JP2004201535A - 保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法、並びに該方法に使用する発酵済み醸造食品の殺菌処理装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】保存性に優れ、かつ香味の優れた醸造食品を製造すること。
【解決手段】保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備する方法。
【選択図】 なし
【解決手段】保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備する方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存性に優れ、かつ香味の優れた醸造食品の製造方法に関する。とりわけ、本発明の方法は、保存性および香味の優れた醸造酒の製造に利用することができる。また本発明は、前記方法に使用する発酵済み醸造食品の殺菌処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、カビ、バクテリア、酵母などの発酵菌を利用して酒、醤油等の醸造食品が製造されている。一般に出来たての醸造食品は、その香味において優れているが、発酵菌や腐敗菌が生存混在しているので、長期間の貯蔵にて変質劣化する。そのため、一般に醸造食品は、発酵直後に発酵菌や腐敗菌を加熱殺菌し、長期保存性を高めている。
【0003】
ここでは醸造食品の代表例として日本酒を挙げ、以下、一般的な製造方法を説明する。まず、蒸した米に麹を混合し、麹菌の酵素によりでんぷん質を糖分に変える。さらに酵母を加えて発酵させ、糖分をアルコールに変化させる。この麹、蒸し米、酵母、水の混合物をもろみと称する。温度と時間の適正な管理の後、発酵を終えたもろみを、圧搾機で搾り、酒と酒粕に分ける。この段階の搾りたての新酒に一切の加熱処理を施さないで蔵出しする酒を生酒(なまざけ)と呼ぶ。生酒は、芳醇な香味が特徴であるが、発酵菌や火落菌(ひおちきん)と称する腐敗菌が生存する。そのため時間が経つにつれて酒の中の糖分、蛋白質等が分解され、甘味が増加して甘だれになったり、不快なムレ香が生じる。この対策に、従来から、摂氏60℃程度の火入れと称する加熱殺菌を行って発酵菌や火落菌の活動を止め、酒質を安定化させている。これが普通酒と呼ばれる酒である。しかし、このように加熱殺菌処理を施した普通酒は、いわゆる「燗冷まし」の状態となっており、出来たての生酒に美味芳醇の点で劣る。
【0004】
日本酒に限らず、醸造食品一般において、その保存性を高めるために加熱処理は行われており、この加熱処理の影響で、醸造食品が本来出来たて直後に有している香味は損なわれてしまう。
【0005】
特に、醸造食品の中でも日本酒、ビール等の醸造酒は、その香味が重視され、消費者の香味に対する要望は強く、現在、加熱処理を施さない香味の優れた生酒、生ビールが人気となっている。しかし、これら加熱処理を施さない醸造酒は、その保存性に問題を有している。
【0006】
近年、この保存性の問題を解決するために、醸造酒中に混在している発酵菌や腐敗菌をフィルター処理で除去する技術が開発された。この技術は、醸造酒に加熱殺菌を施す代わりに、高精密ろ過機を用いて発酵菌や腐敗菌を機械的に除去するものである。この技術により、生酒等の醸造酒の美味芳醇な期間の大幅な延長が可能となった。しかし、高精密ろ過機による除菌は、100%の除菌効果が得られず、10数%の生菌および活性酵素が残存している。従って、未処理の生酒等の醸造酒と比べてその芳醇な期間が延長可能であったとしても、いずれ時間とともに劣化する。そのため、酒造メーカーでは、高精密ろ過方式の醸造酒の冷暗所保存や短期消費を推奨しているのが現状である。
【0007】
したがって、醸造酒に関していえば、消費者は、保存性に問題を有する、時間的に経過した変質過程にあるものを飲むか、加熱処理を施した、出来たて本来の香味が損なわれたものを飲まざるを得ない状況にある。すなわち、現在消費者は、出来たての美味芳醇な生酒等の醸造酒をいつでも飲める状況にはない。
【0008】
また、品質管理の観点からみると、不適当な保存条件のため、仕込んだ酒が腐敗し、製造業者の事業業績に重大な影響を与えた事例は多い。とりわけ、美味芳醇を誇る生酒は生菌が残留しているのでその危険性は大きく、貯蔵、瓶詰め、蔵出し、輸送、保管に特別厳密な管理条件が求められる。また同様の原因から、とりわけ生酒は、同一商品名でありながら、出荷ロットごとに違った香味をもった酒となる不安定要素を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に記載のとおり、現在の醸造食品は、以下の問題点を有している。
▲1▼保存性を高めるために加熱処理を施した醸造食品は、はじめから香味が損なわれている。
▲2▼加熱処理を施さない醸造食品は、保存すると、生菌の残留によりできたて当初の香味を失う。
▲3▼加熱処理を施さない醸造食品は、生菌の残留により出荷ロットごとに香味にばらつきがある。
▲4▼醸造食品に高精密ろ過による処理を施しても、生菌が残存し、その香味は緩慢に劣化する。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するために為されたものであり、本発明は、加熱処理を施した醸造食品の味覚的劣性と、加熱処理を施さない醸造食品の難保存性の両問題を解決することを目的とする。すなわち本発明は、保存性に優れ、かつ香味の優れた醸造食品を製造することを目的とする。とりわけ、本発明は、生酒の有する美味芳醇性と普通酒の長期保存性を兼ね備えた醸造酒を製造することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を提供する。
(1)保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
(2)保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に低温で紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
(3)発酵済み醸造食品を殺菌処理するための装置であって、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部と導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部とを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンクと、
前記タンク内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部を備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段と、
前記タンクの側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段と、
前記紫外線照射強度測定手段から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部を制御するためのコントローラーと
を具備することを特徴とする装置。
(4)保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、(3)に記載の殺菌処理装置を用いて、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
(5)前記醸造食品が、醸造酒であることを特徴とする(1)、(2)または(4)に記載の醸造食品の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の方法で用いる紫外線殺菌について説明する。
紫外線による殺菌の原理は、菌(細菌;酵母、黴等の真菌;ウイルスを含む)のDNAに吸収された紫外線が、DNAの塩基構造に変化を起こし、菌の活動を停止させて殺菌するものである。紫外線は光の一種であり、100乃至380nmの波長領域をもつものをいう。このうち、殺菌にもっとも効果的な波長は、250乃至260nmであることが知られている。本発明においても、この効果的な波長を有する紫外線を利用することが好ましい。参考のため、図1に、光の波長と殺菌効果との関係を示す。
【0013】
[醸造食品の製造方法]
以下、本発明の醸造食品の製造方法について説明する。以下、本発明を醸造酒を例に説明するが、本発明の方法は、任意の醸造食品に適用可能なものであり、特定の醸造食品に限定されるものではない。
【0014】
本発明の保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法は、発酵工程を終えた醸造食品に対して、従来行われていた加熱処理の代わりに、紫外線照射処理を施すことを特徴とする。紫外線照射処理は、醸造食品を収容するための容器と、該容器内に設置された、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射ランプとを備えた紫外線照射装置を用いて行うことができる。醸造食品に紫外線照射処理を施すことにより、発酵の停止と、醸造食品中に含まれる腐敗菌の殺菌を行うことができる。
【0015】
本発明において、紫外線照射量は、香味と保存性の両目的を達成するために、例えば以下の(1)〜(4)の要素を加味して決定する必要がある。
(1)殺菌の対象となる細菌、酵母、黴、ウイルス等の種類(各種の菌を殺菌するのに必要な紫外線照射量の参考値を表1および表2に示す)。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
(2)目標とする殺菌率(例えば99.9%、99.99%などの狙い値)。
(3)対象となる醸造食品の紫外線透過率(懸濁もしくは溶液の濃度、温度などの対象となる醸造食品の状態)。
(4)紫外線照射装置の構造(装置の形態、立体的寸法、水銀灯の種類と出力、発光スペクトル分布、醸造食品の導入量、流量など)。
【0019】
紫外線照射量とは、紫外線照度と照射時間の積で表される値をいう。
【0020】
本発明を醸造酒に適用する場合、紫外線照射量は、好ましくは3〜100mW・秒/cm2、より好ましくは15〜40mW・秒/cm2とすることができ、例えば、3〜10mW/cm2の照射強度で1〜10秒間照射することができる。紫外線照射量が3mW・秒/cm2以下では、紫外線照射による殺菌効果が充分に得られず、また、紫外線照射量が100mW・秒/cm2以上では、醸造酒の香味に悪影響を及ぼすため好ましくない(後述の実施例1および実施例2参照)。
【0021】
紫外線の照射波長は、上述のとおり、殺菌に効果的な波長とすることが好ましく、具体的には250乃至260nmとすることが好ましい(図1参照)。
【0022】
また本発明において紫外線照射は、低温で行うことが好ましい。具体的には、0〜10℃で行うことが好ましく、0〜5℃で行うことがより好ましい。醸造酒に対して、紫外線照射を照射時の温度を変えて比較した場合、同じ紫外線照射量の下では、低温時の方が醸造酒中の生菌数が少なく、不快香味物質量も少なくなる。このような低温における紫外線処理効果を模式的に図2に示す。図2より、低温時の方が、保存性および香味の優れた醸造食品を製造する際の、紫外線照射量の管理幅が大きいことが分かる。
【0023】
また、本発明において紫外線照射は、醸造食品を攪拌しながら行うことが好ましい。攪拌により、醸造食品全体に均一に紫外線を照射することができ、これにより高い殺菌率を得ることが可能となる。ただし、紫外線照射装置に醸造食品を導入し、照射後の醸造食品を排出する一連の流れのなかで、醸造食品が旋回しながら搬送される場合は、醸造食品に効率よく紫外線が照射されるため攪拌する必要はない。
【0024】
本発明に従って、醸造食品に対して加熱処理の代わりに紫外線照射処理を施すことにより、成分の変質、劣化、腐敗を防止することができるため、味覚的にも保存性にも優れた醸造食品を製造することができる。すなわち、本発明によれば、従来の加熱処理を施した醸造食品の味覚的劣性と、従来の加熱処理を施さない醸造食品の難保存性の両問題を解決することができる。とりわけ、本発明を醸造酒に適用すれば、生酒の有する美味芳醇性と普通酒の長期保存性を兼ね備えた醸造酒を製造することが可能となる。
【0025】
すなわち、「発明が解決しようとする課題」の欄に記載した、現在の醸造食品の有している問題点▲1▼〜▲4▼は、それぞれ以下の▲1▼〜▲4▼に記載のとおり、解決される。
▲1▼本発明の製造方法は加熱しないため、醸造食品の熱的変質がなく、香味が損なわれることはない。
▲2▼本発明の製造方法は加熱しないため、出来たての香味を保持し、紫外線照射により殺菌が行われているため長時間の保存に対して変質しない。
▲3▼本発明の製造方法は紫外線照射殺菌を行っているため、醸造食品の保存中に菌の活動がなく、任意時点の出荷ロットにばらつきがない。
▲4▼本発明の製造方法は紫外線照射殺菌を行っているため、不完全な高精密ろ過除菌と異なり完全に殺菌可能であり、長期保存中の変質がない。
【0026】
以上説明したとおり、本発明の醸造食品の方法は、発酵作用を利用してつくられるすべての醸造食品に適用可能なものである。
【0027】
例えば醤油は、日本酒などの醸造酒と異なる材料と条件でつくられるが、製造工程は類似している。醤油は、麹と原料の混合、仕込み、発酵・熟成、圧搾の後に、火入れ、瓶詰めの製造工程を経てつくられる。この火入れ工程を紫外線照射処理に変えることにより、醤油においても日本酒と同じ効果、すなわち優れた保存性と香味を獲得することができる。
【0028】
ただし、紫外線照射の対象である醤油の搾りたて原液は黒色溶液であるため、日本酒と比べて紫外線の透過度が低い。そのため、紫外線照射装置の構造と醤油の流量、紫外線照射出力の工夫が必要である。具体的には、紫外線照射効率を高めることが必要であり、紫外線発光源(紫外線照射ランプ)の近傍を醤油原液が流れるようにすることが好ましい。より具体的には、紫外線発光源から10mm以内の範囲を醤油原液が流れるようにすることが好ましい。
【0029】
その他、本発明の方法は、ビール、ワイン、焼酎、泡盛など任意の醸造酒、および任意の醸造食品、たとえば味噌、甘酒などに適用することができる。
【0030】
[発酵済み醸造食品の殺菌処理装置]
以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置について説明する。本装置は、上記醸造食品の製造方法において、発酵後の醸造食品に紫外線を照射する際に使用することができる。なお、本装置において処理される醸造食品は、本装置のタンク内に導入し、処理後に排出することが可能な流動性を有するものであり、好ましくは液体状態のものである。
【0031】
(第一の実施形態)
以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の一実施形態を、図3を参照しながら説明する。
【0032】
図3に示す本実施形態の殺菌処理装置は、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1と、
前記タンク1内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部2cを備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2と、
前記タンク1の側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段3と、
前記紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cを制御するためのコントローラー4と
を具備する。以下、本装置の各構成要件について順に説明する。
【0033】
本装置において、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1は、発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと、導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する。なお、図3は、発酵工程を終えた発酵済みの醸造食品5が、タンク1内に収容されている状態を示す。本発明において、タンク内の醸造食品5は、バッチ方式で順次、紫外線照射処理を行ってもよいし、醸造食品を導入部から排出部へと順次搬送しながら紫外線照射処理を連続して行ってもよい。
【0034】
タンク1の素材としては、ステンレス系、アルミニウム系、銅系、チタン系の金属や合金又はセラミックスを複合させたもの、あるいはプラスチック樹脂にステンレスの内張りを施したものやプラスチック樹脂に耐食性金属メッキを施したもの等が挙げられる。特にタンク1の素材としては、硬質合金が、耐紫外線照射性、耐圧性、耐蝕性の面から好ましい。タンク1は、紫外線照射手段2の保護管2aの壁からタンク外壁までの距離が5cm以下である円筒状の容器であることが好ましい。紫外線照射手段2の保護管2aの壁からタンク外壁までの距離が長いと紫外線照射効率が低下するため好ましくない。タンク1の容量は、例えば1〜20リットルとすることができる。
【0035】
図3に示す殺菌処理装置において、タンク1の導入部1aから発酵済みの醸造食品が導入されると、醸造食品はタンク1内で紫外線照射手段2に衝突しながら旋回流状態で乱流攪拌されるため、醸造食品の紫外線への暴露率は高く、高い殺菌性を得ることができる。このような場合、タンク1内の醸造食品を攪拌する攪拌手段を別途備えている必要はないが、醸造食品の紫外線への暴露率を高めるために、たとえば機械的振動や高圧気泡吹き込み等の攪拌手段を本装置が備えていてもよい。
【0036】
本装置において、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2は、タンク1内に設置され、紫外線照射ランプ2b、保護管2aおよび照射量制御部2cから構成される。紫外線照射手段2は、タンク1内の醸造食品全体に均一に紫外線を照射することが可能な位置に設置される必要がある。図3に示す装置では、紫外線照射手段2は、円筒状のタンク内中心部に1つ設置されている。このように本装置が、タンク内中心部に1つの紫外線照射手段を具備していてもよいし、複数個の紫外線照射手段を具備していてもよい。
【0037】
紫外線照射ランプ2bとしては、水銀およびアルゴン等が封入された直線棒状体タイプのものが用いられ、簡便には、市販の紫外線発光管を利用することができる。なかでも、250nm〜260nmの範囲で強力な殺菌線を発生するものが好ましい。とりわけ253.7nmの紫外線を発生するものが、細菌やウイルスのDNAに作用して生命維持と遺伝情報の活動を停止させ、死滅させる効果が高いため有効である。
【0038】
本装置は、紫外線照射ランプ2bを、図示するとおり、円筒状の保護管2aにより完全に隔離することが必要である。保護管2aは、紫外線照射ランプの放射する光を透過可能な材料、例えば珪土ガラス管、石英管等から構成される。
【0039】
紫外線照射ランプ2bの紫外線照射量(即ち、紫外線照度と照射時間の積で表される値)は、照射量制御部2cにより制御される。照射量制御部2cは、紫外線照射ランプ2bのオン・オフ、フィラメント電流(照射強度)、および点灯数(照射時間)を制御する。
【0040】
本装置において、紫外線照射強度測定手段3は、タンク1の側壁に、前記紫外線照射手段2に対向して貫設されている。紫外線照射強度測定手段3は、具体的には、醸造食品中に到達する紫外線の照射強度を測定する紫外線センサーであり得、例えば、防水耐圧構造を有する半導体紫外線センサーであり得る。紫外線照射強度測定手段3は、その測定値をコントローラー4に出力する。上述のとおり、醸造食品が醤油である場合、紫外線の透過度が低い。このような醸造食品において、醸造食品中に到達した紫外線の照射強度が低いことを、紫外線照射強度測定手段3は検出することができる。また、醸造食品中に到達した紫外線の照射強度が高いことを検出することができる。
【0041】
紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値をコントローラー4は受信し、これに基づいて、紫外線照射量(即ち、紫外線の照射強度および/または照射時間)を制御する信号を、紫外線照射手段2の照射量制御部2cに対して出力する。コントローラー4は、例えば、帰還回路付きSCR調光回路であり得る。
【0042】
このコントローラーは、後述の実施例で実証されるとおり、紫外線照射量が本発明の効果(醸造食品の保存性と香味)に直接的に影響を及ぼすという意味において重要である。すなわち、過剰な紫外線照射量が醸造食品の香味を損ない、不充分な紫外線照射量が醸造食品の保存性を満足しないという意味において、このコントローラーは、紫外線照射量の上限と下限をコントロールする必要がある上に、高精密性が要求される。このコントローラーの作用により、殺菌効果を得るために必要な紫外線照射量であって、醸造食品の風味を損なわない紫外線照射量を制御することが可能である。また、このコントローラーの作用により、必要以上の紫外線照射を行わないため、電力の消費を抑制できるとともに、紫外線照射ランプの寿命を延長することも可能である。
【0043】
本装置は、更に、タンク1内に収容された醸造食品を、紫外線照射時に冷却することが可能な冷却手段を具備していることが好ましい。例えば、一つの方法として、殺菌処理タンク1にコイル状金属管を装備して、該金属管内に冷媒を通してタンク1内の醸造食品を冷却する。ここでコイル状金属管は、図4(a)、(b)に符号10で示すとおり、タンク1の内部、外部の何れに設置されていてもよい。本装置においてコイル状金属管は、熱伝導が好ましい構造であれば冷却の目的を達する。図4(a)においてコイル状金属管10は、醸造食品を収容するタンク空間内をコイル状に巻いて存在し、図4(b)においては、タンク1の外壁をコイル状に巻きついて存在する。図4(a)、(b)ともに、冷媒を、コイル状金属管10の冷媒入口10aから冷媒出口10bへと通すことにより、タンク内の醸造食品を冷却する。また、他の方法として、処理すべき発酵食品自体を事前に冷却して、殺菌処理タンク1に注入してもよい。この方法は、照射時間が比較的短い処理に適する。
【0044】
(第二の実施形態)
更に、本発明の装置は、上述の第一の実施形態の装置に加えて、タンク1内に導入される醸造食品の流量を制御する流量制御手段を、導入部1aに具備していてもよい。
【0045】
本発明の殺菌処理装置が、上述の第一の実施形態の装置に加えて、流量制御手段を更に具備する実施形態を図5に示す。以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の一実施形態を、図5を参照しながら説明する。
【0046】
図5に示す本実施形態の殺菌処理装置は、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1と、
前記タンク1内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部2cを備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2と、
前記タンク1の側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段3と、
前記導入部1aに設置された、前記タンク1に導入される醸造食品の流量を制御するための流量制御手段6と、
前記紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cおよび/または前記流量制御手段6を制御するためのコントローラー4と
を具備する。
【0047】
図5に示す装置は、流量制御手段6を更に具備している点を除いて、図3に示す装置と同様である。図5に示す装置において、導入部1aからタンク1内に導入される醸造食品の流量は、流量制御手段6により制御される。流量制御手段6は、具体的には、流量制御バルブであり得、例えばコントローラにより制御可能な玉形弁、タイヤフラム弁、仕切弁、バタフライ弁、ボール弁が挙げられる。
【0048】
この流量制御手段6は、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値に基づいて、コントローラー4を介して制御される。また、照射量制御部2cは、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値に基づいて、コントローラー4を介して制御される。例えば、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値が低く、醸造食品に対して所望の殺菌率を得ることができない場合、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を増大させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を減らす。一方、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値が高く、醸造食品の香味が損なわれる場合、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を減少させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を増大させる。
【0049】
このように本発明の装置が、流量制御手段6を具備することにより、タンク内への醸造食品の導入速度が制御される。これにより、照射量制御部2cで紫外線照射量を直接制御することに加えて、紫外線照射量を更に精密に制御することが可能となる。とりわけ、照射量制御部2cで所望の紫外線照射量を制御できない場合に、流量制御手段6の果たす紫外線照射量制御の役割は大きい。
【0050】
(第三の実施形態)
更に、本発明の装置は、上述の第二の実施形態の装置に加えて、タンク1に導入される醸造食品の流量もしくはタンク1から排出される流量を測定する流量測定手段を、タンク1の導入部1aもしくは排出部1bの何れか一方に具備していてもよい。
【0051】
本発明の殺菌処理装置が、上述の第二の実施形態に加えて、流量測定手段を更に具備する実施形態を図6に示す。以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の一実施形態を、図6を参照しながら説明する。
【0052】
図6に示す本実施形態の殺菌処理装置は、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1と、
前記タンク1内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部2cを備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2と、
前記タンク1の側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段3と、
前記導入部1aに設置された、前記タンク1に導入される醸造食品の流量を制御するための流量制御手段6と、
前記導入部1aもしくは前記排出部1bの何れか一方に設置された、前記タンク1に導入される醸造食品の流量もしくは前記タンク1から排出される流量を測定する流量測定手段7と、
前記紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cおよび/または前記流量制御手段6を制御し、かつ前記流量測定手段7から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cおよび/または前記流量制御手段6を制御するためのコントローラー4と
を具備する。
【0053】
図6に示す装置は、流量測定手段7を更に具備している点を除いて、図5に示す装置と同様である。図6に示す装置において、流量測定手段7は、タンク1に導入される流量もしくはタンク1から排出される流量を測定する。これにより、タンクに導入される醸造食品の導入速度を測定することができる。流量測定手段7としては、電磁式や超音波式もしくは機械式等の流量センサーを用いることができる。流量測定手段7は、タンク1の上流側である導入部1aもしくは下流側である排出部1bの何れかに設置される。流量測定手段7は、下流側に設置されると制御が容易になるため好ましく、図6は下流側に設置された好ましい実施形態を示す。
【0054】
本実施形態においては、流量測定手段7から得られる測定値に基づいて、照射量制御部2cおよび/または流量制御手段6を制御するとともに、紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、照射量制御部2cおよび/または流量制御手段6を制御する。例えば、流量測定手段7により測定される流量の値が、所定の流量値より高くなった場合、醸造食品に対して所望の殺菌率を得ることができないため、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を増大させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を減らす。一方、流量測定手段7により測定される流量の値が、所定の流量値より低くなった場合、醸造食品に紫外線が照射される時間が長くなり香味が損なわれるため、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を減少させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を増大させる。また、本実施形態では、流量測定手段7による制御が行われるとともに、紫外線照射強度測定手段3による紫外線照射量の制御および/または醸造食品導入量の制御があわせて行われる。なお、紫外線照射強度測定手段3による制御は、上述の第二の実施形態の説明を参照されたい。
【0055】
このように本発明の装置が、流量測定手段7を具備し、タンク内に導入される醸造食品の導入速度をモニターすることにより、殺菌効果を得ることができないほど速い導入速度で醸造食品がタンク内に導入される場合を検出することができる。また、過剰な紫外線照射量を与え、香味を劣化させるほど遅い導入速度で醸造食品がタンク内に導入される場合も検出することができる。これにより、特に醸造食品を連続してタンク内に搬送し連続して紫外線照射処理を行う場合に、適切な速度で醸造食品をタンク内に搬送し続けることが可能となる。
【0056】
[醸造食品の製造方法(好ましい態様)]
本発明の醸造食品の製造方法において、紫外線照射処理は、上述の本発明の殺菌処理装置を用いて行うことが好ましい。本発明の殺菌処理装置を用いて紫外線照射処理を行うことにより、紫外線照射量の制御操作が簡便となる。これにより、殺菌処理される醸造食品の種類に応じて、その保存性および香味を満足する適切な紫外線照射量を再現性よく設定することが可能となる。本発明において紫外線の照射不足は、食品の安全性に影響を及ぼし、紫外線の照射過剰はその風味に影響を及ぼすこととなるため、紫外線照射量の制御は重要な意味を有する。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例について記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]
本実施例では、日本酒(火入れ処理を施していない品)に紫外線を照射し、香味および殺菌効果が経時的にどのように変化するか調べた。
【0059】
日本酒の発酵済みのもろみを圧搾機にかけてろ過し、これをアルコール度15%になるように水で希釈して被検体とした。被検体を各2000mLの4群に分割し、図7に示す紫外線殺菌処理装置に入れた。被検体に照射する紫外線照射時間を変えて、発酵の停止と殺菌を目的とする実験を行った。
【0060】
紫外線の照射波長は254nm、紫外線照度は5mW/cm2とした。照射時の被検体の温度は18℃であった。なお室温は25℃であった。
【0061】
4被検体に照射する紫外線照射時間を次に示す。
第1群:被検体に紫外線照射しないもの。
第2群:被検体に紫外線を6秒間照射したもの。
第3群:被検体に紫外線を12秒間照射したもの。
第4群:被検体に紫外線を18秒間照射したもの。
【0062】
上述の紫外線処理を施した各群の被検体を、摂氏25℃の室温に置き、香味と白濁の経時変化を追跡した。香味と白濁の評価は、特定の5名で行った。3ヶ月にわたる放置実験で次の評価結果を得た。概要は以下のとおりである。
第1群:1ヶ月経過後から香味が落ちた。3ヶ月経過後に白濁がみられた。
第2群:2ヶ月、3ヶ月経過後においても香味の経時変化、白濁ともにみられなかった。
第3群:2ヶ月、3ヶ月経過後においても香味の経時変化、白濁ともにみられなかった。
第4群:2ヶ月、3ヶ月経過後においても香味の経時変化、白濁ともにみられなかった。
【0063】
以上の実験結果は、紫外線殺菌照射の照射量が無い場合には、経時劣化、腐敗、白濁があることを示している。また、ある値以上の照射量があれば、経時劣化、腐敗、白濁がないことを示している。また、紫外線照射した群、すなわち第2群、第3群、第4群は、上述の実験結果を通して、生酒の造りたての香味を持続した。
【0064】
以上のことから「日本酒の発酵停止および殺菌は、従来の火入れ加熱殺菌に代わって紫外線殺菌が有効かつ有利であること」が明らかになった。
【0065】
[実施例2]
本実施例では、日本酒(火入れ処理を施していない清酒およびにごり酒)に紫外線を照射し、照射後に味及び香りがどのように変化するか調べた。
【0066】
日本酒の発酵済みのもろみを圧搾機にかけてろ過し、これをアルコール度15%になるように水で希釈して被検体(清酒)とした。被検体を各2000mLの5群に分割し、図8に示す紫外線殺菌処理装置に入れた。被検体に照射する紫外線照射時間を変えて、発酵の停止と殺菌を目的とする実験を行った。
【0067】
紫外線の照射波長は254nm、紫外線照度は5mW/cm2とした。照射時の被検体の温度は11℃であった。なお室温は16℃であった。紫外線センサー3’が検出する紫外線照射強度は2.5mW/cm2であった。
【0068】
5被検体に照射する紫外線照射時間を次に示す。
第1群:被検体に紫外線照射しないもの。
第2群:被検体に紫外線を6秒間照射したもの。
第3群:被検体に紫外線を30秒間照射したもの。
第4群:被検体に紫外線を60秒間照射したもの。
第5群:被検体に紫外線を300秒間照射したもの。
【0069】
清酒についての味および香りの結果は以下のとおりである。
【0070】
【表3】
【0071】
表3の結果より、紫外線照射時間の短いものの方がすっきりした味になることが分かる。
【0072】
一方、ろ過しないものを被検体(にごり酒)とし、同様の実験を行った。にごり酒については、被検体を各2000mLの4群に分割し、図8に示す紫外線殺菌処理装置に入れた。被検体に照射する紫外線照射時間を変えて、発酵の停止と殺菌を目的とする実験を行った。
【0073】
紫外線の照射波長は254nm、紫外線照度は5mW/cm2とした。照射時の被検体の温度は11.8℃であった。なお室温は18℃であった。紫外線センサー3’が検出する紫外線照射強度は2mW/cm2であった。
【0074】
4被検体に照射する紫外線照射時間を次に示す。
第1群:被検体に紫外線照射しないもの。
第2群:被検体に紫外線を60秒間照射したもの。
第3群:被検体に紫外線を120秒間照射したもの。
第4群:被検体に紫外線を180秒間照射したもの。
【0075】
にごり酒についての結果は以下のとおりである。
第1〜第4群は何れも味においてはそれほど変らなかった。香においては120秒間照射したものは少し焦げ臭があり、180秒間照射したものは許されないこげ臭があったが、60秒間照射したものにはこのような焦げ臭はなかった。
【0076】
以上の実験結果は、紫外線照射時間が、日本酒の味および香に影響を及ぼすことを示している。長時間の紫外線照射は、清酒に関しては、味および香りともに重く強く好ましくないものにし、にごり酒に関しては香を損なう結果となった。
【0077】
実施例1の結果より、醸造酒の保存性を満足させるためには、所定の値以上の紫外線照射量が必要であることが分かり、実施例2の結果より、醸造酒の香味を好ましいものとするためには、所定の値以下の紫外線照射量とする必要があることが分かる。以上の結果より、醸造酒の香味と保存性の両方を満足させる紫外線照射量の制御が重要であることが分かる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の醸造食品の製造方法に従って紫外線による殺菌処理を行うことにより、香味および保存性に優れた醸造食品を製造することができる。また、紫外線照射強度測定手段および紫外線照射量を制御するコントローラーを備えた本発明の殺菌処理装置を用いて醸造食品を製造することにより、再現性よく、香味および保存性に優れた醸造食品を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光の波長と殺菌効果との関係を示す図。
【図2】低温における紫外線処理効果を示す図。
【図3】本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の第一の実施形態を示す図。
【図4】冷却手段を具備した本発明の殺菌処理装置を示す図。図4(a)は、冷却手段であるコイル状金属管をタンク内に具備する場合を示し、図4(b)は、冷却手段であるコイル状金属管をタンクの外側に具備する場合を示す。
【図5】本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の第二の実施形態を示す図。
【図6】本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の第三の実施形態を示す図。
【図7】実施例に使用した小型殺菌処理装置を示す図。
【図8】実施例に使用した紫外線センサー付き小型殺菌処理装置を示す図。
【符号の説明】
1…タンク、1a…導入部、1b…排出部、
1’…開閉式の蓋付き小型タンク、1c…開閉式の蓋、
2…紫外線照射手段、2a…保護管、2b…紫外線照射ランプ、2c…照射量制御部、
2d…紫外線照射ランプ保持具、
3…紫外線照射強度測定手段、
3’…紫外線センサー、
4…コントローラー、
5…発酵済みの醸造食品(被検体)、
6…流量制御手段、
7…流量測定手段、
8…支持台、
10…コイル状金属管、10a…冷媒入口、10b…冷媒出口
【発明の属する技術分野】
本発明は、保存性に優れ、かつ香味の優れた醸造食品の製造方法に関する。とりわけ、本発明の方法は、保存性および香味の優れた醸造酒の製造に利用することができる。また本発明は、前記方法に使用する発酵済み醸造食品の殺菌処理装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、カビ、バクテリア、酵母などの発酵菌を利用して酒、醤油等の醸造食品が製造されている。一般に出来たての醸造食品は、その香味において優れているが、発酵菌や腐敗菌が生存混在しているので、長期間の貯蔵にて変質劣化する。そのため、一般に醸造食品は、発酵直後に発酵菌や腐敗菌を加熱殺菌し、長期保存性を高めている。
【0003】
ここでは醸造食品の代表例として日本酒を挙げ、以下、一般的な製造方法を説明する。まず、蒸した米に麹を混合し、麹菌の酵素によりでんぷん質を糖分に変える。さらに酵母を加えて発酵させ、糖分をアルコールに変化させる。この麹、蒸し米、酵母、水の混合物をもろみと称する。温度と時間の適正な管理の後、発酵を終えたもろみを、圧搾機で搾り、酒と酒粕に分ける。この段階の搾りたての新酒に一切の加熱処理を施さないで蔵出しする酒を生酒(なまざけ)と呼ぶ。生酒は、芳醇な香味が特徴であるが、発酵菌や火落菌(ひおちきん)と称する腐敗菌が生存する。そのため時間が経つにつれて酒の中の糖分、蛋白質等が分解され、甘味が増加して甘だれになったり、不快なムレ香が生じる。この対策に、従来から、摂氏60℃程度の火入れと称する加熱殺菌を行って発酵菌や火落菌の活動を止め、酒質を安定化させている。これが普通酒と呼ばれる酒である。しかし、このように加熱殺菌処理を施した普通酒は、いわゆる「燗冷まし」の状態となっており、出来たての生酒に美味芳醇の点で劣る。
【0004】
日本酒に限らず、醸造食品一般において、その保存性を高めるために加熱処理は行われており、この加熱処理の影響で、醸造食品が本来出来たて直後に有している香味は損なわれてしまう。
【0005】
特に、醸造食品の中でも日本酒、ビール等の醸造酒は、その香味が重視され、消費者の香味に対する要望は強く、現在、加熱処理を施さない香味の優れた生酒、生ビールが人気となっている。しかし、これら加熱処理を施さない醸造酒は、その保存性に問題を有している。
【0006】
近年、この保存性の問題を解決するために、醸造酒中に混在している発酵菌や腐敗菌をフィルター処理で除去する技術が開発された。この技術は、醸造酒に加熱殺菌を施す代わりに、高精密ろ過機を用いて発酵菌や腐敗菌を機械的に除去するものである。この技術により、生酒等の醸造酒の美味芳醇な期間の大幅な延長が可能となった。しかし、高精密ろ過機による除菌は、100%の除菌効果が得られず、10数%の生菌および活性酵素が残存している。従って、未処理の生酒等の醸造酒と比べてその芳醇な期間が延長可能であったとしても、いずれ時間とともに劣化する。そのため、酒造メーカーでは、高精密ろ過方式の醸造酒の冷暗所保存や短期消費を推奨しているのが現状である。
【0007】
したがって、醸造酒に関していえば、消費者は、保存性に問題を有する、時間的に経過した変質過程にあるものを飲むか、加熱処理を施した、出来たて本来の香味が損なわれたものを飲まざるを得ない状況にある。すなわち、現在消費者は、出来たての美味芳醇な生酒等の醸造酒をいつでも飲める状況にはない。
【0008】
また、品質管理の観点からみると、不適当な保存条件のため、仕込んだ酒が腐敗し、製造業者の事業業績に重大な影響を与えた事例は多い。とりわけ、美味芳醇を誇る生酒は生菌が残留しているのでその危険性は大きく、貯蔵、瓶詰め、蔵出し、輸送、保管に特別厳密な管理条件が求められる。また同様の原因から、とりわけ生酒は、同一商品名でありながら、出荷ロットごとに違った香味をもった酒となる不安定要素を有している。
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術に記載のとおり、現在の醸造食品は、以下の問題点を有している。
▲1▼保存性を高めるために加熱処理を施した醸造食品は、はじめから香味が損なわれている。
▲2▼加熱処理を施さない醸造食品は、保存すると、生菌の残留によりできたて当初の香味を失う。
▲3▼加熱処理を施さない醸造食品は、生菌の残留により出荷ロットごとに香味にばらつきがある。
▲4▼醸造食品に高精密ろ過による処理を施しても、生菌が残存し、その香味は緩慢に劣化する。
【0010】
本発明は、このような問題点を解決するために為されたものであり、本発明は、加熱処理を施した醸造食品の味覚的劣性と、加熱処理を施さない醸造食品の難保存性の両問題を解決することを目的とする。すなわち本発明は、保存性に優れ、かつ香味の優れた醸造食品を製造することを目的とする。とりわけ、本発明は、生酒の有する美味芳醇性と普通酒の長期保存性を兼ね備えた醸造酒を製造することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため、本発明は、以下の手段を提供する。
(1)保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
(2)保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に低温で紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
(3)発酵済み醸造食品を殺菌処理するための装置であって、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部と導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部とを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンクと、
前記タンク内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部を備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段と、
前記タンクの側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段と、
前記紫外線照射強度測定手段から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部を制御するためのコントローラーと
を具備することを特徴とする装置。
(4)保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、(3)に記載の殺菌処理装置を用いて、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
(5)前記醸造食品が、醸造酒であることを特徴とする(1)、(2)または(4)に記載の醸造食品の製造方法。
【0012】
【発明の実施の形態】
まず、本発明の方法で用いる紫外線殺菌について説明する。
紫外線による殺菌の原理は、菌(細菌;酵母、黴等の真菌;ウイルスを含む)のDNAに吸収された紫外線が、DNAの塩基構造に変化を起こし、菌の活動を停止させて殺菌するものである。紫外線は光の一種であり、100乃至380nmの波長領域をもつものをいう。このうち、殺菌にもっとも効果的な波長は、250乃至260nmであることが知られている。本発明においても、この効果的な波長を有する紫外線を利用することが好ましい。参考のため、図1に、光の波長と殺菌効果との関係を示す。
【0013】
[醸造食品の製造方法]
以下、本発明の醸造食品の製造方法について説明する。以下、本発明を醸造酒を例に説明するが、本発明の方法は、任意の醸造食品に適用可能なものであり、特定の醸造食品に限定されるものではない。
【0014】
本発明の保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法は、発酵工程を終えた醸造食品に対して、従来行われていた加熱処理の代わりに、紫外線照射処理を施すことを特徴とする。紫外線照射処理は、醸造食品を収容するための容器と、該容器内に設置された、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射ランプとを備えた紫外線照射装置を用いて行うことができる。醸造食品に紫外線照射処理を施すことにより、発酵の停止と、醸造食品中に含まれる腐敗菌の殺菌を行うことができる。
【0015】
本発明において、紫外線照射量は、香味と保存性の両目的を達成するために、例えば以下の(1)〜(4)の要素を加味して決定する必要がある。
(1)殺菌の対象となる細菌、酵母、黴、ウイルス等の種類(各種の菌を殺菌するのに必要な紫外線照射量の参考値を表1および表2に示す)。
【0016】
【表1】
【0017】
【表2】
【0018】
(2)目標とする殺菌率(例えば99.9%、99.99%などの狙い値)。
(3)対象となる醸造食品の紫外線透過率(懸濁もしくは溶液の濃度、温度などの対象となる醸造食品の状態)。
(4)紫外線照射装置の構造(装置の形態、立体的寸法、水銀灯の種類と出力、発光スペクトル分布、醸造食品の導入量、流量など)。
【0019】
紫外線照射量とは、紫外線照度と照射時間の積で表される値をいう。
【0020】
本発明を醸造酒に適用する場合、紫外線照射量は、好ましくは3〜100mW・秒/cm2、より好ましくは15〜40mW・秒/cm2とすることができ、例えば、3〜10mW/cm2の照射強度で1〜10秒間照射することができる。紫外線照射量が3mW・秒/cm2以下では、紫外線照射による殺菌効果が充分に得られず、また、紫外線照射量が100mW・秒/cm2以上では、醸造酒の香味に悪影響を及ぼすため好ましくない(後述の実施例1および実施例2参照)。
【0021】
紫外線の照射波長は、上述のとおり、殺菌に効果的な波長とすることが好ましく、具体的には250乃至260nmとすることが好ましい(図1参照)。
【0022】
また本発明において紫外線照射は、低温で行うことが好ましい。具体的には、0〜10℃で行うことが好ましく、0〜5℃で行うことがより好ましい。醸造酒に対して、紫外線照射を照射時の温度を変えて比較した場合、同じ紫外線照射量の下では、低温時の方が醸造酒中の生菌数が少なく、不快香味物質量も少なくなる。このような低温における紫外線処理効果を模式的に図2に示す。図2より、低温時の方が、保存性および香味の優れた醸造食品を製造する際の、紫外線照射量の管理幅が大きいことが分かる。
【0023】
また、本発明において紫外線照射は、醸造食品を攪拌しながら行うことが好ましい。攪拌により、醸造食品全体に均一に紫外線を照射することができ、これにより高い殺菌率を得ることが可能となる。ただし、紫外線照射装置に醸造食品を導入し、照射後の醸造食品を排出する一連の流れのなかで、醸造食品が旋回しながら搬送される場合は、醸造食品に効率よく紫外線が照射されるため攪拌する必要はない。
【0024】
本発明に従って、醸造食品に対して加熱処理の代わりに紫外線照射処理を施すことにより、成分の変質、劣化、腐敗を防止することができるため、味覚的にも保存性にも優れた醸造食品を製造することができる。すなわち、本発明によれば、従来の加熱処理を施した醸造食品の味覚的劣性と、従来の加熱処理を施さない醸造食品の難保存性の両問題を解決することができる。とりわけ、本発明を醸造酒に適用すれば、生酒の有する美味芳醇性と普通酒の長期保存性を兼ね備えた醸造酒を製造することが可能となる。
【0025】
すなわち、「発明が解決しようとする課題」の欄に記載した、現在の醸造食品の有している問題点▲1▼〜▲4▼は、それぞれ以下の▲1▼〜▲4▼に記載のとおり、解決される。
▲1▼本発明の製造方法は加熱しないため、醸造食品の熱的変質がなく、香味が損なわれることはない。
▲2▼本発明の製造方法は加熱しないため、出来たての香味を保持し、紫外線照射により殺菌が行われているため長時間の保存に対して変質しない。
▲3▼本発明の製造方法は紫外線照射殺菌を行っているため、醸造食品の保存中に菌の活動がなく、任意時点の出荷ロットにばらつきがない。
▲4▼本発明の製造方法は紫外線照射殺菌を行っているため、不完全な高精密ろ過除菌と異なり完全に殺菌可能であり、長期保存中の変質がない。
【0026】
以上説明したとおり、本発明の醸造食品の方法は、発酵作用を利用してつくられるすべての醸造食品に適用可能なものである。
【0027】
例えば醤油は、日本酒などの醸造酒と異なる材料と条件でつくられるが、製造工程は類似している。醤油は、麹と原料の混合、仕込み、発酵・熟成、圧搾の後に、火入れ、瓶詰めの製造工程を経てつくられる。この火入れ工程を紫外線照射処理に変えることにより、醤油においても日本酒と同じ効果、すなわち優れた保存性と香味を獲得することができる。
【0028】
ただし、紫外線照射の対象である醤油の搾りたて原液は黒色溶液であるため、日本酒と比べて紫外線の透過度が低い。そのため、紫外線照射装置の構造と醤油の流量、紫外線照射出力の工夫が必要である。具体的には、紫外線照射効率を高めることが必要であり、紫外線発光源(紫外線照射ランプ)の近傍を醤油原液が流れるようにすることが好ましい。より具体的には、紫外線発光源から10mm以内の範囲を醤油原液が流れるようにすることが好ましい。
【0029】
その他、本発明の方法は、ビール、ワイン、焼酎、泡盛など任意の醸造酒、および任意の醸造食品、たとえば味噌、甘酒などに適用することができる。
【0030】
[発酵済み醸造食品の殺菌処理装置]
以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置について説明する。本装置は、上記醸造食品の製造方法において、発酵後の醸造食品に紫外線を照射する際に使用することができる。なお、本装置において処理される醸造食品は、本装置のタンク内に導入し、処理後に排出することが可能な流動性を有するものであり、好ましくは液体状態のものである。
【0031】
(第一の実施形態)
以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の一実施形態を、図3を参照しながら説明する。
【0032】
図3に示す本実施形態の殺菌処理装置は、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1と、
前記タンク1内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部2cを備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2と、
前記タンク1の側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段3と、
前記紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cを制御するためのコントローラー4と
を具備する。以下、本装置の各構成要件について順に説明する。
【0033】
本装置において、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1は、発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと、導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する。なお、図3は、発酵工程を終えた発酵済みの醸造食品5が、タンク1内に収容されている状態を示す。本発明において、タンク内の醸造食品5は、バッチ方式で順次、紫外線照射処理を行ってもよいし、醸造食品を導入部から排出部へと順次搬送しながら紫外線照射処理を連続して行ってもよい。
【0034】
タンク1の素材としては、ステンレス系、アルミニウム系、銅系、チタン系の金属や合金又はセラミックスを複合させたもの、あるいはプラスチック樹脂にステンレスの内張りを施したものやプラスチック樹脂に耐食性金属メッキを施したもの等が挙げられる。特にタンク1の素材としては、硬質合金が、耐紫外線照射性、耐圧性、耐蝕性の面から好ましい。タンク1は、紫外線照射手段2の保護管2aの壁からタンク外壁までの距離が5cm以下である円筒状の容器であることが好ましい。紫外線照射手段2の保護管2aの壁からタンク外壁までの距離が長いと紫外線照射効率が低下するため好ましくない。タンク1の容量は、例えば1〜20リットルとすることができる。
【0035】
図3に示す殺菌処理装置において、タンク1の導入部1aから発酵済みの醸造食品が導入されると、醸造食品はタンク1内で紫外線照射手段2に衝突しながら旋回流状態で乱流攪拌されるため、醸造食品の紫外線への暴露率は高く、高い殺菌性を得ることができる。このような場合、タンク1内の醸造食品を攪拌する攪拌手段を別途備えている必要はないが、醸造食品の紫外線への暴露率を高めるために、たとえば機械的振動や高圧気泡吹き込み等の攪拌手段を本装置が備えていてもよい。
【0036】
本装置において、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2は、タンク1内に設置され、紫外線照射ランプ2b、保護管2aおよび照射量制御部2cから構成される。紫外線照射手段2は、タンク1内の醸造食品全体に均一に紫外線を照射することが可能な位置に設置される必要がある。図3に示す装置では、紫外線照射手段2は、円筒状のタンク内中心部に1つ設置されている。このように本装置が、タンク内中心部に1つの紫外線照射手段を具備していてもよいし、複数個の紫外線照射手段を具備していてもよい。
【0037】
紫外線照射ランプ2bとしては、水銀およびアルゴン等が封入された直線棒状体タイプのものが用いられ、簡便には、市販の紫外線発光管を利用することができる。なかでも、250nm〜260nmの範囲で強力な殺菌線を発生するものが好ましい。とりわけ253.7nmの紫外線を発生するものが、細菌やウイルスのDNAに作用して生命維持と遺伝情報の活動を停止させ、死滅させる効果が高いため有効である。
【0038】
本装置は、紫外線照射ランプ2bを、図示するとおり、円筒状の保護管2aにより完全に隔離することが必要である。保護管2aは、紫外線照射ランプの放射する光を透過可能な材料、例えば珪土ガラス管、石英管等から構成される。
【0039】
紫外線照射ランプ2bの紫外線照射量(即ち、紫外線照度と照射時間の積で表される値)は、照射量制御部2cにより制御される。照射量制御部2cは、紫外線照射ランプ2bのオン・オフ、フィラメント電流(照射強度)、および点灯数(照射時間)を制御する。
【0040】
本装置において、紫外線照射強度測定手段3は、タンク1の側壁に、前記紫外線照射手段2に対向して貫設されている。紫外線照射強度測定手段3は、具体的には、醸造食品中に到達する紫外線の照射強度を測定する紫外線センサーであり得、例えば、防水耐圧構造を有する半導体紫外線センサーであり得る。紫外線照射強度測定手段3は、その測定値をコントローラー4に出力する。上述のとおり、醸造食品が醤油である場合、紫外線の透過度が低い。このような醸造食品において、醸造食品中に到達した紫外線の照射強度が低いことを、紫外線照射強度測定手段3は検出することができる。また、醸造食品中に到達した紫外線の照射強度が高いことを検出することができる。
【0041】
紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値をコントローラー4は受信し、これに基づいて、紫外線照射量(即ち、紫外線の照射強度および/または照射時間)を制御する信号を、紫外線照射手段2の照射量制御部2cに対して出力する。コントローラー4は、例えば、帰還回路付きSCR調光回路であり得る。
【0042】
このコントローラーは、後述の実施例で実証されるとおり、紫外線照射量が本発明の効果(醸造食品の保存性と香味)に直接的に影響を及ぼすという意味において重要である。すなわち、過剰な紫外線照射量が醸造食品の香味を損ない、不充分な紫外線照射量が醸造食品の保存性を満足しないという意味において、このコントローラーは、紫外線照射量の上限と下限をコントロールする必要がある上に、高精密性が要求される。このコントローラーの作用により、殺菌効果を得るために必要な紫外線照射量であって、醸造食品の風味を損なわない紫外線照射量を制御することが可能である。また、このコントローラーの作用により、必要以上の紫外線照射を行わないため、電力の消費を抑制できるとともに、紫外線照射ランプの寿命を延長することも可能である。
【0043】
本装置は、更に、タンク1内に収容された醸造食品を、紫外線照射時に冷却することが可能な冷却手段を具備していることが好ましい。例えば、一つの方法として、殺菌処理タンク1にコイル状金属管を装備して、該金属管内に冷媒を通してタンク1内の醸造食品を冷却する。ここでコイル状金属管は、図4(a)、(b)に符号10で示すとおり、タンク1の内部、外部の何れに設置されていてもよい。本装置においてコイル状金属管は、熱伝導が好ましい構造であれば冷却の目的を達する。図4(a)においてコイル状金属管10は、醸造食品を収容するタンク空間内をコイル状に巻いて存在し、図4(b)においては、タンク1の外壁をコイル状に巻きついて存在する。図4(a)、(b)ともに、冷媒を、コイル状金属管10の冷媒入口10aから冷媒出口10bへと通すことにより、タンク内の醸造食品を冷却する。また、他の方法として、処理すべき発酵食品自体を事前に冷却して、殺菌処理タンク1に注入してもよい。この方法は、照射時間が比較的短い処理に適する。
【0044】
(第二の実施形態)
更に、本発明の装置は、上述の第一の実施形態の装置に加えて、タンク1内に導入される醸造食品の流量を制御する流量制御手段を、導入部1aに具備していてもよい。
【0045】
本発明の殺菌処理装置が、上述の第一の実施形態の装置に加えて、流量制御手段を更に具備する実施形態を図5に示す。以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の一実施形態を、図5を参照しながら説明する。
【0046】
図5に示す本実施形態の殺菌処理装置は、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1と、
前記タンク1内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部2cを備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2と、
前記タンク1の側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段3と、
前記導入部1aに設置された、前記タンク1に導入される醸造食品の流量を制御するための流量制御手段6と、
前記紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cおよび/または前記流量制御手段6を制御するためのコントローラー4と
を具備する。
【0047】
図5に示す装置は、流量制御手段6を更に具備している点を除いて、図3に示す装置と同様である。図5に示す装置において、導入部1aからタンク1内に導入される醸造食品の流量は、流量制御手段6により制御される。流量制御手段6は、具体的には、流量制御バルブであり得、例えばコントローラにより制御可能な玉形弁、タイヤフラム弁、仕切弁、バタフライ弁、ボール弁が挙げられる。
【0048】
この流量制御手段6は、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値に基づいて、コントローラー4を介して制御される。また、照射量制御部2cは、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値に基づいて、コントローラー4を介して制御される。例えば、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値が低く、醸造食品に対して所望の殺菌率を得ることができない場合、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を増大させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を減らす。一方、紫外線照射強度測定手段3により測定される照射強度の値が高く、醸造食品の香味が損なわれる場合、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を減少させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を増大させる。
【0049】
このように本発明の装置が、流量制御手段6を具備することにより、タンク内への醸造食品の導入速度が制御される。これにより、照射量制御部2cで紫外線照射量を直接制御することに加えて、紫外線照射量を更に精密に制御することが可能となる。とりわけ、照射量制御部2cで所望の紫外線照射量を制御できない場合に、流量制御手段6の果たす紫外線照射量制御の役割は大きい。
【0050】
(第三の実施形態)
更に、本発明の装置は、上述の第二の実施形態の装置に加えて、タンク1に導入される醸造食品の流量もしくはタンク1から排出される流量を測定する流量測定手段を、タンク1の導入部1aもしくは排出部1bの何れか一方に具備していてもよい。
【0051】
本発明の殺菌処理装置が、上述の第二の実施形態に加えて、流量測定手段を更に具備する実施形態を図6に示す。以下、本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の一実施形態を、図6を参照しながら説明する。
【0052】
図6に示す本実施形態の殺菌処理装置は、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部1aと導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部1bとを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンク1と、
前記タンク1内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部2cを備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段2と、
前記タンク1の側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段3と、
前記導入部1aに設置された、前記タンク1に導入される醸造食品の流量を制御するための流量制御手段6と、
前記導入部1aもしくは前記排出部1bの何れか一方に設置された、前記タンク1に導入される醸造食品の流量もしくは前記タンク1から排出される流量を測定する流量測定手段7と、
前記紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cおよび/または前記流量制御手段6を制御し、かつ前記流量測定手段7から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部2cおよび/または前記流量制御手段6を制御するためのコントローラー4と
を具備する。
【0053】
図6に示す装置は、流量測定手段7を更に具備している点を除いて、図5に示す装置と同様である。図6に示す装置において、流量測定手段7は、タンク1に導入される流量もしくはタンク1から排出される流量を測定する。これにより、タンクに導入される醸造食品の導入速度を測定することができる。流量測定手段7としては、電磁式や超音波式もしくは機械式等の流量センサーを用いることができる。流量測定手段7は、タンク1の上流側である導入部1aもしくは下流側である排出部1bの何れかに設置される。流量測定手段7は、下流側に設置されると制御が容易になるため好ましく、図6は下流側に設置された好ましい実施形態を示す。
【0054】
本実施形態においては、流量測定手段7から得られる測定値に基づいて、照射量制御部2cおよび/または流量制御手段6を制御するとともに、紫外線照射強度測定手段3から得られる測定値に基づいて、照射量制御部2cおよび/または流量制御手段6を制御する。例えば、流量測定手段7により測定される流量の値が、所定の流量値より高くなった場合、醸造食品に対して所望の殺菌率を得ることができないため、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を増大させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を減らす。一方、流量測定手段7により測定される流量の値が、所定の流量値より低くなった場合、醸造食品に紫外線が照射される時間が長くなり香味が損なわれるため、照射量制御部2cにおいて紫外線照射量を減少させ、および/または流量制御手段6においてタンク1内への醸造食品の導入量を増大させる。また、本実施形態では、流量測定手段7による制御が行われるとともに、紫外線照射強度測定手段3による紫外線照射量の制御および/または醸造食品導入量の制御があわせて行われる。なお、紫外線照射強度測定手段3による制御は、上述の第二の実施形態の説明を参照されたい。
【0055】
このように本発明の装置が、流量測定手段7を具備し、タンク内に導入される醸造食品の導入速度をモニターすることにより、殺菌効果を得ることができないほど速い導入速度で醸造食品がタンク内に導入される場合を検出することができる。また、過剰な紫外線照射量を与え、香味を劣化させるほど遅い導入速度で醸造食品がタンク内に導入される場合も検出することができる。これにより、特に醸造食品を連続してタンク内に搬送し連続して紫外線照射処理を行う場合に、適切な速度で醸造食品をタンク内に搬送し続けることが可能となる。
【0056】
[醸造食品の製造方法(好ましい態様)]
本発明の醸造食品の製造方法において、紫外線照射処理は、上述の本発明の殺菌処理装置を用いて行うことが好ましい。本発明の殺菌処理装置を用いて紫外線照射処理を行うことにより、紫外線照射量の制御操作が簡便となる。これにより、殺菌処理される醸造食品の種類に応じて、その保存性および香味を満足する適切な紫外線照射量を再現性よく設定することが可能となる。本発明において紫外線の照射不足は、食品の安全性に影響を及ぼし、紫外線の照射過剰はその風味に影響を及ぼすこととなるため、紫外線照射量の制御は重要な意味を有する。
【0057】
【実施例】
以下、本発明の実施例について記載するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0058】
[実施例1]
本実施例では、日本酒(火入れ処理を施していない品)に紫外線を照射し、香味および殺菌効果が経時的にどのように変化するか調べた。
【0059】
日本酒の発酵済みのもろみを圧搾機にかけてろ過し、これをアルコール度15%になるように水で希釈して被検体とした。被検体を各2000mLの4群に分割し、図7に示す紫外線殺菌処理装置に入れた。被検体に照射する紫外線照射時間を変えて、発酵の停止と殺菌を目的とする実験を行った。
【0060】
紫外線の照射波長は254nm、紫外線照度は5mW/cm2とした。照射時の被検体の温度は18℃であった。なお室温は25℃であった。
【0061】
4被検体に照射する紫外線照射時間を次に示す。
第1群:被検体に紫外線照射しないもの。
第2群:被検体に紫外線を6秒間照射したもの。
第3群:被検体に紫外線を12秒間照射したもの。
第4群:被検体に紫外線を18秒間照射したもの。
【0062】
上述の紫外線処理を施した各群の被検体を、摂氏25℃の室温に置き、香味と白濁の経時変化を追跡した。香味と白濁の評価は、特定の5名で行った。3ヶ月にわたる放置実験で次の評価結果を得た。概要は以下のとおりである。
第1群:1ヶ月経過後から香味が落ちた。3ヶ月経過後に白濁がみられた。
第2群:2ヶ月、3ヶ月経過後においても香味の経時変化、白濁ともにみられなかった。
第3群:2ヶ月、3ヶ月経過後においても香味の経時変化、白濁ともにみられなかった。
第4群:2ヶ月、3ヶ月経過後においても香味の経時変化、白濁ともにみられなかった。
【0063】
以上の実験結果は、紫外線殺菌照射の照射量が無い場合には、経時劣化、腐敗、白濁があることを示している。また、ある値以上の照射量があれば、経時劣化、腐敗、白濁がないことを示している。また、紫外線照射した群、すなわち第2群、第3群、第4群は、上述の実験結果を通して、生酒の造りたての香味を持続した。
【0064】
以上のことから「日本酒の発酵停止および殺菌は、従来の火入れ加熱殺菌に代わって紫外線殺菌が有効かつ有利であること」が明らかになった。
【0065】
[実施例2]
本実施例では、日本酒(火入れ処理を施していない清酒およびにごり酒)に紫外線を照射し、照射後に味及び香りがどのように変化するか調べた。
【0066】
日本酒の発酵済みのもろみを圧搾機にかけてろ過し、これをアルコール度15%になるように水で希釈して被検体(清酒)とした。被検体を各2000mLの5群に分割し、図8に示す紫外線殺菌処理装置に入れた。被検体に照射する紫外線照射時間を変えて、発酵の停止と殺菌を目的とする実験を行った。
【0067】
紫外線の照射波長は254nm、紫外線照度は5mW/cm2とした。照射時の被検体の温度は11℃であった。なお室温は16℃であった。紫外線センサー3’が検出する紫外線照射強度は2.5mW/cm2であった。
【0068】
5被検体に照射する紫外線照射時間を次に示す。
第1群:被検体に紫外線照射しないもの。
第2群:被検体に紫外線を6秒間照射したもの。
第3群:被検体に紫外線を30秒間照射したもの。
第4群:被検体に紫外線を60秒間照射したもの。
第5群:被検体に紫外線を300秒間照射したもの。
【0069】
清酒についての味および香りの結果は以下のとおりである。
【0070】
【表3】
【0071】
表3の結果より、紫外線照射時間の短いものの方がすっきりした味になることが分かる。
【0072】
一方、ろ過しないものを被検体(にごり酒)とし、同様の実験を行った。にごり酒については、被検体を各2000mLの4群に分割し、図8に示す紫外線殺菌処理装置に入れた。被検体に照射する紫外線照射時間を変えて、発酵の停止と殺菌を目的とする実験を行った。
【0073】
紫外線の照射波長は254nm、紫外線照度は5mW/cm2とした。照射時の被検体の温度は11.8℃であった。なお室温は18℃であった。紫外線センサー3’が検出する紫外線照射強度は2mW/cm2であった。
【0074】
4被検体に照射する紫外線照射時間を次に示す。
第1群:被検体に紫外線照射しないもの。
第2群:被検体に紫外線を60秒間照射したもの。
第3群:被検体に紫外線を120秒間照射したもの。
第4群:被検体に紫外線を180秒間照射したもの。
【0075】
にごり酒についての結果は以下のとおりである。
第1〜第4群は何れも味においてはそれほど変らなかった。香においては120秒間照射したものは少し焦げ臭があり、180秒間照射したものは許されないこげ臭があったが、60秒間照射したものにはこのような焦げ臭はなかった。
【0076】
以上の実験結果は、紫外線照射時間が、日本酒の味および香に影響を及ぼすことを示している。長時間の紫外線照射は、清酒に関しては、味および香りともに重く強く好ましくないものにし、にごり酒に関しては香を損なう結果となった。
【0077】
実施例1の結果より、醸造酒の保存性を満足させるためには、所定の値以上の紫外線照射量が必要であることが分かり、実施例2の結果より、醸造酒の香味を好ましいものとするためには、所定の値以下の紫外線照射量とする必要があることが分かる。以上の結果より、醸造酒の香味と保存性の両方を満足させる紫外線照射量の制御が重要であることが分かる。
【0078】
【発明の効果】
以上説明したとおり、本発明の醸造食品の製造方法に従って紫外線による殺菌処理を行うことにより、香味および保存性に優れた醸造食品を製造することができる。また、紫外線照射強度測定手段および紫外線照射量を制御するコントローラーを備えた本発明の殺菌処理装置を用いて醸造食品を製造することにより、再現性よく、香味および保存性に優れた醸造食品を製造することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】光の波長と殺菌効果との関係を示す図。
【図2】低温における紫外線処理効果を示す図。
【図3】本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の第一の実施形態を示す図。
【図4】冷却手段を具備した本発明の殺菌処理装置を示す図。図4(a)は、冷却手段であるコイル状金属管をタンク内に具備する場合を示し、図4(b)は、冷却手段であるコイル状金属管をタンクの外側に具備する場合を示す。
【図5】本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の第二の実施形態を示す図。
【図6】本発明の発酵済み醸造食品の殺菌処理装置の第三の実施形態を示す図。
【図7】実施例に使用した小型殺菌処理装置を示す図。
【図8】実施例に使用した紫外線センサー付き小型殺菌処理装置を示す図。
【符号の説明】
1…タンク、1a…導入部、1b…排出部、
1’…開閉式の蓋付き小型タンク、1c…開閉式の蓋、
2…紫外線照射手段、2a…保護管、2b…紫外線照射ランプ、2c…照射量制御部、
2d…紫外線照射ランプ保持具、
3…紫外線照射強度測定手段、
3’…紫外線センサー、
4…コントローラー、
5…発酵済みの醸造食品(被検体)、
6…流量制御手段、
7…流量測定手段、
8…支持台、
10…コイル状金属管、10a…冷媒入口、10b…冷媒出口
Claims (5)
- 保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
- 保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、発酵工程を終えた醸造食品に低温で紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
- 発酵済み醸造食品を殺菌処理するための装置であって、
発酵工程を終えた醸造食品を導入するための導入部と導入された醸造食品を殺菌処理後に排出するための排出部とを有する、殺菌処理される醸造食品を収容するためのタンクと、
前記タンク内に設置され、かつ紫外線照射量を制御する照射量制御部を備えた、醸造食品に紫外線を照射するための紫外線照射手段と、
前記タンクの側壁に設置された、醸造食品に到達した紫外線の照射強度を測定するための紫外線照射強度測定手段と、
前記紫外線照射強度測定手段から得られる測定値に基づいて、前記照射量制御部を制御するためのコントローラーと
を具備することを特徴とする装置。 - 保存性および香味の優れた醸造食品の製造方法であって、請求項3に記載の殺菌処理装置を用いて、発酵工程を終えた醸造食品に紫外線を照射する工程を具備することを特徴とする方法。
- 前記醸造食品が、醸造酒であることを特徴とする請求項1、2または4に記載の醸造食品の製造方法。
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