JP2004203199A - 燃料タンク構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンクの強度・剛性を確保して確実に車体フロアに固定することができる燃料タンク構造を得る。
【解決手段】樹脂製の燃料タンク10は、複数のタンクバンド12によって車体フロアに固定されている。各タンクバンド12の配索経路上には、スタンドオフ20が設定されている。さらに、スタンドオフ20からは第1のビード28及び第2のビード30が延びており、効率良く燃料タンク10の強度・剛性を高めるのに寄与している。また、スタンドオフ20をタンクバンド12が通ることにより、所定の締付反力が得られるので、燃料タンク10をしっかりと車体フロアに固定することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂製の燃料タンク10は、複数のタンクバンド12によって車体フロアに固定されている。各タンクバンド12の配索経路上には、スタンドオフ20が設定されている。さらに、スタンドオフ20からは第1のビード28及び第2のビード30が延びており、効率良く燃料タンク10の強度・剛性を高めるのに寄与している。また、スタンドオフ20をタンクバンド12が通ることにより、所定の締付反力が得られるので、燃料タンク10をしっかりと車体フロアに固定することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂成形によって形成されると共に長尺状の支持部材によって車体フロアの所定位置に締め付け固定され、更にスタンドオフを備えた燃料タンク構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主として軽量化の観点から、樹脂成形による燃料タンクが使用されてきている。ところが、一般にこの種の樹脂製の燃料タンクは金属製の燃料タンクに比べて剛性が低いため、タンクバンドで燃料タンクを車体フロアの下面側に固定した(締め付けた)ときに、充分な反力が得られず、燃料タンクをしっかりと車体フロアに固定することができないという問題がある。そこで、樹脂製の燃料タンクの場合、その剛性を確保することが重要なテーマになってくる。
【0003】
ところで、燃料タンクの適当な箇所に、スタンドオフと呼ばれる剛性確保や形状保持のための構成を付加する手法が従来から知られている(一例として、下記特許文献1参照)。なお、スタンドオフには、燃料タンクの内部に正圧がかかって膨らんだ際に、燃料タンクが車体フロアや路面と接触するのを防止するという機能もある。このスタンドオフも燃料タンクの剛性確保に大きく貢献するものと言えるが、単にスタンドオフを設定したというだけでは、剛性確保の要請に充分に応えることができない。
【0004】
そこで、燃料タンクにビードを設けることが考えられる。なお、燃料タンクにビードを設けた先行技術文献としては、下記特許文献2がある。しかし、この特許文献2のようにあまり多くのビードを形成すると、燃料タンクの容量が減るという別の問題が生じる。
【0005】
その他の手法としては、燃料タンクの板厚を増加したり、高強度のタンクバンドを使う等の手法が考えられるが、重量増加やコストアップ等の不利を招く。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−29828号公報(図1、図2、図5)
【特許文献2】
実開昭56−172430号公報(第4図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンクの強度・剛性を確保して確実に車体フロアに固定することができる燃料タンク構造を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明に係る燃料タンク構造は、樹脂成形によって形成されると共に長尺状の支持部材によって車体フロアの所定位置に締め付け固定され、更に上面に形成された凹部と下面に形成された凹部とを接合することにより構成されたスタンドオフを備えた燃料タンク構造であって、前記燃料タンクにおける前記支持部材の配索経路上に前記スタンドオフを配置すると共に、当該スタンドオフを通るように補強用のビードを設定した、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の本発明に係る燃料タンク構造は、請求項1記載の発明において、前記ビードは、前記支持部材の配索経路に沿って延在する第1のビードと、前記支持部材の配索経路とは異なる方向へ延在する第2のビードと、を含んで構成されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、燃料タンクは樹脂成形によって形成されており、長尺状の支持部材によって車体フロアに締め付けられて固定される。
【0011】
ここで、本発明では、支持部材の配索経路上にスタンドオフを配置したので、支持部材で燃料タンクを締め付けたときに、スタンドオフから締付反力が得られる。このため、燃料タンクをしっかりと車体フロアに固定することができ、ひいては支持部材の強度・剛性(並びにコスト)を最小限に抑えることができる。
【0012】
さらに、本発明では、スタンドオフを通るようにビードを設定したので、ビードが剛性の高い部位(即ち、スタンドオフの形成部位)を通ることになる。従って、ビードの補強効果を高めることができ、効率良く燃料タンクの強度・剛性を高めることができる。その結果、ビードの本数や大きさを抑えることができ、燃料タンクの容量のロス並びに重量増加を抑制することができる。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、支持部材の配索経路に沿って第1のビードが延在しているため、スタンドオフと第1のビードとの両者によって支持部材の配索経路が補強される。従って、燃料タンクの車体フロアへの固定状態をより一層安定化させることができる。
【0014】
さらに、本発明では、支持部材の配索経路とは異なる方向へ第2のビードが延在しているため、燃料タンクにおける支持部材の配索経路以外の部分はこの第2のビードによって補強される。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図1及び図2を用いて、第1実施形態について説明する。
【0016】
図1には本実施形態に係る燃料タンクの底面図が示されており、又図2には当該燃料タンクの2−2線に沿う縦断面図が示されている。
【0017】
これらの図に示されるように、燃料タンク10は、薄型で略直方体形状を成しており、ブロー成形による樹脂製とされている。燃料タンク10の底部には「支持部材」としての長尺状のタンクバンド12が複数本配索されており、かかるタンクバンド12の両端部(取付部)14にボルト16を通し、車体フロア18(広義には、車体フロア18に限定されない「車両ボディー」として把握される要素である)に締め込むことにより、車体フロア18の下面側に固定されている。なお、請求項1記載の「車体フロア」には、車体フロア18に取り付けられる部材19(各種メンバ)も含まれる。
【0018】
また、図1に示されるように、燃料タンク10の所定位置(本実施形態では、前端側、中央側、後端側の合計三箇所)には、略円筒形状のスタンドオフ20が形成されている。図2に示されるように、スタンドオフ20は、燃料タンク10の上面に形成されたコップ状の凹部22の底壁部と、下面に形成された同様形状の凹部24の底壁部とを成形時に接着することにより構成されている。
【0019】
ここで、本実施形態では、各タンクバンド12の配索経路上にスタンドオフ20が配置されている。つまり、燃料タンク10の前端側を固定するタンクバンド12Aは燃料タンク10の前端側に形成されたスタンドオフ20A上を通って車体フロア18に締め付けられており、又燃料タンク10の中央側を固定するタンクバンド12Bは燃料タンク10の中央側に形成されたスタンドオフ20B上を通って車体フロア18に締め付けられており、更に燃料タンク10の後端側を固定するタンクバンド12Cは燃料タンク10の後端側に形成されたスタンドオフ20C上を通って車体フロア18に締め付けられている。なお、図1においては、中央側のスタンドオフ20Bがこれに対応するタンクバンド12Bの配索経路から多少ずれているが、これは設計上の理由によるものであり、概念的にはスタンドオフ20Bの効果が及ぶ範囲にタンクバンド20Bが配索されている。
【0020】
さらに、各スタンドオフ20からは、複数本のビード26が放射方向(スタンドオフ20を中心として半径方向外側)へ向けて形成されている。ビード26は、タンクバンド12の配索経路に沿って延在する第1のビード28と、タンクバンド12の配索経路とは異なる方向(即ち、燃料タンク10の底壁部の一般部10A)へ向けて延在する第2のビード30と、によって構成されている。第2のビード30の基端部はスタンドオフ20に接続されており、先端部は燃料タンク10の底壁部の一般部10A上で止められている。
【0021】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0022】
各タンクバンド12に燃料タンク10を支持させ、この状態でボルト16を車体フロア18(及びこれに取り付けられる部材19)に下面側から締め込むことにより、燃料タンク10が車体フロア18の下面側に固定される。
【0023】
ここで、本実施形態に係る燃料タンク構造では、タンクバンド12の配索経路上にスタンドオフ20をそれぞれ配置したので、タンクバンド12で燃料タンク10を締め付けたときに、スタンドオフ20から締付反力(図2の矢印Rでこれを示す)が得られる。このため、燃料タンク10をしっかりと車体フロア18に固定することができ、ひいてはタンクバンド12の強度・剛性(並びにコスト)を最小限に抑えることができる。
【0024】
さらに、本実施形態では、スタンドオフ20を通るようにビード26を設定したので、ビード26が剛性の高い部位(即ち、スタンドオフ20の形成部位)を通ることになる。従って、ビード26の補強効果を高めることができ、効率良く燃料タンク10の強度・剛性を高めることができる。その結果、ビード26の本数や大きさを抑えることができ、燃料タンク10の容量のロス並びに重量増加を抑制することができる。
【0025】
総じて言えば、本実施形態に係る燃料タンク構造によれば、重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンク10の強度・剛性を確保して燃料タンク10を車体フロア18に確実に固定することができる。
【0026】
また、本実施形態に係る燃料タンク構造では、タンクバンド12の配索経路に沿って第1のビード28が延在しているため、スタンドオフ20と第1のビード28との両者によってタンクバンド12の配索経路が補強される。従って、燃料タンク10の車体フロア18への固定状態をより一層安定化させることができる。
【0027】
さらに、本実施形態に係る燃料タンク構造では、タンクバンド12の配索経路とは異なる方向へ第2のビード30が延在しているため、燃料タンク10におけるタンクバンド12の配索経路以外の部分(燃料タンク10の底壁部の一般部10A)はこの第2のビード30によって補強される。つまり、燃料タンク10の底壁部の一般部10Aに単にビードを設けるだけでも多少は補強されるのであるが、本実施形態の第2のビード30のように、強度・剛性が高いスタンドオフ20にビードの基端部を接続することにより、より高い補強効果が得られる。その結果、燃料タンク10におけるタンクバンド12の配索経路以外の部分が熱によって垂れるのを防止することができる。
【0028】
加えて、本実施形態に係る燃料タンク構造では、上記の如く、燃料タンク10の強度・剛性を高めることができるので、燃料タンク10の穴あき検査の信頼性を高めることができる。つまり、仮に樹脂製の燃料タンク10に穴があいていると、燃料タンク10に圧力(内圧)をかけたときの圧力の戻り(復帰)が早く、逆に燃料タンク10に穴があいていないと、圧力の戻りが遅い。このように圧力が戻る速度によって燃料タンク10に穴があいているか否かを調べるのが、所謂「穴あき検査」と呼ばれるものである。ところが、燃料タンク10の剛性が元々不足していると、穴があいているか否かに拘らず、圧力の戻りが遅くなり、穴があいている場合でも穴があいていないという判定が出てしまう。しかし、本実施形態のように充分な強度・剛性を確保することができれば、このような誤判定を無くすことができる。その意味で、燃料タンク10の穴あき検査の信頼性を高めることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態では、ビード26を凹部として構成したが、凸部として構成しても差し支えない。
【0030】
また、上述した実施形態では、タンクバンド12の配索経路に沿って第1のビード28を設定するだけでなく、配索経路以外の方向へ第2のビード30を設定したが、請求項1記載の発明には、第1のビード28のみが形成され第2のビード30が形成されていないものや、逆に第2のビード30のみが形成され第1のビード28が形成されていないものも含まれる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、図3〜図6を用いて、第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0032】
この第2実施形態では、燃料タンクのスタンドオフ構造に関するものであり、前述した第1実施形態の構成にこの第2実施形態の構成が付加乃至は併用されると好ましいという位置付けである。
【0033】
図3は、従来のスタンドオフ構造を示したものである。図3(A)に示されるスタンドオフ50(以下、「Aタイプのスタンドオフ50」と称す)では、各々円錐台形状とされた上面側の凹部52の底壁面と下面側の凹部54の底壁面とが全面接着された構成になっている。また、図3(B)に示されるスタンドオフ56(以下、「Bタイプのスタンドオフ56」と称す)では、各々回転楕円体を短軸のみを含む平面で切断した形状とされた上面側の凹部58と下面側の凹部60とを先端部分で接着した構成になっている。さらに、図3(C)に示されるスタンドオフ62(以下、「Cタイプのスタンドオフ62」と称す)では、Bタイプのスタンドオフ56と同様形状とされた上面側の凹部58と下面側の凹部60とを接着せずに上下に対向しかつ離間して配置された構成になっている。
【0034】
上記より、Aタイプのスタンドオフ50では接着面積が大きくかつ密着度も強いことから強い接着強度を持つ点に構造上の特徴があり、Bタイプのスタンドオフ56では接着面積が小さくかつ密着度も弱いことから弱い接着強度を持つ点に構造上の特徴があり、Cタイプのスタンドオフ62では接着強度を持たない点に構造上の特徴があるといえる。
【0035】
これらのスタンドオフ50、56、62の特性をまとめたのが下記表1であり、以下に解説する。
【0036】
【表1】
この表1から解るように、Aタイプのスタンドオフ50は、接着面積が大きく密着度も強いため、タンク形状保持や加圧時の接着部の剥がれといった通常の車両走行時には、何も問題は生じない。また、軽度の衝突時の接着部の剥がれも生じない。しかし、重度の衝突時のスタンドオフの割れによる燃料漏れ防止に対しては、接着強度が強過ぎることから改善の余地がある。なお、「軽度の衝突時の接着部はがれ防止」並びに「重度の衝突時のスタンドオフの割れによる燃料漏れ防止」の評価項目の意味するところは、前者の場合にはスタンドオフ50の上面側の凹部52と下面側の凹部54とが底壁部で剥離しないことを良しとし、後者の場合には大きな剪断荷重がかかることから、底壁部で剥離して上面側の凹部52と下面側の凹部54とが互いに拘束し合わないことを良しとする意味である。
【0037】
Bタイプのスタンドオフ56は、接着面積が小さく密着度も弱いため、タンク形状保持程度では良好といえるが、加圧時の接着部のはがれ防止となると万全ではない。また、軽度の衝突時の接着部はがれ防止についても、はがれる可能性がないとはいえない。しかし、重度の衝突時には上下の凹部58、60が容易に剥離するので、スタンドオフ56の割れによる燃料漏れは防止できる。
【0038】
Cタイプのスタンドオフ62は、上下の凹部58、60が互いに拘束し合わず、独立して存在するので、タンク形状保持という観点では剛性が不足するといえる。また、加圧時の接着部のはがれ防止及び軽度の衝突時の接着部はがれ防止については評価そのものができない。但し、重度の衝突時にはスタンドオフ62が割れることはないので、燃料漏れが生じることはない。
【0039】
上述したことから、いずれのスタンドオフ50、56、62もすべての評価項目を満足するものではない。従って、燃料タンクにスタンドオフ50、56、62を設定する場合には、各々の欠点を克服するため、その配置位置や大きさ等を充分に検討して設定しなければならないという不利がある。
【0040】
そこで、この第2実施形態では、特に、軽度の衝突時には接着部のはがれを防止でき、重度の衝突時にはスタンドオフの割れによる燃料漏れを確実に防止できるスタンドオフ構造を得るという観点から、以下のように構成したものである。
【0041】
図4に拡大して示されるように、この第2実施形態のスタンドオフ70は、各々円錐台形状とされた上面側の凹部72と下面側の凹部74とを備えており、成形時に双方の底壁部を相互に接着して一体化することにより構成されている。
【0042】
図5には、下面側の凹部74の一部(図4の5線矢視部)が拡大して示されている。この図に示されるように、スタンドオフ70を構成する下面側の凹部74は、タンク外側を構成する外層76と、タンク内側を構成する内層78と、外層76と内層78とを接合する接着層80と、によって構成されている。なお、スタンドオフ70を構成する上面側の凹部72も同様に構成されている。
【0043】
外層76は、HDPE(高密度ポリエチレン)とカーボンブラックとから成る最外層82と、その内側に配置された再生材層84と、によって構成されている。また、内層78は、HDPEによって構成されている。さらに、接着層80は、外層76側に配置された外側接着層85と、内層78側に配置された内側接着層86と、両者の間に介在されるEVOH(エチレンビニルアルコール)層87と、によって構成されている。
【0044】
図4に戻り、上記の層構造を採る上面側の凹部72と下面側の凹部74とを底壁部で一体化することにより、両者の接合部88は、上下に厚さt(図4参照)の外層76を有し、その間に約二枚分の厚さの内層78が挟み込まれたサンドイッチ構造として構成されている。なお、本実施形態では、接合部88の外層76の厚さtは、3mm以上と厚めに設定されている。
【0045】
さらに、図6に拡大して示されるように、本実施形態に係るスタンドオフ70では、接合部88の厚さ方向の中間部の外周にスリット状の窪み90がその全周に亘って形成されている。なお、窪み90はスリット状に形成したが、テーパ状に形成して楔効果を持たせてもよい。この窪み90が形成されたことにより、本実施形態のスタンドオフ70の接着面積S(図4参照)は、前述したタイプAのスタンドオフ50のそれよりも狭くかつ前述したタイプBのスタンドオフ56のそれよりも広くなっている。従って、上面側の凹部72と下面側の凹部74との接着面積Sは比較的大きいといえるが、前記の如くサンドイッチ構造を採るので、上面側の凹部72と下面側の凹部74との密着度は比較的弱い。さらにまた、上記構成の窪み90の先端部90Aは、半径rのコーナー部92よりも距離Pだけ越えた位置まで延出されている。
【0046】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0047】
まず、タンク形状保持及び加圧時の接着部はがれ防止については、上面側の凹部72と下面側の凹部74との接着面積がSと比較的大きく確保されているので、いずれの評価項目も良好である。
【0048】
次に、軽度の衝突時(や路面干渉時)の接着部はがれ防止についてであるが、接着面積がSと比較的大きいことから、接合部88にはがれは生じない。一方、重度の衝突時のスタンドオフの割れによる燃料漏れ防止についてであるが、重度の衝突時になった場合には、接合部88に大きな剪断荷重が入力されるので、接合部88は窪み90から破断していく(その意味では、窪み90は広義には「剛性低下部」或いは「脆弱部」として把握される要素である)。このとき、窪み90の先端部90Aがコーナー部92を越えた位置に存在するため、破断時の亀裂が凹部72、74の周壁部側へ進行するのを防止することができる。また、窪み90の先端部90Aの上下には厚さtの外層76が「壁」として存在するため、亀裂の進行は接合部88の範囲内で進んでいく(即ち、亀裂の進行方向が規制される)。これらの結果、重度の衝突時には、スタンドオフ70は、接合部88で略水平に破断して上下に分離されるので、上下の凹部72、74の周壁部が割れるおそれはない。
【0049】
以上より、本実施形態のスタンドオフ構造によれば、軽度の衝突時には接着部のはがれを防止でき、重度の衝突時にはスタンドオフの割れによる燃料漏れを確実に防止できる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る燃料タンク構造は、燃料タンクにおける支持部材の配索経路上にスタンドオフを配置すると共に、当該スタンドオフを通るように補強用のビードを設定したので、重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンクの強度・剛性を確保して確実に車体フロアに固定することができるという優れた効果を有する。
【0051】
請求項2記載の本発明に係る燃料タンク構造は、請求項1記載の発明において、支持部材の配索経路に沿って延在する第1のビードと、支持部材の配索経路とは異なる方向へ延在する第2のビードと、を含んで前述したビードを構成したので、燃料タンクにおける支持部材の配索経路以外の部分が熱によって垂れるのを防止することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る燃料タンクの底面図である。
【図2】図1に示される燃料タンクの2−2線に沿う縦断面図である。
【図3】第2実施形態に係り、従来のスタンドオフ構造を示す拡大断面図である。
【図4】第2実施形態に係るスタンドオフ構造を示す拡大断面図である。
【図5】図4の5線矢視部の拡大図である。
【図6】図4の6線矢視部の拡大図である。
【符号の説明】
10 燃料タンク
12 タンクバンド(支持部材)
18 車体フロア
20 スタンドオフ
26 ビード
28 第1のビード
30 第2のビード
70 スタンドオフ
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂成形によって形成されると共に長尺状の支持部材によって車体フロアの所定位置に締め付け固定され、更にスタンドオフを備えた燃料タンク構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、主として軽量化の観点から、樹脂成形による燃料タンクが使用されてきている。ところが、一般にこの種の樹脂製の燃料タンクは金属製の燃料タンクに比べて剛性が低いため、タンクバンドで燃料タンクを車体フロアの下面側に固定した(締め付けた)ときに、充分な反力が得られず、燃料タンクをしっかりと車体フロアに固定することができないという問題がある。そこで、樹脂製の燃料タンクの場合、その剛性を確保することが重要なテーマになってくる。
【0003】
ところで、燃料タンクの適当な箇所に、スタンドオフと呼ばれる剛性確保や形状保持のための構成を付加する手法が従来から知られている(一例として、下記特許文献1参照)。なお、スタンドオフには、燃料タンクの内部に正圧がかかって膨らんだ際に、燃料タンクが車体フロアや路面と接触するのを防止するという機能もある。このスタンドオフも燃料タンクの剛性確保に大きく貢献するものと言えるが、単にスタンドオフを設定したというだけでは、剛性確保の要請に充分に応えることができない。
【0004】
そこで、燃料タンクにビードを設けることが考えられる。なお、燃料タンクにビードを設けた先行技術文献としては、下記特許文献2がある。しかし、この特許文献2のようにあまり多くのビードを形成すると、燃料タンクの容量が減るという別の問題が生じる。
【0005】
その他の手法としては、燃料タンクの板厚を増加したり、高強度のタンクバンドを使う等の手法が考えられるが、重量増加やコストアップ等の不利を招く。
【0006】
【特許文献1】
実開平5−29828号公報(図1、図2、図5)
【特許文献2】
実開昭56−172430号公報(第4図)
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記事実を考慮し、重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンクの強度・剛性を確保して確実に車体フロアに固定することができる燃料タンク構造を得ることが目的である。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の本発明に係る燃料タンク構造は、樹脂成形によって形成されると共に長尺状の支持部材によって車体フロアの所定位置に締め付け固定され、更に上面に形成された凹部と下面に形成された凹部とを接合することにより構成されたスタンドオフを備えた燃料タンク構造であって、前記燃料タンクにおける前記支持部材の配索経路上に前記スタンドオフを配置すると共に、当該スタンドオフを通るように補強用のビードを設定した、ことを特徴としている。
【0009】
請求項2記載の本発明に係る燃料タンク構造は、請求項1記載の発明において、前記ビードは、前記支持部材の配索経路に沿って延在する第1のビードと、前記支持部材の配索経路とは異なる方向へ延在する第2のビードと、を含んで構成されている、ことを特徴としている。
【0010】
請求項1記載の本発明によれば、燃料タンクは樹脂成形によって形成されており、長尺状の支持部材によって車体フロアに締め付けられて固定される。
【0011】
ここで、本発明では、支持部材の配索経路上にスタンドオフを配置したので、支持部材で燃料タンクを締め付けたときに、スタンドオフから締付反力が得られる。このため、燃料タンクをしっかりと車体フロアに固定することができ、ひいては支持部材の強度・剛性(並びにコスト)を最小限に抑えることができる。
【0012】
さらに、本発明では、スタンドオフを通るようにビードを設定したので、ビードが剛性の高い部位(即ち、スタンドオフの形成部位)を通ることになる。従って、ビードの補強効果を高めることができ、効率良く燃料タンクの強度・剛性を高めることができる。その結果、ビードの本数や大きさを抑えることができ、燃料タンクの容量のロス並びに重量増加を抑制することができる。
【0013】
請求項2記載の本発明によれば、支持部材の配索経路に沿って第1のビードが延在しているため、スタンドオフと第1のビードとの両者によって支持部材の配索経路が補強される。従って、燃料タンクの車体フロアへの固定状態をより一層安定化させることができる。
【0014】
さらに、本発明では、支持部材の配索経路とは異なる方向へ第2のビードが延在しているため、燃料タンクにおける支持部材の配索経路以外の部分はこの第2のビードによって補強される。
【0015】
【発明の実施の形態】
〔第1実施形態〕
以下、図1及び図2を用いて、第1実施形態について説明する。
【0016】
図1には本実施形態に係る燃料タンクの底面図が示されており、又図2には当該燃料タンクの2−2線に沿う縦断面図が示されている。
【0017】
これらの図に示されるように、燃料タンク10は、薄型で略直方体形状を成しており、ブロー成形による樹脂製とされている。燃料タンク10の底部には「支持部材」としての長尺状のタンクバンド12が複数本配索されており、かかるタンクバンド12の両端部(取付部)14にボルト16を通し、車体フロア18(広義には、車体フロア18に限定されない「車両ボディー」として把握される要素である)に締め込むことにより、車体フロア18の下面側に固定されている。なお、請求項1記載の「車体フロア」には、車体フロア18に取り付けられる部材19(各種メンバ)も含まれる。
【0018】
また、図1に示されるように、燃料タンク10の所定位置(本実施形態では、前端側、中央側、後端側の合計三箇所)には、略円筒形状のスタンドオフ20が形成されている。図2に示されるように、スタンドオフ20は、燃料タンク10の上面に形成されたコップ状の凹部22の底壁部と、下面に形成された同様形状の凹部24の底壁部とを成形時に接着することにより構成されている。
【0019】
ここで、本実施形態では、各タンクバンド12の配索経路上にスタンドオフ20が配置されている。つまり、燃料タンク10の前端側を固定するタンクバンド12Aは燃料タンク10の前端側に形成されたスタンドオフ20A上を通って車体フロア18に締め付けられており、又燃料タンク10の中央側を固定するタンクバンド12Bは燃料タンク10の中央側に形成されたスタンドオフ20B上を通って車体フロア18に締め付けられており、更に燃料タンク10の後端側を固定するタンクバンド12Cは燃料タンク10の後端側に形成されたスタンドオフ20C上を通って車体フロア18に締め付けられている。なお、図1においては、中央側のスタンドオフ20Bがこれに対応するタンクバンド12Bの配索経路から多少ずれているが、これは設計上の理由によるものであり、概念的にはスタンドオフ20Bの効果が及ぶ範囲にタンクバンド20Bが配索されている。
【0020】
さらに、各スタンドオフ20からは、複数本のビード26が放射方向(スタンドオフ20を中心として半径方向外側)へ向けて形成されている。ビード26は、タンクバンド12の配索経路に沿って延在する第1のビード28と、タンクバンド12の配索経路とは異なる方向(即ち、燃料タンク10の底壁部の一般部10A)へ向けて延在する第2のビード30と、によって構成されている。第2のビード30の基端部はスタンドオフ20に接続されており、先端部は燃料タンク10の底壁部の一般部10A上で止められている。
【0021】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0022】
各タンクバンド12に燃料タンク10を支持させ、この状態でボルト16を車体フロア18(及びこれに取り付けられる部材19)に下面側から締め込むことにより、燃料タンク10が車体フロア18の下面側に固定される。
【0023】
ここで、本実施形態に係る燃料タンク構造では、タンクバンド12の配索経路上にスタンドオフ20をそれぞれ配置したので、タンクバンド12で燃料タンク10を締め付けたときに、スタンドオフ20から締付反力(図2の矢印Rでこれを示す)が得られる。このため、燃料タンク10をしっかりと車体フロア18に固定することができ、ひいてはタンクバンド12の強度・剛性(並びにコスト)を最小限に抑えることができる。
【0024】
さらに、本実施形態では、スタンドオフ20を通るようにビード26を設定したので、ビード26が剛性の高い部位(即ち、スタンドオフ20の形成部位)を通ることになる。従って、ビード26の補強効果を高めることができ、効率良く燃料タンク10の強度・剛性を高めることができる。その結果、ビード26の本数や大きさを抑えることができ、燃料タンク10の容量のロス並びに重量増加を抑制することができる。
【0025】
総じて言えば、本実施形態に係る燃料タンク構造によれば、重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンク10の強度・剛性を確保して燃料タンク10を車体フロア18に確実に固定することができる。
【0026】
また、本実施形態に係る燃料タンク構造では、タンクバンド12の配索経路に沿って第1のビード28が延在しているため、スタンドオフ20と第1のビード28との両者によってタンクバンド12の配索経路が補強される。従って、燃料タンク10の車体フロア18への固定状態をより一層安定化させることができる。
【0027】
さらに、本実施形態に係る燃料タンク構造では、タンクバンド12の配索経路とは異なる方向へ第2のビード30が延在しているため、燃料タンク10におけるタンクバンド12の配索経路以外の部分(燃料タンク10の底壁部の一般部10A)はこの第2のビード30によって補強される。つまり、燃料タンク10の底壁部の一般部10Aに単にビードを設けるだけでも多少は補強されるのであるが、本実施形態の第2のビード30のように、強度・剛性が高いスタンドオフ20にビードの基端部を接続することにより、より高い補強効果が得られる。その結果、燃料タンク10におけるタンクバンド12の配索経路以外の部分が熱によって垂れるのを防止することができる。
【0028】
加えて、本実施形態に係る燃料タンク構造では、上記の如く、燃料タンク10の強度・剛性を高めることができるので、燃料タンク10の穴あき検査の信頼性を高めることができる。つまり、仮に樹脂製の燃料タンク10に穴があいていると、燃料タンク10に圧力(内圧)をかけたときの圧力の戻り(復帰)が早く、逆に燃料タンク10に穴があいていないと、圧力の戻りが遅い。このように圧力が戻る速度によって燃料タンク10に穴があいているか否かを調べるのが、所謂「穴あき検査」と呼ばれるものである。ところが、燃料タンク10の剛性が元々不足していると、穴があいているか否かに拘らず、圧力の戻りが遅くなり、穴があいている場合でも穴があいていないという判定が出てしまう。しかし、本実施形態のように充分な強度・剛性を確保することができれば、このような誤判定を無くすことができる。その意味で、燃料タンク10の穴あき検査の信頼性を高めることができる。
【0029】
なお、上述した実施形態では、ビード26を凹部として構成したが、凸部として構成しても差し支えない。
【0030】
また、上述した実施形態では、タンクバンド12の配索経路に沿って第1のビード28を設定するだけでなく、配索経路以外の方向へ第2のビード30を設定したが、請求項1記載の発明には、第1のビード28のみが形成され第2のビード30が形成されていないものや、逆に第2のビード30のみが形成され第1のビード28が形成されていないものも含まれる。
【0031】
〔第2実施形態〕
次に、図3〜図6を用いて、第2実施形態について説明する。なお、前述した第1実施形態と同一構成部分については、同一番号を付してその説明を省略する。
【0032】
この第2実施形態では、燃料タンクのスタンドオフ構造に関するものであり、前述した第1実施形態の構成にこの第2実施形態の構成が付加乃至は併用されると好ましいという位置付けである。
【0033】
図3は、従来のスタンドオフ構造を示したものである。図3(A)に示されるスタンドオフ50(以下、「Aタイプのスタンドオフ50」と称す)では、各々円錐台形状とされた上面側の凹部52の底壁面と下面側の凹部54の底壁面とが全面接着された構成になっている。また、図3(B)に示されるスタンドオフ56(以下、「Bタイプのスタンドオフ56」と称す)では、各々回転楕円体を短軸のみを含む平面で切断した形状とされた上面側の凹部58と下面側の凹部60とを先端部分で接着した構成になっている。さらに、図3(C)に示されるスタンドオフ62(以下、「Cタイプのスタンドオフ62」と称す)では、Bタイプのスタンドオフ56と同様形状とされた上面側の凹部58と下面側の凹部60とを接着せずに上下に対向しかつ離間して配置された構成になっている。
【0034】
上記より、Aタイプのスタンドオフ50では接着面積が大きくかつ密着度も強いことから強い接着強度を持つ点に構造上の特徴があり、Bタイプのスタンドオフ56では接着面積が小さくかつ密着度も弱いことから弱い接着強度を持つ点に構造上の特徴があり、Cタイプのスタンドオフ62では接着強度を持たない点に構造上の特徴があるといえる。
【0035】
これらのスタンドオフ50、56、62の特性をまとめたのが下記表1であり、以下に解説する。
【0036】
【表1】
この表1から解るように、Aタイプのスタンドオフ50は、接着面積が大きく密着度も強いため、タンク形状保持や加圧時の接着部の剥がれといった通常の車両走行時には、何も問題は生じない。また、軽度の衝突時の接着部の剥がれも生じない。しかし、重度の衝突時のスタンドオフの割れによる燃料漏れ防止に対しては、接着強度が強過ぎることから改善の余地がある。なお、「軽度の衝突時の接着部はがれ防止」並びに「重度の衝突時のスタンドオフの割れによる燃料漏れ防止」の評価項目の意味するところは、前者の場合にはスタンドオフ50の上面側の凹部52と下面側の凹部54とが底壁部で剥離しないことを良しとし、後者の場合には大きな剪断荷重がかかることから、底壁部で剥離して上面側の凹部52と下面側の凹部54とが互いに拘束し合わないことを良しとする意味である。
【0037】
Bタイプのスタンドオフ56は、接着面積が小さく密着度も弱いため、タンク形状保持程度では良好といえるが、加圧時の接着部のはがれ防止となると万全ではない。また、軽度の衝突時の接着部はがれ防止についても、はがれる可能性がないとはいえない。しかし、重度の衝突時には上下の凹部58、60が容易に剥離するので、スタンドオフ56の割れによる燃料漏れは防止できる。
【0038】
Cタイプのスタンドオフ62は、上下の凹部58、60が互いに拘束し合わず、独立して存在するので、タンク形状保持という観点では剛性が不足するといえる。また、加圧時の接着部のはがれ防止及び軽度の衝突時の接着部はがれ防止については評価そのものができない。但し、重度の衝突時にはスタンドオフ62が割れることはないので、燃料漏れが生じることはない。
【0039】
上述したことから、いずれのスタンドオフ50、56、62もすべての評価項目を満足するものではない。従って、燃料タンクにスタンドオフ50、56、62を設定する場合には、各々の欠点を克服するため、その配置位置や大きさ等を充分に検討して設定しなければならないという不利がある。
【0040】
そこで、この第2実施形態では、特に、軽度の衝突時には接着部のはがれを防止でき、重度の衝突時にはスタンドオフの割れによる燃料漏れを確実に防止できるスタンドオフ構造を得るという観点から、以下のように構成したものである。
【0041】
図4に拡大して示されるように、この第2実施形態のスタンドオフ70は、各々円錐台形状とされた上面側の凹部72と下面側の凹部74とを備えており、成形時に双方の底壁部を相互に接着して一体化することにより構成されている。
【0042】
図5には、下面側の凹部74の一部(図4の5線矢視部)が拡大して示されている。この図に示されるように、スタンドオフ70を構成する下面側の凹部74は、タンク外側を構成する外層76と、タンク内側を構成する内層78と、外層76と内層78とを接合する接着層80と、によって構成されている。なお、スタンドオフ70を構成する上面側の凹部72も同様に構成されている。
【0043】
外層76は、HDPE(高密度ポリエチレン)とカーボンブラックとから成る最外層82と、その内側に配置された再生材層84と、によって構成されている。また、内層78は、HDPEによって構成されている。さらに、接着層80は、外層76側に配置された外側接着層85と、内層78側に配置された内側接着層86と、両者の間に介在されるEVOH(エチレンビニルアルコール)層87と、によって構成されている。
【0044】
図4に戻り、上記の層構造を採る上面側の凹部72と下面側の凹部74とを底壁部で一体化することにより、両者の接合部88は、上下に厚さt(図4参照)の外層76を有し、その間に約二枚分の厚さの内層78が挟み込まれたサンドイッチ構造として構成されている。なお、本実施形態では、接合部88の外層76の厚さtは、3mm以上と厚めに設定されている。
【0045】
さらに、図6に拡大して示されるように、本実施形態に係るスタンドオフ70では、接合部88の厚さ方向の中間部の外周にスリット状の窪み90がその全周に亘って形成されている。なお、窪み90はスリット状に形成したが、テーパ状に形成して楔効果を持たせてもよい。この窪み90が形成されたことにより、本実施形態のスタンドオフ70の接着面積S(図4参照)は、前述したタイプAのスタンドオフ50のそれよりも狭くかつ前述したタイプBのスタンドオフ56のそれよりも広くなっている。従って、上面側の凹部72と下面側の凹部74との接着面積Sは比較的大きいといえるが、前記の如くサンドイッチ構造を採るので、上面側の凹部72と下面側の凹部74との密着度は比較的弱い。さらにまた、上記構成の窪み90の先端部90Aは、半径rのコーナー部92よりも距離Pだけ越えた位置まで延出されている。
【0046】
次に、本実施形態の作用並びに効果について説明する。
【0047】
まず、タンク形状保持及び加圧時の接着部はがれ防止については、上面側の凹部72と下面側の凹部74との接着面積がSと比較的大きく確保されているので、いずれの評価項目も良好である。
【0048】
次に、軽度の衝突時(や路面干渉時)の接着部はがれ防止についてであるが、接着面積がSと比較的大きいことから、接合部88にはがれは生じない。一方、重度の衝突時のスタンドオフの割れによる燃料漏れ防止についてであるが、重度の衝突時になった場合には、接合部88に大きな剪断荷重が入力されるので、接合部88は窪み90から破断していく(その意味では、窪み90は広義には「剛性低下部」或いは「脆弱部」として把握される要素である)。このとき、窪み90の先端部90Aがコーナー部92を越えた位置に存在するため、破断時の亀裂が凹部72、74の周壁部側へ進行するのを防止することができる。また、窪み90の先端部90Aの上下には厚さtの外層76が「壁」として存在するため、亀裂の進行は接合部88の範囲内で進んでいく(即ち、亀裂の進行方向が規制される)。これらの結果、重度の衝突時には、スタンドオフ70は、接合部88で略水平に破断して上下に分離されるので、上下の凹部72、74の周壁部が割れるおそれはない。
【0049】
以上より、本実施形態のスタンドオフ構造によれば、軽度の衝突時には接着部のはがれを防止でき、重度の衝突時にはスタンドオフの割れによる燃料漏れを確実に防止できる。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、請求項1記載の本発明に係る燃料タンク構造は、燃料タンクにおける支持部材の配索経路上にスタンドオフを配置すると共に、当該スタンドオフを通るように補強用のビードを設定したので、重量増加や容量低減等の不利を招くことなく、効率良く燃料タンクの強度・剛性を確保して確実に車体フロアに固定することができるという優れた効果を有する。
【0051】
請求項2記載の本発明に係る燃料タンク構造は、請求項1記載の発明において、支持部材の配索経路に沿って延在する第1のビードと、支持部材の配索経路とは異なる方向へ延在する第2のビードと、を含んで前述したビードを構成したので、燃料タンクにおける支持部材の配索経路以外の部分が熱によって垂れるのを防止することができるという優れた効果を有する。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1実施形態に係る燃料タンクの底面図である。
【図2】図1に示される燃料タンクの2−2線に沿う縦断面図である。
【図3】第2実施形態に係り、従来のスタンドオフ構造を示す拡大断面図である。
【図4】第2実施形態に係るスタンドオフ構造を示す拡大断面図である。
【図5】図4の5線矢視部の拡大図である。
【図6】図4の6線矢視部の拡大図である。
【符号の説明】
10 燃料タンク
12 タンクバンド(支持部材)
18 車体フロア
20 スタンドオフ
26 ビード
28 第1のビード
30 第2のビード
70 スタンドオフ
Claims (2)
- 樹脂成形によって形成されると共に長尺状の支持部材によって車体フロアの所定位置に締め付け固定され、更に上面に形成された凹部と下面に形成された凹部とを接合することにより構成されたスタンドオフを備えた燃料タンク構造であって、
前記燃料タンクにおける前記支持部材の配索経路上に前記スタンドオフを配置すると共に、当該スタンドオフを通るように補強用のビードを設定した、
ことを特徴とする燃料タンク構造。 - 前記ビードは、前記支持部材の配索経路に沿って延在する第1のビードと、前記支持部材の配索経路とは異なる方向へ延在する第2のビードと、を含んで構成されている、
ことを特徴とする請求項1記載の燃料タンク構造。
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