JP2004202607A - 工作機械の主軸装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】工作機械の主軸へのワーク保持用ツールの装着およびワークの保持動作を簡易な構造で容易に行えるようにする。
【解決手段】工作物4の保持用ツール5を主軸2に設けられた装着装置3により主軸2のテーパ孔11に装着する工作機械の主軸装置1において、主軸装置1は、テーパ孔11に保持用ツール5を挿入した状態で、装着装置3は、移動装置13の押圧を解放して弾性部材16の付勢力によりスライド軸12を後退させ、係合片14と保持用ツール5のツール側係合部37との係合により保持用ツール5を抜け止めしてテーパ孔11に装着し、移動装置13によるスライド軸12の前進により伝達軸34を移動させ運動伝達機構35を介して複数の工作物保持片31を開状態とし、工作物保持片31の間で工作物4を受け取り、移動装置13の押圧を解放して弾性部材32の付勢力により伝達軸34を移動させ複数の工作物保持片31を閉じて、保持用ツール5に工作物4を固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】工作物4の保持用ツール5を主軸2に設けられた装着装置3により主軸2のテーパ孔11に装着する工作機械の主軸装置1において、主軸装置1は、テーパ孔11に保持用ツール5を挿入した状態で、装着装置3は、移動装置13の押圧を解放して弾性部材16の付勢力によりスライド軸12を後退させ、係合片14と保持用ツール5のツール側係合部37との係合により保持用ツール5を抜け止めしてテーパ孔11に装着し、移動装置13によるスライド軸12の前進により伝達軸34を移動させ運動伝達機構35を介して複数の工作物保持片31を開状態とし、工作物保持片31の間で工作物4を受け取り、移動装置13の押圧を解放して弾性部材32の付勢力により伝達軸34を移動させ複数の工作物保持片31を閉じて、保持用ツール5に工作物4を固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、工作機械の主軸装置、特に工作物保持用ツールの主軸への装着および工作物の保持手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭63−174号公報は、作業形態に対応可能な複合機械(複合加工機)を開示している。その複合加工機は、作業形態に応じて各種ツール(アタッチメント)を選択的に着脱可能に取り付けることのできる主軸を有し、切削加工および研削加工のみならず組み立て作業をも達成し得るように、加工工具を備えた加工用ツールのほか、ワークをつかむワーク保持用ツールを備えている。このワーク保持用ツールは、ワークをつかむ腕を有しており、この腕を開閉させるためのアクチュエーター例えば油圧シリンダを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術では、ワーク保持用ツールの油圧シリンダに複合機の主軸側から圧力油を供給する必要があり、そのためにはワーク保持用ツールおよび主軸の双方に配管等の特別な構造を複雑に組み込む必要があった。
【0004】
したがって本発明の目的は、ワーク保持用ツールを備える工作機械において、工作機械の主軸へのワーク保持用ツールの装着およびワークの保持動作を簡易な構造で容易に行えるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的のもとに、本発明は、工作物(4)の保持用ツール(5)を主軸(2)に設けられた装着装置(3)によって主軸(2)のテーパ孔(11)に装着する工作機械の主軸装置(1)において、下記の解決手段を講じている。
【0006】
装着装置(3)は、主軸(2)の中心孔(2a)内で軸方向に移動可能なスライド軸(12)と、スライド軸(12)を後退方向に付勢する弾性部材(16)と、スライド軸(12)を押圧して前進方向に移動させる移動装置(13)と、複数の係合片(14)と、スライド軸(12)と係合片(14)とを係合しスライド軸(12)の移動に連動して主軸(2)の半径方向および軸線方向に係合片(14)を移動する主軸側係合部(18a)とを含み、保持用ツール(5)は、開閉自在の複数の工作物保持片(31)と、工作物保持片(31)を閉方向に付勢する弾性部材(32)と、スライド軸(12)の前進に伴ってスライド軸(12)により押圧され工作物保持片(31)を開くために軸方向に移動可能な伝達軸(34)と、伝達軸(34)の移動を工作物保持片(31)に開く方向の移動として伝達する運動伝達機構(35)と、複数の係合片(14)と伝達軸(34)とを係合するツール側係合部(37)とを含み、主軸(2)のテーパ孔(11)に保持用ツール(5)を挿入した状態で、装着装置(3)は移動装置(13)の押圧を開放して弾性部材(16)の付勢力によりスライド軸(12)を後退させ、係合片(14)と主軸側係合部(18a)、およびツール側係合部(37)との係合により保持用ツール(5)を抜け止めしてテーパ孔(11)に装着し、移動装置(13)によるスライド軸(12)の前進により伝達軸(34)を移動させ運動伝達機構(35)を介して複数の工作物保持片(31)を開状態とし、複数の工作物保持片(31)の間で工作物(4)を受け取り、移動装置(13)の押圧を開放して弾性部材(32)の付勢力により伝達軸(34)を移動させ複数の工作物保持片(31)を閉じて、保持用ツール(5)に工作物(4)を固定する(請求項1)。
【0007】
また、装着装置(3)は、主軸(2)の中心孔(2a)内で軸方向に移動可能な中空の第1のスライド軸(52)と、第1のスライド軸(52)を後退方向に付勢する弾性部材(16)と、第1のスライド軸(52)内を軸方向に移動可能な第2のスライド軸(53)と、第1のスライド軸(52)および第2のスライド軸(53)を押圧して前進方向に移動させる移動装置(13)と、複数の係合片(14)と、第1のスライド軸(52)と係合片(14)とを係合し第1のスライド軸(52)の移動に連動して主軸(2)の半径方向および軸線方向に係合片(14)を移動する主軸側係合部(18a)とを含み、保持用ツール(5)は、開閉自在の複数の工作物保持片(31)と、工作物保持片(31)を閉方向に付勢する弾性部材(32)と、第2のスライド軸(53)の前進に伴って該スライド軸(53)により押圧され工作物保持片(31)を開くために軸方向に移動可能な伝達軸(34)と、伝達軸(34)の移動を工作物保持片(31)に開く方向の移動として伝達する運動伝達機構(35)と、複数の係合片(14)と伝達軸(34)とを係合するツール側係合部(37)とを含み、主軸(2)のテーパ孔(11)に保持用ツール(5)を挿入した状態で、装着装置(3)は移動装置(13)の押圧を解放して弾性部材(16)の付勢力により第1のスライド軸(52)を後退させ、係合片(14)と主軸側係合部(18a)、およびツール側係合部(37)との係合により保持用ツール(5)を抜け止めしてテーパ孔(11)に装着し、移動装置(13)による第2のスライド軸(53)の前進によって伝達軸(34)を移動させ運動伝達機構(35)を介して複数の工作物保持片(31)を開状態とし、複数の工作物保持片(31)の間で工作物(4)を受け取り、移動装置(13)の押圧を解放して弾性部材(32)の付勢力により伝達軸(34)を移動させ複数の工作物保持片(31)を閉じて、保持用ツール(5)に工作物(4)を固定する(請求項2)。
【0008】
主軸(2)のテーパ孔(11)は、保持用ツール(5)に加えて、複数の係合片(14)と係合するツール側係合部(50)を有する加工刃固定用ツール(48)をも装着可能とすることを特徴とする(請求項3)。また、保持用ツール(5)は、挿入側に向かって収束するテーパ溝(42)を有する保持片案内部材(44)を備え、複数の工作物保持片(31)は、テーパ溝(42)内で移動する移動ピース(47)および運動伝達機構(35)を有し、運動伝達機構(35)は、伝達軸(34)と移動ピース(47)との主軸半径方向の相対移動を許容しつつ軸方向の相対移動を規制して工作物保持片(31)を軸の半径方向に開閉運動可能とし、弾性部材(32)は、伝達軸(34)を挿入側に向かって付勢して複数の工作物保持片(31)を閉方向に付勢する(請求項4)。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の工作機械の主軸装置1の全体の断面図を示している。工作機械の主軸装置1は、駆動源一体型であり、主軸2に設けられた装着装置3によって、工作物4を加工するための加工刃固定用ツール48を主軸2の主軸頭側のテーパ孔11に装着する一般的な機能のほか、工作物4の保持用ツール5を主軸2のテーパ孔11に装着し、装着した保持用ツール5により工作物4を把持する特殊な機能を有している。図1は、工作機械の主軸装置1に保持用ツール5を装着し、装着した保持用ツール5によって工作物4を把持した状態を示している。
【0010】
主軸2は、円筒形状であり、その前後端で軸受6によりハウジング7に回転自在に支持されている。主軸2およびハウジング7は、それぞれロータ8、ステータ9、その巻線部9aを有し、これら全体で主軸2の駆動源としてのモータ10を構成している。なお、円筒形状の主軸2で中心の中心孔2aは、先端側つまり保持用ツール5側の開放部分でテーパ孔11を形成している。また、ハウジング7には、モータ10や軸受け部分を冷却する冷却液の循環孔30が設けられている。
【0011】
装着装置3は、主軸2の中心孔2aを軸方向に移動可能なスライド軸12、スライド軸12を軸方向に移動させる油圧シリンダ等の移動装置13、スライド軸12の移動に連動して軸の半径方向および軸方向に変位可能に設けられた複数のコレット状の係合片14などから構成されている。
【0012】
スライド軸12の保持用ツール5側は、主軸2の中心孔2aのテーパー孔11に連なる小径部に挿入されている。また、スライド軸12には、中心孔2aの大径部で弾性部材としての複数の皿ばね16が通されており、これら皿ばね16は、スライド軸12の前進時にスライド軸12のナット17により圧縮され、スライド軸12を後方つまり移動装置13側へ付勢する。
【0013】
図2は、装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図である。スライド軸12の保持用ツール側先端には、環状の溝のついた操作部品18が取り付けられており、その溝部分において係合片14のブロック部19が係合しており、外周の溝部分がスライド軸12と係合片14とを係合する主軸側係合部18aを形成する。なお、スライド軸12、操作部品18は、その軸芯にクーラント液用の冷却孔25を有しており、この冷却孔25は、スライド軸12の移動装置13側の端部でロータリージョイント15を介してクーラント液供給用のチューブ26に接続されており、後述の図6に参照する加工刃固定用ツール48を装着した場合に、クーラント液が供給される。また、スライド軸12の後端部には、移動装置13に対向して移動量調整用のナット29が取り付けられている。
【0014】
複数の係合片14は、円周方向に配設して中心孔2aの内部に収められ、ブロック部19の溝部分に巻かれたリング状のコイルスプリング20によって、結束されていわゆるコレットを形成している。コイルスプリング20は、係合片14のブロック部19を軸の中心方向に向けて付勢しているため、係合片14の先端の係合部22は、ブロック部20の鋭角部21を支点として半径方向外側に拡がるように付勢されている。
【0015】
移動装置13は、異なるストロークの2つの複動型油圧シリンダ、すなわち保持片開動作用シリンダ23およびツール装着用シリンダ24とから構成されている。ツール装着用シリンダ24のピストン27のピストンロッド27aは、中空であり、その中空部に保持片開動作用シリンダ23のピストン28のピストンロッド28aが軸方向に移動可能に挿入されている。これらのピストンロッド27a、28aの先端は、スライド軸12のナット29に対して一定の距離をもって対向している。
【0016】
スライド軸12は、ピストンロッド27aまたはピストンロッド28aに押圧されて軸方向に移動するが、2つのピストン27、28の異なる往復運動のストロークにともない3つの異なる位置、すなわちピストン27、28がいずれも後退している位置(ツール装着・保持片閉動作位置)、ピストン28のみが前進している位置(保持片開動作位置)、ピストン27のみが前進している位置(ツール着脱位置)まで移動する。
【0017】
なお、図示の例では、異なるストロークの2つのシリンダを用いて、スライド軸12を3箇所で位置決めしているが、ストッパやセンサー等を用いて、1つのシリンダをストローク途中で停止可能として、スライド軸12の位置を決定することもできる。また、この例では、移動装置13の直動アクチュエータとして油圧シリンダを用いているが、空気圧シリンダや電動式のソレノイド、リニアモータ等を用いてもよく、あるいはモータと回転運動を直線運動に変換する機構例えばボールねじ、ラック・ピニオン等との組合わせによって直線運動を得ることもできる。
【0018】
つぎに、図2を参照して保持用ツール5の構成を説明する。保持用ツール5は、複数例えば3個の工作物保持片31、ツールボディ33、ツールボディ33の先端に開口する孔内を軸方向に移動可能な伝達軸34、工作物保持片31を伝達軸34により閉方向に付勢する弾性部材32としての皿ばね、工作物保持片31と伝達軸34とを連結する運動伝達機構35、主軸2側の先端に形成され装着装置3の係合片14と係合するツール側係合部37などから構成されている。なお、ツールボディ33の主軸2側にはテーパ軸39が形成されており、テーパ孔11と嵌合できるようになっている。
【0019】
ツールボディ33は、内側で中空になっており、主軸2側の開口部にツール側係合部37が取り付けられている。ツール側係合部37の軸心には貫通孔38が設けられており、伝達軸34は、貫通孔38と、後述の保持片案内部材44に設けられた滑り軸受36とにより、軸方向に移動可能に支持されている。また、ツールボディ33の反主軸側の端面には、挿入方向に向かって収束するテーパ溝42を有する保持片案内部材44が取付けボルト46により取り付けられており、工作物保持片31と一体の移動ピース47は、テーパ溝42の面に対して滑り移動可能に支持されている。
【0020】
移動ピース47は、保持片案内部材44側のクリックボールなどの規制具44aとその案内溝43により必要以上に滑り移動しないように規制されている。なお、3個の工作物保持片31は、取付けボルト56によって移動ピース47に固定されており、3個の工作物保持片31、移動ピース47やテーパ溝42は、保持片案内部材44の中心に対して3等分位置に配置されている。
【0021】
さらに、伝達軸34は、運動伝達機構35として、伝達軸34の係合突起41を移動ピース47の係合溝40に係合させている。伝達軸34の係合突起41および移動ピース47の係合溝40は、運動伝達機構35を構成しており、伝達軸34の軸方向の往復運動を3個の工作物保持片31の開閉運動に変換する。
【0022】
運動伝達機構35は、伝達軸34と移動ピース47との主軸半径方向の相対移動を許容しつつ軸方向の相対移動を規制して3個の工作物保持片31を軸の半径方向に開閉運動可能とする。具体的にはこの例で、伝達軸34の軸方向の往復運動は、テーパ溝42内で移動ピース47の斜め方向の移動に変換され、これにより3個の工作物保持片31は、伝達軸34の軸方向に移動しながらその半径方向にも移動し、工作物保持片31の対向面の間で工作物4を保持する。
【0023】
また、伝達軸34には、ツールボディ33の中空部において、弾性部材32としての皿ばねが挿通されており、この弾性部材32は、伝達軸34と一体のナット45に当たり、伝達軸34をスライド軸(12)の後退方向に付勢しており、これにより3個の工作物保持片31を常に閉じる状態としている。
【0024】
図3は、保持用ツール5を装着していない状態の装着装置3の詳細な断面図である。この状態において、保持片開動作用シリンダ23のピストン28は、後退し、ツール装着用シリンダ24のピストン28は前進している。ピストン27の前進により、スライド軸12は、ナット17を介して皿ばね16を圧縮しながら主軸2の中心孔2a内をテーパ孔11側に移動しており、これにともない係合片14は、操作部品18によって押し出されてテーパ孔11内に進出し、その先端部の係合部22は、コイルスプリング20の弾力によって開状態になっている。一方、保持用ツール5は、手動または自動工具交換装置により、そのテーパ軸39の部分で主軸2のテーパ孔11の内部に途中まで挿入される。この挿入状態で、伝達軸34の後端は、伝達軸34と一体のナット34aにより操作部品18の先端に当接している。
【0025】
図4は、主軸2に保持用ツール5の装着を完了し、かつ保持用ツール5の工作物保持片31を閉じた状態における装着装置3の詳細な断面図である。この状態において、保持片開動作用シリンダ23のピストン28およびツール装着用シリンダ24のピストン27はともに後退している。スライド軸12は、皿ばね16により後退方向に付勢されて移動しており、これにともない係合片14は、操作部品18の主軸側係合部18aによって主軸2の中心孔2aの小径部に引き込まれている。この引き込みにより、係合片14の係合部22は、小径部の内壁に沿って後退し、コイルスプリング20の付勢力に反して閉状態となり、テーパ孔11に途中まで挿入されている保持用ツール5のツール側係合部37と係合し、抜け止め状態とするとともに、ツール側係合部37を後退方向に牽引し、保持用ツール5のテーパ軸39の部分をテーパ孔11に完全に嵌合させる。
【0026】
図5は、保持用ツール5を主軸2に装着し、かつ工作物保持片31を開いた状態すなわち閉じて工作物4を把持する前の状態にある装着装置3の詳細な断面図である。この状態において、保持片開動作用シリンダ23のピストン28は前進し、ツール装着用シリンダ24のピストン27は後退している。ピストン28の前進によりスライド軸12は、ナット17を介して皿ばね16を圧縮しながら主軸2の中心孔2a内をテーパ孔11側に移動し、操作部品18を介して保持用ツール5の伝達軸34を押圧する。
【0027】
押圧された伝達軸34は、弾性部材32の皿ばねを圧縮しながら移動し、運動伝達機構35(係合溝40、係合突起41)を介して、移動ピース47をテーパ溝42にそって押し、これと一体の3つの工作物保持片31を斜め方向に移動させ、3つの工作物保持片31を相対的に離間して、工作物4の受け入れのために開状態とする。この状態で、工作物4は、ハンドリング装置によって運ばれてくるか、またはまたは装着装置3自体の移動により、開状態の3つの工作物保持片31の把持位置に入る。
【0028】
工作物4が開状態の3つの工作物保持片31の把持位置に入ったら、保持片開動作用シリンダ23は、スライド軸12の押圧を解放してそのピストン28を後退させ、伝達軸34は、弾性部材32の弾力によりスライド軸12側に移動する。このとき、3つの工作物保持片31は、相対的に接近して閉状態となり、工作物4を弾性部材32の弾力により強く把持する。なお、このときの保持片開動作用シリンダ23のピストン28のストロークは、ツール装着用シリンダ24のピストン27のストロークよりも小さく設定されているため、係合片14は移動せず、したがって係合片14とツール側係合部37との係合が解けず、保持用ツール5は、そのテーパ軸39によりテーパ孔11に嵌まり合ったままでそこから脱落することはない。
【0029】
この状態で工作機械の主軸装置1は、モータ10により主軸2を回転させることによって、保持用ツール5により固定されている工作物4を回転をさせる。この回転中の工作物4に対して加工刃57は、固定側にあって、工作物4に必要な加工を施す。
【0030】
以上は、主軸2に保持用ツール5を装着する動作および主軸2に装着された保持用ツール5が工作物4を把持する動作を説明したが、保持用ツール5が工作物4を放す動作および主軸2が保持用ツール5を押し出す動作は、上記の動作と逆の動作を行えばよい。
【0031】
図6は、工作機械の主軸装置1にエンドミル等の加工刃57を取り付けるために、主軸2に加工刃固定用ツール48を装着した例である。加工刃固定用ツール48は、加工刃固定部49、装着装置3の係合片14に係合するツール側係合部50、テーパ軸51などから構成されている。この図6で、装着装置3のスライド軸12は皿ばね16の弾力により後退しており、これにともない係合片14は、主軸2のテーパ孔11に挿入されている加工刃固定用ツール48のツール側係合部50と係合し、ツール側係合部50を後方に牽引している。
【0032】
この結果、加工刃固定用ツール48のテーパ軸51は、テーパ孔11に抜け止め状態(ロック状態)として嵌合している。この状態で、工作機械の主軸装置1は、モータ10により主軸2を回転させることによって、加工刃固定用ツール48のエンドミル等の加工刃57で図示しない加工テーブル上の工作物4を加工する。
【0033】
主軸2のテーパ孔11に挿入されている加工刃固定用ツール48の取外しは、ツール装着用シリンダ24を動作させ、そのピストン27を皿ばね16に抗して前進させ、操作部品18によりツール側係合部50の端部を押圧して加工刃固定用ツール48を移動させるとともに、係合片14の先端をテーパ孔11の内部に移動させる。これにより、係合片14は、その先端を開き、ツール側係合部50から離れ、ツール側係合部50に対する係合を解除する。この解除(アンロック)により、加工刃固定用ツール48は、主軸2のテーパ孔11から抜き取れる状態となる。
【0034】
作業員または自動工具交換装置が主軸2のテーパ孔11から加工刃固定用ツール48を抜き取ってしまえば、主軸2のテーパ孔11は、つぎの新たな加工刃固定用ツール48または工作物4の保持用ツール5を装着できることになる。
【0035】
なお、図6では図示していないが、加工刃57および加工刃固定用ツール48にクーラント液用の冷却孔を設け、これを前述の主軸2側のクーラント液用の冷却孔25と接続すれば、高速切削加工が可能である。
【0036】
つぎに図7は、工作機械の主軸装置1の他の例を示した断面図であり、また図8は、装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図であり、工作機械の主軸装置1に保持用ツール5を装着し、かつ保持用ツール5によって工作物4を把持した状態を示している。図1の例では、1つのスライド軸12でそのストローク量の違いにより、保持用ツール5の装着と工作物保持片31の開動作とを行うのに対し、図7の例は、中空の第1のスライド軸52で保持用ツール5の装着(着脱)を行い、第1のスライド軸52に挿入されている第2のスライド軸53で工作物保持片31の開動作を行う。
【0037】
図7の例において、装着装置3は、主軸2の中心孔2aを軸方向に移動可能な中空の第1のスライド軸52、第1のスライド軸52内を軸方向に移動可能な第2のスライド軸53、これらの第1のスライド軸52および第2のスライド軸53を移動させる移動装置13、第1のスライド軸52の移動に連動して軸の半径方向および軸方向に変位可能に設けられた複数例えば3個の係合片14などにより構成されている。
【0038】
第1のスライド軸52は、前記のスライド軸12と同様に、先端で操作部品18に連結され、3個の係合片14と操作部品18の主軸側係合部18aで係り合っており、皿ばね16によって後方に付勢されており、後端でツール装着用シリンダ24の中空のピストン27に押されて、皿ばね16に抗して前進方向に移動できるようになっている。また、第2のスライド軸53は、中空の第1のスライド軸52および中空の操作部品18の中心孔に軸方向に移動自在に挿入され、先端で伝達軸34(ナット34a)に当接可能に対向し、後端部54で中空のピストンロッド27aの内部に入り込み、圧縮スプリング55により後方に付勢され、保持片開動作用シリンダ23のピストン28に押されて、圧縮スプリング55に抗して前進方向に移動できるようになっている。このように第1のスライド軸52、第2のスライド軸53は、それぞれ異なるストロークのツール装着用シリンダ24、保持片開動作用シリンダ23により独立に駆動されるようになっている。
【0039】
保持用ツール5の主軸2への装着は、第1のスライド軸52をツール装着用シリンダ24のピストン27を前進させて、複数の係合片14を開状態とし、保持用ツール5をテーパ孔11に挿入した後、第1のスライド軸52を皿ばね16によって後退させて、係合片14を後方に変位させ、係合片14を保持用ツール5のツール側係合部37と係合させるとともに、ツール側係合部37を牽引し、保持用ツール5をテーパ孔11に完全に嵌合させることにより行う。
【0040】
また、保持用ツール5による工作物4の把持は、第2のスライド軸53を保持片開動作用シリンダ23のピストン28を前進させ、第2のスライド軸53の先端で伝達軸34を押圧し、保持用ツール5の工作物保持片31を開状態とする。開状態の工作物保持片31の間に工作物4が置かれたら、保持片開動作用シリンダ23は、第2のスライド軸53の押圧を解放してピストン28を後退させ、第2のスライド軸53は、圧縮スプリング55に付勢されて後退する。これと同時に、伝達軸34は、弾性部材32に付勢されて、移動ピース47を後退させるため、工作物保持片31は、閉じて工作物4をしっかりと把持する。なお、圧縮スプリング55がなくても、第2のスライド軸53は、必要な機能を営む。
【0041】
このように、図7の装着装置3において、ツール装着用シリンダ24のピストン27が前進し、保持片開動作用シリンダ23のピストン28が後退しているとき、すなわち、第1のスライド軸52が前進し、第2のスライド軸53が後退しているとき、装着装置3は、保持用ツール5を装着可能な状態にある。また、第1のスライド軸52、第2のスライド軸53がともに後退しているとき、主軸2に保持用ツール5が装着され、かつ保持用ツール5の工作物保持片31が閉じられた状態にある。さらに、第1のスライド軸52が後退し、第2のスライド軸53が前進しているとき、主軸2に保持用ツール5が装着され、かつ保持用ツール5の工作物保持片31が開かれた状態にある。
【0042】
なお、運動伝達機構35は、図示の例に限らず、伝達軸34の軸方向の往復直線運動をレバーやリンクなどのリンク装置により、あるいはカム装置により往復揺動運動に変換し、この往復揺動運動により工作物保持片31を開閉する形式のものとして構成することもできる。また、伝達軸34は、好ましい態様として保持用ツール5のツール側係合部37から突出しているが、スライド軸12またはその先端の操作部品18の先端をを段付きにして先端を細くし、ツール側係合部37の孔に進出可能とすれば、伝達軸34は、保持用ツール5のツール側係合部37から突出していないものとして構成することもできる。
【0043】
さらに、主軸2の回転駆動は、主軸2と一体式でないモータ10を採用してもよく、主軸2とモータ軸とが同軸の場合には、モータ軸にも孔を形成することになる。移動装置13の保持片開動作用シリンダ23やツール装着用シリンダ24のピストン27、28は、既述の通り、他のアクチュエータ例えば空気圧シリンダ、電動アクチュエータ(ソレノイド、リニアモータ等)と回転直線運動変換機構(ボールねじ、ラック等)との組み合わせ手段により構成することもできる。
【0044】
移動装置13によるスライド軸12(第1のスライド軸52および第2のスライド軸53)の後退・前進は、主軸2に内蔵の流体圧機構を用い、これと外部の流体圧回路とロータリジョイントを介して接続することによっても実現できる。さらに、スライド軸12の異なる移動量は、ストッパを用い、ストッパの位置を移動させることによって、あるいはセンサーにてスライド軸12の位置を検出して、スライド軸12の移動を調節することによっても具体化できる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1、主軸に内蔵されたスライド軸の移動のみで、保持用ツールの主軸への着脱、および主軸に装着された保持用ツールの複数の工作物保持片の開閉動作(工作物把持動作)を行うことができる。また、保持用ツールの把持機能によって、主軸の回転により工作物に切削回転を与えることによって、保持用ツールに把持されている工作物の切削加工が可能となり、さらに主軸装置の移動により工作物の搬送ができ、工作物を搬送する特別な手段を設ける必要がない。
【0046】
請求項2でも、上記請求項1の効果が得られるほか、スライド軸が第1のスライド軸および第2のスライド軸が設けられ、それらが保持用ツールの主軸への着脱、主軸に装着された保持用ツールの複数の工作物保持片の開閉動作(工作物把持動作)を分担しているので、各動作が干渉せず、誤動作がなくなる。
【0047】
請求項3によれば、主軸のテーパ孔に加工刃固定用ツールが装着可能であるから、その加工刃の選択により各種の加工ができる。
【0048】
請求項4によれば、複数の工作物保持片の開閉動作が機械的な要素により実現できるから、主軸側から圧力油等の動力を供給する必要がなく、保持用ツールおよび主軸の双方に配管等の特別な構造を組み込む必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】工作機械の主軸装置1の断面図である。
【図2】装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図である。
【図3】保持用ツール5を装着する途中での装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図4】保持用ツール5を装着したときの装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図5】装着した保持用ツール5の複数の工作物保持片の開くときの装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図6】加工刃固定用ツール48を装着したときの装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図7】工作機械の他の例の主軸装置1の断面図である。
【図8】図7における装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 工作機械の主軸装置
2 主軸 2a 中心孔
3 装着装置
4 工作物
5 保持用ツール
6 軸受
7 ハウジング
8 ロータ
9 ステータ 9a 巻線部
10 モータ
11 テーパ孔
12 スライド軸
13 移動装置
14 係合片
15 ロータリージョイント
16 皿ばね
17 ナット
18 操作部品 18a 主軸側係合部
19 ブロック部
20 コイルスプリング
21 鋭角部
22 係合部
23 保持片開動作用シリンダ
24 ツール装着用シリンダ
25 冷却孔
26 チューブ
27 ピストン 27a ピストンロッド
28 ピストン 28a ピストンロッド
29 ナット
30 循環孔
31 工作物保持片
32 弾性部材
33 ツールボディ
34 伝達軸 34a ナット
35 運動伝達機構
36 滑り軸受
37 ツール側係合部
38 貫通孔
39 テーパ軸
40 係合溝
41 係合突起
42 テーパ溝
43 案内溝
44 保持片案内部材 44a 規制具
45 ナット
46 取付けボルト
47 移動ピース
48 加工刃固定用ツール
49 加工刃固定部
50 ツール側係合部
51 テーパ軸
52 第1のスライド軸
53 第2のスライド軸
54 後端部
55 圧縮スプリング
56 取付けボルト
57 加工刃
【発明が属する技術分野】
本発明は、工作機械の主軸装置、特に工作物保持用ツールの主軸への装着および工作物の保持手段に関する。
【0002】
【従来の技術】
特公昭63−174号公報は、作業形態に対応可能な複合機械(複合加工機)を開示している。その複合加工機は、作業形態に応じて各種ツール(アタッチメント)を選択的に着脱可能に取り付けることのできる主軸を有し、切削加工および研削加工のみならず組み立て作業をも達成し得るように、加工工具を備えた加工用ツールのほか、ワークをつかむワーク保持用ツールを備えている。このワーク保持用ツールは、ワークをつかむ腕を有しており、この腕を開閉させるためのアクチュエーター例えば油圧シリンダを備えている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記技術では、ワーク保持用ツールの油圧シリンダに複合機の主軸側から圧力油を供給する必要があり、そのためにはワーク保持用ツールおよび主軸の双方に配管等の特別な構造を複雑に組み込む必要があった。
【0004】
したがって本発明の目的は、ワーク保持用ツールを備える工作機械において、工作機械の主軸へのワーク保持用ツールの装着およびワークの保持動作を簡易な構造で容易に行えるようにすることである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的のもとに、本発明は、工作物(4)の保持用ツール(5)を主軸(2)に設けられた装着装置(3)によって主軸(2)のテーパ孔(11)に装着する工作機械の主軸装置(1)において、下記の解決手段を講じている。
【0006】
装着装置(3)は、主軸(2)の中心孔(2a)内で軸方向に移動可能なスライド軸(12)と、スライド軸(12)を後退方向に付勢する弾性部材(16)と、スライド軸(12)を押圧して前進方向に移動させる移動装置(13)と、複数の係合片(14)と、スライド軸(12)と係合片(14)とを係合しスライド軸(12)の移動に連動して主軸(2)の半径方向および軸線方向に係合片(14)を移動する主軸側係合部(18a)とを含み、保持用ツール(5)は、開閉自在の複数の工作物保持片(31)と、工作物保持片(31)を閉方向に付勢する弾性部材(32)と、スライド軸(12)の前進に伴ってスライド軸(12)により押圧され工作物保持片(31)を開くために軸方向に移動可能な伝達軸(34)と、伝達軸(34)の移動を工作物保持片(31)に開く方向の移動として伝達する運動伝達機構(35)と、複数の係合片(14)と伝達軸(34)とを係合するツール側係合部(37)とを含み、主軸(2)のテーパ孔(11)に保持用ツール(5)を挿入した状態で、装着装置(3)は移動装置(13)の押圧を開放して弾性部材(16)の付勢力によりスライド軸(12)を後退させ、係合片(14)と主軸側係合部(18a)、およびツール側係合部(37)との係合により保持用ツール(5)を抜け止めしてテーパ孔(11)に装着し、移動装置(13)によるスライド軸(12)の前進により伝達軸(34)を移動させ運動伝達機構(35)を介して複数の工作物保持片(31)を開状態とし、複数の工作物保持片(31)の間で工作物(4)を受け取り、移動装置(13)の押圧を開放して弾性部材(32)の付勢力により伝達軸(34)を移動させ複数の工作物保持片(31)を閉じて、保持用ツール(5)に工作物(4)を固定する(請求項1)。
【0007】
また、装着装置(3)は、主軸(2)の中心孔(2a)内で軸方向に移動可能な中空の第1のスライド軸(52)と、第1のスライド軸(52)を後退方向に付勢する弾性部材(16)と、第1のスライド軸(52)内を軸方向に移動可能な第2のスライド軸(53)と、第1のスライド軸(52)および第2のスライド軸(53)を押圧して前進方向に移動させる移動装置(13)と、複数の係合片(14)と、第1のスライド軸(52)と係合片(14)とを係合し第1のスライド軸(52)の移動に連動して主軸(2)の半径方向および軸線方向に係合片(14)を移動する主軸側係合部(18a)とを含み、保持用ツール(5)は、開閉自在の複数の工作物保持片(31)と、工作物保持片(31)を閉方向に付勢する弾性部材(32)と、第2のスライド軸(53)の前進に伴って該スライド軸(53)により押圧され工作物保持片(31)を開くために軸方向に移動可能な伝達軸(34)と、伝達軸(34)の移動を工作物保持片(31)に開く方向の移動として伝達する運動伝達機構(35)と、複数の係合片(14)と伝達軸(34)とを係合するツール側係合部(37)とを含み、主軸(2)のテーパ孔(11)に保持用ツール(5)を挿入した状態で、装着装置(3)は移動装置(13)の押圧を解放して弾性部材(16)の付勢力により第1のスライド軸(52)を後退させ、係合片(14)と主軸側係合部(18a)、およびツール側係合部(37)との係合により保持用ツール(5)を抜け止めしてテーパ孔(11)に装着し、移動装置(13)による第2のスライド軸(53)の前進によって伝達軸(34)を移動させ運動伝達機構(35)を介して複数の工作物保持片(31)を開状態とし、複数の工作物保持片(31)の間で工作物(4)を受け取り、移動装置(13)の押圧を解放して弾性部材(32)の付勢力により伝達軸(34)を移動させ複数の工作物保持片(31)を閉じて、保持用ツール(5)に工作物(4)を固定する(請求項2)。
【0008】
主軸(2)のテーパ孔(11)は、保持用ツール(5)に加えて、複数の係合片(14)と係合するツール側係合部(50)を有する加工刃固定用ツール(48)をも装着可能とすることを特徴とする(請求項3)。また、保持用ツール(5)は、挿入側に向かって収束するテーパ溝(42)を有する保持片案内部材(44)を備え、複数の工作物保持片(31)は、テーパ溝(42)内で移動する移動ピース(47)および運動伝達機構(35)を有し、運動伝達機構(35)は、伝達軸(34)と移動ピース(47)との主軸半径方向の相対移動を許容しつつ軸方向の相対移動を規制して工作物保持片(31)を軸の半径方向に開閉運動可能とし、弾性部材(32)は、伝達軸(34)を挿入側に向かって付勢して複数の工作物保持片(31)を閉方向に付勢する(請求項4)。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明の工作機械の主軸装置1の全体の断面図を示している。工作機械の主軸装置1は、駆動源一体型であり、主軸2に設けられた装着装置3によって、工作物4を加工するための加工刃固定用ツール48を主軸2の主軸頭側のテーパ孔11に装着する一般的な機能のほか、工作物4の保持用ツール5を主軸2のテーパ孔11に装着し、装着した保持用ツール5により工作物4を把持する特殊な機能を有している。図1は、工作機械の主軸装置1に保持用ツール5を装着し、装着した保持用ツール5によって工作物4を把持した状態を示している。
【0010】
主軸2は、円筒形状であり、その前後端で軸受6によりハウジング7に回転自在に支持されている。主軸2およびハウジング7は、それぞれロータ8、ステータ9、その巻線部9aを有し、これら全体で主軸2の駆動源としてのモータ10を構成している。なお、円筒形状の主軸2で中心の中心孔2aは、先端側つまり保持用ツール5側の開放部分でテーパ孔11を形成している。また、ハウジング7には、モータ10や軸受け部分を冷却する冷却液の循環孔30が設けられている。
【0011】
装着装置3は、主軸2の中心孔2aを軸方向に移動可能なスライド軸12、スライド軸12を軸方向に移動させる油圧シリンダ等の移動装置13、スライド軸12の移動に連動して軸の半径方向および軸方向に変位可能に設けられた複数のコレット状の係合片14などから構成されている。
【0012】
スライド軸12の保持用ツール5側は、主軸2の中心孔2aのテーパー孔11に連なる小径部に挿入されている。また、スライド軸12には、中心孔2aの大径部で弾性部材としての複数の皿ばね16が通されており、これら皿ばね16は、スライド軸12の前進時にスライド軸12のナット17により圧縮され、スライド軸12を後方つまり移動装置13側へ付勢する。
【0013】
図2は、装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図である。スライド軸12の保持用ツール側先端には、環状の溝のついた操作部品18が取り付けられており、その溝部分において係合片14のブロック部19が係合しており、外周の溝部分がスライド軸12と係合片14とを係合する主軸側係合部18aを形成する。なお、スライド軸12、操作部品18は、その軸芯にクーラント液用の冷却孔25を有しており、この冷却孔25は、スライド軸12の移動装置13側の端部でロータリージョイント15を介してクーラント液供給用のチューブ26に接続されており、後述の図6に参照する加工刃固定用ツール48を装着した場合に、クーラント液が供給される。また、スライド軸12の後端部には、移動装置13に対向して移動量調整用のナット29が取り付けられている。
【0014】
複数の係合片14は、円周方向に配設して中心孔2aの内部に収められ、ブロック部19の溝部分に巻かれたリング状のコイルスプリング20によって、結束されていわゆるコレットを形成している。コイルスプリング20は、係合片14のブロック部19を軸の中心方向に向けて付勢しているため、係合片14の先端の係合部22は、ブロック部20の鋭角部21を支点として半径方向外側に拡がるように付勢されている。
【0015】
移動装置13は、異なるストロークの2つの複動型油圧シリンダ、すなわち保持片開動作用シリンダ23およびツール装着用シリンダ24とから構成されている。ツール装着用シリンダ24のピストン27のピストンロッド27aは、中空であり、その中空部に保持片開動作用シリンダ23のピストン28のピストンロッド28aが軸方向に移動可能に挿入されている。これらのピストンロッド27a、28aの先端は、スライド軸12のナット29に対して一定の距離をもって対向している。
【0016】
スライド軸12は、ピストンロッド27aまたはピストンロッド28aに押圧されて軸方向に移動するが、2つのピストン27、28の異なる往復運動のストロークにともない3つの異なる位置、すなわちピストン27、28がいずれも後退している位置(ツール装着・保持片閉動作位置)、ピストン28のみが前進している位置(保持片開動作位置)、ピストン27のみが前進している位置(ツール着脱位置)まで移動する。
【0017】
なお、図示の例では、異なるストロークの2つのシリンダを用いて、スライド軸12を3箇所で位置決めしているが、ストッパやセンサー等を用いて、1つのシリンダをストローク途中で停止可能として、スライド軸12の位置を決定することもできる。また、この例では、移動装置13の直動アクチュエータとして油圧シリンダを用いているが、空気圧シリンダや電動式のソレノイド、リニアモータ等を用いてもよく、あるいはモータと回転運動を直線運動に変換する機構例えばボールねじ、ラック・ピニオン等との組合わせによって直線運動を得ることもできる。
【0018】
つぎに、図2を参照して保持用ツール5の構成を説明する。保持用ツール5は、複数例えば3個の工作物保持片31、ツールボディ33、ツールボディ33の先端に開口する孔内を軸方向に移動可能な伝達軸34、工作物保持片31を伝達軸34により閉方向に付勢する弾性部材32としての皿ばね、工作物保持片31と伝達軸34とを連結する運動伝達機構35、主軸2側の先端に形成され装着装置3の係合片14と係合するツール側係合部37などから構成されている。なお、ツールボディ33の主軸2側にはテーパ軸39が形成されており、テーパ孔11と嵌合できるようになっている。
【0019】
ツールボディ33は、内側で中空になっており、主軸2側の開口部にツール側係合部37が取り付けられている。ツール側係合部37の軸心には貫通孔38が設けられており、伝達軸34は、貫通孔38と、後述の保持片案内部材44に設けられた滑り軸受36とにより、軸方向に移動可能に支持されている。また、ツールボディ33の反主軸側の端面には、挿入方向に向かって収束するテーパ溝42を有する保持片案内部材44が取付けボルト46により取り付けられており、工作物保持片31と一体の移動ピース47は、テーパ溝42の面に対して滑り移動可能に支持されている。
【0020】
移動ピース47は、保持片案内部材44側のクリックボールなどの規制具44aとその案内溝43により必要以上に滑り移動しないように規制されている。なお、3個の工作物保持片31は、取付けボルト56によって移動ピース47に固定されており、3個の工作物保持片31、移動ピース47やテーパ溝42は、保持片案内部材44の中心に対して3等分位置に配置されている。
【0021】
さらに、伝達軸34は、運動伝達機構35として、伝達軸34の係合突起41を移動ピース47の係合溝40に係合させている。伝達軸34の係合突起41および移動ピース47の係合溝40は、運動伝達機構35を構成しており、伝達軸34の軸方向の往復運動を3個の工作物保持片31の開閉運動に変換する。
【0022】
運動伝達機構35は、伝達軸34と移動ピース47との主軸半径方向の相対移動を許容しつつ軸方向の相対移動を規制して3個の工作物保持片31を軸の半径方向に開閉運動可能とする。具体的にはこの例で、伝達軸34の軸方向の往復運動は、テーパ溝42内で移動ピース47の斜め方向の移動に変換され、これにより3個の工作物保持片31は、伝達軸34の軸方向に移動しながらその半径方向にも移動し、工作物保持片31の対向面の間で工作物4を保持する。
【0023】
また、伝達軸34には、ツールボディ33の中空部において、弾性部材32としての皿ばねが挿通されており、この弾性部材32は、伝達軸34と一体のナット45に当たり、伝達軸34をスライド軸(12)の後退方向に付勢しており、これにより3個の工作物保持片31を常に閉じる状態としている。
【0024】
図3は、保持用ツール5を装着していない状態の装着装置3の詳細な断面図である。この状態において、保持片開動作用シリンダ23のピストン28は、後退し、ツール装着用シリンダ24のピストン28は前進している。ピストン27の前進により、スライド軸12は、ナット17を介して皿ばね16を圧縮しながら主軸2の中心孔2a内をテーパ孔11側に移動しており、これにともない係合片14は、操作部品18によって押し出されてテーパ孔11内に進出し、その先端部の係合部22は、コイルスプリング20の弾力によって開状態になっている。一方、保持用ツール5は、手動または自動工具交換装置により、そのテーパ軸39の部分で主軸2のテーパ孔11の内部に途中まで挿入される。この挿入状態で、伝達軸34の後端は、伝達軸34と一体のナット34aにより操作部品18の先端に当接している。
【0025】
図4は、主軸2に保持用ツール5の装着を完了し、かつ保持用ツール5の工作物保持片31を閉じた状態における装着装置3の詳細な断面図である。この状態において、保持片開動作用シリンダ23のピストン28およびツール装着用シリンダ24のピストン27はともに後退している。スライド軸12は、皿ばね16により後退方向に付勢されて移動しており、これにともない係合片14は、操作部品18の主軸側係合部18aによって主軸2の中心孔2aの小径部に引き込まれている。この引き込みにより、係合片14の係合部22は、小径部の内壁に沿って後退し、コイルスプリング20の付勢力に反して閉状態となり、テーパ孔11に途中まで挿入されている保持用ツール5のツール側係合部37と係合し、抜け止め状態とするとともに、ツール側係合部37を後退方向に牽引し、保持用ツール5のテーパ軸39の部分をテーパ孔11に完全に嵌合させる。
【0026】
図5は、保持用ツール5を主軸2に装着し、かつ工作物保持片31を開いた状態すなわち閉じて工作物4を把持する前の状態にある装着装置3の詳細な断面図である。この状態において、保持片開動作用シリンダ23のピストン28は前進し、ツール装着用シリンダ24のピストン27は後退している。ピストン28の前進によりスライド軸12は、ナット17を介して皿ばね16を圧縮しながら主軸2の中心孔2a内をテーパ孔11側に移動し、操作部品18を介して保持用ツール5の伝達軸34を押圧する。
【0027】
押圧された伝達軸34は、弾性部材32の皿ばねを圧縮しながら移動し、運動伝達機構35(係合溝40、係合突起41)を介して、移動ピース47をテーパ溝42にそって押し、これと一体の3つの工作物保持片31を斜め方向に移動させ、3つの工作物保持片31を相対的に離間して、工作物4の受け入れのために開状態とする。この状態で、工作物4は、ハンドリング装置によって運ばれてくるか、またはまたは装着装置3自体の移動により、開状態の3つの工作物保持片31の把持位置に入る。
【0028】
工作物4が開状態の3つの工作物保持片31の把持位置に入ったら、保持片開動作用シリンダ23は、スライド軸12の押圧を解放してそのピストン28を後退させ、伝達軸34は、弾性部材32の弾力によりスライド軸12側に移動する。このとき、3つの工作物保持片31は、相対的に接近して閉状態となり、工作物4を弾性部材32の弾力により強く把持する。なお、このときの保持片開動作用シリンダ23のピストン28のストロークは、ツール装着用シリンダ24のピストン27のストロークよりも小さく設定されているため、係合片14は移動せず、したがって係合片14とツール側係合部37との係合が解けず、保持用ツール5は、そのテーパ軸39によりテーパ孔11に嵌まり合ったままでそこから脱落することはない。
【0029】
この状態で工作機械の主軸装置1は、モータ10により主軸2を回転させることによって、保持用ツール5により固定されている工作物4を回転をさせる。この回転中の工作物4に対して加工刃57は、固定側にあって、工作物4に必要な加工を施す。
【0030】
以上は、主軸2に保持用ツール5を装着する動作および主軸2に装着された保持用ツール5が工作物4を把持する動作を説明したが、保持用ツール5が工作物4を放す動作および主軸2が保持用ツール5を押し出す動作は、上記の動作と逆の動作を行えばよい。
【0031】
図6は、工作機械の主軸装置1にエンドミル等の加工刃57を取り付けるために、主軸2に加工刃固定用ツール48を装着した例である。加工刃固定用ツール48は、加工刃固定部49、装着装置3の係合片14に係合するツール側係合部50、テーパ軸51などから構成されている。この図6で、装着装置3のスライド軸12は皿ばね16の弾力により後退しており、これにともない係合片14は、主軸2のテーパ孔11に挿入されている加工刃固定用ツール48のツール側係合部50と係合し、ツール側係合部50を後方に牽引している。
【0032】
この結果、加工刃固定用ツール48のテーパ軸51は、テーパ孔11に抜け止め状態(ロック状態)として嵌合している。この状態で、工作機械の主軸装置1は、モータ10により主軸2を回転させることによって、加工刃固定用ツール48のエンドミル等の加工刃57で図示しない加工テーブル上の工作物4を加工する。
【0033】
主軸2のテーパ孔11に挿入されている加工刃固定用ツール48の取外しは、ツール装着用シリンダ24を動作させ、そのピストン27を皿ばね16に抗して前進させ、操作部品18によりツール側係合部50の端部を押圧して加工刃固定用ツール48を移動させるとともに、係合片14の先端をテーパ孔11の内部に移動させる。これにより、係合片14は、その先端を開き、ツール側係合部50から離れ、ツール側係合部50に対する係合を解除する。この解除(アンロック)により、加工刃固定用ツール48は、主軸2のテーパ孔11から抜き取れる状態となる。
【0034】
作業員または自動工具交換装置が主軸2のテーパ孔11から加工刃固定用ツール48を抜き取ってしまえば、主軸2のテーパ孔11は、つぎの新たな加工刃固定用ツール48または工作物4の保持用ツール5を装着できることになる。
【0035】
なお、図6では図示していないが、加工刃57および加工刃固定用ツール48にクーラント液用の冷却孔を設け、これを前述の主軸2側のクーラント液用の冷却孔25と接続すれば、高速切削加工が可能である。
【0036】
つぎに図7は、工作機械の主軸装置1の他の例を示した断面図であり、また図8は、装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図であり、工作機械の主軸装置1に保持用ツール5を装着し、かつ保持用ツール5によって工作物4を把持した状態を示している。図1の例では、1つのスライド軸12でそのストローク量の違いにより、保持用ツール5の装着と工作物保持片31の開動作とを行うのに対し、図7の例は、中空の第1のスライド軸52で保持用ツール5の装着(着脱)を行い、第1のスライド軸52に挿入されている第2のスライド軸53で工作物保持片31の開動作を行う。
【0037】
図7の例において、装着装置3は、主軸2の中心孔2aを軸方向に移動可能な中空の第1のスライド軸52、第1のスライド軸52内を軸方向に移動可能な第2のスライド軸53、これらの第1のスライド軸52および第2のスライド軸53を移動させる移動装置13、第1のスライド軸52の移動に連動して軸の半径方向および軸方向に変位可能に設けられた複数例えば3個の係合片14などにより構成されている。
【0038】
第1のスライド軸52は、前記のスライド軸12と同様に、先端で操作部品18に連結され、3個の係合片14と操作部品18の主軸側係合部18aで係り合っており、皿ばね16によって後方に付勢されており、後端でツール装着用シリンダ24の中空のピストン27に押されて、皿ばね16に抗して前進方向に移動できるようになっている。また、第2のスライド軸53は、中空の第1のスライド軸52および中空の操作部品18の中心孔に軸方向に移動自在に挿入され、先端で伝達軸34(ナット34a)に当接可能に対向し、後端部54で中空のピストンロッド27aの内部に入り込み、圧縮スプリング55により後方に付勢され、保持片開動作用シリンダ23のピストン28に押されて、圧縮スプリング55に抗して前進方向に移動できるようになっている。このように第1のスライド軸52、第2のスライド軸53は、それぞれ異なるストロークのツール装着用シリンダ24、保持片開動作用シリンダ23により独立に駆動されるようになっている。
【0039】
保持用ツール5の主軸2への装着は、第1のスライド軸52をツール装着用シリンダ24のピストン27を前進させて、複数の係合片14を開状態とし、保持用ツール5をテーパ孔11に挿入した後、第1のスライド軸52を皿ばね16によって後退させて、係合片14を後方に変位させ、係合片14を保持用ツール5のツール側係合部37と係合させるとともに、ツール側係合部37を牽引し、保持用ツール5をテーパ孔11に完全に嵌合させることにより行う。
【0040】
また、保持用ツール5による工作物4の把持は、第2のスライド軸53を保持片開動作用シリンダ23のピストン28を前進させ、第2のスライド軸53の先端で伝達軸34を押圧し、保持用ツール5の工作物保持片31を開状態とする。開状態の工作物保持片31の間に工作物4が置かれたら、保持片開動作用シリンダ23は、第2のスライド軸53の押圧を解放してピストン28を後退させ、第2のスライド軸53は、圧縮スプリング55に付勢されて後退する。これと同時に、伝達軸34は、弾性部材32に付勢されて、移動ピース47を後退させるため、工作物保持片31は、閉じて工作物4をしっかりと把持する。なお、圧縮スプリング55がなくても、第2のスライド軸53は、必要な機能を営む。
【0041】
このように、図7の装着装置3において、ツール装着用シリンダ24のピストン27が前進し、保持片開動作用シリンダ23のピストン28が後退しているとき、すなわち、第1のスライド軸52が前進し、第2のスライド軸53が後退しているとき、装着装置3は、保持用ツール5を装着可能な状態にある。また、第1のスライド軸52、第2のスライド軸53がともに後退しているとき、主軸2に保持用ツール5が装着され、かつ保持用ツール5の工作物保持片31が閉じられた状態にある。さらに、第1のスライド軸52が後退し、第2のスライド軸53が前進しているとき、主軸2に保持用ツール5が装着され、かつ保持用ツール5の工作物保持片31が開かれた状態にある。
【0042】
なお、運動伝達機構35は、図示の例に限らず、伝達軸34の軸方向の往復直線運動をレバーやリンクなどのリンク装置により、あるいはカム装置により往復揺動運動に変換し、この往復揺動運動により工作物保持片31を開閉する形式のものとして構成することもできる。また、伝達軸34は、好ましい態様として保持用ツール5のツール側係合部37から突出しているが、スライド軸12またはその先端の操作部品18の先端をを段付きにして先端を細くし、ツール側係合部37の孔に進出可能とすれば、伝達軸34は、保持用ツール5のツール側係合部37から突出していないものとして構成することもできる。
【0043】
さらに、主軸2の回転駆動は、主軸2と一体式でないモータ10を採用してもよく、主軸2とモータ軸とが同軸の場合には、モータ軸にも孔を形成することになる。移動装置13の保持片開動作用シリンダ23やツール装着用シリンダ24のピストン27、28は、既述の通り、他のアクチュエータ例えば空気圧シリンダ、電動アクチュエータ(ソレノイド、リニアモータ等)と回転直線運動変換機構(ボールねじ、ラック等)との組み合わせ手段により構成することもできる。
【0044】
移動装置13によるスライド軸12(第1のスライド軸52および第2のスライド軸53)の後退・前進は、主軸2に内蔵の流体圧機構を用い、これと外部の流体圧回路とロータリジョイントを介して接続することによっても実現できる。さらに、スライド軸12の異なる移動量は、ストッパを用い、ストッパの位置を移動させることによって、あるいはセンサーにてスライド軸12の位置を検出して、スライド軸12の移動を調節することによっても具体化できる。
【0045】
【発明の効果】
請求項1、主軸に内蔵されたスライド軸の移動のみで、保持用ツールの主軸への着脱、および主軸に装着された保持用ツールの複数の工作物保持片の開閉動作(工作物把持動作)を行うことができる。また、保持用ツールの把持機能によって、主軸の回転により工作物に切削回転を与えることによって、保持用ツールに把持されている工作物の切削加工が可能となり、さらに主軸装置の移動により工作物の搬送ができ、工作物を搬送する特別な手段を設ける必要がない。
【0046】
請求項2でも、上記請求項1の効果が得られるほか、スライド軸が第1のスライド軸および第2のスライド軸が設けられ、それらが保持用ツールの主軸への着脱、主軸に装着された保持用ツールの複数の工作物保持片の開閉動作(工作物把持動作)を分担しているので、各動作が干渉せず、誤動作がなくなる。
【0047】
請求項3によれば、主軸のテーパ孔に加工刃固定用ツールが装着可能であるから、その加工刃の選択により各種の加工ができる。
【0048】
請求項4によれば、複数の工作物保持片の開閉動作が機械的な要素により実現できるから、主軸側から圧力油等の動力を供給する必要がなく、保持用ツールおよび主軸の双方に配管等の特別な構造を組み込む必要がない。
【図面の簡単な説明】
【図1】工作機械の主軸装置1の断面図である。
【図2】装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図である。
【図3】保持用ツール5を装着する途中での装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図4】保持用ツール5を装着したときの装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図5】装着した保持用ツール5の複数の工作物保持片の開くときの装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図6】加工刃固定用ツール48を装着したときの装着装置3の詳細な拡大断面図である。
【図7】工作機械の他の例の主軸装置1の断面図である。
【図8】図7における装着装置3および保持用ツール5の拡大断面図である。
【符号の説明】
1 工作機械の主軸装置
2 主軸 2a 中心孔
3 装着装置
4 工作物
5 保持用ツール
6 軸受
7 ハウジング
8 ロータ
9 ステータ 9a 巻線部
10 モータ
11 テーパ孔
12 スライド軸
13 移動装置
14 係合片
15 ロータリージョイント
16 皿ばね
17 ナット
18 操作部品 18a 主軸側係合部
19 ブロック部
20 コイルスプリング
21 鋭角部
22 係合部
23 保持片開動作用シリンダ
24 ツール装着用シリンダ
25 冷却孔
26 チューブ
27 ピストン 27a ピストンロッド
28 ピストン 28a ピストンロッド
29 ナット
30 循環孔
31 工作物保持片
32 弾性部材
33 ツールボディ
34 伝達軸 34a ナット
35 運動伝達機構
36 滑り軸受
37 ツール側係合部
38 貫通孔
39 テーパ軸
40 係合溝
41 係合突起
42 テーパ溝
43 案内溝
44 保持片案内部材 44a 規制具
45 ナット
46 取付けボルト
47 移動ピース
48 加工刃固定用ツール
49 加工刃固定部
50 ツール側係合部
51 テーパ軸
52 第1のスライド軸
53 第2のスライド軸
54 後端部
55 圧縮スプリング
56 取付けボルト
57 加工刃
Claims (4)
- 工作物(4)の保持用ツール(5)を主軸(2)に設けられた装着装置(3)によって主軸(2)のテーパ孔(11)に装着する工作機械の主軸装置(1)であって、
装着装置(3)は、主軸(2)の中心孔(2a)内で軸方向に移動可能なスライド軸(12)と、スライド軸(12)を後退方向に付勢する弾性部材(16)と、スライド軸(12)を押圧して前進方向に移動させる移動装置(13)と、複数の係合片(14)と、スライド軸(12)と係合片(14)とを係合しスライド軸(12)の移動に連動して主軸(2)の半径方向および軸線方向に係合片(14)を移動する主軸側係合部(18a)とを含み、
保持用ツール(5)は、開閉自在の複数の工作物保持片(31)と、工作物保持片(31)を閉方向に付勢する弾性部材(32)と、スライド軸(12)の前進に伴ってスライド軸(12)により押圧され工作物保持片(31)を開くために軸方向に移動可能な伝達軸(34)と、伝達軸(34)の移動を工作物保持片(31)に開く方向の移動として伝達する運動伝達機構(35)と、複数の係合片(14)と伝達軸(34)とを係合するツール側係合部(37)とを含み、
主軸(2)のテーパ孔(11)に保持用ツール(5)を挿入した状態で、装着装置(3)は、移動装置(13)の押圧を開放して弾性部材(16)の付勢力によりスライド軸(12)を後退させ、係合片(14)と主軸側係合部(18a)、およびツール側係合部(37)との係合により保持用ツール(5)を抜け止めしてテーパ孔(11)に装着し、
移動装置(13)によるスライド軸(12)の前進により伝達軸(34)を移動させ運動伝達機構(35)を介して複数の工作物保持片(31)を開状態とし、複数の工作物保持片(31)の間で工作物(4)を受け取り、移動装置(13)の押圧を開放して弾性部材(32)の付勢力により伝達軸(34)を移動させ複数の工作物保持片(31)を閉じて、保持用ツール(5)に工作物(4)を固定することを特徴とする工作機械の主軸装置(1)。 - 工作物(4)の保持用ツール(5)を主軸(2)に設けられた装着装置(3)によって主軸(2)のテーパ孔(11)に装着する工作機械の主軸装置(1)であって、
装着装置(3)は、主軸(2)の中心孔(2a)内で軸方向に移動可能な中空の第1のスライド軸(52)と、第1のスライド軸(52)を後退方向に付勢する弾性部材(16)と、第1のスライド軸(52)内を軸方向に移動可能な第2のスライド軸(53)と、第1のスライド軸(52)および第2のスライド軸(53)を押圧して前進方向に移動させる移動装置(13)と、複数の係合片(14)と、第1のスライド軸(52)と係合片(14)とを係合し第1のスライド軸(52)の移動に連動して主軸(2)の半径方向および軸線方向に係合片(14)を移動する主軸側係合部(18a)とを含み、
保持用ツール(5)は、開閉自在の複数の工作物保持片(31)と、工作物保持片(31)を閉方向に付勢する弾性部材(32)と、第2のスライド軸(53)の前進に伴って該スライド軸(53)により押圧され工作物保持片(31)を開くために軸方向に移動可能な伝達軸(34)と、伝達軸(34)の移動を工作物保持片(31)に開く方向の移動として伝達する運動伝達機構(35)と、複数の係合片(14)と伝達軸(34)とを係合するツール側係合部(37)とを含み、
主軸(2)のテーパ孔(11)に保持用ツール(5)を挿入した状態で、装着装置(3)は移動装置(13)の押圧を解放して弾性部材(16)の付勢力により第1のスライド軸(52)を後退させ、係合片(14)と主軸側係合部(18a)、およびツール側係合部(37)との係合により保持用ツール(5)を抜け止めしてテーパ孔(11)に装着し、
移動装置(13)による第2のスライド軸(53)の前進によって伝達軸(34)を移動させ運動伝達機構(35)を介して複数の工作物保持片(31)を開状態とし、複数の工作物保持片(31)の間で工作物(4)を受け取り、移動装置(13)の押圧を解放して弾性部材(32)の付勢力により伝達軸(34)を移動させ複数の工作物保持片(31)を閉じて、保持用ツール(5)に工作物(4)を固定することを特徴とする工作機械の主軸装置(1)。 - 主軸(2)のテーパ孔(11)は、保持用ツール(5)に加えて、複数の係合片(14)と係合するツール側係合部(50)を有する加工刃固定用ツール(48)をも装着可能とすることを特徴とする請求項1または請求項2記載の工作機械の主軸装置(1)。
- 保持用ツール(5)は、挿入側に向かって収束するテーパ溝(42)を有する保持片案内部材(44)を備え、複数の工作物保持片(31)は、テーパ溝(42)内で移動する移動ピース(47)および運動伝達機構(35)を有し、運動伝達機構(35)は、伝達軸(34)と移動ピース(47)との主軸半径方向の相対移動を許容しつつ軸方向の相対移動を規制して工作物保持片(31)を軸の半径方向に開閉運動可能とし、弾性部材(32)は、伝達軸(34)を挿入側に向かって付勢して複数の工作物保持片(31)を閉方向に付勢することを特徴とする請求項1または請求項2記載の工作機械の主軸装置(1)。
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JP2002372571A JP2004202607A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 工作機械の主軸装置 |
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JP2009233786A (ja) * | 2008-03-27 | 2009-10-15 | Minoru Kanematsu | 工具用スピンドルとチャック用スピンドルのいずれも取り付け可能な主軸ユニット |
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2002
- 2002-12-24 JP JP2002372571A patent/JP2004202607A/ja active Pending
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