JP2004187588A - 大腸菌群の検出方法および検出キット - Google Patents

大腸菌群の検出方法および検出キット Download PDF

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Yoichiro Yano
陽一郎 矢野
Kenji Kiyotaki
兼司 清瀧
Minoru Nakagawa
稔 中川
Kenichiro Kano
健一郎 狩野
Kazue Sasaki
一枝 佐々木
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Abstract

【課題】大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む検体であっても、迅速で、簡易かつ正確に、大腸菌群を検出できる方法を提供する。
【解決手段】検体を、グラム陽性細菌生育阻害平板培地にて、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の存在下で培養して得られた細菌集落であり、かつ酸化還元色素と接触して該色素を変色させた細菌集落に、β−ガラクトシダ−ゼの存在により発色する発色合成酵素基質を反応させ、該発色合成酵素基質の発色性を指標として大腸菌群を検出する。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、検体中の大腸菌群を検出する方法及びこの方法に使用する検出キットに関するものである。
本明細書において、百分率(%)の表示は、特に断らない限り質量による値である。
【0002】
【従来の技術】
検体中の大腸菌群を検出する方法としては、6−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド0.03〜0.2mg/ml、及び5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−グルクロニド0.01〜0.2mg/mlを含有する栄養培地を用い、β−ガラクトシダ−ゼ及びβ−グルクロニダ−ゼの検出に基づいて大腸菌群および大腸菌を同時検出する方法が開示されている(下記、特許文献1)。
【0003】
また、培養試薬を含有するブイヨン培地に、反応基質として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド0.01〜0.5mg/mlを添加した検出液を、シ−ト状の基体に含浸させてなる大腸菌群検出シ−トが開示されている(下記、特許文献2)。
【0004】
また、グラム陽性細菌生育阻害培地に生育した細菌集落に、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド等の発色合成酵素基質を直接滴下することによって大腸菌群及び/又は大腸菌を迅速に検出できる方法および検出キットについての開示がなされている(下記、特許文献3)。
【0005】
また、大腸菌のラクト−スオペロンの酵素合成、つまりβ−ガラクトシダ−ゼの合成を誘導する誘導物質としてイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(以下、IPTGということもある)および/またはメチル−β−D−チオガラクトシドが存在することが知られている。IPTGについては、0.1〜0.05mM(2.4〜1.2mg/100ml)の濃度で大腸菌のβ−ガラクトシダ−ゼの合成を強力に誘導することが知られている(下記、非特許文献1)。
また発色合成酵素基質含有培地に上記IPTGを10mg/100mlの濃度で含有させている培地も知られている(下記、非特許文献2)。
【0006】
【特許文献1】
特表平9−501314公報
【特許文献2】
特開2000−100号公報
【特許文献3】
特開2002−186496公報
【非特許文献1】
生化学辞典、第3版、第1刷、第131ペ−ジ、および
第1402〜1403ペ−ジ、1998年 東京化学同人
【非特許文献2】
防菌防黴、vol.30,No 9,617−623頁、2002年
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
上記特許文献1に記載されている6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド等の発色合成酵素基質を含有する培地を用いる方法は、大腸菌群を検出するために、24時間程度培養する必要があることから、迅速な方法とはいえない問題があった。
上記特許文献2の、発色合成酵素基質として5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを使用した大腸菌群検出用試験シ−トを用いる方法は、簡易ではあるが、前記特許文献1の培地と同様に、大腸菌群を検出するために24時間程度培養する必要があることから、迅速な方法とはいえない問題があった。
【0008】
上記特許文献3および非特許文献2の、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質を用いた大腸菌群の検出方法においては、迅速な方法ではあるが、大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む検体の検査においては、検体に存在するβ−ガラクトシダ−ゼによっても発色してしまい、大腸菌群コロニ−と誤判定する問題があった。
また大腸菌群の中には、β−ガラクトシダ−ゼの発現が弱く、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質を使用しているにもかかわらず、比較的短時間では発色合成酵素基質の発色が検出しがたい菌株、例えば、エンテロバクタ−・アエロゲネス(E.aerogenes)等も存在するため、特に大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む検体からβ−ガラクトシダ−ゼの発現が弱い菌種の検出を短時間で行うのは困難であった。
【0009】
上記非特許文献1,2に記載されているような、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する合成酵素基質含有培地を用い、さらにIPTGを併用した大腸菌群の検出方法においては、β−ガラクトシダ−ゼを含む検体の検査過程で、検体に存在する大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼによって発色してしまい、大腸菌群コロニ−と誤判定する問題があった。また培地に発色合成酵素基質を低濃度含有させる方法では、培養時間が24〜48時間と長く、迅速な方法とはいえない問題点が存在した。
【0010】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたもので、大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む検体であっても、迅速で、簡易かつ正確に、大腸菌群を検出できる方法及びこの方法に使用する検出キットを提供することを目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記課題を解決するために、本発明の大腸菌群の検出方法は、検体を、グラム陽性細菌生育阻害平板培地にて、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の存在下で培養して得られた細菌集落であり、かつ酸化還元色素と接触して該色素を変色させた細菌集落に、β−ガラクトシダ−ゼの存在により発色する発色合成酵素基質を反応させ、該発色合成酵素基質の発色性を指標として大腸菌群を検出することを特徴とする。
【0012】
また、本発明は、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地と、酸化還元色素液およびこれを収容する色素液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット、
酸化還元色素が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地と、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液およびこれを収容する誘導物質液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット、
β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット、
β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液およびこれを収容する誘導物質液滴下用容器と、酸化還元色素液およびこれを収容する色素液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット、および
β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液と酸化還元色素液の混合液およびこれを収容する混合液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キットを提供する。
また、上記に挙げた検出キットであって、さらに前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液および/または前記酸化還元色素液および/または前記発色合成酵素基質液を吸収させるための吸収体を備えた大腸菌群の検出キットを提供する。
また、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液が予め含浸された吸収体と、酸化還元色素液およびこれを収容する色素液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット、
酸化還元色素液が予め含浸された吸収体と、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液およびこれを収容する誘導物質液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット、および
β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液および酸化還元色素液が予め含浸された吸収体と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キットを提供する。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明は、検体中の大腸菌群を検出する方法であり、検体は特に限定されないが、好適な例としては食品、医薬品、化粧品等が挙げられる。また本発明は、特にβ−ガラクトシダーゼを含む検体における大腸菌群の検出に有効である。β−ガラクトシダーゼは細菌類から高等動植物に至るまで広く分布していることが知られている。
本発明の方法により検出可能な大腸菌群は、グラム陰性菌でβ−ガラクトシダーゼを発現するもので、例えばエシェリキア属、エンテロバクタ−属などの各菌が含まれる。特に本発明の方法は、β−ガラクトシダーゼの発現が弱い菌種の検出にも有効であり、そのような菌種の具体例としては、エンテロバクタ−・アエロゲネス(E.aerogenes)等が挙げられる。
【0014】
本発明におけるグラム陽性細菌生育阻害培地としては、グラム陽性細菌(グラム染色性が陽性の細菌)の生育が選択的に阻害され、グラム陰性細菌(グラム染色性が陰性の細菌)が生育し、細菌集落を形成するものであればいかなるものであってもよい。具体的には市販の赤色色素を含有するデオキシコ−ル酸寒天培地(メルク・ジャパン社製等)、VRB寒天培地(バイオレッド−レッド−胆汁酸寒天培地、メルク・ジャパン社製等)、市販の色素を含有しないラウリル硫酸ブロス(日本ベクトン・ディッキンソン社製等)に1.5質量%濃度などで寒天を加えて調製した寒天培地等を例示できる。
【0015】
本発明におけるβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質としては、イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)、メチル−β−D−チオガラクトシドなどが例示される。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。ここに挙げたβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質は、いずれも市販品(和光純薬工業社製、ナカライテスク社製、シグマ社製等)を使用することができる。
【0016】
本発明における酸化還元色素は、微生物によって還元されて変色する指示薬であれば、特に限定されない。具体例としては、レサズリン、トリフェニルテトラゾリウムクロライド(以下、TTCということもある)等が挙げられる。レサズリンナトリウム溶液は、反応前は暗紫色〜濃青色であるが、微生物によって還元されて淡紅色または無色に変色する。また、TTC溶液は、反応前は無色であるが、微生物によって還元されて赤色に変色する。ここに挙げた酸化還元色素は、いずれも市販品(和光純薬工業社製、ナカライテスク社製、シグマ社製等)を使用することができる。
【0017】
本発明における発色合成酵素基質は、β−ガラクトシダ−ゼの存在により発色するものであれば特に限定されないが、培地中への拡散性、培地の色調との色調コントラスト、及び可視光で観察可能であるか否かを考慮すると、大腸菌群および大腸菌の集落を青色に発色する5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(以下、X−GALと記載することもある。)、大腸菌群および大腸菌の集落を紫色に発色する5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、大腸菌群および大腸菌の集落を赤紫色に発色する6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、又はこれらの塩類が好ましく用いられる。これらは1種単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また可視光では観察はできないが、長波長である紫外線波長を照射すると、β−ガラクトシダ−ゼとの反応により蛍光の発色を示す4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、又はこれらの塩類も好ましく使用できる。
ここに挙げた発色合成酵素基質は、いずれも市販品(和光純薬工業社製、ナカライテスク社製、シグマ社製等)を使用することができる。
【0018】
特に、紫色又は赤紫色に発色する発色合成酵素基質(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド)を使用する場合は、色素を含有しないグラム陽性細菌生育阻害平板培地(ラウリル硫酸寒天培地等)を使用した方が、赤色及び/又は紫色素を観察し易いので好ましい。
【0019】
本発明における吸収体は、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液および/または酸化還元色素液および/または発色合成酵素基質液を吸収、保持させ得るものであればいずれのものでも使用でき、メッシュ状、紙シ−ト状等の市販のろ紙(東洋ろ紙社製等)が例示される。
【0020】
本発明における、発色合成酵素基質の発色性の判定方法については、細菌集落の発色または細菌集落上における液体の発色、あるいは吸収体における発色の度合いを肉眼で観察し、日本工業規格(JIS Z 8721)に準拠した日本規格協会発行の標準色票と比較して判定する。
具体的には、使用した発色合成酵素基質の種類に応じて、下記に示す各標準色票と比較して、明度(V)が7以下の値を示すものを十分な発色有り、明度が7より大きくて8以下のものを発色有り、明度は8より大きいが僅かでも発色が認められるものを弱い発色有りと判定する。
【0021】
発色の色彩が青色を呈する発色合成酵素基質である5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを使用した場合には、色相別チャ−ト5Bの彩度(C)が4の列の標準色票と比較する。
発色の色彩が紫色を呈する発色合成酵素基質である5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを使用した場合には、色相別チャ−ト5Pの彩度(D)が4の列の標準色票と比較する。
発色の色彩が赤紫色を呈する発色合成酵素基質である6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシドを使用した場合には、色相別チャ−ト5RPの彩度(C)が6の列の標準色票と比較する。
【0022】
また、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシドなど微生物との反応により、紫外線の波長領域における蛍光を発する発色合成酵素基質を使用した場合は、マナスル化学工業社製、マナスルライト(商品名)等の紫外線照射装置を用いて観察領域に紫外線を照射すれば、肉眼にて蛍光の発色の有無を判定することができる。
【0023】
[第一の実施形態]
本発明の大腸菌群の検出方法の第一の実施形態について説明する。
本実施形態では、予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を添加して調製されたグラム陽性細菌生育阻害平板培地を用意し、これに検体を接種する。
検体は、そのままの状態で、又は必要に応じて滅菌した生理食塩水中に分散させた状態で平板培地上に塗抹する。
培地へβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を添加する場合は、その添加量は少なすぎるとβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の添加効果が十分に得られず、多すぎると細菌集落の生育が阻害されるおそれがある。したがって、後述の試験例2に示されるように、培地におけるβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の濃度の上限は、500mg/100ml培地以下、好ましくは50mg/100ml培地以下、より好ましくは5mg/100ml以下である。一方、培地におけるβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の濃度の下限は、0.1mg/100ml培地以上が好ましく、より好ましくは1mg/100ml培地以上である。
【0024】
続いて検体が接種された上記培地を培養して細菌を生育する。このような細菌生育のための培養は、25〜40℃、好ましくは35℃で、8〜24時間、好ましくは8〜12時間の条件で行うことが好ましい。
【0025】
次いで、培養後、形成された細菌集落と酸化還元色素を接触させて反応させる。細菌集落と酸化還元色素とを接触させる方法としては、生育した細菌集落が存在する平板培地表面上に、酸化還元色素を直接存在させる方法、または吸収体に吸収させた状態で存在させる方法のいずれもでもよい。
培地上に酸化還元色素を直接存在させる手法としては、酸化還元色素液を滴状で滴下する方法や、霧状で滴下(噴霧)する方法を用いることができる。
吸収体に吸収させた状態で存在させる手法としては、吸収体を平板培地表面に載せた後、酸化還元色素液を滴下して該吸収体に吸収させる方法、または予め酸化還元色素液を吸収させた吸収体を平板培地表面に載せる方法のいずれでもよい。
吸収体は平板培地表面のほぼ全部を覆う形状、大きさであってもよく、あるいは、形成された細菌集落を覆う大きさの、任意の形状の小片を用い、これを細菌集落上に載せてもよい。
【0026】
本実施形態において酸化還元色素は溶液状で用いられ、溶媒としては無菌処理された水、または水とアルコ−ル類との混合溶媒溶液が好ましく用いられる。使用する酸化還元色素液の好ましい濃度は、レサズリントリウムおよびTTCについては0.1〜10mg/mlであり、より好ましくは0.5〜5mg/ml程度である。
【0027】
例えば本実施形態のように、培地上で生育された細菌集落に対して酸化還元色素液を培地上に直接滴下する場合の滴下量は、滴下の対象である細菌集落が滴下された液体によって覆われるように、細菌集落の大きさ、滴下する液体の濃度等に応じて設定される。
また、酸化還元色素液を培地上に載せた吸収体に滴下する場合の滴下量は、滴下の対象である吸収体全体に酸化還元液が含浸されている状態となるように、吸収体の大きさ、滴下する液の濃度等に応じて設定される。
また、予め酸化還元色素液を吸収させた吸収体を用いる場合、該吸収体は、微生物との接触によって酸化還元色素が還元され変色するに十分量の酸化還元色素液が含浸されたものであり、酸化還元色素液を含浸させた後に乾燥処理を施したものが保管安定性の点で好ましい。
【0028】
また、細菌集落と酸化還元色素とを接触させた後、これらを反応させるために培養を行うことが好ましい。このような細菌集落と酸化還元色素とを反応させるための培養では25〜40℃、好ましくは約35℃で、10分〜2時間程度、好ましくは10分〜1時間程度培養することが好ましい。
このように細菌集落と酸化還元色素とを接触させた後に培養することにより、培地上の細菌が、これと接触している酸化還元色素を還元し、酸化還元色素が変色する。具体的には、培地上に滴下した酸化還元色素が変色するか、または培地上に載せた吸収体において変色が生じる。
【0029】
次いで、酸化還元色素を変色させた細菌集落に対して、または培地上に載せた吸収体において変色が生じた部分に対して、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液を滴下する。
発色合成酵素基質は溶液状で用いられ、発色合成酵素基質の好ましい濃度は6〜80mg/mlである。発色合成酵素基質の濃度が上記範囲よりも少ないと、鑑別に十分な発色が得られず、上記範囲を超えると発色合成酵素基質の析出が生じるおそれがある。
なお、本実施形態において、発色合成酵素基質液は培地に添加されないので、発色合成酵素基質液の溶媒が細菌の生育などに悪影響をもたらす心配がなく、したがって強い発色が得られる6〜80mg/mlという比較的高濃度で使用することができる。
具体的に、発色合成酵素基質液は、ジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製等)又はジメチルホルムアミド水溶液に、発色合成酵素基質を上記範囲の濃度で溶解して調製することができ、ジメチルホルムアミド水溶液は50%濃度以上の溶液であることが望ましい。
【0030】
発色合成酵素基質液を滴下する手法としては、滴状で滴下してもよいが、これに限定されず霧状で滴下(噴霧)することもできる。
発色合成酵素基質液を培地上の細菌集落上にに滴下する場合の滴下量は、滴下の対象である細菌集落、または吸収体において変色が生じた部分が液滴によって覆われるように、滴下対象(細菌集落または吸収体の変色部分)の大きさ、滴下する液の濃度等に応じて設定される。
【0031】
また、培地上に発色合成酵素基質液を滴下した後、これらを反応させるために、培養を行うことが好ましい。このような細菌集落と発色合成酵素基質とを反応させるための培養では25〜40℃、好ましくは約35℃で、10分〜2時間程度、好ましくは10分〜1時間程度培養することが好ましい。このように細菌集落と発色合成酵素基質とを接触させた後に培養することにより、培地上で生育した大腸菌群が発色合成酵素基質と反応し、大腸菌群と接触している発色合成酵素基質が発色する。
【0032】
本実施形態における主な操作手順を簡略化して模式的に記載すると次のようになる。
(1)培地(誘導物質)−検体接種−培養(生育)−色素添加−培養(反応)−基質添加−培養(反応)
【0033】
本実施形態によれば、検体がβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を含むグラム陽性細菌生育阻害平板培地にて培養されることにより、グラム陰性細菌の集落が形成される。そして培地上に形成された細菌集落と酸化還元色素とを反応させると、酸化還元色素が微生物によって還元された部分でのみ変色が生じるので、これにより検体中の固体共雑物と細菌集落とを区別することができる。このようにして識別されたグラム陰性の細菌集落に対して、β−ガラクトシダ−ゼの存在により発色する発色合成酵素基質を反応させることにより、細菌集落のうち、グラム陰性のβ−ガラクトシダ−ゼを発現する細菌、すなわち大腸菌群が存在する部分のみが発色するので、これによって大腸菌群を検出することができる。かかる方法は、検体が大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む場合も、これを大腸菌群の集落と誤判定することがない。
【0034】
また、大腸菌群の中にはβ−ガラクトシダ−ゼの発現が弱い菌種が存在するが、本実施形態では、特に、予め培地中にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質が添加されているので、β−ガラクトシダ−ゼの発現の弱い大腸菌群であってもβ−ガラクトシダ−ゼの発現が促進されるので、発色合成酵素基質と感度良く反応し、大腸菌群を高感度で検出することができる。
また本実施形態において、培地上に酸化還元色素を存在させてから、その変色を判定するのに要する時間は10分間〜2時間程度である。また、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合酵素基質液を滴下した後、大腸菌群の細菌集落の有無を判定するのに要する時間は10分間〜2時間程度である。したがって、本実施形態によれば、培地に検体を接種してから8〜16時間という短時間で、迅速かつ簡便に大腸菌群を検出することができる。
【0035】
本実施形態において、培養後に形成された細菌集落に酸化還元色素を接触させる方法として上述したいずれの方法を用いても同様に大腸菌群の検出を行うことができるが、特に、培地上に形成された細菌集落上に、これを覆う大きさの吸収体小片を載せ、該吸収体に対して酸化還元色素液を滴下する方法は、細菌集落に対して直接酸化還元色素液を滴下する方法に比べて、酸化還元色素が変色する色調に応じて、該変色を判別し易い色調の吸収体を選択して用いることができるので、変色の程度を判定し易い点で好ましい。
【0036】
また本実施形態では、培養後に、細菌集落に酸化還元色素を接触させたが、下記(2)に記載するように、培地に検体を接種した後、本実施形態と同様の方法を用いて酸化還元色素を培地上に存在させ、しかる後に培養を行う態様でもよい。
(2)培地(誘導物質)−検体接種−色素添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0037】
例えばこの態様(2)のように、培地上に酸化還元色素を存在させる時点で細菌集落は形成されていない場合は、培地上に酸化還元色素液を滴下する際に、少なくとも検体が接種された部分に酸化還元色素液を広げることができる程度に滴下することが好ましく、吸収体を用いる場合は少なくとも検体が接種された部分を覆う大きさの吸収体を用いることが好ましい。
【0038】
上記第一の実施形態では培養を計3回行うことが必要であったが、本態様(2)によれば、1回目の培養で細菌の生育と酸化還元色素と細菌集落との反応を同時に行うことができるので、本実施形態よりも検出時間を短縮させることが可能である。
このように、細菌を生育させると同時に細菌と酸化還元色素とを反応させるための培養条件は、25〜40℃、好ましくは35℃で、8〜24時間、好ましくは8〜14時間とするのが好ましい。
【0039】
あるいは、下記(3)に記載するように、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を含む培地上に、本実施形態と同様の方法を用いて酸化還元色素を存在させ、しかる後に検体を接種して培養を行う態様でもよい。
(3)培地(誘導物質)−色素添加−検体接種−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0040】
例えばこの態様(3)のように、検体接種前に、培地上に酸化還元色素液を滴下する場合は、培地のほぼ全面に酸化還元色素液を広げることができるように滴下し、好ましくは乾燥させた後、その上に検体を接種することが好ましい。また、吸収体を用いる場合は培地のほぼ全面を覆う大きさの吸収体を用い、該吸収体上に検体を接種することが好ましい。
【0041】
上記第一の実施形態では培養を計3回行うことが必要であったが、本態様によれば、1回目の培養で細菌の生育と酸化還元色素と細菌集落との反応を同時に行うことができるので、本実施形態よりも検出時間を短縮させることが可能である。
【0042】
[第二の実施形態]
本発明の大腸菌群の検出方法の第二の実施形態について説明する。
本実施形態では、予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を添加して調製されたグラム陽性細菌生育阻害平板培地を用意し、これに検体を接種する。検体の接種は前記第一の実施形態と同様にして行うことができる。
培地へのβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の好ましい添加量は、前記第一の実施形態と同様である。
培地への酸化還元色素の好ましい添加量は、少なすぎると判定に必要な変色が得られず、多すぎると菌の発育を阻害するおそれがある。したがって、培地における酸化還元色素の濃度は、レサズリントリウムおよびTTCについては0.01〜1g/100ml培地であり、より好ましくは0.05〜0.5g/100ml培地程度とすることが望ましい。
【0043】
続いて検体が接種された上記培地を培養する。培養は、25〜40℃、好ましくは35℃で、8〜24時間、好ましくは8〜14時間の条件で行うことが好ましい。
これにより、培地上では細菌が生育して集落が形成されるとともに、細菌が、これと接触している酸化還元色素を還元し酸化還元色素が変色する。
【0044】
次いで、酸化還元色素を変色させた細菌集落に対して、上記第一の実施形態と同様にして、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液を滴下し、これらを反応させるために培養を行う。これにより、大腸菌群が存在する部分のみが発色するので、大腸菌群を検出することができる。
【0045】
本実施形態における主な操作手順を簡略化して模式的に記載すると次のようになる。
(4)培地(誘導物質・色素)−検体接種−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0046】
本実施形態によれば、上記第一の実施形態と同様の原理により、β−ガラクトシダ−ゼの発現が弱い大腸菌群であっても、高感度に、しかも迅速かつ簡便に検出することができる。
特に本実施形態では、培地に、予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素が添加されているので、これらを培地上に添加する操作が不要であり、また、1回目の培養で細菌の生育と酸化還元色素と細菌集落との反応を同時に行うことができるので、検出時間を短縮させるうえでより好ましい。
【0047】
[第三の実施形態]
本発明の大腸菌群の検出方法の第三の実施形態について説明する。
本実施形態では、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質や酸化還元色素が添加されていないグラム陽性細菌生育阻害平板培地を用意し、該培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させた後、検体を接種する。
培地上に前記誘導物質を存在させる方法としては、前記平板培地表面上に、前記誘導物質を直接存在させる方法、または吸収体に吸収させた状態で存在させる方法のいずれもでもよい。
培地上に前記誘導物質を直接存在させる手法としては、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を滴状で滴下する方法や、霧状で滴下(噴霧)する方法を用いることができる。
吸収体に吸収させた状態で存在させる手法としては、吸収体を平板培地表面に載せた後、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を滴下して該吸収体に吸収させる方法、または予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を吸収させた吸収体を平板培地表面に載せる方法のいずれでもよい。
本実施形態のように、検体接種前に培地上に吸収体を載せる場合、該吸収体は平板培地表面のほぼ全部を覆う形状、大きさであるほうが好ましい。
【0048】
本実施形態においてβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質は溶液状で用いられ、好ましくは水溶液で用いられる。使用するβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液の好ましい濃度は、1〜500mg/mlであり、より好ましくは10〜50mg/ml程度である。
【0049】
例えば本実施形態のように、検体接種前にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を培地上に滴下する場合、その滴下量は、滴下した液体を平板培地表面の全面に広げることができるように、培地表面の大きさ、滴下する液の濃度等に応じて設定される。また、該誘導物質液の滴下後、検体の接種前に培地表面を乾燥させると、検体液の吸収を高めることができるので好ましい。
また本実施形態のように、検体接種前に培地上に吸収体を載せて、これに対してβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を滴下する場合、その滴下量は、滴下の対象である吸収体全体に該誘導物質液が含浸されている状態となるように、吸収体の大きさ、滴下する液の濃度等に応じて設定される。
また本実施形態のように、検体接種前に、予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を吸収させた吸収体を培地上に載せて用いる場合、後工程で、該吸収体上に接種される検体が、培地成分およびβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質と接触するように構成することが必要である。したがって、吸収体全体に該誘導物質液が含浸されている状態となるように、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を吸収させることが好ましく、吸収させる量は吸収体の大きさ、吸収せる液の濃度等に応じて設定される。また、吸収体に吸収させた後、乾燥処理を施すことが保管安定性のうえでより好ましい。
【0050】
検体の接種は前記第一の実施形態と同様にして行うことができる。接種前に培地上に吸収体を載せた場合は、該吸収体上に検体を接種する。
続いて検体が接種された上記培地を培養して細菌を生育させる。この培養は、25〜40℃、好ましくは35℃で、8〜24時間、好ましくは8〜12時間の条件で行うことが好ましい。これにより、培地上では細菌が生育して集落が形成される。
【0051】
次いで、培養後、形成された細菌集落と酸化還元色素を接触させて反応させる。細菌集落と酸化還元色素とを接触させる方法としては、前記第一の実施形態と同様に、生育した細菌集落が存在する平板培地表面上に、直接酸化還元色素液を滴下する方法、吸収体を平板培地表面に載せた後、酸化還元色素液を滴下して吸収体に吸収させる方法、または予め酸化還元色素液を吸収させた吸収体を平板培地表面に載せる方法のいずれを用いることもできる。前工程で、培地上に既に吸収体を載せている場合は、該吸収体に酸化還元色素液を滴下して吸収させる方法が最も好ましい。
【0052】
このようにして細菌集落と酸化還元色素とを接触させた後、これらを反応させるために、前記第一の実施形態と同様にして培養を行う。これにより培地上の細菌が、これと接触している酸化還元色素を還元し、酸化還元色素が変色する。具体的には、培地上に滴下した酸化還元色素が変色するか、または培地上に載せた吸収体において変色が生じる。
【0053】
次いで、酸化還元色素を変色させた細菌集落に対して、上記第一の実施形態と同様にして、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液を滴下し、これらを反応させるために培養を行う。これにより、大腸菌群が存在する部分のみが発色するので、大腸菌群を検出することができる。
【0054】
本実施形態における主な操作手順を簡略化して模式的に記載すると次のようになる。
(5)培地−誘導物質添加−検体接種−培養(生育)−色素添加−培養(反応)−基質添加−培養(反応)
【0055】
本実施形態によれば、上記第一の実施形態と同様の原理により、β−ガラクトシダ−ゼの発現が弱い大腸菌群であっても、高感度に、しかも迅速かつ簡便に検出することができる。
特に本実施形態(5)は、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質や酸化還元色素を含まない培地を用いるので、培地にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および/または酸化還元色素を含有させる方法に比べて、市販の培地を使用することができるという利点を有する。
【0056】
また本実施形態では、検体の接種前に、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させたが、下記(6)に記載するように、培地に検体を接種した後、本実施形態と同様の方法を用いてβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を培地上に存在させ、しかる後に培養を行う態様でもよい。
(6)培地−検体接種−誘導物質添加−培養(生育)−色素添加−培養(反応)−基質添加−培養(反応)
この態様(6)では、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させる際に、少なくとも培地に接種された検体にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質が接触するように存在させればよい。
【0057】
あるいは、本実施形態では培養後に細菌集落に酸化還元色素を接触させたが、下記(7)に示すように、検体の接種後、本実施形態と同様の方法を用いて酸化還元色素を培地上に存在させ、しかる後に培養を行う態様でもよい。
(7)培地−誘導物質添加−検体接種−色素添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0058】
あるいは、下記(8)または(9)に記載するように、培地に検体を接種した後、本実施形態と同様の方法を用いてβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を順に存在させ、しかる後に培養を行う態様でもよい。培地上に、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させる工程と酸化還元色素を存在させる工程の順序は任意とすることができる。
(8)培地−検体接種−誘導物質添加−色素添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
(9)培地−検体接種−色素添加−誘導物質添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0059】
あるいは、下記(10)に記載するように、培地上に、本実施形態と同様の方法を用いて酸化還元色素を存在させた後に検体を接種し、しかる後にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を培地上に存在させてから培養を行う態様でもよい。
(10)培地−色素添加−検体接種−誘導物質添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0060】
[第四の実施形態]
本発明の大腸菌群の検出方法の第四の実施形態について説明する。
本実施形態では、予め酸化還元色素を添加して調製されたグラム陽性細菌生育阻害平板培地を用意し、これに検体を接種する。
培地への酸化還元色素の添加量は、前記第二の実施形態と同様とされる。
検体の接種は前記第一の実施形態と同様に行うことができる。
【0061】
次いで、培地上に、前記第3の実施形態と同様にしてβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させた後、培養を行って細菌を生育させるとともに、細菌と培地中の酸化還元色素とを反応させる。
培養は、25〜40℃、好ましくは35℃で、8〜24時間、好ましくは8〜14時間の条件で行うことが好ましい。
これにより、培地で生育する細菌が、これと接触している酸化還元色素を還元し、培地に添加されている酸化還元色素が変色する。具体的には、培地において変色が生じる。
【0062】
次いで、培地中の酸化還元色素を変色させた細菌集落に対して、前記第一の実施形態と同様にして、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液を滴下し、これらを反応させるために培養する。
これにより、培地上で生育した大腸菌群が発色合成酵素基質と反応し、この大腸菌群と接触している発色合成酵素基質が発色する。
【0063】
本実施形態における主な操作手順を簡略化して模式的に記載すると次のようになる。
(11)培地(色素)−検体接種−誘導物質添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0064】
本実施形態によれば、第一の実施形態と同様の原理により、β−ガラクトシダ−ゼの発現が弱い大腸菌群であっても、高感度に、しかも迅速かつ簡便に検出することができる。
特に本実施形態では、培地に、予め酸化還元色素が添加されているので、1回目の培養で細菌の生育と酸化還元色素と細菌集落との反応を同時に行うことができ、検出時間を短縮させるうえでより好ましい。
【0065】
また本実施形態では、検体の接種後に、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させたが、下記(12)に記載するように、本実施形態と同様の方法を用いてβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を培地上に存在させ、しかる後に検体の接種を行う態様でもよい。
(12)培地(色素)−誘導物質添加−検体接種−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0066】
[第五の実施形態]
以下、本発明の第五の実施形態について説明する。
本実施形態が前記第三の実施形態と大きく異なる点は、前記第三の実施形態におけるβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液に代えて、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質と酸化還元色素を含む混合液を用い、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質と酸化還元色素を同時に存在させる点である。
本実施形態で用いられる、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質と酸化還元色素を含む混合液の溶媒としては、無菌処理された水または水とアルコールとの混合溶媒等を好ましく用いることができる。該混合液中におけるβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液の好ましい濃度、および酸化還元色素の好ましい濃度は、前記第三の実施形態において、それぞれ単独の溶液として用いる場合の好ましい濃度と同様である。
【0067】
本実施形態において、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を同時に存在させた後、検体を接種する。
そして培養を行って、細菌を生育させるとともに細菌と酸化還元色素とを反応させる。この培養は、25〜40℃、好ましくは35℃で、8〜24時間、好ましくは8〜14時間の条件で行うことが好ましい。これにより、培地上では細菌が生育して集落が形成されるとともに、細菌が酸化還元色素を還元して変色が生じる。
【0068】
次いで、酸化還元色素を変色させた細菌集落に対して、上記第一の実施形態と同様にして、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液を滴下し、これらを反応させるために培養を行う。これにより、大腸菌群が存在する部分のみが発色するので、大腸菌群を検出することができる。
【0069】
本実施形態における主な操作手順を簡略化して模式的に記載すると次のようになる。
(13)培地−誘導物質・色素同時添加−検体接種−培養(生育・反応)−培養(反応)−基質添加−培養(反応)
【0070】
本実施形態によれば、上記第一の実施形態と同様の原理により、β−ガラクトシダ−ゼの発現が弱い大腸菌群であっても、高感度に、しかも迅速かつ簡便に検出することができる。また、特にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質と酸化還元色素を含む混合液を用いるので、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を存在させる操作と、培地上に酸化還元色素を存在させる操作を同時に行うことができるので、操作が簡略化される。
【0071】
また本実施形態では、検体の接種前に、培地上にβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を存在させたが、下記(14)に記載するように、培地に検体を接種した後、本実施形態と同様の方法を用いてβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を同時に培地上に存在させ、しかる後に培養を行う態様でもよい。
(14)培地−検体接種−誘導物質・色素同時添加−培養(生育・反応)−基質添加−培養(反応)
【0072】
[検出キット]
上記の各実施形態および各態様は、本発明の検出キットを用いて好適に行うことができる。以下、本発明に係る大腸菌群の検出キットについて説明する。
本発明の検出キットは、少なくとも、培地に対して、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を供給するための第1の手段と、酸化還元色素を供給するための第2の手段と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合酵素基質を供給するための第3の手段とを備えている。
前記第3の手段としては、(3a)β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器が用いられる。
【0073】
前記第1の手段としては、(1a)β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地、(1b)β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液とこれを収容する誘導物質液滴下用容器との組み合わせ、(1c)β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液とこれを収容する誘導物質液滴下用容器と吸収体の組み合わせ、および(1d)予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液が吸収された吸収体、の中から実施する方法に応じていずれか1種が選択される。
【0074】
前記第2の手段としては、(2a)酸化還元色素が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地、(2b)酸化還元色素液とこれを収容する色素液滴下用容器との組み合わせ、(2c)酸化還元色素液とこれを収容する色素液滴下用容器と吸収体の組み合わせ、および(2d)予め酸化還元色素液が吸収された吸収体、の中から実施する方法に応じていずれか1種が選択される。
【0075】
また、実施する方法によっては、第1の手段と第2の手段を兼ねるものとして、(12a)β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地、(12b)β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を含む混合液とこれを収容する混合液滴下用容器との組み合わせ、(12c)前記混合液とこれを収容する混合液滴下用容器と吸収体の組み合わせ、および(12d)予めβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素が吸収された吸収体、の中から実施する方法に応じていずれか1種が選択される。
【0076】
前記誘導物質液滴下用容器、色素液滴下用容器、および基質液滴下用容器は、細菌集落、または培地上に載せられた吸収体に直接滴下することが出来る容器であれば、如何なるものであってもよいが、具体的には、市販の点眼ボトル、スポイト瓶、ノズルバイアル、ノズルキャップ付き容器等(竹中容器社製、マルコム社製等)が例示できる。
また上記のβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および/または酸化還元色素が予め添加された培地1a、2a、12aは、生培地であることが利便性上望ましい。
【0077】
例えば、前記態様(1)〜(3)を実施するのに好適な検出キットにおける各手段の組み合わせは、1a、{2b、2c、2dのいずれか}、および3aである。
前記態様(4)を実施するのに好適な検出キットにおける各手段の組み合わせは、12aおよび3aである。
前記態様(5)〜(10)を実施するのに好適な検出キットにおける各手段の組み合わせは、{1b、1c、1dのいずれか}、{2b、2c、2dのいずれか}、および3aである。
前記態様(11)および(12)を実施するのに好適な検出キットにおける各手段の組み合わせは、{1b、1c、1dのいずれか}、2a、および3aである。
前記態様(13)および(14)を実施するのに好適な検出キットにおける各手段の組み合わせは、{12b、12c、12dのいずれか}、および3aである。
第1の手段および第2の手段のいずれか一方として吸収体を用いる手段を選択する場合、他方は吸収体を用いない手段を選択することが好ましい。
【0078】
【実施例】
試験例1(β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の添加効果の試験)
この試験は、検体が大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む場合に、本発明に係る大腸菌群の検出方法によって、β−ガラクトシダ−ゼの発現が弱いエンテロバクタ−アエロゲネスを有効に検出できることを確認するために行った。
1)試験培地
グラム陽性細菌生育阻害平板培地として、市販のデオキシコ−ル酸寒天培地(メルクジャパン社製)に、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質としてイソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド(IPTG)を1mg/100ml培地となるように添加したものを常法により調製し、無菌室内で直径9cmのプラスティック製滅菌シャ−レ(栄研器材社製)に1枚あたり20ml分注し、冷却し、水平に固めた後、菌液の吸収を高めるためにクリ−ンブ−ス内で培地表面をよく乾燥させた。
比較のために、IPTGを添加しない他は同様にして試験培地を調製した。
【0079】
2)試験菌液(検体)の調製
試験菌株として、微生物保存機関であるアメリカンタイプカルチャ−コレクションより分譲されたエンテロバクタ−・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)ATCC 13048を使用した。
前記試験菌株を滅菌生理食塩水で希釈した希釈液(濃度100cfu(colony forming unit)/ml)の9mlと、市販のプレ−ンヨ−グルト(森永乳業社製)1gとを混合し菌液を調製した。
【0080】
3)試薬の調製
酸化還元色素としてレサズリンナトリウム(和光純薬工業社製)を精製水に10mg/mlの濃度で溶解し、レサズリン試薬(酸化還元色素液)を調製した。発色合成酵素基質として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL、和光純薬工業社製)をジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)に20mg/mlの濃度で溶解し、X−GAL試薬(発色合成酵素基質液)とした。
【0081】
4)試験方法
前記2)で調製した菌液を、前記試験培地に、1枚当たり0.4g塗抹した後、35℃で8〜12時間培養した。培養後、培地全体を覆うろ紙(東洋ろ紙社製)を載せて密着させた後、このろ紙上に前記レサズリン試薬を滴下した。そして、35℃で1時間反応させた後、このろ紙における暗紫色〜濃青色から薄いピンク色または無色へ変色の有無を肉眼で観察した。
さらに、このろ紙の、薄いピンク色または無色への変色が確認された部分に前記X−GAL試薬を滴下した。そして、35℃で1時間発色反応させた後、青色の発色が生じたかどうかを肉眼で観察した。発色度合の判定は前述の発色の判定方法により行った。
【0082】
5)試験結果
結果を下記表1及び表2に示す。
【表1】
Figure 2004187588
【0083】
【表2】
Figure 2004187588
【0084】
これらの結果より、表1に示されるように、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質(IPTG)を添加した場合は、これを添加しない場合に比べて、酸化還元色素(レサズリン試薬)の変色を得るのに必要な培養時間が1時間短かった。
また表2に示されるように、レサズリンの変色が確認された部分に発色合成酵素基質(X−GAL試薬)を滴下したとき、培地にIPTGを添加した場合は、培養時間が9時間以上で十分な発色が認められたのに対して、培地にIPTGを添加しなかった場合は、12時間の培養でも十分な発色は認められなかった。
これらのことから、検体をβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の存在下で培養した場合は、β−ガラクトシダ−ゼの発現が非常に少なくてX−GAL試薬の発色が遅い菌であるエンテロバクタ−アエロゲネスであっても、迅速にかつ精度良く検出することができることが認められた。これに対して、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を用いない場合は、培養時間が12時間でもX−GAL試薬の発色が弱く、これより短い培養時間では、エンテロバクタ−アエロゲネスを検出できないおそれがある。
【0085】
試験例2(β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の濃度)
この試験は、培地に添加するβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の好適な濃度を調べるために行った。
1)試験培地
グラム陽性細菌生育阻害平板培地として、市販のデオキシコ−ル酸寒天培地(メルクジャパン社製)にIPTGを添加した培地を、常法により調製し、無菌室内で直径9cmのプラスティック製滅菌シャ−レ(栄研器材社製)に1枚あたり20ml分注し、冷却し、水平に固めた後、試験菌液の吸収を高めるためにクリ−ンブ−ス内で培地表面をよく乾燥させた。
培地を調製する際に、培地におけるIPTGの濃度を、下記表3に示すように、0、0.0001、0.001、0.01、0.1、1、2.5、5、10、50、100、500、1000、5000mg/100ml培地と変化させた。
【0086】
2)試験菌液(検体)の調製
試験菌液は上記試験例1と同様に調製したものを使用した。
【0087】
3)試薬の調製
酸化還元色素としてトリフェニルテトラゾリウムクロライド(TTC、和光純薬工業社製)を精製水に5mg/mlの濃度で溶解し、TTC試薬(酸化還元色素液)とした。
発色合成酵素基質として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL、和光純薬工業社製)をジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)に30mg/mlの濃度で溶解し、X−GAL試薬(発色合成酵素基質液)とした。
【0088】
4)試験方法
前記2)で調製した菌液を前記試験培地に、1枚当たり0.4gを塗抹し、35℃で8〜12時間培養した。培養後、コロニ−およびコロニ−様の状態を示したヨ−グルトのカ−ドそれぞれに5mm四方のろ紙(東洋ろ紙社製、No.5)を載せて密着させた。そして、上記TTC試薬を滴下後、35℃で45分間培養して反応させ、このろ紙が無色から赤色へ変色したかどうかを肉眼で観察した。
さらに、ろ紙の赤色への変色が確認された部分にX−GAL試薬を滴下して、35℃で30分間培養して反応させ、青色の発色が生じたかどうかを肉眼で観察した。発色度合の判定は前述の発色の判定方法により行った。
【0089】
5)試験結果
この試験の結果を下記表3に示す。表3における×、△、○、◎はそれぞれ次の通りである。×:青色の発色無し、△:青色の弱い発色有り、○:青色の発色有り、◎:十分な発色有り。
【0090】
【表3】
Figure 2004187588
【0091】
この試験の結果、培地におけるIPTGの濃度が5000mg/100mlの場合、TTC試薬(酸化還元色素液)の変色が認められなかったことから、コロニ−の発育が阻害されたと考えられる。
培地におけるIPTGの濃度が1000mg/100mlの場合、培養時間10〜12時間でTTC試薬の変色が認められたが、X−GALによる発色は観察されなかった。
表3の結果より、培地におけるIPTGの濃度の上限は、500mg/100ml培地以下、好ましくは50mg/100ml培地以下、より好ましくは5mg/100ml以下と認められる。一方、培地におけるIPTGの濃度の下限は、0.1mg/100ml培地以上が好ましく、より好ましくは1mg/100ml培地以上であると認められる。
【0092】
さらに、グラム陽性細菌生育阻害培地の種類(具体的には、硫酸ラウリル寒天培地等)、発色合成酵素基質の種類(5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド、6−クロロ−3−インドリル−β−ガラクトピラノシド等)、酸化還元色素の種類(レサズリンナトリウム等)、およびβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の種類(メチル−β−D−チオガラクトシド等)を適宜変更して本試験例2と同様の試験を行なったところ、IPTGの好適な濃度については、ほぼ同様の結果が得られた。
【0093】
以下、実施例を示してさらに本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
実施例1
酸化還元色素として、トリフェニルテトラゾリウムクロライド(和光純薬工業社製)を精製水に1%(W/W)の濃度で溶解し、TTC試薬として使用した。
発色合成酵素基質として、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(MAGENTA−GAL、 和光純薬工業社製)をジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)の50%濃度の水溶液に40mg/mlの濃度で溶解し、MAGENTA−GAL 試薬として使用した。MAGENTA−GALは、大腸菌群および大腸菌の集落を紫色に発色する発色合成酵素基質である。
これらの試薬を使用して、次に示すとおり、大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む検体についての大腸菌群の検出を実施した。
【0094】
グラム陽性細菌生育阻害培地として、市販のラウリル硫酸ブロス調製用粉末培地(日本ベクトン・デッキンソン社製)に、寒天(ディフコ社製)を1.5%濃度で、およびβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質としてIPTG(和光純薬工業社製)を1mg/100ml培地濃度で加えて、常法により培地液を調製した。さらに、上記で調製した濃度5%(W/W)のTTC試薬を10ml/培地1Lとなるように、無菌的に添加し、攪拌した。得られた混合液を、無菌室内で、直径9cmのプラスチック製シャ−レ(栄研器材社製)に1枚あたり20ml分注し、冷却固化、室温に1週間放置し、十分に乾操したものをグラム陽性細菌生育阻害平板培地として使用した。
【0095】
検体には市販のパイン果肉(生)を用いた。パイン果肉(生)はβ−ガラクトシダ−ゼを含有することが知られている。
上記パイン果肉を細かく磨砕した後、滅菌生理食塩水で5倍(質量基準)に希釈した分散液0.5mlに対して、前記エンテロバクタ−・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)ATCC13048、および同じ機関より分譲されたシュ−ドモナス・エルジノ−ザ(Pseudomonas aeruginosa)ATCC5516のそれぞれの菌株を、滅菌生理食塩水にて1,000cells/mlに調製した菌液を、各々0.01ml添加して試験検体を調製した。この試験検体0.52mlを、上記培地に塗抹し、35℃で12時間培養した。
【0096】
培養後、培地上の赤く着色された18の細菌集落に、MAGENTA−GAL試薬をピペットを用いて滴下し、35℃で30分間培養した後、培地表面における発色を観察した。
その結果、MAGENTA−GALを滴下した18の細菌集落のうち、12の細菌集落が紫に発色し、6の細菌集落が赤いままであった。
【0097】
紫に発色した細菌集落と、赤色の細菌集落について、市販の試験キットを使用して細菌の同定を行った結果、紫に発色した細菌集落はエンテロバクタ−・アエロゲネス、赤色の細菌集落はシュ−ドモナス・エルジノ−ザであることが確認された。なお、細菌の同定に用いた試験キットとは、栄研化学社製「バイオテスト1号‘栄研’」および「バイオテスト2号‘栄研’」である。なお「バイオテスト1号‘栄研’」は腸内細菌・グラム陰性発酵性桿菌同定用キットであり、「バイオテスト2号‘栄研’」はブドウ糖非発酵グラム陰性桿菌同定用キットである。
【0098】
この結果、本実施例によれば、β−ガラクトシダ−ゼを含有する生フル−ツの細かい小片を大腸菌群と誤判定することなく、かつβ−ガラクトシダ−ゼの発現が弱くて発色合成酵素基質の発色が弱い大腸菌群であるエンテロバクタ−・アエロゲネスと、大腸菌群ではないグラム陰性菌のシュ−ドモナス・エルジノ−ザとを有効に鑑別することができることが認められた。
【0099】
実施例2
酸化還元色素として、レサズリンナトリウム塩(Resazurin sodium salt、和光純薬工業社製)を、濃度50質量%のエタノ−ル(和光純薬工業社製)水溶液に、5mg/mlの濃度で溶解して酸化還元色素液を得た。これを、色素液滴下用容器として5ml容量のポリプロピレン製点眼ボトル(竹本容器社製)に分注した。
発色合成酵素基質として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド(X−GAL、 和光純薬工業社製)を、濃度50質量%のジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)水溶液に20mg/mlの濃度で溶解し、発色合成酵素基質液を得た。これを、基質液滴下用容器として5ml容量のポリプロピレン製点眼ボトル(竹本容器社製)に分注した。
また、吸収体として、市販のろ紙(東洋ろ紙社製)を用いた。
【0100】
グラム陽性細菌生育阻害培地として、市販のデオキシコ−ル酸寒天培地(栄研化学社製)にIPTGを培地1Lあたり20mgになるよう添加し、常法により調製して培地液を得た。得られた培地液を無菌室内で、直径9cmのプラスチック製シャ−レ(栄研器材社製)に1枚あたり20ml分注し、冷却固化した後、室温に1週間放置して十分に乾操させて平板培地を得た。
【0101】
検体は、市販の挽き肉(生)、および玉ねぎ等の生野菜等を使用した手作りハンバ−グ(未加熱品)を用いた。なお、生肉、玉ねぎにはβ−ガラクトシダ−ゼが含まれることが知られている。
上記ハンバ−グを更に細かく挽いた後、これを滅菌生理食塩水で5倍(質量基準)に希釈した分散液0.5mlに、前記エンテロバクタ−・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)ATCC13048添加して菌液を調製した。この菌液を、上記培地に塗抹し、35℃で12時間培養した。
【0102】
培養後、培地表面の全面上にろ紙(東洋ろ紙社製)を載せ、上記酸化還元色素液をろ紙全体に滴下し、35℃で30分間培養した。これにより、ろ紙が淡紅色から無色となった31の区域に対して、それぞれ上記発色合成酵素基質液を滴下し、35℃で30分間培養した後、発色の有無を観察した。
その結果、明確に青く発色した23区域と、全く発色が認められない8区域が観察された。
【0103】
培地表面より、ろ紙を取り除き、青く発色した区域の細菌集落と、発色の認められない区域の細菌集落について、前記実施例1と同様にして、常法により細菌の同定を行った結果、青発色ありの細菌集落はエンテロバクタ−アエロゲネスおよび他の大腸菌群であり、青発色なしの細菌集落は大腸菌群陰性であることが確認された。
この結果、本実施例によれば、β−ガラクトシダ−ゼを含有する生肉、玉ねぎの細かく挽かれた小片を大腸菌群と誤判定することなく、かつβ−ガラクトシダ−ゼの発現が弱くて発色合成酵素基質の発色が弱い大腸菌群であるエンテロバクタ−・アエロゲネスを、高感度で検出できた。
【0104】
実施例3
β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質としてIPTG(和光純薬工業社製)を、無菌精製水にて5mg/mlの濃度に調製してβ−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液を得た。これを誘導物質液滴下用容器として、5ml容量のポリプロピレン製点眼ボトル(竹本容器社製)に分注した。
酸化還元色素としてレサズリンナトリウム塩(Resazurin sodiumu salt、和光純薬工業社製)を、80%濃度のエタノ−ル(和光純薬工業社製)水溶液に、5mg/mlの濃度で溶解して酸化還元色素液を得た。これを色素液滴下用容器として、5ml容量のポリプロピレン製点眼ボトル(竹本容器社製)に分注した。
発色合成酵素基質として、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド(MUGA 和光純薬工業社製)を、80%濃度のジメチルホルムアミド(和光純薬工業社製)水溶液に20mg/mlの濃度で溶解して発色合成酵素基質液を得た。これを基質液滴下用容器として5ml容量のポリプロピレン製点眼ボトル(竹本容器社製)に分注した。
吸収体として、市販のろ紙(東洋ろ紙社製)を用いた。
【0105】
グラム陽性細菌生育阻害培地として、市販のデオキシコ−ル酸寒天培地(栄研化学社製)を常法により調製して、無菌室内で、直径9cmのプラスチック製シャ−レ(栄研器材社製)に1枚あたり15ml分注し、冷却固化した後、室温に1週間放置し、十分に乾操させた。
検体は、市販のヨ−グルト(森永乳業社製)を用いた。ヨ−グルトは、ヨ−グルトカ−ド中に存在する乳酸菌がβ−ガラクトシダ−ゼを含むことが知られている。
【0106】
上記培地上に上記IPTG液を約0.5ml滴下し、培地面全体に広げた後、恒温乾燥機にて十分に乾燥させた。
上記ヨ−グルトを、滅菌生理食塩水で5倍(質量基準)に希釈した分散液0.5mlに、前記エンテロバクタ−・アエロゲネス(Enterobacter aerogenes)ATCC13048を、濃度100cfu(colony forming unit)/mlとなるように調製した菌液0.5mlを添加してなる検体を、前記培地に1枚当たり0.5g塗抹し、35℃で12時間培養した。
【0107】
培養後、培地上に生育した細菌集落上に、市販のろ紙(東洋ろ紙社製)を5mm四方に裁断した小切片を載せ、上記酸化還元色素液をろ紙上に滴下し、35℃で30分間培養した。これにより、ろ紙が淡紅色から無色となった31の区域に対し、それぞれ前記発色合成酵素基質液を滴下し、35℃で60分間培養した。培養後、発色合成酵素基質液による蛍光発色の有無を、マナスルライト(マナスル化学工業社製)を用いて観察した。
その結果、31区域全部において明確な蛍光発色が観察された。
【0108】
培地表面より、ろ紙を取り除き、蛍光発色した区域の細菌集落と、蛍光発色の認められない区域の細菌集落について、上記実施例1と同様の常法に基いて細菌の同定を行った結果、蛍光発色ありの細菌集落はエンテロバクタ−アエロゲネスであった。
これより、本実施例によれば、乳酸菌を含むカ−ドを大腸菌群と誤判定することなく、かつβ−ガラクトシダ−ゼの発現が弱くて発色合成酵素基質の発色が弱いエンテロバクタ−・アエロゲネスを感度良く検出できることが認められた。
【0109】
【発明の効果】
以上詳細に記載した通り、本発明によれば、大腸菌群に由来しないβ−ガラクトシダ−ゼを含む検体であっても、またβ−ガラクトシダ−ゼの発現が弱くて発色合成酵素基質の発色が弱い大腸菌群であっても、短時間で、簡易かつ感度良く検出することができる。
また、特に、発色合成酵素基質を滴下により供給するので、該発色合成酵素基質を培地に含有させる場合と異なり、発色合成酵素基質液の溶媒による細菌の生育阻害等の影響を考慮することない。したがって、比較的高濃度の発色合成酵素基質を使用することができ、強い発色を得て高感度の検出を行なうことができる。

Claims (23)

  1. 検体を、グラム陽性細菌生育阻害平板培地にて、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質の存在下で培養して得られた細菌集落であり、かつ酸化還元色素と接触して該色素を変色させた細菌集落に、β−ガラクトシダ−ゼの存在により発色する発色合成酵素基質を反応させ、該発色合成酵素基質の発色性を指標として大腸菌群を検出することを特徴とする大腸菌群の検出方法。
  2. 前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を、前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させた後、該培地に前記検体を接種して培養することを特徴とする請求項1記載の大腸菌群の検出方法。
  3. 前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地に検体を接種した後、培養する前に、前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を前記培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させることを特徴とする請求項1記載の大腸菌群の検出方法。
  4. 前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質を含有するグラム陽性細菌生育阻害平板培地にて、前記検体を培養することを特徴とする請求項1記載の大腸菌群の検出方法。
  5. 前記酸化還元色素を含有するグラム陽性細菌生育阻害平板培地にて、前記検体を培養することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の大腸菌群の検出方法。
  6. 前記検体を接種する前に、前記酸化還元色素を前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の大腸菌群の検出方法。
  7. 前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地に検体を接種した後、培養前に、前記酸化還元色素を前記培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の大腸菌群の検出方法。
  8. 前記検体を前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地に接種し、培培養した後、前記酸化還元色素を前記培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の大腸菌群の検出方法。
  9. 前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および前記酸化還元色素を含有するグラム陽性細菌生育阻害平板培地にて、前記検体を培養することを特徴とする請求項1記載の大腸菌群の検出方法。
  10. 前記検体を接種する前に、前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および前記酸化還元色素を含む混合液を前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させることを特徴とする請求項1記載の大腸菌群の検出方法。
  11. 前記グラム陽性細菌生育阻害平板培地に検体を接種した後、培養する前に、前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素を含む混合液を前記培地上に、直接又は吸収体に吸収させた状態で、存在させることを特徴とする請求項1記載の大腸菌群の検出方法。
  12. 前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質として、イソプロピル−1−チオ−β−D−ガラクトシド、および/またはメチル−β−D−チオガラクトシドを用いることを特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載の大腸菌群の検出方法。
  13. 前記酸化還元色素として、レサズリンナトリウム、またはトリフェニルテトラゾリウムクロライドを用いることを特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載の大腸菌群の検出方法。
  14. 前記発色合成酵素基質として、5−ブロモ−4−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、5−ブロモ−6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、6−クロロ−3−インドリル−β−D−ガラクトピラノシド、4−メチルウンベリフェリル−β−D−ガラクトピラノシド、およびこれらの塩類からなる群から選ばれる1種以上を用いることを特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載の大腸菌群の検出方法。
  15. β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地と、酸化還元色素液およびこれを収容する色素液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  16. 酸化還元色素が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地と、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液およびこれを収容する誘導物質液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  17. β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質および酸化還元色素が予め添加されたグラム陽性菌生育阻害培地と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  18. β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液およびこれを収容する誘導物質液滴下用容器と、酸化還元色素液およびこれを収容する色素液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  19. β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液と酸化還元色素液の混合液およびこれを収容する混合液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  20. 前記β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液および/または前記酸化還元色素液および/または前記発色合成酵素基質液を吸収させるための吸収体を備えた請求項15〜19のいずれか一項に記載の大腸菌群の検出キット。
  21. β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液が予め含浸された吸収体と、酸化還元色素液およびこれを収容する色素液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  22. 酸化還元色素液が予め含浸された吸収体と、β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液およびこれを収容する誘導物質液滴下用容器と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
  23. β−ガラクトシダ−ゼ発現誘導物質液および酸化還元色素液が予め含浸された吸収体と、β−ガラクトシダ−ゼの存在によって発色する発色合成酵素基質液およびこれを収容する基質液滴下用容器を備えた大腸菌群の検出キット。
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