JP2004197609A - 吸気管内圧力算出装置及び吸気管内温度算出装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】内燃機関の吸気管部分13´に接続されている気体流通手段23´であって、該気体流通手段23´の上流側端部に設けられた第1の絞り手段22を介して気体が導入され、上記気体流通手段23´の下流側端部に設けられた第2の絞り手段24を介して上記吸気管部分13´へと気体を流入せしめる気体流通手段23´を具備した内燃機関において、上記吸気管部分13´内の圧力と温度のうちの少なくとも一方をエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出する装置であって、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる容積の値が上記吸気管部分13´内の圧力の変化速度の大きさに応じて変化せしめられることを特徴とする算出装置を提供する。
【選択図】 図2
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、内燃機関の吸気管内圧力を算出する装置及び吸気管内温度を算出する装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
内燃機関の吸気管内圧力や吸気管内温度、すなわち内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管部分内の圧力や温度は、従来より内燃機関の制御における必要性から種々の方法で算出または推定することが試みられている。例えば、特許文献1においては、上記の吸気管部分に関してエネルギー保存則や質量保存則等を適用して流体モデルを構築し、それに基づいて吸気管内圧力及び吸気管内温度を算出する方法が開示されている。
【0003】
ところで、従来より、燃焼温度を下げてNOx生成を低減する等の目的で、内燃機関の排気側から吸気側へ排気ガスを再循環させ、この再循環ガス(以下、「EGRガス」と称す)を新気と共に筒内へ吸入させるようにした排気還流機構(以下、「EGR機構」と称す)付きの内燃機関が知られている。このような内燃機関では、通常、排気通路と吸気通路とが排気再循環通路(以下、「EGR通路」と称す)によって連結され、このEGR通路にはEGR通路を通るEGRガスの流量を調整するための制御弁(以下、「EGR弁」と称す)が設けられている。
【0004】
そして、より詳細には、上記EGR通路の吸気通路側は、スロットル弁よりも下流であって吸気弁よりも上流である上記吸気管部分に接続されるのであるが、この際、上記EGR通路が、吸気管が各気筒へ向かって枝分かれした吸気枝管部分もしくは吸気ポート部分に接続される場合がある。これは内燃機関の制御におけるEGRガスを利用した制御の応答性を考慮したものであるが、このような場合、各気筒の吸気枝管部分等に均等にEGRガスを供給するために上記EGR通路の吸気枝間部分等との接続部近傍に絞り部が設けられる。すなわち、上記EGR通路が吸気枝管部分等に接続される場合には、EGR通路も枝分かれして各吸気枝管部分等に接続されることになるのであるが、各吸気枝管までのEGR通路の形状や長さ等が異なるために流動抵抗が異なり、上記絞り部で調整しないと各気筒の吸気枝管等に均等にEGRガスを供給することができないのである。
【0005】
ところで、上述したような流体モデルに基づいて吸気管内圧力及び吸気管内温度を算出する方法においては、エネルギー保存則や質量保存則等が用いられるために、モデル化の対象となる部分(例えば、上記吸気管部分)の容積を正確に求める、もしくは設定することが算出精度を向上する上で重要である。
【0006】
上述の特許文献1では、EGR機構を備えていない内燃機関について開示がなされており、上記吸気管部分をモデル化の対象部分とし、その容積は機関の運転状態にかかわらず一定とされている。これに対し、EGR機構付きの内燃機関においては、以下で説明するように、モデル化の対象となる部分をEGR通路のEGR弁より下流側の部分(以下、「EGR弁下流側部分」と称す)の存在を考慮して決定する必要があると共に、上述した絞り部の影響によりモデル化の対象となる部分の容積を一定と考えてしまうと精度良く吸気管内圧力及び吸気管内温度を算出することができない場合がある。
【0007】
すなわち、EGR機構付きの内燃機関において、上述した場合のようにEGR通路がEGR弁を有し吸気枝管部分等で上記吸気管部分に接続されている場合、上記絞り部が存在しない場合や上記吸気管部分内の圧力変化が緩やかな場合には、上記吸気管部分内の圧力とEGR弁下流側部分内の圧力はほぼ同じになると考えられるので、EGR弁下流側部分の容積は上記吸気管部分の容積と共にモデル化の対象部分の容積に含めて良いと考えられる。つまり、モデル化対象部分の容積は上記吸気管部分の容積とEGR弁下流側部分の容積を合わせたものとなる。
【0008】
これに対し、上記絞り部が存在し、上記吸気管部分内の圧力変化が激しい場合には、EGR弁下流側部分内の圧力は上記吸気管部分内の圧力の変化に追従できず、これら二つの部分内の圧力は異なるものとなると考えられる。したがって、EGR弁下流側部分の容積のすべてをモデル化の対象部分の容積に含めるのは妥当ではなく、このような場合にモデル化対象部分の容積を上記吸気管部分の容積とEGR弁下流側部分の容積を合わせたものとして吸気管内圧力及び吸気管内温度を求めてもその算出精度は低いものとなってしまう。
【0009】
【特許文献1】
特開2001−41095号公報
【特許文献2】
特開2002−147279号公報
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記のような問題に鑑みてなされたもので、その目的は、例えばEGR機構付きの内燃機関のように上記吸気管部分に絞り手段を介して気体が導入される内燃機関においても吸気管内圧力と吸気管内温度のうちの少なくとも一方を精度良く算出することのできる装置を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を解決するための手段として、特許請求の範囲の各請求項に記載された算出装置を提供する。
1番目の発明は、内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管部分に接続されている気体流通手段であって、該気体流通手段の上流側端部に設けられた第1の絞り手段を介して気体が導入され、上記気体流通手段の下流側端部に設けられた第2の絞り手段を介して上記吸気管部分へと気体を流入せしめる気体流通手段を具備した内燃機関において上記吸気管部分内の圧力と温度のうちの少なくとも一方をエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出する装置であって、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる容積の値が上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさに応じて変化せしめられることを特徴とする算出装置を提供する。
【0012】
エネルギー保存則及び質量保存側に基づいて上記吸気管部分内の圧力や温度、すなわち吸気管内圧力や吸気管内温度を算出する場合には、対象とする部分の容積を正確に設定することが算出精度を向上する上で重要である。そして、上記のような気体流通手段を具備した内燃機関においては、上記吸気管内圧力の変化速度の大きさ(絶対値)によって上記気体流通手段の容積を上記の対象とする部分の容積に全部加えるべきである場合、部分的に加えるべきである場合、加えるべきでない場合が存在する。本発明によれば、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる容積の値が上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさに応じて変化せしめられるので、上記吸気管内圧力の変化速度の大きさに応じた適切な容積を用いて吸気管内圧力や吸気管内温度を算出することが可能となり、これらを精度良く求めることができる。
【0013】
2番目の発明は1番目の発明において、上記気体流通手段が燃焼室から排気通路に排出された排気ガスの少なくとも一部を吸気通路に流入させる排気再循環通路の一部であり、上記第1の絞り手段が上記排気再循環通路を通る排気ガスの流量を調整すべく上記排気再循環通路に設けられた制御弁であり、上記第2の絞り手段が上記制御弁よりも下流において上記排気再循環通路に設けられた絞り部である。
【0014】
上記のような構成の排気再循環通路を備える内燃機関においては、例えば上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが非常に小さい時には、上記制御弁から上記絞り部に至るまでの上記排気再循環通路内の圧力が上記吸気管部分内の圧力とほぼ同じになるため、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる上記容積の値を上記吸気管部分の容積と上記制御弁から上記絞り部に至るまでの上記排気再循環通路の容積とを合わせたものとすることによって吸気管内圧力や吸気管内温度の算出精度が向上される。また、逆に上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが非常に大きい時には、上記制御弁から上記絞り部に至るまでの上記排気再循環通路内の圧力が上記吸気管部分内の圧力に追従できなくなるため、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる上記容積の値を上記吸気管部分の容積のみとすることによって吸気管内圧力や吸気管内温度の算出精度が向上される。そして、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが上記の二つの場合の中間的な場合には、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる上記容積の値も上記の二つの場合の中間的な値とすることで吸気管内圧力や吸気管内温度の算出精度が向上される。本発明によれば、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさに応じてエネルギー保存則及び質量保存則で用いられる上記容積の値を上述したように変化せしめることができるので吸気管内圧力や吸気管内温度の算出精度を向上することができる。
【0015】
3番目の発明は2番目の発明において、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる上記容積の値が、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが小さい時には、上記吸気管部分の容積と上記制御弁から上記絞り部に至るまでの上記排気再循環通路の容積とを合わせたものとされ、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが大きい時には、上記吸気管部分の容積とされる。
本発明によっても2番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることできる。
【0016】
4番目の発明は1番目の発明において、上記気体流通手段が上記吸気管部分へ気体を流入せしめることで内部に負圧を発生するバキュームタンクであり、上記第1の絞り手段が上記バキュームタンクの負圧を利用するために制御される制御弁であり、上記第2の絞り手段が上記吸気管部分と上記バキュームタンクとの間に設けられた逆止弁である。
【0017】
上記のような構成のバキュームタンクシステムを備える内燃機関において、上記逆止弁が開いている場合(例えば上記吸気管部分の圧力が上記バキュームタンク内の圧力よりも小さい場合)を考えると、この逆止弁は上述した絞り部とほぼ同様な作用をすると考えられる。したがって、本発明によれば、上述した2番目の発明とほぼ同様な作用により、上記のような構成のバキュームタンクシステムを備える内燃機関においてエネルギー保存則及び質量保存側に基づいて吸気管内圧力や吸気管内温度を算出する際の算出精度の向上を図ることができる。
【0018】
5番目の発明は1番目から4番目の何れかの発明において、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさを表すパラメータとして機関回転数が用いられる。
上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさは機関回転数に依存し、低回転ほど小さく、高回転ほど大きい傾向がある。したがって、本発明によっても1番目から4番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。特に本発明によれば、比較的簡易な方法で上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさを推定することができる。本発明の場合、機関回転数が低い場合に上記各保存則で用いられる容積の値を大きくし、機関回転数の高い場合に上記各保存則で用いられる容積の値を小さくするのが好ましい。
【0019】
6番目の発明は1番目から4番目の何れかの発明において、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさを表すパラメータとして一定期間内における上記吸気管部分内の総気体質量の変化量が用いられる。
上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさは一定期間内における上記吸気管部分内の総気体質量の変化量に依存し、上記総気体質量の変化量が小さいほど小さく、大きいほど大きくなる。したがって、本発明によっても1番目から4番目の発明とほぼ同様の作用及び効果を得ることができる。本発明の場合、上記総気体質量の変化量が小さい場合に上記各保存則で用いられる容積の値を大きくし、上記総気体質量の変化量が大きい場合に上記各保存則で用いられる容積の値を小さくするのが好ましい。
【0020】
7番目の発明は、内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管部分に接続されている気体流通手段であって、該気体流通手段の上流側端部に設けられた第1の絞り手段を介して気体が導入され、上記気体流通手段の下流側端部に設けられた第2の絞り手段を介して上記吸気管部分へと気体を流入せしめる気体流通手段を具備した内燃機関において、上記吸気管部分内の圧力と温度のうちの少なくとも一方を上記吸気管部分の容積を用いてエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出し、上記第1の絞り手段から上記第2の絞り手段に至るまでの上記気体流通手段内の圧力と温度のうちの少なくとも一方を上記気体流通手段内の容積を用いてエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出することを特徴とする装置を提供する。
【0021】
本発明によれば、エネルギー保存則及び質量保存則の適用対象となる部分の容積が上記吸気管部分と上記気体流通手段とについて別々に且つ正確に設定されるので吸気管内圧力や吸気管内温度の算出精度を向上することができる。
【0022】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施形態について詳細に説明する。図1は本発明を4気筒の内燃機関へ適用した場合の全体説明図であり、図2はその内燃機関の一気筒について示した説明図である。なお、後述するように、本実施形態の内燃機関は筒内噴射型火花点火式内燃機関であるが、本発明は別の火花点火式内燃機関や圧縮自着火式内燃機関に適用することもできる。
【0023】
図2に示したように、本実施形態において機関本体1はシリンダブロック2と、シリンダブロック2内で往復動するピストン3と、シリンダブロック2上に固定されたシリンダヘッド4とを具備する。ピストン3とシリンダヘッド4との間には燃焼室5が形成される。シリンダヘッド4には各気筒毎に吸気弁6と、吸気ポート7と、排気弁8と、排気ポート9とが配置される。更に、図2に示したようにシリンダヘッド4の内壁面の中央部には点火プラグ10が配置され、シリンダヘッド4内壁面周辺部には燃料噴射弁11が配置される。またピストン3の頂面には燃料噴射弁11の下方から点火プラグ10の下方まで延びるキャビティ12が形成されている。
【0024】
各気筒の吸気ポート7は下流側の吸気管であって各気筒へ向かって枝分かれしている吸気枝管13を介してサージタンク14に連結され、サージタンク14は上流側の吸気管15を介してエアクリーナ16に連結される。吸気管15内にはステップモータ17によって駆動されるスロットル弁18が配置される。なお、本明細書においては吸気通路のうちのスロットル弁18から吸気弁6に至る部分を吸気管部分13´と称し、この吸気管部分13´内の圧力及び温度をそれぞれ吸気管内圧力Pm、吸気管内温度Tmと称することとする。
【0025】
一方、各気筒の排気ポート9は排気管19に連結され、この排気管19は排気浄化装置20に連結される。排気通路(排気ポート、排気管等)と吸気通路(吸気ポート、吸気枝管等)とは排気再循環通路(EGR通路)21を介して互いに連結され、このEGR通路21内にはEGR通路21を通る排気ガスの流量を調整するための制御弁(EGR弁)22が配置される。より詳細には、図1に示されているように上記EGR通路21はEGR弁22の下流で枝分かれしてEGR枝通路23となり、各気筒へ向かう吸気枝管13にそれぞれ接続される。また、各EGR枝通路23の吸気枝管13との接続部近傍には絞り部24が設けられている。
【0026】
なお、上述したようにEGR枝通路23を各吸気枝管13に接続しているのは、EGRガスを気筒の近くで供給するようにしてEGRガスを利用した機関制御の応答性を向上するためである。また、各EGR枝通路23の吸気枝管13との接続部近傍に絞り部24が設けられているのは、各気筒に均等にEGRガスを供給するためである。すなわち、吸気枝管13との接続部までのEGR枝通路23の形状や長さ等は各EGR枝通路23によって異なるためにその流動抵抗が異なり、上記絞り部24で調整しないと各気筒に均等にEGRガスを供給することができないのである。
【0027】
電子制御ユニット(ECU)31はディジタルコンピュータからなり、双方向性バス32を介して相互に接続されたRAM(ランダムアクセスメモリ)33、ROM(リードオンリメモリ)34、CPU(マイクロプロセッサ)35、入力ポート36及び出力ポート37を具備する。排気管19には、内燃機関から排気通路に排出された排気ガスの圧力及び温度をそれぞれ検出するための排気圧センサ41及び排気温センサ42が設けられており、それぞれ排気圧及び排気温に比例した出力電圧を発生する。これら出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。
【0028】
また、スロットル弁18の開度を検出するためのスロットル弁開度センサ43と、内燃機関の周囲の大気の圧力、または吸気管15に吸入される空気の圧力(吸気圧)を検出するための大気圧センサ44と、内燃機関の周囲の大気の温度、または吸気管15に吸入される空気の温度(吸気温)を検出するための大気温センサ45が設けられ、これらセンサの出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。また、アクセルペダル46にはアクセルペダル46の踏込み量に比例した出力電圧を発生する負荷センサ47が接続され、負荷センサ47の出力電圧は対応するAD変換器38を介して入力ポート36に入力される。クランク角センサ48は例えばクランクシャフトが30度回転する毎に出力パルスを発生し、この出力パルスが入力ポート36に入力される。CPU35ではこのクランク角センサ48の出力パルスから機関回転数が計算される。一方、出力ポート37は対応する駆動回路39を介して点火プラグ10、燃料噴射弁11、ステップモータ17及びEGR弁22に接続される。
なお、EGR弁22の開度については、EGR弁22へ送信されたステップ信号の累積値(ステップ数)に基づいてCPU35において計算により求められる。
【0029】
ところで、内燃機関の制御装置として、燃焼室において燃焼される混合気の空燃比を目標空燃比にするために、吸気弁が閉じた時に燃焼室内に充填されている吸気ガスの量(筒内充填ガス量)Mcを推定し、推定された筒内充填ガス量Mcに基づいて混合気の空燃比が目標空燃比となるように燃料噴射弁によって噴射する燃料の量(以下、「燃料噴射量」と称す)を定めるものが公知である。そしてこのような場合、内燃機関の燃焼室において燃焼される混合気の空燃比を正確に目標空燃比とするためには、筒内充填ガス量Mcを正確に推定する必要がある。
【0030】
通常、このような筒内充填ガス量Mcは、流量センサ(エアフローメータ)等の多数のセンサ、及びこれらセンサからの出力値を引数とした多数のマップから推定されるが、このようにマップを用いて筒内充填ガス量Mcを推定する場合、推定される筒内充填ガス量Mcの値をより正確なものにするためには、必要なマップの数及びその引数の数が多くなる。このようにマップの数が多くなると、マップを保存するためのECUのROMを記憶容量の大きいものにしなければならず、内燃機関の制御装置の製造コストが高くなってしまう。更に、各マップを作成するにはマップが搭載される車種毎に適合を行わなければならないため、マップの数及びその引数の数が多くなると適合を行う際の労力が多大となってしまう。
【0031】
そこで、マップを用いずに様々な流体モデルを用いて、数値計算により筒内充填ガス量Mcを算出する内燃機関の制御装置が検討されている。このような制御装置では、数値計算を多用することにより必要なマップの数を極力減らすようにしており、これにより適合作業を行う際の工数を大幅に削減しながらも、筒内充填ガス量Mcを正確に算出することができる。このような制御装置のうち本願出願人により提案されたものの一つに、図3に示した吸入ガス量モデルM20を搭載した制御装置がある(特願2001−316350号)。図示した吸入ガス量モデルM20はEGR機構を装備していない内燃機関に適用される最も単純なモデルであるが、モデルを用いた内燃機関制御の一例として以下でこの吸入ガス量モデルM20について説明する。
【0032】
吸入ガス量モデルM20は、図3に示したようにスロットルモデルM21、吸気管モデルM22、吸気弁モデルM23を備える。スロットルモデルM21には、スロットル弁開度センサによって検出されたスロットル弁の開度(スロットル弁開度)θtと、大気圧センサによって検出された内燃機関周囲の大気圧(または、吸気管に吸入される空気の圧力)Paと、大気温センサによって検出された内燃機関周囲の大気温度(または、吸気管に吸入される空気の温度)Taと、後述する吸気管モデルM22において算出された吸気管内の圧力(吸気管内圧力)Pmとが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述するスロットルモデルM21のモデル式に代入することで、単位時間当たりにスロットル弁を通過する空気の流量(以下、「スロットル弁通過空気流量mt」と称す)が算出される。スロットルモデルM21において算出されたスロットル弁通過空気流量mtは、吸気管モデルM22へ入力される。
【0033】
吸気管モデルM22には、スロットルモデルM21において算出されたスロットル弁通過空気流量mtと、以下で詳述する単位時間当たりに燃焼室内に流入する吸気ガスの流量(以下、「筒内吸入ガス流量mc」と称す。なお、筒内吸入ガス流量mcの定義については、吸気弁モデルM23において詳述する)とが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述する吸気管モデルM22のモデル式に代入することで、吸気管内に存在する吸気ガスの圧力、すなわち吸気管内圧力Pmと吸気管内に存在する吸気ガスの温度、すなわち吸気管内温度Tmとが算出される。吸気管モデルM22において算出された吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmは共に吸気弁モデルM23へ入力され、更に吸気管内圧力PmはスロットルモデルM21にも入力される。
【0034】
吸気弁モデルM23には、吸気管モデルM22において算出された吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの他に大気温度Taが入力され、これら入力された各パラメータの値を後述する吸気弁モデルM23のモデル式に代入することで、筒内吸入ガス流量mcが算出される。算出された筒内吸入ガス流量mcは、筒内充填ガス量Mcに変換され、この筒内充填ガス量Mcに基づいて燃料噴射弁からの燃料噴射量が決定される。また、吸気弁モデルM23において算出された筒内吸入ガス流量mcは吸気管モデルM22に入力される。
【0035】
図3から分かるように、吸入ガス量モデルM20ではあるモデルにおいて算出されたパラメータの値が別のモデルへの入力値として利用されるので、吸入ガス量モデルM20全体では、実際に入力される値はスロットル弁開度θt、大気圧Pa、及び大気温度Taの三つのパラメータのみであり、これら三つのパラメータから筒内充填ガス量Mcが算出される。
【0036】
次に、吸入ガス量モデルM20の各モデルM21〜M23について説明する。
スロットルモデルM21では、大気圧Pa、大気温度Ta、吸気管内圧力Pm、スロットル弁開度θtから、下記数1に基づいてスロットル弁通過空気流量mtが算出される。ここで、数1におけるμはスロットル弁における流量係数で、スロットル弁開度θtの関数であり、図4に示したようなマップから定まる。また、Atはスロットル弁の開口断面積(以下、「スロットル開口面積」と称す)を示し、スロットル弁開度θtの関数である。なお、これら流量係数μ及び開口断面積Atをまとめたμ・Atをスロットル弁開度θtから一つのマップで求めるようにしてもよい。また、Rは気体定数に関連する定数であり、気体定数Rmを1mol当たりの空気の質量Maで除算した値である(R=Rm/Ma)。
【0037】
【数1】
【0038】
また、Φ(Pm/Pa)は下記数2に示した関数であり、この数2におけるκは比熱比(κ=Cp(等圧比熱)/Cv(等容比熱)であり、一定値とする)である。この関数Φ(Pm/Pa)は図5に示したようなグラフに表すことができるので、このようなグラフをマップとしてECUのROMに保存し、実際には数2を用いて計算するのではなくマップからΦ(Pm/Pa)の値を求めるようにしてもよい。
【0039】
【数2】
【0040】
これらスロットルモデルM21の数1及び数2は、スロットル弁18上流の気体の圧力を大気圧Pa、スロットル弁18上流の気体の温度を大気温度Ta、スロットル弁18を通過した気体の圧力を吸気管内圧力Pmとして、図6に示したようなスロットル弁18のモデルに対して、質量保存則、エネルギー保存則及び運動量保存則を適用し、更に気体の状態方程式、比熱比の定義式、及びマイヤーの関係式を利用することによって得られる。
【0041】
吸気管モデルM22では、スロットル弁通過空気流量mt、筒内吸入ガス流量mc、及び大気温度Taから、下記数3及び数4に基づいて吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmが算出される。なお、数3及び数4におけるVmはスロットル弁から吸気弁までの吸気管部分13´の容積に等しい定数である。
【0042】
【数3】
【0043】
【数4】
【0044】
ここで、吸気管モデルM22について図7を参照して説明する。吸気管部分13´の総気体質量をMとすると、総気体質量Mの時間的変化は、吸気管部分13´に流入する気体の流量、すなわちスロットル弁通過空気流量mtと、吸気管部分13´から流出する気体の流量、すなわち筒内吸入ガス流量mcとの差に等しいため、質量保存則により下記数5が得られ、この数5及び気体の状態方程式(Pm・Vm=M・R・Tm)より、数3が得られる。
【0045】
【数5】
【0046】
また、吸気管部分13´の気体のエネルギーM・Cv・Tmの時間的変化量は、吸気管部分13´に流入する気体のエネルギーと吸気管部分13´から流出する気体のエネルギーとの差に等しい。このため、吸気管部分13´に流入する気体の温度を大気温度Ta、吸気管部分13´から流出する気体の温度を吸気管内温度Tmとすると、エネルギー保存則により下記数6が得られ、この数6及び上記気体の状態方程式より、数4が得られる。
【0047】
【数6】
【0048】
吸気弁モデルM23では、吸気管内圧力Pm、吸気管内温度Tm、及び大気温度Taから、下記数7に基づいて、筒内吸入ガス流量mcが算出される。なお、数7におけるa、bは、機関回転数NEから、更に吸気弁の位相角(バルブタイミング)及び作用角を変更できる可変動弁機構を備えた内燃機関の場合には吸気弁6の位相角、作用角から定まる適合パラメータである。
【0049】
【数7】
【0050】
上述した吸気弁モデルM23について図8を参照して説明する。一般に、吸気弁6が閉じた時に燃焼室5内に充填されている吸気ガスの量である筒内充填ガス量Mcは、吸気弁6が閉弁する時(吸気弁閉弁時)に確定し、吸気弁閉弁時の燃焼室5内の圧力に比例する。また、吸気弁閉弁時の燃焼室5内の圧力は吸気弁上流の気体の圧力、すなわち吸気管内圧力Pmと等しいとみなすことができる。したがって、筒内充填ガス量Mcは、吸気管内圧力Pmに比例すると近似することができる。
【0051】
ここで、単位時間当たりに吸気管部分13´から流出する全吸気ガスの量を平均化したもの、または単位時間当たりに吸気管部分13´から全ての燃焼室5に吸入される吸気ガスの量を一つの気筒の吸気行程に亘って(後述するように本実施形態ではクランク角180°分)平均化したものを筒内吸入ガス流量mc(以下で詳述する)とすると、筒内充填ガス量Mcが吸気管内圧力Pmに比例することから、筒内吸入ガス流量mcも吸気管内圧力Pmに比例すると考えられる。このことから、理論及び経験則に基づいて、上記数7が得られる。なお、数7における適合パラメータaは比例係数であり、適合パラメータbは排気弁閉弁時において燃焼室5内に残存している既燃ガス量に関連する値(以下で説明する)である。また、実際の運転では過渡時に吸気管内温度Tmが大きく変化する場合があるため、これに対する補正として理論及び経験則に基づいて導かれたTa/Tmが乗算されている。
【0052】
ここで、筒内吸入ガス流量mcについて、図9を参照して内燃機関が4気筒である場合について説明する。なお、図9は横軸がクランクシャフトの回転角度、縦軸が単位時間当たりに吸気管部分13´から燃焼室5に実際に流入する吸気ガスの量である。図9に示したように、4気筒の内燃機関では、吸気弁6が例えば1番気筒、3番気筒、4番気筒、2番気筒の順に開弁し、各気筒に対応する吸気弁6の開弁量に応じて吸気管部分13´から各気筒の燃焼室5内へ吸気ガスが流入する。吸気管部分13´から各気筒の燃焼室5内に流入する吸気ガスの流量の変位は図9に破線で示した通りであり、これを総合して吸気管部分13´から全気筒の燃焼室5に流入する吸気ガスの流量は図9に実線で示した通りである。また、例えば1番気筒への筒内充填ガス量Mcは図9に斜線で示した部分に相当する。
【0053】
これに対して、実線で示した吸気管部分13´から全ての気筒の燃焼室5に流入する吸気ガスの量を平均化したものが筒内吸入ガス流量mcであり、図中に一点鎖線で示されている。そして、この一点鎖線で示した筒内吸入ガス流量mcに、4気筒の場合にはクランクシャフトが180°(すなわち、4ストローク式内燃機関において1サイクル中にクランクシャフトが回転する角度720°を気筒数で割った角度)回転するのにかかる時間ΔT180 °を乗算したものが筒内充填ガス量Mcとなる。したがって、吸気弁モデルM23で算出された筒内吸入ガス流量mcにΔT180 °を乗算することで、筒内充填ガス量Mcを算出することができる(Mc=mc・ΔT180 °)。より詳細には、筒内充填ガス量Mcは吸気弁閉弁時の圧力に比例することから、吸気弁閉弁時の筒内吸入ガス流量mcにΔT180 °を乗算したものが筒内充填ガス量Mcとされる。なお、以上の説明からも明らかなように、数7における値bにΔT180 °を乗算し、更にTa/Tmを乗算すると、排気弁8閉弁時において燃焼室5内に残存している既燃ガス量が得られると考えられる。
【0054】
次に、上記吸入ガス量モデルM20を内燃機関の制御装置に実装して、実際に筒内充填ガス量Mcを算出する場合について説明する。筒内充填ガス量Mcは吸入ガス量モデルM20を用いて、上記数1、数3、数4、及び数7を解くことにより表される。この場合、ECUで処理するために、これらの式を離散化する必要がある。時刻t、計算間隔Δtを用いて数1、数3、数4、及び数7を離散化すると、それぞれ下記数8、数9、数10、及び数11が得られる。なお、吸気管内温度Tm(t+Δt)は、数9及び数10によってそれぞれ算出されたPm/Tm(t+Δt)及びPm(t+Δt)から、数12によって算出される。
【0055】
【数8】
【0056】
【数9】
【0057】
【数10】
【0058】
【数11】
【0059】
【数12】
【0060】
このようにして実装された吸入ガス量モデルM20では、スロットルモデルM21の数8で算出された時刻tにおけるスロットル弁通過空気流量mt(t)と、吸気弁モデルM23の数11で算出された時刻tにおける筒内吸入ガス流量mc(t)とが、吸気管モデルM22の数9及び数10に代入され、これにより時刻t+Δtにおける吸気管内圧力Pm(t+Δt)及び吸気管内温度Tm(t+Δt)が算出される。次いで、算出されたPm(t+Δt)及びTm(t+Δt)は、スロットルモデルM21及び吸気弁モデルM23の数8及び数11に代入され、これにより時刻t+Δtにおけるスロットル弁通過空気流量mt(t+Δt)及び筒内吸入ガス流量mc(t+Δt)が算出される。そして、このような計算を繰り返すことによって、スロットル弁開度θt、大気圧Pa、及び大気温度Taから、任意の時刻tにおける筒内吸入ガス流量mcが算出され、算出された筒内吸入ガス流量mcに上記時間ΔT180 °を乗算することで、任意の時刻tにおける筒内充填ガス量Mcが算出される。
【0061】
なお、内燃機関の始動時には、すなわち時刻t=0においては、吸気管内圧力Pmは大気圧と等しい(Pm(0)=Pa)とされ、吸気管内温度Tmは大気温度と等しい(Tm(0)=Ta)とされて、各モデルM21〜M23における計算が開始される。
【0062】
なお、上記吸入ガス量モデルM20では、大気温度Ta及び大気圧Paが一定であるとしているが、時刻によって変化する値としてもよく、例えば、大気温度を検出するための大気温センサによって時刻tにおいて検出された値を大気温度Ta(t)、大気圧を検出するための大気圧センサによって時刻tにおいて検出された値を大気圧Pa(t)として上記数8、数10、及び数11に代入するようにしてもよい。
【0063】
ところで、以上で説明した吸入ガス量モデルM20は、上述したようにEGR機構を備えていない内燃機関に適用される最も単純なモデルであり、これをそのまま図1及び図2に例示したようなEGR機構を備えた内燃機関に適用すると十分な精度が得られず制御上の不都合が生じてしまう。特に、上述の吸入ガス量モデルM20において吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとを算出している吸気管モデルM22について考えてみると、EGR機構を備えた内燃機関では、EGRガスの導入があるためにモデル式の形が数3及び数4とは異なるものとなると考えられる。すなわち、モデル化の対象となる部分の容積をVとし、EGR弁通過ガス流量をmegr、排気温をTeとすると、数3及び数4を導出したのと同様に質量保存側、エネルギー保存則、気体の状態方程式等を用いて以下の数13及び数14が得られる。
【0064】
【数13】
【0065】
【数14】
【0066】
そして更に、これらを上述の数9及び数10を求めたのと同様に離散化すると以下の数15及び数16が得られ、EGR機構を備えた内燃機関においては、これらの式に基づいて吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとが算出されることになる。
【0067】
【数15】
【0068】
【数16】
【0069】
ここでモデル化の対象となる部分の容積Vについて考えてみると、上述の吸気管モデルM22においてはモデル化の対象となる部分の容積Vは吸気管部分13´の容積Vmであり、機関の運転状態にかかわらず一定であった。これに対し、EGR機構付きの内燃機関においては、以下で説明するように、モデル化の対象となる部分をEGR通路21のEGR弁22より下流側の部分(以下、「EGR弁下流側部分」と称す)23´の存在を考慮して決定する必要があると共に、上述した絞り部24の影響によりモデル化の対象となる部分の容積Vを一定と考えてしまうと精度良く吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmを算出することができない場合がある。
【0070】
すなわち、上述したような構成のEGR通路21を有した内燃機関においては、上記吸気管部分13´内の圧力変化が緩やかな場合には、上記絞り部24の影響は殆ど無く、上記吸気管部分13´内の圧力PmとEGR弁下流側部分23´内の圧力Pgはほぼ同じになると考えられるので、EGR弁下流側部分23´の容積Vgは上記吸気管部分13´の容積Vmと共にモデル化の対象部分の容積Vに含めて良いと考えられる。つまり、この場合、モデル化対象部分の容積Vは上記吸気管部分13´の容積VmとEGR弁下流側部分23´の容積Vgを合わせたものとなる(V=Vm+Vg)。
【0071】
これに対し、上記吸気管部分13´内の圧力変化が激しい場合には、EGR弁下流側部分23´内の圧力Pgは上記吸気管部分13´内の圧力Pmの変化に追従できず、これら二つの部分内の圧力は異なるものとなると考えられる。したがって、EGR弁下流側部分23´の容積Vgのすべてをモデル化の対象部分の容積Vに含めるのは妥当ではなく、このような場合にモデル化対象部分の容積Vを上記吸気管部分13´の容積VmとEGR弁下流側部分23´の容積Vgを合わせたものとして吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmを求めるとその算出精度は低いものとなってしまう。
【0072】
そこで、本実施形態では以上のような点を考慮し、上記吸気管部分13´内の圧力の変化速度の大きさvpに応じて上記数15及び数16における容積Vの値を変化せしめ、算出される吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの精度の向上を図っている。すなわち、上記容積Vは以下の数17によって決定される。
【0073】
【数17】
【0074】
ここでqは、上記吸気管部分13´内の圧力の変化速度の大きさvpに応じて決定される係数(q=f1(vp))であって、上記vpが小さいほど大きな値をとり、最小値は0、最大値は1である。この数17によれば、例えば上記vpが非常に小さい時には上記容積Vが上記吸気管部分13´の容積VmとEGR弁下流側部分23´の容積Vgとの和とされる。一方、上記vpが非常に大きい時には上記容積Vが上記吸気管部分13´の容積Vmのみとされ、また、上記vpが上記の二つの場合の中間的な値をとる場合には上記容積Vの値も上記の二つの場合の中間的な値とされる。このように上記容積Vを可変とすることで算出される吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの精度の向上を図ることができる。
【0075】
より具体的には、本実施形態においては、上記係数qは上記vpと相関関係のある機関回転数NEに応じて決定される(q=f2(NE))。すなわち、機関回転数NEを上記vpを表すパラメータとして用いる。上記vpは機関回転数NEに依存し、低回転ほど小さく、高回転ほど大きい傾向がある。したがって、図10に示すような係数qの機関回転数NEに対するマップを作成することができ、これを事前に求めてROM34に記憶させておけば、このマップに基づいて機関回転数NEに応じた係数qを決定することができる。そして、決定された係数qを用いて数17から適切な上記容積Vを決定することができる。
【0076】
なお、制御を単純化するために係数qの中間的な値を省略し、予め定めた機関回転数NEcを切替点として、NE≦NEcではq=1、NE>NEcではq=0となるようにしても一定の算出精度の向上を図ることができる。
【0077】
次に本発明の別の実施形態であって、別の方法で上記容積Vを決定するものについて説明する。この実施形態は上記容積Vの決定方法以外は上述の第1の実施形態と同様であるので、以下では主に本実施形態における上記容積Vの決定方法について説明する。
【0078】
上述した第1の実施形態においては、上記吸気管部分13´内の圧力の変化速度の大きさvpが機関回転数NEに依存し、低回転ほど小さく、高回転ほど大きい傾向がある点に着目し、上記容積Vを機関回転数NEに応じて変化させたが、より厳密には、低回転であってもスロットル弁開度の変化が大きければ上記vpは大きく、高回転であってもスロットル弁開度の変化が小さければ上記vpは小さい。そこで本実施形態では、上記vpに対してより高い相関性を有する値を用いて上記容積Vを決定し、更なる算出精度の向上を図る。
【0079】
すなわち、上記vpは、一定期間(例えば、離散時間、計算間隔、単位時間等)内における上記吸気管部分13´内の総気体質量の変化量Δmに比例するので、この値を上記vpを表すパラメータとし、この値に応じて上記容積Vを決定するようにする(V=f3(Δm))。この総気体質量の変化量Δmは、単位時間内の場合を例にとれば上記総気体質量の変化速度の大きさであり、総気体質量の変化量Δm(g/s)=|mt(g/s)+megr(g/s)−mc(g/s)|と表すことができる。このΔmの値が大きいほど上記vpが大きく、Δmの値が小さいほど上記vpが小さいので、Δmの値が大きいほど上記容積Vが小さく、Δmの値が小さいほど上記容積Vが大きくなるように上記容積Vの値を変化せしめることで算出される吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの精度の向上を図ることができる。上記Δmの値に応じて適切な上記容積Vを決定するためのマップは事前に求めてROM34に記憶させておく。このようなマップの一例を図11に示す。
【0080】
なお、上記vpは、一定期間内における上記吸気管部分13´内の総気体質量の変化量Δmに比例するので、例えば他の制御との関係で上記吸気管部分13´内へ流入するガス量であるスロットル弁通過空気流量及びEGR弁通過ガス流量、並びに上記吸気管部分13´内から流出するガス量である筒内吸入ガス流量の各値が充填率(すなわち、一気筒の総行程容積分の空気の質量に対する質量比)KLmt、KLegr並びにKLmcで表されて得られる場合には、これらを一定期間内における質量の変化量に対応する値に換算すべく機関回転数NEを乗算する必要がある。すなわち、上記vpは、(KLmt+KLegr−KLmc)×NEの絶対値に比例することになる。したがって、このような場合には、この(KLmt+KLegr−KLmc)×NEの絶対値に応じて適切な上記容積Vを決定するための図11と同様なマップを作成することができる(V=f4(|(KLmt+KLegr−KLmc)×NE|))。
【0081】
また、KLTAを定常状態(すなわち、スロットル弁開度、EGR弁開度、機関回転数を一定に保持した状態)における筒内吸入空気流量の値を上記充填率で表したもの、KLCRTを現時点の筒内吸入ガス流量の値を上記充填率で表したものとすると、(KLTA+KLegr−KLCRT)×NEの絶対値を引数として上記容積Vを決定するマップを作成することもできる(V=f5(|(KLTA+KLegr−KLCRT)×NE|))。
【0082】
更に、他の制御との関係で各機関回転数NEにおいて上記KLTAへ収束するための時定数Etがマップ等から容易に求められる場合には、時定数Etを引数として上記容積Vを決定するようにしてもよい(V=f6(Et))。すなわち、時定数Etが大きい場合は収束に時間のかかる場合であり、上記vpは小さいと考えられるので、上記容積Vは大きくされる。一方、時定数Etが小さい場合は素早く収束する場合であり、上記vpは大きいと考えられるので、上記容積Vは小さくされる。なお、上記時定数Etのマップは、例えば、時定数Etの機関回転数NEと上記KLTAに対するマップ(Et=f7(NE,KLTA))、あるいは時定数Etの機関回転数NE、スロットル弁開度θt、EGR弁開度STPに対するマップ(Et=f8(NE,θt,STP))等である。
【0083】
なお、以上の説明においては、EGR弁機構付きの内燃機関を例にとって説明したが、本発明の上記容積Vを可変とする考え方はこれに限定されるものではなく、例えば図12に示したようなバキュームタンクシステムを備える内燃機関に対しても適用することができる。
【0084】
図12は、バキュームタンクシステムを備えた内燃機関についての図2と同様の図である。図12に示された内燃機関の構成は、EGR機構がバキュームタンクシステムに変更されていることを除いて図1及び図2に示されたものと同じである。図12中、25はバキュームタンク、26は逆止弁、27は制御弁を示す。逆止弁26はバキュームタンク25から上記吸気管部分13´へ向かう流れのみを許容する。すなわち、逆止弁26は上記吸気管部分13´内に生じる吸気負圧によって開き、バキュームタンク25内の気体が上記吸気管部分13´へと流入する。そしてこれによってバキュームタンク25内に負圧が発生することになる。制御弁27のバキュームタンク25が連結される端部とは反対側の端部にはバキュームタンク25内に生ずる負圧を利用して駆動される被駆動機器(例えばバルブ)等が連結され得る。制御弁27が開かれるとバキュームタンク25内の負圧によって被駆動機器側からバキュームタンク25内に気体が流れ込み、その結果として被駆動機器が駆動される。制御弁27を制御することでその被駆動機器を制御することができる。なお、制御弁27は対応する駆動回路39を介して出力ポート37へ接続されており、ECU31からの信号によって制御することができる。
【0085】
上述したようなバキュームタンクシステムは、制御弁27を介してバキュームタンク25内へ気体が導入され、逆止弁26を介して上記吸気管部分13´内に気体が流入せしめられることを考慮すると、流体モデルとして見た場合、先に説明したEGR機構の場合と類似した構成となっていることがわかる。すなわち、制御弁27がEGR弁22、バキュームタンク25がEGR弁下流側部分23´、逆止弁26が絞り部24にそれぞれ対応する。
【0086】
したがって、図12に示したようなバキュームタンクシステムを備えた内燃機関においても上述した数13及び数14(すなわち、数15及び数16)に基づいて吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmとが算出されることになる。この場合、上述した対応関係からも明らかなように、各式中のmegrは制御弁27を通過する気体流量に、Teはその気体の温度に置換される。
【0087】
そして、この場合においてもモデル化の対象となる部分の容積Vを可変とすることで、算出される吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmの精度を向上することができる。すなわち、逆止弁26が完全に閉じている場合には上記容積Vは上記吸気管部分13´の容積Vmのみとすることができると考えられるが、逆止弁26が開いている場合には逆止弁26は上述したEGR機構の絞り部24と同様に作用すると考えられ、上述した他の実施形態と同様に上記容積Vを変化せしめることで吸気管内圧力Pmと吸気管内温度Tmの算出精度の向上を図ることができる。
【0088】
ここで、逆止弁26は、上記吸気管部分13´内の圧力Pmがバキュームタンク内の圧力Pvよりも所定圧力ΔPvだけ高い時(Pm≧Pv+ΔPv)には完全に閉じられている一方、開く場合には上記圧力Pmが上記Pvよりも小さくなった時(Pm<Pv)に開き始めるという特性がある。
この特性を考慮して、本実施形態においては、Pm≧Pv+ΔPvである場合には、上記容積Vが上記吸気管部分13´の容積Vmとされて吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmが算出される一方、Pm<Pvである場合には、上述した他の実施形態の場合と同様に、上記吸気管部分13´内の圧力の変化速度の大きさvpに応じて上記容積Vが決定され、その値に基づいて吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmが算出される。上述した他の実施形態の説明から明らかであると思われるので詳細な説明は省略するが、このPm<Pvである場合には、機関回転数NEや上述したΔm等に基づいて適切な上記容積Vを決定するマップが作成され、これに基づいて決定された上記容積Vを用いて数15及び数16から吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmが算出され得る。
【0089】
ところで、上述した数15及び数16によって実際に吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmを求めるためには、スロットル弁通過空気流量mt、EGR弁通過ガス流量megr、筒内吸入ガス流量mcを求める必要がある。実際、これらの値は様々な方法で求めることが可能であり、以下ではこれらの値を求める方法の例について簡単に説明する。
【0090】
まず、これらのうちスロットル弁通過空気流量mt及び筒内吸入ガス流量mcについては、上述したスロットル弁モデルM21及び吸気弁モデル23と同様の考え方を適用して求めることが出来る。すなわち、上述の数8(数1)及び数11(数7)に基づいて算出することが可能である。
【0091】
一方、EGR弁通過ガス流量megrについては、上述したスロットル弁モデルM21の考え方を応用することにより、数1に対応し以下の数18が得られる。
【0092】
【数18】
【0093】
ここで、μeはEGR弁22における流量係数を、AeはEGR弁22における開口断面積を、Φ(Pm/Pe)はPm/Peの関数を、それぞれ表している。なお、流量係数μe及び開口断面積AeはEGR弁22の開度STPによって定まる値である。
【0094】
また、関数Φ(Pm/Pe)は、上述した数2と同様に、比熱比κを用いて以下の数19により表される。
【0095】
【数19】
【0096】
そして、これらの式に、排気圧センサ41から得られる排気圧Pe、排気温センサ42から得られる排気温Te、数15及び数16から得られる吸気管内圧力Pm等を代入することでEGR弁通過ガス流量megrを求めることができる。
【0097】
なお、数15及び数16におけるEGR弁通過ガス流量megrは、より厳密には上記のモデル化の対象となる部分の容積Vに流入するEGRガス流量を意味しているのに対し、上記数18で求められる流量megrは、上述の説明から明らかなように、上流側圧力がPe、下流側圧力がPmである場合にEGR弁22を通過するガス流量を示している。したがって、上記EGR弁下流側部分23´等が上記容積Vに含まれない場合には、上記数18で求められる流量は数15及び数16で用いられるべき流量とは厳密には異なる値になると考えられる。しかしながら、EGR弁22を通過するガス流量と絞り部24を通過するガス流量とは概ね一致するので、上記数18により求められるEGR弁通過ガス流量megrを用いることによって、一定の精度を保ちつつ、モデル及び計算の複雑化を避けることが可能となる。なお、当然のことながら他の方法により数15及び数16で用いられる流量megrを求めても良い。
【0098】
次に更に他の実施形態について説明する。これまでに説明した実施形態の算出装置においては、図2におけるEGR弁下流側部分23´や図12におけるバキュームタンク25等の存在を、上記吸気管部分13´内の圧力Pmや温度Tmを求める際にエネルギー保存則及び質量保存側で用いられる容積Vを可変にすることによって考慮し、上記圧力Pm及び温度Tmの算出精度の向上を図っている。すなわち、これまでに説明した実施形態においては、上記EGR弁下流側部分23´や上記バキュームタンク25と、上記吸気管部分13´とが一体的に考えられている。これに対し、本実施形態の算出装置では、上記EGR弁下流側部分23´や上記バキュームタンク25と、上記吸気管部分13´とが別々に捉えられ、それぞれについて別個にモデル化することにより、上記圧力Pm及び温度Tmの算出精度の向上が図られる。この方法は、図1及び図2に示されたようなEGR機構付きの内燃機関の場合にも、また図12に示されたようなバキュームタンクシステムを備えた内燃機関の場合にも実施可能であるが、以下ではEGR機構付きの内燃機関の場合を例にとって説明する。
【0099】
すなわち、図1及び図2に示されるようなEGR機構付きの内燃機関において、上記EGR弁下流側部分23´内の温度をTgとし、絞り部24を通過するガス流量をmegriとすると、上記吸気管部分13´に対して上述した数13及び数14と同様に以下の数20及び数21が得られる。
【0100】
【数20】
【0101】
【数21】
【0102】
また、絞り部通過ガス流量megriは、上述した数1の場合と同様にして以下の数22により表すことができる。
【0103】
【数22】
【0104】
ここで、Pgは上記EGR弁下流側部分23´内の圧力を、μsは絞り部24における流量係数を、Asは絞り部24における開口断面積を、Φ(Pm/Pg)はPm/Pgの関数を、それぞれ表している。なお、流量係数μs及び開口断面積Asはそれぞれ定数となる。
【0105】
また、関数Φ(Pm/Pg)は、上述した数2と同様に、比熱比κを用いて以下の数23により表される。
【0106】
【数23】
【0107】
同様にして、上記EGR弁下流側部分23´に対しては上記数13及び数14ならびに上記数20及び数21に対応して以下の数24、数25が成立する。
【0108】
【数24】
【0109】
【数25】
【0110】
そして、EGR弁通過ガス流量megrについては、上述した数18及び数19とほぼ同様であるが、本実施形態においてはEGR弁22の下流側の圧力をPgとして求めるために、以下の数26及び数27のようになる。
【0111】
【数26】
【0112】
【数27】
【0113】
すなわち、これら数26及び数27を数18及び数19と比較すると、数18及び数19における吸気管内圧力Pmが数26及び数27では上記EGR弁下流側部分23´内の圧力Pgに置き換えられている。
【0114】
ここで、上記数20、数21、数22、数24、数25、数26を上述の数8から数10を求めたのと同様に離散化すると以下の数28、数29、数30、数31、数32、数33が得られる。
【0115】
【数28】
【0116】
【数29】
【0117】
【数30】
【0118】
【数31】
【0119】
【数32】
【0120】
【数33】
【0121】
そして、これらの式並びに上述の数8及び数11等に基づいて吸気管内圧力Pm及び温度Tm並びにEGR弁下流側部分内圧力Pg及び温度Tgがそれぞれ算出される。この算出方法については本明細書におけるこれまでの説明から概ね明らかであると思われるので詳細な説明は省略するが、以下で簡単に説明する。
【0122】
すなわち、時刻t=t+Δtにおける吸気管内圧力Pm及び温度Tm、並びにEGR弁下流側部分内圧力Pg及び温度Tgは、時刻t=tにおけるPm及びTm並びにPg及びTg等を用いて数8、数11、数30、数33から求められた値を数28、数29、数31、数32に代入することにより求めることができる。したがって、数8、数11、数30、数33から求められた値を数28、数29、数31、数32へ代入し、またそこで求められたPm及びTm並びにPg及びTgを数8、数11、数30、数33へ代入して新たに数28、数29、数31、数32へ代入する値を求めるという計算を繰り返すことによって、任意の時刻における吸気管内圧力Pm及び温度Tm並びにEGR弁下流側部分内圧力Pg及び温度Tgを求めることができる。
【0123】
なお、時刻t=0においては、吸気管内圧力Pm及びEGR弁下流側部分内圧力Pgが大気圧と等しく(Pm(0)=Pg(0)=Pa)、吸気管内温度Tm及びEGR弁下流側部分内温度Tgは大気温と等しい(Tm(0)=Tg(0)=Ta)として計算が開始される。
【0124】
以上、説明したように、本実施形態によれば、上記EGR弁下流側部分23´と、上記吸気管部分13´とが別個にモデル化され、エネルギー保存則及び質量保存則の適用対象となる部分の容積も別々に且つ正確に設定されることになるので、吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの算出精度を一層向上することができる。
【0125】
なお、以上の各実施形態の説明においては吸気管内圧力Pm及び吸気管内温度Tmの両方を算出するように説明したが、何れか一方のみを算出するようにしてもよい。例えば、吸気管内温度Tmを大気温Taと等しいとして吸気管内圧力Pmのみを算出するようにしてもよい。
【0126】
【発明の効果】
各請求項に記載の発明は、スロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管部分に絞り手段を介して気体が導入される内燃機関においても吸気管内圧力と吸気管内温度のうちの少なくとも一方を精度良く算出することができるという共通の効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態の算出装置を備えた内燃機関全体を示す説明図である。
【図2】図1の内燃機関の一気筒について示した説明図である。
【図3】EGR機構を備えていない内燃機関に適用可能な吸入ガス量モデルを示す図である。
【図4】スロットル弁開度と流量係数との関係を示す図である。
【図5】関数Φ(Pm/Pa)を示す図である。
【図6】スロットルモデルの基本概念を示す図である。
【図7】EGR機構を備えていない内燃機関に適用可能な吸気管モデルの基本概念を示す図である。
【図8】吸気弁モデルの基本概念を示す図である。
【図9】筒内充填ガス量及び筒内吸入ガス流量の定義に関する図である。
【図10】係数qと機関回転数NEとの関係を示す線図(マップ)の一例である。
【図11】容積Vと同容積V内の総気体質量の変化量Δmとの関係を示す線図(マップ)の一例である。
【図12】バキュームタンクシステムを備えた内燃機関についての図2と同様の図である。
【符号の説明】
1…機関本体
5…燃焼室
6…吸気弁
7…吸気ポート
8…排気弁
11…燃料噴射弁
13…吸気枝管
18…スロットル弁
22…EGR弁
Claims (7)
- 内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管部分に接続されている気体流通手段であって、該気体流通手段の上流側端部に設けられた第1の絞り手段を介して気体が導入され、上記気体流通手段の下流側端部に設けられた第2の絞り手段を介して上記吸気管部分へと気体を流入せしめる気体流通手段を具備した内燃機関において上記吸気管部分内の圧力と温度のうちの少なくとも一方をエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出する装置であって、エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる容積の値が上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさに応じて変化せしめられることを特徴とする算出装置。
- 上記気体流通手段が燃焼室から排気通路に排出された排気ガスの少なくとも一部を吸気通路に流入させる排気再循環通路の一部であり、上記第1の絞り手段が上記排気再循環通路を通る排気ガスの流量を調整すべく上記排気再循環通路に設けられた制御弁であり、上記第2の絞り手段が上記制御弁よりも下流において上記排気再循環通路に設けられた絞り部であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- エネルギー保存則及び質量保存則で用いられる上記容積の値は、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが小さい時には、上記吸気管部分の容積と上記制御弁から上記絞り部に至るまでの上記排気再循環通路の容積とを合わせたものとされ、上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさが大きい時には、上記吸気管部分の容積とされることを特徴とする、請求項2に記載の装置。
- 上記気体流通手段が上記吸気管部分へ気体を流入せしめることで内部に負圧を発生するバキュームタンクであり、上記第1の絞り手段が上記バキュームタンクの負圧を利用するために制御される制御弁であり、上記第2の絞り手段が上記吸気管部分と上記バキュームタンクとの間に設けられた逆止弁であることを特徴とする請求項1に記載の装置。
- 上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさを表すパラメータとして機関回転数が用いられることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
- 上記吸気管部分内の圧力の変化速度の大きさを表すパラメータとして一定期間内における上記吸気管部分内の総気体質量の変化量が用いられることを特徴とする請求項1から4の何れか一項に記載の装置。
- 内燃機関の吸気通路のうちのスロットル弁から吸気弁に至るまでの吸気管部分に接続されている気体流通手段であって、該気体流通手段の上流側端部に設けられた第1の絞り手段を介して気体が導入され、上記気体流通手段の下流側端部に設けられた第2の絞り手段を介して上記吸気管部分へと気体を流入せしめる気体流通手段を具備した内燃機関において、上記吸気管部分内の圧力と温度のうちの少なくとも一方を上記吸気管部分の容積を用いてエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出し、上記第1の絞り手段から上記第2の絞り手段に至るまでの上記気体流通手段内の圧力と温度のうちの少なくとも一方を上記気体流通手段内の容積を用いてエネルギー保存則及び質量保存則に基づいて算出することを特徴とする装置。
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