JP2004203813A - クロメン化合物 - Google Patents
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Abstract
【課題】初期着色が小さく且つ光照射時の発色濃度が高く更に退色速度が著しく速い新規なフォトクロミック化合物を提供することを目的とする。
【解決手段】クロメン骨格に2−キノロンが、クロメンの5位及び6位の炭素が夫々2−キノロンの3位及び4位の炭素となるような形で縮環した基本構造を有する、下記式(1)
【化1】
で示されるクロメン化合物。
但し、上記式中Xを含む2価の環基はフェニレン基などの置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基等であり、R1は水素原子又はアルキル基等の置換基であり、R2はヒドロキシル基、アルキル基等の置換基であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基等の置換基でありmは0〜4の整数である。
【選択図】 なし
【解決手段】クロメン骨格に2−キノロンが、クロメンの5位及び6位の炭素が夫々2−キノロンの3位及び4位の炭素となるような形で縮環した基本構造を有する、下記式(1)
【化1】
で示されるクロメン化合物。
但し、上記式中Xを含む2価の環基はフェニレン基などの置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基等であり、R1は水素原子又はアルキル基等の置換基であり、R2はヒドロキシル基、アルキル基等の置換基であり、R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基等の置換基でありmは0〜4の整数である。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトクロミック材料として好適な新規なクロメン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック眼鏡とは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能する眼鏡である。フォトクロミック眼鏡の中でも安全性や軽量性の観点からプラスチックレンズを使用したものに対する需要は年々増大している。
【0003】
このフォトクロミックプラスチック眼鏡レンズにおいては、光未照射状態において着色(初期着色という)がなく透明であること、光照射時の発色濃度が高いこと、退色が速いことなどが求められている。一般に、プラスチックレンズへのフォトクロミック性の付与はフォトクロミック化合物をプラスチックレンズ基材中に分散させることにより行われるため、そのような目的で使用されるフォトクロミック化合物ついても同様の特性が求められている。
【0004】
クロメン化合物はこのような要求を満足し得るフォトクロミック化合物として注目されており、良好なフォトクロミック物性バランスを有するクロメン化合物も既に幾つか見出されている。例えば、下記式(A)で示されるクロメン化合物は、初期着色について難点があるものの(後述の比較例参照)、光照射時の発色濃度が高く、退色が速いことが知られている(特許文献1参照)。また、下記式(B)で示されるクロメン化合物は、光照射時の発色濃度が高く、初期着色も小さく、更に退色速度も比較的速いことが知られている(特許文献2参照)。そして、このようなクロメン化合物を用いることにより、フォトクロミック性プラスチックレンズの性能は大幅に向上している。
【0005】
【化3】
【0006】
【化4】
【0007】
【特許文献1】
国際公開第99/23071号パンフレット
【特許文献2】
特開平11−154272号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォトクロミック性プラスチックレンズの分野においては、そのフォトクロミック特性に対する要求は年々厳しくなっており、このような要求を満足させるようなフォトクロミック化合物の開発が望まれている。特に、屋外から屋内に移動した際に速やかに透明な状態となるフォトクロミック性プラスチックレンズへの要求は高く、このような要求に応えるために、退色速度が従来のクロメン化合物と比較して格段に向上した新規なフォトクロミック化合物の開発が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、このような特徴、即ち初期着色が小さく且つ光照射時の発色濃度が高く更に退色速度が著しく速い新規なフォトクロミック化合物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を続けてきた。その結果、クロメン骨格に2−キノロン(2−Qunolone)が、クロメンの5位及び6位の炭素が夫々2−キノロンの3位及び4位の炭素となるような形で縮環した基本構造を有する新規な構造のクロメン化合物は、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記式(1)
【0012】
【化5】
【0013】
{式中、下記式(2)
【0014】
【化6】
【0015】
で示される基は、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基であり、
R1は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であり、R2はヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基または重合性置換基であり、mは0〜4の整数であり、
R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基であるか、またはR3とR4とが一緒になって環を形成する基である。}
で示されるクロメン化合物である。
【0016】
また、他の本発明は、上記式(1)で示されるクロメン化合物よりなるフォトクロミック材である。さらに他の本発明は、透明樹脂製基材中に本発明のクロメン化合物が分散されてなることを特徴とする光学物品又は透明基材の少なくとも一方の面上に本発明のクロメン化合物を含有する被膜が形成されてなることを特徴とする光学物品のような、本発明のクロメン化合物を含んでなるフォトクロミック光学物品である。
【0017】
【発明の実施の形態】
前記式(1)において、下記式(2)
【0018】
【化7】
【0019】
で示される基は、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基 または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基である。
【0020】
上記の2価の非置換芳香族炭化水素基としては、特に制限はされないが、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。好適な芳香族炭化水素基を例示すると、フェニレン基、ナフチレン基、フルオリレン基、フェナンスリレン基等を挙げることができる。
【0021】
また、2価の非置換芳香族複素環基としては、特に制限されないが、酸素、硫黄、または窒素原子を含む5員環或いは6員環の複素環基 またはこれら環にベンゼン環が縮環した複素環基が好ましい。好適な当該芳香族複素環基を例示すると、ピリジンジイル基、キノリンジイル基、ピロリンジイル基、インドリンジイル基等の2価の含窒素複素環、フランジイル基、ベンゾフランジイル基等の2価の含酸素複素環、チオフェンジイル基、ベンゾチオフェンジイル基等の2価の含硫黄複素環などを挙げることができる。
【0022】
また、2価の置換芳香族炭化水素基および2価の置換芳香族複素環基としては、それぞれ上記2価の非置換芳香族炭化水素基および2価の非置換の芳香族複素環基の水素原子の1又は2以上、好ましくは1〜2個が置換基で置換されたものが挙げられる。ここで、置換基として好適なものを例示すれば、ヒドロキシル基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アラルキル基;アラルコシ基;アミノ基;置換アミノ基;シアノ基;ニトロ基;置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基;置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基;ハロゲン原子;ハロゲノアルキル基;ハロゲノアルコキシ基;窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子に遊離原子価{前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に結合するための未結合手(不対電子)を意味する。}をもつ置換もしくは非置換の複素環基;または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基;および重合性置換基等を挙げることができる。
【0023】
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲノアルキル基、窒素原子をヘテロ原子として有して該窒素原子に遊離原子価をもつ置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基、重合性基が特に好ましい。なお、これら置換基が結合する位置ならびにその総数には特に制限はない。
【0024】
上記置換基としてのアルキル基は、特に限定はされないが、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0025】
前記置換基としてのシクロアルキル基は、特に限定はされないが、炭素数3〜12のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0026】
前記置換基としてのアルコキシ基は、特に限定されないが、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0027】
前記置換基としてのアラルキル基は、特に制限されないが、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。
【0028】
前記置換基としてのアラルコキシ基は、特に限定されないが炭素数6〜10のアラルコシ基が好ましい。好適なアラルコキシ基を具体的に例示すると、フェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。
【0029】
前記置換基としての置換アミノ基としては、特に限定されないが、アルキル基またはアリール基が置換したアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基またはジアリールアミノ基が好適であり、好適な置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
【0030】
前記置換基としての1価の非置換芳香族炭化水素基および1価の非置換芳香族複素環基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオリル基、フェナンスリル基、ピリジル基、キノリル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基などを挙げることができる。また、これら1価の基が置換基を有する場合の当該置換基としては前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基における置換基と同様のものを挙げることができる。
【0031】
また、前記置換基としてのハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
【0032】
前記置換基としてのハロゲノアルキル基は、上述のアルキル基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子あるいは臭素原子で置換されたものが挙げられる。ハロゲノアルキル基として好適なものを例示すると、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0033】
前記置換基としてのハロゲノアルコシ基としては、上述のアルコキシ基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、あるいは臭素原子で置換されたものが挙げられる。ハロゲノアルコキシ基として特に好適なものを例示すると、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等を挙げることができる。
【0034】
前記置換基としての窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子に遊離原子価をもつ置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基としては、特に限定されないが、該複素環基を構成する炭素原子の数は2〜10、特に2〜6であるものが好ましい。該複素環内には、遊離原子価をもつ窒素原子(別言すれば、前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に結合する窒素原子)の他にさらにヘテロ原子が存在していてもよい。該ヘテロ原子は特に限定されないが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が好適である。このような複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基として好適なものを例示するとモルホリノ基、ピペリジノ基、1−ピペラジニル基、1−ピロリジニル基、1−イミダゾリジニル基、インドリル基、カルバゾリル基、1−インドリニル基等が挙げられる。
【0035】
前記置換基としての重合性置換基としては、少なくとも1つの重合性官能基を末端基および/または分岐基として有する有機残基であって前記した置換基以外の基を用いることが出来る。ここで、上記重合性官能基は、付加重合性官能基および/または重付加性官能基であるのが好適である。付加重合性官能基は、炭素−炭素二重結合を有し、それ自体で他の2個の官能基と付加反応を生じうる重合性官能基であれば特に限定されず、好適なものとしてはアクリロイル基およびメタアクリロイル基(以下まとめて、(メタ)アクリロイル基と記す)、およびチオアクリロイル基およびチオメタアクリロイル基(以下まとめて、チオ(メタ)アクリロイル基と記す)、ビニル基、アリル基等が挙げられる。また、重付加性官能基は、炭素−炭素二重結合以外からなり、それ自体で他の1個の官能基との付加反応を生じ得る重合性官能基であり、好適なものとしてはメルカプト基、フェノール性水酸基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、エピスルフィド基、カルボキシル基、スルホキシル基、エポキシ基、オキソラン基、2−(メタクロキシ)エチルカルバミル基、オキシラニルメチル基等が挙げられる。
【0036】
置換基として重合性置換基を有することにより、溶媒または重合性単量体に対する分散性および溶解性が向上し、より優れたフォトクロミック特性を有する光学物品を得ることができる。このため、前記式(2)で示される基は、置換基として重合性置換基に含まれる重合性官能基が付加重合性官能基である場合には1個以上、該重合性官能基が重付加性官能基である場合には2個以上有する2価の芳香族炭化水素基又は2価の芳香族複素環基であるのが好適である。なお、合成のしやすさの点からは何れの重合性官能基を有する場合も重合性置換基の数は4個以下であることが好ましい。
【0037】
前記した重合性官能基の中でも、重合性単量体に対する溶解性という観点から、付加重合性官能基が(メタ)アクリロイル基、チオ(メタ)アクリロイル基であり、重付加性官能基がメルカプト基、(チオ)イソシアナト基、エピスルフィド基である重合性置換基が好ましく、さらに(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
【0038】
重合性基導入の効果の観点から、重合性置換基としては、下記式(I)又は(II)で示されるものが特に好ましい。
【0039】
【化8】
【0040】
なお上記式(I)中、基「−A−」は下記
【0041】
【化9】
【0042】
(但し、R’は、素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。)
で表される何れかの基であり、x、yおよびzは、それぞれ、これらの総数(x+y+z)が1〜50となる0〜50の整数であり、aは基「−A−」が「−N−C(=O)}−N−C(=O)−」又は「−N=」の場合には2であり、それ以外の基の場合には1であり、基「−D」は水素原子、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基を有する1価の有機残基、カルボキシル基を有する1価の有機残基、オキソラン基、炭素数1〜6の分岐していても良いアミノアルキル基又はオキシラニルメチル基である。
【0043】
また、上記式(II)における基「−A−」、基「−D」x、y、およびzはそれぞれ式(I)におけるのと同義であり、x’、y’およびz’はそれぞれx、yおよびzと異なっていてもよい、これらの総数(x’+y’+z’)が1〜50となる0〜50の整数であり、基「−E−」は、環状の基を含む2価の有機残基である。
【0044】
前記基「−A−」としては、フォトクロミック物性、合成のし易さの点で、「−CH2O−」、「−O−C(=O)−」又は「−O−」が好ましい。また、R’の炭素数1〜20のアルキル基としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、デシル基、ステアリル基等が挙げられる。また、x、yおよびzの総数並びにx’、y’およびz’の総数は5〜20であることが好ましい。また、基[−D]におけるエポキシ基を有する1価の有機残基としては、エポキシ基、グリシジル基が挙げられるが、特にグリシジル基が好ましい。また、基[−D]におけるカルボキシル基を有する1価の有機残基としては、特に「−OCH2CO2H」、「−OCH(CH3)CO2H」、「−OC(=O)−CH2−CO2H」が好ましい。基[−D]における炭素数1〜6の分岐していても良いアミノアルキル基としては、2−アミノエチル基、2−アミノブチル基等が挙げられる。また、前記基「−E−」は、環状の基を含むものであれば特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。当該基「−E−」として好適な基を具体的に例示すれば下記に示すものが挙げられる。
【0045】
【化10】
【0046】
前記式(1)において、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基である。ここでアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基は前述の式(2)で示される基に於ける置換基として説明した基と同様であるが、合成の容易さという観点から、メチル基、エチル基、n−プルピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、ベンジル基等が特に好適に用いられる。
【0047】
前記一般式(1)において、R2はヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基または重合性基である。これらの基は前述の式(2)で示される基に於ける置換基として説明した基と同様である。また、式中のmは置換基R2の個数を表す整数であり、0〜4である。mが2以上のとき、置換基R2は同一であっても異なっていてもよい。また、R2が結合する位置に特に制限はない。
【0048】
前記一般式(1)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基である。また、R3及びR4は互いに結合して環を形成する基であってもよい。
【0049】
ここで、アルキル基は、前述の式(2)で示される基に於ける置換基として説明した基と同様である。また、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基および置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基は、価数が2価から1価に変わる他は前記式(2)で説明した基と同様のものを挙げることができる。さらに、R3とR4とが互いに結合して形成される環は、脂肪族炭化水素環、複素環、及び芳香族炭化水素環のいずれであってもよい。脂肪族炭化水素環を形成する場合においては、特に制限されるものではないが、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環、アダマンタン環等の炭素数7〜18の橋かけ環式のものが好ましい。同様に、複素環を形成する場合においては、特に制限されるものではないが、アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン環、デカヒドロ−シクロペンタアゼピン環、アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン環等の環を形成する原子数6〜18の橋かけ環式のものが好ましい。さらに、同様に芳香族炭化水素環を構成する場合においては、特に制限されるものではないが、フルオレン環、フェナントレン環等が好ましい。また、これらの環基は前述した式(2)における置換基と同様の置換基として有していてもよく、その総数や置換位置に制限はない。
【0050】
本発明のクロメン化合物に於いては、より優れたフォトクロミック特性を得るという観点から、R3およびR4の少なくとも一方は、下記(i)〜(iv)のいずれかの基であることが特に好ましい。
【0051】
(i)非置換芳香族炭化水素基;
(ii)置換アミノ基、アルキル基あるいはアルコキシ基を置換基として有する置換芳香族炭化水素基;
(iii)置換芳香族炭化水素基であって、該置換基が、窒素原子をヘテロ原子として有しかつ該窒素原子を介して芳香族炭化水素基に結合している複素環基である基;
なお、上記(ii)〜(iii)における置換芳香族炭化水素基(置換アリール基)においては、置換基の置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、置換位置は芳香族炭化水素基がフェニル基であるときは3位もしくは4位に置換されることが好ましく、その数は1または2であることが好ましい。
当該置換フェニル基として、好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−プロポキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基等を挙げることができる。
【0052】
また、前記(ii)〜(iii)において、置換アリール基がフェニル基以外の場合には、置換基が置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、その数は1であることが好ましい。当該置換基アリール基としての、好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)チエニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フリル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)チエニル基、4−モルホリノピロリニル、基、6−ピペリジノベンゾチエニル基、6−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフラニル基等を挙げることができる。
【0053】
これらのクロメン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を挙げることができる。
【0054】
【化11】
【0055】
【化12】
【0056】
本発明の前記一般式(1)で示される化合物は、一般に常温常圧で無色の固体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
【0057】
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ5.9〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトンおよびアルケンのプロトンに基づくピーク、δ1.0〜4.0ppm付近にアルキル基およびアルキレン基に基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
【0058】
(ロ)元素分析によって相対する生成物の組成を決定することができる。
【0059】
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜80ppm付近にアルキル基およびアルキレン基の炭素に基づくピークが現れる。
【0060】
本発明の式(1)で示されるクロメン化合物の製造方法は、特に限定されずいかなる合成法によって得てもよい。一般に好適に採用される代表的な方法を以下に説明する。
【0061】
下記式(5)
【0062】
【化13】
【0063】
{ただし、R1、R2、m、および下記式(2)
【0064】
【化14】
【0065】
で示される基は、前記式(1)における定義と同義である。}
で示されるナフトール誘導体と下記式(6)
【0066】
【化15】
【0067】
{ただし、R3、およびR4は、前記式(1)における定義と同義である。}
で示されるプロパギルアルコール誘導体を酸触媒存在下で反応させることにより、前記式(1)のクロメン化合物を得る方法である。
【0068】
上記式(5)で示される化合物と式(6)で示される化合物との酸触媒存在下での反応は次のようにして行われる。すなわち、これら2種の化合物の反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。また、酸触媒としては硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンベンゼンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられ、上記一般式(5)で示される化合物と(6)で示される化合物(反応基質)の総和に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。反応温度は、通常0〜200℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。
【0069】
本発明の前記式(1)で示されるクロメン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般の有機溶媒によく溶解する。このような溶媒に式(1)で示されるクロメン化合物を溶解したとき、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断すると速やかに元の無色に戻る良好な可逆的なフォトクロミック作用を呈する。
【0070】
このような式(1)の化合物におけるフォトクロミック作用は、高分子固体マトリックス中でも同様な特性を示す。かかる対象となる高分子固体マトリックスとしては、本発明の式(1)で示されるクロメン化合物が均一に分散するものであればよく、光学的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0071】
さらに、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコレートジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸および多価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシコハク酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸および多価チオメタクリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAモノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル化合物およびメタクリル酸エステル化合物;ジビニルベンゼン等のラジカル重合性多官能単量体を重合してなる硬化性樹脂を挙げることができる。
【0072】
また、これらの各単量体とアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸およびチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン等のビニル化合物等のラジカル重合性単官能単量体との共重合体が挙げられる。
【0073】
また紫外線等の光照射により重合させる場合には、光重合開始剤としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アエトフェノン4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
【0074】
本発明の式(1)で示されるクロメン化合物を上記高分子固体マトリックス中へ分散させる方法としては特に制限はなく、一般的な手法を用いることができる。例えば上記熱可塑性樹脂とクロメン化合物を溶融状態にて混練し、樹脂中に分散させる方法、または上記重合性単量体にクロメン化合物を溶解させた後、重合触媒を加え熱または光にて重合させ樹脂中に分散させる方法、あるいは上記熱可塑性樹脂および硬化性樹脂の表面にクロメン化合物を染色することにより樹脂中に分散させる方法等をあげることができる。
【0075】
本発明のクロメン化合物はフォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば銀塩感光材に代わる各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料など種々の記憶材料として利用できる。その他、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレー材料、光量計、装飾などの材料としても利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のクロメン化合物を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウィッチする方法、または積層する方法、あるいは本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、非フォトクロミックレンズ基材の表面に本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させたフォトクロミック単量体を塗布し、レンズ表面に積層させる方法、あるいは、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。
さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。
【0076】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例1
下記のナフトール誘導体
【0078】
【化16】
【0079】
5.2g(0.020mol)と、下記のプロパギルアルコール誘導体
【0080】
【化17】
【0081】
5.5g(0.022mol)とをトルエン100mlに溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸を0.07g加えて還流温度で1時間攪拌した。反応後、溶媒を除去し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製することにより、淡青色粉末状の生成物を1.8g得た。収率は18%であった。
【0082】
この生成物の元素分析値はC82.66%、H5.53%、N5.50%、O6.31%であって、C29H33NO2の計算値であるC82.65%、H5.55%、N5.51%、O6.29%に極めて良く一致した。
【0083】
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ1.0〜4.0ppm付近にアルキレン基に基づく9Hのピーク、δ5.6〜δ9.0ppm付近にアロマティックなプロトンおよびアルケンのプロトンに基づく19Hのピークを示した。
【0084】
さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜60ppmにアルキルの炭素に基づくピークを示した。
【0085】
上記の結果から単離生成物は、下記構造式で示される化合物であることを確認した。
【0086】
【化18】
【0087】
実施例2〜8
実施例1と同様にして表1および表2に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1および表2に示す構造式で示される構造式で示される化合物であることを確認した。また、図1に実施例1で得られた化合物の1H―NMRスペクトルを示した。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
実施例1で得られたクロメン化合物0.04重量部をテトラエチレングリコールジメタクリレート13重量部、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン48重量部、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル2重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート9重量部に添加し、さらに重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート1重量部を加えて十分に混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃〜90℃で18時間かけ徐々に温度を上げ、90℃で2時間保持した。重合終了後、重合体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0091】
得られた重合体(厚さ2mm)を試料とし、これに浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度2.4mW/cm2(365nm)、24μW/cm2(245nm)で120秒間照射して発色させ、前記試料のフォトクロミック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のようなもので評価した。
【0092】
▲1▼ 極大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた発色後の極大吸収波長である。該極大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
【0093】
▲2▼ 発色濃度{ε(120)−ε(0)}:前記極大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度ε(120)と光未照射状態の吸光度ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0094】
▲3▼ 退色速度{t1/2(sec.)}:120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の半分まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0095】
▲4▼ 初期着色(YI):スガ試験機(株)製の色差計(SM−4)を用いて着色度を測定した。YIが小さいほど光未照射時の着色が少なく、優れているといえる。
【0096】
また、クロメン化合物として実施例2〜8で得られた化合物を用いた以外は上記と同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を評価した。その結果をまとめて表3に示した。
【0097】
【表3】
【0098】
さらに比較のために、下記式(A)、(B)
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
で示される化合物を用い同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を評価した。その結果を表4に示した。
【0102】
【表4】
【0103】
本発明のクロメン化合物を用いた実施例1〜8では、比較例AおよびBに比べて初期着色が小さく、また退色速度が著しく優れている。
【0104】
【発明の効果】
本発明のクロメン化合物は、溶液中または高分子固体マトリックス中で、非常に速い退色速度を示す。例えば、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミックレンズは、屋外から室内に戻った時にすばやく元の色調に戻る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、実施例1で得られた化合物の1H―NMRスペクトルである。
【発明の属する技術分野】
本発明は、フォトクロミック材料として好適な新規なクロメン化合物に関する。
【0002】
【従来の技術】
フォトクロミック眼鏡とは、太陽光のような紫外線を含む光が照射される屋外ではレンズが速やかに着色してサングラスとして機能し、そのような光の照射がない屋内においては退色して透明な通常の眼鏡として機能する眼鏡である。フォトクロミック眼鏡の中でも安全性や軽量性の観点からプラスチックレンズを使用したものに対する需要は年々増大している。
【0003】
このフォトクロミックプラスチック眼鏡レンズにおいては、光未照射状態において着色(初期着色という)がなく透明であること、光照射時の発色濃度が高いこと、退色が速いことなどが求められている。一般に、プラスチックレンズへのフォトクロミック性の付与はフォトクロミック化合物をプラスチックレンズ基材中に分散させることにより行われるため、そのような目的で使用されるフォトクロミック化合物ついても同様の特性が求められている。
【0004】
クロメン化合物はこのような要求を満足し得るフォトクロミック化合物として注目されており、良好なフォトクロミック物性バランスを有するクロメン化合物も既に幾つか見出されている。例えば、下記式(A)で示されるクロメン化合物は、初期着色について難点があるものの(後述の比較例参照)、光照射時の発色濃度が高く、退色が速いことが知られている(特許文献1参照)。また、下記式(B)で示されるクロメン化合物は、光照射時の発色濃度が高く、初期着色も小さく、更に退色速度も比較的速いことが知られている(特許文献2参照)。そして、このようなクロメン化合物を用いることにより、フォトクロミック性プラスチックレンズの性能は大幅に向上している。
【0005】
【化3】
【0006】
【化4】
【0007】
【特許文献1】
国際公開第99/23071号パンフレット
【特許文献2】
特開平11−154272号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、フォトクロミック性プラスチックレンズの分野においては、そのフォトクロミック特性に対する要求は年々厳しくなっており、このような要求を満足させるようなフォトクロミック化合物の開発が望まれている。特に、屋外から屋内に移動した際に速やかに透明な状態となるフォトクロミック性プラスチックレンズへの要求は高く、このような要求に応えるために、退色速度が従来のクロメン化合物と比較して格段に向上した新規なフォトクロミック化合物の開発が望まれている。
【0009】
そこで、本発明は、このような特徴、即ち初期着色が小さく且つ光照射時の発色濃度が高く更に退色速度が著しく速い新規なフォトクロミック化合物を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記の課題を解決すべく、本発明者らは鋭意研究を続けてきた。その結果、クロメン骨格に2−キノロン(2−Qunolone)が、クロメンの5位及び6位の炭素が夫々2−キノロンの3位及び4位の炭素となるような形で縮環した基本構造を有する新規な構造のクロメン化合物は、上記課題を解決し得ることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0011】
即ち、本発明は、下記式(1)
【0012】
【化5】
【0013】
{式中、下記式(2)
【0014】
【化6】
【0015】
で示される基は、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基、または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基であり、
R1は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であり、R2はヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基または重合性置換基であり、mは0〜4の整数であり、
R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基であるか、またはR3とR4とが一緒になって環を形成する基である。}
で示されるクロメン化合物である。
【0016】
また、他の本発明は、上記式(1)で示されるクロメン化合物よりなるフォトクロミック材である。さらに他の本発明は、透明樹脂製基材中に本発明のクロメン化合物が分散されてなることを特徴とする光学物品又は透明基材の少なくとも一方の面上に本発明のクロメン化合物を含有する被膜が形成されてなることを特徴とする光学物品のような、本発明のクロメン化合物を含んでなるフォトクロミック光学物品である。
【0017】
【発明の実施の形態】
前記式(1)において、下記式(2)
【0018】
【化7】
【0019】
で示される基は、置換もしくは非置換の2価の芳香族炭化水素基 または置換もしくは非置換の2価の芳香族複素環基である。
【0020】
上記の2価の非置換芳香族炭化水素基としては、特に制限はされないが、炭素数6〜18の芳香族炭化水素基が好ましい。好適な芳香族炭化水素基を例示すると、フェニレン基、ナフチレン基、フルオリレン基、フェナンスリレン基等を挙げることができる。
【0021】
また、2価の非置換芳香族複素環基としては、特に制限されないが、酸素、硫黄、または窒素原子を含む5員環或いは6員環の複素環基 またはこれら環にベンゼン環が縮環した複素環基が好ましい。好適な当該芳香族複素環基を例示すると、ピリジンジイル基、キノリンジイル基、ピロリンジイル基、インドリンジイル基等の2価の含窒素複素環、フランジイル基、ベンゾフランジイル基等の2価の含酸素複素環、チオフェンジイル基、ベンゾチオフェンジイル基等の2価の含硫黄複素環などを挙げることができる。
【0022】
また、2価の置換芳香族炭化水素基および2価の置換芳香族複素環基としては、それぞれ上記2価の非置換芳香族炭化水素基および2価の非置換の芳香族複素環基の水素原子の1又は2以上、好ましくは1〜2個が置換基で置換されたものが挙げられる。ここで、置換基として好適なものを例示すれば、ヒドロキシル基;アルキル基;シクロアルキル基;アルコキシ基;アラルキル基;アラルコシ基;アミノ基;置換アミノ基;シアノ基;ニトロ基;置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基;置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基;ハロゲン原子;ハロゲノアルキル基;ハロゲノアルコキシ基;窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子に遊離原子価{前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に結合するための未結合手(不対電子)を意味する。}をもつ置換もしくは非置換の複素環基;または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基;および重合性置換基等を挙げることができる。
【0023】
上記置換基としては、アルキル基、シクロアルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、置換アミノ基、ハロゲノアルキル基、窒素原子をヘテロ原子として有して該窒素原子に遊離原子価をもつ置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基、重合性基が特に好ましい。なお、これら置換基が結合する位置ならびにその総数には特に制限はない。
【0024】
上記置換基としてのアルキル基は、特に限定はされないが、炭素数1〜4のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基等を挙げることができる。
【0025】
前記置換基としてのシクロアルキル基は、特に限定はされないが、炭素数3〜12のアルキル基が好ましい。好適なアルキル基を例示すると、シクロプロピル基、シクロブチル、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等を挙げることができる。
【0026】
前記置換基としてのアルコキシ基は、特に限定されないが、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましい。好適なアルコキシ基を具体的に例示すると、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基等を挙げることができる。
【0027】
前記置換基としてのアラルキル基は、特に制限されないが、炭素数7〜11のアラルキル基が好ましい。好適なアラルキル基を例示すると、ベンジル基、フェニルエチル基、フェニルプロピル基、フェニルブチル基等を挙げることができる。
【0028】
前記置換基としてのアラルコキシ基は、特に限定されないが炭素数6〜10のアラルコシ基が好ましい。好適なアラルコキシ基を具体的に例示すると、フェノキシ基、ナフトキシ基等を挙げることができる。
【0029】
前記置換基としての置換アミノ基としては、特に限定されないが、アルキル基またはアリール基が置換したアルキルアミノ基、ジアルキルアミノ基、アリールアミノ基またはジアリールアミノ基が好適であり、好適な置換アミノ基を具体的に例示すると、メチルアミノ基、エチルアミノ基、フェニルアミノ基、ジメチルアミノ基、ジエチルアミノ基、ジフェニルアミノ基等を挙げることできる。
【0030】
前記置換基としての1価の非置換芳香族炭化水素基および1価の非置換芳香族複素環基としては、フェニル基、ナフチル基、フルオリル基、フェナンスリル基、ピリジル基、キノリル基、ピロリル基、インドリル基、フリル基、ベンゾフラニル基、チエニル基、ベンゾチエニル基などを挙げることができる。また、これら1価の基が置換基を有する場合の当該置換基としては前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基における置換基と同様のものを挙げることができる。
【0031】
また、前記置換基としてのハロゲン原子としてはフッ素原子、塩素原子、臭素原子、またはヨウ素原子を挙げることができる。
【0032】
前記置換基としてのハロゲノアルキル基は、上述のアルキル基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子あるいは臭素原子で置換されたものが挙げられる。ハロゲノアルキル基として好適なものを例示すると、フルオロメチル基、ジフルオロメチル基、トリフルオロメチル基等を挙げることができる。
【0033】
前記置換基としてのハロゲノアルコシ基としては、上述のアルコキシ基の1または2以上の水素原子がフッ素原子、塩素原子、あるいは臭素原子で置換されたものが挙げられる。ハロゲノアルコキシ基として特に好適なものを例示すると、フルオロメトキシ基、ジフルオロメトキシ基、トリフルオロメトキシ基等を挙げることができる。
【0034】
前記置換基としての窒素原子をヘテロ原子として有し、該窒素原子に遊離原子価をもつ置換もしくは非置換の複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基としては、特に限定されないが、該複素環基を構成する炭素原子の数は2〜10、特に2〜6であるものが好ましい。該複素環内には、遊離原子価をもつ窒素原子(別言すれば、前記2価の芳香族炭化水素基または2価の芳香族複素環基に結合する窒素原子)の他にさらにヘテロ原子が存在していてもよい。該ヘテロ原子は特に限定されないが、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が好適である。このような複素環基、または該複素環基に芳香族炭化水素環もしくは芳香族複素環が縮合した縮合複素環基として好適なものを例示するとモルホリノ基、ピペリジノ基、1−ピペラジニル基、1−ピロリジニル基、1−イミダゾリジニル基、インドリル基、カルバゾリル基、1−インドリニル基等が挙げられる。
【0035】
前記置換基としての重合性置換基としては、少なくとも1つの重合性官能基を末端基および/または分岐基として有する有機残基であって前記した置換基以外の基を用いることが出来る。ここで、上記重合性官能基は、付加重合性官能基および/または重付加性官能基であるのが好適である。付加重合性官能基は、炭素−炭素二重結合を有し、それ自体で他の2個の官能基と付加反応を生じうる重合性官能基であれば特に限定されず、好適なものとしてはアクリロイル基およびメタアクリロイル基(以下まとめて、(メタ)アクリロイル基と記す)、およびチオアクリロイル基およびチオメタアクリロイル基(以下まとめて、チオ(メタ)アクリロイル基と記す)、ビニル基、アリル基等が挙げられる。また、重付加性官能基は、炭素−炭素二重結合以外からなり、それ自体で他の1個の官能基との付加反応を生じ得る重合性官能基であり、好適なものとしてはメルカプト基、フェノール性水酸基、イソシアナト基、チオイソシアナト基、エピスルフィド基、カルボキシル基、スルホキシル基、エポキシ基、オキソラン基、2−(メタクロキシ)エチルカルバミル基、オキシラニルメチル基等が挙げられる。
【0036】
置換基として重合性置換基を有することにより、溶媒または重合性単量体に対する分散性および溶解性が向上し、より優れたフォトクロミック特性を有する光学物品を得ることができる。このため、前記式(2)で示される基は、置換基として重合性置換基に含まれる重合性官能基が付加重合性官能基である場合には1個以上、該重合性官能基が重付加性官能基である場合には2個以上有する2価の芳香族炭化水素基又は2価の芳香族複素環基であるのが好適である。なお、合成のしやすさの点からは何れの重合性官能基を有する場合も重合性置換基の数は4個以下であることが好ましい。
【0037】
前記した重合性官能基の中でも、重合性単量体に対する溶解性という観点から、付加重合性官能基が(メタ)アクリロイル基、チオ(メタ)アクリロイル基であり、重付加性官能基がメルカプト基、(チオ)イソシアナト基、エピスルフィド基である重合性置換基が好ましく、さらに(メタ)アクリロイル基が特に好ましい。
【0038】
重合性基導入の効果の観点から、重合性置換基としては、下記式(I)又は(II)で示されるものが特に好ましい。
【0039】
【化8】
【0040】
なお上記式(I)中、基「−A−」は下記
【0041】
【化9】
【0042】
(但し、R’は、素原子または炭素数1〜20のアルキル基である。)
で表される何れかの基であり、x、yおよびzは、それぞれ、これらの総数(x+y+z)が1〜50となる0〜50の整数であり、aは基「−A−」が「−N−C(=O)}−N−C(=O)−」又は「−N=」の場合には2であり、それ以外の基の場合には1であり、基「−D」は水素原子、(メタ)アクリロイル基、エポキシ基を有する1価の有機残基、カルボキシル基を有する1価の有機残基、オキソラン基、炭素数1〜6の分岐していても良いアミノアルキル基又はオキシラニルメチル基である。
【0043】
また、上記式(II)における基「−A−」、基「−D」x、y、およびzはそれぞれ式(I)におけるのと同義であり、x’、y’およびz’はそれぞれx、yおよびzと異なっていてもよい、これらの総数(x’+y’+z’)が1〜50となる0〜50の整数であり、基「−E−」は、環状の基を含む2価の有機残基である。
【0044】
前記基「−A−」としては、フォトクロミック物性、合成のし易さの点で、「−CH2O−」、「−O−C(=O)−」又は「−O−」が好ましい。また、R’の炭素数1〜20のアルキル基としてはメチル基、エチル基、t−ブチル基、t−オクチル基、デシル基、ステアリル基等が挙げられる。また、x、yおよびzの総数並びにx’、y’およびz’の総数は5〜20であることが好ましい。また、基[−D]におけるエポキシ基を有する1価の有機残基としては、エポキシ基、グリシジル基が挙げられるが、特にグリシジル基が好ましい。また、基[−D]におけるカルボキシル基を有する1価の有機残基としては、特に「−OCH2CO2H」、「−OCH(CH3)CO2H」、「−OC(=O)−CH2−CO2H」が好ましい。基[−D]における炭素数1〜6の分岐していても良いアミノアルキル基としては、2−アミノエチル基、2−アミノブチル基等が挙げられる。また、前記基「−E−」は、環状の基を含むものであれば特に限定されるものではなく、また、その主鎖中に、エステル結合、エーテル結合、アミド結合、チオエーテル結合、スルホニル結合、ウレタン結合等の炭素−炭素結合以外の結合を含んでいてもよい。当該基「−E−」として好適な基を具体的に例示すれば下記に示すものが挙げられる。
【0045】
【化10】
【0046】
前記式(1)において、R1はアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基である。ここでアルキル基、シクロアルキル基、アラルキル基は前述の式(2)で示される基に於ける置換基として説明した基と同様であるが、合成の容易さという観点から、メチル基、エチル基、n−プルピル基、sec−プロピル基、n−ブチル基、ベンジル基等が特に好適に用いられる。
【0047】
前記一般式(1)において、R2はヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基または重合性基である。これらの基は前述の式(2)で示される基に於ける置換基として説明した基と同様である。また、式中のmは置換基R2の個数を表す整数であり、0〜4である。mが2以上のとき、置換基R2は同一であっても異なっていてもよい。また、R2が結合する位置に特に制限はない。
【0048】
前記一般式(1)において、R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基である。また、R3及びR4は互いに結合して環を形成する基であってもよい。
【0049】
ここで、アルキル基は、前述の式(2)で示される基に於ける置換基として説明した基と同様である。また、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基および置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基は、価数が2価から1価に変わる他は前記式(2)で説明した基と同様のものを挙げることができる。さらに、R3とR4とが互いに結合して形成される環は、脂肪族炭化水素環、複素環、及び芳香族炭化水素環のいずれであってもよい。脂肪族炭化水素環を形成する場合においては、特に制限されるものではないが、ビシクロ[2.2.1]ヘプタン環、ビシクロ[2.2.2]オクタン環、ビシクロ[3.2.1]オクタン環、ビシクロ[3.3.1]ノナン環、アダマンタン環等の炭素数7〜18の橋かけ環式のものが好ましい。同様に、複素環を形成する場合においては、特に制限されるものではないが、アザ−ビシクロ[2.2.2]オクタン環、デカヒドロ−シクロペンタアゼピン環、アザ−ビシクロ[3.2.1]オクタン環等の環を形成する原子数6〜18の橋かけ環式のものが好ましい。さらに、同様に芳香族炭化水素環を構成する場合においては、特に制限されるものではないが、フルオレン環、フェナントレン環等が好ましい。また、これらの環基は前述した式(2)における置換基と同様の置換基として有していてもよく、その総数や置換位置に制限はない。
【0050】
本発明のクロメン化合物に於いては、より優れたフォトクロミック特性を得るという観点から、R3およびR4の少なくとも一方は、下記(i)〜(iv)のいずれかの基であることが特に好ましい。
【0051】
(i)非置換芳香族炭化水素基;
(ii)置換アミノ基、アルキル基あるいはアルコキシ基を置換基として有する置換芳香族炭化水素基;
(iii)置換芳香族炭化水素基であって、該置換基が、窒素原子をヘテロ原子として有しかつ該窒素原子を介して芳香族炭化水素基に結合している複素環基である基;
なお、上記(ii)〜(iii)における置換芳香族炭化水素基(置換アリール基)においては、置換基の置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、置換位置は芳香族炭化水素基がフェニル基であるときは3位もしくは4位に置換されることが好ましく、その数は1または2であることが好ましい。
当該置換フェニル基として、好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フェニル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)フェニル基、4−モルホリノフェニル基、4−ピペリジノフェニル基、4−メトキシフェニル基、4−エトキシフェニル基、4−プロポキシフェニル基、4−ブトキシフェニル基等を挙げることができる。
【0052】
また、前記(ii)〜(iii)において、置換アリール基がフェニル基以外の場合には、置換基が置換する位置は特に限定されず、その総数も特に限定されないが、その数は1であることが好ましい。当該置換基アリール基としての、好適なものを具体的に例示すると、4−(N,N−ジメチルアミノ)チエニル基、4−(N,N−ジエチルアミノ)フリル基、4−(N,N−ジフェニルアミノ)チエニル基、4−モルホリノピロリニル、基、6−ピペリジノベンゾチエニル基、6−(N,N−ジメチルアミノ)ベンゾフラニル基等を挙げることができる。
【0053】
これらのクロメン化合物を具体的に例示すれば、次のような化合物を挙げることができる。
【0054】
【化11】
【0055】
【化12】
【0056】
本発明の前記一般式(1)で示される化合物は、一般に常温常圧で無色の固体として存在し、次の(イ)〜(ハ)のような手段で確認できる。
【0057】
(イ)プロトン核磁気共鳴スペクトル(1H−NMR)を測定することにより、δ5.9〜9.0ppm付近にアロマティックなプロトンおよびアルケンのプロトンに基づくピーク、δ1.0〜4.0ppm付近にアルキル基およびアルキレン基に基づくピークが現れる。また、それぞれのスペクトル強度を相対的に比較することにより、それぞれの結合基のプロトンの個数を知ることができる。
【0058】
(ロ)元素分析によって相対する生成物の組成を決定することができる。
【0059】
(ハ)13C−核磁気共鳴スペクトル(13C−NMR)を測定することにより、δ110〜160ppm付近に芳香族炭化水素基の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜80ppm付近にアルキル基およびアルキレン基の炭素に基づくピークが現れる。
【0060】
本発明の式(1)で示されるクロメン化合物の製造方法は、特に限定されずいかなる合成法によって得てもよい。一般に好適に採用される代表的な方法を以下に説明する。
【0061】
下記式(5)
【0062】
【化13】
【0063】
{ただし、R1、R2、m、および下記式(2)
【0064】
【化14】
【0065】
で示される基は、前記式(1)における定義と同義である。}
で示されるナフトール誘導体と下記式(6)
【0066】
【化15】
【0067】
{ただし、R3、およびR4は、前記式(1)における定義と同義である。}
で示されるプロパギルアルコール誘導体を酸触媒存在下で反応させることにより、前記式(1)のクロメン化合物を得る方法である。
【0068】
上記式(5)で示される化合物と式(6)で示される化合物との酸触媒存在下での反応は次のようにして行われる。すなわち、これら2種の化合物の反応比率は、広い範囲から採用されるが、一般には1:10〜10:1(モル比)の範囲から選択される。また、酸触媒としては硫酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンベンゼンスルホン酸、酸性アルミナ等が用いられ、上記一般式(5)で示される化合物と(6)で示される化合物(反応基質)の総和に対して0.1〜10重量部の範囲で用いられる。反応温度は、通常0〜200℃が好ましく、溶媒としては、非プロトン性有機溶媒、例えば、N−メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、ベンゼン、トルエン等が使用される。
【0069】
本発明の前記式(1)で示されるクロメン化合物は、トルエン、クロロホルム、テトラヒドロフラン等の一般の有機溶媒によく溶解する。このような溶媒に式(1)で示されるクロメン化合物を溶解したとき、一般に溶液はほぼ無色透明であり、太陽光あるいは紫外線を照射すると速やかに発色し、光を遮断すると速やかに元の無色に戻る良好な可逆的なフォトクロミック作用を呈する。
【0070】
このような式(1)の化合物におけるフォトクロミック作用は、高分子固体マトリックス中でも同様な特性を示す。かかる対象となる高分子固体マトリックスとしては、本発明の式(1)で示されるクロメン化合物が均一に分散するものであればよく、光学的に好ましくは、例えばポリアクリル酸メチル、ポリアクリル酸エチル、ポリメタクリル酸メチル、ポリメタクリル酸エチル、ポリスチレン、ポリアクリロニトリル、ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリ(2−ヒドロキシエチルメタクリレート)、ポリジメチルシロキサン、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル、ポリカーボネート等の熱可塑性樹脂を挙げることができる。
【0071】
さらに、エチレングリコールジアクリレート、エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、テトラエチレングリコレートジメタクリレート、エチレングリコールビスグリシジルメタクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ウレタンオリゴマーヘキサアクリレート、ビスフェノールAジメタクリレート、トリメチロールプロパントリメタクリレート、2,2−ビス(4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−メタクリロイルオキシエトキシフェニル)プロパン等の多価アクリル酸および多価メタクリル酸エステル化合物;ジアリルフタレート、ジアリルテレフタレート、ジアリルイソフタレート、酒石酸ジアリル、エポキシコハク酸ジアリル、ジアリルフマレート、クロレンド酸ジアリル、ヘキサフタル酸ジアリル、ジアリルカーボネート、アリルジグリコールカーボネート、トリメチロールプロパントリアリルカーボネート等の多価アリル化合物;1,2−ビス(メタクリロイルチオ)エタン、ビス(2−アクリロイルチオエチル)エーテル、1,4−ビス(メタクリロイルチオメチル)ベンゼン等の多価チオアクリル酸および多価チオメタクリル酸エステル化合物;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、γ−メタクリロイルオキシプロピルトリメトキシシラン、β−メチルグリシジルメタクリレート、ビスフェノールAモノグリシジルエーテル−メタクリレート、4−グリシジルオキシメタクリレート、3−(グリシジル−2−オキシエトキシ)−2−ヒドロキシプロピルメタクリレート、3−(グリシジルオキシ−1−イソプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート、3−グリシジルオキシ−2−ヒドロキシプロピルオキシ)−2−ヒドロキシプロピルアクリレート等のアクリル酸エステル化合物およびメタクリル酸エステル化合物;ジビニルベンゼン等のラジカル重合性多官能単量体を重合してなる硬化性樹脂を挙げることができる。
【0072】
また、これらの各単量体とアクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸等の不飽和カルボン酸;アクリル酸メチル、メタクリル酸メチル、メタクリル酸ベンジル、メタクリル酸フェニル、2−ヒドロキシエチルメタクリレート等のアクリル酸およびメタクリル酸エステル化合物;フマル酸ジエチル、フマル酸ジフェニル等のフマル酸エステル化合物;メチルチオアクリレート、ベンジルチオアクリレート、ベンジルチオメタクリレート等のチオアクリル酸およびチオメタクリル酸エステル化合物;スチレン、クロロスチレン、メチルスチレン、ビニルナフタレン、α−メチルスチレンダイマー、ブロモスチレン等のビニル化合物等のラジカル重合性単官能単量体との共重合体が挙げられる。
【0073】
また紫外線等の光照射により重合させる場合には、光重合開始剤としてベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインブチルエーテル、ベンゾフェノール、アエトフェノン4,4’−ジクロロベンゾフェノン、ジエトキシアセトフェノン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、ベンジルメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2−イソプロピルチオオキサントン、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6―トリメチルベンゾイル)−フェニルフォシフィンオキサイド、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニル−フォスフィンオキサイド、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。
【0074】
本発明の式(1)で示されるクロメン化合物を上記高分子固体マトリックス中へ分散させる方法としては特に制限はなく、一般的な手法を用いることができる。例えば上記熱可塑性樹脂とクロメン化合物を溶融状態にて混練し、樹脂中に分散させる方法、または上記重合性単量体にクロメン化合物を溶解させた後、重合触媒を加え熱または光にて重合させ樹脂中に分散させる方法、あるいは上記熱可塑性樹脂および硬化性樹脂の表面にクロメン化合物を染色することにより樹脂中に分散させる方法等をあげることができる。
【0075】
本発明のクロメン化合物はフォトクロミック材として広範囲に利用でき、例えば銀塩感光材に代わる各種の記憶材料、複写材料、印刷用感光体、陰極線管用記憶材料、レーザー用感光材料、ホログラフィー用感光材料など種々の記憶材料として利用できる。その他、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミック材は、フォトクロミックレンズ材料、光学フィルター材料、ディスプレー材料、光量計、装飾などの材料としても利用できる。例えば、フォトクロミックレンズに使用する場合には、均一な調光性能が得られる方法であれば特に制限がなく、具体的に例示するならば、本発明のクロメン化合物を均一に分散してなるポリマーフィルムをレンズ中にサンドウィッチする方法、または積層する方法、あるいは本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させ、所定の手法により重合する方法、非フォトクロミックレンズ基材の表面に本発明のクロメン化合物を前記の重合性単量体中に分散させたフォトクロミック単量体を塗布し、レンズ表面に積層させる方法、あるいは、この化合物を例えばシリコーンオイル中に溶解して150〜200℃で10〜60分かけてレンズ表面に含浸させ、さらにその表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などがある。
さらに、上記ポリマーフィルムをレンズ表面に塗布し、その表面を硬化性物質で被覆し、フォトクロミックレンズにする方法などもある。
【0076】
【実施例】
以下、実施例によって本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
【0077】
実施例1
下記のナフトール誘導体
【0078】
【化16】
【0079】
5.2g(0.020mol)と、下記のプロパギルアルコール誘導体
【0080】
【化17】
【0081】
5.5g(0.022mol)とをトルエン100mlに溶解し、さらにp−トルエンスルホン酸を0.07g加えて還流温度で1時間攪拌した。反応後、溶媒を除去し、シリカゲル上でのクロマトグラフィーにより精製することにより、淡青色粉末状の生成物を1.8g得た。収率は18%であった。
【0082】
この生成物の元素分析値はC82.66%、H5.53%、N5.50%、O6.31%であって、C29H33NO2の計算値であるC82.65%、H5.55%、N5.51%、O6.29%に極めて良く一致した。
【0083】
また、プロトン核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ1.0〜4.0ppm付近にアルキレン基に基づく9Hのピーク、δ5.6〜δ9.0ppm付近にアロマティックなプロトンおよびアルケンのプロトンに基づく19Hのピークを示した。
【0084】
さらに、13C−核磁気共鳴スペクトルを測定したところ、δ110〜160ppm付近に芳香環の炭素に基づくピーク、δ80〜140ppm付近にアルケンの炭素に基づくピーク、δ20〜60ppmにアルキルの炭素に基づくピークを示した。
【0085】
上記の結果から単離生成物は、下記構造式で示される化合物であることを確認した。
【0086】
【化18】
【0087】
実施例2〜8
実施例1と同様にして表1および表2に示したクロメン化合物を合成した。得られた生成物について、実施例1と同様な構造確認の手段を用いて構造解析した結果、表1および表2に示す構造式で示される構造式で示される化合物であることを確認した。また、図1に実施例1で得られた化合物の1H―NMRスペクトルを示した。
【0088】
【表1】
【0089】
【表2】
【0090】
実施例1で得られたクロメン化合物0.04重量部をテトラエチレングリコールジメタクリレート13重量部、2,2−ビス[4−(メタクリロキシエトキシ)フェニル]プロパン48重量部、ポリエチレングリコールモノアリルエーテル2重量部、トリメチロールプロパントリメタクリレート20重量部、グリシジルメタクリレート9重量部に添加し、さらに重合開始剤として、t−ブチルパーオキシ2−エチルヘキサネート1重量部を加えて十分に混合した。この混合液をガラス板とエチレン−酢酸ビニル共重合体からなるガスケットで構成された鋳型の中に注入し、注型重合を行った。重合は空気炉を用い、30℃〜90℃で18時間かけ徐々に温度を上げ、90℃で2時間保持した。重合終了後、重合体を鋳型のガラス型から取り外した。
【0091】
得られた重合体(厚さ2mm)を試料とし、これに浜松ホトニクス製のキセノンランプL−2480(300W)SHL−100をエアロマスフィルター(コーニング社製)を介して20℃±1℃、重合体表面でのビーム強度2.4mW/cm2(365nm)、24μW/cm2(245nm)で120秒間照射して発色させ、前記試料のフォトクロミック特性を測定した。フォトクロミック特性は次のようなもので評価した。
【0092】
▲1▼ 極大吸収波長(λmax):(株)大塚電子工業製の分光光度計(瞬間マルチチャンネルフォトディテクターMCPD1000)により求めた発色後の極大吸収波長である。該極大吸収波長は、発色時の色調に関係する。
【0093】
▲2▼ 発色濃度{ε(120)−ε(0)}:前記極大吸収波長における、120秒間光照射した後の吸光度ε(120)と光未照射状態の吸光度ε(0)との差。この値が高いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0094】
▲3▼ 退色速度{t1/2(sec.)}:120秒間光照射後、光の照射を止めたときに、試料の前記極大吸収波長における吸光度が{ε(120)−ε(0)}の半分まで低下するのに要する時間。この時間が短いほどフォトクロミック性が優れているといえる。
【0095】
▲4▼ 初期着色(YI):スガ試験機(株)製の色差計(SM−4)を用いて着色度を測定した。YIが小さいほど光未照射時の着色が少なく、優れているといえる。
【0096】
また、クロメン化合物として実施例2〜8で得られた化合物を用いた以外は上記と同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を評価した。その結果をまとめて表3に示した。
【0097】
【表3】
【0098】
さらに比較のために、下記式(A)、(B)
【0099】
【化19】
【0100】
【化20】
【0101】
で示される化合物を用い同様にしてフォトクロミック重合体を得、その特性を評価した。その結果を表4に示した。
【0102】
【表4】
【0103】
本発明のクロメン化合物を用いた実施例1〜8では、比較例AおよびBに比べて初期着色が小さく、また退色速度が著しく優れている。
【0104】
【発明の効果】
本発明のクロメン化合物は、溶液中または高分子固体マトリックス中で、非常に速い退色速度を示す。例えば、本発明のクロメン化合物を用いたフォトクロミックレンズは、屋外から室内に戻った時にすばやく元の色調に戻る。
【図面の簡単な説明】
【図1】本図は、実施例1で得られた化合物の1H―NMRスペクトルである。
Claims (3)
- 下記式(1)
R1は水素原子、アルキル基、シクロアルキル基またはアラルキル基であり、R2はヒドロキシル基、アルキル基、アルコキシ基、アラルキル基、アラルコシ基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ニトロ基、ハロゲン原子、ハロゲノアルキル基、ハロゲノアルコキシ基または重合性置換基であり、mは0〜4の整数であり、
R3およびR4は、それぞれ独立に、アルキル基、置換もしくは非置換の1価の芳香族炭化水素基、置換もしくは非置換の1価の芳香族複素環基であるか、またはR3とR4とが一緒になって環を形成する基である。}
で示されるクロメン化合物。 - 請求項1に記載のクロメン化合物からなるフォトクロミック材。
- 請求項1に記載のクロメン化合物を含有してなるフォトクロミック光学物品。
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Cited By (3)
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-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002376534A patent/JP2004203813A/ja active Pending
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