JP2004194472A - 電動機用希土類磁石の固定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】Nd−Fe−B焼結磁石などの電動機用希土類磁石4の表面に、脱オキシム系、脱アセトン系などのシリコーン系樹脂を主成分とした接着剤5を塗布して鉄心2に接着固定させる。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、希土類磁石を電動機の回転子または固定子などに接着・固定させる固定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、希土類磁石を用いた同期電動機や Interior Parmanent Magnetモータ(以下IPMモータという)などの電動機においては、回転子または固定子などの鉄心に磁石を接着、固定させるためにアミン系の硬化剤を含むエポキシ系の接着剤が使用されている。
【0003】
【特許文献1】特開始2000−245085号公報
この公報に示されているモータは、永久磁石を埋め込んだロータと、コイルを集中巻きにしたステータをそなえており、前記永久磁石相互を電気的に絶縁するため、たとえばエポキシ樹脂をコーティングして(公報第4欄)挿入孔に埋め込んでいる。
【0004】
【非特許文献1】西日本腐蝕防蝕研究会 第131回例会会報、Vol.38.No.3 1998「Nd−Fe−B焼結磁石の腐食に及ぼす接着剤の影響」p.33-34
この文献には、Nd−Fe−B焼結磁石にエポキシ系接着剤を塗布した場合、高温高湿度、たとえば温度80℃、相対湿度90%の環境では、エポキシ系接着剤を塗布しない場合に較べて激しい腐食を生じることが実験で明らかになり、この腐食は接着剤中に含まれる塩素および水素が影響していると考えられ、磁気特性の1つである保磁力(iHc)も劣化させることが示されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
このように、希土類磁石をそなえたモータにおいては、従来から一般にアミン系の硬化剤を含むエポキシ系接着剤を用いて磁石を接着固定させているが、同期電動機などのモータを作った場合にフレーム内の環境が80℃、90%相対湿度に達すると、接着剤中に水分が侵入してアミン系硬化剤に含まれているCl− イオンおよびH4 + イオンが溶け出す。さらにこのCl− イオンおよびNH4 +イオンから乖離したH原子が希土類磁石の粒界相に侵入して保磁力発現を担う粒界相を変質させ、H原子に関しては最悪の場合は水素脆性を誘発して希士類磁石を粉末状にすることにより保磁力を減少させる。その結果、モータ特性の一つである誘導起電力(Electro Motive Force以下EMFという) が、モータの使用とともに減少するという問題があった。
そこで、本発明は安価で長時間磁力の劣化を生じない信頼性の高い電動機用希土類磁石の固定方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記の問題を解決するため、請求項1記載の発明は、接着剤を塗布して希土類磁石を鉄心に固定する電動機用希土類磁石の固定方法において、前記接着剤の主成分をシリコーン系樹脂としたことを特徴とするものである。
請求項2記載の発明は、前記接着剤として脱オキシム系のシリコーン系樹脂を用いることを特徴とするものである。
また、請求項3記載の発明は、前記接着剤として脱アセトン系のシリコーン系樹脂を用いることを特徴とするものである。
また、請求項4記載の発明は、前記希土類磁石としてNd−Fe−B焼結磁石を用いることを特徴とするものである。
【0007】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例を図に基づいて説明する。
図1は、本発明を用いたIPMモータのロータの断面図である。
図において、1はロータ、2はケイ素鋼板を積層した鉄心、3は回転軸、4はNd−Fe−Bを焼結した希土類磁石、5は脱オキシム系のシリコーン樹脂を主成分とする接着剤(以下、脱オキシム系シリコーン系接着剤という)である。
最初に、図2に示すように、希土類磁石4に脱オキシム系シリコーン系接着剤5を塗布する。なお、図では接着剤の一部を省略している。
つぎに、接着剤5を塗布した希土類磁石4を図1に示す鉄心2の打ち抜き孔に挿入し、150℃に加熱して1時間で脱オキシム系シリコーン系接着剤5を硬化させた。このロータ1に回転軸3を焼き嵌めし、IPMモータ用のロータ1を作製し、IPMモータフレームに装着してIPMモータを作製した。
なお、比較例として同様の構成でアミン系硬化剤を含むエポキシ系接着剤を使用したIPMモータも作製した。
【0008】
効果確認のため、図1に示す本実施例のIPMモータと比較例のIPMモータとを用いて高温高湿試験(80℃、90%相対湿度)を行い、磁石の劣化度合いを評価できるEMFを測定した。
図3にEMF低下量の時間依存性を調べた結果を示す。本実施例のモータは特性曲線41で示されているように、約2500時間経過後におけるEMFは、初期のEMFに対して1%程度しか低下せず、優れた特性を示している。これに対して、比較例のモータは、特性曲線42で示すように13%も低下しており、本発明が著しい効果を有することを示している。
【0009】
さらに、高温高湿試験後にロータ1を取り出し、鉄心に内挿された部分の磁石を切り出して、Nd−Fe−B磁石の劣化の程度を観察した。その結果、本実施例のモータでは、ほとんど腐食および割れが発生していないのに対し、比較例のモータでは、腐食および割れがかなり進行していることが認められた。
【0010】
比較例のモータのように、アミン系硬化剤を含むエポキシ系接着剤を使用したIPMモータの場合、前述のように接着剤中に水分が侵入してアミン系硬化剤に含まれているCl− イオンおよびNH4 + イオンが溶け出し、さらにNH4 + イオンはH原子を乖離する。このCl− イオンおよびH原子が、Nd−Fe−B焼結磁石のNdがリッチな粒界相に侵入して保磁力発現を担う粒界相を変質させ、H原子に関してはさらに水素脆性を誘発して、希土類磁石を粉末状にしたと推定できる。
一方、本実施例として示した脱オキシム系シリコーン系接着剤を使用して作製したIPMモータにおいては、Cl− イオンやH原子が発生しないため、このような粒界相の変質や水素脆性の現象を発生することがない。
このため、比較例では保磁力(iHc)が低下するためEMFが13%も低下するが、本実施例では保磁力(iHc)がほとんど低下しないためEMFが1%程度しか低下しなかったと考えられる。
【0011】
つぎに、脱アセトン系のシリコーン樹脂を主成分とする接着剤(以下、脱アセトン系シリコーン系接着剤という)を用いて作製したIPMモータを、上記と同様の高温高湿試験を行い、EMFを測定した。その結果、脱オキシム系シリコーン系接着剤を用いて作製したIPMモータと同様にEMF低下率が小さく良好な結果が得られた。
なお、上記の実施例ではIPMモータの回転子について述べたが、これに限られず他のモータの回転子や固定子など希土類磁石を用いるところには全て適用できる。また、希土類磁石にNd−Fe−B系を用いたが、Sm−Co系、Sm−Fe−N系など他の希土類磁石を用いても良好な効果を得ることができる。
【0012】
【発明の効果】
このように本発明によれば、請求項1記載の発明では、希土類磁石に接着剤を塗布して鉄心に固定する電動機用希土類磁石の固定方法において、前記接着剤の主成分をシリコーン系樹脂としたことを特徴とするため、廉価な接着剤を使用して、取り扱いが容易で確実に希土類磁石を固定でき、かつ同期電動機のEMFを低下させることがないなどの効果が得られる。
【0013】
請求項2記載の発明では、脱オキシム系のシリコーン系樹脂を用い、請求項3記載の発明では、脱アセトン系のシリコーン系樹脂を用いており、いずれの場合も、廉価で、取り扱いも容易で確実な固定を行うことができ、モータのEMFを低下させることがない。
また、請求項4記載のように希土類磁石として、Nd−Fe−B焼結磁石を用いることにより、確実に前記の効果をうることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を用いたIPMモータのロータを示す実施例断面図である。
【図2】本発明によるシリコーン系接着剤を希土類磁石に塗布した状態を示す部分斜視図で、接着剤の一部を除いてある。
【図3】本発明の実施例におけるEMF低下量の時間依存性を示す特性曲線図である。
【符号の説明】
1 ロータ
2 鉄心
3 回転軸
4 希土類磁石
5 脱オキシム系シリコーン系接着剤
41 脱オキシム系シリコーン系接着剤使用モータのEMF特性
42 エポキシ系接着剤使用モータのEMF特性
Claims (4)
- 接着剤を塗布して鉄心に固定する電動機用希土類磁石の固定方法において、前記接着剤がシリコーン系樹脂を主成分とした接着剤であることを特徴とする電動機用希土類磁石の固定方法。
- 前記接着剤が脱オキシム系のシリコーン系樹脂を主成分とする接着剤である請求項1記載の電動機用希土類磁石の固定方法。
- 前記接着剤が脱アセトン系のシリコーン系樹脂を主成分とする接着剤である請求項1記載の電動機用希土類磁石の固定方法。
- 前記希土類磁石がNd−Fe−B焼結磁石である請求項1ないし3のいずれかに記載の電動機用希土類磁石の固定方法。
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2002
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CN104604102B (zh) * | 2012-09-11 | 2017-06-06 | 雷米技术有限公司 | 包括具有由热界面材料形成的套筒的永磁体的永磁体电机 |
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