JP2004201742A - 歯科治療用シリンジのカバー体および歯科治療用シリンジ - Google Patents
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Abstract
【課題】シリンジチップの滅菌処理の手間を削減し、視覚的にも衛生的な歯科治療用シリンジのカバー体およびそれを用いた歯科治療用シリンジを提供する。
【解決手段】カバー体1は、管状体の一部が可撓性を有するものであり、通常、曲折部2bにより曲折されて形成されているシリンジチップ2に容易に適合可能である。このようなカバー体1の内面をシリンジチップ2の外面に挿通させることにより、シリンジチップ2の外面をカバー体1により被覆する。被覆された状態でシリンジチップ2を口内へ挿入し、各種歯科治療を行う。次の患者に対しては、カバー体1をシリンジチップ2から取り外し、カバー体1を廃棄して、新しいカバー体1に付け替える。
【選択図】 図1
【解決手段】カバー体1は、管状体の一部が可撓性を有するものであり、通常、曲折部2bにより曲折されて形成されているシリンジチップ2に容易に適合可能である。このようなカバー体1の内面をシリンジチップ2の外面に挿通させることにより、シリンジチップ2の外面をカバー体1により被覆する。被覆された状態でシリンジチップ2を口内へ挿入し、各種歯科治療を行う。次の患者に対しては、カバー体1をシリンジチップ2から取り外し、カバー体1を廃棄して、新しいカバー体1に付け替える。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科治療用シリンジのカバー体および歯科治療用シリンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科治療に用いられる3ウェイ(水/空気/霧)シリンジやバキュームシリンジ等の歯科治療用シリンジが知られている。図3は従来の歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。従来の歯科診療用3ウェイシリンジは、図3に示すように、シリンジ本体3にシリンジチップ2がナット4により固定されている。シリンジチップ2は、ボタン5を押下して口内へ空気や水等を送り込んだりするためのノズル状の治具であり、直接口内へ挿入し、歯科治療を行うものである。
【0003】
従来のシリンジチップ2においては、当初、ステンレスにより形成されたものが多く用いられていた。歯科治療中は、口内からの出血によりシリンジチップ2に血液が付着したり、口内にある細菌等が付着する場合もあるため、衛生上、一人の患者の治療を終える度にオートクレープ等による滅菌処理を行う必要がある。
【0004】
しかし、患者ごとに滅菌処理するのは時間と手間がかかるため、滅菌時間の短縮やアルコール消毒で済ませる等、必ずしも衛生的に完全ではない場合があった。これを解決するため、下記特許文献1のように、プラスチック製のシリンジチップ2を用いて、シリンジチップ2を患者ごとに使い捨てることとする各種歯科治療用シリンジが公知となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−140731号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなプラスチック製のシリンジチップ2は使い捨てるには依然として高価であり、使い捨て用のプラスチック製シリンジチップ2であっても再使用される場合があった。プラスチック製のシリンジチップ2を再使用する場合には、プラスチック製のシリンジチップ2においても滅菌処理する必要が生じるため、ステンレス製のシリンジチップ2を滅菌処理するのと同様の手間と時間がかかり、結果的に衛生上の課題を克服するには至らないこととなる場合があった。
【0007】
また、最近、患者である一般人の衛生に対する関心度、認識度も高まってきており、ステンレス製のシリンジチップ、プラスチック製のシリンジチップの何れを用いた場合であっても、適正に滅菌処理されているのか、または、毎回使い捨てられているのかについて患者に疑心を抱かれる等、視覚的にも衛生上の不安が生じる場合があった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、シリンジチップの滅菌処理の手間を削減し、視覚的にも衛生的な歯科治療用シリンジのカバー体およびそれを用いた歯科治療用シリンジを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る歯科治療用シリンジのカバー体は、歯科治療用シリンジのシリンジ本体に取り付けられた口内挿入用のシリンジチップを被覆可能な、少なくとも一部が可撓性を有する管状体であるものである。
【0010】
本発明のカバー体は、管状体の一部が可撓性を有するものであり、通常、曲折されて形成されているシリンジチップに容易に適合可能である。この管状体の内面をシリンジチップの外面に挿通させることにより、シリンジチップの外面をカバー体により被覆する。被覆された状態でシリンジチップを口内へ挿入し、各種歯科治療を行う。次の患者に対しては、カバー体をシリンジチップから取り外し、カバー体を廃棄して、新しいカバー体に付け替える。
【0011】
このように、カバー体をシリンジチップに被覆することにより、シリンジチップ自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップの滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。また、カバー体を使い捨てることによって、衛生的にも清潔で、また、視覚的にも患者に安心感を与えることができる。
【0012】
なお、このカバー体の材質としては、プラスチック製のシリンジチップよりも安価に制作できるものであればよく、例えば、紙、ポリプロピレン、ラテックスゴム、またはこれらを組み合わせて形成される複合体等が挙げられる。
【0013】
また、シリンジの用途は、特に限定されるものではなく、水/空気/霧が切替えられる3ウェイシリンジ、レジン塗布用のシリンジ等、いずれの歯科治療用シリンジのためのノズル状のシリンジチップにも適用可能である。また、吸引用のバキューム管およびそのためのチップ等の用途にも適用可能である。
【0014】
さらに、被覆対象のシリンジチップは、ステンレス製、プラスチック製、その他材質を問うものではなく、いずれのシリンジチップに対しても適用可能である。
【0015】
好ましくは、耐水性を有する紙により形成されるように構成される。
【0016】
この場合、カバー体は、少なくとも一面に蝋等による防水膜が形成されて、耐水性を有した紙を筒状に丸めること等により形成される。紙を用いることにより、コストを低減することができるとともに、リサイクル可能であるため、省資源化を図ることができる。
【0017】
好ましくは、一端部が蛇腹状に形成されて前記可撓性を有するように構成される。
【0018】
特に、紙やポリプロピレン等、可撓性が優れていない材料により、カバー体を形成する場合に有効である。また、一端部から所定位置(例えば、装着時にシリンジチップの曲折部付近)まで蛇腹状とすることにより、シリンジチップに曲折部が存在しても容易に装着することができる。
【0019】
また、本発明に係る歯科治療用シリンジは、上記の歯科治療用シリンジのカバー体が口内挿入用のシリンジチップに装着されるように構成される。
【0020】
この場合、使い捨て容易なカバー体によってシリンジチップが被覆されることにより、シリンジチップに血液等が付着することが抑制される。
【0021】
したがって、使い捨て容易なカバー体を備えることにより、シリンジチップ本体の滅菌のための手間と時間を大幅に削減することができる。
【0022】
好ましくは、前記カバー体は、前記シリンジチップにおける口内挿入側の先端部より所定間隔だけ残して装着されるように構成される。
【0023】
この場合、カバー体の装着時、シリンジチップにおける口内挿入側の先端部は、所定間隔だけカバー体によって被覆されない状態が保たれる。シリンジチップの口内挿入側の先端部には、水噴射口や、空気噴射口等の噴射口がある場合が多く、治療時の多くは、水、空気等が噴射されており、衛生上問題となる血液や細菌等は、当該先端部には、付着し難い。一方、シリンジチップの側面部は、治療時口内にあって、治療によって口内に拡散した血液や細菌等が付着し易い。
【0024】
したがって、カバー体を当該先端部から所定間隙だけ残して装着することにより、この噴射口から各種噴射物が噴射する際に装着されたカバー体が当該噴射の勢いにより外れてしまうことを防止しつつ、シリンジチップ自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップの滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態を説明する。本実施形態においては、水/空気/霧が切替えられる3ウェイシリンジについて説明する。図1は本発明の一実施の形態における歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。図1(a)はシリンジ全体の概略図であり、図1(b)は図1(a)のシリンジチップの口内挿入側の先端部の拡大斜視図であり、図1(c)は図1(b)の側面図である。
【0026】
図1の3ウェイシリンジは、シリンジ本体3と、口内挿入用のシリンジチップ2と、シリンジチップ2をシリンジ本体3に取り付けるためのナット4と、水/空気/霧(水および空気の同時噴射)のいずれを噴射させるかを切り替える切替スイッチ5とを具備する。切替スイッチ5を押下することで歯科ユニット(図示せず)から供給ホース(図示せず)を通じてシリンジ本体3に供給された所定の水等をシリンジチップ2の口内挿通側の先端部の噴射口から噴射させる。本実施の形態においては、図1(b)に示されるように、水噴射用の水噴射口2wおよび空気噴射用の複数の空気噴射口2aを備え、水・空気双方を噴射したときに霧状になるように形成されている。
【0027】
本実施の形態に係る歯科治療用シリンジのカバー体1は、図1に示すように、歯科治療用シリンジのシリンジ本体3に取り付けられた口内挿入用のシリンジチップ2を被覆可能で、少なくとも一部が可撓性を有する管状体であるものである。
【0028】
図1のカバー体1は、管状体の一部が可撓性を有するものであり、通常、曲折部2b(図3参照)により曲折されて形成されているシリンジチップ2に容易に適合可能である。本実施の形態においては、カバー体1の一端部が蛇腹状となり蛇腹部1aを形成している。
【0029】
本実施の形態においては、カバー体1の材料として耐水性の紙を用いており、このような紙は、可撓性が優れていないため、蛇腹部1aをカバー体1に形成することにより可撓性を得ることは有効である。また、一端部から所定位置(図1においては、装着時にシリンジチップ2の曲折部2a付近)まで蛇腹状とすることにより、シリンジチップ2に曲折部2aが存在しても容易に装着することができる。
【0030】
このようなカバー体1の内面をシリンジチップ2の外面に挿通させることにより、シリンジチップ2の外面をカバー体1により被覆する。被覆された状態でシリンジチップ2を口内へ挿入し、各種歯科治療を行う。次の患者に対しては、カバー体1をシリンジチップ2から取り外し、カバー体1を廃棄して、新しいカバー体1に付け替える。
【0031】
このように、カバー体1をシリンジチップ2に被覆することにより、シリンジチップ2自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップ2の滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。また、カバー体1を使い捨てることによって、衛生的にも清潔で、また、視覚的にも患者に安心感を与えることができる。
【0032】
本実施の形態におけるカバー体1を用いた場合であっても、シリンジチップ2の滅菌処理を行うことが望ましい。ただし、このような使い捨て容易なカバー体1を備えることにより、シリンジチップ2本体の滅菌処理のための手間と時間を大幅に削減することができる。
【0033】
ここで、本実施の形態におけるカバー体1の製造方法について説明する。図2は図1のカバー体の製造方法を示す図である。
【0034】
まず、所定の大きさの紙片10の少なくともいずれか一面に蝋等(図示せず)を塗布することにより防水膜を形成する。次に、防水膜が形成された紙片10の長手方向(カバー体1形成時の長手方向)一端部から所定長さ分だけ山折りおよび谷折りを交互に行い、断面鋸歯状部10aを形成する。続いて、防水膜が形成され、耐水性を有した紙片10を筒状に丸めることにより、管状体であるカバー体1を形成する。この際、断面鋸歯状部10aは、蛇腹部1aとなる。筒状体の内径は、装着するシリンジチップ2の外径と略同一であるように形成する。これにより、可撓性が優れていない紙製のカバー体1であっても、シリンジチップ2とカバー体1との径方向の間隙から血液等が浸入することを防止することができる。なお、ラテックス等の可撓性を有する材料でカバー体1を形成する場合は、シリンジチップ2の外径より僅かに短い内径を有するように形成すると、シリンジチップ2とカバー体1との径方向の間隙から血液等が浸入することを防止することができる。
【0035】
ここで、本実施の形態においては、防水膜を形成した面を内側にして紙片10を筒状に丸める。表面摩擦が少ない蝋等の防水膜がカバー体1の内側に形成されることにより、シリンジチップ2への装着時にすべりがよくなり、容易に装着可能となる。また、このことによって、カバー体1の内径とシリンジチップ2の外径とをより同一化させることができるため、シリンジチップ2とカバー体1との径方向の間隙から血液等が浸入することを防止することができる。
【0036】
以上のように、材料費の安価な紙を用いてカバー体1を形成することにより、コストを低減することができるとともに、紙材はリサイクル可能であるため、省資源化を図ることができる。
【0037】
本実施の形態において、前記カバー体1は、前記シリンジチップ2の口内挿入側の先端部より所定間隔hだけ残して装着されるように構成される。
【0038】
この場合、図1(c)に示されるように、カバー体1の装着時、シリンジチップ2の口内挿入側の先端部は、所定間隔hだけカバー体1によって被覆されない状態が保たれる。シリンジチップ2の口内挿入側の先端部には、図1(b)に示されるように、水噴射口2wや、空気噴射口2aがあり、治療時の多くは、水、空気等が噴射されており、衛生上問題となる血液や細菌等は、当該先端部には、付着し難い。一方、シリンジチップ2の側面部は、治療時口内にあって、治療によって口内に拡散した血液や細菌等が付着し易い。
【0039】
したがって、カバー体1を当該先端部から所定間隙hだけ残して装着することにより、この噴射口2w,2aから各種噴射物が噴射する際に装着されたカバー体1が当該噴射の勢いにより外れてしまうことを防止しつつ、シリンジチップ2自体(主にシリンジチップ2の側面)に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップ2の滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、このカバー体1の材質として紙製のカバー体1をもとに説明したが、プラスチック製のシリンジチップ2よりも安価に制作できるものであればよく、例えば、ポリプロピレン、ラテックスゴム、またはこれらを組み合わせて形成される複合体等により形成してもよい。
【0041】
また、シリンジの用途は、水/空気/霧が切替えられる3ウェイシリンジに特に限定されるものではなく、水、空気、霧のそれぞれが単独で噴射されるシリンジ、レジン塗布用のシリンジ等、いずれの歯科治療用シリンジのためのノズル状のシリンジチップにも適用可能である。また、吸引用のバキューム管およびそのためのチップ等の用途にも適用可能である。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る歯科治療用シリンジのカバー体および歯科治療用シリンジによれば、カバー体をシリンジチップに被覆することにより、シリンジチップ自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップの滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。また、カバー体を使い捨てることによって、衛生的にも清潔で、また、視覚的にも患者に安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。
【図2】図1のカバー体の製造方法を示す図である。
【図3】従来の歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。
【符号の説明】
1 カバー体
2 シリンジチップ
3 シリンジ本体
10 紙片
1a 蛇腹部
h 間隔
【発明の属する技術分野】
本発明は歯科治療用シリンジのカバー体および歯科治療用シリンジに関する。
【0002】
【従来の技術】
歯科治療に用いられる3ウェイ(水/空気/霧)シリンジやバキュームシリンジ等の歯科治療用シリンジが知られている。図3は従来の歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。従来の歯科診療用3ウェイシリンジは、図3に示すように、シリンジ本体3にシリンジチップ2がナット4により固定されている。シリンジチップ2は、ボタン5を押下して口内へ空気や水等を送り込んだりするためのノズル状の治具であり、直接口内へ挿入し、歯科治療を行うものである。
【0003】
従来のシリンジチップ2においては、当初、ステンレスにより形成されたものが多く用いられていた。歯科治療中は、口内からの出血によりシリンジチップ2に血液が付着したり、口内にある細菌等が付着する場合もあるため、衛生上、一人の患者の治療を終える度にオートクレープ等による滅菌処理を行う必要がある。
【0004】
しかし、患者ごとに滅菌処理するのは時間と手間がかかるため、滅菌時間の短縮やアルコール消毒で済ませる等、必ずしも衛生的に完全ではない場合があった。これを解決するため、下記特許文献1のように、プラスチック製のシリンジチップ2を用いて、シリンジチップ2を患者ごとに使い捨てることとする各種歯科治療用シリンジが公知となっている。
【0005】
【特許文献1】
特開平9−140731号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、このようなプラスチック製のシリンジチップ2は使い捨てるには依然として高価であり、使い捨て用のプラスチック製シリンジチップ2であっても再使用される場合があった。プラスチック製のシリンジチップ2を再使用する場合には、プラスチック製のシリンジチップ2においても滅菌処理する必要が生じるため、ステンレス製のシリンジチップ2を滅菌処理するのと同様の手間と時間がかかり、結果的に衛生上の課題を克服するには至らないこととなる場合があった。
【0007】
また、最近、患者である一般人の衛生に対する関心度、認識度も高まってきており、ステンレス製のシリンジチップ、プラスチック製のシリンジチップの何れを用いた場合であっても、適正に滅菌処理されているのか、または、毎回使い捨てられているのかについて患者に疑心を抱かれる等、視覚的にも衛生上の不安が生じる場合があった。
【0008】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解決するべくなされたもので、シリンジチップの滅菌処理の手間を削減し、視覚的にも衛生的な歯科治療用シリンジのカバー体およびそれを用いた歯科治療用シリンジを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る歯科治療用シリンジのカバー体は、歯科治療用シリンジのシリンジ本体に取り付けられた口内挿入用のシリンジチップを被覆可能な、少なくとも一部が可撓性を有する管状体であるものである。
【0010】
本発明のカバー体は、管状体の一部が可撓性を有するものであり、通常、曲折されて形成されているシリンジチップに容易に適合可能である。この管状体の内面をシリンジチップの外面に挿通させることにより、シリンジチップの外面をカバー体により被覆する。被覆された状態でシリンジチップを口内へ挿入し、各種歯科治療を行う。次の患者に対しては、カバー体をシリンジチップから取り外し、カバー体を廃棄して、新しいカバー体に付け替える。
【0011】
このように、カバー体をシリンジチップに被覆することにより、シリンジチップ自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップの滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。また、カバー体を使い捨てることによって、衛生的にも清潔で、また、視覚的にも患者に安心感を与えることができる。
【0012】
なお、このカバー体の材質としては、プラスチック製のシリンジチップよりも安価に制作できるものであればよく、例えば、紙、ポリプロピレン、ラテックスゴム、またはこれらを組み合わせて形成される複合体等が挙げられる。
【0013】
また、シリンジの用途は、特に限定されるものではなく、水/空気/霧が切替えられる3ウェイシリンジ、レジン塗布用のシリンジ等、いずれの歯科治療用シリンジのためのノズル状のシリンジチップにも適用可能である。また、吸引用のバキューム管およびそのためのチップ等の用途にも適用可能である。
【0014】
さらに、被覆対象のシリンジチップは、ステンレス製、プラスチック製、その他材質を問うものではなく、いずれのシリンジチップに対しても適用可能である。
【0015】
好ましくは、耐水性を有する紙により形成されるように構成される。
【0016】
この場合、カバー体は、少なくとも一面に蝋等による防水膜が形成されて、耐水性を有した紙を筒状に丸めること等により形成される。紙を用いることにより、コストを低減することができるとともに、リサイクル可能であるため、省資源化を図ることができる。
【0017】
好ましくは、一端部が蛇腹状に形成されて前記可撓性を有するように構成される。
【0018】
特に、紙やポリプロピレン等、可撓性が優れていない材料により、カバー体を形成する場合に有効である。また、一端部から所定位置(例えば、装着時にシリンジチップの曲折部付近)まで蛇腹状とすることにより、シリンジチップに曲折部が存在しても容易に装着することができる。
【0019】
また、本発明に係る歯科治療用シリンジは、上記の歯科治療用シリンジのカバー体が口内挿入用のシリンジチップに装着されるように構成される。
【0020】
この場合、使い捨て容易なカバー体によってシリンジチップが被覆されることにより、シリンジチップに血液等が付着することが抑制される。
【0021】
したがって、使い捨て容易なカバー体を備えることにより、シリンジチップ本体の滅菌のための手間と時間を大幅に削減することができる。
【0022】
好ましくは、前記カバー体は、前記シリンジチップにおける口内挿入側の先端部より所定間隔だけ残して装着されるように構成される。
【0023】
この場合、カバー体の装着時、シリンジチップにおける口内挿入側の先端部は、所定間隔だけカバー体によって被覆されない状態が保たれる。シリンジチップの口内挿入側の先端部には、水噴射口や、空気噴射口等の噴射口がある場合が多く、治療時の多くは、水、空気等が噴射されており、衛生上問題となる血液や細菌等は、当該先端部には、付着し難い。一方、シリンジチップの側面部は、治療時口内にあって、治療によって口内に拡散した血液や細菌等が付着し易い。
【0024】
したがって、カバー体を当該先端部から所定間隙だけ残して装着することにより、この噴射口から各種噴射物が噴射する際に装着されたカバー体が当該噴射の勢いにより外れてしまうことを防止しつつ、シリンジチップ自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップの滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の一実施の形態を説明する。本実施形態においては、水/空気/霧が切替えられる3ウェイシリンジについて説明する。図1は本発明の一実施の形態における歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。図1(a)はシリンジ全体の概略図であり、図1(b)は図1(a)のシリンジチップの口内挿入側の先端部の拡大斜視図であり、図1(c)は図1(b)の側面図である。
【0026】
図1の3ウェイシリンジは、シリンジ本体3と、口内挿入用のシリンジチップ2と、シリンジチップ2をシリンジ本体3に取り付けるためのナット4と、水/空気/霧(水および空気の同時噴射)のいずれを噴射させるかを切り替える切替スイッチ5とを具備する。切替スイッチ5を押下することで歯科ユニット(図示せず)から供給ホース(図示せず)を通じてシリンジ本体3に供給された所定の水等をシリンジチップ2の口内挿通側の先端部の噴射口から噴射させる。本実施の形態においては、図1(b)に示されるように、水噴射用の水噴射口2wおよび空気噴射用の複数の空気噴射口2aを備え、水・空気双方を噴射したときに霧状になるように形成されている。
【0027】
本実施の形態に係る歯科治療用シリンジのカバー体1は、図1に示すように、歯科治療用シリンジのシリンジ本体3に取り付けられた口内挿入用のシリンジチップ2を被覆可能で、少なくとも一部が可撓性を有する管状体であるものである。
【0028】
図1のカバー体1は、管状体の一部が可撓性を有するものであり、通常、曲折部2b(図3参照)により曲折されて形成されているシリンジチップ2に容易に適合可能である。本実施の形態においては、カバー体1の一端部が蛇腹状となり蛇腹部1aを形成している。
【0029】
本実施の形態においては、カバー体1の材料として耐水性の紙を用いており、このような紙は、可撓性が優れていないため、蛇腹部1aをカバー体1に形成することにより可撓性を得ることは有効である。また、一端部から所定位置(図1においては、装着時にシリンジチップ2の曲折部2a付近)まで蛇腹状とすることにより、シリンジチップ2に曲折部2aが存在しても容易に装着することができる。
【0030】
このようなカバー体1の内面をシリンジチップ2の外面に挿通させることにより、シリンジチップ2の外面をカバー体1により被覆する。被覆された状態でシリンジチップ2を口内へ挿入し、各種歯科治療を行う。次の患者に対しては、カバー体1をシリンジチップ2から取り外し、カバー体1を廃棄して、新しいカバー体1に付け替える。
【0031】
このように、カバー体1をシリンジチップ2に被覆することにより、シリンジチップ2自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップ2の滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。また、カバー体1を使い捨てることによって、衛生的にも清潔で、また、視覚的にも患者に安心感を与えることができる。
【0032】
本実施の形態におけるカバー体1を用いた場合であっても、シリンジチップ2の滅菌処理を行うことが望ましい。ただし、このような使い捨て容易なカバー体1を備えることにより、シリンジチップ2本体の滅菌処理のための手間と時間を大幅に削減することができる。
【0033】
ここで、本実施の形態におけるカバー体1の製造方法について説明する。図2は図1のカバー体の製造方法を示す図である。
【0034】
まず、所定の大きさの紙片10の少なくともいずれか一面に蝋等(図示せず)を塗布することにより防水膜を形成する。次に、防水膜が形成された紙片10の長手方向(カバー体1形成時の長手方向)一端部から所定長さ分だけ山折りおよび谷折りを交互に行い、断面鋸歯状部10aを形成する。続いて、防水膜が形成され、耐水性を有した紙片10を筒状に丸めることにより、管状体であるカバー体1を形成する。この際、断面鋸歯状部10aは、蛇腹部1aとなる。筒状体の内径は、装着するシリンジチップ2の外径と略同一であるように形成する。これにより、可撓性が優れていない紙製のカバー体1であっても、シリンジチップ2とカバー体1との径方向の間隙から血液等が浸入することを防止することができる。なお、ラテックス等の可撓性を有する材料でカバー体1を形成する場合は、シリンジチップ2の外径より僅かに短い内径を有するように形成すると、シリンジチップ2とカバー体1との径方向の間隙から血液等が浸入することを防止することができる。
【0035】
ここで、本実施の形態においては、防水膜を形成した面を内側にして紙片10を筒状に丸める。表面摩擦が少ない蝋等の防水膜がカバー体1の内側に形成されることにより、シリンジチップ2への装着時にすべりがよくなり、容易に装着可能となる。また、このことによって、カバー体1の内径とシリンジチップ2の外径とをより同一化させることができるため、シリンジチップ2とカバー体1との径方向の間隙から血液等が浸入することを防止することができる。
【0036】
以上のように、材料費の安価な紙を用いてカバー体1を形成することにより、コストを低減することができるとともに、紙材はリサイクル可能であるため、省資源化を図ることができる。
【0037】
本実施の形態において、前記カバー体1は、前記シリンジチップ2の口内挿入側の先端部より所定間隔hだけ残して装着されるように構成される。
【0038】
この場合、図1(c)に示されるように、カバー体1の装着時、シリンジチップ2の口内挿入側の先端部は、所定間隔hだけカバー体1によって被覆されない状態が保たれる。シリンジチップ2の口内挿入側の先端部には、図1(b)に示されるように、水噴射口2wや、空気噴射口2aがあり、治療時の多くは、水、空気等が噴射されており、衛生上問題となる血液や細菌等は、当該先端部には、付着し難い。一方、シリンジチップ2の側面部は、治療時口内にあって、治療によって口内に拡散した血液や細菌等が付着し易い。
【0039】
したがって、カバー体1を当該先端部から所定間隙hだけ残して装着することにより、この噴射口2w,2aから各種噴射物が噴射する際に装着されたカバー体1が当該噴射の勢いにより外れてしまうことを防止しつつ、シリンジチップ2自体(主にシリンジチップ2の側面)に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップ2の滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。
【0040】
なお、本実施の形態においては、このカバー体1の材質として紙製のカバー体1をもとに説明したが、プラスチック製のシリンジチップ2よりも安価に制作できるものであればよく、例えば、ポリプロピレン、ラテックスゴム、またはこれらを組み合わせて形成される複合体等により形成してもよい。
【0041】
また、シリンジの用途は、水/空気/霧が切替えられる3ウェイシリンジに特に限定されるものではなく、水、空気、霧のそれぞれが単独で噴射されるシリンジ、レジン塗布用のシリンジ等、いずれの歯科治療用シリンジのためのノズル状のシリンジチップにも適用可能である。また、吸引用のバキューム管およびそのためのチップ等の用途にも適用可能である。
【0042】
【発明の効果】
本発明に係る歯科治療用シリンジのカバー体および歯科治療用シリンジによれば、カバー体をシリンジチップに被覆することにより、シリンジチップ自体に血液等が付着するのを防止することができ、シリンジチップの滅菌処理の手間を大幅に削減することができる。また、カバー体を使い捨てることによって、衛生的にも清潔で、また、視覚的にも患者に安心感を与えることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施の形態における歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。
【図2】図1のカバー体の製造方法を示す図である。
【図3】従来の歯科治療用3ウェイシリンジを示す概略図である。
【符号の説明】
1 カバー体
2 シリンジチップ
3 シリンジ本体
10 紙片
1a 蛇腹部
h 間隔
Claims (5)
- 歯科治療用シリンジのシリンジ本体に取り付けられた口内挿入用のシリンジチップを被覆可能な、少なくとも一部が可撓性を有する管状体であることを特徴とする歯科治療用シリンジのカバー体。
- 耐水性を有する紙により形成されることを特徴とする請求項1記載の歯科治療用シリンジのカバー体。
- 一端部が蛇腹状に形成されて前記可撓性を有することを特徴とする請求項1または2記載の歯科治療用シリンジのカバー体。
- 請求項1〜3のいずれかに記載の歯科治療用シリンジのカバー体が口内挿入用のシリンジチップに装着されたことを特徴とする歯科治療用シリンジ。
- 前記カバー体は、前記シリンジチップにおける口内挿入側の先端部より所定間隔だけ残して装着されることを特徴とする請求項4記載の歯科治療用シリンジ。
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JP2002371508A JP2004201742A (ja) | 2002-12-24 | 2002-12-24 | 歯科治療用シリンジのカバー体および歯科治療用シリンジ |
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ID=32810373
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Country | Link |
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JP (1) | JP2004201742A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
KR200476592Y1 (ko) * | 2014-03-04 | 2015-03-12 | 서문원 | 치과용 3-웨이 시린지 |
-
2002
- 2002-12-24 JP JP2002371508A patent/JP2004201742A/ja not_active Withdrawn
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