JP2004193990A - 情報処理システム、情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム - Google Patents

情報処理システム、情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】ネットワークの状態の変化に対応して、最適なデータを送受信する。
【解決手段】画像送信装置11は、画像受信装置に動画データを送信する。動画データの送信レートを下げる必要がある場合、画像送信装置11は、送信する動画データが、フレーム毎に変化の大きい画像であるときは、画質を落として送信レートを減少させ、フレーム毎に変化の小さい画像であるときは、フレームレートを落として送信レートを減少させる。また、動画データの送信レートを上げる必要がある場合、画像送信装置11は、送信する動画データが、フレーム毎に変化の大きい画像である場合、フレームレートを上げて送信レートを増加させ、フレーム毎に変化の小さい画像である場合、画質を向上させて送信レートを増加させる。本発明は、ネットワークに接続される電子機器に適用することができる。
【選択図】 図3

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、情報処理システム、情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関し、特に、ネットワークの状態の変化に対応して、最適なデータを送受信できるようにした情報処理システム、情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムに関する。
【0002】
【従来の技術】
送信端末装置から受信端末装置に対して、インターネットなどのネットワークを経由して、連続してパケットを送信する場合、受信端末装置から送信端末装置に対して、損失した(受信されなかった)パケットを特定する情報や、パケットの受信時刻などの情報を含む確認応答が通知される。送信端末装置は、受信端末装置から受信した確認応答に応じて、送信するパケットの送信間隔やパケットサイズを変更して、ネットワークの帯域の状態に最適な送信レートで、パケットを送信する。
【0003】
ネットワークの帯域の状態に従って、パケットの送信レートを制御するレート制御アルゴリズムは、通常、パケットロス率(送信端末装置から送信された全パケットに対する、受信端末装置に受信されずに損失したパケットの割合)や、RTT(Round Trip Time)を基に、ネットワークの帯域の状態を推測して、送信レートを制御している。
【0004】
例えば、送信端末装置は、パケットの損失を検知した場合、パケットの送信間隔をひろくしたり、パケットサイズを小さくして、ネットワーク上を流れるデータの量を減少させる。
【0005】
このようなパケット通信を利用して、送信端末装置から受信端末装置に、動画データの実時間ストリーミングを行なう情報処理システムがある。送信端末装置は、撮像装置により撮影された動画データをエンコードし、ネットワークを介して受信端末装置に送信する。受信端末装置は、送信端末装置から受信した動画データをデコードして、表示装置に出力する。このような情報処理システムにおいて、送信端末装置から受信端末装置に動画データを送信する送信経路中に、インターネットなどのベストエフォート通信を行なうパケット網が存在する場合、送信端末装置から送信したパケットが、受信端末装置に届かずに損失したり、再生時刻よりも遅れて受信端末装置に到着することがあり、その結果、動画の再生中に、映像が静止したり、動画を再生できなかったりすることがあるという問題があった。
【0006】
このような再生映像の品質低下を避けるために、送信端末装置から受信端末装置に送信する動画データのフレームレートを、ネットワークの状態に応じて調整し、送信レートを調整するようにしたものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
また、送信端末装置から受信端末装置に送信する動画データの画質を、ネットワークの状態に応じて調整し、送信レートを調整するようにしたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【0008】
さらに、送信端末装置から受信端末装置に送信する動画データのフレームレートおよび画質の両方を、ネットワークの状態に応じて調整し、送信レートを調整するようにしたものもある(例えば、特許文献3および特許文献4参照)。
【0009】
送信端末装置から受信端末装置に送信する動画データのフレームレートおよび画質の両方を、ネットワークの状態に応じて調整するようにした情報処理システムにおいて、例えば、送信端末装置が、フレームレートを5乃至30fpsの間で設定し、エンコード時の、1画素当りに要するビット数を0.50乃至1.00bppの間で設定する場合、送信端末装置が設定可能なフレームレート、およびエンコード時の、1画素当りに要するビット数の範囲は、図1のようになる。図1は、この送信端末装置が、設定可能なフレームレートおよびビット数の範囲を表している。なお、エンコード時の、1画素当りに要するビット数を変更することにより、画質を調整することができる。
【0010】
図1において、縦軸は、フレームレートを表し、横軸は、エンコード時の、1画素当りに要するビット数を表している。図1において、斜線で覆われた範囲が、この送信端末装置が設定可能なフレームレートおよびビット数の範囲である。上記したように、この送信端末装置は、フレームレートを5乃至30fpsの間で設定でき、かつ、エンコード時の、1画素当りに要するビット数を0.50乃至1.00bppの間で設定することができるので、図1において、フレームレートが5乃至30fpsの間であり、かつ、ビット数が0.50乃至1.00bppの間の範囲に、斜線が引かれている。
【0011】
また、図2に示すように、送信ビットレートに応じて、フレームレートおよび画質を一意に変化させるようにしたものもある。この例においては、例えば送信端末装置が、当初、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を(フレームレート,ビット数)=(30fps,1.00bpp)に設定して、動画データを送信しているとする。図2の点Aが、(フレームレート,ビット数)=(30fps,1.00bpp)の位置である。
【0012】
送信レートを下げる場合、送信端末装置は、まずフレームレートを半分、すなわち15fpsに落とし、(フレームレート,ビット数)=(15fps,1.00bpp)に設定する。図2の点Bが、(フレームレート,ビット数)=(15fps,1.00bpp)の位置である。図2の点Bの送信レートと、点Aの送信レートの比は、
【0013】
点B(フレームレート×ビット数)/点A(フレームレート×ビット数)=(15×1.00)/(30×1.0)=1/2
である。
【0014】
すなわち、送信端末装置は、点Aから点Bに変更する(フレームレートを半分に落とす)ことにより、送信レートを当初(点A)の送信レートの1/2に減少させる。
【0015】
さらに送信レートを下げる場合、送信端末装置は、ビット数を0.75bppに落とし、(フレームレート,ビット数)=(15fps,0.75bpp)に設定する。図2の点Cが、(フレームレート,ビット数)=(15fps,0.75bpp)の位置である。図2の点Cの送信レートと、点Aの送信レートの比は、
点C(フレームレート×ビット数)/点A(フレームレート×ビット数)=(15×0.75)/(30×1.0)=11.25/30
である。
【0016】
すなわち、送信端末装置は、点Bから点Cに変更する(ビット数を3/4に落とす)ことにより、送信レートを、当初(点A)の送信レートの約1/3に減少させる。
【0017】
さらに送信レートを下げる場合、送信端末装置は、フレームレートを10fpsに落とし、(フレームレート,ビット数)=(10fps,0.75bpp)に設定する。図2の点Dが、(フレームレート,ビット数)=(10fps,0.75bpp)の位置である。図2の点Dの送信レートと、点Aの送信レートの比は、
点D(フレームレート×ビット数)/点A(フレームレート×ビット数)=(10×0.75)/(30×1.0)=1/4
である。
【0018】
すなわち、送信端末装置は、点Cから点Dに変更する(フレームレートを2/3に落とす)ことにより、送信レートを、当初(点A)の送信レートの1/4に減少させる。
【0019】
さらに送信レートを下げる場合、送信端末装置は、ビット数を0.50bppに落とし、(フレームレート,ビット数)=(10fps,0.50bpp)に設定する。図2の点Eが、(フレームレート,ビット数)=(10fps,0.50bpp)の位置である。図2の点Eの送信レートと、点Aの送信レートの比は、
点E(フレームレート×ビット数)/点A(フレームレート×ビット数)=(10×0.50)/(30×1.0)=1/6
である。
【0020】
すなわち、送信端末装置は、点Dから点Eに変更する(ビット数を2/3に落とす)ことにより、送信レートを、当初(点A)の送信レートの1/6に減少させる。
【0021】
さらに送信レートを下げる場合、送信端末装置は、フレームレートを5fpsに落とし、(フレームレート,ビット数)=(5fps,0.50bpp)に設定する。図2の点Fが、(フレームレート,ビット数)=(5ps,0.50bpp)の位置である。図2の点Fの送信レートと、点Aの送信レートの比は、
点F(フレームレート×ビット数)/点A(フレームレート×ビット数)=(5×0.50)/(30×1.0)=1/12
である。
【0022】
すなわち、送信端末装置は、点Eから点Fに変更する(フレームレートを1/2に落とす)ことにより、送信レートを、当初(点A)の送信レートの1/12に減少させる。
【0023】
以上のように、フレームレートと画質(1画素当りのビット数)を段階的に、一意に設定するようにしたものもある。
【0024】
【特許文献1】
特開平9-74548号公報(第4ページ)
【特許文献2】
特開平7-75092号公報(第5−6ページ)
【特許文献3】
特開平10-164553号公報(第4−5ページ)
【特許文献4】
特開2002-290974号公報(第4−6ページ)
【0025】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の情報処理システムにおいては、映像の内容を考慮して、フレームレートおよび画質を調整することができないという課題があった。
【0026】
すなわち、例えばサッカーの中継など、動きの多い映像(変化の速い映像)は、多少、画質が低下しても、細かく動きを追えるほうが重要なので、フレームレートを維持して、画質を下げたほうが良い。一方、ニューススタジオからの報道など、動きの少ない映像(変化の少ない映像)は、多少コマ送りのような状態になっても、できる限り画質を上げるほうが重要なので、画質を維持して、フレームレートを下げたほうが良い。
【0027】
しかし、従来、このような映像の特徴に応じて、フレームレートおよび画質を調整するものはなかった。
【0028】
また、上記した特許文献3および特許文献4に記載の発明においては、フレームレートおよび画質の調整を、ユーザが、マニュアルで調整する必要があり、いちいちフレームレートおよび画質を調整することは不便であるという課題があった。
【0029】
また、送信端末装置から受信端末装置に異なる品質の動画データを送信するために、特許文献3の発明では異なるデータパスを、また特許文献4の発明では異なるデータソースを用意する必要があり、システム規模が巨大になってしまうという課題があった。
【0030】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、ネットワークの状態の変化に対応して、最適なデータを送受信させることを目的とする。
【0031】
【課題を解決するための手段】
本発明の情報処理システムは、第1の情報処理装置は、ネットワークを介して、第2の情報処理装置に動画データを送信する送信手段と、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択手段と、選択手段により送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、送信手段により送信される動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定手段とを備え、第2の情報処理装置は、第1の情報処理装置から動画データを受信する受信手段を備えることを特徴とする。
【0032】
本発明の情報処理装置は、ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する送信手段と、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択手段と、選択手段により送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、送信手段により送信される動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定手段とを備えることを特徴とする。
【0033】
前記動画データの前記動き成分量を算出する算出手段をさらに設けるようにし、前記設定手段には、算出手段により算出された前記動き成分量に基づいて、前記送信手段により送信される前記動画データの前記フレームレートおよび前記画質を設定するようにさせることができる。
【0034】
前記設定手段には、前記選択手段により前記送信レートの減少が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より大きい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記画質を低下させ、前記選択手段により前記送信レートの減少が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より小さい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記フレームレートを減少するようにさせることができる。
【0035】
前記設定手段には、前記選択手段により前記送信レートの増加が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より大きい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記フレームレートを増加させ、前記選択手段により前記送信レートの増加が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より小さい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記画質を向上させるようにさせることができる。
【0036】
本発明の情報処理方法は、ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する送信ステップと、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択ステップと、選択ステップの処理により送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、送信ステップの処理により送信される動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定ステップとを含むことを特徴とする。
【0037】
本発明の記録媒体のプログラムは、ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する情報処理装置用のプログラムであって、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択ステップと、選択ステップの処理により送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、他の情報処理装置に送信される動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定ステップとを含むことを特徴とする。
【0038】
本発明のプログラムは、ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する情報処理装置を制御するコンピュータに、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択ステップと、選択ステップの処理により送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、他の情報処理装置に送信される動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定ステップとを実行させることを特徴とする。
【0039】
本発明の情報処理システムにおいては、第1の情報処理装置では、ネットワークを介して、第2の情報処理装置に動画データが送信され、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持が選択され、送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、送信される動画データのフレームレートおよび画質が設定され、第2の情報処理装置では、第1の情報処理装置から動画データが受信される。
【0040】
本発明の情報処理装置および方法、記録媒体、並びにプログラムにおいては、ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データが送信され、ネットワークの帯域の状態に基づいて、動画データの送信レートの増加、減少、または維持が選択され、送信レートの増加、または減少が選択された場合、動画データの動き成分量に基づいて、送信される動画データのフレームレートおよび画質が設定される。
【0041】
本発明は、ネットワークに接続される電子機器に適用することができる。
【0042】
【発明の実施の形態】
図3は、本発明を適用した情報処理システムの一実施の形態の構成を示す図である。
【0043】
図3において、画像送信装置11および、画像受信装置13は、インターネットを含むネットワーク10を介して、接続されている。画像送信装置11は、撮像装置12により撮像された動画を、例えばMPEG(Moving Picture Experts Group)やJPEG(Joint Photographic Experts Group)2000動画などの符号化方式により符号化し、符号化された動画データを含むパケット(以下の説明において、動画データを含むパケットをデータパケットと称する)を生成し、生成したデータパケットを、ネットワーク10を介して、画像受信装置13に実時間送信する。また、画像送信装置11は、画像受信装置13より、画像送信装置11がデータパケットを送信した送信時刻やパケットロス率などの情報を含む確認応答のパケット(以下の説明において、画像受信装置13から画像送信装置11に送信される確認応答のパケットを応答パケットと称する)を受信し、これらの情報に基づいて、送信する動画データのフレームレートや画質を調整して、データパケットの送信レートを制御する。
【0044】
撮像装置12は、例えば、カメラ一体型ビデオテープレコーダやデジタルスチルカメラであり、被写体を撮像し、撮像した被写体の動画データを画像送信装置11に供給する。
【0045】
画像受信装置13は、画像送信装置11から受信したデータパケットから、動画データを取得し、取得した動画データを表示装置14に供給するとともに、画像送信装置11によるデータパケットの送信時刻やパケットロス率などの情報を含む応答パケットを生成し、この応答パケットを、画像送信装置11に送信する。
【0046】
表示装置14は、例えば、CRT(CathodeRay Tube)やLCD(Liquid Crystal Display)により構成され、画像受信装置13から供給された動画データを表示する。
【0047】
次に、図4は、画像送信装置11の内部の構成例を表している。図4において、操作部101は、ユーザからの操作の入力を受け付け、受け付けられた操作に対応する操作情報を制御部102に通知する。制御部102は、予め設定されたプログラムや、操作部101からの操作情報に基づいて、画像送信装置11の各部の動作を制御する。
【0048】
映像入力部103は、撮像装置12より、動画データの入力を受け付け、入力された動画データを、エンコード制御部104の動き成分算出部121、およびエンコーダ123に供給する。
【0049】
エンコード制御部104は、動き成分算出部121、パラメータ設定部122、およびエンコーダ123から構成される。動き成分算出部121は、レート制御部108のレート判定部132から、送信レートを増加、または減少するように指令された場合、映像入力部103から供給された動画データのフレーム、およびエンコーダ123から供給された符号化された動画データのフレームの変化量を、動き成分量として算出し、算出した動き成分量をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分算出部121から供給された動き成分量に基づいて、エンコーダ123がエンコードする動画データのフレームレート、および画質を設定する。エンコーダ123は、映像入力部103から供給された動画データを、パラメータ設定部122により設定されたフレームレート、および画質になるように、MPEGの符号化方式に従って符号化し、符号化されたデータ(以下の説明において、符号化されたデータを符号化データと称する)を、パケット生成部105に供給する。
【0050】
パケット生成部105は、エンコード制御部104のエンコーダ123から供給された符号化データを、複数に分割してパケット化し、生成したデータパケットに、TCP/IP(Transmission Control Protocol/Internet Protocol)、またはUDP/IP(User Datagram Protocol/Internet Protocol)のパケットヘッダを付加して、パケット送信部106に供給する。なお、パケットヘッダには、データパケットの個々を識別するための、シーケンス番号が含まれている。
【0051】
パケット送信部106は、パケット生成部105により生成されたデータパケットが供給されると、これを、所定のタイミングで、ネットワーク10を介して、画像受信装置13に送信する。なお、パケット送信部106は、データパケットを送信するとき、データパケットの送信時刻として、現在時刻をパケットヘッダに記録する。
【0052】
パケット受信部107は、画像受信装置13より、応答パケットを受信し、応答パケットの受信時刻を、内蔵する内部時計より取得するとともに、受信した応答パケットに含まれている情報、および取得した受信時刻をレート制御部108のレート算出部131に供給する。
【0053】
レート制御部108は、レート算出部131、およびレート判定部132により構成される。レート算出部131は、パケット受信部107から、応答パケットに含まれている情報、および応答パケットの受信時刻が供給されると、供給された情報を基に、データパケットの理想的な送信レートを算出し、算出した理想的送信レートをレート判定部132に供給する。レート判定部132は、レート算出部131から理想的送信レートが供給されると、供給された理想的送信レートを現在の送信レートと比較し、比較結果に基づいて、動き成分算出部121に対して、送信レートの増加、または減少を要求する。
【0054】
次に、図5は、画像受信装置13の内部の構成例を表している。図5において、操作部151は、ユーザからの操作の入力を受け付け、受け付けられた操作に対応する操作情報を制御部152に通知する。制御部152は、予め設定されたプログラムや、操作部151からの操作情報に基づいて、画像受信装置13の各部の動作を制御する。
【0055】
パケット受信部153は、画像送信装置11から送信されたデータパケットを、ネットワーク10を介して受信し、内蔵する内部時計から受信時刻を取得するとともに、受信したデータパケットに受信時刻を付加して、データ再構成部154に供給する。
【0056】
データ再構成部154は、パケット受信部153からデータパケットが供給されると、供給された複数のデータパケットから、元の符号化データを再構成する。すなわち、画像送信装置11は、符号化データを送信する際、複数に分割して、それぞれをパケット化して、画像受信装置13に送信するので、画像受信装置13は、受信した複数のデータパケットから、元の符号化データを復元する必要がある。データ再構成部154は、この再構成処理を行なう。データ再構成部154は、符号化データを再構成した後、再構成した符号化データをデコーダ155に供給する。また、データ再構成部154は、パケット受信部153から供給されたデータパケットに付加されているパケットヘッダ、およびデータパケットの受信時刻を読み出し、これらの情報を、状態測定部158に供給する。
【0057】
デコーダ155は、データ再構成部154から、符号化データの供給を受け、供給された符号化データを復号して動画データを生成し、この動画データを記憶部156に供給する。
【0058】
記憶部156は、デコーダ155から供給された動画データを、一時的に記憶(バッファリング)する。記憶部156に記憶された動画データは、所定のタイミングでビデオ出力部157により読み出される。
【0059】
ビデオ出力部157は、所定のタイミングで、記憶部156から動画データを読み出し、読み出した動画データを表示装置14に表示可能な画像信号に変換して、表示装置14に供給する。
【0060】
状態測定部158は、データ再構成部154から、データパケットに付加されていたパケットヘッダ、およびパケット受信部153によりデータパケットに付加された受信時刻を取得する。そして、状態測定部158は、パケットヘッダに含まれているデータパケットの送信時刻およびデータパケットのシーケンス番号を抽出し、データパケットのシーケンス番号が、その直前に受信したデータパケットのシーケンス番号と連続しているか否かを判定することにより、データパケットの損失の有無を判定する。なお、損失したデータパケットとは、画像送信装置11から送出されたものの、画像受信装置13に届いていないパケットのことである。その結果、損失したデータパケットが存在した場合(パケットロスが発生した場合)、状態測定部158は、損失したデータパケットのシーケンス番号(以下の説明において、損失したデータパケットのシーケンス番号のことを損失パケット番号と称する)を特定する。
【0061】
その後、状態測定部158は、これらの情報、すなわちデータパケットの送信時刻および受信時刻、並びにデータパケットのシーケンス番号をパケット生成部159に供給する。なお、損失パケットがあった場合、状態測定部158は、損失パケット番号もパケット生成部159に供給する。
【0062】
パケット生成部159は、状態測定部158から、データパケットの送信時刻および受信時刻、並びにデータパケットのシーケンス番号が供給されると、これらの情報を含む応答パケットを生成し、生成した応答パケットをパケット送信部160に供給する。なお、状態測定部158から、損失パケット番号も供給された場合、パケット生成部159は、データパケットの送信時刻および受信時刻、並びにデータパケットのシーケンス番号と共に、損失パケット番号も含む応答パケットを生成し、パケット送信部160に供給する。
【0063】
パケット送信部160は、パケット生成部159から、応答パケットが供給されると、供給された応答パケットを、所定のタイミングで、ネットワーク10を介して、画像送信装置11に送信する。なお、パケット送信部160は、応答パケットを送信するとき、その応答パケットのパケットヘッダに、現在時刻を、応答パケットの送信時刻として記録する。
【0064】
次に、図6のフローチャートを参照して、画像送信装置11の画像送信処理、および画像受信装置13の画像受信処理について説明する。
【0065】
撮像装置12により撮像された被写体の動画データは、映像入力部103に入力され、映像入力部103から、動き成分算出部121、およびエンコーダ123に供給されている。図6のステップS1において、画像送信装置11のエンコーダ123は、映像入力部103から供給された動画データを符号化して、符号化データを生成し、生成された符号化データをパケット生成部105に供給する。なお、エンコーダ123は、図9および図10のフローチャートを参照して後述する符号化制御処理により設定されたフレームレート、および画質になるように、動画データを符号化する。
【0066】
ステップS1の処理の後、ステップS2において、パケット生成部105は、エンコーダ123から供給された符号化データを分割して、分割したデータそれぞれを含むデータパケットを生成し、生成したデータパケットにシーケンス番号を含むパケットヘッダを付加する。パケット生成部105は、パケットヘッダを付加した後、データパケットをパケット送信部106に供給する。
【0067】
ステップS2の処理の後、ステップS3において、パケット送信部106は、パケット生成部105から供給されたデータパケットを、所定のタイミングで、ネットワーク10を介して、画像受信装置13に送信する。その後、処理はステップS1に戻り、ステップS1以降の処理が繰り返される。
【0068】
ステップS11において、画像受信装置13のパケット受信部153は、画像送信装置11がステップS3で送信したデータパケットを、ネットワーク10を介して受信し、データ再構成部154に供給する。
【0069】
画像送信装置11は、符号化データを複数個のデータパケットに分割して送信するため、データ再構成部154は、分割された複数個のデータパケットが揃わないと、符号化データを再構成することができない。そこで、ステップS11の後、ステップS12において、データ再構成部154は、符号化データを再構成できるだけのデータパケットが揃ったか否かを判定し、符号化データを再構成できるだけのデータパケットが揃っていない場合、後述するステップS13乃至ステップS15の処理はスキップされる。なお、データ再構成部154は、データパケットが揃うまでの間、パケット受信部153から供給されたデータパケットを記憶しておく。
【0070】
そして、ステップS12において、データ再構成部154が、符号化データを再構成できるだけのデータパケットが揃ったと判定した場合、処理はステップS13に進む。
【0071】
ステップS13において、データ再構成部154は、記憶しておいた複数個のデータパケットから、分割された符号化データを抽出し、これらのデータを統合して、元の符号化データを再構成し、再構成した符号化データを、デコーダ155に供給する。
【0072】
ステップS13の後、ステップS14において、デコーダ155は、データ再構成部154から供給された符号化データを復号し、記憶部156に供給し、記憶させる。
【0073】
その後、処理はステップS11に戻り、ステップS11以降の処理が繰り返される。
【0074】
以上のようにして、画像送信装置11から画像受信装置13に動画データが送信される。なお、画像受信装置13のビデオ出力部157は、ステップS14の処理により記憶部156に記憶された動画データを、所定のタイミングで読み出し、表示用の画像信号に変換して、表示装置14に出力する。
【0075】
また、上述したステップS1乃至ステップS3の処理、およびステップS11乃至ステップS14の処理は、時系列に沿って実行されるとは限らない。例えば、画像送信装置11において、エンコーダ123は、生成した符号化データをパケット生成部105に供給した後、ステップS2およびステップS3の処理の完了を待たずに、次の動画データの符号化を実行し、パケット生成部105は、生成したデータパケットをパケット送信部106に供給した後、ステップS3の処理の完了を待たずに、次の符号化データのパケット化を実行する。
【0076】
ところで、本発明においては、画像受信装置13から画像送信装置11に、応答パケットが送信され、この応答パケットに基づいて、データパケットの送信レートが制御される。
【0077】
そこで、次に、図7のフローチャートを参照して、画像受信装置13の確認応答処理、すなわち、画像受信装置13が、応答パケットを作成し、画像送信装置11に送信する処理について説明する。
【0078】
ステップS51において、画像受信装置13の制御部152は、パケット受信部153を監視し、パケット受信部153がデータパケットを受信するまで待機し、パケット受信部153がデータパケットを受信した場合、処理はステップS52に進む。ステップS52において、パケット受信部153は、内蔵する内部時計より、現在時刻を取得し、データパケットの受信時刻として、受信したデータパケットに付加する。パケット受信部153は、受信時刻を付加したデータパケットを、データ再構成部154に供給する。
【0079】
データ再構成部154は、先に説明した図6のステップS12およびステップS13の処理を実行するのと並行して、受信したデータパケットから、パケットヘッダに含まれている情報、およびパケット受信部153によりデータパケットに付加された、データパケットの受信時刻を、状態測定部158に通知する。なお、データ再構成部154は、所定の個数のデータパケットが揃うまで、符号化データの再構成を実行しないが、1個のデータパケットが供給される度に、そのパケットヘッダに含まれている情報、およびパケット受信部153によりデータパケットに付加された、データパケットの受信時刻を、状態測定部158に通知する。
【0080】
ステップS53において、状態測定部158は、データ再構成部154から、パケットヘッダとして付加されていた情報である、データパケットの送信時刻およびシーケンス番号、並びにデータパケットの受信時刻を取得し、シーケンス番号に基づいて、パケットロスが発生したか否かを判定し、パケットロスが発生していた場合、損失したデータパケットのシーケンス番号を取得する。
【0081】
すなわち、状態測定部158は、シーケンス番号が、前回受信したデータパケットのシーケンス番号と連番になっているか否かを判定することにより、パケットロスの発生の有無を判定することができる。例えば、前回受信したデータパケットのシーケンス番号が「10」で、今回受信したデータパケットのシーケンス番号が「11」であった場合、「10」と「11」で連続しているので、状態測定部158は、データパケットの損失はないと判定する。また、例えば、前回受信したデータパケットのシーケンス番号が「10」で、今回受信したデータパケットのシーケンス番号が「12」であった場合、「10」と「12」で連続していないので、状態測定部158は、シーケンス番号「11」のデータパケットが損失していると判定する。パケットロスが発生していた場合、状態測定部158は、損失したパケットのシーケンス番号、すなわち損失パケット番号を特定する。
【0082】
ステップS53の処理の後、処理はステップS54に進む。
【0083】
ステップS54において、状態測定部158は、データパケットの送信時刻および受信時刻、並びにシーケンス番号を、パケット生成部159に供給する。なお、ステップS53において、損失パケット番号を取得していた場合、この損失パケット番号もともに、パケット生成部159に供給する。パケット生成部159は、状態測定部158から供給された情報を含む応答パケットを生成し、この応答パケットをパケット送信部160に供給する。ステップS53で損失パケット番号が取得されていなかった場合、応答パケットには、データパケットの送信時刻および受信時刻、並びにシーケンス番号が含まれ、ステップS53で損失パケット番号が取得されていた場合、応答パケットには、データパケットの送信時刻および受信時刻、シーケンス番号、並びに損失パケット番号が含まれる。その後、処理はステップS55に進む。
【0084】
ステップS55において、パケット送信部160は、パケット生成部159から供給された応答パケットを、ネットワーク10を介して、画像送信装置11に送信する。なお、パケット送信部160は、応答パケットを送信する直前に、内蔵する内部時計から現在時刻を取得し、この現在時刻を、応答パケットの送信時刻として、パケットヘッダに記録する。
【0085】
その後、処理はステップS51に戻り、ステップS51以降の処理が繰り返される。
【0086】
以上のようにして、画像受信装置13から画像送信装置11に対して、応答パケットが送信される。
【0087】
画像送信装置11は、画像受信装置13から受信した応答パケットに基づいて、データパケットの送信レートを制御する。
【0088】
次に、図8のフローチャートを参照して、画像送信装置11のレート制御処理、すなわち、データパケットの送信レートの制御について説明する。
【0089】
ステップS101において、制御部102は、パケット受信部107を監視し、パケット受信部107が応答パケットを受信するまで待機する。そして、パケット受信部107が応答パケットを受信したとき、処理はステップS102に進む。なお、パケット受信部107は、受信した応答パケットの受信時刻を、内蔵する内部時計から取得しておく。
【0090】
ステップS102において、パケット受信部107は、受信した応答パケット、および取得した応答パケットの受信時刻を、レート算出部131に供給する。レート算出部131は、受信した応答パケットのRTTを算出する。
【0091】
なお、RTTは、画像送信装置11から送信されたデータパケットが画像受信装置13により受信されるまでの時間(この時間をT1とする)と、画像受信装置13から送信された応答パケットが画像送信装置11により受信されるまでの時間(この時間をT2とする)の和(T1+T2)として求められる。時間T1は、データパケットの受信時刻からデータパケットの送信時刻を引き算して求められる。また、時間T2は、応答パケットの受信時刻から応答パケットの送信時刻を引き算して求められる。
【0092】
ステップS102の処理の後、ステップS103において、レート算出部131は、受信した応答パケットから、損失パケット番号を読み出し、損失パケット番号に基づいて、単位時間あたりのパケットロス率を算出する。
【0093】
ステップS103の処理の後、ステップS104において、レート算出部131は、理想的な送信レートTを算出する。送信レートの算出方法には、例えば、TFRC(TCP-Friendly Rate Control)を利用することができる。なお、TFRCについては、S.Floyd,M.Handley,J.Pandhye and J.Widmer,“Equation-Based Congestion Control for Unicast Applications”,Proceedings of ACM SIGCOMM 2000,May 2000に詳細な説明がある。TFRCにおいては、パケットロス率とRTTを利用して、画像送信装置11からデータパケットを送信する理想的な送信レートを、以下の式(この式を式(1)とする)により予測する。
【0094】
【数1】
Figure 2004193990
【0095】
式(1)において、Tは理想的な送信レート、sはパケットサイズ、pはパケットロス率、tはTCP(Transmission Control Protocol)のタイムアウト時間(通常は、RTTの4倍)である。レート算出部131は、式(1)により、送信レートTを算出した後、算出した送信レートTを、レート判定部132に通知する。その後、処理はステップS105に進む。
【0096】
送信レートは、予めその下限および上限が設定されている。ここでは、例えば、最低使用帯域Tminは2.5Mbpsに、最高使用帯域Tmaxは30Mbpsに設定されているとする。ステップS105において、レート判定部132は、ステップS104で算出された送信レートTが、Tminより小さいか否かを判定し、ステップS104で算出された送信レートTが、Tminより小さい場合、処理はステップS106に進む。
【0097】
ステップS106において、レート判定部132は、送信レートを、ステップS104で算出された値から、Tminに置き換える。これ以降、レート判定部132は、Tminの値をTとして、以降の処理を実行する。ステップS106の処理の後、処理はステップS108に進む。
【0098】
ステップS105において、レート判定部132が、ステップS104で算出された送信レートTは、Tminより小さくない(ステップS104で算出された送信レートTは、Tmin以上である)と判定した場合、処理はステップS107に進む。
【0099】
レート判定部132は、前回のレート制御処理において設定した送信レートTを記憶している。ここで、前回のレート制御処理において設定した送信レートTをT'とする。ステップS107において、レート判定部132は、ステップS104で算出された送信レートTは、前回値T'より大きいか否かを判定し、ステップS104で算出された送信レートTが、前回値T'より大きくない(ステップS104で算出された送信レートTは前回値T'以下である)と判定した場合、処理はステップS108に進む。
【0100】
ステップS108において、レート判定部132は、ステップS104で算出された送信レートTは、前回値T'より小さいか否かを判定し、ステップS104で算出された送信レートTが、前回値T'より小さい場合、処理はステップS109に進む。
【0101】
ステップS109において、レート判定部132は、動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させるように要求する。
【0102】
ステップS108において、レート判定部132が、ステップS104で算出された送信レートTが、前回値T'より小さくない(ステップS104で算出された送信レートTは前回値T'以上である)と判定した場合、ステップS109の処理はスキップされ、処理はステップS113に進む。
【0103】
ステップS107に戻り、レート判定部132が、ステップS104で算出された送信レートTは、前回値T'より大きいと判定した場合、処理はステップS110に進む。
【0104】
ステップS110において、レート判定部132は、ステップS104で算出された送信レートTが、Tmaxより大きいか否かを判定し、ステップS104で算出された送信レートTが、Tmaxより大きい場合、処理はステップS111に進む。
【0105】
ステップS111において、レート判定部132は、送信レートを、ステップS104で算出された値から、Tmaxに置き換える。これ以降、レート判定部132は、Tmaxの値をTとして、以降の処理を実行する。ステップS111の処理の後、処理はステップS112に進む。
【0106】
ステップS110において、レート判定部132が、ステップS104で算出された送信レートTは、Tmaxより大きくない(ステップS104で算出された送信レートTは、Tmax以下である)と判定した場合、ステップS111の処理はスキップされ、処理はステップS112に進む。
【0107】
ステップS112において、レート判定部132は、動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させるように要求する。その後、処理はステップS113に進む。
【0108】
ステップS113において、レート判定部132は、現在設定されている送信レートTを、次回のレート制御処理の前回値T'として利用するために、記憶する。その後、処理はステップS101に戻り、ステップS101以降の処理が繰り返される。
【0109】
以上のようなレート制御処理により、レート判定部132から、動き成分算出部121に対して、送信レートの増加、または減少が要求される。
【0110】
エンコード制御部104は、動き成分算出部121に対して、以上のようなレート判定部132からの要求があった場合、符号化する動画データのフレームレート、または画質を調整して、送信レートを調整する。
【0111】
次に、図9および図10のフローチャートを参照して、画像送信装置11の符号化制御処理について説明する。
【0112】
動画データの符号化開始当初のフレームレートおよび画質は、予め所定の値に設定されており、図9のステップS151において、エンコード制御部104のパラメータ設定部122は、フレームレートおよび画質を、予め設定されている初期値に設定する。
【0113】
ステップS152において、動き成分算出部121は、レート判定部132から、送信レートを減少させるように要求があったか否かを判定し、レート判定部132から、送信レートを減少させるように要求があった場合、処理はステップS153に進む。
【0114】
ステップS153において、動き成分算出部121は、符号化する動画データの動き成分を算出する。動き成分は、例えば、現在エンコーダ123が符号化しようとしているフレームと、エンコーダ123が符号化した直後のフレームとのPSNR(Peak Signal to Noise Ration)を算出することにより求められる。PSNRは、符号化された画像の画質を符号化前の画像と比較するための指標として用いられるものであり、以下の式(以下の式を式(2)とする)により、算出される。
【0115】
【数2】
Figure 2004193990
【0116】
式(2)において、Nは符号化する動画データのフレームの縦の画素数であり、Mは符号化する動画データのフレームの横の画素数であり、p(i,j)は、符号化前のフレームの座標(i,j)の画素値であり、p'(i,j)は、符号化後のフレームの座標(i,j)の画素値である。なお、iは、1≦i≦Mの整数であり、jは、1≦j≦Nの整数である。また、Tは、動画データの階調数から1を減じた値で、例えば、階調数が8bppであった場合、2の8乗から1引いた値、すなわち255となる。
【0117】
式(2)により、符号化前のフレームと符号化後のフレームが、どの程度、似通った画像であるのかが分かる。すなわち、PSNRが大きい値であるほど、2つの画像は似ている。従って、PSNRが予め設定された所定の値(例えば20db)より大きかった場合、動き成分が少ないと判定し、PSNRが予め設定された所定の値より小さかった場合、動き成分が多いと判定することができる。
【0118】
なお、動き成分の算出方法は、上記の方法に限定されるものではなく、その他の方法により算出しても良い。例えば、符号化する連続した2つのフレームの全画素を比較しても良い。この場合、予め設定された所定の割合(例えば50%)以上の画素の画素値が一致した場合、動き成分が少ないと判定し、予め設定された所定の割合以下の画素の画素値しか一致しなかった場合、動き成分が多いと判定する。
【0119】
ステップS153において、動き成分算出部121が、動き成分を算出した後、動き成分算出部121は、パラメータ設定部122に対して、算出したPSNR値を供給する。その後、処理はステップS154に進む。
【0120】
ステップS154において、パラメータ設定部122は、動き成分算出部121から供給されたPSNR値が、予め設定された所定の基準値(例えば20db)より小さいか否かを判定することにより、動き成分が多いか否かを判定し、動き成分算出部121から供給された値PSNRが、予め設定された所定の基準値より小さい場合、動き成分が多いと判定し、処理はステップS155に進む。
【0121】
ステップS155において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理は後述するステップS160に進む。
【0122】
ステップS155において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS156に進む。
【0123】
ステップS156において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理はステップS157に進む。
【0124】
ステップS157において、パラメータ設定部122は、フレームレートの設定値を、現在、エンコーダ123により符号化される動画データの、符号化時のフレームレートの設定値より低い所定の値に低下させる。図11は、フレームレートを減少させる方法を概念的に表したものである。
【0125】
図11において、「入力データのフレーム」の記載の右側には、映像入力部103から入力される動画データの、連続した8個のフレームが、「F1」、「F2」、「F3」、「F4」、「F5」、「F6」、「F7」、および「F8」として示されている。映像入力部103から入力される動画データのフレームレートを1/2に落とす場合、映像入力部103から入力される動画データのフレームから、フレームを1個おきに選択し、これを符号化するフレームとする。図11の「エンコードフレーム」の記載の右側に、符号化するフレームとして選択されたフレーム、すなわち「F1」、「F3」、「F5」、および「F7」が示されている。図11に示されるように、映像入力部103から入力されたフレームから、1個おきに、符号化するフレームが選択されている。このように、映像入力部103から入力されたフレームから、所定の間隔でフレームを間引くことにより、フレームレートを調整することができる。
【0126】
ステップS157の処理の後、処理はステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0127】
ステップS156において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0128】
ステップS154に戻って、パラメータ設定部122が、動き成分算出部121から供給されたPSNR値は、予め設定された所定の基準値より小さくない(動き成分算出部121から供給されたPSNR値は、予め設定された所定の基準値以上である)と判定した場合、動き成分が多くないと判定し、処理はステップS158に進む。
【0129】
ステップS158において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理はステップS157に進み、上述した、ステップS157以降の処理が実行される。
【0130】
ステップS158において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS159に進む。
【0131】
ステップS159において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理はステップS160に進む。
【0132】
ステップS160において、パラメータ設定部122は、画質の設定値を、現在、エンコーダ123により符号化される動画データの、符号化時の画質の設定値より低い所定の値に低下させる。その後、処理はステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0133】
ステップS159において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0134】
ステップS152に戻って、動き成分算出部121が、レート判定部132から、送信レートを減少させるようにとの要求はなかったと判定した場合、処理は図10のステップS161に進む。
【0135】
ステップS161において、動き成分算出部121は、レート判定部132から、送信レートを増加させるように要求があったか否かを判定し、レート判定部132から、送信レートを増加させるように要求があった場合、処理はステップS162に進む。
【0136】
ステップS162において、動き成分算出部121は、符号化する動画データのPSNR値を算出する。ステップS162の処理は、ステップS153の処理と同様であるため、詳細な説明は省略する。
【0137】
ステップS162おいて、動き成分算出部121が、PSNR値を算出した後、動き成分算出部121は、パラメータ設定部122に対して、算出したPSNR値を供給する。その後、処理はステップS163に進む。
【0138】
ステップS163において、パラメータ設定部122は、動き成分算出部121から供給されたPSNR値が、予め設定された所定の基準値(例えば20db)より小さいか否かを判定することにより、動き成分が多いか否かを判定し、動き成分算出部121から供給されたPSNR値が、予め設定された所定の基準値より小さくなかった(動き成分算出部121から供給された動き成分の値PSNRが、予め設定された所定の基準値以上だった)場合、動き成分は多くないと判定し、処理はステップS164に進む。
【0139】
ステップS164において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最高値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理は後述するステップS169に進む。
【0140】
ステップS164において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最高値であると判定した場合、処理はステップS165に進む。
【0141】
ステップS165において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最高値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理はステップS166に進む。
【0142】
ステップS166において、パラメータ設定部122は、フレームレートの設定値を、現在、エンコーダ123により符号化される動画データの、符号化時のフレームレートの設定値より高い所定の値に増加させる。その後、処理は図9のステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0143】
ステップS165において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最高値であると判定した場合、処理は図9のステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0144】
ステップS163に戻って、パラメータ設定部122が、動き成分算出部121から供給されたPSNR値は、予め設定された所定の基準値より小さいと判定した場合、動き成分は多いと判定し、処理はステップS167に進む。
【0145】
ステップS167において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最高値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理はステップS166に進み、上述した、ステップS166以降の処理が実行される。
【0146】
ステップS167において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最高値であると判定した場合、処理はステップS168に進む。
【0147】
ステップS168において、パラメータ設定部122は、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最高値であるか否かを判定し、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理はステップS169に進む。
【0148】
ステップS169において、パラメータ設定部122は、画質の設定値を、現在、エンコーダ123により符号化される動画データの、符号化時の画質の設定値より高い所定の値に向上させる。その後、処理はステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0149】
ステップS168において、パラメータ設定部122が、現在、エンコーダ123により符号化されている動画データの、符号化時の画質の設定値が、既に、設定可能な最高値であると判定した場合、処理はステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0150】
ステップS161において、動き成分算出部121が、レート判定部132から、送信レートを増加させるようにとの要求はないと判定した場合、処理は図9のステップS152に戻り、ステップS152以降の処理が繰り返し実行される。
【0151】
以上のようにして、画像送信装置11の符号化制御処理が実行される。
【0152】
以上のような、符号化制御処理により設定されるフレームレートおよび画質の値の遷移について、図12および図13を参照して説明する。
【0153】
図12は、図9のステップS154、または図10のステップS163において、動き成分が多いと判定された場合の、フレームレートおよび画質の設定値の遷移を表し、図13は、図9のステップS154、または図10のステップS163において、動き成分が少ないと判定された場合の、フレームレートおよび画質の設定値の遷移を表している。
【0154】
なお、図12および図13においては、図1と同様、縦軸は、フレームレートを表し、横軸は、エンコード時の、1画素当りに要するビット数を表している。また、図12および図13において、斜線で覆われた範囲が、画像送信装置11が設定可能なフレームレートおよびビット数の範囲である。例えば、画像送信装置11は、フレームレートを5乃至30fpsの間で設定でき、かつ、エンコード時の、1画素当りに要するビット数を0.50乃至1.00bppの間で設定することができるとする。従って、図12および図13において、フレームレートが5乃至30fpsの間であり、かつ、ビット数が0.50乃至1.00bppの間の範囲に、斜線が引かれている。
【0155】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を(フレームレート,ビット数)=(30fps,1.00bpp)に設定して、動画データを送信しているとする。図2の点Aが、(フレームレート,ビット数)=(30fps,1.00bpp)の位置である。点Aにおいては、フレームレートおよびビット数ともに、設定可能な最高値である。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させる要求があった場合(ステップS152でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS153)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS154でYES)、画質(ビット数)はまだ最低値ではないと判定し(ステップS155でNO)、画質(ビット数)を、0.75bppまで低下させる(ステップS160)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Aから点Bの位置に移動する。点Bの位置は、(フレームレート,ビット数)=(30fps,0.75bpp)であり、点Aから点Bに設定を変更することにより、送信レートは3/4に減少する。
【0156】
画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Bの位置に設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させる要求があった場合(ステップS152でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS153)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS154でYES)、画質(ビット数)はまだ最低値ではないと判定し(ステップS155でNO)、画質(ビット数)を、0.50bppまで低下させる(ステップS160)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Bから点Cの位置に移動する。点Cの位置は、(フレームレート,ビット数)=(30fps,0.50bpp)である。点Cにおいては、フレームレートは設定可能な最高値であり、画質は設定可能な最低値である。点Bから点Cに設定を変更することにより、送信レートは2/3に減少する。
【0157】
画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Cの位置に設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させる要求があった場合(ステップS152でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS153)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS154でYES)、画質(ビット数)は既に、可能な設定範囲内の最低値であると判定し(ステップS155でYES)、フレームレートはまだ最低値ではないと判定し(ステップS156でNO)、フレームレートを、15fpsまで低下させる(ステップS157)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Cから点Dの位置に移動する。点Dの位置は、(フレームレート,ビット数)=(15fps,0.50bpp)である。点Dにおいては、画質は設定可能な最低値である。点Cから点Dに設定を変更することにより、送信レートは1/2に減少する。
【0158】
画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Dの位置に設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させる要求があった場合(ステップS152でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS153)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS154でYES)、画質(ビット数)は既に、可能な設定範囲内の最低値であると判定し(ステップS155でYES)、フレームレートはまだ最低値ではないと判定し(ステップS156でNO)、フレームレートを、10psまで低下させる(ステップS157)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Dから点Eの位置に移動する。点Eの位置は、(フレームレート,ビット数)=(10fps,0.50bpp)である。点Eにおいては、画質は設定可能な最低値である。点Dから点Eに設定を変更することにより、送信レートは2/3に減少する。
【0159】
画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Eの位置に設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させる要求があった場合(ステップS152でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS153)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS154でYES)、画質(ビット数)は既に、可能な設定範囲内の最低値であると判定し(ステップS155でYES)、フレームレートはまだ最低値ではないと判定し(ステップS156でNO)、フレームレートを、5psまで低下させる(ステップS157)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Eから点Fの位置に移動する。点Fの位置は、(フレームレート,ビット数)=(5fps,0.50bpp)である。点Fにおいては、フレームレートおよび画質は設定可能な最低値である。点Eから点Fに設定を変更することにより、送信レートは1/2に減少する。
【0160】
画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Fの位置に設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを減少させる要求があった場合(ステップS152でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS153)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS154でYES)、画質(ビット数)は既に、可能な設定範囲内の最低値であると判定し(ステップS155でYES)、フレームレートは既に、可能な設定範囲内の最低値であると判定し(ステップS156でYES)、処理はステップS152に戻る。すなわち、点Fは、フレームレートも画質(ビット数)も既に最低値であり、これ以上、下げられないため、パラメータ設定部122は、点Fのままを維持する。
【0161】
レート判定部132から、送信レートの減少の要求があった場合、動画の動き成分が多いとき、エンコード制御部104は、以上のようにして、まず、可能な範囲で、画質を減少させてゆくことにより、送信レートを減少させ、画質が設定可能な最低値に達してしまったとき、今度は、フレームレートを減少させることにより、送信レートを減少させる。このようにすることにより、動き成分が多い、すなわち、サッカー中継のような変化の激しい画像を送信する場合に、極力、フレームレートを高いまま維持することが可能となる。
【0162】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Fに設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させる要求があった場合(ステップS161でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS162)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS163でYES)、フレームレートはまだ最高値ではないと判定し(ステップS167でNO)、フレームレートを、10fpsまで増加させる(ステップS166)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Fから点Eの位置に移動する。点Fから点Eに設定を変更することにより、送信レートは2倍に増加する。
【0163】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Eに設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させる要求があった場合(ステップS161でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS162)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS163でYES)、フレームレートはまだ最高値ではないと判定し(ステップS167でNO)、フレームレートを、15fpsまで増加させる(ステップS166)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Eから点Dの位置に移動する。点Eから点Dに設定を変更することにより、送信レートは1.5倍に増加する。
【0164】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Dに設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させる要求があった場合(ステップS161でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS162)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS163でYES)、フレームレートはまだ最高値ではないと判定し(ステップS167でNO)、フレームレートを、30fpsまで増加させる(ステップS166)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Dから点Cの位置に移動する。点Dから点Cに設定を変更することにより、送信レートは2倍に増加する。
【0165】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Cに設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させる要求があった場合(ステップS161でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS162)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS163でYES)、フレームレートは既に、設定可能な最高値であると判定し(ステップS167でYES)、画質(ビット数)は、まだ最高値ではないと判定し(ステップS168でNO)、画質(ビット数)を、0.75bppまで増加させる(ステップS169)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Cから点Bの位置に移動する。点Cから点Bに設定を変更することにより、送信レートは1.5倍に増加する。
【0166】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Bに設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させる要求があった場合(ステップS161でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS162)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS163でYES)、フレームレートは既に、設定可能な最高値であると判定し(ステップS167でYES)、画質(ビット数)は、まだ最高値ではないと判定し(ステップS168でNO)、画質(ビット数)を、1.00bppまで増加させる(ステップS169)。その結果、設定されるフレームレートおよび画質(ビット数)は、図12の点Bから点Aの位置に移動する。点Bから点Aに設定を変更することにより、送信レートは4/3に増加する。
【0167】
図12において、例えば、画像送信装置11が、フレームレートおよび1画素当りに要するビット数を点Aに設定して、動画データを送信しているとする。レート判定部132から動き成分算出部121に対して、送信レートを増加させる要求があった場合(ステップS161でYES)、動き成分算出部121は、動き成分の指標となるPSNR値を算出し(ステップS162)、算出結果をパラメータ設定部122に供給する。パラメータ設定部122は、動き成分は多いと判定し(ステップS163でYES)、フレームレートは既に、設定可能な最高値であると判定し(ステップS167でYES)、画質(ビット数)は、既に設定可能な最高値であると判定し(ステップS168でYES)、処理はステップS152に戻る。すなわち、点Aにおいては、フレームレートおよび画質が、既に最高値であり、これ以上、上げることができないので、点Aの位置を維持する。
【0168】
レート判定部132から、送信レートの増加の要求があった場合、動き成分が多いとき、エンコード制御部104は、以上のようにして、まず、可能な範囲で、フレームレートを増加させてゆくことにより、送信レートを増加させ、フレームレートが設定可能な最高値に達してしまったとき、今度は、画質を向上させることにより、送信レートを増加させる。このようにすることにより、動き成分が多い、すなわち、サッカー中継のような変化の激しい画像を送信する場合に、極力、フレームレートを高いまま維持することが可能となる。
【0169】
次に、図13は、動き成分が少ない場合、すなわち、画像に大きな変化がない場合の、フレームレートおよび画質(ビット数)の遷移を表している。
【0170】
図13においては、図12とは異なり、レート判定部132から、送信レートの減少の要求があった場合、エンコード制御部104は、まず、可能な範囲で、フレームレートを減少させてゆく(点A→点B→点C→点D)ことにより、送信レートを減少させ、フレームレートが設定可能な最小値(点D)に達してしまったとき、今度は、画質(ビット数)を低下させてゆく(点D→点E→点F)ことにより、送信レートを減少させる。また、レート判定部132から、送信レートの増加の要求があった場合、エンコード制御部104は、まず、可能な範囲で、画質を向上させてゆく(点F→点E→点D)ことにより、送信レートを増加させ、画質(ビット数)が設定可能な最高値(点D)に達してしまったとき、今度は、フレームレートを増加させてゆく(点D→点C→点B→点A)ことにより、送信レートを増加させる。このようにすることにより、動き成分が少ない、すなわち、変化の少ない画像を送信する場合に、極力、画質を高いまま維持することが可能となる。
【0171】
ところで、以上の説明においては、エンコーダ123が、MPEGの符号化方式により動画データを符号化している場合を例に説明したが、このことは、符号化方式がMPEGに限定されることを意味するものではない。例えば、本発明は、MotionJPEG(Joint Photographic Experts Group)2000の符号化方式に適用することも可能である。
【0172】
次に、本発明を、JPEG2000動画の符号化方式に適用した場合の例について説明する。
【0173】
MPEGが、前後のフレームの違い部分を差分情報として利用して符号化するのに対し、JPEG2000動画においては、フレームの1枚1枚をそれぞれ符号化してから、それらを連続して格納するため、符号化後でも、フレームを間引くことができる。
【0174】
また、JPEG2000動画は階層性を有している。図14は、JPEG2000により階層符号化された1フレーム分のデータの例を表している。図14においては、例として、JPEG2000の階層符号化データが、4つの階層により階層符号化されており、1つの階層分のデータを送信するために5個のパケットを必要とする場合を表している。この場合、4つの階層全体の階層符号化データでは、4×5=20個のパケットを必要とする。
【0175】
図14において、左側の記載「レイヤL1」、「レイヤL2」、「レイヤL3」、および「レイヤL4」は、4つの層を表している。レイヤL1が、最下位の階層であり、レイヤL2、レイヤL3、レイヤL4の順番でより上位の階層になる。
【0176】
図14において、「レイヤL1」、「レイヤL2」、「レイヤL3」、および「レイヤL4」の記載の右側のブロックは、それぞれパケットを表している。すなわち、「P1」、「P2」、「P3」、「P4」、「P5」、「P6」、「P7」、「P8」、「P9」、「P10」、「P11」、「P12」、「P13」、「P14」、「P15」、「P16」、「P17」、「P18」、「P19」、および「P20」と記載された各ブロックは、それぞれが、パケットを表している。
【0177】
図14においては、レイヤL1のデータが、「P1」、「P2」、「P3」、「P4」、および「P5」のパケットに分割され、レイヤL2のデータが、「P6」、「P7」、「P8」、「P9」、および「P10」のパケットに分割され、レイヤL3のデータが、「P11」、「P12」、「P13」、「P14」、および「P15」のパケットに分割され、レイヤL4のデータが、「P16」、「P17」、「P18」、「P19」、および「P20」のパケットに分割されている。
【0178】
JPEG2000においては、レイヤL1のデータのみをデコードして、表示した場合、粗い画像(この画像を画像1と称する)が表示され、レイヤL1とレイヤL2のデータをデコードして、表示した場合、画像1より精細な画像(この画像を画像2と称する)が表示され、レイヤL1、レイヤL2、およびレイヤL3のデータをデコードして、表示した場合、画像2より精細な画像(この画像を画像3と称する)が表示され、レイヤL1、レイヤL2、レイヤL3、およびレイヤL4のデータをデコードして、表示した場合、画像3より精細な画像(この画像を画像4と称する)が表示される。
【0179】
次に、図15は、JPEG2000動画の符号化方式により、動画データを符号化する場合の、画像送信装置11の例を表している。図15の画像送信装置11において、図4の画像送信装置11と同一の部分には、同一の符号を付してある。なお、以下の説明において、図4の画像送信装置11と同一の部分については、詳細な説明は、適宜省略する。
【0180】
図15において、撮像装置12から映像入力部103に入力された動画データは、エンコーダ301、および動き成分算出部311に供給される。エンコーダ301は、映像入力部103から供給される動画データを、JPEG2000動画の符号化方式で符号化し、符号化データを、パケット生成制御部302のパケット生成部313に供給する。
【0181】
パケット生成制御部302は、動き成分算出部311、パラメータ設定部312、およびパケット生成部313により構成される。動き成分算出部311は、レート制御部108のレート判定部132から、送信レートを増加、または減少するように指令された場合、映像入力部103から供給された動画データのフレーム、およびエンコーダ123から供給された符号化された動画データのフレームの変化量を、動き成分量として算出し、算出した動き成分量をパラメータ設定部312に供給する。
【0182】
パラメータ設定部312は、動き成分算出部311から供給された動き成分量に基づいて、パケット生成部313が、パケット化する符号化データのフレームおよびレイヤを設定する。すなわち、パケット生成部313には、エンコーダ301より符号化データが供給される。先にも説明したように、JPEG2000動画においては、符号化後でも、フレーム毎に符号化データを分離することができる。また、図14に示されるように、1フレームの中で、レイヤ単位で、符号化データを分割することができる。そこで、パラメータ設定部312は、パケット生成部313がパケット化すべきフレームを設定するとともに、パケット生成部313が、パケット化すべきレイヤ(以下の説明において、パケット化するレイヤを、パケット化レイヤと称する)を設定する。
【0183】
パケット生成部313は、パラメータ設定部312による設定に従って、エンコーダ301から供給された符号化データから、パケット化すべきフレームだけを抽出し、かつ、そのなかで、パケット化すべきレイヤの符号化データだけを抽出して、抽出した符号化データをパケット化し、生成したデータパケットを、パケット送信部106に供給する。
【0184】
パケット送信部106に供給されたデータパケットは、ネットワーク10を介して、画像受信装置13に送信される。
【0185】
図15の画像送信装置11は、図4の画像送信装置11と同様、図8のフローチャートに示されるレート制御処理を実行する。しかし、図15の画像送信装置11は、図9および図10のフローチャートに示される符号化制御処理は実行せず、代わりに、パケット生成部313によるパケットの生成を制御する。
【0186】
次に、図16および図17のフローチャートを参照して、図15の画像送信装置11のパケット生成制御処理、すなわち、パケット生成部313によるデータパケットの生成の制御について説明する。
【0187】
符号化データのパケット化開始当初のフレームレート、およびパケット化レイヤは、予め所定の値に設定されており、図16のステップS301において、パケット生成制御部302のパラメータ設定部312は、フレームレートおよびパケット化レイヤを、予め設定されている初期値に設定する。
【0188】
ステップS302において、動き成分算出部311は、レート判定部132から、送信レートを減少させるように要求があったか否かを判定し、レート判定部132から、送信レートを減少させるように要求があった場合、処理はステップS303に進む。
【0189】
ステップS303において、動き成分算出部311は、符号化する動画データの動き成分を算出する。動き成分は、例えば、現在エンコーダ301が符号化しようとしているフレームと、エンコーダ301が符号化した直後のフレームとのPSNR値を算出することにより求められる。また、例えば、符号化する連続した2つのフレームの全画素を比較しても良い。
【0190】
ステップS303において、動き成分算出部311が、動き成分を算出した後、動き成分算出部311は、パラメータ設定部312に対して、算出したPSNR値を供給する。その後、処理はステップS304に進む。
【0191】
ステップS304において、パラメータ設定部312は、動き成分算出部311から供給されたPSNR値が、予め設定された所定の基準値より小さいか否かを判定することにより、動き成分が多いか否かを判定し、動き成分算出部311から供給されたPSNR値が、予め設定された所定の基準値より小さい場合、動き成分が多いと判定し、処理はステップS305に進む。
【0192】
ステップS305において、パラメータ設定部312は、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定する。すなわち、パケット化レイヤの設定値は、図14のレイヤL1乃至L4の4つの値があり、ステップS305において、パラメータ設定部312は、現在のパケット化レイヤの設定値が、レイヤL1であるか否かを判定する。その結果、現在のパケット化レイヤの設定値が、まだ、設定可能な最低値(レイヤL1)ではない場合、処理は後述するステップS310に進む。
【0193】
ステップS305において、パラメータ設定部312が、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS306に進む。
【0194】
ステップS306において、パラメータ設定部312は、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定し、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理はステップS307に進む。
【0195】
ステップS307において、パラメータ設定部312は、フレームレートの設定値を、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値より低い所定の値に低下させる。
【0196】
ステップS307の処理の後、処理はステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0197】
ステップS306において、パラメータ設定部312が、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0198】
ステップS304に戻って、パラメータ設定部312が、動き成分算出部311から供給されたPSNR値は、予め設定された所定の基準値より小さくない(動き成分算出部311から供給された動き成分の値PSNRは、予め設定された所定の基準値以上である)と判定した場合、動き成分は少ないと判定し、処理はステップS308に進む。
【0199】
ステップS308において、パラメータ設定部312は、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最低値であるか否かを判定し、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理はステップS307に進み、上述した、ステップS307以降の処理が実行される。
【0200】
ステップS308において、パラメータ設定部312が、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最低値であると判定した場合、処理はステップS309に進む。
【0201】
ステップS309において、パラメータ設定部312は、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最低値(図14のレイヤL1)であるか否かを判定し、現在のパケット化レイヤの設定値が、まだ、設定可能な最低値ではない場合、処理はステップS310に進む。
【0202】
ステップS310において、パラメータ設定部312は、パケット化レイヤの設定値を、現在のパケット化レイヤの設定値より低い値に低下させる。例えば、現在のパケット化レイヤの設定値が、図14のレイヤL3であった場合、パラメータ設定部312は、パケット化レイヤの設定値を、レイヤL2に低下させる。その後、処理はステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0203】
ステップS309において、パラメータ設定部312が、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最低値(図14のレイヤL1)であると判定した場合、処理はステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0204】
ステップS302に戻って、動き成分算出部311が、レート判定部132から、送信レートを減少させるようにとの要求はなかったと判定した場合、処理は図17のステップS311に進む。
【0205】
ステップS311において、動き成分算出部311は、レート判定部132から、送信レートを増加させるように要求があったか否かを判定し、レート判定部132から、送信レートを増加させるように要求があった場合、処理はステップS312に進む。
【0206】
ステップS312において、動き成分算出部311は、符号化する動画データの動き成分の指標となるPSNR値を算出する。ステップS312の処理は、ステップS303の処理と同様である。
【0207】
ステップS312おいて、動き成分算出部311が、動き成分の指標となるPSNR値を算出した後、動き成分算出部311は、パラメータ設定部312に対して、算出したPSNR値を供給する。その後、処理はステップS313に進む。
【0208】
ステップS313において、パラメータ設定部312は、動き成分算出部311から供給されたPSNR値が、予め設定された所定の基準値より小さいか否かを判定することにより、動き成分が多いか否かを判定し、動き成分算出部311から供給された動き成分の値PSNRが、予め設定された所定の基準値より小さくなかった(動き成分算出部311から供給された動き成分の値PSNRが、予め設定された所定の基準値以上だった)場合、動き成分は少ないと判定し、処理はステップS314に進む。
【0209】
ステップS314において、パラメータ設定部312は、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最高値(図14のレイヤL4)であるか否かを判定し、現在のパケット化レイヤの設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理は後述するステップS319に進む。
【0210】
ステップS314において、パラメータ設定部312が、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最高値(図14のレイヤL4)であると判定した場合、処理はステップS315に進む。
【0211】
ステップS315において、パラメータ設定部312は、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最高値であるか否かを判定し、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理はステップS316に進む。
【0212】
ステップS316において、パラメータ設定部312は、フレームレートの設定値を、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値より高い所定の値に増加させる。その後、処理は図16のステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0213】
ステップS315において、パラメータ設定部312が、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最高値であると判定した場合、処理は図16のステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0214】
ステップS313に戻って、パラメータ設定部312が、動き成分算出部311から供給されたPSNR値は、予め設定された所定の基準値より小さいと判定した場合、動き成分は多いと判定し、処理はステップS317に進む。
【0215】
ステップS317において、パラメータ設定部312は、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、既に、設定可能な最高値であるか否かを判定し、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値が、まだ、設定可能な最高値ではない場合、処理はステップS316に進み、上述した、ステップS316以降の処理が実行される。
【0216】
ステップS317において、パラメータ設定部312が、現在、パケット生成部313によりパケット化されている符号化データの、パケット化時のフレームレートの設定値は、既に、設定可能な最高値であると判定した場合、処理はステップS318に進む。
【0217】
ステップS318において、パラメータ設定部312は、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最高値(図14のレイヤL4)であるか否かを判定し、現在のパケット化レイヤの設定値が、まだ、設定可能な最高値(図14のレイヤL4)ではない場合、処理はステップS319に進む。
【0218】
ステップS319において、パラメータ設定部312は、パケット化レイヤの設定値を、現在のパケット化レイヤの設定値より高い所定の値に向上させる。例えば、現在のパケット化レイヤの設定値が、レイヤL3であった場合、パラメータ設定部312は、パケット化レイヤの設定値を、レイヤL4に向上させる。その後、処理は図16のステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0219】
ステップS318において、パラメータ設定部312が、現在のパケット化レイヤの設定値が、既に、設定可能な最高値(図14のレイヤL4)であると判定した場合、処理は図16のステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0220】
ステップS311において、動き成分算出部311が、レート判定部132から、送信レートを増加させるようにとの要求はないと判定した場合、処理は図16のステップS302に戻り、ステップS302以降の処理が繰り返し実行される。
【0221】
以上のようにして、図15の画像送信装置11の符号化制御処理が実行される。
【0222】
JPEG2000動画においては、符号化後でも、フレーム毎に符号化データを分離することができ、また、符号化後でも、パケット化レイヤの設定により、画質の調整をすることができる。そのため、エンコーダ301に対して、符号化の制御を行なう必要がない。従って、図18に示されるように、JPEG2000動画の符号化データを予め記録した記録媒体351を、画像送信装置11に装着し、記録媒体351から符号化データを読み出して、パケット化するようにしても良い。図18の画像送信装置11は、図15の画像送信装置11における映像入力部103およびエンコーダ301を消去し、代わりに、JPEG2000動画により符号化された符号化データが記録された記録媒体351が装着されている。なお、図18の画像送信装置11の場合、動き成分算出部311は、記録媒体351から、連続する2フレーム分の符号化データを読み出し、よみだした2フレームから、動き成分の指標となるPSNR値を算出する。
【0223】
以上のようにしてもよい。
【0224】
なお、本発明は、実時間ストリーミングに適用することも可能である。
【0225】
また、以上の説明においては、動き成分算出部311により算出された動き成分量に基づいて、フレームレートを優先的に変更するか、画質を優先的に変更するかを決定していたが、予め動画データに、フレームレートを優先的に変更するか、画質を優先的に変更するかを示すメタデータを付加しておき、送信レートを変更する際には、このメタデータを参照して、フレームレート、または画質を変更するようにしても良い。
【0226】
すなわち、動画を元に、動きの多い、少ないを推測するのではなく、予め動画データに、フレームレート優先か、画質優先かを示すフラグを、メタデータとして動画データとともに記録しておく。この場合、メタデータを参照して、フレームレートおよび画質の設定を行なえばよい。なお、報道番組のような画質優先の動画の中に、スポーツニュースのようなフレームレート優先の動画が挿入される場合など、画質優先とフレームレート優先が切り替わる場合には、切り替わるタイミングで、新たなメタデータを動画データに埋め込めばよい。さらには、全てのフレームに、メタデータを埋め込んでおいても良い。
【0227】
また、符号化方式としてJPEG2000動画を採用した、図15および図18の画像送信装置11の場合、ROI(Region Of Interest)を指定して、特定領域の画質を向上させることもできる。すなわち、例えば、フレームレートを高い値に保ち、先に画質から落としてゆく場合でも、ROIの指定範囲内だけは、高画質に保つというようにしても良い。さらに、JPEG2000動画の場合、送信するレイヤを設定することにより、1つの符号化データから、複数の異なる画質のデータを容易に取り出すことが出来る。従って、複数の画像受信装置13に対して、異なる画質でのストリーミングを実行することも可能となる。
【0228】
また、以上の説明においては、動き成分量(の指標となるPSNR値)の算出は、送信レートを下げる要求、または上げる要求があった場合に行っているが、動き成分量(の指標となるPSNR値)は、定常的に算出しておき、送信レートを下げる要求、または上げる要求があった場合、過去に算出された動き成分量(の指標となるPSNR値)の履歴を用いて、フレームレートと画質のいずれを優先的に設定するかを決定しても良い。
【0229】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるが、ソフトウェアにより実行させることもできる。一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータ、または、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行させることが可能な、例えば汎用のパーソナルコンピュータなどに記録媒体からインストールされる。
【0230】
図19は、画像送信装置11、または画像受信装置13をソフトウェアにより実現する場合の情報処理装置の一実施の形態の構成を示している。パーソナルコンピュータ400のCPU401は、パーソナルコンピュータ400の動作の全体を制御する。また、CPU401は、バス404および入出力インタフェース405を介してユーザからキーボードやマウスなどからなる入力部406から指令が入力されると、それに対応してROM(Read Only Memory)402に格納されているプログラムを実行する。あるいはまた、CPU401は、ドライブ410に接続された磁気ディスク421、光ディスク422、光磁気ディスク423、または半導体メモリ424から読み出され、記憶部408にインストールされたプログラムを、RAM(Random Access Memory)403にロードして実行する。これにより、上述した画像送信装置11、または画像受信装置13の機能が、ソフトウェアにより実現されている。さらに、CPU401は、通信部409を制御して、外部と通信し、データの授受を実行する。また、入出力インタフェース405には、ディスプレイやスピーカなどにより構成される出力部407も接続されている。
【0231】
プログラムが記録されている記録媒体は、図19に示すように、コンピュータとは別に、ユーザにプログラムを提供するために配布される、プログラムが記録されている磁気ディスク421(フレキシブルディスクを含む)、光ディスク422(CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk)を含む)、光磁気ディスク423(MD(Mini-Disc)を含む)、もしくは半導体メモリ424などよりなるパッケージメディアにより構成されるだけでなく、コンピュータに予め組み込まれた状態でユーザに提供される、プログラムが記録されているROM402や、記憶部408に含まれるハードディスクなどで構成される。
【0232】
尚、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、記載された順序に沿って時系列的に行われる処理は、もちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的あるいは個別に実行される処理を含むものである。
【0233】
また、本明細書において、システムとは、複数の装置により構成される装置全体を表すものである。
【0234】
【発明の効果】
以上のように、第1の本発明によれば、ネットワークを介して、情報を送受信することができる。また、第1の本発明によれば、ネットワークの状態の変化に対応して、最適なデータを送受信することができる。
【0235】
第2の本発明によれば、ネットワークを介して、情報を送信することができる。また、第2の本発明によれば、ネットワークの状態の変化に対応して、最適なデータを送信することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】従来の動画データの送信におけるフレームレートおよび画質の調整を説明するための図である。
【図2】従来の動画データの送信におけるフレームレートおよび画質の調整を説明するための他の図である。
【図3】本発明を適用した情報処理システムの構成例を示すブロック図である。
【図4】画像送信装置の構成例を示すブロック図である。
【図5】画像受信装置の構成例を示すブロック図である。
【図6】画像送信装置の画像送信処理、および画像受信装置の画像受信処理を説明するフローチャートである。
【図7】画像受信装置の確認応答処理を説明するフローチャートである。
【図8】画像送信装置のレート制御処理を説明するフローチャートである。
【図9】画像送信装置の符号化制御処理を説明するフローチャートである。
【図10】画像送信装置の符号化制御処理を説明する、図9に続くフローチャートである。
【図11】フレームレートの調整について説明する図である。
【図12】本発明の動画データの送信におけるフレームレートおよび画質の調整を説明するための図である。
【図13】本発明の動画データの送信におけるフレームレートおよび画質の調整を説明するための他の図である。
【図14】JPEG2000動画の階層構造を説明する図である。
【図15】画像送信装置の構成例を示す他のブロック図である。
【図16】図15の画像送信装置のパケット生成処理を説明するフローチャートである。
【図17】図15の画像送信装置のパケット生成処理を説明する、図16に続くフローチャートである。
【図18】画像送信装置の構成例を示す、さらに他のブロック図である。
【図19】本発明を適用したコンピュータの一実施の形態の構成例を示すブロック図である。
【符号の説明】
10 ネットワーク, 11 画像送信装置, 12 撮像装置, 13 画像受信装置, 14 表示装置, 101 操作部, 102 制御部, 103 映像入力部, 104 エンコード制御部, 105 パケット生成部, 106 パケット送信部, 107 パケット受信部, 108 レート制御部, 121 動き成分算出部, 122 パラメータ設定部, 123 エンコーダ, 131 レート算出部, 132 レート判定部, 151 操作部,152 制御部, 153 パケット受信部, 154 データ再構成部, 155 デコーダ, 156 記憶部, 157 ビデオ出力部, 158 状態測定部, 159 パケット生成部, 160 パケット送信部, 301 エンコーダ, 302 パケット生成制御部, 311 動き成分算出部, 312 パラメータ設定部, 313 パケット生成部, 401 CPU, 421 磁気ディスク, 422 光ディスク, 423 光磁気ディスク, 424 半導体メモリ

Claims (8)

  1. 動画データを送受信する第1の情報処理装置および第2の情報処理装置から構成される情報処理システムにおいて、
    前記第1の情報処理装置は、
    ネットワークを介して、前記第2の情報処理装置に動画データを送信する送信手段と、
    前記ネットワークの帯域の状態に基づいて、前記動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択手段と、
    前記選択手段により前記送信レートの増加、または減少が選択された場合、前記動画データの動き成分量に基づいて、前記送信手段により送信される前記動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定手段と
    を備え、
    前記第2の情報処理装置は、
    前記第1の情報処理装置から前記動画データを受信する受信手段を備える
    ことを特徴とする情報処理システム。
  2. ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する送信手段と、
    前記ネットワークの帯域の状態に基づいて、前記動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択手段と、
    前記選択手段により前記送信レートの増加、または減少が選択された場合、前記動画データの動き成分量に基づいて、前記送信手段により送信される前記動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定手段と
    を備えることを特徴とする情報処理装置。
  3. 前記動画データの前記動き成分量を算出する算出手段をさらに備え、
    前記設定手段は、前記算出手段により算出された前記動き成分量に基づいて、前記送信手段により送信される前記動画データの前記フレームレートおよび前記画質を設定する
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  4. 前記設定手段は、
    前記選択手段により前記送信レートの減少が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より大きい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記画質を低下させ、
    前記選択手段により前記送信レートの減少が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より小さい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記フレームレートを減少させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  5. 前記設定手段は、
    前記選択手段により前記送信レートの増加が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より大きい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記フレームレートを増加させ、
    前記選択手段により前記送信レートの増加が選択され、かつ、前記動き成分量が、予め設定された所定の基準値より小さい場合、前記送信手段により送信される前記動画データの前記画質を向上させる
    ことを特徴とする請求項2に記載の情報処理装置。
  6. ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する送信ステップと、
    前記ネットワークの帯域の状態に基づいて、前記動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択ステップと、
    前記選択ステップの処理により前記送信レートの増加、または減少が選択された場合、前記動画データの動き成分量に基づいて、前記送信ステップの処理により送信される前記動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定ステップと
    を含むことを特徴とする情報処理方法。
  7. ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する情報処理装置用のプログラムであって、
    前記ネットワークの帯域の状態に基づいて、前記動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択ステップと、
    前記選択ステップの処理により前記送信レートの増加、または減少が選択された場合、前記動画データの動き成分量に基づいて、前記他の情報処理装置に送信される前記動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定ステップと
    を含むことを特徴とするコンピュータが読み取り可能なプログラムが記録されている記録媒体。
  8. ネットワークを介して、他の情報処理装置に動画データを送信する情報処理装置を制御するコンピュータに、
    前記ネットワークの帯域の状態に基づいて、前記動画データの送信レートの増加、減少、または維持を選択する選択ステップと、
    前記選択ステップの処理により前記送信レートの増加、または減少が選択された場合、前記動画データの動き成分量に基づいて、前記他の情報処理装置に送信される前記動画データのフレームレートおよび画質を設定する設定ステップと
    を実行させることを特徴とするプログラム。
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