium such as dimethyl dioctadecadenyl ammonium, Diethyldi Diethyl ammonium, such as decyl ammonium, diethyl ditetradecyl ammonium, diethyl dihexadecyl ammonium, and diethyl dioctadecyl ammonium, dibutyl dioctyl ammonium, dibutyl didecyl ammonium, dibutyl didodecyl ammonium, dibutyl ditetradecyl ammonium, dibutyl dihexadecyl ammonium Ammonium, dibutyl dialkyl ammonium such as dibutyl dioctadecyl ammonium, methyl benzyl dialkyl ammonium such as methyl benzyl dihexadecyl ammonium, dibenzyl dialkyl ammonium such as dibenzyl dihexadecyl ammonium, trioctyl methyl ammonium, tridodecyl methyl ammonium, and Tritetradecyl methyl ammonium Trialkylmethylammonium, trioctylethylammonium, tridodecylethylammonium and the like trialkylethylammonium, trioctylbutylammonium, tridecylbutylammonium and the like trialkylbutylammonium, trimethylbenzylammonium and the like aromatic ring Quaternary ammonium, quaternary ammonium derived from aromatic amines such as trimethylphenylammonium, triethyl [PAG] ammonium such as methyl diethyl [PEG] ammonium, and methyl diethyl [PPG], and methyl dimethyl bis [PEG] ammonium Alkyltris [PAG] ammonium such as ammonium dialkylbis [PAG] and ethyltris [PEG] ammonium; Nitrogen atom-ion can be cited phosphonium ion replacing a phosphorus atom. These organic onium ions can be used either singly or in combination of two or more. The notation “PEG” indicates polyethylene glycol, the notation “PPG” indicates polypropylene glycol, and the notation “PAG” indicates polyalkylene glycol. A polyalkylene glycol having a molecular weight of 100 to 1,500 can be used.
[0052]
The molecular weight of these organic onium ion compounds is more preferably from 100 to 600. More preferably, it is 150 to 500. When the molecular weight is more than 600, the thermal deterioration of the amorphous thermoplastic resin such as an aromatic polycarbonate resin may be promoted in some cases, or the heat resistance of the thermoplastic resin composition tends to be impaired. The molecular weight of such an organic onium ion refers to the molecular weight of a single organic onium ion not including a counter ion such as a halogen ion.
[0053]
Preferred embodiments of the organic onium ion include trimethyloctylammonium, trimethyldecylammonium, trimethyldodecylammonium, trimethylhexadecylammonium, trimethyloctadecylammonium, methyltrioctylammonium, ethyltrioctylammonium, butyltrioctylammonium, triphenylmethylammonium, Organic onium ions such as trimethyloctylphosphonium, trimethyldecylphosphonium, trimethyldodecylphosphonium, trimethylhexadecylphosphonium, trimethyloctadecylphosphonium, methyltrioctylphosphonium, ethyltrioctylphosphonium, butyltrioctylphosphonium, and triphenylmethylphosphonium; Charcoal An alkyl group having 6 to 16 atoms (preferably having 7 to 14 carbon atoms, more preferably having 7 to 11 carbon atoms) and an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms (preferably having 1 to 3 carbon atoms) And more preferably a methyl group or an ethyl group, and more preferably a methyl group).
[0054]
In the present invention, a more preferred embodiment of the component B is a layered silicate ion-exchanged with an organic onium ion represented by the following general formula (I).
[0055]
Embedded image
Figure 2004203928
[0056]
The general formula (I) satisfies the following condition. That is, M is a nitrogen atom or a phosphorus atom,1And RTwoIs an alkyl group having 6 to 16 carbon atoms. RThreeIs an alkyl group having 1 to 16 carbon atoms, and RFourIs an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms. Note that R1And RTwoMay be the same or different groups from each other.ThreeAnd RFourAnd may be the same or different groups.
[0057]
A more preferred embodiment of the organic onium ion represented by the general formula (I) is (i) the aforementioned RThreeIs an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms. More preferably (ii) RThreeAnd RFourIs an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, and R1And RTwoIs an alkyl group having 7 to 14 carbon atoms. More preferably, (iii) RThreeAnd RFourIs an alkyl group having 1 to 4 carbon atoms, and R1And RTwoIs the case of an alkyl group having 7 to 11 carbon atoms. In addition, among these, RThreeAnd RFourIs particularly preferably an alkyl group having 1 to 3 carbon atoms, more preferably a methyl group or an ethyl group, and still more preferably a quaternary ammonium ion of a methyl group.
[0058]
According to the more preferable embodiments (including the more preferable embodiments) of these (i) to (iii), the hydrolysis resistance of the resin composition is particularly excellent, and the thermoplastic resin composition of the present invention has a favorable hydrolysis resistance. Gives long-term practical properties.
[0059]
In the above formula (I), R1~ RFourCan be both linear and branched.
[0060]
Examples of such suitable quaternary ammonium ions include dimethyl dioctyl ammonium, dimethyl didecyl ammonium, dimethyl didodecyl ammonium, dimethyl ditetradecyl ammonium, dimethyl dihexadecyl ammonium, diethyl didodecyl ammonium, diethyl ditetradecyl ammonium, diethyl Examples include dihexadecyl ammonium, dibutyl dioctyl ammonium, dibutyl didecyl ammonium, dibutyl didodecyl ammonium, and the like.
[0061]
The layered silicate of the B component is SiO 2TwoSiO consisting of chainsFourIt is a layer composed of a combination of a tetrahedral sheet structure and an octahedral sheet structure containing Al, Mg, Li, etc., and is a silicate (silicate) or clay mineral (clay) in which an exchangeable cation is coordinated between the layers. . These silicates (silicates) or clay minerals (clays) are represented by smectite-based minerals, vermiculite, halloysite, and swelling mica. Specifically, examples of smectite-based minerals include montmorillonite, hectorite, fluorine hectorite, saponite, beidellite, and stevensite, and examples of swelling mica include Li-type fluorine teniolite, Na-type fluorine teniolite, and Na-type tetrasilicon. And swellable synthetic mica such as fluorine mica and Li-type tetrasilicon fluorine mica. These layered silicates can be used in both natural products and synthetic products. Synthetic products are produced, for example, by hydrothermal synthesis, melt synthesis, and solid-state reactions.
[0062]
Among layered silicates, swelling properties such as smectite clay minerals such as montmorillonite and hectorite, Li-type fluorine teniolite, Na-type fluorine teniolite, and Na-type tetrasilicon fluorine mica are considered from the viewpoint of cation exchange capacity and the like. Fluorine mica is preferably used, and montmorillonite and synthetic fluoromica obtained by purifying bentonite are more preferable in terms of purity and the like. Among them, synthetic fluorine mica which can obtain good mechanical properties is particularly preferable.
[0063]
The cation exchange capacity (also referred to as cation exchange capacity) of the layered silicate as the component B is required to be 50 to 200 meq / 100 g, preferably 80 to 150 meq / 100 g, and more preferably. Is 100 to 150 meq / 100 g. The cation exchange capacity is measured as a CEC value by the Schollenberger improved method, which is the official method in Japan as a soil standard analysis method. That is, the cation exchange capacity of the layered silicate is required to be at least 50 meq / 100 g in order to obtain good dispersibility in the amorphous thermoplastic resin as the component A. As the size increases, the thermal deterioration of the thermoplastic resin composition (particularly, the aromatic polycarbonate resin composition) increases, and accordingly, the influence on the thermal deterioration of the amorphous thermoplastic resin composition of the present invention increases. This layered silicate preferably has a pH value of 9 to 10.5. When the pH value is higher than 10.5, the thermal stability of the thermoplastic resin composition of the present invention tends to decrease.
[0064]
For the ion exchange of organic onium ions into layered silicate, an organic onium ion compound (salt compound of organic onium ion) is added to the layered silicate dispersed in a polar solvent, and the ion exchange compound precipitated is collected. Can be created by doing Usually, in this ion exchange reaction, an organic onium ion compound is added at a ratio of 1.0 to 1.5 equivalents to 1 equivalent of the ion exchange capacity of the layered silicate, and almost all the metal ions between the layers are added to the organic onium ion. It is common to exchange with ions. However, controlling the exchange ratio with respect to the ion exchange capacity within a certain range is also effective in suppressing thermal deterioration of the aromatic polycarbonate resin. Here, the ratio of ion exchange with the organic onium ion is preferably 40% or more with respect to the ion exchange capacity of the layered silicate. The proportion of such ion exchange capacity is preferably 40-95%, particularly preferably 40-80%. Here, the exchange rate of the organic onium ion can be calculated by using a thermogravimeter or the like to determine the weight loss due to the thermal decomposition of the organic onium ion for the compound after the exchange.
[0065]
The average number of laminated silicate layers obtained by X-ray diffraction of the layered silicate (component B) of the present invention is 5 to 40 (feature A), preferably 5 to 30, more preferably 5 to 20, and most preferably. 5 to 15. If the average number of laminations is less than 5, the thermal stability of the thermoplastic resin composition may decrease, and if it exceeds 40, the effect of improving rigidity decreases.
[0066]
Conventionally, a thermoplastic resin composition in which a layered silicate is finely dispersed in an amorphous thermoplastic resin such as an aromatic polycarbonate resin has conventionally been obtained by simply peeling an organically modified layered silicate or the like at an interlayer portion, and removing the finely divided particles in the base resin as much as possible. The task was to disperse. However, if the dispersion proceeds too much, the effect of improving the rigidity is reduced, and the thermal stability and the like deteriorate. Therefore, in order to improve rigidity and maintain thermal stability, an appropriate dispersion state of the present invention is required.
[0067]
The distance between the bottom surfaces of the layered silicate in the thermoplastic resin composition of the layered silicate (component B) of the present invention is 1.3 to 2.3 nm (feature B), more preferably 1.5 to 2.3 nm. , Most preferably 1.8 to 2.3 nm. In order to obtain this bottom spacing, it is preferable to use an organically modified layered silicate. If the distance between the bottom surfaces is less than 1.3 nm, the effect of improving the rigidity may be insufficient, and if it exceeds 2.3 nm, the thermal stability of the thermoplastic resin composition may decrease.
[0068]
The feature B is obtained from the diffraction angle of the diffraction line in the X-ray diffraction measurement under the condition of Bragg. The bottom spacing and the X-ray diffraction measurement of the layered silicate are described in, for example, "Clay Handbook" (edited by The Clay Society of Japan: Gihodo Shuppan). In order to perform the X-ray diffraction measurement of the organically modified layered silicate, a powdery sample can be filled in a sample stage and measured.In addition, to perform the X-ray diffraction measurement of the layered silicate in the composition, After the composition is formed into a flat plate by, for example, injection molding, extrusion molding, or the like, a sample can be placed in the opening of the sample stage at the opening of the sample stage and measured by placing the sample on the same plane as the measurement reference plane.
[0069]
The thermoplastic resin composition of the present invention has fine rigidity by finely dispersing the layered silicate, that is, having both the above-mentioned feature A and further feature B, and has good rigidity, good hydrolysis resistance, and further good Thus, a thermoplastic resin composition having excellent thermal stability has been obtained.
[0070]
As a method for achieving the above feature A or feature B in the present invention, for example, the following method is exemplified. (1) using a layered silicate having a specific range of cation exchange capacity, (2) performing melt kneading with high diffusion efficiency using a multi-screw extruder, (3) using a specific organically modified layered silicate, {Circle around (4)} A method of blending a compatibilizer (third component such as component C) between the amorphous resin and the layered silicate, and {circle around (5)} using a layered silicate master batch, etc. It is particularly preferable to combine (1) to (4), particularly preferably to combine (1) to (5).
[0071]
As the third component in the above method (4), a compound having an affinity for the amorphous thermoplastic resin as the component A and having a hydrophilic component is preferable. Therefore, the present invention more preferably further comprises (C) a compound (C) having an affinity for the amorphous thermoplastic resin of the A component and having a hydrophilic component (C component) per 100 parts by weight of the A component. A thermoplastic resin composition comprising 50 parts by weight.
[0072]
The composition ratio of the layered silicate of the component B to the component A used in the present invention is 0.1 to 50 parts by weight, preferably 0.5 to 20 parts by weight, more preferably 0.5 to 20 parts by weight, per 100 parts by weight of the component A. It is 5 to 10 parts by weight. When the composition ratio is less than 0.1 part by weight, the effect of improving the mechanical properties of an amorphous thermoplastic resin such as an aromatic polycarbonate resin is not seen, and when the composition ratio is more than 50 parts by weight, the thermal stability of the composition decreases. However, it is difficult to obtain a practical thermoplastic resin composition.
[0073]
<About the C component>
The C component of the present invention is a compound having an affinity for the amorphous thermoplastic resin (A component) and having a hydrophilic component. Such a configuration of the C component produces a good affinity for both amorphous thermoplastics and layered silicates, especially organically modified layered silicates. Affinity for both amorphous thermoplastics and layered silicates, especially organically modified layered silicates, enhances the compatibility of the two components, and the layered silicates are fine and stable in amorphous thermoplastics And become dispersed.
[0074]
The function of the C component relating to the dispersion of the organically modified layered silicate is the same as that of a compatibilizer for polymer alloy (compatibilityizer) used for compatibilizing heterogeneous polymers with each other. Therefore, the component C is preferably a polymer obtained by polymerizing a monomer rather than a low molecular compound. Further, the polymer also has excellent thermal stability during kneading. The average number of repeating units of the polymer needs to be 2 or more, preferably 5 or more, more preferably 10 or more. On the other hand, at the upper limit of the average molecular weight of the polymer, the number average molecular weight is preferably 2,000,000 or less. If the upper limit is not exceeded, good moldability is obtained.
[0075]
Examples of the basic structure of the component C of the present invention include the following structures (i) and (ii).
[0076]
Structure (i): When the component having an affinity for the amorphous thermoplastic resin is α and the hydrophilic component is β, a graft copolymer composed of α and β (main chain: α, graft chain: β, And a main chain: β and a graft chain: α can be selected.), And a block copolymer composed of α and β (di-, tri-, etc., the number of block segments such as 2 or more can be selected, such as a radial block type). And a random copolymer comprising α and β. α and β may be not only single polymers but also copolymers.
[0077]
Here, α and β represent both a polymer segment unit and a monomer unit. The α component is preferably a polymer segment unit from the viewpoint of affinity with the amorphous thermoplastic resin.
[0078]
Structure (ii): When the component having an affinity for the amorphous thermoplastic resin is α and the hydrophilic component is β, the function of α is expressed by the entire polymer, and β is a structure contained in α. Having a polymer.
[0079]
In other words, although α alone does not have sufficient affinity with the amorphous thermoplastic resin, α and β are combined and integrated to exhibit good affinity with the amorphous thermoplastic resin. is there. Even in the case of α alone, the affinity with the amorphous thermoplastic resin is good, and the affinity may be further improved by combination with β. Such an embodiment is included in the above structure (i). Thus, structures (i) and (ii) partially overlap. On the other hand, in the structure (i), although α alone has a sufficient affinity with the amorphous thermoplastic resin, the combination of α and β with each other makes it possible to obtain a good affinity with the amorphous thermoplastic resin. On the contrary, there may be a mode in which the sex is reduced. Naturally, such an embodiment is included in the C component.
[0080]
The above structures (i) and (ii) can be selected in the present invention. In particular, an embodiment that satisfies both the condition of the structure (i) and the condition of the structure (ii), that is, even if only α is used, the affinity for the amorphous thermoplastic resin is high, and the affinity is further improved in the entire C component to which β is added. An aspect in which the height is increased is preferable.
[0081]
The component having an affinity for the amorphous thermoplastic resin in the present invention (hereinafter, sometimes referred to as α according to the above) will be described. As described above, the component C functions in the same manner as the compatibilizer in the polymer alloy, so that α is required to have the same affinity for the polymer as the compatibilizer. Therefore, α can be largely classified into a non-reactive type and a reactive type.
[0082]
In the non-reaction type, the affinity is good when the following factors are present. That is, between the amorphous thermoplastic resin and α, (1) similarity in chemical structure, (2) similarity of solubility parameter (difference in solubility parameter is 1 (cal / cm)Three)1/2Within, that is, about 2.05 (MPa)1/2It is necessary to have factors such as (3) intermolecular interactions (hydrogen bonding, ionic interactions, etc.), and pseudo-attractive interactions peculiar to random polymers. These factors are known as indices for judging the affinity between the compatibilizer and the polymer on which the polymer alloy is based.
[0083]
In the reaction type, various types known as functional groups having reactivity with the amorphous thermoplastic resin in the compatibilizer can be exemplified. For example, for an aromatic polycarbonate resin suitable as an amorphous thermoplastic resin, a carboxyl group, a carboxylic anhydride group, an epoxy group, an oxazoline group, an ester group, an ester bond, a carbonate group, and a carbonate bond are exemplified. be able to.
[0084]
On the other hand, if the amorphous thermoplastic resin and α have a good affinity, the resulting mixture of amorphous thermoplastic resin and α shows a single glass transition temperature (Tg), or It is also widely known that a behavior in which the Tg of the amorphous thermoplastic resin moves toward the Tg of α is recognized. In the present invention, as the component (α) having affinity, a component having such behavior can be mentioned as one of the embodiments.
[0085]
As described above, the component (α) having an affinity with the amorphous thermoplastic resin in the component C of the present invention can exhibit the affinity due to various factors. Above all, α is preferably a non-reactive type, and in particular, it is preferable that the solubility parameter is close, because good affinity is exhibited. This is because it has better affinity with the amorphous thermoplastic resin than the reaction type. In addition, the reaction type has a disadvantage that when the reactivity is excessively increased, thermal degradation of the polymer is promoted by a side reaction.
[0086]
The solubility parameter of the amorphous thermoplastic resin and α preferably has the following relationship. That is, the solubility parameter of the amorphous thermoplastic resin (component A) is δA((MPa)1/2) And the solubility parameter of α in the C component or the solubility parameter of the entire C component is δα ((MPa)1/2),
δα = δA± 2 ((MPa)1/2)
It is preferable that
[0087]
For example, the solubility parameter of an aromatic polycarbonate resin suitable as the component A is usually about 10 (cal / cm).Three)1/2(That is, about 20.5 ((MPa)1/2)), Δα in the component A is 18.5 to 22.5 ((MPa)1/2) Is preferable, and 19 to 22 ((MPa)1/2Is more preferable.
[0088]
For example, specific examples of the polymer component satisfying the solubility parameter δα in an aromatic polycarbonate resin suitable as the component A are represented by aromatic polyesters (polyethylene terephthalate, polybutylene terephthalate, and cyclohexane dimethanol copolymerized polyethylene terephthalate). And polyester-based polymers such as aliphatic polyesters (typified by polycaprolactone). Specific examples thereof include styrene polymers, alkyl (meth) acrylate polymers, and acrylonitrile polymers (polystyrene, styrene-maleic anhydride copolymer, polymethyl methacrylate, styrene-methyl methacrylate copolymer, and styrene-acrylonitrile copolymer). Vinyl polymer). In order to maintain the heat resistance of the composition of the present invention, it is preferable to use a polymer component having a high Tg.
[0089]
Here, the solubility parameter is determined by a theoretical estimation method based on a group contribution method using Small values described in “Polymer Handbook 4th Edition” (A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION, 1999). Available. The Tg of the amorphous thermoplastic resin can be determined by a differential scanning calorimeter (DSC) measurement in accordance with JIS K7121.
[0090]
The component α having an affinity for the amorphous thermoplastic resin of the component A is preferably 5% by weight or more, more preferably 10% by weight or more, still more preferably 30% by weight or more in the component C. % By weight or more is particularly preferred. Since an embodiment in which the entire C component is set to α is also possible, the upper limit may be 100% by weight.
[0091]
On the other hand, the hydrophilic component (hereinafter sometimes referred to as β) in the component C includes a monomer having a hydrophilic group (an organic atomic group having strong interaction with water) and a hydrophilic polymer component (polymer). Segment). The hydrophilic group is widely known per se, and the following groups are exemplified.
1) Strongly hydrophilic group: -SOThreeH, -SOThreeM, -OSOThreeH, -OSOThreeH, -COOM, -NRThreeX (R: alkyl group, X: halogen atom, M: alkali metal, -NHFour) etc,
2) Slightly hydrophilic groups: -COOH, -NHTwo, -CN, -OH, -NHCONHTwo etc,
3) a group having no or little hydrophilicity: -CHTwoOCHThree, -OCHThree, -COOCHThree, -CS etc.
Among the groups 1) to 3), those classified into 1) and 2) are used as the hydrophilic group in the present invention. In addition to the above examples, 1) a strongly hydrophilic group includes a sulfine group and the like, and 2) a group having a low hydrophilicity includes a carboxylic anhydride group, an oxazoline group, a formyl group and a pyrrolidone group. Is exemplified.
[0092]
The hydrophilic group 2) is preferred because it is more excellent in thermal stability during melt processing of an amorphous thermoplastic resin, particularly an aromatic polycarbonate resin suitable in the present invention. If the hydrophilicity is too high, thermal deterioration of the aromatic polycarbonate resin or the like is likely to occur. This is because such a hydrophilic group directly reacts with a carbonate bond to cause a thermal decomposition reaction.
[0093]
In addition, the hydrophilic group of the present invention includes both monovalent and divalent or higher. When the component C is a polymer, a divalent or higher functional group refers to a group in which the group does not form a main chain, and a group forming the main chain is distinguished from a functional group as a bond. Specifically, a group added to an atom such as carbon constituting the main chain, a side chain group, and a group at the terminal of a molecular chain are functional groups even if they are divalent or higher.
[0094]
A more specific indicator of a hydrophilic group is a solubility parameter. It is widely known that the greater the value of the solubility parameter, the higher the hydrophilicity. The solubility parameter per group is determined by the aggregation energy (Ecoh) And the molar volume (V) of each group ("A WILEY-INTERSCIENCE PUBLICATION", VII / 685, 1999, or Polym. Eng. Sci., No. 14, 147 and 472, 1974, etc.). Such a calculation method is simple and widely known. Further, from the viewpoint of comparing only the magnitude relation of hydrophilicity, the cohesive energy (Ecoh) Divided by the molar volume (V) (E)coh/ V; the unit is “J / cmThree") Can be used as an index of hydrophilicity.
[0095]
The hydrophilic group contained in β in component C of the present invention is Ecoh/ V needs to be 600 or more. Preferably Ecoh/ V is 800 or more, and when it is 800 or more, E of the carbonate bond in the aromatic polycarbonate resin suitable as the component A of the present invention.coh/ V and has a higher hydrophilicity than a carbonate bond. Further Ecoh/ V is more preferably 900 or more, and even more preferably 950 or more. On the other hand, if the hydrophilicity is too high, the aromatic polycarbonate resin is likely to be thermally degraded as described above. Therefore, Ecoh/ V is preferably 2,500 or less, more preferably 2,000 or less, and still more preferably 1,500 or less.
[0096]
A hydrophilic polymer component (polymer segment) is also selected as the hydrophilic component (β) of the component C. Therefore, the segment of the hydrophilic polymer contained in the polymer of the component C is β. Examples of the hydrophilic polymer include polyalkylene oxide, polyvinyl alcohol, polyacrylic acid, and metal salts of polyacrylic acid (including chelate type). ), Polyvinylpyrrolidone, polyacrylamide, polyhydroxyethyl methacrylate, and the like. Among these, polyalkylene oxide, polyvinyl alcohol, polyacrylic acid, polyvinyl pyrrolidone, and polyhydroxyethyl methacrylate are preferably exemplified. These are because both good hydrophilicity and thermal stability to the aromatic polycarbonate resin suitable in the present invention (suppression of decomposition of the aromatic polycarbonate resin during melt processing) can be achieved. As the polyalkylene oxide, polyethylene oxide and polypropylene oxide are preferable.
[0097]
In both the monomer having a hydrophilic group and the hydrophilic polymer component, β preferably has an acidic functional group (hereinafter sometimes simply referred to as “acid group”). The acidic group suppresses thermal deterioration during melt processing of a thermoplastic resin composition containing an aromatic polycarbonate resin suitable as a main component in the present invention. In particular, an acidic group containing no nitrogen atom is more preferable. Suitable acidic groups include a carboxyl group, a carboxylic acid anhydride group, a sulfonic acid group, a sulfinic acid group, a phosphonic acid group, a phosphinic acid group, and the like.
[0098]
In contrast, a functional group containing a nitrogen atom such as an amide group or an imide group may not sufficiently suppress thermal deterioration of the aromatic polycarbonate resin during melt processing. This is considered to be because the nitrogen atom has local basicity and causes thermal decomposition of the carbonate bond.
[0099]
In the case where β is a monomer having a hydrophilic group, the ratio of β in the component C is 60 to 10,000 as a functional group equivalent, which is the molecular weight per functional group, preferably 70 to 8,000, and 80 -6,000 is more preferable, and 100-3,000 is still more preferable. When β is a hydrophilic polymer segment, β is suitably in the range of 5 to 95% by weight, preferably 10 to 90% by weight, in 100% by weight of the component C. Especially, 30 to 70% by weight is more preferable, and 30 to 50% by weight is further preferable.
[0100]
As a method for producing a compound having a component (α) having an affinity for an amorphous thermoplastic resin and a hydrophilic component (β), a monomer of β and a monomer constituting α are copolymerized. Examples include a method, a method of block- or graft-copolymerizing a polymer component of β with α, and a method of directly reacting β with α to add.
[0101]
As preferred embodiments of the component C of the present invention, "a polymer having an affinity for the resin of the component A and having an acidic functional group", "a polymer having an affinity for the resin of the component A and having a polyalkylene oxide segment" A polymer having affinity for the resin of component A and having an oxazoline group, or a polymer having affinity for the resin of component A and having a hydroxyl group. You. In the polymer of the preferred embodiment as the C component, its molecular weight is preferably in the range of 10,000 to 1,000,000 in weight average molecular weight, more preferably in the range of 50,000 to 500,000. The weight average molecular weight is calculated as a value in terms of polystyrene by GPC measurement using a calibration straight line with a standard polystyrene resin.
[0102]
Among the above, a polymer having an affinity with the resin of the component A (more preferably with the aromatic polycarbonate resin) and having an acidic functional group is preferable, and more preferably a polymer having an affinity with the aromatic polycarbonate resin. And a functional group comprising a carboxyl group and / or a derivative thereof. Further, from the viewpoint of the effect of maintaining the heat resistance of the aromatic polycarbonate resin, the polymer is preferably one having an aromatic ring component in the main chain and one having a styrene component in the main chain. From the above points, a styrene-containing polymer (component C1) having a functional group consisting of a carboxyl group and / or a derivative thereof is particularly suitable as the component C of the present invention. Here, the styrene-containing polymer refers to a polymer containing, as a polymer component, a repeating unit obtained by polymerizing an aromatic vinyl compound such as styrene.
[0103]
The styrene-containing polymer (component C1) having a functional group comprising a carboxyl group and / or a derivative thereof particularly suitable as the component C of the present invention will be described in detail. The ratio of the functional group comprising a carboxyl group and / or a derivative thereof is preferably from 0.1 to 12 meq / g, more preferably from 0.5 to 5 meq / g. Here, one equivalent in the C1 component means that one mole of a carboxyl group is present, and such a value can be calculated by back titration with potassium hydroxide or the like.
[0104]
Examples of the functional group comprising a derivative of a carboxyl group include (i) a metal salt (including a chelate salt) in which a hydroxyl group of a carboxyl group is substituted with a metal ion, (ii) an acid chloride in which a chlorine atom is substituted, (iii) -OR (R is a monovalent hydrocarbon group), (iv) an acid anhydride (R is a monovalent hydrocarbon group) substituted with -O (CO) R, (v) -NRTwo(R is hydrogen or a monovalent hydrocarbon group), and (vi) an imide (R is hydrogen or a monovalent hydrocarbon group) in which two carboxyl groups are substituted with NRNR. Can be.
[0105]
As a method for producing a styrene-containing polymer having a functional group consisting of a carboxyl group and / or a derivative thereof (hereinafter, simply referred to as “carboxyl groups”), various conventionally known methods can be used. For example, (1) a method of copolymerizing a monomer having a carboxyl group and a styrene-based monomer, and (2) a method of bonding a compound or monomer having a carboxyl group to a styrene-containing polymer or Copolymerization methods and the like can be mentioned.
[0106]
In the copolymerization of the above (1), various copolymers such as alternating copolymers, block copolymers and tapered copolymers can be used in addition to random copolymers. In addition, in the method of copolymerization, various polymerization methods such as anionic living polymerization method and group transfer polymerization method can be used in addition to radical polymerization methods such as solution polymerization, suspension polymerization and bulk polymerization. Further, a method of polymerizing once after forming a macromonomer is also possible.
[0107]
In the above method (2), generally, a radical generator such as peroxide or 2,3-dimethyl-2,3-diphenylbutane (dicumyl) is added to a styrene-containing polymer or copolymer as necessary. And a method of reacting or copolymerizing at a high temperature. In such a method, a reactive active site is thermally generated in a styrene-containing polymer or copolymer, and a compound or monomer that reacts with the active site is reacted. Other methods for generating active sites required for the reaction include irradiation with radiation or an electron beam, and application of an external force by a mechanochemical technique. Further, there is a method in which a monomer that generates an active site required for the reaction is previously copolymerized in the styrene-based copolymer. Examples of the active site for the reaction include an unsaturated bond, a peroxide bond, and a thermally stable nitroxide radical having high steric hindrance.
[0108]
As the compound or monomer having a carboxyl group, for example, acrylic acid, methacrylic acid, acrylamide, unsaturated monocarboxylic acids such as methacrylamide and derivatives thereof, maleic anhydride, citraconic anhydride, N-phenylmaleimide, Derivatives of maleic anhydride, such as N-methylmaleimide, as well as glutarimide structures and chelate structures formed of acrylic acid and polyvalent metal ions. Among these, a monomer having a functional group containing no metal ion or nitrogen atom is preferable, and a monomer having a carboxyl group and a carboxylic anhydride group is more preferable. Among these, maleic anhydride is particularly preferred.
[0109]
Further, as the styrene monomer compound, styrene, α-methylstyrene, o-methylstyrene, m-methylstyrene, p-methylstyrene, tert-butylstyrene, α-methylvinyltoluene, dimethylstyrene, chlorostyrene, Dichlorostyrene, bromostyrene, dibromostyrene, vinylnaphthalene and the like can be used, but styrene is particularly preferred.
[0110]
Further, other compounds copolymerizable with these compounds, such as acrylonitrile and methacrylonitrile, may be used as a copolymerization component.
[0111]
Preferred as the C component in the present invention is a styrene-containing copolymer obtained by copolymerizing a monomer having a carboxyl group. This is because in such a copolymer, a relatively large number of carboxyl groups can be stably contained in the styrene-containing polymer. A more preferred embodiment is a styrene-containing copolymer obtained by copolymerizing a monomer having a carboxyl group and a styrene-based monomer. A particularly preferred embodiment is a styrene-maleic anhydride copolymer. The styrene-maleic anhydride copolymer has high compatibility with both the ionic component and the aromatic polycarbonate resin in the layered silicate, and thus finely disperses the layered silicate (component B). Furthermore, good thermal stability is obtained in a resin composition containing a layered silicate, particularly an organically modified layered silicate, by the action of a carboxylic anhydride group. Further, since the copolymer itself has good thermal stability, it has high stability even at the high temperature conditions required for melt processing of the aromatic polycarbonate resin.
[0112]
The composition of the styrene-containing copolymer obtained by copolymerizing the above-mentioned monomer having a carboxyl group is not limited as long as the above-mentioned condition of the ratio of β is satisfied. Of 1 to 30% by weight (particularly 5 to 25% by weight) and 99 to 70% by weight (particularly 95 to 75% by weight) of a styrenic monomer compound component. It is preferable to use one containing 1 to 30% by weight (particularly 5 to 25% by weight) of a monomer having a carboxyl group, and 99 to 70% by weight (particularly 95 to 75%) % By weight) are particularly preferred.
[0113]
The molecular weight of the component C1, which is a preferred embodiment of the component C of the present invention, is not particularly limited. The weight average molecular weight of the C1 component is preferably in the range of 10,000 to 1,000,000, and more preferably in the range of 50,000 to 500,000. The weight average molecular weight shown here is calculated as a value in terms of polystyrene by GPC measurement using a calibration straight line with a standard polystyrene resin.
[0114]
A polymer having a polyalkylene oxide segment suitable as the component C of the present invention, particularly a preferable polyetherester copolymer (component C2) will be described.
[0115]
The polyetherester copolymer is a polymer produced by performing polycondensation from dicarboxylic acid, alkylene glycol, and poly (alkylene oxide) glycol, and derivatives thereof. Particularly preferred examples include poly (alkylene oxide) glycol having a polyalkylene oxide unit represented by the following formula (II) or a derivative thereof (C2-1 component), and an alkylene containing at least 65 mol% of tetramethylene glycol. It is a copolymer produced from glycol or a derivative thereof (C2 component), and a dicarboxylic acid or a derivative thereof containing 60% by mole or more of terephthalic acid (C2 component).
[0116]
Embedded image
Figure 2004203928
[0117]
(Where X represents a monovalent organic group, n and m are each an integer including 0, and 10 ≦ (n + m) ≦ 120. When m is 2 or more, Xs are the same or different from each other Any of the embodiments can be selected.)
In the above formula (II), X is -CHThree, -CHTwoCl, -CHTwoBr, -CHTwoI, and -CHTwoOCHThreeAt least one substituent selected from When X is other than these, steric hindrance by the substituent becomes large, and it becomes difficult to increase the degree of polymerization of the copolymer. When n + m is less than 10, the layered silicate may not be sufficiently dispersed. When n + m exceeds 120, a polyetherester copolymer having a high degree of polymerization is hardly obtained, and the phase of the C2 component is hardly obtained. The solubilizing function may be reduced.
[0118]
As the polyalkylene oxide component in the above formula (II), any of a random copolymer, a tapered copolymer and a block copolymer of a polyethylene oxide component and a component having a substituent X can be selected. The polyalkylene oxide in the above formula (II) is particularly preferably m = 0, that is, a polymer component consisting of only a polyethylene oxide component.
[0119]
The copolymerization ratio of the C2-1 component is 30 to 80% by weight, more preferably 40 to 70% by weight of the total glycol component. If the amount of the component C2 (1) is less than 30% by weight, the layered silicate is not sufficiently dispersed, which may cause a decrease in mechanical properties and a deterioration in appearance. Even when the content of the C2 component (1) is more than 80% by weight, the layered silicate is not sufficiently dispersed and the strength of the polyetherester copolymer itself is reduced, thereby deteriorating mechanical properties and deteriorating appearance. There are cases.
[0120]
In the C2 component of the C2 component polyetherester copolymer, diols other than tetramethylene glycol can be copolymerized. Examples of such a diol include ethylene glycol, trimethylene glycol, 1,5-pentanediol, 1,6-hexanediol, diethylene glycol, 1,4-cyclohexanediol, and 1,4-cyclohexanedimethanol. The content of tetramethylene glycol in the component C2 (2) is 65 mol% or more, preferably 75 mol% or more, and more preferably 85 mol% or more. A polyetherester copolymer having less than 65 mol% of tetramethylene glycol causes a decrease in moldability of the thermoplastic resin composition.
[0121]
A dicarboxylic acid of a polyetherester copolymer or a derivative thereof (in the component C2-3), dicarboxylic acids other than terephthalic acid (including those having a carboxyl group of more than 2) can be copolymerized. Examples thereof include isophthalic acid, phthalic acid, adipic acid, sebacic acid, azelaic acid, dodecanedioic acid, trimellitic acid, pyromellitic acid, naphthalenedicarboxylic acid, and cyclohexanedicarboxylic acid. The copolymer is particularly suitable as the component C. In the component C2-3, terephthalic acid is at least 60 mol%, preferably at least 70 mol%, more preferably from 75 to 95 mol%, and preferably at least 60 mol%. The polyetherester copolymer of less than tends to decrease the degree of polymerization of the copolymer. It is not preferable because the production of sufficient degree of polymerization of the polyether ester copolymer becomes difficult.
[0122]
Other suitable C components include styrene-containing copolymers containing oxazoline groups as hydrophilic groups. Styrene monomer compounds forming such a copolymer include styrene, α-methylstyrene, o-methylstyrene, m-methylstyrene, p-methylstyrene, tert-butylstyrene, α-methylvinyltoluene, dimethyl Styrene, chlorostyrene, dichlorostyrene, bromostyrene, dibromostyrene, vinylnaphthalene, and the like can be used. Further, other compounds copolymerizable with these compounds, such as acrylonitrile and methacrylonitrile, may be used as a copolymerization component. Among them, styrene (2-isopropenyl-2-oxazoline) -styrene-acrylonitrile copolymer is particularly preferable.
[0123]
The composition ratio of the component C of the present invention is preferably 0.5 to 50 parts by weight, more preferably 0.5 to 20 parts by weight, per 100 parts by weight of the component A. When the amount is less than 0.5 part by weight, the effect of dispersing the layered silicate is not sufficient, and the effect of suppressing the thermal deterioration of the aromatic polycarbonate resin may be insufficient. If the amount exceeds 50 parts by weight, impact resistance and heat resistance may be reduced.
[0124]
The thermoplastic resin composition of the present invention may further contain a reinforcing filler other than the component B as long as the effects of the present invention are exhibited. Various commonly known fillers such as glass fiber, carbon fiber, glass flake, wollastonite, kaolin clay, mica, talc and various whiskers (potassium titanate whisker, aluminum borate whisker, etc.) are used as the reinforcing filler. Can be used together. The shape can be freely selected from fibrous, flake, spherical, and hollow shapes. Glass fibers, carbon fibers, glass flakes, and the like are suitable for improving the strength and impact resistance of the thermoplastic resin composition. On the other hand, in order to more effectively utilize the extremely good surface appearance (surface smoothness) of the resin composition of the present invention, the size of the reinforcing filler is preferably minute. Specifically, in the case of a fibrous filler, its fiber diameter is, and in the case of a plate-like filler or a granular filler, its size is preferably 5 μm or less, more preferably 4 μm or less, and still more preferably 3 μm or less. preferable. The lower limit is appropriately about 0.05 μm. Examples of such a minute reinforcing filler include talc, wollastonite, kaolin clay, and various whiskers. The compounding amount of the reinforcing filler is suitably 50% by weight or less per 100% by weight of the entire thermoplastic resin composition, preferably in the range of 0.5 to 50% by weight, and more preferably in the range of 1 to 35% by weight. If the amount is more than 50% by weight, the moldability deteriorates and the effect of the present invention cannot be obtained, which is not preferable.
[0125]
In addition, other thermoplastic resins (for example, polyamide resins, polyacetal resins, aromatic polyester resins, liquid crystal polyester resins, polyolefin resins, syndiotactic polystyrene resins, polyphenylene sulfide resins, etc. Thermoplastic resins), flame retardants (e.g., brominated epoxy resins, brominated polystyrene, brominated polycarbonate, brominated polyacrylate, monophosphate compounds, phosphate oligomer compounds, phosphonate oligomer compounds, phosphonitrile oligomer compounds, phosphonamide compounds, Alkali (earth) metal salts of organic sulfonates, silicone-based flame retardants, etc.), flame retardant aids (eg, sodium antimonate, antimony trioxide, etc.), anti-dripping agents (having fibril-forming ability) Polytetrafluoroethylene, nucleating agents (eg, sodium stearate, ethylene-sodium acrylate, etc.), antioxidants (eg, hindered phenolic compounds, sulfur-based antioxidants, etc.), impact modifiers, An ultraviolet absorber, a light stabilizer, a release agent, a lubricant, a coloring agent (dye, inorganic pigment, etc.), a fluorescent whitening agent, and the like may be blended. These various additives can be used in a known blending amount when blended with the aromatic polycarbonate resin.
[0126]
The thermoplastic resin composition of the present invention preferably contains a phosphorus-based heat stabilizer. Examples of such a phosphorus-based heat stabilizer include phosphate esters such as trimethyl phosphate, triphenyl phosphite, trisnonylphenyl phosphite, distearyl pentaerythritol diphosphite, and bis (2,6-di-tert-butyl-4). -Methylphenyl) pentaerythritol-diphosphite, tris (2,4-di-tert-butylphenyl) phosphite, 2,2-methylenebis (4,6-di-tert-butylphenyl) octyl phosphite, and Phosphites such as bis (2,4-di-tert-butylphenyl) pentaerythritol diphosphite, and tetrakis (2,4-di-tert-butylphenyl) -4,4'-biphenylenediphosphonite Aromatic polycarbonate such as phosphonite Compounds widely known as the phosphorus-based heat stabilizer is preferably exemplified. The phosphorus-based heat stabilizer preferably contains 0.001 to 1% by weight, more preferably 0.01 to 0.5% by weight, and more preferably 0.01 to 0.2% by weight, based on 100% by weight of the total composition. It is even more preferred that it comprises% by weight. By adding such a phosphorus-based heat stabilizer, the heat stability is further improved, and good molding characteristics can be obtained.
[0127]
To produce the thermoplastic resin composition of the present invention, any method is employed. For example, there can be mentioned a method in which each component and optionally other components are premixed, then melt-kneaded, and pelletized. Examples of premixing means include a Nauter mixer, a V-type blender, a Henschel mixer, a mechanochemical device, and an extrusion mixer. In the pre-mixing, granulation can also be carried out by an extrusion granulator or a briquetting machine, if necessary. After the preliminary mixing, the mixture is melt-kneaded by a melt-kneader represented by a vent-type twin-screw extruder, and pelletized by a device such as a pelletizer. Other examples of the melt kneader include a Banbury mixer, a kneading roll, and a thermostatic stirring vessel. A multi-screw extruder represented by a vented twin-screw extruder is preferable. By using such a multi-screw extruder, the organically modified layered silicate is finely dispersed in the base resin with a strong shearing force. On the other hand, since the dispersion is performed in the presence of the action of reducing the size of the interlayer, exposure of ions between the layers to the outside is suppressed. As a result, a higher balance between good dispersion and thermal stability is achieved.
[0128]
Further, in the melt kneading of the thermoplastic resin composition of the present invention by a melt kneader, the following embodiment is more preferable. That is, a compound (C) having an affinity between the layered silicate (B component) having a cation exchange capacity of 50 to 200 meq / 100 g and the amorphous thermoplastic resin of the A component and having a hydrophilic component (C) Component), particularly preferably a styrene-containing polymer having a functional group comprising a carboxyl group and / or a derivative thereof (component C1) is melt-kneaded in advance. Thereafter, the melt-kneaded product and the amorphous thermoplastic resin of component A, particularly preferably an aromatic polycarbonate resin, are melt-kneaded by a multi-screw extruder. Such a melt-kneading method is preferable for improving the thermal stability of the amorphous thermoplastic resin. This is a preferred melt-kneading method for the aromatic polycarbonate resin since the decrease in the molecular weight is particularly suppressed. This is considered to be because the C component sufficiently interacts with the B component when the B component and the C component are melt-kneaded in advance, and a predetermined effect is efficiently obtained. Therefore, according to the present invention, after melt-kneading the components B and C in advance, the melt-kneaded product and the component A are melt-kneaded using a multi-screw extruder. A method for producing a resin composition is provided.
[0129]
More specifically, for example, (i) a method of melt-kneading the components B and C with a vented twin-screw extruder to form a pellet, and then melt-kneading with the component A again, or (ii) mixing the component B with the component B The component C is introduced from the main supply port of the vented twin-screw extruder, and part or all of the component A is already melt-kneaded with the components B and C from the supply port provided in the middle stage of the twin-screw extruder. The method of throwing into the state where it was put is mentioned. In the method in which the components B and C are melt-kneaded in advance, a part of the component A may be included during the melt-kneading.
[0130]
The thermoplastic resin composition of the present invention can be used to produce various products by injection molding the pellets produced as described above. In such injection molding, not only ordinary molding methods but also, as appropriate, injection compression molding, injection press molding, gas assist injection molding, foam molding (including injection by supercritical fluid), insert molding, A molded article can be obtained by using an injection molding method such as in-mold coating molding, heat-insulating mold molding, rapid heating and cooling mold molding, two-color molding, sandwich molding, and ultra-high-speed injection molding. The advantages of these various molding methods are already widely known. For the molding, either a cold runner method or a hot runner method can be selected.
[0131]
Further, the thermoplastic resin composition of the present invention can be used in the form of various shaped extruded products, sheets, films and the like by extrusion. For forming a sheet or film, an inflation method, a calendar method, a casting method, or the like can be used. Furthermore, it is also possible to form a heat-shrinkable tube by performing a specific stretching operation. Further, the thermoplastic resin composition of the present invention can be formed into a hollow molded article by rotational molding or blow molding.
[0132]
The thermoplastic resin composition of the present invention has good rigidity, good hydrolysis resistance, and good thermal stability. Therefore, the resin molded product obtained as described above is manufactured under a wide range of molding processing conditions that have no practical problem, and has good rigidity and good surface appearance. More specifically, according to the present invention, a resin molded article formed from the thermoplastic resin composition of the present invention has a surface having a value of arithmetic average roughness Ra measured in accordance with JIS B0601. , 0.1 μm or less, and a flexural modulus measured in accordance with ASTM D790 of 2,500 MPa or more. Is even higher. Conventionally, in order to improve the bending elastic modulus of a resin molded product, it was common to mix a reinforcing material on a fiber or an inorganic filler, but in that case, the surface roughness is significantly reduced, This is because a product that can achieve the above balance has not been obtained.
[0133]
The value of the arithmetic surface roughness Ra of the resin molded product is more preferably 0.08 μm or less, and further preferably 0.05 μm or less. The lower limit largely depends on the mold used for molding, but about 0.001 μm is appropriate. The value of the flexural modulus is more preferably 2,800 MPa or more, and still more preferably 3,000 MPa or more. On the other hand, the upper limit is suitably 8,000 MPa, preferably 7,000 MPa, and more preferably 6,000 MPa.
[0134]
By subjecting the resin molded article of the present invention to surface modification, a surface modified molded article having excellent smoothness can be obtained. The term “surface modification” here means a new layer on the surface of resin molded products such as vapor deposition (physical vapor deposition, chemical vapor deposition, etc.), plating (electroplating, electroless plating, hot-dip plating, etc.), painting, coating, printing, etc. And a method used for a general aromatic polycarbonate resin can be applied. In these surface modifications, the surface smoothness of the resin molded product to be modified greatly affects the surface properties after the modification. However, when the resin molded product of the present invention is used, a molded product having excellent surface smoothness is obtained. Can be obtained. Generally, these surface modifications are performed not only for surface modification and function addition, but also for the purpose of enhancing the surface smoothness of the resin molded product.If the surface smoothness is poor, it is necessary to increase the thickness of the modification. However, the resin molded product of the present invention can be efficiently modified with a small thickness. That is, the thickness is preferably 50 μm or less because the effects of the present invention are exhibited. Further, the thickness is more preferably 20 μm or less, still more preferably 5 μm or less, and still more preferably 2 μm or less. As the lower limit, 0.001 μm or more is appropriate. Further, with respect to the value of the arithmetic average roughness Ra measured according to JIS B0601 in a single resin molded product having no metal layer or metal oxide layer, surface modification is performed with a thickness of 500 times or less of the Ra. When carried out, the characteristics of the resin molded product of the present invention are utilized, and the thickness is more preferably 200 times or less, more preferably 100 times or less, and particularly preferably 50 times or less of Ra. A preferable surface modification method in the present invention is a method with a small modified thickness such as vapor deposition and plating.
[0135]
The thermoplastic resin composition of the present invention can be applied to parts which could not be used as a resin material conventionally by taking advantage of the above characteristics. In particular, the present invention can be used for applications requiring extremely high hydrolysis resistance and rigidity, which could not be achieved unless a conventional glass molded product or a precision cut metal product is used. Such applications include, for example, mirrors arranged in optical precision equipment, polygon mirrors arranged in laser type copying / printing apparatuses, and hard disks.
[0136]
Further, the thermoplastic resin composition of the present invention is useful for various applications such as various electronic / electric devices, OA devices, vehicle parts, machine parts, other agricultural materials, fishing materials, transport containers, packaging containers, and miscellaneous goods. . Since the thermoplastic resin composition of the present invention is also excellent in moldability, it is also suitable for various thin molded products. Specific examples of the thin injection molded products include various housing molded products such as a battery housing and mirrors. Tubes, memory cards, speaker cones, disk cartridges, surface light emitters, mechanical parts for micromachines, nameplates, personal computer housings, CD and DVD drive trays and chassis, copier trays and chassis, direct-lit backlights for liquid crystal devices Light diffusion plates (in particular, light diffusion plates for direct-type backlights for large liquid crystal display devices (large liquid crystal televisions of 15 inches or more)) and IC cards are exemplified.
[0137]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described in detail with reference to examples. However, the present invention is not limited to these. In addition, the measurement of various characteristics in an Example was based on the following method. The following raw materials were used.
(1) Content of layered silicate (inorganic component) in thermoplastic resin composition
The test piece was molded using an injection molding machine (manufactured by Toshiba Machine Co., Ltd .: IS-150EN) at a cylinder temperature of 260 ° C., a mold temperature of 80 ° C. and a molding cycle of 40 seconds, and the molded test piece was cut and placed in a crucible. It was weighed, heated to 600 ° C., kept as it was for 6 hours, allowed to cool, and weighed the incinerated residue remaining in the crucible to measure the amount of layered silicate (inorganic component). That is, since the properties such as the flexural modulus (rigidity) of the resin composition are affected by the proportion of the inorganic component, in each of Examples and Comparative Examples 2 and 3, the proportion of the inorganic component in the test piece was measured, 1 is shown as a ratio (% by weight) of the inorganic component of the B component.
(2) Bottom spacing and average number of laminated silicate layers of layered silicate in the thermoplastic resin composition
The measurement was performed using a powder X-ray diffractometer (RIGAKU ROTAFLEX RU300: manufactured by Rigaku Corporation). A rod-shaped test piece having a thickness of 6.4 mm was molded under the same conditions as in (1), and a measurement molded product cut to a length of 20 mm was fixed to the opening of the sample table so as to be flush with the measurement reference plane. It was used for measurement. The diffraction peak obtained by the measurement is the bottom peak of the layered silicate. Among them, the diffraction peak on the smallest angle side is the peak corresponding to the bottom spacing of the (001) plane, and the bottom spacing is determined by the following Bragg formula. Calculated.
d = λ / (2 sin θ)
(Where d: bottom surface interval (interlayer distance) (nm), 2θ: diffraction angle of diffraction peak (°), λ: X-ray measurement wavelength (nm))
Further, the average number of layers (N) was determined from the following equation.
N = (D / d) +1
(Wherein, N: number of layers (sheets), D: layer thickness (nm), d: bottom interval (nm))
D = 0.9 * λ / (βcosΘ)
(Where D: lamination thickness (nm), λ: X-ray measurement wavelength (nm), β: half width (rad), 2Θ: diffraction angle of the diffraction peak (rad), where half width is the diffraction peak Maximum value I0Is the width of 2Θ (rad) at a height of, and the diffraction angle of the diffraction peak is the maximum value I0(Refers to the value of 2Θ in the part)
The measurement conditions are described below.
X-ray source: Cu-Kα (X-ray measurement wavelength 1.5418 × 10-Tenm), 50kV-200mA
Slit: DS / SS 1/2 °
Rs 0.15mm-graphite monochromator-0.45mm
Method: 2θ-θ
Scan: 0.05 step / 1 to 4 sec
Scan range: 1 to 20 °
[0138]
(3) Viscosity average molecular weight in thermoplastic resin composition
The test piece was molded under the same conditions as in the above (1), and the viscosity average molecular weight of the test piece was measured by the method described in the text.
(4) Flexural modulus
A test piece (dimensions: length 127 mm × width 12.7 mm × thickness 6.4 mm) molded under the same conditions as the above (1) was subjected to ASTM-D790 under an atmosphere of a temperature of 23 ° C. and a relative humidity of 50% RH. The flexural modulus (MPa) was measured by the method according to the above. The larger the value, the better the rigidity of the molded resin composition.
(5) Decrease in viscosity average molecular weight after high temperature and high humidity test (ΔMratio)
A test piece of the same shape (dimensions: length 127 mm × width 12.7 mm × thickness 6.4 mm) molded under the same conditions as the above (1) was left for 10 hours in a pressure cooker at a temperature of 105 ° C. and a relative humidity of 100% for 10 hours. After the treatment, the viscosity-average molecular weight measured using a test piece (test piece after treatment) left for 24 hours in an environment of a temperature of 23 ° C. and a relative humidity of 50%, and an environment of a temperature of 23 ° C. and a relative humidity of 50% The viscosity average molecular weight measured using a test piece (test piece before treatment) left for 74 hours at was calculated according to the following formula, and the decrease rate (ΔM) of the viscosity average molecular weight after the constant temperature and constant humidity test was calculated.ratio) Was calculated.
ΔMratio= 100 x [(viscosity average molecular weight of test specimen before treatment)-(viscosity average molecular weight of test specimen after treatment)] / (viscosity average molecular weight of test specimen before treatment)
The smaller the value, the better the hydrolysis resistance of the molded resin composition.
[0139]
[material]
The following were used as raw materials.
(A component: polycarbonate resin)
Bisphenol A type aromatic polycarbonate resin powder having a viscosity average molecular weight of 23,800 ["Panlite L-1250WP" manufactured by Teijin Chemicals Ltd.]
[0140]
(B component and other than B component)
B-1: Synthetic mica (Somasif ME-100: manufactured by Corp Chemical Co., Ltd., cation exchange capacity: 110 meq / 100 g)
B-2: Synthetic mica (Somasif ME-100: manufactured by Corp Chemical Co., Ltd.) obtained by substantially completely ion-exchanging trioctylmethylammonium chloride.
B-3: Synthetic mica (Somasif ME-100: manufactured by Corp Chemical Co., Ltd.) obtained by ion exchange of didecyldimethylammonium chloride almost completely.
B-4: Synthetic mica (Somasif ME-100: manufactured by Corp Chemical Co., Ltd.) obtained by almost completely ion-exchanging triphenylmethylammonium chloride.
B-5: Synthetic mica (Somasif ME-100: manufactured by Corp Chemical Co., Ltd.) obtained by almost completely ion-exchanging dioctadecyldimethylammonium chloride.
[0141]
(C component)
C-1: Styrene-maleic anhydride copolymer (manufactured by Nova Chemical Japan Co., Ltd .: “DYLARK 332-80”, maleic anhydride content: about 15% by weight)
(Other components)
TMP: trimethyl phosphate (manufactured by Daihachi Chemical Industry Co., Ltd .: TMP), and the amount added was 0.1 part by weight per 100 parts by weight of component A in all compositions.
[0142]
[Examples 1 and 2, Comparative Examples 1 to 3]
The B component and the C component were mixed in the amount ratio shown in Table 1 with a diameter of 30 mmφ, L / D = 33.2, and a vented twin-screw extruder equipped with screws in two kneading zones (manufactured by Kobe Steel Ltd.): Using KTX30), the mixture was melt-kneaded at a cylinder temperature of 200 ° C., extruded, and strand-cut to obtain pellets. Using the obtained pellets, dry-blending the mixture of the component B and the component C and the component A so that the final ratio is as shown in Table 3, then a diameter of 30 mmφ, L / D = 33.2, and kneading. Using a vented twin-screw extruder equipped with screws in two zones (KTX30, manufactured by Kobe Steel Ltd.), the mixture was melt-kneaded at a cylinder temperature of 280 ° C., extruded, and strand-cut to obtain pellets.
[0143]
The obtained pellets were dried at 100 ° C. for 5 hours using a hot-air circulation dryer. After drying, the test piece was molded by an injection molding machine (manufactured by Toshiba Machine Co., Ltd .: IS-150EN) at a cylinder temperature of 260 ° C, a mold temperature of 80 ° C, and a molding cycle of 40 seconds. Table 1 shows the measurement results for these.
[0144]
[Table 1]
Figure 2004203928
[0145]
As is clear from the above table, the thermoplastic resin composition of the present invention has a good rigidity and a very good hydrolysis resistance by satisfying a specific dispersion form, and further has a good heat stability. It can be seen that a thermoplastic resin composition is provided. In particular, the thermal stability is particularly good when the layered silicate of the component B and the component C are kneaded in advance. This provides a thermoplastic resin composition, particularly an aromatic polycarbonate resin composition, comprising a layered silicate which is practical and applicable in a wide range of fields. It can be seen that the specific effects described above are specifically obtained in the unique dispersion state of the present invention. Due to this dispersion state, the rigidity and hydrolysis resistance are significantly improved.
[0146]
【The invention's effect】
The thermoplastic resin composition of the present invention has good rigidity, has good hydrolysis resistance, and further has a good thermal stability. It is a plastic resin composition. Further, the thermoplastic resin composition of the present invention has melt viscosity characteristics suitable for both injection molding and extrusion molding, and is excellent in moldability. Therefore, it is useful in a wide range of fields such as the thermoplastic resin composition of the present invention, electric and electronic parts, OA equipment parts, automobile parts, agricultural materials, fishery materials, transport containers, packaging containers, and miscellaneous goods. It is particularly useful in the field of electrical and electronic parts, OA equipment parts, and automobile parts, and the industrial effects achieved are outstanding.

Claims (6)

(A)非晶性熱可塑性樹脂(A成分)100重量部あたり、(B)50〜200ミリ当量/100gの陽イオン交換容量を有する層状珪酸塩(B成分)0.1〜50重量部からなる熱可塑性樹脂組成物であって、B成分は樹脂組成物中において、X線回折より求められるシリケート層の平均積層数が5〜40であり、かつ底面間隔が、1.3〜2.3nmの範囲内である熱可塑性樹脂組成物。(B) 0.1 to 50 parts by weight of a layered silicate (component B) having a cation exchange capacity of 50 to 200 meq / 100 g per 100 parts by weight of the amorphous thermoplastic resin (component A) In the thermoplastic resin composition, the B component has an average number of silicate layers of 5 to 40 determined by X-ray diffraction in the resin composition, and a bottom surface interval of 1.3 to 2.3 nm. The thermoplastic resin composition which is within the range of. 上記B成分が、層状珪酸塩の陽イオン交換容量の40%以上の割合で有機オニウムイオンが層間にイオン交換されてなる有機化層状珪酸塩である請求項1に記載の熱可塑性樹脂組成物。The thermoplastic resin composition according to claim 1, wherein the B component is an organically modified layered silicate obtained by ion-exchanging organic onium ions between layers at a rate of 40% or more of the cation exchange capacity of the layered silicate. 上記熱可塑性樹脂組成物は、更にA成分100重量部あたり、(C)A成分の非晶性熱可塑性樹脂との親和性を有しかつ親水性成分を有する化合物(C成分)0.1〜50重量部を含んでなる請求項1〜2のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。The thermoplastic resin composition further comprises (C) a compound having an affinity for the amorphous thermoplastic resin of component (C) and having a hydrophilic component (component (C)) of 0.1 to 100 parts by weight per component A. The thermoplastic resin composition according to any one of claims 1 to 2, comprising 50 parts by weight. 上記A成分は少なくとも50重量%が芳香族ポリカーボネート樹脂である請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。The thermoplastic resin composition according to any one of claims 1 to 3, wherein at least 50% by weight of the component A is an aromatic polycarbonate resin. 上記C成分は、カルボキシル基及び/又はその誘導体からなる官能基を有するスチレン含有重合体である請求項3または4のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。5. The thermoplastic resin composition according to claim 3, wherein the C component is a styrene-containing polymer having a functional group comprising a carboxyl group and / or a derivative thereof. 6. 上記B成分とC成分とを予め溶融混練した後に、該溶融混練物とA成分とを多軸押出機を用いて溶融混練してなる請求項3〜5のいずれか1項に記載の熱可塑性樹脂組成物。The thermoplastic resin according to any one of claims 3 to 5, wherein after melt-kneading the component (B) and the component (C), the melt-kneaded product and the component (A) are melt-kneaded using a multi-screw extruder. Resin composition.
JP2002371660A 2002-12-24 2002-12-24 Thermoplastic resin composition Expired - Fee Related JP4137627B2 (en)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002371660A JP4137627B2 (en) 2002-12-24 2002-12-24 Thermoplastic resin composition

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2002371660A JP4137627B2 (en) 2002-12-24 2002-12-24 Thermoplastic resin composition

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2004203928A true JP2004203928A (en) 2004-07-22
JP4137627B2 JP4137627B2 (en) 2008-08-20

Family

ID=32810492

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2002371660A Expired - Fee Related JP4137627B2 (en) 2002-12-24 2002-12-24 Thermoplastic resin composition

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4137627B2 (en)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011063723A (en) * 2009-09-17 2011-03-31 Toyota Central R&D Labs Inc Polycarbonate-based composite material, method for producing the same, and molding

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2011063723A (en) * 2009-09-17 2011-03-31 Toyota Central R&D Labs Inc Polycarbonate-based composite material, method for producing the same, and molding

Also Published As

Publication number Publication date
JP4137627B2 (en) 2008-08-20

Similar Documents

Publication Publication Date Title
KR100849867B1 (en) Thermoplastic resin composition, molded article, and process for producing the same
JP4229678B2 (en) Light diffusing polycarbonate resin composition and light diffusing plate
JP4229679B2 (en) Highly reflective resin composition
KR100942682B1 (en) Aromatic polycarbonate resin composition
JP4220758B2 (en) Aromatic polycarbonate resin composition and mirror using the same
JP4354690B2 (en) Thermoplastic resin composition and thin molded product comprising the same
JP4354688B2 (en) Thermoplastic resin composition
JP4137627B2 (en) Thermoplastic resin composition
JP4108446B2 (en) Polycarbonate resin composition
JP4651927B2 (en) Aromatic polycarbonate resin composition
JP4116421B2 (en) Aromatic polycarbonate resin composition
JP2004042595A (en) Resin molded product having metallic layer or metallic oxide layer
JP4116462B2 (en) Method for producing resin composition, and pellet and injection molded product comprising resin composition produced thereby
JP3976617B2 (en) Thermoplastic resin composition
JP2004203926A (en) Thermoplastic resin composition
JP2003012899A (en) Resin composition
JP2004051817A (en) Thermoplastic resin composition, molding, and method for producing the molding
JP2004217903A (en) Aromatic polycarbonate resin composition
JP4229677B2 (en) Optical disc substrate formed from aromatic polycarbonate resin composition
JP4116373B2 (en) Foam formed from polycarbonate resin composition
JP4354689B2 (en) Thermoplastic resin composition
JP3976616B2 (en) Thermoplastic resin composition for molding, and molded product produced from the resin composition
JP3986888B2 (en) Resin composition and additive for resin
JP2004203930A (en) Aromatic polycarbonate resin composition
JP2004204005A (en) Aromatic polycarbonate resin composition

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20050912

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080131

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080212

A521 Written amendment

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080410

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080513

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080604

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4137627

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110613

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130613

Year of fee payment: 5

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20140613

Year of fee payment: 6

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees