JP2004194514A - ペット嗜好性製剤 - Google Patents

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建彦 鈴木
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勲 森野
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Abstract

【課題】従来のペットに経口投与させる医薬品等においては、該医薬品等をペットが自ら好んで摂食するようにさせ、予定した適切な量の医薬品等を与えることができるようにすると共に、前記医薬品等の種類も適宜選択して簡単に投与できるようにすること。
【解決手段】本発明は、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化した後に、その製剤の表面に動物が好む香料をコーティングしたペット嗜好性製剤であり、該ペット嗜好性製剤が動物の好む肉風味または魚風味の香り及び/または味であるため、ペットが自ら好んで摂食するので、医薬品及び/または栄養補助食品をペットに経口投与させることが簡単である。また、ペットフードと前記ペット嗜好性製剤とが別体であるため、該ペット嗜好性製剤を前記ペットフードに投与したい量または種類を適宜に選択して混合させることができ、必要なときに、必要な量の医薬品及び/または栄養補助食品を与えることができる。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば、犬または猫等のペット(動物)に経口投与する医薬品及び/または栄養補助食品(栄養剤などを含む)の製剤化に際し、動物の好む香りまたは味をコーティングすることにより、ペットに自ら摂食させるようにするペット嗜好性製剤に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
医薬品等を収納したカプセル等を犬または猫等のペットに経口投与する場合、ペットが前記医薬品等の臭いを察知してしまい、ペットに自ら摂食させることは困難である。
【0003】
そのため、ペットに医薬品等を確実に経口投与させる場合には、一般的に、ペットの口を強制的に押し広げさせ、その開かれた口の奥の方に前記医薬品等を収納したカプセル等を挿入することによって投与する方法が採られている。
【0004】
このペットの口を強制的に押し広げさせて経口投与させる方法は、ペットに強制的に医薬品等を投与することに慣れていない人にとっては容易に行うことができず、更に、ペットの口を強制的に押し広げて医薬品等を投与することにより、ペットにストレスが生じ、ペットを怒らせて事故につながる危険性がある。
【0005】
そこで、ペットに与える飼料ペレットの内、外に飼料添加物を充填したソフトカプセルを一体的に共存させたカプセルを有するペットフードの技術がある(特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1の公知技術においては、飼料ペレットの内、外にソフトカプセルを共存させる方法としては、飼料ペレットにソフトカプセルを混合したものを押し出し成形する、または、飼料ペレットを押し出し成形し、その表面に粘着剤を介してソフトカプセルを付着させるものである。
【0007】
また、粉末状にした乾燥食品や乳製品に、若干の澱粉や小麦粉、水を加えて練って製造した動物に投与する薬剤を包むためのオブラートの技術がある(特許文献2参照)。
【0008】
この特許文献2の公知技術においては、乾燥食品や乳製品を混合させたオブラートを用い、その乾燥食品や乳製品の臭いに紛れさせることにより、あまり苦心することなく、動物に薬剤を投与できるというものである。
【0009】
【特許文献1】
特開平7−322829号公報(第2頁、図1)
【特許文献2】
特開2000−342658号公報(第2頁)
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1の公知技術においては、前記飼料ペレットの内、外にソフトカプセルを共存させたペットフードは、飼料添加物が単独の状態でなく、飼料ペレットに混合された状態であるため、飼料ペレットを押し出し成形し、該押し出された飼料ペレットを切断する際に、ソフトカプセルの一部が切断または破壊されることにより、該ソフトカプセルの内部に収納された動物が好まない飼料添加物が放出されることがあり、かかる場合には、ペットの摂食率が低下することがある。
【0011】
また、前記飼料添加物がペットフードに含まれているため、基本となるペットフードが、その動物の個性的な好みに合わない場合には摂食率が低下することになり、それによって予定した適切な量の飼料添加物をペットに与えることが困難になるという問題点を有する。
【0012】
前記特許文献2の公知技術においては、乾燥食品や乳製品を混合させたオブラートを用いることにより、動物に薬剤を簡単に投与できるものであるが、薬剤を動物に投与する度にオブラートで包まなくてはならず、投与するものにとっては手間がかかり、また、口の中でオブラートが早急に溶けて内容物が露出し、著しいときには吐き出したりして、ペットが拒否するという問題点を有する。
【0013】
従って、従来のペットに経口投与させる医薬品等においては、該医薬品等をペットが自ら好んで摂食するようにさせ、予定した適切な量の医薬品等を与えることができるようにすると共に、前記医薬品等の種類も適宜選択して簡単に投与できるようにすることに解決しなければならない課題を有している。
【0014】
【課題を解決するための手段】
上記した従来例の課題を解決する具体的手段として本発明に係る第1の発明として、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化した後に、その製剤の表面に動物が好む香料をコーティングすることを特徴とするペット嗜好性製剤を提供するものである。
【0015】
この第1の発明において、前記製剤は、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤または丸剤のいずれかの剤形であること;錠剤または丸剤には、医薬品及び/または栄養補助食品に動物が好む香料を吸着させたこと;を付加的な要件として含むものである。
【0016】
また、本発明に係る第2の発明として、動物が好む香料をコーティングしたハードカプセルを用い、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化することを特徴とするペット嗜好性製剤を提供するものである。
【0017】
これら第1、第2の発明において、動物が好む香料が、肉風味または魚風味であること;コーティングが、塗布または噴霧であること;栄養補助食品が、生理活性物質、ビタミン類、ミネラル類、油脂類、アミノ酸類または伝承的民間薬のいずれか一種または二種以上であること;伝承的民間薬が、プロポリス、アガリクス、メシマコブまたはイチョウ葉抽出物の群から選ばれる一種以上を含むこと;を付加的な要件として含むものである。
【0018】
本発明に係るペット嗜好性製剤は、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化した後に、その製剤の表面に動物が好む香料をコーティングすること、または動物が好む香料をコーティングしたハードカプセルを用い、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化することにより、ペット嗜好性製剤が動物の好む香料でコーティングされているため、ペットが自ら好んで摂食するので、医薬品及び/または栄養補助食品をペットに経口投与させることが簡単であり、また、ペットフードとペット嗜好性製剤とが別体であるため、該ペット嗜好性製剤を前記ペットフードに適量を混合させることができるため、必要なときに、必要な量の医薬品及び/または栄養補助食品を与えることができるのである。
【0019】
【発明の実施の形態】
次に、本発明を具体的な実施の形態に基づいて詳しく説明する。
本発明の第1の実施の形態に係るペット嗜好性製剤は、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化し、その後に、その製剤の表面に動物が好む香料をそれぞれコーティングしたものである。
【0020】
この製剤としては、その剤形が、例えば、ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤または丸剤等のいずれかを使用するものであり、前記動物が好む香料としては、例えば、肉風味または魚風味等をコーティングさせるものである。
【0021】
この肉風味または魚風味の香料は、例えば、肉もしくは魚のエキス、または肉もしくは魚の擬似的な香り及び/または味を有するものであり、この香料を製剤の表面にコーティングすることにより、ペット嗜好性製剤を肉または魚の香味にすることができる。
【0022】
このコーティングとしては、例えば、塗布または噴霧(スプレーも含む)等により行うことができる。また、剤形が錠剤または丸剤である場合には、例えば、液状、ゲル状、半練状または粉末状の香料を医薬品及び/または栄養補助食品と一緒にして混合し、錠剤または丸剤の外表面から香料を吸着させても良い。
【0023】
つまり、医薬品及び/または栄養補助食品をハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤または丸剤等のいずれかの剤形に製剤化し、その製剤の表面に肉風味または魚風味等の動物が好む香料をコーティングまたは吸着させたことにより、ペット嗜好性製剤を動物が好む香り及び/または味にしたものである。
【0024】
また、前記栄養補助食品としては、生理活性物質、ビタミン類、ミネラル類、油脂類、アミノ酸類または伝承的民間薬のいずれか一種または二種以上を選択したものである。
【0025】
更に、前記伝承的民間薬としては、格別な制限はないが、例えば、プロポリス、アガリクス、メシマコブまたはイチョウ葉抽出物等の群から選ばれる一種以上を含むものである。
【0026】
このように、ペット嗜好性製剤が動物の好む香料でコーティングされているため、ペットが自ら好んで摂食するので、医薬品及び/または栄養補助食品をペットに経口投与させることが簡単であり、また、ペットフードと前記ペット嗜好性製剤とが別体であるため、該ペット嗜好性製剤を前記ペットフードに適量を混合させることができ、必要なときに、必要な量または種類の医薬品及び/または栄養補助食品を与えることができるのである。
【0027】
本発明の第2の実施の形態に係るペット嗜好性製剤は、動物が好む香料をコーティングしたハードカプセルを用い、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化したものであり、その他の構成については、前記第1の実施の形態と同様であり、説明が重複するため、その詳細については省略する。
【0028】
この第2の実施の形態においては、ハードカプセル自体に、予め、肉風味または魚風味等の動物が好む香料をそれぞれコーティングしておき、該香料毎にコーティングされたカプセルを用いて医薬品及び/または栄養補助食品をそれぞれ製剤化することにより、ペット嗜好性製剤を動物が好む香り及び/または味にしたものである。
【0029】
この第2の実施の形態においても、予め動物の好む香料がコーティングされたカプセルを用いて医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化したことにより、該製剤には、ペット嗜好性製剤が動物の好む香料がコーティングされているため、ペットが自ら摂食するので、医薬品及び/または栄養補助食品をペットに経口投与させることが簡単であり、また、前記ペット嗜好性製剤の種類を適宜選択してペットフードに適量を混合させることができるのである。
【0030】
以下により具体的な実施例を比較例と共に示す。なお、ソフトカプセル、錠剤または丸剤の表面に動物が好む香料をコーティングをしたものについても同様の方法で実験したが、略同様の結果が得られたので、実施例では代表してハードカプセルの表面に動物が好む香料として、例えば、ビーフ味(肉風味)またはかつお風味(魚風味)の香料をコーティングしたものについて説明する。
【0031】
(実施例1)
実施例1においては、プロポリス及びアガリクスの混合物をハードカプセルの剤形に製剤化し、その後、混合用の容器に前記製剤化したハードカプセルを適量入れると共に、動物が好む香料として、ビーフ味(肉風味)の香料を所要量添加して攪拌させ、ハードカプセルの表面にビーフ味をコーティングしたペット嗜好性製剤を得た。
【0032】
前記ビーフ味をコーティングしたハードカプセルのペット嗜好性製剤を3カプセルずつ混合させたドッグフードを、犬10頭にそれぞれ与えた。
【0033】
(比較例1)
また、比較例として、ハードカプセルの表面にビーフ味の香料をコーティングしないものを用い、その他については、前記実施例1と同様にプロポリス及びアガリクスの混合物を収納したハードカプセルを作製した。このハードカプセルを実施例1のペット嗜好性製剤を与えた2日後に、前記実施例1と同一の犬10頭にドッグフードにハードカプセル3つずつ混合させてそれぞれ与えた。
【0034】
実施例1のハードカプセルの表面にビーフ味をコーティングしたペット嗜好性製剤を3カプセルずつ混合させたドッグフードと、比較例1の表面にビーフ味の香料をコーティングしないハードカプセルを3カプセルずつ混合させたドッグフードとについて、犬の自発的な摂食を確認した結果を表1に示す。
【0035】
【表1】
Figure 2004194514
【0036】
この表1から明らかなように、ハードカプセルの表面に動物が好む香料をコーティングしたペット嗜好性製剤を混合させた実施例1の方が、表面に動物が好む香料をコーティングしないハードカプセルを混合させた比較例1よりも犬が自発的に良く摂食することが理解できる。
【0037】
(実施例2)
実施例2においては、ハードカプセルの内部にプロポリス及びアガリクスの混合物を収納した。その後、混合用の容器に前記ハードカプセルを適量入れると共に、動物が好む香料として、かつお風味(魚風味)の香料を所要量添加して攪拌させ、ハードカプセルの表面にかつお風味をコーティングしたペット嗜好性製剤を得た。
【0038】
前記かつお風味をコーティングしたハードカプセルのペット嗜好性製剤を3カプセルずつ混合させたキャットフードを、猫10頭にそれぞれ与えた。
【0039】
(比較例2)
また、比較例として、ハードカプセルの表面にかつお風味の香料をコーティングしないものを用い、その他については、前記実施例2と同様にプロポリス及びアガリクスの混合物を収納したハードカプセルを作製した。このハードカプセルを実施例2のペット嗜好性製剤を与えた2日後に、前記実施例2と同一の猫10頭にキャットフードにハードカプセル3つずつ混合させてそれぞれ与えた。
【0040】
実施例2のハードカプセルの表面にかつお風味をコーティングしたペット嗜好性製剤を3カプセルずつ混合させたキャットフードと、比較例2の表面にかつお風味の香料をコーティングしないハードカプセルを3カプセルずつ混合させたキャットフードとについて、猫の自発的な摂食を確認した結果を表2に示す。
【0041】
【表2】
Figure 2004194514
【0042】
この表2から明らかなように、ハードカプセルの表面に動物が好む香料をコーティングしたペット嗜好性製剤を混合させた実施例2の方が、表面に動物が好む香料をコーティングしないハードカプセルを混合させた比較例2のよりも猫が自発的に良く摂食することが理解できる。
【0043】
(実施例3)
実施例3においては、プロポリス及びアガリクスの粉末混合物100g、6%ヒドロキシセルロース含有乳糖90g、ステアリン酸タルク4g、バレイショデンプン6gをよく混合し打錠した。得られた錠剤を混合用の容器に入れ、ビーフ味(肉風味)の香料のエタノール溶液を噴霧しよく攪拌後乾燥して、錠剤にビーフ味をコーティングしたペット嗜好性製剤を得た。
【0044】
この実施例3のペット嗜好性製剤においても、前記実施例1と同様の結果が得られた。
【0045】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の第1の発明に係るペット嗜好性製剤は、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化した後に、その製剤の表面に動物が好む香料をコーティングすることにより、ペット嗜好性製剤が動物の好む肉風味または魚風味の香り及び/または味であるため、ペットが自ら好んで摂食するので、医薬品及び/または栄養補助食品をペットに経口投与させることが簡単であり、また、ペットフードと前記ペット嗜好性製剤とが別体であるため、該ペット嗜好性製剤を前記ペットフードに投与したい量または種類を適宜に選択して混合させることができ、必要なときに、必要な量の医薬品及び/または栄養補助食品を与えることができると共に、前記ペット嗜好性製剤を単独で与えても良く、医薬品及び/または栄養補助食品を簡単に投与することができるようになるという優れた効果を奏する。
【0046】
また、本発明の第2の発明に係るペット嗜好性製剤においても、動物が好む香料をコーティングしたカプセルを用い、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化することにより、ペット嗜好性製剤が動物の好む肉風味または魚風味の香り及び/または味であるため、前記第1の発明と同様に、ペットが自ら好んで摂食するので、医薬品及び/または栄養補助食品をペットに経口投与させることが簡単であり、また、ペットフードと前記ペット嗜好性製剤とが別体であるため、該ペット嗜好性製剤を前記ペットフードに投与したい量または種類を混合させることができ、必要なときに、必要な量または種類の医薬品及び/または栄養補助食品を与えることができ、医薬品及び/または栄養補助食品を簡単に投与することができるようになるという優れた効果を奏する。

Claims (8)

  1. 医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化した後に、その製剤の表面に動物が好む香料をコーティングすること
    を特徴とするペット嗜好性製剤。
  2. 前記製剤は、
    ハードカプセル、ソフトカプセル、錠剤または丸剤のいずれかの剤形であること
    を特徴とする請求項1に記載のペット嗜好性製剤。
  3. 錠剤または丸剤には、
    医薬品及び/または栄養補助食品に動物が好む香料を吸着させたこと
    を特徴とする請求項1乃至2に記載のペット嗜好性製剤。
  4. 動物が好む香料をコーティングしたハードカプセルを用い、医薬品及び/または栄養補助食品を製剤化すること
    を特徴とするペット嗜好性製剤。
  5. 動物が好む香料が、
    肉風味または魚風味であること
    を特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載のペット嗜好性製剤。
  6. コーティングが、
    塗布または噴霧であること
    を特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載のペット嗜好性製剤。
  7. 栄養補助食品が、
    生理活性物質、ビタミン類、ミネラル類、油脂類、アミノ酸類または伝承的民間薬のいずれか一種または二種以上であること
    を特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載のペット嗜好性製剤。
  8. 伝承的民間薬が、
    プロポリス、アガリクス、メシマコブまたはイチョウ葉抽出物の群から選ばれる一種以上を含むこと
    を特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載のペット嗜好性製剤。
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