JP2004196058A - 盗難検知システムおよびその方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】車両にセンサを設置することなく、確実に車両の盗難検知を行うことができる盗難検知システムおよびその方法を提供する。
【解決手段】車両11は車両情報発信機110を有し、鍵13は鍵情報発信機130と嵌合して一体化される。車両情報発信機110および鍵情報発信機130は、それぞれGPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により車両の現在位置を取得する。車両および鍵において取得されたそれぞれの現在位置は、各発信機を識別するためのID符号(車両IDまたは鍵ID)とともに、盗難検知装置15に向けて定期的に発信される。盗難検知装置15は、車両と鍵の位置情報に基づいて、車両が盗難されているか否かの判断を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】車両11は車両情報発信機110を有し、鍵13は鍵情報発信機130と嵌合して一体化される。車両情報発信機110および鍵情報発信機130は、それぞれGPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により車両の現在位置を取得する。車両および鍵において取得されたそれぞれの現在位置は、各発信機を識別するためのID符号(車両IDまたは鍵ID)とともに、盗難検知装置15に向けて定期的に発信される。盗難検知装置15は、車両と鍵の位置情報に基づいて、車両が盗難されているか否かの判断を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の技術分野】
この発明は、位置情報を取得して対象物の盗難を検知する盗難検知システムおよびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】
現在、車両盗難への対策として、車両の各箇所にセンサを設けておき、これらのセンサが振動、衝撃、電流または車両の傾きなどの異常を検知した場合に、警報を発して車両盗難を通知する技術が知られている。
【0003】
また、車両にGPS受信機を設けておき、上記のような車両盗難に関する警報を当該車両の位置情報とともに、無線や携帯電話回線を用いて監視センタに送信させ、監視センタが所有者に連絡を取り状況を確認することによって、盗難検知を行う技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、上記ようなセンサを用いた警報装置においては、車両に振動や衝撃などが与えられると警報を発するので、立体駐車場における車両移動や地震などにも反応し、実際に盗難が発生していないにもかかわらず、センサが異常検知して警報を発してしまうおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、誤った警報を発するおそれを少なくし、信頼度の高い盗難検知を行うことのできる盗難検知システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】
【0007】
特開2002−249024号公報 (第9頁、第2図)。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
(1)(13)この発明にかかる盗難検知システムまたは盗難検知方法においては、検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、前記第1の発信機および前記第2の発信機が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置と、を備えた盗難検知システムであって、前記第1の発信機は、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに発信し、前記第2の発信機は、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに発信し、前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0009】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。
【0010】
(2)(3)この発明にかかる盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置であって、前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0011】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。
【0012】
(4)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、第1の発信機が発信する検知対象物の識別情報は、前記検知対象物毎に付与されたID符号を含んでおり、第2の発信機が発信する同期移動物の識別情報は、前記同期移動物毎に付与されたID符号を含んでおり、盗難検知装置は、前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物のID符号と、前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物のID符号と、予め記録されている前記検知対象物のID符号と前記同期移動物のID符号の対応付け情報と、に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0013】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。また、発信機毎に付与されたID符号の対応付け情報により、ユーザ毎に設定されている第1の発信機と第2の発信機の組合せを容易に見つけることができる。
【0014】
(5)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、第1の発信機が発信する検知対象物の識別情報は、検知対象物を示す情報およびユーザIDを含んでおり、第2の発信機が発信する同期移動物の識別情報は、前記同期移動物を示す情報およびユーザIDを含んでおり、盗難検知装置は、前記検知対象物に関する情報と前記同期移動物に関する情報とを前記ユーザIDによって関連付け、これらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0015】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。また、識別情報にユーザIDを含めることによって、ユーザ毎に設定されている第1の発信機と第2の発信機の組合せを容易に見つけることができる。
【0016】
(6)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物は車両であり、同期移動物は前記車両を始動するための鍵であることを特徴としている。
【0017】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、車両と鍵の位置情報に基づいて、車両における盗難を確実に検知することができる。
【0018】
(7)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における位置情報から両者の相対距離を算出し、前記相対距離に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0019】
したがって、検知対象物と同期移動物における物理的な状態に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0020】
(8)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における位置情報から両者の相対距離を所定時間毎に算出し、前記相対距離の時間的変化に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0021】
したがって、検知対象物の動きを予測することができるため、盗難検知の判断を迅速に行うことができる。
【0022】
(9)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における位置情報から算出した両者の相対距離が所定範囲内にあれば、盗難検知を行わないことを特徴としている。
【0023】
したがって、検知対象物と同期移動物における物理的な状態に基づいて、盗難検知を行う場合の誤作動を防止するとともに、盗難を確実に検知することができる。
【0024】
(10)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における所定時間毎の位置情報から両者の移動方向を算出し、前記移動方向に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0025】
したがって、検知対象物と同期移動物における物理的な状態に基づいて盗難検知を行う場合の誤作動を防止するとともに、盗難を確実に検知することができる。
【0026】
(11)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、盗難検知装置は、受信した位置情報における地理情報をも考慮して盗難検知を行うことを特徴としている。
【0027】
したがって、検知対象物と同期移動物における地理的な状況に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0028】
(12)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、第1の発信機または第2の発信機は、GPSを用いることによって取得した緯度および経度を、検知対象物または同期移動物の位置情報として発信することを特徴としている。
【0029】
したがって、検知対象物と同期移動物における緯度および経度に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0030】
(14)(15)この発明にかかる発信機においては、検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する発信機であって、前記検知対象物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記検知対象物の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記位置情報取得手段が取得した前記検知対象物の位置情報を、前記識別情報記憶手段が記憶している前記検知対象物の識別情報とともに発信する情報発信手段と、を備えており、前記発信機とともに盗難検知システムを構成する盗難検知装置が、前記発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有する発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて、前記検知対象物の盗難検知を行うことができるように、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに所定時間毎に発信することを特徴としている。
【0031】
したがって、盗難検知装置は、検知対象物と同期移動物における位置情報に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0032】
(16)(17)この発明にかかる発信機においては、検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する発信機であって、前記同期移動物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記同期移動物の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記位置情報取得手段が取得した前記同期移動物の位置情報を、前記識別情報記憶手段が記憶している前記同期移動物の識別情報とともに発信する情報発信手段と、を備えており、前記発信機とともに盗難検知システムを構成する盗難検知装置が、前記発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報と、前記検知対象物が有する発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて、前記検知対象物の盗難検知を行うことができるように、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに所定時間毎に発信することを特徴としている。
【0033】
したがって、盗難検知装置は、検知対象物と同期移動物における位置情報に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0034】
この発明において、「同期して移動する」とは、2つ以上のものが何らかの関連性をもってそれぞれ移動することをいう。また、2つ以上のものが実質的に同じようにそれぞれ移動する場合のみならず、同じ位置で移動する場合も含むものとする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
1.第1の実施形態
1−1.全体構成
図1に、車両を検知対象物とし、その車両を始動するための鍵を同期移動物とした場合における盗難検知システムの全体構成図を示す。
【0037】
この図において、検知対象物である車両11には、車両情報発信機110が設けられている。また、この車両に対する同期移動物である鍵13には、鍵情報発信機130が設けられている。
【0038】
車両情報発信機110は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により車両の現在位置を取得する。同様に、鍵情報発信機130は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により鍵の現在位置を取得する。なお、図1において、GPS衛星1は、1つしか示されていないが実際には複数の衛星が存在する。
【0039】
車両および鍵の存在する位置において取得されたそれぞれの位置情報は、各発信機を識別するためのID符号(車両IDまたは鍵ID)および発信時刻とともに、盗難検知装置15に向けてデータ信号として定期的に発信される。
【0040】
発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。
【0041】
盗難検知装置15には、車両IDと鍵IDの対応付け情報が記録されており、受信したデータ信号に含まれる車両IDおよび鍵IDから、ユーザ毎に設定されているこれらの組合せを抽出して、車両および鍵におけるそれぞれの位置情報を取得する。そして、定期的に取得した車両と鍵の位置情報に基づいて、車両が盗難されているか否かの判断を行う。
【0042】
例えば、鍵が停止しており車両のみが移動している場合は、盗難の可能性が高いと判断する。また、車両および鍵がともに移動していても、所定距離以上に離れている場合等には盗難の可能性が高いと判断する。
【0043】
なお、図1において、車両情報発信機110および鍵情報発信機130は、それぞれ1つしか示されていないが実際には、ユーザ数に等しい数の発信機がそれぞれに存在する。
【0044】
また、盗難検知装置15は、盗難検知サービスを提供する業者等に設置されたコンピュータ装置であって、車両の盗難を検知した場合には、当該サービスの契約ユーザに対してその旨を通知できるようにしている。例えば、図1においては、携帯電話等のユーザ端末17に電子メールで通知するようにしている。なお、当該サービスの申込を、ユーザ端末17のブラウザ機能を使用して行うようにしてもよい。
【0045】
1−2.盗難検知装置
図2に、上記盗難検知システムを構成する盗難検知装置15おけるハードウェア構成図を示す。この装置は、ディスプレイ201、CPU203、メモリ205、キーボード/マウス207、ハードディスク209、CD−ROMドライブ211および通信回路215を備えている。
【0046】
ハードディスク209は、盗難検知処理を行うための処理プログラム2091を記憶している。この処理プログラムは、例えば、CD−ROM213からCD−ROMドライブ211を介してハードディスク209にインストールされたものである。なお、フレキシブルディスクやICカード等のようにCD−ROM以外の記録媒体に記録された処理プログラムからインストールするようにしてもよい。さらに、通信回線を介して他のコンピュータに記録された処理プログラムをインストールするようにしてもよい。
【0047】
また、ハードディスク209には、当該盗難検知サービスを契約しているユーザ情報を記録したユーザ情報データベース50、車両IDと鍵IDの対応付けを記録した車両IDと鍵ID対応付け情報DB55、取得した車両IDおよび鍵IDにかかる位置情報を逐次記録する位置情報データベース90、ユーザ毎に車両IDおよび鍵IDにかかる位置情報を記録するユーザ別位置情報データベース95等が記録されている。
【0048】
通信回路215は、他の装置との通信を行うための回路であって、ここではインターネット回線11(図1)と接続可能である。
【0049】
1−3.発信機
図3に、車両情報発信機110または鍵情報発信機130における機能ブロック図を示す。これらの発信機は、位置情報取得手段31、識別情報記憶手段33および情報発信手段35を備えている。
【0050】
位置情報取得手段31は、発信機が存在する位置を取得するためのものであって、例えばGPS受信回路等がこれに該当する。これにより、発信機が存在する位置の緯度および経度を取得することができる。
【0051】
識別情報記憶手段33は、車両IDまたは鍵ID等の発信機における識別情報を記録するためのものであって、例えばメモリ等の記憶素子がこれに該当する。なお、車両IDまたは鍵IDは、ユーザ毎に発行され、各発信機を識別するためのユニークな番号である。
【0052】
情報発信手段35は、位置情報取得手段31において取得した位置情報を、識別情報記憶手段33に記録しているID符号および発信時刻とともに発信するためのものであって、例えば、携帯電話網用の通信回路、無線発信回路またはパケット通信回路等がこれに該当する。なお、本実施携帯においては、情報発信手段35は、携帯電話網用(例えばiモード(商標))の通信回路であって、基地局19に定期的(例えば10秒毎)にこの位置情報を送信する。
【0053】
また、盗難検知装置15は、インターネット回線11を介して、この位置情報を受信可能である。
【0054】
1−4.ユーザ端末
図4に、携帯電話であるユーザ端末17のハードウェア構成図を示す。この装置は、ディスプレイ401、CPU403、メモリ405、入力キー407、通信回路409を備えている。通信回路409は、他のコンピュータ装置との接続を行うための回路である。ユーザ端末のメモリ405には、ブラウザプログラム、電子メールプログラム等が記録されている。
【0055】
なお、ユーザ端末17は、インターネットに接続可能であって、ブラウザ機能及び電子メール機能が利用可能な携帯情報端末装置(PDA)または小型パソコンであってもよい。
【0056】
1−5.ユーザ登録
図5は、ユーザが、盗難検知サービスの利用申込において、ユーザ登録を行う場合のフローチャートである。なお、図6は、この場合に、ユーザ端末17のディスプレイ401に表示される画面の例である。
【0057】
まず、ユーザは、ユーザ端末17のブラウザプログラムを起動し、盗難検知サービスの利用申込のURLを入力して盗難検知装置15にアクセスする(図5、ステップS501)。
【0058】
アクセスを受けて、盗難検知装置15のCPU203は、図6に示すような、当該盗難検知サービスのメニュー画面61をユーザ端末17に送信する(ステップS511)。
【0059】
なお、前記メニュー画面61には、「ユーザ登録」ボタン611、「解約」ボタン613、「サービスのご説明」ボタン615がそれぞれ表示されている。「解約」ボタン613を押下すると、ユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示され、入力によってユーザ認証を行い盗難検知サービスの解約を行うことができる。また、「サービスのご説明」ボタン615を押下すると、盗難検知サービスの概要を説明する画面が表示される。
【0060】
ユーザが、ユーザ端末17で「ユーザ登録」ボタン611を押下すると(ステップS503)、CPU203は、ユーザ登録画面63を送信する(ステップS513)。なお、前記ユーザ登録画面63には、名前、携帯番号、携帯メールアドレス、パスワード、郵便番号等のユーザ登録情報を入力するための入力欄が表示される。
【0061】
ユーザが、前記ユーザ登録画面63の入力欄にユーザ登録情報を入力し、「送信」ボタン631を押下して盗難検知装置15に送信すると(ステップS505)、CPU203は、登録内容確認画面65を送信する(ステップS515)。なお、前記登録内容確認画面65は、前記ユーザ登録画面63でユーザが入力したユーザ登録情報を確認するためのものである。
【0062】
ユーザが、登録内容確認画面65においてユーザ登録情報の内容を確認して「確認」ボタン651を押下すると(ステップS507)、CPU203は、ユーザID、車両IDおよび鍵IDを発行して(ステップS517)、ユーザIDをユーザ端末17から受信したユーザ登録情報とともにユーザ情報データベース50に登録し、さらに、発行したユーザID、車両IDおよび鍵IDを、車両IDと鍵ID対応付け情報データベース55に登録する(ステップS519)。
【0063】
図7に、ユーザ情報データベース50の例を示す。このデータベースの項目には、ユーザが入力したユーザ登録情報(ユーザ名、携帯番号、パスワード、メールアドレス、郵便番号)に加えて、ユーザを識別するためのユニークな番号であるユーザIDが登録される。
【0064】
図7aに、車両IDと鍵ID対応付け情報データベース55の例を示す。このデータベースの項目は、ユーザID、車両ID、鍵IDの項目で構成され、これらは、ステップS517において発行されたものである。
【0065】
ユーザ登録処理を終えたCPU203は、ユーザID毎にユーザ別位置情報データベース95およびユーザ別判断情報データベース96を作成する(ステップS521)。すなわち、これらのデータベースは、ユーザ毎に作成されるデータベースであり、実際には、ユーザIDから一意に決定できる名前が付けられたユーザ別位置情報データベース95およびユーザ別判断情報データベース96がそれぞれ複数個存在する。図12に、ユーザ別位置情報データベース95の例を示す。このデータベースの項目は、発信時刻、車両の緯度、車両の経度、鍵の緯度、鍵の経度の項目で構成される。なお、ユーザ別判断情報データベース96については後述する。
【0066】
次に、CPU203は、ユーザ登録の終了と発行されたユーザIDをユーザに通知するため、登録終了画面67(図6)をユーザ端末17に送信する(ステップS523)。
【0067】
なお、ユーザ登録は、インターネットに接続可能でブラウザのインストールされたコンピュータであれば行うことができる。したがって、携帯電話等の入力キーに不慣れなユーザは、汎用キーボードが接続されたパーソナルコンピュータ等を使用してユーザ登録を行うことも可能である。また、ユーザが、盗難検知サービス業者の店舗に来店したときに記入したユーザ登録用紙に基づいて、店舗側でユーザ登録を行うようにしてもよい。
【0068】
1−6.車両IDおよび鍵IDの発信機への登録
上記ユーザ登録処理におけるステップS517に示したように、盗難検知装置15のCPU203は、ユーザ登録を行ったユーザに対して、当該盗難検知サービスで使用するための車両IDおよび鍵IDを発行する。したがって、これらのIDを各発信機の識別情報として登録する必要がある。
【0069】
サービス提供業者は、盗難検知装置15におけるユーザ情報データベース50を検索して、新規登録されているユーザIDを確認する。さらに、盗難検知装置15と発信機をROMライターを介して通信ケーブルで接続し、車両IDまたは鍵IDのデータを発信機内のメモリに転送する。これにより、発信機に車両IDまたは鍵IDを登録することができる。
【0070】
図8に、車両IDを登録する車両情報発信機110および鍵IDを登録する鍵情報発信機130の例を示す。これらの発信機は、GPS受信回路、メモリおよび無線発信回路等を備えている。特に、鍵IDを登録する鍵情報発信機130は、鍵本体80と嵌合できるような形状に設計されており、車両情報発信機110に比べて小型化されている。
【0071】
車両IDおよび鍵IDを各発信機へ登録したサービス提供業者は、これらの発信機をユーザ情報として登録されているユーザ宅へ送付する。各発信機を受け取ったユーザは、車両IDの登録された車両情報発信機110を車両の内部に設置し、鍵IDの登録された鍵情報発信機130を当該車両の鍵と嵌合させて使用することにより、本発明にかかる盗難検知サービスの提供を受けることができるようになる。
【0072】
このように、盗難検知サービスの提供を受けるにあたって、ユーザは、サービス業者から受け取った2つの発信機の設置等を行うだけで、簡単にサービスの提供を受けることができる。
【0073】
1−7.盗難検知におけるフローチャート
図9および図10は、本実施形態において、盗難検知システムにおける盗難検知装置15のCPU203が、取得した車両情報および鍵情報に基づいて、車両の盗難検知処理を行う場合のフローチャートである。なお、この盗難検知処理は、ユーザ毎に定期的に行われるものとする。
【0074】
上述したように、車両情報発信機110および鍵情報発信機130は定期的(例えば10秒毎)に位置情報を含むデータ信号を発信している。発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。盗難検知装置15において受信されたデータ信号は、位置情報データベース90に逐次自動的に記録される。
【0075】
図11に、位置情報データベース90の例を示す。車両情報発信機11から受信した位置情報および、鍵情報発信機13から受信した位置情報は、すべてこの位置情報データベース90に逐次記録される。
【0076】
位置情報データベース90においては、各発信機がデータ信号を発信した発信時刻、車両IDまたは鍵IDを表すID、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した緯度、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した経度等が記録されている。
【0077】
盗難検知装置15のCPU203は、所定のユーザID毎に、以下に示す盗難検知処理にかかる処理プログラム2091(図2)を起動する。例えば、図7のユーザ情報データベースに示すユーザ「日立太郎」にかかる盗難検知処理は、ユーザID「1111」に基づいて10秒ごとに起動される。
【0078】
CPU203は、ユーザIDに基づいて、車両IDと鍵ID対応付け情報データベース55を検索し、当該ユーザにかかる車両IDおよび鍵IDを取得する(ステップS901)。例えば、車両IDと鍵ID対応付けデータベース55(図7a)において、ユーザID「1111」の車両IDは「C1111」であり、鍵IDは「K1111」である。
【0079】
CPU203は、車両IDおよび鍵IDに基づいて、位置情報データベース90を検索し、それぞれのIDに基づいて記録されている最新の位置情報を取得する(ステップS903)。例えば、位置情報データベース90(図11)において、車両IDが「C1111」であって、発信時刻が最新のものであるレコード1101および、鍵IDが「K1111」であって発信時刻が最新のものであるレコード1103を取得する。なお、ここで取得したレコードの発信時刻は、同一である。
【0080】
CPU203は、ユーザID「1111」のために作成されたデータベースであるユーザ別位置情報データベース95(図12)に、ユーザの位置情報を記録する(ステップS905)。例えば、図11に示した位置情報データベースにおいて取得したレコード1101および1103にかかる記録データは、図12に示すユーザ別位置情報データベース95の「発信時刻」、「車両の緯度」、「車両の経度」、「鍵の緯度」、「鍵の経度」にそれぞれ記録される。
【0081】
すなわち、車両ID「C1111」の緯度が「車両の緯度」に記録され、その経度が「車両の経度」に記録される。また、鍵ID「K1111」の緯度が「鍵の緯度」に記録され、その経度が「鍵の経度」に記録される。なお、このとき記録されるレコードが、ユーザ別位置情報データベース(図12)におけるレコード125に該当する。
【0082】
CPU203は、当該ユーザのユーザ別位置情報データベース95から、前回に発信して記録されたレコードを取得する(ステップS907)。例えば、ユーザ別位置情報データベース95(図12)において、レコード125の発信時刻よりも前のレコード124を取得する。レコード124の発信時刻は「11:11:40」であり、レコード125の発信時刻は、「11:11:50」である。
【0083】
CPU203は、データベースから取得した前回のレコード124と、最新のデータであるレコード125に基づいて、車両と鍵の相対距離、車両および鍵における移動方向および移動速度を算出し、この結果をユーザ別判断情報データベース96に記録する(ステップS909)。
【0084】
すなわち、車両の緯度、車両の経度、鍵の緯度および鍵の経度に基づいて、所定の計算式を用いることにより、車両と鍵との相対距離を求める。また、各発信時刻における移動位置から移動方向および移動速度を求める。
【0085】
図12aのAに、ユーザ別判断情報データベース96の例を示す。このデータベースは、上述したようにユーザ毎に作成されており、発信時刻毎に「車両と鍵の相対距離」、「移動方向(車両および鍵)」、「移動速度(車両および鍵)」が記録される。なお、前記移動方向は、前回の位置から現在の位置に至るために移動した方向であって、真北を基準として時計周りに1度刻みで回転させたときの方向を表している。
【0086】
図12aのBに、図12にかかる各データベースレコードの位置関係を示す。例えば、図12のデータベースレコード120〜125は、図12aのBにおける車両(□)1210〜1215および鍵(△)1220〜1225の位置にそれぞれ対応している。すなわち、発信時刻「11:11:00」における車両および鍵は、車両1210および鍵1220に対応している。
【0087】
盗難検知装置15のCPU203は、算出した相対距離、移動方向および移動速度等の情報に基づいて、車両が盗難に遭っているか否かの盗難判断処理を行う(ステップS911)。
【0088】
図10に、この盗難判断処理におけるフローチャートを示す。まず、CPU203は、車両と鍵がともに移動しているか否かを判断する(ステップS1011)。
【0089】
すなわち、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)以上のときは移動しているものと判断し、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)より小さいときは停止しているものと判断する。なお、所定の値に基づいて移動速度を判断したのは、GPSの測定誤差を考慮したためである。なお、各装置におけるGPSの測定誤差に応じて、前記所定の値(例えば0.5m/s)を変更してもよい。
【0090】
車両と鍵がともに移動していない場合(ステップS1011、No)であって、車両のみが移動している場合(ステップS1023、Yes)は、鍵がない状態で車両が移動しているものと考えられるので、盗難であると判断する(ステップS1019)。
【0091】
また、上記において、鍵のみが移動している場合(ステップS1023、No)は、車両を駐車したユーザが徒歩等で移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1021)。
【0092】
一方、車両と鍵がともに移動している場合(ステップS1011、Yes)、CPU203は、さらに、車両と鍵の移動方向の差が基準値以下であるか否かを判断する。例えば、車両と鍵の移動方向の差が基準値5度以下の場合(ステップS1013、No)は、車両と鍵はほぼ同一方向に移動していることより、ユーザが車両に乗車して移動しているものと考えられ、この場合は盗難でないと判断する(ステップS1021)。
【0093】
また、上記において車両と鍵の移動方向の差が基準値より大きい場合(ステップS1013、Yes)は、さらに車両と鍵の相対距離を考慮して判断を行う(ステップS1015)。
【0094】
ここで、相対距離を考慮したのは、車両と鍵がともに移動しており、その移動方向の差が基準値よりも大きい場合であっても、盗難であると決めつけることができないからである。例えば、鍵を所有するユーザとその車両が航海中のフェリー上にあり、鍵を所有するユーザが当該フェリー上を移動している場合などがこれに該当する。
【0095】
上記のようにフェリーの可能性を判断する場合、相対距離が所定の基準値100m以下であれば(ステップS1015、No)、盗難でないと判断することができる(ステップS1021)。なお、前記所定の基準値100mは、一般的なフェリーの全長に基づいて決定すればよい。
【0096】
さらに、上記において車両と鍵の相対距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1015、Yes)は、車両における移動距離を考慮して判断を行う(ステップS1017)。
【0097】
ここで、車両の移動距離は、ユーザが車両を駐車したと判断できる地点と現在の地点との直線距離から算出可能である。すなわち、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点のうち、そのデータの発信時刻が最も直近となる過去の地点と、現在の地点との直線距離から算出可能である。
【0098】
例えば、ある地点から別の地点に至る過程において、車両における移動距離が、所定の基準値50m以下であれば(ステップS1017、No)、車両を立体駐車場に駐車しており、車両のみが所定の範囲内(立体駐車場内)で移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1021)。なお、前記所定の基準値50mは、一般的な立体駐車場の全長に基づいて決定すればよい。
【0099】
さらに、車両の移動距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1017、Yes)は、上記のいずれの場合にも該当しないので、盗難であると判断する(ステップS1019)。
【0100】
例えば、図12aおける発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1205に基づいて、上記の処理(ステップS1011〜S1017)を行う場合を考える。
【0101】
図12aのAにおいて、発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1205の車両の移動速度は「25m/s」であり、その鍵の移動速度は「1m/s」である。したがって、車両と鍵はともに移動していると判断できる(ステップS1011、Yes)。
【0102】
図12aのAに示す発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1205において、車両と鍵の移動方向の差は「55度(145度−90度より)」と算出でき、これは基準値5度より大きい(ステップS1013、Yes)。
【0103】
車両と鍵の相対距離は、図12aのAより「120.0m」であり、これは基準値100mより大きい(ステップS1015、Yes)。
【0104】
車両の移動距離は、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点と現在の地点との直線距離から判断する。図12aのAにおいて、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点は、発信時刻「11:00:00」のデータベースレコード1201の地点と発信時刻「11:11:00」のデータベースレコード1203の地点があり、その相対距離はともに「0.5m」である。この2地点のうち発信時刻が最も直近の地点を選択して直線距離を算出する。
【0105】
したがって、発信時刻「11:11:00」の地点と発信時刻「11:11:50」の地点の位置情報からその直線距離は「約400m」と算出でき、これは基準値50mより大きい(ステップS1017、Yes)。
【0106】
したがって、CPU203は、発信時刻「11:11:50」の時点において、車両盗難が発生していると判断する。
【0107】
盗難判断処理(ステップS911、図9)を終えたCPU203は、その処理結果が「盗難である」とされている場合には(ステップS913、Yes)、ユーザ端末に盗難検知の旨を通知する(ステップS915)。なお、ユーザへの通知は、ユーザ情報データベース50を参照して必要なデータ(メールアドレス、携帯番号など)を抽出し、電子メールまたは合成音声による音声通話で行う。
【0108】
図12bに、電子メールで盗難検知の通知を行う場合の例を示す。この電子メールには、ユーザの氏名、車両IDとともに盗難が発生している可能性のある旨を通知するようにしている。なお、ユーザ情報データベースに車両IDにかかる車両の車両ナンバーを登録しておき、前記電子メールにおいて、盗難が発生している可能性のある車両の車両ナンバーを表示するようにしてもよい。
【0109】
また、同時に、車両盗難の発生を警察や警備会社等の機関に通知するようにしてもよい。
【0110】
一方、盗難判断処理の処理結果が「盗難でない」とされている場合には、盗難検知処理を終了する(ステップS913、No)。
【0111】
なお、上述したように、上記盗難検知処理の処理プログラム2091(図2)は、ユーザ毎に定期的に行われるが、この処理間隔はシステムの処理能力等によって任意に設定すればよい。
【0112】
1−8.まとめ
上記のように、車両11に設けられた車両情報発信機110と、当該車両の鍵と嵌合された鍵情報発信機130と、これらの発信機が発信したデータ信号に基づいて両者の位置情報を取得する盗難検知装置から構成される盗難検知システムを利用することにより、誤った警報を発することなく、盗難検知装置において自動的かつ確実に車両盗難の判断を行うことができる。
【0113】
また、ユーザは、携帯電話に代表されるユーザ端末17を用いて、盗難検知装置15から車両盗難の通知を受けることができる。
【0114】
なお、上記の盗難判断処理ステップS1013においては、現在のデータベースレコードと直前のデータベースレコードとを比較して移動方向の差を求めたが、現在のデータベースレコードと過去の複数のデータベースレコードとの移動方向の差を求め、これらの平均値を基準値と比較するようにしてもよい。これにより、車両や鍵が複雑な移動を行った場合や、途中で通信エラーによる位置情報データの欠落があった場合でも対応することができ、誤作動を防止することができる。
【0115】
なお、上記の盗難判断処理ステップS1015においては、現在のデータベースレコードにおける車両と鍵との相対距離を用いたが、現在を含めた過去数回のデータベースレコードにおける車両と鍵の相対距離の平均値を求め、これと基準値と比較するようにしてもよい。これにより、車両や鍵が複雑な移動を行った場合や、途中で通信エラーによる位置情報データの欠落があった場合でも対応することができ、誤作動を防止することができる。
【0116】
なお、上記の盗難判断処理ステップS1015においては、現在のデータベースレコードにおける車両と鍵との相対距離を用いたが、相対距離の時間変化値を求め、これと基準値とを比較するようにしてもよい。また、現在を含めた過去数回のデータベースレコードにおける車両と鍵の相対距離の時間変化値の平均値を求め、これと基準値と比較するようにしてもよい。これにより、車両が自走走行して移動した場合において、即時に盗難の検知を行うことができる。
【0117】
2.第2の実施形態
2−1.全体構成
図13に、本実施形態における盗難検知システムの全体構成図を示す。このシステムにおける装置構成は、基本的に第1の実施形態と同様であるが、盗難検知装置15が車両IDと鍵IDの対応付け情報を必須としない点および、盗難検知装置15が地理情報180を有している点が異なる。
【0118】
第1の実施形態と同様に、車両情報発信機110は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により車両の現在位置を取得する。また、鍵情報発信機130は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により鍵の現在位置を取得する。
【0119】
車両および鍵において取得されたそれぞれの現在位置は、各発信機を識別するためのID符号(車両IDまたは鍵ID)およびユーザを識別するためのユーザIDとともに、盗難検知装置15に向けてデータ信号として定期的に発信される。
【0120】
発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。
【0121】
盗難検知装置15は、入力されたデータ信号の中からユーザIDが同一のデータの組合せを抽出し、車両および鍵におけるそれぞれの位置情報を取得する。そして、これら取得した車両と鍵の位置情報に基づいて、車両が盗難されているか否かの判断を行う。
【0122】
すなわち、第1の実施形態においては、車両情報と鍵情報の組合せを盗難検知装置15に記録された車両IDと鍵IDの対応付け情報に基づいて抽出するようにしたが、本実施形態においては、ユーザIDを発信することにより、盗難検知装置15において車両IDと鍵IDの対応付け情報を使用しなくとも、発信機からのデータを識別できるように構成している。
【0123】
これにより、車両情報発信機110および鍵情報発信機130において発信するデータ信号のデータ容量が増加するものの、盗難検知装置15における処理負荷および、車両IDと鍵IDの対応付け情報による容量負荷を削減することができる。
【0124】
また、本実施形態においては、盗難検知装置15は地理情報180を有しており、盗難検知処理において地理情報をも考慮して盗難の判断を行うことができるようにしている。例えば、車両および鍵の位置情報からその位置における地理情報として、その位置が海上であるか地上であるかを示す地理区分を取得し、車両が海上にあって鍵が地上にある場合には、車両のみが船に積載されて移動しているものと考えられ、盗難が発生している可能性が高いと考えられる。このように、地理情報をも考慮して盗難の検知を行うことにより、より高精度な盗難検知処理を行うことができる。
【0125】
2−2.盗難検知装置
図14に、本実施形態におけるハードウェア構成図を示すが、基本的には第1の実施形態と同様である。ハードディスク209において、車両IDと鍵ID対応付けデータベースが記録されておらず、地理情報データベース98が記録されている点が異なる。
【0126】
2−3.発信機およびユーザ端末
車両情報発信機110または鍵情報発信機130における機能ブロック図においても、基本的には第1の実施形態と同様である。本実施形態では、識別情報記憶手段33において、ユーザIDおよび車両情報発信機か鍵情報発信機かを示す発信機区分を記録している。また、情報発信手段35においては、位置情報取得手段31において取得した位置情報を、識別情報記憶手段33に記録しているユーザIDおよび発信機区分とともに発信するようにしている。
【0127】
また、ユーザ端末17は、第1の実施形態と同様に、インターネット11に接続可能であって、ブラウザ機能及び電子メール機能が利用可能な携帯情報端末装置(PDA)または小型パソコンを使用する。
【0128】
2−4.ユーザ登録
図15は、本実施形態において、ユーザが、盗難検知サービスの利用申込において、ユーザ登録を行う場合のフローチャートであるが、基本的には第1の実施形態の図5において示した内容と同様である。ユーザID発行処理(ステップS1517)において、車両IDおよび鍵IDは発行せずユーザIDのみを発行する点および、ユーザ登録処理(ステップS1519)において、車両IDと鍵ID対応付け情報データベースにデータを記録しない点が異なる。
【0129】
なお、この場合に、ユーザ端末17のディスプレイ401に表示される画面は、第1の実施形態において示した図6と同様である。
【0130】
ユーザが、ユーザ端末17のブラウザプログラムを起動し、盗難検知サービスの利用申込のURLを入力して盗難検知装置15にアクセスし(図15、ステップS1501)、メニュー画面61において「ユーザ登録」ボタン611を押下し(ステップS1503)、ユーザ登録画面63の入力欄にユーザ登録情報を入力して「送信」ボタン631を押下し(ステップS1505)、登録内容確認画面65において、前記ユーザ登録画面63でユーザが入力したユーザ登録情報を確認して「確認」ボタン651を押下する(ステップS1507)処理までは、第1の実施形態と同様である。
【0131】
盗難検知装置15のCPU203は、ユーザIDのみを発行し(ステップS1517)、第1の実施形態のように車両IDおよび鍵IDは発行しない。
【0132】
次に、CPU203は、ユーザIDをユーザ端末17から受信したユーザ登録情報とともにユーザ情報データベース50に登録する(ステップS1519)。なお、ユーザ情報データベース50は、第1の実施形態の図7において示した例と同様である。
【0133】
ユーザ登録処理を終えたCPU203は、ユーザID毎にユーザ別位置情報データベース95およびユーザ別判断情報データベース96を作成する(ステップS1521)。ユーザ別位置情報データベース95は、第1の実施形態の図12において示した例と同様である。ユーザ別判断情報データベース96は、第1の実施形態の図12aのAにおいて示した例と同様である。
【0134】
次に、CPU203は、ユーザ登録の終了と発行されたユーザIDをユーザに通知するため、登録終了画面67(図6)をユーザ端末17に送信する(ステップS1523)。
【0135】
2−5.ユーザIDの発信機への登録
サービス提供業者は、ユーザ情報データベース50に基づいて、新規登録されているユーザIDを確認する。さらに、盗難検知装置15と発信機をROMライターを介して通信ケーブルで接続し、ユーザIDのデータを発信機内のメモリに転送する。これにより、発信機にユーザの識別情報を登録することができる。
【0136】
なお、各発信機の識別情報記憶手段33においては、当該発信機が車両情報発信機であるか鍵情報発信機であるかを示す発信機区分が予め設定されている。
【0137】
車両IDを登録する車両情報発信機110および鍵IDを登録する鍵情報発信機130は、第1の実施形態の図8において示した例と同様である。また、第1の実施形態と同様に、サービス提供業者は、これらの発信機をユーザ情報として登録されているユーザ宅へ送付する。さらに、各発信機を受け取ったユーザが、車両IDの登録された車両情報発信機110を車両の内部に設置し、鍵IDの登録された鍵情報発信機130を当該車両の鍵と嵌合させて一体化することにより、盗難検知サービスの提供を受けることができるようになる。
【0138】
2−6.盗難検知におけるフローチャート
図16および図17は、本実施形態において、盗難検知システムにおける盗難検知装置15のCPU203が、取得した車両情報および鍵情報に基づいて、車両の盗難検知処理を行う場合のフローチャートである。なお、第1の実施形態と同様に、この盗難検知処理は、ユーザ毎に定期的に行われるものとする。
【0139】
上述したように、車両情報発信機110および鍵情報発信機130は定期的(例えば10秒毎)に位置情報を含むデータ信号を発信している。発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。盗難検知装置15において受信されたデータ信号は、位置情報データベース90に逐次自動的に記録される。
【0140】
図18に、前記位置情報データベース160の例を示す。車両情報発信機110から受信した位置情報および、鍵情報発信機130から受信した位置情報は、すべてこの位置情報データベース160に記録される。
【0141】
位置情報データベース160(図18)においては、各発信機がデータ信号を発信した発信時刻、登録されたユーザを表すユーザID、発信機が車両または鍵のいずれであるかを表す発信機区分、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した緯度、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した緯度等が記録されている。
【0142】
盗難検知装置15のCPU203は、所定のユーザID毎に、以下に示す盗難検知処理にかかる処理プログラム2093(図14)を起動する。例えば、図7のユーザ情報データベースに示すユーザ「日立太郎」にかかる盗難検知処理は、ユーザID「1111」に基づいて10秒ごとに起動される。
【0143】
CPU203は、ユーザIDに基づいて、位置情報データベース160を検索し、発信機区分毎にそれぞれ最新の位置情報を取得する(ステップS1601、図16)。例えば、位置情報データベース160(図18)において、ユーザIDが「1111」、発信機区分が「車両」であって、発信時刻が最新のものである位置情報レコード1801および、ユーザIDが「1111」、発信機区分が「鍵」であって発信時刻が最新のものである位置情報レコード1803を取得する。なお、ここで取得したレコードの発信時刻は、同一であるとする。
【0144】
次に、CPU203は、ユーザID「1111」のために作成されたデータベースであるユーザ別位置情報データベース95に、ユーザの位置情報を記録する(ステップS1603)。なお、図19に本実施形態におけるユーザ別位置情報データベースの例を示す。
【0145】
例えば、位置情報データベースのレコード1801における「緯度」が、ユーザ別位置情報データベース(図19)の「車両の緯度」に記録され、さらに、その「経度」がユーザ別位置情報データベースの「車両の経度」に記録される。また、レコード1803における「緯度」が、ユーザ別位置情報データベースの「鍵の緯度」に記録され、さらに、その「経度」がユーザ別位置情報データベースの「鍵の経度」に記録される。なお、このとき記録されるレコードが、ユーザ別位置情報データベースにおけるレコード195に該当する。
【0146】
CPU203は、当該ユーザのユーザ別位置情報データベース95から、前回に発信して記録されたレコードを取得する(ステップS1605)。例えば、ユーザ別位置情報データベース95(図19)において、レコード195の発信時刻よりも以前に記録されたレコード194を取得する。レコード194の発信時刻は「11:11:40」であり、レコード195の発信時刻「11:11:50」である。
【0147】
CPU203は、データベースから取得した前回のレコード194と、最新のデータであるレコード195に基づいて、車両と鍵の相対距離、車両および鍵における移動方向および移動速度を算出し、この結果をユーザ別判断情報データベース96に記録する(ステップS1607)。
【0148】
すなわち、車両の緯度、車両の経度、鍵の経度および鍵の経度に基づいて、所定の計算式を用いることにより、車両と鍵との相対距離を求める。また、各発信時刻における両者の移動位置から移動方向および移動速度を求める。
【0149】
図20のAに、ユーザ別判断情報データベース96の例を示す。このデータベースは、上述したようにユーザ毎に作成されており、発信時刻毎に「車両と鍵の相対距離」、「移動方向(車両および鍵)」、「移動速度(車両および鍵)」が記録される。なお、前記移動方向は、前回の位置から現在の位置に至るために移動した方向であって、真北を基準として時計周りに1度刻みで回転させたときの方向を表している。
【0150】
図20のBに、図19にかかる各データベースレコードの位置関係を示す。例えば、図19のレコード190〜195は、図20のBにおける車両(□)1910〜1915および鍵(△)1920〜1925の位置にそれぞれ対応している。すなわち、発信時刻「11:11:00」における車両および鍵は、車両1910および鍵1920に位置している。
【0151】
盗難検知装置15のCPU203は、算出した相対距離、移動方向および移動速度等の情報に基づいて、車両が盗難に遭っているか否かの盗難判断処理を行う(ステップS1609)。
【0152】
図17に、この盗難判断処理におけるフローチャートを示す。まず、CPU203は、車両と鍵がともに移動しているか否かを判断する(ステップS1711)。
【0153】
すなわち、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)以上のときは移動しているものと判断し、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)より小さいときは停止しているものと判断する。なお、所定の値に基づいて移動速度を判断したのは、GPSの測定誤差を考慮したためである。なお、各装置におけるGPSの測定誤差に応じて、前記所定の値(例えば0.5m/s)を変更してもよい。
【0154】
車両と鍵がともに移動していない場合(ステップS1711、No)であって、車両のみが移動している場合(ステップS1727、Yes)は、鍵がない状態で車両が移動しているものと考えられるので、盗難であると判断する(ステップS1725)。
【0155】
また、上記において、鍵のみが移動している場合(ステップS1727、Yes)は、車両を駐車したユーザが徒歩等で移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1723)。
【0156】
一方、車両と鍵がともに移動している場合(ステップS1711、Yes)、CPU203は、さらに、車両と鍵の移動方向の差が基準値以下であるか否かを判断する。例えば、車両と鍵の移動方向の差が基準値5度以下の場合(ステップS1713、No)は、車両と鍵はほぼ同一方向に移動していることより、ユーザが車両に乗車して移動しているものと考えられ、さらに、車両および鍵における地理情報を取得する(ステップS1719)。
【0157】
ここで、前記地理情報は、地理情報データベース98を利用して取得する。例えば、地理情報データベース98は、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を構成するソフトウェア技術によって実現可能である。
【0158】
図21に地理情報データベース98の例を示す。このデータベースには、緯度および経度で決定される位置毎に、その位置の地理上の情報が記録されている。例えば、地理区分は、その位置が地理上において海上であるか地上であるかを示す情報である。
【0159】
CPU203は、車両および鍵の位置情報(車両の緯度、車両の経度、鍵の緯度、鍵の経度)に基づいて、地理情報データベース98を検索し、その位置における地理区分を取得する(ステップS1719)。
【0160】
CPU203は、車両および鍵における地理区分が同一であるか否かを判断する(ステップS1721)。例えば、車両の地理区分が「海上」であって、鍵の地理区分が「地上」である場合には、車両が海上を移動しており、鍵の所有者が地上を移動しているものと考えられるので、盗難であると判断する(ステップS1725)。なお、これと反対に、車両の地理区分が「地上」であって、鍵の地理区分が「海上」である場合も、車両が地上を移動しており、鍵の所有者が海上を移動していると考えられるので、同様に盗難であると判断する。
【0161】
また、車両と鍵の地理区分が同一の場合は、ユーザが車両に乗車して移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1723)。
【0162】
上記ステップS1713において、車両と鍵の移動方向の差が基準値より大きい場合(ステップS1713、Yes)は、さらに車両と鍵との相対距離を考慮して判断を行う(ステップS1715)。
【0163】
ここで、相対距離を考慮したのは、車両と鍵がともに移動しており、その移動方向の差が基準値よりも大きい場合であっても、盗難であると決めつけることができないからである。例えば、鍵を所有するユーザとその車両が航海中のフェリー上にあり、鍵を所有するユーザが当該フェリー上を移動している場合などがこれに該当する。
【0164】
上記のようにフェリーの可能性を判断する場合、相対距離が所定の基準値100m以下であれば(ステップS1715、No)、上記と同様に、ステップS1719〜ステップS1721において地理情報に基づいた盗難判断処理を行う。すなわち、車両と鍵の地理区分が同一であれば、盗難でないと判断し(ステップS1723)、同一でなければ、盗難であると判断する(ステップS1725)。なお、前記所定の基準値100mは、一般的なフェリーの全長に基づいて決定すればよい。
【0165】
上記ステップS1715において、車両と鍵の相対距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1715、Yes)は、さらに車両における移動距離を考慮して判断を行う(ステップS1717)。
【0166】
ここで、車両の移動距離は、ユーザが車両を駐車したと判断できる地点と現在の地点との直線距離から算出可能である。すなわち、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点のうち、そのデータの発信時刻が最も直近となる過去の地点と、現在の地点との直線距離から算出可能である。
【0167】
例えば、ある地点から別の地点に至る過程において、車両における移動距離が、所定の基準値50m以下であれば(ステップS1717、No)、車両を立体駐車場に駐車しており、車両のみが所定の範囲内(立体駐車場内)で移動しているものと考えられるので、上記と同様に、ステップS1719〜ステップS1721において地理情報に基づいた盗難判断処理を行う。
【0168】
すなわち、車両と鍵の地理区分が同一であれば、盗難でないと判断し(ステップS1723)、同一でなければ、盗難であると判断する(ステップS1725)。なお、前記所定の基準値50mは、一般的な立体駐車場の全長に基づいて決定すればよい。
【0169】
上記ステップS1717において、車両の移動距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1717、Yes)は、上記のいずれの場合にも該当しないので、盗難であると判断する(ステップS1729)。
【0170】
例えば、図20おける発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1905に基づいて、上記の処理(ステップS1011〜S1017)を行う場合を考える。
【0171】
図20のAに示す発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1905において、車両と鍵の移動方向の差は「55度(145度−90度より)」と算出でき、これは基準値5度より大きい(ステップS1713、Yes)。
【0172】
車両と鍵の相対距離は、図20のAより「120.0m」であり、これは基準値100mより大きい(ステップS1715、Yes)。
【0173】
車両の移動距離は、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点と現在の地点との直線距離から判断する。図20のAにおいて、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点は、発信時刻「11:00:00」のデータベースレコード1901の地点と発信時刻「11:11:00」のデータベースレコード1903の地点があり、その相対距離はともに「0.5m」である。この2地点のうち発信時刻が最も直近の地点を選択して直線距離を算出する。
【0174】
したがって、発信時刻「11:11:00」の地点と発信時刻「11:11:50」の地点の位置情報からその直線距離は「約400m」と算出でき、これは基準値50mより大きい(ステップS1717、Yes)。
【0175】
したがって、CPU203は、発信時刻「11:11:50」の時点において、車両盗難が発生していると判断する。
【0176】
盗難判断処理(ステップS1611、図16)を終えたCPU203は、その処理結果が「盗難である」とされている場合には(ステップS1611、Yes)、ユーザ端末に盗難検知の旨を通知する(ステップS1613)。なお、ユーザへの通知は、ユーザ情報データベース50を参照して必要なデータ(メールアドレス、携帯番号など)を抽出し、電子メールまたは合成音声による音声通話で行う。
【0177】
図12bに、電子メールで盗難検知の通知を行う場合の例を示す。この電子メールには、ユーザの氏名、車両IDとともに盗難が発生している可能性のある旨を通知するようにしている。なお、ユーザ情報データベースに車両IDにかかる車両の車両ナンバーを登録しておき、前記電子メールにおいて、盗難が発生している可能性のある車両の車両ナンバーを表示するようにしてもよい。
【0178】
また、同時に、車両盗難の発生を警察や警備会社等の機関に通知するようにしてもよい。
【0179】
一方、盗難判断処理の処理結果が「盗難でない」とされている場合には、盗難検知処理を終了する(ステップS1611、No)。
【0180】
なお、上述したように、上記盗難検知処理の処理プログラム2093(図14)は、ユーザ毎に定期的に行われるが、この処理間隔はシステムの処理能力等によって任意に設定すればよい。
【0181】
2−7.まとめ
このように、車両11に設けられた車両情報発信機110と、当該車両の鍵と嵌合された鍵情報発信機130と、これらの発信機が発信したデータ信号に基づいて両者の位置情報を取得して盗難検知を行う盗難検知システムにおいて、各発信機から位置情報に加えて、発信機IDおよびユーザIDとを発信することにより、盗難検知装置15において車両IDと鍵IDの対応付け情報を使用しなくとも、各発信機からのデータを確実に識別することができる。
【0182】
これにより、車両情報発信機110および鍵情報発信機130において発信するデータ信号のデータ容量が増加するものの、盗難検知装置15における処理負荷および、車両IDと鍵IDの対応付け情報による容量負荷を削減することができる。
【0183】
また、盗難検知装置15において、各位置情報における地理情報をも考慮して盗難判断処理をするようにしている。これにより、より高精度な盗難検知を行うことができる。
【0184】
3.その他の実施形態
上記実施形態においては、サービスを申し込んだユーザに、サービス業者が車両情報発信機110および鍵情報発信機130を送付し、ユーザが各発信機を設置等することによって、サービスの提供を受けることができるようにした。しかし、ユーザが、予め車両情報発信機110および鍵情報発信機130が設けられた車両を購入することにより、サービスの提供を受けられるようにしてもよい。この場合、車両ID、鍵IDおよびユーザIDを予め発信機に登録しておき、購入時において、これらのIDを有効なものとして盗難検知装置に登録すればよい。これにより、ユーザは、車両の購入と同時にサービスを利用することができ、登録の手間が省くことができる。
【0185】
上記実施形態においては、GPS衛星1を利用して車両および鍵における位置情報を取得しているが、他の手段を用いて位置情報を取得するように構成してもよい。例えば、地上に設置された複数の無線局との通信によって、位置情報を取得してもよい。例えば、PHSの基地局や高速道路のビーコン等が上記無線局に該当する。
【0186】
上記実施形態においては、各発信機において発信された発信時刻を位置情報データベース90のキー項目として記録して処理しているが、各発信機から前記発信時刻を送信しないようにし、各発信機からの位置情報等を受信した時刻を受信時刻とし、この受信時刻を前記発信時刻にかえて位置情報データベース90のキー項目として記録して処理するようにしてもよい。これにより、各発信機が発信する情報量を削減することができる。
【0187】
上記実施形態においては、車両の盗難を検知した場合に、電子メールや音声通話を用いてユーザ端末に通知するように構成しているが、盗難検知装置15から車両に対して、エンジンを停止させるための信号を送るように構成してもよい。例えば、図22に示すように、車両においてエンジン2201を制御することのできる制御回路2203を設けておき、受信機2205が受信した盗難検知装置15からの信号を、この制御回路2203に入力することによって、エンジンを停止させる。これにより、盗難検知の発生とともに車両のエンジンを停止させて、盗難車両を早期に発見することができる。
【0188】
また、車両盗難の際において、車両情報発信機110がなければエンジンを停止させるように構成してもよい(図22)。例えば、エンジンを制御する制御回路2203に対して車両情報発信機110から所定間隔(例えば1分)毎に信号を送るようにしておく。制御回路2203は、この信号を所定時間以内(例えば5分以内)に受信しなければ、エンジンを停止させる制御を行う。これにより、車両情報発信機110を破棄されたり、壊されたりまたは車両から取り去られた場合であっても、対応することができる。さらに、車両情報発信機110に代えて、鍵情報発信機130からの信号を利用してもよい。
【0189】
上記実施形態においては、検知対象物を車両とし、これに同期して移動する同期移動物を車両の鍵としたが、他の検知対象物と同期移動物の組合せにも本発明を適用可能である。例えば、貨物を検知対象物とし、この貨物を輸送する列車または車両等を同期移動物として構成してもよい。
【0190】
上記実施形態においては、ユーザ登録時に車両IDおよび鍵ID等を発行し、ROMライターを用いて、盗難検知装置15から各発信機に各IDデータを転送して登録するようにしているが、各発信機に、予めユニークなID符号を登録しておき、ユーザ登録時にこれらのID符号を割り当てるようにしてもよい。これにより、ROMライターを介したIDデータ登録の手間を省くことができ効率がよい。
【0191】
上記実施形態においては、地理情報データベースから各ポイントにおける属性データを取得して当該ポイントにおける地理区分を取得するように構成したが、盗難であると判断した場合に地理情報データベースの地図データを取得し、この地図データ上に車両の位置情報を表示した画像情報を生成して、ユーザ端末17に送信するようにしてもよい。
【0192】
これにより、ユーザは、車両の位置情報を即時に取得することができ、盗難車両を探しやすくなると考えられる。なお、図23に、この場合にユーザ端末17に送信され盗難検知の画像情報を示す。ユーザ端末17のディスプレイ401には、車両盗難の発生を示すメッセージと盗難車両の現在位置が地図データ上に表示される。
【0193】
上記実施形態においては、鍵情報発信機130から位置情報データを直接的に発信するようにしているが、図24に示すように、車両情報発信機110において、鍵情報発信機130からの鍵の位置情報データを受信し、車両の位置情報とともに基地局に送信するように構成してもよい。これにより、鍵情報発信機130の発信回路の構成を簡単にすることができ、消費電力を押さえることができる。
【0194】
なお、図24aに示すように、鍵情報発信機110を有するユーザが車両から離れる場合は、鍵情報発信機130と車両情報発信機130は、所定の範囲円内(破線の内部)において無線通信が可能である。これにより、鍵情報発信機130における通信回路を簡単な構成とすることができる。
【0195】
また、上記において、盗難検知装置15は、車両情報発信機からのデータのみを受信していると判断した場合には、鍵を付けずに車両が走行しているものと考えられるので、即座に盗難の判断を行うようにしてもよい。
【0196】
さらに、鍵を車両に付けて走行している場合には、電磁誘導方式等により車両から鍵に電源供給を行うようにしてもよい。これにより、鍵情報発信機の電力供給を有効に行うことができる。
【0197】
図25に示すように、鍵情報発信機130とユーザ端末17である携帯電話とをブルートゥース等で通信可能なように構成しておき、鍵情報発信機130から鍵の位置情報等のデータをユーザ端末17に送信し、ユーザ端末17が基地局19に発信するようにしてもよい。これにより、これにより、鍵情報発信機の発信回路の構成を簡単にすることができ、消費電力を押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態における全体構成の例を示す図である。
【図2】この発明の第1の実施形態における盗難検知装置のハードウェア構成図である。
【図3】この発明の第1の実施形態における発信機の機能ブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施形態におけるユーザ端末のハードウェア構成図である。
【図5】この発明の第1の実施形態におけるユーザ登録のフローチャートの例を示す図である。
【図6】この発明の第1の実施形態におけるユーザ登録における画面の例を示す図である。
【図7】この発明の第1の実施形態におけるユーザ情報データベースの例を示す図である。
【図7a】この発明の第1の実施形態における車両IDと鍵ID対応付け情報データベースの例を示す図である。
【図8】この発明の第1の実施形態における車両情報発信機および鍵情報発信機の例を示す図である。
【図9】この発明の第1の実施形態における盗難検知処理のフローチャートの例を示す図である。
【図10】この発明の第1の実施形態における盗難判断処理のフローチャートの例を示す図である。
【図11】この発明の第1の実施形態における位置情報データベースの例を示す図である。
【図12】この発明の第1の実施形態におけるユーザ別位置情報データベースの例を示す図である。
【図12a】この発明の第1の実施形態におけるユーザ別判断情報データベースの例を示す図である。
【図12b】この発明の第1の実施形態におけるユーザ端末に送信される電子メールの例を示す図である。
【図13】この発明の第2の実施形態における全体構成の例を示す図である。
【図14】この発明の第2の実施形態における盗難検知装置のハードウェア構成図である。
【図15】この発明の第2の実施形態におけるユーザ登録のフローチャートの例を示す図である。
【図16】この発明の第2の実施形態における盗難検知処理のフローチャートの例を示す図である。
【図17】この発明の第2の実施形態における盗難判断処理のフローチャートの例を示す図である。
【図18】この発明の第2の実施形態における位置情報データベースの例を示す図である。
【図19】この発明の第2の実施形態におけるユーザ別位置情報データベースの例を示す図である。
【図20】この発明の第2の実施形態におけるユーザ別判断情報データベースの例を示す図である。
【図21】この発明の第2の実施形態における地理情報データベースの例を示す図である。
【図22】この発明の第2の実施形態における車両のエンジン制御のブロック図である。
【図23】この発明の第2の実施形態におけるユーザ端末に送信される画像情報の例を示す図である。
【図24】この発明のその他の実施形態における全体構成の例を示す例である。
【図24a】この発明の鍵情報発信機と車両情報発信機において無線通信を行う場合の例を示す図である。
【図25】この発明のその他の実施形態における全体構成の例を示す例である。
【符号の説明】
1・・・GPS衛星
11・・・車両
13・・・鍵
15・・・盗難検知装置
17・・・ユーザ端末
110・・・車両情報発信機
130・・・鍵情報発信機
【発明の技術分野】
この発明は、位置情報を取得して対象物の盗難を検知する盗難検知システムおよびその方法に関する。
【0002】
【従来の技術および課題】
現在、車両盗難への対策として、車両の各箇所にセンサを設けておき、これらのセンサが振動、衝撃、電流または車両の傾きなどの異常を検知した場合に、警報を発して車両盗難を通知する技術が知られている。
【0003】
また、車両にGPS受信機を設けておき、上記のような車両盗難に関する警報を当該車両の位置情報とともに、無線や携帯電話回線を用いて監視センタに送信させ、監視センタが所有者に連絡を取り状況を確認することによって、盗難検知を行う技術も知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
しかしながら、上記ようなセンサを用いた警報装置においては、車両に振動や衝撃などが与えられると警報を発するので、立体駐車場における車両移動や地震などにも反応し、実際に盗難が発生していないにもかかわらず、センサが異常検知して警報を発してしまうおそれがあった。
【0005】
この発明は、上記のような問題を解決するためになされたものであって、誤った警報を発するおそれを少なくし、信頼度の高い盗難検知を行うことのできる盗難検知システムおよびその方法を提供することを目的とする。
【0006】
【特許文献1】
【0007】
特開2002−249024号公報 (第9頁、第2図)。
【0008】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
(1)(13)この発明にかかる盗難検知システムまたは盗難検知方法においては、検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、前記第1の発信機および前記第2の発信機が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置と、を備えた盗難検知システムであって、前記第1の発信機は、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに発信し、前記第2の発信機は、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに発信し、前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0009】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。
【0010】
(2)(3)この発明にかかる盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置であって、前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0011】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。
【0012】
(4)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、第1の発信機が発信する検知対象物の識別情報は、前記検知対象物毎に付与されたID符号を含んでおり、第2の発信機が発信する同期移動物の識別情報は、前記同期移動物毎に付与されたID符号を含んでおり、盗難検知装置は、前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物のID符号と、前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物のID符号と、予め記録されている前記検知対象物のID符号と前記同期移動物のID符号の対応付け情報と、に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0013】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。また、発信機毎に付与されたID符号の対応付け情報により、ユーザ毎に設定されている第1の発信機と第2の発信機の組合せを容易に見つけることができる。
【0014】
(5)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、第1の発信機が発信する検知対象物の識別情報は、検知対象物を示す情報およびユーザIDを含んでおり、第2の発信機が発信する同期移動物の識別情報は、前記同期移動物を示す情報およびユーザIDを含んでおり、盗難検知装置は、前記検知対象物に関する情報と前記同期移動物に関する情報とを前記ユーザIDによって関連付け、これらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0015】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、検知対象物と同期移動物の位置情報に基づいて、検知対象物における盗難を確実に検知することができる。また、識別情報にユーザIDを含めることによって、ユーザ毎に設定されている第1の発信機と第2の発信機の組合せを容易に見つけることができる。
【0016】
(6)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物は車両であり、同期移動物は前記車両を始動するための鍵であることを特徴としている。
【0017】
したがって、センサ類の誤作動による弊害を防ぎ、車両と鍵の位置情報に基づいて、車両における盗難を確実に検知することができる。
【0018】
(7)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における位置情報から両者の相対距離を算出し、前記相対距離に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0019】
したがって、検知対象物と同期移動物における物理的な状態に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0020】
(8)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における位置情報から両者の相対距離を所定時間毎に算出し、前記相対距離の時間的変化に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0021】
したがって、検知対象物の動きを予測することができるため、盗難検知の判断を迅速に行うことができる。
【0022】
(9)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における位置情報から算出した両者の相対距離が所定範囲内にあれば、盗難検知を行わないことを特徴としている。
【0023】
したがって、検知対象物と同期移動物における物理的な状態に基づいて、盗難検知を行う場合の誤作動を防止するとともに、盗難を確実に検知することができる。
【0024】
(10)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、検知対象物と同期移動物における所定時間毎の位置情報から両者の移動方向を算出し、前記移動方向に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴としている。
【0025】
したがって、検知対象物と同期移動物における物理的な状態に基づいて盗難検知を行う場合の誤作動を防止するとともに、盗難を確実に検知することができる。
【0026】
(11)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、盗難検知装置は、受信した位置情報における地理情報をも考慮して盗難検知を行うことを特徴としている。
【0027】
したがって、検知対象物と同期移動物における地理的な状況に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0028】
(12)この発明にかかる盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいては、第1の発信機または第2の発信機は、GPSを用いることによって取得した緯度および経度を、検知対象物または同期移動物の位置情報として発信することを特徴としている。
【0029】
したがって、検知対象物と同期移動物における緯度および経度に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0030】
(14)(15)この発明にかかる発信機においては、検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する発信機であって、前記検知対象物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記検知対象物の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記位置情報取得手段が取得した前記検知対象物の位置情報を、前記識別情報記憶手段が記憶している前記検知対象物の識別情報とともに発信する情報発信手段と、を備えており、前記発信機とともに盗難検知システムを構成する盗難検知装置が、前記発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有する発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて、前記検知対象物の盗難検知を行うことができるように、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに所定時間毎に発信することを特徴としている。
【0031】
したがって、盗難検知装置は、検知対象物と同期移動物における位置情報に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0032】
(16)(17)この発明にかかる発信機においては、検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する発信機であって、前記同期移動物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、前記同期移動物の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、前記位置情報取得手段が取得した前記同期移動物の位置情報を、前記識別情報記憶手段が記憶している前記同期移動物の識別情報とともに発信する情報発信手段と、を備えており、前記発信機とともに盗難検知システムを構成する盗難検知装置が、前記発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報と、前記検知対象物が有する発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて、前記検知対象物の盗難検知を行うことができるように、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに所定時間毎に発信することを特徴としている。
【0033】
したがって、盗難検知装置は、検知対象物と同期移動物における位置情報に基づいて、盗難を確実に検知することができる。
【0034】
この発明において、「同期して移動する」とは、2つ以上のものが何らかの関連性をもってそれぞれ移動することをいう。また、2つ以上のものが実質的に同じようにそれぞれ移動する場合のみならず、同じ位置で移動する場合も含むものとする。
【0035】
【発明の実施の形態】
以下、本発明における一実施形態について、図面を参照して説明する。
【0036】
1.第1の実施形態
1−1.全体構成
図1に、車両を検知対象物とし、その車両を始動するための鍵を同期移動物とした場合における盗難検知システムの全体構成図を示す。
【0037】
この図において、検知対象物である車両11には、車両情報発信機110が設けられている。また、この車両に対する同期移動物である鍵13には、鍵情報発信機130が設けられている。
【0038】
車両情報発信機110は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により車両の現在位置を取得する。同様に、鍵情報発信機130は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により鍵の現在位置を取得する。なお、図1において、GPS衛星1は、1つしか示されていないが実際には複数の衛星が存在する。
【0039】
車両および鍵の存在する位置において取得されたそれぞれの位置情報は、各発信機を識別するためのID符号(車両IDまたは鍵ID)および発信時刻とともに、盗難検知装置15に向けてデータ信号として定期的に発信される。
【0040】
発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。
【0041】
盗難検知装置15には、車両IDと鍵IDの対応付け情報が記録されており、受信したデータ信号に含まれる車両IDおよび鍵IDから、ユーザ毎に設定されているこれらの組合せを抽出して、車両および鍵におけるそれぞれの位置情報を取得する。そして、定期的に取得した車両と鍵の位置情報に基づいて、車両が盗難されているか否かの判断を行う。
【0042】
例えば、鍵が停止しており車両のみが移動している場合は、盗難の可能性が高いと判断する。また、車両および鍵がともに移動していても、所定距離以上に離れている場合等には盗難の可能性が高いと判断する。
【0043】
なお、図1において、車両情報発信機110および鍵情報発信機130は、それぞれ1つしか示されていないが実際には、ユーザ数に等しい数の発信機がそれぞれに存在する。
【0044】
また、盗難検知装置15は、盗難検知サービスを提供する業者等に設置されたコンピュータ装置であって、車両の盗難を検知した場合には、当該サービスの契約ユーザに対してその旨を通知できるようにしている。例えば、図1においては、携帯電話等のユーザ端末17に電子メールで通知するようにしている。なお、当該サービスの申込を、ユーザ端末17のブラウザ機能を使用して行うようにしてもよい。
【0045】
1−2.盗難検知装置
図2に、上記盗難検知システムを構成する盗難検知装置15おけるハードウェア構成図を示す。この装置は、ディスプレイ201、CPU203、メモリ205、キーボード/マウス207、ハードディスク209、CD−ROMドライブ211および通信回路215を備えている。
【0046】
ハードディスク209は、盗難検知処理を行うための処理プログラム2091を記憶している。この処理プログラムは、例えば、CD−ROM213からCD−ROMドライブ211を介してハードディスク209にインストールされたものである。なお、フレキシブルディスクやICカード等のようにCD−ROM以外の記録媒体に記録された処理プログラムからインストールするようにしてもよい。さらに、通信回線を介して他のコンピュータに記録された処理プログラムをインストールするようにしてもよい。
【0047】
また、ハードディスク209には、当該盗難検知サービスを契約しているユーザ情報を記録したユーザ情報データベース50、車両IDと鍵IDの対応付けを記録した車両IDと鍵ID対応付け情報DB55、取得した車両IDおよび鍵IDにかかる位置情報を逐次記録する位置情報データベース90、ユーザ毎に車両IDおよび鍵IDにかかる位置情報を記録するユーザ別位置情報データベース95等が記録されている。
【0048】
通信回路215は、他の装置との通信を行うための回路であって、ここではインターネット回線11(図1)と接続可能である。
【0049】
1−3.発信機
図3に、車両情報発信機110または鍵情報発信機130における機能ブロック図を示す。これらの発信機は、位置情報取得手段31、識別情報記憶手段33および情報発信手段35を備えている。
【0050】
位置情報取得手段31は、発信機が存在する位置を取得するためのものであって、例えばGPS受信回路等がこれに該当する。これにより、発信機が存在する位置の緯度および経度を取得することができる。
【0051】
識別情報記憶手段33は、車両IDまたは鍵ID等の発信機における識別情報を記録するためのものであって、例えばメモリ等の記憶素子がこれに該当する。なお、車両IDまたは鍵IDは、ユーザ毎に発行され、各発信機を識別するためのユニークな番号である。
【0052】
情報発信手段35は、位置情報取得手段31において取得した位置情報を、識別情報記憶手段33に記録しているID符号および発信時刻とともに発信するためのものであって、例えば、携帯電話網用の通信回路、無線発信回路またはパケット通信回路等がこれに該当する。なお、本実施携帯においては、情報発信手段35は、携帯電話網用(例えばiモード(商標))の通信回路であって、基地局19に定期的(例えば10秒毎)にこの位置情報を送信する。
【0053】
また、盗難検知装置15は、インターネット回線11を介して、この位置情報を受信可能である。
【0054】
1−4.ユーザ端末
図4に、携帯電話であるユーザ端末17のハードウェア構成図を示す。この装置は、ディスプレイ401、CPU403、メモリ405、入力キー407、通信回路409を備えている。通信回路409は、他のコンピュータ装置との接続を行うための回路である。ユーザ端末のメモリ405には、ブラウザプログラム、電子メールプログラム等が記録されている。
【0055】
なお、ユーザ端末17は、インターネットに接続可能であって、ブラウザ機能及び電子メール機能が利用可能な携帯情報端末装置(PDA)または小型パソコンであってもよい。
【0056】
1−5.ユーザ登録
図5は、ユーザが、盗難検知サービスの利用申込において、ユーザ登録を行う場合のフローチャートである。なお、図6は、この場合に、ユーザ端末17のディスプレイ401に表示される画面の例である。
【0057】
まず、ユーザは、ユーザ端末17のブラウザプログラムを起動し、盗難検知サービスの利用申込のURLを入力して盗難検知装置15にアクセスする(図5、ステップS501)。
【0058】
アクセスを受けて、盗難検知装置15のCPU203は、図6に示すような、当該盗難検知サービスのメニュー画面61をユーザ端末17に送信する(ステップS511)。
【0059】
なお、前記メニュー画面61には、「ユーザ登録」ボタン611、「解約」ボタン613、「サービスのご説明」ボタン615がそれぞれ表示されている。「解約」ボタン613を押下すると、ユーザIDおよびパスワードの入力画面が表示され、入力によってユーザ認証を行い盗難検知サービスの解約を行うことができる。また、「サービスのご説明」ボタン615を押下すると、盗難検知サービスの概要を説明する画面が表示される。
【0060】
ユーザが、ユーザ端末17で「ユーザ登録」ボタン611を押下すると(ステップS503)、CPU203は、ユーザ登録画面63を送信する(ステップS513)。なお、前記ユーザ登録画面63には、名前、携帯番号、携帯メールアドレス、パスワード、郵便番号等のユーザ登録情報を入力するための入力欄が表示される。
【0061】
ユーザが、前記ユーザ登録画面63の入力欄にユーザ登録情報を入力し、「送信」ボタン631を押下して盗難検知装置15に送信すると(ステップS505)、CPU203は、登録内容確認画面65を送信する(ステップS515)。なお、前記登録内容確認画面65は、前記ユーザ登録画面63でユーザが入力したユーザ登録情報を確認するためのものである。
【0062】
ユーザが、登録内容確認画面65においてユーザ登録情報の内容を確認して「確認」ボタン651を押下すると(ステップS507)、CPU203は、ユーザID、車両IDおよび鍵IDを発行して(ステップS517)、ユーザIDをユーザ端末17から受信したユーザ登録情報とともにユーザ情報データベース50に登録し、さらに、発行したユーザID、車両IDおよび鍵IDを、車両IDと鍵ID対応付け情報データベース55に登録する(ステップS519)。
【0063】
図7に、ユーザ情報データベース50の例を示す。このデータベースの項目には、ユーザが入力したユーザ登録情報(ユーザ名、携帯番号、パスワード、メールアドレス、郵便番号)に加えて、ユーザを識別するためのユニークな番号であるユーザIDが登録される。
【0064】
図7aに、車両IDと鍵ID対応付け情報データベース55の例を示す。このデータベースの項目は、ユーザID、車両ID、鍵IDの項目で構成され、これらは、ステップS517において発行されたものである。
【0065】
ユーザ登録処理を終えたCPU203は、ユーザID毎にユーザ別位置情報データベース95およびユーザ別判断情報データベース96を作成する(ステップS521)。すなわち、これらのデータベースは、ユーザ毎に作成されるデータベースであり、実際には、ユーザIDから一意に決定できる名前が付けられたユーザ別位置情報データベース95およびユーザ別判断情報データベース96がそれぞれ複数個存在する。図12に、ユーザ別位置情報データベース95の例を示す。このデータベースの項目は、発信時刻、車両の緯度、車両の経度、鍵の緯度、鍵の経度の項目で構成される。なお、ユーザ別判断情報データベース96については後述する。
【0066】
次に、CPU203は、ユーザ登録の終了と発行されたユーザIDをユーザに通知するため、登録終了画面67(図6)をユーザ端末17に送信する(ステップS523)。
【0067】
なお、ユーザ登録は、インターネットに接続可能でブラウザのインストールされたコンピュータであれば行うことができる。したがって、携帯電話等の入力キーに不慣れなユーザは、汎用キーボードが接続されたパーソナルコンピュータ等を使用してユーザ登録を行うことも可能である。また、ユーザが、盗難検知サービス業者の店舗に来店したときに記入したユーザ登録用紙に基づいて、店舗側でユーザ登録を行うようにしてもよい。
【0068】
1−6.車両IDおよび鍵IDの発信機への登録
上記ユーザ登録処理におけるステップS517に示したように、盗難検知装置15のCPU203は、ユーザ登録を行ったユーザに対して、当該盗難検知サービスで使用するための車両IDおよび鍵IDを発行する。したがって、これらのIDを各発信機の識別情報として登録する必要がある。
【0069】
サービス提供業者は、盗難検知装置15におけるユーザ情報データベース50を検索して、新規登録されているユーザIDを確認する。さらに、盗難検知装置15と発信機をROMライターを介して通信ケーブルで接続し、車両IDまたは鍵IDのデータを発信機内のメモリに転送する。これにより、発信機に車両IDまたは鍵IDを登録することができる。
【0070】
図8に、車両IDを登録する車両情報発信機110および鍵IDを登録する鍵情報発信機130の例を示す。これらの発信機は、GPS受信回路、メモリおよび無線発信回路等を備えている。特に、鍵IDを登録する鍵情報発信機130は、鍵本体80と嵌合できるような形状に設計されており、車両情報発信機110に比べて小型化されている。
【0071】
車両IDおよび鍵IDを各発信機へ登録したサービス提供業者は、これらの発信機をユーザ情報として登録されているユーザ宅へ送付する。各発信機を受け取ったユーザは、車両IDの登録された車両情報発信機110を車両の内部に設置し、鍵IDの登録された鍵情報発信機130を当該車両の鍵と嵌合させて使用することにより、本発明にかかる盗難検知サービスの提供を受けることができるようになる。
【0072】
このように、盗難検知サービスの提供を受けるにあたって、ユーザは、サービス業者から受け取った2つの発信機の設置等を行うだけで、簡単にサービスの提供を受けることができる。
【0073】
1−7.盗難検知におけるフローチャート
図9および図10は、本実施形態において、盗難検知システムにおける盗難検知装置15のCPU203が、取得した車両情報および鍵情報に基づいて、車両の盗難検知処理を行う場合のフローチャートである。なお、この盗難検知処理は、ユーザ毎に定期的に行われるものとする。
【0074】
上述したように、車両情報発信機110および鍵情報発信機130は定期的(例えば10秒毎)に位置情報を含むデータ信号を発信している。発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。盗難検知装置15において受信されたデータ信号は、位置情報データベース90に逐次自動的に記録される。
【0075】
図11に、位置情報データベース90の例を示す。車両情報発信機11から受信した位置情報および、鍵情報発信機13から受信した位置情報は、すべてこの位置情報データベース90に逐次記録される。
【0076】
位置情報データベース90においては、各発信機がデータ信号を発信した発信時刻、車両IDまたは鍵IDを表すID、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した緯度、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した経度等が記録されている。
【0077】
盗難検知装置15のCPU203は、所定のユーザID毎に、以下に示す盗難検知処理にかかる処理プログラム2091(図2)を起動する。例えば、図7のユーザ情報データベースに示すユーザ「日立太郎」にかかる盗難検知処理は、ユーザID「1111」に基づいて10秒ごとに起動される。
【0078】
CPU203は、ユーザIDに基づいて、車両IDと鍵ID対応付け情報データベース55を検索し、当該ユーザにかかる車両IDおよび鍵IDを取得する(ステップS901)。例えば、車両IDと鍵ID対応付けデータベース55(図7a)において、ユーザID「1111」の車両IDは「C1111」であり、鍵IDは「K1111」である。
【0079】
CPU203は、車両IDおよび鍵IDに基づいて、位置情報データベース90を検索し、それぞれのIDに基づいて記録されている最新の位置情報を取得する(ステップS903)。例えば、位置情報データベース90(図11)において、車両IDが「C1111」であって、発信時刻が最新のものであるレコード1101および、鍵IDが「K1111」であって発信時刻が最新のものであるレコード1103を取得する。なお、ここで取得したレコードの発信時刻は、同一である。
【0080】
CPU203は、ユーザID「1111」のために作成されたデータベースであるユーザ別位置情報データベース95(図12)に、ユーザの位置情報を記録する(ステップS905)。例えば、図11に示した位置情報データベースにおいて取得したレコード1101および1103にかかる記録データは、図12に示すユーザ別位置情報データベース95の「発信時刻」、「車両の緯度」、「車両の経度」、「鍵の緯度」、「鍵の経度」にそれぞれ記録される。
【0081】
すなわち、車両ID「C1111」の緯度が「車両の緯度」に記録され、その経度が「車両の経度」に記録される。また、鍵ID「K1111」の緯度が「鍵の緯度」に記録され、その経度が「鍵の経度」に記録される。なお、このとき記録されるレコードが、ユーザ別位置情報データベース(図12)におけるレコード125に該当する。
【0082】
CPU203は、当該ユーザのユーザ別位置情報データベース95から、前回に発信して記録されたレコードを取得する(ステップS907)。例えば、ユーザ別位置情報データベース95(図12)において、レコード125の発信時刻よりも前のレコード124を取得する。レコード124の発信時刻は「11:11:40」であり、レコード125の発信時刻は、「11:11:50」である。
【0083】
CPU203は、データベースから取得した前回のレコード124と、最新のデータであるレコード125に基づいて、車両と鍵の相対距離、車両および鍵における移動方向および移動速度を算出し、この結果をユーザ別判断情報データベース96に記録する(ステップS909)。
【0084】
すなわち、車両の緯度、車両の経度、鍵の緯度および鍵の経度に基づいて、所定の計算式を用いることにより、車両と鍵との相対距離を求める。また、各発信時刻における移動位置から移動方向および移動速度を求める。
【0085】
図12aのAに、ユーザ別判断情報データベース96の例を示す。このデータベースは、上述したようにユーザ毎に作成されており、発信時刻毎に「車両と鍵の相対距離」、「移動方向(車両および鍵)」、「移動速度(車両および鍵)」が記録される。なお、前記移動方向は、前回の位置から現在の位置に至るために移動した方向であって、真北を基準として時計周りに1度刻みで回転させたときの方向を表している。
【0086】
図12aのBに、図12にかかる各データベースレコードの位置関係を示す。例えば、図12のデータベースレコード120〜125は、図12aのBにおける車両(□)1210〜1215および鍵(△)1220〜1225の位置にそれぞれ対応している。すなわち、発信時刻「11:11:00」における車両および鍵は、車両1210および鍵1220に対応している。
【0087】
盗難検知装置15のCPU203は、算出した相対距離、移動方向および移動速度等の情報に基づいて、車両が盗難に遭っているか否かの盗難判断処理を行う(ステップS911)。
【0088】
図10に、この盗難判断処理におけるフローチャートを示す。まず、CPU203は、車両と鍵がともに移動しているか否かを判断する(ステップS1011)。
【0089】
すなわち、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)以上のときは移動しているものと判断し、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)より小さいときは停止しているものと判断する。なお、所定の値に基づいて移動速度を判断したのは、GPSの測定誤差を考慮したためである。なお、各装置におけるGPSの測定誤差に応じて、前記所定の値(例えば0.5m/s)を変更してもよい。
【0090】
車両と鍵がともに移動していない場合(ステップS1011、No)であって、車両のみが移動している場合(ステップS1023、Yes)は、鍵がない状態で車両が移動しているものと考えられるので、盗難であると判断する(ステップS1019)。
【0091】
また、上記において、鍵のみが移動している場合(ステップS1023、No)は、車両を駐車したユーザが徒歩等で移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1021)。
【0092】
一方、車両と鍵がともに移動している場合(ステップS1011、Yes)、CPU203は、さらに、車両と鍵の移動方向の差が基準値以下であるか否かを判断する。例えば、車両と鍵の移動方向の差が基準値5度以下の場合(ステップS1013、No)は、車両と鍵はほぼ同一方向に移動していることより、ユーザが車両に乗車して移動しているものと考えられ、この場合は盗難でないと判断する(ステップS1021)。
【0093】
また、上記において車両と鍵の移動方向の差が基準値より大きい場合(ステップS1013、Yes)は、さらに車両と鍵の相対距離を考慮して判断を行う(ステップS1015)。
【0094】
ここで、相対距離を考慮したのは、車両と鍵がともに移動しており、その移動方向の差が基準値よりも大きい場合であっても、盗難であると決めつけることができないからである。例えば、鍵を所有するユーザとその車両が航海中のフェリー上にあり、鍵を所有するユーザが当該フェリー上を移動している場合などがこれに該当する。
【0095】
上記のようにフェリーの可能性を判断する場合、相対距離が所定の基準値100m以下であれば(ステップS1015、No)、盗難でないと判断することができる(ステップS1021)。なお、前記所定の基準値100mは、一般的なフェリーの全長に基づいて決定すればよい。
【0096】
さらに、上記において車両と鍵の相対距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1015、Yes)は、車両における移動距離を考慮して判断を行う(ステップS1017)。
【0097】
ここで、車両の移動距離は、ユーザが車両を駐車したと判断できる地点と現在の地点との直線距離から算出可能である。すなわち、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点のうち、そのデータの発信時刻が最も直近となる過去の地点と、現在の地点との直線距離から算出可能である。
【0098】
例えば、ある地点から別の地点に至る過程において、車両における移動距離が、所定の基準値50m以下であれば(ステップS1017、No)、車両を立体駐車場に駐車しており、車両のみが所定の範囲内(立体駐車場内)で移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1021)。なお、前記所定の基準値50mは、一般的な立体駐車場の全長に基づいて決定すればよい。
【0099】
さらに、車両の移動距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1017、Yes)は、上記のいずれの場合にも該当しないので、盗難であると判断する(ステップS1019)。
【0100】
例えば、図12aおける発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1205に基づいて、上記の処理(ステップS1011〜S1017)を行う場合を考える。
【0101】
図12aのAにおいて、発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1205の車両の移動速度は「25m/s」であり、その鍵の移動速度は「1m/s」である。したがって、車両と鍵はともに移動していると判断できる(ステップS1011、Yes)。
【0102】
図12aのAに示す発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1205において、車両と鍵の移動方向の差は「55度(145度−90度より)」と算出でき、これは基準値5度より大きい(ステップS1013、Yes)。
【0103】
車両と鍵の相対距離は、図12aのAより「120.0m」であり、これは基準値100mより大きい(ステップS1015、Yes)。
【0104】
車両の移動距離は、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点と現在の地点との直線距離から判断する。図12aのAにおいて、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点は、発信時刻「11:00:00」のデータベースレコード1201の地点と発信時刻「11:11:00」のデータベースレコード1203の地点があり、その相対距離はともに「0.5m」である。この2地点のうち発信時刻が最も直近の地点を選択して直線距離を算出する。
【0105】
したがって、発信時刻「11:11:00」の地点と発信時刻「11:11:50」の地点の位置情報からその直線距離は「約400m」と算出でき、これは基準値50mより大きい(ステップS1017、Yes)。
【0106】
したがって、CPU203は、発信時刻「11:11:50」の時点において、車両盗難が発生していると判断する。
【0107】
盗難判断処理(ステップS911、図9)を終えたCPU203は、その処理結果が「盗難である」とされている場合には(ステップS913、Yes)、ユーザ端末に盗難検知の旨を通知する(ステップS915)。なお、ユーザへの通知は、ユーザ情報データベース50を参照して必要なデータ(メールアドレス、携帯番号など)を抽出し、電子メールまたは合成音声による音声通話で行う。
【0108】
図12bに、電子メールで盗難検知の通知を行う場合の例を示す。この電子メールには、ユーザの氏名、車両IDとともに盗難が発生している可能性のある旨を通知するようにしている。なお、ユーザ情報データベースに車両IDにかかる車両の車両ナンバーを登録しておき、前記電子メールにおいて、盗難が発生している可能性のある車両の車両ナンバーを表示するようにしてもよい。
【0109】
また、同時に、車両盗難の発生を警察や警備会社等の機関に通知するようにしてもよい。
【0110】
一方、盗難判断処理の処理結果が「盗難でない」とされている場合には、盗難検知処理を終了する(ステップS913、No)。
【0111】
なお、上述したように、上記盗難検知処理の処理プログラム2091(図2)は、ユーザ毎に定期的に行われるが、この処理間隔はシステムの処理能力等によって任意に設定すればよい。
【0112】
1−8.まとめ
上記のように、車両11に設けられた車両情報発信機110と、当該車両の鍵と嵌合された鍵情報発信機130と、これらの発信機が発信したデータ信号に基づいて両者の位置情報を取得する盗難検知装置から構成される盗難検知システムを利用することにより、誤った警報を発することなく、盗難検知装置において自動的かつ確実に車両盗難の判断を行うことができる。
【0113】
また、ユーザは、携帯電話に代表されるユーザ端末17を用いて、盗難検知装置15から車両盗難の通知を受けることができる。
【0114】
なお、上記の盗難判断処理ステップS1013においては、現在のデータベースレコードと直前のデータベースレコードとを比較して移動方向の差を求めたが、現在のデータベースレコードと過去の複数のデータベースレコードとの移動方向の差を求め、これらの平均値を基準値と比較するようにしてもよい。これにより、車両や鍵が複雑な移動を行った場合や、途中で通信エラーによる位置情報データの欠落があった場合でも対応することができ、誤作動を防止することができる。
【0115】
なお、上記の盗難判断処理ステップS1015においては、現在のデータベースレコードにおける車両と鍵との相対距離を用いたが、現在を含めた過去数回のデータベースレコードにおける車両と鍵の相対距離の平均値を求め、これと基準値と比較するようにしてもよい。これにより、車両や鍵が複雑な移動を行った場合や、途中で通信エラーによる位置情報データの欠落があった場合でも対応することができ、誤作動を防止することができる。
【0116】
なお、上記の盗難判断処理ステップS1015においては、現在のデータベースレコードにおける車両と鍵との相対距離を用いたが、相対距離の時間変化値を求め、これと基準値とを比較するようにしてもよい。また、現在を含めた過去数回のデータベースレコードにおける車両と鍵の相対距離の時間変化値の平均値を求め、これと基準値と比較するようにしてもよい。これにより、車両が自走走行して移動した場合において、即時に盗難の検知を行うことができる。
【0117】
2.第2の実施形態
2−1.全体構成
図13に、本実施形態における盗難検知システムの全体構成図を示す。このシステムにおける装置構成は、基本的に第1の実施形態と同様であるが、盗難検知装置15が車両IDと鍵IDの対応付け情報を必須としない点および、盗難検知装置15が地理情報180を有している点が異なる。
【0118】
第1の実施形態と同様に、車両情報発信機110は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により車両の現在位置を取得する。また、鍵情報発信機130は、GPS衛星1からの電波を受信して、三次元測位により鍵の現在位置を取得する。
【0119】
車両および鍵において取得されたそれぞれの現在位置は、各発信機を識別するためのID符号(車両IDまたは鍵ID)およびユーザを識別するためのユーザIDとともに、盗難検知装置15に向けてデータ信号として定期的に発信される。
【0120】
発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。
【0121】
盗難検知装置15は、入力されたデータ信号の中からユーザIDが同一のデータの組合せを抽出し、車両および鍵におけるそれぞれの位置情報を取得する。そして、これら取得した車両と鍵の位置情報に基づいて、車両が盗難されているか否かの判断を行う。
【0122】
すなわち、第1の実施形態においては、車両情報と鍵情報の組合せを盗難検知装置15に記録された車両IDと鍵IDの対応付け情報に基づいて抽出するようにしたが、本実施形態においては、ユーザIDを発信することにより、盗難検知装置15において車両IDと鍵IDの対応付け情報を使用しなくとも、発信機からのデータを識別できるように構成している。
【0123】
これにより、車両情報発信機110および鍵情報発信機130において発信するデータ信号のデータ容量が増加するものの、盗難検知装置15における処理負荷および、車両IDと鍵IDの対応付け情報による容量負荷を削減することができる。
【0124】
また、本実施形態においては、盗難検知装置15は地理情報180を有しており、盗難検知処理において地理情報をも考慮して盗難の判断を行うことができるようにしている。例えば、車両および鍵の位置情報からその位置における地理情報として、その位置が海上であるか地上であるかを示す地理区分を取得し、車両が海上にあって鍵が地上にある場合には、車両のみが船に積載されて移動しているものと考えられ、盗難が発生している可能性が高いと考えられる。このように、地理情報をも考慮して盗難の検知を行うことにより、より高精度な盗難検知処理を行うことができる。
【0125】
2−2.盗難検知装置
図14に、本実施形態におけるハードウェア構成図を示すが、基本的には第1の実施形態と同様である。ハードディスク209において、車両IDと鍵ID対応付けデータベースが記録されておらず、地理情報データベース98が記録されている点が異なる。
【0126】
2−3.発信機およびユーザ端末
車両情報発信機110または鍵情報発信機130における機能ブロック図においても、基本的には第1の実施形態と同様である。本実施形態では、識別情報記憶手段33において、ユーザIDおよび車両情報発信機か鍵情報発信機かを示す発信機区分を記録している。また、情報発信手段35においては、位置情報取得手段31において取得した位置情報を、識別情報記憶手段33に記録しているユーザIDおよび発信機区分とともに発信するようにしている。
【0127】
また、ユーザ端末17は、第1の実施形態と同様に、インターネット11に接続可能であって、ブラウザ機能及び電子メール機能が利用可能な携帯情報端末装置(PDA)または小型パソコンを使用する。
【0128】
2−4.ユーザ登録
図15は、本実施形態において、ユーザが、盗難検知サービスの利用申込において、ユーザ登録を行う場合のフローチャートであるが、基本的には第1の実施形態の図5において示した内容と同様である。ユーザID発行処理(ステップS1517)において、車両IDおよび鍵IDは発行せずユーザIDのみを発行する点および、ユーザ登録処理(ステップS1519)において、車両IDと鍵ID対応付け情報データベースにデータを記録しない点が異なる。
【0129】
なお、この場合に、ユーザ端末17のディスプレイ401に表示される画面は、第1の実施形態において示した図6と同様である。
【0130】
ユーザが、ユーザ端末17のブラウザプログラムを起動し、盗難検知サービスの利用申込のURLを入力して盗難検知装置15にアクセスし(図15、ステップS1501)、メニュー画面61において「ユーザ登録」ボタン611を押下し(ステップS1503)、ユーザ登録画面63の入力欄にユーザ登録情報を入力して「送信」ボタン631を押下し(ステップS1505)、登録内容確認画面65において、前記ユーザ登録画面63でユーザが入力したユーザ登録情報を確認して「確認」ボタン651を押下する(ステップS1507)処理までは、第1の実施形態と同様である。
【0131】
盗難検知装置15のCPU203は、ユーザIDのみを発行し(ステップS1517)、第1の実施形態のように車両IDおよび鍵IDは発行しない。
【0132】
次に、CPU203は、ユーザIDをユーザ端末17から受信したユーザ登録情報とともにユーザ情報データベース50に登録する(ステップS1519)。なお、ユーザ情報データベース50は、第1の実施形態の図7において示した例と同様である。
【0133】
ユーザ登録処理を終えたCPU203は、ユーザID毎にユーザ別位置情報データベース95およびユーザ別判断情報データベース96を作成する(ステップS1521)。ユーザ別位置情報データベース95は、第1の実施形態の図12において示した例と同様である。ユーザ別判断情報データベース96は、第1の実施形態の図12aのAにおいて示した例と同様である。
【0134】
次に、CPU203は、ユーザ登録の終了と発行されたユーザIDをユーザに通知するため、登録終了画面67(図6)をユーザ端末17に送信する(ステップS1523)。
【0135】
2−5.ユーザIDの発信機への登録
サービス提供業者は、ユーザ情報データベース50に基づいて、新規登録されているユーザIDを確認する。さらに、盗難検知装置15と発信機をROMライターを介して通信ケーブルで接続し、ユーザIDのデータを発信機内のメモリに転送する。これにより、発信機にユーザの識別情報を登録することができる。
【0136】
なお、各発信機の識別情報記憶手段33においては、当該発信機が車両情報発信機であるか鍵情報発信機であるかを示す発信機区分が予め設定されている。
【0137】
車両IDを登録する車両情報発信機110および鍵IDを登録する鍵情報発信機130は、第1の実施形態の図8において示した例と同様である。また、第1の実施形態と同様に、サービス提供業者は、これらの発信機をユーザ情報として登録されているユーザ宅へ送付する。さらに、各発信機を受け取ったユーザが、車両IDの登録された車両情報発信機110を車両の内部に設置し、鍵IDの登録された鍵情報発信機130を当該車両の鍵と嵌合させて一体化することにより、盗難検知サービスの提供を受けることができるようになる。
【0138】
2−6.盗難検知におけるフローチャート
図16および図17は、本実施形態において、盗難検知システムにおける盗難検知装置15のCPU203が、取得した車両情報および鍵情報に基づいて、車両の盗難検知処理を行う場合のフローチャートである。なお、第1の実施形態と同様に、この盗難検知処理は、ユーザ毎に定期的に行われるものとする。
【0139】
上述したように、車両情報発信機110および鍵情報発信機130は定期的(例えば10秒毎)に位置情報を含むデータ信号を発信している。発信されたデータ信号は、基地局19において受信され、インターネット回線11を介して盗難検知装置15に送信される。盗難検知装置15において受信されたデータ信号は、位置情報データベース90に逐次自動的に記録される。
【0140】
図18に、前記位置情報データベース160の例を示す。車両情報発信機110から受信した位置情報および、鍵情報発信機130から受信した位置情報は、すべてこの位置情報データベース160に記録される。
【0141】
位置情報データベース160(図18)においては、各発信機がデータ信号を発信した発信時刻、登録されたユーザを表すユーザID、発信機が車両または鍵のいずれであるかを表す発信機区分、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した緯度、車両情報発信機110または鍵情報発信機130がGPS衛星1から取得した緯度等が記録されている。
【0142】
盗難検知装置15のCPU203は、所定のユーザID毎に、以下に示す盗難検知処理にかかる処理プログラム2093(図14)を起動する。例えば、図7のユーザ情報データベースに示すユーザ「日立太郎」にかかる盗難検知処理は、ユーザID「1111」に基づいて10秒ごとに起動される。
【0143】
CPU203は、ユーザIDに基づいて、位置情報データベース160を検索し、発信機区分毎にそれぞれ最新の位置情報を取得する(ステップS1601、図16)。例えば、位置情報データベース160(図18)において、ユーザIDが「1111」、発信機区分が「車両」であって、発信時刻が最新のものである位置情報レコード1801および、ユーザIDが「1111」、発信機区分が「鍵」であって発信時刻が最新のものである位置情報レコード1803を取得する。なお、ここで取得したレコードの発信時刻は、同一であるとする。
【0144】
次に、CPU203は、ユーザID「1111」のために作成されたデータベースであるユーザ別位置情報データベース95に、ユーザの位置情報を記録する(ステップS1603)。なお、図19に本実施形態におけるユーザ別位置情報データベースの例を示す。
【0145】
例えば、位置情報データベースのレコード1801における「緯度」が、ユーザ別位置情報データベース(図19)の「車両の緯度」に記録され、さらに、その「経度」がユーザ別位置情報データベースの「車両の経度」に記録される。また、レコード1803における「緯度」が、ユーザ別位置情報データベースの「鍵の緯度」に記録され、さらに、その「経度」がユーザ別位置情報データベースの「鍵の経度」に記録される。なお、このとき記録されるレコードが、ユーザ別位置情報データベースにおけるレコード195に該当する。
【0146】
CPU203は、当該ユーザのユーザ別位置情報データベース95から、前回に発信して記録されたレコードを取得する(ステップS1605)。例えば、ユーザ別位置情報データベース95(図19)において、レコード195の発信時刻よりも以前に記録されたレコード194を取得する。レコード194の発信時刻は「11:11:40」であり、レコード195の発信時刻「11:11:50」である。
【0147】
CPU203は、データベースから取得した前回のレコード194と、最新のデータであるレコード195に基づいて、車両と鍵の相対距離、車両および鍵における移動方向および移動速度を算出し、この結果をユーザ別判断情報データベース96に記録する(ステップS1607)。
【0148】
すなわち、車両の緯度、車両の経度、鍵の経度および鍵の経度に基づいて、所定の計算式を用いることにより、車両と鍵との相対距離を求める。また、各発信時刻における両者の移動位置から移動方向および移動速度を求める。
【0149】
図20のAに、ユーザ別判断情報データベース96の例を示す。このデータベースは、上述したようにユーザ毎に作成されており、発信時刻毎に「車両と鍵の相対距離」、「移動方向(車両および鍵)」、「移動速度(車両および鍵)」が記録される。なお、前記移動方向は、前回の位置から現在の位置に至るために移動した方向であって、真北を基準として時計周りに1度刻みで回転させたときの方向を表している。
【0150】
図20のBに、図19にかかる各データベースレコードの位置関係を示す。例えば、図19のレコード190〜195は、図20のBにおける車両(□)1910〜1915および鍵(△)1920〜1925の位置にそれぞれ対応している。すなわち、発信時刻「11:11:00」における車両および鍵は、車両1910および鍵1920に位置している。
【0151】
盗難検知装置15のCPU203は、算出した相対距離、移動方向および移動速度等の情報に基づいて、車両が盗難に遭っているか否かの盗難判断処理を行う(ステップS1609)。
【0152】
図17に、この盗難判断処理におけるフローチャートを示す。まず、CPU203は、車両と鍵がともに移動しているか否かを判断する(ステップS1711)。
【0153】
すなわち、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)以上のときは移動しているものと判断し、移動速度が所定の値(例えば0.5m/s)より小さいときは停止しているものと判断する。なお、所定の値に基づいて移動速度を判断したのは、GPSの測定誤差を考慮したためである。なお、各装置におけるGPSの測定誤差に応じて、前記所定の値(例えば0.5m/s)を変更してもよい。
【0154】
車両と鍵がともに移動していない場合(ステップS1711、No)であって、車両のみが移動している場合(ステップS1727、Yes)は、鍵がない状態で車両が移動しているものと考えられるので、盗難であると判断する(ステップS1725)。
【0155】
また、上記において、鍵のみが移動している場合(ステップS1727、Yes)は、車両を駐車したユーザが徒歩等で移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1723)。
【0156】
一方、車両と鍵がともに移動している場合(ステップS1711、Yes)、CPU203は、さらに、車両と鍵の移動方向の差が基準値以下であるか否かを判断する。例えば、車両と鍵の移動方向の差が基準値5度以下の場合(ステップS1713、No)は、車両と鍵はほぼ同一方向に移動していることより、ユーザが車両に乗車して移動しているものと考えられ、さらに、車両および鍵における地理情報を取得する(ステップS1719)。
【0157】
ここで、前記地理情報は、地理情報データベース98を利用して取得する。例えば、地理情報データベース98は、GIS(Geographic Information System:地理情報システム)を構成するソフトウェア技術によって実現可能である。
【0158】
図21に地理情報データベース98の例を示す。このデータベースには、緯度および経度で決定される位置毎に、その位置の地理上の情報が記録されている。例えば、地理区分は、その位置が地理上において海上であるか地上であるかを示す情報である。
【0159】
CPU203は、車両および鍵の位置情報(車両の緯度、車両の経度、鍵の緯度、鍵の経度)に基づいて、地理情報データベース98を検索し、その位置における地理区分を取得する(ステップS1719)。
【0160】
CPU203は、車両および鍵における地理区分が同一であるか否かを判断する(ステップS1721)。例えば、車両の地理区分が「海上」であって、鍵の地理区分が「地上」である場合には、車両が海上を移動しており、鍵の所有者が地上を移動しているものと考えられるので、盗難であると判断する(ステップS1725)。なお、これと反対に、車両の地理区分が「地上」であって、鍵の地理区分が「海上」である場合も、車両が地上を移動しており、鍵の所有者が海上を移動していると考えられるので、同様に盗難であると判断する。
【0161】
また、車両と鍵の地理区分が同一の場合は、ユーザが車両に乗車して移動しているものと考えられるので、盗難でないと判断する(ステップS1723)。
【0162】
上記ステップS1713において、車両と鍵の移動方向の差が基準値より大きい場合(ステップS1713、Yes)は、さらに車両と鍵との相対距離を考慮して判断を行う(ステップS1715)。
【0163】
ここで、相対距離を考慮したのは、車両と鍵がともに移動しており、その移動方向の差が基準値よりも大きい場合であっても、盗難であると決めつけることができないからである。例えば、鍵を所有するユーザとその車両が航海中のフェリー上にあり、鍵を所有するユーザが当該フェリー上を移動している場合などがこれに該当する。
【0164】
上記のようにフェリーの可能性を判断する場合、相対距離が所定の基準値100m以下であれば(ステップS1715、No)、上記と同様に、ステップS1719〜ステップS1721において地理情報に基づいた盗難判断処理を行う。すなわち、車両と鍵の地理区分が同一であれば、盗難でないと判断し(ステップS1723)、同一でなければ、盗難であると判断する(ステップS1725)。なお、前記所定の基準値100mは、一般的なフェリーの全長に基づいて決定すればよい。
【0165】
上記ステップS1715において、車両と鍵の相対距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1715、Yes)は、さらに車両における移動距離を考慮して判断を行う(ステップS1717)。
【0166】
ここで、車両の移動距離は、ユーザが車両を駐車したと判断できる地点と現在の地点との直線距離から算出可能である。すなわち、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点のうち、そのデータの発信時刻が最も直近となる過去の地点と、現在の地点との直線距離から算出可能である。
【0167】
例えば、ある地点から別の地点に至る過程において、車両における移動距離が、所定の基準値50m以下であれば(ステップS1717、No)、車両を立体駐車場に駐車しており、車両のみが所定の範囲内(立体駐車場内)で移動しているものと考えられるので、上記と同様に、ステップS1719〜ステップS1721において地理情報に基づいた盗難判断処理を行う。
【0168】
すなわち、車両と鍵の地理区分が同一であれば、盗難でないと判断し(ステップS1723)、同一でなければ、盗難であると判断する(ステップS1725)。なお、前記所定の基準値50mは、一般的な立体駐車場の全長に基づいて決定すればよい。
【0169】
上記ステップS1717において、車両の移動距離が所定の基準値を超えている場合(ステップS1717、Yes)は、上記のいずれの場合にも該当しないので、盗難であると判断する(ステップS1729)。
【0170】
例えば、図20おける発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1905に基づいて、上記の処理(ステップS1011〜S1017)を行う場合を考える。
【0171】
図20のAに示す発信時刻「11:11:50」のデータベースレコード1905において、車両と鍵の移動方向の差は「55度(145度−90度より)」と算出でき、これは基準値5度より大きい(ステップS1713、Yes)。
【0172】
車両と鍵の相対距離は、図20のAより「120.0m」であり、これは基準値100mより大きい(ステップS1715、Yes)。
【0173】
車両の移動距離は、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点と現在の地点との直線距離から判断する。図20のAにおいて、車両と鍵との相対距離が最小となる過去の地点は、発信時刻「11:00:00」のデータベースレコード1901の地点と発信時刻「11:11:00」のデータベースレコード1903の地点があり、その相対距離はともに「0.5m」である。この2地点のうち発信時刻が最も直近の地点を選択して直線距離を算出する。
【0174】
したがって、発信時刻「11:11:00」の地点と発信時刻「11:11:50」の地点の位置情報からその直線距離は「約400m」と算出でき、これは基準値50mより大きい(ステップS1717、Yes)。
【0175】
したがって、CPU203は、発信時刻「11:11:50」の時点において、車両盗難が発生していると判断する。
【0176】
盗難判断処理(ステップS1611、図16)を終えたCPU203は、その処理結果が「盗難である」とされている場合には(ステップS1611、Yes)、ユーザ端末に盗難検知の旨を通知する(ステップS1613)。なお、ユーザへの通知は、ユーザ情報データベース50を参照して必要なデータ(メールアドレス、携帯番号など)を抽出し、電子メールまたは合成音声による音声通話で行う。
【0177】
図12bに、電子メールで盗難検知の通知を行う場合の例を示す。この電子メールには、ユーザの氏名、車両IDとともに盗難が発生している可能性のある旨を通知するようにしている。なお、ユーザ情報データベースに車両IDにかかる車両の車両ナンバーを登録しておき、前記電子メールにおいて、盗難が発生している可能性のある車両の車両ナンバーを表示するようにしてもよい。
【0178】
また、同時に、車両盗難の発生を警察や警備会社等の機関に通知するようにしてもよい。
【0179】
一方、盗難判断処理の処理結果が「盗難でない」とされている場合には、盗難検知処理を終了する(ステップS1611、No)。
【0180】
なお、上述したように、上記盗難検知処理の処理プログラム2093(図14)は、ユーザ毎に定期的に行われるが、この処理間隔はシステムの処理能力等によって任意に設定すればよい。
【0181】
2−7.まとめ
このように、車両11に設けられた車両情報発信機110と、当該車両の鍵と嵌合された鍵情報発信機130と、これらの発信機が発信したデータ信号に基づいて両者の位置情報を取得して盗難検知を行う盗難検知システムにおいて、各発信機から位置情報に加えて、発信機IDおよびユーザIDとを発信することにより、盗難検知装置15において車両IDと鍵IDの対応付け情報を使用しなくとも、各発信機からのデータを確実に識別することができる。
【0182】
これにより、車両情報発信機110および鍵情報発信機130において発信するデータ信号のデータ容量が増加するものの、盗難検知装置15における処理負荷および、車両IDと鍵IDの対応付け情報による容量負荷を削減することができる。
【0183】
また、盗難検知装置15において、各位置情報における地理情報をも考慮して盗難判断処理をするようにしている。これにより、より高精度な盗難検知を行うことができる。
【0184】
3.その他の実施形態
上記実施形態においては、サービスを申し込んだユーザに、サービス業者が車両情報発信機110および鍵情報発信機130を送付し、ユーザが各発信機を設置等することによって、サービスの提供を受けることができるようにした。しかし、ユーザが、予め車両情報発信機110および鍵情報発信機130が設けられた車両を購入することにより、サービスの提供を受けられるようにしてもよい。この場合、車両ID、鍵IDおよびユーザIDを予め発信機に登録しておき、購入時において、これらのIDを有効なものとして盗難検知装置に登録すればよい。これにより、ユーザは、車両の購入と同時にサービスを利用することができ、登録の手間が省くことができる。
【0185】
上記実施形態においては、GPS衛星1を利用して車両および鍵における位置情報を取得しているが、他の手段を用いて位置情報を取得するように構成してもよい。例えば、地上に設置された複数の無線局との通信によって、位置情報を取得してもよい。例えば、PHSの基地局や高速道路のビーコン等が上記無線局に該当する。
【0186】
上記実施形態においては、各発信機において発信された発信時刻を位置情報データベース90のキー項目として記録して処理しているが、各発信機から前記発信時刻を送信しないようにし、各発信機からの位置情報等を受信した時刻を受信時刻とし、この受信時刻を前記発信時刻にかえて位置情報データベース90のキー項目として記録して処理するようにしてもよい。これにより、各発信機が発信する情報量を削減することができる。
【0187】
上記実施形態においては、車両の盗難を検知した場合に、電子メールや音声通話を用いてユーザ端末に通知するように構成しているが、盗難検知装置15から車両に対して、エンジンを停止させるための信号を送るように構成してもよい。例えば、図22に示すように、車両においてエンジン2201を制御することのできる制御回路2203を設けておき、受信機2205が受信した盗難検知装置15からの信号を、この制御回路2203に入力することによって、エンジンを停止させる。これにより、盗難検知の発生とともに車両のエンジンを停止させて、盗難車両を早期に発見することができる。
【0188】
また、車両盗難の際において、車両情報発信機110がなければエンジンを停止させるように構成してもよい(図22)。例えば、エンジンを制御する制御回路2203に対して車両情報発信機110から所定間隔(例えば1分)毎に信号を送るようにしておく。制御回路2203は、この信号を所定時間以内(例えば5分以内)に受信しなければ、エンジンを停止させる制御を行う。これにより、車両情報発信機110を破棄されたり、壊されたりまたは車両から取り去られた場合であっても、対応することができる。さらに、車両情報発信機110に代えて、鍵情報発信機130からの信号を利用してもよい。
【0189】
上記実施形態においては、検知対象物を車両とし、これに同期して移動する同期移動物を車両の鍵としたが、他の検知対象物と同期移動物の組合せにも本発明を適用可能である。例えば、貨物を検知対象物とし、この貨物を輸送する列車または車両等を同期移動物として構成してもよい。
【0190】
上記実施形態においては、ユーザ登録時に車両IDおよび鍵ID等を発行し、ROMライターを用いて、盗難検知装置15から各発信機に各IDデータを転送して登録するようにしているが、各発信機に、予めユニークなID符号を登録しておき、ユーザ登録時にこれらのID符号を割り当てるようにしてもよい。これにより、ROMライターを介したIDデータ登録の手間を省くことができ効率がよい。
【0191】
上記実施形態においては、地理情報データベースから各ポイントにおける属性データを取得して当該ポイントにおける地理区分を取得するように構成したが、盗難であると判断した場合に地理情報データベースの地図データを取得し、この地図データ上に車両の位置情報を表示した画像情報を生成して、ユーザ端末17に送信するようにしてもよい。
【0192】
これにより、ユーザは、車両の位置情報を即時に取得することができ、盗難車両を探しやすくなると考えられる。なお、図23に、この場合にユーザ端末17に送信され盗難検知の画像情報を示す。ユーザ端末17のディスプレイ401には、車両盗難の発生を示すメッセージと盗難車両の現在位置が地図データ上に表示される。
【0193】
上記実施形態においては、鍵情報発信機130から位置情報データを直接的に発信するようにしているが、図24に示すように、車両情報発信機110において、鍵情報発信機130からの鍵の位置情報データを受信し、車両の位置情報とともに基地局に送信するように構成してもよい。これにより、鍵情報発信機130の発信回路の構成を簡単にすることができ、消費電力を押さえることができる。
【0194】
なお、図24aに示すように、鍵情報発信機110を有するユーザが車両から離れる場合は、鍵情報発信機130と車両情報発信機130は、所定の範囲円内(破線の内部)において無線通信が可能である。これにより、鍵情報発信機130における通信回路を簡単な構成とすることができる。
【0195】
また、上記において、盗難検知装置15は、車両情報発信機からのデータのみを受信していると判断した場合には、鍵を付けずに車両が走行しているものと考えられるので、即座に盗難の判断を行うようにしてもよい。
【0196】
さらに、鍵を車両に付けて走行している場合には、電磁誘導方式等により車両から鍵に電源供給を行うようにしてもよい。これにより、鍵情報発信機の電力供給を有効に行うことができる。
【0197】
図25に示すように、鍵情報発信機130とユーザ端末17である携帯電話とをブルートゥース等で通信可能なように構成しておき、鍵情報発信機130から鍵の位置情報等のデータをユーザ端末17に送信し、ユーザ端末17が基地局19に発信するようにしてもよい。これにより、これにより、鍵情報発信機の発信回路の構成を簡単にすることができ、消費電力を押さえることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の第1の実施形態における全体構成の例を示す図である。
【図2】この発明の第1の実施形態における盗難検知装置のハードウェア構成図である。
【図3】この発明の第1の実施形態における発信機の機能ブロック図である。
【図4】この発明の第1の実施形態におけるユーザ端末のハードウェア構成図である。
【図5】この発明の第1の実施形態におけるユーザ登録のフローチャートの例を示す図である。
【図6】この発明の第1の実施形態におけるユーザ登録における画面の例を示す図である。
【図7】この発明の第1の実施形態におけるユーザ情報データベースの例を示す図である。
【図7a】この発明の第1の実施形態における車両IDと鍵ID対応付け情報データベースの例を示す図である。
【図8】この発明の第1の実施形態における車両情報発信機および鍵情報発信機の例を示す図である。
【図9】この発明の第1の実施形態における盗難検知処理のフローチャートの例を示す図である。
【図10】この発明の第1の実施形態における盗難判断処理のフローチャートの例を示す図である。
【図11】この発明の第1の実施形態における位置情報データベースの例を示す図である。
【図12】この発明の第1の実施形態におけるユーザ別位置情報データベースの例を示す図である。
【図12a】この発明の第1の実施形態におけるユーザ別判断情報データベースの例を示す図である。
【図12b】この発明の第1の実施形態におけるユーザ端末に送信される電子メールの例を示す図である。
【図13】この発明の第2の実施形態における全体構成の例を示す図である。
【図14】この発明の第2の実施形態における盗難検知装置のハードウェア構成図である。
【図15】この発明の第2の実施形態におけるユーザ登録のフローチャートの例を示す図である。
【図16】この発明の第2の実施形態における盗難検知処理のフローチャートの例を示す図である。
【図17】この発明の第2の実施形態における盗難判断処理のフローチャートの例を示す図である。
【図18】この発明の第2の実施形態における位置情報データベースの例を示す図である。
【図19】この発明の第2の実施形態におけるユーザ別位置情報データベースの例を示す図である。
【図20】この発明の第2の実施形態におけるユーザ別判断情報データベースの例を示す図である。
【図21】この発明の第2の実施形態における地理情報データベースの例を示す図である。
【図22】この発明の第2の実施形態における車両のエンジン制御のブロック図である。
【図23】この発明の第2の実施形態におけるユーザ端末に送信される画像情報の例を示す図である。
【図24】この発明のその他の実施形態における全体構成の例を示す例である。
【図24a】この発明の鍵情報発信機と車両情報発信機において無線通信を行う場合の例を示す図である。
【図25】この発明のその他の実施形態における全体構成の例を示す例である。
【符号の説明】
1・・・GPS衛星
11・・・車両
13・・・鍵
15・・・盗難検知装置
17・・・ユーザ端末
110・・・車両情報発信機
130・・・鍵情報発信機
Claims (17)
- 検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、前記第1の発信機および前記第2の発信機が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置と、を備えた盗難検知システムであって、
前記第1の発信機は、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに発信し、
前記第2の発信機は、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに発信し、
前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とする盗難検知システム。 - 検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置であって、
前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とする盗難検知装置。 - 検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置をコンピュータを用いて実現するためのプログラムであって、
前記盗難検知装置は、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とする盗難検知装置をコンピュータを用いて実現するためのプログラム。 - 請求項1〜3のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記第1の発信機が発信する前記検知対象物の識別情報は、前記検知対象物毎に付与されたID符号を含んでおり、前記第2の発信機が発信する前記同期移動物の識別情報は、前記同期移動物毎に付与されたID符号を含んでおり、
前記盗難検知装置は、前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物のID符号と、前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物のID符号と、予め記録されている前記検知対象物のID符号と前記同期移動物のID符号の対応付け情報と、に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うことを特徴とするもの。 - 請求項1〜3のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記第1の発信機が発信する前記検知対象物の識別情報は、前記検知対象物を示す情報およびユーザIDを含んでおり、前記第2の発信機が発信する前記同期移動物の識別情報は、前記同期移動物を示す情報およびユーザIDを含んでおり、
前記盗難検知装置は、前記検知対象物に関する情報と同期移動物に関する情報とを前記ユーザIDによって関連付け、これらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とするもの。 - 請求項1〜5のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記検知対象物は車両であり、前記同期移動物は前記車両を始動するための鍵であること
を特徴とするもの。 - 請求項1〜6のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記検知対象物と前記同期移動物における位置情報から両者の相対距離を算出し、
前記相対距離に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とするもの。 - 請求項7の盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記検知対象物と前記同期移動物における位置情報から両者の相対距離を所定時間毎に算出し、
前記相対距離の時間的変化に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とするもの。 - 請求項7または8の盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記検知対象物と前記同期移動物における位置情報から算出した両者の相対距離が所定範囲内にあれば、盗難検知を行わないこと
を特徴とするもの。 - 請求項1〜9のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記検知対象物と前記同期移動物における所定時間毎の位置情報から両者の移動方向を算出し、
前記移動方向に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行うこと
を特徴とするもの。 - 請求項1〜10のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記盗難検知装置は、受信した位置情報における地理情報をも考慮して盗難検知を行うこと
を特徴とするもの。 - 請求項1〜11のいずれかの盗難検知システム、盗難検知装置またはプログラムにおいて、
前記第1の発信機または前記第2の発信機は、GPSを用いることによって取得した緯度および経度を、前記検知対象物または前記同期移動物の位置情報として発信すること
を特徴とするもの。 - 検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する第1の発信機と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する第2の発信機と、前記第1の発信機および前記第2の発信機が発信した情報を受信できるように設けられた盗難検知装置と、を用いて行う盗難検知方法であって、
前記第1の発信機に、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに発信させ、
前記第2の発信機に、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに発信させ、
前記盗難検知装置に、前記第1の発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記第2の発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得させ、取得させたこれらの情報に基づいて前記検知対象物の盗難検知を行わせること
を特徴とする検知対象物の盗難検知方法。 - 検知対象物が有しており、当該検知対象物に関する情報を発信する発信機であって、
前記検知対象物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記検知対象物の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記位置情報取得手段が取得した前記検知対象物の位置情報を、前記識別情報記憶手段が記憶している前記検知対象物の識別情報とともに発信する情報発信手段と、
を備えており、
前記発信機とともに盗難検知システムを構成する盗難検知装置が、前記発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報と、前記検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有する発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて、前記検知対象物の盗難検知を行うことができるように、前記検知対象物の位置情報を前記検知対象物の識別情報とともに所定時間毎に発信すること
を特徴とする盗難検知システムにおける検知対象物のための発信機。 - 請求項14にかかる発信機を備えた車両。
- 検知対象物の移動時に前記検知対象物と同期して移動する同期移動物が有しており、当該同期移動物に関する情報を発信する発信機であって、
前記同期移動物の位置情報を取得する位置情報取得手段と、
前記同期移動物の識別情報を記憶する識別情報記憶手段と、
前記位置情報取得手段が取得した前記同期移動物の位置情報を、前記識別情報記憶手段が記憶している前記同期移動物の識別情報とともに発信する情報発信手段と、
を備えており、
前記発信機とともに盗難検知システムを構成する盗難検知装置が、前記発信機が発信した前記同期移動物の位置情報および前記同期移動物の識別情報と、前記検知対象物が有する発信機が発信した前記検知対象物の位置情報および前記検知対象物の識別情報とを取得し、取得したこれらの情報に基づいて、前記検知対象物の盗難検知を行うことができるように、前記同期移動物の位置情報を前記同期移動物の識別情報とともに所定時間毎に発信すること
を特徴とする盗難検知システムのための発信機。 - 請求項16にかかる発信機を備えた鍵。
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JP2002365121A JP2004196058A (ja) | 2002-12-17 | 2002-12-17 | 盗難検知システムおよびその方法 |
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2002
- 2002-12-17 JP JP2002365121A patent/JP2004196058A/ja active Pending
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