JP2004187603A - ターゲット核酸の定量方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】PCR反応においてターゲット核酸を定量する方法を提供すること。
【解決手段】ターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、ターゲット核酸を増幅するための一対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ連鎖反応によりターゲット核酸を定量する方法において、前記増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーの存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行う前記方法。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリメラーゼ連鎖反応による試料中のターゲット核酸を定量するための方法に関する。
【0002】
【従来技術】
核酸の定量分析は、生物学及び医学の分野でますます重要な役割を果たすようになってきている。例えば、癌組織における癌遺伝子等では、特定の遺伝子量を求めるために遺伝子定量分析がなされている。
【0003】
また、HCV−RNAやHIV−RNAを定量することにより、診断や治療効果の予測や判定に利用されている。
【0004】
特に、HCV RNA定量検査は治療面に応用されている。C型慢性活動性肝炎に対する患者の数多くがIFN治療を受けているが、このIFN治療効果を決定する要因がHCVの量的な差と言われている(加藤直也他、肝臓1991;32;750-751)。そのため、IFN治療中にウイルス量をモニターすることでIFN治療効果を直接的に知ることができ、それぞれの患者の病態に応じた、効率的なIFN治療が可能になる。
【0005】
さらに、ターゲット核酸を定量することは、将来的には、疾病の診断においても重要な情報を提供すると考えられる。例えば、外因性の刺激に応答する疾患の場合、外因性の刺激に対して応答するmRNAの発現量を検査することにより、より早期の診断が可能になる。
【0006】
核酸増幅法であるポリメラーゼ連鎖反応(PCR:米国特許第4683195号及び米国特許4683202号)は、微量の核酸を検出できる高感度分析法として優れている。この手法により、従来、検出の難しかった微量のmRNAや、少ない量の組織や細胞におけるmRNAの検出が可能になった。
【0007】
しかしながら、PCR法を用いた場合、増幅された生成核酸の絶対量は増幅反応開始時に存在するターゲット核酸量を正確には反映しない。
【0008】
これは、PCR反応における増幅産物量は、初めはサイクルごとに対数的な増加を示すが、増幅産物量がある限度を超えると増加が鈍くなり、最終的に増加しなくなる。それゆえ、最終的な増幅産物量は、反応開始時の量に依らず一定になる。これは、プラトー効果と呼ばれている現象であり、PCR反応においては、増幅産物の定量を行なう場合、このプラトー効果を考慮する必要がある。
【0009】
現在、広く使われている方法として、リアルタイムPCR法がある。この方法は、ターゲット核酸について希釈系列を作り、それぞれについてPCR反応を行なわせ、リアルタイムでタイムコースを取る。増幅反応がプラトー効果に達する前の指数関数的に起こる領域で一定の増幅産物量になるサイクル数(Ct値)を求め、これを縦軸に、核酸量を横軸にプロットすると、検量線が得られる。目的の未知試料についても同条件下でPCR反応を行い、Ct値を求めることにより、未知試料中の核酸量が定量できる。しかし、リアルタイム検出用の装置が高価であることが問題であり、仮に、通常の市販のサーマルサイクラーを用いて、この手法を用いる場合、一定の増幅産物量になるサイクル数を算出するために、各サイクル毎に試料を分析する必要が生じ、非常に労力がかかる方法である。
【0010】
また、広く使われている方法として、定量競合PCR法がある。この方法は、ターゲット核酸と類似配列を有するCompetitor核酸を段階的に希釈し、これらを定量したいターゲット核酸が含まれる試料中に加える。加えたCompetitor核酸の量に応じて、ターゲット核酸由来の増幅産物量と加えたCompetitor核酸由来の増幅産物量の比が決まる。従って、加えたターゲット核酸由来の増幅産物量とCompetitor核酸由来の増幅産物量が等しくなる点がターゲット核酸量となる。この方法は、比較的簡便であるが、用いるプライマー毎にCompetitorを作成する必要があるため煩雑であり、ターゲット核酸とCompetitor核酸との増幅効率が異なる場合があるという問題が生じる。また、検出系も、ピロリン酸を検出するようなPCR反応における副生成物を測定する系には適用できない。
【0011】
【非特許文献1】
加藤直也他、肝臓1991;32;750-751
【特許文献1】
米国特許第4683195号
【特許文献2】
米国特許4683202号
【0012】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、PCR反応においてターゲット核酸を定量する方法を提供することを解決すべき課題とする。特に、本発明は、通常のPCR法と異なり、最終的な増幅産物量がターゲット核酸量を反映するように設計された反応系を利用したPCR反応によりターゲット核酸を定量する方法を提供することを解決すべき課題とする。
【0013】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは上記課題を解決するために鋭意検討した結果、定量すべきターゲット核酸配列に特異的な増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーの存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行うことにより、最終的な増幅産物量がターゲット核酸量を反映されることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0014】
即ち、本発明によれば、ターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、ターゲット核酸を増幅するための一対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ連鎖反応によりターゲット核酸を定量する方法において、前記増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーの存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行う前記方法が提供される。
【0015】
好ましくは、ターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を5’末端に有する競合プライマーを使用する。より好ましくは、ターゲット核酸と相補的でない少なくとも2塩基の配列を5’末端に有する競合プライマーを使用する。
好ましくは、競合プライマーの使用量が、増幅プライマーの使用量の0.01〜1倍である。
好ましくは、競合プライマー自身がポリメラーゼ反応の起点にならないように競合プライマーの3’末端が修飾されている。
好ましくは、競合プライマーの3’末端がリン酸化されているか、競合プライマーの3’末端の塩基がダイデオキシヌクレオチドであるか、または競合プライマーの3’末端にターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を有する。
【0016】
好ましくは、ポリメラーゼ反応の特定のサイクルにおける増幅産物量を測定することにより試料におけるターゲット核酸を定量する。
好ましくは、既知量の核酸を用いて検量線を作成し、その検量線を用いて試料におけるターゲット核酸を定量する。
好ましくは、増幅産物の測定手段として電気泳動、クロマトグラフィー、又はHPLCを用いてターゲット核酸を定量する。
【0017】
好ましくは、ポリメラーゼ反応時の反応副生物を用いてターゲット核酸を定量する。
好ましくは、反応副生物がピロリン酸である。
好ましくは、乾式分析素子を用いてピロリン酸の検出を行なう。
【0018】
本発明の別の側面によれば、上記した本発明の方法で使用するための、ポリメラーゼ連鎖反応で用いる増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーが提供される。
好ましくは、競合プライマーは、ターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を5’末端に有する。より好ましくは、競合プライマーは、ターゲット核酸と相補的でない少なくとも2塩基の配列を5’末端に有する。
好ましくは、競合プライマーは、競合プライマー自身がポリメラーゼ反応の起点にならないように3’末端が修飾されており、特に好ましくは、3’末端がリン酸化されているか、3’末端の塩基がダイデオキシヌクレオチドであるか、または3’末端にターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を有する。
【0019】
【発明の実施の形態】
本発明の方法は、ターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、ターゲット核酸を増幅するための1対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ連鎖反応によりターゲット核酸を定量する方法において、前記増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーの存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行うことを特徴とするものである。
【0020】
本発明のターゲット核酸の定量方法の特に好ましい形態は、ポリメラーゼ反応時の反応副生物であるピロリン酸を用いてターゲット核酸を検出又は定量する方法であり、より好ましくはピロ燐酸の分析を比色法を用いて行う方法であり、さらに好ましくは、ピロ燐酸の検出を乾式分析素子を用いて行う方法にある。
【0021】
本発明の方法の第一の好ましい形態を以下に列記する。
(イ) ピロ燐酸の検出を、キサントシンまたはイノシン、ピロホスファターゼ、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備えることを特徴とするピロ燐酸定量用乾式分析素子を用いて行う。
(ロ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼを用いる。
【0022】
さらに、本発明の第二の好ましい形態は、ポリメラーゼ反応時の反応副生物であるピロリン酸を用いてターゲット核酸を検出又は定量する際に、ピロ燐酸の検出を、ピロ燐酸を酵素的に無機燐酸に変換した後、次いでキサントシンまたはイノシン、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ、キサンチンオキシダーゼ、ペルオキシダーゼ及び発色剤を含有する試薬層を備える無機燐定量用乾式分析素子を用いて行う態様である。
【0023】
本発明の第二の形態での、ターゲット核酸断片分析方法の好ましい形態を以下に列記する。
(イ) ピロ燐酸を変換する酵素として、ピロホスファターゼを用いる。
(ロ) ポリメラーゼが、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ、及び逆転写酵素(リバーストランスクリプターゼ)からなるグループから選択されるポリメラーゼを用いる。
【0024】
以下に本発明の実施の形態について更に詳細に説明する。
【0025】
(A)ターゲット核酸:本発明において分析の対象となるターゲット核酸とは、少なくとも一部の塩基配列が既知であるポリヌクレオチドであり、動物、微生物、細菌、植物などすべての生物から単離されるゲノミックDNA断片、および細胞中に含まれるmRNA、またはmRNAを鋳型として合成されたcDNA断片が対象となり得る。またウイルスから単離可能なRNA断片またはDNA断片も対象とすることが可能である。ターゲット核酸断片はできる限り精製され、核酸断片以外の余分な成分が取り除かれていることが望ましい。例えば、動物(例えば人間)の血液から単離したゲノミックDNA断片を対象とする場合または血液中に存在する感染細菌やウイルスの核酸(DNAまたはRNA)断片を対象とする場合、単離の過程で破壊された白血球細胞膜、赤血球中から溶出したヘモグロビン、および血液中存在するその他の一般化学物質は、十分に取り除いておく必要がある。特にヘモグロンビンは、続いておこなうポリメラーゼ伸長反応を阻害する。また血液中に一般生化学物質として存在するピロ燐酸や燐酸は、ポリメラーゼ伸長反応により生成するピロ燐酸の正確な検出の妨害要因になる。
【0026】
(B)ターゲット核酸断片と相補的なプライマー(ターゲット核酸を増幅するための増幅プライマー):本発明において使用するターゲット核酸断片と相補的なプライマーは、ターゲット核酸断片の塩基配列が既知である目的の部位に対して相補的な塩基配列を有するオリゴヌクレオチドである。このターゲット核酸断片と相補的なプライマーがターゲット核酸断片の目的の部位にハイブリダイゼーションすることで、プライマーの3’末端を起点に、ターゲット核酸を鋳型としポリメラーゼ伸長反応が進行する。即ち、本発明においてはプライマーがターゲット核酸断片の目的の部位を認識して特異的にハイブリダイゼーションするか否かがポイントとなる。本発明で使用するプライマーの好ましい塩基数は5〜60塩基である。特に好ましくは15〜40塩基である。プライマーの塩基数は少なすぎると、ターゲット核酸断片の目的の部位との特異性が低下するだけでなく、ターゲット核酸断片とのハイブリッド自体が安定に形成できない。また、プライマーの塩基数は多すぎると、プライマー間またはプライマー内で塩基間の水素結合により2本鎖を形成してしまい、やはり特異性が低下する。
【0027】
本発明の方法を用いてターゲット核酸断片の存在を検出する場合、ターゲット核酸断片の異なる部位に対して、それぞれの部位に相補的なプライマーを複数使用することも可能である。このようにターゲット核酸断片を複数の部位で認識することで、ターゲット核酸断片の存在の検出において、特異性が向上する。また、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)する場合には、その増幅法に応じて複数のプライマーを設計することも可能である。
【0028】
本発明の方法を用いてターゲット核酸断片の塩基配列を検出する場合、特に変異または多型の有無を検出する場合は、目的の変異または多型の部分を含むように、変異または多型に対応する塩基の種類でプライマーを設計する。そうすることで、ターゲット核酸断片の変異または多型の有無により、ターゲット核酸断片へのプライマーのハイブリダイゼーションの有無に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出することが可能になる。また、変異または多型に対応する部分をプライマーの3'末端付近に設定することでポリメラーゼの反応部位の認識に差異が生じ、結果的にポリメラーゼ伸長反応の差異として検出することも可能である。
【0029】
(C)増幅プライマーに相補的な配列を有する競合プライマー
本発明では、上記した増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーの存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行う。競合プライマーは、増幅プライマーの配列と完全に相補的な配列を有していてもよいし、部分的に相補的な配列を有していてもよい。部分的に相補的な配列を有する場合、本発明の効果が達成される限りその程度は特に限定されないが、例えば、50%以上の塩基配列が相補的であればよく、好ましくは60%以上の塩基配列が相補的であり、より好ましくは70%以上の塩基配列が相補的であり、さらに好ましくは80%以上の塩基配列が相補的であり、特に好ましくは90%以上の塩基配列が相補的である。また、競合プライマーの好ましい塩基数は5〜60塩基であり、特に好ましくは15〜40塩基である。
【0030】
競合プライマーは好ましくはターゲット核酸と相補的でない少なくとも2塩基の配列を5’末端に有することが好ましい。
競合プライマーの使用量が、増幅プライマーの使用量の0.01〜1倍であることが好ましい。
【0031】
また、競合プライマー自身がポリメラーゼ反応の起点にならないように競合プライマーの3’末端が修飾されていることが好ましく、特に好ましくは、(1)競合プライマーの3’末端がリン酸化されているか、(2)3’末端の塩基がダイデオキシヌクレオチドであるか、または(3)3’末端にターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を有する。上記(2)は、シークエンスに用いられるddNTPを用いるもので3’末端側をdNTPの代わりにddNTPにすることでこれ以上、ポリメラーゼ反応が起きなくなる。上記(3)は、3’末端のさらに先にターゲット核酸と相補的でない塩基を付加することにより、ターゲット核酸と一致しないようにするものである。
【0032】
(D) ポリメラーゼ
本発明において使用するポリメラーゼは、ターゲット核酸がDNAの場合は、ターゲット核酸断片の一本鎖に変性された部分にプライマーがハイブリダイゼーションすることで形成された2本鎖の部分を起点として、5’→3’の方向に、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料として、ターゲット核酸断片を鋳型にして相補的な伸長反応を触媒するDNAポリメラーゼである。具体的に使用されるDNAポリメラーゼとしては、DNAポリメラーゼI、DNAポリメラーゼIのクレノー断片、Bst DNAポリメラーゼ等がある。DNAポリメラーゼは目的に応じて選択または組み合わせることが可能である。例えば、ターゲット核酸断片の一部を増幅(例えばPCR法)する場合には、耐熱性に優れたTaq DNAポリメラーゼを用いることが有効である。また、「BIO INDUSTRY,Vol.18,No.2,2001」に記載されている増幅法(LAMP法:Loop−mediated Isothermal Amplification of DNA)を用いてターゲット核酸断片の一部を増幅する場合には、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のDNAポリメラーゼとして、Bst DNAポリメラーゼを使用することが有効である。その他、目的に応じて、3’→5’方向へのヘキソヌクレアーゼ活性を持つ、DNAポリメラーゼα、T4 DNAポリメラーゼ、及びT7 DNAポリメラーゼを併用することも可能である。
また、mRNAがターゲット核酸断片である場合には、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用することが可能である。さらに、リバーストランスクリプターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用することも可能であり、逆転写活性をDNAポリメラーゼ活性を併せ持つ酵素を用いることも可能であり、これらは本発明の好ましい態様であるRT−PCR法の場合である。
【0033】
(E)ポリメラーゼ伸長反応
本発明において対象となるポリメラーゼ伸長反応には、前記(A)に記載されているようなターゲット核酸断片の1本鎖に変性された部分の一部に特異的にハイブリダイゼーションした、前記(B)に記載されているようなターゲット核酸断片と相補的なプライマーの3’末端を起点として、デオキシヌクレオシド3リン酸(dNTP)を材料として、前記(C)に記載されているようなポリメラーゼを触媒として、ターゲット核酸断片を鋳型にして進行する相補的な核酸の伸長反応の全てが含まれる。この相補的な核酸の伸長反応とは、少なくとも2回(2塩基分)、連続しての伸長反応が起こることをさしている。
【0034】
以下に、例として代表的なポリメラーゼ伸長反応、およびポリメラーゼ伸長反応を伴うターゲット核酸断片の目的部位の増幅反応の例を示す。ターゲット核酸断片を鋳型にして、5’→3’の方向へのポリメラーゼ伸長反応を一度だけ行う場合が最も単純である。このポリメラーゼ伸長反応は等温の条件で実施することができる。この場合には、ポリメラーゼ伸長反応の結果として生成するピロ燐酸の量は、最初のターゲット核酸断片の量に比例する。即ち定量的にターゲット核酸断片の存在を検出するのに適した方法である。
【0035】
ターゲット核酸の量が少ない場合は、ポリメラーゼ伸長反応を利用した何らかの手段でターゲット核酸の目的部分を増幅することが好ましい。ターゲット核酸の増幅には、これまで開発、発明されてきた各種の方法を使用することができる。ターゲット核酸の増幅法で最も一般的で普及している方法はPCR(ポリメラーゼチェーンリアクション)法である。PCR法では、反応液の温度の上げ下げを周期的にコントロールすることにより、変性(核酸断片を2本鎖から1本鎖に変性する工程)→アニーリング(1本鎖に変性した核酸断片にプライマーをハイブイリダイズさせる工程)→ポリメラーゼ(TaqDNAポリメラーゼ)伸長反応→ディネイチャーの周期的な工程を繰り返すことで、ターゲット核酸断片の目的部分を増幅する方法である。最終的に、ターゲット核酸断片の目的部位は初期量の100万倍にも増幅し得る。そのためPCR法の増幅過程でのポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も多くなり、検出が容易になる。
【0036】
特開平5−130870号公報に記載されている、エクソヌクレアーゼを用いたサイクリングアッセイ法もポリメラーゼ伸長反応を利用した、ターゲット核酸断片の目的部位の増幅法の一つである。この方法はターゲット核酸断片の目的部位に特異的にハイブリダイゼーションしたプライマーを起点とした、ポリメラーゼ伸長反応とともに、5’→3’エクソヌクレアーゼを作用させて、プライマーを逆方向から分解する方法である。分解したプライマーの代わりに新たなプライマーがハイブリダイゼーションし、再度DNAポリメラーゼによる伸長反応が進行する。このポリメラーゼによる伸長反応と、この先に伸長した鎖を外すエクソヌクレーアゼによる分解反応が順次、周期的に繰り返される。ここで、ポリメラーゼによる伸長反応とエクソヌクレーアゼによる分解反応は等温条件で実施することが可能である。このサイクリングアッセイ法においても繰り返されるポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も多くなり、検出が容易になる。
【0037】
近年開発されたターゲット核酸断片の目的部位の増幅法として、前記LAMP法がある。この方法は、ターゲット核酸断片の少なくとも6個所の特定部位を相補的に認識する少なくとも4種のプライマーと、5’→3’方向へのヌクレアーゼ活性がなく、かつ鋳型上の2本鎖DNAを1本鎖DNAとして遊離させながら伸長反応を触媒する鎖置換型のBst DNAポリメラーゼを使用することで、等温条件でターゲット核酸断片の目的部位を、特別な構造として増幅する方法である。このLAMP法の増幅効率は高く、ポリメラーゼ伸長反応で生成するピロ燐酸の蓄積量も非常に多くなり、検出が容易になる。
【0038】
ターゲット核酸断片がRNA断片の場合は、逆転写活性を有するリバーストランスクリプターゼを使用し、RNA鎖を鋳型にして伸長反応を行うことが可能である。さらにリバーストランスクリプターゼとTaq DNAポリメラーゼを併用し、RT(リバーストランスクリプション)反応に引き続いてPCR反応を行う、RT−PCR法を用いることができる。ここでは、逆転写活性をDNAポリメラーゼ活性を併せ持つ酵素を用いることも可能である。このRT反応またはRT−PCR反応で生成するピロ燐酸を検出することで、ターゲット核酸断片のRNA断片の存在を検出することができる。この方法は、RNAウイルスの存在を検出する場合に有効である。
【0039】
(F)ピロ燐酸(PPi)の検出
従来からピロ燐酸(PPi)の検出法としては、式1に示された方法が知られている。この方法では、ピロ燐酸(PPi)をスルフリラーゼによりアデノシン3燐酸(ATP)に変換し、アデノシン3燐酸がルシフェラーゼによりルシフェリンに作用して生じる発光を検出する。そのため、この方法でピロ燐酸(PPi)を検出するには発光を測定できる装置が必要である。
【0040】
【化1】
Figure 2004187603
【0041】
本発明に適したピロ燐酸の検出方法は式2または式3に示した方法である。式2または式3に示した方法は、ピロ燐酸(PPi)をピロホスファターゼで無機燐酸(Pi)に変換し、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)により無機燐酸(Pi)をキサントシンまたはイノシンと反応させ、生じたキサンチンまたはヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により酸化して尿酸を生成させ、この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いてペルオキシダーゼ(POD)により発色剤(色素前駆体)を発色させ、これを比色するものである。これら式2または式3に示した方法では結果を比色で検出できるため、目視または簡単な比色測定装置を用いてピロ燐酸(PPi)の検出が可能である。
【0042】
【化2】
Figure 2004187603
【0043】
【化3】
Figure 2004187603
【0044】
ピロホスファターゼ(EC3,6,1,1)プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP,EC2.4.2.1)、キサンチンオキシダーゼ(XOD,EC1.2.3.2)及びペルオキシダーゼ(POD,EC1.11.1.7)は市販のものを使用することができる。発色剤(すなわち色素前駆体)は、過酸化水素とペルオキシダーゼ(POD)により色素を生成させるものであればよく、例えば、ロイコ色素の酸化によって色素を生成する組成物(例、米国特許4,089,747等に記載のトリアリールイミダゾールロイコ色素、特開昭59−193352号公報(EP 0122641A)等に記載のジアリールイミダゾーロイコ色素);酸化されたときに他の化合物とカップリングにより色素を生成する化合物を含む組成物(例えば4−アミノアンチピリン類とフェノール類又はナフトール類)などを使用することができる。
【0045】
(G) 乾式分析素子
本発明において使用することのできる乾式分析素子とは、一層または複数層の機能層からなる分析素子であって、その少なくとも一層(または複数の層に渡って)に検出試薬を含有させ、層内での反応により生じた生成色素を、分析素子の外から反射光あるいは透過光により比色定量するものである。
【0046】
このような乾式分析素子を用いて定量分析するには、液体試料を展開層の表面に一定量点着する。展開層で展開された液体試料は試薬層に達し、ここで試薬と反応し、発色する。点着後、乾式分析素子を適当な時間、一定温度に保って(インクベーション)発色反応を充分に進行させた後、例えば透明支持体側から照明光を試薬層に照射し、特定波長域で反射光量を測定して反射光学濃度を求め、予め求めておいた検量線に基づいて定量分析を行う。
【0047】
乾式分析素子においては、検出を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
【0048】
(H)ピロ燐酸定量用乾式分析素子
本発明で使用することのできるピロ燐酸定量用乾式分析素子は、公知の多種の乾式分析素子と同様の層構成とすることができる。乾式分析素子は、前記(F)項(ピロ燐酸(PPi)の検出)における、式2または式3の反応を行うための試薬の他、支持体、展開層、検出層、光遮蔽層、接着層、吸水層、下塗り層その他の層を含む多重層としてもよい。このような乾式分析素子として、例えば特開昭49−53888号公報(対応米国特許3,992,158)、特開昭51−40191号公報(対応米国特許4,042,335)、及び特開昭55−164356号公報(対応米国特許4,292,272)、特開昭61−4959号公報(対応EPC公開特許0166365A)の各明細書に開示されたものがある。
【0049】
本発明で用いることができる乾式分析素子としては、ピロ燐酸を無機燐に変換する試薬、および無機燐の量に応じた発色反応を行う試薬群を含有する試薬層を備えるピロ燐酸定量用乾式分析素子が挙げられる。
このピロ燐酸定量用乾式分析素子においては、ピロホスファターゼを用いて酵素的にピロ燐酸(PPi)を無機燐(Pi)に変換するまでは本明細書中上記した通り行うことができ、それ以降は、生化学検査分野で既知の以下に述べる「無機燐の定量法」(及びそれらに用いられる各反応の組み合わせ)を用いることにより、無機燐(Pi)の量に応じた発色反応を行うことができる。
【0050】
なお、「無機燐」を表記する場合、燐酸(燐酸イオン)として、「Pi」と表記する場合と「HPO4 2-、H2PO4 1-」と表記する両方の場合がある。以下に示す反応の例では、「Pi」として表記するが、同じ反応式に対して「HPO4 2-」と表記する場合もある。
【0051】
無機燐の定量法としては酵素法と燐モリブテン酸塩法が知られている。以下、無機燐の定量法としての酵素法と燐モリブテン酸塩法について説明する。
【0052】
a.酵素法
Piを定量検出するための一連の反応における最後の「呈色反応」に用いる酵素に応じて、ペルオキシダーゼ(POD)を用いる方法とグルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)を用いる方法がある。以下、これらの方法の具体例を説明する。
【0053】
(1)ペルオキシダーゼ(POD)を用いる方法の例
(1−1)
無機燐(Pi)を、プリンヌクレオシドホスホリラーゼ(PNP)により、イノシンと反応させ、生じたヒポキサンチンをキサンチンオキシダーゼ(XOD)により酸化して尿酸を生成する。この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いて、ペルオキシダーゼ(POD)により、4−アミノアンチピリン(4−AA)とフェノールとを酸化縮合させてキノンイミン色素を形成し、これを比色する。
【0054】
(1−2)
無機燐(Pi)、コカルボキシラーゼ(TPP)、フラビンアデニンジヌクレオチド(FAD)、Mg2+の存在下で、ピルビン酸をピルビン酸オキシダーゼ(POP)により酸化してアセチル酢酸を生成する。この酸化過程で生じる過酸化水素(H22)を用いて、上記(1−1)の場合と同様に、ペルオキシダーゼ(POD)により、4−アミノアンチピリン(4−AA)とフェノールとを酸化縮合させてキノンイミン色素を形成し、これを比色する。
【0055】
なお、上記の(1−1)および(1−2)における最後の呈色反応は、過酸化水素の検出試薬として既知の「Trinder試薬」を使用して行うことができる。この反応で、フェノールは「水素供与体」として働く。「水素供与体」として用いるフェノールは古典的で、現在は改良された様々な「水素供与体」が使用されている。このような水素供与体の具体例としては、N−エチル−N−スルホプロピル−m−アニリジン、N−エチル−N−スルホプロピルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−スルホプロピル−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−スルホプロピル−m−トルイジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−アニリジン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)アニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメトキシアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−3,5−ジメチルアニリン、N−エチル−N−(2−ヒドロキシ−3−スルホプロピル)−m−トルイジン、及びN−スルホプロピルアニリンなどが挙げられる。
(2)グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)を用いる方法
(2−1)
無機燐(Pi)とグリコーゲンとをホスホリラーゼを用いて反応させ、グルコース−1−燐酸(G−1−P)を生成させる。生じたグルコース−1−燐酸をホスホグルコムターゼ(PGM)により、グルコース−6−燐酸(G−6−P)にする。グルコース−6−燐酸とニコチアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)との存在下、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)により、NADを還元してNADHにし、これを比色する。
【0056】
(2−2)
無機燐(Pi)とマルトースとをマルトースホスホリラーゼ(MP)を用いて反応させ、グルコース−1−燐酸(G−1−P)を反応させる。以下、上記(2−1)と同様に、生じたグルコース−1−燐酸をホスホグルコムターゼ(PGM)により、グルコース−6−燐酸(G−6−P)にする。グルコース−6−燐酸とニコチアミドアデニンジヌクレオチド(NAD)との存在下、グルコース−6−燐酸デヒドロゲナーゼ(G6PDH)により、NADを還元してNADHにし、これを比色する。
【0057】
b.燐モリブテン酸塩法
酸性下で無機燐(燐酸塩)と水溶性モリブテン酸イオンとを錯化させた「燐モリブテン酸塩(H3[PO4Mo1236])を直接定量する「直接法」と、上記直接法の反応に続いて、還元剤により、Mo(IV)からMo(III)として、モリブテン青(Mo(III))を定量する「還元法」とがある。水溶性モリブテン酸イオンの例としては、モリブテン酸アルミニウム、モリブテン酸カドミウム、モリブテン酸カルシウム、モリブテン酸バリウム、モリブテン酸リチウム、モリブテン酸カリウム、モリブテン酸ナトリウム、モリブテン酸アンモニウムなどが挙げられる。還元法で使用される代表的な還元剤の例としては、1,2,4アミノナフトールスルホン酸、硫酸第一鉄アンモニウム、塩化第一鉄、塩化第一スズ−ヒドラジン、硫酸−p−メチルアミノフェノール、N,N−ジメチル−フェニレンジアミン、アスコルビン酸、マラカイトグリーンなどが挙げられる。
【0058】
光透過性水不透過性支持体を用いる場合の乾式分析素子は、実用的に次のような構成を取り得る。ただし、本発明の内容はこれに限定されない。
(1) 支持体上に試薬層を有するもの。
(2) 支持体上に検出層、試薬層をこの順に有するもの。
(3) 支持体上に検出層、光反射層、試薬層をこの順に有するもの。
(4) 支持体上に第2試薬層、光反射層、第1試薬層をこの順に有するもの。
(5) 支持体上に検出層、第2試薬層、光反射層、第1試薬層をこの順に有するもの。
【0059】
上記(1)ないし(3)において試薬層は異なる複数の層から成ってもよい。例えば第1試薬層には、式2または式3に示すピロホスファターゼ反応に必要な酵素ピロホスファターゼ、PNP反応に必要な基質キサントシンまたは基質イノシンと酵素PNPを、第2試薬層には、式2または式3に示すXOD反応に必要な酵素XODを、そして第3試薬層には、式2または式3に示すPOD反応に必要な酵素PODと発色色素(色素前駆体)を、それぞれ含有させてもよい。あるいは試薬層を2層として、第1試薬層ではピロホスファターゼ反応とPNP反応を、第2試薬層ではXOD反応とPOD反応を進行させてもよい。又は、第1試薬層ではピロホスファターゼ反応とPNP反応とXOD反応を、第2試薬層でPOD反応を進行させてもよい。
【0060】
なお支持体と試薬層又は検出層との間には吸水層を設けてもよい。また各層の間には濾過層を設けてもよい。また試薬層の上には展開層を設けてもよく、その間に接着層を設けてもよい。
【0061】
支持体は光不透過性(不透明)、光半透過性(半透明)、光透過性(透明)のいずれのものも用いることができるが、一般的には光透過性で水不透過性の支持体が好ましい。光透過性水不透過性支持体の材料として好ましいものはポリエチレンテレフタレート、ポリスチレンである。親水性層を強固に接着させるため通常、下塗り層を設けるか、親水化処理を施す。
【0062】
試薬層として多孔性層を用いる場合、その多孔性媒体は繊維質であってもよいし、非繊維質であってもよい。繊維質材料としては、例えば濾紙、不織布、織物布地(例えば平織り布地)、編物布地(例えばトリコット編物布地)、ガラス繊維濾紙等を用いることができる。非繊維質材料としては特開昭49−53888号公報等に記載の酢酸セルロースなどからなるメンブランフイルター、特開昭49−53888号公報、特開昭55−90859号公報(対応米国特許4,258,001)特開昭58−70163号公報(対応米国特許4,486,537)等に記載の無機物又は有機物微粒子からなる連続空隙含有粒状構造物層等のいずれでもよい。特開昭61−4959号公報(対応欧州公開EP 0166365A)、特開昭62−116258号公報、特開昭62−138756号公報(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138757号公報(対応欧州公開EP 0226465A)、特開昭62−138758号公報(対応欧州公開EP 0226465A)等に記載の部分接着された複数の多孔性層の積層物も好適である。
【0063】
多孔性層は、供給される液体の量にほぼ比例した面積に液体を展開する、いわゆる計量作用を有する展開層であってもよい。展開層としては、これらのうち織物布地、編物布地などが好ましい。織物布地などは特開昭57−66359号公報に記載されたようなグロー放電処理をしてもよい。展開層には、展開面積、展開速度等を調節するため特開昭60−222770号公報(対応:EP 0162301A)、特開昭63−219397号公報(対応西独特許公開DE 3717913A)、特開昭63−112999号公報(対応:DE 3717913A)、特開昭62−182652号公報(対応:DE 3717913A)に記載したような親水性高分子あるいは界面活性剤を含有させてもよい。
【0064】
例えば紙、布、高分子からなる多孔質膜等に本発明の試薬を予め含浸又は塗布した後、支持体上に設けた他の水浸透性層、例えば検出層の上に、特開昭55−1645356号公報のような方法で接着させるのも有用な方法である。
【0065】
こうして作られる試薬層の厚さは特に制限されないが、塗布層として設ける場合には、1μm〜50μm程度、好ましくは2μm〜30μmの範囲が適当である。ラミネートによる積層など、塗布以外の方法による場合、厚さは数十μmから数百μmの範囲で大きく変化し得る。
【0066】
親水性ポリマーバインダーからなる水浸透性層で試薬層を構成する場合、使用できる親水性ポリマーとしては、例えば、以下のものがある。ゼラチン及びこれらの誘導体(例えばフタル化ゼラチン)、セルロース誘導体(例えばヒドロキシエチルセルロース)、アガロース、アルギン酸ナトリウム、アクリルアミド共重合体やメタアクリルアミド共重合体(例えば、アクリルアミド又はメタアクリルアミドと各種ビニル性モニマーとの共重合体)、ポリヒドロキシエチルメタクリレート、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸ナトリウム、アクリル酸と各種ビニル性モノマーとの共重合体などである。
【0067】
親水性ポリマーバインダーで構成される試薬層は、特公昭53−21677号公報(対応米国特許3,992,158)、特開昭55−164356号公報(対応米国特許4,292,272)、特開昭54−101398号公報(対応米国特許4,132,528)等の明細書に記載の方法に従って本発明の試薬組成物と親水性ポリマーを含む水溶液又は水分散液を支持体又は検出層等の他の層の上に塗布し乾燥することにより設けることができる。親水性ポリマーをバインダーとする試薬層の乾燥時の厚さは約2μm〜約50μm、好ましくは約4μm〜約30μmの範囲、被覆量では約2g/m2〜約50g/m2、好ましくは約4g/m2〜約30g/m2の範囲である。
【0068】
試薬層には式2または式3の試薬組成物の他に、塗布特性、拡散性化合物の拡散性、反応性、保存性等の諸性能の向上を目的として、酵素の活性化剤、補酵素、界面活性剤、pH緩衝剤組成物、微粉末、酸化防止剤、その他、有機物あるいは無機物からなる各種添加剤を加える事ができる。試薬層に含有させることができる緩衝剤はの例としては、日本化学学会編「化学便覧 基礎」(丸善(株)、1966年発行)1312−1320頁、R.M.C.Dawson et al編、「Data for Biochemical Research」第2版(Oxford at the Clarendon Press,1969年発行)476−508頁、「Biochemistry」5,467−477頁(1966年)、「Analytical Biochemistry」104,300−310頁(1980年)に記載のpH緩衝剤系がある。pH緩衝剤系の具体例として硼酸塩を含む緩衝剤;クエン酸又はクエン酸塩を含む緩衝剤;グリシンを含む緩衝剤;ビシン(Bicine)を含む緩衝剤;HEPESを含む緩衝剤;MESを含む緩衝剤などのグッド緩衝剤等がある。なお燐酸塩を含む緩衝剤は、ピロ燐酸検出用乾式分析素子に使用することはできない。
【0069】
本発明で使用することのできる、ピロ燐酸定量用乾式分析素子は前述の諸特許明細書に記載の公知の方法により調製することができる。ピロ燐酸定量用乾式分析素子は一辺約5mmから約30mmの正方形またはほぼ同サイズの円形等の小片に裁断し、特公昭57−283331号公報(対応米国特許4,169,751)、実開昭56−142454号公報(対応米国特許4,387,990)、特開昭57−63452号公報、実開昭58−32350号公報、特表昭58−501144号公報(対応国際公:WO083/00391)等に記載のスライド枠に収めて化学分析スライドとして用いることが製造,包装,輸送,保存,測定操作等の観点で好ましい。使用目的によっては、長いテープ状でカセットまたはマガジンに収めて用いたり、又は小片を開口のある容器内に収めて用いたり、又は小片を開口カードに貼付または収めて用いたり、あるいは裁断した小片をそのまま用いることなどもできる。
【0070】
本発明で使用することのできるピロ燐酸定量用乾式分析素子は前述の諸特許明細書等に記載の操作と同様の操作により液体試料中の被検物であるピロ燐酸の定量検出ができる。例えば約2μL〜約30μL、好ましくは4μL〜15μLの範囲の水性液体試料液を試薬層に点着する。点着した分析素子を約20℃〜約45℃の範囲の一定温度で、好ましくは約30℃〜約40℃の範囲内の一定温度で1〜10分間インキュベーションする。分析素子内の発色又は変色を光透過性支持体側から反射測光し、予め作成した検量線を用いて比色測定法の原理により検体中のピロ燐酸の量を求めることができる。点着する液体試料の量、インキュベーション時間及び温度を一定にすることにより定量分析を高精度に実施できる。
【0071】
測定操作は特開昭60−125543号公報、特開昭60−220862号公報、特開昭61−294367号公報、特開昭58−161867号公報(対応米国特許4,424,191)などに記載の化学分析装置により極めて容易な操作で高精度の定量分析を実施できる。なお、目的や必要精度によっては目視により発色の度合いを判定して、半定量的な測定を行ってもよい。
【0072】
本発明で使用することのできる、ピロ燐酸定量乾式分析素子においては、分析を行うまでは乾燥状態で貯蔵・保管されるため、試薬を用時調製する必要がなく、また一般に乾燥状態の方が試薬の安定性が高いことから、試薬溶液を用時調製しなければならないいわゆる湿式法より簡便性、迅速性に優れている。また、微量の液体試料で、精度の高い検査を迅速に行うことができる検査方法としても優れている。
【0073】
本発明の第二の形態において使用することのできる無機燐定量用乾式分析素子は、前記のピロ燐酸定量乾式分析素子における試薬層からピロホスファターゼを除くことで調製することができる。また、特開平7−197号公報に記載の乾式分析素子を使用することも可能である。無機燐定量用乾式分析素子は、試薬層にピロホスファターゼを含有しない以外は、その層構成、製造方法、使用方法において、前記ピロ燐酸定量乾式分析素子と同様である。
以下、実施例にて本発明を詳細に説明する。しかしながら、本実施例により本発明の技術的範囲が限定されるものではない。
【0074】
【実施例】
実施例1:ピロリン酸スライドを用いたPCR反応における初期鋳型量の定量〜検量線の作成
(1) 定量用プラスミドの調製
β-Actin遺伝子(約1500bp)が挿入されたプラスミド(pBluescriptベクター)を大腸菌コンピテントセル(JM109)に導入した。これをLB培地中で1晩培養した。これよりプラスミドを抽出・精製することにより、β-Actin遺伝子断片が挿入されたプラスミドを得た。さらに、分光光度計を用いて得られたプラスミド量の定量を行い、その溶液をもとに、プラスミドが各々0.1ng/μL、3pg/μL、0.1pg/μL、3fg/μL、0.1fg/μL含まれる溶液を調製した。
【0075】
(2)PCR増幅反応
上記(1)で調製した既知量のプラスミドを用いて、以下の条件でPCR増幅反応を行った。
<プライマー>
β-Actin遺伝子断片に特異的な配列を持つ以下のプライマーセットを使用した。
プライマ−(upper):5'-GGGCATGGGTCAGAAGGATT-3'(配列番号1)
プライマ−(lower): 5'-CCGTGGTGGTGAAGCTGTAG-3'(配列番号2)
【0076】
また、定量用のPrimerとして、3'末端がリン酸化された、上記プライマーと相補的な配列を有する以下のプライマー(CP2)を使用した。
CP2プライマ−(upper):5'-TTAATCCTTCTGACCCATGCCC-3'(配列番号3)
CP2プライマ−(lower): 5'-TTCTACAGCTTCACCACCACGG-3'(配列番号4)
下線:各プライマーに相補的な部分
【0077】
CPプライマーを含む系列と含まない系列の2系列について、それぞれ以下の反応液組成で、初期核酸量が0、0.1fg、3fg、0.1pg、3pg、0.1ngの6水準を作成し、PCR増幅反応を行った。
【0078】
【表1】
Figure 2004187603
【0079】
PCR増幅のサイクル条件は、[デネイチャ−:94℃・20秒、アニ−リング:60℃・30秒、ポリメラ−ゼ伸長反応:72℃・1分]を35サイクルとした。
【0080】
(3) ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)平滑フイルムシ−ト(支持体)上に表2記載の組成(a)の水溶液を、以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
【0081】
【表2】
Figure 2004187603
【0082】
この試薬層の上に下記の表3記載の組成(b)の接着層水溶液を以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して接着層を設けた。
【0083】
【表3】
Figure 2004187603
【0084】
次いで接着層の上に30g/m2の割合で水を全面に供給してゼラチン層を膨潤させ、その上に純ポリエステル製のブロ−ド織物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネ−トして多孔性展開層を設けた。
【0085】
次にこの展開層の上から下記の表4記載の組成(c)の水溶液を以下の被覆率となるようにほぼ均一塗布し、乾燥させ、13mm×14mmに裁断し、プラスチック製マウント材内に収めることで、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
【0086】
【表4】
Figure 2004187603
【0087】
(4) ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(2)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(3)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベ−ション後、波長650nmにて支持体側から測定して得られた5分後の反射光学濃度(ODR)を表5に、表5より得られるPCR反応の初期量の対数に対するODRの検量線のグラフを図1に示した。
【0088】
【表5】
Figure 2004187603
【0089】
実施例1の結果より、通常のPCR反応(系列2)は初期鋳型量とODRに相関が見られないのに対して、PCR反応用のプライマーに一部相補的なプライマー(CP2)を用いた場合、初期鋳型量の対数とODRの間に相関が見られる。これより、この検量線を利用することにより、CP2プライマーを含むPCR反応を行うことにより、初期鋳型量を定量することができると考えられる。
【0090】
実施例2:ピロリン酸スライドを用いたPCR反応における未知初期鋳型量の定量
(1)定量用プラスミドの調製
実施例1の(1)で調製したプラスミドを用いて、各10pg/μL、10fg/μLの核酸溶液を調製し、実施例1と同様の方法でPCR反応を行わせ、そこで得られた検量線から上記の初期鋳型量が正確に定量が出来るか否かを検討した。
【0091】
(2)PCR増幅反応
実施例1に記載の方法で、各鋳型量に対するPCR反応を行わせた。
【0092】
(3)ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
実施例1に記載の方法で、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
【0093】
(4)ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(2)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(3)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベ−ション後、波長650nmにて支持体側から測定して得られた5分後の反射光学濃度(ODR)を表6に、表6より得られるODR値を実施例1の検量線のグラフを用いて読み替えたDNA初期量の値を表7に示した。
【0094】
【表6】
Figure 2004187603
【0095】
【表7】
Figure 2004187603
【0096】
実施例2の結果より、最初に計算した初期鋳型量に極めて近い値が出ていることがわかる。これより、CP2プライマーを用いてPCRの初期鋳型量を求めることは可能であると言える。
【0097】
実施例3:ピロリン酸スライドを用いたPCR反応における初期鋳型量の定量から検量線の作成
(1)定量用プラスミドの調製
β-Actin遺伝子(約1500bp)が挿入されたプラスミド(pBluescriptベクター)を大腸菌コンピテントセル(JM109)に導入した。これをLB培地中で1晩培養した。これよりプラスミドを抽出・精製することにより、β-Actin遺伝子断片が挿入されたプラスミドを得た。さらに、分光光度計を用いて得られたプラスミド量の定量を行い、その溶液をもとに、プラスミドが各々0.1ng/μL、3pg/μL、0.1pg/μL、3fg/μL、0.1fg/μL含まれる溶液を調製した。
【0098】
(2)PCR増幅反応
上記(1)で調製した既知量のプラスミドを用いて、以下の条件でPCR増幅反応を行った。
<プライマ−>
β-Actin遺伝子断片に特異的な配列を持つ以下のプライマーセットを使用した。プライマ−(upper):5'-GGGCATGGGTCAGAAGGATT-3'(配列番号5)
プライマ−(lower): 5'-CCGTGGTGGTGAAGCTGTAG-3'(配列番号6)
【0099】
また、定量用のPrimerとして、3'末端がリン酸化され、上記プライマーと相補的な配列を有する以下のプライマー(CP0)を使用した。
CP0プライマ−(upper):5'-AATCCTTCTGACCCATGCCC-3'(配列番号7)
CP0プライマ−(lower): 5'-CTACAGCTTCACCACCACGG-3'(配列番号8)
【0100】
CP0プライマーを含む系列と含まない系列の2系列について、それぞれ以下の反応液組成で、初期核酸量が、0、0.1fg、3fg、0.1pg、3pg、0.1ngの6水準作成しPCR増幅反応を行った。
【0101】
【表8】
Figure 2004187603
【0102】
PCR増幅のサイクル条件は、[デネイチャ−:94℃・20秒、アニ−リング:60℃・30秒、ポリメラ−ゼ伸長反応:72℃・1分]を35サイクルとした。
【0103】
(3) ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
ゼラチン下塗層が設けられている厚さ180μmの無色透明ポリエチレンテレフタレ−ト(PET)平滑フイルムシ−ト(支持体)上に表9記載の組成(a)の水溶液を、以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して試薬層を設けた。
【0104】
【表9】
Figure 2004187603
【0105】
この試薬層の上に下記の表10記載の組成(b)の接着層水溶液を以下の被覆率となるように塗布し、乾燥して接着層を設けた。
【0106】
【表10】
Figure 2004187603
【0107】
次いで接着層の上に30g/m2の割合で水を全面に供給してゼラチン層を膨潤させ、その上に純ポリエステル製のブロ−ド織物布地をほぼ一様に軽く圧力をかけてラミネ−トして多孔性展開層を設けた。
【0108】
次にこの展開層の上から下記の表11記載の組成(c)の水溶液を以下の被覆率となるようにほぼ均一塗布し、乾燥させ、13mm×14mmに裁断し、プラスチック製マウント材内に収めることで、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
【0109】
【表11】
Figure 2004187603
【0110】
(4) ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(2)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(3)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベ−ション後、波長650nmにて支持体側から測定して得られた5分後の反射光学濃度(ODR)を表12に、表12より得られるPCR反応の初期量の対数に対するODRの検量線のグラフを図2に示した。
【0111】
【表12】
Figure 2004187603
【0112】
実施例3の結果より、通常のPCR反応(系列2)は初期鋳型量とODRに相関が見られないのに対して、PCR反応用のプライマーに相補的なプライマー(CP0)を用いた場合、初期鋳型量の対数とODRの間に相関が見られる。これより、この検量線を利用することにより、CP0プライマーを含むPCR反応を行うことにより、初期鋳型量を定量することができると考えられる。
【0113】
実施例4:ピロリン酸スライドを用いたPCR反応における未知初期鋳型量の定量
(1) 定量用プラスミドの調製
実施例3(1)で調製したプラスミドを用いて、各10pg/μL、10fg/μLの核酸溶液を調製し、実施例3と同様の方法でPCR反応を行わせ、そこで得られた検量線から上記のの初期鋳型量が正確に定量が出来るか否かを検討した。
【0114】
(2)PCR増幅反応
実施例3に記載の方法で、各鋳型量に対するPCR反応を行わせた。
【0115】
(3)ピロ燐酸定量用乾式分析素子の作製
実施例3に記載の方法で、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を作成した。
【0116】
(4)ピロ燐酸定量用分析素子を用いた検出
前記(2)におけるPCR増幅反応後の溶液をそのまま、上記(3)で製作したピロ燐酸定量用乾式分析素子上に各々20μL点着し、ピロ燐酸定量用乾式分析素子を37℃にて5分間インキュベ−ション後、波長650nmにて支持体側から測定して得られた5分後の反射光学濃度(ODR)を表13に、表13より得られるODR値を実施例3の検量線のグラフを用いて読み替えたDNA初期量の値を表14に示した。
【0117】
【表13】
Figure 2004187603
【0118】
【表14】
Figure 2004187603
【0119】
実施例4の結果より、最初に計算した初期鋳型量に極めて近い値が出ていることがわかる。これより、CP0プライマーを用いてPCRの初期鋳型量を求めることは可能であると言える。
【0120】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、簡便かつ迅速にターゲット核酸を定量することが可能となる。
【0121】
【配列表】
Figure 2004187603
【0122】
Figure 2004187603
【0123】
Figure 2004187603
【0124】
Figure 2004187603
【0125】
Figure 2004187603
【0126】
Figure 2004187603
【0127】
Figure 2004187603
【0128】
Figure 2004187603
【0129】
Figure 2004187603

【図面の簡単な説明】
【図1】図1は、PCR反応の初期鋳型量と5分後の反射光学濃度(ODR)の関係を示す。
【図2】図2は、PCR反応の初期鋳型量と5分後の反射光学濃度(ODR)の関係を示す。

Claims (17)

  1. ターゲット核酸配列を含む鋳型核酸、ターゲット核酸を増幅するための一対の増幅プライマー及びポリメラーゼを用いたポリメラーゼ連鎖反応によりターゲット核酸を定量する方法において、前記増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマーの存在下でポリメラーゼ連鎖反応を行う前記方法。
  2. ターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を5’末端に有する競合プライマーを使用する、請求項1に記載の方法。
  3. ターゲット核酸と相補的でない少なくとも2塩基の配列を5’末端に有する競合プライマーを使用する、請求項1又は2に記載の方法。
  4. 競合プライマーの使用量が、増幅プライマーの使用量の0.01〜1倍である、請求項1から3の何れかに記載の方法。
  5. 競合プライマー自身がポリメラーゼ反応の起点にならないように競合プライマーの3’末端が修飾されている、請求項1から4の何れかに記載の方法。
  6. 競合プライマーの3’末端がリン酸化されているか、競合プライマーの3’末端の塩基がダイデオキシヌクレオチドであるか、または競合プライマーの3’末端にターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を有する、請求項5に記載の方法。
  7. ポリメラーゼ反応の特定のサイクルにおける増幅産物量を測定することにより試料におけるターゲット核酸を定量する、請求項1から6の何れかに記載の方法。
  8. 既知量の核酸を用いて検量線を作成し、その検量線を用いて試料におけるターゲット核酸を定量する、請求項6又は7に記載の方法。
  9. 増幅産物の測定手段として電気泳動、クロマトグラフィー、又はHPLCを用いてターゲット核酸を定量する、請求項1から8の何れかに記載の方法。
  10. ポリメラーゼ反応時の反応副生物を用いてターゲット核酸を定量する、請求項1から8の何れかに記載の方法。
  11. 反応副生物がピロリン酸である、請求項10に記載の方法。
  12. 乾式分析素子を用いてピロリン酸の検出を行なう、請求項11に記載の方法。
  13. 請求項1から12の何れかに記載の方法で使用するための、ポリメラーゼ連鎖反応で用いる増幅プライマーに相補的な配列を有する一対の競合プライマー。
  14. ターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を5’末端に有する、請求項13に記載の競合プライマー。
  15. ターゲット核酸と相補的でない少なくとも2塩基の配列を5’末端に有する、請求項13又は14に記載の競合プライマー。
  16. 競合プライマー自身がポリメラーゼ反応の起点にならないように3’末端が修飾されている、請求項13から15の何れかに記載の競合プライマー。
  17. 3’末端がリン酸化されているか、3’末端の塩基がダイデオキシヌクレオチドであるか、または3’末端にターゲット核酸と相補的でない少なくとも1塩基の配列を有する、請求項16に記載の競合プライマー。
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