JP2004186262A - 半導体パッケージの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法を提供する。
【解決手段】加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、前記半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとした後、前記加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させ、リードフレーム表面を露出させる半導体パッケージの製造方法。
【選択図】 なし
【解決手段】加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、前記半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとした後、前記加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させ、リードフレーム表面を露出させる半導体パッケージの製造方法。
【選択図】 なし
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器は軽量、小型、薄型を達成するため高密度実装が要求されており、電子部品はより小面積で表面実装が可能な構造に改良されてきている。また、製造コストを低減するため安くて生産性が良好なレジンパッケージが多用されている。
【0003】
レジンパッケージは、通常、導電ペースト等を用いてリードフレーム上に半導体チップを固着させ、ワイヤボンディングにより所定のリード位置と電気的に接続した後、エポキシ樹脂等によって半導体チップを封止する方法により製造されている。従来、レジンパッケージのリードフレームはそれぞれトリミング、カッティング処理がなされた後、回路基板に取り付けられていた。しかし、このような方法では、外部端子数の増加に伴い大型化することから、小型化の要求に対応できないという問題があった。
【0004】
これに対して、近年、リードフレームと半導体チップとを樹脂封止し、リードフレーム表面のみを表出させた、見掛け上リードフレームのない、クワットフラットノンリード(QFN)等のノンリードタイプの半導体パッケージが開発されている。QFN半導体パッケージは従来の半導体パッケージに比べて小型化が容易であり、また信頼性が高く安価でもあることから、携帯電話、情報端末等に利用されている。
【0005】
QFN半導体パッケージを作製する方法としては、通常、接着性シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、金型成形法により半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとした後、接着シートを剥離する方法が用いられている。しかしながら、この方法では、接着シートを剥離する際に、糊残りしてリードフレーム表面を汚染したり、半導体パッケージを破壊してしまったりすることがあるという問題があった。これに対して、剥離性の高い接着シートを用いることが考えられているが、接着力が弱いと、樹脂封止工程でリ−ドフレーム表面と接着性シートとの間に封止樹脂が侵入しリードフレーム表面に薄い封止樹脂のバリが付着したり、成形用の離型剤がリードフレーム表面に付着したりすることがあり、リードフレーム表面の導電性が低下したり実装時にハンダ濡れ性が不充分になったりすることがあるという問題点があった。また、リードフレーム表面の位置がずれたり、リードフレーム表面の高さが不揃いになったりすることがあるという問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、前記リードフレームを樹脂封止して半導体パーケージとした後、前記加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させ、リードフレーム表面を露出させる半導体パッケージの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の半導体パッケージの製造方法では、まず、加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置する。加熱消滅性接着シート上に配置することにより、樹脂封止工程中にリードフレーム表面が汚染したり、リードフレームの位置がずれたり高さが不揃いになるのを防止することができる。
【0009】
半導体チップを搭載したリードフレームを加熱消滅性接着シート上に配置する際には、リードフレーム表面を加熱消滅性接着シートの表面に接着することにより配置してもよいし、リードフレーム表面の一部を加熱消滅性接着シートに埋め込んで配置してもよい。リードフレーム表面の一部を加熱消滅性接着シートに埋め込む方法としては、例えば、上記加熱消滅性接着シートが柔軟である場合には押し込む方法;上記加熱消滅性接着シートが液状組成物を架橋して硬化させることにより得られるものである場合には、流延した液状組成物にリードフレームの一部が浸漬した状態で架橋し硬化させる方法等が挙げられる。
【0010】
本明細書において加熱消滅性接着シートとは、少なくとも、加熱することにより気体に分解するか、又は、分解して気化し、固体形状を失う加熱消滅性接着剤からなる接着層を有するシートを意味する。なお、上記加熱消滅性接着シートが基材の片面に加熱消滅性接着剤からなる接着層が形成されたサポートタイプである場合には、基材を含めたシート全体が加熱により消滅することが好ましいが、基材は消滅しなくとも加熱消滅性接着剤からなる接着層が消滅すればよい。また、上記加熱消滅性接着シートは、粘着性を有していてもよい。
【0011】
上記基材としては、例えば、PET、セロファン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエチレン、延伸ポリプロピレン(OPP)、キャストポリプロピレン(CPP)、ポリウレタン、セルロース、フッ素樹脂、シリコン、軟質塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、、これらのポリマーを組み合わせた共重合体、グラフト体等を原料とした樹脂フィルム、アルミニウム、銅、金、銀、鉄、ステンレス、4・2アロイ、ニッケル等からなる金属フィルム、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等からなる無機物フィルム、これらを組み合わせて得られる複層フィルム、及び、セルロース、PET、ナイロン、シルク、綿、麻等の繊維からなる織布、不織布等が挙げられる。
【0012】
上記加熱消滅性接着剤としては、例えば、ポリメチレンマロン酸ジエステル、ポリブチレン、ニトロセルロース、α−メチルスチレンポリマー、プロピレンカーボネートポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボン酸ジヒドラジドとジイソシアネートを重合させた共重合体、これらのポリマーの過酸化物等、及び、これらのポリマーに必要に応じてジブチルフタレートやジオクチルフタレートなどの可塑剤や、キシレンオイル、テルペンオイル、パラフィンワックスなどの軟化剤を加えて粘着性を付与したもの等が知られている。また、ポリブテンやポリメタクリル酸ラウリルも加熱消滅性接着剤として用いることができる。
【0013】
しかしながら、通常の半導体チップの製造方法では、リードフレームを樹脂封止して半導体パーケージとした後、樹脂アニールを行うことが一般的であることから、養生温度である150〜170℃で速やかに消滅し得る接着剤を用いれば、樹脂アニール時に加熱消滅性接着剤を消滅させることができ、大幅に工程を簡略化できる。また、比較的耐熱性の低い半導体チップにも用いることができる。従来、150〜170℃で速やかに消滅し得る接着剤はなかったが、本発明者らは、鋭意検討の結果、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させた接着剤が、150〜170℃に加熱することで速やかに消滅することに加え、リードフレームを構成する金属や樹脂等の幅広い材料に対して優れた接着性を有し、しかも、シート状に成形したときに適度なシート強度を有することを見出した。
【0014】
上記ポリオキシアルキレン樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオキシプロピレン樹脂、ポリオキシエチレン樹脂、ポリオキシテトラメチレン樹脂等が挙げられる。また、各種のポリオキシアルキレン樹脂を複数組み合わせることによって、消滅する温度と消滅するまでの時間を調整することができる。特に、ポリオキシプロピレン樹脂を50重量%以上とし、ポリオキシエチレン樹脂又はポリオキシテトラメチレン樹脂を混合したペースト、又は、シート状に成形した接着剤は、樹脂の混合割合を調整することにより、消滅する温度と消滅するまでの時間とを調整することができる。
【0015】
上記架橋性シリル基としては、例えば、オキシムシリル基、アルケニルオキシシリル基、アセトキシシリル基、ハロゲノシリル基、ビニルシリル基、シラノール基等が挙げられる。なかでも、末端にアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂は、弾性にすぐれたゴム状の架橋樹脂となることから好適である。
上記アルコキシシリル基としては、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロピルオキシシリル基、イソプロピルオキシシリル基、ブトキシシリル基、tert−ブトキシシリル基、フェノキシシリル基、ベンジルオキシシリル基等が挙げられる。なお、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基の場合、同じアルコキシ基であってもよく、異なるアルコキシ基を組み合わせたものであってもよい。これらの架橋性シリル基は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリオキシアルキレン樹脂の種類や架橋性シリル基が異なる複数種類のポリオキシアルキレン樹脂を併用してもよい。
【0016】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、更に、下記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒を含有することが好ましい。これにより、可視光線、紫外線や電子線等の光を照射(以下、光照射ともいう)することでポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋、硬化させることができる。なかでも、光反応性が高く架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂に対する溶解性にも優れていることから、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド及びジアシルホスフィンオキサイドが好適である。このような光反応触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ジアシルホスフィンオキサイドを含有する場合は、消滅後の残さが極めて少なく、より好適である。
【0017】
【化1】
【0018】
式(1)中、mは2〜5の整数を表し、Y(m)は周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を表す。
【0019】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒は、一般式(1)で表される官能基のうち、異なるものを複数種有していてもよい。
【0020】
上記一般式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、例えば、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素からなる群より選択されるY(m)で示される原子に対し、カルボニル基が2個結合した化合物であって、Y(m)で示される原子の価数に応じて適宜、Zで示される炭化水素基又はオキシド基を有するもの等が挙げられる。
【0021】
上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族系炭化水素基、不飽和脂肪族系炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲でアミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、エステル基等の置換基を有していても良い。また、異なる炭化水素基を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒は、環状化合物であってもよい。このような環状化合物としては、例えば、環状鎖の中に1個又は2個以上の同種又は異種の上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種の上記環状化合物を適当な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種の上記環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等も用いることができる。
【0023】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が酸素原子の場合には、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性二重結合を持つ化合物の共重合体として、例えば、マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸無水物とスチレンの共重合体、マレイン酸無水物とビニルエーテルの共重合体等が挙げられる。これらのうち市販品としては、例えば、旭電化社製のアデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製のリカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、リカレジンTMEG;日立化成社製のHN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製のエピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学社製のスミキュアーMS等が挙げられる。
【0024】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が窒素原子の場合には、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、α−メチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド等が挙げられる。
【0025】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子がリン原子の場合には、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
【0026】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が炭素原子の場合には、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトナート、エチルアセチルアセトナート、メチルプロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。なかでも、消滅後の残さが極めて少ないことから、ジアシルフォスフィンオキシド及びその誘導体が好適である。
【0027】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒の配合量の好ましい下限は、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂100重量部に対して0.01重量部、好ましい上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、光反応性を示さなくなることがあり、30重量部を超えると、ポリオキシアルキレン樹脂組成物の光透過性が低下して、光を照射しても表面のみが架橋、硬化し、深部は架橋、硬化しないことがある。より好ましい下限は0.1重量部、より好ましい下限は20重量部である。
【0028】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤を含有することにより、光反応性が向上し、光の照射時間を短くしたり、光の照射エネルギーを低くしたり、表面から深部まで均一に架橋、硬化させたりすることができる。
上記増感剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフォスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0029】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、必要に応じてアルキルシラン化合物又はアルコキシシラン化合物を含有してもよい。上記アルキルシラン化合物又はアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルオクチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロメチル(ジイソプロポキシ)メチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)メチルシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリス(1,3−ジメチルブトキシ)−シラン、ジクロロジエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,7−ジアセトキシオクタメチルテトラシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、1,3−ジクロロテトライソプロピルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ジアセトキシジフェニルシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン等が挙げられる。
【0030】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、有機過酸化物を含有してもよい。有機過酸化物を含有させることにより加熱消滅性接着剤層を有するシートを消滅させる時間を短縮させることができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、p−メンタンハイドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロキシパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロキシパーオキサイド等のハイドロキシパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピルベンゼン)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
【0031】
また、低融点有機酸は電極面に対して洗浄作用を有することから、これをポリオキシアルキレン樹脂組成物に含有させておけばリードフレーム表面の酸化膜の除去を同時に行うこともできる。
【0032】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、更に、必要に応じて、架橋促進剤、増粘剤、チキソトロープ剤、物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤等の各種添加剤を加えても良い。ただし、不燃性の添加剤は残留残さとなるため注意する必要がある。
【0033】
上記架橋促進剤としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のアルキルオキシチタネート等が挙げられる。ただし、これらの架橋促進剤は、必ず残留残さとなることから、必要最小限の添加に止めるべきである。
【0034】
上記増粘剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物の粘性特性を調整するために添加するものである。上記増粘剤としては、上記ポリオキシアルキレン樹脂との相溶性の高い高分子化合物から適宜選択され、例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等やこれら共重合体の官能基変成体が挙げられる。これらの増粘剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記チキソトロープ剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物の粘性特性を調整するために添加するものである。上記チキソトロープ剤としては、例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。また、上記チキソトロープ剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂と親和性の高い表面を有するものが好ましい。
【0036】
上記物性調整剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を用いてなるシートの引張り特性等を改善するために添加するものである。上記物性調整剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等の各種シランカップリング剤等が挙げられる。これらの物性調整剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記増量剤としては特に限定されないが、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物のチキソトロープ性等への影響の少ないものが好適であり、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらの増量剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、更に、必要に応じてタレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等が添加されてもよい。
【0040】
上記加熱消滅性接着シートは、接着剤として上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させたものを用いる場合には、上記接着剤を流延して光照射を行うことにより形成することができる。
光照射に利用できる光源としては、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物が感光し硬化が開始する波長を含む光源であれば特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマーレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は単独で用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記加熱消滅性接着シートとしては、基材のないノンサポートタイプであってもよいし、離型処理された又はされていない基材の片面に上記加熱消滅性接着剤からなる接着層が形成されたサポートタイプであってもよい。基材を用いた場合は、製造中の半導体パッケージの取扱いが容易になる。
上記基材は、必ずしも加熱により消滅する必要はないが、上記加熱消滅性接着剤して挙げた樹脂組成物を用いれば樹脂アニール時に基材ごと消滅させることができる。
【0042】
本発明の半導体パッケージでは、次いで、半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとする。
上記樹脂封止に用いる樹脂としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、エポキシ樹脂、無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤等から構成される液状、固体状樹脂等が挙げられる。
上記無機フィラーとしては、一般的に微細球状シリカフィラーが用いられ、また用途によっては、他の任意成分を含有させることができる。なお、光学用としては、光透過性を向上させるため、フィラーを含有しないものが用いられる。
上記硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水テトラハイドロフタル酸、無水ヘキサハイドロフタル酸、無水メチルヘキサハイドロフタル酸、無水メチルテトラハイドロフタル酸、及び、イソフタル酸無水物等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、例えば、第3級アミン、4−(イミダゾ−1−イル)フェノール等の芳香族性水酸基含有第3級アミン、ジアゾビシクロ化合物等が挙げられる。
また、上記樹脂封止の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、多数個取りができるトランスファーモールド金型に、ICチップ付きリードフレームをセットし、上記固体状樹脂を予熱ポットとよばれる部分にセットした後、金型を閉めてプランジャーで上記固体状樹脂を加圧、加熱しながら金型内に樹脂を注入するトランスファーモールド工程等が挙げられる。
なお、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋させた加熱消滅性接着剤を用いる場合であっても、窒素雰囲気中では少なくとも200℃以上に加熱しなければ消滅することはない。酸素の少ない金型環境下では、加熱消滅性接着シートの消失は最小限に抑えることができる。
【0043】
本発明の半導体パッケージでは、次いで、加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させる。加熱消滅性接着剤として上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させたものを用いる場合には、一般的な樹脂アニール温度である150〜170℃で消滅することから、別に高温加熱工程を設ける必要がなく、樹脂アニール時に加熱消滅性接着剤を消滅させることができる。
なお、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋させた加熱消滅性接着剤を150〜170℃で消失させるには、充分な酸素雰囲気中で加熱することに留意する。
【0044】
上記加熱消滅性接着シートが消滅することにより、リードフレーム表面を露出する。
なお、加熱消滅性接着シート上に上記リードフレームを配置する際に、リードフレーム表面の一部が加熱消滅性接着シートに埋め込まれるようにした場合には、上記加熱消滅性接着シートが消滅することによりリードフレーム表面及び側面の一部が露出する。リードフレーム表面及び側面の一部が露出することにより、ハンダを付着させることができる面積を大きくすることができ、各々のリードフレームにフィレットを形成することもできるため、基板への実装時に接合強度を大きくすることができる。
【0045】
本発明の半導体パッケージの製造方法によれば、加熱消滅性樹脂シートにより樹脂封止工程中にリードフレームの表面が樹脂等により汚染されることを防ぐことができ、リードフレーム表面の導電性が低下したり実装時にハンダ濡れ性が悪かったりするのを防ぐことができる。また、リードフレーム表面の位置がずれたり、リードフレーム表面の高さが不揃いになったりするのを防ぐこともできる。一方、樹脂封止後には、加熱することにより上記加熱消滅性樹脂シートを消滅させることができることから、糊残りしてリードフレーム表面を汚染したり、得られた半導体パッケージを破壊することなく加熱消滅性接着シートを容易に除去することができる。とりわけ加熱消滅性接着剤として上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させたものを用いる場合には、一般的な樹脂アニール温度である150〜170℃で消滅することから、別に高温加熱工程を設ける必要がなく、樹脂の養生時に加熱消滅性接着シートを消滅させることができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
架橋性シリル基を有するポリオキシプロピレン樹脂(商品名「MSポリマーS303」、鐘淵化学工業社製)100重量部にジアシルフォスフィンオキシド化合物(商品名「イルガキュア819」、チバスペシャルティーケミカル社製)3重量部を加えた液状樹脂組成物をシート状に流延し、紫外線を照射して硬化させて樹脂シートを得た。得られた樹脂シートはゲル状でゴム弾性があり粘着性を示した。
【0048】
得られた樹脂シートの上に配線済みの半導体チップを搭載したQFN用リードフレームを接着した。次いで、175℃、40秒間の条件でトランスファー成形により半導体チップをエポキシ樹脂で封止して半導体パーケージとした。この際、封止時の加熱により樹脂シートの一部が消滅したが、リードフレームが露出することはなかった。
次いで、半導体パッケージを200℃に設定した熱風乾燥炉に30秒間置いたところ、瞬時に樹脂シートは消滅しリード表面が露出した。リードフレーム表面にはごく薄いバリも剥型剤の付着も認められなかった。
【0049】
その後、半導体パッケージのタイバー部分をカットし、リードフレーム表面にハンダメッキを施した。リードフレーム表面を目視観察し、また、蛍光X線でリードフレーム表面の組成分析を行ったところメッキの付着不良箇所もなく、ハンダメッキが良好に行われたことが確認できた。
【0050】
(実施例2)
架橋性シリル基を有するポリオキシプロピレン樹脂(商品名「MSポリマーS303」、鐘淵化学工業社製)100重量部にジアシルフォスフィンオキシド化合物(商品名「イルガキュア819」、チバスペシャルティーケミカル社製)3重量部を加えた液状樹脂組成物を、厚さ0.1mmのシート状に流延し紫外線を照射して硬化させた。得られたシート状成形体の上に同一組成の液状樹脂組成物を0.1mmの厚さになるように流延し、この上に厚さ0.2mmのリードフレームを備えた配線済みの半導体チップを配置した。紫外線を照射して硬化したところ、リードフレーム表面が0.1mmほど樹脂シートに埋め込まれた状態が得られた。
【0051】
次いで、175℃、40秒間の条件でトランスファ成形により半導体チップをエポキシ樹脂で封止して半導体パーケージとした。この際、封止時の加熱により樹脂シートの一部が消滅したが、リードフレームが露出することはなかった。
次いで、半導体パッケージを200℃に設定した熱風乾燥炉に30秒間置いたところ瞬時に樹脂シートは消滅しリードフレーム表面が露出した。リードフレーム表面にはごく薄いバリも剥型剤の付着も認められなかった。
【0052】
その後、半導体パッケージのタイバー部分をカットし、リードフレーム表面にハンダメッキを施した。リードフレーム表面を目視観察し、また、蛍光X線でリードフレーム表面の組成分析を行ったところメッキの付着不良箇所もなく、ハンダメッキが良好に行われたことが確認できた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法を提供できる。
【発明の属する技術分野】
本発明は、露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、電子機器は軽量、小型、薄型を達成するため高密度実装が要求されており、電子部品はより小面積で表面実装が可能な構造に改良されてきている。また、製造コストを低減するため安くて生産性が良好なレジンパッケージが多用されている。
【0003】
レジンパッケージは、通常、導電ペースト等を用いてリードフレーム上に半導体チップを固着させ、ワイヤボンディングにより所定のリード位置と電気的に接続した後、エポキシ樹脂等によって半導体チップを封止する方法により製造されている。従来、レジンパッケージのリードフレームはそれぞれトリミング、カッティング処理がなされた後、回路基板に取り付けられていた。しかし、このような方法では、外部端子数の増加に伴い大型化することから、小型化の要求に対応できないという問題があった。
【0004】
これに対して、近年、リードフレームと半導体チップとを樹脂封止し、リードフレーム表面のみを表出させた、見掛け上リードフレームのない、クワットフラットノンリード(QFN)等のノンリードタイプの半導体パッケージが開発されている。QFN半導体パッケージは従来の半導体パッケージに比べて小型化が容易であり、また信頼性が高く安価でもあることから、携帯電話、情報端末等に利用されている。
【0005】
QFN半導体パッケージを作製する方法としては、通常、接着性シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、金型成形法により半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとした後、接着シートを剥離する方法が用いられている。しかしながら、この方法では、接着シートを剥離する際に、糊残りしてリードフレーム表面を汚染したり、半導体パッケージを破壊してしまったりすることがあるという問題があった。これに対して、剥離性の高い接着シートを用いることが考えられているが、接着力が弱いと、樹脂封止工程でリ−ドフレーム表面と接着性シートとの間に封止樹脂が侵入しリードフレーム表面に薄い封止樹脂のバリが付着したり、成形用の離型剤がリードフレーム表面に付着したりすることがあり、リードフレーム表面の導電性が低下したり実装時にハンダ濡れ性が不充分になったりすることがあるという問題点があった。また、リードフレーム表面の位置がずれたり、リードフレーム表面の高さが不揃いになったりすることがあるという問題もあった。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記現状に鑑み、露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法を提供することを目的とする。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、前記リードフレームを樹脂封止して半導体パーケージとした後、前記加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させ、リードフレーム表面を露出させる半導体パッケージの製造方法である。
以下に本発明を詳述する。
【0008】
本発明の半導体パッケージの製造方法では、まず、加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置する。加熱消滅性接着シート上に配置することにより、樹脂封止工程中にリードフレーム表面が汚染したり、リードフレームの位置がずれたり高さが不揃いになるのを防止することができる。
【0009】
半導体チップを搭載したリードフレームを加熱消滅性接着シート上に配置する際には、リードフレーム表面を加熱消滅性接着シートの表面に接着することにより配置してもよいし、リードフレーム表面の一部を加熱消滅性接着シートに埋め込んで配置してもよい。リードフレーム表面の一部を加熱消滅性接着シートに埋め込む方法としては、例えば、上記加熱消滅性接着シートが柔軟である場合には押し込む方法;上記加熱消滅性接着シートが液状組成物を架橋して硬化させることにより得られるものである場合には、流延した液状組成物にリードフレームの一部が浸漬した状態で架橋し硬化させる方法等が挙げられる。
【0010】
本明細書において加熱消滅性接着シートとは、少なくとも、加熱することにより気体に分解するか、又は、分解して気化し、固体形状を失う加熱消滅性接着剤からなる接着層を有するシートを意味する。なお、上記加熱消滅性接着シートが基材の片面に加熱消滅性接着剤からなる接着層が形成されたサポートタイプである場合には、基材を含めたシート全体が加熱により消滅することが好ましいが、基材は消滅しなくとも加熱消滅性接着剤からなる接着層が消滅すればよい。また、上記加熱消滅性接着シートは、粘着性を有していてもよい。
【0011】
上記基材としては、例えば、PET、セロファン、ポリアセタール、ポリイミド、ポリエチレン、延伸ポリプロピレン(OPP)、キャストポリプロピレン(CPP)、ポリウレタン、セルロース、フッ素樹脂、シリコン、軟質塩化ビニル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリビニルブチラール、ポリアクリレート、、これらのポリマーを組み合わせた共重合体、グラフト体等を原料とした樹脂フィルム、アルミニウム、銅、金、銀、鉄、ステンレス、4・2アロイ、ニッケル等からなる金属フィルム、シリカ、アルミナ、窒化ホウ素、窒化アルミニウム等からなる無機物フィルム、これらを組み合わせて得られる複層フィルム、及び、セルロース、PET、ナイロン、シルク、綿、麻等の繊維からなる織布、不織布等が挙げられる。
【0012】
上記加熱消滅性接着剤としては、例えば、ポリメチレンマロン酸ジエステル、ポリブチレン、ニトロセルロース、α−メチルスチレンポリマー、プロピレンカーボネートポリマー、ポリ(メタ)アクリル酸アルキルエステル、カルボン酸ジヒドラジドとジイソシアネートを重合させた共重合体、これらのポリマーの過酸化物等、及び、これらのポリマーに必要に応じてジブチルフタレートやジオクチルフタレートなどの可塑剤や、キシレンオイル、テルペンオイル、パラフィンワックスなどの軟化剤を加えて粘着性を付与したもの等が知られている。また、ポリブテンやポリメタクリル酸ラウリルも加熱消滅性接着剤として用いることができる。
【0013】
しかしながら、通常の半導体チップの製造方法では、リードフレームを樹脂封止して半導体パーケージとした後、樹脂アニールを行うことが一般的であることから、養生温度である150〜170℃で速やかに消滅し得る接着剤を用いれば、樹脂アニール時に加熱消滅性接着剤を消滅させることができ、大幅に工程を簡略化できる。また、比較的耐熱性の低い半導体チップにも用いることができる。従来、150〜170℃で速やかに消滅し得る接着剤はなかったが、本発明者らは、鋭意検討の結果、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させた接着剤が、150〜170℃に加熱することで速やかに消滅することに加え、リードフレームを構成する金属や樹脂等の幅広い材料に対して優れた接着性を有し、しかも、シート状に成形したときに適度なシート強度を有することを見出した。
【0014】
上記ポリオキシアルキレン樹脂としては特に限定されず、例えば、ポリオキシプロピレン樹脂、ポリオキシエチレン樹脂、ポリオキシテトラメチレン樹脂等が挙げられる。また、各種のポリオキシアルキレン樹脂を複数組み合わせることによって、消滅する温度と消滅するまでの時間を調整することができる。特に、ポリオキシプロピレン樹脂を50重量%以上とし、ポリオキシエチレン樹脂又はポリオキシテトラメチレン樹脂を混合したペースト、又は、シート状に成形した接着剤は、樹脂の混合割合を調整することにより、消滅する温度と消滅するまでの時間とを調整することができる。
【0015】
上記架橋性シリル基としては、例えば、オキシムシリル基、アルケニルオキシシリル基、アセトキシシリル基、ハロゲノシリル基、ビニルシリル基、シラノール基等が挙げられる。なかでも、末端にアルコキシシリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂は、弾性にすぐれたゴム状の架橋樹脂となることから好適である。
上記アルコキシシリル基としては、例えば、メトキシシリル基、エトキシシリル基、プロピルオキシシリル基、イソプロピルオキシシリル基、ブトキシシリル基、tert−ブトキシシリル基、フェノキシシリル基、ベンジルオキシシリル基等が挙げられる。なお、ジアルコキシシリル基又はトリアルコキシシリル基の場合、同じアルコキシ基であってもよく、異なるアルコキシ基を組み合わせたものであってもよい。これらの架橋性シリル基は単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。また、ポリオキシアルキレン樹脂の種類や架橋性シリル基が異なる複数種類のポリオキシアルキレン樹脂を併用してもよい。
【0016】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、更に、下記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒を含有することが好ましい。これにより、可視光線、紫外線や電子線等の光を照射(以下、光照射ともいう)することでポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋、硬化させることができる。なかでも、光反応性が高く架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂に対する溶解性にも優れていることから、カルボン酸無水物、カルボン酸イミド及びジアシルホスフィンオキサイドが好適である。このような光反応触媒は単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
また、ジアシルホスフィンオキサイドを含有する場合は、消滅後の残さが極めて少なく、より好適である。
【0017】
【化1】
【0018】
式(1)中、mは2〜5の整数を表し、Y(m)は周期表のIVB族、VB族又はVIB族の原子を表し、Zは水素基、炭化水素基、メルカプト基、アミノ基、ハロゲン基、アルコキシル基、アルキルチオ基、カルボニルオキシ基又はオキソ基を表す。
【0019】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒は、一般式(1)で表される官能基のうち、異なるものを複数種有していてもよい。
【0020】
上記一般式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、例えば、酸素、硫黄、窒素、リン及び炭素からなる群より選択されるY(m)で示される原子に対し、カルボニル基が2個結合した化合物であって、Y(m)で示される原子の価数に応じて適宜、Zで示される炭化水素基又はオキシド基を有するもの等が挙げられる。
【0021】
上記炭化水素基としては、例えば、脂肪族系炭化水素基、不飽和脂肪族系炭化水素基、芳香族系炭化水素基等が挙げられる。これらの炭化水素基は、本発明の目的を阻害しない範囲でアミノ基、水酸基、エーテル基、エポキシ基、重合性不飽和基、ウレタン基、ウレア基、イミド基、エステル基等の置換基を有していても良い。また、異なる炭化水素基を組み合わせて用いてもよい。
【0022】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒は、環状化合物であってもよい。このような環状化合物としては、例えば、環状鎖の中に1個又は2個以上の同種又は異種の上記一般式(1)で表される官能基を有する化合物等が挙げられる。更に、複数個の同種又は異種の上記環状化合物を適当な有機基で結合した化合物や、複数個の同種又は異種の上記環状化合物をユニットとして少なくとも1個以上含む双環化合物等も用いることができる。
【0023】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が酸素原子の場合には、例えば、酢酸無水物、プロピオン酸無水物、ブチル酸無水物、イソブチル酸無水物、バレリック酸無水物、2−メチルブチル酸無水物、トリメチル酢酸無水物、ヘキサン酸無水物、ヘプタン酸無水物、デカン酸無水物、ラウリル酸無水物、ミリスチリル酸無水物、パルミチン酸無水物、ステアリル酸無水物、ドコサン酸無水物、クロトン酸無水物、アクリル酸無水物、メタクリル酸無水物、オレイン酸無水物、リノレイン酸無水物、クロロ酢酸無水物、ヨード酢酸無水物、ジクロロ酢酸無水物、トリフルオロ酢酸無水物、クロロジフルオロ酢酸無水物、トリクロロ酢酸無水物、ペンタフルオロプロピオン酸無水物、ヘプタフルオロブチル酸無水物、コハク酸無水物、メチルコハク酸無水物、2,2−ジメチルコハク酸無水物、イソブチルコハク酸無水物、1,2−シクロヘキサンジカルボン酸無水物、ヘキサヒドロ−4−メチルフタル酸無水物、イタコン酸無水物、1,2,3,6−テトラヒドロフタル酸無水物、3,4,5,6−テトラヒドロフタル酸無水物、マレイン酸無水物、2−メチルマレイン酸無水物、2,3−ジメチルマレイン酸無水物、1−シクロペンテン−1,2−ジカルボン酸無水物、グルタル酸無水物、1−ナフチル酢酸無水物、安息香酸無水物、フェニルコハク酸無水物、フェニルマレイン酸無水物、2,3−ジフェニルマレイン酸無水物、フタル酸無水物、4−メチルフタル酸無水物、3,3’,4,4’−ベンゾフェノンテトラカルボン酸ジ無水物、4,4’−(ヘキサフルオロプロピリデン)ジフタル酸無水物、1,2,4,5−ベンゼンテトラカルボン酸無水物、1,8−ナフタレンジカルボン酸無水物、1,4,5,8−ナフタレンテトラカルボン酸無水物等;マレイン酸無水物とラジカル重合性二重結合を持つ化合物の共重合体として、例えば、マレイン酸無水物と(メタ)アクリレートの共重合体、マレイン酸無水物とスチレンの共重合体、マレイン酸無水物とビニルエーテルの共重合体等が挙げられる。これらのうち市販品としては、例えば、旭電化社製のアデカハードナーEH−700、アデカハードナーEH−703、アデカハードナーEH−705A;新日本理化社製のリカシッドTH、リカシッドHT−1、リカシッドHH、リカシッドMH−700、リカシッドMH−700H、リカシッドMH、リカシッドSH、リカレジンTMEG;日立化成社製のHN−5000、HN−2000;油化シェルエポキシ社製のエピキュア134A、エピキュアYH306、エピキュアYH307、エピキュアYH308H;住友化学社製のスミキュアーMS等が挙げられる。
【0024】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が窒素原子の場合には、例えば、コハク酸イミド、N−メチルコハク酸イミド、α,α−ジメチル−β−メチルコハク酸イミド、α−メチル−α−プロピルコハク酸イミド、マレイミド、N−メチルマレイミド、N−エチルマレイミド、N−プロピルマレイミド、N−tert−ブチルマレイミド、N−ラウリルマレイミド、N−シクロヘキシルマレイミド、N−フェニルマレイミド、N−(2−クロロフェニル)マレイミド、N−ベンジルマレイミド、N−(1−ピレニル)マレイミド、3−メチル−N−フェニルマレイミド、N,N’−1,2−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,3−フェニレンジマレイミド、N,N’−1,4−フェニレンジマレイミド、N,N’−(4−メチル−1,3−フェニレン)ビスマレイミド、1,1’−(メチレンジ−1,4−フェニレン)ビスマレイミド、フタルイミド、N−メチルフタルイミド、N−エチルフタルイミド、N−プロピルフタルイミド、N−フェニルフタルイミド、N−ベンジルフタルイミド、ピロメリット酸ジイミド等が挙げられる。
【0025】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子がリン原子の場合には、例えば、ビス(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチル−ペンチルフォスフィンオキサイド、ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシド等が挙げられる。
【0026】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒としては、Y(m)で表される原子が炭素原子の場合には、例えば、2,4−ペンタンジオン、3−メチル−2,4−ペンタンジオン、3−エチル−2,4−ペンタンジオン、3−クロロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1−トリフルオロ−2,4−ペンタンジオン、1,1,1,5,5,5−ヘキサフルオロ−2,4−ペンタンジオン、2,2,6,6−テトラメチル−3,5−ヘプタンジオン、1−ベンゾイルアセトン、ジベンゾイルメタン等のジケトン類;ジメチルマロネート、ジエチルマロネート、ジメチルメチルマロネート、テトラエチル1,1,2,2−エタンテトラカルボン酸等のポリカルボン酸エステル類;メチルアセチルアセトナート、エチルアセチルアセトナート、メチルプロピオニルアセテート等のα−カルボニル−酢酸エステル類等が挙げられる。なかでも、消滅後の残さが極めて少ないことから、ジアシルフォスフィンオキシド及びその誘導体が好適である。
【0027】
上記式(1)で表される官能基を有する光反応触媒の配合量の好ましい下限は、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂100重量部に対して0.01重量部、好ましい上限は30重量部である。0.01重量部未満であると、光反応性を示さなくなることがあり、30重量部を超えると、ポリオキシアルキレン樹脂組成物の光透過性が低下して、光を照射しても表面のみが架橋、硬化し、深部は架橋、硬化しないことがある。より好ましい下限は0.1重量部、より好ましい下限は20重量部である。
【0028】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、増感剤を含有してもよい。増感剤を含有することにより、光反応性が向上し、光の照射時間を短くしたり、光の照射エネルギーを低くしたり、表面から深部まで均一に架橋、硬化させたりすることができる。
上記増感剤としては、例えば、4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル(2−ヒドロキシ−2−プロピル)ケトン、α−ヒドロキシ−α,α’−ジメチルアセトフェノン、メトキシアセトフェノン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン等のアセトフェノン誘導体化合物;ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインプロピルエーテル等のベンゾインエーテル系化合物;ベンジルジメチルケタール等のケタール誘導体化合物;ハロゲン化ケトン;アシルフォスフィンオキシド;アシルフォスフォナート;2−メチル−1−[4−(メチルチオ)フェニル]−2−モルフォリノ プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−N,N−ジメチルアミノ−1−(4−モルフォリノフェニル)−1−ブタノン;ビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)−フェニルフォスフィンオキシドビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキシド;ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス(ペンタフルオロフェニル)−チタニウム、ビス(η5−シクロペンタジエニル)−ビス[2,6−ジフルオロ−3−(1H−ピリ−1−イル)フェニル]−チタニウム;アントラセン、ペリレン、コロネン、テトラセン、ベンズアントラセン、フェノチアジン、フラビン、アクリジン、ケトクマリン、チオキサントン誘導体、ベンゾフェノン、アセトフェノン、2−クロロチオキサンソン、2,4−ジメチルチオキサンソン、2,4−ジエチルチオキサンソン、2,4−ジイソプロピルチオキサンソン、イソプロピルチオキサンソン等が挙げられる。これらは単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0029】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、必要に応じてアルキルシラン化合物又はアルコキシシラン化合物を含有してもよい。上記アルキルシラン化合物又はアルコキシシラン化合物としては、例えば、ジメトキシジメチルシラン、シクロヘキシルジメトキシメチルシラン、ジエトキシジメチルシラン、ジメトキシメチルオクチルシラン、ジエトキシメチルビニルシラン、クロロメチル(ジイソプロポキシ)メチルシラン、ジメトキシメチルフェニルシラン、ジエトキシジフェニルシラン、トリメトキシシラン、トリエトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、トリメトキシプロピルシラン、イソブチルトリメトキシシラン、オクチルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、イソブチルトリエトキシシラン、オクチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、(3−クロロプロピル)トリメトキシシラン、クロロメチルトリエトキシシラン、トリス(2−メトキシエトキシ)ビニルシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、ジエトキシ(3−グリシドキシプロピル)メチルシラン、クロロトリメトキシシラン、クロロトリエトキシシラン、クロロトリス(1,3−ジメチルブトキシ)−シラン、ジクロロジエトキシシラン、3−(トリエトキシシリル)−プロピオニトリル、4−(トリエトキシシリル)−ブチロニトリル、3−(トリエトキシシリル)−プロピルイソシアネート、3−(トリエトキシシリル)−プロピルチオイソシアネート、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、テトラプロポキシシラン、テトラブトキシシラン、1,3,5,7−テトラエトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラプロキシシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトライソプロポキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラブトキシ−1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7,9−ペンタエトキシ−1,3,5,7,9−ペンタメチルシクロペンタシロキサン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、デカメチルシクロペンタシロキサン、ドデカメチルシクロヘキサシロキサン、ヘキサフェニルシクロトリシロキサン、オクタフェニルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチルシクロテトラシロキサン、1,3,5,7−テトラメチル−1,3,5,7−テトラフェニルシクロテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチルシクロトリシラザン、1,1,3,3,5,5,7,7−オクタメチルシクロテトラシラザン、1,7−ジアセトキシオクタメチルテトラシロキサン、1,7−ジクロロオクタメチルテトラシロキサン、1,1,3,3,5,5−ヘキサメチル−1,5−ジクロロトリシロキサン、1,3−ジクロロテトライソプロピルジシロキサン、1,3−ジエトキシテトラメチルジシロキサン、1,3−ジメトキシテトラメチルジシロキサン、1,1,3,3−テトラメチル−1,3−ジクロロジシロキサン、1,2−ビス(メチルジクロロシリル)エタン、ジアセトキシジフェニルシラン、メチルトリス(エチルメチルケトオキシム)シラン、メチルトリス(N,N−ジエチルアミノキシ)シラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)メチルイソプロポキシシラン、ビス(エチルメチルケトオキシム)エトキシメチルシラン、トリス(1−メチルビニロキシ)ビニルシラン、メチルトリイソプロペノキシシラン、エチルトリアセトキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、ジアセトキシジメチルシラン、トリアセトキシビニルシラン、テトラアセトキシシラン、ジアセトキシメチルフェニルシラン、ジメトキシエチルメチルケトオキシムメチルシラン等が挙げられる。
【0030】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、有機過酸化物を含有してもよい。有機過酸化物を含有させることにより加熱消滅性接着剤層を有するシートを消滅させる時間を短縮させることができる。
上記有機過酸化物としては、例えば、p−メンタンハイドロキシパーオキサイド、ジイソプロピルベンゼンハイドロキシパーオキサイド、1,1,3,3−テトラメチルブチルハイドロキシパーオキサイド、クメンハイドロキシパーオキサイド、t−ヘキシルハイドロキシパーオキサイド、t−ブチルハイドロキシパーオキサイド等のハイドロキシパーオキサイド;ジクミルパーオキサイド、α、α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピルベンゼン)、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ビス(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3等のジアルキルパーオキサイド;1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ヘキシルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロヘキサン、1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)シクロドデカン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、n−ブチル4,4−ビス(t−ブチルパーオキシ)バレレート、2,2−ビス(4,4−ジ−t−ブチルパーオキシシクロヘキシル)プロパン等のパーオキシケタール;t−ヘキシルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ブチルパーオキシマレイン酸、t−ブチルパーオキシ3,5,5−トリメチルヘキサノエート、t−ブチルパーオキシラウレート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−トルイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシイソプロピルモノカーボネート、t−ヘキシルパーオキシベンゾエート、2,5−ジメチル−2,5−ビス(m−ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、t−ブチルパーオキシアセテート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、ビス−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシアリルモノカーボネート等のパーオキシエステル等が挙げられる。
【0031】
また、低融点有機酸は電極面に対して洗浄作用を有することから、これをポリオキシアルキレン樹脂組成物に含有させておけばリードフレーム表面の酸化膜の除去を同時に行うこともできる。
【0032】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、更に、必要に応じて、架橋促進剤、増粘剤、チキソトロープ剤、物性調整剤、増量剤、補強剤、可塑剤、着色剤、難燃剤等の各種添加剤を加えても良い。ただし、不燃性の添加剤は残留残さとなるため注意する必要がある。
【0033】
上記架橋促進剤としては、例えば、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫オキサイド、ジブチル錫ジアセテート、ジブチル錫フタレート、ビス(ジブチル錫ラウリン酸)オキサイド、ジブチル錫ビスアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(モノエステルマレート)、オクチル酸錫、ジブチル錫オクトエート、ジオクチル錫オキサイド等の錫化合物、テトラ−n−ブトキシチタネート、テトライソプロポキシチタネート等のアルキルオキシチタネート等が挙げられる。ただし、これらの架橋促進剤は、必ず残留残さとなることから、必要最小限の添加に止めるべきである。
【0034】
上記増粘剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物の粘性特性を調整するために添加するものである。上記増粘剤としては、上記ポリオキシアルキレン樹脂との相溶性の高い高分子化合物から適宜選択され、例えば、アクリル系高分子、メタクリル系高分子、ポリビニルアルコール誘導体、ポリ酢酸ビニル、ポリスチレン誘導体、ポリエステル類、ポリエーテル類、ポリイソブテン、ポリオレフィン類、ポリアルキレンオキシド類、ポリウレタン類、ポリアミド類、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイソプレン、NBR、SBS、SIS、SEBS、水添NBR、水添SBS、水添SIS、水添SEBS等やこれら共重合体の官能基変成体が挙げられる。これらの増粘剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0035】
上記チキソトロープ剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物の粘性特性を調整するために添加するものである。上記チキソトロープ剤としては、例えば、コロイダルシリカ、ポリビニルピロリドン、疎水化炭酸カルシウム、ガラスバルーン、ガラスビーズ等が挙げられる。また、上記チキソトロープ剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂と親和性の高い表面を有するものが好ましい。
【0036】
上記物性調整剤は、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を用いてなるシートの引張り特性等を改善するために添加するものである。上記物性調整剤としては、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]エチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリメトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン、N,N’−ビス−[3−(トリエトキシシリル)プロピル]ヘキサエチレンジアミン等の各種シランカップリング剤等が挙げられる。これらの物性調整剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0037】
上記増量剤としては特に限定されないが、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物のチキソトロープ性等への影響の少ないものが好適であり、例えば、タルク、クレー、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム、無水珪素、含水珪素、ケイ酸カルシウム、二酸化チタン、カーボンブラック等が挙げられる。これらの増量剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0038】
上記可塑剤としては、例えば、リン酸トリブチル、リン酸トリクレジル等のリン酸エステル類、フタル酸ジオクチル等のフタル酸エステル類、グリセリンモノオレイル酸エステル等の脂肪酸−塩基酸エステル類、アジピン酸ジオクチル等の脂肪酸二塩基酸エステル類、ポリプロピレングリコール類等が挙げられる。これらの可塑剤は単独で用いられてもよいし、2種以上が併用されてもよい。
【0039】
上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物は、更に、必要に応じてタレ防止剤、酸化防止剤、老化防止剤、紫外線吸収剤、溶剤、香料、顔料、染料等が添加されてもよい。
【0040】
上記加熱消滅性接着シートは、接着剤として上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させたものを用いる場合には、上記接着剤を流延して光照射を行うことにより形成することができる。
光照射に利用できる光源としては、上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物が感光し硬化が開始する波長を含む光源であれば特に限定されず、例えば、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、エキシマーレーザー、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ、ナトリウムランプ、ハロゲンランプ、キセノンランプ、蛍光灯、太陽光、電子線照射装置等が挙げられる。これらの光源は単独で用いられてもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0041】
上記加熱消滅性接着シートとしては、基材のないノンサポートタイプであってもよいし、離型処理された又はされていない基材の片面に上記加熱消滅性接着剤からなる接着層が形成されたサポートタイプであってもよい。基材を用いた場合は、製造中の半導体パッケージの取扱いが容易になる。
上記基材は、必ずしも加熱により消滅する必要はないが、上記加熱消滅性接着剤して挙げた樹脂組成物を用いれば樹脂アニール時に基材ごと消滅させることができる。
【0042】
本発明の半導体パッケージでは、次いで、半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとする。
上記樹脂封止に用いる樹脂としては、従来公知のものを用いることができ、例えば、エポキシ樹脂、無機フィラー、硬化剤、硬化促進剤等から構成される液状、固体状樹脂等が挙げられる。
上記無機フィラーとしては、一般的に微細球状シリカフィラーが用いられ、また用途によっては、他の任意成分を含有させることができる。なお、光学用としては、光透過性を向上させるため、フィラーを含有しないものが用いられる。
上記硬化剤としては、例えば、無水フタル酸、無水テトラハイドロフタル酸、無水ヘキサハイドロフタル酸、無水メチルヘキサハイドロフタル酸、無水メチルテトラハイドロフタル酸、及び、イソフタル酸無水物等が挙げられる。
上記硬化促進剤としては、例えば、第3級アミン、4−(イミダゾ−1−イル)フェノール等の芳香族性水酸基含有第3級アミン、ジアゾビシクロ化合物等が挙げられる。
また、上記樹脂封止の方法としては特に限定されず、従来公知の方法を用いることができ、例えば、多数個取りができるトランスファーモールド金型に、ICチップ付きリードフレームをセットし、上記固体状樹脂を予熱ポットとよばれる部分にセットした後、金型を閉めてプランジャーで上記固体状樹脂を加圧、加熱しながら金型内に樹脂を注入するトランスファーモールド工程等が挙げられる。
なお、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋させた加熱消滅性接着剤を用いる場合であっても、窒素雰囲気中では少なくとも200℃以上に加熱しなければ消滅することはない。酸素の少ない金型環境下では、加熱消滅性接着シートの消失は最小限に抑えることができる。
【0043】
本発明の半導体パッケージでは、次いで、加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させる。加熱消滅性接着剤として上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させたものを用いる場合には、一般的な樹脂アニール温度である150〜170℃で消滅することから、別に高温加熱工程を設ける必要がなく、樹脂アニール時に加熱消滅性接着剤を消滅させることができる。
なお、架橋性シリル基を有するポリオキシアルキレン樹脂を架橋させた加熱消滅性接着剤を150〜170℃で消失させるには、充分な酸素雰囲気中で加熱することに留意する。
【0044】
上記加熱消滅性接着シートが消滅することにより、リードフレーム表面を露出する。
なお、加熱消滅性接着シート上に上記リードフレームを配置する際に、リードフレーム表面の一部が加熱消滅性接着シートに埋め込まれるようにした場合には、上記加熱消滅性接着シートが消滅することによりリードフレーム表面及び側面の一部が露出する。リードフレーム表面及び側面の一部が露出することにより、ハンダを付着させることができる面積を大きくすることができ、各々のリードフレームにフィレットを形成することもできるため、基板への実装時に接合強度を大きくすることができる。
【0045】
本発明の半導体パッケージの製造方法によれば、加熱消滅性樹脂シートにより樹脂封止工程中にリードフレームの表面が樹脂等により汚染されることを防ぐことができ、リードフレーム表面の導電性が低下したり実装時にハンダ濡れ性が悪かったりするのを防ぐことができる。また、リードフレーム表面の位置がずれたり、リードフレーム表面の高さが不揃いになったりするのを防ぐこともできる。一方、樹脂封止後には、加熱することにより上記加熱消滅性樹脂シートを消滅させることができることから、糊残りしてリードフレーム表面を汚染したり、得られた半導体パッケージを破壊することなく加熱消滅性接着シートを容易に除去することができる。とりわけ加熱消滅性接着剤として上記ポリオキシアルキレン樹脂組成物を架橋させたものを用いる場合には、一般的な樹脂アニール温度である150〜170℃で消滅することから、別に高温加熱工程を設ける必要がなく、樹脂の養生時に加熱消滅性接着シートを消滅させることができる。
【0046】
【実施例】
以下に実施例を掲げて本発明を更に詳しく説明するが、本発明はこれら実施例のみに限定されるものではない。
【0047】
(実施例1)
架橋性シリル基を有するポリオキシプロピレン樹脂(商品名「MSポリマーS303」、鐘淵化学工業社製)100重量部にジアシルフォスフィンオキシド化合物(商品名「イルガキュア819」、チバスペシャルティーケミカル社製)3重量部を加えた液状樹脂組成物をシート状に流延し、紫外線を照射して硬化させて樹脂シートを得た。得られた樹脂シートはゲル状でゴム弾性があり粘着性を示した。
【0048】
得られた樹脂シートの上に配線済みの半導体チップを搭載したQFN用リードフレームを接着した。次いで、175℃、40秒間の条件でトランスファー成形により半導体チップをエポキシ樹脂で封止して半導体パーケージとした。この際、封止時の加熱により樹脂シートの一部が消滅したが、リードフレームが露出することはなかった。
次いで、半導体パッケージを200℃に設定した熱風乾燥炉に30秒間置いたところ、瞬時に樹脂シートは消滅しリード表面が露出した。リードフレーム表面にはごく薄いバリも剥型剤の付着も認められなかった。
【0049】
その後、半導体パッケージのタイバー部分をカットし、リードフレーム表面にハンダメッキを施した。リードフレーム表面を目視観察し、また、蛍光X線でリードフレーム表面の組成分析を行ったところメッキの付着不良箇所もなく、ハンダメッキが良好に行われたことが確認できた。
【0050】
(実施例2)
架橋性シリル基を有するポリオキシプロピレン樹脂(商品名「MSポリマーS303」、鐘淵化学工業社製)100重量部にジアシルフォスフィンオキシド化合物(商品名「イルガキュア819」、チバスペシャルティーケミカル社製)3重量部を加えた液状樹脂組成物を、厚さ0.1mmのシート状に流延し紫外線を照射して硬化させた。得られたシート状成形体の上に同一組成の液状樹脂組成物を0.1mmの厚さになるように流延し、この上に厚さ0.2mmのリードフレームを備えた配線済みの半導体チップを配置した。紫外線を照射して硬化したところ、リードフレーム表面が0.1mmほど樹脂シートに埋め込まれた状態が得られた。
【0051】
次いで、175℃、40秒間の条件でトランスファ成形により半導体チップをエポキシ樹脂で封止して半導体パーケージとした。この際、封止時の加熱により樹脂シートの一部が消滅したが、リードフレームが露出することはなかった。
次いで、半導体パッケージを200℃に設定した熱風乾燥炉に30秒間置いたところ瞬時に樹脂シートは消滅しリードフレーム表面が露出した。リードフレーム表面にはごく薄いバリも剥型剤の付着も認められなかった。
【0052】
その後、半導体パッケージのタイバー部分をカットし、リードフレーム表面にハンダメッキを施した。リードフレーム表面を目視観察し、また、蛍光X線でリードフレーム表面の組成分析を行ったところメッキの付着不良箇所もなく、ハンダメッキが良好に行われたことが確認できた。
【0053】
【発明の効果】
本発明によれば、露出しているリ−ドフレーム表面が汚染されにくく、リードフレーム表面の高さも揃っているノンリードタイプの半導体パッケージを容易に作製することができる半導体パッケージの製造方法を提供できる。
Claims (2)
- 加熱消滅性接着シート上に配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームを配置し、前記半導体チップとリードフレームとを樹脂封止して半導体パーケージとした後、前記加熱消滅性接着シートを加熱して消滅させ、リードフレーム表面を露出させることを特徴とする半導体パッケージの製造方法。
- 配線済みの半導体チップを搭載したリードフレームは、リードフレーム表面の一部が加熱消滅性接着シートに埋め込まれて加熱消滅性接着シート上に配置されることを特徴とする請求項1記載の半導体パッケージの製造方法。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2002349191A JP2004186262A (ja) | 2002-11-29 | 2002-11-29 | 半導体パッケージの製造方法 |
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008131006A (ja) * | 2006-11-24 | 2008-06-05 | Nitto Denko Corp | 半導体装置製造用の耐熱性粘着テープ |
-
2002
- 2002-11-29 JP JP2002349191A patent/JP2004186262A/ja not_active Withdrawn
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