JP2004197462A - 法枠部材及び法面の構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単な構造で、かつ破損しにくい法枠部材及び法面の構造を提供すること。
【解決手段】短冊状材料の長手方向と略直交する横断面を円弧状に成形した法枠部材1を法面の上下左右方向に複数配置した法面の構造であって、前記法枠部材の短辺12の集結地点に連結体5を配置して複数の法枠部材を連結し、前記連結体をアンカーピン2で固定し、前記法枠部材に囲まれた空間に間詰材を配置することを特徴とする構造である。
【選択図】 図1
【解決手段】短冊状材料の長手方向と略直交する横断面を円弧状に成形した法枠部材1を法面の上下左右方向に複数配置した法面の構造であって、前記法枠部材の短辺12の集結地点に連結体5を配置して複数の法枠部材を連結し、前記連結体をアンカーピン2で固定し、前記法枠部材に囲まれた空間に間詰材を配置することを特徴とする構造である。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面を保護するために配置する法枠部材及び法面の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から法面を保護するために、法面に固定した法枠内に植生基盤材を配置する方法が実施されている。
植生基盤材とは、有機質あるいは無機質の基材、例えばバーク堆肥、ピートモス、砂、土、肥料、客土など植物の生育に必要な材料をいう。この植生基盤材を吹き付けによって配置するには、これらの材料と、高分子系樹脂やアスファルト乳剤などの接合剤、種子、水を混合して、モルタル吹付け用ガンなどによって法面に吹き付ける。また、植生基盤材を土嚢袋等に充填して配置する方法もある。
そして、この植生基盤材の滑落や侵食を防止するために配置する法枠は、帯状又は短冊状の金網又はエキスパンドメタル等を組み合わせて構築する。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
前記した従来の法枠及び法面の構造にあっては、次のような問題点がある。
<イ>従来から使用されている法枠は、多くの部材を組み合わせて構築するものが一般的である。このため、組み立て手間や材料費がかかる。
<ロ>法枠を構成する金網等は、平板状の材料が使用される。この平板状の金網等を法面に対して垂直に配置すると、植生基盤材の重みで金網等が撓んだり、変形したりして、法枠と配置した植生基盤材の間に隙間ができることがある。隙間ができるとそこから雨水などが浸入して侵食されやすくなる。
<ハ>法面に木本類を植栽して緑化する場合、草本類で緑化する他の部分とは別の部材を使用して、ポケット状の植栽部を構築していた。このため、木本類を植栽する箇所だけ作業が別になり手間がかかった。また、他の草本類で緑化した部分と調和をとるのが難しかった。
【0004】
【本発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、簡単な構造で、かつ破損しにくい法枠部材及び法面の構造を提供することを目的とする。
また、植生基盤材の法面への定着性を向上できる法枠部材及び法面の構造を提供することを目的とする。特に、木本類の植栽が可能となるように植生基盤材を厚く配置できる法枠部材及び法面の構造を提供することを目的とする。
さらに、少ない材料で容易に構築できる法面の構造及び法面保護方法を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の法枠部材は、法面を保護するために設置する法枠部材であって、短冊状材料の長手方向と略直交する横断面を円弧状に成形したことを特徴とするものである。また、前記短冊状材料に成形した円弧状断面の端部間を接続する拘束具を、前記短冊状材料の長手方向に所定の間隔をおいて配置することができる。
そして、上記の法枠部材において、前記短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化するものを使用することができる。例えば、平面形が台形となる法枠部材を使用することができる。
【0006】
また、本発明の法面の構造は、上記の法枠部材を法面の上下左右方向に複数配置した法面の構造であって、前記法枠部材の短辺の集結地点に連結体を配置して複数の法枠部材を連結し、前記連結体をアンカーピンで固定し、前記法枠部材に囲まれた空間に間詰材を配置することを特徴とする構造である。ここで、間詰材には、吹付けや土嚢袋に充填して配置する植生基盤材、栗石などが使用できる。また、短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化する法枠部材を、木本類を植栽する箇所にのみ部分的に配置することができる。この場合は、例えば台形の法枠部材の幅広となる短辺を下方に向けて配置し、前記連結体を頂点に二辺を形成するように二枚一組で台形の法枠部材を使用し、前記した二枚の法枠部材に挟まれた空間に木本類を植栽する。
【0007】
【本発明の実施の形態1】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態1について説明する。
【0008】
<イ>適用条件
本発明は、法面3上に法枠部材1を設置して法枠を構築した法面の構造に適用する。
本発明の適用できる法面3は、例えば、岩盤法面、モルタル若しくはコンクリートが吹き付けられた法面、切土法面、盛土法面又は自然斜面などである。
そして、法枠部材1で囲まれた空間に植生基盤材を配置すれば斜面を緑化することができる。また、湧水の多い斜面や、水辺の斜面においては、栗石を配置して法面保護や護岸をおこなうことができる。
【0009】
<ロ>法枠部材
法枠部材1は、法面3に設置する枠材である。
本発明の法枠部材1は、クリンプ金網や溶接金網等の金網、エキスパンドメタル、合成樹脂製ネット、有孔の板材又は穴の無い板材を短冊状に成形した材料で製作する。
法枠部材1は、長手方向と略直交する方向に曲率を設け、横断面を円弧状に成形する。例えば、短冊状材料を半円筒型にプレスして円弧状に成形する。また、後述する連結体5に取り付ける段階で、円弧状に成形することもできる。
また、必要に応じて円弧状断面の端部間を接続する拘束具11を配置する。この拘束具11によって、載荷時の円弧の広がりを拘束することができる。拘束具11を配置する場合は、例えば両端を鋭角に折り曲げた針金などからなる拘束具11を、法枠部材1の長手方向に所定の間隔をおいて引っ掛けるようにして配置する(図5参照)。図5に示した拘束具11は円弧の広がりを抑えるための形状を有するものであるが、円弧の広がりと共に縮小も抑えることを目的とする場合は、鋼棒などからなる拘束具11の両端を溶接などによって円弧状断面の端部に固定する。
【0010】
<ハ>連結体
連結体5は、複数の法枠部材1を連結するために配置する部材である。
連結体5は、例えば中空の筒状の部材であり、円筒形の鋼管、断面が多角形の角柱管、矩形管、コイル部材等が使用できる。連結体5の中空部には、例えばアンカーピン2を挿入して、連結体5を法面3に固定する。なお、連結体5は中空材に限定されるものではない。
連結体5は、法枠部材1の短辺12が集結する地点に配置し、複数の法枠部材1,1,1,1を連結する(図2参照)。このため、コイル部材のように直接、法枠部材1を連結できる材料を連結体5として使用しない場合は、連結体5に連結具51を設ける。
【0011】
例えば、断面がL字型をした連結具51aを使用することができる(図2参照)。法枠部材1は横断面が円弧状に成形されているため、短辺12より狭い間隔で連結具51aを配置しておけば、断面がL字型をした連結具51aであっても留めることができる。法枠部材1は、連結具51aの面内であればどの位置でも留めることができる。また、連結具51aの内面に突起を設けたり、ボルトとナットを配置したりして連結した法枠部材1が外れるのを防止することができる。また、断面がコの字型をした連結具51を使用することもできる(図示せず)。
また、短辺12の中央部付近を固定するために、中間連結具53を配置することもできる(図2,3参照)。例えば、中間連結具53によって円弧の頂点付近を挟んで固定すれば、法枠部材1の円弧状の断面形が崩れにくくなる。
【0012】
図4には嵌め込み式の連結具51bの実施例を示す。まず、法枠部材1の端部を、開いた連結具51bに差し込む(図4(a))。そして、差し込まれた法枠部材1を連結具51bで挟み込む。連結具51bに設けた止め具52は、法枠部材1の穴を通って連結具51bの対向部に係留される。
【0013】
以上に述べた部材の他に、連結具51,53には先端部にフックを有する金具や長孔を有する座金とボルト・ナットで構成する係留具等の公知の止め金具が使用できる。連結具51,53は、連結する法枠部材1の短辺12の留め位置が、法枠部材1の長手方向に調整できるものを使用するのが好ましい。法面3に連結体5を配置した場合、法面の地形や凹凸又は施工誤差等で連結体5間の距離を正確に一定に配置することが難しい。このため同じ長さの法枠部材1を使用するには、連結具51,53において連結位置の調整が容易に出来ることが好ましい。
【0014】
<ニ>施工方法
まず、法枠部材1の設置ができるように、必要に応じて法面3を整形する。法面3には、必要に応じて金網やラス網等を敷設する。
また、法面3の表面にモルタルなどが吹き付けられている場合は、所定の間隔で直径40mm程度の抜穴を設けるのが好ましい。この抜穴によって、後述するアンカーピン2の打設が容易となるばかりでなく、植生基盤材への地山からの水分の供給が可能となる。また、植物の根が地山に伸びていきやすい法面の構造とすることができる。
【0015】
次に、所定の間隔で連結体5を仮配置する。例えば、法枠部材1に囲まれる空間を、平面形が菱形になるようにする場合は、連結体5を千鳥配置する。
法枠部材1は仮止めした連結体5間に配置し、連結体5と法枠部材1を連結する。法面3に金網等が敷設してある場合は、法枠部材1を金網等に仮止めすることができる。法枠部材1は、例えば平面形が長方形で、長手方向の長さが1000mm、幅が100〜300mm程度の部材が使用できる。
そして、連結体5の中空部にアンカーピン2を打設して法面3に固定する。
【0016】
所定の段数について法枠部材1の配置を繰り返すことによって、法枠部材1を配置した升目を有する法面の構造が構築される。この法枠部材1で囲まれた升目の空間に植生基盤材や栗石などの間詰材4を配置する。なお、法枠部材1の山側には、土砂流出防止用の公知のシート等を必要に応じて配置する。
植生基盤材は、モルタル吹付け用ガンなどで吹き付けることも、土嚢袋等に充填して配置することもできる。
円弧状の横断面を有する法枠部材1は構造的に強いため、間詰材4の重みにも耐えることができる。
【0017】
【本発明の実施の形態2】
以上、実施の形態1では、平面が長方形の短冊状の法枠部材1を一律に法面3に配置する場合について述べた。次に、実施の形態2では、短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化する法枠部材6を使用する場合について説明する。なお、実施の形態1と同様の内容については記載を省略する。
【0018】
<イ>幅の変化する法枠部材
実施の形態2で説明する法枠部材6は、短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化する部材である。例えば、平面形が台形や三角形となる部材が該当する。平面形以外の横断面を円弧状に成形した点や拘束具11が配置できる点などは実施の形態1の法枠部材1と同様である。
この法枠部材6は、木本類を植栽する場合など植生基盤材を法面3に厚く配置したいときに使用する。このため、木本類を植栽する箇所にのみ法枠部材6を使用することができる(図5,6参照)。
また、急勾配法面3の見かけの勾配を緩やかにするために法枠部材6を使用することができる(図6参照)。台形型の法枠部材6を使用した場合、台形の短い方の短辺61を上方に、長いほうの短辺62を下方に向けて配置すると、表面の勾配が部分的に法面3の勾配より緩やかになる。このため、連続して法枠部材6を使用することで見かけの勾配を緩やかにすることができる。
また、崩落や浮石の除去により法面3に陥没部が発生した場合に、部分的に法枠部材6を配置することもできる。
【0019】
<ロ>台形型の法枠部材6の施工方法(図5)
台形型の法枠部材6は短辺61,62の長さが異なるため、2種類の連結体5a,5bを使用することになる。なお、異なる長さの短辺61,62の両方に対応できるように連結具51の取り付け数を増やすことで、連結体5の種類を1種類にすることもできる。例えば、短いほうの短辺61の幅が100〜300mm、幅広となる長いほうの短辺62の幅が300〜400mm、長手方向の長さ(短辺61,62間の距離)が1000mm程度の法枠部材6が使用できる。
法枠部材6は、2枚を1組にして使用する。短いほうの短辺61を上方に向け、長いほうの短辺62を下方の連結体5bに向けて配置する。そして、連結体5bを頂点に二辺を形成するように2枚の法枠部材6を配置する。この幅広の2枚の法枠部材6で挟まれた空間が、厚く配置する植生基盤材を受ける受け部を形成する。そして、この植生基盤材が厚く配置される空間に、木本類を植栽する。
【0020】
【本発明の効果】
本発明の法枠部材及び法面の構造及は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>横断面が円弧状の構造的に優れた法枠部材を使用する場合は、破損しにくく植生基盤材の滑落荷重に充分耐えることができる。この結果、植生基盤材の法面への定着性を向上できる。
<ロ>軽量で取り扱い易い法枠部材を組み合わせて法枠を構築する。このため、容易に法枠を構築することができる。特に、法面の構造を構築するために使用する部品数が少ないため、容易に法面の構造を構築できる。
<ハ>木本類を植栽したい箇所には、幅の変化する法枠部材を配置すればよい。このため任意の箇所に容易に木本類を植栽することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の法枠部材を配置した実施例の斜視図。
【図2】複数の法枠部材の集結地点の実施例の拡大斜視図。
【図3】連結体に法枠部材を連結した実施例の断面図。
【図4】連結具の連結作業の実施例の説明図。
【図5】台形型の法枠部材を配置した実施例の斜視図。
【図6】台形型の法枠部材を連続して配置した実施例の断面図。
【符号の説明】
1・・・法枠部材
11・・拘束具
12・・短辺
2・・・アンカーピン
3・・・法面
4・・・間詰材
5・・・連結体
6・・・法枠部材
【発明の属する技術分野】
本発明は、法面を保護するために配置する法枠部材及び法面の構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来から法面を保護するために、法面に固定した法枠内に植生基盤材を配置する方法が実施されている。
植生基盤材とは、有機質あるいは無機質の基材、例えばバーク堆肥、ピートモス、砂、土、肥料、客土など植物の生育に必要な材料をいう。この植生基盤材を吹き付けによって配置するには、これらの材料と、高分子系樹脂やアスファルト乳剤などの接合剤、種子、水を混合して、モルタル吹付け用ガンなどによって法面に吹き付ける。また、植生基盤材を土嚢袋等に充填して配置する方法もある。
そして、この植生基盤材の滑落や侵食を防止するために配置する法枠は、帯状又は短冊状の金網又はエキスパンドメタル等を組み合わせて構築する。
【0003】
【本発明が解決しようとする課題】
前記した従来の法枠及び法面の構造にあっては、次のような問題点がある。
<イ>従来から使用されている法枠は、多くの部材を組み合わせて構築するものが一般的である。このため、組み立て手間や材料費がかかる。
<ロ>法枠を構成する金網等は、平板状の材料が使用される。この平板状の金網等を法面に対して垂直に配置すると、植生基盤材の重みで金網等が撓んだり、変形したりして、法枠と配置した植生基盤材の間に隙間ができることがある。隙間ができるとそこから雨水などが浸入して侵食されやすくなる。
<ハ>法面に木本類を植栽して緑化する場合、草本類で緑化する他の部分とは別の部材を使用して、ポケット状の植栽部を構築していた。このため、木本類を植栽する箇所だけ作業が別になり手間がかかった。また、他の草本類で緑化した部分と調和をとるのが難しかった。
【0004】
【本発明の目的】
本発明は上記したような従来の問題を解決するためになされたもので、簡単な構造で、かつ破損しにくい法枠部材及び法面の構造を提供することを目的とする。
また、植生基盤材の法面への定着性を向上できる法枠部材及び法面の構造を提供することを目的とする。特に、木本類の植栽が可能となるように植生基盤材を厚く配置できる法枠部材及び法面の構造を提供することを目的とする。
さらに、少ない材料で容易に構築できる法面の構造及び法面保護方法を提供することを目的とする。
本発明は、これらの目的の少なくとも一つを達成するものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本発明の法枠部材は、法面を保護するために設置する法枠部材であって、短冊状材料の長手方向と略直交する横断面を円弧状に成形したことを特徴とするものである。また、前記短冊状材料に成形した円弧状断面の端部間を接続する拘束具を、前記短冊状材料の長手方向に所定の間隔をおいて配置することができる。
そして、上記の法枠部材において、前記短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化するものを使用することができる。例えば、平面形が台形となる法枠部材を使用することができる。
【0006】
また、本発明の法面の構造は、上記の法枠部材を法面の上下左右方向に複数配置した法面の構造であって、前記法枠部材の短辺の集結地点に連結体を配置して複数の法枠部材を連結し、前記連結体をアンカーピンで固定し、前記法枠部材に囲まれた空間に間詰材を配置することを特徴とする構造である。ここで、間詰材には、吹付けや土嚢袋に充填して配置する植生基盤材、栗石などが使用できる。また、短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化する法枠部材を、木本類を植栽する箇所にのみ部分的に配置することができる。この場合は、例えば台形の法枠部材の幅広となる短辺を下方に向けて配置し、前記連結体を頂点に二辺を形成するように二枚一組で台形の法枠部材を使用し、前記した二枚の法枠部材に挟まれた空間に木本類を植栽する。
【0007】
【本発明の実施の形態1】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態1について説明する。
【0008】
<イ>適用条件
本発明は、法面3上に法枠部材1を設置して法枠を構築した法面の構造に適用する。
本発明の適用できる法面3は、例えば、岩盤法面、モルタル若しくはコンクリートが吹き付けられた法面、切土法面、盛土法面又は自然斜面などである。
そして、法枠部材1で囲まれた空間に植生基盤材を配置すれば斜面を緑化することができる。また、湧水の多い斜面や、水辺の斜面においては、栗石を配置して法面保護や護岸をおこなうことができる。
【0009】
<ロ>法枠部材
法枠部材1は、法面3に設置する枠材である。
本発明の法枠部材1は、クリンプ金網や溶接金網等の金網、エキスパンドメタル、合成樹脂製ネット、有孔の板材又は穴の無い板材を短冊状に成形した材料で製作する。
法枠部材1は、長手方向と略直交する方向に曲率を設け、横断面を円弧状に成形する。例えば、短冊状材料を半円筒型にプレスして円弧状に成形する。また、後述する連結体5に取り付ける段階で、円弧状に成形することもできる。
また、必要に応じて円弧状断面の端部間を接続する拘束具11を配置する。この拘束具11によって、載荷時の円弧の広がりを拘束することができる。拘束具11を配置する場合は、例えば両端を鋭角に折り曲げた針金などからなる拘束具11を、法枠部材1の長手方向に所定の間隔をおいて引っ掛けるようにして配置する(図5参照)。図5に示した拘束具11は円弧の広がりを抑えるための形状を有するものであるが、円弧の広がりと共に縮小も抑えることを目的とする場合は、鋼棒などからなる拘束具11の両端を溶接などによって円弧状断面の端部に固定する。
【0010】
<ハ>連結体
連結体5は、複数の法枠部材1を連結するために配置する部材である。
連結体5は、例えば中空の筒状の部材であり、円筒形の鋼管、断面が多角形の角柱管、矩形管、コイル部材等が使用できる。連結体5の中空部には、例えばアンカーピン2を挿入して、連結体5を法面3に固定する。なお、連結体5は中空材に限定されるものではない。
連結体5は、法枠部材1の短辺12が集結する地点に配置し、複数の法枠部材1,1,1,1を連結する(図2参照)。このため、コイル部材のように直接、法枠部材1を連結できる材料を連結体5として使用しない場合は、連結体5に連結具51を設ける。
【0011】
例えば、断面がL字型をした連結具51aを使用することができる(図2参照)。法枠部材1は横断面が円弧状に成形されているため、短辺12より狭い間隔で連結具51aを配置しておけば、断面がL字型をした連結具51aであっても留めることができる。法枠部材1は、連結具51aの面内であればどの位置でも留めることができる。また、連結具51aの内面に突起を設けたり、ボルトとナットを配置したりして連結した法枠部材1が外れるのを防止することができる。また、断面がコの字型をした連結具51を使用することもできる(図示せず)。
また、短辺12の中央部付近を固定するために、中間連結具53を配置することもできる(図2,3参照)。例えば、中間連結具53によって円弧の頂点付近を挟んで固定すれば、法枠部材1の円弧状の断面形が崩れにくくなる。
【0012】
図4には嵌め込み式の連結具51bの実施例を示す。まず、法枠部材1の端部を、開いた連結具51bに差し込む(図4(a))。そして、差し込まれた法枠部材1を連結具51bで挟み込む。連結具51bに設けた止め具52は、法枠部材1の穴を通って連結具51bの対向部に係留される。
【0013】
以上に述べた部材の他に、連結具51,53には先端部にフックを有する金具や長孔を有する座金とボルト・ナットで構成する係留具等の公知の止め金具が使用できる。連結具51,53は、連結する法枠部材1の短辺12の留め位置が、法枠部材1の長手方向に調整できるものを使用するのが好ましい。法面3に連結体5を配置した場合、法面の地形や凹凸又は施工誤差等で連結体5間の距離を正確に一定に配置することが難しい。このため同じ長さの法枠部材1を使用するには、連結具51,53において連結位置の調整が容易に出来ることが好ましい。
【0014】
<ニ>施工方法
まず、法枠部材1の設置ができるように、必要に応じて法面3を整形する。法面3には、必要に応じて金網やラス網等を敷設する。
また、法面3の表面にモルタルなどが吹き付けられている場合は、所定の間隔で直径40mm程度の抜穴を設けるのが好ましい。この抜穴によって、後述するアンカーピン2の打設が容易となるばかりでなく、植生基盤材への地山からの水分の供給が可能となる。また、植物の根が地山に伸びていきやすい法面の構造とすることができる。
【0015】
次に、所定の間隔で連結体5を仮配置する。例えば、法枠部材1に囲まれる空間を、平面形が菱形になるようにする場合は、連結体5を千鳥配置する。
法枠部材1は仮止めした連結体5間に配置し、連結体5と法枠部材1を連結する。法面3に金網等が敷設してある場合は、法枠部材1を金網等に仮止めすることができる。法枠部材1は、例えば平面形が長方形で、長手方向の長さが1000mm、幅が100〜300mm程度の部材が使用できる。
そして、連結体5の中空部にアンカーピン2を打設して法面3に固定する。
【0016】
所定の段数について法枠部材1の配置を繰り返すことによって、法枠部材1を配置した升目を有する法面の構造が構築される。この法枠部材1で囲まれた升目の空間に植生基盤材や栗石などの間詰材4を配置する。なお、法枠部材1の山側には、土砂流出防止用の公知のシート等を必要に応じて配置する。
植生基盤材は、モルタル吹付け用ガンなどで吹き付けることも、土嚢袋等に充填して配置することもできる。
円弧状の横断面を有する法枠部材1は構造的に強いため、間詰材4の重みにも耐えることができる。
【0017】
【本発明の実施の形態2】
以上、実施の形態1では、平面が長方形の短冊状の法枠部材1を一律に法面3に配置する場合について述べた。次に、実施の形態2では、短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化する法枠部材6を使用する場合について説明する。なお、実施の形態1と同様の内容については記載を省略する。
【0018】
<イ>幅の変化する法枠部材
実施の形態2で説明する法枠部材6は、短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化する部材である。例えば、平面形が台形や三角形となる部材が該当する。平面形以外の横断面を円弧状に成形した点や拘束具11が配置できる点などは実施の形態1の法枠部材1と同様である。
この法枠部材6は、木本類を植栽する場合など植生基盤材を法面3に厚く配置したいときに使用する。このため、木本類を植栽する箇所にのみ法枠部材6を使用することができる(図5,6参照)。
また、急勾配法面3の見かけの勾配を緩やかにするために法枠部材6を使用することができる(図6参照)。台形型の法枠部材6を使用した場合、台形の短い方の短辺61を上方に、長いほうの短辺62を下方に向けて配置すると、表面の勾配が部分的に法面3の勾配より緩やかになる。このため、連続して法枠部材6を使用することで見かけの勾配を緩やかにすることができる。
また、崩落や浮石の除去により法面3に陥没部が発生した場合に、部分的に法枠部材6を配置することもできる。
【0019】
<ロ>台形型の法枠部材6の施工方法(図5)
台形型の法枠部材6は短辺61,62の長さが異なるため、2種類の連結体5a,5bを使用することになる。なお、異なる長さの短辺61,62の両方に対応できるように連結具51の取り付け数を増やすことで、連結体5の種類を1種類にすることもできる。例えば、短いほうの短辺61の幅が100〜300mm、幅広となる長いほうの短辺62の幅が300〜400mm、長手方向の長さ(短辺61,62間の距離)が1000mm程度の法枠部材6が使用できる。
法枠部材6は、2枚を1組にして使用する。短いほうの短辺61を上方に向け、長いほうの短辺62を下方の連結体5bに向けて配置する。そして、連結体5bを頂点に二辺を形成するように2枚の法枠部材6を配置する。この幅広の2枚の法枠部材6で挟まれた空間が、厚く配置する植生基盤材を受ける受け部を形成する。そして、この植生基盤材が厚く配置される空間に、木本類を植栽する。
【0020】
【本発明の効果】
本発明の法枠部材及び法面の構造及は、以上説明したようになるから次のような効果を得ることができる。
<イ>横断面が円弧状の構造的に優れた法枠部材を使用する場合は、破損しにくく植生基盤材の滑落荷重に充分耐えることができる。この結果、植生基盤材の法面への定着性を向上できる。
<ロ>軽量で取り扱い易い法枠部材を組み合わせて法枠を構築する。このため、容易に法枠を構築することができる。特に、法面の構造を構築するために使用する部品数が少ないため、容易に法面の構造を構築できる。
<ハ>木本類を植栽したい箇所には、幅の変化する法枠部材を配置すればよい。このため任意の箇所に容易に木本類を植栽することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の法枠部材を配置した実施例の斜視図。
【図2】複数の法枠部材の集結地点の実施例の拡大斜視図。
【図3】連結体に法枠部材を連結した実施例の断面図。
【図4】連結具の連結作業の実施例の説明図。
【図5】台形型の法枠部材を配置した実施例の斜視図。
【図6】台形型の法枠部材を連続して配置した実施例の断面図。
【符号の説明】
1・・・法枠部材
11・・拘束具
12・・短辺
2・・・アンカーピン
3・・・法面
4・・・間詰材
5・・・連結体
6・・・法枠部材
Claims (5)
- 法面を保護するために設置する法枠部材であって、
短冊状材料の長手方向と略直交する横断面を円弧状に成形したことを特徴とする、
法枠部材。 - 請求項1に記載の法枠部材において、
前記短冊状材料に成形した円弧状断面の端部間を接続する拘束具を、前記短冊状材料の長手方向に所定の間隔をおいて配置したことを特徴とする、
法枠部材。 - 請求項1又は2に記載の法枠部材において、
前記短冊状材料の長手方向に略直交する方向の幅が一定の割合で変化することを特徴とする、
法枠部材。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載の法枠部材を法面の上下左右方向に複数配置した法面の構造であって、
前記法枠部材の短辺の集結地点に連結体を配置して複数の法枠部材を連結し、
前記連結体をアンカーピンで固定し、
前記法枠部材に囲まれた空間に間詰材を配置することを特徴とする、
法面の構造。 - 請求項4に記載した法面の構造において、
請求項3に記載の法枠部材を使用する場合は、その法枠部材の幅広となる短辺を下方に向けて、前記連結体を頂点に二辺を形成するように二枚一組で使用し、
前記した二枚の法枠部材に挟まれた空間に木本類を植栽することを特徴とする、
法面の構造。
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-
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- 2002-12-19 JP JP2002368561A patent/JP2004197462A/ja active Pending
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