JP2004201407A - 同期機の磁石半減型ロータ - Google Patents
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Abstract
【課題】優れた出力特性をもつ同期機の磁石半減型ロータを提供すること。
【解決手段】磁石半減型ロータにおいて、永久磁石2により占有される第1極性の磁極部の占有角をθ1、鉄心部1により占有される第1極性の磁極部の占有角をθ2、第1極性の磁極部5と第2極性の磁極部6との間の境界領域7をすべて占有する空孔部4の占有角をθ0(=θnーθ1ーθ2)とした場合に、前記占有角θ2は前記占有角θ1の0.9〜1.1の範囲に設定される。これにより、ステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束を増大できる。
【選択図】図1
【解決手段】磁石半減型ロータにおいて、永久磁石2により占有される第1極性の磁極部の占有角をθ1、鉄心部1により占有される第1極性の磁極部の占有角をθ2、第1極性の磁極部5と第2極性の磁極部6との間の境界領域7をすべて占有する空孔部4の占有角をθ0(=θnーθ1ーθ2)とした場合に、前記占有角θ2は前記占有角θ1の0.9〜1.1の範囲に設定される。これにより、ステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束を増大できる。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期機の磁石半減型ロータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石ロータを用いる永久磁石型同期機において、機械的強度特に高速回転時の遠心力に対する耐性が優れているために、ロータ鉄心部に永久磁石を埋設した磁石内蔵型モータ(IPM)が通常採用されている。
【0003】
IPMのロータの径方向断面例を図5に示す。図5において、1は軟鉄製のロータ鉄心部、2は永久磁石、3はロータ鉄心部1の外周面近傍に位置して設けた軸方向に貫設される磁石収容孔部、4は磁石収容孔部3の周方向両側に位置して軸方向に貫設される空孔部である。磁石収容孔部3の径方向外側の外周面部分には永久磁石2により第1極性(たとえばS極)の磁極部5と第2極性の磁極部6とが周方向交互に形成され、周方向に隣接する二つの永久磁石の間には境界部7が形成されている。したがって、2磁極ピッチθnは、磁極部5、6の占有角θと境界部7の占有角θ0との和の2倍となる。8は、空孔部4、4の間の鉄心部分である。
【0004】
また、下記の特許文献1は、この永久磁石ロータにおいて磁極数に対して永久磁石数を半減し、各永久磁石の磁極の径方向向きを同一とした磁石半減型ロータを提案している。この公報のロータの径方向断面を図6に示す。
【0005】
図6において、1は軟鉄製のロータ鉄心部、2は永久磁石、3はロータ鉄心部1の外周面近傍に位置して設けた軸方向に貫設される磁石収容孔部、4は磁石収容孔部3の周方向両側に位置して軸方向に貫設される空孔部である。磁石収容孔部3の径方向外側の外周面部分には永久磁石2により第1極性(たとえばS極)の磁極部5が形成され、周方向に隣接する任意の2つの空孔部4、4間の外周面部分には永久磁石2により第2極性(たとえばN極)の磁極部6が形成され、これら磁極部5、6の間には境界部7が形成されている。したがって、2磁極ピッチθnは、第1極性の磁極部5の占有角θ1と、第2極性の磁極部6の占有角θ2と、境界部7の占有角θ0との和となる。8は磁石収容孔部3と空孔部4との間の隙間をなす鉄心部分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した図5に示すごとき従来の永久磁石ロータでは、原理的に空孔部4、4の間の鉄心部分8を0とすることができず、特に高速回転タイプでは、この鉄心部分8の周方向幅を図5の低速タイプのものに比較して格段に大きく確保する必要があり、その結果としてこの部分を漏れる磁束によりロータ外周面からステータ側へ流れる有効磁束が減少し、発生トルクが減少するという問題があった。また、高速回転タイプでは、上記した鉄心部分8の周方向幅の増大により、磁石の周方向幅が小さくなり、これによっても有効磁束の減少とそれによるトルクの減少が生じてしまう。
【0007】
これに対して、図6に示した上記公報の磁石半減型ロータでは、鉄心部により構成される第2極性の磁極部6の存在により、優れた耐遠心性が得られるため、更に永久磁石の厚さを倍増できるため、高速タイプにおいて特に有利であり、高速化により回転電機の小型軽量化を期待することができる。
【0008】
しかしながら、図6に示す従来の磁石半減型ロータでは、空孔部4と磁石収容孔部3との間の境界部分に形成される鉄心部分8の間を流れる漏洩磁束により、図5の場合と同様に有効磁束が減少して発生トルクが減少するという問題、並びに、磁束漏洩により第2極性の磁極部6の磁束密度が第1極性の磁極部5のそれよりも小さくなってしまい、トルクリップルが生じるという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、優れた出力特性をもつ同期機の磁石半減型ロータを提供することをその目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の同期機の磁石半減型ロータは、軟鉄製の鉄心部と、前記鉄心部の外周面近傍に埋設されるk個の永久磁石とを有し、前記鉄心部は、角度θn(=360/k)のピッチで軸方向へ貫設されて前記永久磁石を個別に収容するk個の磁石収容孔部と、前記永久磁石を収容することなく前記各磁石収容孔部の周方向両側に位置して軸方向に貫設される2k個の空孔部と、前記磁石収容孔部の径方向外側の外周面部分により構成される第1極性の磁極部と、周方向に隣接する任意の2つの前記空孔部の間の外周面部分により構成される第2極性の磁極部とを有する同期機の磁石半減型ロータにおいて、
前記第1極性の磁極部の占有角をθ1、前記第2極性の磁極部の占有角をθ2、前記第1極性の磁極部と前記第2極性の磁極部との間の境界領域の占有角をθ0(=θnーθ1ーθ2)とした場合に、前記占有角θ2は前記占有角θ1の0.9〜1.1の範囲に設定されていることを特徴としている。
【0011】
実験結果によれば、このようにすることにより、ステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束を増大できることがわかった。
【0012】
好適な態様において、占有角θ0は、前記空孔部の占有角に等しく設定されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、この発明では、図6を参照して説明すれば第1極性の磁極部5と第2極性の磁極部6との間の境界領域7の占有角θ0一杯に空孔部4を形成し、空孔部4と磁石収容孔部3との間の鉄心部分8をなくして空孔部4と磁石収容孔部3とを連通させる。これにより、従来、この鉄心部分8を流れる漏洩磁束を削減することができ、その分だけトルク向上を図ることができる。また、磁束漏洩の低減により、周方向における磁束分布の対称性を向上することができ、トルクリップルを低減することができる。
【0014】
好適態様において、角度θnに対する占有角θ0の比率(θ0/θn)は、0.05〜0.125の範囲に設定されていることを特徴とする。実験結果によれば、このようにすればステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束を向上できることがわかった。本発明者の推定では、2磁極ピッチ当たりの空孔部の占有角の比率(θ0/θn)を上記範囲より大きくし過ぎると第1極性の磁極部、第2極性の磁極部の占有角が小さくなってステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束が減少し、比率(θ0/θn)を上記範囲より小さくし過ぎると第2極性の磁極部のうち空孔部の近傍を通過する磁路の磁気抵抗が空孔部より遠い磁路の磁気抵抗よりも大幅に小さくなり、その結果として、第2極性の磁極部の磁束分布の不均一が大きくなってしまうためにステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束が減少してしまうためであると思われる。なお、この有効磁束の減少は出力減少に直結する。
【0015】
好適な態様において、永久磁石は希土類磁石からなる。このようにすれば、希土類磁石の大きな残留磁束を利用して高出力化が可能となる。希土類磁石は脆いのでできるだけ厚くすることが好ましいが、この磁石半減型ロータでは、第1極性の磁極部、ステータ/ロータ間ギャップ、ステータ鉄心、ステータ/ロータ間ギャップ、第2極性の磁極部、第1極性の磁極部と流れる磁気回路中において界磁磁束源として一個の永久磁石だけを持つので、高価な永久磁石使用量を増やすことなく永久磁石の厚さを通常のロータ(図5参照)に比較して倍増することができ、高速タイプの回転電機において特に好都合である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の同期機の磁石半減型ロータの好適実施態様を図1を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1において、1は軟鉄製のロータ鉄心部、2は永久磁石、3はロータ鉄心部1の外周面近傍に位置して設けた軸方向に貫設される磁石収容孔部、4は磁石収容孔部3の周方向両側に位置して軸方向に貫設される空孔部である。
【0018】
磁石収容孔部3の径方向外側の外周面部分には永久磁石2により第1極性(たとえばS極)の磁極部5が形成され、周方向に隣接する任意の2つの空孔部4、4間の外周面部分には永久磁石2により第2極性(たとえばN極)の磁極部6が形成され、これら磁極部5、6の間には境界部7が形成されている。したがって、2磁極ピッチθnは、第1極性の磁極部5の占有角θ1と、第2極性の磁極部6の占有角θ2と、境界部7の占有角θ0との和となる。境界部7の占有角θ0のすべては空孔部4により占有されている。なお、この明細書でいう占有角θとは、ロータ鉄心部(本発明でいう鉄心部)の径方向中央部に軸方向に貫設された回転軸挿入孔である。
【0019】
この実施例では、永久磁石2は3個用い、各永久磁石2は希土類磁石を用いている。また、第1極性の磁極部5の占有角θ1と第2極性の磁極部6との占有角θ2とは等しく設定されている。また、2磁極ピッチに相当する角度θnに対する占有角θ0の比率(θ0/θn)は、0.065に設定されている。
【0020】
なお、図1に示すように、占有角θ1は、板状の永久磁石2の4つの角部のうち径方向外側の2つの角部間の角度を意味する。空孔部4とロータ鉄心部1の外周面との間の鉄心部分は機械的強度を維持できる範囲でできるだけ薄くされている。
【0021】
このように構成された磁石半減型ロータは同期機のロータとしてステータ/ロータ間ギャップの磁束密度を従来より改善できるので、出力を向上することができる。
【0022】
実験結果を図2〜図3に示す。なお、ロータ形状は図1と本質的に同じ
であり、ロータ鉄心部1の外径は50mm、内径は16mmとされている。
【0023】
図2において、θ1=θ2とされ、空孔部4の占有角θ0を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す。図2から、角度θnに対する占有角2θ0の比率(2θ0/θn)は、0.1〜0.25とすることが好ましいことがわかる。
【0024】
図3において、2θ0/θnは、0.125とされ、θ2に対するθ1の比率を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す。図3から、この比率を0.9〜1.1の範囲に設定することが好ましいことがわかる。
【0025】
図4は、磁石半減型ロータにおいて、空孔部4がある場合(A)と、空孔部4がない場合(B)とにおけるステータ/ロータ間ギャップの磁束の周方向分布を示す。ただし、空孔部4がある場合において、角度θnに対する占有角2θ0の比率(2θ0/θn)は0.125、θ1=θ2に設定されている。図4から、空孔部4がある場合(A)の境界部7における磁界変化は、空孔部4がない場合(B)のそれに対して急峻となっていることがわかる。すなわち、空孔部4がある磁石半減型ロータは、境界部7に漏れる永久磁石2の磁束が少ない分だけ、空孔部4がない磁石半減型ロータよりも第2極性の磁極部6の磁束密度が高く成っていることがわかる。
【0026】
また、図4から、空孔部4がある場合には、上記磁束密度の向上分だけ、第1極性の磁極部5と第2極性の磁極部6との磁束密度の差が少なく、その分だけ、磁束密度の周方向分布の対称性が改善され、その分だけ、トルクリップルが小さくなる。
(変形態様)磁石収容孔部3および永久磁石2の数は、上記実施例の3以外に種々変更できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁石半減型ロータの径方向模式断面図である。
【図2】図1の磁石半減型ロータにおいて空孔部の占有角の割合を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す図である。
【図3】図1の磁石半減型ロータにおいて第1極性の磁極部と第2極性の磁極部との占有角の比率を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す図である。
【図4】図1の磁石半減型ロータにおいて空孔部の占有角の割合を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す図である。
【図5】従来の永久磁石通常配置型ロータの径方向模式断面図である。
【図6】従来の磁石半減型ロータの径方向模式断面図である。
【符号の説明】
1 ロータ鉄心部(鉄心部)
2 永久磁石
3 磁石収容孔部
4 空孔部
5 第1極性の磁極部
6 第2極性の磁極部
7 境界部
θ0 境界部の占有角
θ1 第1極性の磁極部の占有角
θ2 第2極性の磁極部の占有角
θn 2磁石ピッチの占有角
【発明の属する技術分野】
本発明は、同期機の磁石半減型ロータの改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
永久磁石ロータを用いる永久磁石型同期機において、機械的強度特に高速回転時の遠心力に対する耐性が優れているために、ロータ鉄心部に永久磁石を埋設した磁石内蔵型モータ(IPM)が通常採用されている。
【0003】
IPMのロータの径方向断面例を図5に示す。図5において、1は軟鉄製のロータ鉄心部、2は永久磁石、3はロータ鉄心部1の外周面近傍に位置して設けた軸方向に貫設される磁石収容孔部、4は磁石収容孔部3の周方向両側に位置して軸方向に貫設される空孔部である。磁石収容孔部3の径方向外側の外周面部分には永久磁石2により第1極性(たとえばS極)の磁極部5と第2極性の磁極部6とが周方向交互に形成され、周方向に隣接する二つの永久磁石の間には境界部7が形成されている。したがって、2磁極ピッチθnは、磁極部5、6の占有角θと境界部7の占有角θ0との和の2倍となる。8は、空孔部4、4の間の鉄心部分である。
【0004】
また、下記の特許文献1は、この永久磁石ロータにおいて磁極数に対して永久磁石数を半減し、各永久磁石の磁極の径方向向きを同一とした磁石半減型ロータを提案している。この公報のロータの径方向断面を図6に示す。
【0005】
図6において、1は軟鉄製のロータ鉄心部、2は永久磁石、3はロータ鉄心部1の外周面近傍に位置して設けた軸方向に貫設される磁石収容孔部、4は磁石収容孔部3の周方向両側に位置して軸方向に貫設される空孔部である。磁石収容孔部3の径方向外側の外周面部分には永久磁石2により第1極性(たとえばS極)の磁極部5が形成され、周方向に隣接する任意の2つの空孔部4、4間の外周面部分には永久磁石2により第2極性(たとえばN極)の磁極部6が形成され、これら磁極部5、6の間には境界部7が形成されている。したがって、2磁極ピッチθnは、第1極性の磁極部5の占有角θ1と、第2極性の磁極部6の占有角θ2と、境界部7の占有角θ0との和となる。8は磁石収容孔部3と空孔部4との間の隙間をなす鉄心部分である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記した図5に示すごとき従来の永久磁石ロータでは、原理的に空孔部4、4の間の鉄心部分8を0とすることができず、特に高速回転タイプでは、この鉄心部分8の周方向幅を図5の低速タイプのものに比較して格段に大きく確保する必要があり、その結果としてこの部分を漏れる磁束によりロータ外周面からステータ側へ流れる有効磁束が減少し、発生トルクが減少するという問題があった。また、高速回転タイプでは、上記した鉄心部分8の周方向幅の増大により、磁石の周方向幅が小さくなり、これによっても有効磁束の減少とそれによるトルクの減少が生じてしまう。
【0007】
これに対して、図6に示した上記公報の磁石半減型ロータでは、鉄心部により構成される第2極性の磁極部6の存在により、優れた耐遠心性が得られるため、更に永久磁石の厚さを倍増できるため、高速タイプにおいて特に有利であり、高速化により回転電機の小型軽量化を期待することができる。
【0008】
しかしながら、図6に示す従来の磁石半減型ロータでは、空孔部4と磁石収容孔部3との間の境界部分に形成される鉄心部分8の間を流れる漏洩磁束により、図5の場合と同様に有効磁束が減少して発生トルクが減少するという問題、並びに、磁束漏洩により第2極性の磁極部6の磁束密度が第1極性の磁極部5のそれよりも小さくなってしまい、トルクリップルが生じるという問題があった。
【0009】
本発明は上記問題点に鑑みなされたものであり、優れた出力特性をもつ同期機の磁石半減型ロータを提供することをその目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明の同期機の磁石半減型ロータは、軟鉄製の鉄心部と、前記鉄心部の外周面近傍に埋設されるk個の永久磁石とを有し、前記鉄心部は、角度θn(=360/k)のピッチで軸方向へ貫設されて前記永久磁石を個別に収容するk個の磁石収容孔部と、前記永久磁石を収容することなく前記各磁石収容孔部の周方向両側に位置して軸方向に貫設される2k個の空孔部と、前記磁石収容孔部の径方向外側の外周面部分により構成される第1極性の磁極部と、周方向に隣接する任意の2つの前記空孔部の間の外周面部分により構成される第2極性の磁極部とを有する同期機の磁石半減型ロータにおいて、
前記第1極性の磁極部の占有角をθ1、前記第2極性の磁極部の占有角をθ2、前記第1極性の磁極部と前記第2極性の磁極部との間の境界領域の占有角をθ0(=θnーθ1ーθ2)とした場合に、前記占有角θ2は前記占有角θ1の0.9〜1.1の範囲に設定されていることを特徴としている。
【0011】
実験結果によれば、このようにすることにより、ステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束を増大できることがわかった。
【0012】
好適な態様において、占有角θ0は、前記空孔部の占有角に等しく設定されていることを特徴とする。
【0013】
すなわち、この発明では、図6を参照して説明すれば第1極性の磁極部5と第2極性の磁極部6との間の境界領域7の占有角θ0一杯に空孔部4を形成し、空孔部4と磁石収容孔部3との間の鉄心部分8をなくして空孔部4と磁石収容孔部3とを連通させる。これにより、従来、この鉄心部分8を流れる漏洩磁束を削減することができ、その分だけトルク向上を図ることができる。また、磁束漏洩の低減により、周方向における磁束分布の対称性を向上することができ、トルクリップルを低減することができる。
【0014】
好適態様において、角度θnに対する占有角θ0の比率(θ0/θn)は、0.05〜0.125の範囲に設定されていることを特徴とする。実験結果によれば、このようにすればステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束を向上できることがわかった。本発明者の推定では、2磁極ピッチ当たりの空孔部の占有角の比率(θ0/θn)を上記範囲より大きくし過ぎると第1極性の磁極部、第2極性の磁極部の占有角が小さくなってステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束が減少し、比率(θ0/θn)を上記範囲より小さくし過ぎると第2極性の磁極部のうち空孔部の近傍を通過する磁路の磁気抵抗が空孔部より遠い磁路の磁気抵抗よりも大幅に小さくなり、その結果として、第2極性の磁極部の磁束分布の不均一が大きくなってしまうためにステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度すなわち有効磁束が減少してしまうためであると思われる。なお、この有効磁束の減少は出力減少に直結する。
【0015】
好適な態様において、永久磁石は希土類磁石からなる。このようにすれば、希土類磁石の大きな残留磁束を利用して高出力化が可能となる。希土類磁石は脆いのでできるだけ厚くすることが好ましいが、この磁石半減型ロータでは、第1極性の磁極部、ステータ/ロータ間ギャップ、ステータ鉄心、ステータ/ロータ間ギャップ、第2極性の磁極部、第1極性の磁極部と流れる磁気回路中において界磁磁束源として一個の永久磁石だけを持つので、高価な永久磁石使用量を増やすことなく永久磁石の厚さを通常のロータ(図5参照)に比較して倍増することができ、高速タイプの回転電機において特に好都合である。
【0016】
【発明の実施の形態】
本発明の同期機の磁石半減型ロータの好適実施態様を図1を参照して具体的に説明する。
【0017】
図1において、1は軟鉄製のロータ鉄心部、2は永久磁石、3はロータ鉄心部1の外周面近傍に位置して設けた軸方向に貫設される磁石収容孔部、4は磁石収容孔部3の周方向両側に位置して軸方向に貫設される空孔部である。
【0018】
磁石収容孔部3の径方向外側の外周面部分には永久磁石2により第1極性(たとえばS極)の磁極部5が形成され、周方向に隣接する任意の2つの空孔部4、4間の外周面部分には永久磁石2により第2極性(たとえばN極)の磁極部6が形成され、これら磁極部5、6の間には境界部7が形成されている。したがって、2磁極ピッチθnは、第1極性の磁極部5の占有角θ1と、第2極性の磁極部6の占有角θ2と、境界部7の占有角θ0との和となる。境界部7の占有角θ0のすべては空孔部4により占有されている。なお、この明細書でいう占有角θとは、ロータ鉄心部(本発明でいう鉄心部)の径方向中央部に軸方向に貫設された回転軸挿入孔である。
【0019】
この実施例では、永久磁石2は3個用い、各永久磁石2は希土類磁石を用いている。また、第1極性の磁極部5の占有角θ1と第2極性の磁極部6との占有角θ2とは等しく設定されている。また、2磁極ピッチに相当する角度θnに対する占有角θ0の比率(θ0/θn)は、0.065に設定されている。
【0020】
なお、図1に示すように、占有角θ1は、板状の永久磁石2の4つの角部のうち径方向外側の2つの角部間の角度を意味する。空孔部4とロータ鉄心部1の外周面との間の鉄心部分は機械的強度を維持できる範囲でできるだけ薄くされている。
【0021】
このように構成された磁石半減型ロータは同期機のロータとしてステータ/ロータ間ギャップの磁束密度を従来より改善できるので、出力を向上することができる。
【0022】
実験結果を図2〜図3に示す。なお、ロータ形状は図1と本質的に同じ
であり、ロータ鉄心部1の外径は50mm、内径は16mmとされている。
【0023】
図2において、θ1=θ2とされ、空孔部4の占有角θ0を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す。図2から、角度θnに対する占有角2θ0の比率(2θ0/θn)は、0.1〜0.25とすることが好ましいことがわかる。
【0024】
図3において、2θ0/θnは、0.125とされ、θ2に対するθ1の比率を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す。図3から、この比率を0.9〜1.1の範囲に設定することが好ましいことがわかる。
【0025】
図4は、磁石半減型ロータにおいて、空孔部4がある場合(A)と、空孔部4がない場合(B)とにおけるステータ/ロータ間ギャップの磁束の周方向分布を示す。ただし、空孔部4がある場合において、角度θnに対する占有角2θ0の比率(2θ0/θn)は0.125、θ1=θ2に設定されている。図4から、空孔部4がある場合(A)の境界部7における磁界変化は、空孔部4がない場合(B)のそれに対して急峻となっていることがわかる。すなわち、空孔部4がある磁石半減型ロータは、境界部7に漏れる永久磁石2の磁束が少ない分だけ、空孔部4がない磁石半減型ロータよりも第2極性の磁極部6の磁束密度が高く成っていることがわかる。
【0026】
また、図4から、空孔部4がある場合には、上記磁束密度の向上分だけ、第1極性の磁極部5と第2極性の磁極部6との磁束密度の差が少なく、その分だけ、磁束密度の周方向分布の対称性が改善され、その分だけ、トルクリップルが小さくなる。
(変形態様)磁石収容孔部3および永久磁石2の数は、上記実施例の3以外に種々変更できることは明白である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の磁石半減型ロータの径方向模式断面図である。
【図2】図1の磁石半減型ロータにおいて空孔部の占有角の割合を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す図である。
【図3】図1の磁石半減型ロータにおいて第1極性の磁極部と第2極性の磁極部との占有角の比率を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す図である。
【図4】図1の磁石半減型ロータにおいて空孔部の占有角の割合を種々変更した場合のステータ/ロータ間ギャップの平均磁束密度を示す図である。
【図5】従来の永久磁石通常配置型ロータの径方向模式断面図である。
【図6】従来の磁石半減型ロータの径方向模式断面図である。
【符号の説明】
1 ロータ鉄心部(鉄心部)
2 永久磁石
3 磁石収容孔部
4 空孔部
5 第1極性の磁極部
6 第2極性の磁極部
7 境界部
θ0 境界部の占有角
θ1 第1極性の磁極部の占有角
θ2 第2極性の磁極部の占有角
θn 2磁石ピッチの占有角
Claims (4)
- 軟鉄製の鉄心部と、前記鉄心部の外周面近傍に埋設されるk個の永久磁石とを有し、
前記鉄心部は、
角度θn(=360/k)のピッチで軸方向へ貫設されて前記永久磁石を個別に収容するk個の磁石収容孔部と、
前記永久磁石を収容することなく前記各磁石収容孔部の周方向両側に位置して軸方向に貫設される2k個の空孔部と、
前記磁石収容孔部の径方向外側の外周面部分により構成される第1極性の磁極部と、
周方向に隣接する任意の2つの前記空孔部の間の外周面部分により構成される第2極性の磁極部と、
を有する同期機の磁石半減型ロータにおいて、
前記第1極性の磁極部の占有角をθ1、前記第2極性の磁極部の占有角をθ2、前記第1極性の磁極部と前記第2極性の磁極部との間の境界領域の占有角をθ0(=θnーθ1ーθ2)とした場合に、前記占有角θ2は前記占有角θ1の0.9〜1.1の範囲に設定されていることを特徴とする同期機の磁石半減型ロータ。 - 請求項1記載の同期機の磁石半減型ロータにおいて、
占有角θ0は、前記空孔部の占有角に等しく設定されていることを特徴とする同期機の磁石半減型ロータ。 - 請求項2記載の同期機の磁石半減型ロータにおいて、
角度θnに対する角度θ0の比率(θ0/θn)は、0.05〜0.125の範囲に設定されていることを特徴とする磁石半減型同期機。 - 請求項3記載の磁石半減型同期機において、
前記永久磁石は希土類磁石からなることを特徴とする同期機の磁石半減型ロータ。
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