JP2004203686A - 陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法およびプレス成形装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】大型の陰極線管用ファンネルガラスを高い生産性でプレス成形が可能なプレス成形方法およびプレス成形装置を提供する。
【解決手段】本発明は、ラムシリンダー5に、大吐出量ポンプ33及びアキュムレーター31を具備した大吐出量ポンプライン30と高圧ポンプ42を具備した高圧ポンプライン40とからなり、ゴブを押圧する際に、プランジャー4を所定位置に達するまで大吐出量ポンプライン30及び高圧ポンプライン40からラムシリンダー5に作動油を供給して下降させ、プランジャー4が所定位置に達すると油圧サーボバルブ41を切り替えて高圧ポンプライン40のみから所定圧力の作動油を供給することによりプランジャー4をさらに下降させて所定時間保持した後、油圧サーボバルブ41を切り替えて高圧ポンプライン40及び大吐出量ポンプライン30からラムシリンダー5に作動油を供給してプランジャー4を上昇させるプレス成形方法およびプレス成形装置。
【選択図】 図2
【解決手段】本発明は、ラムシリンダー5に、大吐出量ポンプ33及びアキュムレーター31を具備した大吐出量ポンプライン30と高圧ポンプ42を具備した高圧ポンプライン40とからなり、ゴブを押圧する際に、プランジャー4を所定位置に達するまで大吐出量ポンプライン30及び高圧ポンプライン40からラムシリンダー5に作動油を供給して下降させ、プランジャー4が所定位置に達すると油圧サーボバルブ41を切り替えて高圧ポンプライン40のみから所定圧力の作動油を供給することによりプランジャー4をさらに下降させて所定時間保持した後、油圧サーボバルブ41を切り替えて高圧ポンプライン40及び大吐出量ポンプライン30からラムシリンダー5に作動油を供給してプランジャー4を上昇させるプレス成形方法およびプレス成形装置。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法およびプレス成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形は、図4に示すようなプレス成形装置を用いて行われる。図4(A)はプレス成形装置の構成を示す説明図、図4(B)はプレス成形中の状態を示す説明図である。
【0003】
図4(A)に示すように、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、水平方向に間欠回転する回転テーブル1と、回転テーブル1の周辺に等間隔に配置された複数個の雌金型(以後ボトムと称す)2と、1個のボトム2の上方に対向配置された上金型(以後プランジャーと称す)4と、プランジャー4の上端に横架されたボルスタ8と、ボルスタ8の中心部に接続されたピストンロッド7と、ピストンロッド7の上部に連結されたラムシリンダー5とを具備しており、ラムシリンダー5およびボルスタ8両端の軸孔に挿通されたガイドシャフト10がそれぞれ支持フレーム6に固定されてなる。
【0004】
ラムシリンダー5には、図5に示すように、内部にピストン5aが密着しながら摺動可能に装着されており、ピストン5aの下端はラムシリンダー5外に延伸してピストンロッド7と一体となり、ピストンロッド7の先端にボルスタ8を介してプランジャー4が取り付けられている。ラムシリンダー5の内部はピストン5aによって頂部ポート側と底部ポート側とに分割されており、ラムシリンダー5に連結された油圧ユニットから頂部ポート側と底部ポート側へ作動油が給排されることによりラムシリンダー5内をピストン5aが上下に往復するような構造をなしている。
【0005】
ボルスタ8は、ピストン5aの上下往復によってプランジャー4と一体に昇降し、ボルスタ8両端の軸孔に貫通するガイドシャフト10によってプランジャ−4をプレス成形位置に正確に案内する。
【0006】
以下に、上記の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を用いてファンネルガラスをプレス成形する工程を説明する。
【0007】
まず、所定位置で待機中の回転テーブル1に配置されたボトム2中にフィーダー(図示省略)から溶融ガラス塊(以後ゴブと称す)3が供給され、回転テーブル1が間欠回転してボトム2がプレス成形位置に移動して停止する。次いで、油圧ユニットからラムシリンダー5の頂部ポート側に作動油が供給されピストン5aを押し下げると、プランジャー4がボルスタ8とガイドシャフト10によって案内されて下降し、ボトム2に供給されたゴブ3を押圧して所定形状のファンネルガラスに成形し、プレス成形が終わると、油圧ユニットからラムシリンダー5の底部ポート側に作動油が供給されてピストン5aを押し上げてプランジャー4が上昇し、その後に続くプレス成形に備えて待機する。これをもってプレス成形の1サイクルが完了し、このサイクルを反復して陰極線管用ファンネルガラスの大量生産が行われる。
【0008】
上記のプレス成形において、プランジャー4を昇降させ押圧力を与える油圧ユニットは、図5に示すように、駆動モーター21の回転軸の一方に可変ラジアルピストンポンプ22、他方に大吐出量プレフィルポンプ23がそれぞれ連結され、これらのポンプでタンク27に貯留された作動油をラムシリンダー5に供給する構造になっている。可変ラジアルピストンポンプ22にはスライドブロック24が内装されており、スライドブロック24を左右に移動させて可変ラジアルピストンポンプ22からラムシリンダー5の頂部ポート側と底部ポート側のそれぞれに向かう作動油の管路を切り替えるようになっている。可変ラジアルピストンポンプ22と大吐出量プレフィルポンプ23からラムシリンダー5の頂部ポート側に向かう作動油の管路はチェックバルブ25で連結されており、チェックバルブ25には電磁弁26が接続され大吐出量プレフィルポンプ23は電磁弁26によって作動が制御されるようになっている。また、この油圧ユニットの動作は、プランジャー4の下降時には、スライドブロック24によってラムシリンダー5の頂部ポート側へ作動油を供給する管路に切り替わり、同時にチェックバルブ25が開いて、可変ラジアルピストンポンプ22と大吐出量プレフィルポンプ23とが作動しラムシリンダー5の頂部ポート側へ大量の作動油が供給されてピストン5aを押し下げ、プランジャー4が高速下降する。次いで、プランジャー4がゴブ3を押圧するとラムシリンダー5の頂部ポート側の作動油の圧力が上昇して可変ラジアルピストンポンプ22と大吐出量プレフィルポンプ23との吐出圧の差からチェックバルブ25が閉じ、可変ラジアルピストンポンプ22からの作動油の供給によってのみプレス成形の最終段階での押圧力を増大させる。プランジャー4の上昇時には、スライドブロック24によってラムシリンダー5の底部ポートへ作動油を供給する管路に切り替わり、可変ラジアルピストンポンプ22の作動でラムシリンダー5の底部ポート側へ作動油が供給されてピストン5aを押し上げ、プランジャー4を上昇させるというものである。
【0009】
近年、陰極線管用ファンネルガラスの大型化および肉薄化に伴い、プランジャー4に押圧力の大きいものが要求されている。さらに、ラムシリンダー5のストロ−クを長くする必要があり、このような長いストロークを備えたラムシリンダー5によってプレス成形の生産性を上げるには、必然的にピストン5aの昇降速度を高速化することになる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−35426号公報(第4−11頁、第2図)
【非特許文献1】
「油圧と回路」第2版 小栗幸正著 工学社
1996年3月1日発行(第119−120頁、第8・19図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置で、ラムシリンダー5のストロークを長くとり、ピストン5aの昇降高速化に対応するには、より大型の油圧ユニットが必要とされるため、装置が大型化し、費用がかかるという点で問題があった。
【0012】
また、ラムシリンダー5に供給する作動油の管路を頂部ポート側と底部ポート側とに切り替えるスライドブロック24の管路切り替え速度も要求を満たすものではなく、応答速度の点でも問題があった。
【0013】
さらに、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形においては、図4(B)に示すように、プランジャー4によりゴブ3が押圧されて所定形状のファンネルガラス9に成形された後も、ファンネルガラス9が変形しない温度まで冷却するためにプランジャー4は下降した状態でファンネルガラス9を所定時間(以後デュウエルタイムと称す)DT2の間押圧している必要がある。このデュウエルタイムDT2が経過すると、ラムシリンダー5の頂部ポート側の作動油の圧力が上昇してチェックバルブ25が閉じ、チェックバルブ25に連動して電磁弁26が切り替わって次のプレス成形のために大吐出量プレフィルポンプ23が作動する。つまり、1サイクルのプレス成形が行われる間、大吐出要プレフィルポンプ23から吐出される作動油は、大部分の時間、タンク27から大吐出量プレフィルポンプ23を通過してタンク7に戻る循環状態にあり、有効に使われていない。特に、大型の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形においてはデュウエルタイムDT2をより長くとる必要があり、デュウエルタイムDT2を維持する間、このような循環状態が長く続く。すなわち、大吐出量プレフィルポンプ23は、プランジャー4を高速下降させる場合にのみ機能するといった非効率な運転を行っている。
【0014】
この問題に対し、プレス成形の高速化を目的として、ラムシリンダー5の移動時間を最小化するための制御方法が特許文献1に、また、アキュムレーター(蓄圧器)の導入によりプレスのサイクル時間を短縮する油圧回路が非特許文献1にそれぞれ開示されている。
【0015】
特許文献1に記載された事例は、ガラス製陰極線管用フェースプレートのプレス成形に関するものであり、ラムシリンダーのストロークが短く、ストロークが長い陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形に対応したものではない。また、特許文献1の第2図(FIG.2)に示されるプレス成形の最終段階における過剰加圧や、さらに非特許文献1に記載された金属成形用の油圧回路(管路)では、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形のように慣性力の大きいボルスタ8やプランジャー4が一体で、しかも長いストロークで高速昇降するプレス成形においては、プレス成形の最終段階における過剰加圧および作動油の管路切り替え時の圧力変動がプレス成形の不連続、いわゆる二段押しとなり、デュウエルタイムDT2が十分に維持されず、この結果、ファンネルガラスの内面変形、シールエッジ部のダレ、押し割れ、先端のネックとのモイルと称される接合部の割れ等々、品質面に大きな影響を及ぼすという点で問題があった。図6は、プレス成形におけるラムシリンダー5の頂部ポート側の圧力の時系列変化およびプランジャー4の動作の時系列変化を同時刻で上下に表示したグラフであり、上記の二段押しの現象は、図6中のC部分で示されている。
【0016】
本発明は、大型の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形に際し、プレス成形のサイクル時間を短縮することによって高生産性を実現し、さらにラムシリンダーへの作動油の管路切り替え時のプレス圧の変動を抑制して高品質のファンネルガラスの成形を可能とする陰極線管用ファンネルガラスの成形方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法は、雌金型に溶融ガラス塊を供給し、油圧シリンダーによって昇降可能に設けられた上金型で溶融ガラス塊を押圧してガラス成形体に成形し、上金型を引き上げた後に雌金型からガラス成形体を取り出す一連の動作を反復する陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法において、油圧シリンダーには、大吐出量ポンプ及び蓄圧機能を具備した第1作動油供給部と高圧ポンプを具備した第2作動油供給部とからなり第1作動油供給部と第2作動油供給部とを流量制御兼管路切替部により切り替えて作動油を供給する作動油供給手段が接続されており、上金型で雌金型に供給された溶融ガラス塊を押圧する際に、上金型を所定位置に達するまで第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより下降させ、上金型が所定位置に達すると流量制御兼管路切替部を切り替えて第2作動油供給部のみから油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給することにより上金型をさらに下降させて所定時間保持した後、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより上金型を上昇させることを特徴とする。
【0018】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法によれば、大吐出量ポンプと蓄圧機能を備えた第1作動油供給部と高圧ポンプを備えた第2作動油供給部とを同時に作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので上金型を高速で下降させることができ、さらに、上金型が所定位置に達すると、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部を切り離し高圧ポンプを備えた第2作動油供給部のみを作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので、高圧で短時間のうちに溶融ガラス塊を押圧して所定形状にプレス成形し、所定時間その状態を維持するので、過剰押加や二段押しを回避することができる。その後、流量制御兼管路切替部を切り替えて再び第1作動油供給部と第2作動油供給部とを同時に作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので上金型を高速で上昇させることができる。この結果、プレス成形のサイクル時間を短縮することができる。
【0019】
また、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法は、上金型が所定位置に達したことをセンサーにより検出し、センサーから発せられる信号で作動する制御器により流量制御兼管路切替部を切り替えて、第2作動油供給部のみから油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給することにより上金型をさらに下降させることを特徴とする。
【0020】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスの成形方法によれば、上金型が所定位置に達したことをセンサーで検出し、センサーからの信号を受けて制御器を介して流量制御兼管路切替部を切り替え、油圧シリンダーに供給する作動油の流量および圧力を制御するので、上金型に所定の押圧力を安定して与えることができる。
【0021】
また、本発明に係る陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、雌金型に溶融ガラス塊を供給し、油圧シリンダーによって昇降可能に設けられた上金型で溶融ガラス塊を押圧してガラス成形体に成形し、上金型を引き上げた後に雌金型からガラス成形体を取り出す一連の動作を反復する陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置において、油圧シリンダーに、大吐出量ポンプ及び蓄圧機能を具備した第1作動油供給部と高圧ポンプを具備した第2作動油供給部とからなり第1作動油供給部と第2作動油供給部とを流量制御兼管路切替部により切り替えて作動油を供給する作動油供給手段が接続されており、該流量制御兼管路切替部は雌金型に供給された溶融ガラス塊を上金型で押圧する際に、上金型を所定位置に達するまで第1作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより下降させ、上金型が所定位置に達すると、管路を切り替えて第2作動油供給部のみから前記油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給して所定時間保持した後、管路を切り替えて第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより上金型を上昇させるものであることを特徴とする。
【0022】
本発明の陰極線管ファンネルガラスのプレス成形装置によれば、大吐出量ポンプとともに第1作動油供給部に蓄圧機能を具備させているので、油圧ユニットを小型化することができ、第1作動油供給部と高圧ポンプを備えた第2作動油供給部とを同時に作動させて、油圧シリンダーに作動油を大量に供給するので上金型を高速で昇降させることができる。さらに、上金型が所定位置に達すると、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部を切り離し高圧ポンプを備えた第2作動油供給部のみを作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので、高圧で短時間のうちに溶融ガラス塊を押圧して所定形状にプレス成形し、所定時間その状態を維持するので、プレス成形のサイクル時間を短縮することができる。さらに、上金型が所定位置に達した時点で、第2作動油供給部のみからの作動油の供給に切り替える流量制御兼管路切替部を設けたので、上金型の下降端での圧力変動による二段押しや過剰押圧による品質不良の発生をなくすことができる。
【0023】
また、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、上金型が所定位置に達したことを検出するセンサーと、センサーから発せられる信号により流量制御兼管路切替部を切り替えさせる制御器とを備えてなることを特徴とする。
【0024】
本発明の陰極線管ファンネルガラスのプレス成形装置によれば、上金型が所定位置に達したことを検出するセンサーを設け、センサーの検出信号によって流量制御兼管路切替部を切り替えて油圧シリンダーへ所定圧力の作動油の供給を制御するので、作動油のエネルギーを効率よく利用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態の一例について図を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を示す説明図であり、図2は本発明のプレス成形装置に用いられている油圧ユニットを示す。
【0027】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置について説明する。図1(A)に示すように、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、水平方向に間欠回転する回転テーブル1と、回転テーブル1の周辺に等間隔に配置された複数個のボトム2と、1個のボトム2の上方に対向配置されたプランジャー4と、プランジャー4の上端に横架されたボルスタ8と、ボルスタ8の中心部に接続されたピストンロッド7と、ピストンロッド7の上部に連結されたラムシリンダー5とを具備しており、ラムシリンダー5、ボルスタ8両端の軸孔に挿通されたガイドシャフト10がそれぞれ支持フレーム6に固定されてなる。ラムシリンダー5には、図2に示すように、内部にピストン5aが密着しながら摺動可能に装着されており、ピストン5aの下端はラムシリンダー5外に延伸してピストンロッド7と一体となり、ピストンロッド7の先端にボルスタ8を介してプランジャー4が取り付けられている。ラムシリンダー5の内部はピストン5aによって頂部ポートと底部ポートとに分割されており、ラムシリンダー5に連結された油圧ユニットから頂部ポートと底部ポートへ作動油が給排されることによりラムシリンダー5内をピストン5aが上下に往復するような構造をなしている。ボルスタ8は、ピストン5aの上下往復によってプランジャー4と一体に昇降し、ボルスタ8両端の軸孔に貫通するガイドシャフト10によってプランジャ−4をプレス成形位置に正確に案内する。上記の限りにおいて、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は従来と同じ構成である。
【0028】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置においては、図1(A)に示すように、プランジャー4の高さ位置を検出するため、ボルスタ8の側面に位置片51が付設されており、支持フレーム6から垂下されるブラケット53に所定間隔をおいて上方から順に近接センサー52a、52b、52cが取り付けられている。近接センサー52a、52b、52cは、プランジャー4と一体昇降するボルスタ8の位置片51の通過を検知する機能を有しており、近接センサー52aはプランジャ−4が上昇端にあることを、近接センサー52bはプランジャ−4の先端がボトム2に供給されたにゴブ3に接触する近辺位置にあることを、近接センサー52cはプランジャー4が下降端にあることをそれぞれ検出するように取り付けられている。近接センサー52a、52b、52cはボルスタ8の位置片51の通過を検知してプランジャー4の高さ位置を検出すると油圧ユニットの作動を制御するための信号を制御器に向けて発するように構成されている。なお、近接センサー52a、52b、52cはファンネルガラスのサイズに合わせて、それぞれ高低調節可能に取り付けられている。
【0029】
プランジャー4の位置を検出する近接センサーとしては、プランジャー4と一体に昇降するボルスタ8の側面に付設された位置片51に接触して位置を検出するリミットスイッチ、近接スイッチ、リードスイッチなどを組み合わせた機械式のもの、位置片51に向けて発射した信号の反射信号を受信して非接触でプランジャー4の位置を検出するレーザーや光電スイッチなどを組み合わせた光学式のもの等、位置片51の有無を検知する機能を有するものであれば使用可能である。また、センサーから発せられる信号により油圧ユニットの作動を制御する制御器としては、タイマー、増幅手段等を具備するシーケンサーを使用するのが好ましい。
【0030】
次に、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を構成する油圧ユニットについて説明する。本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、図2に示される油圧ユニットによりプランジャー4を昇降させ押圧力を与える。この油圧ユニットは、駆動モーターが連結された大吐出量ポンプ33と大吐出量ポンプ33と直列に接続されたアキュムレーター31によってタンク27に貯留された作動油を供給する高速作動用ポンプライン30と、駆動モーターが連結された高圧ポンプ42によってタンク27内の作動油を供給する高圧プレス用ポンプライン40と、両ポンプラインとラムシリンダー5との中間に配置され、大吐出量ポンプ33と高圧ポンプ42とから供給される作動油の流量を制御する機能と、ラムシリンダー5の頂部ポート側と底部ポート側とに作動油の供給管路を切り替える油圧サーボバルブ41とを具備する。両ポンプラインは、チェックバルブ32が接続された管路を介して連結されている。このように、本発明で流量制御兼管路切替部としては油圧サーボバルブ41とチェックバルブ32が接続された管路とで構成される。
【0031】
以下にこの油圧ユニットの動作を説明する。プランジャー4の下降時には、油圧サーボバルブ41が作動してラムシリンダー5の頂部ポートに作動油を供給する管路に切り替わり大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42が同時に作動してラムシリンダー5の頂部ポートに大量の作動油が供給されてのピストン5aを押し下げ、プランジャー4を高速下降させる。次いで、プランジャー4の先端がゴブ3に接触する近辺位置に到達すると、近接センサー52bがボルスタ8に付設された位置片51の通過を検知してプランジャー4の位置を検出し、制御器に信号を発する。近接センサー52bの信号を受けて制御器が作動し、油圧サーボバルブ41がラムシリンダー5の頂部ポートへ供給する作動油の流量を制御すると同時に、ラムシリンダー5の頂部ポートの作動油の圧力が上昇して管路の圧力が増大しチェックバルブ32が閉じると、高圧ポンプ42からラムシリンダー5の頂部ポートへ供給される作動油のみでプランジャー4がゴブ3を押圧する。
【0032】
チェックバルブ32が閉じ、プランジャー4が下降端で静止し、デュウエルタイムDT1が経過する間、大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。デュウエルタイムDT1が経過すると油圧サーボバルブ41が切り替って大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42から大量の作動油がラムシリンダー5の底部ポートに供給されてプランジャー4を高速上昇させる。プランジャー4が上昇端に到達すると近接センサー52aがプランジャー4の位置片51を検出して信号を発し制御器により油圧サーボバルブ41が切り替わって高圧ポンプ42による作動油の圧力の上昇によってチェックバルブ32が閉じて、再び大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。これで一連のプレス成形が完了する。
【0033】
上記の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を用いてファンネルガラスをプレス成形する方法を説明する。
【0034】
まず、所定位置で待機中の回転テーブル1に配置されたボトム2中にゴブ3が供給され、回転テーブル1が間欠回転してボトム2がプレス成形位置に移動して停止する。次いで、図2に示す油圧ユニットの油圧サーボバルブ41が作動してラムシリンダー5の頂部ポートに作動油を供給する管路に切り替わり大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42が同時に作動してラムシリンダー5の頂部ポートに大量の作動油が供給されてラムシリンダー5のピストン5aを押し下げ、プランジャー4がボルスタ8とガイドシャフト10によって案内されて高速で下降し、次いで、プランジャー4の先端がゴブ3に接触する近辺位置に到達すると、ブラケット53に取り付けられた近接センサー52bがボルスタ8に付設された位置片51の通過を検知してプランジャー4の位置を検出し、制御器に信号を発する。検出信号を受けて制御器によって油圧サーボバルブ41がラムシリンダー5の頂部ポート側へ供給する作動油の流量を絞るように作動し、高圧プレス用ポンプライン40の圧力の上昇によりチェックバルブ32が閉じると、高圧ポンプ42のみからラムシリンダー5の頂部ポート側へ作動油が供給されてプランジャー4がゴブ3を押圧し、このデュウエルタイムDT1の間、プランジャー4が下降端でほぼ静止し、この押圧状態が維持される。この間、チェックバルブ32が閉じ、大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。デュウエルタイムDT1が経過すると油圧サーボバルブ41が切り替って大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42から大量の作動油がラムシリンダー5の底部ポートに供給されてプランジャー4を高速上昇させる。プランジャー4が上昇端に到達すると近接センサー52aがプランジャー4の位置片51を検出して信号を発し制御器により油圧サーボバルブ41がラムシリンダー5の底部ポート側へ供給する作動油の流量を絞るように作動し、高圧プレス用ポンプライン40の圧力が上昇して高圧ポンプ42による作動油の圧力の上昇によってチェックバルブ32が閉じて、再び大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。これで一連のプレス成形が完了する。
【0035】
上記実施例では、ラムシリンダー5は内径φ250mm、ストローク400mm、高速作動用ポンプライン30の大吐出量ポンプ33は設定圧力が8MPa、吐出流量が220リットル/分、高圧プレス用ポンプライン40の高圧ポンプ42は設定圧力が15MPa、吐出流量が180リットル/分、アキュムレーター31は総容量200リットルのものをそれぞれ使用している。
【0036】
図3に、本発明のプレス成形装置を用いて陰極線管用ファンネルガラスをプレス成形した場合のラムシリンダーのピストンの頂部ポート側の圧力と時系列変化およびプランジャーの動作と時系列変化を同時刻で上下に表示したグラフである。本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形では、プランジャー4の位置を検出する近接センサー52bから発せられる信号で油圧サーボバルブ41が作動してラムシリンダーに供給される作動油の流量を制御し、二段押しの現象Cの現出を回避している。また、油圧サーボバルブ41によって油圧管路の切り替えを行なっているが、シーケンサーで過剰押圧の過圧および圧力変動を発生させないよう制御し、かつ油圧管路の高速切替えによって安定した押圧を行ない必要なデュウエルタイムDT1を維持している。
【0037】
本発明のプレス成形においては、デュウエルタイムDT1として、例えば32インチの陰極線管用ファンネルガラスの場合で約7秒を維持することが可能となる。
【0038】
これに対して、従来の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法では、チェックバルブ25が閉じて大吐出量プレフィルポンプ23から供給されていた作動油が停止されると高速下降中のプランジャー4及びボルスタ8が下降を停止する際の慣性力でラムシリンダー5のピストン5aが下降側に引っ張られる。この結果、ラムシリンダー5の頂部ポート側の作動油の圧力が下がり、前出の図6に示すように、いわゆる二段押しの現象Cが現出する。二段押しの現象Cが出ることによりデュウエルタイムDT2が短くなり、適正なデュウエルタイムを確保するためにプレス成形のサイクルタイムが長くなる結果、生産性が低下することになる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法によれば、大吐出量ポンプと蓄圧機能と高圧ポンプとによって油圧シリンダーへ作動油を大量に供給して上金型を高速で下降させ、上金型の下降端では高圧ポンプで油圧シリンダーへ高圧の作動油を供給して溶融ガラス塊を高圧で押圧し、再び大吐出量ポンプと蓄圧機能と高圧ポンプとによって油圧シリンダーへ作動油を大量に供給して上金型を高速で上昇させるので、プレス成形のサイクルタイムを短縮することができる。また、制御器で作動する流量制御兼管路切替部によって上金型の下降端での押圧の圧力変動を最小に抑えているので、二段押しによるロスがなくなり、高い生産効率で大型の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形を実現することができる。
【0040】
また、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置によれば、プランジャーの高速昇降動作により、プレス成形のサイクル時間を短縮しながら所要のデュウエルタイムを維持することができ、プレス成形を安定させることができる。さらに、作動油の供給手段に蓄圧機能を具備させているので油圧ユニットを小型化することを可能にし、生産効率を高めると共にエネルギーのロスと設備コストの軽減とを可能にする実用的に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置の概略を示す説明図であって、(A)はプレス成形装置の構成を示す説明図、(B)はプレス成形中の状態を示す説明図。
【図2】本発明のプレス成形装置に用いられている油圧ユニットを示す説明図。
【図3】本発明のプレス成形のラムシリンダー5の頂部ポートの圧力の時系列変化およびプランジャー4の動作の時系列変化を示したグラフ。
【図4】従来の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置の概略を示す説明図であって、(A)はプレス成形装置の構成を示す説明図、(B)はプレス成形中の状態を示す説明図。
【図5】従来のプレス成形装置に用いられている油圧ユニットを示す説明図。
【図6】従来のプレス成形のラムシリンダー5の頂部ポートの圧力の時系列変化およびプランジャー4の動作の時系列変化を示したグラフ。
【符号の説明】
1 回転テーブル
2 ボトム
3 ゴブ
4 プランジャー
5 ラムシリンダー
30 大吐出量ポンプライン
31 アキュムレーター
32 チェックバルブ
33 大吐出量ポンプ
40 高圧ポンプライン
41 油圧サーボバルブ
42 高圧ポンプ
51 位置片
52a 近接センサー(プランジャー上昇端)
52b 近接センサー
52c 近接センサー(プランジャー下降端)
53 ブラケット
P ラムシリンダー頂部ポート側の圧力
T 時間
PH プランジャーの高さ位置
DT1 デュウエルタイム1
DT2 デュウエルタイム2
【発明の属する技術分野】
本発明は、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法およびプレス成形装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形は、図4に示すようなプレス成形装置を用いて行われる。図4(A)はプレス成形装置の構成を示す説明図、図4(B)はプレス成形中の状態を示す説明図である。
【0003】
図4(A)に示すように、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、水平方向に間欠回転する回転テーブル1と、回転テーブル1の周辺に等間隔に配置された複数個の雌金型(以後ボトムと称す)2と、1個のボトム2の上方に対向配置された上金型(以後プランジャーと称す)4と、プランジャー4の上端に横架されたボルスタ8と、ボルスタ8の中心部に接続されたピストンロッド7と、ピストンロッド7の上部に連結されたラムシリンダー5とを具備しており、ラムシリンダー5およびボルスタ8両端の軸孔に挿通されたガイドシャフト10がそれぞれ支持フレーム6に固定されてなる。
【0004】
ラムシリンダー5には、図5に示すように、内部にピストン5aが密着しながら摺動可能に装着されており、ピストン5aの下端はラムシリンダー5外に延伸してピストンロッド7と一体となり、ピストンロッド7の先端にボルスタ8を介してプランジャー4が取り付けられている。ラムシリンダー5の内部はピストン5aによって頂部ポート側と底部ポート側とに分割されており、ラムシリンダー5に連結された油圧ユニットから頂部ポート側と底部ポート側へ作動油が給排されることによりラムシリンダー5内をピストン5aが上下に往復するような構造をなしている。
【0005】
ボルスタ8は、ピストン5aの上下往復によってプランジャー4と一体に昇降し、ボルスタ8両端の軸孔に貫通するガイドシャフト10によってプランジャ−4をプレス成形位置に正確に案内する。
【0006】
以下に、上記の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を用いてファンネルガラスをプレス成形する工程を説明する。
【0007】
まず、所定位置で待機中の回転テーブル1に配置されたボトム2中にフィーダー(図示省略)から溶融ガラス塊(以後ゴブと称す)3が供給され、回転テーブル1が間欠回転してボトム2がプレス成形位置に移動して停止する。次いで、油圧ユニットからラムシリンダー5の頂部ポート側に作動油が供給されピストン5aを押し下げると、プランジャー4がボルスタ8とガイドシャフト10によって案内されて下降し、ボトム2に供給されたゴブ3を押圧して所定形状のファンネルガラスに成形し、プレス成形が終わると、油圧ユニットからラムシリンダー5の底部ポート側に作動油が供給されてピストン5aを押し上げてプランジャー4が上昇し、その後に続くプレス成形に備えて待機する。これをもってプレス成形の1サイクルが完了し、このサイクルを反復して陰極線管用ファンネルガラスの大量生産が行われる。
【0008】
上記のプレス成形において、プランジャー4を昇降させ押圧力を与える油圧ユニットは、図5に示すように、駆動モーター21の回転軸の一方に可変ラジアルピストンポンプ22、他方に大吐出量プレフィルポンプ23がそれぞれ連結され、これらのポンプでタンク27に貯留された作動油をラムシリンダー5に供給する構造になっている。可変ラジアルピストンポンプ22にはスライドブロック24が内装されており、スライドブロック24を左右に移動させて可変ラジアルピストンポンプ22からラムシリンダー5の頂部ポート側と底部ポート側のそれぞれに向かう作動油の管路を切り替えるようになっている。可変ラジアルピストンポンプ22と大吐出量プレフィルポンプ23からラムシリンダー5の頂部ポート側に向かう作動油の管路はチェックバルブ25で連結されており、チェックバルブ25には電磁弁26が接続され大吐出量プレフィルポンプ23は電磁弁26によって作動が制御されるようになっている。また、この油圧ユニットの動作は、プランジャー4の下降時には、スライドブロック24によってラムシリンダー5の頂部ポート側へ作動油を供給する管路に切り替わり、同時にチェックバルブ25が開いて、可変ラジアルピストンポンプ22と大吐出量プレフィルポンプ23とが作動しラムシリンダー5の頂部ポート側へ大量の作動油が供給されてピストン5aを押し下げ、プランジャー4が高速下降する。次いで、プランジャー4がゴブ3を押圧するとラムシリンダー5の頂部ポート側の作動油の圧力が上昇して可変ラジアルピストンポンプ22と大吐出量プレフィルポンプ23との吐出圧の差からチェックバルブ25が閉じ、可変ラジアルピストンポンプ22からの作動油の供給によってのみプレス成形の最終段階での押圧力を増大させる。プランジャー4の上昇時には、スライドブロック24によってラムシリンダー5の底部ポートへ作動油を供給する管路に切り替わり、可変ラジアルピストンポンプ22の作動でラムシリンダー5の底部ポート側へ作動油が供給されてピストン5aを押し上げ、プランジャー4を上昇させるというものである。
【0009】
近年、陰極線管用ファンネルガラスの大型化および肉薄化に伴い、プランジャー4に押圧力の大きいものが要求されている。さらに、ラムシリンダー5のストロ−クを長くする必要があり、このような長いストロークを備えたラムシリンダー5によってプレス成形の生産性を上げるには、必然的にピストン5aの昇降速度を高速化することになる。
【0010】
【特許文献1】
特開昭63−35426号公報(第4−11頁、第2図)
【非特許文献1】
「油圧と回路」第2版 小栗幸正著 工学社
1996年3月1日発行(第119−120頁、第8・19図)
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置で、ラムシリンダー5のストロークを長くとり、ピストン5aの昇降高速化に対応するには、より大型の油圧ユニットが必要とされるため、装置が大型化し、費用がかかるという点で問題があった。
【0012】
また、ラムシリンダー5に供給する作動油の管路を頂部ポート側と底部ポート側とに切り替えるスライドブロック24の管路切り替え速度も要求を満たすものではなく、応答速度の点でも問題があった。
【0013】
さらに、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形においては、図4(B)に示すように、プランジャー4によりゴブ3が押圧されて所定形状のファンネルガラス9に成形された後も、ファンネルガラス9が変形しない温度まで冷却するためにプランジャー4は下降した状態でファンネルガラス9を所定時間(以後デュウエルタイムと称す)DT2の間押圧している必要がある。このデュウエルタイムDT2が経過すると、ラムシリンダー5の頂部ポート側の作動油の圧力が上昇してチェックバルブ25が閉じ、チェックバルブ25に連動して電磁弁26が切り替わって次のプレス成形のために大吐出量プレフィルポンプ23が作動する。つまり、1サイクルのプレス成形が行われる間、大吐出要プレフィルポンプ23から吐出される作動油は、大部分の時間、タンク27から大吐出量プレフィルポンプ23を通過してタンク7に戻る循環状態にあり、有効に使われていない。特に、大型の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形においてはデュウエルタイムDT2をより長くとる必要があり、デュウエルタイムDT2を維持する間、このような循環状態が長く続く。すなわち、大吐出量プレフィルポンプ23は、プランジャー4を高速下降させる場合にのみ機能するといった非効率な運転を行っている。
【0014】
この問題に対し、プレス成形の高速化を目的として、ラムシリンダー5の移動時間を最小化するための制御方法が特許文献1に、また、アキュムレーター(蓄圧器)の導入によりプレスのサイクル時間を短縮する油圧回路が非特許文献1にそれぞれ開示されている。
【0015】
特許文献1に記載された事例は、ガラス製陰極線管用フェースプレートのプレス成形に関するものであり、ラムシリンダーのストロークが短く、ストロークが長い陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形に対応したものではない。また、特許文献1の第2図(FIG.2)に示されるプレス成形の最終段階における過剰加圧や、さらに非特許文献1に記載された金属成形用の油圧回路(管路)では、陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形のように慣性力の大きいボルスタ8やプランジャー4が一体で、しかも長いストロークで高速昇降するプレス成形においては、プレス成形の最終段階における過剰加圧および作動油の管路切り替え時の圧力変動がプレス成形の不連続、いわゆる二段押しとなり、デュウエルタイムDT2が十分に維持されず、この結果、ファンネルガラスの内面変形、シールエッジ部のダレ、押し割れ、先端のネックとのモイルと称される接合部の割れ等々、品質面に大きな影響を及ぼすという点で問題があった。図6は、プレス成形におけるラムシリンダー5の頂部ポート側の圧力の時系列変化およびプランジャー4の動作の時系列変化を同時刻で上下に表示したグラフであり、上記の二段押しの現象は、図6中のC部分で示されている。
【0016】
本発明は、大型の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形に際し、プレス成形のサイクル時間を短縮することによって高生産性を実現し、さらにラムシリンダーへの作動油の管路切り替え時のプレス圧の変動を抑制して高品質のファンネルガラスの成形を可能とする陰極線管用ファンネルガラスの成形方法を提供することを目的とする。
【0017】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明に係る陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法は、雌金型に溶融ガラス塊を供給し、油圧シリンダーによって昇降可能に設けられた上金型で溶融ガラス塊を押圧してガラス成形体に成形し、上金型を引き上げた後に雌金型からガラス成形体を取り出す一連の動作を反復する陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法において、油圧シリンダーには、大吐出量ポンプ及び蓄圧機能を具備した第1作動油供給部と高圧ポンプを具備した第2作動油供給部とからなり第1作動油供給部と第2作動油供給部とを流量制御兼管路切替部により切り替えて作動油を供給する作動油供給手段が接続されており、上金型で雌金型に供給された溶融ガラス塊を押圧する際に、上金型を所定位置に達するまで第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより下降させ、上金型が所定位置に達すると流量制御兼管路切替部を切り替えて第2作動油供給部のみから油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給することにより上金型をさらに下降させて所定時間保持した後、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより上金型を上昇させることを特徴とする。
【0018】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法によれば、大吐出量ポンプと蓄圧機能を備えた第1作動油供給部と高圧ポンプを備えた第2作動油供給部とを同時に作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので上金型を高速で下降させることができ、さらに、上金型が所定位置に達すると、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部を切り離し高圧ポンプを備えた第2作動油供給部のみを作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので、高圧で短時間のうちに溶融ガラス塊を押圧して所定形状にプレス成形し、所定時間その状態を維持するので、過剰押加や二段押しを回避することができる。その後、流量制御兼管路切替部を切り替えて再び第1作動油供給部と第2作動油供給部とを同時に作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので上金型を高速で上昇させることができる。この結果、プレス成形のサイクル時間を短縮することができる。
【0019】
また、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法は、上金型が所定位置に達したことをセンサーにより検出し、センサーから発せられる信号で作動する制御器により流量制御兼管路切替部を切り替えて、第2作動油供給部のみから油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給することにより上金型をさらに下降させることを特徴とする。
【0020】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスの成形方法によれば、上金型が所定位置に達したことをセンサーで検出し、センサーからの信号を受けて制御器を介して流量制御兼管路切替部を切り替え、油圧シリンダーに供給する作動油の流量および圧力を制御するので、上金型に所定の押圧力を安定して与えることができる。
【0021】
また、本発明に係る陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、雌金型に溶融ガラス塊を供給し、油圧シリンダーによって昇降可能に設けられた上金型で溶融ガラス塊を押圧してガラス成形体に成形し、上金型を引き上げた後に雌金型からガラス成形体を取り出す一連の動作を反復する陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置において、油圧シリンダーに、大吐出量ポンプ及び蓄圧機能を具備した第1作動油供給部と高圧ポンプを具備した第2作動油供給部とからなり第1作動油供給部と第2作動油供給部とを流量制御兼管路切替部により切り替えて作動油を供給する作動油供給手段が接続されており、該流量制御兼管路切替部は雌金型に供給された溶融ガラス塊を上金型で押圧する際に、上金型を所定位置に達するまで第1作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより下降させ、上金型が所定位置に達すると、管路を切り替えて第2作動油供給部のみから前記油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給して所定時間保持した後、管路を切り替えて第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより上金型を上昇させるものであることを特徴とする。
【0022】
本発明の陰極線管ファンネルガラスのプレス成形装置によれば、大吐出量ポンプとともに第1作動油供給部に蓄圧機能を具備させているので、油圧ユニットを小型化することができ、第1作動油供給部と高圧ポンプを備えた第2作動油供給部とを同時に作動させて、油圧シリンダーに作動油を大量に供給するので上金型を高速で昇降させることができる。さらに、上金型が所定位置に達すると、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部を切り離し高圧ポンプを備えた第2作動油供給部のみを作動させて油圧シリンダーに作動油を供給するようにしたので、高圧で短時間のうちに溶融ガラス塊を押圧して所定形状にプレス成形し、所定時間その状態を維持するので、プレス成形のサイクル時間を短縮することができる。さらに、上金型が所定位置に達した時点で、第2作動油供給部のみからの作動油の供給に切り替える流量制御兼管路切替部を設けたので、上金型の下降端での圧力変動による二段押しや過剰押圧による品質不良の発生をなくすことができる。
【0023】
また、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、上金型が所定位置に達したことを検出するセンサーと、センサーから発せられる信号により流量制御兼管路切替部を切り替えさせる制御器とを備えてなることを特徴とする。
【0024】
本発明の陰極線管ファンネルガラスのプレス成形装置によれば、上金型が所定位置に達したことを検出するセンサーを設け、センサーの検出信号によって流量制御兼管路切替部を切り替えて油圧シリンダーへ所定圧力の作動油の供給を制御するので、作動油のエネルギーを効率よく利用することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施形態の一例について図を参照しながら説明する。
【0026】
図1は、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を示す説明図であり、図2は本発明のプレス成形装置に用いられている油圧ユニットを示す。
【0027】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置について説明する。図1(A)に示すように、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、水平方向に間欠回転する回転テーブル1と、回転テーブル1の周辺に等間隔に配置された複数個のボトム2と、1個のボトム2の上方に対向配置されたプランジャー4と、プランジャー4の上端に横架されたボルスタ8と、ボルスタ8の中心部に接続されたピストンロッド7と、ピストンロッド7の上部に連結されたラムシリンダー5とを具備しており、ラムシリンダー5、ボルスタ8両端の軸孔に挿通されたガイドシャフト10がそれぞれ支持フレーム6に固定されてなる。ラムシリンダー5には、図2に示すように、内部にピストン5aが密着しながら摺動可能に装着されており、ピストン5aの下端はラムシリンダー5外に延伸してピストンロッド7と一体となり、ピストンロッド7の先端にボルスタ8を介してプランジャー4が取り付けられている。ラムシリンダー5の内部はピストン5aによって頂部ポートと底部ポートとに分割されており、ラムシリンダー5に連結された油圧ユニットから頂部ポートと底部ポートへ作動油が給排されることによりラムシリンダー5内をピストン5aが上下に往復するような構造をなしている。ボルスタ8は、ピストン5aの上下往復によってプランジャー4と一体に昇降し、ボルスタ8両端の軸孔に貫通するガイドシャフト10によってプランジャ−4をプレス成形位置に正確に案内する。上記の限りにおいて、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は従来と同じ構成である。
【0028】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置においては、図1(A)に示すように、プランジャー4の高さ位置を検出するため、ボルスタ8の側面に位置片51が付設されており、支持フレーム6から垂下されるブラケット53に所定間隔をおいて上方から順に近接センサー52a、52b、52cが取り付けられている。近接センサー52a、52b、52cは、プランジャー4と一体昇降するボルスタ8の位置片51の通過を検知する機能を有しており、近接センサー52aはプランジャ−4が上昇端にあることを、近接センサー52bはプランジャ−4の先端がボトム2に供給されたにゴブ3に接触する近辺位置にあることを、近接センサー52cはプランジャー4が下降端にあることをそれぞれ検出するように取り付けられている。近接センサー52a、52b、52cはボルスタ8の位置片51の通過を検知してプランジャー4の高さ位置を検出すると油圧ユニットの作動を制御するための信号を制御器に向けて発するように構成されている。なお、近接センサー52a、52b、52cはファンネルガラスのサイズに合わせて、それぞれ高低調節可能に取り付けられている。
【0029】
プランジャー4の位置を検出する近接センサーとしては、プランジャー4と一体に昇降するボルスタ8の側面に付設された位置片51に接触して位置を検出するリミットスイッチ、近接スイッチ、リードスイッチなどを組み合わせた機械式のもの、位置片51に向けて発射した信号の反射信号を受信して非接触でプランジャー4の位置を検出するレーザーや光電スイッチなどを組み合わせた光学式のもの等、位置片51の有無を検知する機能を有するものであれば使用可能である。また、センサーから発せられる信号により油圧ユニットの作動を制御する制御器としては、タイマー、増幅手段等を具備するシーケンサーを使用するのが好ましい。
【0030】
次に、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を構成する油圧ユニットについて説明する。本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置は、図2に示される油圧ユニットによりプランジャー4を昇降させ押圧力を与える。この油圧ユニットは、駆動モーターが連結された大吐出量ポンプ33と大吐出量ポンプ33と直列に接続されたアキュムレーター31によってタンク27に貯留された作動油を供給する高速作動用ポンプライン30と、駆動モーターが連結された高圧ポンプ42によってタンク27内の作動油を供給する高圧プレス用ポンプライン40と、両ポンプラインとラムシリンダー5との中間に配置され、大吐出量ポンプ33と高圧ポンプ42とから供給される作動油の流量を制御する機能と、ラムシリンダー5の頂部ポート側と底部ポート側とに作動油の供給管路を切り替える油圧サーボバルブ41とを具備する。両ポンプラインは、チェックバルブ32が接続された管路を介して連結されている。このように、本発明で流量制御兼管路切替部としては油圧サーボバルブ41とチェックバルブ32が接続された管路とで構成される。
【0031】
以下にこの油圧ユニットの動作を説明する。プランジャー4の下降時には、油圧サーボバルブ41が作動してラムシリンダー5の頂部ポートに作動油を供給する管路に切り替わり大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42が同時に作動してラムシリンダー5の頂部ポートに大量の作動油が供給されてのピストン5aを押し下げ、プランジャー4を高速下降させる。次いで、プランジャー4の先端がゴブ3に接触する近辺位置に到達すると、近接センサー52bがボルスタ8に付設された位置片51の通過を検知してプランジャー4の位置を検出し、制御器に信号を発する。近接センサー52bの信号を受けて制御器が作動し、油圧サーボバルブ41がラムシリンダー5の頂部ポートへ供給する作動油の流量を制御すると同時に、ラムシリンダー5の頂部ポートの作動油の圧力が上昇して管路の圧力が増大しチェックバルブ32が閉じると、高圧ポンプ42からラムシリンダー5の頂部ポートへ供給される作動油のみでプランジャー4がゴブ3を押圧する。
【0032】
チェックバルブ32が閉じ、プランジャー4が下降端で静止し、デュウエルタイムDT1が経過する間、大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。デュウエルタイムDT1が経過すると油圧サーボバルブ41が切り替って大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42から大量の作動油がラムシリンダー5の底部ポートに供給されてプランジャー4を高速上昇させる。プランジャー4が上昇端に到達すると近接センサー52aがプランジャー4の位置片51を検出して信号を発し制御器により油圧サーボバルブ41が切り替わって高圧ポンプ42による作動油の圧力の上昇によってチェックバルブ32が閉じて、再び大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。これで一連のプレス成形が完了する。
【0033】
上記の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置を用いてファンネルガラスをプレス成形する方法を説明する。
【0034】
まず、所定位置で待機中の回転テーブル1に配置されたボトム2中にゴブ3が供給され、回転テーブル1が間欠回転してボトム2がプレス成形位置に移動して停止する。次いで、図2に示す油圧ユニットの油圧サーボバルブ41が作動してラムシリンダー5の頂部ポートに作動油を供給する管路に切り替わり大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42が同時に作動してラムシリンダー5の頂部ポートに大量の作動油が供給されてラムシリンダー5のピストン5aを押し下げ、プランジャー4がボルスタ8とガイドシャフト10によって案内されて高速で下降し、次いで、プランジャー4の先端がゴブ3に接触する近辺位置に到達すると、ブラケット53に取り付けられた近接センサー52bがボルスタ8に付設された位置片51の通過を検知してプランジャー4の位置を検出し、制御器に信号を発する。検出信号を受けて制御器によって油圧サーボバルブ41がラムシリンダー5の頂部ポート側へ供給する作動油の流量を絞るように作動し、高圧プレス用ポンプライン40の圧力の上昇によりチェックバルブ32が閉じると、高圧ポンプ42のみからラムシリンダー5の頂部ポート側へ作動油が供給されてプランジャー4がゴブ3を押圧し、このデュウエルタイムDT1の間、プランジャー4が下降端でほぼ静止し、この押圧状態が維持される。この間、チェックバルブ32が閉じ、大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。デュウエルタイムDT1が経過すると油圧サーボバルブ41が切り替って大吐出量ポンプ33、アキュムレーター31、高圧ポンプ42から大量の作動油がラムシリンダー5の底部ポートに供給されてプランジャー4を高速上昇させる。プランジャー4が上昇端に到達すると近接センサー52aがプランジャー4の位置片51を検出して信号を発し制御器により油圧サーボバルブ41がラムシリンダー5の底部ポート側へ供給する作動油の流量を絞るように作動し、高圧プレス用ポンプライン40の圧力が上昇して高圧ポンプ42による作動油の圧力の上昇によってチェックバルブ32が閉じて、再び大吐出量ポンプ33がアキュムレーター31に蓄圧を開始する。これで一連のプレス成形が完了する。
【0035】
上記実施例では、ラムシリンダー5は内径φ250mm、ストローク400mm、高速作動用ポンプライン30の大吐出量ポンプ33は設定圧力が8MPa、吐出流量が220リットル/分、高圧プレス用ポンプライン40の高圧ポンプ42は設定圧力が15MPa、吐出流量が180リットル/分、アキュムレーター31は総容量200リットルのものをそれぞれ使用している。
【0036】
図3に、本発明のプレス成形装置を用いて陰極線管用ファンネルガラスをプレス成形した場合のラムシリンダーのピストンの頂部ポート側の圧力と時系列変化およびプランジャーの動作と時系列変化を同時刻で上下に表示したグラフである。本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形では、プランジャー4の位置を検出する近接センサー52bから発せられる信号で油圧サーボバルブ41が作動してラムシリンダーに供給される作動油の流量を制御し、二段押しの現象Cの現出を回避している。また、油圧サーボバルブ41によって油圧管路の切り替えを行なっているが、シーケンサーで過剰押圧の過圧および圧力変動を発生させないよう制御し、かつ油圧管路の高速切替えによって安定した押圧を行ない必要なデュウエルタイムDT1を維持している。
【0037】
本発明のプレス成形においては、デュウエルタイムDT1として、例えば32インチの陰極線管用ファンネルガラスの場合で約7秒を維持することが可能となる。
【0038】
これに対して、従来の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法では、チェックバルブ25が閉じて大吐出量プレフィルポンプ23から供給されていた作動油が停止されると高速下降中のプランジャー4及びボルスタ8が下降を停止する際の慣性力でラムシリンダー5のピストン5aが下降側に引っ張られる。この結果、ラムシリンダー5の頂部ポート側の作動油の圧力が下がり、前出の図6に示すように、いわゆる二段押しの現象Cが現出する。二段押しの現象Cが出ることによりデュウエルタイムDT2が短くなり、適正なデュウエルタイムを確保するためにプレス成形のサイクルタイムが長くなる結果、生産性が低下することになる。
【0039】
【発明の効果】
本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法によれば、大吐出量ポンプと蓄圧機能と高圧ポンプとによって油圧シリンダーへ作動油を大量に供給して上金型を高速で下降させ、上金型の下降端では高圧ポンプで油圧シリンダーへ高圧の作動油を供給して溶融ガラス塊を高圧で押圧し、再び大吐出量ポンプと蓄圧機能と高圧ポンプとによって油圧シリンダーへ作動油を大量に供給して上金型を高速で上昇させるので、プレス成形のサイクルタイムを短縮することができる。また、制御器で作動する流量制御兼管路切替部によって上金型の下降端での押圧の圧力変動を最小に抑えているので、二段押しによるロスがなくなり、高い生産効率で大型の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形を実現することができる。
【0040】
また、本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置によれば、プランジャーの高速昇降動作により、プレス成形のサイクル時間を短縮しながら所要のデュウエルタイムを維持することができ、プレス成形を安定させることができる。さらに、作動油の供給手段に蓄圧機能を具備させているので油圧ユニットを小型化することを可能にし、生産効率を高めると共にエネルギーのロスと設備コストの軽減とを可能にする実用的に優れた効果を奏するものである。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置の概略を示す説明図であって、(A)はプレス成形装置の構成を示す説明図、(B)はプレス成形中の状態を示す説明図。
【図2】本発明のプレス成形装置に用いられている油圧ユニットを示す説明図。
【図3】本発明のプレス成形のラムシリンダー5の頂部ポートの圧力の時系列変化およびプランジャー4の動作の時系列変化を示したグラフ。
【図4】従来の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置の概略を示す説明図であって、(A)はプレス成形装置の構成を示す説明図、(B)はプレス成形中の状態を示す説明図。
【図5】従来のプレス成形装置に用いられている油圧ユニットを示す説明図。
【図6】従来のプレス成形のラムシリンダー5の頂部ポートの圧力の時系列変化およびプランジャー4の動作の時系列変化を示したグラフ。
【符号の説明】
1 回転テーブル
2 ボトム
3 ゴブ
4 プランジャー
5 ラムシリンダー
30 大吐出量ポンプライン
31 アキュムレーター
32 チェックバルブ
33 大吐出量ポンプ
40 高圧ポンプライン
41 油圧サーボバルブ
42 高圧ポンプ
51 位置片
52a 近接センサー(プランジャー上昇端)
52b 近接センサー
52c 近接センサー(プランジャー下降端)
53 ブラケット
P ラムシリンダー頂部ポート側の圧力
T 時間
PH プランジャーの高さ位置
DT1 デュウエルタイム1
DT2 デュウエルタイム2
Claims (4)
- 雌金型に溶融ガラス塊を供給し、油圧シリンダーによって昇降可能に設けられた上金型で該溶融ガラス塊を押圧してガラス成形体に成形し、上金型を引き上げた後に雌金型からガラス成形体を取り出す一連の動作を反復する陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法において、
前記油圧シリンダーには、大吐出量ポンプ及び蓄圧機能を具備した第1作動油供給部と高圧ポンプを具備した第2作動油供給部とからなり第1作動油供給部と第2作動油供給部とを流量制御兼管路切替部により切り替えて作動油を供給する作動油供給手段が接続されており、雌金型に供給された溶融ガラス塊を上金型で押圧する際に、上金型を所定位置に達するまで前記第1作動油供給部及び第2作動油供給部から前記油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより下降させ、上金型が所定位置に達すると流量制御兼管路切替部を切り替えて第2作動油供給部のみから前記油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給することにより上金型をさらに下降させて所定時間保持した後、流量制御兼管路切替部を切り替えて第1作動油供給部及び第2作動油供給部から前記油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより上金型を上昇させることを特徴とする陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法。 - 上金型が所定位置に達したことをセンサーにより検出し、センサーから発せられる信号で作動する制御器により流量制御兼管路切替部を切り替えて、第2作動油供給部のみから油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給することにより上金型をさらに下降させることを特徴とする請求項1に記載の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法。
- 雌金型に溶融ガラス塊を供給し、油圧シリンダーによって昇降可能に設けられた上金型で該溶融ガラス塊を押圧してガラス成形体に成形し、該上金型を引き上げた後に雌金型からガラス成形体を取り出す一連の動作を反復する陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置であって、
前記油圧シリンダーに、大吐出量ポンプ及び蓄圧機能を具備した第1作動油供給部と高圧ポンプを具備した第2作動油供給部とからなり第1作動油供給部と第2作動油供給部とを流量制御兼管路切替部により切り替えて作動油を供給する作動油供給手段が接続されており、該流量制御兼管路切替部は、雌金型に供給された溶融ガラス塊を上金型で押圧する際に、上金型を所定位置に達するまで第1作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより下降させ、上金型が所定位置に達すると、管路を切り替えて第2作動油供給部のみから前記油圧シリンダーに所定圧力の作動油を供給して所定時間保持した後、管路を切り替えて第1作動油供給部及び第2作動油供給部から油圧シリンダーに所定流量の作動油を供給することにより上金型を上昇させるものであることを特徴とする陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置。 - 上金型が所定位置に達したことを検出するセンサーと、該センサーから発せられる信号により作動して流量制御兼管路切替部を切り替えさせる制御器とを備えてなることを特徴とする請求項3に記載の陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形装置。
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JP2002375815A JP2004203686A (ja) | 2002-12-26 | 2002-12-26 | 陰極線管用ファンネルガラスのプレス成形方法およびプレス成形装置 |
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---|---|---|---|---|
CN106734972A (zh) * | 2017-01-09 | 2017-05-31 | 叶伟强 | 一种应用于液压自动造型机中的液压系统 |
IT201700053166A1 (it) * | 2017-05-17 | 2018-11-17 | Olivotto Glass Tech S P A | Metodo ed apparato per la fabbricazione in serie di articoli di vetro cavo mediante operazioni di presso-soffiaggio |
CN110119098A (zh) * | 2018-02-05 | 2019-08-13 | 巢伟林 | 一种软化压制机联动系统 |
CN113735424A (zh) * | 2021-09-01 | 2021-12-03 | 湖北新华光信息材料有限公司 | 一种二次压型压机及其控制方法 |
-
2002
- 2002-12-26 JP JP2002375815A patent/JP2004203686A/ja active Pending
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