JP2004192308A - 異物検出機構 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】異物検出機構の異物係合部6を異物検出部材5の本体5’に対して係合離脱可能とする。異物係合部6には異物検出部材5の本体5’に係合するフック部39が形成され、異物検出部材5の本体5’は異物係合部6のフック部39を収容し係合する袋形状であることが好ましい。また、フック部39が係合するとともに、このフック部39を指あるいは治具を介して押し込み弾性変形させることが可能な係合孔38が異物検出部材5の本体5’に設けられていることがさらに好ましい。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、異物検出機構に関する。さらに詳述すると、本発明は、例えばカードリーダ内に侵入したカード以外の異物を検出してカードの不正使用を防止するための機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
ATM(自動現金預入支払機)等のカードリーダのカード走行路に異物を仕掛けて故意に不具合を生じさせ、ユーザが離れた隙にカードを盗んで不正に使用するという犯罪が生じている。カード走行路に仕掛けられる異物としては、カードリーダ内でカードを引っ掛けて走行を妨害する紐状部材をはじめ、搬送対象となる物の円滑な搬送動作を妨げて不具合を生じさせるための種々の道具が利用(悪用)されている。
【0003】
そこで、このような犯罪に対処できるカードリーダとして、カード走行路に接近離反する異物検出部材を備え、この異物検出部材を走行路を横断する方向に移動させることによって異物を検出するというカードリーダが提案されている。異物検出部材は、異物を引っ掛けたり場合によっては切断するためフック状とされた異物係合部を備えている場合がある(例えば特許文献1、特許文献2参照)。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−236880号公報
【特許文献2】
国際公開第02/41243号パンフレット
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、異物係合部が異物検出部材の一部として形成されている場合、例えば異物係合部の爪や刃に欠損が生じたらこの異物係合部ごと異物検出部材全体を交換せざるを得ない。この場合、異物検出部材を移動させるためのワイヤー等の部材から異物検出部材を取り外し、代替品を所定位置に微調整しながら正確に取り付けるという作業に時間と手間を要してしまう。しかも、異物係合部を除いては問題がないにもかかわらず異物検出部材全体を交換せざるを得ないので余計な部品まで調達しなければならずコスト面で不利である。
【0006】
そこで、本発明は、異物検出部材のうち異物係合部のみを簡単に交換できるようにした異物検出機構を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
かかる目的を達成するため、請求項1記載の発明は、異物係合部を有し搬送対象物の走行路に対して接近離反することにより進退可能な異物検出部材と、異物検出部材を走行路を横断する方向に移動させる移動機構と、異物検出部材による異物検出の有無を検知する検知手段とから構成されるとともに、異物検出部材は、対象物が走行路内に無いときには異物が通過可能な領域を漏れなく横切り対象物があるときは当該対象物の底部に摺接しながら移動するように移動機構に取り付けられ、対象物以外の異物を検出する異物検出機構において、異物係合部が異物検出部材の本体に対して係合離脱可能であることを特徴とするものである。
【0008】
この異物検出機構は、搬送対象物たとえばカードがない場合はカード走行路の全域を走査することに加え、カードがある場合はカード面と接触する位置まで後退し、カードによって遮られた区域以外の区域をカード面に接触しながら走査する。したがって、カードの挿入前あるいは挿入後にかかわらずカードが仕切るカード走行路の一方側の区域を走査してカードリーダ内の異物を検出することができる。そして、異物の検出途中等に異物係合部が欠損した場合には、当該異物係合部のみを異物検出部材の本体から取り外して交換することができる。
【0009】
また、この異物検出機構においては、請求項2記載のように、異物係合部には異物検出部材の本体に係合するフック部が形成され、異物検出部材の本体は異物係合部のフック部を収容し係合する袋形状であることが好ましい。この場合、この袋状の部分に異物係合部をフック部ごと嵌め込むことによって異物係合部を異物検出部材の本体に簡単に取り付けることができる。
【0010】
さらに、異物検出機構においては、請求項3記載のように、フック部が係合するとともに、このフック部を指あるいは治具を介して押し込み弾性変形させることが可能な係合孔が異物検出部材の本体に設けられていることが好ましい。この場合、係合孔に指や治具を押し込みフック部を弾性変形させた状態で異物係合部をスライドさせればこの異物係合部を異物検出機構の本体から簡単に取り外すことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の構成を図面に示す実施の形態の一例に基づいて詳細に説明する。
【0012】
図1〜図9に本発明にかかる異物検出機構1及びこれを適用したカードリーダを示す。このカードリーダは、搬送対象物2であるカード(以下、カード2と記す)以外の異物3を検出するためカード走行路4に異物検出機構1を備えている。この異物検出機構1は、異物検出部材5と、異物検出部材5をカード走行路4を横断する方向に移動させる移動機構29(以下キャリッジ移動機構29と記す)と、異物検出部材5による異物検出の有無を検知する検知手段8とから構成されている。
【0013】
本実施形態では、この異物検出部材5を、キャリッジ移動機構29のキャリッジ13に取り付けて移動させるようにしている。モータ10を駆動源とするこのキャリッジ移動機構29は、モータ10により駆動されるループ状部材12に取り付けられて所定方向へ移動するキャリッジ13と、このキャリッジ13に取り付けられた被移動体である異物検出部材5とによって構成されている。
【0014】
ここで、異物検出を行うには異物検出部材5が1つ設けられていれば足りるが、カード走行路4を分割して検出することができるように複数の異物検出部材5が設けられていることが好ましい。本実施形態では一対の異物検出部材5とこれらに対応する一対のキャリッジ13とを設けている。なお、本実施形態においてこのように一対設けられる部材(例えば異物検出部材5、検知手段8など)については、添字a,bを付して対であることを示している(図4等参照)。
【0015】
また、カードリーダは、カード走行路4を開閉するシャッタ板22を備えている。本明細書ではこのシャッタ板22について特に詳しく説明しないが、シャッタ板22は例えばその両端をリンクなどで回転可能に支持され、リンクの動きに伴い図7に示すように上下へ移動するようになっている。異物検出機構1は、図7に示すようにこのシャッタ板22の背後に設けられ、シャッタ板22より奥の区域で異物3の検出を行う。
【0016】
キャリッジ移動機構29は、異物検出部材5をカード走行路4を横断する方向に移動させる機構で、本実施形態では、モータ10としてのステッピングモータ(以下「ステッピングモータ10」と示す)、ギア列11、ループ状部材12としてのワイヤー(以下「ワイヤー12」と示す)、キャリッジ13およびローラ14を備え、カード搬送機構(図示省略)とは別個に設けられている。ステッピングモータ10の回転力はギア列11を介して一方のローラ14aに伝えられる(図4参照)。
【0017】
ワイヤー12は、両端のローラ14a,14b間においてカード横断方向にループ状に張られ、回転力を受けていずれの方向にも周回する。この場合、図4に示すように、ワイヤー12のローラ14a,14b間には2つの平行部12x,12yが形成されている。
【0018】
ワイヤー12には、符号13a,13bで示す一対のキャリッジが取り付けられている。キャリッジ13a,13bは、互いが逆方向に動くように、例えば一方のキャリッジ13aは符号27aで示す固定部においてワイヤー12の上側平行部12xに、他方のキャリッジ13bは固定部27bにおいてワイヤー12の下側平行部12yにそれぞれ固定されている。この場合、ワイヤー12が図4に示すように反時計方向に回転すると、キャリッジ13aは図中左方向、キャリッジ13bは右方向に移動する。
【0019】
これらキャリッジ13a,13bはキャリッジ自体をガイドするためのガイド部28a,28bを備えている。ガイド部28a,28bは例えばキャリッジ13の本体に設けられた貫通孔によって構成されている。つまり、固定部27a(または27b)が固定されたワイヤー平行部12x(または12y)とは反対側の平行部12y(または12x)を貫通させるための貫通孔がキャリッジ13本体に設けられ、この貫通孔がキャリッジ13自体をガイドしワイヤー周りの回転を防止するガイド部28a,28bとされている。このようなガイド部28a(または28b)を備えたキャリッジ13a(または13b)は、ワイヤー12周りに回転することなくワイヤー12に沿って移動することが可能となる。
【0020】
また、キャリッジ13a,13bには、カードリーダ内部に挿入された異物3を検出する異物検出部材5(5a,5b)が取り付けられている。異物検出部材5a,5bはそれぞれ異物係合部6a,6bを有し、それぞれのキャリッジ13a,13bに対して回転可能に取り付けられている。これら異物検出部材5a,5bは、図5(B)及び図5(C)に示すようなねじりコイルばね15によって起立する方向(例えば異物検出部材5bの場合には時計方向)に付勢され、自動的にカード走行路4へ迫り出すようになっている。これにより、異物検出部材5a,5bは、カード2がカード走行路4内にないときには異物3が通過可能な領域を漏れなく横切り、その一方で、カード2があるときは当該カード2の底部(下面)に摺接しながら移動し、カード走行路4に異物3がないかどうか走査する。
【0021】
異物検出部材5a,5b上に設けられた異物係合部6a,6bは、カード走行路4に異物3が存在する場合、この異物3を引っ掛けて側方まで移動させるように形成されている。例えば本実施形態の異物係合部6a,6bは所定厚の板状部24により構成されるとともに、図6(A)に示すようなフック状とされ、異物3が特に糸状である場合に引っ掛けやすくなるようにされている。板状部24は、図6(B)に示すように真ん中の板金35を2枚の樹脂板34で挟み込む積層構造とされている。
【0022】
さらに本実施形態では、異物係合部6a,6bのカード2と接触する部分(図中符号19で示す)は図6(A)に示すように緩やかなカーブ形状とされ、かつ、突端部16に丸みが付され、曲がったカード2の表面やカード2のエンボスなどに引っ掛からないようにされている。あるいは、特に図示していないが、丸みが付される代わりに突端部16にローラ等が設けられるか、滑りやすくするための表面処理が施されていてもよい。
【0023】
また、異物係合部6a,6bは図6(A)に示すように切刃部17(17a,17b)とこの切刃部17に異物3を導くガイド部18(18a,18b)とを備えることが好ましい。本実施形態では、せん断加工で異物係合部6の切れ込みを左右にずらすことにより切断面を露出させ、段違いに開いたこのせん断面(あるいはせん断縁)によって切刃部17a,17bを形成し、糸状の異物3の一部を引っ掛けて確実に移動させるとともに、異物3が細い場合は切断できるようにしている。ガイド部18a,18bは、異物係合部6a,6bの谷に設けられた切刃部17a,17bに連なる傾斜縁である。
【0024】
また、カード搬送力を利用して糸状異物3を切断するようにしてもよい。すなわち、カード2を搬送する際、カード2が糸状異物3を引っ掛け引っ張ったときの張力で糸状異物3を切刃部17に押し当てて切断するようにしても良い。この場合、異物検出部材5は、糸状異物3の張力を受けて後退しないように糸状異物3が押し当てられたときの位置にステッピングモータ10の保持力によって維持されることが好ましい。
【0025】
本実施形態では、上述したように2つ1組の異物検出部材5が設けられるとともに、図4中に想像線で示すように左右の異物検出部材5a,5bどうしが当接しあう中央位置がこれら異物検出部材5a,5bのホームポジションとされている。異物検出部材5a,5bがホームポジションに位置しているかどうかは、例えば光センサからなるホームポジションセンサ20によって検出される。また、異物検出部材5a,5bは、互いを向いて突出しホームポジションにおいて当接し合う当接部23(23a,23b)を備えている(図4参照)。このため、異物検出機部材5a,5bはホームポジションにおいて互いの当接部23a,23bどうしを当接させることによって異物係合部6a,6bをカード走行路4から退避させるように回転し、これら異物係合部6a,6bを交差させた状態となる(図4参照)。
【0026】
さらに、異物検出部材5a,5bは、キャリッジ13上に設けられた突出部26(26a,26b)と当接するように突出する規制部25(25a,25b)を備えることが好ましい(図8参照)。規制部25は、異物検出部5a,5bの起立途中に突出部26と当接することによってこれら異物検出部5a,5bの起立範囲を規制し適正範囲とする。
【0027】
これら一対の異物検出部材5a,5bは、カード走行路4を横断する方向に、カード走行路4の中央部(ホームポジション)から外側(カード走行路4の側部)に向かって移動する。このとき、両異物検出部材5a,5bの走査ストロークは、カード幅よりも大きい範囲を検出できるように、合わせてカード幅より広くなるようにされている。この場合において、1組の異物検出部材5が中央部で重複走査すれば検出漏れはない。本実施形態では、各異物検出部材5a,5b(およびキャリッジ13a,13b)はカード走行路4の幅の約半分を走査すれば済むので検出に要する時間が短い。
【0028】
また、異物検出部材5の異物係合部6はこの異物検出部材5の本体(異物検出部材5のうち異物係合部6を除く部分をいい、図1〜図3において符号5’で示す)に対して係合離脱可能とされていることが好ましい(図1参照)。こうした場合、例えば切刃部17が欠けるなど異物係合部6の一部が欠損したとしても、異物検出部材5の本体5’はそのままに当該異物係合部6のみを容易に交換することが可能となり、異物検出部材5の本体5’をワイヤー12から取り外したり再び取り付けたりする手間が省けるようになる。例えば本実施形態では、薄板を2枚張り合わせる等して異物検出部材5の本体5’を袋状として隙間36を形成するとともに、この隙間36に収容可能な板状部材37に異物係合部6を設けることによってこの異物係合部6を本体5’に着脱可能としている(図1〜図3参照)。この場合、異物係合部6は、通常時においては異物検出部材5の本体5’に係合し、交換時のみ簡単に離脱できるように設けられていることが好ましい。本実施形態では、異物検出部材5の本体5’に係合孔38を設けるとともに、板状部材37にはその一部を切り起こして弾性を有するフック部39を設けて異物係合部6を本体5’に係合離脱可能としている。この場合、フック部39は、板状部材37を隙間36に嵌め込む途中で本体5’の内壁に沿って変形し、板状部材37が完全に嵌め込まれた状態で弾性復帰して係合孔38の縁に引っ掛かった状態となる(図3参照)。また、係合孔38に指や治具を押し込むようにしてフック部39を弾性変形させれば異物係合部6を板状部材37ごと本体5’から離脱させることが可能となる。なお、符号40は異物検出部材5をキャリッジ13に回転可能に取り付けるためのピン孔、符号41は異物検出部材5の回転可能な角度を制限する弧状のガイド孔を示している。板状部材37は、これらピン孔40やガイド孔41と重なり合わない形状に形成されている(図1参照)。
【0029】
さらに、異物検出機構1は、カード走行路4の外側に位置し、異物検出部材5a,5bの走査ストローク終端において異物3の有無を検知する検知手段8(8a,8b)を備えている。本実施形態では、この検知手段8は光センサ21(21a,21b)で構成されるとともに、異物検出部材5a,5bの板状部24が入り込む凹部9(9a,9b)が設けられている。また、該凹部9a,9bは、異物3が係合していない板状部24は通過可能だが異物3が係合している板状部24は通過不可能となるように、検出しようとする異物3の大きさよりも小さい範囲で板状部24の幅より大きく形成されている(図9参照)。こうした場合、異物3が凹部9と板状部24の隙間幅より太いと邪魔になり、この異物3を引っ掛けた異物検出部材5a,5bが凹部9に入りきらないので、はみ出した状態の異物検出部材5a,5bは検知手段8で検出されることができる。一方、凹部9と板状部24との間に入り込み得る程度に細い異物3は上述の切刃部17により切断されることができる。
【0030】
次に、本実施形態の異物検出機構1の動作を説明する。
【0031】
カード挿入待ち状態のとき、異物検出部材5a,5bはホームポジションに位置し、カード走行路4より退避している。
【0032】
そして、カード2が挿入された場合は、挿入後一旦カード2をストップさせ、ステッピングモータ10を駆動してキャリッジ13a,13bを左右に駆動させる。具体的には、図4に示すようにワイヤー12を逆時計回りに回転させ、キャリッジ13a,13bを互いに離れる方向に移動させる。このとき、カード2を異物検出部材5の位置に位置させ、カード搬送機構によるカード2の移動および切刃部17による異物3の切断を行うようにする。異物検出部材5a,5bはホームポジションから離れ、異物係合部6a,6bを起立させようとするが、カード2が上にあるため、突端部16がカード2に接触して起立が規制され、カード2の裏面に接触した状態でホームポジションから外側に向かって左右に走査する。
【0033】
ここで、カードリーダに糸状の異物3が仕掛けられていた場合には、この糸状の異物3は異物検出部材5a,5bの異物係合部6a,6bに引っ掛かる。糸状の異物3の弛みが少ない場合、このまま異物検出部材5a,5bを走査させ続けると糸状の異物3が突っ張りキャリッジ動作が阻害されるので、これにより異物3を検出することができる。一方、糸状の異物3の弛みが多い場合は、糸状の異物3を引っ掛けた異物検出部材5a,5bが凹部9a,9bに入らずに検知手段8a,8bで検知される。異物3を検知した場合、カード2の処理は中断され、カード2はユーザへ返却される。
【0034】
以上は糸状の異物3が凹部9と板状部24の隙間より太い場合であるが、逆に糸状の異物3が凹部9と板状部24の隙間より細い場合、図9に示すように、異物検出部材5はこの糸状の異物3ごと凹部9に入り込むことができる。このような場合は、異物検出部材5の切刃部17によって細い糸状の異物3を切断することができる。
【0035】
なお、上述の場合とは反対にカード2が挿入されていない状態でも、異物検出部材5a,5bによる走査・検出ができることはもちろんである。この場合、異物検出部材5a,5bに対するカード2による起立規制がないため、異物検出部材5a,5bはカード走行路4のカード厚み方向に関し全域を走査することができる。
【0036】
以上説明したように、本実施形態の異物検出機構1では、異物検出部材5が、カード2がない場合は従来と同様カード走行路4の全域を走査することに加え、カード2がある場合はカード面と接触する位置まで後退し、少なくともカード2によって遮られた区域以外の区域すべてを走査する。つまり、カード2がある場合であっても、少なくともカード2が仕切る一方側の区域を走査するため、カード挿入後でも異物3、特に図4のようにカード2の両面に跨るような糸状の異物3を検出することができる。
【0037】
したがって、例えば糸状の異物3がカード挿入とともにカード走行路4内に侵入したとしても、カード挿入後の走査によってこの異物3を検出することができる。また、異物3が糸状である場合、糸が張っていても弛んでいても検出することができ、高い検出能力を発揮するので、カードリーダのセキュリティ性を一層高めることできる。
【0038】
加えて、異物検出部材5の異物係合部6には切刃部17が設けられるとともに、この異物検出部材5は切刃部17以外をカード面に接触させるようにして横断方向に移動するので、カード2に傷を付けることなく異物3を検出することができる。しかも、凹部9と板状部24の間の隙間に入り込み得る程度に細くて検知手段8により検知されえない糸状の異物3を引っ掛けた場合は、この糸状の異物3を途中で切断することができるので、細すぎて糸状の異物3を検知できない場合にもその後の不正行為を回避することができる。
【0039】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば本実施形態では、キャリッジ13が、カードリーダ内部に挿入された異物3を検出する異物検出部材5が取り付けられた移動部材である場合について説明したが、キャリッジ13の機能はこれに限られず、この他、カード2を載置するキャリッジ13としたり、磁気ヘッドを取り付けたキャリッジ13としたりすることができる。つまり、キャリッジ移動機構29は、カードリーダの異物検出機構1においてキャリッジ13を移動させるための機構として適用されうる他、磁気ヘッド、カード、その他のものを所定方向に移動させる機構としても適用可能である。
【0040】
さらに、本実施形態では異物検出機構1によってカードリーダ内に仕掛けられた異物3を検出するようにした形態を説明したが、この異物検出機構1はカードリーダ以外にも適用可能であり、一例を挙げると、例えば紙幣を搬送対象物とする装置において異物3を検出するための装置として適用することができる。
【0041】
また、本実施形態の検知手段8は、異物3が邪魔で異物検出部材5が凹部9に入りきらない場合、この異物検出部材5を光センサ21で検出して異物3を検知するが、検知手段8の構成はこのようなものに限定されない。ここでは詳しくは説明しないが、例えば糸状の異物3の張力より弱いテンションで動作する機械センサによって異物3があることを検知するようにしてもよい。あるいは、凹部9の手前を走査する移動レバーを動作させ、凹部9に入りきっていない異物検出部材5に当接するかどうかによって機械的に位置検出するようにしてもよい。さらには、一対の金属片を対向配置し、その間に糸状の異物3が挟み込まれた場合は接触できないようにして糸状の異物3があるかどうかを静電容量の変化から電気的に検出するようにしてもよい。
【0042】
また、本実施形態のキャリッジ移動機構29では、ワイヤー12を利用して異物検出部材5を移動させるようにしたが、ワイヤー12の代わりにベルト等の他のループ状部材を用いてもよい。また、ワイヤー12等の駆動源をステッピングモータ10とする代わりにDCモータ等を使用してもよい。
【0043】
また、ここまでは一対の異物検出部材5a,5bが中央部から外側へ同時に移動する形態を示したが、単一の異物検出部材5によって全域を走査するようにしても構わない。この場合、走査ストロークを長くして異物検出部材5を一端から他端まで移動させる必要があるが、単一の部材で異物検出機構1を構成できるため本実施形態の異物検出機構1よりも簡単な構成とすることができる。
【0044】
また、本実施形態ではガイド部28a,28bの一例としてキャリッジ13に設けたワイヤー貫通孔を挙げたが、これに限られることはない。例えば、ワイヤー12が外れ難くする脱落防止爪を備えた係合溝によってガイド28a,28bを形成することもできる。
【0045】
続いて、本発明の第2の実施形態を説明する。本実施形態では、図12に示すように、各異物検出部材5a,5bに対し、異物係合部がこの異物検出部材5a,5bが移動する両方向に設けられている。このように異物係合部が2つ設けられる場合、第1の実施形態で述べた異物係合部6を両方に設けて2つ1組としても構わないが、本実施形態では、図10に示すように上述の異物係合部6と、突起からなる別の異物係合部30とが組み合わされている。
【0046】
この場合、異物検出部材5がいずれの方向へ移動するときでも異物3は検出されることが可能となる。例えば、万が一異物係合部6によって糸状の異物3を検出しきれなかった場合でも(図10参照)、異物検出部材5を逆方向に移動させれば、異物係合部30によってこの異物3を引っ掛けて検出することが可能である。また、異物3が図10に示すようにシート状であって、かつ、異物検出部材5を図14に示す待機状態から図13に示す起立状態としたとき異物係合部6に引っ掛からない程度に幅広であるような場合でも、異物検出部材5を逆方向に移動させれば、異物係合部30によってシート状の異物3の縁を引っ掛け検出することが可能である。したがって、本実施形態のキャリッジ移動機構によると、異物3の検出漏れが少ない。
【0047】
本実施形態では、異物検出部材5a,5bのそれぞれにホームポジションセンサ20a,20bが設けられている。さらに本実施形態では、ホームポジションセンサ20a,20bによって、移動部材たるキャリッジ13a,13bを直接検知せずに、仲介部材31a,31bを介して検知するようにしている。
【0048】
仲介部材31a,31bは、図11に示すように、支点32a,32bを中心として回転可能に設けられた板状の部材で、通常時は図示しない付勢手段により付勢され、ホームポジションセンサ20a,20bに検知されない位置に退避している(図11)。また仲介部材31a,31bは、異物検出部材5a,5bが当接する被当接部33a,33bを備え、異物検出部材5a,5bの動きを受けて連動するようになっている。この被当接部33a,33bは、例えば板状である仲介部材31a,31bの一部を折り曲げて形成したものである。
【0049】
以下にこの異物検出機構1の動作を説明する。
【0050】
異物3を検出し終えた各異物検出部材5a,5bは、図11に示す最も離反した位置まで移動し、検知手段8a,8bによって検知可能となっている。このとき、上述したように仲介部材31a,31bは付勢手段の作用によってホームポジションセンサ20a,20bを遮らない位置まで退避している。
【0051】
続いて、キャリッジ13a,13bおよび異物検出部材5a,5bを接近する方向に移動させてホームポジションに戻す(図12)。この移動中、異物検出部材5a,5bはもう一度カード走行路4を走査し、なお存在する異物3をもう一方の異物係合部30a,30bに係合させ検出することができる。
【0052】
さらにキャリッジ13a,13bおよび異物検出部材5a,5bを接近させると、異物検出部材5a(5b)は、キャリッジ13b(13a)に当接した当接部23a(23b)から反力を受け(図13参照)、カード走行路4から退避するように回転する。このとき、図14に示すように異物検出部材5a(5b)の一部が被当接部33a(33b)に当接し、仲介部材31a(31b)を回転させ、ホームポジションセンサ20a(20b)を遮らせる。これにより、異物検出部材5a,5bがホームポジションに位置することがホームポジションセンサ20a,20bによって間接的に検知される。
【0053】
ここで、仮に異物検出部材5のうち異物係合部6,30を含む先端側が欠損し、仲介部材31の被当接部33に当接することができない場合には、異物検出部材5を最後まで移動させても仲介部材31は退避位置から回転することがないので、ホームポジションに到着したことを検知することができない。この場合は、検知手段8によらなくても、上述のような状況から異物検出部材5の先端側が欠損していると判断することが可能である。したがって、異物検出部材5が故意に破壊されていても、ホームポジションにおいて欠損状況を確認することができる。また、本実施形態の異物検出機構1によれば、このように異物係合部6の一部あるいはこれらを含む異物検出部材5の先端側全てが欠損している場合、異物係合部6のみを異物検出部材5の本体5’から離脱させて交換することができる。
【0054】
なお、異物検出部材5上の当接部23は単なる突起でも構わないが、本実施形態の当接部23は、図14等に示したように弧面を有する対称形状の2つの突起によって構成されている。この場合、異物検出部材5の回転途中で当接部位が一方の突起から他方の突起へと移り変わる(図13および図14参照)。
【0055】
なお、上述の実施形態は本発明の好適な実施の一例ではあるがこれに限定されるものではなく本発明の要旨を逸脱しない範囲において種々変形実施可能である。例えば、本実施形態ではフック部39を異物係合部6側(具体的には板状部材37上)に設けていたが(図1参照)、これとは逆に異物検出部材5の本体5’側にフック部39を設け、これを板状部材37等に引っ掛けるようにして異物係合部6を異物検出部材5の本体5’に対して係合離脱可能とすることもできる。
【0056】
【発明の効果】
以上の説明より明らかなように、請求項1記載の異物検出機構によると、異物係合部を異物検出部材の本体に対して係合離脱可能としたことから、異物係合部の一部あるいは全部が欠損した場合に当該異物係合部のみを異物検出部材の本体から取り外して簡単に交換することができる。
【0057】
また、請求項2記載の異物検出機構によると、異物検出部材の本体に形成された袋状の部分に異物係合部をフック部ごと嵌め込むことによってこの異物係合部を異物検出部材本体に簡単に取り付けることができる。
【0058】
さらに、請求項3記載の異物検出機構によると、異物検出部材の本体に設けられた係合孔に指や治具を押し込みフック部を弾性変形させた状態で異物係合部をスライドさせることによってこの異物係合部を異物検出機構の本体から簡単に取り外すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態を示す図で、異物検出部材の本体とこれに係合離脱可能な異物係合部とを表した斜視図である。
【図2】異物係合部が異物検出部材の本体から離脱している状態を示す正面図である。
【図3】異物係合部が異物検出部材の本体に係合している状態を示す正面図である。
【図4】本発明の一実施形態を示すカードリーダの異物検出機構の主要部分の正面図である。
【図5】(A)は異物検出部材の一実施形態を示す正面図、(B)は(A)の側面図、(C)は(A)の背面図である。
【図6】(A)は異物検出部材の突端付近および切刃部の形状を示す正面図、(B)は(A)の側面図である。
【図7】カード挿入口から異物検出機構までの構造例を示す右側面からの断面図である。
【図8】カードリーダの正面図である。
【図9】異物検出部材の厚さと凹部の幅の関係を簡単に示す概略図である。
【図10】本発明の第2の実施形態を示すカードリーダの異物検出部材の異物係合部周りの図である。
【図11】本発明の第2の実施形態を示す異物検出機構の主要部分の正面図である。
【図12】異物検出機構の主要部分の正面図である。
【図13】異物検出機構の主要部分の正面図である。
【図14】異物検出機構の主要部分の正面図である。
【符号の説明】
1 異物検出機構
2 カード(搬送対象物)
3 異物
4 走行路
5 異物検出部材
5’(異物検出部材の)本体
6 異物係合部
29 キャリッジ移動機構(移動機構)
38 係合孔
39 フック部
Claims (3)
- 異物係合部を有し搬送対象物の走行路に対して接近離反することにより進退可能な異物検出部材と、上記異物検出部材を上記走行路を横断する方向に移動させる移動機構と、上記異物検出部材による異物検出の有無を検知する検知手段とから構成されるとともに、上記異物検出部材は、上記対象物が上記走行路内に無いときには上記異物が通過可能な領域を漏れなく横切り上記対象物があるときは当該対象物の底部に摺接しながら移動するように上記移動機構に取り付けられ、上記対象物以外の異物を検出する異物検出機構において、上記異物係合部が上記異物検出部材の本体に対して係合離脱可能であることを特徴とする異物検出機構。
- 上記異物係合部には上記異物検出部材の本体に係合するフック部が形成され、上記異物検出部材の本体は上記異物係合部のフック部を収容し係合する袋形状であることを特徴とする請求項1記載の異物検出機構。
- 上記フック部が係合するとともに、このフック部を指あるいは治具を介して押し込み弾性変形させることが可能な係合孔が上記異物検出部材の本体に設けられていることを特徴とする請求項2記載の異物検出機構。
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