JP2004193590A - プラズマ処理方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 簡単で、かつ、所望の微小部分を精度良く加工することのできるプラズマ処理方法を提供する。
【解決手段】 10000Pa以上3気圧以下の圧力下で発生させたマイクロプラズマで生成された活性粒子を、金属又は半導体である被処理物の表面に照射し、上記被処理物の表面17を加工するプラズマ処理方法であって、上記被処理物の表面の自然酸化膜17aを除去する第1のステップと、上記自然酸化膜を除去した領域の一部又は全部をエッチング加工する第2のステップとを備える。
【選択図】図1A

Description

本発明は、微小部分のプラズマ処理方法に関するものである。
一般に、表面に薄膜が形成された基板に代表される被処理物にパターンニング加工を行う場合、レジストプロセスが用いられる。その一例を図9A〜図9Dに示す。図9A〜図9Dにおいて、まず、被処理物33の表面に感光性レジスト34を塗布する(図9A)。次に、露光機を用いて露光した後、現像すると、レジスト34が所望の形状にパターンニングできる(図9B)。そして、被処理物33を真空容器内に載置し、真空容器内にプラズマを発生させ、レジスト34をマスクとして被処理物33をエッチング加工すると、被処理物33の表面が所望の形状にパターニングされる(図9C)。最後に、レジスト34を酸素プラズマや有機溶剤などで除去することで、加工が完了する(図9D)。
以上のようなレジストプロセスは、微細パターンを精度良く形成するのに適しているため、半導体などの電子デバイスの製造において重要な役割を果たすに至った。しかしながら、工程が複雑であるという欠点がある。
そこで、レジストプロセスを用いない、新しい加工方法が検討されている。その一例として、図16に示すようなマイクロプラズマ源99を搭載したプラズマ処理装置が提案されつつある。
このような構成については、例えば、未公開自社出願の特許文献1に詳しく述べられている。
特願2002−254324号明細書
しかしながら、上記提案されているプラズマ処理においては、エッチング速度を高めるために高周波電力を大きくすると、被処理物としての薄板表面でアーク放電(火花)が発生し、滑らかな処理表面が得られないばかりか、処理の安定性・再現性が得られないという課題がある。
本発明は、上記課題に鑑み、簡単で、かつ、所望の微小部分を精度良く加工することのできるプラズマ処理方法を提供することを目的としている。
上記目的を達成するために、本発明は以下のように構成する。
本発明の第1態様によれば、10000Pa以上3気圧以下の圧力下で発生させたマイクロプラズマで生成された活性粒子を、金属又は半導体である被処理物の表面に照射し、上記被処理物の表面を加工するプラズマ処理方法であって、
上記被処理物の表面の自然酸化膜を除去する第1のステップと、
上記自然酸化膜を除去した領域の一部又は全部をエッチング加工する第2のステップとを備えるプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第2態様によれば、上記第1のステップ及び上記第2のステップを行うとき、上記被処理物の近傍に配置させたマイクロプラズマ源にガスを供給しつつ、上記マイクロプラズマ源に設けられた電極又は上記被処理物に電力を供給することにより、上記マイクロプラズマを発生させ、上記生成された活性粒子を上記被処理物に作用させ、上記被処理物の表面を加工するものであって、
上記第1のステップでは、上記被処理物の表面の第1の部分に上記活性粒子を照射して、自然酸化膜を除去し、
上記第2のステップでは、上記被処理物の表面の上記第1の部分に含まれ、かつ、上記第1の部分よりも狭い第2の部分に活性粒子を照射して、エッチング加工する第1の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第3態様によれば、上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させ、
上記第2の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より反応性ガスを主体とするガスを噴出させる第2の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第4態様によれば、上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口からはガスを噴出させず、
上記第2の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より反応性ガスを主体とするガスを噴出させる第2の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第5態様によれば、上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口から反応性ガスを主体とするガスを噴出させ、
上記第2の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに、上記外側ガス噴出口より反応性ガスを主体とするガスを、上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップよりも数倍〜数十倍多く噴出させる第2の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第6態様によれば、上記第1のステップ及び上記第2のステップを行うとき、上記被処理物の近傍に配置させたマイクロプラズマ源にガスを供給しつつ、上記マイクロプラズマ源に設けられた電極又は上記被処理物に電力を供給することにより、上記マイクロプラズマを発生させ、上記生成された活性粒子を上記被処理物に作用させ、上記被処理物の表面を加工するものであって、
上記第1のステップでは、還元性を有する活性粒子を上記被処理物の表面に照射して、自然酸化膜を除去し、
上記第2のステップでは、エッチング性を有する活性粒子を、上記還元性を有する活性粒子が照射された上記被処理物の表面に照射して、エッチング加工する第1の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第7態様によれば、上記第1のステップにおいて、上記被処理物の表面の第1の部分に活性粒子を照射し、
上記第2のステップにおいて、上記第1の部分に含まれ、かつ、上記第1の部分よりも狭い第2の部分に活性粒子を照射する第6の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第8態様によれば、上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
上記第1の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口又は上記外側ガス噴出口より噴出させるガスに還元性ガスを混合しながら、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させ、
上記第2の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口よりエッチング性ガスを主体とするガスを噴出させる第7の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第9態様によれば、上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
上記第1の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスと還元性ガスの混合ガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口からはガスを噴出させず、
上記第2の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口よりエッチング性ガスを主体とするガスを噴出させる第7の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第10態様によれば、上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
上記第1の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスと還元性ガスの混合ガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口からエッチング性ガスを主体とするガスを噴出させ、
上記第2の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに、上記外側ガス噴出口よりエッチング性ガスを主体とするガスを、上記第1の部分に活性粒子を照射するステップよりも多量に噴出させる第7の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第11態様によれば、上記第1のステップ及び上記第2のステップを行うとき、上記被処理物の近傍に配置させたマイクロプラズマ源にガスを供給しつつ、上記マイクロプラズマ源に設けられた電極又は上記被処理物に電力を供給することにより、上記マイクロプラズマを発生させ、上記生成された活性粒子を上記被処理物に作用させ、上記被処理物の表面を加工するものであって、
上記第1のステップでは、上記マイクロプラズマ源に設けられた上記電極又は上記被処理物に第1の電力を供給して、上記被処理物の表面の自然酸化膜を除去し、
上記第2のステップでは、上記マイクロプラズマ源に設けられた上記電極又は上記被処理物に、上記第1の電力よりも大きい第2の電力を供給して、上記被処理物の表面の上記自然酸化膜を除去した領域の一部又は全部をエッチング加工するステップとを備える第1の態様に記載のプラズマ処理方法を提供する。
本発明の第1態様のプラズマ処理方法によれば、簡単で、かつ、所望の微小部分を精度良く加工することができる。
また、本発明の第2態様のプラズマ処理方法によれば、簡単で、かつ、所望の微小部分を精度良く加工することのできるプラズマ処理方法を提供することができる。
また、本発明の第6態様のプラズマ処理方法によれば、簡単で、かつ、所望の微小部分を精度良く加工することができる。
また、本発明の第11態様のプラズマ処理方法によれば、簡単で、かつ、所望の微小部分を精度良く加工することができる。
以下に、本発明にかかる実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
(第1実施形態)
以下、本発明の第1実施形態にかかるプラズマ処理方法及びその装置について、図1A〜図5を参照して説明する。
図1A,図1Bに、第1実施形態にかかるプラズマ処理装置の、形成すべき線方向に横長のマイクロプラズマ源19の分解図を示す。図2に、マイクロプラズマ源19を、ガス噴出口側から見た平面図を示す。図3に、接地された被処理物の一例としての薄板17、及びマイクロプラズマ源19を、薄板17に垂直な面で切った断面を示す。マイクロプラズマ源19は、セラミック製の矩形の外側板1、矩形の内側板2及び3、矩形の外側板4から成り、外側板1及び4には、それぞれ、L字状の外側ガス流路5及び矩形の外側ガス噴出口6が設けられ、内側板2及び3には、それぞれ、L字状の内側ガス流路7及び矩形の内側ガス噴出口8が設けられている。すなわち、外側板1、内側板2及び3、外側板4が設けられ、外側板1と内側板2の間と、内側板3と外側板4の間に外側ガス噴出口6が設けられ、内側板2及び3の間に内側ガス噴出口8が設けられている。内側ガス噴出口8から噴出するガスの原料ガスは、外側板1に設けられかつ外部の内側ガス供給装置51に接続された内側ガス供給口9から、内側板2に設けられた貫通穴10を介して、内側板2の内側ガス流路7とそれに対向する内側板3の内側ガス流路7に導かれる。
また、外側ガス噴出口6から噴出するガスの原料ガスは、外側板1に設けられかつ外部の外側ガス供給装置50に接続された外側ガス供給口11から外側板1の外側ガス流路5に導かれる一方、内側板2に設けられた貫通穴12、内側板3に設けられた貫通穴13を介して、外側板4の外側ガス流路5に導かれる。内側ガス供給装置51と外側ガス供給装置50は、後述する、制御装置24により動作制御される。
高周波電力が印加される横長の矩形の電極14は、内側板2及び3に設けられた横長の矩形の電極固定穴15に挿入され、外側板1及び4に設けられた横長の矩形の貫通穴16を通して高周波電力供給のための電源18との高周波電力供給のための配線と冷却が行われる。高周波電力供給のための電源18は、後述する、制御装置24により動作制御される。
内側板2及び3は、その最下部がテーパー形状をなし、より微細な線状領域をプラズマ処理できるようになっている。なお、マイクロプラズマ源19の開口部としての内側ガス噴出口8がなす微細線の太さは0.1mmである。
このような構成のマイクロプラズマ源19を搭載したプラズマ処理装置において、内側ガス噴出口8からヘリウム(He)を、外側ガス噴出口6から6フッ化硫黄(SF6)を供給しつつ、電極14に高周波電力を供給することにより、シリコン製薄板17の微小な線状部分をエッチング処理することができる。これは、ヘリウムと6フッ化硫黄の大気圧近傍の圧力下における放電のしやすさの差(ヘリウムの方が格段に放電しやすい。)を利用することで、ヘリウムが高濃度となる内側ガス噴出口8の近傍にのみ線状マイクロプラズマを発生させることができるからである。
マイクロプラズマ源19は数Paから数気圧まで動作可能であるが、典型的には10000Paから3気圧程度の範囲の圧力で動作する。とくに、大気圧付近での動作は、厳重な密閉構造や特別な排気装置が不要であるとともに、プラズマや活性粒子の拡散が適度に抑制されるため、特に好ましい。
また、図1Cには上記プラズマ処理装置の移動装置60の一例を示している。移動装置60は、マイクロプラズマ源19を挟持する一対のブラケット22,22が固定されたブラケット61と、移動装置60の移動方向(微細な線状領域の線方向)沿いに延在したレール63と、ブラケット61が固定され、かつ移動駆動装置の一例として備えられた移動駆動用モータ62aを正逆回転させて、モータ62aに係合したネジ軸が固定されたレール63沿いにブラケット61を移動させる移動ステージ62とより構成されている。よって、制御装置24の制御の元に、移動駆動用モータ62aが正回転することにより移動ステージ62がレール63沿いに前進して、ブラケット61を介してマイクロプラズマ源19をシリコン製薄板17に対して移動させることにより、マイクロプラズマ118をシリコン製薄板17沿いに移動させることができて、シリコン製薄板17に微細な線状領域を加工してプラズマ処理することができる。
また、昇降装置150は、上下方向沿いに延在しかつネジ軸が固定されたレール55と、移動装置60のレール63が固定され、かつ制御装置24に接続された昇降駆動装置の一例として備えられた昇降駆動用モータ54aを正逆回転させて、モータ54aに係合したネジ軸が固定されたレール55沿いにレール63を昇降する移動ステージ54とを備えて構成されている。
よって、制御装置24の制御の元に、昇降駆動用モータ54aが正逆回転することにより、移動ステージ54がレール55沿いに昇降することにより、レール63とブラケット61とを介してマイクロプラズマ源19をシリコン製薄板17に対して接離させることができて、マイクロプラズマ源19とシリコン製薄板17との距離を調整することができる。
第1実施形態にかかるプラズマ処理方法の具体的な動作は以下のとおりである。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から不活性ガスの一例としてのHeを500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、図4に示すようにマイクロプラズマ118を発生させ、生成された活性粒子の一例としてのヘリウムイオンを図4に示すような第1の微小部分119に一例として5秒間照射する。
次いで、プラズマ118を維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、図5に示すようにマイクロプラズマ118を形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを図5に示すような第2の微小部分20に一例として30秒間照射する。図4及び図5から明らかなように、第2の微小部分20は、第1の微小部分119よりも狭い領域であり、その線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行う結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは21μmである。
比較のため、従来の処理方法として、上記の第1ステップを行わずに、内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8からHeを1000sccm、外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6からSF6を500sccm供給し、高周波電力を電極14に一例として150W供給したところ、被処理物の一例としての薄板17の表面でアーク放電(火花)が発生し、滑らかな処理表面が得られないばかりか、処理の安定性・再現性が得られなかった。
このような違いが生じた理由について、以下で詳しく説明する。
シリコン薄板17の表面には、ごく薄い(厚さ1nm以下)シリコン酸化膜(自然酸化膜)17aが図10に示されるように形成されている。シリコンに限らず、一般に金属の表面には自然酸化膜が形成されている。自然酸化膜は、完全に一様には形成されてはいないため、電流が流れやすい部分(自然酸化膜の膜厚が薄い部分)100と流れにくい部分が混在していると考えられる。
従来の処理方法において、マイクロプラズマを微小部分(本発明による第2の微小部分20と同程度の大きさの領域)に照射すると、プラズマからの高周波電流が、図11に示されるように電流の流れやすい部分100に集中するため、その部分100の温度が局所的に急激に上昇し、アーク放電(火花)に至ったものと考えられる。
一方、本発明の上記第1実施形態によるプラズマ処理方法においては、第1のステップにおいて比較的広い第1の微小部分119にプラズマを照射することにより、低い電流密度のプラズマ照射で図12に示されるように薄板17の表面の自然酸化膜17aを除去することができる。次いで、プラズマを維持したままで、第2のステップへ移行させる。第2のステップにおいては第1のステップよりも全体として高い電流密度のプラズマ照射を行っているにもかかわらず、自然酸化膜が無くなったために電流の流れやすい部分と流れにくい部分の差が小さく、図13に示されるように第2の微小部分20に対してほぼ一様に電流が流れるため、局所的な温度上昇は生じず、アーク放電(火花)の発生に至らなかったものと考えられる。
上記のメカニズムをさらに裏付けるため、第1のステップ終了後に一旦電力の供給を停止してプラズマを消滅させ、一定時間の後に第2のステップを行い、第2のステップにおいてアーク放電が発生するか否かを調べた。停止時間が1秒〜6秒ではアーク放電は発生せず、7秒以上プラズマを停止させた場合に、アーク放電の発生が確認できた。
このことは、自然酸化膜が第1ステップにおいて一旦除去されるものの、7秒以上の放置によって再びシリコン薄板17上に自然酸化膜が形成されてしまうことを意味しているものと考えられる。この実験から、アーク放電の発生を防ぐには、第1ステップと第2ステップの間でプラズマを消滅させないことが望ましく、一旦消滅させる場合は、数秒程度、例えば6秒以下の短い時間に限定すべきであることがわかる。
第2の微小部分20の面積は、第1の微小部分119の面積の概ね1/1000〜1/5であることが望ましい。1/1000〜1/10であることが更に好ましい。第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてあまりに小さいと、第1ステップにおける電力の大部分が無駄となるため、好ましくない。また、第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてわずかに小さいだけでは、アーク放電の発生が十分に抑制できない。
具体例として、第2の微小部分20の幅が100μm〜1mmであるとき、第1の微小部分119の幅は第2の微小部分20の幅の5〜1000倍であるのが好ましい。
(第2実施形態)
次に、本発明の第2実施形態について、図1A〜図3、図5及び図6を参照して説明する。なお、図1A〜図3に示すマイクロプラズマ源の基本的な構成及び動作については既に第1実施形態で説明したので、ここでは詳細は省略する。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm供給し、外側ガス噴出口6からはガスを噴出させず、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、図6に示すようにマイクロプラズマ118を発生させ、生成された活性粒子の一例としてのヘリウムイオンを図6に示すような第1の微小部分119に一例として5秒間照射する。
次いで、プラズマ118を維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、図5に示すようにマイクロプラズマ118を形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを図5に示すような第2の微小部分20に一例として30秒間照射する。図5及び図6から明らかなように、第2の微小部分20は、第1の微小部分119よりも狭い領域であり、その線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行う結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは21μmである。アーク放電(火花)が発生しなかった理由については、本発明の第1実施形態に述べたとおりであると考えている。
第2の微小部分20の面積は、第1の微小部分119の面積の概ね1/1000〜1/5であることが望ましい。1/1000〜1/10であることがさらに好ましい。第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてあまりに小さいと、第1ステップにおける電力の大部分が無駄となるため、好ましくない。また、第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてわずかに小さいだけでは、アーク放電の発生が十分に抑制できない。
(第3実施形態)
次に、本発明の第3実施形態について、図1A〜図3、図5及び図7を参照して説明する。なお、図1A〜図3に示すマイクロプラズマ源の基本的な構成及び動作については既に第1実施形態で説明したので、ここでは詳細は省略する。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm供給し、外側ガス供給装置50より外側ガス噴出口6から反応性ガスの一例としてのSF6を50sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、図7に示すようにマイクロプラズマ118を発生させ、生成された活性粒子の一例としてのヘリウムイオンを図7に示すような第1の微小部分119に一例として5秒間照射する。
次いで、プラズマを維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスの一例としてのSF6を、第1ステップよりも数倍〜数十倍多く、例えば500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、図5に示すようにマイクロプラズマ118を形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを図5に示すような第2の微小部分20に一例として30秒間照射する。図5及び図7から明らかなように、第2の微小部分20は、第1の微小部分119よりも狭い領域であり、その線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行う結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは21μmである。アーク放電(火花)が発生しなかった理由については、本発明の第1実施形態に述べたとおりであると考えている。
この第3実施形態においては、第1ステップにおいて、外側ガス噴出口6より噴出させる反応性ガスを、第2ステップよりもごく少量としたことで、第1ステップにおけるマイクロプラズマの発生領域を広くしている。第1ステップにおいて外側ガス噴出口6より噴出させる反応性ガスを、第2ステップにおいて外側ガス噴出口6より噴出させる反応性ガスの1/100〜1/5とすることが好ましく、1/100〜1/10とすることが更に好ましい。第1ステップにおいて、外側ガス噴出口6より噴出させる反応性ガスを、第2ステップよりも極端に少なくすると(すなわち、第2ステップの1/100未満の場合)、同一のガス流量調整装置を利用してガス流量を制御することが困難になってしまう。また、第1ステップにおいて、外側ガス噴出口6より噴出させる反応性ガスを、第2ステップよりもわずかだけ少なくした場合(すなわち、第2ステップの1/1未満でかつ1/5を越える場合)は、第1ステップにおけるプラズマの拡がりが不十分となり、アーク放電が発生してしまう恐れがある。
第2の微小部分20の面積は、第1の微小部分119の面積の概ね1/1000〜1/5であることが望ましい。1/1000〜1/10であることがさらに好ましい。第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてあまりに小さいと(すなわち、第2の微小部分20の1/1000未満の場合)、第1ステップにおける電力の大部分が無駄となるため、好ましくない。また、第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてわずかに小さいだけでは(すなわち、第2の微小部分20の1/1未満でかつ1/5を越える場合)、アーク放電の発生が十分に抑制できない。
(第4実施形態)
次に、本発明の第4実施形態について、図1A〜図3を参照して説明する。なお、図1A〜図3に示すマイクロプラズマ源の基本的な構成及び動作については第1実施形態で説明したので、ここでは詳細は省略する。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、還元性ガスの一例としての水素(H2)を1sccm供給し、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から不活性ガスの一例としてのHeを500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給してマイクロプラズマを発生させ、生成された活性粒子の一例としてのヘリウムイオン及び水素ラジカルを第1の微小部分に一例として2秒間照射する。
次いで、プラズマを維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6からエッチング性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、マイクロプラズマを形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを第2の微小部分20に一例として30秒間照射する。第2の微小部分20は、第1の微小部分119よりも狭い領域であり、その線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行う結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは21μmである。アーク放電(火花)が発生しなかった理由については、本発明の第1実施形態に述べたとおりであると考えている。
第4実施形態においては、第1ステップにおいて還元性ガスを利用して自然酸化膜の除去をより速やかに行えるようにしている。なお、還元性ガスは、外側ガス流路5から供給されるHeに混合してもよい。
第2の微小部分20の面積は、第1の微小部分119の面積の概ね1/1000〜1/5であることが望ましい。1/1000〜1/10であることがさらに好ましい。第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてあまりに小さいと(すなわち、第2の微小部分20の1/1000未満の場合)、第1ステップにおける電力の大部分が無駄となるため、好ましくない。また、第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてわずかに小さいだけでは(すなわち、第2の微小部分20の1/1未満でかつ1/5を越える場合)、アーク放電の発生が十分に抑制できない。
(第5実施形態)
次に、本発明の第5実施形態について、図1A〜図3を参照して説明する。なお、図1A〜図3に示すマイクロプラズマ源の基本的な構成及び動作については第1実施形態で説明したので、ここでは詳細は省略する。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、還元性ガスの一例としての水素(H2)を1sccm供給し、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5からはガスを噴出させず、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給してマイクロプラズマを発生させ、生成された活性粒子の一例としてのヘリウムイオン及び水素ラジカルを第1の微小部分119に一例として2秒間照射する。
次いで、プラズマを維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6からエッチング性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、マイクロプラズマを形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを第2の微小部分20に一例として30秒間照射する。第2の微小部分20は、第1の微小部分119よりも狭い領域であり、その線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行う結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは21μmである。アーク放電(火花)が発生しなかった理由については、本発明の第1実施形態に述べたとおりであると考えている。この第5実施形態においては、第1ステップにおいて還元性ガスを利用して自然酸化膜の除去をより速やかに行えるようにしている。
第2の微小部分20の面積は、第1の微小部分119の面積の概ね1/1000〜1/5であることが望ましい。1/1000〜1/10であることがさらに好ましい。第2の微小部分20の面積が第1の微小部分119の面積に比べてあまりに小さいと、第1ステップにおける電力の大部分が無駄となるため、好ましくない。また、第2の微小部分の面積20が第1の微小部分119の面積に比べてわずかに小さいだけでは、アーク放電の発生が十分に抑制できない。
(第6実施形態)
次に、本発明の第6実施形態について、図1A〜図3を参照して説明する。なお、図1A〜図3に示すマイクロプラズマ源の基本的な構成及び動作については第1実施形態で説明したので、ここでは詳細は省略する。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、還元性ガスの一例としての水素(H2)を1sccm供給し、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5からエッチング性ガスの一例としてのSF6を50sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給してマイクロプラズマを発生させ、生成された活性粒子の一例としてのヘリウムイオン及び水素ラジカルを第1の微小部分に一例として2秒間照射する。
次いで、プラズマを維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6からエッチング性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として150W供給して、マイクロプラズマを形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを第2の微小部分20に一例として30秒間照射する。第2の微小部分20は、第1の微小部分119よりも狭い領域であり、その線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行った結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となった。エッチング深さは21μmであった。アーク放電(火花)が発生しなかった理由については、本発明の第1実施形態に述べたとおりであると考えている。本実施形態においては、第1ステップにおいて還元性ガスを利用して自然酸化膜の除去をより速やかに行えるようにしている。
また、本実施形態においては、第1ステップにおいて、外側ガス噴出口より噴出させるエッチング性ガスを、第2ステップよりもごく少量としたことで、第1ステップにおけるマイクロプラズマの発生領域を広くしている。第1ステップにおいて外側ガス噴出口より噴出させるエッチング性ガスを、第2ステップにおいて外側ガス噴出口より噴出させるエッチング性ガスの1/100〜1/5とすることが好ましく、1/100〜1/10とすることが更に好ましい。第1ステップにおいて、外側ガス噴出口より噴出させるエッチング性ガスを、第2ステップよりも極端に少なくすると(すなわち、第2ステップの1/100未満の場合)、同一のガス流量調整装置を利用してガス流量を制御することが困難になってしまう。また、第1ステップにおいて、外側ガス噴出口より噴出させるエッチング性ガスを、第2ステップよりもわずかだけ少なくした場合(すなわち、第2ステップの1/1未満でかつ1/5を越える場合)は、第1ステップにおけるプラズマの拡がりが不十分となり、アーク放電が発生してしまう恐れがある。
第2の微小部分の面積は、第1の微小部分の面積の概ね1/1000〜1/5であることが望ましい。1/1000〜1/10であることがさらに好ましい。第2の微小部分の面積が第1の微小部分の面積に比べてあまりに小さいと(すなわち、第2の微小部分の1/1000未満の場合)、第1ステップにおける電力の大部分が無駄となるため、好ましくない。また、第2の微小部分の面積が第1の微小部分の面積に比べてわずかに小さいだけでは(すなわち、第2の微小部分の1/1未満でかつ1/5を越える場合)、アーク放電の発生が十分に抑制できない。
(第7実施形態)
次に、本発明の第7実施形態について、図1A〜図3を参照して説明する。なお、図1A〜図3に示すマイクロプラズマ源の基本的な構成及び動作については第1実施形態で説明したので、ここでは詳細は省略する。
まず、第1ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に一例として60W供給して、マイクロプラズマ118を発生させ、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを微小部分に一例として3秒間照射する。
次いで、プラズマ118を維持したままで、第2ステップとして、内側ガス供給装置51より内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスの一例としてのHeを1000sccm、外側ガス供給装置50より外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスの一例としてのSF6を500sccm供給し、高周波電源18から高周波電力を電極14に、第1ステップのときよりも1.5倍以上、一例として150W供給して、マイクロプラズマを形成し、生成された活性粒子の一例としてのフッ素ラジカルを微小部分に一例として30秒間照射する。ここで、微小部分の線幅は一例として0.3mmである。
以上のような処理を行う結果、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは24μmである。アーク放電(火花)が起きなかった理由については、第1のステップにおいてアーク放電が生じない程度の小さい電力で発生させたプラズマで、まずシリコン薄板表面の自然酸化膜を除去したためであると考えている。
すなわち、第7実施形態においては、電極に第1の電力を供給するステップと、電極に第1の電力よりも大きい第2の電力を供給するステップとに分けて処理を行ったことが奏功したものと思われる。
以上述べた本発明の第1〜第7実施形態において、マイクロプラズマ源としてセラミック製の板を4枚用いた場合を例示したが、平行平板型キャピラリタイプや誘導結合型キャピラリタイプなどのキャピラリタイプや、マイクロギャップ方式、誘導結合型チューブタイプなど、様々なマイクロプラズマ源を用いることができる。特に、図8に示すような、ナイフエッジ状の電極32を用いるタイプでは、電極と被処理物の距離が近いため、微小部分に極めて高密度のプラズマが形成される。したがって、とくに本発明が有効である。
なお、図8において、マイクロプラズマ源は、セラミック製の外側板28、内側板29及び30、外側板31、電極32から成り、外側板28及び31には、外側ガス流路5及び外側ガス噴出口6が設けられ、内側板29及び30には、内側ガス流路7及び内側ガス噴出口8が設けられている。電極32は、その最下部がナイフエッジ状の形状を成し、微細な線状領域をプラズマ処理できるようになっている。
また、被処理物に直流電圧又は高周波電力を供給することにより、マイクロプラズマ中のイオンを引き込む作用を強めることも可能である。この場合、電極を接地してもよいし、電極を用いないタイプのマイクロプラズマ源を利用する場合にも、本発明の適用が可能である。
また、高周波電力を用いてマイクロプラズマを発生させる場合を例示したが、数百kHzから数GHzまでの高周波電力を用いてマイクロプラズマを発生させることが可能である。あるいは、直流電力を用いてもよいし、パルス電力を供給することも可能である。
また、マイクロプラズマ源の開口部をなす微細線の太さが0.1mmである場合を例示したが、マイクロプラズマ源の開口部の幅はこれに限定されるものではなく、概ね10μm以上でかつ概ね1mm以下であることが好ましい。マイクロプラズマ源の開口部の幅が小さいほど、プラズマによって発生した活性粒子が、基板表面の微細線状部分より外側に触れにくくなり、微細線状部分に限定された領域のみを加工することができるという利点がある。一方、マイクロプラズマ源を構成する部品の加工の精度や、繰り返し処理による形状の経時変化などを考慮すると、あまり極端に小さくすることも避けるべきである。
また、マイクロプラズマ源の開口部と被処理物との距離は、概ね1mm以下であることが好ましい。さらに、マイクロプラズマ源の開口部と被処理物との距離が0.5mm以下であることがより好ましい。マイクロプラズマ源の開口部と被処理物との距離が小さいほど、プラズマによって発生した活性粒子が、基板表面の微細線状部分より外側に触れにくくなり、微細線状部分に限定された領域のみを加工することができるという利点がある。一方、マイクロプラズマ源を構成する部品の加工の精度や、繰り返し処理による形状の経時変化、さらには、マイクロプラズマ源の開口部と被処理物との距離の再現性や安定性などを考慮すると、あまり極端に小さくすることも避けるべきであり、概ね0.05mm以上であることが好ましい。
また、マイクロプラズマ源の開口部が微細線状をなしている場合を例示したが、図14に示されるように、マイクロプラズマ源19Aの開口部の内側ガス噴出口8Aが微細点状又は円形をなしかつ外側ガス噴出口6Aがリング状又は円弧状をなすような二重円筒形状に構成するようにしてもよい。この場合、マイクロプラズマ源19Aの開口部の内側ガス噴出口8Aの内径の代表寸法が1mm以下である場合に、本発明はとくに有効である。
また、被処理物としてシリコン薄板を用いる場合を例示したが、被処理物はこれに限定されるものではなく、導電性を有する被処理物、とくに金属を処理する場合に、本発明は格別の効果を奏する。
また、第1ステップを実施する時間を2〜5秒とする場合を例示したが、第1ステップを実施する時間は、被処理物の材料に応じて適宜決めればよい。しかし、あまりに長い時間第1ステップを実施すると、被処理物全体の温度上昇から、被処理物の変質・変形等の好ましくない事態を生じる場合があるため、概ね1〜10秒程度にとどめるべきである。
また、不活性ガスとしてHeを、反応性ガス・エッチング性ガスとしてSF6を、還元性ガスとしてH2を用いる場合を例示したが、これら以外のガスを適宜用いることができることはいうまでもない。例えば、不活性ガスとして、He、Ne、Ar、Kr、Xeなどを、反応性・エッチング性ガスとしてSF6、CF4などのC(x及びyは自然数)、NF3、Cl2、HBr等のハロゲン含有ガスを、還元性ガスとしてH2、H2O等の水素含有ガスを用いることができる。
また、ガス種を切り替えなくても、マイクロプラズマ源と被処理基板との距離を第1ステップと第2ステップとで変えることにより、上記実施形態と同様な作用効果を奏することもできる。
すなわち、まず、第1ステップとして、マイクロプラズマ源19の内側ガス噴出口8とシリコン薄板17との距離を1mmとし、内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスとしてのHeを1000sccm、外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスとしてのSFを500sccm供給し、高周波電力を電極14に150W供給して、マイクロプラズマ118を発生させ、生成された活性粒子としてのフッ素ラジカルを第1の微小部分119に5秒間照射する。
次いで、プラズマ118を維持したままで、第2ステップとして、図1Cに示す昇降装置150によりマイクロプラズマ源19を下降させて、マイクロプラズマ源19の内側ガス噴出口8とシリコン薄板17との距離を0.3mmとし、内側ガス流路7を介して内側ガス噴出口8から不活性ガスとしてのHeを1000sccm、外側ガス流路5を介して外側ガス噴出口6から反応性ガスとしてのSFを500sccm供給し、高周波電力を電極14に150W供給して、マイクロプラズマ118を形成し、生成された活性粒子としてのフッ素ラジカルを第2の微小部分20に30秒間照射することも可能である。
このような処理を行った場合、被処理物の一例としてのシリコン薄板17の表面の微小部分に対して、線幅0.3mmの微細線状エッチング加工が可能となる。エッチング深さは21μmである。
あるいは、図15及び図16並びに図17及び図18に示すような、円筒形状のマイクロプラズマ源19Cであってガス噴出口が1つだけである場合(例えば内側ガス噴出口8のみである場合)にも、第1ステップにおけるガス噴出口8とシリコン薄板17との距離を、第2ステップにおけるガス噴出口8とシリコン薄板17との距離よりも大きくすることで、ガス種を切り替えることなく、同様の効果を得ることができる。この場合、不活性ガスと反応ガスとの混合ガスを用いることが適切である。
なお、上記様々な実施形態のうちの任意の実施形態を適宜組み合わせることにより、それぞれの有する効果を奏するようにすることができる。
本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の分解図である。 本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いるプラズマ処理装置の斜視図である。 本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いるプラズマ処理装置の構成全体の斜視図である。 本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の平面図である。 本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の断面図である。 本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の断面図である。 本発明の第1実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の断面図である。 本発明の第2実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の断面図である。 本発明の第3実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の断面図である。 本発明の他の実施形態のプラズマ処理方法で用いたマイクロプラズマ源の断面図である。 従来例で用いたレジストプロセスの工程を示す断面図である。 従来例で用いたレジストプロセスの工程を示す断面図である。 従来例で用いたレジストプロセスの工程を示す断面図である。 従来例で用いたレジストプロセスの工程を示す断面図である。 シリコン薄板の表面に、自然酸化膜であるシリコン酸化膜が形成されている状態を示す断面図である。 マイクロプラズマを図10のシリコン薄板の表面に照射して、プラズマからの高周波電流が電流の流れやすい部分に集中して、その部分の温度が局所的に急激に上昇してアーク放電が発生する状態を示す断面図である。 本発明の上記実施形態にかかるプラズマ処理方法によりシリコン薄板の表面の自然酸化膜を除去した状態を示す断面図である。 図12のシリコン薄板にマイクロプラズマを照射しても、自然酸化膜が無くなったために電流の流れやすい部分と流れにくい部分の差が小さく、第2の微小部分に対してほぼ一様に電流が流れるため、局所的な温度上昇は生じず、アーク放電(火花)が発生しない状態を示す断面図である。 本発明の他の実施形態にかかるプラズマ処理方法で用いるマイクロプラズマ源であって、二重円筒形状に構成された例を示す底面図である。 本発明の他の実施形態にかかるプラズマ処理方法で用いる円筒形状のマイクロプラズマ源であってガス噴出口が1つだけである場合の第1ステップと第2ステップをそれぞれ行っている状態を示す断面図である。 本発明の他の実施形態にかかるプラズマ処理方法で用いる円筒形状のマイクロプラズマ源であってガス噴出口が1つだけである場合の第1ステップと第2ステップをそれぞれ行っている状態を示す断面図である。 本発明の他の実施形態にかかるプラズマ処理方法で用いる円筒形状のマイクロプラズマ源であってガス噴出口が1つだけである場合の第1ステップと第2ステップをそれぞれ行っている状態を示す斜視図である。 本発明の他の実施形態にかかるプラズマ処理方法で用いる円筒形状のマイクロプラズマ源であってガス噴出口が1つだけである場合の第1ステップと第2ステップをそれぞれ行っている状態を示す斜視図である。
符号の説明
1 外側板
2 内側板
3 内側板
4 外側板
5 外側ガス流路
6 外側ガス噴出口
7 内側ガス流路
8 内側ガス噴出口
9 内側ガス供給口
10 貫通穴
11 外側ガス供給口11
12 貫通穴
13 貫通穴
14 電極
15 電極固定穴
16 貫通穴
17 薄板
17a シリコン酸化膜(自然酸化膜)
18 高周波電力供給のための電源
20 第2の微小部分
22 ブラケット
24 制御装置
19 マイクロプラズマ源
50 外側ガス供給装置
51 内側ガス供給装置
54a 昇降駆動用モータ
55 レール
60 移動装置
61 ブラケット
62 移動ステージ
62a 移動駆動用モータ
63 レール
100 電流が流れやすい部分(自然酸化膜の膜厚が薄い部分)
118 マイクロプラズマ
119 第1の微小部分
150 昇降装置

Claims (11)

  1. 10000Pa以上3気圧以下の圧力下で発生させたマイクロプラズマで生成された活性粒子を、金属又は半導体である被処理物の表面に照射し、上記被処理物の表面を加工するプラズマ処理方法であって、
    上記被処理物の表面の自然酸化膜を除去する第1のステップと、
    上記自然酸化膜を除去した領域の一部又は全部をエッチング加工する第2のステップとを備えるプラズマ処理方法。
  2. 上記第1のステップ及び上記第2のステップを行うとき、上記被処理物の近傍に配置させたマイクロプラズマ源にガスを供給しつつ、上記マイクロプラズマ源に設けられた電極又は上記被処理物に電力を供給することにより、上記マイクロプラズマを発生させ、上記生成された活性粒子を上記被処理物に作用させ、上記被処理物の表面を加工するものであって、
    上記第1のステップでは、上記被処理物の表面の第1の部分に上記活性粒子を照射して、自然酸化膜を除去し、
    上記第2のステップでは、上記被処理物の表面の上記第1の部分に含まれ、かつ、上記第1の部分よりも狭い第2の部分に活性粒子を照射して、エッチング加工する請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  3. 上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
    上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させ、
    上記第2の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より反応性ガスを主体とするガスを噴出させる請求項2に記載のプラズマ処理方法。
  4. 上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
    上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口からはガスを噴出させず、
    上記第2の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より反応性ガスを主体とするガスを噴出させる請求項2に記載のプラズマ処理方法。
  5. 上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
    上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口から反応性ガスを主体とするガスを噴出させ、
    上記第2の部分に上記活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに、上記外側ガス噴出口より反応性ガスを主体とするガスを、上記第1の部分に上記活性粒子を照射するステップよりも数倍〜数十倍多く噴出させる請求項2に記載のプラズマ処理方法。
  6. 上記第1のステップ及び上記第2のステップを行うとき、上記被処理物の近傍に配置させたマイクロプラズマ源にガスを供給しつつ、上記マイクロプラズマ源に設けられた電極又は上記被処理物に電力を供給することにより、上記マイクロプラズマを発生させ、上記生成された活性粒子を上記被処理物に作用させ、上記被処理物の表面を加工するものであって、
    上記第1のステップでは、還元性を有する活性粒子を上記被処理物の表面に照射して、自然酸化膜を除去し、
    上記第2のステップでは、エッチング性を有する活性粒子を、上記還元性を有する活性粒子が照射された上記被処理物の表面に照射して、エッチング加工する請求項1に記載のプラズマ処理方法。
  7. 上記第1のステップにおいて、上記被処理物の表面の第1の部分に活性粒子を照射し、
    上記第2のステップにおいて、上記第1の部分に含まれ、かつ、上記第1の部分よりも狭い第2の部分に活性粒子を照射する請求項6に記載のプラズマ処理方法。
  8. 上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
    上記第1の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口又は上記外側ガス噴出口より噴出させるガスに還元性ガスを混合しながら、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させ、
    上記第2の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口よりエッチング性ガスを主体とするガスを噴出させる請求項7に記載のプラズマ処理方法。
  9. 上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
    上記第1の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスと還元性ガスの混合ガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口からはガスを噴出させず、
    上記第2の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口よりエッチング性ガスを主体とするガスを噴出させる請求項7に記載のプラズマ処理方法。
  10. 上記マイクロプラズマ源は、内側ガス噴出口及び外側ガス噴出口を有する状態で、
    上記第1の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスと還元性ガスの混合ガスを噴出させるとともに上記外側ガス噴出口からエッチング性ガスを主体とするガスを噴出させ、
    上記第2の部分に活性粒子を照射するステップにおいて、上記内側ガス噴出口より不活性ガスを主体とするガスを噴出させるとともに、上記外側ガス噴出口よりエッチング性ガスを主体とするガスを、上記第1の部分に活性粒子を照射するステップよりも多量に噴出させる請求項7に記載のプラズマ処理方法。
  11. 上記第1のステップ及び上記第2のステップを行うとき、上記被処理物の近傍に配置させたマイクロプラズマ源にガスを供給しつつ、上記マイクロプラズマ源に設けられた電極又は上記被処理物に電力を供給することにより、上記マイクロプラズマを発生させ、上記生成された活性粒子を上記被処理物に作用させ、上記被処理物の表面を加工するものであって、
    上記第1のステップでは、上記マイクロプラズマ源に設けられた上記電極又は上記被処理物に第1の電力を供給して、上記被処理物の表面の自然酸化膜を除去し、
    上記第2のステップでは、上記マイクロプラズマ源に設けられた上記電極又は上記被処理物に、上記第1の電力よりも大きい第2の電力を供給して、上記被処理物の表面の上記自然酸化膜を除去した領域の一部又は全部をエッチング加工するステップとを備える請求項1に記載のプラズマ処理方法。
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