JP2004193896A - Cdma方式携帯電話機 - Google Patents

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満 谷川
Hitoshi Tsuchiya
等 土屋
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Abstract

【課題】アンテナにて送信帯域と受信帯域との利得に差がある場合においても、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時の位置登録や音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うCDMA方式携帯電話機を提供する。
【解決手段】基地局から受信した信号のレベルに応じて送信信号の送信レベルを決定する場合には、利得情報テーブル100より送信用の周波数の利得と受信信号の周波数の利得から利得差を算出し、受信信号のレベルに応じて決定された送信レベルに対して、前記利得差を用いて補正を行い、補正された送信レベルにて信号を送信する。これにより、CDMA方式携帯電話機1は、送信帯域と受信帯域にて利得差がある場合でも、基地局が期待するレベルにて信号を送信することができるため、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うことができる。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、符号分割多元接続方式を利用した携帯電話機に関する。
【0002】
【従来の技術】
符号分割多元接続方式(Code Division Multiple Access、以下、「CDMA方式」という)とは、複数の携帯電話機が同一の周波数を用いて、同時に通信を行うことができる方式である。そのため、CDMA方式携帯電話機は、送信電力制御と呼ばれる制御方法を用いて、基地局へ送信する送信信号のレベルが、同一周波数を利用する他のCDMA方式携帯電話機が送信する送信信号レベルと基地局のアンテナ端で同じレベルとなるよう制御している。なぜなら、CDMA方式携帯電話機の送信信号のレベルが、基地局のアンテナ端で同一周波数を利用する他のCDMA方式携帯電話機の送信信号のレベルより高いレベルとなる場合では、他のCDMA方式携帯電話機の通信に対して、妨害になるという不具合が生じることが考えられ、低いレベルとなる場合では、基地局まで電波が届かず通信が確立できないためである。
【0003】
前記送信電力制御は、通信中においては、各CDMA方式の携帯電話機は、基地局からの指示により、細かく送信信号レベルを制御している。この制御方法は、閉ループ送信電力制御方法と呼ばれている。
また、前記送信電力制御は、CDMA方式携帯電話機への電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時の位置登録や、基地局と携帯電話機間での音声及びデータの送受信が確立するまでの間は、端末からの送信信号レベルは基地局からの指示による細かい制御に従って決められるのではなく、端末が検出した受信信号レベルに応じて送信信号のレベルを決めて基地局に送信する。これは、基地局と端末との間での電波の減衰が送信帯域と受信帯域で等しいという考えに基き、送信信号レベルを制御している。この制御方法は、開ループ送信電力制御方法と呼ばれている。
【0004】
前記閉ループ送信電力制御方法及び前記開ループ送信電力制御方法は、CDMA方式携帯自動車電話システムにおけるARIB規格にて、定められている。
開ループ送信電力制御方法の場合での、信号受信から信号送信までの流れの概要を以下に説明する。
基地局は、多くの情報を含んだ一定レベルの信号を送信している。端末側は、前記信号を受信し、受信した信号の周波数に対して、予め対応付けられている送信用の周波数を算出する。また、ARIB規格にて定められた算出式に基いて、受信した信号のレベルから送信信号のレベルを決定する。決定された送信信号レベルと算出された送信用の周波数に基いて、基地局へ信号を送信する。
【0005】
従来、CDMA方式の携帯電話機内部では、受信した信号をアンテナ端に到達した信号レベルと異なるレベルで認識している。これは、電話機のアンテナが利得を持っているためである。従来のCDMA方式の携帯電話機における周波数特性は、受信帯域の利得と送信帯域の利得との差はほとんど見られない。そのため、端末内部にて認識した受信信号のレベルから従来の方法にて送信信号のレベルを決定しても、誤差は少なく、基地局が期待するレベルで送信することができる。
【0006】
しかしながら、CDMA方式の携帯電話機の中には、デュアルモードやトリプルモード等といった複数の通信モードを持ち、一本のアンテナで広帯域をカバーする端末があるが、広帯域に均一の性能を確保することは難しく少なからず送信帯域の利得と受信帯域の利得との差は生じる。また、CDMA方式の携帯電話機にて、アンテナの内蔵化の要望がある。内蔵のアンテナでは、基本的に利用できる帯域が狭いため、送信帯域と受信帯域との利得に差が生じる。送信帯域と受信帯域との利得に差が生じる場合の一例として、内蔵アンテナにおける周波数特性を図9に示す。
【0007】
この例では、受信帯域として、1477MHzから1501MHzの周波数を利用している。送信用の周波数は、受信した周波数と対応付けられており、この例では、受信した周波数から48MHzを減算することで決定される。例えば、受信した周波数が1477MHzである場合には、1429MHzとなる。そのため、送信帯域は、1429MHzから1453MHzとなる。
【0008】
図9にて示されるように受信帯域と送信帯域とを比べると2から5dBの利得差がある。この一例で使用されている送受信の帯域は、CDMA方式携帯電話機で使用する帯域とは異なるが、CDMA方式携帯電話で使用する帯域においても、内蔵アンテナを利用すると送信帯域と受信帯域において利得差が生じてしまう。
【0009】
【非特許文献1】
社団法人 電波産業会 「CDMA方式携帯自動車電話システム 標準規格(ARIB STD−T53 2.0版)」
【0010】
【発明が解決しようとする課題】
送信帯域と受信帯域において利得差が生じている場合に、従来の開ループ送信電力制御方法における送信信号レベルの決定方法を適用すると、利得差は考慮されていないため、基地局が期待するレベルから、利得差分だけずれることになる。そのため、端末から返すレベルが基地局が期待するレベルより低いと基地局へ送信信号が届かないため、通信が確立できず、逆に基地局が期待するレベルより高いと同一周波数を利用する他のCDMA方式携帯電話機の通信に対して妨害になるという不具合が生じることが考えられる。さらには、規格を満たさなくなるという問題も生じる。
【0011】
本発明では、アンテナにて送信帯域と受信帯域との利得に差がある場合においても、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時の位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うCDMA方式携帯電話機を提供することを目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明では、CDMA方式を用いて無線通信を行う携帯電話機であって、受信周波数帯域と送信周波数帯域においてそれぞれ異なる利得特性を有するアンテナと、前記アンテナにおける周波数と利得との関係を示す利得情報を記憶している関係記憶手段と、基地局より送信された電波を前記アンテナを介して受信し、受信した電波の受信レベルと受信周波数を検出する受信手段と、検出した受信周波数に基づいて、送信周波数を決定する周波数決定手段と、決定した前記送信周波数に対応する利得を前記関係記憶手段から取得し、検出した前記受信レベルを取得した利得を用いて補正することにより、送信レベルを決定する送信レベル決定手段と、前記送信周波数において、決定された前記送信レベルの電波を前記アンテナを介して送信する送信手段とを備える。
【0013】
CDMA方式携帯電話機は、基地局から受信した信号のレベルに応じて送信信号の送信レベルを決定する場合には、受信信号の周波数から送信用の周波数を決定し、受信した信号のレベルを決定された送信用周波数の利得を用いて補正を行うことで送信レベルを決定し、決定された送信レベルにて信号を送信する。これにより、前記CDMA方式携帯電話機は、基地局からの受信信号レベルに応じて送信信号レベルを決める場合に、送信帯域と受信帯域にて利得差がある場合でも、基地局が期待するレベルにて信号を送信することができるため、位置登録、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うことができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明に係る実施の形態としてのCDMA方式携帯電話機1について説明する。
1.CDMA方式携帯電話機1の構成
ここでは、CDMA方式携帯電話機1の構成について説明する。
【0015】
CDMA方式携帯電話機1は、図1に示すように、補正値記憶部10、制御部11、送信レベル制御部12、アンテナ部13、無線部14、信号処理部15、マイク部16及びスピーカー部17から構成されている。
CDMA方式携帯電話機1は、具体的には、マイクロプロセッサ、ROM、RAM、ディスプレイユニットなどから構成されるコンピュータシステムである。前記ROMには、コンピュータプログラムが記憶されている。前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作することにより、CDMA方式携帯電話機1は、その機能を達成する。
【0016】
また、CDMA方式携帯電話機1は、図示していないが上記の構成の他に電話帳機能や日本語変換機能等が格納されたメモリ部、充電可能な二次電池や電源回路部等を有して各部に対して電源を供給する電源部、着信がある旨を知らせるリンガー部、通話、データの入力、データの送信等の操作を行うキー入力部及び電話番号やデータの表示を行う表示部などをも有し、通常のCDMA方式携帯電話機としての動作を行うものとする。
【0017】
(1)補正値記憶部10
補正値記憶部10は、図2に一例として示すように、利得情報テーブル100を有している。
利得情報テーブル100は、第1周波数、第2周波数、単位、種別、第1利得、第2利得とから構成される組を複数個記憶している。
【0018】
第1周波数は、利用帯域内で分割された周波数帯での最小周波数である。
第2周波数は、利用帯域内で分割された周波数帯での最大周波数である。
単位は、周波数の単位を示している。
種別は、第1周波数から第2周波数の範囲内の帯域が送信帯域であるか又は受信帯域であるかを示している。
【0019】
第1利得は、第1周波数に対する利得である。
第2利得は、第2周波数に対する利得である。
なお、周波数帯域は、予め決められており、変更されることはない。さらに利得についても予め決定されており、CDMA方式携帯電話機1の利用中に変化することはない。そのため、利得情報テーブル100に記憶された各組は、CDMA方式携帯電話機1を利用中に変更されない。
【0020】
また、図2に示した一例では、1レコードにおける第1周波数と第2周波数との帯域幅を5MHzとしている。ただし、5MHz幅で区切った場合に、最後の区間にて帯域幅で5MHz未満であったときには、その帯域幅としている。例えば、受信帯域が832.0125MHzから845.9875MHzの範囲では、最後の区間は、842.0125MHzから845.9875MHzと5MHzよりも狭い幅となる。
【0021】
(2)制御部11
制御部11は、具体的にはマイクロプロセッサなどから構成され、CDMA方式携帯電話機1の全体動作の制御を行う。
制御部11は、通信中の場合には、送信する信号の送信レベルを示す送信電力情報を基地局からアンテナ部13を介して受信し、受信した送信電力情報と送信電力情報の周波数とからなる第1受信信号情報を送信レベル制御部12へ出力する。
【0022】
電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録を行う場合には、基地局より位置登録エリアを示すエリア番号からなるエリア情報を受信し、音声及びデータの送受信等の通信の確立を行う場合には、通信の確立を行うための情報からなる通信確立情報をアンテナ部13を介して受信する。受信したエリア情報又は通信確立情報から受信レベル及び周波数を検出する。次に受信したエリア情報又は通信確立情報と、検出された受信レベルと、周波数とからなる第2受信信号情報を送信レベル制御部12へ出力する。また、位置登録を行う場合には位置登録用信号を無線部14へ出力し、通信の確立を行う場合には通信確立用信号を無線部14へ出力する。
【0023】
(3)送信レベル制御部12
送信レベル制御部12は、使用する受信帯域及び送信帯域を記憶しており、送受信帯域を管理している。また、受信した信号の周波数に対して、送信用の周波数は決められており、受信信号の周波数に55MHzを加算することにより、送信用の周波数は算出される。
【0024】
送信レベル制御部12は、制御部11より第1受信信号情報を受け取った場合には、受け取った第1受信信号情報から送信用の周波数を決定し、決定された周波数と、第1受信信号情報の送信電力情報に含まれる送信レベルからなる送信レベル情報を無線部14へ出力する。
送信レベル制御部12は、制御部11より第2受信信号情報を受け取った場合には、受け取った第2受信信号情報から送信用周波数と、標準規格で定められた決定方法に基いて、第2受信信号情報に含まれる受信レベルから補正前送信レベルとを決定する。
【0025】
次に、受信したエリア情報の周波数又は通信確立情報の周波数の利得及び、決定された送信用周波数の利得を算出する。受信したエリア情報の周波数の利得の算出又は通信確立情報の周波数の利得の算出を行う場合には、補正値記憶部10の利得情報テーブル100より、受信したエリア情報又は通信確立情報の周波数が含まれる周波数帯を示す第1周波数と第2周波数、第1利得及び第2利得を取得し、取得した第1周波数、第2周波数、第1利得及び第2利得から、周波数と利得との関係を示す直線式に係る係数を算出する。算出された係数と受信したエリア情報又は通信確立情報の周波数とを用いて、受信したエリア情報又は通信確立情報の周波数の利得の近似値を算出する。送信用周波数の利得も同様の方法で算出する。算出された受信したエリア情報の周波数の利得又は通信確立情報の周波数の利得から送信用周波数の利得を減算することにより、利得差を取得する。
【0026】
補正前送信レベルに算出された利得差を加算して、補正後送信レベルを決定する。決定された送信用の周波数と補正後送信レベルとからなる送信レベル情報を無線部14へ出力する。
(4)アンテナ部13
アンテナ部13は、基地局と信号の送受信を行う。また、受信周波数帯域と送信周波数帯域において異なる利得を有している。
【0027】
通信中においては、基地局より送信電力情報を定期的に受信し、受信した送信電力情報を制御部11へ無線部14を介して出力する。また、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時の位置登録を行う場合には、エリア情報を受信し、受信したエリア情報を制御部11へ無線部14を介して出力する。音声及びデータの送受信等の通信の確立を行う場合には、通信確立情報を受信し、受信した通信確立情報を制御部11へ無線部14を介して出力する。
【0028】
位置登録を行う場合には、無線部14より位置登録用信号を受け取り、基地局へ送信する。音声及びデータの送受信等の通信の確立を行う場合には、無線部14より通信確立用信号を受け取り、基地局へ送信する。
(5)無線部14
無線部14は、アンテナ部13を介して送受信する信号の変復調を行う。信号を送信する場合には、送信レベル制御部12から送信レベル情報を受け取り、受け取った送信レベル情報に含まれる送信レベル及び周波数に基いて信号を送信する。位置登録を行う場合には、制御部11より受け取った位置登録用信号をアンテナ部13を介して基地局へ送信する。音声及びデータの送受信等の通信の確立を行う場合には、制御部11より受け取った通信確立用信号をアンテナ部13を介して基地局へ送信する。
【0029】
(6)信号処理部15
信号処理部15は、マイク部16から入力される音声信号を無線部14を介して送信するための処理又は無線部14を介して受信した信号をスピーカー部17へ出力するための処理を行う。
(7)マイク部16
マイク部16は、入力された音声を音声信号として信号処理部15へ出力する。
【0030】
(8)スピーカー部17
スピーカー部17は、アンテナ部13にて受信した信号を信号処理部15を介して音声として出力する。
2.CDMA方式携帯電話機1の動作
ここでは、CDMA方式携帯電話機1の送信信号の送信レベルを決定する動作について説明する。
【0031】
(1)送信レベル決定通知処理の動作
基地局へ送信する信号の送信レベルを決定する送信レベル決定通知処理の動作について、図3に示す流れ図を用いて説明する。
送信レベル制御部12は、制御部11より第1受信信号情報又は第2受信信号情報を受け取る(ステップS5)。受け取った情報が第1受信信号情報であるか又は第2受信信号情報であるかの判定を行う(ステップS10)。
【0032】
受け取った情報が第1受信信号情報である場合には、第1受信信号情報を用いて、送信レベル及び送信用の周波数を決定し(ステップS15)、決定された送信レベル及び周波数からなる送信レベル情報を無線部14へ出力する(ステップS20)。
受け取った情報が第2受信信号情報である場合には、送信レベル補正処理を行う(ステップS25)。
【0033】
無線部14は、送信レベル制御部12より受け取った送信レベル情報に含まれる送信レベル及び周波数に基いて、位置登録用の信号、通信確立用の信号又はマイク部16から入力された音声信号など基地局へ送信すべき信号を送信する(ステップS30)。
(2)送信レベル補正処理の動作
電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を行う場合に、送信レベル制御部12にて行われる送信レベル補正処理の動作について、図4に示す流れ図を用いて説明する。
【0034】
送信レベル制御部12は、制御部11から受け取った第2受信信号情報を用いて、送信用の周波数と補正前送信レベルとを決定する(ステップS50)。
次に受信信号の周波数の利得を算出し(ステップS55)、次に送信用の周波数の利得を算出する(ステップS60)。ステップS55及びS60にて、算出したそれぞれの利得を用いて利得差を算出する(ステップS65)。
【0035】
ステップS65にて取得した利得差とステップS50にて決定された補正前送信レベルとを用いて、基地局が期待するレベルとなるように送信レベルの補正を行い、補正後送信レベルを決定する(ステップS70)。
決定された補正後送信レベルと送信用周波数からなる送信レベル情報を無線部14へ出力する(ステップS75)。
【0036】
(3)受信信号周波数の利得取得処理の動作
受信信号周波数の利得取得処理の動作について、図5に示す流れ図を用いて説明する。
制御部11から受け取った第2受信信号情報より受信信号の周波数を取得する(ステップS100)。
【0037】
次に補正値記憶部10の利得情報テーブル100から1レコードを取得する(ステップS105)。ステップS100にて取得した受信信号周波数が取得したレコードの第1周波数以上、且つ第2周波数以下であるかどうかを判定する(ステップS110)。範囲内でない場合には、ステップS105へ戻り、次レコードを取得し、処理を繰り返す。範囲内である場合には、取得したレコードにおける第1周波数と第1利得との組と、第2周波数と第2利得との組とを用いて、直線の関係式に係る係数を算出し、算出された係数と受信信号の周波数により受信信号の周波数の利得を算出する(ステップS115)。
【0038】
(4)送信用周波数の利得取得処理の動作
送信用周波数の利得取得処理の動作について、図6に示す流れ図を用いて説明する。
送信レベル補正処理のステップS50にて決定された送信用周波数を取得する(ステップS150)。
【0039】
次に補正値記憶部10の利得情報テーブル100から1レコードを取得する(ステップS155)。ステップS150にて取得した送信用周波数が取得したレコードの第1周波数以上、且つ第2周波数以下であるかどうかを判定する(ステップS160)。範囲内でない場合には、ステップS155へ戻り、次レコードを取得し、処理を繰り返す。範囲内である場合には、取得したレコードにおける第1周波数と第1利得との組と、第2周波数と第2利得との組とを用いて、直線の関係式の係数を算出し、算出された係数と送信用周波数により送信用周波数の利得を算出する(ステップS165)。
【0040】
3.まとめ
以上説明したように本発明によれば、CDMA方式携帯電話機1は、補正値記憶部10を備えることにより、送信信号の送信レベルを基地局から受信した信号のレベルに応じて決定する場合、CDMA方式携帯電話機1のアンテナ部13において受信帯域と送信帯域とで利得差がある条件でも、補正値記憶部10にて記憶されている利得情報テーブル100を用いて送信用周波数と受信信号の周波数との利得差を算出し、送信レベルを補正することで、本来送信すべきレベルにて送信信号を送信することができ、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うことができる。
【0041】
なお、本発明を上記の実施の形態に基いて説明してきたが、本発明は、上記の実施の形態に限定されないのはもちろんである。以下の場合も本発明に含まれる。
(1)上記の実施の形態では、補正値記憶部10にて、記憶されている利得情報テーブルは、1つとしたが、複数のテーブルを記憶してもよい。
【0042】
これにより、利得情報テーブルを切り替えることにより、使用する周波数帯域が異なるそれぞれの地域にて受信帯域と送信帯域とに利得差がある場合においても、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うことができる。
一例として、A地域で使用される帯域での利得情報テーブルとB地域で使用される帯域での利得情報テーブルを記憶している場合について説明する。補正値記憶部10は、図7に一例として示すように、利得情報テーブル(A地域)100a、利得情報テーブル(B地域)100b及び帯域切替情報テーブル100cを記憶している。利得情報テーブル(A地域)100a、利得情報テーブル(B地域)100bの構成は、利得情報テーブル100の構成と同様であるため、説明は省略する。帯域切替情報テーブル100cは、地域IDと、地域と、使用テーブルとから構成される組を複数個記憶している。地域IDは、地域を識別するためのIDである。地域は、地域IDと対応付けられた地域名である。使用テーブルは、地域で使用する利得情報テーブルの名称であり、補正値記憶部10に記憶している利得情報テーブル名と対応付けられている。
【0043】
また、送信レベル制御部12は、使用している利得情報テーブルの名称を記憶しており、送信レベル補正処理を行う場合には、記憶されている利得情報テーブルの名称と対応付けられた利得情報テーブルを使用して利得差を算出する。
利得情報テーブルの切替処理の動作概要について、図8に示す流れ図を用いて説明する。
【0044】
送信レベル制御部12は、図1に図示していないが、CDMA方式携帯電話機1が有しているキー入力部より使用する帯域の切替指示と切替後の地域ID及び地域とを含む切替情報を制御部11を介して受け取る(ステップS200)。受け取った切替情報に含まれる地域IDと補正値記憶部10の帯域切替情報テーブル100cとを用いて、切替後に使用する利得情報テーブル名を決定し、記憶している利得情報テーブル名称の変更を行う(ステップS205)。さらには、変更された利得情報テーブルに含まれる種別を用いて、送信レベル制御部12にて記憶されている使用する送信帯域及び受信帯域の変更をも行う(ステップS210)。
【0045】
なお、利得情報テーブルの切替処理の動作の一例として、切替情報をキー入力部より受け付けたが、これに限定されない。切替情報をマイク部16より、音声情報として切替情報を受け付けて利得情報テーブルを切り替えてもよいし、基地局から送信される信号から地域を判別して、利得情報テーブルを切り替えてもよい。
【0046】
(2)上記の実施の形態では、利得情報テーブル100にて、各レコードに格納する帯域幅を5MHzとしたが、これに限定されない。各レコードに格納する帯域幅をさらに詳細にしてもよい。詳細にすることにより、周波数の利得がさらに正確な値に近づき、送信レベルもより正確なレベルに近づく。
また、利得情報テーブルではなく、周波数と利得との関係を示す関係式を記憶して、記憶された関係式と、受信信号の周波数及び送信用周波数とからそれぞれの利得を算出して、利得差を求めてもよい。
【0047】
(3)上記の実施の形態では、利得情報テーブル100にて、受信帯域と送信帯域を別レコードとして格納したが、これに限定されない。受信帯域内で分割された周波数帯と対応付けられた送信帯域における周波数帯及び利得を付加して1レコードとしてもよい。この場合、利得情報テーブルは、一例として、受信第1周波数、受信第2周波数、受信単位、受信第1利得、受信第2利得、送信第1周波数、送信第2周波数、送信単位、送信第1利得、送信第2利得とから構成される組を複数個記憶することになる。受信第1周波数は、受信帯域内で分割された周波数帯での最小周波数であり、受信第2周波数は、受信帯域内で分割された周波数帯での最大周波数であり、受信単位は、受信周波数の単位であり、受信第1利得は、受信第1周波数の利得であり、受信第2利得は、受信第2周波数の利得である。送信第1周波数は受信第1周波数に対応付けられた送信用周波数であり、送信第2周波数は、受信第2周波数に対応付けられた送信用周波数であり、送信単位は、送信用周波数の単位であり、送信第1利得は、送信第1周波数の利得であり、送信第2利得は、送信第2周波数の利得である。なお、送信第1周波数から送信第2周波数の帯域が、受信帯域内で分割された周波数帯に対応付けられた送信帯域となっている。
【0048】
このとき、図5のステップS110においては、受信第1周波数と受信第2周波数とを用い、ステップS115においては、受信第1周波数、受信第2周波数、受信第1利得及び受信第2利得とを用いる。また、図6のステップS160においては、、送信第1周波数と送信第2周波数とを用い、ステップS165においては、送信第1周波数、送信第2周波数、送信第1利得及び送信第2利得とを用いる。
【0049】
(4)上記の実施の形態では、利得情報テーブル100にて、送信帯域及び受信帯域において、それぞれの利得を記憶したが、これに限定されない。受信帯域と、それに対応付けられた送信帯域との利得差とを示すテーブルであってもよい。この場合、利得情報テーブルは、一例として、受信第1周波数、受信第2周波数、単位、第1利得差、第2利得差とから構成される組を複数個記憶することになる。受信第1周波数は、受信帯域内で分割された周波数帯での最小周波数であり、受信第2周波数は、受信帯域内で分割された周波数帯での最大周波数であり、受信単位は、受信周波数の単位であり、第1利得差は、受信第1周波数とそれに対応付けられた送信用周波数との利得差であり、第2利得差は、受信第2周波数とそれに対応付けられた送信用周波数との利得差である。
【0050】
このとき、図4におけるステップS55を実行後、ステップS60及びS65を省略し、ステップS70以降を行う。また、図5においては、ステップS115にて、取得したレコードの受信第1周波数と第1利得差との組と、受信第2周波数と第2利得差との組とを用いて、受信信号の利得差を算出する。
(5)上記の実施の形態では、利得差を算出する場合、受信信号の周波数の利得から送信用周波数の利得を減算したが、送信用周波数の利得から受信信号の周波数の利得を減算して利得差を算出してもよい。この場合、補正後送信レベルの算出は、補正前送信レベルから算出された利得差を減算することになる。
【0051】
(6)上記の実施の形態では、受信レベルから補正前送信レベルを決定し、利得差を用いて補正を行ったが、受信レベルに対して補正を行い、補正後の受信レベルに対して送信レベルを決定してもよい。
(7)本発明は、上記に示す方法であるとしてもよい。また、これらの方法をコンピュータにより実現するコンピュータプログラムであるとしてもよいし、前記コンピュータプログラムからなるデジタル信号であるとしてもよい。
【0052】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号をコンピュータ読み取り可能な記録媒体、例えば、フレキシブルディスク、ハードディスク、CD―ROM、MO、DVD、DVD−ROM、DVD−RAM、BD(Blu−ray Disc)、半導体メモリなど、に記録したものとしてもよい。また、これらの記録媒体に記録されている前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号であるとしてもよい。
【0053】
また、本発明は、前記コンピュータプログラム又は前記デジタル信号を、電気通信回線、無線又は有線通信回線、インターネットを代表とするネットワーク等を経由して伝送するものとしてもよい。
また、本発明は、マイクロプロセッサとメモリとを備えたコンピュータシステムであって、前記メモリは、上記コンピュータプログラムを記憶しており、前記マイクロプロセッサは、前記コンピュータプログラムに従って動作するとしてもよい。
【0054】
また、前記プログラム又は前記デジタル信号を前記記録媒体に記録して移送することにより、又は前記プログラム又は前記デジタル信号を前記ネットワーク等を経由して移送することにより、独立した他のコンピュータシステムにより実施するとしてもよい。
(8)上記実施の形態及び上記変形例をそれぞれ組み合わせるとしてもよい。
【0055】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、CDMA方式を用いて無線通信を行う携帯電話機であって、受信周波数帯域と送信周波数帯域においてそれぞれ異なる利得特性を有するアンテナと、前記アンテナにおける周波数と利得との関係を示す利得情報を記憶している関係記憶手段と、基地局より送信された電波を前記アンテナを介して受信し、受信した電波の受信レベルと受信周波数を検出する受信手段と、検出した受信周波数に基づいて、送信周波数を決定する周波数決定手段と、決定した前記送信周波数に対応する利得を前記関係記憶手段から取得し、検出した前記受信レベルを取得した利得を用いて補正することにより、送信レベルを決定する送信レベル決定手段と、前記送信周波数において、決定された前記送信レベルの電波を前記アンテナを介して送信する送信手段とを備える。
【0056】
この構成によると、受信信号検出レベルから送信信号のレベルを決める場合、CDMA方式携帯電話機のアンテナにおいて受信帯域と送信帯域で利得差がある条件でも、本来返すべき送信信号レベルにて信号を返すことができ、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うことができる。
【0057】
ここで、前記送信レベル決定手段は、前記受信レベルに基いて、補正前送信レベルを算出する第1送信算出部と、前記利得情報を用いて、前記受信周波数の利得と前記送信周波数の利得との利得差を算出する利得算出部と、前記補正前送信レベルを前記利得差を用いて補正を行い、送信レベルを決定する第2送信算出部とを含むように構成してもよい。
【0058】
この構成によると、受信帯域関係式及び送信帯域関係式を用いることで、受信信号の周波数の利得及び送信用周波数の利得がそれぞれ算出される。算出されたそれぞれの利得から利得差を算出し、算出した利得差と補正前送信レベルとを用いて、送信レベルを決定することができ、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立をを良好に行うことができる。
【0059】
ここで、前記関係記憶手段に記憶されている利得情報は、第1の利用地域を示す第1地域情報と対応付けられており、前記関係記憶手段は、さらに第2の利用地域を示す第2地域情報と対応付けられている第2利得情報を記憶しており、前記携帯電話機は、利用地域を示す地域情報を受け付ける受付手段と、受け付けた地域情報と一致する利得情報を選択する選択手段とを含み、前記利得算出部は、選択された利得情報を用いて、受信周波数の利得と前記受信周波数に基いて決定された送信周波数の利得との利得差を算出するよう構成してもよい。
【0060】
この構成によると、受け付けた地域情報から利用する利得情報を変更することができるため、使用する周波数帯域が異なるそれぞれの地域にて受信帯域と送信帯域とに利得差がある場合においても、それぞれの地域において、電源投入時や通信圏外から通信圏内への移動時における位置登録や、音声及びデータの送受信等の通信の確立を良好に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CDMA方式携帯電話機1の構成を示すブロック図である。
【図2】補正値記憶部10が有する利得情報テーブル100のデータ構造を示す。
【図3】送信レベルの決定通知の動作を示す流れ図である。
【図4】送信レベルの補正の動作を示す流れ図である。
【図5】受信信号の周波数の利得取得の動作を示す流れ図である。
【図6】送信用の周波数の利得取得の動作を示す流れ図である。
【図7】利得情報テーブルを複数個有する補正値記憶部10の構成及び、補正値記憶部10が有する帯域切替情報テーブル100cのデータ構造を示す。
【図8】帯域切替の動作を示す流れ図である。
【図9】内蔵アンテナでの周波数特性を示す一例である。
【符号の説明】
1 CDMA方式携帯電話機
10 補正値記憶部
11 制御部
12 送信レベル制御部
13 アンテナ部
14 無線部
15 信号処理部
16 マイク部
17 スピーカー部
100 利得情報テーブル

Claims (3)

  1. CDMA方式を用いて無線通信を行う携帯電話機であって、
    受信周波数帯域と送信周波数帯域においてそれぞれ異なる利得特性を有するアンテナと、
    前記アンテナにおける周波数と利得との関係を示す利得情報を記憶している関係記憶手段と、
    基地局より送信された電波を前記アンテナを介して受信し、受信した電波の受信レベルと受信周波数を検出する受信手段と、
    検出した受信周波数に基づいて、送信周波数を決定する周波数決定手段と、
    決定した前記送信周波数に対応する利得を前記関係記憶手段から取得し、検出した前記受信レベルを取得した利得を用いて補正することにより、送信レベルを決定する送信レベル決定手段と、
    前記送信周波数において、決定された前記送信レベルを用いて、電波を前記アンテナを介して送信する送信手段と
    を備えることを特徴とする携帯電話機。
  2. 前記送信レベル決定手段は、
    前記受信レベルに基いて、補正前送信レベルを算出する第1送信算出部と、
    前記利得情報を用いて、前記受信周波数の利得と前記送信周波数の利得との利得差を算出する利得算出部と、
    前記補正前送信レベルを前記利得差を用いて補正を行い、送信レベルを決定する第2送信算出部と
    を含むことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
  3. 前記関係記憶手段に記憶されている利得情報は、第1の利用地域を示す第1地域情報と対応付けられており、前記関係記憶手段は、さらに第2の利用地域を示す第2地域情報と対応付けられている第2利得情報を記憶しており、
    前記携帯電話機は、
    利用地域を示す地域情報を受け付ける受付手段と、
    受け付けた地域情報と一致する利得情報を選択する選択手段とを含み、
    前記利得算出部は、選択された利得情報を用いて、受信周波数の利得と前記受信周波数に基いて決定された送信周波数の利得との利得差を算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載の携帯電話機。
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