JP2004190932A - 給気用水フィルタ装置および給気浄化方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】給気路14と水収容部16と隔壁12とフィルタ板13とを有する。給気路14は、吸気口14aと給気口14bとを有する。水収容部16は、給気路14の内部で吸気口14aと給気口14bとの間に設けられている。隔壁12は、給気路14の内部で水収容部16に収容される水の水面との間に水しぶき17をあげて通気可能な間隙18をあけて、吸気口14aと給気口14bとの間を遮るよう配置されている。フィルタ板13は、複数の板材11aを通気可能な間隔をあけて交互に配置して成り、水収容部16の上方に給気路14を遮断するよう設けられている。フィルタ板13は、間隙18での通気により発生する水しぶきを遮るとともに、通気することができるようになっている。
【選択図】図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、一般家庭や事務所などで用いられる給気用水フィルタ装置および給気浄化方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の給気用水フィルタ装置および給気浄化方法は、隔壁が水収容部に収容される水に所定量だけ浸漬しており、給気口から空気を吸引すると、吸気口から吸入された空気が水中を通過して、空気中の分散粒子等が水中に捕捉されるようになっている(例えば、特許文献1,2参照。)。また、隔壁の下縁部に多数設けられた空隙の下端側の一部が水面下に没しており、空気を吸引すると、水が攪拌されて空隙部分に水膜を形成し、空気が水膜を通過する際に、空気中の油煙や臭いが水膜中に分離するものもある(例えば、特許文献3参照。)。さらに、排気パネルの上部に水を汲み上げ、空気の吸引により、排気パネルを通過する空気が水をバブリングして空気中の油脂分を水中に分離するものもある(例えば、特許文献4参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開平1−159015号公報
【特許文献2】
登録実用新案第3004734号公報
【特許文献3】
特開平7−31823号公報
【特許文献4】
特開平10−216447号公報
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来の給気用水フィルタ装置および給気浄化方法では、空気が水中を通過するためには、給気口から空気を吸引する力を強くする必要があり、装置の稼働時に電気代等のコストが嵩むという課題があった(例えば、特許文献1,2参照。)。また、隔壁の下縁部に空隙を設ける場合には、隔壁の形状が複雑となり、製造コストが嵩むという課題があった(例えば、特許文献3参照。)。さらに、排気パネルの上部に水を汲み上げる場合には、装置全体の構造が複雑化し、製造コストおよび汲み上げ装置の稼働コストが嵩むという課題があった(例えば、特許文献4参照)。
【0005】
本発明は、このような従来の課題に着目してなされたもので、構造が簡単で、製造および稼働コストを低減することができる給気用水フィルタ装置および給気浄化方法を提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明に係る給気用水フィルタ装置は、給気路と水収容部と隔壁とを有し、前記給気路は吸気口と給気口とを有し、前記水収容部は前記給気路の内部で前記吸気口と前記給気口との間に設けられ、前記隔壁は前記給気路の内部で前記水収容部に収容される水の水面との間に水しぶきをあげて通気可能な間隙をあけて前記吸気口と前記給気口との間を遮るよう配置されていることを、特徴とする。
【0007】
本発明に係る給気浄化方法は、吸気口と給気口とを有する給気路の内部で前記吸気口と前記給気口との間に水を収容し、前記給気路の内部で隔壁により前記水の水面との間に間隙をあけて前記吸気口と前記給気口との間を遮り、その間隙を通して水しぶきをあげて通気させることを特徴とする。
【0008】
本発明に係る給気用水フィルタ装置および給気浄化方法では、吸気口を室内に、給気口を室外に設置しても良く、吸気口を室外に、給気口を室内に設置しても良い。また、吸気口および給気口をともに室内に設置しても良い。
【0009】
本発明に係る給気用水フィルタ装置および給気浄化方法では、吸気口から空気を吸引し、給気路を通して給気口から空気を排出する。この場合、吸気口で空気を吸引して給気口側へ送風しても、給気口より下流で吸気口側から空気を吸引しても良い。
【0010】
本発明に係る給気用水フィルタ装置および給気浄化方法では、隔壁と水収容部に収容される水の水面との間隙を、水しぶきをあげて通気させるため、空気中の塵埃等が水しぶきに吸着されて、空気を浄化することができる。また、水しぶきの間を通った空気が供給されるため、供給される空気の湿度を高めることができる。
【0011】
本発明に係る給気用水フィルタ装置および給気浄化方法では、隔壁と水収容部に収容される水の水面との間に間隙があいている。このため、水中を通して空気を通気させる場合に比べて、空気の吸引力が弱くても容易に通気することができ、空気の吸引に用いるファンの電気代等の稼働コストを低減することができる。また、隔壁に空隙を設けるなどの複雑な加工や、汲み上げ装置などの付加的な装置を必要としないため、装置の構造が簡単となり、製造および稼働コストを低減することができる。
【0012】
本発明に係る給気用水フィルタ装置および給気浄化方法は、通気の際に水しぶきをあげるため、マイナスイオンを発生させることができる。マイナスイオンは、人体の免疫力や自然治癒力を高める効果等があるといわれており、室内に供給することにより居住者の健康に資することができる。
【0013】
本発明に係る給気用水フィルタ装置は、前記給気路の内部の前記間隙と前記給気口との間に、前記間隙での通気により発生する水しぶきを遮る通気可能なフィルタ板を有することが好ましい。この構成では、空気中の塵埃等を吸着した水しぶきは、フィルタ板によって遮られる。水しぶきに吸着されなかった空気中の塵埃等は、水しぶきがフィルタ板に当たって流れる水の膜に吸着させることができる。このため、フィルタ板の間隙から、浄化した空気のみを給気口側へと通気させることができる。
【0014】
また、本発明に係る給気用水フィルタ装置では、前記フィルタ板は複数の板材を通気可能な間隔をあけて交互に配置して成り、前記水収容部の上方に前記給気路を遮断するよう設けられていることが好ましい。この構成では、フィルタ板によって遮られた水しぶきは、塵埃等を吸着した状態でフィルタ板をつたって水収容部の中へと流れる。このため、稼動中は、給気路の内部を常に浄化しておくことができる。水収容部の水を清浄水と入れ替えれば、吸着した塵埃等を水とともに給気路の内部から除去することができる。水収容部の水は、常に一定量の給水および排水を行うようにしても、所定時間ごとに入れ替えるようにしてもよい。
【0015】
本発明に係る給気用水フィルタ装置は、回転羽根を有し、前記回転羽根は前記給気路の内部で回転軸を前記水面に沿わせ、一部を前記水面より下に配置して前記間隙での通気により回転するよう設けられていてもよい。
【0016】
本発明に係る給気用水フィルタ装置では、一部が水面下に配置された回転羽根が通気により回転するため、水しぶきがあがりやすい。このため、水しぶきの量が増えて、空気中の塵埃等が水しぶきに吸着される可能性が高くなり、効率的に空気を浄化することができる。
【0017】
本発明に係る給気用水フィルタ装置は、前記水収容部に収容される水の加熱装置または冷却装置を有していてもよい。この場合、隔壁と加熱または冷却された水の水面との間隙を空気が通る際に、空気と水との間で熱交換が行われ、浄化された暖かい空気または冷たい空気を供給することができる。このため、この構成では、暖房効果または冷房効果をもたらすことができる。特に、冷却装置を用いた場合には、水しぶきが水蒸気になる時に周囲から気化熱を奪い、空気が冷やされるため、冷房効率を高めることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づき、本発明の実施の形態について説明する。
図1乃至図4は、本発明の第1の実施の形態を示している。
図1に示すように、給気用水フィルタ装置10は、本体11と2枚の隔壁12と2枚のフィルタ板13とを有している。
【0019】
図1に示すように、本体11は、ステンレス製のほぼ直方体状の函体11aから成り、対向する2つの側面の上部にそれぞれ2つの吸気フード11bを有し、4本の脚11cにより支持されている。図1(B)に示すように、本体11の上部中央には、給気ダクト接続部11dが設けられている。函体11aの正面には、内部確認用の透明な窓が設けられている。本体11の下面の中央には、水収容部の水を抜くための水抜き栓11eが設けられており、本体11の下面は水抜き栓11eに向かってやや傾斜している。
【0020】
本体11は、内部に2つの吸気フード11bから給気ダクト接続部11dまで連通する給気路14を有している。給気路14は、吸気フード11bに吸気口14aを有し、給気ダクト接続部11dに給気口14bを有している。吸気口14aは、吸気フード11bにより下側を向いている。給気ダクト15接続部11dには、ステンレス製の給気ダクト15が取り付けられている。給気ダクト15の内部には、給気ファンが取り付けられている。これにより、給気口14bから吸引された空気は、給気ダクト15の内部を通って室内に供給されるようになっている。
【0021】
図1(B)に示すように、本体11の内側底部には、水収容部16が形成されている。水収容部16は、給気路14の内部で吸気口14aと給気口14bとの間に配置されている。水収容部16には、通常、水を所定の高さまで貯めておく。水は、本体11の水抜き栓11eから排出することができる。
【0022】
図1に示すように、2枚の隔壁12は、それぞれステンレス製の矩形の板から成り、給気路14の内部で本体11の上面に吊り下げられて固定されている。各隔壁12は、吸気口14aと給気口14bとの間を遮るよう側面に対し平行に配置されている。各隔壁12と各側面との間には、通気可能な間隔が設けられている。各隔壁12は、上縁部および両側縁部が本体11の内面に隙間がないよう密接して取り付けられている。隔壁12は、その下縁部と水収容部16に収容される水の水面との間に、水しぶき17をあげて通気可能な間隙18をあけて配置されている。
【0023】
図3に示すように、各フィルタ板13は、ステンレス製のバッフル型グリスフィルターから成り、複数の細長い板材13aを通気可能な間隔をあけて交互に配置して成っている。各板材13aは、断面がC字状をなしている。図1(A)に示すように、フィルタ板13は、複数の板材13aが縦方向にそれぞれ並列に取り付けられている。図1(B)に示すように、2枚のフィルタ板13は、給気路14の内部の間隙18と給気口14bとの間で、水収容部16の上方に、給気路14を遮断するように設けられている。各フィルタ板13は、上縁部が本体11の上面の隔壁12に近い位置に取り付けられ、下縁部が互いに接続されて、互いに給気口14bを挟んで断面がV字型をなしている。フィルタ板13は、間隙18での通気により発生する水しぶき17を遮るとともに、吸気口14aから給気口14bへ通気することができるようになっている。
【0024】
次に、作用について説明する。
給気用水フィルタ装置10は、屋外に設置され、給気口14bが給気ダクト15の一端に接続されている。給気ダクト15は、他端が室内の換気口に接続されている。給気用水フィルタ装置10は、給気ダクト15内部の給気ファンを稼働させることにより稼働する。図2に示すように、給気用水フィルタ装置10は、吸気口14aから屋外の空気を吸引し、給気路14、給気口14bおよび給気ダクト15を通って室内に空気を供給する。
【0025】
図2に示すように、給気用水フィルタ装置10および給気浄化方法は、隔壁12と水収容部16に収容される水の水面との間隙18を、水しぶき17をあげて通気させるため、空気中の塵埃等が水しぶき17に吸着されて、空気を浄化することができる。また、水しぶき17の間を通った空気が供給されるため、供給される空気の湿度を高めることができる。
【0026】
給気用水フィルタ装置10および給気浄化方法は、隔壁12と水収容部16に収容される水の水面との間に間隙18があいている。このため、水中を通して空気を通気させる場合に比べて、空気の吸引力が弱くても容易に通気することができ、空気の吸引に用いるファンの電気代等の稼働コストを低減することができる。また、隔壁12に空隙を設けるなどの複雑な加工や、汲み上げ装置などの付加的な装置を必要としないため、装置の構造が簡単となり、製造および稼働コストを低減することができる。
【0027】
給気用水フィルタ装置10および給気浄化方法は、通気の際に水しぶき17をあげるため、マイナスイオンを発生させることができる。マイナスイオンは、人体の免疫力や自然治癒力を高める効果等があるといわれており、室内に供給することにより居住者の健康に資することができる。
【0028】
図3に示すように、給気用水フィルタ装置10および給気浄化方法では、空気中の塵埃等を吸着した水しぶき17が、フィルタ板13によって遮られる。水しぶき17に吸着されなかった空気中の塵埃等は、水しぶき17がフィルタ板13に当たって流れる水の膜に吸着させることができる。このため、図3(A)に示すように、フィルタ板13の複数の板材13aの間隙から、浄化した空気のみを給気口14b側へと通気させることができる。
【0029】
給気用水フィルタ装置10および給気浄化方法では、フィルタ板13によって遮られた水しぶき17が、塵埃等を吸着した状態でフィルタ板13の縦方向に並んだ複数の板材13aをつたって水収容部16の中へと流れる。このため、稼動中は、給気路14の内部を常に浄化しておくことができる。水収容部16の水を水抜き栓11eから排水し、清浄水と入れ替えれば、吸着した塵埃等を水とともに給気路14の内部から除去することができる。水収容部16の水は、常に一定量の給水および排水を行うようにしても、所定時間ごとに入れ替えるようにしてもよい。
【0030】
なお、図4に示すように、給気用水フィルタ装置10は、回転羽根19を有していてもよい。回転羽根19は、給気路14の内部の隔壁12とフィルタ板13との間に、回転軸19aを隔壁12の下縁部と平行にして水面に沿わせるように設けられている。回転羽根19の回転軸19aは、両端が本体11の側面に固定されている。回転羽根19は、一部を水面より下に配置して、間隙18での通気により回転するようになっている。
【0031】
この構成では、一部が水面下に配置された回転羽根19が通気により回転するため、水しぶき17があがりやすい。このため、水しぶき17の量が増えて、空気中の塵埃等が水しぶき17に吸着される可能性が高くなり、効率的に空気を浄化することができる。
【0032】
図5および図6は、本発明の第2の実施の形態を示している。
図5に示すように、給気用水フィルタ装置30は、本体31と隔壁32とフィルタ板33とを有している。
【0033】
図5に示すように、本体31は、ステンレス製のほぼ直方体状の函体31aから成り、一つの側面の上部に吸気フード31bを有し、4本の脚31cにより支持されている。図5(B)に示すように、吸気フード31bの先端には、防虫網31dが取り付けられている。吸気フード31bの側面から内部にかけて、防虫網31dを洗浄するための防虫網洗浄用ノズル31eが設けられ、吸気フード31bの側面外部には、防虫網洗浄用給水バルブ31fおよび防虫網洗浄用電磁弁31gが設けられている。
【0034】
吸気フード31bを有する側面と対向する側面の上部には、給気ダクト接続部31hが設けられている。図5(B)に示すように、本体31の下部には、内部の水を排水するためのドレンパイプ31iおよび排水用電磁弁31j、水位設定のためのオーバーフローパイプ31kが設けられている。本体31の給気ダクト接続部31h脇の側面には、内部に水を供給するための給水バルブ31lおよび給水用電磁弁31mが設けられている。本体31の上面は、内部が点検できるように着脱可能になっている。
【0035】
図5に示すように、本体31は、内部に吸気フード31bから給気ダクト接続部31hまで連通する給気路34を有している。給気路34は、吸気フード31bに吸気口34aを有し、給気ダクト接続部31hに給気口34bを有している。吸気口34aは、吸気フード31bにより下側を向いている。給気ダクト接続部31hには、ステンレス製の給気ダクト35が取り付けられている。給気ダクト35の内部には、給気ファンが取り付けられている。これにより、給気口34bから吸引された空気は、給気ダクト35の内部を通って室内に供給されるようになっている。
【0036】
図5(B)に示すように、本体31の内側底部には、水収容部36が形成されている。水収容部36は、給気路34の内部で吸気口34aと給気口34bとの間に配置されている。水収容部36には、通常、水を所定の高さまで貯めておく。水収容部36には、水が凍結しないように凍結防止ヒーター36aが設けられている。水は、給水バルブ31lおよび給水用電磁弁31mにより供給され、ドレンパイプ31iおよび排水用電磁弁31jにより排水される。また、オーバーフローパイプ31kにより水位が設定される。
【0037】
図5に示すように、隔壁32は、ステンレス製の矩形の板から成り、給気路34の内部で本体31の上面に吊り下げられて固定されている。隔壁32は、吸気口34aと給気口34bとの間を遮るよう側面に対して平行に配置されている。隔壁32と吸気口34a側の側面との間には、通気可能な間隔が設けられている。隔壁32は、上縁部および両側縁部が本体31の内面に隙間がないよう密接して取り付けられている。隔壁32は、その下縁部と水収容部36に収容される水の水面との間に、水しぶきをあげて通気可能な間隙38をあけて配置されている。
【0038】
フィルタ板33は、ステンレス製のバッフル型グリスフィルターから成り、複数の細長い板材を通気可能な間隔をあけて交互に配置して成っている。各板材は、断面がC字状をなしている。図5(A)に示すように、フィルタ板33は、複数の板材が縦方向にそれぞれ並列に取り付けられている。図5(B)に示すように、フィルタ板33は、給気路34の内部の間隙38と給気口34bとの間で、水収容部36の上方に、給気路34を遮断するように設けられている。フィルタ板33は、上縁部が本体31の上面の隔壁32に近い位置に取り付けられ、下縁部が本体31の側面の給気口34b下部に取り付けられて、傾斜して設けられている。フィルタ板33は、間隙38での通気により発生する水しぶきを遮るとともに、吸気口34aから給気口34bへ通気することができるようになっている。なお、フィルタ板33は、給水バルブ31lおよび給水用電磁弁31mにより、洗浄することができる。
【0039】
次に、作用について説明する。
給気用水フィルタ装置30は、屋外に設置され、給気口34bが給気ダクト35の一端に接続されている。給気ダクト35は、他端が室内の換気口に接続されている。給気用水フィルタ装置30は、給気ダクト35内部の給気ファンを稼働させることにより稼働する。給気用水フィルタ装置30は、吸気口34aから屋外の空気を吸引し、給気路34、給気口34b、給気ダクト35を通って室内に空気を供給する。
【0040】
給気用水フィルタ装置30および給気浄化方法は、隔壁32と水収容部36に収容される水の水面との間隙38を、水しぶきをあげて通気させるため、空気中の塵埃等が水しぶきに吸着されて、空気を浄化することができる。また、水しぶきの間を通った空気が供給されるため、供給される空気の湿度を高めることができる。
【0041】
給気用水フィルタ装置30および給気浄化方法は、隔壁32と水収容部36に収容される水の水面との間に間隙38があいている。このため、水中を通して空気を通気させる場合に比べて、空気の吸引力が弱くても容易に通気することができ、空気の吸引に用いるファンの電気代等の稼働コストを低減することができる。また、隔壁32に空隙を設けるなどの複雑な加工や、汲み上げ装置などの付加的な装置を必要としないため、装置の構造が簡単となり、製造および稼働コストを低減することができる。
【0042】
給気用水フィルタ装置30および給気浄化方法は、通気の際に水しぶきをあげるため、マイナスイオンを発生させることができる。マイナスイオンは、人体の免疫力や自然治癒力を高める効果等があるといわれており、室内に供給することにより居住者の健康に資することができる。
【0043】
給気用水フィルタ装置30および給気浄化方法では、空気中の塵埃等を吸着した水しぶきが、フィルタ板33によって遮られる。水しぶきに吸着されなかった空気中の塵埃等は、水しぶきがフィルタ板33に当たって流れる水の膜に吸着させることができる。このため、フィルタ板33の複数の板材の間隙から、浄化した空気のみを給気口34b側へと通気させることができる。
【0044】
給気用水フィルタ装置30および給気浄化方法では、フィルタ板33によって遮られた水しぶきが、塵埃等を吸着した状態でフィルタ板33の縦方向に並んだ複数の板材をつたって水収容部36の中へと流れる。このため、稼動中は、給気路34の内部を常に浄化しておくことができる。水収容部36の水を排水し、清浄水と入れ替えれば、吸着した塵埃等を水とともに給気路34の内部から除去することができる。水収容部36の水は、常に一定量の給水および排水を行うようにしても、所定時間ごとに入れ替えるようにしてもよい。
【0045】
給気用水フィルタ装置30は、ドレンパイプ31iおよび排水用電磁弁31jにより、水収容部36の水を排水することができる。また、オーバーフローパイプ31kにより、水位を設定することができる。さらに、給水バルブ31lおよび給水用電磁弁31mにより、水収容部36に水を供給するとともに、フィルタ板33の洗浄を行うことができる。
【0046】
給気用水フィルタ装置30は、防虫網31dにより、給気路34に虫や大きい埃などが入り込まない。また、防虫網洗浄用ノズル31e、防虫網洗浄用給水バルブ31fおよび防虫網洗浄用電磁弁31gにより、防虫網31dを洗浄することができる。
【0047】
次に、図6を参照して、給気用水フィルタ装置30の洗浄および水収容部36の水の交換の処理手順について説明する。
洗浄および水の全交換を行う全交換モードの場合は、給気ファンを設定時間または手動により停止させる(ステップ51)。排水用電磁弁31jを開き、排水を開始する(ステップ52)。排水が終了すると(ステップ53)、防虫網洗浄用電磁弁31gを開き、防虫網31dの洗浄を開始する(ステップ54)。一定時間経過後(ステップ55)、防虫網洗浄用電磁弁31gを閉じ、防虫網31dの洗浄を終了する(ステップ56)。給水用電磁弁31mを開き、フィルタ板33の洗浄を開始する(ステップ57)。一定時間経過後(ステップ58)、排水用電磁弁31jを閉じ、給水を開始する(ステップ59)。設定水位まで給水されると(ステップ60)、給水用電磁弁31mを閉じ、給水を終了する(ステップ61)。このようにして、洗浄および水の全交換が完了し、給気用水フィルタ装置30を運転することができる(ステップ62)。
【0048】
水の部分交換を行う小交換モードの場合は、給気ファンを設定時間または手動により停止させる(ステップ63)。排水用電磁弁31jを開き、排水を開始する(ステップ64)。給水用電磁弁31mを開き、フィルタ板33の洗浄を開始する(ステップ65)。一定時間経過後(ステップ66)、排水用電磁弁31jを閉じ、給水を開始する(ステップ67)。設定水位まで給水されると(ステップ68)、給水用電磁弁31mを閉じ、給水を終了する(ステップ69)。このようにして、水の部分交換が完了し、給気用水フィルタ装置30を運転することができる(ステップ70)。
【0049】
防虫網31dの洗浄を行う網洗浄モードの場合は、給気ファンを設定時間または手動により停止させる(ステップ71)。防虫網洗浄用電磁弁31gを開き、防虫網31dの洗浄を開始する(ステップ72)。一定時間経過後(ステップ73)、防虫網洗浄用電磁弁31gを閉じ、防虫網31dの洗浄を終了する(ステップ74)。このようにして、防虫網31dの洗浄が完了し、給気用水フィルタ装置30を運転することができる(ステップ75)。
【0050】
給気用水フィルタ装置30では、コンピュータ等に接続し、制御することにより、全交換モード、小交換モードおよび網洗浄モードを全て自動で行うことができる。この場合、図6に示すように、あらかじめ時間を設定して各モードを実行することができる。これにより、給気用水フィルタ装置30は、常に清潔な状態に保たれるため、長期間性能を維持し、寿命を延ばすことができる。
【0051】
【発明の効果】
本発明によれば、構造が簡単で、製造および稼働コストを低減することができる給気用水フィルタ装置および給気浄化方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施の形態の給気用水フィルタ装置の(A)一部を切り欠いた平面図、(B)縦断面図である。
【図2】図1の給気用水フィルタ装置の稼働状態を示す縦断面図である。
【図3】図1の給気用水フィルタ装置のフィルタ板の(A)拡大平面図、(B)部分斜視図である。
【図4】図1の給気用水フィルタ装置の回転羽根を設けた変形例の稼働状態を示す縦断面図である。
【図5】本発明の第2の実施の形態の給気用水フィルタ装置の(A)一部を切り欠いた横断面図、(B)縦断面図である。
【図6】図5の給気用水フィルタ装置の洗浄および水の交換の処理手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 給気用水フィルタ
11 本体
11a 函体
11b 吸気フード
11c 脚
11d 給気ダクト接続部
12 隔壁
13 フィルタ板
13a 板材
14 給気路
14a 吸気口
14b 給気口
15 給気ダクト
16 水収容部
17 水しぶき
18 間隙
19 回転羽根
Claims (6)
- 給気路と水収容部と隔壁とを有し、
前記給気路は吸気口と給気口とを有し、
前記水収容部は前記給気路の内部で前記吸気口と前記給気口との間に設けられ、
前記隔壁は前記給気路の内部で前記水収容部に収容される水の水面との間に水しぶきをあげて通気可能な間隙をあけて前記吸気口と前記給気口との間を遮るよう配置されていることを、
特徴とする給気用水フィルタ装置。 - 前記給気路の内部の前記間隙と前記給気口との間に、前記間隙での通気により発生する水しぶきを遮る通気可能なフィルタ板を有することを、特徴とする請求項1記載の給気用水フィルタ装置。
- 前記フィルタ板は複数の板材を通気可能な間隔をあけて交互に配置して成り、前記水収容部の上方に前記給気路を遮断するよう設けられていることを、特徴とする請求項2記載の給気用水フィルタ装置。
- 回転羽根を有し、前記回転羽根は前記給気路の内部で回転軸を前記水面に沿わせ、一部を前記水面より下に配置して前記間隙での通気により回転するよう設けられていることを、特徴とする請求項1,2または3記載の給気用水フィルタ装置。
- 前記水収容部に収容される水の加熱装置または冷却装置を有することを、特徴とする請求項1,2,3または4記載の給気用水フィルタ装置。
- 吸気口と給気口とを有する給気路の内部で前記吸気口と前記給気口との間に水を収容し、前記給気路の内部で隔壁により前記水の水面との間に間隙をあけて前記吸気口と前記給気口との間を遮り、その間隙を通して水しぶきをあげて通気させることを特徴とする給気浄化方法。
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