【0001】
本発明は、耐衝撃性、低い光弾性定数、高い屈折率および逆分散値を有し、優れた透明性、耐熱性を有する芳香族−脂肪族ポリカーボネートの製造方法に関するものであり、さらに詳しくは色調の良好な芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを長期間安定して連続的に製造する方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭酸ジエステルと2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(以下、BPAと記す)等の芳香族ジヒドロキシ化合物を溶融状態で重縮合させるエステル交換法によって得られるポリカーボネートは、耐衝撃性等の機械的特性に優れ、しかも耐熱性、透明性にも優れている。しかしながら、芳香族ジヒドロキシ化合物としてBPAだけを用いてなるポリカーボネートでは、光弾性定数が大きく、溶融流動性が比較的悪いために成形品の複屈折が大きくなり、また屈折率は1.58と高いものの分散の程度を表すアッベ数が30と低く、屈折率とアッベ数とのバランスが悪いため、広く光記録材料や光学レンズ等の用途に用いられるには十分な性能を有していないという欠点がある。
【0003】
このようなビスフェノールAタイプのポリカーボネートの欠点を解決する目的で、先に芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂が提案されている(例えば特許文献1参照。)。この芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート樹脂は、優れた耐衝撃性、耐熱性を有し、そのうえ光弾性定数が小さく、アッベ数が高いことから、広く光学材料として用いることが可能である。このような芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートは、通常のホスゲン法では製造することが困難であり、エステル交換法として知られる方法、すなわち芳香族ジヒドロキシ化合物と脂肪族ジヒドロキシ化合物、およびジフェニルカーボネートなどの炭酸ジエステルとを溶融状態でエステル交換反応によって重縮合させる方法が好適に用いられる。
【0004】
しかし、脂肪族ジヒドロキシ化合物に3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン(以下スピログリコールまたはSPGとも記す)のような昇華性物質を使用した場合、未反応のスピログリコールに由来する昇華物が製造装置内に付着堆積し、長期の安定製造が困難であった。
【0005】
【特許文献1】
特開平8−276260号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上記のような問題点を解決しようとするものであり、優れた耐衝撃性、耐熱性及び高いアッベ数と低い光弾性定数を有し、且つ色調に優れた芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを長期間安定して連続的に製造する方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記事情に鑑み鋭意検討を行った結果、原料溶解槽、及び原料貯蔵槽で、芳香族炭酸ジエステルとスピログリコール及び芳香族ジヒドロキシ化合物を混合溶解し均一化した該混合物を、120℃〜170℃の温度で5〜35時間保持することによりスピログリコールをエステル交換反応させ重合工程に供給することにより、重合工程における各反応槽での未反応のスピログリコールに由来する昇華物の発生を抑制でき、芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートを長期間安定して連続製造できることを見出した。
【0008】
すなわち本発明は、上述の方法により、優れた耐衝撃性、耐熱性と高いアッベ数と低い光弾性定数を有し、さらに色調にも優れる芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを長期間安定して連続的に製造する方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明では、
▲1▼芳香族炭酸ジエステル、下記構造式(1)で示される3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカン及び芳香族ジヒドロキシ化合物をエステル交換反応させて芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを製造する、並びに▲2▼芳香族炭酸ジエステルとスピログリコール、芳香族ジヒドロキシ化合物及びトリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノールをエステル交換反応させて芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを製造する。
【0010】
【化2】
【0011】
本発明において、原料を溶解混合した後、5〜35時間保持する。この保持する時間とは、原料を完全に溶解してから第1反応槽に供給するまでの時間のことであり、原料溶解槽で原料が完全に溶解してから、原料貯蔵槽等へ送られる時間と、原料貯蔵槽等での平均滞留時間の合計のことである。
【0012】
本発明において、原料を完全に溶解してから第1反応槽に供給するまでの保持時間は5〜35時間、好ましくは8〜30時間である。5時間より短いと、未反応スピログリコールが多く含有されているため、重合工程において該スピログリコールが昇華し副生物の留去ライン等に付着し閉塞等を引き起こしてしまう。また35時間より長いと、未反応スピログリコールは大きく低減されるものの滞留時間が長くなる為、副反応が起こり製造されるポリマーの着色原因となってしまう。
【0013】
原料溶解槽で芳香族炭酸ジエステルにジヒドロキシ化合物を完全に溶解した後該溶解混合物を冷却して溶解時の温度よりも低い状態で保持することは、原料の熱履歴を少なくでき、より色調の優れたポリマーを得るのに有効である。混合したジヒドロキシ化合物が完全に溶解した原料を冷却する方法は、原料溶解槽を冷却しても、送液時の配管を冷却しても、その後送液する重合槽以外の槽(原料貯蔵槽等)を冷却しても良いが、原料溶解槽で冷却するのが好ましい。冷却前後の温度差は5〜60℃が好ましい。これより温度差が小さいと冷却する効果が現れず、大きいと溶解したジヒドロキシ化合物が析出してしまうため好ましくない。原料溶解槽で原料が完全に溶解してから該原料混合液を保持する温度は120〜170℃が好ましく、より好ましくは125〜160℃である。120℃より低いとジヒドロキシ化合物の析出が起こる場合があり、また、170℃より高いと製造される芳香族―脂肪族共重合ポリカーボネートの着色が著しく適当でない。
【0014】
原料溶解槽に投入される炭酸ジエステルは、液体でも固体でも良い。液体の場合、例えば融点以上に保温された炭酸ジエステルを、配管を通じて送液することにより投入できる。原料溶解槽への投入順序は、最初に芳香族炭酸ジエステル、続いてジヒドロキシ化合物、及び好ましくはエステル交換触媒を投入し溶解するのが好ましい。また、固体の炭酸ジエステルを投入し溶融状態になってから、ジヒドロキシ化合物、及び好ましくはエステル交換触媒を投入しても良い。原料溶解時の温度は、使用する芳香族ジヒドロキシ化合物の種類にもよるが120〜190℃、好ましくは130〜180℃が適当である。
【0015】
本発明においては、原料溶解槽にエステル交換触媒を添加するのが好ましい。エステル交換触媒の添加形態としては、固体、液体または適当な溶媒に希釈して溶液として加えることができる。溶解時にエステル交換触媒を加えることによってエステル交換反応を促進し、未反応スピログリコールの量を低減すると共に、平衡に達する時間を短縮することができる。また、生成した芳香族モノヒドロキシ化合物がジヒドロキシ化合物の溶解を促進するため、溶解時間も短縮することができる。
【0016】
本発明において、原料調製時、重合反応を阻害しない範囲で目的に応じ、各種公知の酸化防止剤を原料溶解槽に加えることが望ましい。
【0017】
原料調製時、炭酸ジエステルにジヒドロキシ化合物を溶解すると、エステル交換反応が進行しフェノール類が生成するが、やがて平衡状態となる。冷却開始時の組成は平衡状態であるのが好ましいが、平衡に未達の状態でも、芳香族モノヒドロキシ化合物の生成量が原料混合物に対し5重量%以上、好ましくは10重量%以上含有されるまでエステル交換反応が進行していることが望ましく、この値より低い芳香族モノヒドロキシ化合物の濃度で冷却するとジヒドロキシ化合物が析出してしまう場合がある。
【0018】
原料貯蔵槽における原料混合液の平均滞留時間は35時間以下、好ましくは4〜30時間である。
平均滞留時間が短すぎると原料混合液中の組成が安定せず、重合工程において分子量を一定に制御するのが困難となり、また、35時間より長いと原料混合液中の組成は安定し、昇華物の発生も抑制できるが、得られるポリマーの着色が顕著となる。少なくとも原料貯蔵槽における原料混合液の平均滞留時間は、平衡に達し組成の安定した原料混合液を第1反応槽に供給できうる時間とするのが好ましい。
【0019】
原料溶解槽と原料貯蔵槽は、不活性ガス雰囲気下であれば常圧でも、加圧下でも構わないが、窒素等の不活性ガスを微量供給し常圧で不活性ガス雰囲気下、すなわち不活性ガスフロー下とするのが好ましい。この際、不活性ガスの供給量を多くすると、エステル交換反応により生成する芳香族モノヒドロキシ化合物の蒸気が不活性ガスと共にベントより系外に排出され、原料混合物の組成が変わってしまうため適当ではない。
【0020】
本発明において、ジヒドロキシ化合物を炭酸ジエステルに溶解させるための原料溶解槽は、垂直回転軸と撹拌翼を備えた一般的な撹拌装置を有する竪型撹拌槽を使用できる。原料溶解槽及び、原料貯蔵槽、重合反応槽、送液配管等原料混合液、反応液が接液する部位の装置材質は、加熱溶融時に鉄等が溶出しないものが好ましく、例えば、ニッケル、ジルコニウム、チタン、タンタル、これらの合金、ハステロイなどがある。電解研磨などの表面処理を施すことによってSUS304、SUS316、SUS316L、SUS310S等のステンレス鋼を用いることもできる。
【0021】
本発明に関わるエステル交換反応は、公知の溶融重縮合法により行うことができる。すなわち前記の原料、およびエステル交換触媒を用いて、加熱溶融下で徐々に減圧することにより副生物を除去しながら溶融重縮合を行うものである。反応は一般には二段以上の多段工程で実施される。
【0022】
具体的には、第一段目の反応を120〜260℃、好ましくは180〜240℃の温度で0〜5時間、好ましくは0.5〜3時間反応させる。次いで反応系の減圧度を上げながら反応温度を高めてジヒドロキシ化合物と芳香族炭酸ジエステルとの反応を行い、最終的には133Pa以下の減圧下、200〜300℃の温度で重縮合反応を行う。このような反応は、連続式、バッチ式のいずれでもよい。上記の反応を行うに際して用いられる反応装置は、槽型、押出機型、或いはパドル翼、格子翼、メガネ翼等、表面更新性の優れた撹拌翼を備えた横型攪拌装置が使われる。
【0023】
本発明に用いられる芳香族炭酸ジエステルは、下記一般式(2)で示される化合物である。
【0024】
【化3】
(式中Arは1価の芳香族基であり、Arは同一であっても異なっていてもよい。)
【0025】
上記一般式(2)で表される芳香族炭酸ジエステルは、例えば、ジフェニルカーボネート、ジトリールカーボネート、ジキシリルカーボネート、ビスプロピルフェニルカーボネート、ビスオクチルフェニルカーボネート、ビスノニルフェニルカーボネート、ビスメトキシフェニルカーボネート、ビスエトキシフェニルカーボネート等の置換ジフェニルカーボネート等が例示されるが、特に好ましくはジフェニルカーボネート(以下DPCと記す)が挙げられ、塩素含有量は、1ppm 以下であることが好ましい。芳香族炭酸ジエステルは、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して0.97〜1.2モルの量で用いられることが好ましく、特に好ましくは0.99〜1.10モルの量である。
【0026】
本発明の反応に用いられる芳香族ジヒドロキシ化合物は下記一般式(3)で表される化合物である。
【0027】
【化4】
【0028】
(上記式(3)において、Xは
【0029】
【化5】
であり、ここに、R3およびR4は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基あるいはフェニル基であり、R3とR4が結合し環を形成していてもよい。R1とR2は水素原子または炭素数1〜10のアルキル基またはハロゲンであり、R1とR2は同じでも異なっていてもよい。また、mおよびnは置換基数を表し0〜4の整数である。)
【0030】
上記一般式(3)で表される芳香族ジヒドロキシ化合物としては、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−メチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−t−ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジメチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジブロモフェニル)プロパン、4,4−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ヘプタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビスフェノール類;4,4’−ジヒドロキシジビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジヒドロキシビフェニル等のビフェノール類;ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルホキシド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)スルフィド、ビス(4−ヒドロキシフェニル)エーテル、ビス(4−ヒドロキシフェニル)ケトン等が挙げられる。これらのうちで、特に1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン(以下、BPZと記す)、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパンが好ましい。また、芳香族ジヒドロキシ化合物を2種類以上併用して用いる事もできる。
【0031】
本発明では、エステル交換触媒としてアルカリ金属化合物及び/またはアルカリ土類金属化合物を単独または併用して用いられる。
【0032】
このような化合物としては、アルカリ金属およびアルカリ土類金属等の有機酸塩類、無機塩類、酸化物、水酸化物、水素化物あるいはアルコキシド等が好ましく用いられる。
【0033】
アルカリ金属化合物としては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化セシウム、水酸化リチウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸セシウム、炭酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸セシウム、酢酸リチウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸カリウム、ステアリン酸セシウム、ステアリン酸リチウム、水素化ホウ素ナトリウム、フェニル化ホウ素ナトリウム、安息香酸ナトリウム、安息香酸カリウム、安息香酸セシウム、安息香酸リチウム、リン酸水素2ナトリウム、リン酸水素2カリウム、リン酸水素2リチウム、フェニルリン酸2ナトリウム、ビスフェノールAの2ナトリウム塩、2カリウム塩、2セシウム塩、2リチウム塩、フェノールのナトリウム塩、カリウム塩、セシウム塩、リチウム塩等が挙げられる。
【0034】
また、アルカリ土類金属化合物としては、例えば、水酸化マグネシウム、水酸化カルシウム、水酸化ストロンチウム、水酸化バリウム、炭酸水素マグネシウム、炭酸水素カルシウム、炭酸水素ストロンチウム、炭酸水素バリウム、酢酸マグネシウム、酢酸カルシウム、酢酸ストロンチウム、酢酸バリウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、安息香酸カルシウム、フェニルリン酸マグネシウム等が挙げられる。
【0035】
これらのエステル交換触媒は、ジヒドロキシ化合物の合計1モルに対して、10−9〜10−3モル、好ましくは10−7〜10−5モルの量で用いられる。これより少ないと分子量が十分に上がらず、これより多いと生成したポリマーの分子量や色相が悪化する。
またエステル交換触媒の添加時期としては、原料溶解槽にエステル交換触媒を添加しない場合は通常第1反応槽に添加するが、好ましくは、芳香族炭酸ジエステルとスピログリコール及び芳香族ジヒドロキシ化合物を溶解混合する際に一括投入する、或いはスピログリコールが十分に反応する量を該溶解混合時に添加し、残りを第1反応槽に分割添加するのがよい。
【0036】
本発明において、原料溶解槽で芳香族炭酸ジエステルにジヒドロキシ化合物を完全に溶解した後、5〜35時間保持した溶解混合物と、別途芳香族ジヒドロキシ化合物及び/又は脂肪族ジヒドロキシを混合して重合させても良い。芳香族ジヒドロキシ化合物としては前述のものが挙げられる。脂肪族ジヒドロキシ化合物としては、脂環構造を有するジヒドロキシ化合物が挙げられる。脂環構造を有するジヒドロキシ化合物として、トリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノール、β,β,β’,β’−テトラメチル−2,4,8,10−テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン−3,9−ジエタノール(スピログリコール)、ペンタシクロ[9.2.1.13,9.02,10.04,8]ペンタデカンジメタノール、ペンタシクロ[9.2.1.14,7.02,10.03,8]ペンタデカンジメタノール、2,6−デカリンジメタノールあるいは1,4−シクロヘキサンジメタノール、アダマンタンジメタノールなどが挙げられる。
【0037】
【実施例】
以下、実施例により本発明を具体的に説明するが、本発明は、以下の実施例に何らの制限を受けるものではない。
【0038】
重量平均分子量(Mw)はGPC(Shodex GPC system 21H)を用い、ポリスチレン換算分子量として測定した。展開溶媒にはクロロホルムを用いた。
溶液色相(YI値)の測定法は以下の通りである。サンプル8.0gを塩化メチレン80mlに溶解し、5.0cm石英ガラスセルを用いて測定した。色差計は日本電色工業社製スペクトロカラーメーターSE−2000を使用した。
【0039】
以下、実施例及び比較例中においてジフェニルカーボネートをDPC、3,9−ビス(2−ヒドロキシ−1,1−ジメチルエチル)−2,4,8,10−テトラオキサスピロ(5.5)ウンデカンをSPG、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサンをBPZ、トリシクロ(5.2.1.02,6)デカンジメタノールをTCDDMと記す。
【0040】
実施例1
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、155℃に保持された原料溶解槽にDPC、BPZ、及びSPGを一定比率(DPC/(BPZ+SPG)[モル比]=3.61、BPZ:SPG[モル比]=6:1)になるように、まず130℃に保持されたDPCの液体を原料溶解槽に送液し、撹拌開始後BPZ(粉末)を投入した。この際、エステル交換触媒として2価のジヒドロキシ化合物(BPA+SPG+TCDDM)の合計1molに対して炭酸水素ナトリウムを3μmolをBPZと混合しながら添加した。続いてSPG(粉末)を原料溶解槽に投入し、完全に溶解したのを確認してから1時間後、該原料混合液の温度を15分で130℃まで冷却し、直ちに130℃に保持された原料貯蔵槽に送液した。原料貯蔵槽での平均滞留時間が16時間となるように原料調製のタイミングを調整した。
実質的に酸素の存在しない窒素ガス雰囲気下、第1竪型攪拌反応槽(反応条件:13329Pa、205℃、攪拌速度160rpm)での原料モル比(DPC/(BPZ+TCDDM+SPG))が1.01となるように、第1反応槽に、原料貯蔵槽より原料混合液を40.8kg/hの流量で、また同時にTCDDMを19.7kg/hの流量で、さらに酢酸カルシウム水溶液を3μmol(エステル交換触媒:2価のジヒドロキシ化合物(BPA+SPG+TCDDM)の合計1molに対して)をそれぞれ連続的に供給し、第1反応槽での平均滞留時間が60分となるように槽底部のポリマー排出ラインに設けられたバルブ開度を制御しつつ液面レベルを一定に保った。槽底より排出された重合液(プレポリマー)は、引き続き第2、第3、第4の竪型反応槽並びに第5の横型反応槽(日立製作所製 格子
翼重合機(商品名))に逐次連続供給された。各槽の平均滞留時間は第2〜第4の竪型反応槽が各々60分、第5横型反応槽は90分となるように液面レベルを制御し、また同時に副生するフェノールの留去も行った。第2〜第5反応槽各槽の重合条件はそれぞれ、第2反応槽(220℃、1999Pa、攪拌速度160rpm)、第3反応槽(230℃、25Pa、攪拌速度60rpm)、第4反応槽(240℃、25Pa、攪拌速度20rpm)、第5横型反応槽(245℃、25Pa、攪拌速度5rpm)とした。第5横型反応槽より排出されたポリマーは溶融状態のまま連続的に3ベント式2軸押出機(46mm2軸押出機 神戸製鋼所製)
に導入され、樹脂供給口の最も近いベント口の手前で後述する添加剤をマスターバッチの形態で樹脂に対し2wt%の割合でサイドフィードコンパクターにより供給し、各ベントにて脱揮後、水冷ペレット化した。
マスターバッチの組成は、ユーピロンS−3000F(三菱ガス化学製ポリ
カーボネート)のフレーク状のものをベースとし、p−トルエンスルホン酸ブチル(東京化成工業製;以下pTSB)の添加量が炭酸水素ナトリウムと酢酸カ
ルシウムの中和当量の5倍量[45μmol/mol(BPZとTCDDMとSPGの合計モルに対して)]、及び芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネート100重量部に対して、ビス(2,6−ジ−t−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトール−ジ−ホスファイト(旭電化工業製 PEP−36)が400ppm
、5,7−ジ−t−ブチル−3−(3,4−ジメチルフェニル)−3H−ベンゾフラン−2−オン(HP−136;チバスペシャリティケミカルズ製)が10
0ppm、オクタデシル−3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオネート(旭電化工業製 AO−50)が300ppmとなるように
調製した。
本条件で360時間の連続製造を行った結果、得られたポリマーの平均Mwは80,500、平均YI値は1.1で安定して連続運転が行えた。運転終了後、反応槽や配管等の設備内部にSPG由来の昇華物の付着は観察されなかった。
【0041】
実施例2
実施例1で、原料溶解槽においてエステル交換触媒を添加せず、原料溶解確認後155℃で7時間保持した後140℃に冷却し、140℃で保持された原料貯蔵槽(平均滞留時間16時間)に送液したこと、及びエステル交換触媒として、第1反応槽に炭酸水素ナトリウム3μmol+酢酸カルシウム3μmol(エステル交換触媒:2価のジヒドロキシ化合物(BPA+SPG+TCDDM)の合計1molに対して)の水溶液を連続的に添加したこと以外は同様に行った。
本条件で360時間の連続製造を行った結果、得られたポリマーの平均Mwは80,000、平均YI値は1.3で安定して連続運転が行えた。運転終了後、反応槽や配管等の設備内部にSPG由来の昇華物の付着は観察されなかった。
【0042】
比較例1
実施例2において、155℃で原料溶解確認後すぐに155℃で保持された原料貯蔵槽に送液し、原料貯蔵槽における平均滞留時間を4時間としたこと以外は同様に行った。
その結果、連続製造開始から120時間経過時に第3反応槽で減圧不良が発生したため、やむなく製造を中止した。終了後に設備内部を観察した結果、第3反応槽の留去配管がSPG由来昇華物により閉塞気味となっていた。
【0043】
比較例2
実施例1において、原料溶解槽で155℃の温度で原料が完全に溶解したのを確認してから1時間後、該原料混合液の温度を15分で130℃まで冷却し、130℃にて9時間保持した後、原料貯蔵槽に送液し、原料貯蔵槽での平均滞留時間が30時間となるように原料調製のタイミングを調整したこと以外は同様に行った。
その結果、重合開始から72時間後においても得られるポリマーの色調がよくならない為、重合を停止した。この間の得られたポリマーの平均Mwは79,000、平均YI値は1.8であった。第3及び第4反応槽内の天板及び副生物の留去配管等にSPG由来昇華物の付着はみられなかった。
【0044】
比較例3
実施例1において、原料溶解槽で175℃の温度で原料が完全に溶解したのを確認してから1時間後、冷却せずに175℃で保持された原料貯蔵槽に送液し、原料貯蔵槽での平均滞留時間が16時間となるように原料調製のタイミングを調整したこと以外は同様に行った。
その結果、重合開始から72時間後においても得られるポリマーの色調がよくならない為、重合を停止した。この間の得られたポリマーの平均Mwは80,000、平均YI値は2.1であった。第3及び第4反応槽内の天板及び副生物の留去配管等にSPG由来昇華物の付着はみられなかった。
【0045】
【発明の効果】
本発明によれば、芳香族炭酸ジエステルとスピログリコール及び芳香族ジヒドロキシ化合物を混合溶解せしめた混合物を、所定時間保持後に重合させることによって、未反応のスピログリコールに由来する昇華物の発生を抑制し、優れた耐衝撃性、耐熱性及び高いアッベ数と低い光弾性定数を有し、且つ色調に優れた芳香族−脂肪族共重合ポリカーボネートを長期間安定に連続製造することができ、工業的にも極めて有効な方法である。[0001]
The present invention relates to a method for producing an aromatic-aliphatic polycarbonate having impact resistance, a low photoelastic constant, a high refractive index and an inverse dispersion value, and excellent transparency and heat resistance. The present invention relates to a method for stably and continuously producing an aromatic-aliphatic copolymer polycarbonate having a good color tone for a long period of time.
[0002]
[Prior art]
Polycarbonate obtained by a transesterification method in which polycondensation of an aromatic dihydroxy compound such as carbonic acid diester and 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane (hereinafter, referred to as BPA) in a molten state is performed by a mechanical method such as impact resistance. Excellent in thermal characteristics, and also excellent in heat resistance and transparency. However, polycarbonate using only BPA as the aromatic dihydroxy compound has a large photoelastic constant and relatively low melt fluidity, so that the birefringence of the molded article becomes large and the refractive index is as high as 1.58. Since the Abbe number indicating the degree of dispersion is as low as 30, and the balance between the refractive index and the Abbe number is poor, there is a drawback that it does not have sufficient performance to be widely used for applications such as optical recording materials and optical lenses. is there.
[0003]
For the purpose of solving such a drawback of the bisphenol A type polycarbonate, an aromatic-aliphatic copolymerized polycarbonate resin has been previously proposed (for example, see Patent Document 1). This aromatic-aliphatic copolycarbonate resin has excellent impact resistance and heat resistance, and furthermore has a small photoelastic constant and a high Abbe number, so that it can be widely used as an optical material. Such an aromatic-aliphatic copolymerized polycarbonate is difficult to produce by a normal phosgene method, and is a method known as a transesterification method, i.e., an aromatic dihydroxy compound and an aliphatic dihydroxy compound, and diphenyl carbonate and the like. A method in which polycondensation with a carbonic acid diester in a molten state by a transesterification reaction is suitably used.
[0004]
However, the aliphatic dihydroxy compound is classified as 3,9-bis (2-hydroxy-1,1-dimethylethyl) -2,4,8,10-tetraoxaspiro (5.5) undecane (hereinafter also referred to as spiroglycol or SPG). In the case of using a sublimable substance as in (1), a sublimate derived from unreacted spiroglycol adheres and accumulates in the production apparatus, and it has been difficult to perform long-term stable production.
[0005]
[Patent Document 1]
JP-A-8-276260
[Problems to be solved by the invention]
The present invention is intended to solve the above problems, and has an aromatic-aliphatic copolymer having excellent impact resistance, heat resistance, high Abbe number and low photoelastic constant, and excellent color tone. An object is to provide a method for producing a polymerized polycarbonate stably and continuously for a long period of time.
[0007]
[Means for Solving the Problems]
The present inventors have conducted intensive studies in view of the above circumstances, and as a result, in a raw material dissolving tank and a raw material storage tank, the aromatic carbonate diester, spiroglycol and aromatic dihydroxy compound were mixed and dissolved, and the resulting mixture was mixed with 120. Generation of sublimates derived from unreacted spiroglycol in each reaction tank in the polymerization process by supplying the polymerization process with the spiroglycol by subjecting it to a transesterification reaction by maintaining the temperature for 5 to 35 hours at a temperature of 5 to 35 ° C. And that the aromatic-aliphatic copolymerized polycarbonate can be stably and continuously produced for a long period of time.
[0008]
That is, the present invention, by the above-described method, has excellent impact resistance, heat resistance and a high Abbe number and a low photoelastic constant, and furthermore, is excellent in color tone. It is intended to provide a method for continuous production.
[0009]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
In the present invention,
(1) Aromatic carbonic acid diester, 3,9-bis (2-hydroxy-1,1-dimethylethyl) -2,4,8,10-tetraoxaspiro (5.5) represented by the following structural formula (1) ) Undecane and an aromatic dihydroxy compound are subjected to a transesterification reaction to produce an aromatic-aliphatic copolymerized polycarbonate, and (2) an aromatic carbonic acid diester and spiroglycol, an aromatic dihydroxy compound and tricyclo (5.2.1. 0,6 ) Transesterification of decane dimethanol to produce an aromatic-aliphatic copolymerized polycarbonate.
[0010]
Embedded image
[0011]
In the present invention, after dissolving and mixing the raw materials, the mixture is held for 5 to 35 hours. The holding time is a time from completely dissolving the raw material to supplying the raw material to the first reaction tank. After the raw material is completely dissolved in the raw material dissolving tank, the raw material is sent to the raw material storage tank or the like. It is the sum of the time and the average residence time in the raw material storage tank and the like.
[0012]
In the present invention, the holding time from complete dissolution of the raw materials to supply to the first reaction tank is 5 to 35 hours, preferably 8 to 30 hours. If the time is shorter than 5 hours, since a large amount of unreacted spiroglycol is contained, the spiroglycol sublimates in the polymerization step and adheres to a by-product distillation line or the like, causing blockage or the like. If the time is longer than 35 hours, unreacted spiroglycol is greatly reduced, but the residence time is long, and a side reaction occurs to cause coloring of the produced polymer.
[0013]
After completely dissolving the dihydroxy compound in the aromatic carbonic acid diester in the raw material dissolving tank, cooling the melted mixture and keeping it at a temperature lower than the temperature at the time of dissolution can reduce the heat history of the raw material and improve the color tone. It is effective to obtain a polymer. The method of cooling the raw material in which the mixed dihydroxy compound is completely dissolved includes cooling the raw material dissolving tank and cooling the piping at the time of feeding the liquid, and then using a tank other than the polymerization tank (the raw material storage tank, etc.) to which the liquid is subsequently fed. ) May be cooled, but is preferably cooled in a raw material dissolving tank. The temperature difference before and after cooling is preferably 5 to 60C. If the temperature difference is smaller than this, the cooling effect does not appear, and if it is larger, the dissolved dihydroxy compound is precipitated, which is not preferable. The temperature at which the raw material mixture is held after the raw materials are completely dissolved in the raw material dissolving tank is preferably 120 to 170 ° C, more preferably 125 to 160 ° C. When the temperature is lower than 120 ° C., precipitation of a dihydroxy compound may occur. On the other hand, when the temperature is higher than 170 ° C., coloring of the aromatic-aliphatic copolymer polycarbonate produced is extremely inappropriate.
[0014]
The carbonic acid diester charged into the raw material dissolving tank may be liquid or solid. In the case of a liquid, for example, a carbonate diester kept at a temperature equal to or higher than the melting point can be introduced by sending the solution through a pipe. The order of charging the raw material dissolving tank is preferably such that an aromatic diester carbonate, a dihydroxy compound, and preferably a transesterification catalyst are first charged and dissolved. Further, after the solid carbonate diester is charged to be in a molten state, the dihydroxy compound and preferably a transesterification catalyst may be charged. The temperature at which the raw materials are dissolved depends on the type of the aromatic dihydroxy compound used, but is suitably from 120 to 190 ° C, preferably from 130 to 180 ° C.
[0015]
In the present invention, it is preferable to add a transesterification catalyst to the raw material dissolving tank. The transesterification catalyst may be added in the form of a solid, a liquid or a solution diluted with an appropriate solvent. By adding a transesterification catalyst during dissolution, the transesterification reaction is promoted, the amount of unreacted spiroglycol can be reduced, and the time to reach equilibrium can be shortened. In addition, since the generated aromatic monohydroxy compound promotes dissolution of the dihydroxy compound, the dissolution time can be shortened.
[0016]
In the present invention, when preparing the raw materials, it is desirable to add various known antioxidants to the raw material dissolving tank according to the purpose within a range that does not inhibit the polymerization reaction.
[0017]
When the dihydroxy compound is dissolved in the carbonic acid diester during the preparation of the raw material, the transesterification proceeds and phenols are generated, but the phenol is eventually brought into an equilibrium state. The composition at the start of cooling is preferably in an equilibrium state. Even when the composition has not reached an equilibrium state, the amount of the aromatic monohydroxy compound is contained in the raw material mixture by 5% by weight or more, preferably 10% by weight or more. It is desirable that the transesterification reaction has progressed to this point, and if the mixture is cooled at a concentration of the aromatic monohydroxy compound lower than this value, the dihydroxy compound may be precipitated.
[0018]
The average residence time of the raw material mixture in the raw material storage tank is 35 hours or less, preferably 4 to 30 hours.
If the average residence time is too short, the composition in the raw material mixture will not be stable, and it will be difficult to control the molecular weight to be constant in the polymerization step. If the average residence time is longer than 35 hours, the composition in the raw material mixture will be stable, and sublimation will occur. Although the generation of substances can be suppressed, the resulting polymer is significantly colored. It is preferable that at least the average residence time of the raw material mixture in the raw material storage tank is a time during which the raw material mixture having reached equilibrium and having a stable composition can be supplied to the first reaction tank.
[0019]
The raw material dissolution tank and the raw material storage tank may be under normal pressure or under pressure as long as they are under an inert gas atmosphere.However, a small amount of an inert gas such as nitrogen is supplied under an inert gas atmosphere at a normal pressure. It is preferred to be under gas flow. At this time, if the supply amount of the inert gas is increased, the vapor of the aromatic monohydroxy compound generated by the transesterification reaction is discharged out of the system together with the inert gas from the vent, and the composition of the raw material mixture is changed. Absent.
[0020]
In the present invention, as a raw material dissolving tank for dissolving a dihydroxy compound in a carbonic acid diester, a vertical stirring tank having a general stirring device equipped with a vertical rotation shaft and a stirring blade can be used. The raw material dissolution tank, the raw material storage tank, the polymerization reaction tank, the raw material mixed liquid such as the liquid feed pipe, the device material of the part where the reaction liquid comes into contact with, preferably those which do not elute iron and the like during heating and melting, for example, nickel, zirconium , Titanium, tantalum, alloys thereof, and Hastelloy. By performing a surface treatment such as electrolytic polishing, stainless steel such as SUS304, SUS316, SUS316L, and SUS310S can be used.
[0021]
The transesterification according to the present invention can be performed by a known melt polycondensation method. That is, melt polycondensation is carried out using the above-mentioned raw materials and a transesterification catalyst while removing by-products by gradually reducing the pressure under heating and melting. The reaction is generally carried out in two or more stages.
[0022]
Specifically, the first-stage reaction is carried out at a temperature of 120 to 260 ° C., preferably 180 to 240 ° C., for 0 to 5 hours, preferably 0.5 to 3 hours. Next, the reaction temperature is increased while increasing the degree of vacuum of the reaction system to carry out the reaction between the dihydroxy compound and the aromatic carbonate diester. Finally, the polycondensation reaction is carried out at a temperature of 200 to 300 ° C. under a reduced pressure of 133 Pa or less. Such a reaction may be a continuous type or a batch type. As a reaction apparatus used for performing the above reaction, a tank type, an extruder type, or a horizontal type stirring apparatus equipped with a stirring blade having excellent surface renewability such as a paddle blade, a grid blade, an eyeglass blade, or the like is used.
[0023]
The aromatic carbonic diester used in the present invention is a compound represented by the following general formula (2).
[0024]
Embedded image
(In the formula, Ar is a monovalent aromatic group, and Ar may be the same or different.)
[0025]
Examples of the aromatic carbonic acid diester represented by the general formula (2) include diphenyl carbonate, ditolyl carbonate, dixylyl carbonate, bispropylphenyl carbonate, bisoctylphenyl carbonate, bisnonylphenyl carbonate, bismethoxyphenyl carbonate, and bismethoxyphenyl carbonate. Substituted diphenyl carbonates such as ethoxyphenyl carbonate are exemplified, but diphenyl carbonate (hereinafter referred to as DPC) is particularly preferred. The chlorine content is preferably 1 ppm or less. The aromatic carbonic acid diester is preferably used in an amount of 0.97 to 1.2 mol, particularly preferably 0.99 to 1.10 mol, per 1 mol of the total of the dihydroxy compound.
[0026]
The aromatic dihydroxy compound used in the reaction of the present invention is a compound represented by the following general formula (3).
[0027]
Embedded image
[0028]
(In the above formula (3), X is
Embedded image
Wherein R 3 and R 4 are a hydrogen atom, an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms or a phenyl group, and R 3 and R 4 may combine to form a ring. R 1 and R 2 are a hydrogen atom, an alkyl group having 1 to 10 carbon atoms or halogen, and R 1 and R 2 may be the same or different. Further, m and n represent the number of substituents and are integers of 0 to 4. )
[0030]
Examples of the aromatic dihydroxy compound represented by the general formula (3) include bis (4-hydroxyphenyl) methane, 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane, and 2,2-bis (4-hydroxy -3-methylphenyl) propane, 2,2-bis (4-hydroxy-3-t-butylphenyl) propane, 2,2-bis (4-hydroxy-3,5-dimethylphenyl) propane, 2,2- Bisphenols such as bis (4-hydroxy-3,5-dibromophenyl) propane, 4,4-bis (4-hydroxyphenyl) heptane and 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) cyclohexane; 4,4′- Biphenols such as dihydroxydibiphenyl and 3,3 ′, 5,5′-tetramethyl-4,4′-dihydroxybiphenyl; bis (4-hydroxy Examples thereof include (phenyl) sulfone, bis (4-hydroxyphenyl) sulfoxide, bis (4-hydroxyphenyl) sulfide, bis (4-hydroxyphenyl) ether, and bis (4-hydroxyphenyl) ketone. Among these, 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) cyclohexane (hereinafter referred to as BPZ) and 2,2-bis (4-hydroxyphenyl) propane are particularly preferred. Further, two or more aromatic dihydroxy compounds can be used in combination.
[0031]
In the present invention, an alkali metal compound and / or an alkaline earth metal compound are used alone or in combination as a transesterification catalyst.
[0032]
As such compounds, organic acid salts such as alkali metals and alkaline earth metals, inorganic salts, oxides, hydroxides, hydrides, alkoxides and the like are preferably used.
[0033]
Examples of the alkali metal compound include sodium hydroxide, potassium hydroxide, cesium hydroxide, lithium hydroxide, sodium hydrogen carbonate, sodium carbonate, potassium carbonate, cesium carbonate, lithium carbonate, sodium acetate, potassium acetate, cesium acetate, and acetic acid. Lithium, sodium stearate, potassium stearate, cesium stearate, lithium stearate, sodium borohydride, sodium borohydride, sodium benzoate, potassium benzoate, cesium benzoate, lithium benzoate, disodium hydrogen phosphate, Dipotassium hydrogen phosphate, dilithium hydrogen phosphate, disodium phenylphosphate, disodium salt of bisphenol A, 2 potassium salt, 2 cesium salt, 2 lithium salt, phenol sodium salt, potassium salt, Umushio, and lithium salts and the like.
[0034]
Examples of the alkaline earth metal compound include, for example, magnesium hydroxide, calcium hydroxide, strontium hydroxide, barium hydroxide, magnesium hydrogen carbonate, calcium hydrogen carbonate, strontium hydrogen carbonate, barium hydrogen carbonate, magnesium acetate, calcium acetate, Examples include strontium acetate, barium acetate, magnesium stearate, calcium stearate, calcium benzoate, and magnesium phenyl phosphate.
[0035]
These transesterification catalysts are used in an amount of 10 -9 to 10 -3 mol, preferably 10 -7 to 10 -5 mol, per 1 mol of the total of the dihydroxy compound. If it is less than this, the molecular weight does not increase sufficiently, and if it is more than this, the molecular weight and hue of the produced polymer deteriorate.
When the transesterification catalyst is not added to the raw material dissolving tank, the transesterification catalyst is usually added to the first reaction tank. However, preferably, the aromatic carbonate diester, spiroglycol and the aromatic dihydroxy compound are dissolved and mixed. It is preferable to charge them all at once, or add an amount that spiroglycol sufficiently reacts during the dissolution and mixing, and add the remainder to the first reaction tank in portions.
[0036]
In the present invention, after completely dissolving the dihydroxy compound in the aromatic carbonate diester in the raw material dissolving tank, the dissolved mixture kept for 5 to 35 hours and the aromatic dihydroxy compound and / or the aliphatic dihydroxy are separately mixed and polymerized. Is also good. Examples of the aromatic dihydroxy compound include those described above. Examples of the aliphatic dihydroxy compound include a dihydroxy compound having an alicyclic structure. Examples of the dihydroxy compound having an alicyclic structure include tricyclo (5.2.1.0 2,6 ) decane dimethanol, β, β, β ′, β′-tetramethyl-2,4,8,10-tetraoxaspiro. [5,5] undecane-3,9-diethanol (spiroglycol), pentacyclo [9.2.1.1 3,9 . 0 2,10 . 0,8 ] pentadecanedimethanol, pentacyclo [9.2.1.1 4,7 . 0 2,10 . [0 3,8 ] pentadecane dimethanol, 2,6-decalin dimethanol, 1,4-cyclohexane dimethanol, adamantane dimethanol, and the like.
[0037]
【Example】
Hereinafter, the present invention will be described specifically with reference to Examples, but the present invention is not limited to the following Examples.
[0038]
The weight average molecular weight (Mw) was measured as polystyrene equivalent molecular weight using GPC (Shodex GPC system 21H). Chloroform was used as a developing solvent.
The method for measuring the solution hue (YI value) is as follows. 8.0 g of a sample was dissolved in 80 ml of methylene chloride, and the measurement was performed using a 5.0 cm quartz glass cell. The spectrocolor meter SE-2000 manufactured by Nippon Denshoku Industries Co., Ltd. was used as the color difference meter.
[0039]
Hereinafter, in Examples and Comparative Examples, diphenyl carbonate was replaced with DPC and 3,9-bis (2-hydroxy-1,1-dimethylethyl) -2,4,8,10-tetraoxaspiro (5.5) undecane. SPG and 1,1-bis (4-hydroxyphenyl) cyclohexane are referred to as BPZ, and tricyclo (5.2.1.0 2,6 ) decanedimethanol is referred to as TCDDM.
[0040]
Example 1
Under a nitrogen gas atmosphere substantially free of oxygen, DPC, BPZ, and SPG were added at a fixed ratio (DPC / (BPZ + SPG) [molar ratio] = 3.61 to BPZ: SPG [ First, the DPC liquid kept at 130 ° C. was sent to the raw material dissolving tank so that the molar ratio was 6: 1), and BPZ (powder) was charged after the stirring was started. At this time, 3 μmol of sodium bicarbonate was added to BPZ as a transesterification catalyst while mixing 3 μmol of sodium bicarbonate with respect to a total of 1 mol of a divalent dihydroxy compound (BPA + SPG + TCDDM). Subsequently, SPG (powder) was charged into the raw material dissolving tank, and after confirming complete dissolution, one hour later, the temperature of the raw material mixture was cooled to 130 ° C. in 15 minutes, and immediately maintained at 130 ° C. The liquid was sent to the raw material storage tank. The raw material preparation timing was adjusted so that the average residence time in the raw material storage tank was 16 hours.
The raw material molar ratio (DPC / (BPZ + TCDDM + SPG)) in the first vertical stirring reaction tank (reaction conditions: 13329 Pa, 205 ° C., stirring speed 160 rpm) under a nitrogen gas atmosphere substantially free of oxygen becomes 1.01. Thus, in the first reaction tank, the raw material mixture was fed from the raw material storage tank at a flow rate of 40.8 kg / h, and at the same time, TCDDM was flowed at a flow rate of 19.7 kg / h, and 3 μmol of an aqueous calcium acetate solution (ester exchange catalyst: A valve provided in the polymer discharge line at the bottom of the tank so that the divalent dihydroxy compound (BPA + SPG + TCDDM) is continuously supplied, respectively, and the average residence time in the first reaction tank is 60 minutes. The liquid level was kept constant while controlling the opening. The polymerization liquid (prepolymer) discharged from the bottom of the tank is successively fed to the second, third, and fourth vertical reaction tanks and the fifth horizontal reaction tank (lattice blade polymerization machine (trade name) manufactured by Hitachi, Ltd.). Continuously supplied. The average residence time of each tank is controlled so that the second to fourth vertical reaction tanks are 60 minutes each and the fifth horizontal reaction tank is 90 minutes, and the phenol by-produced at the same time is distilled off. I also went. The polymerization conditions of each of the second to fifth reaction tanks are respectively the second reaction tank (220 ° C., 1999 Pa, stirring speed 160 rpm), the third reaction tank (230 ° C., 25 Pa, stirring speed 60 rpm), and the fourth reaction tank ( 240 ° C., 25 Pa, stirring speed 20 rpm), and a fifth horizontal reaction tank (245 ° C., 25 Pa, stirring speed 5 rpm). The polymer discharged from the fifth horizontal reaction tank is continuously in a molten state, and is continuously a 3-vent type twin-screw extruder (46 mm twin-screw extruder manufactured by Kobe Steel).
And an additive, which will be described later, is supplied in a master batch form at a ratio of 2 wt% to the resin by a side feed compactor in front of a vent port closest to the resin supply port. It has become.
The composition of the masterbatch is based on flake-like Iupilon S-3000F (polycarbonate manufactured by Mitsubishi Gas Chemical), and the addition amount of butyl p-toluenesulfonate (manufactured by Tokyo Chemical Industry; hereinafter, pTSB) is sodium bicarbonate and acetic acid. Bis (2,6-) was added to 5 times the neutralization equivalent of calcium [45 μmol / mol (based on the total moles of BPZ, TCDDM and SPG)] and 100 parts by weight of the aromatic-aliphatic copolymerized polycarbonate. 400 ppm of di-t-butyl-4-methylphenyl) pentaerythritol-di-phosphite (PEP-36 manufactured by Asahi Denka Kogyo)
, 5,7-di-t-butyl-3- (3,4-dimethylphenyl) -3H-benzofuran-2-one (HP-136; manufactured by Ciba Specialty Chemicals)
It was prepared so that 0 ppm and octadecyl-3- (3,5-di-t-butyl-4-hydroxyphenyl) propionate (AO-50 manufactured by Asahi Denka Kogyo Co., Ltd.) became 300 ppm.
As a result of continuous production for 360 hours under these conditions, the average Mw of the obtained polymer was 80,500 and the average YI value was 1.1, so that continuous operation could be stably performed. After the operation, no SPG-derived sublimate was adhered to the inside of the equipment such as the reaction tank and the piping.
[0041]
Example 2
In Example 1, the transesterification catalyst was not added in the raw material dissolving tank. After confirming the dissolution of the raw material, the raw material was kept at 155 ° C. for 7 hours, cooled to 140 ° C., and kept at 140 ° C. in the raw material storage tank (average residence time 16 hours). ), And an aqueous solution of 3 μmol of sodium hydrogencarbonate + 3 μmol of calcium acetate (based on a total of 1 mol of a divalent dihydroxy compound (BPA + SPG + TCDDM)) is continuously fed to the first reaction tank as a transesterification catalyst. The procedure was the same except for the addition.
As a result of continuous production for 360 hours under these conditions, the average Mw of the obtained polymer was 80,000, and the average YI value was 1.3. After the operation, no SPG-derived sublimate was adhered to the inside of the equipment such as the reaction tank and the piping.
[0042]
Comparative Example 1
Example 2 was repeated in the same manner as in Example 2 except that the solution was transferred to a raw material storage tank maintained at 155 ° C. immediately after confirming that the raw material had been dissolved at 155 ° C., and the average residence time in the raw material storage tank was set to 4 hours.
As a result, when 120 hours had passed since the start of continuous production, poor pressure reduction occurred in the third reaction tank, so production was unavoidably stopped. As a result of observing the inside of the facility after the completion, the distillation pipe of the third reaction tank was slightly clogged by the sublimate derived from SPG.
[0043]
Comparative Example 2
In Example 1, one hour after confirming that the raw material was completely dissolved at a temperature of 155 ° C. in the raw material melting tank, the temperature of the raw material mixture was cooled to 130 ° C. in 15 minutes, After holding for 9 hours, the solution was sent to the raw material storage tank, and the same procedure was performed except that the timing of raw material preparation was adjusted so that the average residence time in the raw material storage tank was 30 hours.
As a result, even after 72 hours from the start of the polymerization, the color tone of the obtained polymer did not improve, so the polymerization was stopped. During this time, the average Mw of the obtained polymer was 79,000, and the average YI value was 1.8. No sublimate derived from SPG was found to adhere to the top plate and the by-product distillation pipes in the third and fourth reaction tanks.
[0044]
Comparative Example 3
In Example 1, one hour after confirming that the raw material was completely dissolved at a temperature of 175 ° C. in the raw material dissolving tank, one hour later, the solution was sent to the raw material storage tank maintained at 175 ° C. without cooling, and the raw material was stored. The same procedure was performed except that the raw material preparation timing was adjusted so that the average residence time in the tank was 16 hours.
As a result, even after 72 hours from the start of the polymerization, the color tone of the obtained polymer did not improve, so the polymerization was stopped. The average Mw of the obtained polymer during this period was 80,000, and the average YI value was 2.1. No sublimate derived from SPG was found to adhere to the top plate and the by-product distillation pipes in the third and fourth reaction tanks.
[0045]
【The invention's effect】
According to the present invention, a mixture obtained by mixing and dissolving an aromatic carbonate diester, spiro glycol and an aromatic dihydroxy compound is polymerized after holding for a predetermined time, thereby suppressing the generation of a sublimate derived from unreacted spiro glycol. It has excellent impact resistance, heat resistance, high Abbe number and low photoelastic constant, and can continuously produce an aromatic-aliphatic copolymer polycarbonate excellent in color tone for a long period of time, industrially. Is also a very effective method.