JP2004202916A - 文字や模様等の表示部を有する加飾成形体 - Google Patents
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Abstract
【課題】一見あまり目立たないものの、立体的にはっきりと視認することが可能な文字、記号等の表示部を形成した加飾成形体、特に押釦スイッチ用のキートップを提供する。
【解決手段】透明な成形体1内部に、少なくとも気泡3群やクラック3群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部2を形成した。気泡3群やクラック3群を成形体1内部で三次元方向に形成して表示部2を立体的に形成できる。個々の気泡3の直径は1〜25μmであり、個々のクラック3の長さは50〜100μmとした。
【選択図】 図3
【解決手段】透明な成形体1内部に、少なくとも気泡3群やクラック3群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部2を形成した。気泡3群やクラック3群を成形体1内部で三次元方向に形成して表示部2を立体的に形成できる。個々の気泡3の直径は1〜25μmであり、個々のクラック3の長さは50〜100μmとした。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂やガラスなどの透明成形体の内部に文字や記号、模様等を表す部分を有する加飾成形体に関し、特に、携帯電話機、携帯情報端末機、AV機器などの各種電子機器の入力操作部に使用される押釦スイッチ用のキートップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の通信技術の発達により、携帯電話機や携帯情報端末のような携帯用の情報機器端末が広く普及してきた。これらの携帯用の情報機器端末はその普及につれて、機能面が重視される一方で外観デザインのより斬新な機器が好まれるようになってきている。そして機器外観にデザインが施される箇所は、筐体部分はもちろんのこと、押釦スイッチのような入力操作部に対しても、もはや例外ではなくなってきている。このような押釦スイッチ全体への装飾の例としては、例えば金属蒸着層をキートップ表面に設けてメタリック調にしたり、液晶フィルムのような特殊フィルムをラミネートして虹彩色を施すことなどがなされている。
【0003】
しかしながら、押釦スイッチが所定の操作を携帯機器に行わせる部材であり、文字や記号等の入力に使われるものであれば、何を入力するための押釦であるかの表示が不可欠であり、通常、文字などを表す文字表示部を消し去るような装飾をすることはできない。そこで、前述のキートップ全体への装飾とは別に文字表示部に対して、色彩や書体を変えたり、部材を変えたりした装飾がなされてきた。例えば、特開2000−311546号公報(特許文献1)には、文字形状に相応する凹部内に着色樹脂を注入した例が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−311546号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、デザインの多様化の中で、表示が不可欠な文字表示部がデザインの妨げになるような場合も生じてきたため、一見、文字表示部があまり目立たないものの、文字表示部を視認したいような場合には、はっきりと読みとれるようなキートップに対する要求も生じてきた。
【0006】
一方、押釦スイッチによっては、種々の文字や記号の入力や、画面のスクロールなど、一つのスイッチで複数の入力機能に関与する押釦スイッチがあり、これらのスイッチに対しては、複数の文字を全て同じようにキートップ表面に設けたのでは、あまり使わない文字と、良く使う文字が同様に表示されるため、主として使用する文字が却ってわかりづらくなるという弊害もあった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するためになされたものであり、これまでにない斬新な文字等を表す表示部(又は加飾部)を設けた押釦スイッチ用のキートップ、そして、キートップに代表されるような、透明体に表示部が形成された加飾成形体を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、透明な成形体内部に、少なくとも気泡群やクラック群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部を形成した加飾成形体を提供する。
【0009】
透明な成形体内部に、少なくとも気泡群やクラック群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部を形成したため、デザイン的に優れた加飾成形体を得ることができる。即ち、着色材等を用いて文字等を表示する表示部を形成するものではないため、文字部分が目立たないが視認することができる加飾成形体を得ることができる。また、透明な成形体内部に文字等が形成されるため、摩耗等により文字等が消えることもないし、経時変化を受けにくく、変色、退色するようなこともない。さらに、このような加飾成形体の形成過程において、表示部を印刷等により形成する必要がなくレーザー照射によって形成できるため、簡単にきめ細かな加工ができ、小さな文字であっても解像度が高い表示部を有する加飾成形体を得ることができる。また、立体形状の文字等を形成できるため、この点からもデザイン上優れた加飾成形体となる。
【0010】
また本発明は、気泡群またはクラック群を成形体内部で三次元方向に形成して表示部を立体的に形成することができる。気泡やクラックを三次元的に設ければ、立体的な表示部を形成することができ、デザインに優れた加飾成形体を得ることができる。
【0011】
また本発明は、気泡群を形成する個々の気泡の直径が1μm〜200μmであり、クラック群を形成する個々のクラックの長さが25μm〜300μmである加飾成形体を提供する。
【0012】
気泡群を形成する個々の気泡の直径を1μm〜200μmとし、クラック群を形成する個々のクラックの長さを25μm〜300μmとしたため、気泡群やクラック群から形成される表示部であっても、文字等の輪郭をはっきりと表示することが可能である。また、表示部とその周囲の部分とが明確に区別できるため、立体的に視認できる表示部を有する加飾成形体を得ることができる。
【0013】
そして、この加飾成形体は押釦スイッチ用のキートップとすることができる。キートップ内部に3次元的な奥行きのある文字等の表示部を得ることができ、この表示部を目立たなく形成できること、そして、着色材の存在ではなく透過光の反射の程度の相違によって表示部を認識させるため、デザインに優れた高級感のある押釦スイッチ用のキートップを得ることができきる。
【0014】
また、照光式の押釦スイッチ用のキートップとすれば、文字などの表示部を、一見目立たなくすることができる一方、照光させることにより、表示部で光が散乱するため、文字部分が3次元的に浮かび上がり、好適に視認できるようになるキートップを得ることができる。
【0015】
また、画面スクロール用の操作スイッチとして機能する1つのキートップに対して4つの接点があるような多方向押釦スイッチ用のキートップとすれば、各方向ごとの入力文字を目立たなく形成することができ、キートップ表面が煩雑に見えず、また、一見多方向押釦スイッチとは見えないデザイン的に優れたキートップとすることができる。
【0016】
そして、表面の少なくとも一面に装飾層を設けた加飾成形体であれば、透明な加飾成形体に彩色を施すことができる。また、内部の文字等が形成される表示部と、それ以外の部分で光の散乱程度が異なるため、装飾層に施された装飾をより変化させて視認させることができる。そのため、深みのある装飾性に優れた加飾成形体を得ることができる。
【0017】
また本発明は、気泡群やクラック群により文字、記号、模様などの表示部を形成するとともに、該表示部とは別の文字記号、模様などの表示部を装飾層により形成し、視認性の異なる2以上の表示部を設けた加飾成形体を提供する。
【0018】
気泡群やクラック群により文字、記号、模様などの表示部を形成するとともに、該表示部とは別の文字記号、模様などの表示部を装飾層により形成し、視認性の異なる2以上の表示部を形成したため、例えば、1つの押釦スイッチで多種類の文字や記号の入力を行わしめるようなキートップ等において、「記号」を気泡群またはクラック群から形成し、「文字」を装飾層にて形成することにより、キートップを通じて主として入力される「文字」を目立つように表示し、ほとんど入力することがない「記号」を一見目立たないように表示することができる。そのため、主表示が見易くシンプルでデザインに優れたキートップなどの加飾成形体を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る加飾成形体の例としてのキートップについて、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1、図2に本発明の押釦スイッチ用のキートップ1を示す。透明性又は半透明性樹脂からなるキートップ1は、その内部に気泡又はクラック3を有しており、この気泡又はクラック3がキートップ1内部に複数形成されて気泡群やクラック群となることにより立体的な文字(表示部)2を形成している。図3には、表示部2の拡大図を示す。このキートップ1は、裏面1aに装飾層4が形成されるとともに、接着剤5を介してゴム状弾性体のキーシート6と接着されて押釦スイッチ用キーパッド7を形成することができる。
【0021】
キートップ1内部への気泡又はクラック3の形成は、レーザーを用いて行うことができる。図4に示すように、キートップ1の加工を施す部分に焦点をあて、レーザー照射機Mから短波長レーザーを照射すると、焦点Fとなる箇所に気泡またはクラック3を生じる。次に、焦点Fを、キートップ1の横方向(図1または図2に示すX軸方向)及びキートップ1の縦方向(図2に示すY軸方向)に所定長さだけ移動させ、同様にレーザーを照射させれば、移動した地点に気泡又はクラック3が生じることになる。これを繰り返すことにより、キートップ1のXY平面上に広がる気泡群又はクラック群ができ、この気泡群やクラック群により平面的な文字を形成することができる。また、XY平面方向だけでなく、焦点Fをキートップ1の上下方向(図1のZ軸方向)に動かして加工を行えば複数層に加工が施された立体的な文字2を得ることができる(図3)。気泡群を形成する各気泡3の形状は、図5にその模式図を示すが、概ね底面bがXY平面上にあり頂点vがレーザー照射源とは反対側のZ軸方向上にある円錐c(但し、頂点vが丸みを帯びて尖っていない)と、その円錐cの底面bで切断された半球hsとが結合したような形状をしている。また、クラック群を形成する各クラック3は、キートップ1内部にひび割れや裂け目ができたものである。気泡やクラック3の配列の仕方は種々あり、一定幅ごとの間隔を置いて規則正しく気泡又はクラック3が形成されるラスター加工によって形成された文字2aを図6、図7に、ランダムな間隔を置いて気泡又はクラック3が形成されるランダム加工によって形成された文字2bを図8、図9にそれぞれ示す。
【0022】
また、気泡群やクラック群の形成を工夫することにより種々のデザインの文字を形成することもできる。図10、図11に示したように、キートップ12の上下方向(Z軸方向)で気泡やクラック3の数を徐々に変化させるようにして、裾が広がったような文字2cを表現することが可能である。また、図12、図13に示すように、キートップ13の横方向(X軸方向)に大きさの異なる気泡やクラック3を形成することによって、影を有する文字2dを表現することが可能である。この他、気泡やクラック3の配列、大きさを任意に変えることによって種々のデザインの表示部2を形成することができる。
【0023】
気泡やクラック3を形成するレーザーには、エネルギー強度の大きい短波長レーザーを用いることが好ましく、エキシマレーザー、カラーフィルター等を介して短波長化したYAGレーザーを用いることがさらに好ましい。例えば、YAGレーザーを用いてポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロポリオレフィン樹脂等の樹脂を加工する場合は、波長532nm、収束角度5〜20度であることが好ましい。焦点を移動して気泡又はクラック3を形成する速度は、100〜2000(焦点数/秒)であるが、気泡又はクラック3の均一性と作業効率との関係から800〜1200(焦点数/秒)であることが好ましい。
【0024】
レーザーが照射されて形成される気泡3又はクラック3の大きさは、気泡3の場合は、その直径が1μm〜200μmであり、クラック3の場合は、その長さが25μm〜300μmである。気泡3やクラック3の大きさがこの範囲にないと、正確な文字2が形成されず、文字2部分とそれ以外の部分の境界が不明確になるからである。そしてこれらの大きさの中でも、気泡3の直径が2μm〜150μm、クラック3の長さが25μm〜175μmであることが好ましい。気泡3の直径が2μmより小さいかクラック3の長さが25μmより短いと、単位長さ当たりの気泡やクラック3の個数が多く必要となることや、気泡やクラック3は黒点のように認識される一方、気泡やクラック3の周囲の透明な部分の影響を強く受け、照光しても文字2がまだらに見えて均一な意匠が形成されにくいからである。また、気泡3の直径が150μmより大きいかクラック3の長さが175μmより長いと、隣接する気泡やクラック3どうしが合体し、気泡3やクラック3の大きさ、長さが不揃いとなって、やはりまだらになり視認性が劣ってくるからであり、また、気泡3やクラック3形成時にエネルギーを過剰に付与しがちで気泡3やクラック3内面が黒化し易いからである。なお、気泡3の直径は、図5に示した円錐c部分の底面b(または半球hs部分の底面b)の直径をいうものとする。
【0025】
各気泡3や各クラック3間の距離は、X軸方向またはY軸方向では10μm〜200μmであり、Z軸方向では0.2mm以上である。X軸方向またはY軸方向で10μm、Z軸方向で0.2mmより短いと、加工時間が多くかかりすぎるし、隣接する気泡3やクラック3どうしが合体し視認性が悪くなる。また、気泡3やクラック3作製時にエネルギーが過剰に付与されて黒色化することがある。一方、X軸方向またはY軸方向で200μmより長いと、正確な文字2が形成されず、文字2部分とそれ以外の部分の境界が不明瞭になる。また、各気泡3や各クラック3間の距離は、好ましくは、X軸方向またはY軸方向では50μm〜150μmであり、Z軸方向では0.3mm〜0.5mmである。この範囲であれば、加工時間が適当であり、気泡3やクラック3及びその周囲を透過、反射、拡散する光により良好な視認性を有する意匠が形成されるからである。
【0026】
透明なキートップ1には、半透明のキートップ1も含むものとし、透明又は半透明のポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂の他、キートップ1の材質はガラスであっても良い。樹脂キートップ1の場合は、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、回転成形などによって加熱溶融させた樹脂あるいは液状の未硬化樹脂を所望の形状の金型に充填させて固化させて製造することができる。キートップ1の厚さは、0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上である。この程度の厚みがないとキートップ1内部への加工が難しくなるだけでなく、キートップ1としての強度が保てなくなるからである。
【0027】
キートップ1の裏面1aには、装飾層4を形成することができる。装飾層4は、キートップ1に色彩や模様を与える層であり、文字2の背景色や背景模様を形成する。あるいは、気泡群やクラック群からなる表示部2とは異なる文字や記号等からなる表示部32(図16)を形成することもできる。装飾層4は、スクリーン印刷やパッド印刷などによって着色インキを塗布することにより形成することができるが、蒸着によりアルミニウム薄膜層を形成したり、アルミニウム薄膜層を有する樹脂膜を転写して形成することもできる。照光式押釦スイッチ用のキートップとする場合は透光性の装飾層とする必要がある。
【0028】
キートップ1とキーシート6を結合する接着剤5には、エポキシ系、ウレタン系の熱硬化性接着剤や、紫外線照射などにより硬化する活性エネルギー線硬化型接着剤、シアノアクリレート系接着剤など、種々の接着剤、粘着剤を用いることができる。接着剤5の厚みは、キートップ1とキーシート6とを十分に接着する強度が必要なため、1〜30μmであることが好ましい。
【0029】
キーシート6には、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレン等のゴムやポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0030】
なお、キートップ1や押釦スイッチ用キーパッド7は、以上説明した形状、構造に限られるものではなく、必要に応じて適宜の変更がなされていても良い。例えば、キートップ1の表面に対して、鏡面感や金属調光沢を与えるための層を形成することもできるし、キートップ1表面保護のためのオーバーコート層を形成することもできる。また、キートップ1内部に形成されるのは文字2に限られるものではなく、記号や模様などであってもよい。
【0031】
以上、加飾成形体の具体例としてキートップ1について説明したが、キートップ1以外の例として、携帯電話機、携帯情報端末機、AV機器、自動車用機器などの表示部の液晶画面等を保護するパネルカバーを挙げることができる。透明な成形体であるパネルカバーの縁取り部分などに気泡群やクラック群で機種名や社名を形成したり、あるいは種々のイラストや模様を施せば、機能的な液晶画面の隅にデザイン性に優れた装飾が付された個性的な製品を得ることができる。このように、本発明は押釦スイッチ用キーパッド7だけでなく、樹脂やガラスなどの透明な固体からなり内部に装飾が施された加飾成形体に対して適用することができるものである。
【0032】
【実施例】
実施例1:
【0033】
射出成形した厚さ2mmのポリメタクリレート樹脂の内部に焦点を合わせ、カラーフィルターで波長を532nmに変換したYAGレーザーを用い電流値52mAでレーザービームを照射して気泡(3)やクラック(3)を形成した。このときのレンズの焦点距離は160mmであった。ラスター加工によりZ軸を固定したまま、X軸、Y軸方向に焦点を順次移動し、気泡(3)やクラック(3)間の距離が、X軸方向に50μm、Y軸方向に50μmの間隔で平面的に広がる気泡群を形成した。次に、Z軸方向に焦点を0.3mm移動させてZ軸を固定しながら先ほどと同様にX軸、Y軸方向に焦点を順次移動しZ軸方向に2層目となる気泡群を形成した。この操作を繰り返し、Z軸方向に5層となる気泡群からなる直方体(疑似文字)を形成した。各気泡(3)の直径および各クラック(3)の長さを光学顕微鏡にて測定したところ、各気泡(3)の直径は2.5μm〜100μm、各クラック(3)の長さは25μm〜175μmの範囲にあった。その後、このキートップ(1)の裏面(1a)全体にスクリーン印刷によって着色インキを塗布して装飾層(4)を形成し、透明な紫外線硬化接着剤にてシリコーンゴムからなるキーシート(6)と貼り合わせて押釦スイッチ用キーパッド(7)を作製した。
【0034】
実施例2〜実施例9;
【0035】
実施例1で用いた樹脂、レーザーの種類、電流値、Z軸方向の層数、レンズの焦点距離、加工方法の各条件を、表1に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例9を行った。キートップ中の気泡(3)、クラック(3)の状態も併せて表1に示した。なお、ランダム加工の場合は、各気泡(3)や各クラック(3)間の平均間隔が、X軸、Y軸方向の何れも50μmとなるようにした。また、ランダム加工の場合のZ軸方向への積層は、層間を0.3mmとした。表中、気泡(3)が生じた場合はその直径、クラック(3)が生じた場合はその長さを示した。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例10;
【0038】
実施例1と同様の材料、条件を用い、各気泡(3)間の間隔も実施例1と同じになるようにした。そして、三角形が4方向にそれぞれ向かう図形からなる表示部(2)を成形体内部に有する多方向押釦スイッチ用のキートップ(21)を形成した。押し子を4個有するキーシート(22)と一体化して図14、図15に示す多方向押釦スイッチ用キーパッド(23)を得た。
【0039】
実施例11;
【0040】
実施例1と同様の材料、条件を用い、各気泡(3)間の間隔も実施例1と同じになるようにした。そして図17に示したような表示部(2)をキートップ(31)内部に形成した。また、実施例1とは異なり、キートップ(31)の裏面にスクリーン印刷によって2種類の着色インキを塗布して表示部(33)が表れるように装飾層(32)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして図16、図17に示す押釦スイッチ用キーパッド(34)を得た。
【0041】
比較例1〜比較例3;
【0042】
実施例1で用いた樹脂、レーザーの種類、電流値、加工方法、レンズの焦点距離、Z軸方向の層数のうち少なくとも1つの条件を、表1に示した条件に変更して、比較例1〜比較例3を行った。キートップ中の気泡、クラックの状態も併せて表1に示した。
【0043】
実施例1〜9では、気泡群又はクラック群が均質に発生し、境界が明確に視認できる直方体(1層の場合は長方形)を透明な成形体中に得ることができた。一方、比較例1では、気泡が黒く焦げてしまう部分が見られ(黒色化)、直方体内部に光ムラが生じ、均質な直方体とはならなかった。また、比較例2では、電流値を35Aと高くしても気泡(3)やクラック(3)を形成することができなかった。比較例3では、電流値を35Aと高くしても樹脂表面だけが黒く焦げてしまい、樹脂内部に気泡(3)やクラック(3)を形成することができなかった。
【0044】
実施例1〜4、10、11では気泡(3)とクラック(3)が生じた。また、実施例5〜9、比較例1ではクラック(3)が生ぜず、気泡(3)のみが生じた。このことから、成形体の種類により、気泡(3)が生じたり、クラック(3)が生じたり変化することがわかった。特にポリカーボネート樹脂を用いれば気泡(3)が生じ、アクリル樹脂を用いれば気泡(3)とクラック(3)が生じることがわかった。
【0045】
実施例1〜11に示したキーパッド(7,23,34)は、何れも気泡またはクラック(3)から生じた表示部(2)は、一見目立たなく、見る角度によっては、表示部(2)が形成されていることがわかりずらかった。しかしながら、キーパッド(7,23,34)の裏面から照光してやると、気泡またはクラック(3)からなる表示部(2)がはっきりと見えた。特に5層にしたキーパッド(7,23,34)は、表示部(2)が立体的に浮かび上がって見えた。また、実施例10に示した多方向押釦スイッチ用キーパッド(23)は、一見多方向押釦スイッチには見えず、デザイン的にシンプルである一方、照光させれば、三角形の図形が浮かび上がって見え、夜間でも押し間違いをすることはなかった。また、実施例11に示した押釦スイッチ用キーパッド(34)は、「D」の文字(33)がはっきりと視認できるものの、「5」の数字(2)は薄く見えるため、英文字入力する際にアルファベットの文字を見つけ易かった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、透明な成形体内部に立体的な文字や模様等の表示部を直接形成することができる押釦スイッチ用のキートップなどの加飾成形体を得ることができるため、耐摩耗性や耐変色性に優れた表示部を有するとともに、デザイン的に優れた加飾成形体である。
【0047】
また、印刷によって表示部を形成する必要がなく、レーザー加工によって表示部を形成することができるため、細かい成形が可能であり、解像度の高い文字等を有する加飾成形体である。
【0048】
また、着色材を用いて表示部を視認させるのではなく、透過光の散乱の程度の差を通じて表示部を視認させるため、一見表示部が目立たないものの、光を照射すれば、はっきりと表示部が視認できるという機能性に優れた加飾成形体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるキートップを用いた押釦スイッチ用キーパッドであり、図2のSA−SA線端面図である。
【図2】図1の押釦スイッチ用キーパッドの平面図である。
【図3】図1で示すキートップに形成された文字を示す模式図である。
【図4】キートップに文字を形成する状態を説明する断面図である。
【図5】気泡の形状を示す模式図である。
【図6】ラスター加工により得た文字を示す、図2の押釦スイッチ用キーパッドのキートップ部分の部分拡大図である。
【図7】図6のキートップのSB−SB線端面図である。
【図8】ランダム加工により得た文字を示す、本発明の別の実施形態によるキートップの部分拡大平面図である。
【図9】図8のキートップのSC−SC線端面図である。
【図10】別のデザインによる文字を示す、本発明の別の実施形態によるキートップの部分拡大平面図である。
【図11】図10のキートップのSD−SD線端面図である。
【図12】さらに別のデザインによる文字を示す、本発明の別の実施形態によるキートップの部分拡大平面図である。
【図13】図12のキートップのSE−SE線端面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態によるキートップを用いた多方向押釦スイッチ用キーパッドの平面図である。
【図15】図14の多方向押釦スイッチ用キーパッドのSF−SF線端面図である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態によるキートップを用いた押釦スイッチ用キーパッドの平面図である。
【図17】図16の押釦スイッチ用キーパッドのSG−SG線端面図である。
【符号の説明】
1,11,12,13,21,31 キートップ
1a 裏面
2,2a,2b,2c、2d、33 文字(表示部)
3 気泡又はクラック
4,32 装飾層
5 接着剤
6,22 キーシート
7,34 押釦スイッチ用キーパッド
23 多方向押釦スイッチ用キーパッド
F 焦点
M レーザー照射機
【発明の属する技術分野】
本発明は、樹脂やガラスなどの透明成形体の内部に文字や記号、模様等を表す部分を有する加飾成形体に関し、特に、携帯電話機、携帯情報端末機、AV機器などの各種電子機器の入力操作部に使用される押釦スイッチ用のキートップに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年の通信技術の発達により、携帯電話機や携帯情報端末のような携帯用の情報機器端末が広く普及してきた。これらの携帯用の情報機器端末はその普及につれて、機能面が重視される一方で外観デザインのより斬新な機器が好まれるようになってきている。そして機器外観にデザインが施される箇所は、筐体部分はもちろんのこと、押釦スイッチのような入力操作部に対しても、もはや例外ではなくなってきている。このような押釦スイッチ全体への装飾の例としては、例えば金属蒸着層をキートップ表面に設けてメタリック調にしたり、液晶フィルムのような特殊フィルムをラミネートして虹彩色を施すことなどがなされている。
【0003】
しかしながら、押釦スイッチが所定の操作を携帯機器に行わせる部材であり、文字や記号等の入力に使われるものであれば、何を入力するための押釦であるかの表示が不可欠であり、通常、文字などを表す文字表示部を消し去るような装飾をすることはできない。そこで、前述のキートップ全体への装飾とは別に文字表示部に対して、色彩や書体を変えたり、部材を変えたりした装飾がなされてきた。例えば、特開2000−311546号公報(特許文献1)には、文字形状に相応する凹部内に着色樹脂を注入した例が記載されている。
【0004】
【特許文献1】
特開2000−311546号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、デザインの多様化の中で、表示が不可欠な文字表示部がデザインの妨げになるような場合も生じてきたため、一見、文字表示部があまり目立たないものの、文字表示部を視認したいような場合には、はっきりと読みとれるようなキートップに対する要求も生じてきた。
【0006】
一方、押釦スイッチによっては、種々の文字や記号の入力や、画面のスクロールなど、一つのスイッチで複数の入力機能に関与する押釦スイッチがあり、これらのスイッチに対しては、複数の文字を全て同じようにキートップ表面に設けたのでは、あまり使わない文字と、良く使う文字が同様に表示されるため、主として使用する文字が却ってわかりづらくなるという弊害もあった。
【0007】
そこで、本発明はこれらの課題を解決するためになされたものであり、これまでにない斬新な文字等を表す表示部(又は加飾部)を設けた押釦スイッチ用のキートップ、そして、キートップに代表されるような、透明体に表示部が形成された加飾成形体を得ることを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
すなわち本発明は、透明な成形体内部に、少なくとも気泡群やクラック群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部を形成した加飾成形体を提供する。
【0009】
透明な成形体内部に、少なくとも気泡群やクラック群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部を形成したため、デザイン的に優れた加飾成形体を得ることができる。即ち、着色材等を用いて文字等を表示する表示部を形成するものではないため、文字部分が目立たないが視認することができる加飾成形体を得ることができる。また、透明な成形体内部に文字等が形成されるため、摩耗等により文字等が消えることもないし、経時変化を受けにくく、変色、退色するようなこともない。さらに、このような加飾成形体の形成過程において、表示部を印刷等により形成する必要がなくレーザー照射によって形成できるため、簡単にきめ細かな加工ができ、小さな文字であっても解像度が高い表示部を有する加飾成形体を得ることができる。また、立体形状の文字等を形成できるため、この点からもデザイン上優れた加飾成形体となる。
【0010】
また本発明は、気泡群またはクラック群を成形体内部で三次元方向に形成して表示部を立体的に形成することができる。気泡やクラックを三次元的に設ければ、立体的な表示部を形成することができ、デザインに優れた加飾成形体を得ることができる。
【0011】
また本発明は、気泡群を形成する個々の気泡の直径が1μm〜200μmであり、クラック群を形成する個々のクラックの長さが25μm〜300μmである加飾成形体を提供する。
【0012】
気泡群を形成する個々の気泡の直径を1μm〜200μmとし、クラック群を形成する個々のクラックの長さを25μm〜300μmとしたため、気泡群やクラック群から形成される表示部であっても、文字等の輪郭をはっきりと表示することが可能である。また、表示部とその周囲の部分とが明確に区別できるため、立体的に視認できる表示部を有する加飾成形体を得ることができる。
【0013】
そして、この加飾成形体は押釦スイッチ用のキートップとすることができる。キートップ内部に3次元的な奥行きのある文字等の表示部を得ることができ、この表示部を目立たなく形成できること、そして、着色材の存在ではなく透過光の反射の程度の相違によって表示部を認識させるため、デザインに優れた高級感のある押釦スイッチ用のキートップを得ることができきる。
【0014】
また、照光式の押釦スイッチ用のキートップとすれば、文字などの表示部を、一見目立たなくすることができる一方、照光させることにより、表示部で光が散乱するため、文字部分が3次元的に浮かび上がり、好適に視認できるようになるキートップを得ることができる。
【0015】
また、画面スクロール用の操作スイッチとして機能する1つのキートップに対して4つの接点があるような多方向押釦スイッチ用のキートップとすれば、各方向ごとの入力文字を目立たなく形成することができ、キートップ表面が煩雑に見えず、また、一見多方向押釦スイッチとは見えないデザイン的に優れたキートップとすることができる。
【0016】
そして、表面の少なくとも一面に装飾層を設けた加飾成形体であれば、透明な加飾成形体に彩色を施すことができる。また、内部の文字等が形成される表示部と、それ以外の部分で光の散乱程度が異なるため、装飾層に施された装飾をより変化させて視認させることができる。そのため、深みのある装飾性に優れた加飾成形体を得ることができる。
【0017】
また本発明は、気泡群やクラック群により文字、記号、模様などの表示部を形成するとともに、該表示部とは別の文字記号、模様などの表示部を装飾層により形成し、視認性の異なる2以上の表示部を設けた加飾成形体を提供する。
【0018】
気泡群やクラック群により文字、記号、模様などの表示部を形成するとともに、該表示部とは別の文字記号、模様などの表示部を装飾層により形成し、視認性の異なる2以上の表示部を形成したため、例えば、1つの押釦スイッチで多種類の文字や記号の入力を行わしめるようなキートップ等において、「記号」を気泡群またはクラック群から形成し、「文字」を装飾層にて形成することにより、キートップを通じて主として入力される「文字」を目立つように表示し、ほとんど入力することがない「記号」を一見目立たないように表示することができる。そのため、主表示が見易くシンプルでデザインに優れたキートップなどの加飾成形体を得ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係る加飾成形体の例としてのキートップについて、図面を参照しつつ説明する。
【0020】
図1、図2に本発明の押釦スイッチ用のキートップ1を示す。透明性又は半透明性樹脂からなるキートップ1は、その内部に気泡又はクラック3を有しており、この気泡又はクラック3がキートップ1内部に複数形成されて気泡群やクラック群となることにより立体的な文字(表示部)2を形成している。図3には、表示部2の拡大図を示す。このキートップ1は、裏面1aに装飾層4が形成されるとともに、接着剤5を介してゴム状弾性体のキーシート6と接着されて押釦スイッチ用キーパッド7を形成することができる。
【0021】
キートップ1内部への気泡又はクラック3の形成は、レーザーを用いて行うことができる。図4に示すように、キートップ1の加工を施す部分に焦点をあて、レーザー照射機Mから短波長レーザーを照射すると、焦点Fとなる箇所に気泡またはクラック3を生じる。次に、焦点Fを、キートップ1の横方向(図1または図2に示すX軸方向)及びキートップ1の縦方向(図2に示すY軸方向)に所定長さだけ移動させ、同様にレーザーを照射させれば、移動した地点に気泡又はクラック3が生じることになる。これを繰り返すことにより、キートップ1のXY平面上に広がる気泡群又はクラック群ができ、この気泡群やクラック群により平面的な文字を形成することができる。また、XY平面方向だけでなく、焦点Fをキートップ1の上下方向(図1のZ軸方向)に動かして加工を行えば複数層に加工が施された立体的な文字2を得ることができる(図3)。気泡群を形成する各気泡3の形状は、図5にその模式図を示すが、概ね底面bがXY平面上にあり頂点vがレーザー照射源とは反対側のZ軸方向上にある円錐c(但し、頂点vが丸みを帯びて尖っていない)と、その円錐cの底面bで切断された半球hsとが結合したような形状をしている。また、クラック群を形成する各クラック3は、キートップ1内部にひび割れや裂け目ができたものである。気泡やクラック3の配列の仕方は種々あり、一定幅ごとの間隔を置いて規則正しく気泡又はクラック3が形成されるラスター加工によって形成された文字2aを図6、図7に、ランダムな間隔を置いて気泡又はクラック3が形成されるランダム加工によって形成された文字2bを図8、図9にそれぞれ示す。
【0022】
また、気泡群やクラック群の形成を工夫することにより種々のデザインの文字を形成することもできる。図10、図11に示したように、キートップ12の上下方向(Z軸方向)で気泡やクラック3の数を徐々に変化させるようにして、裾が広がったような文字2cを表現することが可能である。また、図12、図13に示すように、キートップ13の横方向(X軸方向)に大きさの異なる気泡やクラック3を形成することによって、影を有する文字2dを表現することが可能である。この他、気泡やクラック3の配列、大きさを任意に変えることによって種々のデザインの表示部2を形成することができる。
【0023】
気泡やクラック3を形成するレーザーには、エネルギー強度の大きい短波長レーザーを用いることが好ましく、エキシマレーザー、カラーフィルター等を介して短波長化したYAGレーザーを用いることがさらに好ましい。例えば、YAGレーザーを用いてポリカーボネート樹脂、アクリル樹脂、シクロポリオレフィン樹脂等の樹脂を加工する場合は、波長532nm、収束角度5〜20度であることが好ましい。焦点を移動して気泡又はクラック3を形成する速度は、100〜2000(焦点数/秒)であるが、気泡又はクラック3の均一性と作業効率との関係から800〜1200(焦点数/秒)であることが好ましい。
【0024】
レーザーが照射されて形成される気泡3又はクラック3の大きさは、気泡3の場合は、その直径が1μm〜200μmであり、クラック3の場合は、その長さが25μm〜300μmである。気泡3やクラック3の大きさがこの範囲にないと、正確な文字2が形成されず、文字2部分とそれ以外の部分の境界が不明確になるからである。そしてこれらの大きさの中でも、気泡3の直径が2μm〜150μm、クラック3の長さが25μm〜175μmであることが好ましい。気泡3の直径が2μmより小さいかクラック3の長さが25μmより短いと、単位長さ当たりの気泡やクラック3の個数が多く必要となることや、気泡やクラック3は黒点のように認識される一方、気泡やクラック3の周囲の透明な部分の影響を強く受け、照光しても文字2がまだらに見えて均一な意匠が形成されにくいからである。また、気泡3の直径が150μmより大きいかクラック3の長さが175μmより長いと、隣接する気泡やクラック3どうしが合体し、気泡3やクラック3の大きさ、長さが不揃いとなって、やはりまだらになり視認性が劣ってくるからであり、また、気泡3やクラック3形成時にエネルギーを過剰に付与しがちで気泡3やクラック3内面が黒化し易いからである。なお、気泡3の直径は、図5に示した円錐c部分の底面b(または半球hs部分の底面b)の直径をいうものとする。
【0025】
各気泡3や各クラック3間の距離は、X軸方向またはY軸方向では10μm〜200μmであり、Z軸方向では0.2mm以上である。X軸方向またはY軸方向で10μm、Z軸方向で0.2mmより短いと、加工時間が多くかかりすぎるし、隣接する気泡3やクラック3どうしが合体し視認性が悪くなる。また、気泡3やクラック3作製時にエネルギーが過剰に付与されて黒色化することがある。一方、X軸方向またはY軸方向で200μmより長いと、正確な文字2が形成されず、文字2部分とそれ以外の部分の境界が不明瞭になる。また、各気泡3や各クラック3間の距離は、好ましくは、X軸方向またはY軸方向では50μm〜150μmであり、Z軸方向では0.3mm〜0.5mmである。この範囲であれば、加工時間が適当であり、気泡3やクラック3及びその周囲を透過、反射、拡散する光により良好な視認性を有する意匠が形成されるからである。
【0026】
透明なキートップ1には、半透明のキートップ1も含むものとし、透明又は半透明のポリカーボネート樹脂、ポリメチルメタクリレート樹脂等のアクリル系樹脂、スチレン系樹脂、ポリオレフィン系樹脂、ABS樹脂、ポリエステル系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリアミド系樹脂、シリコーン系樹脂等の各種の樹脂を用いることができる。また、これらの樹脂の他、キートップ1の材質はガラスであっても良い。樹脂キートップ1の場合は、射出成形、圧縮成形、トランスファー成形、回転成形などによって加熱溶融させた樹脂あるいは液状の未硬化樹脂を所望の形状の金型に充填させて固化させて製造することができる。キートップ1の厚さは、0.5mm以上、好ましくは1.0mm以上である。この程度の厚みがないとキートップ1内部への加工が難しくなるだけでなく、キートップ1としての強度が保てなくなるからである。
【0027】
キートップ1の裏面1aには、装飾層4を形成することができる。装飾層4は、キートップ1に色彩や模様を与える層であり、文字2の背景色や背景模様を形成する。あるいは、気泡群やクラック群からなる表示部2とは異なる文字や記号等からなる表示部32(図16)を形成することもできる。装飾層4は、スクリーン印刷やパッド印刷などによって着色インキを塗布することにより形成することができるが、蒸着によりアルミニウム薄膜層を形成したり、アルミニウム薄膜層を有する樹脂膜を転写して形成することもできる。照光式押釦スイッチ用のキートップとする場合は透光性の装飾層とする必要がある。
【0028】
キートップ1とキーシート6を結合する接着剤5には、エポキシ系、ウレタン系の熱硬化性接着剤や、紫外線照射などにより硬化する活性エネルギー線硬化型接着剤、シアノアクリレート系接着剤など、種々の接着剤、粘着剤を用いることができる。接着剤5の厚みは、キートップ1とキーシート6とを十分に接着する強度が必要なため、1〜30μmであることが好ましい。
【0029】
キーシート6には、シリコーンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリイソブチレン等のゴムやポリエステル系、ポリスチレン系、ポリオレフィン系、ポリウレタン系の熱可塑性エラストマーを用いることができる。
【0030】
なお、キートップ1や押釦スイッチ用キーパッド7は、以上説明した形状、構造に限られるものではなく、必要に応じて適宜の変更がなされていても良い。例えば、キートップ1の表面に対して、鏡面感や金属調光沢を与えるための層を形成することもできるし、キートップ1表面保護のためのオーバーコート層を形成することもできる。また、キートップ1内部に形成されるのは文字2に限られるものではなく、記号や模様などであってもよい。
【0031】
以上、加飾成形体の具体例としてキートップ1について説明したが、キートップ1以外の例として、携帯電話機、携帯情報端末機、AV機器、自動車用機器などの表示部の液晶画面等を保護するパネルカバーを挙げることができる。透明な成形体であるパネルカバーの縁取り部分などに気泡群やクラック群で機種名や社名を形成したり、あるいは種々のイラストや模様を施せば、機能的な液晶画面の隅にデザイン性に優れた装飾が付された個性的な製品を得ることができる。このように、本発明は押釦スイッチ用キーパッド7だけでなく、樹脂やガラスなどの透明な固体からなり内部に装飾が施された加飾成形体に対して適用することができるものである。
【0032】
【実施例】
実施例1:
【0033】
射出成形した厚さ2mmのポリメタクリレート樹脂の内部に焦点を合わせ、カラーフィルターで波長を532nmに変換したYAGレーザーを用い電流値52mAでレーザービームを照射して気泡(3)やクラック(3)を形成した。このときのレンズの焦点距離は160mmであった。ラスター加工によりZ軸を固定したまま、X軸、Y軸方向に焦点を順次移動し、気泡(3)やクラック(3)間の距離が、X軸方向に50μm、Y軸方向に50μmの間隔で平面的に広がる気泡群を形成した。次に、Z軸方向に焦点を0.3mm移動させてZ軸を固定しながら先ほどと同様にX軸、Y軸方向に焦点を順次移動しZ軸方向に2層目となる気泡群を形成した。この操作を繰り返し、Z軸方向に5層となる気泡群からなる直方体(疑似文字)を形成した。各気泡(3)の直径および各クラック(3)の長さを光学顕微鏡にて測定したところ、各気泡(3)の直径は2.5μm〜100μm、各クラック(3)の長さは25μm〜175μmの範囲にあった。その後、このキートップ(1)の裏面(1a)全体にスクリーン印刷によって着色インキを塗布して装飾層(4)を形成し、透明な紫外線硬化接着剤にてシリコーンゴムからなるキーシート(6)と貼り合わせて押釦スイッチ用キーパッド(7)を作製した。
【0034】
実施例2〜実施例9;
【0035】
実施例1で用いた樹脂、レーザーの種類、電流値、Z軸方向の層数、レンズの焦点距離、加工方法の各条件を、表1に示した条件に変更した以外は実施例1と同様にして、実施例2〜実施例9を行った。キートップ中の気泡(3)、クラック(3)の状態も併せて表1に示した。なお、ランダム加工の場合は、各気泡(3)や各クラック(3)間の平均間隔が、X軸、Y軸方向の何れも50μmとなるようにした。また、ランダム加工の場合のZ軸方向への積層は、層間を0.3mmとした。表中、気泡(3)が生じた場合はその直径、クラック(3)が生じた場合はその長さを示した。
【0036】
【表1】
【0037】
実施例10;
【0038】
実施例1と同様の材料、条件を用い、各気泡(3)間の間隔も実施例1と同じになるようにした。そして、三角形が4方向にそれぞれ向かう図形からなる表示部(2)を成形体内部に有する多方向押釦スイッチ用のキートップ(21)を形成した。押し子を4個有するキーシート(22)と一体化して図14、図15に示す多方向押釦スイッチ用キーパッド(23)を得た。
【0039】
実施例11;
【0040】
実施例1と同様の材料、条件を用い、各気泡(3)間の間隔も実施例1と同じになるようにした。そして図17に示したような表示部(2)をキートップ(31)内部に形成した。また、実施例1とは異なり、キートップ(31)の裏面にスクリーン印刷によって2種類の着色インキを塗布して表示部(33)が表れるように装飾層(32)を形成した。それ以外は実施例1と同様にして図16、図17に示す押釦スイッチ用キーパッド(34)を得た。
【0041】
比較例1〜比較例3;
【0042】
実施例1で用いた樹脂、レーザーの種類、電流値、加工方法、レンズの焦点距離、Z軸方向の層数のうち少なくとも1つの条件を、表1に示した条件に変更して、比較例1〜比較例3を行った。キートップ中の気泡、クラックの状態も併せて表1に示した。
【0043】
実施例1〜9では、気泡群又はクラック群が均質に発生し、境界が明確に視認できる直方体(1層の場合は長方形)を透明な成形体中に得ることができた。一方、比較例1では、気泡が黒く焦げてしまう部分が見られ(黒色化)、直方体内部に光ムラが生じ、均質な直方体とはならなかった。また、比較例2では、電流値を35Aと高くしても気泡(3)やクラック(3)を形成することができなかった。比較例3では、電流値を35Aと高くしても樹脂表面だけが黒く焦げてしまい、樹脂内部に気泡(3)やクラック(3)を形成することができなかった。
【0044】
実施例1〜4、10、11では気泡(3)とクラック(3)が生じた。また、実施例5〜9、比較例1ではクラック(3)が生ぜず、気泡(3)のみが生じた。このことから、成形体の種類により、気泡(3)が生じたり、クラック(3)が生じたり変化することがわかった。特にポリカーボネート樹脂を用いれば気泡(3)が生じ、アクリル樹脂を用いれば気泡(3)とクラック(3)が生じることがわかった。
【0045】
実施例1〜11に示したキーパッド(7,23,34)は、何れも気泡またはクラック(3)から生じた表示部(2)は、一見目立たなく、見る角度によっては、表示部(2)が形成されていることがわかりずらかった。しかしながら、キーパッド(7,23,34)の裏面から照光してやると、気泡またはクラック(3)からなる表示部(2)がはっきりと見えた。特に5層にしたキーパッド(7,23,34)は、表示部(2)が立体的に浮かび上がって見えた。また、実施例10に示した多方向押釦スイッチ用キーパッド(23)は、一見多方向押釦スイッチには見えず、デザイン的にシンプルである一方、照光させれば、三角形の図形が浮かび上がって見え、夜間でも押し間違いをすることはなかった。また、実施例11に示した押釦スイッチ用キーパッド(34)は、「D」の文字(33)がはっきりと視認できるものの、「5」の数字(2)は薄く見えるため、英文字入力する際にアルファベットの文字を見つけ易かった。
【0046】
【発明の効果】
本発明によれば、透明な成形体内部に立体的な文字や模様等の表示部を直接形成することができる押釦スイッチ用のキートップなどの加飾成形体を得ることができるため、耐摩耗性や耐変色性に優れた表示部を有するとともに、デザイン的に優れた加飾成形体である。
【0047】
また、印刷によって表示部を形成する必要がなく、レーザー加工によって表示部を形成することができるため、細かい成形が可能であり、解像度の高い文字等を有する加飾成形体である。
【0048】
また、着色材を用いて表示部を視認させるのではなく、透過光の散乱の程度の差を通じて表示部を視認させるため、一見表示部が目立たないものの、光を照射すれば、はっきりと表示部が視認できるという機能性に優れた加飾成形体である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態によるキートップを用いた押釦スイッチ用キーパッドであり、図2のSA−SA線端面図である。
【図2】図1の押釦スイッチ用キーパッドの平面図である。
【図3】図1で示すキートップに形成された文字を示す模式図である。
【図4】キートップに文字を形成する状態を説明する断面図である。
【図5】気泡の形状を示す模式図である。
【図6】ラスター加工により得た文字を示す、図2の押釦スイッチ用キーパッドのキートップ部分の部分拡大図である。
【図7】図6のキートップのSB−SB線端面図である。
【図8】ランダム加工により得た文字を示す、本発明の別の実施形態によるキートップの部分拡大平面図である。
【図9】図8のキートップのSC−SC線端面図である。
【図10】別のデザインによる文字を示す、本発明の別の実施形態によるキートップの部分拡大平面図である。
【図11】図10のキートップのSD−SD線端面図である。
【図12】さらに別のデザインによる文字を示す、本発明の別の実施形態によるキートップの部分拡大平面図である。
【図13】図12のキートップのSE−SE線端面図である。
【図14】本発明のさらに別の実施形態によるキートップを用いた多方向押釦スイッチ用キーパッドの平面図である。
【図15】図14の多方向押釦スイッチ用キーパッドのSF−SF線端面図である。
【図16】本発明のさらに別の実施形態によるキートップを用いた押釦スイッチ用キーパッドの平面図である。
【図17】図16の押釦スイッチ用キーパッドのSG−SG線端面図である。
【符号の説明】
1,11,12,13,21,31 キートップ
1a 裏面
2,2a,2b,2c、2d、33 文字(表示部)
3 気泡又はクラック
4,32 装飾層
5 接着剤
6,22 キーシート
7,34 押釦スイッチ用キーパッド
23 多方向押釦スイッチ用キーパッド
F 焦点
M レーザー照射機
Claims (8)
- 透明な成形体内部に、少なくとも気泡群やクラック群の何れかで文字、記号、模様などを表す表示部を形成した加飾成形体。
- 気泡群またはクラック群を成形体内部で三次元方向に形成して表示部を立体的に形成した請求項1記載の加飾成形体。
- 気泡群を形成する個々の気泡の直径が1μm〜200μmであり、クラック群を形成する個々のクラックの長さが25μm〜300μmである請求項1または請求項2記載の加飾成形体。
- 成形体が押釦スイッチ用のキートップである請求項1〜請求項3の何れか1項記載の加飾成形体。
- 成形体が照光式押釦スイッチ用のキートップである請求項1〜請求項3の何れか1項記載の加飾成形体。
- 成形体が多方向押釦スイッチ用のキートップである請求項1〜請求項3の何れか1項記載の加飾成形体。
- 成形体表面の少なくとも一面に装飾層を設けた請求項1〜請求項6の何れか1項記載の加飾成形体。
- 気泡群やクラック群により文字、記号、模様などの表示部を形成するとともに、該表示部とは別の文字記号、模様などの表示部を装飾層により形成し、視認性の異なる2以上の表示部を設けた請求項7記載の加飾成形体。
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Legal Events
Date | Code | Title | Description |
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A300 | Withdrawal of application because of no request for examination |
Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A300 Effective date: 20060307 |