JP2004188959A - 印刷機診断方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 熟練オペレータに依存することなく、印刷機における色再現状態と印刷機の不具合断診断をおこなう。
【解決手段】 印刷物の絵柄データ、色調管理装置が計測した色計測データ、印刷機におけるインキキーや湿し水装置に設けられたセンサから送られて来るデータとをデータベースに蓄積し、このデータによって色再現状態を予測する色再現モデルや印刷機の健康診断をする指標を生成し、現在の印刷物から得た色計測データを色再現モデルに入力して得た予測色と現印刷物の色を比較して色再現状態を診断すると共に、前記データベースに蓄積された複数のデータを組み合わせて評価指標を作成し一定期間の評価指標と現在の評価指標を比較して、印刷機の健康診断をおこなうようにした。
【選択図】 図2

Description

本発明は、印刷機の運転状態を診断するための印刷機診断方法に関し、特に、印刷機における色再現状態及び印刷機各部の不具合を診断するための印刷機診断方法に関するものである。
一般的に印刷機においては、その運転状況を監視して印刷機に係る運転状況データを得ているものの、このような運転状況データを活用し、印刷機の運転状態を適切に管理することは行われていなかった。そのため、印刷物の色再現状態及び印刷機各部の不具合を診断する際には、熟練オペレータの勘を頼りに行っている部分が極めて多く、熟練オペレータが不在の際は、印刷物品質にばらつきが生じる等の不具合が生じてしまう。したがって、熟練オペレータの勘によって印刷機の運転状態を把握しなければならない結果、熟練オペレータに過度の負担を強いることにもなる。
従来の印刷工程は、まず、例えば文字原稿、図形、スキャナで取り込んだ白黒写真及びカラー写真等を集版装置で編集し、印刷物の基本となるページのデータを作成する。そして、刷版出力データ作成装置によってこれらのページを面付けし、見当合わせ用のトンボ、色調調節用のカラースケール、見当ズレ検出用マーク、ダブリ検出用マーク等を配置して刷版出力用データとする。そして、刷版作成装置で、例えば、4色刷りの場合には、墨(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色に分解してそれぞれの色の網伏せした刷版を出力する。
そして、この色別の刷版を絵柄面積率計等によって画像部の面積を読取り、画線率データ(絵柄データ)を作成して、印刷機のインキキー等をプリセットするプリセット調節部にプリセットすると共に、各版を印刷機に取り付け、試し刷りを開始する。そして印刷した印刷物(印刷サンプル)から、見当ズレ、ダブリの有無等を確認、調整しつつ、ある程度安定した印刷が行われるようになった後、この印刷物を色調計測装置(色調管理装置)で計測し、目標色調との差を検出してインキキー開度を調整し、その後本格的な印刷を進める。
さらに、一定の枚数毎に印刷サンプルによって色調の計測、見当ズレ、ダブリの有無等を確認し、色調が変化した際は、インキキー開度を再調整するととともに見当ズレ、ダブリがあった際は、それらを修正しつつ印刷が進められる。
また、前述の各種処理とは別に、印刷の受注状況、印刷版の納入状況に合わせて印刷機の生産計画が立てられ、印刷機自体の稼働状況や生産実績、故障等のデータが集積される。
しかしながら印刷工程においては、色調に最も影響のある印刷機のインキキー等のプリセットは、前述したように、印刷用の刷版を絵柄面積率計等で測定してインキキーに対応した画線率を算出すると共に、最終的な校正刷り(OKシート)を目標色調値として色調計測装置で計測し、これらの計測結果に基づいて熟練オペレータが設定していた。また、印刷機各部の不具合等も印刷物を熟練オペレータが検査し、その結果に応じて不具合箇所を推定しているのが現状であり、印刷機の構成要素が極めて多いことを考慮すると、不具合箇所を推定する際においても、熟練オペレータの勘に頼らざるを得ないのが現状である。
つまり、従来の色再現状態診断及び印刷機各部の不具合診断(以下印刷機健康診断と呼ぶ)を行う際には、熟練オペレータの勘に頼らざるを得なかったわけである。
また印刷機においては、インキローラへインキを均一に行き渡らせるための揺動ローラ、水着けローラ等の動き、ゴム胴の印圧等の微少な変化が色再現状態に微妙に影響し、また、使われているインキ、使う印刷紙などの資材条件の変更、機械間の誤差、湿度、気温、印刷を開始してからの時間等によっても色再現状態が異なることがあり、標準濃度で印刷しても、ハーフトーン部の色が合わないといった現象が生じる。
すなわち色再現状態が同じであれば、多少の色調の違いはインキキーの調整によるインキ供給量の調整などで調節できるが、色再現状態が変化すると色調のバランスが崩れ、インキ供給量を変化させた場合にある部分については所望の色調が得られるが、他の部分の色がおかしくなるといった現象が生じる。ところが従来では、色再現状態の変化を知るための指標が無かったから、印刷物の色調がおかしいとき、それが色再現状態の変化によるものなのか単なる色調の変化なのかの判断は、熟練オペレータの勘に頼るしかなかった。
一方、印刷機自体の異常を診断する手法として例えば特許文献1には、印刷条件設定用駆動装置に対して印刷条件を設定する際の開始から終了までに要する設定所要時間を検出し、その設定所要時間を所定時間範囲と比較して、所定時間範囲外の場合に異常判定出力を行うようにした印刷機診断方法及び装置が示されており、ここでは、設定所要時間が所定時間範囲外となると、印刷機になんらかの異常があるものと想定して異常判定出力を行うようにしている。
また特許文献2において本件出願人は、印刷機における色調の調節や各色の版の位置合わせなど、多くの作業を熟練オペレータの勘に頼らなくても良いようにするため、前記した色別の刷版における画像部の面積を絵柄面積率計等によって読取って画線率データ(絵柄データ)を作成し、印刷機のインキキー等をプリセットする、という作業を、プリプレス領域で作られた刷版出力用データを用いて画線率データ(絵柄データ)を得、それによって色調制御のためのインキキー開度、湿し水ローラ、揺動ローラなどのプリセット等、印刷機の調節作業を自動化すると共に、プリプレス領域で作られた刷版出力用データが有している位置座標データを用い、印刷物の色調測定、見当ズレの測定など、計測作業に必要な位置座標データを取得し、自動的に計測が行えるようにして計測結果を印刷機の色調制御機構にフィードバックし、自動化による品質の安定化、経費の節減、納期の短縮などを実現する印刷システムを提案してきた。
特開平9−52353号公報(段落(0018)〜(0021)、第2図) 特開2001−341287号公報(図1、図2、段落(0026)〜(0038))
しかしながら従来では、前述のように印刷機の運転状況データを得ているにも係わらず、色再現状態の診断や印刷機健康診断を行う際には熟練オペレータの勘に頼っており、この結果、熟練オペレータに過度の負担を掛けるばかりでなく、個々人の技量に関係なく色再現状態診断及び印刷機健康診断を適正に行う、ということができないという課題があった。
さらに、特許文献1に記載された手法では、設定所要時間が所定時間範囲外となると印刷機になんらかの異常があるものと想定して異常判定出力を行っているにすぎず、印刷機のいずれの構成要素に異常があったか否かを診断することはできないから、異常判定出力があった後、やはり熟練オペレータ等が異常箇所を勘等によって特定する必要がある。
また、特許文献2に示された印刷システムにおいても、単に上流のプリプレス領域で作られた刷版出力用データを基に、色調制御のためのインキキー開度、湿し水ローラ、揺動ローラなどのプリセット等、印刷機開始前の調節作業を自動化すると共に、印刷物の色調測定、見当ズレの測定などの計測作業における位置座標データをこの刷版出力用データによって得ているだけであり、色再現状態診断及び印刷機健康診断を適正に行うことに関しては触れていない。
そのため本発明の目的は、印刷機の各種運転状況データに基づいて印刷機の診断を行うことのできる印刷機診断方法を提供することにあり、特に、色再現状態診断及び印刷機健康診断を行うことのできる印刷機診断方法を提供することにある。
本発明によれば、印刷機で作成された印刷物の色調を色調管理装置で計測し、得られた色計測データにより色調制御するコンピュータを有して印刷を行う印刷機における色再現状態を診断するための印刷機診断方法において、
前記コンピュータにより、前記色調管理装置から受けた印刷物の色計測データをデータベースに蓄積する第1のステップと、該第1のステップで所定期間蓄積された色計測データによって前記色再現状態を予測する色再現モデルを生成する第2のステップと、該第2のステップで得られた色再現モデルに現時点の印刷物の色計測データを入力して予測色を得る第3のステップと、該第3のステップで得られた予測色と現時点における印刷物の色との色差を算出する第4のステップとをおこない、該第4のステップで算出した色差が所定の範囲又はレベル値を超えたことを検出したとき、前記印刷機における前記所定期間の色再現状態とは異なった色再現状態であるとして警告することを特徴とする印刷機診断方法が得られる。
そして前記色計測データは、インキ濃度、ドットゲイン、トラッピング、及びグレーパッチの色座標値であり、前記色再現モデルは、前記データベースに蓄積された前記色計測データにおけるインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングとグレーパッチの色座標値との関係を規定したモデルである。
また前記色再現モデルは、前記データベースに蓄積されたインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングと、グレーパッチの色座標との関係を規定する係数を重回帰分析によって求めた方程式であり、また、前記色再現モデルは、前記データベースに蓄積されたインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングとを入力し、グレーパッチの色座標を出力とするニューラルネットワークであってもよい。
さらに本発明によれば、上流側から送られて来る印刷物の絵柄データと、色調管理装置が計測した色計測データと、印刷機におけるインキキーや湿し水装置に設けられたセンサから送られて来るデータとを機械状況データとして受け取り、前記印刷機におけるインキキーを制御して色調制御するコンピュータを有する印刷機における印刷機診断方法において、
前記コンピュータは、前記機械状況データにおける複数のデータを組み合わせて評価指標を作成してデータベースに蓄積し、該蓄積された過去の評価指標と現機械状況データとにより作成した評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、用いた機械状況データに応じた部位に不具合が生じたとしてアラームを発することを特徴とする印刷機診断方法が得られる。
そして、前記機械状況データが前記絵柄データから算出した絵柄面積率と前記インキキーに設けたセンサからのインキキー開度データであり、前記コンピュータは、前記絵柄面積率とインキキー開度との比を評価指標として過去の評価指標と現機械状況データにより作成した評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、インキキー装置に不具合が生じたとしてアラームを発するか、または、前記機械状況データが前記絵柄データから算出した絵柄面積率と印刷物の色計測データにおけるベタ濃度、及びインキキー開度データとインキ元ローラ回転数並びに湿し水装置の水元ローラ回転数であり、前記コンピュータは、前記絵柄面積率にベタ濃度を乗じた値と、前記インキキー開度にインキ元ローラ回転数を乗じて前記水元ローラ回転数で除した値との比を評価指標として過去の機械状況データによる評価指標と現機械状況データによる評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、インキキー装置に不具合が生じたとしてアラームを発するようにすることにより、インキキーの不具合を容易に診断することができるようにした。
また、前記機械状況データが印刷物における平均濃度データと前記印刷機における水元ローラ回転数であり、前記コンピュータは、前記平均濃度データと水元ローラ回転数との比を評価指標として過去の機械状況データにより作成した評価指標と現機械状況データにより作成した評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、前記湿し水装置に不具合が生じたとしてアラームを発することにより、湿し水装置の不具合を容易に診断することができるようにした。
このように、データベースに印刷機で印刷された印刷物の色調を計測して得られた色計測データを蓄積し、蓄積された色計測データに応じて色再現状態を予測する色再現モデルを生成すると共に現時点における印刷物の色計測データを入力して予測色を作成し、この予測色と現時点における印刷物の色とを比較して前記印刷物における色再現状態を診断することにより、熟練オペレータに依存しなくても色再現状態の変化の診断を容易に行うことができる。
そして、データベースに蓄積された色計測データとしてインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングを用い、これらインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングとグレーパッチとの関係を規定する色再現モデルを生成するようにすれば、容易に色再現モデルを生成できることになる。
また、色再現モデルとして、インキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングと、グレーパッチの色座標との関係を規定する係数を重回帰分析によって求めた方程式、またはこれらのデータを用いたニューラルネットワークとすることにより、精度よく色再現状態の診断評価を行うことができる。なお、入力と出力の関係を、線形モデル式や非線形のファジィモデル等、どのような形式で記述しても構わない。
さらに本発明によれば、データベースに印刷機における機械状況データにおける複数のデータを組み合わせて作成した評価指標を蓄積し、蓄積された過去の評価指標と現機械状況データにより作成した評価指標とを比較して、その差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、用いた機械状況データに応じた部位に不具合が生じたとしてアラームを発することにより、熟練オペレータに依存しなくても、印刷機健康診断を容易に行うことができることになる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。但し、この実施の形態に記載されている構成部品の寸法、材質、形状、その相対配置などは、特に特定的な記載がない限りはこの発明の範囲をそれのみに限定する趣旨ではなく、単なる説明例に過ぎない。
図1は本発明による印刷機診断方法を実施する印刷システムの一例を示すブロック図、図2は図1に示す印刷システムで行われる色再現状態診断を説明するためのフローチャート、図3は重回帰式による色再現状態の評価のブロック図、図4は線形色再現モデルを用いた際の色差推移の一例を示すグラフ、図5はドットゲインを用いた際の色再現状態診断を説明するためのグラフ、図6はオフセット印刷機における一般的なインキ供給装置と水元ローラの構成を説明するための模式図、図7は図1に示す印刷システムで行われる印刷機健康診断をインキキー開度によりおこなう場合のフローチャート、図8は、印刷機健康診断をインキキー開度によりおこなう場合の指標をインキキー毎の絵柄面積率Sをインキキー開度Kで除した値とし、各キー毎の一定期間における相対度数分布を求めたグラフ、図9は図1に示す印刷システムで行われる印刷機健康診断を水元ローラ回転数によりおこなう場合のフローチャート、図10は、印刷機健康診断を水元ローラでおこなう場合の指標を印刷ユニット毎の平均濃度DAVEを水元回転数Wで除した値とし、一定期間におけるこの指標をプロットしたグラフである。
図1において11は、印刷工程上流側に配置されたコンピュータ(上流側コンピュータ)12から絵柄データを受けると共に、印刷機13のインキキーや湿し水装置などに備えられてインキキー開度やインキ元ローラの回転数、及び水元ローラ回転数等を検出する各種センサ(図示せず)から印刷機械の状態を示す機械状況データを受け、絵柄データに応じ、印刷機13に対してインキキー等のプリセット及び色調制御を行うコンピュータ(以下単にIPCと呼ぶ)、14は印刷機13で印刷された印刷サンプルの色調を計測し、色計測データを得る色調管理装置、15はIPC11が受けた絵柄データ、機械状況データ、及び色計測データ等の各種運転状況データを記憶するデータベース、21は例えばインターネットなどの通信回線、22は複数の印刷機におけるIPC11が通信回線21を介して接続され、各印刷機13に対応したIPC11で収集されて通信回線21を介して送られてきた、各種運転状況データをデータベース23に格納する診断センターである。
本発明における印刷システムでは、前記したように例えば文字原稿、図形、スキャナで取り込んだ白黒写真及びカラー写真等を集版装置で編集して印刷物の基本となるページのデータを作成し、刷版出力データ作成装置によってこれらのページを面付けして、見当合わせ用のトンボ、色調調節用のカラースケール、見当ズレ検出用マーク、ダブリ検出用マーク等を配置し、刷版出力用データとする。そして、刷版作成装置で、例えば、4色刷りの場合には、墨(K)、シアン(C)、マゼンタ(M)、イエロー(Y)の4色に分解してそれぞれの色の網伏せして絵柄データとし、刷版を出力する。
図1における上流側コンピュータ12は、この刷版出力データ作成装置、または刷版作成装置に相当し、IPC11は、この印刷工程上流側に配置された上流側コンピュータ12から絵柄データを、印刷機13に備えられた各種センサ(図示せず)から印刷機械の状態を示す機械状況データを、印刷機13から得られた印刷サンプルの色調を計測する色調管理装置14から色調計測データを受け、これらのデータをデータベース15に格納すると共に、絵柄データに応じて印刷機13に対してインキキー等のプリセット、及び色調制御を行い、さらに、これら絵柄データ、機械状況データ、及び色計測データ等の各種運転状況データにより、色再現状態診断及び印刷機健康診断を行う。
まず、図2に示したフローチャートに従い、色再現状態の診断について説明する。最初のステップS1でIPC11は、前記したように印刷工程上流側に配置された上流側コンピュータ12から絵柄データを、印刷機13に備えられた各種センサ(図示せず)から印刷機械の状態を示す機械状況データを、印刷機13から得られた印刷サンプルの色調を計測する色調管理装置14から色調計測データを受け、1ジョブ毎に日付を付加してデータベース15に蓄積する。すなわち、データベース15には印刷機13で印刷を行う毎に色計測データが蓄積されていくことなる。
そして次のステップS2でIPC11は、このデータベース15に蓄積された印刷機13が過去に印刷した印刷物の、例えばドットゲイン(DG)、トラッピング(TR)、及び濃度(D)(これらを以下色再現3要素と呼ぶ)とグレーパッチの色座標値(L、a、b)などの色計測データを基に、グレーパッチと色再現3要素との関係を規定する線形関係で規定された方程式、又は色再現ニューラルネットワーク(以下色再現NNと呼ぶ)等の非線形モデルを構築し、色再現モデルを生成(更新)する。
すなわち、3色重ねのグレーが正しく印刷されているかどうかはオペレータが色合わせをおこなう際の重要チェック項目の一つであり、このグレーが正しく出ていれば印刷は適正に行われる。また、例えば濃度をD、D、Dで、ドットゲインをDG、DG、DGで、トラッピングをTR、TR、TRで表したとき、これら濃度、ドットゲイン、及びトラッピングとグレーパッチの色座標値(L、a、b)との関係に着目すると、グレーパッチの色座標値(L、a、b)が色再現3要素で規定されていることがわかっている。
そのため、ステップS2におけるIPC11による色再現モデルの生成が色再現NNの構築である場合は、IPC11が予め規定された期間Tにおける色計測データを用い、これら濃度、ドットゲイン、及びトラッピングと、グレーパッチの色座標値(L、a、b)との関係を規定する色再現NNを求めることになる。
そしてこの色再現NNを用いて色再現状態を評価する場合は、つぎのステップS3で、こうして求めた色再現NNに今印刷した印刷物の色計測データにおける濃度、ドットゲイン、及びトラッピングを入力してグレーパッチの予測色(L’、a’、b’)を求め、さらに次のステップS4において下記式(1)で、このグレーパッチの予測色(L’、a’、b’)と、今印刷した印刷物の色計測データに含まれるグレーパッチの色座標値(L、a、b)との色差ΔEを求め、このΔEを評価指標として、現時点までにおける所定期間Tにおける色再現状態と現時点における色再現状態とを評価するものである。
ΔE=|(L’、a’、b’)−(L、a、b)| …… (1)
すなわちこの色差ΔEは、前述の予め規定された期間Tにおける色再現状態と現時点における色再現状態とが、所定の変化率以内に留まって大きく変化していなければ小さくなる。
一方、現時点における色再現状態が予め規定された期間Tにおける色再現状態から大きく変化している場合、色差ΔEも大きくなる。そのためIPC11は、次のステップS5で、色差ΔEが予め定められた閾値Tthを越えているかどうか(ΔE>Tth)を判断し、超えていない(色再現状態が変化していない)場合はステップS1に戻り、色再現状態が変化して閾値Tthを超えていると診断した場合はステップS6に進み、ステップS7でオペレータにその旨を報知(アラーム)する。
すなわち、色再現状態が閾値Tthを超えて変化している場合、前記したように色調のバランスが崩れ、インキ供給量を変化させても、ある部分については所望の色調が得られるが他の部分の色調がおかしくなる、といった現象が生じる可能性が高くなるから、これをオペレータに知らせ、ステップS8で印刷を続けるかどうか判断し、続ける場合はステップS1に戻り、中止する場合はステップS9に行って終了する。なお、このアラームに従ってオペレータによる色調の調整がおこなわれ、印刷を続けるためにステップS1に戻った場合は以上説明した事が繰り返され、所定の周期でIPC11による前述の色再現NNの更新がおこなわれてゆく。
なおアラームが出た場合、オペレータはその原因を探り不具合箇所を修正し、色再現状態を適正に保つわけであるが、前述のように色再現状態に影響を与える因子は多岐にわたりその原因推定のためには様々な情報が必要である。そこで、濃度、ドットゲイン、トラッピング及びグレーパッチの色座標(L、a、b)のこれまでの動きを各要素ごとにトレンドグラフ化してオペレータに提示すれば、その原因推定のために有力な情報を提供することが出来る。すなわちドットゲインは過去の良かった状態から変化してきているのかどうなのか?、トラッピングは変わっていないか?、グレーパッチの色はどちらに変化してきているのか?というような問いに対する答えを、これらのトレンドグラフは提供することができる。ドットゲインのトレンドグラフの一例を図5に示す。また、この時、スラーなどの色調管理装置による計測値をトレンドグラフ化することによって更に有力な情報を提供することが可能となる。
以上がIPC11により過去の色計測データに応じて色再現NNを構築し、この色再現NNに応じて現時点の濃度、ドットゲイン、及びトラッピングからグレーパッチを予測して現時点におけるグレーパッチとの色差ΔEを求め、この色差ΔEに応じて印刷機の色再現状態を診断する場合であるが、次に前述のモデルとして線形方程式における係数を求め、この線形色再現モデルに応じて、グレーパッチを予測する場合について説明する。
前記したように図2に示した最初のステップS1でIPC11は、上流側コンピュータ12から絵柄データを、印刷機13から機械状況データを、色調管理装置14から色調計測データを受けて1ジョブ毎に日付を付加してデータベース15に蓄積している。そのため図3に示したように、いま、あるジョブ(job)30に注目すると、このジョブ内では色再現状態をチェックするために複数回の計測がおこなわれる。そのため、例えば31で示したC、M、Y各色の濃度をD、D、Dで、ドットゲインをDG、DG、DGで、トラッピングをTR、TR、TRで表し、32で示したグレーパッチのL、a、bを、33で示した下記重回帰式(2)、(3)、(4)であらわす。
L=f(D、DG、TR) …… (2)
a=f(D、DG、TR) …… (3)
b=f(D、DG、TR) …… (4)
さらに、例えばk〜k10、j〜j10、h〜h10を係数とすると、このグレーパッチのL、a、bの重回帰式(2)、(3)、(4)は、次の(5)、(6)、(7)式で表される。
L=k+k+k+kDG+kDG+kDG
TR+kTR+kTR+k10 …… (5)
a=j+j+j+jDG+jDG+jDG
TR+jTR+jTR+j10 …… (6)
b=h+h+h+hDG+hDG+hDG
TR+hTR+hTR+h10 …… (7)
そのためIPC11は、予め規定された期間Tの色計測データを用い、例えば重回帰分析41によってこの式(5)、(6)、(7)における係数k〜k10、j〜j10、h〜h10を決定し、図2におけるステップS2に示した線形色再現モデルを得る。そして、今印刷した印刷物、例えば図3における34で示した評価するジョブ(job)の色計測データにおける、35で示したC、M、Y各色の濃度、ドットゲイン、及びトラッピングを36でこの(5)、(6)、(7)式に入力し、図2におけるステップS3として示した図3における37のグレーパッチの予測色(L’、a’、b’)38を求める。また、この予測色(L’、a’、b’)38と、今印刷した印刷物の色計測データに含まれるグレーパッチの色(L、a、b)との色差ΔEを、図2におけるステップS4で(1)式により求め、このΔEによって現時点までにおける色再現状態と現時点における色再現状態とを図3の40として評価するものである。
例えば、図4に示すジョブ(Job)の日付(020903−2:2003年9月3日)における色計測データ(この色計測データは予め規定された期間Tにおける色計測データである)に応じ、前述の線形色再現モデルの係数k〜k10、j〜j10、h〜h10を求め、この線形色再現モデルに応じてグレーパッチを予測し(予測グレーパッチ)、ジョブ(Job)の日付(020903−2)における実際のグレーパッチとの色差ΔE(平均)を求めてプロットしたところ、図4に示す結果が得られた。これによると、9月4日から10月18日までの推定色差は、9月12日から大きく上昇し始め、10月18日には4.5に達している。
そのため、例えば、前記した図2におけるステップS5の指標の閾値Tthを5とし、このステップS5で色差ΔEがこの閾値Tthを越えているかどうかを判断し、超えていない(色再現状態が変化していない)場合はステップS1に戻り、色再現状態が変化して超えていると診断した場合はステップS6に進み、ステップS7でオペレータにその旨を報知(アラーム)する。
このように色再現状態が閾値Tthを超えて変化している場合、前記したように色調のバランスが崩れ、インキ供給量を変化させても、ある部分については所望の色調が得られるが他の部分の色調がおかしくなる、といった現象が生じる可能性が高くなるから、これをオペレータに知らせ、ステップS8で印刷を続けるかどうか判断し、続ける場合はステップS1に戻り、中止する場合はステップS9に行って終了する。なお、このアラームに従ってオペレータによる色調の調整がおこなわれ、印刷を続けるためにステップS1に戻った場合は、以上説明した事が繰り返され、所定の周期でIPC11は、所定の周期で図2におけるステップS2で前述の線形色再現モデル、つまり、係数k〜k10、j〜j10、h〜h10を更新していくことになる。
このようにして印刷機13で印刷された印刷物の色調を計測して得られた色計測データをデータベース15に蓄積し、蓄積された前記色計測データに応じて色再現状態を予測する色再現モデルを生成すると共に、該色再現モデルに応じて得られる予測色再現状態と現時点における印刷物の色再現状態とを比較し、印刷物における色再現状態を診断することにより、色再現状態の診断を精度良くおこなうことができる。
なおこの色再現状態の診断では、以上述べてきたグレーパッチと色再現3要素との関係を規定する線形関係で規定された方程式、又は色再現NN等の非線形モデルだけでなく、図5に示すように、予め規定された期間Tにおけるドットゲインの平均値DGAVEを求め、現在のドットゲインDGとの偏差ΔDGを次の(8)式で求めて、このΔDGが予め設定された偏差σ未満であれば色再現状態が正常であると判定するようにしてもよい。
ΔDG=|DGAVE−DG| …… (8)
このとき、ドットゲインに基準値が存在すれば基準値を用いるようにしてもよいが、印刷機13は日々その状態が変化することを考慮すると平均値を用いて診断評価を行うことが望ましく、また、トラッピングについても、ドットゲインと同様に評価して色再現状態を診断するようにしてもよい。また、濃度とトラッピングとの間には相関関係があるからその相関関係を求め、ドットゲイン及びトラッピングの適正範囲を明らかにして前記の色差ΔEに加え、ドットゲイン又はトラッピングの変動を考慮して、色再現状態を評価診断するようにしてもよい。
次に印刷機健康診断であるが、以下、一例として、インキキーの健全度と、水元ローラの健全度を評価指標として用いた場合について説明する。
その前に、図6の模式図を用い、オフセット印刷機おける一般的なインキ供給装置と水元ローラの構成を説明する。印刷インキ50は、インキ元ローラ51の外周面と左右の側壁52、52(図6中では片側のみ図示)と底板部を形成するインキキー(インキ量調整部材)53とから構成されているインキ壷54に溜められ、ブレード状の部材であるインキキー53は、インキ元ローラ51の軸方向に沿って複数枚並設されている。そして、各インキキー53は後端の支点軸55を中心としてそれぞれが揺動駆動装置56を介して独立して揺動昇降できるようになっている。
従って、インキキー53の下端とインキ元ローラ51の外周面との隙間S(インキキー開度)を印刷面の画線率に対応させ、各インキキー53毎に微調整すれば、インキ元ローラ51から呼び出しローラ57、受け渡しローラ58、インキローラ群59を介して転移させ、インキ着けローラ60から版胴61へ巻着した刷版62へ転移供給されるインキ被膜の厚さを、インキ元ローラ51の軸方向において画線率に応じて適宜に変更設定することができる。そして刷版62の絵柄に付着したインキは、その後、ブランケット胴14へ転写され、さらに、ブランケット胴63へ接触して圧胴64との間を同期走行するシート65面上へ転写され、所定色の印刷がおこなわれる。
一方水元ローラ66を有する湿し水装置67は、水壺68に溜められた水に浸って回転する水元ローラ66から、呼び出しローラ69を介して刷版62の非画線部にインキが付着しないよう薄い均一な水膜を形成させるための装置であり、その水元ローラ66の回転数は、オフセット印刷の印刷品質と生産性に大きな影響を与える。すなわち湿し水装置67から上がる水量が減ると、汚れが出たりしてうまく印刷できなくなる。また、前記したインキキー53は、こじれ、零点のズレなどによってインキ供給量が変化すると、色調が変化するという不具合が発生する場合がある。
最初に図7のフローチャートに基づき、インキキー開度の健全度評価について説明すると、IPC11には、前記図1で説明したように上流側コンピュータ12から絵柄データが、印刷機13から機械状況データが与えられ、図7におけるステップP1に記したようにこれらのデータがデータベース15に蓄積される。そしてステップP2においてIPC11は、nをインキキー53の数、mを1〜nとしたとき、まずこの蓄積された各絵柄データにおけるインキキー毎の絵柄面積率Sを求める。
そして次のステップP3で印刷が終了したか否かを判断し、終了していない場合はステップP1に戻り、終了した場合はステップP4に行く。すなわちIPC11には、機械状況データとしてインキキー開度を表すインキキー開度データが与えられているから、このステップP4でIPC11は印刷の終了時におけるインキキー開度Kを求め、このインキキー開度Kと、先に求めたインキキー毎の絵柄面積率Sを用い、次のステップP5で、S/K(除算値)を求めてそれをインキキー健全度の指標とし、その指標が一定のレベル値を超えているかどうか判断する。
図8は、この指標S/K(除算値)を各キー毎、例えば1週間などの一定期間毎に相対度数分布を求めたグラフである。横軸はキー番号、縦軸は%であらわした相対度数であり、白は指標が5以上を、濃い網は指標が2から5の間であることを、薄い網は指標が2以下であることをそれぞれ示している。そして例えば印刷機が良好な状態で稼動している場合、この指標S/K(除算値)はほぼ2以下で一定であり、大きく変化はしない。従ってIPC11は、この図8において指標が5以上の白が例えば5%以上ある場合、ステップP6において印刷機(インキキー)に異常があるとし、オペレータに異常発生を報知する。
このように、指標S/K(除算値)が例えば5を超えている場合、前記したようにインキキー53は、こじれ、零点のズレなどによってインキ供給量が変化し、色調が変化するという不具合が発生する場合がある。そのため、ステップP7で印刷を続けるかどうか判断し、続ける場合はステップP1に戻り、中止する場合はステップP8に行って終了する。なお、このアラームに従ってオペレータによるインキキー53の調整がおこなわれ、印刷を続けるためにステップP1に戻った場合は、以上説明した事が繰り返されてゆく。
なお、以上の説明では、インキキーの健全度評価指標としてインキキー開度Kとインキキー毎の絵柄面積率SによるS/K(除算値)を用いたが、さらにインキキー毎のベタ濃度D、図6に示したインキ元ローラ51の回転数IN、同じく水元ローラ66の回転数Wなどを用い、印刷の結果とそれに及ぼす影響因子を加えた下記(9)式で導かれるトータルな指標による評価を行っても良い。すなわち、インキキーが正常であればこれらの値はほぼ一定の範囲に収まるはずであり、この(9)式の値も前記図8に示したのと同様な相対度数部分布を示した。したがって、これらの値の変動範囲に着目すれば、インキキーの健全度の評価を的確におこなうことができる。
(S×D)/(K×IN/W) …… (9)
次に水元ローラの健全度診断を図9のフローチャートに基づいて説明すると、IPC11には、前記図1で説明したように印刷機13から機械状況データが、また色調管理装置14から色計測データが与えられ、図9におけるステップP11に記したようにこれらのデータがデータベース15に蓄積される。そして次のステップP12においてIPC11は、印刷終了時直前の機械状況データから各色の印刷ユニット毎に水元ローラ66の回転数Wを、さらに次のステップP13において印刷終了時直近の色計測データから各色の印刷ユニット毎の平均濃度DAVEを求める。そして、この平均濃度DAVEと水元ローラ回転数Wとを用い、ステップP14でDAVE/W(除算値)を求めて水元ローラ健全度の指標とし、その指標が一定のレベル値を超えているかどうか判断する。
図10は、この指標DAVE/W(除算値)の例えば2ヶ月などの一定期間における推移状況を示したグラフである。横軸は日付を、縦軸は指標数値をあらわしており、例えば、印刷機13の状態が良好であるとこの指標DAVE/Wは8月12日から11月19日までのところに示したように、指標数値2から4の間でほぼ一定であり、大きく変化しない。従ってIPC11は、ステップP14においてこの指標が所定のレベル値を越えたか否かを判定し、例えば11月20日から12月10日の間の80で示したように、数値が4を超えて異常に上昇し、所定の範囲(又はレベル値)を越えると印刷機13に異常があるとし、ステップP15でオペレータに異常発生を報知する。
このように、指標DAVE/W(除算値)が例えば図10に示した2乃至4の範囲を外れている場合、前記したように湿し水装置67から上がる水量が減って、汚れが出たりうまく印刷できなくなるといった事故が生じる。そのため、ステップP16で印刷を続けるかどうか判断し、続ける場合はステップP1に戻り、中止する場合はステップP17に行って終了する。なお、このアラームに従ってオペレータによる湿し水装置67の調整がおこなわれ、印刷を続けるためにステップP11に戻った場合は、以上説明した事が繰り返されてゆく。なお、ステップP14における異常診断のための所定範囲(又はレベル値)は、印刷機械13毎に異なることが予想され、以上説明した値だけには限られない。
また、以上の説明では、水元ローラ66の回転数の健全度指標として平均濃度DAVEと水元ローラ回転数Wとを用いたが、これ以外にも印刷ユニット毎の平均絵柄面積率SAVEや平均濃度DAVE用い、例えば下記(10)、(11)、(12)式なども考えられる。しかしながら、平均絵柄面積率SAVEや平均濃度DAVEは水元ローラ66の回転数とはあまり大きな相関がなく、平均絵柄面積率SAVEが入ると、非常に大きなピークが現れて健全度指標としてはあまり好ましい結果は得られなかった。従って、水元ローラ健全度の指標としては、平均濃度DAVEと水元ローラ回転数Wとを用いたDAVE/W(除算値)を用いることが好ましい。
AVE/W …… (10)
/SAVE …… (11)
AVE/(W/SAVE) …… (12)
このようにして、絵柄面積率データとインキキー開度データ、及び水元ローラ回転数と平均濃度とに基づいてインキキー、または水元ローラに関連する印刷機の構成要素に不具合があるか否かを診断してオペレータに報知することにより、オペレータは勘に頼らず、印刷機のいすれの構成要素に不具合が発生したかを推定することが容易となる。
なお、以上説明してきた例では、機械状況データとしてインキキー開度データ及び水元ローラ回転数を用いて印刷機健康診断を行う場合について説明したが、他の機械状況データに応じて他の構成要素の健康診断(印刷機健康診断)を行うようにしてもよい。
このようにして、印刷機における過去の運転実績データを機械状況データとしてデータベースに蓄積し、現時点における印刷機の運転状況を示す現機械状況データとデータベースに蓄積された機械状況データとを比較して、この比較結果に応じて印刷機の不具合箇所を推定診断するようにしたから、オペレータは勘に頼らず、印刷機のいずれの構成要素に不具合が発生したかを容易に推定することが可能な印刷機診断方法を提供することができる。
また、以上の説明では、本発明を単独の印刷機に適用した場合を説明してきたが、図1に破線で示したように、IPC11を通信回線(例えば、インターネット)21を介して診断センター22に接続し、さらにこの診断センター22に、複数の印刷機におけるIPC11を通信回線21によって接続してもよい。
この場合診断センター22は、印刷機13毎に固有の識別符号(ID)を割り当て、通信回線21を介して診断センター22に送られる各IPC11で収集された絵柄データ、機械状況データ、及び色計測データ等の各種運転状況データは、印刷機13毎に付与されたIDに基づいてデータベース23に格納される。
このようにすることにより診断センター22で、各印刷機毎に前述のようにしてIPC11で行われる色再現状態診断及び印刷機健康診断を行うようにしてもよく、さらには、運転状況データに応じて印刷機毎に、その印刷機に特有の不具合であるか、気象状況や周囲状況等の外部的要因(例えば、温度、湿度等)による不具合であるかを診断し、その旨、各IPCに通知するようにしてもよい。
本発明によれば、データベースに印刷機で印刷された印刷物の色調を計測して得られた色計測データを蓄積し、蓄積された色計測データに応じて色再現状態を予測する色再現モデルを生成すると共に現時点における印刷物の色計測データを入力して予測色を作成し、この予測色と現時点における印刷物の色とを比較して前記印刷物における色再現状態を診断することにより、熟練オペレータに依存しなくても色再現状態の変化の診断を容易に行うことができる。
本発明による印刷機診断方法を実施する印刷システムの一例を示すブロック図である。 図1に示す印刷システムで行われる色再現状態診断を説明するためのフローチャートである。 重回帰式による色再現状態の評価のブロック図である。 線形色再現モデルを用いた際の色差推移の一例を示すグラフである。 ドットゲインを用いた際の色再現状態診断を説明するためのグラフである。 オフセット印刷機おける一般的なインキ供給装置と水元ローラの構成を説明するための模式図である。 図1に示す印刷システムで行われる印刷機健康診断をインキキー開度によりおこなう場合のフローチャートである。 印刷機健康診断をインキキー開度によりおこなう場合の指標をインキキー毎の絵柄面積率Sをインキキー開度Kで除した値とし、各キー毎の一定期間における相対度数分布を求めたグラフである。 図1に示す印刷システムで行われる印刷機健康診断を水元ローラ回転数によりおこなう場合のフローチャートである。 印刷機健康診断を水元ローラでおこなう場合の指標を印刷ユニット毎の平均濃度DAVEを水元回転数Wで除した値とし、一定期間におけるこの指標をプロットしたグラフである。
符号の説明
11 コンピュータ(IPC)
12 上流側コンピュータ
13 印刷機
14 色調管理装置
15 データベース

Claims (8)

  1. 印刷機で作成された印刷物の色調を色調管理装置で計測し、得られた色計測データにより色調制御するコンピュータを有して印刷を行う印刷機における色再現状態を診断するための印刷機診断方法において、
    前記コンピュータにより、前記色調管理装置から受けた印刷物の色計測データをデータベースに蓄積する第1のステップと、該第1のステップで所定期間蓄積された色計測データによって前記色再現状態を予測する色再現モデルを生成する第2のステップと、該第2のステップで得られた色再現モデルに現時点の印刷物の色計測データを入力して予測色を得る第3のステップと、該第3のステップで得られた予測色と現時点における印刷物の色との色差を算出する第4のステップとをおこない、該第4のステップで算出した色差が所定の範囲又はレベル値を超えたことを検出したとき、前記印刷機における前記所定期間の色再現状態とは異なった色再現状態であるとして警告することを特徴とする印刷機診断方法。
  2. 前記色計測データは、インキ濃度、ドットゲイン、トラッピング、及びグレーパッチの色座標値であり、前記色再現モデルは、前記データベースに蓄積された前記色計測データにおけるインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングとグレーパッチの色座標値との関係を規定することを特徴とする請求項1に記載した印刷機診断方法。
  3. 前記色再現モデルは、前記データベースに蓄積されたインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングと、グレーパッチの色座標との関係を規定する係数を重回帰分析によって求めた方程式であることを特徴とする請求項1に記載した印刷機診断方法。
  4. 前記色再現モデルは、前記データベースに蓄積されたインキ濃度、ドットゲイン、及びトラッピングとを入力し、グレーパッチの色座標を出力とするニューラルネットワークであることを特徴とする請求項1に記載した印刷機診断方法。
  5. 上流側から送られて来る印刷物の絵柄データと、色調管理装置が計測した色計測データと、印刷機におけるインキキーや湿し水装置に設けられたセンサから送られて来るデータとを機械状況データとして受け取り、前記印刷機におけるインキキーを制御して色調制御するコンピュータを有する印刷機における印刷機診断方法において、
    前記コンピュータは、前記機械状況データにおける複数のデータを組み合わせて評価指標を作成してデータベースに蓄積し、該蓄積された過去の評価指標と現機械状況データとにより作成した評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、用いた機械状況データに応じた部位に不具合が生じたとしてアラームを発することを特徴とする印刷機診断方法。
  6. 前記機械状況データが前記絵柄データから算出した絵柄面積率と前記インキキーに設けたセンサからのインキキー開度データであり、前記コンピュータは、前記絵柄面積率とインキキー開度との比を評価指標として過去の評価指標と現機械状況データにより作成した評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、インキキー装置に不具合が生じたとしてアラームを発することを特徴とする請求項5に記載した印刷機診断方法。
  7. 前記機械状況データが前記絵柄データから算出した絵柄面積率と印刷物の色計測データにおけるベタ濃度、及びインキキー開度データとインキ元ローラ回転数並びに湿し水装置の水元ローラ回転数であり、前記コンピュータは、前記絵柄面積率にベタ濃度を乗じた値と、前記インキキー開度にインキ元ローラ回転数を乗じて前記水元ローラ回転数で除した値との比を評価指標として過去の機械状況データによる評価指標と現機械状況データによる評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、インキキー装置に不具合が生じたとしてアラームを発することを特徴とする請求項5に記載した印刷機診断方法。
  8. 前記機械状況データが印刷物における平均濃度データと前記印刷機における水元ローラ回転数であり、前記コンピュータは、前記平均濃度データと水元ローラ回転数との比を評価指標として過去の機械状況データにより作成した評価指標と現機械状況データにより作成した評価指標とを比較し、該評価指標の差が所定の範囲又はレベル値を超えたとき、前記湿し水装置に不具合が生じたとしてアラームを発することを特徴とする請求項5に記載した印刷機診断方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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