JP2004197029A - コークス乾式消火方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】バイオマスや炭化水素化物のエネルギー源としての有効利用を図ると同時に、乾式消火装置におけるコークス歩留を向上させる。
【解決手段】冷却室2とその上部のプレチャンバー3とよりなる消火塔1を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークス9を装入し、プレチャンバー3に空気24を吹き込むか及び/又は水若しくは蒸気26を吹き込み、赤熱コークス9の有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガス27を媒体として熱交換し、廃熱ボイラー7において蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、プレチャンバー3中にバイオマス等30を投入し、廃熱ボイラー7への入熱量が目標値になるようにプレチャンバー3に吹き込む空気24の量、水若しくは蒸気26の量、バイオマス等30の投入量の1種又は2種以上を調整することを特徴とするコークス乾式消火方法。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、コークス乾式消火方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コークス炉から排出される赤熱コークスを冷却するにあたり、赤熱コークスの顕熱を回収して省エネルギーを図るためにコークス乾式消火装置(いわゆるCDQ(Coke Dry Quencher))が用いられる。
【0003】
乾式消火装置は、赤熱コークスの有する顕熱を不活性ガスにて熱交換する冷却室と、該冷却室の上部のプレチャンバーとを有する。赤熱コークスはプレチャンバーの上方からプレチャンバー内に装入される。プレチャンバーは赤熱コークス投入の時間変動を吸収し、かつ操業の安定性を得る目的で設けられている。コークスは冷却室内で不活性ガスと熱交換して200℃近くまで冷却された後、冷却室下方から一定量ずつ切り出される。熱交換後900℃に加熱された不活性ガスは冷却室の上部からリングダクトへ排出され、1次ダストキャッチャーを経てボイラーで熱回収され、循環ブロアーで再度冷却室へ圧送される。
【0004】
装入されるコークス中には揮発分や微粉コークスを含んでいる。揮発分は、燃焼性が高く循環ガス中に高い比率で含まれると異常燃焼の可能性がある。そこでプレチャンバー内に空気を吹き込むと、コークス塊中に残存する揮発分や微粉コークスを燃焼させることができる。吹き込んだ空気により赤熱コークスの表層の一部が燃えることもある。その結果、高温になった空気及び燃焼排ガスが不活性ガスに混合することにより、冷却室から排出されるガスの熱量を増大することができる。また、プレチャンバーを経て冷却室に到達するコークスの温度も上昇しているため、冷却室内で不活性ガスに回収される熱量も増大する。その結果、ボイラーでの蒸気回収量を増大することができる。
【0005】
上記プレチャンバーへの空気吹き込みにより、定常状態の乾式消火設備の運転においてボイラーにおける熱回収量を増大することができるとともに、赤熱コークスの供給量が低下したり装入する赤熱コークスの温度が低下することによって冷却室内のコークス温度が低下するような場合にも、ボイラーでの熱回収量を一定に維持することが可能になる。
【0006】
乾式消火設備において、プレチャンバー内に水若しくは蒸気を供給し、赤熱コークスとの反応により一酸化炭素及び水素ガスを多く含むガスを生成し、このガスを消火塔内で循環ガスと合流するようにした方法が知られている。循環ガス中のガス成分として回収した一酸化炭素や水素ガスは、ボイラー通過後に燃料ガスとして回収するほか、ガスのダクト内に空気を添加し、一酸化炭素や水素を燃焼させた上でボイラーで蒸気として回収することもできる。
【0007】
特許文献1に記載の発明においては、コークス乾式消火装置を用いて赤熱コークスの顕熱を蒸気として回収するコークス乾式消火方法において、第1に、ボイラーへの入熱量が目標値になるようにプレチャンバーに吹き込む空気及び/又は水若しくは蒸気の量を調整することににり、回収蒸気量を必要な量に常に一定に保つことを可能にしている。第2に、循環ガスの一部を大気放散するのでなくガス回収している場合において、消火塔からスローピングフリュー部に排出した高温の排出ガスに空気を供給し、この空気量を調整することによって、循環ガス中の一酸化炭素濃度、水素濃度又は循環ガス発熱量の目標値を回収したいガス性状として設定することで、安定した発熱量を有する回収ガスを得ることができるとしている。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−256270号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
地球温暖化問題への対応は、新エネルギーの開発・実用化、低二酸化炭素発生エネルギーへのシフト、原子力比率の向上、既存一次エネルギーの効率的かつ合理的利用、未利用エネルギーや廃棄物エネルギーの利用等で進められている。
【0010】
特にバイオマスはカーボンニュートラルであり、地球温暖化防止京都会議(COP3;The 3rd session of the conference of the Party)での国際公約を達成する意味でも積極的に利用して石油、石炭等を代替すべき資源であるといえる。バイオマスとは生物量の総称であり、FAO(国連食糧農業機関)によれば、農業系(麦わら、サトウキビ、米糠、草木等)、林業系(製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林等)、畜産系(家畜廃棄物)、水産系(水産加工残滓)、廃棄物系(生ゴミ、RDF(ゴミ固形化燃料;Refused Derived Fuel)、庭木、建築廃材、下水汚泥)等に分類される。
【0011】
また、炭化水素化廃棄物についても、積極的に利用して石油、石炭等を代替すべき資源であるといえる。炭化水素化廃棄物とは、廃プラスチック、廃タイヤ、廃油等の化石燃料系製品の廃棄物を言う。
【0012】
コークス乾式消火装置において、コークス中の揮発分や微粉コークスの燃焼及びボイラーでの蒸気回収量の増大を目的として、前述のようにプレチャンバー内に空気吹き込みを行う際においては、吹き込んだ空気によって赤熱する塊コークスもその一部が燃焼し、乾式消火装置におけるコークス歩留を低下させる要因のひとつとなっている。また、コークスが燃焼すると循環ガス中の硫黄分が上昇し、配管が腐食する原因となる。
【0013】
本発明は、バイオマスや炭化水素化廃棄物のエネルギー源としての有効利用を図ると同時に、乾式消火装置におけるコークス歩留を向上させることを第1の目的とする。
【0014】
コークス乾式消火装置において、赤熱コークスの顕熱をボイラーで蒸気エネルギーとして回収すると同時に、可燃成分を含む循環ガスの一部を回収することが行われている。特許文献1に記載の通り、プレチャンバーに吹き込む空気及び/又は水若しくは蒸気の量を調整することににり、回収蒸気量を必要な量に常に一定に保つことが可能であり、またスローピングフリュー部に供給する空気量を調整することによって循環ガス中の可燃ガス成分の発熱量、即ち回収ガスの発熱量を調整することが可能である。コークス乾式消火装置でガスを回収し、回収ガスを有効に利用するためには、さらに回収ガス量(あるいは回収ガスの発熱量×回収ガス量)を一定に保持することが重要である。本発明は、ボイラーでの回収蒸気量と回収ガス中の発熱量を一定に保持すると同時に、回収ガス量を一定に保持することのできるコークス乾式消火方法を提供することを第2の目的とする。
【0015】
【課題を解決するための手段】
即ち、本発明の要旨とするところは、以下の通りである。
(1)冷却室2とその上部のプレチャンバー3とよりなる消火塔1を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークス9を装入し、プレチャンバー3に空気24を吹き込み、赤熱コークス9の有する顕熱を冷却室2内において不活性ガス27を媒体として熱交換し、ボイラー7において蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、プレチャンバー3中に炭化水素化廃棄物を投入し、又はプレチャンバー3中に炭化水素化廃棄物及び木質系及び/若しくは農業系バイオマスを投入することを特徴とするコークス乾式消火方法。
(2)冷却室2とその上部のプレチャンバー3とよりなる消火塔1を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークス9を装入し、プレチャンバー3に水若しくは蒸気26及び空気24を吹き込み、赤熱コークス9の有する顕熱を冷却室2内において不活性ガス27を媒体として熱交換し、ボイラー7において蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、プレチャンバー3中に木質系バイオマス、農業系バイオマス、炭化水素化廃棄物の1種又は2種以上(以下「バイオマス等30」という。)を投入することを特徴とするコークス乾式消火方法。
(3)冷却室2とその上部のプレチャンバー3とよりなる消火塔1を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークス9を装入し、プレチャンバー3に空気24を吹き込むか又は空気及び水若しくは蒸気26を吹き込み、赤熱コークス9の有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガス27を媒体として熱交換し、ボイラー7において蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、プレチャンバー3中にバイオマス等30を投入し、ボイラーの蒸気発生量又はボイラー7への入熱量が目標値になるようにプレチャンバー3に吹き込む空気24(以下「PC空気24」という。)の量、水若しくは蒸気26(以下「PC水・蒸気26」という。)の量、バイオマス等30の投入量の1種又は2種以上を調整することを特徴とするコークス乾式消火方法。
(4)消火塔1から排出した高温の排出ガス22に、ボイラー7に至るまでの間に空気25を供給し(以下「SF空気25」という。)、SF空気25の供給量は、循環ガス中の可燃ガス成分及び酸素の濃度を一定に保つように定めることを特徴とする上記(3)に記載のコークス乾式消火方法。
(5)冷却室2とその上部のプレチャンバー3とよりなる消火塔1を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークス9を装入し、プレチャンバー3に空気24を吹き込むか又は空気及び水若しくは蒸気26を吹き込み、赤熱コークス9の有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガス27を媒体として熱交換し、ボイラー7において蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、プレチャンバー3中にバイオマス等30を投入し、消火塔1から排出した高温の排出ガス22に、ボイラー7に至るまでの間に空気25(SF空気25)を供給し、ボイラー7を循環する循環ガス37の一部を回収し、回収ガス33中の可燃性ガス成分による発熱量が一定になるようにSF空気25の量を調整することを特徴とするコークス乾式消火方法。
(6)回収ガス33の量が一定になるようにPC空気24の量及び/又はバイオマス等30の投入量を調整することを特徴とする上記(5)に記載のコークス乾式消火方法。
(7)ボイラー7への入熱量が目標値になり、同時に回収ガス33の量が一定になるようにPC空気24の量及びバイオマス等30の投入量を調整することを特徴とする上記(5)に記載のコークス乾式消火方法。
(8)PC水・蒸気26の供給量及び/又はバイオマス等30の投入量は、プレチャンバー出口ガス温度を一定以下に保つように定めることを特徴とする上記(1)乃至(7)のいずれかに記載のコークス乾式消火方法。
(9)プレチャンバー内のコークスレベルを一定レベル範囲に保持することを特徴とする上記(1)乃至(8)のいずれかに記載のコークス乾式消火方法。
【0016】
上記(1)(2)の発明により、バイオマスや炭化水素化廃棄物のエネルギー源としての有効利用を図ると同時に、乾式消火装置におけるコークス歩留を向上させることができる。
【0017】
バイオマスや炭化水素化廃棄物をコークス乾式消火装置で有効利用すると同時に、上記(3)の発明によってボイラー7への入熱量を一定に保持することが可能になり、上記(4)の発明によって循環ガス37中の可燃ガス成分を極小にすることが可能にになる。
【0018】
バイオマスや炭化水素化廃棄物をコークス乾式消火装置で有効利用し、さらに循環ガス37の一部を可燃成分を有する回収ガス33として回収する際において、上記(5)の発明によって回収ガス33の発熱量を一定に保持することが可能になり、上記(6)の発明によってさらに回収ガス33の量を一定に保持することが可能になる。これにより、コークス乾式消火装置から回収したガスを安定してエネルギー源として利用することが可能になる。
【0019】
上記(5)の発明において、さらに上記(7)の発明を適用することにより、ボイラー7への入熱量を一定に保持しつつ、回収ガス33の発熱量と回収ガス33の量を一定に保持することが可能になる。これにより、コークス乾式消火装置から回収したガスを安定してエネルギー源として利用すると同時に、回収した蒸気を安定してエネルギー源として利用することが可能になる。
【0020】
上記(1)〜(7)の発明において、さらに上記(8)の発明によってプレチャンバー出口ガス温度を一定温度以下の温度に保持し、スローピングフリュー部4への異物付着を防止することが可能になり、上記(9)の発明によってプレチャンバー内のコークスレベルを一定レベル以下に保持し、プレチャンバー内へのバイオマス等の投入を容易にすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を図1に基づいて説明する。
【0022】
赤熱コークスを冷却する消火塔1は縦形に形成され、上下方向にプレチャンバー3と冷却室2を備えている。プレチャンバー3と冷却室2とは、その内壁周囲に形成されたスローピングフリュー部4によってガス流れフローとしては分割されている。
【0023】
980℃前後の温度を有する赤熱コークス9はプレチャンバー3の上方から装入され、漸次下方に移動し、冷却室2において冷却室下部の吹き込み菅11から吹き込まれる不活性ガス38によって冷却される。冷却室下部から排出されるときのコークス10の温度は200℃近くとなっている。
【0024】
冷却室内において吹き込まれた不活性ガス27は、冷却室内を上昇しつつ赤熱コークスとの間で熱交換が行なわれ、ガス温度が上昇し、冷却室上部のスローピングフリュー部4からリングダクト5に排出される。更に不活性ガスはリングダクト5から1次ダストキャッチャー6を経てボイラー7に送られ、ボイラー7で熱回収されて温度が180℃前後に低下した後、循環ブロアー8を経て不活性ガス吹き込み管11から再度冷却室2に吹き込まれる。
【0025】
循環ガス系統において、循環ブロア8と不活性ガス吹き込み管11との間の配管を分岐させ、循環ガス37の一部を回収ガス33として回収することができる。回収ガス33の量は、回収ガス調整弁20によって調整することができる。もちろん、回収ガス調整弁を経由して循環ガスの一部を大気中に放散させることもできる。
【0026】
本発明では、バイオマスのうちで農業系と木質系バイオマスを対象としている。本発明において、バイオマスについての定義は前記FAOの定義に準ずる。即ち、農業系バイオマスとは、FAO定義における農業系バイオマスを指し、麦わら、サトウキビ、米糠、草木等が該当する。加えて、木質系バイオマスとは、FAO定義における林業系バイオマスと、廃棄物系バイオマスの一部を指し、製紙廃棄物、製材廃材、除間伐材、薪炭林、庭木、木材などの建設廃材、などが該当する。これらを使用するのは、含有水分が少なく(〜50質量%)湿分基準の発熱量も高いため、赤熱コークス顕熱のみで、乾留に必要な熱量以上のガス、固体エネルギーを回収できるからである。農業系、木質系以外のバイオマスに関しても、基本的に保有湿分基準発熱量が、水分の気化熱+バイオマス自身の顕熱上昇+分解熱以上であれば、有効なエネルギー源になり得る。
【0027】
本発明では、木質系及び又は農業系バイオマスと炭化水素化廃棄物の一方又は両方を「バイオマス等30」と呼び、これらを乾式消火設備のプレチャンバー内に投入する。バイオマス等30をプレチャンバー3内に投入すると、赤熱コークス32の顕熱で揮発分が脱離する。吹き込み装置42を経由してプレチャンバー内に吹き込まれた空気24、及びコークス投入時にプレチャンバー内に巻き込まれた空気(以下、プレチャンバー内に吹き込む空気を「PC空気24」という。)は、まずバイオマス等30から離脱した揮発分の燃焼に使われ、その結果生じた熱がボイラー7において蒸気として回収される。この結果、プレチャンバー内の空気によるコークス32の燃焼が減少するので、コークス32の燃焼ロスを低減することができる。また、コークスの燃焼が減少するため、循環ガス中の硫黄分の上昇を防止することが出来、配管腐食を防止することができる。さらに、揮発分が脱離した後のバイオマス等30の残渣中における炭素分は、燃焼性、着火性に優れ、他の性状もコークスに比べ遜色ないため、コークスとしての使用が可能である。従って、バイオマス等30の使用により、バイオマス等由来の固形分だけコークス量が増加することにより、必要コークス量が一定であればその分石炭由来のコークス生産量を削減できる。
【0028】
本発明において、プレチャンバー内にバイオマス等30を投入するとともに、プレチャンバー内に水若しくは蒸気26及び空気24を吹き込むか、又は水若しくは蒸気26を吹き込むこととすると良い。以下、プレチャンバー内に吹き込む水又は蒸気を「PC水・蒸気26」という。吹き込まれた水は蒸発して蒸気となるときに吸熱し、蒸気は赤熱コークスと接触して水性ガス反応によって水素ガスと一酸化炭素を発生させるとともに吸熱する。従って、水又は蒸気を吹き込むことによってプレチャンバー内のガス及びコークスの温度は低下し、水又は蒸気の吹き込み量を調節することよってプレチャンバー内のガス及びコークスの温度を調節することができる。水性ガス反応によって発生した水素ガス及び一酸化炭素はプレチャンバー内を下降し、プレチャンバー下部において上昇してきた不活性ガスと混合し、スローピングフリュー部4からリングダクト5に排出される。
【0029】
プレチャンバー内へのバイオマス等30の投入は、コークス投入と投入との間にバイオマス等を連続的に投入する方法、あるいはコークス投入時にバイオマス等を同時に投入する方法を採用することができる。更には、コークス投入には関係なく連続的に投入することができる。
【0030】
本発明においては、必要に応じてスローピングフリュー部4(SF)のリングダクト5又はガス排出管12内には空気25を吹き込む。以下、この吹き込み空気を「SF空気25」とよぶ。PC空気24と赤熱コークス9との反応によって発生した一酸化炭素、バイオマス等30とPC空気24との反応によって発生した一酸化炭素及び水素、PC水・蒸気26と赤熱コークス9の反応によって発生した一酸化炭素及び水素等は、リングダクト5から排出した後に上記SF空気25と接触することにより燃焼し、二酸化炭素及び水に変化した上で発熱する。PC空気24の吹き込み量に対応し、PC空気24によって生成した一酸化炭素等の可燃性ガスを燃焼するのに必要かつ十分な量のSF空気25を吹き込むことにより、PC空気吹き込みに基づく蒸気エネルギー回収量を最大にすることができる。併せて、PC水・蒸気26の吹き込み量に対応し、PC水・蒸気26とコークス9との水性ガス反応によって生成した可燃性ガスを燃焼するのに必要かつ十分な量のSF空気25を同時に吹き込むことにより、PC水・蒸気吹き込みに基づく蒸気エネルギー回収量を最大にすることができる。排出ガス22中に含まれる可燃性ガスを燃焼するのに必要な量以上の酸素をSF空気25として供給すると、過剰な酸素が循環ガス37中に残存し、吹き込みガス21に含まれて冷却室2に吹き込まれることとなる。従って、SF空気25の量は、排出ガス22に含まれる可燃性ガスを燃焼するのに必要な量のみ供給することが好ましい。
【0031】
プレチャンバーに空気(PC空気24)を吹き込むか及び/又は水若しくは蒸気(PC水・蒸気26)を吹き込み、さらにプレチャンバー中にバイオマス等30を投入するようにしたコークス乾式消火方法において、ボイラー7への入熱量が目標値になるように調整する本発明について説明する。
【0032】
PC空気24の吹き込み量を増加するとプレチャンバー内での赤熱コークス9との反応が増大し結果として蒸気回収量が増大する。逆にPC空気24の吹き込み量を減少すると蒸気回収量が減少する。一方、バイオマス等30の投入量を増加すると、プレチャンバー内の高温環境により、バイオマス等30の揮発分が熱分解を起こしH2やCOが発生し、プレチャンバー内での発生ガス量が増大し、その後に吹き込まれるSF空気により燃焼して熱量が増大し、蒸気回収量が増大する。逆にバイオマス等30を減少すると蒸気回収量が減少する。
【0033】
PC空気量の変動代と蒸気回収量の変動代との関係は、主にはPC空気中の酸素とコークスとが反応して一酸化炭素が生成する際の発熱量によって定まり、更にバイオマス等からの揮発成分及び赤熱コークスが含有する揮発成分の燃焼分が加わる。各コークス乾式消火装置毎のPC空気量の変動代と蒸気回収量の変動代との関係は、実際の操業データに基づいて正確に定めることができる。
【0034】
バイオマス等の投入量の変動代と蒸気回収量の変動代との関係は、バイオマス等の発熱量によって理論的に求めることができる。各コークス乾式消火装置毎のバイオマス等の投入量の変動代と蒸気回収量の変動代との関係は、実際の操業データに基づいて正確に定めることができる。
【0035】
PC水・蒸気26の増減によっても蒸気回収量を調整することができる。PC水・蒸気26の吹き込み量の変動代と蒸気回収量の変動代との関係についても同様に実際の操業データに基づいて正確に定めることができる。
【0036】
フィードバック制御によってボイラー蒸気回収量を一定に保つ制御を行おうとするとき、通常はボイラー入熱量を制御量として選択する。
【0037】
本発明においては、ボイラーへの入熱量が目標値になるように、PC水・蒸気26の吹き込みを行っていない場合にはPC空気24の量及び/又はバイオマス等30の投入量を調整することにより、PC水・蒸気26の吹き込みを行っている場合にはPC空気24、PC水・蒸気26の量、バイオマス等30の投入量の1又は2以上を調整することにより、ボイラー蒸気発生量を一定に保持する。具体的には、ボイラー7への入熱量が目標値と異なった値を示したときは、その相違の度合いに応じてPC空気量を変動させ、あるいはPC空気量とPC水・蒸気量を変動させ、さらにはバイオマス等の投入量をその相違の度合いに応じて変動させることによって発熱量の増減を図り、ボイラーへの入熱量を目標値に一致させる。より具体的には、PID制御を行うに際して各パラメータの最適化を図ることによって良好な制御を行うことができる。
【0038】
本発明においては、必要に応じてスローピングフリュー部4(SF)のリングダクト5又はガス排出管12内には空気25を吹き込む。以下、この吹き込み空気を「SF空気25」とよぶ。PC空気24と赤熱コークス9との反応によって発生した一酸化炭素、PC水・蒸気26と赤熱コークス9の反応によって発生した一酸化炭素及び水素は、リングダクト5から排出した後に上記SF空気25と接触することにより燃焼し、二酸化炭素及び水に変化した上で発熱する。PC空気24の吹き込み量に対応し、PC空気24によって生成した一酸化炭素等の可燃性ガスを燃焼するのに必要かつ十分な量のSF空気25を吹き込むことにより、PC空気吹き込みに基づく蒸気エネルギー回収量を最大にすることができる。併せて、PC水・蒸気26の吹き込み量に対応し、PC水・蒸気26とコークス9との水性ガス反応によって生成した可燃性ガスを燃焼するのに必要かつ十分な量のSF空気25を同時に吹き込むことにより、PC水・蒸気吹き込みに基づく蒸気エネルギー回収量を最大にすることができる。排出ガス22中に含まれる可燃性ガスを燃焼するのに必要な量以上の酸素をSF空気25として供給すると、過剰な酸素が循環ガス37中に残存し、吹き込みガス21に含まれて冷却室2に吹き込まれることとなる。従って、SF空気25の量は、排出ガス22に含まれる可燃性ガスを燃焼するのに必要な量のみ供給することが好ましい。この結果、循環ガス中の可燃性ガス成分を極少にし、同時に酸素の濃度を極少にすることができる。
【0039】
赤熱コークスからの顕熱をボイラー7においてすべて回収し、余剰循環ガスが発生した場合に大気放散する方法においては、上記のように循環ガス中の可燃成分を極小にすることが望ましい。一方、循環ガスの一部を大気放散するのでなくガス回収している場合において本発明の循環ガス中可燃成分制御を適用する場合には、循環ガス中の一酸化炭素濃度、水素濃度又は循環ガス発熱量の目標値を回収したいガス性状として設定することで、安定した発熱量を有する回収ガス33を得ることができる。
【0040】
本発明においては、プレチャンバーに空気24を吹き込むか及び/又は水若しくは蒸気26を吹き込み、プレチャンバー中にバイオマス等30を投入し、さらに消火塔から排出した高温の排出ガス22に、ボイラー7に至るまでの間に空気(SF空気25)を供給し、このSF空気量を調整することによってボイラー7を循環するガス37中の一酸化炭素濃度若しくは水素濃度若しくはこれらガス成分による循環ガス発熱量が一定になるように調整する。ここでは、PC空気24、PC水・蒸気26の吹き込みは必須ではないが、通常はPC空気24の吹き込みによって発生した一酸化炭素を燃焼することを目的の一つとしてSF空気25が供給されるので、少なくともPC空気24の吹き込みが同時に行われていることが多い。循環ガス37中に未燃焼の可燃ガス成分の検出値に基づいて、循環ガス発熱量を算出する。算出した発熱量が目標値を超えている場合には、当該過剰の可燃ガス成分を燃焼するのに必要かつ十分な量のSF空気25を増大する。逆に算出した発熱量が目標値より低い場合には、SF空気25を減少する。上記本発明では循環ガス中に可燃性ガスが残存しているので、基本的に循環ガス中の酸素濃度は一定濃度以下となるように自動的に調整される。
【0041】
回収ガスとして回収するガス中の可燃性ガス成分としては、COとH2成分の合計が10%を超える値であると好ましい。COとH2成分の合計が10%以下であると回収ガスの発熱量が低すぎて、回収ガスのユーザーでの燃焼熱効率が低下し経済的でない。COとH2成分の合計が10%を超える状態を保持するには、循環ガス成分分析計のCO濃度とH2濃度データーを常に監視し、SF空気量を調整する必要がある。
【0042】
上記、循環ガス発熱量を一定に保持して回収ガス33の回収を図る本発明において、同時にボイラー7の回収蒸気量を一定に保持する、あるいは回収ガス33の量を一定に保持する、さらにはボイラー7の回収蒸気量と回収ガス33の量をともに一定に保持することとすると好ましい。循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持しつつ回収ガス33の量を一定に保持することができれば、回収ガス33の総熱量を一定に保持することとなり、エネルギーを再利用する上で好ましい。ここでは、循環ガス発熱量を一定に保持してガス回収を図る本発明において、第1に同時にボイラー7の回収蒸気量を一定に保持する発明について説明し、第2に同時に回収ガス33の量を一定に保持する発明について説明し、第3に同時にボイラー7の回収蒸気量と回収ガス33の量をともに一定に保持する発明について説明する。
【0043】
循環ガス37中の可燃ガス成分あるいは発熱量を一定に保持する本発明においてSF空気25の量を増減すると、それに伴ってガス排出管12における燃焼量が変動し、ボイラー7での蒸気回収量に変動をきたすこととなる。本発明においては、循環ガス中の発熱量を一定に保持するように前記SF空気25の量を調整するに際し、SF空気25の量を調整すると共にPC空気24及び/又はバイオマス等30の投入量を調整する。さらに、PC水・蒸気26の量を調整することとしても良い。SF空気25の増加量とPC空気24及び/又はPC水・蒸気26の減少量との比は、ボイラー7への入熱量が一定になるように定める。これにより、循環ガス発熱量を一定に保持しつつ同時にボイラーの回収蒸気量を一定に保持することができる。
【0044】
循環ガス中の可燃ガス成分あるいは発熱量を一定に保持する本発明においてSF空気25の量を増減したとき、SF空気量の増減に見合った量について循環ガス系統から回収又は放出するガスの量を増減してやらないと、系内のガスの総量の増減が発生して消火塔内の圧力を一定圧力に保持することができなくなる。一方、消火塔内の圧力を一定に保持するために回収ガス33の量の増減を行ってしまうと、回収ガス33の総熱量(回収ガスの発熱量×回収ガスの量)が変動することとなり、これでは回収ガス33のエネルギーを再利用する上で不便である。本発明においては、PC空気24の量及び/又はバイオマス等30の投入量を調整することによって回収ガス33の量が一定になるように調整を行う。PC空気24の量で調整を行う場合、回収ガス33の量の減少を防止しようとするときはPC空気24の量を増大し、回収ガス33の量の増大を防止しようとするときはPC空気24の量を減少すればよい。また、バイオマス等30の投入量で調整を行う場合、回収ガス33の量の減少を防止しようとするときはバイオマス等30の投入量を増大し、回収ガス33の量の増大を防止しようとするときはバイオマス等30の投入量を減少すればよい。これにより、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持しつつ同時に回収ガス33の量を一定に保持することができるので、回収ガス33の総熱量を一定に保持することができ、好ましい。
【0045】
上記循環ガス発熱量を一定に保持しつつ同時に回収ガス量を一定に保持する本発明においては、ボイラー7での蒸気回収量を一定に保持する制御は行っていない。これでは、乾式消火設備の稼働中に蒸気回収量が変動することとなり、蒸気を利用する上で好ましくない。
【0046】
循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持しつつ、PC空気24の量を1Nm3/t−coke増加すると、蒸気回収量は約0.13kg/t−coke増大し、回収ガス33の量は約0.76Nm3/t−coke増大する。一方、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持しつつ、バイオマス等30の投入量を1kg/t−coke増加すると、蒸気回収量は約1.13kg/t−coke増大し、回収ガス33の量は約1.28Nm3/t−coke増大する。従って、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持する条件下において、PC空気24の量を1Nm3/t−coke減少しつつバイオマス等30の投入量を0.59(=0.76/1.28)kg/t−coke増大すれば、回収ガス33の量を一定に保持しつつ蒸気回収量を0.54(=−1・0.13+0.59・1.13)kg/t−coke増大させることができる。他方、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持する条件下において、PC空気24の量を1Nm3/t−coke増大しつつバイオマス等30の投入量を0.12(=0.13/1.13)kg/t−coke減少すれば、蒸気回収量を一定に保持しつつ回収ガス33の量を0.61(=1・0.76−0.12・1.28)Nm3/t−coke増大させることができる。このように、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持する条件下において、PC空気24量の増減とバイオマス等30の増減を同時に行えば、蒸気回収量の増減と回収ガス量の増減を同時に任意の増減量で実施することができる。本発明はこの点に着目してなされたものであり、ボイラー7への入熱量が目標値になり、同時に回収ガス33の量が一定になるようにPC空気24量及びバイオマス等30の投入量を調整することにより、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持しつつ、同時に回収ガス33量を一定に保持しさらにボイラー7の蒸気回収量をも一定に保持することが可能になる。
【0047】
具体的には、PC空気の量の増減をA(Nm3/t−coke)、バイオマス等の増減をB(kg/t−coke)、蒸気回収量の増減をC(kg/t−coke)、回収ガス量の増減をD(Nm3/t−coke)と置けば、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持する条件下で、以下の式が成立する。
C=1.13・B+0.13・A
D=1.28・B+0.76・A
【0048】
所要のC、Dの値の元に上記連立方程式を解くことにより、当該所要の蒸気回収量の増減(C)、回収ガス量の増減(D)を実現するためのPC空気の量の増減(A)、バイオマス等の増減(B)の値を算出することが可能である。なお、上記連立方程式の右辺の係数は、本発明を適用しようとする個別の乾式消火装置において、実験等に基づいて具体的な数値を定めることができる。
【0049】
PC水・蒸気26量の増加アクションは吸熱アクションである。従って、上記バイオマス等30の増減に代えて、あるいはバイオマス等30の増減と同時に、PC水・蒸気26量の増減を行うこととしても、循環ガス37(回収ガス33)の発熱量を一定に保持しつつ、同時に回収ガス33量を一定に保持しさらにボイラー7の蒸気回収量をも一定に保持することが可能になる。
【0050】
プレチャンバー3内の温度が高くなりすぎると、コークス中に含まれる灰分が溶融・気化し、不活性ガスの冷却室出口付近で冷却されて気化していた灰分は凝集し、冷却室上部のスローピングフリュー部4に付着する。従って、今までに述べた本発明において蒸気回収量、回収ガスの発熱量、回収ガス量を一定に保持するためにPC空気24を増大させるに際しても、プレチャンバー内の温度が過度に高くならないように一定に保持できると好ましい。一方、PC水・蒸気吹き込み量を増大するとプレチャンバー内の温度を低下させることができる。同様にバイオマス等30の投入量を増大してもプレチャンバー内の温度を低下させることができる。
【0051】
本発明においては、蒸気回収量、回収ガスの発熱量、回収ガス量を一定に保持するための制御において、PC水・蒸気26の供給量及び/又はバイオマス等30の投入量は、プレチャンバー出口ガス温度を一定に保つように定めることにより、プレチャンバーの温度が過度に上昇することを防止できる。PC空気量の増大代とPC水・蒸気量の増大代あるいはバイオマス等投入量の増大しろとの関係については、PC空気量の増大によるプレチャンバー内温度上昇程度とPC水・蒸気量やバイオマス等投入量の増大によるプレチャンバー内温度下降程度とが一致するように実験などに基づいて定める。これにより、プレチャンバー内の温度を一定に保持しながら、本発明の種々のフィードバック制御を行うことができる。
【0052】
プレチャンバー内のコークスレベルは、バイオマス等が投入されコークス上部表面に均等に分散されるために必要な最小投入空間が必要であるため一定レベル以下に保持する必要がある。一方、コークス上部面に乗ったバイオマス等は、その後、赤熱コークスの熱により熱分解が促進されていくが、その熱分解が充分に完了するためのプレチャンバー内での滞留時間が必要であり、そのためには、プレチャンバー内のコークスレベルは一定レベル以上必要である。このためのプレチャンバーレベルとしては、プレチャンバー容積の40%以上90%以下が望ましい。
【0053】
【実施例】
図1に示すコークス乾式消火装置において本発明を適用した。乾式消火装置の冷却室2は内容積370m3、プレチャンバー3は内容積220m3である。平均温度980℃の赤熱コークスを平均投入量100T/Hで冷却処理した。
【0054】
プレチャンバー上部から赤熱コークス層32上部表面とプレチャンバーとで形成する空間31内にPC空気を吹き込む。また、プレチャンバー内の温度を調整するためのPC水・蒸気26は、空気吹き込み装置14の配管内においてPC空気24と混合し、該混合したガスをプレチャンバー内に吹き込むこととした。また、バイオマス等30をバイオマス等投入装置17より投入することとした。消火塔1からの排出ガス22中の可燃成分を燃焼して排出ガスの温度を上昇させると同時に循環ガス37中の成分を制御するため、ガス排出管12中にSF空気25を吹き込む装置を設置した。更に、循環ブロワー8から冷却室2に供給する不活性ガスの一部を分岐し、前記排出ガスに合流させるためのバイパス管19を設けた。循環ガス成分の酸素、一酸化炭素および水素の濃度計はボイラー出口に配置したサンプル管39より測定している。また、プレチャンバー出口ガス温度を測定するために、輻射式のプレチャバー内温度センサー40を設けた。
【0055】
以上の赤熱コークス処理条件及び設備条件において表1に示す操業試験を実施した。ここで、各ケース共、循環ガス量は178,300Nm3/H一定とし、投入したバイオマス等は廃木材チップ98%と廃プラスチック2%の混合物を使用した。本試験で使用したバイオマス等の性状を表2に示す。また、プレチャンバー出口ガス温度は950℃以下を目標とし、プレチャンバー内のコークスレベルはプレチャンバー容積の50%〜80%の範囲内に入るように管理した。表1の値は実績値を示すが、***/***の表記については、左が目標値、右が実績値を示す。また、コークス排出量及びコークス歩留には、ダストコレクター粉コークスを含む。
【0056】
CASE1は従来技術での操業である。即ち、ボイラー発生蒸気量35の目標値70T/Hに対してPC空気の量を調整することで実現している。従って、CASE1を本発明効果の比較対象とする。
【0057】
CASE2−1〜CASE2−3は本発明の(1)〜(4)(8)(9)を組み合わせて行った操業試験である。即ち、PC空気、バイオマス等のプレチャンバーへの導入による熱量の増大分についてガス回収を行わず、ボイラー発生蒸気量の最大化を狙った操業であり、ボイラー発生蒸気量35の目標値70T/Hに対して、CASE2−1ではPC空気量を5,000Nm3/H一定として、バイオマス等の投入量の調整によりボイラーへの入熱量を制御したケースである。一方、CASE2−2ではバイオマス等の投入量を3.0T/H一定として、PC空気量の調整によりボイラー入熱量を制御したケースである。また、CASE2−3はバイオマス等の投入量とPC空気量を一定比率の下に同時に調整してボイラー入熱量を制御したケースである。この3ケースではガス回収を行わず、余剰ガスは大気放散してボイラー発生蒸気量の最大化を狙っているため、循環ガス中のCO濃度目標値を0.2%、O2濃度目標値を0.0%としてSF空気の供給量を調整した。この結果、3ケース共にバイオマス等の投入量に応じてコークス歩留[=コークス排出量(含、粉コークス量)÷コークス投入量×100]がCASE1に対して向上したことが判る。また、ボイラー発生蒸気量も目標値の70T/Hを達成し、その他の項目も制御目標値を達成し良好な操業結果が得られた。
【0058】
CASE3−1〜CASE3−3は本発明の(1)(2)(5)(6)(8)(9)を組み合わせて行った操業試験である。即ち、PC空気、バイオマス等のプレチャンバーへの導入による熱量の増大分についてガス回収を狙った操業であり、回収ガス量33の目標値20,000Nm3/Hに対して、CASE3−1ではPC空気量を5,000Nm3/H一定として、バイオマス等の投入量の調整により回収ガス量を制御したケースである。一方、CASE3−2ではバイオマス等の投入量を3.0T/H一定として、PC空気量の調整により回収ガス量を制御したケースである。また、CASE3−3はバイオマス等の投入量とPC空気量を一定比率の下に同時に調整して回収ガス量を制御したケースである。この3ケースでは回収ガスの発熱量の目標値を800kcal/Nm3としてSF空気の供給量を調整した。この結果、3ケース共にバイオマス等の投入量に応じてコークス歩留がCASE1に対して向上したことが判る。また、回収ガス量も目標値の20,000Nm3/Hを達成し、その他の項目も制御目標値を達成し良好な操業結果が得られた。
【0059】
CASE4は本発明の(1)(2)(5)(7)〜(9)を組み合わせて行った操業試験である。即ち、PC空気、バイオマス等のプレチャンバーへの導入による熱量の増大分についてボイラー発生蒸気量と回収ガス量が同時に目標値一定になることを狙ったものであり、ボイラー発生蒸気量35の目標値70T/H及び回収ガス量33の目標値40,000Nm3/Hに対して、ボイラー発生蒸気量の制御にバイオマス等の投入量調整で対応し、回収ガス量の制御にPC空気量の調整で対応した操業である。また、回収ガスの発熱量の目標値を800kcal/Nm3としてSF空気の供給量を調整した。この結果、バイオマス等の投入によりコークス歩留がCASE1に対して向上したことが判る。また、ボイラー発生蒸気量も目標値の70T/Hを達成し、回収ガス量も目標値の40,000Nm3/Hを達成した。更に、その他の項目も制御目標値を達成し良好な操業結果が得られた。
【0060】
【表1】
Figure 2004197029
【0061】
【表2】
Figure 2004197029
【0062】
【発明の効果】
本発明において、コークスの乾式消火装置に赤熱コークスとともにバイオマス等を投入することにより、バイオマス等の揮発成分を回収蒸気としてあるいは回収可燃ガスとして有効利用し、C成分をコークスとして有効利用することができ、同時に乾式消火装置におけるコークスの歩留を向上することができる。
【0063】
本発明は、スローピングフリュー部に供給する空気量、プレチャンバーに吹き込む空気量、バイオマス等の投入量を調整することにより、ボイラーでの回収蒸気量と回収ガス中の発熱量を一定に保持すると同時に、回収ガス量を一定に保持することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の乾式消火装置の概略図である。
【符号の説明】
1 消火塔
2 冷却室
3 プレチャンバー
4 スローピングフリュー部
5 リングダクト
6 1次ダストキャッチャー
7 ボイラー
8 循環ブロアー
9 赤熱コークス
10 排出コークス
11 不活性ガス吹き込み管
12 ガス排出管
13 ボイラーガス供給管
14 空気(PC空気)吹き込み装置
15 空気(SF空気)吹き込み装置
16 水又は蒸気(PC水・蒸気)吹き込み装置
17 バイオマス等投入装置
19 バイパス管
20 回収ガス調整弁
21 吹き込みガス
22 排出ガス
23 ボイラー供給ガス
24 プレチャンバー吹き込み空気(PC空気)
25 リングダクト吹き込み空気(SF空気)
26 プレチャンバー吹き込み水又は蒸気(PC水・蒸気)
27 不活性ガス流
28 プレチャンバーガス流
29 バイパスガス
30 バイオマス等
31 プレチャンバー空間
32 赤熱コークス層
33 回収ガス
34 給水
35 発生蒸気
36 2次ダストキャッチャー
37 循環ガス
38 循環ガス弁
39 サンプル管
40 プレチャンバー内温度センサー
41 発生蒸気流量計
42 吹き込み装置

Claims (9)

  1. 冷却室とその上部のプレチャンバーとよりなる消火塔を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークスを装入し、プレチャンバーに空気を吹き込み、前記赤熱コークスの有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガスを媒体として熱交換し、ボイラーにおいて蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、前記プレチャンバー中に炭化水素化廃棄物を投入し、又は前記プレチャンバー中に炭化水素化廃棄物及び木質系及び/若しくは農業系バイオマスを投入することを特徴とするコークス乾式消火方法。
  2. 冷却室とその上部のプレチャンバーとよりなる消火塔を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークスを装入し、プレチャンバーに水若しくは蒸気及び空気を吹き込み、前記赤熱コークスの有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガスを媒体として熱交換し、ボイラーにおいて蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、前記プレチャンバー中に木質系バイオマス、農業系バイオマス、炭化水素化廃棄物の1種又は2種以上(以下「バイオマス等」という。)を投入することを特徴とするコークス乾式消火方法。
  3. 冷却室とその上部のプレチャンバーとよりなる消火塔を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークスを装入し、プレチャンバーに空気を吹き込むか又は空気及び水若しくは蒸気を吹き込み、前記赤熱コークスの有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガスを媒体として熱交換し、ボイラーにおいて蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、前記プレチャンバー中にバイオマス等を投入し、ボイラーの蒸気発生量又はボイラーへの入熱量が目標値になるように前記プレチャンバーに吹き込む空気(以下「PC空気」という。)の量、バイオマス等の投入量の1種又は2種以上を調整することを特徴とするコークス乾式消火方法。
  4. 消火塔から排出した高温の排出ガスに、ボイラーに至るまでの間に空気を供給し(以下「SF空気」という。)、SF空気の供給量は、循環ガス中の可燃ガス成分及び酸素の濃度を一定に保つように定めることを特徴とする請求項3に記載のコークス乾式消火方法。
  5. 冷却室とその上部のプレチャンバーとよりなる消火塔を用い、プレチャンバー上方から赤熱コークスを装入し、プレチャンバーに空気を吹き込むか又は空気及び水若しくは蒸気を吹き込み、前記赤熱コークスの有する顕熱を前記冷却室内において不活性ガスを媒体として熱交換し、ボイラーにおいて蒸気の形で熱回収するようにしたコークス乾式消火方法において、前記プレチャンバー中にバイオマス等を投入し、消火塔から排出した高温の排出ガスに、ボイラーに至るまでの間に空気(SF空気)を供給し、ボイラーを循環するガスの一部を回収し、回収ガス中の可燃性ガス成分による発熱量が一定になるように前記SF空気の量を調整することを特徴とするコークス乾式消火方法。
  6. 回収ガス量が一定になるようにPC空気量及び/又はバイオマス等の投入量を調整することを特徴とする請求項5に記載のコークス乾式消火方法。
  7. ボイラーへの入熱量が目標値になり、同時に回収ガス量が一定になるようにPC空気量及びバイオマス等の投入量を調整することを特徴とする請求項5に記載のコークス乾式消火方法。
  8. 前記PC水・蒸気の供給量及び/又はバイオマス等の投入量は、プレチャンバー出口ガス温度を一定以下に保つように定めることを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のコークス乾式消火方法。
  9. プレチャンバー内のコークスレベルを一定レベル範囲に保持することを特徴とする請求項1乃至8のいずれかに記載のコークス乾式消火方法。
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