JP2004187416A - 導電接続方法および導電接続構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】建造物にファラデー・ケージの落雷事故対策を施すにあたり、1つの建造物全体からとらえて、より安価で効率的な施工を可能とする。
【解決手段】複数の構造基幹部が内部に配置されて形成される建造物において、建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造用基幹体を介して、電気的接続を得る導電接続方法とし、そして、前記構造基幹部は、複数の構造筋状導体を含んで構成され、複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造筋状導体を介して、電気的接続を得る。
【選択図】 図1
【解決手段】複数の構造基幹部が内部に配置されて形成される建造物において、建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造用基幹体を介して、電気的接続を得る導電接続方法とし、そして、前記構造基幹部は、複数の構造筋状導体を含んで構成され、複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造筋状導体を介して、電気的接続を得る。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物や設備等(以下建造物という)を落雷から保護する技術にかかり、より詳細には、落雷を受けた建造物の内部にある設備や電気機器等を保護する方法およびその防止構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建造物が落雷を受けることはよくあるが、この内部には、受電設備・電力配線・電気機器・通信配線・通信機器・TVフィーダー・コンピュータ装置などの導体系・電子情報機器が配備されている。
建造物に落雷があると、これらの設備・導体系には、雷撃によって対地間および配線間に大きな電位差を発生したり、電力線や電話線などの引込み線から雷過電圧(雷サージ)が侵入することがある。さらに、雷電流の通過によって建造物自体の内部に電位差を発生することもある。そうすると、これら電位差および雷サージに起因するフラッシュ・オーバー、機器や設備の損傷、被保護物の火災・爆発・人体への感電などの危険および災害が発生する可能性があるので、このような危険や災害を防止することが、落雷対策として非常に重要になってきている。
【0003】
建造物を落雷から保護する雷保護システムとしては、大きく分けて、落雷電流を受け止めて大地へ放出する外部雷保護システムと、建造物の内部を落雷から保護する内部雷保護システムとがある。
この内部雷保護システムのひとつとして、等電位ボンディング手法が知られている。この等電位ボンディング手法の基本的対策は、落雷時に建造物内の災害を防止するために、落雷時の建造物内の電位を均等化して各部分間の電位差を最小限に低減することであり、建造物および各種機器や設備などの被保護物の等電位化を図ることである。また、これらの建造物は、それが高層化・大型化するほど電位差が大きくなりやすいので、その対策としての等電位ボンディング手法の使用は重要なテーマとなる。
【0004】
この等電位ボンディング手法を実施するためには、被保護範囲の雷保護システム・金属構造体・金属製工作物、系統外導電性部分・電力および通信用設備などを、ボンディング用導体またはサージ保護装置によってボンディング用バーに接続することが、通常は必要となる。ここで、大型の建造物について見てみると、等電位ボンディング手法を実践活用するためには、接地された導体網の箱を形成するという、いわゆる「ファラデー・ケージ」の形成が有効とされている。そこで、この建造物が鉄筋コンクリートから建設されている場合では、建物内部に鉄筋や鉄骨からなる導電性の構造部材が張り巡らされているので、この建造物は、その構造上、鉄筋の場合でも自然に等電位ボンディング構造を形成しているものと、常識的には考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建造物内部に多数組み込んで付設しなければならない鉄筋・梁筋の導電性構造体や接続スリーブなどの導電性構造部材は、建造物施工時に表面が既に錆びていたり汚損されていたりして、すでに電気的導通がとれなくなってしまっていることが、近年よくわかってきており、施工工事が済んだ建造物では、導電性構造部材による良好な電気的伝導は期待することができず、落雷に対しての対雷保護構造としては不完全なものであることが明らかになっている。
【0006】
また、これら大型の建造物での落雷からの保護は、通常は、屋上に避雷針を設け、その避雷針で受けた雷電流は、建造物の外壁コンクリートに設けた溝に配置して、太い引き下げ導線を通して大地に導いていた。ところが、従来からの建築物施工方法によると、上記したように、鉄筋同士の電気的伝導が悪く、内部にある鉄筋が雷の導電路として利用されていないうえに、これらの太い引き下げ導線も床側の鉄筋(梁筋)とはまったく接続されてはいない。すなわち、建築物全体では鉄筋が張り巡らせてあるにもかかわらず、いわゆる「ファラデー・ケージ」構造にはなっていない、ということが判明している。よって、建築物内部の各部屋に設置してある電気機器等が雷サージで損傷するという事故が、多々繰り返して起こることとなる。
【0007】
出願人は、上記したような落雷対策における問題点を解決するために、特願2001−401072「導電接続方法および導電接続構造」(出願日:平成13年12月28日) の特許出願をすでに行っている。
このたびの特許出願は、既出願の特願2001−401072をふまえて、これらの導通接続技術をさらに発展・推進させるべくしてなされたものであり、建造物等で落雷を受けたときの事故や災害を防止するために、等電位ボンディング手法による「ファラデー・ケージ」化を、安価なコストで確実に実施することができ、施工作業性がよいことはもちろんのこと、落雷事故対策を1つの建造物全体からとらえて施工する場合に、より効果的で効率的で実践的な落雷対策技術を、新たに提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明による導電接続方法および導電接続構造では、次のような手段を用いた。
(1)複数の構造基幹部が内部に配置されて形成される建造物において、
建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造基幹部を介して、電気的接続を得る、導電接続方法とした。
(2)(1)において、
前記構造基幹部は、複数の構造筋状導体を含んで構成され、
複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造筋状導体を介して、電気的接続を得る導電接続方法とした。
(3)(1)または(2)において、
前記構造基幹部または前記構造筋状導体は、導電接続装置を介して電気的に接続されて導通が得られ、この導電接続装置は、これらの導体を把持するためのクランプ部と電気的接続のための導電接続部を備えている、ことを特徴とする導電接続方法。
(4)(3)において、前記導電接続装置は、主成分が鉄である部材により構成される。すなわち、導電接続装置を構成するクランプ部や接続用導体などの導電部材は、鉄筋と同種の鉄材料から構成されることが好ましい。
【0009】
(5)建造物内の構造基幹部または構造筋状導体を建造物外部と電気的に接続して導通をとる雷災害防止対策が施された建造物の導電接続構造であって、
この落雷災害防止対策に、(1)〜(4)いずれかに記載の導電接続方法を適用して構成した導電接続構造とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜3を参照して、本発明による導電接続方法および導電接続構造の実施の形態を詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明を適用した導電接続方法およびその構造を説明するための図であって、建造物の断面による平面図の一例である。また、図2(1)及び(2)も同じく本発明にかかり、建造物の構造基幹部(鉄筋コンクリート柱部)周辺についての、断面および平面による説明図である。そして、図3(1)及び(2)も同じく本発明にかかり、構造基幹部の構造筋状導体を、導電接続装置を介して電気的に接続される例を説明するための図である。
【0011】
始めに、図3(1)および(2)により、建造物の内部に配置された構造基幹部の内部にある構造筋状導体、すなわち鉄筋・梁筋・鉄骨など構造支持部材から電気的接続を得る方法について、説明する。
建造物の縦方向に配置される構造基幹部が、複数の構造筋状導体を含んだ構造をしている場合があり、図3(1)に示すように、そのうちの1本を鉄筋a10とする。この鉄筋a10を把持して電気接続を得るために、導体接続装置Bが取り付けられている。
この導体接続装置Bは、鉄筋a10を把持するクランプ部b10とこれを締め付けるためのボルト部材b11を備えている。また、このクランプ部b10は、電線などの接続用導体に接続するために用いられる取付部材(b12、b13など)を有している。そして、この導体接続装置Bを配備する具体的な一例を示すなら、建造物の内壁面となるコンクリート面上に、取付部材b13の端部表面b14が出て来るような配置設定を行って、この端部表面b14に室内電気設備や機器類のアース線を取り付ける方式があり、これが好適である。
【0012】
つぎの図3(2)には、縦(天地)方向の構造筋状導体である鉄筋a10と、その他に、横(水平)方向の構造筋状導体として梁筋a11・a12と、を示す。これらの筋のうち、鉄筋a10と梁筋a12とは導体接続装置Bを介して電気的接続が行われる。この導体接続装置Bは、クランプ部B1−接続用導体B2−クランプ部B3からなる電気的接続を得るための装置であって、接続用導体B2の両端では取付部(B20、B21)を介してクランプ部B1とクランプ部B3とにつながり、鉄筋a10と梁筋a12とはバイパスのような構造で電気的接続が得られる。
この導体接続装置Bにおける各部材の具体的な構成としては、クランプ部(B1、B3)と接続用導体B2との接続には、締め付け接続・溶接・リベットネジ・などを周知の手段が利用できるし、接続用導体B2としては、銅・アルミ・鉄などの金属導線を利用してもよいが、建造物のコンクリート内(アルカリ性)での電食を考えると、鉄筋と同種の鉄材が良い。また、別の導体接続装置B’も、横(水平)方向にあるふたつの梁筋a11と梁筋a12とをバイパス構造によって電気的に接続させる装置であって、構造は先の導体接続装置Bと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0013】
さて、図1に戻り、この図1は建造物の一例であり、水平方向の断面により示したものである。建造物100は、断面をとると略直方形の平面形状をなす。この建造物100では、天地(縦)方向に配設される構造支持柱として多数の構造基幹部(10〜24)を備えている。また、水平方向には構造基幹部(10〜24)と連結する梁状構造部材(31〜38など)が多数架設されている。これら多くの部材は、連続する直方体形状に組合わされて連結されて堅固なラーメン構造を形成し、一体の建造物の骨組みを構成している。この建造物100の平面構造は、梁状構造部材(31〜38など)交点の各々の箇所に、構造基幹部(10〜24)が配置される構造である。
【0014】
この図1の建造物100において、建造物の鉄筋や鉄骨を用いた等電位ボンディング方法により、構造基幹部(10〜24)と建造物外部とを電気的に接続して導通をとり、雷災害防止対策を施すものとする。このとき、構造基幹部(10〜24)には導通をとり得る構造基幹部が多数あるので、全ての構造基幹部から導通をとることが望ましい。しかしながら、施工性・経済性・効率性などの観点から鑑みるに、導通をとる箇所は少ないほど好ましい。
そして、これらの構造基幹部(10〜24)の各々は、導通をとり得る多数の鉄筋(図2の40〜47に示す)を内蔵している。それらの鉄筋の全てから導通をとることが望ましくても、上述した理由によりそれが難しいため、ここでも、いずれか少数の鉄筋を選択して導通をとる箇所を絞り込む必要がある。
【0015】
そこで、本願の発明者らは、雷災害対策として等電位ボンディング法により建造物の鉄筋や鉄骨を電気的に接続した場合、建造物のどの箇所またはどの鉄筋を接続するのが最も効果的であるについて、多くの調査や実証を続けてきた。そして、落雷の際に流れる雷電流は、建造物の外側に流れやすく、また、多数の鉄筋の束では外側の鉄筋に流れやすい、という特徴があることを突き止めた。
よって、本願発明では、建造物において、建造物の天地(縦)方向に配置された複数の構造基幹部(鉄筋や鉄骨からなる構造支持部材)のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造基幹部を介して、電気的接続を得るのが、最も落雷災害防止効果が高いという結論を得た。
また、構造基幹部を構成する多数の鉄筋のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された鉄筋を介して、電気的接続を得るのが、最も落雷災害防止効果が高いという結論をも得た。
ここでの、より外側に配置された構造基幹部または鉄筋とは、建造物の中心部から最も離れた位置にあるものを含んで構成することが容易に可能であるが、より近い位置にあるものでも全く効果がない、というわけではない。
【0016】
図1における建造物100中心部は、全体からみて概ね(C)地点にあるものと特定できるので、建造物の中心部(C)からより外側に配置された構造基幹部を、落雷対策施工箇所として選択することとする。このとき、施工箇所が多くてもよいなら、一例として、構造基幹部(10〜24)のうち内部にある構造基幹部(22〜24)をも含めて選択することができる。しかしながら、建造物100の中に15箇所もの構造基幹部を選択することは、施工性や経済性の面で多くの負担となる。よって、それらの中から、中心部(C)からより外側に位置することと、なるべく均等間隔になるよう選択することを念頭において絞り込むなら、構造基幹部(10、12、14、16、18、20) の6箇所を選ぶことができる。これらの6箇所でも多過ぎるとすれば、雷が流れ易いと考えられる中心部(C)から最も距離のある位置と、建造物のコーナー(角)の位置とにさらに絞り込んで、構造基幹部(10、14、16、20)の4箇所だけを選んでもよい。
【0017】
さてつぎの図2(1)および(2)は、本願発明の導電接続方法およびその構造にかかる図であり、建造物200の構造基幹部の鉄筋コンクリート柱部周辺について、その平面断面による図2(1) および縦方向断面による図2(2)を用い、詳しく説明する。
図2(1)および(2)に示す建造物は、縦(天地)方向にはコンクリート製のPC柱であり構造基幹部Aがあり、また、横(水平)方向には床部を形成する床コンクリートからなる構造基幹部Eがある。
この構造基幹部Aは、内部に構造筋状導体である縦方向の鉄筋(40〜47)や接続用スリーブ(S0〜S2など)を有し、これら8本の鉄筋(40〜47)は、リング状のフープ筋(d1、d2、d3)によって、横(水平)方向外側から8本まとめて束ねられて結束されており、これらフープ筋(d1、d2、d3)は縦方向には適宜な間隔を保つよう複数個数が配設されている。この構造基幹部Aは、その内部A’にコンクリートが充填されて建造物の構造的支持柱となるものであり、そのとき鉄筋(40〜47)やフープ筋(d1、d2、d3)も一緒に内部に埋設される。
【0018】
また、横方向の床部を形成するものとして構造基幹部Eがあり、この構造基幹部Eは、構造筋状導体である縦方向の鉄筋(50〜52など) 、図面左右方向の梁筋(60,60’など) 、図面前後方向の梁筋(61,61’,62,62’,63,63’など)を備えている。内部にある縦方向鉄筋(50〜52など)は、接続用スリーブ(S0〜S2など)を介して、鉄筋(40〜47)と機械的に連結接続されるが、ここでの接続は、前に述べたように圧縮接続手段などを用いる導電接続ではなく、電気的接続は良好には行われないので、雷電流を通すには全く不十分な導電経路しか形成できない。
また、この構造基幹部Eにも、内部の空間にはコンクリートが充填されるので、縦方向の鉄筋(50〜52など)や、横方向の図面左右と前後に交差するように配設される梁筋(60,60’と、61,61’,62,62’,63,63’など)は、同じように内部に埋設される。
【0019】
そして、図2(2)の中では、導電接続装置としてM1、M2、M3、の3種類が取り付けられている。その中の導電接続装置M1を見てみると、第1のクランプ部70−接続用導体71−第2のクランプ部72の3部材が連結する導電構成となっていて、縦方向の鉄筋50と左右横方向の梁筋60とを導電接続している。
同様にして、導電接続装置M2は、第1のクランプ部80−接続用導体81−第2のクランプ部82からなって、建造物の上下(天地)方向を接続するよう取り付けられる。
そして、導電接続装置M3は、第1のクランプ部90−接続用導体91−第2のクランプ部92、からなっている。この図面2(2)で示される、第2のクランプ部92が取り付けられて接続される梁筋63は、図面(紙面)の表側から裏側へ走る、水平方向に配設された鉄筋である。
【0020】
それぞれの導電接続装置(M1、M2、M3 ) に関して説明する。
まず、導電接続装置M1は、縦方向の鉄筋50と左右横方向の梁筋60とを接続する装置である。つぎに、導電接続装置M2は、縦筋スリーブS0を跨いで縦方向の鉄筋40と縦方向の鉄筋50とを接続する装置である。
そして、導電接続装置M3は、左右横方向の鉄筋60と図面前後方向水平(横)の梁筋63とを接続する装置である。
【0021】
さて、図2(1)に示した構造基幹部Aは、建造物200の隅(コーナー)の位置に構造基幹部Aがあるものとして描いた図である。たとえば、図1に示した建造物100の構造基幹部であるならば、右下隅の16の位置が、この構造基幹部Aの位置に相当すると考えてもよい。
ここでの構造基幹部Aは、内部に構造筋状導体である鉄筋(40〜47)が碁盤目状に整然と配置されており、最外側4辺の外周側よりフープ筋d1によって、正方形状に鉄筋全部が結束されるようにして包囲されている。
【0022】
この図2(1)では、建造物200の中心位置は図示してないものの、構造基幹部Aが右下隅にあるとする関係からみて、建造物200の中心から縦方向の鉄筋(40〜47)までの距離の大小は、次のように予測することができる。
鉄筋40までの距離>鉄筋(41,47) のまで距離 >鉄筋(42,46) までの距離 >鉄筋(43,45) までの距離>鉄筋44までの距離
本願発明は、建造物の中心部(C)から、より外側に配置された構造筋状導体にを介して、電気的接続を得る導電接続方法および構造である。よって、構造筋状導体としての鉄筋(40〜47)のうち、建造物200の中心からより離れた距離にある鉄筋を用いることが肝要である。
具体的には、1本だけ用いるなら、最も外側に配置されている鉄筋40にするのがよい。このとき、施工上の都合等により、鉄筋40にクランプ部を取り付けることが困難な場合には、建造物200からより離れた鉄筋として、鉄筋41や鉄筋47を選択し、これを用いても良い。
また複数本を用いるなら、この鉄筋40を含んで複数本とするのがよい。さらに、被災する確率を最大限に低くしたいとするなら、鉄筋(40〜47)の全部を用いても勿論よい。
【0023】
【発明の効果】
このように本発明の導電接続方法および導電接続構造では、建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部、またはこの構造基幹部が含む複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造基幹部または構造筋状導体を介して、電気的接続を得る発明であり、より外側に配置されたものとして、最も離れた位置に配置されたものを選択してもよい。これによって、落雷事故対策を1つの建造物全体からとらえて効率的に施工することができるようになり、安価なコストで施工作業性がよくなり、一層確実な対策を施すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した導電接続方法およびその構造を説明するための図である。
【図2】本発明にかかり、建造物の構造基幹部(鉄筋コンクリート柱部)周辺についての断面および平面による説明図である。
【図3】本発明にかかり、構造基幹部の構造筋状導体を、導電接続装置を介して電気的に接続されることを説明するための図である。
【符号の説明】
100,200 建造物
10〜24 構造基幹部(縦方向)
31〜38 梁状構造部材(横方向)
A 構造基幹部
a10 鉄筋(構造筋状導体)
a11,a12, 梁筋(横方向)
B 導体接続装置
b10 クランプ部
b11 ボルト部材
b12,b13 取付部材
B1,B3 クランプ部
B2 接続用導体
B20,B21 取付部
40〜47,50〜52 鉄筋(縦方向)
60, 60’ 梁筋(図面左右方向)
61, 61’, 62, 62’, 63, 63’ 梁筋(図面前後方向)
S0〜S2 接続用スリーブ
C 建造物の中心部
E 構造基幹部(水平面方向)
d1、 d2、 d3 フープ筋
M1、M2、M3 導電接続装置
70,80,90 第1のクランプ部
71,81,91 接続用導体
72,82,92 第2のクランプ部
【発明の属する技術分野】
本発明は、建築物や設備等(以下建造物という)を落雷から保護する技術にかかり、より詳細には、落雷を受けた建造物の内部にある設備や電気機器等を保護する方法およびその防止構造に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
建造物が落雷を受けることはよくあるが、この内部には、受電設備・電力配線・電気機器・通信配線・通信機器・TVフィーダー・コンピュータ装置などの導体系・電子情報機器が配備されている。
建造物に落雷があると、これらの設備・導体系には、雷撃によって対地間および配線間に大きな電位差を発生したり、電力線や電話線などの引込み線から雷過電圧(雷サージ)が侵入することがある。さらに、雷電流の通過によって建造物自体の内部に電位差を発生することもある。そうすると、これら電位差および雷サージに起因するフラッシュ・オーバー、機器や設備の損傷、被保護物の火災・爆発・人体への感電などの危険および災害が発生する可能性があるので、このような危険や災害を防止することが、落雷対策として非常に重要になってきている。
【0003】
建造物を落雷から保護する雷保護システムとしては、大きく分けて、落雷電流を受け止めて大地へ放出する外部雷保護システムと、建造物の内部を落雷から保護する内部雷保護システムとがある。
この内部雷保護システムのひとつとして、等電位ボンディング手法が知られている。この等電位ボンディング手法の基本的対策は、落雷時に建造物内の災害を防止するために、落雷時の建造物内の電位を均等化して各部分間の電位差を最小限に低減することであり、建造物および各種機器や設備などの被保護物の等電位化を図ることである。また、これらの建造物は、それが高層化・大型化するほど電位差が大きくなりやすいので、その対策としての等電位ボンディング手法の使用は重要なテーマとなる。
【0004】
この等電位ボンディング手法を実施するためには、被保護範囲の雷保護システム・金属構造体・金属製工作物、系統外導電性部分・電力および通信用設備などを、ボンディング用導体またはサージ保護装置によってボンディング用バーに接続することが、通常は必要となる。ここで、大型の建造物について見てみると、等電位ボンディング手法を実践活用するためには、接地された導体網の箱を形成するという、いわゆる「ファラデー・ケージ」の形成が有効とされている。そこで、この建造物が鉄筋コンクリートから建設されている場合では、建物内部に鉄筋や鉄骨からなる導電性の構造部材が張り巡らされているので、この建造物は、その構造上、鉄筋の場合でも自然に等電位ボンディング構造を形成しているものと、常識的には考えられていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、建造物内部に多数組み込んで付設しなければならない鉄筋・梁筋の導電性構造体や接続スリーブなどの導電性構造部材は、建造物施工時に表面が既に錆びていたり汚損されていたりして、すでに電気的導通がとれなくなってしまっていることが、近年よくわかってきており、施工工事が済んだ建造物では、導電性構造部材による良好な電気的伝導は期待することができず、落雷に対しての対雷保護構造としては不完全なものであることが明らかになっている。
【0006】
また、これら大型の建造物での落雷からの保護は、通常は、屋上に避雷針を設け、その避雷針で受けた雷電流は、建造物の外壁コンクリートに設けた溝に配置して、太い引き下げ導線を通して大地に導いていた。ところが、従来からの建築物施工方法によると、上記したように、鉄筋同士の電気的伝導が悪く、内部にある鉄筋が雷の導電路として利用されていないうえに、これらの太い引き下げ導線も床側の鉄筋(梁筋)とはまったく接続されてはいない。すなわち、建築物全体では鉄筋が張り巡らせてあるにもかかわらず、いわゆる「ファラデー・ケージ」構造にはなっていない、ということが判明している。よって、建築物内部の各部屋に設置してある電気機器等が雷サージで損傷するという事故が、多々繰り返して起こることとなる。
【0007】
出願人は、上記したような落雷対策における問題点を解決するために、特願2001−401072「導電接続方法および導電接続構造」(出願日:平成13年12月28日) の特許出願をすでに行っている。
このたびの特許出願は、既出願の特願2001−401072をふまえて、これらの導通接続技術をさらに発展・推進させるべくしてなされたものであり、建造物等で落雷を受けたときの事故や災害を防止するために、等電位ボンディング手法による「ファラデー・ケージ」化を、安価なコストで確実に実施することができ、施工作業性がよいことはもちろんのこと、落雷事故対策を1つの建造物全体からとらえて施工する場合に、より効果的で効率的で実践的な落雷対策技術を、新たに提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
以上のような目的を達成するために、本発明による導電接続方法および導電接続構造では、次のような手段を用いた。
(1)複数の構造基幹部が内部に配置されて形成される建造物において、
建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造基幹部を介して、電気的接続を得る、導電接続方法とした。
(2)(1)において、
前記構造基幹部は、複数の構造筋状導体を含んで構成され、
複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造筋状導体を介して、電気的接続を得る導電接続方法とした。
(3)(1)または(2)において、
前記構造基幹部または前記構造筋状導体は、導電接続装置を介して電気的に接続されて導通が得られ、この導電接続装置は、これらの導体を把持するためのクランプ部と電気的接続のための導電接続部を備えている、ことを特徴とする導電接続方法。
(4)(3)において、前記導電接続装置は、主成分が鉄である部材により構成される。すなわち、導電接続装置を構成するクランプ部や接続用導体などの導電部材は、鉄筋と同種の鉄材料から構成されることが好ましい。
【0009】
(5)建造物内の構造基幹部または構造筋状導体を建造物外部と電気的に接続して導通をとる雷災害防止対策が施された建造物の導電接続構造であって、
この落雷災害防止対策に、(1)〜(4)いずれかに記載の導電接続方法を適用して構成した導電接続構造とした。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図1〜3を参照して、本発明による導電接続方法および導電接続構造の実施の形態を詳細に説明する。
ここで、図1は、本発明を適用した導電接続方法およびその構造を説明するための図であって、建造物の断面による平面図の一例である。また、図2(1)及び(2)も同じく本発明にかかり、建造物の構造基幹部(鉄筋コンクリート柱部)周辺についての、断面および平面による説明図である。そして、図3(1)及び(2)も同じく本発明にかかり、構造基幹部の構造筋状導体を、導電接続装置を介して電気的に接続される例を説明するための図である。
【0011】
始めに、図3(1)および(2)により、建造物の内部に配置された構造基幹部の内部にある構造筋状導体、すなわち鉄筋・梁筋・鉄骨など構造支持部材から電気的接続を得る方法について、説明する。
建造物の縦方向に配置される構造基幹部が、複数の構造筋状導体を含んだ構造をしている場合があり、図3(1)に示すように、そのうちの1本を鉄筋a10とする。この鉄筋a10を把持して電気接続を得るために、導体接続装置Bが取り付けられている。
この導体接続装置Bは、鉄筋a10を把持するクランプ部b10とこれを締め付けるためのボルト部材b11を備えている。また、このクランプ部b10は、電線などの接続用導体に接続するために用いられる取付部材(b12、b13など)を有している。そして、この導体接続装置Bを配備する具体的な一例を示すなら、建造物の内壁面となるコンクリート面上に、取付部材b13の端部表面b14が出て来るような配置設定を行って、この端部表面b14に室内電気設備や機器類のアース線を取り付ける方式があり、これが好適である。
【0012】
つぎの図3(2)には、縦(天地)方向の構造筋状導体である鉄筋a10と、その他に、横(水平)方向の構造筋状導体として梁筋a11・a12と、を示す。これらの筋のうち、鉄筋a10と梁筋a12とは導体接続装置Bを介して電気的接続が行われる。この導体接続装置Bは、クランプ部B1−接続用導体B2−クランプ部B3からなる電気的接続を得るための装置であって、接続用導体B2の両端では取付部(B20、B21)を介してクランプ部B1とクランプ部B3とにつながり、鉄筋a10と梁筋a12とはバイパスのような構造で電気的接続が得られる。
この導体接続装置Bにおける各部材の具体的な構成としては、クランプ部(B1、B3)と接続用導体B2との接続には、締め付け接続・溶接・リベットネジ・などを周知の手段が利用できるし、接続用導体B2としては、銅・アルミ・鉄などの金属導線を利用してもよいが、建造物のコンクリート内(アルカリ性)での電食を考えると、鉄筋と同種の鉄材が良い。また、別の導体接続装置B’も、横(水平)方向にあるふたつの梁筋a11と梁筋a12とをバイパス構造によって電気的に接続させる装置であって、構造は先の導体接続装置Bと同様であるので、ここでの詳しい説明は省略する。
【0013】
さて、図1に戻り、この図1は建造物の一例であり、水平方向の断面により示したものである。建造物100は、断面をとると略直方形の平面形状をなす。この建造物100では、天地(縦)方向に配設される構造支持柱として多数の構造基幹部(10〜24)を備えている。また、水平方向には構造基幹部(10〜24)と連結する梁状構造部材(31〜38など)が多数架設されている。これら多くの部材は、連続する直方体形状に組合わされて連結されて堅固なラーメン構造を形成し、一体の建造物の骨組みを構成している。この建造物100の平面構造は、梁状構造部材(31〜38など)交点の各々の箇所に、構造基幹部(10〜24)が配置される構造である。
【0014】
この図1の建造物100において、建造物の鉄筋や鉄骨を用いた等電位ボンディング方法により、構造基幹部(10〜24)と建造物外部とを電気的に接続して導通をとり、雷災害防止対策を施すものとする。このとき、構造基幹部(10〜24)には導通をとり得る構造基幹部が多数あるので、全ての構造基幹部から導通をとることが望ましい。しかしながら、施工性・経済性・効率性などの観点から鑑みるに、導通をとる箇所は少ないほど好ましい。
そして、これらの構造基幹部(10〜24)の各々は、導通をとり得る多数の鉄筋(図2の40〜47に示す)を内蔵している。それらの鉄筋の全てから導通をとることが望ましくても、上述した理由によりそれが難しいため、ここでも、いずれか少数の鉄筋を選択して導通をとる箇所を絞り込む必要がある。
【0015】
そこで、本願の発明者らは、雷災害対策として等電位ボンディング法により建造物の鉄筋や鉄骨を電気的に接続した場合、建造物のどの箇所またはどの鉄筋を接続するのが最も効果的であるについて、多くの調査や実証を続けてきた。そして、落雷の際に流れる雷電流は、建造物の外側に流れやすく、また、多数の鉄筋の束では外側の鉄筋に流れやすい、という特徴があることを突き止めた。
よって、本願発明では、建造物において、建造物の天地(縦)方向に配置された複数の構造基幹部(鉄筋や鉄骨からなる構造支持部材)のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造基幹部を介して、電気的接続を得るのが、最も落雷災害防止効果が高いという結論を得た。
また、構造基幹部を構成する多数の鉄筋のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された鉄筋を介して、電気的接続を得るのが、最も落雷災害防止効果が高いという結論をも得た。
ここでの、より外側に配置された構造基幹部または鉄筋とは、建造物の中心部から最も離れた位置にあるものを含んで構成することが容易に可能であるが、より近い位置にあるものでも全く効果がない、というわけではない。
【0016】
図1における建造物100中心部は、全体からみて概ね(C)地点にあるものと特定できるので、建造物の中心部(C)からより外側に配置された構造基幹部を、落雷対策施工箇所として選択することとする。このとき、施工箇所が多くてもよいなら、一例として、構造基幹部(10〜24)のうち内部にある構造基幹部(22〜24)をも含めて選択することができる。しかしながら、建造物100の中に15箇所もの構造基幹部を選択することは、施工性や経済性の面で多くの負担となる。よって、それらの中から、中心部(C)からより外側に位置することと、なるべく均等間隔になるよう選択することを念頭において絞り込むなら、構造基幹部(10、12、14、16、18、20) の6箇所を選ぶことができる。これらの6箇所でも多過ぎるとすれば、雷が流れ易いと考えられる中心部(C)から最も距離のある位置と、建造物のコーナー(角)の位置とにさらに絞り込んで、構造基幹部(10、14、16、20)の4箇所だけを選んでもよい。
【0017】
さてつぎの図2(1)および(2)は、本願発明の導電接続方法およびその構造にかかる図であり、建造物200の構造基幹部の鉄筋コンクリート柱部周辺について、その平面断面による図2(1) および縦方向断面による図2(2)を用い、詳しく説明する。
図2(1)および(2)に示す建造物は、縦(天地)方向にはコンクリート製のPC柱であり構造基幹部Aがあり、また、横(水平)方向には床部を形成する床コンクリートからなる構造基幹部Eがある。
この構造基幹部Aは、内部に構造筋状導体である縦方向の鉄筋(40〜47)や接続用スリーブ(S0〜S2など)を有し、これら8本の鉄筋(40〜47)は、リング状のフープ筋(d1、d2、d3)によって、横(水平)方向外側から8本まとめて束ねられて結束されており、これらフープ筋(d1、d2、d3)は縦方向には適宜な間隔を保つよう複数個数が配設されている。この構造基幹部Aは、その内部A’にコンクリートが充填されて建造物の構造的支持柱となるものであり、そのとき鉄筋(40〜47)やフープ筋(d1、d2、d3)も一緒に内部に埋設される。
【0018】
また、横方向の床部を形成するものとして構造基幹部Eがあり、この構造基幹部Eは、構造筋状導体である縦方向の鉄筋(50〜52など) 、図面左右方向の梁筋(60,60’など) 、図面前後方向の梁筋(61,61’,62,62’,63,63’など)を備えている。内部にある縦方向鉄筋(50〜52など)は、接続用スリーブ(S0〜S2など)を介して、鉄筋(40〜47)と機械的に連結接続されるが、ここでの接続は、前に述べたように圧縮接続手段などを用いる導電接続ではなく、電気的接続は良好には行われないので、雷電流を通すには全く不十分な導電経路しか形成できない。
また、この構造基幹部Eにも、内部の空間にはコンクリートが充填されるので、縦方向の鉄筋(50〜52など)や、横方向の図面左右と前後に交差するように配設される梁筋(60,60’と、61,61’,62,62’,63,63’など)は、同じように内部に埋設される。
【0019】
そして、図2(2)の中では、導電接続装置としてM1、M2、M3、の3種類が取り付けられている。その中の導電接続装置M1を見てみると、第1のクランプ部70−接続用導体71−第2のクランプ部72の3部材が連結する導電構成となっていて、縦方向の鉄筋50と左右横方向の梁筋60とを導電接続している。
同様にして、導電接続装置M2は、第1のクランプ部80−接続用導体81−第2のクランプ部82からなって、建造物の上下(天地)方向を接続するよう取り付けられる。
そして、導電接続装置M3は、第1のクランプ部90−接続用導体91−第2のクランプ部92、からなっている。この図面2(2)で示される、第2のクランプ部92が取り付けられて接続される梁筋63は、図面(紙面)の表側から裏側へ走る、水平方向に配設された鉄筋である。
【0020】
それぞれの導電接続装置(M1、M2、M3 ) に関して説明する。
まず、導電接続装置M1は、縦方向の鉄筋50と左右横方向の梁筋60とを接続する装置である。つぎに、導電接続装置M2は、縦筋スリーブS0を跨いで縦方向の鉄筋40と縦方向の鉄筋50とを接続する装置である。
そして、導電接続装置M3は、左右横方向の鉄筋60と図面前後方向水平(横)の梁筋63とを接続する装置である。
【0021】
さて、図2(1)に示した構造基幹部Aは、建造物200の隅(コーナー)の位置に構造基幹部Aがあるものとして描いた図である。たとえば、図1に示した建造物100の構造基幹部であるならば、右下隅の16の位置が、この構造基幹部Aの位置に相当すると考えてもよい。
ここでの構造基幹部Aは、内部に構造筋状導体である鉄筋(40〜47)が碁盤目状に整然と配置されており、最外側4辺の外周側よりフープ筋d1によって、正方形状に鉄筋全部が結束されるようにして包囲されている。
【0022】
この図2(1)では、建造物200の中心位置は図示してないものの、構造基幹部Aが右下隅にあるとする関係からみて、建造物200の中心から縦方向の鉄筋(40〜47)までの距離の大小は、次のように予測することができる。
鉄筋40までの距離>鉄筋(41,47) のまで距離 >鉄筋(42,46) までの距離 >鉄筋(43,45) までの距離>鉄筋44までの距離
本願発明は、建造物の中心部(C)から、より外側に配置された構造筋状導体にを介して、電気的接続を得る導電接続方法および構造である。よって、構造筋状導体としての鉄筋(40〜47)のうち、建造物200の中心からより離れた距離にある鉄筋を用いることが肝要である。
具体的には、1本だけ用いるなら、最も外側に配置されている鉄筋40にするのがよい。このとき、施工上の都合等により、鉄筋40にクランプ部を取り付けることが困難な場合には、建造物200からより離れた鉄筋として、鉄筋41や鉄筋47を選択し、これを用いても良い。
また複数本を用いるなら、この鉄筋40を含んで複数本とするのがよい。さらに、被災する確率を最大限に低くしたいとするなら、鉄筋(40〜47)の全部を用いても勿論よい。
【0023】
【発明の効果】
このように本発明の導電接続方法および導電接続構造では、建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部、またはこの構造基幹部が含む複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造基幹部または構造筋状導体を介して、電気的接続を得る発明であり、より外側に配置されたものとして、最も離れた位置に配置されたものを選択してもよい。これによって、落雷事故対策を1つの建造物全体からとらえて効率的に施工することができるようになり、安価なコストで施工作業性がよくなり、一層確実な対策を施すことができるようになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した導電接続方法およびその構造を説明するための図である。
【図2】本発明にかかり、建造物の構造基幹部(鉄筋コンクリート柱部)周辺についての断面および平面による説明図である。
【図3】本発明にかかり、構造基幹部の構造筋状導体を、導電接続装置を介して電気的に接続されることを説明するための図である。
【符号の説明】
100,200 建造物
10〜24 構造基幹部(縦方向)
31〜38 梁状構造部材(横方向)
A 構造基幹部
a10 鉄筋(構造筋状導体)
a11,a12, 梁筋(横方向)
B 導体接続装置
b10 クランプ部
b11 ボルト部材
b12,b13 取付部材
B1,B3 クランプ部
B2 接続用導体
B20,B21 取付部
40〜47,50〜52 鉄筋(縦方向)
60, 60’ 梁筋(図面左右方向)
61, 61’, 62, 62’, 63, 63’ 梁筋(図面前後方向)
S0〜S2 接続用スリーブ
C 建造物の中心部
E 構造基幹部(水平面方向)
d1、 d2、 d3 フープ筋
M1、M2、M3 導電接続装置
70,80,90 第1のクランプ部
71,81,91 接続用導体
72,82,92 第2のクランプ部
Claims (5)
- 複数の構造基幹部が内部に配置されて形成される建造物において、
建造物の天地方向に配置された複数の構造基幹部のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造用基幹体を介して、電気的接続を得る、ことを特徴とする導電接続方法。 - 請求項1に記載の導電接続方法において、
前記構造基幹部は、複数の構造筋状導体を含んで構成され、
複数の構造筋状導体のうち、建造物の中心部から、より外側に配置された構造筋状導体を介して、電気的接続を得る、ことを特徴とする導電接続方法。 - 請求項1または2に記載の導電接続方法において、
前記構造基幹部または前記構造筋状導体は、導電接続装置を介して電気的に接続されて導通が得られ、
この導電接続装置は、これらの導体を把持するためのクランプ部と電気的接続のための導電接続部を備えている、ことを特徴とする導電接続方法。 - 請求項3に記載の導電接続方法において、
前記導電接続装置は、主成分が鉄である部材により構成されている、ことを特徴とする導電接続方法。 - 建造物内の構造基幹部または構造筋状導体を、建造物外部と電気的に接続して導通をとる雷災害防止対策が施された、建造物の導電接続構造であって、
この落雷災害防止対策に、請求項1〜4いずれか1項に記載の導電接続方法を適用して構成した、ことを特徴とする導電接続構造。
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