JP2004190770A - ガス抜きバルブのフロート弁及びその製造方法 - Google Patents

ガス抜きバルブのフロート弁及びその製造方法 Download PDF

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利男 金蔵
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Abstract

【課 題】軽量性と加工の容易性の面から材質として合成樹脂材を使用すると共に、価格と性能の面からフロート弁のすべてを高価な合成樹脂で製造するのではなく、弁としてのシール機能を有する部分と弁としての形態や強度,軽量性などの特性を保持する部分とに分け、それらに異なる材質の合成樹脂材を使用した新たなフロート弁とその製造方法を提供すること。
【解決手段】熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂にガラス繊維,ミネラル粉,炭素繊維などの強化材と発泡剤を含有した材料により形成されたコア部1と、前記コア部1の全外周或は外周の一部に設けられた弁としてのシール機能を有するスキン層2であって、強化材或は発泡剤を含有しない熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂材により形成されたスキン層2とからなること。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、水道管や消火栓,各種機器・装置における流体輸送管の流路に設けられた空気などのガス抜きバルブのフロート弁とその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、水道管等による水の輸送や産業用流体原料や製品の輸送管による輸送、各種機器・装置類の作動油のパイプによる輸送の流路には、内部に貯まった空気等の気体を排出するためのガス抜きバルブが設けられている。
【0003】
このガス抜きバルブには、その作動体として通常、内部にフロート弁(弁体)が組み込まれているが、このフロート弁の構造については、十分な研究がなされているとはいえなかった。
【0004】
例えば、フロート弁としては、合成樹脂製のものが軽量であることから従来から広く用いられており、特許文献1(特開平9−4013号公報)には、内部中空のABS,ポリエチレン,ポリプロピレン等の硬質素材と軟質ゴム等の軟質素材により形成された内部中空のフロート弁が提案されている。しかし乍ら、水道用,産業用など圧力が弁体に作用する環境では、中空構造のフロート弁は好ましくない。これは万一、弁に亀裂が生じ、弁体周りの流体の圧力により弁体内部に流体が滲入し、その結果弁体の比重が増加して、弁体が沈むという事態が予想されるからである。この場合の被害は甚大なものであるために、合成樹脂製の中空構造弁体はユーザーに受入れられ難い。
【0005】
そのため、特許文献2(特開2000−192522号公報)や特許文献3(特開平10−160297号公報)には、中実の合成樹脂製のフロート弁やテフロン(登録商標)等の軽量プラスチックの材質により球形に形成されたフロート弁が提案されている。しかし乍ら、これらのフロート弁は、一般的に使用されるには価格が高すぎるという問題があった。
【0006】
現在、フロート弁の材質として一般的なものは、水道用,産業用など、耐圧強度を要する場合、発泡させたエボナイトである。このエボナイトは硬度,強度ともに優れているが、弱点として耐熱性が劣ること、耐薬品性に限界があること、エボナイトの組成上、硫黄分の溶出を無視することができないなどが挙げられる。
【0007】
【特許文献1】
特開平9−4013号公報
【特許文献2】
特開2000−192522号公報
【特許文献3】
特開平10−160297号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記従来のフロート弁における問題点に鑑み、軽量性と加工の容易性の面から材質として合成樹脂材を使用すると共に、価格と性能の面からフロート弁のすべてを高価な合成樹脂で製造するのではなく、弁としてのシール機能を有する部分と弁としての形態や強度,軽量性などの特性を保持する部分とに分け、それらに異なる材質の合成樹脂材を使用した新たなフロート弁とその製造方法を提供することを、その課題とするものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明フロート弁の構成は、熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂にガラス繊維,ミネラル粉,炭素繊維などの強化材と発泡剤を含有した材料により形成されたコア部と、前記コア部の全外周或は外周の一部に設けられた弁としてのシール機能を有するスキン層であって、強化材或は発泡剤を含有しない熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂材により形成されたスキン層とからなることを特徴とするものである。
【0010】
上記課題を解決することを目的としてなされた本発明フロート弁の製造方法の構成は、熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂にガラス繊維,ミネラル粉,炭素繊維などの強化材と発泡剤を添加し、強度及び耐熱性を維持しつつ、比重が軽くなるように調整した材料を用い、射出成形により弁としての基本骨格となるコア部を形成すると共に、該コア部の全外周或は外周の一部に、強化材或は発泡剤を添加しない熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂材を用い、弁としてのシール機能を有するスキン層を射出成形により設けることを特徴とするものである。
【0011】
本発明は、上記構成において、コア部に使用される合成樹脂としては、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS),ポリアセタール(POM)やフェノール樹脂,メラミン樹脂などのいずれか1又は2以上を使用することができる。
【0012】
また、スキン層の合成樹脂材としては、ポリアミド(PA),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリカーボネイト(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルホン(PSF),フッ素樹脂(PFA),ポリフェニルサルホン(PPSF),ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルイミド(PEI),熱可塑性ポリイミド(PI),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリエーテルニトリル(PEN),ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS),ポリアセタール(POM),フェノール樹脂,メラミン樹脂などのいずれか1又は2以上を使用することができる。
【0013】
本発明のフロート弁の外形状は、球状、円柱状,半円柱状,円筒状、半円筒状、円錐状、三角,四角,五角,六角等の多角柱状又は筒状若しくは多角錐状などにすることができる。
【0014】
更に、上記構成の本発明製造方法において、スキン層を射出成形によりコア部の外周に設けるとき、コア部をその保持用ピンにより金型に保持すると共に、合成樹脂材の射出が完了する直前に前記保持用ピンを引抜き、該ピンを引抜いたところに合成樹脂材を充填するようにしてもよく、また、スキン層を射出成形によりコア部の外周に設けるとき、コア部をその保持用袴にセットすると共に、合成樹脂材をコア部の外周の約半分に射出してスキン層の約半分をコア部に設けた後、前記袴を取外し、他の半分に合成樹脂材を射出して他のスキン層を設けるようにしてもよい。
【0015】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施の形態例を図に拠り説明する。図1は本発明フロート弁の一例の断面図、図2は図1のフロート弁の製造方法の一例を説明するための断面図、図3は図1のフロート弁の製造方法の別例を説明するための断面図、図4は図1のフロート弁の製造方法の他の例を説明するための断面図、図5は図4の製造方法により製造したフロート弁のテスト方法を示す側面図、図6はスキン層をコア部の全外周に設けた本発明の他の各種フロート弁の斜視図で、〔イ〕は円柱状のフロート弁、〔ロ〕は円錐状のフロート弁、〔ハ〕は円筒状のフロート弁、〔ニ〕は半円筒状のフロート弁のそれぞれ斜視図、図7はスキン層をコア部の一部に設けた本発明の他の各種フロート弁の斜視図で、〔イ〕は円柱状のフロート弁、〔ロ〕は円錐状のフロート弁、〔ハ〕は円筒状のフロート弁、〔ニ〕は半円筒状のフロート弁のそれぞれ斜視図である。
【0016】
図1において、1は本発明の一例の球状フロート弁FBにおける骨格となるコア部、2はこのコア部1の全外周に設けられているスキン層であり、弁としてのシール機能を有する。図1に示したフロート弁FBは、コア部1とスキン層2とを別材質にした球形のものである。なお、後述するように、使用する個所に対応させて、円柱状,半円柱状などの様々な外形状のものを形成することができる。
【0017】
コア部1は、熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂に、ガラス繊維,ミネラル粉,炭素繊維などの強化材と発泡剤を添加した材料により形成されている。このコア部1に用いられる合成樹脂としては、熱可塑性樹脂では、安価な汎用樹脂のポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS),ポリアセタール(POM),メタクリル樹脂(PMMA),石油樹脂などが挙げられる。熱硬化性樹脂では、フェノール樹脂(PF),ユリア樹脂(UF),不飽和ポリエステル樹脂(UP),ポリウレタン(PUR),メラミン樹脂(MF),アルキド樹脂,ケイ素樹脂(SI),エポキシ樹脂(EP)などが挙げられる。これらはいずれか一つでもよく、また、2以上のものを適宜組み合わせて使用することができる。
【0018】
また、コア部1には、発泡剤が添加されているが、これはフロート弁FBの軽量化のためである。なお、ポリウレタンフォームのような化学反応により発泡するものも使用できる。コア部1に対する要求特性により、発泡剤の他にガラス繊維,ミネラル粉,或はカーボン繊維等の強化された材料も使用する。発泡剤や強化材の添加量はフロート弁の比重,耐熱性,機械強度により、適宜調整することができる。
【0019】
次に、スキン層2は、外観性を考慮し、表面粗さレベルを良好にするために強化材或は発泡剤を含有しない熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂材により形成されている。具体的な樹脂として、汎用樹脂であればコア部用材料と同様のものを使用することができるが、スキン層2は弁としてのシール機能を有するため、耐熱性,耐薬品性,機械的強度など、樹脂フロートに対する要求機能により、材料を選択する。
【0020】
詳細には、スキン層2の合成樹脂材には、エンジニアリング・プラスチックであるポリアミド(PA)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネイト(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET)など、或は、スーパー・エンジニアリング・プラスチックであるポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルホン(PSF),フッ素樹脂(PFA),ポリフェニルサルホン(PPSF),ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルイミド(PEI),熱可塑性ポリイミド(PI),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリエーテルニトリル(PEN)などを使用することができる。また、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS),ポリアセタール(POM),メタクリル樹脂(PMMA),石油樹脂,フェノール樹脂(PF),ユリア樹脂(UF),不飽和ポリエステル樹脂(UP),ポリウレタン(PUR),メラミン樹脂(MF),アルキド樹脂,ケイ素樹脂(SI),エポキシ樹脂(EP)なども使用することができる。これらはいずれか一つでもよく、また、2以上のものを適宜組み合わせて使用することができる。なお、スキン層2はここでは1層構成であるが、2層或は3層以上の層構成にすることもできる。
【0021】
上記のように、コア部1とスキン層2とを別材質にしたのは、仮にフロート弁FBの全部をシール機能や耐熱性,耐薬品性などに優れた高価なエンジニア・プラスチックやスーパー・エンジニア・プラスチックにすると材料コストがかかりすぎ、また、軽量化のための発泡成形が困難であるという問題が生じる。他方、フロート弁の全部を発泡成形が可能な安価な汎用樹脂にした場合、軽量化できるが、表面が粗くなってしまい、弁としてのシール機能に劣るという問題が生じる。そこで、本発明では、コア部1には、弁体表面には適さないものの、剛性,耐熱性などの特性を有し、しかも発泡成形が可能で比重も軽くできる安価な材料を使用し、コア部1の全外周或は外周の一部には高価ではあるが、シール機能に優れるエンジニア・プラスチックやスーパー・エンジニア・プラスチックによりスキン層2を薄肉で設ければ、コストを抑えて高機能な弁体を製造することができるからである。つまり、コア部1に安価な汎用性樹脂を、スキン層2に、高価ではあるが耐熱性,耐薬品性,機械的強度などに優れた高機能樹脂をそれぞれ使用することにより、フロート弁としての優れた機能を有しながら、製造価格を低廉にすることができるからである。
【0022】
上記コア部1とスキン層2からなる本発明のフロート弁FBは、その比重を1.00未満にすることができ、図示しないが水道管や消火栓は勿論、各種機器・装置における流体輸送管の流路に設けられた空気などのガス抜きバルブのフロート弁として好適に使用することができる。
【0023】
次に、図1に示した球状のフロート弁FBの製造方法について、図2〜図4により説明する。なお、図2は図3に示した製造方法に改良する前の製造方法を示している。コア部1は上記の材料で射出成形により球形状に形成する。射出成形の温度条件は材料により異なるが、ABS樹脂を使用した場合、樹脂温度約230℃、金型温度約60℃が一般的である。
【0024】
図2による製造方法では、図2の〔イ〕に示したように、コア部1を金型にセットするに際し、射出時の高い樹脂圧でコア部1は動かないようにコア部1を金型にしっかりと保持するために、エアシリンダ或は油圧シリンダで作動する保持用ピン3を使用する。保持用ピン3は、図2の〔イ〕に示したようにコア部1の上,下、左,右の四箇所とゲート4の反対側の一箇所に設ける。この場合、射出が終了するまで、コア部1の保持用ピン3を動かさなければ当然、この保持用ピン3の部分にはスキン層2を形成する材料が充填されず、図2の〔ロ〕に示したようにスキン層2に保持用ピン3を取外した穴5が生じる。しかし、フロート弁FBとしては、スキン層表面に傷や凹みなどがあると機能上、重大な欠陥となる。そこで、このような保持用ピンの穴5が生じないように金型構造を工夫する必要がある。
【0025】
図3は、図2に示した製造方法を改良したもので、スキン層を形成するための材料を金型内に射出する際、射出が完了する前にタイミングよく、保持用ピン3を外側に抜けるような金型構造にしたものである。この製造方法によれば、図3の〔イ〕に示したようにコア部1を保持用ピン3で固定してスキン層を形成する材料を射出し、図3の〔ロ〕に示したように、射出が完了する直前に、保持用ピン3を引き抜くので、材料が金型の保持用ピン3が抜けた穴に完全に充填され、スキン層2の全表面を材料で覆うことができる。成形性を考慮した場合、このスキン層2の肉厚は2〜4mmが一般的であるが、フロート弁FBの大きさとの関係で、2mmより薄くすることも、又は4mmより厚くすることもできる。スキン層2の射出成形時の温度条件は、材料により大きく異なるが、例えば、PEEK樹脂の場合、樹脂温度約360℃、金型温度約160℃である。この図3に示した製造方法は、一度の射出成形でスキン層を作ることができる利点があるが、金型構造が複雑なため、金型の価格が高価になるという問題がある。
【0026】
次に、図4により、図1に示した球状のフロート弁FBの別の製造方法について説明する。コア部1及びスキン層2の材料は、図2,図3に示した製造方法において用いたものと同じものを使用する。図4に示した製造方法では、コア部1を金型にセットする際、射出時の高い樹脂圧でコア部1が動かないようにコア部1を金型にしっかりと保持するため、図4の〔イ〕に示したようなスキン層2の半分程度の大きさの略半球状の袴6を使用する。即ち、図4に示した製造方法では、スキン層を一度に成形するのではなく、半分ずつ成形する。この方法であると、成形を2度行わなければならないので、加工コストが高くなるという短所があるが、金型構造が簡単なので、金型代を抑えることができるという利点がある。
【0027】
図4の製造方法について説明すると、まず、図4の〔イ〕に示したように、コア部1をコア部保持用袴6の上にセットし、スキン層を形成するための材料を射出すると、図4の〔ロ〕に示したように、スキン層の半分2aが成形される。次に、コア部保持用袴6を取外し、スキン層の半分2aが下になるように金型にセットした後、二度目の射出を行うと、図4の〔ハ〕に示すように残りのスキン層の半分2bが成形できる。先に成形したスキン層の半分2aと後で成形したスキン層の半分2bはパーティングラインPで熱溶着されている。これは樹脂温度がPEEKの場合で、約360℃と高温であるため、完全に熱溶着する。なお、4aはスキン層の半分2aを成形するためのゲート、4bはスキン層の他の半分2bを成形するためのゲートである。
【0028】
参考までに、上記図4の製造方法で製造したフロート弁FBの上記熱溶着したところの強度を図5に示した方法で測定したところ、4,500kgfの荷重によっても溶着面に破損,亀裂,ひび等の異常発生は認められなかった。
【0029】
次に、本発明のフロート弁FBの外形状は、上記のような球状のものに限られず、図6の〔イ〕,図7の〔イ〕に示したような円柱状のフロート弁FB1,FB1′、図6の〔ロ〕,図7の〔ロ〕に示したような円錐状のフロート弁FB2,FB2′、図6の〔ハ〕,図7の〔ハ〕に示したような円筒状のフロート弁FB3,FB3′、図6の〔ニ〕,図7の〔ニ〕に示したような半円筒状のフロート弁FB4,FB4′などのようにすることができる。これは組み込むバルブの形状に合わせフロート弁の形状を設計することができることを明確にするためである。図6と図7に示したものの相違は、図6に示したフロート弁FB1〜FB4はコア部1の全外周にスキン層2を設けたもの、図7に示したフロート弁FB1′〜FB4′は、コア部1の外周の一部にスキン層2を設けたものである点である。なお、フロート弁FBの外形状としては、上記以外に、半円柱状,三角,四角,五角,六角等の多角柱状又は筒状若しくは多角錐状のように様々な形状にすることができる。なお、これら外形状のフロート弁FBについても、図2〜図4に示した製造方法を用い、フロート弁FBの外形状に対応させて製造することができる。
【0030】
【発明の効果】
本発明は以上の通りであって、本発明フロート弁は、弁の基本骨格となるコア部と弁としてのシール機能を有するスキン層とに分け、コア部に安価な汎用性樹脂や発泡剤,強化材を使用する一方、スキン層に、高価ではあるが耐熱性,耐薬品性,機械的強度などに優れた高機能樹脂をそれぞれ使用することにより、フロート弁としての優れた機能を有しながら、製造価格を低廉にすることができ、水道管や消火栓は勿論、各種機器・装置における流体輸送管の流路に設けられた空気などのガス抜きバルブのフロート弁として好適に使用することができるという効果が得られる。
【0031】
また、本発明フロート弁は、その外形状を組み込むガス抜きバルブの形状に合わせて形成することができ、また、製造方法もフロート弁の構造に合わせて開発されたもので、大量生産も可能であるので、フロート弁を安価に提供することができるという効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明フロート弁の一例の断面図。
【図2】図1のフロート弁の製造方法の一例を説明するための断面図。
【図3】図1のフロート弁の製造方法の別例を説明するための断面図。
【図4】図1のフロート弁の製造方法の他の例を説明するための断面図。
【図5】図4の製造方法により製造したフロート弁のテスト方法を示す側面図。
【図6】スキン層をコア部の全外周に設けた本発明の他の各種フロート弁の斜視図で、〔イ〕は円柱状のフロート弁、〔ロ〕は円錐状のフロート弁、〔ハ〕は円筒状のフロート弁、〔ニ〕は半円筒状のフロート弁のそれぞれ斜視図。
【図7】スキン層をコア部の一部に設けた本発明の他の各種フロート弁の斜視図で、〔イ〕は円柱状のフロート弁、〔ロ〕は円錐状のフロート弁、〔ハ〕は円筒状のフロート弁、〔ニ〕は半円筒状のフロート弁のそれぞれ斜視図。
【符号の説明】
1 コア部
2 スキン層
3 保持用ピン
4 ゲート
5 穴
6 コア部保持用袴
FB 球形のフロート弁
FB1,FB1′ 円柱状のフロート弁
FB2,FB2′ 円錐状のフロート弁
FB3,FB3′ 円筒状のフロート弁
FB4,FB4′ 半円筒状のフロート弁
P パーティングライン

Claims (7)

  1. 熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂にガラス繊維,ミネラル粉,炭素繊維などの強化材と発泡剤を含有した材料により形成されたコア部と、前記コア部の全外周或は外周の一部に設けられた弁としてのシール機能を有するスキン層であって、強化材或は発泡剤を含有しない熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂材により形成されたスキン層とからなることを特徴とするガス抜きバルブのフロート弁。
  2. コア部に使用される合成樹脂は、ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS),ポリアセタール(POM)やフェノール樹脂,メラミン樹脂などのいずれか1又は2以上である請求項1のガス抜きバルブのフロート弁。
  3. スキン層の合成樹脂材は、ポリアミド(PA),ポリブチレンテレフタレート(PBT),ポリカーボネイト(PC),ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリフェニレンサルファイド(PPS)、ポリサルホン(PSF),フッ素樹脂(PFA),ポリフェニルサルホン(PPSF),ポリアミドイミド(PAI),ポリエーテルイミド(PEI),熱可塑性ポリイミド(PI),ポリエーテルエーテルケトン(PEEK),ポリエーテルニトリル(PEN),ポリプロピレン(PP),ポリエチレン(PE),ポリスチレン(PS),アクリロニトリル−スチレン樹脂(AS),アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン樹脂(ABS),ポリアセタール(POM),フェノール樹脂,メラミン樹脂などのいずれか1又は2以上である請求項1又は2のガス抜きバルブのフロート弁。
  4. フロート弁の外形状は、球状、円柱状,半円柱状,円筒状、半円筒状、円錐状、三角,四角,五角,六角等の多角柱状又は筒状若しくは多角錐状のいずれかである請求項1〜3のいずれかのガス抜きバルブのフロート弁。
  5. 熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂にガラス繊維,ミネラル粉,炭素繊維などの強化材と発泡剤を添加し、強度及び耐熱性を維持しつつ、比重が軽くなるように調整した材料を用い、射出成形により弁としての基本骨格となるコア部を形成すると共に、該コア部の全外周或は外周の一部に、強化材或は発泡剤を添加しない熱可塑性或は熱硬化性の合成樹脂材を用い、弁としてのシール機能を有するスキン層を射出成形により設けることを特徴とするガス抜きバルブのフロート弁の製造方法。
  6. スキン層を射出成形によりコア部の外周に設けるとき、コア部をその保持用ピンにより金型に保持すると共に、合成樹脂材の射出が完了する直前に前記保持用ピンを引抜き、該ピンを引抜いたところに合成樹脂材を充填する請求項5のガス抜きバルブのフロート弁の製造方法。
  7. スキン層を射出成形によりコア部の外周に設けるとき、コア部をその保持用袴にセットすると共に、合成樹脂材をコア部の外周の約半分に射出してスキン層の約半分をコア部に設けた後、前記袴を取外し、他の半分に合成樹脂材を射出して他のスキン層を設ける請求項5のガス抜きバルブのフロート弁の製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2009174273A (ja) * 2008-01-28 2009-08-06 Panasonic Electric Works Co Ltd 便器
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