JP2004190153A - 紙の製造方法および抄紙機 - Google Patents
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Abstract
【課題】表裏の搾水バランスのアンバランスな紙ウエブの搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、更に、高速で紙ウエブが通紙できる紙の製造方法および抄紙機を提供すること。
【解決手段】紙の製造方法において、紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程とを有する。このような構成により、前記紙ウエブは表裏を均等に搾水、脱水、乾燥でき、これにより紙層強度は向上し、ベッセルピックの発生が抑制された良質な紙を製造できる。また、フリーランが発生しないため、高速で紙ウエブを移送できる紙の製造方法および抄紙機を提供できる。
【選択図】 図1
【解決手段】紙の製造方法において、紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程とを有する。このような構成により、前記紙ウエブは表裏を均等に搾水、脱水、乾燥でき、これにより紙層強度は向上し、ベッセルピックの発生が抑制された良質な紙を製造できる。また、フリーランが発生しないため、高速で紙ウエブを移送できる紙の製造方法および抄紙機を提供できる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、抄紙機で製造された紙ウエブを搾水する方法に関し、更に詳しくは、表裏面の紙層構造が均一な紙の製造方法および抄紙機に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙ウエブを乾燥させて用紙を製造する抄紙機において、2ニップのプレスパートを有する抄紙機がある(例えば、特許文献1参照)。図13は、2ニップのプレスパートの概略構成図である。このプレスパートでは、紙ウエブWは二枚のフェルト101、102で挟まれた状態でプレスロール105、107間に形成される第一プレスニップP1で圧縮されて搾水される。
【0003】
第一プレスニップP1で搾水された紙ウエブWはボトムロール107に設けられたサクションボックス106により吸引されてボトムフェルト101に随伴され、前記トップフェルト103と不透水ベルト111とに挟まれた状態で、プレスロール108、109で形成される第二プレスニップP2で圧縮され、トップフェルト103により搾水される。第二プレスニップP2で搾水された紙ウエブWは不透水ベルト111に随伴されてドライヤパートに移送される。
【0004】
この構造のプレスパートによれば、ドライヤパートまで常に紙ウエブWを支持して移送する、オープンドローが無いことから高速化が容易であり、また、第二プレスニップP2に下流側において、紙ウエブWを不透水ベルト111に随伴させることで紙ウエブWの再湿潤を防止することができる。ここで、オープンドローとは、プレスパートとドライヤパートとの間である限定された長さだけ、紙ウエブWが支持されない状態にあることをいう。
【0005】
上記の方法では、紙ウエブWは、滑らかな不透水ベルト111から目の荒い構造のフェルト125の表面に移らなければならない。そのような移送は紙ウエブWが滑らかな表面に従動しやすい傾向をもつために効果的ではない。これを考慮し、紙ウエブWを不透水ベルトの滑らかな表面からフェルトへ移送する簡単な手段が提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
図14は、紙ウエブをプレスパートからドライヤパートへ移送する従来例である。この方法では、紙ウエブWを不透水ベルト111の滑らかな表面からフェルト125へ移送するために紙ウエブWとフェルト125を吸引する吸引装置をもつ移送手段136が用いられている。
【0007】
また、トライベントプレス(3Pシュープレス)と呼ばれる抄紙機について説明する。図15は、プレスパートからドライヤまでの概略構成図を示す。図15(a)は、全体の概略構成図である。図15(b)は、図15(a)のA部の拡大図である。図15(c)は、図15(a)のB部の拡大図である。まずプレスパートはトライベントプレスの基本形態であり、このプレスパートでは紙ウエブWは二枚のフェルト1、2で挟まれた状態でプレスロール5、7間に形成される第一プレスニップP1で圧縮されて搾水される。
【0008】
第一プレスニップP1で搾水された紙ウエブWはプレスロール5に設けられたサクションボックス6により吸引されてトップフェルト2に随伴されて走行してゆく。その後プレスロール8、9で形成される第二プレスニップP2aで圧縮され、トップフェルト2により搾水される。この第二プレスニップP2aで搾水された紙ウエブWはプレスロール9に密着して回転し、更にこのプレスロール9とフェルト3を巻回されたシュープレス10との間に形成される他の第二プレスニップP2bで圧縮され、フェルト3に搾水される。ここで11は圧縮用のシュー、3はフェルト、12は回転保持ロールである。
【0009】
3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ搬送される。ここで13、15および22は搬送ロール、14と21はドライヤロールである。26は次工程での搬送カンバス、23と24はカンバス保持ロールである。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第4,483,745号明細書
【特許文献2】
特公平3−45156号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、抄紙機のプレスパートには、高速化への対応と表裏の均等な搾水バランスの実現とが要求されている。ここで、紙ウエブをフェルトと共に圧縮した場合、紙ウエブ中の水分はフェルトに支持されている側に搾水される。図13に示す構造によれば、第一プレスニップP1では紙ウエブWは表面Tおよび裏面Bの両面で搾水されるものの、続く第二プレスニップP2では紙ウエブWの表面Tのみが搾水される。
【0012】
このため、紙ウエブWの裏面B側は搾水が不十分となり、充分な紙層強度が得られずにベッセルピックトラブルと呼ばれる印刷障害を引き起こしやすくなる傾向にある。このベッセルピックトラブルとは、主に広葉樹に含まれる繊維との結合能力の低い導管要素(ベッセル)がオフセット印刷時にブランケットに付着し、その付着部分にインキがのらずに未印刷の白い部分が印刷面に残ってしまう現象である。
【0013】
更に、図15に示す構造においても、紙ウエブWをフェルト1、2、3とともに圧縮した場合、紙ウエブW中の水分はフェルト1、2、3に支持されている側に搾水される。したがって、図15の構成では、第一プレスニップP1では紙ウエブWは表面Tおよび裏面Bの両面で搾水されるものの、続く第二、他の第二のプレスニップP2a、P2bでは紙ウエブWの表面Tのみが搾水される。このため紙ウエブWの裏面B側は搾水が不十分となり、充分な紙層強度が得られずにベッセルピックトラブルを引き起こしやすくなる傾向にある。
【0014】
この解決法として第三プレスニップをドライヤロール14に設け、搾水の不十分な裏面側の搾水を充分に行えばよい。図16は、第四プレスニップP3を追加した場合のプレスパート構成図である。しかしながらこのような構成のプレスパートでは、紙ウエブWがプレスロール9から離れて搬送ドライヤロール160に移送される時に、支持されない部分F(フリーラン:図16のP3ニップ点から搬送ドライヤロール160に接するまでの部分であり、図16のドライヤロール14からドライヤロール21に接するまでの部分)が存在する。そのため低速機の場合には第四プレスニップを設けた構成も提案されているが、高速での場合は紙ウエブの通紙が困難であり、この構成を高速抄紙機に用いることは困難である。
【0015】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表裏の搾水がアンバランスな紙ウエブにおいて、搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、更に、高速で紙ウエブが通紙できる紙の製造方法および抄紙機を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明に係る紙の製造方法は、圧縮搾水手段を有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、加熱手段を有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、前記紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程とを有し、上記三工程のうち少なくとも一工程を前記ドライヤパートで行い、かつ前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送することを特徴とする。
【0017】
このように紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を搾水することにより、紙ウエブの両面の搾水バランスがよくなり、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができる。よって、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、品質の高い紙を製造することができる。また、紙ウエブを移送部材に当接させて移送することにより、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。
【0018】
更に、紙ウエブの両面、一方の面、他方の面をニップし、搾水する工程の順番はどのようなものでも同様の効果が言えるが、紙ウエブの両面を最初にニップし、搾水したほうが、均等に搾水できるという点で好ましい。また、紙ウエブの両面、一方の面、他方の面をニップし、搾水する工程のうち一つでも複数回行うことで、更なる搾水が可能となり、紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、品質の高い紙を製造することができる。
【0019】
ここで、紙ウエブの一方の面とは、抄紙機の設置位置に対し、鉛直方向上側または下側に面している面をいう。また、紙ウエブの他方の面とは、一方の面が抄紙機の設置位置に対し、鉛直方向上側に面している面としたとき、鉛直方向下側に面している面をいう。更に、紙ウエブの両面とは、紙ウエブの一方の面および他方の面の双方をいう。また、移送部材はフェルト、搬送カンバス等が考えられる。この段落の定義は、特段の記載ない場合は、以下同様である。
【0020】
また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面は、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができる。ここで、紙ウエブの表面および裏面とは、抄紙機の設置位置に対し、それぞれ鉛直方向上側および下側に面している面をいう(以下同様)。更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0021】
また、この発明に係る紙の製造方法は、圧縮搾水手段を有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、加熱手段を有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、前記紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、更に、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程と、ドライヤパートにおいて前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
紙ウエブの両面、一方の面、一方の面および他方の面をニップし、搾水することにより、紙ウエブの両面の搾水がバランスのよくなり、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができる。よって、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、品質の高い紙を製造することができる。また、紙ウエブを移送部材に当接させて移送することにより、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。
【0023】
更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、通常印刷される面である紙ウエブの表面は、二回ニップし、搾水されているので、更に、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができる。また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、十分な搾水ができるが、前記紙ウエブの表面を印刷面として使用する場合には、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とするとしたほうが好ましい。
【0024】
また、この発明に係る紙の製造方法は、上記紙の製造方法において、前記紙ウエブに熱を加えながら搾水することを特徴とする。このように前記紙ウエブに熱を加えると、搾水が不十分な面での搾水が更に促進され、紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に品質の高い紙を製造することができる。また、搾水するロールの表面を適当な方法で加熱することにより、紙ウエブに熱を加えることができる。ドライヤパートのドライロールにて紙ウエブに熱を加えながらニップし、搾水するのみならず、プレスパートにてドライヤロールと同様の構造をしたもので、ニップし、搾水することにより同様の効果が得られる。
【0025】
また、この発明に係る紙の製造方法は、上記紙の製造方法において、前記紙ウエブに熱を加えた後、前記紙ウエブをニップし、搾水することを特徴とする。このように前記紙ウエブに熱を加えた後、搾水すると、前記紙ウエブの搾水が不十分な面での搾水が更に促進され、紙層強度の向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。紙ウエブに熱を加える場所は、ローラ上でもよいし、フェルトや搬送カンバス等の移送部材にて移送されている途中でもよいが、紙ウエブをニップして、搾水するときに加熱した温度が下がらないほうがよいので、ニップする個所の近傍が好ましい。
【0026】
また、この発明に係る紙の製造方法は、上記紙の製造方法において、熱を加えられたフェルトに前記紙ウエブを接触させ、ニップし、搾水することを特徴とする。このように熱を加えられたフェルトに前記紙ウエブを接触させ、ニップし、搾水するので、前記紙ウエブの搾水が不十分な面での搾水が更に促進され、紙層強度の向上させることができる。これによりベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に品質の高い紙を製造することができる。ここで、紙ウエブにフェルトの熱を伝え、ニップし、搾水しやすくするためであるので、フェルトに熱を加える場所は、紙ウエブをニップする個所の近傍が好ましい。
【0027】
また、この発明に係る紙の製造方法は、プレスロールを有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、複数のドライヤロールを有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、前記紙ウエブの少なくとも一方の面を一対以上のプレスロールで圧縮搾水する工程と、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程と、複数の前記ドライヤロールのうち上流側に配置された少なくとも一つの前記ドライヤロールに対向するプレス用ロールによって、圧縮搾水された前記紙ウエブを乾燥するとともに前記紙ウエブの少なくとも他方の面を圧縮搾水する工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
このようにすれば、前記紙ウエブの両面の搾水バランスが向上するので、両面の紙層強度を向上させることができる。よって、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。また、従来の抄紙機に既設されているドライヤパートへプレス用ロールを配置するだけでよく、新規に抄紙機を製造するとき、構成が簡単である。また、構成が簡単であるため、既存の抄紙機の改造にも適用できる。
【0029】
更に、上記の紙の製造方法において、前記ドライヤロールに対向するプレス用ロールの内部に加熱媒体(蒸気等)を注入する等の方法で、前記プレス用ロールの表面を加熱した状態で前記紙ウエブを圧縮搾水すると、前記紙ウエブの搾水が更に促進され、紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。
【0030】
また、前記紙ウエブに熱を加えた後、前記ドライヤロールに対向するプレス用ロール部で搾水すると、前記紙ウエブの搾水が更に促進され、紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。ここで、前記紙ウエブに熱を加えた後、表面を加熱された前記プレス用ロールを用いて圧縮搾水することにより、前記紙ウエブの搾水がより一層促進され、紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。
【0031】
また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面は、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができる。更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0032】
また、この発明に係る抄紙機は、紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する抄紙機において、前記紙ウエブの両面を搾水する第一のニップ手段と、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する第二のニップ手段と、前記紙ウエブの他方の面を搾水する第三のニップ手段と、上記のニップ手段のうち少なくとも一つのニップ手段を前記ドライヤパートに備え、更に前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段を有することを特徴とする。
【0033】
このように第一のニップ手段で紙ウエブの両面、第二のニップ手段で前記紙ウエブの一方の面、第三のニップ手段で前記紙ウエブの他方の面を搾水するので、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。また、プレスパートからドライヤパートへ紙ウエブを移送する移送手段を有しているので、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。また、ニップ手段および移送手段を設けるだけですみ、構成が簡単であるので、新規の製造および従来機の改造ともに適用することができる。
【0034】
更に、紙ウエブの両面、一方の面、他方の面をニップ手段にて搾水する順番はどのようなものでも同様の効果が言えるが、紙ウエブの両面を最初にニップ手段にて搾水したほうが、均等に搾水できるという点で好ましい。また、紙ウエブの両面、一方の面および他方の面のニップ手段は、これらのうち一つでも複数回行うことで、更なる搾水が可能となり、紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。
【0035】
また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面が、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができ、更に、フリーランが無いので、高速にて紙を製造できる抄紙機を提供できる。更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0036】
また、この発明に係る抄紙機は、紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する抄紙機において、前記紙ウエブの両面を搾水する第一のニップ手段と、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する第二のニップ手段と、更に、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する他の第二のニップ手段と、前記紙ウエブの他方の面を搾水する第三のニップ手段と、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段と、を有することを特徴とする。
【0037】
このように第一のニップ手段で紙ウエブの両面、第二および他の第二のニップ手段で前記紙ウエブの一方の面、第三のニップ手段で前記紙ウエブの他方の面を搾水するので、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。また、プレスパートからドライヤパートへ紙ウエブを移送する移送手段を有しているので、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。更に、ニップ手段および移送手段を設けるだけですみ、構成が簡単である。よって、新規に抄紙機を製造することはもとより、既設の抄紙機の改造にも適用できる。
【0038】
更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、通常印刷される面である紙ウエブの表面は、二回ニップし、搾水されているので、更に、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができ、更に、フリーランが無いので、高速にて紙を製造できる抄紙機を提供できる。また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様な効果が得られるが、前記紙ウエブの表面を印刷面として使用する場合には、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とするとしたほうが好ましい。
【0039】
また、この発明に係る抄紙機は、上記抄紙機において、前記ドライヤパートにおけるニップ手段は、第一のプレスロールと第二のプレスロールからなり、前記紙ウエブの搾水される側に当接する搾水用のフェルトを、第一のプレスロールにも当接するように配したことを特徴とする。このようにすると、前記ドライヤパートにおけるニップ手段での搾水効果が向上し、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができる。この構成は、第一のプレスロールにフェルトを取り付けるだけでよく、構成が簡単である。よって、新規に抄紙機を製造することはもとより、既設の抄紙機を改造する際にも適用できる。
【0040】
また、この発明に係る抄紙機は、上記抄紙機において、前記ドライヤパートにおけるニップ手段において、更に第二のプレスロールにロール加熱手段を備えたことを特徴とする。このようにすると、前記ドライヤパートにおけるニップ手段での更に搾水効果が向上し、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができる。また、第二のプレスロールにロール加熱手段を設けるだけでよく、構成が簡単である。ロール加熱手段としては、過熱蒸気やヒータ等にてロール内部を加熱し、ロール外部まで加熱する方法等がある。
【0041】
また、この発明に係る抄紙機は、上記抄紙機において、前記フェルトが当接する第一のプレスロールに内部からの加熱手段を備えたことを特徴とする。このようにすると、前記ドライヤパートにおけるニップ手段での更に搾水効果が向上し、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができる。また、第一のプレスロールにロール加熱手段を設けるだけでよく、構成が簡単である。ロール加熱手段としては、過熱蒸気やヒータ等にてロール内部を加熱し、ロール外部まで加熱する方法等がある。
【0042】
また、この発明に係る抄紙機は、紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する用紙を製造する抄紙機において、前記紙ウエブの少なくとも一方の面を圧縮搾水する少なくとも一対のプレスロールを有するプレスパートと、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段と、前記ドライヤパートは圧縮搾水された前記紙ウエブを乾燥する複数のドライヤロールを有し、更に上流側に配置されている少なくとも一つのドライヤロールに対向する位置に、前記紙ウエブの少なくとも他方の面を圧縮搾水するプレス用ロールを配設することを特徴とする。
【0043】
このようにドライヤパートにドライヤロールに対向するプレスロールを配置することで、搾水が十分にできるので、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。また、プレスパートからドライヤパートへ紙ウエブを移送する移送手段を有しているので、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。更に、ドライヤパートにプレスロールを有するプレスニップ部を設けるだけですみ、構成が簡単である。よって、新規の抄紙機の製造はもとより、既設の抄紙機の改造にも適用することができる。
【0044】
ここで、前記ドライヤロールに対向するプレスロールを、前記プレスロールの内部に加熱媒体(蒸気等)を注入する等の方法で、ロール表面が加熱されるホットロールとすることで、更に搾水ができるので、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。
【0045】
また、前記ドライヤロールに対向するプレスロールで、前記紙ウエブを圧縮搾水する前に、過熱蒸気噴出装置より噴出された過熱蒸気にて前記紙ウエブの温度を上昇させることにより、一層の搾水ができるので、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。更に、前記ドライヤロールに対向するプレスロールにおいて、前記ドライヤロールに搾水用のフェルトを巻きつけて用いるとき、搾水用のフェルトを適当な加熱装置にて加熱しても、同様の効果が得られる。
【0046】
また、前記紙ウエブの一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面は、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができ、更に、フリーランが無いので、高速にて紙を製造できる抄紙機を提供できる。更に、前記紙ウエブの一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。更に、従来例で述べたものと同一の構成については、説明を省略するとともに、符号を統一して説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る抄紙機の概略構成図である。実施の形態1における抄紙機は、図15で説明した従来の抄紙機とほぼ同一であるが、他の第二プレスニップP2bの後流に、第三プレスニップP3を設けた点が異なる。従来構成のドライヤロール群の上流側にプレス用ロール30を追加し、ドライヤロール16に搾水用のフェルト4を巻き付かせ、プレス用ロール30で加圧圧縮することで、紙ウエブWの裏面Bを搾水する。ここでロール17、18、19、20は、フェルト4の駆動および保持ロールである。また、紙ウエブWの表面Tおよび裏面Bは、特に断らない限り上述した紙ウエブの一方の面および他方の面に対応する。
【0049】
図2および図3を用いて、この発明の実施の形態1に係る紙の製造方法について説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係るブロック線図である。図3は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【0050】
図3(a)に示すように、プレスパートでは紙ウエブWの表裏面T、Bは、二枚のフェルト1、2で挟まれた状態でプレスロール5、7間に形成される第一プレスニップP1で圧縮されて搾水される(ステップS101)。第一プレスニップP1で搾水された紙ウエブWはプレスロール5に設けられたサクションボックス6により吸引されてトップフェルト2に随伴されて走行してゆく。その後、図3(b)に示すように、プレスロール8、9で形成される第二プレスニップP2aで圧縮され、トップフェルト2により前記紙ウエブWの表面Tが搾水される(ステップS102)。
【0051】
この第二プレスニップP2で搾水された紙ウエブWは、図3(b)に示すように、プレスロール9に密着して回転し、更にこのプレスロール9とフェルト3を巻回されたシュープレス10との間に形成される他の第二プレスニップP2bで圧縮され、前記紙ウエブWの表面Tがフェルト3に搾水される(ステップS103)。ここで11は圧縮用のシュー、3はフェルト、12は回転保持ロールである。
【0052】
3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ移送される(ステップS104)。ここで13、15および22は搬送ロール、14と21はドライヤロールである。26は次工程での搬送カンバス、23と24はカンバス保持ロールである。図3(c)に示すように、搾水用のフェルト4を巻き付かせたドライヤロール16をプレス用ロール30で加圧圧縮することによって、紙ウエブWの裏面Bを搾水する(ステップS106)。第三プレスニップP3を経た紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤロール21、および搬送ロール22へ搬送されてゆく。
【0053】
このように第三プレスニップP3を設け、ドライヤロール16で加熱することで、裏面側への搾水が促進される。これにより裏面の紙層強度が向上しベッセルピック数も減少して、印刷障害が激減できる効果があるので、品質の高い紙を製造することができる。また、紙ウエブWは、プレスパートからドライヤパートへ搬送カンバス25に保持されながら搬送されるので、フリーランの無い構造となっており、高速での紙の製造が可能となっている。第三プレスニップP3の構成は比較的簡単なため、製作コストも安く、操業メンテナンスも容易である。更に、既設の改造にも適用することが容易である。
【0054】
なお、ステップS105は、ドライヤロール16を加熱しないで使用する工程であるが、このような構成としても従来のプレスニップと同様な効果を発揮し、フリーランが無く、高速運転での断紙が減少する。また、上記実施の形態1において図示された第三プレスニップP3の構成および取り付け位置は、これに限定されず他の場所でも同様の効果が得られる。
【0055】
また、紙ウエブWの表面の搾水を第二プレスニップP2のみで搾水しても同様に、紙ウエブWの両面の紙層強度が向上することができる。更に、紙ウエブWの搾水を行うニップの数を複数設けることにより、紙ウエブWの紙層強度が向上することができ、ベッセルピックトラブルを抑制でき、より品質の高い紙を製造することができる。
【0056】
さらに、前述の構成から紙ウエブWの表面Tと裏面Bを入れ替える、または、第1のプレスニップP1で紙ウエブWの表裏面T、Bを、第二のプレスニップP2a、他の第二のプレスニップP2bで紙ウエブWの裏面Bを、第三のプレスニップP3で紙ウエブWの表面Tを搾水する構成とする等を行い、紙ウエブWの裏面Bおよび表面Tを、それぞれ上述した紙ウエブの一方の面および他方の面としても、同様の効果が得られる。
【0057】
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2に係る抄紙機の概略構成図である。実施の形態2における抄紙機は、上記実施の形態1に係る抄紙機とほぼ同一の構成であるが、第三プレスニップP3’のドライヤロール16に対向するプレス用ロール40をホットロールにした点が異なる。プレス用ロール40の加熱方法は、ロール内部41に蒸気等の加熱媒体を注入する等の加熱手段によって、プレス用ロール40の表面が加熱されるものであれば良い。この加熱されたプレス用ロール40で圧縮することで、フェルト4による搾水と共に、加熱による乾燥で紙ウエブWは充分な脱水が行える。
【0058】
図5および図6を用いて、この発明の実施の形態2に係る紙の製造方法について説明する。図5は、この発明の実施の形態2に係るブロック線図である。図6は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【0059】
第一プレスニップP1、第二プレスニップP2a、P2bまでの紙の製造方法(ステップS201〜S203は、実施の形態1で説明したステップS101〜S103(図2参照)と同様なので、説明を省略する。3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ搬送される(S204)。図6(c)に示すように、搾水用のフェルト4を巻き付かせたドライヤロール16に、加熱されたプレス用ロール40で加圧圧縮することで、紙ウエブWの裏面Bを搾水する(ステップS205)。第三プレスニップP3を経た紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤロール21、および搬送ロール22へ搬送されてゆく。
【0060】
このように第三プレスニップP3を設け、更に加熱されたプレス用ロール40による圧縮とフェルト4による搾水とを同時に行うことで、紙ウエブWの表裏面T、Bは均一な紙層構造が得られる。これにより、特に紙の裏面Bの紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブル等の印刷障害が激減できる効果がある。また、上記実施の形態2において図示された第三プレスニップP3の構成および取り付け位置は、これに限定されず他の場所でも同様の効果が得られる。
【0061】
ここで、従来法、実施の形態1および2における紙層強度の向上効果を評価した結果を示す。図7は搾水、脱水工程を示す模式図である。図8は、搾水、紙層強度向上効果の評価グラフである。
【0062】
図7(a)は、図15における従来法の搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、プレス前の紙ウエブWは、第一プレスニップP1でフェルトを介して両面から搾水され、W1に搾水される。その後第二プレスニップP2aで表面(トップ面)のみフェルトで、W2aに搾水される。同様に他の第二プレスニップP2bで表面のみフェルトで、W2bに搾水される。図15にて示した従来法では、この状態でドライヤパートに送られて乾燥するため、ベッセルピックトラブルが発生する要因となっていた。
【0063】
また、本出願人は、以下に説明する技術を、前記の従来技術の課題解決法として提案している。この方法は、表裏の搾水バランスのアンバランスな紙ウエブWの搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するものである。つまり搾水が不十分な側の面にカンバスを当て、紙ウエブWをカンバスによりロールに押し当てて拘束し、カンバスに通常時よりも高い張力を与えながらカンバス越しに蒸気や高温の空気その他の乾燥媒体を噴きつけることにより、乾燥により裏面Bの紙層構造(紙層強度)を改善して両面均質な紙を製造するものである。
【0064】
図12は、乾燥により裏面Bの紙層構造(紙層強度)を改善して両面均質な紙を製造する抄紙機の概略構成図である。図12において上流のプレスパートから搬送されて紙ウエブWは、プレドライヤ57、サイズプレス58、アフタードライヤ59、カレンダ60、およびリール61を備えている。アフタードライヤ59のドライヤロール51に高張力を与えられたカンバス53が順次巻き掛けられ、紙ウエブWの表面Tをカンバス53でドライヤロール51に押し当てて拘束するようになっている。また、ボトム群のドライヤロール51に対向して乾燥装置54、55が配置され、紙ウエブWの裏面Bのカンバス53越しに乾燥媒体を噴き付けて乾燥するようになっている。
【0065】
図12に示した方式は、高張力と乾燥媒体を用いた紙層強度向上策であり、良質な紙を得ることができる利点があるが、
(1)装置構成が複雑となり製作コストが高くなる。
(2)カンバスに高張力を付加するため、カンバス寿命が短い。
(3)乾燥媒体が必要になる。
等の問題がある。
【0066】
図7(b)は、図12における方法の搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、図15の従来法に加え、裏面(ボトム面)を加熱乾燥し、W3に脱水する方式としている。図7(c)は、実施の形態1における搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、図15の従来法に加え、ドライヤパートにて、第三プレスニップP3で裏面のみフェルトで、W3に搾水される。図7(d)は、実施の形態2における搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、実施の形態1の方法に加え、第三プレスニップP3でドライヤロールに加え、プレスロールの表面も加熱した状態で、W3に搾水される。
【0067】
図8(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ図7(a)、(b)、(c)、(d)の方法にて、紙ウエブを搾水したときの紙層強度向上効果を評価した結果を示す。ここで評価方法としては搾水後の紙ウエブW表裏面のベッセルピック数で行った。図15にて示した従来法では、図8(a)に示すように、400個/100cm2のベッセルピック数が確認された。これに対し、図12にて示した方法では、図8(b)に示すように、乾燥を付加した場合は、150個/100cm2に減少しており効果が表れている。また、実施の形態1、2による方法では、それぞれ図8(c)、(d)に示すように、100個/100cm2、80個/100cm2に減少し、紙層強度向上に効果的であることが判る。ここで、ベッセルピックは、プルーフバウ印刷適性試験機を使用して試験紙へ実際に印刷し、紙面からブランケットに取られたベッセルの数を計量して評価した。
【0068】
さらに、前述の構成から紙ウエブWの表面Tと裏面Bを入れ替える、または、第1のプレスニップP1で紙ウエブWの表裏面T、Bを、第二のプレスニップP2a、他の第二のプレスニップP2bで紙ウエブWの裏面Bを、第三のプレスニップP3で紙ウエブWの表面Tを搾水する構成とする等を行い、紙ウエブWの裏面Bおよび表面Tを、それぞれ上述した紙ウエブの一方の面および他方の面としても、同様の効果が得られる。
【0069】
(実施の形態3)
図9は、この発明の実施の形態3に係る抄紙機の概略構成図である。実施の形態3における抄紙機は、上記実施の形態1に係る抄紙機とほぼ同一の構成であるが、第三プレスニップP3の上流側に配置した真空吸引ロール15に対向する位置に、湿紙加温手段である過熱蒸気噴出装置27を付加した点が異なる。すなわち、この過熱蒸気噴出装置27より噴出された過熱蒸気は、対向する位置に設けられた真空吸引ロール15の真空吸引作用により湿紙を通過し易くなり、紙ウエブWの温度を容易に上昇させることができる。温度が上昇した湿紙は、下流に設置した第三プレスニップP3で加圧搾水される。
【0070】
また、搾水用のフェルト4を加熱装置28で加熱すれば、より均質に紙ウエブWから搾水できる。前記加熱装置28は、フェルト4がドライヤロール16からロール18、ロール20、ロール19、ロール17を経てドライヤロール16へと敷設されており、フェルト4が紙ウエブWに当接する面または当接する面と反対の面におけるいずれの場所、例えば、ドライヤロール16とロール18の間、ロール17とドライヤロール16の間などに設けられてもよいが、紙ウエブWを加熱する目的からロール17とロール18の間にあることが望ましい。前記加熱装置28としては、電気ヒータ、伝熱、蓄熱ヒータ、蒸気を利用した加熱器等を使用することができる。
【0071】
図10および図11を用いて、この発明の実施の形態3に係る紙の製造方法について説明する。図10は、この発明の実施の形態3に係るブロック線図である。図11は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【0072】
プレスニップ部P1〜P3までの紙の製造方法(ステップS301〜S303)は、実施の形態1のステップS101〜S103(図2参照)と同様なので、説明を省略する。3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ搬送される(ステップS304)。第三プレスニップP3の上流側に備えられた真空吸引ロール15に対向する位置には、図11(c)に示すように、過熱蒸気を噴出する湿紙加温装置である過熱蒸気噴出装置27が配置される。この過熱蒸気噴出装置27により紙ウエブWには熱Hが与えられて、紙ウエブWの温度が上昇させられる(ステップS305)。
【0073】
なお、過熱蒸気噴出装置27によって紙ウエブWを加熱する代わりに、搾水用のフェルト4を加熱装置28によって加熱して、昇温したフェルト4によって間接的に紙ウエブWを加熱してもよい。このようにすれば、フェルト4を加熱した状態にて紙ウエブWを移送することができるので、第三プレスニップP3で紙ウエブWの温度を上昇させやすく、あるいは低下させにくくすることができる。なお、加熱装置28は単独で使用してもよいし、過熱蒸気噴出装置27と併用してもよい。過熱蒸気噴出装置27と加熱装置28とを併用すれば、両者の奏する相互作用によって、紙ウエブWを高速でほぼ均等に搾水できる。
【0074】
次に、図11(d)に示すように、ドライヤロール16に巻き付かせた搾水用のフェルト4を、加熱されたプレス用ロール30で加圧圧縮することで、紙ウエブWの温度が上昇させられた紙ウエブWの裏面Bを搾水する(ステップS306)。そして、第三プレスニップP3を経た紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤロール21、および搬送ロール22(図9参照)へ搬送されてゆく。なお、ドライヤロール16を加熱すれば更に湿紙の昇温効果を発揮できるが、当該ドライヤロール16を加熱しないで使用することも可能である。
【0075】
また、実施の形態2で説明したように、プレス用ロール30の内部に蒸気等の加熱媒体を注入する等の手段によって、プレス用ロール30の表面が加熱されたヒートロールとしてもよい。このようにすれば、フェルト4による搾水と加熱による乾燥とを同時に行うことができるので、より充分に紙ウエブWを脱水できる。ここで、上記実施の形態3において図示された第三プレスニップP3の構成および取り付け位置はこれに限定されず、他の場所でも同様の効果が得られる。
【0076】
さらに、前述の構成から紙ウエブWの表面Tと裏面Bを入れ替える、または、第1のプレスニップP1で紙ウエブWの表裏面T、Bを、第二のプレスニップP2a、他の第二のプレスニップP2bで紙ウエブWの裏面Bを、第三のプレスニップP3で紙ウエブWの表面Tを搾水する構成とする等を行い、紙ウエブWの裏面Bおよび表面Tを、それぞれ上述した紙ウエブの一方の面および他方の面としても、同様の効果が得られる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表裏の搾水バランスのアンバランスな紙ウエブの搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、更に、高速で紙ウエブが通紙できる紙の製造方法および抄紙機を提供することができる。
【0078】
また、本発明によれば、更に紙ウエブを直接または間接的に加熱するので、更に搾水が十分でき、ベッセルピックトラブルを低減できるので、品質の高い紙の製造ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1に係る抄紙機の概略構成図である。
【図2】図2は、この発明の実施の形態1に係るブロック線図である。
【図3】図3は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【図4】図4は、この発明の実施の形態2に係る抄紙機の概略構成図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態2に係るブロック線図である。
【図6】図6は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【図7】図7は搾水、脱水工程を示す模式図である。
【図8】図8は、搾水、紙層強度向上効果の評価グラフである。
【図9】図9は、この発明の実施の形態3に係る抄紙機の概略構成図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態3に係るブロック線図である。
【図11】図11は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【図12】図12は、乾燥により裏面Bの紙層構造(紙層強度)を改善して両面均質な紙を製造する抄紙機の概略構成図である。
【図13】図13は、2ニップのプレスパートの概略構成図である。
【図14】図14は、紙ウエブをプレスパートからドライヤパートへ移送する従来例である。
【図15】図15は、プレスパートからドライヤまでの概略構成図を示す。
【図16】図16は、第三プレスニップP3を追加した場合のプレスパート構成図である。
【符号の説明】
1、3、4 フェルト
2 トップフェルト
5、8、9 プレスロール
6 サクションボックス
10 シュープレス
11 圧縮用のシュー
12 回転保持ロール
13、15、22 搬送ロール
15 真空吸引ロール
14、16、21 ドライヤロール
17、18、19、20 ロール
23、24 カンバス保持ロール
25 搬送カンバス
26 次工程での搬送カンバス
27 過熱蒸気噴出装置
28 加熱装置
30、40 プレス用ロール
B 紙ウエブの裏面
P1 第一プレスニップ
P2、P2a、P2b 第二プレスニップ
P3 第三プレスニップ
T 紙ウエブの表面
W 紙ウエブ
【発明の属する技術分野】
この発明は、抄紙機で製造された紙ウエブを搾水する方法に関し、更に詳しくは、表裏面の紙層構造が均一な紙の製造方法および抄紙機に関する。
【0002】
【従来の技術】
紙ウエブを乾燥させて用紙を製造する抄紙機において、2ニップのプレスパートを有する抄紙機がある(例えば、特許文献1参照)。図13は、2ニップのプレスパートの概略構成図である。このプレスパートでは、紙ウエブWは二枚のフェルト101、102で挟まれた状態でプレスロール105、107間に形成される第一プレスニップP1で圧縮されて搾水される。
【0003】
第一プレスニップP1で搾水された紙ウエブWはボトムロール107に設けられたサクションボックス106により吸引されてボトムフェルト101に随伴され、前記トップフェルト103と不透水ベルト111とに挟まれた状態で、プレスロール108、109で形成される第二プレスニップP2で圧縮され、トップフェルト103により搾水される。第二プレスニップP2で搾水された紙ウエブWは不透水ベルト111に随伴されてドライヤパートに移送される。
【0004】
この構造のプレスパートによれば、ドライヤパートまで常に紙ウエブWを支持して移送する、オープンドローが無いことから高速化が容易であり、また、第二プレスニップP2に下流側において、紙ウエブWを不透水ベルト111に随伴させることで紙ウエブWの再湿潤を防止することができる。ここで、オープンドローとは、プレスパートとドライヤパートとの間である限定された長さだけ、紙ウエブWが支持されない状態にあることをいう。
【0005】
上記の方法では、紙ウエブWは、滑らかな不透水ベルト111から目の荒い構造のフェルト125の表面に移らなければならない。そのような移送は紙ウエブWが滑らかな表面に従動しやすい傾向をもつために効果的ではない。これを考慮し、紙ウエブWを不透水ベルトの滑らかな表面からフェルトへ移送する簡単な手段が提供されている(例えば、特許文献2参照)。
【0006】
図14は、紙ウエブをプレスパートからドライヤパートへ移送する従来例である。この方法では、紙ウエブWを不透水ベルト111の滑らかな表面からフェルト125へ移送するために紙ウエブWとフェルト125を吸引する吸引装置をもつ移送手段136が用いられている。
【0007】
また、トライベントプレス(3Pシュープレス)と呼ばれる抄紙機について説明する。図15は、プレスパートからドライヤまでの概略構成図を示す。図15(a)は、全体の概略構成図である。図15(b)は、図15(a)のA部の拡大図である。図15(c)は、図15(a)のB部の拡大図である。まずプレスパートはトライベントプレスの基本形態であり、このプレスパートでは紙ウエブWは二枚のフェルト1、2で挟まれた状態でプレスロール5、7間に形成される第一プレスニップP1で圧縮されて搾水される。
【0008】
第一プレスニップP1で搾水された紙ウエブWはプレスロール5に設けられたサクションボックス6により吸引されてトップフェルト2に随伴されて走行してゆく。その後プレスロール8、9で形成される第二プレスニップP2aで圧縮され、トップフェルト2により搾水される。この第二プレスニップP2aで搾水された紙ウエブWはプレスロール9に密着して回転し、更にこのプレスロール9とフェルト3を巻回されたシュープレス10との間に形成される他の第二プレスニップP2bで圧縮され、フェルト3に搾水される。ここで11は圧縮用のシュー、3はフェルト、12は回転保持ロールである。
【0009】
3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ搬送される。ここで13、15および22は搬送ロール、14と21はドライヤロールである。26は次工程での搬送カンバス、23と24はカンバス保持ロールである。
【0010】
【特許文献1】
米国特許第4,483,745号明細書
【特許文献2】
特公平3−45156号公報
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、抄紙機のプレスパートには、高速化への対応と表裏の均等な搾水バランスの実現とが要求されている。ここで、紙ウエブをフェルトと共に圧縮した場合、紙ウエブ中の水分はフェルトに支持されている側に搾水される。図13に示す構造によれば、第一プレスニップP1では紙ウエブWは表面Tおよび裏面Bの両面で搾水されるものの、続く第二プレスニップP2では紙ウエブWの表面Tのみが搾水される。
【0012】
このため、紙ウエブWの裏面B側は搾水が不十分となり、充分な紙層強度が得られずにベッセルピックトラブルと呼ばれる印刷障害を引き起こしやすくなる傾向にある。このベッセルピックトラブルとは、主に広葉樹に含まれる繊維との結合能力の低い導管要素(ベッセル)がオフセット印刷時にブランケットに付着し、その付着部分にインキがのらずに未印刷の白い部分が印刷面に残ってしまう現象である。
【0013】
更に、図15に示す構造においても、紙ウエブWをフェルト1、2、3とともに圧縮した場合、紙ウエブW中の水分はフェルト1、2、3に支持されている側に搾水される。したがって、図15の構成では、第一プレスニップP1では紙ウエブWは表面Tおよび裏面Bの両面で搾水されるものの、続く第二、他の第二のプレスニップP2a、P2bでは紙ウエブWの表面Tのみが搾水される。このため紙ウエブWの裏面B側は搾水が不十分となり、充分な紙層強度が得られずにベッセルピックトラブルを引き起こしやすくなる傾向にある。
【0014】
この解決法として第三プレスニップをドライヤロール14に設け、搾水の不十分な裏面側の搾水を充分に行えばよい。図16は、第四プレスニップP3を追加した場合のプレスパート構成図である。しかしながらこのような構成のプレスパートでは、紙ウエブWがプレスロール9から離れて搬送ドライヤロール160に移送される時に、支持されない部分F(フリーラン:図16のP3ニップ点から搬送ドライヤロール160に接するまでの部分であり、図16のドライヤロール14からドライヤロール21に接するまでの部分)が存在する。そのため低速機の場合には第四プレスニップを設けた構成も提案されているが、高速での場合は紙ウエブの通紙が困難であり、この構成を高速抄紙機に用いることは困難である。
【0015】
そこで、この発明は、上記に鑑みてなされたものであって、表裏の搾水がアンバランスな紙ウエブにおいて、搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、更に、高速で紙ウエブが通紙できる紙の製造方法および抄紙機を提供することを目的とする。
【0016】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、この発明に係る紙の製造方法は、圧縮搾水手段を有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、加熱手段を有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、前記紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程とを有し、上記三工程のうち少なくとも一工程を前記ドライヤパートで行い、かつ前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送することを特徴とする。
【0017】
このように紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を搾水することにより、紙ウエブの両面の搾水バランスがよくなり、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができる。よって、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、品質の高い紙を製造することができる。また、紙ウエブを移送部材に当接させて移送することにより、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。
【0018】
更に、紙ウエブの両面、一方の面、他方の面をニップし、搾水する工程の順番はどのようなものでも同様の効果が言えるが、紙ウエブの両面を最初にニップし、搾水したほうが、均等に搾水できるという点で好ましい。また、紙ウエブの両面、一方の面、他方の面をニップし、搾水する工程のうち一つでも複数回行うことで、更なる搾水が可能となり、紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、品質の高い紙を製造することができる。
【0019】
ここで、紙ウエブの一方の面とは、抄紙機の設置位置に対し、鉛直方向上側または下側に面している面をいう。また、紙ウエブの他方の面とは、一方の面が抄紙機の設置位置に対し、鉛直方向上側に面している面としたとき、鉛直方向下側に面している面をいう。更に、紙ウエブの両面とは、紙ウエブの一方の面および他方の面の双方をいう。また、移送部材はフェルト、搬送カンバス等が考えられる。この段落の定義は、特段の記載ない場合は、以下同様である。
【0020】
また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面は、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができる。ここで、紙ウエブの表面および裏面とは、抄紙機の設置位置に対し、それぞれ鉛直方向上側および下側に面している面をいう(以下同様)。更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0021】
また、この発明に係る紙の製造方法は、圧縮搾水手段を有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、加熱手段を有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、前記紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、更に、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程と、ドライヤパートにおいて前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程と、を有することを特徴とする。
【0022】
紙ウエブの両面、一方の面、一方の面および他方の面をニップし、搾水することにより、紙ウエブの両面の搾水がバランスのよくなり、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができる。よって、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、品質の高い紙を製造することができる。また、紙ウエブを移送部材に当接させて移送することにより、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。
【0023】
更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、通常印刷される面である紙ウエブの表面は、二回ニップし、搾水されているので、更に、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができる。また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、十分な搾水ができるが、前記紙ウエブの表面を印刷面として使用する場合には、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とするとしたほうが好ましい。
【0024】
また、この発明に係る紙の製造方法は、上記紙の製造方法において、前記紙ウエブに熱を加えながら搾水することを特徴とする。このように前記紙ウエブに熱を加えると、搾水が不十分な面での搾水が更に促進され、紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に品質の高い紙を製造することができる。また、搾水するロールの表面を適当な方法で加熱することにより、紙ウエブに熱を加えることができる。ドライヤパートのドライロールにて紙ウエブに熱を加えながらニップし、搾水するのみならず、プレスパートにてドライヤロールと同様の構造をしたもので、ニップし、搾水することにより同様の効果が得られる。
【0025】
また、この発明に係る紙の製造方法は、上記紙の製造方法において、前記紙ウエブに熱を加えた後、前記紙ウエブをニップし、搾水することを特徴とする。このように前記紙ウエブに熱を加えた後、搾水すると、前記紙ウエブの搾水が不十分な面での搾水が更に促進され、紙層強度の向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。紙ウエブに熱を加える場所は、ローラ上でもよいし、フェルトや搬送カンバス等の移送部材にて移送されている途中でもよいが、紙ウエブをニップして、搾水するときに加熱した温度が下がらないほうがよいので、ニップする個所の近傍が好ましい。
【0026】
また、この発明に係る紙の製造方法は、上記紙の製造方法において、熱を加えられたフェルトに前記紙ウエブを接触させ、ニップし、搾水することを特徴とする。このように熱を加えられたフェルトに前記紙ウエブを接触させ、ニップし、搾水するので、前記紙ウエブの搾水が不十分な面での搾水が更に促進され、紙層強度の向上させることができる。これによりベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に品質の高い紙を製造することができる。ここで、紙ウエブにフェルトの熱を伝え、ニップし、搾水しやすくするためであるので、フェルトに熱を加える場所は、紙ウエブをニップする個所の近傍が好ましい。
【0027】
また、この発明に係る紙の製造方法は、プレスロールを有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、複数のドライヤロールを有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、前記紙ウエブの少なくとも一方の面を一対以上のプレスロールで圧縮搾水する工程と、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程と、複数の前記ドライヤロールのうち上流側に配置された少なくとも一つの前記ドライヤロールに対向するプレス用ロールによって、圧縮搾水された前記紙ウエブを乾燥するとともに前記紙ウエブの少なくとも他方の面を圧縮搾水する工程と、を有することを特徴とする。
【0028】
このようにすれば、前記紙ウエブの両面の搾水バランスが向上するので、両面の紙層強度を向上させることができる。よって、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。また、従来の抄紙機に既設されているドライヤパートへプレス用ロールを配置するだけでよく、新規に抄紙機を製造するとき、構成が簡単である。また、構成が簡単であるため、既存の抄紙機の改造にも適用できる。
【0029】
更に、上記の紙の製造方法において、前記ドライヤロールに対向するプレス用ロールの内部に加熱媒体(蒸気等)を注入する等の方法で、前記プレス用ロールの表面を加熱した状態で前記紙ウエブを圧縮搾水すると、前記紙ウエブの搾水が更に促進され、紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。
【0030】
また、前記紙ウエブに熱を加えた後、前記ドライヤロールに対向するプレス用ロール部で搾水すると、前記紙ウエブの搾水が更に促進され、紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。ここで、前記紙ウエブに熱を加えた後、表面を加熱された前記プレス用ロールを用いて圧縮搾水することにより、前記紙ウエブの搾水がより一層促進され、紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できるので、更に、品質の高い紙を製造することができる。
【0031】
また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面は、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができる。更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0032】
また、この発明に係る抄紙機は、紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する抄紙機において、前記紙ウエブの両面を搾水する第一のニップ手段と、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する第二のニップ手段と、前記紙ウエブの他方の面を搾水する第三のニップ手段と、上記のニップ手段のうち少なくとも一つのニップ手段を前記ドライヤパートに備え、更に前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段を有することを特徴とする。
【0033】
このように第一のニップ手段で紙ウエブの両面、第二のニップ手段で前記紙ウエブの一方の面、第三のニップ手段で前記紙ウエブの他方の面を搾水するので、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。また、プレスパートからドライヤパートへ紙ウエブを移送する移送手段を有しているので、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。また、ニップ手段および移送手段を設けるだけですみ、構成が簡単であるので、新規の製造および従来機の改造ともに適用することができる。
【0034】
更に、紙ウエブの両面、一方の面、他方の面をニップ手段にて搾水する順番はどのようなものでも同様の効果が言えるが、紙ウエブの両面を最初にニップ手段にて搾水したほうが、均等に搾水できるという点で好ましい。また、紙ウエブの両面、一方の面および他方の面のニップ手段は、これらのうち一つでも複数回行うことで、更なる搾水が可能となり、紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。
【0035】
また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面が、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができ、更に、フリーランが無いので、高速にて紙を製造できる抄紙機を提供できる。更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0036】
また、この発明に係る抄紙機は、紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する抄紙機において、前記紙ウエブの両面を搾水する第一のニップ手段と、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する第二のニップ手段と、更に、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する他の第二のニップ手段と、前記紙ウエブの他方の面を搾水する第三のニップ手段と、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段と、を有することを特徴とする。
【0037】
このように第一のニップ手段で紙ウエブの両面、第二および他の第二のニップ手段で前記紙ウエブの一方の面、第三のニップ手段で前記紙ウエブの他方の面を搾水するので、前記紙ウエブの両面の紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。また、プレスパートからドライヤパートへ紙ウエブを移送する移送手段を有しているので、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。更に、ニップ手段および移送手段を設けるだけですみ、構成が簡単である。よって、新規に抄紙機を製造することはもとより、既設の抄紙機の改造にも適用できる。
【0038】
更に、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とすると、通常印刷される面である紙ウエブの表面は、二回ニップし、搾水されているので、更に、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができ、更に、フリーランが無いので、高速にて紙を製造できる抄紙機を提供できる。また、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、裏面および表面としても、同様な効果が得られるが、前記紙ウエブの表面を印刷面として使用する場合には、前記紙ウエブの両面、一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表裏面、表面および裏面とするとしたほうが好ましい。
【0039】
また、この発明に係る抄紙機は、上記抄紙機において、前記ドライヤパートにおけるニップ手段は、第一のプレスロールと第二のプレスロールからなり、前記紙ウエブの搾水される側に当接する搾水用のフェルトを、第一のプレスロールにも当接するように配したことを特徴とする。このようにすると、前記ドライヤパートにおけるニップ手段での搾水効果が向上し、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができる。この構成は、第一のプレスロールにフェルトを取り付けるだけでよく、構成が簡単である。よって、新規に抄紙機を製造することはもとより、既設の抄紙機を改造する際にも適用できる。
【0040】
また、この発明に係る抄紙機は、上記抄紙機において、前記ドライヤパートにおけるニップ手段において、更に第二のプレスロールにロール加熱手段を備えたことを特徴とする。このようにすると、前記ドライヤパートにおけるニップ手段での更に搾水効果が向上し、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができる。また、第二のプレスロールにロール加熱手段を設けるだけでよく、構成が簡単である。ロール加熱手段としては、過熱蒸気やヒータ等にてロール内部を加熱し、ロール外部まで加熱する方法等がある。
【0041】
また、この発明に係る抄紙機は、上記抄紙機において、前記フェルトが当接する第一のプレスロールに内部からの加熱手段を備えたことを特徴とする。このようにすると、前記ドライヤパートにおけるニップ手段での更に搾水効果が向上し、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができる。また、第一のプレスロールにロール加熱手段を設けるだけでよく、構成が簡単である。ロール加熱手段としては、過熱蒸気やヒータ等にてロール内部を加熱し、ロール外部まで加熱する方法等がある。
【0042】
また、この発明に係る抄紙機は、紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する用紙を製造する抄紙機において、前記紙ウエブの少なくとも一方の面を圧縮搾水する少なくとも一対のプレスロールを有するプレスパートと、前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段と、前記ドライヤパートは圧縮搾水された前記紙ウエブを乾燥する複数のドライヤロールを有し、更に上流側に配置されている少なくとも一つのドライヤロールに対向する位置に、前記紙ウエブの少なくとも他方の面を圧縮搾水するプレス用ロールを配設することを特徴とする。
【0043】
このようにドライヤパートにドライヤロールに対向するプレスロールを配置することで、搾水が十分にできるので、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。また、プレスパートからドライヤパートへ紙ウエブを移送する移送手段を有しているので、フリーランをなくすことができ、高速にて紙を製造することができる。更に、ドライヤパートにプレスロールを有するプレスニップ部を設けるだけですみ、構成が簡単である。よって、新規の抄紙機の製造はもとより、既設の抄紙機の改造にも適用することができる。
【0044】
ここで、前記ドライヤロールに対向するプレスロールを、前記プレスロールの内部に加熱媒体(蒸気等)を注入する等の方法で、ロール表面が加熱されるホットロールとすることで、更に搾水ができるので、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。
【0045】
また、前記ドライヤロールに対向するプレスロールで、前記紙ウエブを圧縮搾水する前に、過熱蒸気噴出装置より噴出された過熱蒸気にて前記紙ウエブの温度を上昇させることにより、一層の搾水ができるので、前記紙ウエブの紙層強度を向上させることができ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制できる。更に、前記ドライヤロールに対向するプレスロールにおいて、前記ドライヤロールに搾水用のフェルトを巻きつけて用いるとき、搾水用のフェルトを適当な加熱装置にて加熱しても、同様の効果が得られる。
【0046】
また、前記紙ウエブの一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの表面および裏面とすると、紙ウエブの表裏面は、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するための十分な搾水ができ、更に、フリーランが無いので、高速にて紙を製造できる抄紙機を提供できる。更に、前記紙ウエブの一方の面および他方の面を、それぞれ紙ウエブの裏面および表面としても、同様の効果が得られる。
【0047】
【発明の実施の形態】
以下、この発明につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施の形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記実施の形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるもの或いは実質的に同一のものが含まれる。更に、従来例で述べたものと同一の構成については、説明を省略するとともに、符号を統一して説明する。
【0048】
(実施の形態1)
図1は、この発明の実施の形態1に係る抄紙機の概略構成図である。実施の形態1における抄紙機は、図15で説明した従来の抄紙機とほぼ同一であるが、他の第二プレスニップP2bの後流に、第三プレスニップP3を設けた点が異なる。従来構成のドライヤロール群の上流側にプレス用ロール30を追加し、ドライヤロール16に搾水用のフェルト4を巻き付かせ、プレス用ロール30で加圧圧縮することで、紙ウエブWの裏面Bを搾水する。ここでロール17、18、19、20は、フェルト4の駆動および保持ロールである。また、紙ウエブWの表面Tおよび裏面Bは、特に断らない限り上述した紙ウエブの一方の面および他方の面に対応する。
【0049】
図2および図3を用いて、この発明の実施の形態1に係る紙の製造方法について説明する。図2は、この発明の実施の形態1に係るブロック線図である。図3は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【0050】
図3(a)に示すように、プレスパートでは紙ウエブWの表裏面T、Bは、二枚のフェルト1、2で挟まれた状態でプレスロール5、7間に形成される第一プレスニップP1で圧縮されて搾水される(ステップS101)。第一プレスニップP1で搾水された紙ウエブWはプレスロール5に設けられたサクションボックス6により吸引されてトップフェルト2に随伴されて走行してゆく。その後、図3(b)に示すように、プレスロール8、9で形成される第二プレスニップP2aで圧縮され、トップフェルト2により前記紙ウエブWの表面Tが搾水される(ステップS102)。
【0051】
この第二プレスニップP2で搾水された紙ウエブWは、図3(b)に示すように、プレスロール9に密着して回転し、更にこのプレスロール9とフェルト3を巻回されたシュープレス10との間に形成される他の第二プレスニップP2bで圧縮され、前記紙ウエブWの表面Tがフェルト3に搾水される(ステップS103)。ここで11は圧縮用のシュー、3はフェルト、12は回転保持ロールである。
【0052】
3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ移送される(ステップS104)。ここで13、15および22は搬送ロール、14と21はドライヤロールである。26は次工程での搬送カンバス、23と24はカンバス保持ロールである。図3(c)に示すように、搾水用のフェルト4を巻き付かせたドライヤロール16をプレス用ロール30で加圧圧縮することによって、紙ウエブWの裏面Bを搾水する(ステップS106)。第三プレスニップP3を経た紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤロール21、および搬送ロール22へ搬送されてゆく。
【0053】
このように第三プレスニップP3を設け、ドライヤロール16で加熱することで、裏面側への搾水が促進される。これにより裏面の紙層強度が向上しベッセルピック数も減少して、印刷障害が激減できる効果があるので、品質の高い紙を製造することができる。また、紙ウエブWは、プレスパートからドライヤパートへ搬送カンバス25に保持されながら搬送されるので、フリーランの無い構造となっており、高速での紙の製造が可能となっている。第三プレスニップP3の構成は比較的簡単なため、製作コストも安く、操業メンテナンスも容易である。更に、既設の改造にも適用することが容易である。
【0054】
なお、ステップS105は、ドライヤロール16を加熱しないで使用する工程であるが、このような構成としても従来のプレスニップと同様な効果を発揮し、フリーランが無く、高速運転での断紙が減少する。また、上記実施の形態1において図示された第三プレスニップP3の構成および取り付け位置は、これに限定されず他の場所でも同様の効果が得られる。
【0055】
また、紙ウエブWの表面の搾水を第二プレスニップP2のみで搾水しても同様に、紙ウエブWの両面の紙層強度が向上することができる。更に、紙ウエブWの搾水を行うニップの数を複数設けることにより、紙ウエブWの紙層強度が向上することができ、ベッセルピックトラブルを抑制でき、より品質の高い紙を製造することができる。
【0056】
さらに、前述の構成から紙ウエブWの表面Tと裏面Bを入れ替える、または、第1のプレスニップP1で紙ウエブWの表裏面T、Bを、第二のプレスニップP2a、他の第二のプレスニップP2bで紙ウエブWの裏面Bを、第三のプレスニップP3で紙ウエブWの表面Tを搾水する構成とする等を行い、紙ウエブWの裏面Bおよび表面Tを、それぞれ上述した紙ウエブの一方の面および他方の面としても、同様の効果が得られる。
【0057】
(実施の形態2)
図4は、この発明の実施の形態2に係る抄紙機の概略構成図である。実施の形態2における抄紙機は、上記実施の形態1に係る抄紙機とほぼ同一の構成であるが、第三プレスニップP3’のドライヤロール16に対向するプレス用ロール40をホットロールにした点が異なる。プレス用ロール40の加熱方法は、ロール内部41に蒸気等の加熱媒体を注入する等の加熱手段によって、プレス用ロール40の表面が加熱されるものであれば良い。この加熱されたプレス用ロール40で圧縮することで、フェルト4による搾水と共に、加熱による乾燥で紙ウエブWは充分な脱水が行える。
【0058】
図5および図6を用いて、この発明の実施の形態2に係る紙の製造方法について説明する。図5は、この発明の実施の形態2に係るブロック線図である。図6は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【0059】
第一プレスニップP1、第二プレスニップP2a、P2bまでの紙の製造方法(ステップS201〜S203は、実施の形態1で説明したステップS101〜S103(図2参照)と同様なので、説明を省略する。3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ搬送される(S204)。図6(c)に示すように、搾水用のフェルト4を巻き付かせたドライヤロール16に、加熱されたプレス用ロール40で加圧圧縮することで、紙ウエブWの裏面Bを搾水する(ステップS205)。第三プレスニップP3を経た紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤロール21、および搬送ロール22へ搬送されてゆく。
【0060】
このように第三プレスニップP3を設け、更に加熱されたプレス用ロール40による圧縮とフェルト4による搾水とを同時に行うことで、紙ウエブWの表裏面T、Bは均一な紙層構造が得られる。これにより、特に紙の裏面Bの紙層強度が向上し、ベッセルピックトラブル等の印刷障害が激減できる効果がある。また、上記実施の形態2において図示された第三プレスニップP3の構成および取り付け位置は、これに限定されず他の場所でも同様の効果が得られる。
【0061】
ここで、従来法、実施の形態1および2における紙層強度の向上効果を評価した結果を示す。図7は搾水、脱水工程を示す模式図である。図8は、搾水、紙層強度向上効果の評価グラフである。
【0062】
図7(a)は、図15における従来法の搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、プレス前の紙ウエブWは、第一プレスニップP1でフェルトを介して両面から搾水され、W1に搾水される。その後第二プレスニップP2aで表面(トップ面)のみフェルトで、W2aに搾水される。同様に他の第二プレスニップP2bで表面のみフェルトで、W2bに搾水される。図15にて示した従来法では、この状態でドライヤパートに送られて乾燥するため、ベッセルピックトラブルが発生する要因となっていた。
【0063】
また、本出願人は、以下に説明する技術を、前記の従来技術の課題解決法として提案している。この方法は、表裏の搾水バランスのアンバランスな紙ウエブWの搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、ベッセルピックトラブルの発生を抑制するものである。つまり搾水が不十分な側の面にカンバスを当て、紙ウエブWをカンバスによりロールに押し当てて拘束し、カンバスに通常時よりも高い張力を与えながらカンバス越しに蒸気や高温の空気その他の乾燥媒体を噴きつけることにより、乾燥により裏面Bの紙層構造(紙層強度)を改善して両面均質な紙を製造するものである。
【0064】
図12は、乾燥により裏面Bの紙層構造(紙層強度)を改善して両面均質な紙を製造する抄紙機の概略構成図である。図12において上流のプレスパートから搬送されて紙ウエブWは、プレドライヤ57、サイズプレス58、アフタードライヤ59、カレンダ60、およびリール61を備えている。アフタードライヤ59のドライヤロール51に高張力を与えられたカンバス53が順次巻き掛けられ、紙ウエブWの表面Tをカンバス53でドライヤロール51に押し当てて拘束するようになっている。また、ボトム群のドライヤロール51に対向して乾燥装置54、55が配置され、紙ウエブWの裏面Bのカンバス53越しに乾燥媒体を噴き付けて乾燥するようになっている。
【0065】
図12に示した方式は、高張力と乾燥媒体を用いた紙層強度向上策であり、良質な紙を得ることができる利点があるが、
(1)装置構成が複雑となり製作コストが高くなる。
(2)カンバスに高張力を付加するため、カンバス寿命が短い。
(3)乾燥媒体が必要になる。
等の問題がある。
【0066】
図7(b)は、図12における方法の搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、図15の従来法に加え、裏面(ボトム面)を加熱乾燥し、W3に脱水する方式としている。図7(c)は、実施の形態1における搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、図15の従来法に加え、ドライヤパートにて、第三プレスニップP3で裏面のみフェルトで、W3に搾水される。図7(d)は、実施の形態2における搾水、脱水工程を示す模式図である。つまり、実施の形態1の方法に加え、第三プレスニップP3でドライヤロールに加え、プレスロールの表面も加熱した状態で、W3に搾水される。
【0067】
図8(a)、(b)、(c)、(d)はそれぞれ図7(a)、(b)、(c)、(d)の方法にて、紙ウエブを搾水したときの紙層強度向上効果を評価した結果を示す。ここで評価方法としては搾水後の紙ウエブW表裏面のベッセルピック数で行った。図15にて示した従来法では、図8(a)に示すように、400個/100cm2のベッセルピック数が確認された。これに対し、図12にて示した方法では、図8(b)に示すように、乾燥を付加した場合は、150個/100cm2に減少しており効果が表れている。また、実施の形態1、2による方法では、それぞれ図8(c)、(d)に示すように、100個/100cm2、80個/100cm2に減少し、紙層強度向上に効果的であることが判る。ここで、ベッセルピックは、プルーフバウ印刷適性試験機を使用して試験紙へ実際に印刷し、紙面からブランケットに取られたベッセルの数を計量して評価した。
【0068】
さらに、前述の構成から紙ウエブWの表面Tと裏面Bを入れ替える、または、第1のプレスニップP1で紙ウエブWの表裏面T、Bを、第二のプレスニップP2a、他の第二のプレスニップP2bで紙ウエブWの裏面Bを、第三のプレスニップP3で紙ウエブWの表面Tを搾水する構成とする等を行い、紙ウエブWの裏面Bおよび表面Tを、それぞれ上述した紙ウエブの一方の面および他方の面としても、同様の効果が得られる。
【0069】
(実施の形態3)
図9は、この発明の実施の形態3に係る抄紙機の概略構成図である。実施の形態3における抄紙機は、上記実施の形態1に係る抄紙機とほぼ同一の構成であるが、第三プレスニップP3の上流側に配置した真空吸引ロール15に対向する位置に、湿紙加温手段である過熱蒸気噴出装置27を付加した点が異なる。すなわち、この過熱蒸気噴出装置27より噴出された過熱蒸気は、対向する位置に設けられた真空吸引ロール15の真空吸引作用により湿紙を通過し易くなり、紙ウエブWの温度を容易に上昇させることができる。温度が上昇した湿紙は、下流に設置した第三プレスニップP3で加圧搾水される。
【0070】
また、搾水用のフェルト4を加熱装置28で加熱すれば、より均質に紙ウエブWから搾水できる。前記加熱装置28は、フェルト4がドライヤロール16からロール18、ロール20、ロール19、ロール17を経てドライヤロール16へと敷設されており、フェルト4が紙ウエブWに当接する面または当接する面と反対の面におけるいずれの場所、例えば、ドライヤロール16とロール18の間、ロール17とドライヤロール16の間などに設けられてもよいが、紙ウエブWを加熱する目的からロール17とロール18の間にあることが望ましい。前記加熱装置28としては、電気ヒータ、伝熱、蓄熱ヒータ、蒸気を利用した加熱器等を使用することができる。
【0071】
図10および図11を用いて、この発明の実施の形態3に係る紙の製造方法について説明する。図10は、この発明の実施の形態3に係るブロック線図である。図11は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【0072】
プレスニップ部P1〜P3までの紙の製造方法(ステップS301〜S303)は、実施の形態1のステップS101〜S103(図2参照)と同様なので、説明を省略する。3個所で搾水された紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤパートへ搬送される(ステップS304)。第三プレスニップP3の上流側に備えられた真空吸引ロール15に対向する位置には、図11(c)に示すように、過熱蒸気を噴出する湿紙加温装置である過熱蒸気噴出装置27が配置される。この過熱蒸気噴出装置27により紙ウエブWには熱Hが与えられて、紙ウエブWの温度が上昇させられる(ステップS305)。
【0073】
なお、過熱蒸気噴出装置27によって紙ウエブWを加熱する代わりに、搾水用のフェルト4を加熱装置28によって加熱して、昇温したフェルト4によって間接的に紙ウエブWを加熱してもよい。このようにすれば、フェルト4を加熱した状態にて紙ウエブWを移送することができるので、第三プレスニップP3で紙ウエブWの温度を上昇させやすく、あるいは低下させにくくすることができる。なお、加熱装置28は単独で使用してもよいし、過熱蒸気噴出装置27と併用してもよい。過熱蒸気噴出装置27と加熱装置28とを併用すれば、両者の奏する相互作用によって、紙ウエブWを高速でほぼ均等に搾水できる。
【0074】
次に、図11(d)に示すように、ドライヤロール16に巻き付かせた搾水用のフェルト4を、加熱されたプレス用ロール30で加圧圧縮することで、紙ウエブWの温度が上昇させられた紙ウエブWの裏面Bを搾水する(ステップS306)。そして、第三プレスニップP3を経た紙ウエブWは、搬送カンバス25に保持されながら、ドライヤロール21、および搬送ロール22(図9参照)へ搬送されてゆく。なお、ドライヤロール16を加熱すれば更に湿紙の昇温効果を発揮できるが、当該ドライヤロール16を加熱しないで使用することも可能である。
【0075】
また、実施の形態2で説明したように、プレス用ロール30の内部に蒸気等の加熱媒体を注入する等の手段によって、プレス用ロール30の表面が加熱されたヒートロールとしてもよい。このようにすれば、フェルト4による搾水と加熱による乾燥とを同時に行うことができるので、より充分に紙ウエブWを脱水できる。ここで、上記実施の形態3において図示された第三プレスニップP3の構成および取り付け位置はこれに限定されず、他の場所でも同様の効果が得られる。
【0076】
さらに、前述の構成から紙ウエブWの表面Tと裏面Bを入れ替える、または、第1のプレスニップP1で紙ウエブWの表裏面T、Bを、第二のプレスニップP2a、他の第二のプレスニップP2bで紙ウエブWの裏面Bを、第三のプレスニップP3で紙ウエブWの表面Tを搾水する構成とする等を行い、紙ウエブWの裏面Bおよび表面Tを、それぞれ上述した紙ウエブの一方の面および他方の面としても、同様の効果が得られる。
【0077】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、表裏の搾水バランスのアンバランスな紙ウエブの搾水が不十分な側の面の紙層強度を向上させ、更に、高速で紙ウエブが通紙できる紙の製造方法および抄紙機を提供することができる。
【0078】
また、本発明によれば、更に紙ウエブを直接または間接的に加熱するので、更に搾水が十分でき、ベッセルピックトラブルを低減できるので、品質の高い紙の製造ができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、この発明の実施の形態1に係る抄紙機の概略構成図である。
【図2】図2は、この発明の実施の形態1に係るブロック線図である。
【図3】図3は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【図4】図4は、この発明の実施の形態2に係る抄紙機の概略構成図である。
【図5】図5は、この発明の実施の形態2に係るブロック線図である。
【図6】図6は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【図7】図7は搾水、脱水工程を示す模式図である。
【図8】図8は、搾水、紙層強度向上効果の評価グラフである。
【図9】図9は、この発明の実施の形態3に係る抄紙機の概略構成図である。
【図10】図10は、この発明の実施の形態3に係るブロック線図である。
【図11】図11は、紙ウエブの搾水、脱水方法についての説明図である。
【図12】図12は、乾燥により裏面Bの紙層構造(紙層強度)を改善して両面均質な紙を製造する抄紙機の概略構成図である。
【図13】図13は、2ニップのプレスパートの概略構成図である。
【図14】図14は、紙ウエブをプレスパートからドライヤパートへ移送する従来例である。
【図15】図15は、プレスパートからドライヤまでの概略構成図を示す。
【図16】図16は、第三プレスニップP3を追加した場合のプレスパート構成図である。
【符号の説明】
1、3、4 フェルト
2 トップフェルト
5、8、9 プレスロール
6 サクションボックス
10 シュープレス
11 圧縮用のシュー
12 回転保持ロール
13、15、22 搬送ロール
15 真空吸引ロール
14、16、21 ドライヤロール
17、18、19、20 ロール
23、24 カンバス保持ロール
25 搬送カンバス
26 次工程での搬送カンバス
27 過熱蒸気噴出装置
28 加熱装置
30、40 プレス用ロール
B 紙ウエブの裏面
P1 第一プレスニップ
P2、P2a、P2b 第二プレスニップ
P3 第三プレスニップ
T 紙ウエブの表面
W 紙ウエブ
Claims (14)
- 圧縮搾水手段を有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、加熱手段を有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、
前記紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、
前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、
前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程とを有し、
上記三工程のうち少なくとも一工程を前記ドライヤパートで行い、かつ前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送することを特徴とする紙の製造方法。 - 圧縮搾水手段を有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、加熱手段を有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、
前記紙ウエブの両方の面をニップし、搾水する工程と、
前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、
更に、前記紙ウエブの一方の面をニップし、搾水する工程と、
前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程と、
ドライヤパートにおいて前記紙ウエブの他方の面をニップし、搾水する工程と、
を有することを特徴とする紙の製造方法。 - 前記紙ウエブに熱を加えながら搾水することを特徴とする請求項1または2に記載の紙の製造方法。
- 前記紙ウエブに熱を加えた後、前記紙ウエブをニップし、搾水することを特徴とする請求項1または2に記載の紙の製造方法。
- 熱を加えられたフェルトに前記紙ウエブを接触させ、ニップし、搾水することを特徴とする請求項1または2に記載の紙の製造方法。
- プレスロールを有するプレスパートにより紙ウエブを搾水し、複数のドライヤロールを有するドライヤパートによって前記紙ウエブを乾燥させる紙の製造方法において、
前記紙ウエブの少なくとも一方の面を一対以上のプレスロールで圧縮搾水する工程と、
前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する際には、前記紙ウエブを移送部材に当接させて移送する工程と、
複数の前記ドライヤロールのうち上流側に配置された少なくとも一つの前記ドライヤロールに対向するプレス用ロールによって、圧縮搾水された前記紙ウエブを乾燥するとともに前記紙ウエブの少なくとも他方の面を圧縮搾水する工程と、
を有することを特徴とする紙の製造方法。 - 前記紙ウエブの両面が紙ウエブの表裏面であり、
前記紙ウエブの一方の面が紙ウエブの表面であり、
前記紙ウエブの他方の面が紙ウエブの裏面であることを特徴とする請求項1〜6のいずれか一つに記載の紙の製造方法。 - 紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する抄紙機において、
前記紙ウエブの両面を搾水する第一のニップ手段と、
この前記紙ウエブの一方の面を搾水する第二のニップ手段と、
前記紙ウエブの他方の面を搾水する第三のニップ手段と、
上記のニップ手段のうち少なくとも一つのニップ手段を前記ドライヤパートに備え、更に前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段を有することを特徴とする抄紙機。 - 紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する抄紙機において、
前記紙ウエブの両面を搾水する第一のニップ手段と、
この前記紙ウエブの一方の面を搾水する第二のニップ手段と、
更に、この前記紙ウエブの一方の面を搾水する他の第二のニップ手段と、
前記紙ウエブの他方の面を搾水する第三のニップ手段と、
前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段と、
を有することを特徴とする抄紙機。 - 前記ドライヤパートにおけるニップ手段は、第一のプレスロールと第二のプレスロールからなり、前記紙ウエブの搾水される側に当接する搾水用のフェルトを、第一のプレスロールにも当接するように配したことを特徴とする請求項7または8に記載の抄紙機。
- 前記ドライヤパートにおけるニップ手段において、更に前記第二のプレスロールにロール加熱手段を備えたことを特徴とする請求項9に記載の抄紙機。
- 前記フェルトが当接する第一のプレスロールに内部からの加熱手段を備えたことを特徴とする請求項9または10に記載の抄紙機。
- 紙ウエブを圧縮搾水するプレスパートと、前記紙ウエブを乾燥させるドライヤパートとを有する用紙を製造する抄紙機において、
前記紙ウエブの少なくとも一方の面を圧縮搾水する少なくとも一対のプレスロールを有するプレスパートと、
前記プレスパートから前記ドライヤパートへ前記紙ウエブを移送する移送手段と、
前記ドライヤパートは圧縮搾水された前記紙ウエブを乾燥する複数のドライヤロールを有し、更に上流側に配置されている少なくとも一つのドライヤロールに対向する位置に、前記紙ウエブの少なくとも他方の面を圧縮搾水するプレス用ロールを配設することを特徴とする抄紙機。 - 前記紙ウエブの両面が紙ウエブの表裏面であり、
前記紙ウエブの一方の面が紙ウエブの表面であり、
前記紙ウエブの他方の面が紙ウエブの裏面であることを特徴とする請求項8〜13のいずれか一つに記載の抄紙機。
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JP2002357137A JP2004190153A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | 紙の製造方法および抄紙機 |
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JP2002357137A JP2004190153A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | 紙の製造方法および抄紙機 |
Publications (1)
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JP2002357137A Withdrawn JP2004190153A (ja) | 2002-12-09 | 2002-12-09 | 紙の製造方法および抄紙機 |
Country Status (1)
Country | Link |
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- 2002-12-09 JP JP2002357137A patent/JP2004190153A/ja not_active Withdrawn
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