JP2004194612A - ゴキブリのミトコンドリアdna16sリボソームrna遺伝子塩基配列およびゴキブリの種を同定する方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】ゴキブリについて客観的な判別および分類方法を確立すること。
【解決手段】ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の種類別塩基配列とそれらの比較による分類方法。
【解決手段】ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の種類別塩基配列とそれらの比較による分類方法。
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明はゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子塩基配列とそれを利用した分類方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年消費者の食品の品質に対する目は非常に厳しいものになってきている。加工食品にわずか1、2匹の昆虫や昆虫の破片が混入しているだけでも、消費者に不快感を与え、異物クレームがつけられ、食品メーカーには商品価値の喪失と、メーカー・製品に対するイメージダウンという経済被害がもたらされる。最近では、昆虫等の混入により製品の回収という事態もたびたび見られ、その損害額は計り知れないものがある。
当然そのような異物の混入防止に全力を挙げることが第一であるが、万が一混入が起こったときには、消費者や流通関係者への迅速な説明が必要であり、そのためには異物の同定能力を高めることが必要となる。
【0003】
従来からの異物昆虫の検査は形態観察により行われてきた。しかし、脚や翅など昆虫の体の一部のみが混入した場合には、専門家でない限り形態観察での同定は困難であると考えられる。
【0004】
一方近年の分子生物学の進歩は、生物の分類系統学における方法に大きな影響を与えてきた。すなわちこれまでの形態的な分類だけではなく、特定の遺伝子に注目して、目的の生物の塩基配列を比較すると、その遺伝子の相同性より進化過程を推定し、系統分類することが可能となったのである。
【0005】
生物種による遺伝子はタンパク質をコードする遺伝子で驚くほど保存されている。一方、他の多くの遺伝子では生物の進化に従って変化し、もはや起源が同じであるかさえ不明になる場合がある。したがって、対象とする生物に応じて適切な遺伝子領域を選ぶことによって、かなりかけ離れた生物間の分類・同定から、非常に近縁の生物間の分類・同定まで可能となると考えられる。このような分類・同定に最も一般的に利用される遺伝子として、ゲノムDNAのリボソームRNA遺伝子やミトコンドリアDNA内の遺伝子等が数多く報告されている。
【0006】
ミトコンドリアDNAは、ミトコンドリアのマトリックス中に存在する環状二本鎖のDNAである。高等動物ではほぼ16,600塩基対であり、昆虫のミトコンドリアDNAには、2種類のリボソームRNA遺伝子と22種類のトランスファーRNA遺伝子、13種類のタンパク質をコードした遺伝子が存在している。
【0007】
これまで、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子塩基配列はいくつか報告されてきた。しかし、国内で異物混入する可能性のあるゴキブリであるチャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリについては未報告である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、国内で異物混入する可能性のあるゴキブリの内、ミトコンドリアDNA16SリボゾームRNA遺伝子塩基配列が未報告のゴキブリに関して、それらの塩基配列の一部を提供し、ゴキブリの客観的鑑別方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決すべく、本願発明者は、ゴキブリを専門に研究している複数の研究機関より、チャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリを貰い受け、それぞれのミトコンドリアDNAリボソームRNA遺伝子の一部、すなわちショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の領域約380bpの塩基配列を決定した。その結果、当該配列において相互鑑別に用いることができる程度の相違を見出し、これに基づいて本発明を完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明の塩基配列の第1の態様は、配列表のID No:1で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述したミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0011】
本発明の塩基配列の第2の態様は、配列表のID No:2で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述した16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0012】
本発明の塩基配列の第3の態様は、配列表のID No:3で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述した16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0013】
本発明の塩基配列の第4の態様は、配列表のID No:4で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述したリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0014】
本発明の塩基配列の第5の態様は、配列表のIDNo:1からNo:4で示される塩基配列において、1もしくは複数の塩基配列が付加、欠失もしくは置換されていることを特徴とする、上記16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。
【0015】
本発明の方法の第一の態様は、ショウジョウバエ(Drosophila yakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の全部または一部を含む塩基配列を、上記請求項1から請求項4に記載の塩基配列と比較し、その異同により、ゴキブリを分類する方法である。
【0016】
本発明の方法の第二の態様は、上記比較が、上記領域の塩基配列を決定し、その相同性の割合を測定して比較するものであることを特徴とする、ゴキブリを分類する方法である。
【0017】
【発明実施の形態】
本発明に用いたチャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリ、および本実施例に用いたワモンゴキブリ、コワモンゴキブリ、クロゴキブリ、トビイロゴキブリは、ゴキブリを専門に研究している複数の研究機関より貰い受けた。
【0018】
検体からのDNA抽出はSuらの方法(J Mol Evol Vol.42,124-129(1996))を参考にした。各々のゴキブリの脚の付け根の筋肉から数mgの組織を採取した。これに0.2mg/mLproteinase K、0.6%SDS、1mMEDTAを含む10mMTris-HCl(pH8.0)500μLを加えて、50℃で4時間加熱した。加熱後、TE飽和フェノール500μLを加え、遠心し、上清を回収した。回収した上清に等量のフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール溶媒 (25/24/1)を加え、遠心し、上清を回収した。回収した上清に等量のクロロホルム-イソアミルアルコール溶媒(24/1)を加え、遠心し、上清を回収した。上清に1/10量の3M酢酸ナトリウム (pH5.2) 、2.5倍量の 95%エタノール(特級エタノールを滅菌超純水で調製したもの)を加え、遠心後、上清を除去した。あらかじめ冷却しておいた70%エタノール(特級エタノールを滅菌超純水で調製したもの)250μLを加え、遠心後、上清を除去し、真空乾燥後、滅菌超純水50μLを加えた。
【0019】
PCR法によるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの選定および合成については、広範囲の昆虫に関してミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子を増幅するプライマーが報告されており(Kambhampati,S,. Insect Molecular BiologyVol.4,No.4,233-236(1995))、そのプライマーを委託合成した。調製したDNA溶液0.1μgを0.2mLチューブに取り、GeneAmpPCR Regent Kitwith AmpliTaq DNAPolymerase(パーキンエルマー)中のGeneaAmp 10×PCRバッファー10μL、1.25mMdNTP混合物(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)を16μL、5U/μLのAmpliTaq DNAPolymeraseを0.5μL、濃度20mMに調製したプライマーを各々5μL、これに滅菌蒸留水を加えて100μLの溶液にした。PCR反応は、95℃で30秒間、40℃で1分間、72℃で1分間のサイクルを10回繰り返した後、95℃で30秒間、50℃で1分間、72℃で1分間のサイクルを30回繰り返した。PCR反応後、そのPCR産物10μLを3%アガロースゲル(宝酒造)で電気泳動を行った(図1参照)。泳動条件は100V、30分間で、泳動バッファーはエチジウムブロマイド入りTAE(40mMTris-acetate,1mM EDTA,pH8.0)(national diagnosties)を用いた。
【0020】
PCR産物はMicrocon-100 (ミリポア) を用いて精製し、20μLの滅菌超純水を加えDNAの鋳型とした。またシークエンスに用いたプライマーはPCR反応で用いたプライマーと、さらに内在プライマー(Kambhampati,S,.Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.92,2017-2020(1995))を用いた。BigDye TerminatorCycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems)を用いて、96℃で30秒間、50℃で15秒間、60℃で4分間の反応を25サイクル行った。シークエンス産物20μLに95%エタノール50μL、3.0M酢酸ナトリウム(pH4.6)2μLを加え、15分間静置した。遠心後、上清を除去し、あらかじめ冷却した70%エタノール250μL加え、遠心後上清を除去し、真空乾燥後、Genetic Analyzer Buffer(Applied Biosystems)25μLを加えた。塩基配列の決定はABI PRISM 310 Genetic Analyzerを用いて行った。
【0021】
上記の方法により決定した各種のゴキブリの相互間の相同性を遺伝子解析ソフトGenetyx(SoftwareDevelopment Co., LTD.)により計算したところ、78.4%から93.5%であることが判明した(図2参照)。
以上の結果、当該配列において相互鑑別に用いることができる程度の相違を見出し、これに基づいて本発明を完成させたものである。
【0022】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、国内で異物として加工食品に混入する可能性のあるチャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子配列の一部を提供することができ、更に、ゴキブリの種の特定について、客観的鑑別方法を提供することができる。
【0023】
【配列表】
【0024】
【0025】
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に示す各種ゴキブリの電気泳動図である。
レーン1:100bp Ladder(宝酒造)
レーン2:チャバネゴキブリ
レーン3:ワモンゴキブリ
レーン4:コワモンゴキブリ
レーン5:クロゴキブリ
レーン6:トビイロゴキブリ
レーン7:ヤマトゴキブリ
レーン8:トウヨウゴキブリ
レーン9:キョウトゴキブリ
【図2】実施例の各種ゴキブリ相互間の相同性割合
【発明の属する技術分野】
本発明はゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子塩基配列とそれを利用した分類方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年消費者の食品の品質に対する目は非常に厳しいものになってきている。加工食品にわずか1、2匹の昆虫や昆虫の破片が混入しているだけでも、消費者に不快感を与え、異物クレームがつけられ、食品メーカーには商品価値の喪失と、メーカー・製品に対するイメージダウンという経済被害がもたらされる。最近では、昆虫等の混入により製品の回収という事態もたびたび見られ、その損害額は計り知れないものがある。
当然そのような異物の混入防止に全力を挙げることが第一であるが、万が一混入が起こったときには、消費者や流通関係者への迅速な説明が必要であり、そのためには異物の同定能力を高めることが必要となる。
【0003】
従来からの異物昆虫の検査は形態観察により行われてきた。しかし、脚や翅など昆虫の体の一部のみが混入した場合には、専門家でない限り形態観察での同定は困難であると考えられる。
【0004】
一方近年の分子生物学の進歩は、生物の分類系統学における方法に大きな影響を与えてきた。すなわちこれまでの形態的な分類だけではなく、特定の遺伝子に注目して、目的の生物の塩基配列を比較すると、その遺伝子の相同性より進化過程を推定し、系統分類することが可能となったのである。
【0005】
生物種による遺伝子はタンパク質をコードする遺伝子で驚くほど保存されている。一方、他の多くの遺伝子では生物の進化に従って変化し、もはや起源が同じであるかさえ不明になる場合がある。したがって、対象とする生物に応じて適切な遺伝子領域を選ぶことによって、かなりかけ離れた生物間の分類・同定から、非常に近縁の生物間の分類・同定まで可能となると考えられる。このような分類・同定に最も一般的に利用される遺伝子として、ゲノムDNAのリボソームRNA遺伝子やミトコンドリアDNA内の遺伝子等が数多く報告されている。
【0006】
ミトコンドリアDNAは、ミトコンドリアのマトリックス中に存在する環状二本鎖のDNAである。高等動物ではほぼ16,600塩基対であり、昆虫のミトコンドリアDNAには、2種類のリボソームRNA遺伝子と22種類のトランスファーRNA遺伝子、13種類のタンパク質をコードした遺伝子が存在している。
【0007】
これまで、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子塩基配列はいくつか報告されてきた。しかし、国内で異物混入する可能性のあるゴキブリであるチャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリについては未報告である。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、国内で異物混入する可能性のあるゴキブリの内、ミトコンドリアDNA16SリボゾームRNA遺伝子塩基配列が未報告のゴキブリに関して、それらの塩基配列の一部を提供し、ゴキブリの客観的鑑別方法を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
以上のような課題を解決すべく、本願発明者は、ゴキブリを専門に研究している複数の研究機関より、チャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリを貰い受け、それぞれのミトコンドリアDNAリボソームRNA遺伝子の一部、すなわちショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の領域約380bpの塩基配列を決定した。その結果、当該配列において相互鑑別に用いることができる程度の相違を見出し、これに基づいて本発明を完成させたものである。
【0010】
すなわち、本発明の塩基配列の第1の態様は、配列表のID No:1で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述したミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0011】
本発明の塩基配列の第2の態様は、配列表のID No:2で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述した16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0012】
本発明の塩基配列の第3の態様は、配列表のID No:3で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述した16SリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0013】
本発明の塩基配列の第4の態様は、配列表のID No:4で示されるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。上述したリボソームRNA遺伝子塩基配列の一部は、ショウジョウバエ(Drosophilayakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する。
【0014】
本発明の塩基配列の第5の態様は、配列表のIDNo:1からNo:4で示される塩基配列において、1もしくは複数の塩基配列が付加、欠失もしくは置換されていることを特徴とする、上記16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列である。
【0015】
本発明の方法の第一の態様は、ショウジョウバエ(Drosophila yakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の全部または一部を含む塩基配列を、上記請求項1から請求項4に記載の塩基配列と比較し、その異同により、ゴキブリを分類する方法である。
【0016】
本発明の方法の第二の態様は、上記比較が、上記領域の塩基配列を決定し、その相同性の割合を測定して比較するものであることを特徴とする、ゴキブリを分類する方法である。
【0017】
【発明実施の形態】
本発明に用いたチャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリ、および本実施例に用いたワモンゴキブリ、コワモンゴキブリ、クロゴキブリ、トビイロゴキブリは、ゴキブリを専門に研究している複数の研究機関より貰い受けた。
【0018】
検体からのDNA抽出はSuらの方法(J Mol Evol Vol.42,124-129(1996))を参考にした。各々のゴキブリの脚の付け根の筋肉から数mgの組織を採取した。これに0.2mg/mLproteinase K、0.6%SDS、1mMEDTAを含む10mMTris-HCl(pH8.0)500μLを加えて、50℃で4時間加熱した。加熱後、TE飽和フェノール500μLを加え、遠心し、上清を回収した。回収した上清に等量のフェノール−クロロホルム−イソアミルアルコール溶媒 (25/24/1)を加え、遠心し、上清を回収した。回収した上清に等量のクロロホルム-イソアミルアルコール溶媒(24/1)を加え、遠心し、上清を回収した。上清に1/10量の3M酢酸ナトリウム (pH5.2) 、2.5倍量の 95%エタノール(特級エタノールを滅菌超純水で調製したもの)を加え、遠心後、上清を除去した。あらかじめ冷却しておいた70%エタノール(特級エタノールを滅菌超純水で調製したもの)250μLを加え、遠心後、上清を除去し、真空乾燥後、滅菌超純水50μLを加えた。
【0019】
PCR法によるミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの選定および合成については、広範囲の昆虫に関してミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子を増幅するプライマーが報告されており(Kambhampati,S,. Insect Molecular BiologyVol.4,No.4,233-236(1995))、そのプライマーを委託合成した。調製したDNA溶液0.1μgを0.2mLチューブに取り、GeneAmpPCR Regent Kitwith AmpliTaq DNAPolymerase(パーキンエルマー)中のGeneaAmp 10×PCRバッファー10μL、1.25mMdNTP混合物(dATP,dGTP,dCTP,dTTP)を16μL、5U/μLのAmpliTaq DNAPolymeraseを0.5μL、濃度20mMに調製したプライマーを各々5μL、これに滅菌蒸留水を加えて100μLの溶液にした。PCR反応は、95℃で30秒間、40℃で1分間、72℃で1分間のサイクルを10回繰り返した後、95℃で30秒間、50℃で1分間、72℃で1分間のサイクルを30回繰り返した。PCR反応後、そのPCR産物10μLを3%アガロースゲル(宝酒造)で電気泳動を行った(図1参照)。泳動条件は100V、30分間で、泳動バッファーはエチジウムブロマイド入りTAE(40mMTris-acetate,1mM EDTA,pH8.0)(national diagnosties)を用いた。
【0020】
PCR産物はMicrocon-100 (ミリポア) を用いて精製し、20μLの滅菌超純水を加えDNAの鋳型とした。またシークエンスに用いたプライマーはPCR反応で用いたプライマーと、さらに内在プライマー(Kambhampati,S,.Proc.Natl.Acad.Sci.USA Vol.92,2017-2020(1995))を用いた。BigDye TerminatorCycle Sequencing FS Ready Reaction Kit(Applied Biosystems)を用いて、96℃で30秒間、50℃で15秒間、60℃で4分間の反応を25サイクル行った。シークエンス産物20μLに95%エタノール50μL、3.0M酢酸ナトリウム(pH4.6)2μLを加え、15分間静置した。遠心後、上清を除去し、あらかじめ冷却した70%エタノール250μL加え、遠心後上清を除去し、真空乾燥後、Genetic Analyzer Buffer(Applied Biosystems)25μLを加えた。塩基配列の決定はABI PRISM 310 Genetic Analyzerを用いて行った。
【0021】
上記の方法により決定した各種のゴキブリの相互間の相同性を遺伝子解析ソフトGenetyx(SoftwareDevelopment Co., LTD.)により計算したところ、78.4%から93.5%であることが判明した(図2参照)。
以上の結果、当該配列において相互鑑別に用いることができる程度の相違を見出し、これに基づいて本発明を完成させたものである。
【0022】
【発明の効果】
上述したように、この発明によると、国内で異物として加工食品に混入する可能性のあるチャバネゴキブリ、キョウトゴキブリ、ヤマトゴキブリ、トウヨウゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子配列の一部を提供することができ、更に、ゴキブリの種の特定について、客観的鑑別方法を提供することができる。
【0023】
【配列表】
【0024】
【0025】
【0026】
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に示す各種ゴキブリの電気泳動図である。
レーン1:100bp Ladder(宝酒造)
レーン2:チャバネゴキブリ
レーン3:ワモンゴキブリ
レーン4:コワモンゴキブリ
レーン5:クロゴキブリ
レーン6:トビイロゴキブリ
レーン7:ヤマトゴキブリ
レーン8:トウヨウゴキブリ
レーン9:キョウトゴキブリ
【図2】実施例の各種ゴキブリ相互間の相同性割合
Claims (7)
- 配列表のID No:1で示されるチャバネゴキブリ(Blattellagermanica)のミトコンドリアリDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列。
- 配列表のID No:2で示されるキョウトゴキブリ(Asiablattakyotensis)のミトコンドリアリDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列。
- 配列表のID No:3で示されるヤマトゴキブリ(Periplanetajaponica)のミトコンドリアリDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列。
- 配列表のID No:4で示されるトウヨウゴキブリ(Blattaorientalis)のミトコンドリアリDNA16SリボソームRNA遺伝子の一部である塩基配列。
- 配列表のID No:1からNo:4で示される塩基配列において、1もしくは複数の塩基配列が付加、欠失もしくは置換されていることを特徴とする塩基配列。
- ショウジョウバエ(Drosophila yakuba)のミトコンドリアDNAにおいて13018番目の塩基から13397番目の塩基の領域に相当する、ゴキブリのミトコンドリアDNA16SリボソームRNA遺伝子の領域の全部または一部を含む塩基配列を、上記請求項1から請求項4に記載の塩基配列と比較し、その異同により分類することを特徴とする、ゴキブリの分類方法。
- 上記分類方法において、上記比較が上記領域の塩基配列を決定し、その相同性の割合を測定して比較するものであることを特徴とする、請求項6に記載の方法。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8863513B2 (en) | 2010-03-18 | 2014-10-21 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Centrifugal compressor and turbo supercharger |
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2002
- 2002-12-20 JP JP2002369604A patent/JP2004194612A/ja active Pending
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
US8863513B2 (en) | 2010-03-18 | 2014-10-21 | Toyota Jidosha Kabushiki Kaisha | Centrifugal compressor and turbo supercharger |
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