JP2004191637A - トナー担持体及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】表面にトナーを担持して該トナーの薄膜を形成し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該画像形成体表面にトナーを供給することにより可視画像を形成するトナー担持体において、該担持体表面のユニバーサル硬度を測定するに際し、100mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下であるトナー担持体、及びこれを装着してなる画像形成装置である。トナー担持体1の弾性層3の表面に、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂の被覆層3aが設けられている。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、トナー担持体及びそれを用いた画像形成装置に関する。さらに詳しくは、本発明は、複写機やプリンターなどの画像形成装置において、静電潜像を保持した感光体や紙等の画像形成体にトナーを供給して画像形成体表面に可視画像を形成するためのトナー担持体であって、画像むらのない高品質の画像を与え、かつ長期使用における特性変化が小さい耐久性に優れたトナー担持体、及びそれを用いた画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、複写機,プリンター等の電子写真方式の画像形成方法において、静電潜像を保持した感光体等の画像形成体に一成分系トナーを供給し、該トナーを潜像に付着させて可視化する画像形成方法として加圧現像法が知られている。この加圧現像法は、トナーを担持したトナー担持体を、静電潜像を保持した画像形成体(感光体等)に接触させて、トナーを該画像形成体の潜像に付着させることにより画像形成を行うものであり、このため、上記トナー担持体を導電性と弾性を有する導電性弾性体で形成する必要がある。また、潜像保持体と現像ローラとの間に微少な間隙を設けてトナーを飛翔させたり、アパチャー電極を用いたトナージェット法等にもこのような半導電性弾性ローラが用いられている。
【0003】
加圧現像法を例にとると、例えば添付図2に示されるように、トナーを供給するためのトナー塗布用ローラ4と静電潜像を保持した画像形成体(感光体等)5との間に、トナー担持体(現像ローラ)1が配設され、該トナー担持体(現像ローラ)1、画像形成体(感光体等)5及びトナー塗布用ローラ4がそれぞれ図中矢印方向に回転することにより、トナー6がトナー塗布用ローラ4によりトナー担持体(現像ローラ)1の表面に供給され、このトナーが成層ブレード7により均一な薄膜に整えられた状態でトナー担持体(現像ローラ)1が画像形成体(感光体等)5と接触しながら回転することにより、薄膜に形成されたトナーがトナー担持体(現像ローラ)1から画像形成体(感光体等)5の潜像に付着して、該潜像が可視化するように構成されている。
【0004】
なお、図中8は転写部であり、ここで紙等の記録媒体にトナー画像を転写するようになっており、また9はクリーニング部であり、そのクリーニングブレード10により転写後に感光ドラム5表面に残留するトナーを除去するようになっている。
【0005】
このような加圧現像方式による画像形成装置においては、トナー担持体1は画像形成体5に密着した状態を保持しつつ回転しなければならず、このため、例えば、添付図1の概略断面図に示されるように、金属等の良導電性材料からなるシャフト2の外周にシリコーンゴム、アクリロニトリルブタジエンゴム、エチレンプロピレンゴム、ポリウレタンゴム等の弾性ゴムやフォーム等に導電剤を配合して導電性を付与した導電性弾性体からなる導電性弾性層3を形成した構造となっている。更に、トナーに対する帯電性や付着性の制御のため、画像形成体及び成層ブレードとの摩擦力制御のため、あるいは弾性体による画像形成体の汚染防止等のため、樹脂等からなる被覆層3aが導電性弾性層3の表面に設けられている。
【0006】
一方、紙やOHP用紙等の紙葉類からなる画像形成体に、トナー担持体上に担持させたトナーを孔状の制御電極を介して直接飛翔せしめて画像を形成する画像形成方法も提案されている。また、感光体に近接して非接触状態に配設されたスリーブ状のトナー担持体の表面に、薄層に成層した非磁性トナーを担持し、これを感光体上に飛翔させて現像を行い、画像を形成する方法も提案されている。上記2つの方法において、いずれもトナー担持体上に、トナーに対する帯電性や付着性の制御のため、あるいは感光体、成層ブレード、制御電極等の他の部材との摩擦力低減等のために、導電性弾性層の表面に樹脂等からなる被覆層が設けられている。本発明者らは、これまでにメラミン樹脂、フェノール樹脂、アルキッド樹脂、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂等の各樹脂を被覆層に使用するトナー担持体が、摩擦や画像特性を改良しうることを提案してきた。
【0007】
しかしながら、近年、プリンター等の高速化、要求される画像微細性の向上、あるいはカラー画像化等により、画像形成性に対する要求が厳しくなり、従来のトナー担持体では対応できない種々の問題が顕在化してきた。特に、高速化に起因するトナーダメージの増加は、トナー担持体を長期使用した際のトナー帯電不良によるかぶり等の画像不良に繋がる重大な問題として捉えられている。また、トナー担持体の耐久性についても、トナーダメージに起因してフィルミングや溶融固着したトナー塊がトナー担持体あるいはトナー担持体への接触部品を研削し、摩耗させることによりトナー漏れを誘発させるなどの問題を生じる場合がある。
【0008】
トナー担持体の摩耗によるトナー漏れの対策としては、トナーのフィルミングや溶融固着を防ぐことが抜本的解決案であるが、近年、省エネルギー嗜好から、トナーのガラス転移点を下方にシフトさせる設計傾向となっており、本課題の解決は益々困難となってきている。このような状況において、トナー担持体側からの対策として、トナー塊の発生要因を極力排除するような設計思想が重要と考えられる。
【0009】
本出願人は、かかる事情に鑑みて、トナーダメージに起因したトナー塊によって発生するトナー担持体の研削を抑制し、トナー漏れ等の不良発生を防止し、長期保存時や長期使用時等、従来画像不良が発生しやすいといわれる使用環境において、安定して良好な画像を得ることのできるトナー担持体、及び該トナー担持体を用いた画像形成装置を特開2002−40801号公報にて提案している。
【0010】
一般に、トナー担持体の摩耗は、トナー担持体とトナーカートリッジのシーラントとが圧接している部位にトナー塊が進入し、これがトナー担持体の動作中、常に研削を促すことにより発生する。これは、トナー担持体の静止中、圧接部で変形が起こっており、動作直後、シーラント間に残留変形に起因した微小間隙が発生するため、そこからトナーが進入し、圧接・摩擦によりトナー塊が発生する。
【0011】
トナー担持体がある基準値以上の塑性変形挙動を示す場合、上記微小間隙の発生確率が高まり、トナー塊の圧接部進入を促進する。
【0012】
そこで、弾性層と該弾性層の外側に直接あるいは他の層を介して形成された1層又は複数層からなる被覆層を有するトナー担持体において、該トナー担持体の表面物性を、ユニバーサル硬度を測定する際の定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動測定で得られる特定クリープ値が特定範囲の値となるように調整することにより、トナー担持体−シーラント間へのトナー塊進入を抑制し、トナー担持体の摩耗及びそれに伴うトナー漏れを防止し、長期保存時や長期使用時等、従来画像不良が発生しやすいといわれる使用環境において、安定して良好な画像を得ることができる。
【0013】
すなわち、ユニバーサル硬度測定は、四角錐あるいは三角錐形状の圧子を、所定の試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、その押し込み深さから圧子が被測定物と接触している表面積を求め、求められた表面積と試験荷重からユニバーサル硬度を求めるものであるが、この際、定荷重測定条件で圧子を被測定物に押し込んだ後に、一定荷重環境を保持し、しかる後に圧子の荷重を徐々に減少させることにより、被測定物が塑性変形したことで生じた計測初期と計測終了時の圧子の位置差違を求めることができる。この差違を、例えば、定荷重100mN/mm2、定荷重保持時間(クリープ時間)60秒の場合、「100mN/mm2定荷重測定条件での60秒クリープ値」と呼称する。このクリープ値は、トナー担持体が上記変形回復挙動測定によって塑性変形したことによって生じたものであり、例えば、Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vなどの市販の硬度測定装置を用いたユニバーサル硬度測定等で求められる当該値によって、トナー塊のトナー担持体−シーラント間への進入、ひいてはトナー担持体の摩耗発生の度合いを規格化しうる。
【0014】
上記特開2002−40801号のトナー担持体及び画像形成装置は、かかる知見に基づいて創案されたものであり、表面にトナーを担持して該トナーの薄膜を形成し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該画像形成体表面にトナーを供給することにより可視画像を形成するトナー担持体において、該担持体表面のユニバーサル硬度を測定するに際し、100mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下であることを特徴とするトナー担持体、及びトナー担持体、及び表面にトナーの薄膜を形成してなる該トナー担持体に接触又は近接し該トナー担持体から供給されたトナーによる可視画像をその表面に形成してなる画像形成体を少なくとも有する画像形成装置において、上記トナー担持体として上記のトナー担持体を用いることを特徴とする画像形成装置である。
【0015】
【特許文献1】
特開2002−40801号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
上記の樹脂被覆層3aを設ける方法として、溶剤系又は水系の塗料中にローラをディップ又はスプレーした後に熱又は熱風で乾燥硬化する方法が行われているが、長時間の乾燥が必要であるため、量産には長い乾燥ラインが必要である。また、ローラのソリッド層はその用途から微妙な導電性、表面状態が要求されるため、乾燥ライン内の温度分布、風量のバラツキが性能に大きく影響する等、コスト、品質上の問題があった。
【0017】
本発明は、上記従来の問題点を解決し、長期保存した場合などにおいても安定して良好な画像を得ることができ、しかも製造に際し長いラインを必要としないトナー担持体と、このトナー担持体を備えた画像形成装置とを提供することを目的とする。
【0018】
【課題を解決するための手段】
本発明のトナー担持体は、表面にトナーを担持して該トナーの薄膜を形成し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該画像形成体表面にトナーを供給することにより可視画像を形成するトナー担持体であって、シャフトと、該シャフトの外周に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された少なくとも1層の樹脂被覆層とを有するトナー担持体において、該樹脂被覆層は、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂よりなり、該担持体表面のユニバーサル硬度を測定するに際し、100mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下であることを特徴とするものである。
【0019】
また、本発明の画像形成装置は、トナー担持体として本発明のトナー担持体を採用したものである。
【0020】
かかる本発明のトナー担持体及び画像形成装置にあっては、上記特開2002−40801号と同様に、トナー担持体とシーラントとの間へのトナー塊の進入が抑制され、安定した画像を得ることができる。また、樹脂被覆層を紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂にて形成するので、被覆層の成膜時間が著しく短いものとなる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明につき更に詳しく説明する。本発明のトナー担持体は、シャフトと、該シャフトの外周に形成された弾性層と、この弾性層の外周面に形成された少なくとも1層の樹脂被覆層とを有する。このトナー担持体は、トナー担持体表面のユニバーサル硬度を測定する際に求められる100mN/mm2定荷重測定条件での60秒クリープ値を最適化することにより、トナー担持体の塑性変形を抑制して、トナー塊のトナー担持体−シーラント間への進入を抑制し、トナー漏れの防止を実現している。
【0022】
上記ユニバーサル硬度は、圧子を、荷重をかけながら測定対象物に押し込むことにより求められる物性値であり、
(試験荷重)/(試験荷重下での圧子の表面積)
として求められ、単位はN/mm2で表される。このユニバーサル硬度の測定は、例えば、Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vなどの市販の硬度測定装置を用いて行うことができる。この測定装置では、四角錘あるいは三角錘形状の圧子を、試験荷重をかけながら被測定物に押し込み、所定の押し込み深さに達した時点でその押し込み深さから圧子が接触している表面積を求め、上記式よりユニバーサル硬度を求めるものである。
【0023】
このようなユニバーサル硬度の測定を行う際に、所定の荷重まで徐々に圧子の押し込み荷重を増加させて圧子を被測定物に押し込んだ後、一定荷重環境を保持し、しかる後に圧子の荷重を減少させることにより、被測定物表面の変形に残差(クリープ値)を求めることができる。即ち、仮に被測定物が完全弾性体であれば、荷重を増加させて圧子を被測定物表面に押し込んだ後、圧子の荷重を減少させて取り除くと、被測定物表面は元の状態に回復するので、圧子は元の位置、即ち押し込み深さ0の位置まで戻ることになる。逆に被測定物が完全塑性体であれば、同様に圧子を押し込んだ後に荷重を取り除いても、被測定物表面は圧子を押し込んだ状態のままとなり、圧子は元の位置に戻ることはない。このことを利用して測定開始時と終了時の位置の差違から被測定物の塑性変形量を任意の測定条件下という規格化した状況下で求めることができる。
【0024】
本発明のトナー担持体では、上記ユニバーサル硬度測定における100mN/mm2定荷重測定条件での該担持体表面の変形回復挙動測定で得られる60秒クリープ値を10.0μm以下、例えば0.1〜10.0μm、好ましくは8.5μm以下となるようにトナー担持体の表面を調整するものである。なお、このクリープ値を測定する際の条件としては、最大荷重、最大荷重時クリープ時間以外特に限定されるものではなく、圧子の形状や測定装置等に応じて適宜設定することができる。最大荷重を変えた場合でも上記クリープ値の規定値を適宜修正すれば同様に評価基準として適用可能である。現在一般に用いられているトナーバインダー種(スチレン−アクリル共重合樹脂ないしポリエステル樹脂)を対象とした場合、前述の条件で規格化することが可能であり、例えば、上記Fischer(フィッシャー)社製超微小硬度計H−100Vを用いて測定する場合には、下記の条件を例示することができる。すなわち、下記条件で圧子をトナー担持体に押し込んでいき、所定の荷重を60秒程度保持した後に荷重を除去し、コンピュータにより上記クリープ値を算出することができる。
【0025】
測定条件例は、
圧子:対面角度136度の四角錘型ダイヤモンド
圧子初期荷重:0.02mN/mm2
最大荷重:100mN/mm2
荷重印加速度:100/60mN/mm2/sec
最大荷重時クリープ時間:60sec
である。
【0026】
本発明のトナー担持体では、樹脂被覆層単体は、10mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下、例えば0.1〜10.0μmであることが好ましい。なお、樹脂被覆層単体とは、樹脂被覆層形成用の塗工液を金属板に塗布して紫外線又は電子線を照射して硬化させて得たフィルムである。
【0027】
本発明のトナー担持体は、ユニバーサル硬度測定における100mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動測定で得られる60秒クリープ値が上記特定範囲の値を満足するものであればよく、その構造や形状に制限はないが、通常は図1に示すように、良導電性シャフト2の外側に導電性を有する導電性弾性層3、更にその表面に被覆層3aを形成したものである。上記シャフト2としては、良好な導電性を有するものであれば、いずれのものも使用しうるが、通常は金属製の中実体からなる芯金や内部を中空にくりぬいた金属性円筒体等の金属製シャフトが用いられる。
【0028】
導電性弾性層3としては、エラストマー単体又はそれを発泡させたフォーム体に導電剤を添加して導電性を付与した弾性体が用いられる。ここで使用し得るエラストマーには、特に制限はなく、ニトリルゴム、エチレン−プロピレンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、ブタジエンゴム、イソプレンゴム、天然ゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴム、アクリルゴム、クロロプレンゴム、ブチルゴム、エピクロルヒドリンゴム等が例示され、これらを単独であるいは2種以上組み合わせて用いることができる。本発明においては、これらのうち、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、ウレタンゴムが好ましく用いられる。また、これらと他のゴム材料との混合物もまた好ましく用いられる。特に、本発明においては、ウレタン結合を有する樹脂が好ましく用いられる。
【0029】
また、これらエラストマーを発泡剤を用いて化学的に発泡させたり、ポリウレタンフォームのように空気を機械的に巻き込んで発泡させたフォーム体としても用いることができる。本発明では、シャフト2と弾性層3との一体化を行うための成形工程において、いわゆるRIM成形法を用いてもよい。即ち、弾性層3の原料成分を構成する2種のモノマー成分を筒状型内に混合射出して、重合反応させて、シャフト2と弾性層3とを一体化する。これにより原料の注入から脱型までの所要時間60秒程度で成形工程を行うことができるので、生産コストを大幅に削減することが可能となる。
【0030】
この導電性弾性層に添加される導電剤としては、イオン導電剤及び電子導電剤がある。イオン導電剤としては、テトラエチルアンモニウム、テトラブチルアンモニウム、ラウリルトリメチルアンモニウム、ステアリルトリメチルアンモニウム、オクタドデシルトリメチルアンモニウム、ドデシルトリメチルアンモニウム、ヘキサデシルトリメチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、変性脂肪酸ジメチルエチルアンモニウム等の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、硫酸塩、エチル硫酸塩、カルボン酸塩、スルフォン酸塩等のアンモニウム塩;リチウム、ナトリウム、カルシウム、マグネシウム等のアルカリ金属あるいはアルカリ土類金属の過塩素酸塩、塩素酸塩、塩酸塩、臭素酸塩、ヨウ素酸塩、ホウフッ化水素酸塩、トリフルオロメチル硫酸塩、スルフォン酸塩等が例示される。
【0031】
また、電子導電剤としては、ケッチェンブラック、アセチレンブラック等の導電性カーボン;SAF、ISAF、HAF、FEF、GPF、SRF、FT、MT等のゴム用カーボン;酸化処理を施したインク用カーボン;熱分解カーボン、グラファイト;酸化錫、酸化チタン、酸化亜鉛等の導電性金属酸化物;ニッケル、銅等の金属等を例示することができる。
【0032】
これらの導電剤は、単独でもまた2種以上組み合わせて用いることもできる。また、その配合量は特に制限されるものではないが、イオン導電剤の場合はゴム成分100重量部に対して0.01〜5重量部、更に0.05〜2重量部とすることが好ましく、電子導電剤の場合は、ゴム成分100重量部に対して1〜50重量部、更に5〜40重量部とすることが好ましい。
【0033】
本発明においては、導電性弾性層の体積抵抗率を1×103〜1×1010Ω・cm、好ましくは1×104〜1×108Ω・cmとなるように調整する。
【0034】
トナー担持体は、画像形成体や成層ブレード等と当接して使用されることから、弾性層3は圧縮永久歪みが小さいことが好ましく、具体的には、20%以下、更に10%以下であることが好ましい。ゴム材料としてポリウレタンゴムを用いることは、圧縮永久歪みを小さく設計できることから好ましい。
【0035】
この導電性弾性層3には、必要に応じて上記エラストマーをゴム状物質とするために架橋剤、加硫剤を添加することができる。この場合、有機過酸化物架橋及び硫黄架橋のいずれの場合でも加硫助剤、加硫促進剤、加硫促進助剤、加硫遅延剤等を用いることができる。更にまた、上記以外にもゴムの配合剤として一般に用いられているしゃく解剤、発泡剤、可塑剤、軟化剤、粘着付与剤、粘着防止剤、分離剤、離型剤、増量剤、着色剤等を添加することができる。
【0036】
ポリウレタン又はEPDMを基材として弾性層3を形成する場合には、例えば現像ローラとして使用する際の表面上のトナー帯電量をコントロールする目的でニグロシン、トリアミノフェニルメタン、カチオン染料などの各種荷電制御剤、シリコーン樹脂、シリコーンゴム、ナイロンなどの微粉体を添加することができる。この場合、これら添加剤の添加量は、上記ポリウレタン又はEPDM100重量部に対して、上記荷電制御剤は1〜5重量部、上記微粉体は1〜10重量部とすることが好ましい。
【0037】
導電性弾性層3の硬度は、特に制限されるものではないが、アスカーC硬度で85度以下、特に35〜85度とりわけ40〜70度とすることが好ましい。この場合、硬度が85度を超えると、現像ローラと感光ドラム等との接触面積が小さくなり、良好な現像が行えなくなるおそれがある。更に、トナーに損傷を与え感光体や成層ブレードへのトナー固着などが発生して画像不良となりやすい。逆に、あまり低硬度にすると感光体や成層ブレードとの摩擦力が大きくなり、ジッターなどの画像不良が発生する虞がある。
【0038】
この導電性弾性層3は、感光体や成層ブレードなどに当接して使用されるため、硬度を低硬度に設定する場合でも、圧縮永久歪をなるべく小さくすることが好ましく、具体的には20%以下とすることが好ましい。
【0039】
本発明においては、上記導電性弾性層3の表面粗さは、JIS10点平均粗さで1〜20μmRz、更に1.5〜18μmRzとすることが好ましい。平均粗さが20μmRzを超えると、トナー担持体の被覆層を厚く形成する必要があるためトナー担持体表面が硬くなり、その結果、トナーにダメージを与えて画像形成体や成層ブレードへのトナー固着等が発生し画像不良を引き起すことがある。一方、平均粗さが1μmRzより小さい場合は、被覆層を形成したときにトナー担持体の表面の平均粗さが小さくなりすぎ、トナー担持量が少なくなることから画像濃度が低下する恐れがある。本発明においては、上記表面粗さは、表面粗さ計「サーフコム590A」(東京精密社製)を用いて、軸方向に対して直交した向きに測定長さ2.4mm、測定速さ0.3mm/sec、カットオフ波長0.8mmでローラのシャフト方向及び円周方向で偏りがないように300箇所以上測定して求めた値である。
【0040】
本発明のトナー担持体においては、トナーに対する帯電性や付着性の制御のため、画像形成体及び成層ブレード等との摩擦力低減のため、あるいは弾性体による画像形成体の汚染防止のため、上記導電性弾性層の表面に紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂からなる被覆層3aを設ける。
【0041】
この樹脂被覆層3aは、ガラス転移点10℃以下、特に−5〜0℃の樹脂を含有する樹脂材料で形成することが好ましい。ガラス転移点が10℃を超える樹脂を用いる場合は、使用環境温度によって、被覆層の物理的特性が大きく変動し、トナーの搬送量及び帯電量がばらついてしまう恐れがあり、また、被覆層が脆くなり導電性弾性層の変形に追従することができず、被覆層が割れやすくなるなど問題がある。
【0042】
樹脂被覆層3aは、その動的弾性率E’が107〜109.8dyn/cm2、更に108〜109.6dyn/cm2であることが好ましく、また損失正接tanδが0.7以下、更に0.05〜0.5であることが好ましい。ここで損失正接とは、試料に応力を加えた際の動的弾性率E’に対する動的損失E''の比を表すものである。
【0043】
樹脂被覆層3aとしては、溶剤(アセトン等の良溶媒)に対する不溶分が70重量%以上のものが好ましく用いられる。溶剤不溶分が70重量%を下回ると、長期放置により画像形成体や成層ブレード等トナー担持体と接触している他の部材の圧接部に、単分子量分の移行が生じ、画像に黒横線等の不具合が発生する恐れがある。このような点から、上記溶剤不溶分は80重量%以上であることが特に好ましい。
【0044】
この樹脂被覆層3aを形成する紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂としてはポリエステル樹脂、ポリエーテル樹脂、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、アミノ樹脂、ポリアミド樹脂、アクリル樹脂、アクリルウレタン樹脂、ウレタン樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、シリコーン樹脂、ポリビニルブチラール樹脂などが挙げられ、これらの1種又は2種以上を混合して用いることができる。更に、これらの樹脂に特定の官能基を導入した変性樹脂を用いることもできる。
【0045】
紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂としては、特に限定されるものではないが、(メタ)アクリレートオリゴマーを含む(メタ)アクリレート系樹脂組成物が好適である。
【0046】
かかる(メタ)アクリレートオリゴマーとしては、例えば、ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマー、エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマー、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー、ポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマー等、また、フッ素系、シリコーン系のアクリルオリゴマーなどを挙げることができる。
【0047】
上記(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリエチレングリコール、ポリオキシプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコール、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、多価アルコールとε−カプロラクトンの付加物等の化合物と、(メタ)アクリル酸との反応により、あるいはポリイソシアネート化合物及び水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物をウレタン化することにより合成することができる。
【0048】
ウレタン系(メタ)アクリレートオリゴマーは、ポリオール、イソシアネート化合物と水酸基を有する(メタ)アクリレート化合物とをウレタン化することによって得られる。
【0049】
エポキシ系(メタ)アクリレートオリゴマーの例としては、グリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸との反応生成物であればいずれでもよいが、中でもベンゼン環、ナフタレン環、スピロ環、ジシクロペンタジエン、トリシクロデカン等の環状構造を有し、かつグリシジル基を有する化合物と(メタ)アクリル酸の反応生成物が好ましい。
【0050】
更に、エーテル系(メタ)アクリレートオリゴマー、エステル系(メタ)アクリレートオリゴマー及びポリカーボネート系(メタ)アクリレートオリゴマーは、各々に対するポリオール(ポリエーテルポリオール、ポリエステルポリオール及びポリカーボネートポリオール)と(メタ)アクリル酸との反応によって得ることができる。
【0051】
樹脂被覆層3aを成膜するための樹脂組成物には、必要に応じて粘度調整のために重合性二重結合を有する反応性希釈剤を配合する。このような反応性希釈剤としては、アミノ酸や水酸基を含む化合物に(メタ)アクリル酸がエステル化反応及びアミド化反応で結合した構造の、例えば、単官能、2官能または多官能の重合性化合物等を使用することができる。これらの希釈剤は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり、通常10〜200重量部用いることが好ましい。
【0052】
この樹脂被覆層3aには、その導電性を制御する目的で導電剤を配合することができ、導電剤としては、上記導電性弾性層3に用いられる導電剤として例示したものと同様のものを例示することができる。樹脂被覆層を形成するための樹脂が紫外線硬化型樹脂である場合、樹脂に配合する導電剤はイオン導電剤又は透明導電剤であることが好ましい。
【0053】
イオン導電剤の配合量は樹脂100重量部に対し20重量部以下、特に0.01〜20重量部、とりわけ1〜10重量部であることが好ましい。
【0054】
透明導電剤としては、ITO、酸化スズ、酸化チタン、酸化亜鉛などの金属酸化物の微粒子;ニッケル、銅、銀、ゲルマニウム等の金属の酸化物;導電性酸化チタンウィスカー、導電性チタン酸バリウムウィスカー等の導電性ウィスカー;などが例示される。この透明導電剤の配合量は、樹脂100重量部に対し100重量部以下、特に1〜80重量部、とりわけ10〜50重量部が好適である。
【0055】
樹脂被覆層を形成するための樹脂が電子線硬化型樹脂の場合には、導電剤としてカーボンブラックを配合してもよく、その配合量は樹脂100重量部に対し100重量部以下、特に1〜80重量部、とりわけ1〜50重量部とするのが好ましい。
【0056】
樹脂被覆層の樹脂が紫外線硬化型樹脂の場合、重合開始剤を含有することが好ましい。紫外線重合開始剤としては、公知のものを使用することができ、例えば、4−ジメチルアミノ安息香酸、4−ジメチルアミノ安息香酸エステル、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、アセトフェノンジエチルケタール、アルコキシアセトフェノン、ベンジルジメチルケタール、ベンゾフェノンおよび3,3−ジメチル−4−メトキシベンゾフェノン、4,4−ジメトキシベンゾフェノン、4,4−ジアミノベンゾフェノン等のベンゾフェノン誘導体、ベンゾイル安息香酸アルキル、ビス(4−ジアルキルアミノフェニル)ケトン、ベンジルおよびベンジルメチルケタール等のベンジル誘導体、ベンゾインおよびベンゾインイソブチルエーテル等のベンゾイン誘導体、ベンゾインイソプロピルエーテル、2−ヒドロキシ−2−メチルプロピオフェノン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、キサントン、チオキサントンおよびチオキサントン誘導体、フルオレン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキシド、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルホスフィンオキシド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルホスフィンオキシド、2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルホリノプロパン−1,2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(モルホリノフェニル)−ブタノン−1等が挙げられる。これらは1種を単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0057】
なお、かかる紫外線重合開始剤の配合量は、(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.1〜10重量部が好ましい。
【0058】
樹脂が電子線硬化型樹脂の場合、重合開始剤は配合されなくてもよい。
【0059】
本発明においては、上記成分以外に、必要に応じて、上記の光重合開始剤による光重合反応を促進するためにトリエチルアミン、トリエタノールアミン等の第3級アミン、トリフェニルホスフィン等のアルキルホスフィン系光重合促進剤、p−チオジグリコール等のチオエーテル系光重合促進剤などを添加してもよい。これらの化合物の添加量は、通常(メタ)アクリレートオリゴマー100重量部当たり0.01〜10重量部の範囲が好ましい。
【0060】
なお、この樹脂被覆層3aには、その他必要に応じて種々の添加剤を適量添加することができる。
【0061】
この樹脂被覆層3aを導電性弾性層3上に形成する方法としては、上記樹脂成分及び添加剤を含有する組成物よりなる塗工液を上記半導電性弾性層3の表面に塗布し、紫外線又は電子線を照射する方法が好適に採用される。この塗工液は溶剤を含まないものであることが好ましい。
【0062】
この塗工液を塗布する方法としては、スプレー法、ロールコーター法、ディッピング法などにより行うことができる。
【0063】
この樹脂被覆層3aの厚さは、特に制限されるものではないが、通常1〜500μm特に3〜200μmとりわけ5〜100μm程度とすることが好ましい。厚さが1μm未満であると、耐久時の摩擦により十分に表面層の帯電性能が確保することができなくなる場合があり、一方500μmを超えると、現像ローラ表面が硬くなり、トナーにダメッジを与えて感光体等の画像形成体や成層ブレードへのトナーの固着が発生して画像不良となる場合がある。
【0064】
本発明のトナー担持体は、上記樹脂被覆層の少なくとも最外層の体積抵抗率を1×104〜1×1014Ω・cmとすることが好ましい。
【0065】
本発明のトナー担持体は、電気抵抗を1×103〜1×1010Ω特に1×104〜1×108Ωとすることが好ましい。この場合抵抗値が1×103Ω未満であると、階調性コントロールが著しく困難となり、また感光体等の画像形成体に欠陥があった場合バイアスリークが生じることもある。一方、抵抗値が1×1010Ωを超えると、例えばトナーを感光体等の潜像保持体に現像する場合、現像バイアスがトナー担持体自体の高抵抗のために電圧降下をおこし、現像に十分な現像バイアスが確保できなくなって、十分な画像濃度が得られなくなってしまう。なお、この抵抗値の測定は、例えば平板又は円筒状の対極に現像ローラの外周面を所定圧力で押し当て、シャフトと対極との間に100Vの電圧を印加して、その時の電流値から求めることができる。
【0066】
このように、トナー担持体の抵抗値を適正かつ均一に制御することはトナーが移動するための電界強度を適正かつ均一に保つ点で重要である。
【0067】
本発明のトナー担持体は、トナーを用いる画像形成装置に組み込むことができ、具体的には図2に示すように、トナーを供給するためのトナー塗布用ローラ4と静電潜像を保持した感光ドラム5との間に、本発明のトナー担持体(現像ローラ)1を感光ドラム5と接触又は近接した状態で配設し、トナー塗布用ローラ4によりトナー6をこの現像ローラ1に供給し、これを成層ブレード7により均一な薄層に整え、更にこの薄層からトナーを感光ドラム5に供給し、該感光ドラム5の静電潜像にトナーを付着させて潜像を可視化することができる。なお、図2の詳細については、従来技術において説明しているのでその説明を省略する。
【0068】
【実施例】
以下、実施例、比較例を示して、本発明を具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0069】
[実施例1]
分子量5000のポリエーテルポリオール(OH価:33)100部(重量部、以下同じ)に、1,4−ブタンジオール1.0部、ニッケルアセチルアセトネート0.5部、ジブチルチンジラウレート0.01部及びアセチレンブラック2.0部を添加し、混合機を用いて混合してポリオール組成物を調製した。このポリオール組成物を減圧下攪拌して脱泡した後、ウレタン変性MDIを17.5部加えて2分間攪拌し、次いでシャフトを配置し、予め110℃に加熱した金型に注型し、110℃で2時間硬化させて金属シャフトの外周に導電性弾性体を形成してローラ本体を得た。得られたローラの外径は12mm、弾性層部分の全長は210mmである。
【0070】
このようにして製作したローラ本体の外周面に、表1に示すように、イオン導電剤として過塩素酸ナトリウムを2PHR配合したウレタンアクリレート系紫外線硬化型樹脂組成物よりなる塗工液を厚み30μmになるように、ロールコータで塗布した後、ウシオ電機(株)製ユニキュアUVH−0252C装置を用いてローラを回転させながら、照度400mW,積算光量1000mJ/cm2で紫外線を照射したところ、塗膜は瞬時に硬化して弾力性のある樹脂被覆層が形成された。
【0071】
得られたローラは、表1に示す特性を有し、現像ローラに適したものであった。
【0072】
表1のRzは、トナー担持体のJIS10点平均粗さである。
【0073】
また、ローラの60秒クリープ値は、Fischer社製超微小硬度計H−100Vを用い、下記の測定条件により荷重を印加、除去して100mN/mm2定荷重測定条件での60秒クリープ値である。
【0074】
圧子:対面角度136°の四角錘型ダイヤモンド
圧子初期荷重:0.02mN/mm2
最大荷重:100mN/mm2
荷重印加速度:100/60mN/mm2/sec
最大荷重時クリープ時間:60sec
【0075】
即ち、圧子に対し100/60mN/mm2の荷重印加速度にて荷重を増加させながら印加し、60秒後に荷重が100mN/mm2に達した後、荷重をこの100mN/mm2に保ったまま60秒間保持し、この定荷重下での60秒間における圧子の押し込み深さがローラの60秒クリープ値である。
【0076】
なお、樹脂被覆層単体を製造し、そのクリープ特性を測定した結果を表1に『塗膜単体のクリープ値』として示した。
【0077】
この樹脂被覆層単体は、上記樹脂被覆層を形成するための樹脂組成物(塗工液)を銅板上に50μm厚にて塗布し、同様に紫外線照射して硬化させたフィルムである。
【0078】
このフィルム(銅板に付着したままのフィルム)について、Fischer社製超微小硬度計H−100V(圧子は対面角度136°の四角錘型ダイヤモンド)を用い、荷重印加速度:10/30mN/mm2/secにて30秒間荷重を増加させながら印加し、30秒後に荷重が10mN/mm2に達した後、荷重をこの10mN/mm2に保ったまま60秒間保持し、この定荷重下での60秒間における圧子の押し込み深さ(μm)が『塗膜単体のクリープ値』である。
【0079】
画像評価は、該トナー担持体を現像ローラとして、図2に示した現像ユニットにおいて、現像バイアス−400V、ブレードバイアス−600Vとし、平均粒径7μmの負帯電性非磁性一成分トナーを用い、線速60mm/secの周速で回転させながら、反転現像で画像出しを行い、白地、ハーフトーン、黒地画像における初期画像について、計5枚を評価して行った。
【0080】
1ヶ月放置ブレード圧接痕は、現像ローラに成層ブレードを押し付けて1ヶ月間放置した後に、圧接痕の有無の観察結果である。
【0081】
[実施例2]
硬化後のクリープ値が実施例1よりも高いウレタンアクリレートを用いて塗膜を成膜すると共に塗膜厚みを10μmと実施例1よりも小さくしたこと以外は実施例1と同様にして現像ローラを製作した。このローラも、表1に示す特性を有し、現像ローラに適したものであった。
【0082】
[実施例3]
弾性層を発泡RIMウレタンとしたほかは実施例1と同様にして現像ローラを製作した。このローラも、表1に示す特性を有し、現像ローラに適したものであった。
【0083】
なお、ローラ本体の製造方法は次の通りである。サンニックスFA952(三洋化成工業株式会社製ポリエーテルポリオール、OH価=37)100部、SRX274C(東レダウコーニングシリコン株式会社製製泡剤)1部、TOYOCAT NP(東ソー株式会社製アミン触媒)2.8部、TOYOCAT EP(東ソー株式会社製アミン触媒)1.5部及びサンフォームIC−716(三洋化成工業株式会社製トリレンジイソシアネート)59部を機械的に撹拌して発泡させた。
【0084】
内径16mm、長さ250mmの、表面をフッ素加工した金属製円筒型の片側開口部から、外径6.0mm、長さ240mmの金属製シャフトを配置し、上記の発泡ポリウレタン原料をRIM成形用発泡機から注入した。
【0085】
次いで、発泡ポリウレタン原料が注入されたモールドを80℃のオーブン中で20分間キュアした後脱型し、外径が12mm、弾性層部分の全長が210mmの弾性層を有するローラ本体を得た。
【0086】
[実施例4]
導電剤としてカーボンブラックを20PHR配合すると共に、電子線照射により硬化を行ったこと以外は実施例1と同様にして現像ローラを製作した。このローラも、表1に示す特性を有し、現像ローラに適したものであった。なお、電子線照射装置はウシオ電機(株)製Min−EBであり、加速電圧30kV、管電流300μA、照射距離100mm、雰囲気1Torrとした。
【0087】
[比較例1]
紫外線硬化型樹脂として硬化後のクリープが小さいウレタンアクリレート系のものを用いたこと以外は実施例1と同様にして現像ローラを製作した。この場合、表2の通り、画像品位が実施例よりも低い。また、ローラにブレード圧接痕が若干生じた。
【0088】
[比較例2]
電子線硬化型樹脂として硬化後のクリープが小さいウレタンアクリレート系のものを用いたこと以外は実施例4と同様にして現像ローラを製作した。この場合、表2の通り、画像品位が実施例よりも低い。また、ブレード圧接痕も生じる。
【0089】
[比較例3]
弾性層をクリープ値の大きいEPDM製とし、膜厚を30μmとしたこと以外は実施例2と同様にして現像ローラを製作した。この場合、表2の通り、画像品位が実施例よりも少し低い。また、ブレード圧接痕も若干生じた。
【0090】
【表1】
【0091】
【表2】
【0092】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明のトナー担持体は、トナー担持体の塑性変形量を、ユニバーサル硬度測定における該担持体表面の100N/mm2定荷重測定条件での60秒クリープ値で最適化することによって、ダメージトナーに起因するトナー塊によって発生するトナー担持体の研削を抑制し、トナー漏れ等の不良発生を防止し、長期保存時、長期使用時等、従来画像不良が発生しやすいといわれる使用環境において、安定して良好な画像を得ることができるものであって、各種画像形成装置のトナー担持体として好適に用いられる。また、本発明のトナー担持体は、その製造に際し長いラインが不要である。
【図面の簡単な説明】
【図1】現像ローラの断面図である。
【図2】画像形成装置の構成図である。
【符号の説明】
1 トナー担持体(現像ローラ)
2 シャフト
3 導電性弾性層
3a 樹脂被覆層
6 トナー
Claims (12)
- 表面にトナーを担持して該トナーの薄膜を形成し、この状態で画像形成体に接触又は近接して、該画像形成体表面にトナーを供給することにより可視画像を形成するトナー担持体であって、
シャフトと、該シャフトの外周に形成された弾性層と、該弾性層の外周面に形成された少なくとも1層の樹脂被覆層とを有するトナー担持体において、
該樹脂被覆層は、紫外線硬化型樹脂又は電子線硬化型樹脂よりなり、
該担持体表面のユニバーサル硬度を測定するに際し、100mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下であることを特徴とするトナー担持体。 - 請求項1において、該樹脂被覆層単体は、10mN/mm2定荷重測定条件での該表面の変形回復挙動から得られる60秒クリープ値が10.0μm以下であることを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1又は2において、弾性層が、エチレン−プロピレンゴム、ブタジエンゴム、シリコーンゴム、又はウレタンゴムあるいはこれらと他のゴム材料との混合物を含有することを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1又は2において、該弾性層が、ウレタン結合を有する樹脂を含有することを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし4のいずれか1項において、該樹脂被覆層が、10℃以下のガラス転移点を有する樹脂からなることを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし5のいずれか1項において、該樹脂被覆層の動的弾性率E’が107〜109.8dyn/cm2であり、かつ損失正接tanδが0.7以下であることを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし6のいずれか1項において、該樹脂被覆層が、無溶剤の塗工液を塗布し、紫外線又は電子線を照射して硬化させることにより形成されたものであることを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし7のいずれか1項において、該樹脂被覆層の少なくとも最外層が、1×104〜1×1014Ω・cmの体積抵抗率を有することを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし8のいずれか1項において、該樹脂被覆層の少なくとも1層が、フッ素樹脂、ポリアミド樹脂、アルキッド樹脂、フェノール樹脂、メラミン樹脂、シリコーン樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル変性シリコーン樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、これらの混合物あるいはこれらと他の樹脂との混合物を含有することを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし9のいずれか1項において、該樹脂被覆層の厚さが1〜500μmであることを特徴とするトナー担持体。
- 請求項1ないし10のいずれか1項において、表面におけるアスカーC硬度が35〜85度であることを特徴とするトナー担持体。
- トナー担持体を有する画像形成装置において、該トナー担持体として請求項1〜11のいずれかに記載のトナー担持体を用いたことを特徴とする画像形成装置。
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