JP2004196205A - アウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車 - Google Patents
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Abstract
【課題】感度のよい送受信を行うことができ、ワイヤーハーネスの引きまわしがよく、組み立て易いとともに、メッキ塗装されたミラーハウジングを有するアウターミラーにアンテナを設置することができるアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車を提供する。
【解決手段】アウターミラーは、自動車の車体Aの側面からその側方に向かって張り出されたミラーベース10と、このミラーベース10に吊設されたミラーハウジング20とを備え、ミラーベース10にアンテナ13を具備する。自動車は、前記アウターミラーを左右側方に一対具備する。
【選択図】 図1
【解決手段】アウターミラーは、自動車の車体Aの側面からその側方に向かって張り出されたミラーベース10と、このミラーベース10に吊設されたミラーハウジング20とを備え、ミラーベース10にアンテナ13を具備する。自動車は、前記アウターミラーを左右側方に一対具備する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車のサイドドアー付近に付設されるアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車に関する。特に、ITS(高速道路交通システム)、モバイル放送、さらにはキーレスエントリー等における電波等の送受信に好適なアンテナを備えたアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車に関連したシステムとして、例えば、GPS(Global Positioning System)、VICS(Vehicle Information and Communication System)、ETC(Electronic Toll Collection System、)などのITS(Intelligent Transport Systems:高速道路交通システム)が実用化されている。このような、システムを利用するためには車載装置とともに送受信用のアンテナが不可欠であり、その設置場所としては、電波を受けやすい自動車の屋根の上やトランクの上などが好適である。しかし、これらの場所にアンテナを設置した場合、自動車の見栄えが悪くなるなどの難点が生じるため、アンテナは車内のダッシュボード付近やウインドウの近傍に設置されるケースが多くなっている。かかるアンテナはシステムごとに必要となるため、これらのシステムを複数利用する場合には、結果として、車内のダッシュボード付近やウインドウの近傍に、複数のアンテナが配置されることになる。したがって、車内の美観、特に、ダッシュボード付近の美観が損なわれやすい状況にあった。
【0003】
一方、近年、高級車のウインドウには、熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスが採用されつつあり、これらの車種では電波が届きにくい車内環境となっている。そこで、電波を受けやすく、かつ美観を損ねない設置場所として、アウターミラーにアンテナを設けることが考えられた。
図9はアウターミラーにアンテナが設けられた従来技術の例であり、同図に示すように、このものには、アウターミラーのミラーハウジング1内に二つのアンテナ2a,2bが指向方向を変えて配置されている。ミラーハウジング1は、ミラーベース3に対して回動するようになっており、回動により格納と使用位置への復帰とが行われるようになっている。二つのアンテナ2a,2bは、このミラーハウジング1の回動にともなって、受信するアンテナが切り替えられるようになっており、ミラーハウジング1の格納位置あるいは使用位置のいずれにおいても、電波が受信されるように構成されている。
また、図10に示したものは、アウターミラーのミラーベース3に設けられた張出し部3aに、ミラーハウジング1が回動自在に取り付けられているものにおいて、張出し部3aにアンテナ4が回動不能に立設されたものである。すなわち、このものは、ミラーハウジング1が、張出し部3aに立設されたアンテナ4を収納したままの状態で回動するように構成されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、その他の従来技術としては、図11に示すようなものもある。このものは、ミラーベース5の張出し部5aにアンテナ6が取り付けられたものであり、アンテナ6の上面には図示しない駆動ユニットとともにミラーハウジングが回動可能に取り付けられるようになっている。すなわち、このものは、アンテナ6が図示しない駆動ユニットおよびミラーハウジングの下に敷設された構成となっている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−321471号公報([0024]−[0029],[0050]−[0051],図1,図11)
【特許文献2】
実開昭62−89815号公報(第12頁,第13頁,第7図(B))
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のアウターミラーには次のような問題があった。図9に示したアウターミラーでは、アンテナ2a,2bがミラーハウジング1内に設けられているので、これらのアンテナ2a,2bの図示しないワイヤーハーネスは、ミラーハウジング1から図示しない駆動ユニットのシャフトを通してミラーベース3側に引き出される。駆動ユニットのシャフトには、これらのアンテナ2a,2bのワイヤーハーネスの他に、図示しない駆動ユニット,ミラーアッセンブリのワイヤーハーネスが挿通されるようになっているので、シャフトに隙間の余裕がなく、結果として、これらのアンテナ2a,2bのワイヤーハーネスを細く形成しなければならなかった。このため、アンテナ2a,2bの減衰が生じやすくなり、また、捩れによりワイヤーハーネスが断線する恐れもあった。
【0007】
この点、図10に示したアウターミラーでは、ミラーベース3の張出し部3aに直接、アンテナ4が立設されているので、上述のようなシャフトを通じたワイヤーハーネスの引き出しに伴う問題は生じないが、アンテナ4の全体がミラーハウジング1で覆われているので、ミラーハウジング1が電波を通しにくい部材で構成されている場合、例えば、本体は合成樹脂製であっても、その表面にメッキ塗装が施されているような場合には、電波の送受信に著しい支障を来たしてしまう。近年、人気を博しているRV(Recreational Vehicle)車等は、特に、ミラーハウジングにメッキ塗装を施したものが主流となっており、このような人気車においては、アウターミラーにアンテナ4を搭載することができないという不都合を生じる。すなわち、上述したアンテナ4を取り付けることによって、ミラーハウジング1にメッキ塗装を施すことができなくなってしまう。
ところで、電動格納式のアウターミラーは、一般的に、ミラーハウジングが、ミラーベースの張出し部に設けられた駆動ユニットにより回動して、格納と使用位置への復帰とが行われるように構成されているため、図9に示したもののように、ミラーベース3の張出し部3aにアンテナ4を立設することはスペース的に困難性が高く、組立作業に手間を要してしまう。
【0008】
また、図11に示したアウターミラーでは、図示しないミラーハウジングと駆動ユニットとの下方にアンテナ6が敷設された構成となっているので、このものも、ミラーハウジングにメッキ塗装が施されているような場合には、電波の受信がうまくいかなくなる。さらに、アンテナ6の上方に位置する図示しない駆動ユニットに、金属性の部材が使用されているような場合には、この部分で電波が反射してしまい、電波の受信に支障を来しやすい。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、感度のよい送受信を行うことができ、さらに、ワイヤーハーネスの引きまわしがよく、組み立て易いとともに、メッキ塗装されたミラーハウジングを有するものにもアンテナを使用することができるアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に記載のアウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースと、このミラーベースに吊設されたミラーハウジングとを備え、前記ミラーベースにアンテナが設けられていることを特徴とする。
【0011】
このようなアウターミラーによれば、アウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースにミラーハウジングが吊設された構造(以下、上吊り式という。)となっているので、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となる。そして、アンテナは、このミラーベースに設けられているので、従来のように、アンテナの上方にミラーハウジングが配置されたり、アンテナがミラーハウジングで覆われてしまうということがなくなり、ミラーハウジングがアンテナの送受信の障害とならなくなる。したがって、感度のよい送受信を実現することができる。また、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となるので、ミラーハウジングにメッキ塗装を施すことができるようになり、これにより、種々の車種への取り付けが可能になる。
また、アンテナは、車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースに設けられているので、アンテナのワイヤーハーネスが短くて済み、車体側への引き込みも簡単になる。したがって、アンテナの組付け作業が簡単になる。
【0012】
請求項2に記載のアウターミラーは、請求項1に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースには、アンテナの取付角度を調整することが可能な角度調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このようなアウターミラーによれば、角度調整手段によりアンテナの取付角度を電波の受信しやすい角度に調節することができる。したがって、アンテナの感度を高めることができるようになり、より感度の高い送受信が可能になる。また、アンテナの特性に合わせて取付角度を調整することができるので、種々のアンテナを取り付けることができるようになる。
【0014】
請求項3に記載のアウターミラーは、請求項1又は請求項2に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベース又はミラーベース近傍の車体側の部位には、アンテナに電気的に接続するための車体側コネクタが配置されていることを特徴とする。
【0015】
このようなアウターミラーによれば、車体側コネクタが、ミラーベース又はミラーベース近傍の車体側の部位に設けられているので、アンテナの組付け作業が容易であるという利点が得られる。また、車体側コネクタがミラーベースに配置されている場合には、車体側コネクタとアンテナとの電気的な接続をミラーベース内で行うことができるようになり、アンテナの交換作業が簡単になる。また、ミラーベースにアンテナを後から組み付けることも簡単に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、アンテナは、複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナであることを特徴とする。
【0017】
このようなアウターミラーによれば、アンテナが複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナとなっているので、一つのアンテナで複数の車載装置に対応することができるようになる。例えば、ETC、GPS等のシステムを一つのアンテナで行うことができる。
【0018】
請求項5に記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースは、アンテナが設けられるベース本体と、このベース本体に被せられるカバーとを備え、カバーが、電波を透過する部材で形成されていることを特徴とする。
【0019】
このようなアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美観が向上する。さらに、カバーは電波を透過する部材で形成されているので、電波の安定した送受信を実現することができる。
【0020】
請求項6に記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースは、アンテナが設けられるベース本体と、このベース本体に被せられるカバーとを備え、アンテナが赤外光に対する受光感度を有するとともに、カバーが赤外光を透過する部材又は赤外光を透過する表面処理が施された部材で形成されていることを特徴とする。
【0021】
このようなアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美観が向上するとともに、赤外光を利用した送受信、例えば、VICS等のシステムを利用することができるようになる。
【0022】
請求項7に記載のアウターミラーによれば、請求項6に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースの内部表面が艶消し黒色で塗装されているので、赤外光の乱反射が防止され、赤外光の安定した受信を実現することができる。
【0023】
請求項8に記載の自動車は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のアウターミラーを車体の左右側方に一対設けたことを特徴とする。
【0024】
このような自動車によれば、車体の左右に設けられたアンテナを用いて送受信を行うことができる。例えば、左右のアンテナで受信感度の良い方を利用するダイバーシティ受信を行うことも可能となる。また、受信に二つのアンテナが必要とされるモバイル放送等の受信を行うことも可能となる。この場合、左右のミラーベースにアンテナが設置されることにより、アンテナ間の距離を長くとることができるようになり、電波干渉を受けにくい安定した受信を行うことができるようになる。
さらに、自動車の故障や事故などにより、一方のアンテナが使用不能となった場合にも、他方のアンテナで送受信を行うことができ、緊急時などにおける自動車の位置情報等を含む通報にも対処することができるようになる。また、自動車の車体の左右のミラーベースに種類の異なるアンテナを取り付けて、車体に取り付けられた別々の車載装置を作動させることも可能となり、種々の車載装置の送受信に対応することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。また、以下の説明において、「前後」,「左右」,「上下」は、アウターミラーを車体に取り付けた状態を基準とする。
【0026】
(第一の実施形態)
図1は第一の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の車体左側の斜視図、図2はアウターミラーの概略構造を示す分解斜視図である。図1,2に示すように、本実施の形態のアウターミラーは、自動車の車体Aの側面からその側方に向かって張り出すミラーベース10と、ミラー23bが設けられたミラーハウジング20とを備え、ミラーベース10にミラーハウジング20を吊設した上吊り式アウターミラーとして構成され、ミラーベース10にアンテナ13が設けられている。本実施の形態では、ミラーベース10が車体AのフロントウインドウWの脇に設けられたピラーPに固定され、ミラーハウジング20が後述する駆動ユニットによりミラーベース10に対して略垂直軸回りに回動して格納と使用位置への復帰とが行われるようになっている。
なお、本実施の形態の自動車ではアウターミラーが、フロントウインドウWの両脇のピラーP,Pに一対取り付けられる。また、ここで言うピラーPには、上述したフロントウインドウWの両脇に接しているピラーPの他に、サイドウインドウSWのウインドウ枠の前部を構成している窓ピラーも含まれる。
【0027】
このように、本実施の形態のアウターミラーは、自動車の車体Aの側面からその側方に向かって張り出されたミラーベース10にミラーハウジング20が吊設された上吊り式となっているので、ミラーベース10がミラーハウジング20よりも高い位置となる。そして、アンテナ13は、このミラーベース10に設けられているので、従来のように、アンテナ13の上方にミラーハウジング20が配置されたり、アンテナ13がミラーハウジング20で覆われるということがなくなり、ミラーハウジング20がアンテナ13の送受信の障害とならなくなる。したがって、感度のよい送受信を実現することができる。また、ミラーベース10がミラーハウジング20よりも高い位置となるので、ミラーハウジング20にメッキ塗装を施すことができるようになり、これにより、種々の車種に取り付けることが可能となる。
また、本実施の形態のアウターミラーを用いた自動車は、車体Aの左右に設けられたアンテナ13,13を有効に利用した送受信を行うことができる。
【0028】
以下、各部について説明する。図2に示すように、ミラーベース10は、合成樹脂製のベース本体11とカバー12とからなっており、その外形は略流線形に形成されている。ベース本体11にカバー12が被せられた状態で、その内部には、広い空間が形成されるようになっている。本実施の形態ではこの空間を利用してベース本体11にアンテナ13が取り付けられている。
本実施の形態では、アンテナ13として、GPS、ETCシステムに対応したギガ帯の電波の送受信を行うことが可能な、フラットタイプの複合アンテナを設けている。また、車体Aの左右のアンテナ13,13によりダイバーシティアンテナが構成されており、図示しない車載装置によって、受信レベルが大きい方のアンテナ13が選択されるようになっている。これにより、移動受信特有の課題であるフェージングの問題が解決される。
【0029】
このようなアンテナ13は、図3(a)(b)に示すように、角度調整手段としての取付台14によってベース本体11上に固定されるようになっている。図3(a)に示すように、アンテナ13の側部には、固定穴13b,13b,13c,13cが設けられている。取付台14は、2つの基台14a,14aと、この基台14a,14aにそれぞれ設けられた固定孔14b,14bと、円弧状の角度調整孔14c,14cと、固定ビス15a,15aと、調整ビス15b,15bとを備えている。基台14a,14aは、その間にアンテナ13が配置される間隔を隔ててベース本体11上に平行に取り付けられている。
このような取付台14へアンテナ13を取り付ける際は、まず、基台14a,14aの間にアンテナ13を挿入しておいて、固定ビス15a,15aを、基台14a,14aの固定孔14b,14bからアンテナ13の固定穴13b,13bに挿入して締め付けることにより、アンテナ13の一端側13b1を保持する。次に、調整ビス15b,15bを基台14a,14aの角度調整孔14c,14cからアンテナ13の固定穴13c,13cに挿入して締め付けることにより、アンテナ13の他端側13c1を保持する。これにより、アンテナ13を取付台14に固定することができる。
アンテナ13は、調整ビス15b,15bを緩めることにより、固定ビス15a,15aを支軸として図3(a)において矢印X方向に回動可能であり、その回動範囲は角度調整孔14c,14cに沿って調整ビス15b,15bが移動できる範囲内で規制される(図3(b)において、角度を上下に最大に調整した場合のアンテナ13の状態を符号K,Kを附して二点鎖線で示す。)。感度の良い角度にアンテナ13を角度調整した後は、調整ビス15b,15bを締め付けることにより、その角度を保持した状態でアンテナ13を固定することができる。例えば、ETCアンテナとして角度を調整する場合には、指定されたゲートを高速で通過して、最も効率よく送受信できる角度にアンテナ13を設定することが望ましい。
本実施の形態では、アンテナ13がカバー12で覆われているので、このように調整されたアンテナ13の取付角度が外的要因、例えば、子供のいたずら等によって変わってしまうことがない。
【0030】
アンテナ13の取付態様としては、図4(a)(b)に示すように、ワイヤーハーネス13aの長さによって、二通りある。すなわち、図4(a)に示すように、アンテナ13のワイヤーハーネス13aを長くした場合には、アンテナ側コネクタ13a1がピラーPを通じて、ミラーベース10の近傍の部位である車内S側に引き出され、車載装置30からのワイヤーハーネスに設けられた車体側コネクタ31に電気的に接続される。また、図4(b)に示すように、アンテナ13のワイヤーハーネス13aを短くした場合には、アンテナ側コネクタ13a1が、車内S側からピラーPを通じてミラーベース10内に引き出された車体側コネクタ31に電気的に接続される。上記いずれの場合においても、アンテナ13のワイヤーハーネス13aの引きまわしが簡単であり、アンテナの組付け作業が容易である。特に、図4(b)に示したパターンでは、ミラーベース10内でコネクタの接続が行われるので、アンテナ13の組付けを後付けで行うことができるようになるとともに、組付け後のアンテナ13の交換作業も簡単に行うことができる。したがって、将来、アンテナのグレードアップや他のシステムに対応したアンテナへの交換も容易である。例えば、Sバンド(2.6ギガヘルツ帯)の電波を使ったモバイル放送に対応したアンテナを搭載することも可能であり、携帯電話などの無線通信と連動した双方向のブロードバンドサービスに対応することも可能である。この場合、モバイル放送において二つ必要となるアンテナを左右のミラーベース10,10に分けて配置することができるので、アンテナ間の距離を長くとることができるようになり、したがって、電波干渉を受けにくい安定した受信を行うことができる。
【0031】
図2に示すように、カバー12は、図示しないパッキン等を介してベース本体11に被せられ、2本のねじ12a,12aによりベース本体11に固定されるようになっている。本実施の形態では、安定した電波の受信が行われるように、また、外観上、アンテナ13が見えなくなるようにして美感を向上させるために、カバー12が適宜の色で着色された合成樹脂材で形成されている。これにより、電波がカバー12を通過してアンテナ13に届きやすくなっている。このようなカバー12がベース本体11に取り付けられることにより、ミラーベース10は水や塵埃等が内部に侵入しにくい構造となる。なお、カバー12は、透明や半透明とすることもできる。
【0032】
このようなミラーベース10は、ベース本体11の端部11aに形成されたネジ部11bを車体AのピラーPに形成された取付孔P1に挿通するとともに、端部11aに形成された突部11cをピラーPに形成された位置決め用孔P2に挿入して、ピラーPの背面側からネジ部11bに固定用ナット11dを螺合させて締め付けることにより、ピラーPから車体側方に張り出した状態に取り付けられる。なお、ミラーベース10は上述した螺合による固定によらず、接着剤等を用いた接着手段によってもピラーPに固定可能である。
【0033】
ミラーハウジング20は、一体的に構成されたサブアッセンブリ25と、下ハウジング26とから構成されている。サブアッセンブリ25は、フレーム21と、このフレーム21に対して取り付けられる、上ハウジング22、ミラーアッセンブリ23、および駆動ユニット24により構成される。ミラーハウジング20は、このような一体的なサブアッセンブリ25に、図2において下方向から下ハウジング26が被せられ、これが上ハウジング22に固定されることによって組み立てられる。なお、フレーム21、上ハウジング22、下ハウジング26はいずれも、剛性の高い合成樹脂材で形成される。
【0034】
上ハウジング22の上面には、孔22aが開口形成されており、この孔22aに、ミラーハウジング20の回動支軸となるシャフト24aに連結されたフランジ部24bが臨ませてある。
ミラーアッセンブリ23は、フレーム21に固定された鏡面調整用のアクチュエータ23aにミラー23b(図2においては背面側を図示。)が取り付けられており、アクチュエータ23aの駆動によりミラー23bが上下方向および左右方向に傾動自在に調整される。
駆動ユニット24は、図示しない駆動モータ、変速機構等をその内部に備え、その駆動がシャフト24aに伝達されるようになっている。この駆動ユニット24および上記アクチュエータ23aからのワイヤーハーネス24cは、シャフト24aを通してフランジ部24bの中央部に引き出されている。
下ハウジング26は、上述のようにサブアッセンブリ25に下方向から被せられ、3本のねじ22c,22c,22cにより上ハウジング22に固定される。下ハウジング26は、ミラー23bに対向する部分が開口形成されており、上ハウジング22に固定された状態で、この開口部26aにミラー23bの鏡面が傾動可能に臨むようになっている。
【0035】
このような構成によりなるミラーハウジング20は、ミラーベース10のベース本体11に設けられた孔11eに、ワイヤーハーネス24cを通してフランジ部24bをベース本体11の下面に当接させ、ねじ11g,11gをねじ孔11f,11fからねじ孔24d,24dに通して、これを締め付けることにより、ミラーベース10のベース本体11に取り付けられる。なお、ワイヤーハーネス24cは、ミラーベース10内から端部11aのねじ部11bを通じてピラーP内に引き出され、その後、図示しない車内側のワイヤーハーネスと電気的に接続されるようになっており、これにより、ミラーハウジング20の格納操作や使用位置への復帰操作、ミラー23bの傾動操作が、運転席回りに配置された図示しないコントロールユニットにより行われるようになっている。
【0036】
なお、ミラーハウジング20が格納位置または使用位置に回動しても、従来のようなミラーハウジングにアンテナが取り付けられたアウターミラーのようにアンテナ13の取付位置が変わることはないので、アンテナ13の安定した送受信を行うことができる。
また、アンテナ13は、車体AのピラーPに固定されたミラーベース10に設けられているので、ミラーハウジング20にアンテナ13を設置した場合に比べて、振動等によるアンテナ13への影響が少なくなり、アンテナ13の安定した性能が得られる。
【0037】
このような構成によりなるアウターミラーを用いた自動車によれば、通常走行中、図5に示すように、車体Aの左右のミラーベース10,10に設けられたアンテナ13,13により、図示しない衛星からの信号を受信し、その信号は、ダッシュボードDに設けられた車載装置としてのカーナビゲーション装置30に入力される。カーナビゲーション装置30は、アンテナ13,13からの信号を入力し、その信号に基づいた自動車の位置情報等をモニター30a上に映し出す。この場合、アンテナ13,13は上吊り式のアウターミラーの上部となるミラーベース10,10に収納され、ミラーベース10,10の上方には衛星からの電波を遮るものがないので、感度の良い受信を実現することができる。また、ETCシステムが導入された図示しないゲートを通行する場合にも、ミラーベース10,10の上方にはゲート側の送受信機からの電波を遮るものがないので、ゲート側の送受信機との間で感度の良い送受信を行うことができる。
【0038】
さらに、取付台14(図2,3参照)により左右のアンテナ13,13の取付角度を電波の送受信しやすい角度にそれぞれ調節することができるので、より感度の良い送受信が可能になる。また、後付けで異なる種類のアンテナを取り付けるような場合にも、アンテナの特性に合わせて取付角度を調整することができるので、汎用の種々のアンテナを利用することもできる。
【0039】
また、車体Aの左右に設けられたアンテナ13,13を用いて送受信を行うことができるので、例えば、自動車の故障や事故などにより、一方のアンテナ13が使用不能となった場合にも、他方のアンテナ13で送受信を行うことができ、緊急時などにおける通報にも対処することができるようになる。これにより、衛星を利用した位置情報を利用して緊急時の位置を知らせるヘルプネット等のシステムに対しても柔軟に対処することができるようになる。この場合、アンテナ13は複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナであるので、一つのアンテナ13で複数の車載装置に対応することが可能である。さらに、自動車の左右のミラーベース10,10に種類の異なるアンテナ13,13を取り付けて、車体Aに取り付けられた別々の車載装置等を作動させることも可能となり、種々の車載装置の送受信に対応することが可能となる。
【0040】
(第二の実施形態)
図6は本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーのミラーベースを示した斜視図である。本実施の形態のアウターミラーが前記第一の実施形態のアウターミラーと異なるところは、ミラーベース10内にVICSに対応したアンテナ15を搭載した点にある。
ミラーベース10内に収納されるアンテナ15は、赤外光に対する受光感度を有しており、また、アンテナ15を覆うカバー16は、赤外光を透過する合成樹脂材で形成されている。なお、カバー16は赤外光を透過する表面処理が施された合成樹脂材で構成してもよい。また、ミラーベース10のベース本体11の内部表面11hには、艶消し黒色の塗装による表面処理が施されている。なお、この表面処理はミラーベース10の内部全体(ベース本体11とカバー16との両方)に施しても良い。
このようなアウターミラーによれば、図示しない車載装置としてのカーナビゲーション・システムと連動させて、道路交通状況、最適経路誘導、目的地や駐車場などの道路案内、走行中の車両位置や路線名の確認といった情報を、路上に設置したビーコンからアンテナ15を用いて受信したり、FM多重放送(カーナビゲーション装置に付属)を用いて受信することにより利用することができるようになる。
また、ベース本体11の内部表面11hは、艶消し黒色で塗装されているので、赤外光の乱反射が防止され、赤外光の安定した受信を実現することができる。
【0041】
(第三の実施形態)
図7は第三の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の模式図である。本実施の形態では、アウターミラーのミラーベース10に、いわゆるスマートキーレスエントリー(遠隔作動システム:送信機となるリモコンを携帯しているだけで、その携帯者がドアに近づいたりドアから離れたりすると、自動的にドアロック/アンロックが行われるシステム)に対応したアンテナ17を搭載した点にある。
このシステムは、アンテナ17,17と、出力装置18と、制御装置19と、リモコンRとから構成される。アンテナ17,17は、出力装置18により、信号(リクエスト信号:例えば、125kHz)を常時発信しており、車体Aの左右のアウターミラー周りには、このアンテナ17,17による信号領域が形成される。リモコンRは、アンテナ17,17のいずれかの信号領域において、その信号を受信すると、電波によりIDコード信号を出力するようになっている。制御装置19はリモコンRからのIDコード信号を、アンテナ17を介して受信し、そのIDコード信号が既登録のIDコード信号と一致する否かを照合し、一致した場合に、受信したアンテナ17側のドアのロック装置DRを制御して、ドアロック/アンロックを行う。例えば、車体A左側のアンテナ17による受信時は車体A左側のドアのロック装置DRが制御される。
このよなアウターミラーを用いた自動車によれば、リモコンRを所持した図示しない運転者等が近づいた側のドアのみ、ロックが解除され、また、降車後はドアから離れると、そのドアが自動的にロックされるようになる。
【0042】
前記した各実施形態に係るアウターミラーは、電動格納式であったが、これに限定されることはなく、手動格納式や固定式のものであっても差し支えない。
さらに、前記した各実施形態では、ミラーベース10は、ピラーPに取り付けられるように構成されていたが、これに限定されることはなく、例えば、自動車のサイドウインドウの前端部の三角コーナー部やサイドウインドウを仕切る縦枠、あるいはサイドウインドウのガラス面に直接取り付けられるようにしてもよい。
また、ミラーベース10は、ベース本体11とカバー12とから構成されていたが、これに限定されることはなく、例えば、図8に示すミラーベース10’のように、ベース本体11’は、サイドウインドウの前端部に取り付け可能な取付板40と一体に成形されたものであってもよい。この場合、取付板40をサイドウインドウの前端部に設けた取付座41に対して固定することで、アウターミラーが車体Aに取り付けられる。
さらに、アンテナ13,15,17はミラーベース10内に収納されるように構成されていたが、例えば、カバー12,16の上面に露出される状態に設けても良い。この場合、アンテナ13,15,17の破損や汚損などを防ぐための保護処理をアンテナ13,15,17の露出部分に対して施すことが好ましい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した通り、請求項1に記載の発明によれば、アウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースにミラーハウジングが吊設された上吊り式となっているので、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となる。そして、アンテナは、高い位置となったミラーベースに設けられているので、従来のように、アンテナの上方にミラーハウジングが配置されたり、アンテナがミラーハウジングで覆われるということがなくなり、ミラーハウジングがアンテナの送受信の障害とならなくなる。したがって、感度のよい送受信を実現することができる。また、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となるので、ミラーハウジングにメッキ塗装を施すことができるようになり、これによって、種々の車種への取り付けが可能になる。
また、アンテナは、車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースに設けられているので、アンテナのワイヤーハーネスが短くて済み、車体側への引き込みも簡単になる。したがって、アンテナの組付け作業が簡単になる。
【0044】
請求項2に記載のアウターミラーによれば、角度調整手段によりアンテナの取付角度を電波の受信しやすい角度に調節することができる。したがって、アンテナの感度を高めることができるようになり、より感度の高い送受信が可能になる。また、アンテナの特性に合わせて取付角度を調整することができるので、種々のアンテナを取り付けることができるようになる。
【0045】
請求項3に記載のアウターミラーによれば、車体側コネクタが、ミラーベース又はミラーベース近傍の車体側の部位に設けられているので、アンテナの組付け作業が容易であるという利点が得られる。また、アンテナを後付けで組み付けることができるようになる。
【0046】
請求項4に記載のアウターミラーによれば、アンテナが複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナとなっているので、一つのアンテナで複数の車載装置に対応することができるようになる。例えば、ETC、GPS等のシステムを一つのアンテナで行うことができる。
【0047】
請求項5に記載のアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美感が向上する。さらに、カバーは電波を透過する部材で形成されているので、電波の安定した受信を実現することができる。
【0048】
請求項6に記載のアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美観が向上するとともに、赤外光を利用した送受信、例えば、VICS等のシステムを利用することができるようになる。
【0049】
請求項7に記載のアウターミラーによれば、ミラーベースの内部表面が艶消し黒色で塗装されているので、赤外光の乱反射が防止され、赤外光の安定した受信を実現することができる。
【0050】
請求項8に記載の自動車によれば、車体の左右に設けられたアンテナを用いて送受信を行うことができる。例えば、左右のアンテナで受信感度の良い方を利用するダイバーシティ受信を行うことも可能となる。また、受信に二つのアンテナが必要とされるモバイル放送等の受信を行うことも可能となる。この場合、左右のミラーベースにアンテナが設置されることにより、アンテナ間の距離を長くとることができるようになり、電波干渉を受けにくい安定した受信を行うことができるようになる。
さらに、自動車の故障や事故などにより、一方のアンテナが使用不可能となった場合にも、他方のアンテナで送受信を行うことができ、緊急時などにおける自動車の位置情報等を含む通報にも対処することができるようになる。また、自動車の車体の左右のミラーベースに種類の異なるアンテナを取り付けて、車体に取り付けられた別々の車載装置を作動させることも可能となり、種々の送受信に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の車体左側の斜視図である。
【図2】アウターミラーの概略構造を示す分解斜視図である。
【図3】(a)は取付台を説明するための分解斜視図、(b)は図3(a)におけるb矢視拡大図である。
【図4】(a)(b)はアンテナの取付態様を説明するための模式図である。
【図5】第一の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車に採用したナビゲーションシステムの説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーが採用されたミラーベースの斜視図である。
【図7】第三の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の模式図である。
【図8】ミラーベースの変形例を示す斜視図である。
【図9】従来のアウターミラーの斜視図である。
【図10】従来のアウターミラーの他の例を示す一部透視斜視図である。
【図11】従来のアウターミラーの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10・・・ミラーベース
11・・・ベース本体
11h・・内部表面
12,16・・・カバー
13,15,17・・・アンテナ
14・・・取付台(角度調整手段)
20・・・ミラーハウジング
23b・・ミラー
30・・・車載装置
31・・・車体側コネクタ
A ・・・車体
P ・・・ピラー
W ・・・フロントウインドウ
SW・・・サイドウインドウ
【産業上の利用分野】
本発明は、自動車のサイドドアー付近に付設されるアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車に関する。特に、ITS(高速道路交通システム)、モバイル放送、さらにはキーレスエントリー等における電波等の送受信に好適なアンテナを備えたアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、自動車に関連したシステムとして、例えば、GPS(Global Positioning System)、VICS(Vehicle Information and Communication System)、ETC(Electronic Toll Collection System、)などのITS(Intelligent Transport Systems:高速道路交通システム)が実用化されている。このような、システムを利用するためには車載装置とともに送受信用のアンテナが不可欠であり、その設置場所としては、電波を受けやすい自動車の屋根の上やトランクの上などが好適である。しかし、これらの場所にアンテナを設置した場合、自動車の見栄えが悪くなるなどの難点が生じるため、アンテナは車内のダッシュボード付近やウインドウの近傍に設置されるケースが多くなっている。かかるアンテナはシステムごとに必要となるため、これらのシステムを複数利用する場合には、結果として、車内のダッシュボード付近やウインドウの近傍に、複数のアンテナが配置されることになる。したがって、車内の美観、特に、ダッシュボード付近の美観が損なわれやすい状況にあった。
【0003】
一方、近年、高級車のウインドウには、熱線吸収ガラスや熱線反射ガラスが採用されつつあり、これらの車種では電波が届きにくい車内環境となっている。そこで、電波を受けやすく、かつ美観を損ねない設置場所として、アウターミラーにアンテナを設けることが考えられた。
図9はアウターミラーにアンテナが設けられた従来技術の例であり、同図に示すように、このものには、アウターミラーのミラーハウジング1内に二つのアンテナ2a,2bが指向方向を変えて配置されている。ミラーハウジング1は、ミラーベース3に対して回動するようになっており、回動により格納と使用位置への復帰とが行われるようになっている。二つのアンテナ2a,2bは、このミラーハウジング1の回動にともなって、受信するアンテナが切り替えられるようになっており、ミラーハウジング1の格納位置あるいは使用位置のいずれにおいても、電波が受信されるように構成されている。
また、図10に示したものは、アウターミラーのミラーベース3に設けられた張出し部3aに、ミラーハウジング1が回動自在に取り付けられているものにおいて、張出し部3aにアンテナ4が回動不能に立設されたものである。すなわち、このものは、ミラーハウジング1が、張出し部3aに立設されたアンテナ4を収納したままの状態で回動するように構成されている(特許文献1参照)。
【0004】
また、その他の従来技術としては、図11に示すようなものもある。このものは、ミラーベース5の張出し部5aにアンテナ6が取り付けられたものであり、アンテナ6の上面には図示しない駆動ユニットとともにミラーハウジングが回動可能に取り付けられるようになっている。すなわち、このものは、アンテナ6が図示しない駆動ユニットおよびミラーハウジングの下に敷設された構成となっている(特許文献2参照)。
【0005】
【特許文献1】
特開平11−321471号公報([0024]−[0029],[0050]−[0051],図1,図11)
【特許文献2】
実開昭62−89815号公報(第12頁,第13頁,第7図(B))
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来のアウターミラーには次のような問題があった。図9に示したアウターミラーでは、アンテナ2a,2bがミラーハウジング1内に設けられているので、これらのアンテナ2a,2bの図示しないワイヤーハーネスは、ミラーハウジング1から図示しない駆動ユニットのシャフトを通してミラーベース3側に引き出される。駆動ユニットのシャフトには、これらのアンテナ2a,2bのワイヤーハーネスの他に、図示しない駆動ユニット,ミラーアッセンブリのワイヤーハーネスが挿通されるようになっているので、シャフトに隙間の余裕がなく、結果として、これらのアンテナ2a,2bのワイヤーハーネスを細く形成しなければならなかった。このため、アンテナ2a,2bの減衰が生じやすくなり、また、捩れによりワイヤーハーネスが断線する恐れもあった。
【0007】
この点、図10に示したアウターミラーでは、ミラーベース3の張出し部3aに直接、アンテナ4が立設されているので、上述のようなシャフトを通じたワイヤーハーネスの引き出しに伴う問題は生じないが、アンテナ4の全体がミラーハウジング1で覆われているので、ミラーハウジング1が電波を通しにくい部材で構成されている場合、例えば、本体は合成樹脂製であっても、その表面にメッキ塗装が施されているような場合には、電波の送受信に著しい支障を来たしてしまう。近年、人気を博しているRV(Recreational Vehicle)車等は、特に、ミラーハウジングにメッキ塗装を施したものが主流となっており、このような人気車においては、アウターミラーにアンテナ4を搭載することができないという不都合を生じる。すなわち、上述したアンテナ4を取り付けることによって、ミラーハウジング1にメッキ塗装を施すことができなくなってしまう。
ところで、電動格納式のアウターミラーは、一般的に、ミラーハウジングが、ミラーベースの張出し部に設けられた駆動ユニットにより回動して、格納と使用位置への復帰とが行われるように構成されているため、図9に示したもののように、ミラーベース3の張出し部3aにアンテナ4を立設することはスペース的に困難性が高く、組立作業に手間を要してしまう。
【0008】
また、図11に示したアウターミラーでは、図示しないミラーハウジングと駆動ユニットとの下方にアンテナ6が敷設された構成となっているので、このものも、ミラーハウジングにメッキ塗装が施されているような場合には、電波の受信がうまくいかなくなる。さらに、アンテナ6の上方に位置する図示しない駆動ユニットに、金属性の部材が使用されているような場合には、この部分で電波が反射してしまい、電波の受信に支障を来しやすい。
【0009】
本発明は、かかる事情に鑑みてなされたものであり、感度のよい送受信を行うことができ、さらに、ワイヤーハーネスの引きまわしがよく、組み立て易いとともに、メッキ塗装されたミラーハウジングを有するものにもアンテナを使用することができるアウターミラーおよびこのアウターミラーを用いた自動車を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために本発明の請求項1に記載のアウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースと、このミラーベースに吊設されたミラーハウジングとを備え、前記ミラーベースにアンテナが設けられていることを特徴とする。
【0011】
このようなアウターミラーによれば、アウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースにミラーハウジングが吊設された構造(以下、上吊り式という。)となっているので、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となる。そして、アンテナは、このミラーベースに設けられているので、従来のように、アンテナの上方にミラーハウジングが配置されたり、アンテナがミラーハウジングで覆われてしまうということがなくなり、ミラーハウジングがアンテナの送受信の障害とならなくなる。したがって、感度のよい送受信を実現することができる。また、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となるので、ミラーハウジングにメッキ塗装を施すことができるようになり、これにより、種々の車種への取り付けが可能になる。
また、アンテナは、車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースに設けられているので、アンテナのワイヤーハーネスが短くて済み、車体側への引き込みも簡単になる。したがって、アンテナの組付け作業が簡単になる。
【0012】
請求項2に記載のアウターミラーは、請求項1に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースには、アンテナの取付角度を調整することが可能な角度調整手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
このようなアウターミラーによれば、角度調整手段によりアンテナの取付角度を電波の受信しやすい角度に調節することができる。したがって、アンテナの感度を高めることができるようになり、より感度の高い送受信が可能になる。また、アンテナの特性に合わせて取付角度を調整することができるので、種々のアンテナを取り付けることができるようになる。
【0014】
請求項3に記載のアウターミラーは、請求項1又は請求項2に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベース又はミラーベース近傍の車体側の部位には、アンテナに電気的に接続するための車体側コネクタが配置されていることを特徴とする。
【0015】
このようなアウターミラーによれば、車体側コネクタが、ミラーベース又はミラーベース近傍の車体側の部位に設けられているので、アンテナの組付け作業が容易であるという利点が得られる。また、車体側コネクタがミラーベースに配置されている場合には、車体側コネクタとアンテナとの電気的な接続をミラーベース内で行うことができるようになり、アンテナの交換作業が簡単になる。また、ミラーベースにアンテナを後から組み付けることも簡単に行うことができる。
【0016】
請求項4に記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、アンテナは、複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナであることを特徴とする。
【0017】
このようなアウターミラーによれば、アンテナが複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナとなっているので、一つのアンテナで複数の車載装置に対応することができるようになる。例えば、ETC、GPS等のシステムを一つのアンテナで行うことができる。
【0018】
請求項5に記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースは、アンテナが設けられるベース本体と、このベース本体に被せられるカバーとを備え、カバーが、電波を透過する部材で形成されていることを特徴とする。
【0019】
このようなアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美観が向上する。さらに、カバーは電波を透過する部材で形成されているので、電波の安定した送受信を実現することができる。
【0020】
請求項6に記載のアウターミラーは、請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースは、アンテナが設けられるベース本体と、このベース本体に被せられるカバーとを備え、アンテナが赤外光に対する受光感度を有するとともに、カバーが赤外光を透過する部材又は赤外光を透過する表面処理が施された部材で形成されていることを特徴とする。
【0021】
このようなアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美観が向上するとともに、赤外光を利用した送受信、例えば、VICS等のシステムを利用することができるようになる。
【0022】
請求項7に記載のアウターミラーによれば、請求項6に記載のアウターミラーにおいて、ミラーベースの内部表面が艶消し黒色で塗装されているので、赤外光の乱反射が防止され、赤外光の安定した受信を実現することができる。
【0023】
請求項8に記載の自動車は、請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のアウターミラーを車体の左右側方に一対設けたことを特徴とする。
【0024】
このような自動車によれば、車体の左右に設けられたアンテナを用いて送受信を行うことができる。例えば、左右のアンテナで受信感度の良い方を利用するダイバーシティ受信を行うことも可能となる。また、受信に二つのアンテナが必要とされるモバイル放送等の受信を行うことも可能となる。この場合、左右のミラーベースにアンテナが設置されることにより、アンテナ間の距離を長くとることができるようになり、電波干渉を受けにくい安定した受信を行うことができるようになる。
さらに、自動車の故障や事故などにより、一方のアンテナが使用不能となった場合にも、他方のアンテナで送受信を行うことができ、緊急時などにおける自動車の位置情報等を含む通報にも対処することができるようになる。また、自動車の車体の左右のミラーベースに種類の異なるアンテナを取り付けて、車体に取り付けられた別々の車載装置を作動させることも可能となり、種々の車載装置の送受信に対応することが可能となる。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。なお、説明において、同一の要素には同一の符号を用い、重複する説明は省略する。また、以下の説明において、「前後」,「左右」,「上下」は、アウターミラーを車体に取り付けた状態を基準とする。
【0026】
(第一の実施形態)
図1は第一の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の車体左側の斜視図、図2はアウターミラーの概略構造を示す分解斜視図である。図1,2に示すように、本実施の形態のアウターミラーは、自動車の車体Aの側面からその側方に向かって張り出すミラーベース10と、ミラー23bが設けられたミラーハウジング20とを備え、ミラーベース10にミラーハウジング20を吊設した上吊り式アウターミラーとして構成され、ミラーベース10にアンテナ13が設けられている。本実施の形態では、ミラーベース10が車体AのフロントウインドウWの脇に設けられたピラーPに固定され、ミラーハウジング20が後述する駆動ユニットによりミラーベース10に対して略垂直軸回りに回動して格納と使用位置への復帰とが行われるようになっている。
なお、本実施の形態の自動車ではアウターミラーが、フロントウインドウWの両脇のピラーP,Pに一対取り付けられる。また、ここで言うピラーPには、上述したフロントウインドウWの両脇に接しているピラーPの他に、サイドウインドウSWのウインドウ枠の前部を構成している窓ピラーも含まれる。
【0027】
このように、本実施の形態のアウターミラーは、自動車の車体Aの側面からその側方に向かって張り出されたミラーベース10にミラーハウジング20が吊設された上吊り式となっているので、ミラーベース10がミラーハウジング20よりも高い位置となる。そして、アンテナ13は、このミラーベース10に設けられているので、従来のように、アンテナ13の上方にミラーハウジング20が配置されたり、アンテナ13がミラーハウジング20で覆われるということがなくなり、ミラーハウジング20がアンテナ13の送受信の障害とならなくなる。したがって、感度のよい送受信を実現することができる。また、ミラーベース10がミラーハウジング20よりも高い位置となるので、ミラーハウジング20にメッキ塗装を施すことができるようになり、これにより、種々の車種に取り付けることが可能となる。
また、本実施の形態のアウターミラーを用いた自動車は、車体Aの左右に設けられたアンテナ13,13を有効に利用した送受信を行うことができる。
【0028】
以下、各部について説明する。図2に示すように、ミラーベース10は、合成樹脂製のベース本体11とカバー12とからなっており、その外形は略流線形に形成されている。ベース本体11にカバー12が被せられた状態で、その内部には、広い空間が形成されるようになっている。本実施の形態ではこの空間を利用してベース本体11にアンテナ13が取り付けられている。
本実施の形態では、アンテナ13として、GPS、ETCシステムに対応したギガ帯の電波の送受信を行うことが可能な、フラットタイプの複合アンテナを設けている。また、車体Aの左右のアンテナ13,13によりダイバーシティアンテナが構成されており、図示しない車載装置によって、受信レベルが大きい方のアンテナ13が選択されるようになっている。これにより、移動受信特有の課題であるフェージングの問題が解決される。
【0029】
このようなアンテナ13は、図3(a)(b)に示すように、角度調整手段としての取付台14によってベース本体11上に固定されるようになっている。図3(a)に示すように、アンテナ13の側部には、固定穴13b,13b,13c,13cが設けられている。取付台14は、2つの基台14a,14aと、この基台14a,14aにそれぞれ設けられた固定孔14b,14bと、円弧状の角度調整孔14c,14cと、固定ビス15a,15aと、調整ビス15b,15bとを備えている。基台14a,14aは、その間にアンテナ13が配置される間隔を隔ててベース本体11上に平行に取り付けられている。
このような取付台14へアンテナ13を取り付ける際は、まず、基台14a,14aの間にアンテナ13を挿入しておいて、固定ビス15a,15aを、基台14a,14aの固定孔14b,14bからアンテナ13の固定穴13b,13bに挿入して締め付けることにより、アンテナ13の一端側13b1を保持する。次に、調整ビス15b,15bを基台14a,14aの角度調整孔14c,14cからアンテナ13の固定穴13c,13cに挿入して締め付けることにより、アンテナ13の他端側13c1を保持する。これにより、アンテナ13を取付台14に固定することができる。
アンテナ13は、調整ビス15b,15bを緩めることにより、固定ビス15a,15aを支軸として図3(a)において矢印X方向に回動可能であり、その回動範囲は角度調整孔14c,14cに沿って調整ビス15b,15bが移動できる範囲内で規制される(図3(b)において、角度を上下に最大に調整した場合のアンテナ13の状態を符号K,Kを附して二点鎖線で示す。)。感度の良い角度にアンテナ13を角度調整した後は、調整ビス15b,15bを締め付けることにより、その角度を保持した状態でアンテナ13を固定することができる。例えば、ETCアンテナとして角度を調整する場合には、指定されたゲートを高速で通過して、最も効率よく送受信できる角度にアンテナ13を設定することが望ましい。
本実施の形態では、アンテナ13がカバー12で覆われているので、このように調整されたアンテナ13の取付角度が外的要因、例えば、子供のいたずら等によって変わってしまうことがない。
【0030】
アンテナ13の取付態様としては、図4(a)(b)に示すように、ワイヤーハーネス13aの長さによって、二通りある。すなわち、図4(a)に示すように、アンテナ13のワイヤーハーネス13aを長くした場合には、アンテナ側コネクタ13a1がピラーPを通じて、ミラーベース10の近傍の部位である車内S側に引き出され、車載装置30からのワイヤーハーネスに設けられた車体側コネクタ31に電気的に接続される。また、図4(b)に示すように、アンテナ13のワイヤーハーネス13aを短くした場合には、アンテナ側コネクタ13a1が、車内S側からピラーPを通じてミラーベース10内に引き出された車体側コネクタ31に電気的に接続される。上記いずれの場合においても、アンテナ13のワイヤーハーネス13aの引きまわしが簡単であり、アンテナの組付け作業が容易である。特に、図4(b)に示したパターンでは、ミラーベース10内でコネクタの接続が行われるので、アンテナ13の組付けを後付けで行うことができるようになるとともに、組付け後のアンテナ13の交換作業も簡単に行うことができる。したがって、将来、アンテナのグレードアップや他のシステムに対応したアンテナへの交換も容易である。例えば、Sバンド(2.6ギガヘルツ帯)の電波を使ったモバイル放送に対応したアンテナを搭載することも可能であり、携帯電話などの無線通信と連動した双方向のブロードバンドサービスに対応することも可能である。この場合、モバイル放送において二つ必要となるアンテナを左右のミラーベース10,10に分けて配置することができるので、アンテナ間の距離を長くとることができるようになり、したがって、電波干渉を受けにくい安定した受信を行うことができる。
【0031】
図2に示すように、カバー12は、図示しないパッキン等を介してベース本体11に被せられ、2本のねじ12a,12aによりベース本体11に固定されるようになっている。本実施の形態では、安定した電波の受信が行われるように、また、外観上、アンテナ13が見えなくなるようにして美感を向上させるために、カバー12が適宜の色で着色された合成樹脂材で形成されている。これにより、電波がカバー12を通過してアンテナ13に届きやすくなっている。このようなカバー12がベース本体11に取り付けられることにより、ミラーベース10は水や塵埃等が内部に侵入しにくい構造となる。なお、カバー12は、透明や半透明とすることもできる。
【0032】
このようなミラーベース10は、ベース本体11の端部11aに形成されたネジ部11bを車体AのピラーPに形成された取付孔P1に挿通するとともに、端部11aに形成された突部11cをピラーPに形成された位置決め用孔P2に挿入して、ピラーPの背面側からネジ部11bに固定用ナット11dを螺合させて締め付けることにより、ピラーPから車体側方に張り出した状態に取り付けられる。なお、ミラーベース10は上述した螺合による固定によらず、接着剤等を用いた接着手段によってもピラーPに固定可能である。
【0033】
ミラーハウジング20は、一体的に構成されたサブアッセンブリ25と、下ハウジング26とから構成されている。サブアッセンブリ25は、フレーム21と、このフレーム21に対して取り付けられる、上ハウジング22、ミラーアッセンブリ23、および駆動ユニット24により構成される。ミラーハウジング20は、このような一体的なサブアッセンブリ25に、図2において下方向から下ハウジング26が被せられ、これが上ハウジング22に固定されることによって組み立てられる。なお、フレーム21、上ハウジング22、下ハウジング26はいずれも、剛性の高い合成樹脂材で形成される。
【0034】
上ハウジング22の上面には、孔22aが開口形成されており、この孔22aに、ミラーハウジング20の回動支軸となるシャフト24aに連結されたフランジ部24bが臨ませてある。
ミラーアッセンブリ23は、フレーム21に固定された鏡面調整用のアクチュエータ23aにミラー23b(図2においては背面側を図示。)が取り付けられており、アクチュエータ23aの駆動によりミラー23bが上下方向および左右方向に傾動自在に調整される。
駆動ユニット24は、図示しない駆動モータ、変速機構等をその内部に備え、その駆動がシャフト24aに伝達されるようになっている。この駆動ユニット24および上記アクチュエータ23aからのワイヤーハーネス24cは、シャフト24aを通してフランジ部24bの中央部に引き出されている。
下ハウジング26は、上述のようにサブアッセンブリ25に下方向から被せられ、3本のねじ22c,22c,22cにより上ハウジング22に固定される。下ハウジング26は、ミラー23bに対向する部分が開口形成されており、上ハウジング22に固定された状態で、この開口部26aにミラー23bの鏡面が傾動可能に臨むようになっている。
【0035】
このような構成によりなるミラーハウジング20は、ミラーベース10のベース本体11に設けられた孔11eに、ワイヤーハーネス24cを通してフランジ部24bをベース本体11の下面に当接させ、ねじ11g,11gをねじ孔11f,11fからねじ孔24d,24dに通して、これを締め付けることにより、ミラーベース10のベース本体11に取り付けられる。なお、ワイヤーハーネス24cは、ミラーベース10内から端部11aのねじ部11bを通じてピラーP内に引き出され、その後、図示しない車内側のワイヤーハーネスと電気的に接続されるようになっており、これにより、ミラーハウジング20の格納操作や使用位置への復帰操作、ミラー23bの傾動操作が、運転席回りに配置された図示しないコントロールユニットにより行われるようになっている。
【0036】
なお、ミラーハウジング20が格納位置または使用位置に回動しても、従来のようなミラーハウジングにアンテナが取り付けられたアウターミラーのようにアンテナ13の取付位置が変わることはないので、アンテナ13の安定した送受信を行うことができる。
また、アンテナ13は、車体AのピラーPに固定されたミラーベース10に設けられているので、ミラーハウジング20にアンテナ13を設置した場合に比べて、振動等によるアンテナ13への影響が少なくなり、アンテナ13の安定した性能が得られる。
【0037】
このような構成によりなるアウターミラーを用いた自動車によれば、通常走行中、図5に示すように、車体Aの左右のミラーベース10,10に設けられたアンテナ13,13により、図示しない衛星からの信号を受信し、その信号は、ダッシュボードDに設けられた車載装置としてのカーナビゲーション装置30に入力される。カーナビゲーション装置30は、アンテナ13,13からの信号を入力し、その信号に基づいた自動車の位置情報等をモニター30a上に映し出す。この場合、アンテナ13,13は上吊り式のアウターミラーの上部となるミラーベース10,10に収納され、ミラーベース10,10の上方には衛星からの電波を遮るものがないので、感度の良い受信を実現することができる。また、ETCシステムが導入された図示しないゲートを通行する場合にも、ミラーベース10,10の上方にはゲート側の送受信機からの電波を遮るものがないので、ゲート側の送受信機との間で感度の良い送受信を行うことができる。
【0038】
さらに、取付台14(図2,3参照)により左右のアンテナ13,13の取付角度を電波の送受信しやすい角度にそれぞれ調節することができるので、より感度の良い送受信が可能になる。また、後付けで異なる種類のアンテナを取り付けるような場合にも、アンテナの特性に合わせて取付角度を調整することができるので、汎用の種々のアンテナを利用することもできる。
【0039】
また、車体Aの左右に設けられたアンテナ13,13を用いて送受信を行うことができるので、例えば、自動車の故障や事故などにより、一方のアンテナ13が使用不能となった場合にも、他方のアンテナ13で送受信を行うことができ、緊急時などにおける通報にも対処することができるようになる。これにより、衛星を利用した位置情報を利用して緊急時の位置を知らせるヘルプネット等のシステムに対しても柔軟に対処することができるようになる。この場合、アンテナ13は複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナであるので、一つのアンテナ13で複数の車載装置に対応することが可能である。さらに、自動車の左右のミラーベース10,10に種類の異なるアンテナ13,13を取り付けて、車体Aに取り付けられた別々の車載装置等を作動させることも可能となり、種々の車載装置の送受信に対応することが可能となる。
【0040】
(第二の実施形態)
図6は本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーのミラーベースを示した斜視図である。本実施の形態のアウターミラーが前記第一の実施形態のアウターミラーと異なるところは、ミラーベース10内にVICSに対応したアンテナ15を搭載した点にある。
ミラーベース10内に収納されるアンテナ15は、赤外光に対する受光感度を有しており、また、アンテナ15を覆うカバー16は、赤外光を透過する合成樹脂材で形成されている。なお、カバー16は赤外光を透過する表面処理が施された合成樹脂材で構成してもよい。また、ミラーベース10のベース本体11の内部表面11hには、艶消し黒色の塗装による表面処理が施されている。なお、この表面処理はミラーベース10の内部全体(ベース本体11とカバー16との両方)に施しても良い。
このようなアウターミラーによれば、図示しない車載装置としてのカーナビゲーション・システムと連動させて、道路交通状況、最適経路誘導、目的地や駐車場などの道路案内、走行中の車両位置や路線名の確認といった情報を、路上に設置したビーコンからアンテナ15を用いて受信したり、FM多重放送(カーナビゲーション装置に付属)を用いて受信することにより利用することができるようになる。
また、ベース本体11の内部表面11hは、艶消し黒色で塗装されているので、赤外光の乱反射が防止され、赤外光の安定した受信を実現することができる。
【0041】
(第三の実施形態)
図7は第三の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の模式図である。本実施の形態では、アウターミラーのミラーベース10に、いわゆるスマートキーレスエントリー(遠隔作動システム:送信機となるリモコンを携帯しているだけで、その携帯者がドアに近づいたりドアから離れたりすると、自動的にドアロック/アンロックが行われるシステム)に対応したアンテナ17を搭載した点にある。
このシステムは、アンテナ17,17と、出力装置18と、制御装置19と、リモコンRとから構成される。アンテナ17,17は、出力装置18により、信号(リクエスト信号:例えば、125kHz)を常時発信しており、車体Aの左右のアウターミラー周りには、このアンテナ17,17による信号領域が形成される。リモコンRは、アンテナ17,17のいずれかの信号領域において、その信号を受信すると、電波によりIDコード信号を出力するようになっている。制御装置19はリモコンRからのIDコード信号を、アンテナ17を介して受信し、そのIDコード信号が既登録のIDコード信号と一致する否かを照合し、一致した場合に、受信したアンテナ17側のドアのロック装置DRを制御して、ドアロック/アンロックを行う。例えば、車体A左側のアンテナ17による受信時は車体A左側のドアのロック装置DRが制御される。
このよなアウターミラーを用いた自動車によれば、リモコンRを所持した図示しない運転者等が近づいた側のドアのみ、ロックが解除され、また、降車後はドアから離れると、そのドアが自動的にロックされるようになる。
【0042】
前記した各実施形態に係るアウターミラーは、電動格納式であったが、これに限定されることはなく、手動格納式や固定式のものであっても差し支えない。
さらに、前記した各実施形態では、ミラーベース10は、ピラーPに取り付けられるように構成されていたが、これに限定されることはなく、例えば、自動車のサイドウインドウの前端部の三角コーナー部やサイドウインドウを仕切る縦枠、あるいはサイドウインドウのガラス面に直接取り付けられるようにしてもよい。
また、ミラーベース10は、ベース本体11とカバー12とから構成されていたが、これに限定されることはなく、例えば、図8に示すミラーベース10’のように、ベース本体11’は、サイドウインドウの前端部に取り付け可能な取付板40と一体に成形されたものであってもよい。この場合、取付板40をサイドウインドウの前端部に設けた取付座41に対して固定することで、アウターミラーが車体Aに取り付けられる。
さらに、アンテナ13,15,17はミラーベース10内に収納されるように構成されていたが、例えば、カバー12,16の上面に露出される状態に設けても良い。この場合、アンテナ13,15,17の破損や汚損などを防ぐための保護処理をアンテナ13,15,17の露出部分に対して施すことが好ましい。
【0043】
【発明の効果】
以上説明した通り、請求項1に記載の発明によれば、アウターミラーは、自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースにミラーハウジングが吊設された上吊り式となっているので、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となる。そして、アンテナは、高い位置となったミラーベースに設けられているので、従来のように、アンテナの上方にミラーハウジングが配置されたり、アンテナがミラーハウジングで覆われるということがなくなり、ミラーハウジングがアンテナの送受信の障害とならなくなる。したがって、感度のよい送受信を実現することができる。また、ミラーベースがミラーハウジングよりも高い位置となるので、ミラーハウジングにメッキ塗装を施すことができるようになり、これによって、種々の車種への取り付けが可能になる。
また、アンテナは、車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースに設けられているので、アンテナのワイヤーハーネスが短くて済み、車体側への引き込みも簡単になる。したがって、アンテナの組付け作業が簡単になる。
【0044】
請求項2に記載のアウターミラーによれば、角度調整手段によりアンテナの取付角度を電波の受信しやすい角度に調節することができる。したがって、アンテナの感度を高めることができるようになり、より感度の高い送受信が可能になる。また、アンテナの特性に合わせて取付角度を調整することができるので、種々のアンテナを取り付けることができるようになる。
【0045】
請求項3に記載のアウターミラーによれば、車体側コネクタが、ミラーベース又はミラーベース近傍の車体側の部位に設けられているので、アンテナの組付け作業が容易であるという利点が得られる。また、アンテナを後付けで組み付けることができるようになる。
【0046】
請求項4に記載のアウターミラーによれば、アンテナが複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナとなっているので、一つのアンテナで複数の車載装置に対応することができるようになる。例えば、ETC、GPS等のシステムを一つのアンテナで行うことができる。
【0047】
請求項5に記載のアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美感が向上する。さらに、カバーは電波を透過する部材で形成されているので、電波の安定した受信を実現することができる。
【0048】
請求項6に記載のアウターミラーによれば、ベース本体に被せられたカバーでアンテナが覆われるので、美観が向上するとともに、赤外光を利用した送受信、例えば、VICS等のシステムを利用することができるようになる。
【0049】
請求項7に記載のアウターミラーによれば、ミラーベースの内部表面が艶消し黒色で塗装されているので、赤外光の乱反射が防止され、赤外光の安定した受信を実現することができる。
【0050】
請求項8に記載の自動車によれば、車体の左右に設けられたアンテナを用いて送受信を行うことができる。例えば、左右のアンテナで受信感度の良い方を利用するダイバーシティ受信を行うことも可能となる。また、受信に二つのアンテナが必要とされるモバイル放送等の受信を行うことも可能となる。この場合、左右のミラーベースにアンテナが設置されることにより、アンテナ間の距離を長くとることができるようになり、電波干渉を受けにくい安定した受信を行うことができるようになる。
さらに、自動車の故障や事故などにより、一方のアンテナが使用不可能となった場合にも、他方のアンテナで送受信を行うことができ、緊急時などにおける自動車の位置情報等を含む通報にも対処することができるようになる。また、自動車の車体の左右のミラーベースに種類の異なるアンテナを取り付けて、車体に取り付けられた別々の車載装置を作動させることも可能となり、種々の送受信に対応することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第一の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の車体左側の斜視図である。
【図2】アウターミラーの概略構造を示す分解斜視図である。
【図3】(a)は取付台を説明するための分解斜視図、(b)は図3(a)におけるb矢視拡大図である。
【図4】(a)(b)はアンテナの取付態様を説明するための模式図である。
【図5】第一の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車に採用したナビゲーションシステムの説明図である。
【図6】本発明の第二の実施形態に係るアウターミラーが採用されたミラーベースの斜視図である。
【図7】第三の実施形態に係るアウターミラーを用いた自動車の模式図である。
【図8】ミラーベースの変形例を示す斜視図である。
【図9】従来のアウターミラーの斜視図である。
【図10】従来のアウターミラーの他の例を示す一部透視斜視図である。
【図11】従来のアウターミラーの他の例を示す斜視図である。
【符号の説明】
10・・・ミラーベース
11・・・ベース本体
11h・・内部表面
12,16・・・カバー
13,15,17・・・アンテナ
14・・・取付台(角度調整手段)
20・・・ミラーハウジング
23b・・ミラー
30・・・車載装置
31・・・車体側コネクタ
A ・・・車体
P ・・・ピラー
W ・・・フロントウインドウ
SW・・・サイドウインドウ
Claims (8)
- 自動車の車体の側面からその側方に向かって張り出されたミラーベースと、このミラーベースに吊設されたミラーハウジングとを備え、前記ミラーベースにアンテナが設けられていることを特徴とするアウターミラー。
- 前記ミラーベースには、前記アンテナの取付角度を調整することが可能な角度調整手段が設けられていることを特徴とする請求項1に記載のアウターミラー。
- 前記ミラーベース又は前記ミラーベース近傍の前記車体側の部位には、前記アンテナに電気的に接続するための車体側コネクタが配置されていることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のアウターミラー。
- 前記アンテナは複数の周波数帯の電波を受信する複合アンテナであることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラー。
- 前記ミラーベースは、前記アンテナが設けられるベース本体と、このベース本体に被せられるカバーとを備え、前記カバーが、電波を透過する部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれか一項に記載のアウターミラー。
- 前記ミラーベースは、前記アンテナが設けられるベース本体と、このベース本体に被せられるカバーとを備え、前記アンテナが赤外光に対する受光感度を有するとともに、前記カバーが赤外光を透過する部材又は赤外光を透過する表面処理が施された部材で形成されていることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか一項に記載のアウターミラー。
- 前記ミラーベースの内部表面は艶消し黒色で塗装されていることを特徴とする請求項6に記載のアウターミラー。
- 請求項1乃至請求項7のいずれか一項に記載のアウターミラーを車体の左右側方に一対設けたことを特徴とする自動車。
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