JP2004195038A - 音を利用した眼のトレーニング装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】裸眼で至近距離に焦点を合わせることができないような老眼の方でも、視力を調整する目的の補助器具も使用せず、具体的な目標を見る必要もなく、音が発せられていると認識できた位置を見ようとするだけで眼筋が働かされて訓練が行われ、不快感を覚えることもなく衰えた筋力を回復させることができたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることができる眼のトレーニング装置を得ることを課題とする。
【解決手段】視点の目標位置や目標方向を決定させる目標体を音として、訓練者の視点を音の移動や音の発現に追従させることにより、目を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができる眼のトレーニング装置を得て、課題を達成する。
【選択図】 図3
【解決手段】視点の目標位置や目標方向を決定させる目標体を音として、訓練者の視点を音の移動や音の発現に追従させることにより、目を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができる眼のトレーニング装置を得て、課題を達成する。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明が属する技術分野】
本発明は、移動する目標に向かって視点を追従させることにより眼筋を積極的に働かせて衰えた筋力を回復させたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることを目的とした眼のトレーニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来広く一般的に知られた眼筋トレーニング装置を使用する場合には、必ず目標となる何かを視認することを訓練者が要求されていた。特別な装置を必要としない訓練方法としては、体の前で片腕を回し、その移動する指先を眼で追うトレーニング法が良く知られており、効果の高いことも知られている。しかしその方法によると、少なくとも腕を回転することができる空間が必要であり、また実際にやってみると周囲の風景や部屋の内部風景がぐるぐると一緒に回って見えてしまうので、わずか数分間のトレーニングでも終了時にはめまいを覚え、平衡感覚の衰えた高年齢の方が屋外で起立した姿勢でそれを実行するのは転倒の恐れもあり危険でもあった。
【0003】
そこで過去において、スクリーンやモニターに、目標体となる動く映像や動く光点や点滅する光点を映し出したり、複数の発光ダイオードを大きな基板に配置して順次点滅させたりして、そのような目標体を眼で追わせるタイプのトレーニング装置が数多く開発された。また、それら大型のトレーニング装置とは別に、点滅する複数の発光ダイオードを小さな基板に配置して、顔に装着するゴーグルの内部に納めた小型のトレーニング装置も開発されており、いくつかの製品が市販もされている。それらゴーグルタイプのトレーニング装置によれば、広い空間も必要なく、腕を回したりして疲れることもなく、椅子に座ったままでもベッドに寝たままでもトレーニングが行えるので、めまいを覚えて倒れるなどの危険性もなく安全性も向上した。しかし、スクリーンやモニターやゴーグルなどを利用したタイプのトレーニング装置はいずれも映像や発光ダイオードなどの光点を、実際に眼で追わせるものばかりであった。特にゴーグルタイプのトレーニング装置にあっては、小型で扱いやすい利点がある一方で、近視の方ならば至近距離の映像や光点をはっきりと視認することができるのであろうが、遠視の方、または若かった頃に遠くがよく見えた方で老眼になられた方などでは、至近距離の映像や光点をはっきりと視認することはほとんどできず、眼鏡の使用を強いられたり、あるいは日常生活用に使用している眼鏡レベルでは至近距離の目標をはっきりと視認することができなかったりするので、トレーニング自体がとてもつらいものとなり、たとえ3分でも毎日続ける、というような基本的なことができなくなってしまう欠点もあった。また、映像や光点や文字や記号などの具体的な目標体をハッキリ見ようと意識を集中して訓練を行う公知の技術では、訓練期間中のまばたきの回数は極端に少なくなってしまい、ドライアイ状態になってしまうなど、過酷な訓練となりやすい欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に人は30歳代に入ると老眼になりはじめ、40歳代に入ると老眼の進行は加速される。これは肉体的な老化に伴うものなので、一部例外的に視力がほとんど変化しない人を除いて、大半の人は老眼となってゆく。近視の人は、老眼になっても近くのものを見ることができるのが一般的であるが、若いときに視力が1.5〜2.0もあったような人が老眼になると、たいていの場合、目からの距離が20cm以内の至近距離に焦点を合わせることはほとんどできず、市販薬の外箱に印刷されているような説明書の小さな文字などを読むことはほぼ不可能となってしまう。本発明は、裸眼で至近距離に焦点を合わせることができないような老眼の方や遠視の方でも、「目標をはっきりと視認することができなくてイライラする、目標を追いかけるのがつらい。」といった不快感を覚えることなく、眼を閉じたままでも、移動する音や、移動するかのようにつぎつぎと位置や方向を変えて発現する音に向かって視点を追従させることにより眼筋を積極的に働かせて衰えた筋力を回復させたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることができる眼のトレーニング装置を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
具体的な目標体を追いかけるように見ることで眼のトレーニングを行なおうとすると、近くの目標体を見なければならないゴーグルタイプのような装置では遠視の方や遠視のような症状になった老眼の方には裸眼のままでは見えにくく、ある程度遠くの目標体を見なければならないスクリーンタイプのような装置では近視の方には裸眼のままでは見えにくい、というような問題がどうしても発生してしまい、また、集中的な訓練を行なうとどうしても眼を開け続けることになるのでドライアイ状態に陥る危険性もあった。そこで出願人は、特願2002−128083にて示すようなトレーニングアイマスクを発明した。出願人の発明によるトレーニングアイマスクは、顔面の皮膚にピンポイント的な刺激を与え、その刺激位置に視点を移動させることで眼筋を働かせ、高齢化や慢性的な訓練不足によって衰えた筋力を回復させたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることができる装置である。具体的な目標体を追いかけるように見るのではなく、皮膚に与えられた直接的な刺激に視点を合わせる装置なので、眼を閉じたままでも眼球を動かす訓練を行なうができ、ある程度長時間にわたって集中的に訓練を行なったとしても、ドライアイ状態に陥ることを防ぐことができる発明である。今回出願する発明も、具体的な目標体を追いかけるように見る装置ではなく、音に視点を合わせることを特徴とする装置なので、やはり眼を閉じたままでも眼球を動かす訓練を行なうができる。具体的には、前記各請求項に記載された手段によって課題は達成されるのであるが、特に、視点の目標位置や目標方向を決定させる音源位置を、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォンにより訓練者に認識させ、訓練者の標準的な視野範囲内かあるいは標準的な視野範囲をわずかに超えた範囲内で擬似的につぎつぎと位置や方向を変えて発現する音に訓練者の視点を追従させるようにした装置によることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
具体的な実施形態を、発明の構成を示す略式説明図にて示す。はじめに音源がひとつの場合について図1にて説明する。訓練者はトレーニング装置より50センチメートルほど離れた位置に立っている。装置の中心点9を中心に回転する支柱の先端に音源1を設けたものが、音源がひとつであるトレーニング装置のおよその基本構成となる。中心点9を中心とした回転機構部を有する装置、その装置を支える目的の脚あるいは装置を壁などに掛ける目的のフック、回転機構部に連結し音源1を支持する支柱、音の信号をスピーカーに出力する音源装置、回転する支柱を定められた位置に停止させるコントローラー、支柱が停止した位置で音を発生させるようにするコントローラー、および電源やコード類については、本発明の主体を説明するのに図示する必要がないので図示しない。訓練者は眼を閉じて正面を向き、顔を動かさず、音源が音を発生させたときに、認識した音の位置をにらむように眼球を動かすことを訓練の基本とする。訓練者は眼を開けていてもかまわないが、ドライアイ状態に陥らないように眼は閉じている方がよい。眼を閉じることにより、装置本体や装置周囲の様子などのような訓練に必要ではない余分な情報が入ってくるのを防ぐことができるので、精神的にも訓練に集中することができる。トレーニング装置が作動すると、音源1は例えば反時計回りの方向に移動し、2,3,4,5,6,7,8の位置で一時停止をしてその都度に音を発生させる。訓練者は聴力において異常がないかぎり、眼を閉じたままでも十分に音源1の位置を認識することができるので、音源1が移動して行くとおりに視点を追従させることにより眼球を動かす訓練をすることができる。音源1が1回だけ音を発生させた後に2,3,4の位置を通過して移動し、5の位置で停止して1回だけ音を発生させた場合には、視点は真上から真下に垂直移動する。同様に、3と7の位置で音を発生させれば視点は左から右に水平移動する。また同様に、8と4の位置で音を発生させれば視点は右上から左下に斜め移動する。このように音を発生させる位置を変化させることにより、視点を垂直や水平や斜め方向に移動させることができ、眼筋を積極的に動かす訓練を行うことができる。勿論、音源1が一時停止をすることなく音を出しながら回り続けている装置にして、音源1が移動して行くとおりに視点を追従させることにより連続的に眼球を動かす訓練をすることができるのは言うまでもない。また、モノレールのような基本構造を用いて、略円周状や8の字状あるいは最も簡単な直線状などの軌道を設けた装置にして、音源が軌道に沿って移動して行くとおりに視点を追従させることにより眼球を動かす訓練をすることもできる。次に、音源が2以上である場合について図2にて説明する。訓練者10はトレーニング装置より50センチメートルほど離れた位置に立っている。訓練者10の中心視線上に設けられた音源11を中心にその他に、外周部に12から19までの音源を配置したものが、音源が2以上であるトレーニング装置のおよその基本構成となる。装置を支える目的の脚あるいは装置を壁などに掛ける目的のフック、音の信号をスピーカーに出力する音源装置、各音源がプログラムされた位置で音を発生させるようにするコントローラー、および電源やコード類については、本発明の主体を説明するのに図示する必要がないので図示しない。11から19までの9個の音源は装置に固定されている。基本としては、各音源はひとつずつ時間差をつけて音を発生させるようにコントロールされており、2以上の音源を同時に作動させることはしない。ただし特殊な訓練として、離れた位置関係にある2個の音源を同時に作動させ、そのふたつの位置を認識できた場合に、各位置に向けて視点を順次移動させるという訓練を行うこともできる。この訓練は音源がひとつである場合に比べて特別な集中力を必要とするので、集中力を向上させる訓練としては適している。訓練者10は眼を閉じて正面を向き、顔を動かさず、音源が音を発生させたときに、認識した音の位置をにらむように眼球を動かすことを訓練の基本とする。音源12が1回だけ音を発生させた後に音源16が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は真上から真下に垂直移動する。同様に、音源14が1回だけ音を発生させた後に音源18が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は左から右に水平移動する。また同様に、音源19が1回だけ音を発生させた後に音源15が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は右上から左下に斜め移動する。このように音を発生させる位置を変化させることにより、視点を垂直や水平や斜め方向に移動させることができ、眼筋を積極的に動かす訓練を行うことができる。勿論、発生させる音の回数はひとつの位置ごとに2回でも良く、2回の方が1回の時よりも、指示されたポイントを確実に意識してにらみつけるような眼球の動きとなるので、眼筋の負荷は大きくなり、訓練の効果も大きくなる。
【0007】
【発明の実施例】
以下、本発明を最も効果的に具現化する実施例を具体的に説明する。図3は、本発明に係る眼のトレーニング装置の実施例を頭部に装着した状態を説明する略式説明図である。
【0008】
図3のように、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォン20を用いる方法によれば、訓練者21の周囲空間に擬似的な音源を最適な位置に自由に配置することができる。
【0009】
前述したような、音源を移動させたり、固定された複数の音源を用いたりする方法による訓練では、大きな装置と広い空間が必要であり、なおかつ訓練者は指定された位置から動くことも顔を動かすことも許されなかったが、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォン20を用いる方法によれば、訓練者21が訓練中に顔を動かしたりしても、擬似的に構成された音響空間は動いた顔の方向に追従するので、訓練に支障をきたすことはない。立った姿勢でも、椅子に座った姿勢でも、寝た状態で上を向いた姿勢でも、横を向いた姿勢でも、下を向いた姿勢でも、常に擬似的に構成された音響空間は動いた顔の方向に追従するので、非常にリラックスした状態で訓練を行うことができる。
【0010】
立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォン20としては、特開平5−336599に示されるような、仮想現実視聴覚装置を用いることができる。
【0011】
図3に示すように、訓練者21は眼を閉じた状態であまり顔を動かさず、空間に配置された疑似音源が音を発したときに、認識した音の位置をにらむように眼球を動かすことを訓練の基本とする。訓練者21は眼を開けていてもかまわないが、ドライアイ状態に陥らないように眼は閉じている方がよい。眼を閉じることにより、周囲の様子などのような、訓練に必要ではない余分な情報が脳に入ってくるのを防ぐことができるので、精神的にも落ち着いて訓練に集中することができる。
【0012】
ヘッドフォン20には、電源となる乾電池、電源をONしたりOFFしたりするためのスイッチ、音を発生させるスピーカー、スピーカーを駆動させるアンプ、仮想空間を創り出すためのプログラムと訓練モードごとに疑似音源位置を決定させるプログラムが組み込まれたコンピュータ装置、訓練のモードを切り替えるためのスイッチ、外部機器からの信号を取り入れるための入力端子や赤外線受信装置などが組み込まれている。そのように、すべての機器を内蔵とすることによれば、いつでもどこでも好きな時に使うことができ、使い勝手の良い訓練装置となる。
【0013】
ヘッドフォン20を軽量化するために、音を発生させるスピーカーと信号を受信する装置とヘッドフォン20を機能させるのに必要な最低限の電源装置以外の装置をすべて外部機器に集中させても良い。外部機器とヘッドフォン20との信号のやりとりに赤外線装置を利用すれば、コードレス状態になり、軽量で非常に使用感の良い訓練装置となる。
【0014】
図3では、疑似空間の正面に音源22を配置し、訓練者21の通常視野の限界と思われる周辺部に音源23〜30を、円周を8等分した位置をイメージさせるように配置した、音源が9個の例が示されている。
【0015】
音源23が1回だけ音を発生させた後に音源27が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は真上から真下に垂直移動する。同様に、音源25が1回だけ音を発生させた後に音源29が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は左から右に水平移動する。また同様に、音源30が1回だけ音を発生させた後に音源26が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は右上から左下に斜め移動する。このように音を発生させる位置を変化させることにより、視点を垂直や水平や斜め方向に移動させることができ、眼筋を積極的に動かす訓練を行うことができる。勿論、発生させる音の回数はひとつの位置ごとに2回でも良く、2回の方が1回の時よりも、指示されたポイントを確実に意識してにらみつけるような眼球の動きとなるので、眼筋の負荷は大きくなり、訓練の効果も大きくなる。
【0016】
図4では、訓練者31は眼を閉じた状態で、疑似空間の正面に配置されたスクリーン32の中心を見るようにスクリーンより50センチメートルほど離れた位置に立っている。訓練者31がトレーニングに対する興味を失わないように、音の種類を、蜂が飛んでいるような音にして、スクリーン32のような平面的な空間の中を8の字状の飛行コース33に沿って蜂の音を移動させ、蜂の姿を想像させながら訓練者31の視点を蜂の動きに追従させる。蜂の飛行コースを34のように、より大きな8の字状にして移動スピードも速くすれば、スピーディで大きな眼球の動きが要求され、訓練の効果も大きくなる。
【0017】
図5では、訓練者35は球形の疑似空間の中央に頭部を位置させて立っている。音の種類は、断続するビープ音にして疑似空間内での音源位置を認識しやすくする。正常な視機能を持った人の左右方向の視野の限界は、180度に開いた位置にある音源36と音源37よりも少し後方の音源38と音源39あたりである。音源38と音源39とで示される、左右方向に関する視野の限界の開き角度は210度程度と言われている。たとえば視点を移動させる目標となる音は、音源38の位置をスタート点として音源36の位置を通り、水平円周軌道40に沿って正面中央点41を通り、音源37の位置を通って終点音源39の位置まで動く。はじめに水平円周軌道上にある音源38の位置から音源39の位置に達する円弧状の視点の移動訓練コースを例としてあげたが、視点の移動訓練コースである円弧が存在する平面の角度をプログラムによって傾けてやれば、視点を斜め方向に移動させることができる。さらには視点の移動訓練コースである円弧が存在する平面の角度を90度回転し垂直にしてやれば、視点を上下方向に移動させることができる。このような視野の限界を超えるかのような半球状のスクリーンやモニターは通常は個人的には所有することはできないので、いま述べたような、視野の限界から限界までの視点の移動訓練を一般家庭で行うことは従来は不可能であったが、本発明によれば、それが可能になる。ヘッドフォンを利用する代わりに、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのスピーカー群を、両耳を取り囲むように配置したソファータイプの椅子装置に訓練者を座らせることによれば、ゆったりと座っているだけで最高の訓練を受けることができる。最高の訓練とは、ゴーグルのようなわずらわしいものを顔面に装着することもなく、ヘッドフォンのような耳を圧迫するようなものを装着することもなく、動く映像や点滅する光点などのわずらわしいものを見ることもなく、眼を閉じたままで実現できる眼の訓練をいう。ただし、ヘッドフォンタイプに比べて非常に高価な装置となる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、眼を閉じた状態でも装置を使用することができるので、裸眼で至近距離に焦点を合わせることができないような老眼の方や遠視の方でも、「目標をはっきりと視認することができなくてイライラする、目標を追いかけるのがつらい。」といった不快感を覚えることなく、眼鏡などの補助器具を使用しなくても、移動する目標に向かって視点を追従させることができるようになる。訓練者は、音が発せられていると認識できた位置を見ようとするだけで眼筋が働かされるので、実際に目標体を見なければならない従来技術とは異なり訓練者の負担が軽く、毎日無理なくトレーニングを続けることができるようになる。目標を実際に視認する方式の従来装置では、スクリーン方式、モニター方式、ゴーグル方式などのいずれにおいても視角は最大開き角度で60度程度であるが、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォンを利用した本発明や、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのスピーカー群を、両耳を取り囲むように配置したソファータイプの椅子装置を利用した本発明によれば、視野の限界から限界までの視点の移動訓練を一般家庭で行うことができるようになる。そのような訓練は、従来のような、目標を実際に視認する方式の眼の訓練器具ではとうていできるものではない。広範囲におよぶ視点の移動訓練は、日常ではほとんど行われないような限界に近い大きな眼球運動を伴うので、結果として老眼の方の眼筋の衰えを短期間で回復させ、眼筋の老化を遅らせることが可能となり、スポーツ選手の眼筋をより激しく鍛えて動体視力を向上させることができるようになる。また本発明によれば眼は閉じたままでも良いので、訓練に集中しても眼球の表面が乾くことはなく、ある程度長時間におよぶ訓練をおこなったとしても、眼が乾いてしまって痛くなるなどという、いわゆるドライアイ症状に陥る心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の構成を示す略式構成図。
【図2】発明の構成を示す略式構成図。
【図3】発明の構成を示す略式構成図。
【図4】発明の構成を示す略式構成図。
【図5】発明の構成を示す略式構成図。
【符号の説明】
1 音源 2〜8 音源1の停止位置 9 装置の中心点
10 訓練者 11〜19 音源 20 ヘッドフォン
21 訓練者 22〜30 音源 31 訓練者
32 疑似スクリーン 33 飛行コース 34 飛行コース
35 訓練者 36〜39 音源 40 水平円周軌道
41 正面中央点
【発明が属する技術分野】
本発明は、移動する目標に向かって視点を追従させることにより眼筋を積極的に働かせて衰えた筋力を回復させたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることを目的とした眼のトレーニング装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来広く一般的に知られた眼筋トレーニング装置を使用する場合には、必ず目標となる何かを視認することを訓練者が要求されていた。特別な装置を必要としない訓練方法としては、体の前で片腕を回し、その移動する指先を眼で追うトレーニング法が良く知られており、効果の高いことも知られている。しかしその方法によると、少なくとも腕を回転することができる空間が必要であり、また実際にやってみると周囲の風景や部屋の内部風景がぐるぐると一緒に回って見えてしまうので、わずか数分間のトレーニングでも終了時にはめまいを覚え、平衡感覚の衰えた高年齢の方が屋外で起立した姿勢でそれを実行するのは転倒の恐れもあり危険でもあった。
【0003】
そこで過去において、スクリーンやモニターに、目標体となる動く映像や動く光点や点滅する光点を映し出したり、複数の発光ダイオードを大きな基板に配置して順次点滅させたりして、そのような目標体を眼で追わせるタイプのトレーニング装置が数多く開発された。また、それら大型のトレーニング装置とは別に、点滅する複数の発光ダイオードを小さな基板に配置して、顔に装着するゴーグルの内部に納めた小型のトレーニング装置も開発されており、いくつかの製品が市販もされている。それらゴーグルタイプのトレーニング装置によれば、広い空間も必要なく、腕を回したりして疲れることもなく、椅子に座ったままでもベッドに寝たままでもトレーニングが行えるので、めまいを覚えて倒れるなどの危険性もなく安全性も向上した。しかし、スクリーンやモニターやゴーグルなどを利用したタイプのトレーニング装置はいずれも映像や発光ダイオードなどの光点を、実際に眼で追わせるものばかりであった。特にゴーグルタイプのトレーニング装置にあっては、小型で扱いやすい利点がある一方で、近視の方ならば至近距離の映像や光点をはっきりと視認することができるのであろうが、遠視の方、または若かった頃に遠くがよく見えた方で老眼になられた方などでは、至近距離の映像や光点をはっきりと視認することはほとんどできず、眼鏡の使用を強いられたり、あるいは日常生活用に使用している眼鏡レベルでは至近距離の目標をはっきりと視認することができなかったりするので、トレーニング自体がとてもつらいものとなり、たとえ3分でも毎日続ける、というような基本的なことができなくなってしまう欠点もあった。また、映像や光点や文字や記号などの具体的な目標体をハッキリ見ようと意識を集中して訓練を行う公知の技術では、訓練期間中のまばたきの回数は極端に少なくなってしまい、ドライアイ状態になってしまうなど、過酷な訓練となりやすい欠点があった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に人は30歳代に入ると老眼になりはじめ、40歳代に入ると老眼の進行は加速される。これは肉体的な老化に伴うものなので、一部例外的に視力がほとんど変化しない人を除いて、大半の人は老眼となってゆく。近視の人は、老眼になっても近くのものを見ることができるのが一般的であるが、若いときに視力が1.5〜2.0もあったような人が老眼になると、たいていの場合、目からの距離が20cm以内の至近距離に焦点を合わせることはほとんどできず、市販薬の外箱に印刷されているような説明書の小さな文字などを読むことはほぼ不可能となってしまう。本発明は、裸眼で至近距離に焦点を合わせることができないような老眼の方や遠視の方でも、「目標をはっきりと視認することができなくてイライラする、目標を追いかけるのがつらい。」といった不快感を覚えることなく、眼を閉じたままでも、移動する音や、移動するかのようにつぎつぎと位置や方向を変えて発現する音に向かって視点を追従させることにより眼筋を積極的に働かせて衰えた筋力を回復させたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることができる眼のトレーニング装置を得ることを課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
具体的な目標体を追いかけるように見ることで眼のトレーニングを行なおうとすると、近くの目標体を見なければならないゴーグルタイプのような装置では遠視の方や遠視のような症状になった老眼の方には裸眼のままでは見えにくく、ある程度遠くの目標体を見なければならないスクリーンタイプのような装置では近視の方には裸眼のままでは見えにくい、というような問題がどうしても発生してしまい、また、集中的な訓練を行なうとどうしても眼を開け続けることになるのでドライアイ状態に陥る危険性もあった。そこで出願人は、特願2002−128083にて示すようなトレーニングアイマスクを発明した。出願人の発明によるトレーニングアイマスクは、顔面の皮膚にピンポイント的な刺激を与え、その刺激位置に視点を移動させることで眼筋を働かせ、高齢化や慢性的な訓練不足によって衰えた筋力を回復させたり、スポーツ選手の眼筋を鍛えて動体視力を向上させたりすることができる装置である。具体的な目標体を追いかけるように見るのではなく、皮膚に与えられた直接的な刺激に視点を合わせる装置なので、眼を閉じたままでも眼球を動かす訓練を行なうができ、ある程度長時間にわたって集中的に訓練を行なったとしても、ドライアイ状態に陥ることを防ぐことができる発明である。今回出願する発明も、具体的な目標体を追いかけるように見る装置ではなく、音に視点を合わせることを特徴とする装置なので、やはり眼を閉じたままでも眼球を動かす訓練を行なうができる。具体的には、前記各請求項に記載された手段によって課題は達成されるのであるが、特に、視点の目標位置や目標方向を決定させる音源位置を、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォンにより訓練者に認識させ、訓練者の標準的な視野範囲内かあるいは標準的な視野範囲をわずかに超えた範囲内で擬似的につぎつぎと位置や方向を変えて発現する音に訓練者の視点を追従させるようにした装置によることが望ましい。
【0006】
【発明の実施の形態】
具体的な実施形態を、発明の構成を示す略式説明図にて示す。はじめに音源がひとつの場合について図1にて説明する。訓練者はトレーニング装置より50センチメートルほど離れた位置に立っている。装置の中心点9を中心に回転する支柱の先端に音源1を設けたものが、音源がひとつであるトレーニング装置のおよその基本構成となる。中心点9を中心とした回転機構部を有する装置、その装置を支える目的の脚あるいは装置を壁などに掛ける目的のフック、回転機構部に連結し音源1を支持する支柱、音の信号をスピーカーに出力する音源装置、回転する支柱を定められた位置に停止させるコントローラー、支柱が停止した位置で音を発生させるようにするコントローラー、および電源やコード類については、本発明の主体を説明するのに図示する必要がないので図示しない。訓練者は眼を閉じて正面を向き、顔を動かさず、音源が音を発生させたときに、認識した音の位置をにらむように眼球を動かすことを訓練の基本とする。訓練者は眼を開けていてもかまわないが、ドライアイ状態に陥らないように眼は閉じている方がよい。眼を閉じることにより、装置本体や装置周囲の様子などのような訓練に必要ではない余分な情報が入ってくるのを防ぐことができるので、精神的にも訓練に集中することができる。トレーニング装置が作動すると、音源1は例えば反時計回りの方向に移動し、2,3,4,5,6,7,8の位置で一時停止をしてその都度に音を発生させる。訓練者は聴力において異常がないかぎり、眼を閉じたままでも十分に音源1の位置を認識することができるので、音源1が移動して行くとおりに視点を追従させることにより眼球を動かす訓練をすることができる。音源1が1回だけ音を発生させた後に2,3,4の位置を通過して移動し、5の位置で停止して1回だけ音を発生させた場合には、視点は真上から真下に垂直移動する。同様に、3と7の位置で音を発生させれば視点は左から右に水平移動する。また同様に、8と4の位置で音を発生させれば視点は右上から左下に斜め移動する。このように音を発生させる位置を変化させることにより、視点を垂直や水平や斜め方向に移動させることができ、眼筋を積極的に動かす訓練を行うことができる。勿論、音源1が一時停止をすることなく音を出しながら回り続けている装置にして、音源1が移動して行くとおりに視点を追従させることにより連続的に眼球を動かす訓練をすることができるのは言うまでもない。また、モノレールのような基本構造を用いて、略円周状や8の字状あるいは最も簡単な直線状などの軌道を設けた装置にして、音源が軌道に沿って移動して行くとおりに視点を追従させることにより眼球を動かす訓練をすることもできる。次に、音源が2以上である場合について図2にて説明する。訓練者10はトレーニング装置より50センチメートルほど離れた位置に立っている。訓練者10の中心視線上に設けられた音源11を中心にその他に、外周部に12から19までの音源を配置したものが、音源が2以上であるトレーニング装置のおよその基本構成となる。装置を支える目的の脚あるいは装置を壁などに掛ける目的のフック、音の信号をスピーカーに出力する音源装置、各音源がプログラムされた位置で音を発生させるようにするコントローラー、および電源やコード類については、本発明の主体を説明するのに図示する必要がないので図示しない。11から19までの9個の音源は装置に固定されている。基本としては、各音源はひとつずつ時間差をつけて音を発生させるようにコントロールされており、2以上の音源を同時に作動させることはしない。ただし特殊な訓練として、離れた位置関係にある2個の音源を同時に作動させ、そのふたつの位置を認識できた場合に、各位置に向けて視点を順次移動させるという訓練を行うこともできる。この訓練は音源がひとつである場合に比べて特別な集中力を必要とするので、集中力を向上させる訓練としては適している。訓練者10は眼を閉じて正面を向き、顔を動かさず、音源が音を発生させたときに、認識した音の位置をにらむように眼球を動かすことを訓練の基本とする。音源12が1回だけ音を発生させた後に音源16が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は真上から真下に垂直移動する。同様に、音源14が1回だけ音を発生させた後に音源18が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は左から右に水平移動する。また同様に、音源19が1回だけ音を発生させた後に音源15が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は右上から左下に斜め移動する。このように音を発生させる位置を変化させることにより、視点を垂直や水平や斜め方向に移動させることができ、眼筋を積極的に動かす訓練を行うことができる。勿論、発生させる音の回数はひとつの位置ごとに2回でも良く、2回の方が1回の時よりも、指示されたポイントを確実に意識してにらみつけるような眼球の動きとなるので、眼筋の負荷は大きくなり、訓練の効果も大きくなる。
【0007】
【発明の実施例】
以下、本発明を最も効果的に具現化する実施例を具体的に説明する。図3は、本発明に係る眼のトレーニング装置の実施例を頭部に装着した状態を説明する略式説明図である。
【0008】
図3のように、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォン20を用いる方法によれば、訓練者21の周囲空間に擬似的な音源を最適な位置に自由に配置することができる。
【0009】
前述したような、音源を移動させたり、固定された複数の音源を用いたりする方法による訓練では、大きな装置と広い空間が必要であり、なおかつ訓練者は指定された位置から動くことも顔を動かすことも許されなかったが、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォン20を用いる方法によれば、訓練者21が訓練中に顔を動かしたりしても、擬似的に構成された音響空間は動いた顔の方向に追従するので、訓練に支障をきたすことはない。立った姿勢でも、椅子に座った姿勢でも、寝た状態で上を向いた姿勢でも、横を向いた姿勢でも、下を向いた姿勢でも、常に擬似的に構成された音響空間は動いた顔の方向に追従するので、非常にリラックスした状態で訓練を行うことができる。
【0010】
立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォン20としては、特開平5−336599に示されるような、仮想現実視聴覚装置を用いることができる。
【0011】
図3に示すように、訓練者21は眼を閉じた状態であまり顔を動かさず、空間に配置された疑似音源が音を発したときに、認識した音の位置をにらむように眼球を動かすことを訓練の基本とする。訓練者21は眼を開けていてもかまわないが、ドライアイ状態に陥らないように眼は閉じている方がよい。眼を閉じることにより、周囲の様子などのような、訓練に必要ではない余分な情報が脳に入ってくるのを防ぐことができるので、精神的にも落ち着いて訓練に集中することができる。
【0012】
ヘッドフォン20には、電源となる乾電池、電源をONしたりOFFしたりするためのスイッチ、音を発生させるスピーカー、スピーカーを駆動させるアンプ、仮想空間を創り出すためのプログラムと訓練モードごとに疑似音源位置を決定させるプログラムが組み込まれたコンピュータ装置、訓練のモードを切り替えるためのスイッチ、外部機器からの信号を取り入れるための入力端子や赤外線受信装置などが組み込まれている。そのように、すべての機器を内蔵とすることによれば、いつでもどこでも好きな時に使うことができ、使い勝手の良い訓練装置となる。
【0013】
ヘッドフォン20を軽量化するために、音を発生させるスピーカーと信号を受信する装置とヘッドフォン20を機能させるのに必要な最低限の電源装置以外の装置をすべて外部機器に集中させても良い。外部機器とヘッドフォン20との信号のやりとりに赤外線装置を利用すれば、コードレス状態になり、軽量で非常に使用感の良い訓練装置となる。
【0014】
図3では、疑似空間の正面に音源22を配置し、訓練者21の通常視野の限界と思われる周辺部に音源23〜30を、円周を8等分した位置をイメージさせるように配置した、音源が9個の例が示されている。
【0015】
音源23が1回だけ音を発生させた後に音源27が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は真上から真下に垂直移動する。同様に、音源25が1回だけ音を発生させた後に音源29が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は左から右に水平移動する。また同様に、音源30が1回だけ音を発生させた後に音源26が作動して1回だけ音を発生させた場合には、視点は右上から左下に斜め移動する。このように音を発生させる位置を変化させることにより、視点を垂直や水平や斜め方向に移動させることができ、眼筋を積極的に動かす訓練を行うことができる。勿論、発生させる音の回数はひとつの位置ごとに2回でも良く、2回の方が1回の時よりも、指示されたポイントを確実に意識してにらみつけるような眼球の動きとなるので、眼筋の負荷は大きくなり、訓練の効果も大きくなる。
【0016】
図4では、訓練者31は眼を閉じた状態で、疑似空間の正面に配置されたスクリーン32の中心を見るようにスクリーンより50センチメートルほど離れた位置に立っている。訓練者31がトレーニングに対する興味を失わないように、音の種類を、蜂が飛んでいるような音にして、スクリーン32のような平面的な空間の中を8の字状の飛行コース33に沿って蜂の音を移動させ、蜂の姿を想像させながら訓練者31の視点を蜂の動きに追従させる。蜂の飛行コースを34のように、より大きな8の字状にして移動スピードも速くすれば、スピーディで大きな眼球の動きが要求され、訓練の効果も大きくなる。
【0017】
図5では、訓練者35は球形の疑似空間の中央に頭部を位置させて立っている。音の種類は、断続するビープ音にして疑似空間内での音源位置を認識しやすくする。正常な視機能を持った人の左右方向の視野の限界は、180度に開いた位置にある音源36と音源37よりも少し後方の音源38と音源39あたりである。音源38と音源39とで示される、左右方向に関する視野の限界の開き角度は210度程度と言われている。たとえば視点を移動させる目標となる音は、音源38の位置をスタート点として音源36の位置を通り、水平円周軌道40に沿って正面中央点41を通り、音源37の位置を通って終点音源39の位置まで動く。はじめに水平円周軌道上にある音源38の位置から音源39の位置に達する円弧状の視点の移動訓練コースを例としてあげたが、視点の移動訓練コースである円弧が存在する平面の角度をプログラムによって傾けてやれば、視点を斜め方向に移動させることができる。さらには視点の移動訓練コースである円弧が存在する平面の角度を90度回転し垂直にしてやれば、視点を上下方向に移動させることができる。このような視野の限界を超えるかのような半球状のスクリーンやモニターは通常は個人的には所有することはできないので、いま述べたような、視野の限界から限界までの視点の移動訓練を一般家庭で行うことは従来は不可能であったが、本発明によれば、それが可能になる。ヘッドフォンを利用する代わりに、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのスピーカー群を、両耳を取り囲むように配置したソファータイプの椅子装置に訓練者を座らせることによれば、ゆったりと座っているだけで最高の訓練を受けることができる。最高の訓練とは、ゴーグルのようなわずらわしいものを顔面に装着することもなく、ヘッドフォンのような耳を圧迫するようなものを装着することもなく、動く映像や点滅する光点などのわずらわしいものを見ることもなく、眼を閉じたままで実現できる眼の訓練をいう。ただし、ヘッドフォンタイプに比べて非常に高価な装置となる。
【0018】
【発明の効果】
本発明によれば、眼を閉じた状態でも装置を使用することができるので、裸眼で至近距離に焦点を合わせることができないような老眼の方や遠視の方でも、「目標をはっきりと視認することができなくてイライラする、目標を追いかけるのがつらい。」といった不快感を覚えることなく、眼鏡などの補助器具を使用しなくても、移動する目標に向かって視点を追従させることができるようになる。訓練者は、音が発せられていると認識できた位置を見ようとするだけで眼筋が働かされるので、実際に目標体を見なければならない従来技術とは異なり訓練者の負担が軽く、毎日無理なくトレーニングを続けることができるようになる。目標を実際に視認する方式の従来装置では、スクリーン方式、モニター方式、ゴーグル方式などのいずれにおいても視角は最大開き角度で60度程度であるが、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォンを利用した本発明や、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのスピーカー群を、両耳を取り囲むように配置したソファータイプの椅子装置を利用した本発明によれば、視野の限界から限界までの視点の移動訓練を一般家庭で行うことができるようになる。そのような訓練は、従来のような、目標を実際に視認する方式の眼の訓練器具ではとうていできるものではない。広範囲におよぶ視点の移動訓練は、日常ではほとんど行われないような限界に近い大きな眼球運動を伴うので、結果として老眼の方の眼筋の衰えを短期間で回復させ、眼筋の老化を遅らせることが可能となり、スポーツ選手の眼筋をより激しく鍛えて動体視力を向上させることができるようになる。また本発明によれば眼は閉じたままでも良いので、訓練に集中しても眼球の表面が乾くことはなく、ある程度長時間におよぶ訓練をおこなったとしても、眼が乾いてしまって痛くなるなどという、いわゆるドライアイ症状に陥る心配もない。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の構成を示す略式構成図。
【図2】発明の構成を示す略式構成図。
【図3】発明の構成を示す略式構成図。
【図4】発明の構成を示す略式構成図。
【図5】発明の構成を示す略式構成図。
【符号の説明】
1 音源 2〜8 音源1の停止位置 9 装置の中心点
10 訓練者 11〜19 音源 20 ヘッドフォン
21 訓練者 22〜30 音源 31 訓練者
32 疑似スクリーン 33 飛行コース 34 飛行コース
35 訓練者 36〜39 音源 40 水平円周軌道
41 正面中央点
Claims (5)
- 視点の目標位置や目標方向を決定させる目標体が音である眼のトレーニング装置であって、訓練者の視点を音に追従させることにより、眼を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができることを特徴とする眼のトレーニング装置。
- 視点の目標位置や方向を決定させる目標体となるひとつの音源を、訓練者の標準的な視野範囲内かあるいは標準的な視野範囲をわずかに超えた範囲内で移動させ、訓練者の視点を音源が発生させた音に追従させることにより、眼を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができることを特徴とする請求項1記載の眼のトレーニング装置。
- 視点の目標位置や目標方向を決定させる目標体となる2以上の音源を、訓練者の標準的な視野範囲内かあるいは標準的な視野範囲をわずかに超えた範囲内に配置し、配置された音源を1カ所ずつ作動させて音を発生させ、訓練者の視点を音に追従させることにより、眼を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができることを特徴とする請求項1記載の眼のトレーニング装置。
- 視点の目標位置や目標方向を決定させる音源位置を、立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのヘッドフォンにより訓練者に認識させ、訓練者の標準的な視野範囲内かあるいは標準的な視野範囲をわずかに超えた範囲内で擬似的につぎつぎと位置や方向を変えて発現する音に訓練者の視点を追従させることにより、眼を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができることを特徴とする請求項1記載の眼のトレーニング装置。
- 立体音響を合成する機能を有するサラウンドタイプのスピーカー群を、両耳を取り囲むように配置した椅子装置に訓練者を座らせることにより、視点の目標位置や目標方向を決定させる音源位置を、訓練者に認識させ、訓練者の標準的な視野範囲内かあるいは標準的な視野範囲をわずかに超えた範囲内で擬似的につぎつぎと位置や方向を変えて発現する音に訓練者の視点を追従させることにより、眼を開けて目標体を具体的に視認することを必要とせずに眼筋運動を行うことができることを特徴とする請求項1記載の眼のトレーニング装置。
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JP2002369140A JP2004195038A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 音を利用した眼のトレーニング装置 |
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JP2002369140A JP2004195038A (ja) | 2002-12-20 | 2002-12-20 | 音を利用した眼のトレーニング装置 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN109938976A (zh) * | 2019-03-29 | 2019-06-28 | 杭州艾斯凯尔科技有限公司 | 利用图像技术和云端控制技术的眼肌训练方法 |
CN111888618A (zh) * | 2020-07-16 | 2020-11-06 | 董晓龙 | 一种追视训练器和追视训练方法 |
CN113288739A (zh) * | 2021-05-26 | 2021-08-24 | 重庆医科大学附属儿童医院 | 一种眼睛保健运动的辅助器 |
-
2002
- 2002-12-20 JP JP2002369140A patent/JP2004195038A/ja active Pending
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