JP2004186102A - 層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体およびそれを用いた製品 - Google Patents
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Abstract
【課題】層構造を有するカーボンナノチューブ集合体およびそれを用いた製品を提供する。
【解決手段】多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体と、該集合体は表裏の第1面と第2面を有し、該第1面および/または第2面にカーボンナノチューブ以外の固体物質、特には不定形カーボンまたはパーティクルを含む層が構成されている層構造を有するカーボンナノチューブ集合体、およびそれを用いた電極材料、電子放出源、発光デバイス、半導体デバイス、吸着材料、放熱材料等の製品。
【選択図】 図3
【解決手段】多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体と、該集合体は表裏の第1面と第2面を有し、該第1面および/または第2面にカーボンナノチューブ以外の固体物質、特には不定形カーボンまたはパーティクルを含む層が構成されている層構造を有するカーボンナノチューブ集合体、およびそれを用いた電極材料、電子放出源、発光デバイス、半導体デバイス、吸着材料、放熱材料等の製品。
【選択図】 図3
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、層構造を有するカーボンナノチューブ集合体およびそれを用いた製品に関する。
本発明の技術分野は広くはナノテク応用技術であり、特に、エレクトロニクス分野のトランジスタやダイオード、電子回路や、冷陰極分野の電界放出型電子源、フラットパネルディスプレー、蛍光表示装置、マイクロ波増幅器、各種電子線装置に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーボンナノチューブを電界放出型電子源として用いる際には、電極ベースに導電ペーストを用いて接着していた。しかし、半導体であるカーボンナノチューブと導体である導電ペーストとの接合面では、オーミックロスから電気的な特性が悪化し、その結果として接合面での発熱や、発熱による破壊が起こるなどの問題を生じる恐れがあった。
また、導体−半導体接合によるダイオードやトランジスターなどのエレクトロニクス部品を構成する場合に、その半導体と金属の接合部は、半導体であるSiやGaAsなどの基板にフォトリソグラフィー、エッチング、不純物拡散、導体蒸着などの工程をそれぞれ1回または複数回経ることにより作製されている。(例えば、非特許文献1参照)
また、環境ホルモンや超微量物質などを吸着する吸着技術として、活性炭による吸着技術が多く行われていた。(例えば、非特許文献2参照)
【0003】
【非特許文献1】
「半導体デバイスの基礎」(株)マグロウヒル好学社、昭和56年6月25日発行第58〜59頁
【非特許文献2】
「科学大辞典」丸善株式会社、昭和60年3月5日発行、第230頁、21行〜26行
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(1)カーボンナノチューブと外部回路とを接続する際のオーミックロスを低減、またはオーミックロスをゼロにすることによる効率の向上が要求されている。
(2)また、導体−半導体接合によるダイオードやトランジスターなどのエレクトロニクス部品を構成する際に、導体と半導体を接合するための工程(フォトリソグラフィー→エッチング→不純物拡散→蒸着)を省略することにより、経費を削減することがのぞまれている。
(3)従来のものより吸着物質を低濃度域まで吸着する吸着材乃至吸着装置を提供することにより、吸着効率の向上とそれによる環境問題への適応が強く期待されている。
【0005】
本発明は、従来不用品、ゴミと思われネガティブな存在とされていた「不定形カーボン」や「パーティクル」、特には「不定形カーボン」を、その存在がポジティブなものとして、その特性を生かした層構造を有するカーボンナノチューブ集合体、およびそれを用いた製品を供給することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の層構造を有するカーボンナノチューブ集合体は、
1)多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体と、該集合体は表裏の第1面と第2面を有し、該第1面および/または第2面にカーボンナノチューブ以外の固体物質を含む層が構成されているものであり、
2)上述1)における多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体のカーボンナノチューブの少なくとも一部分が、前記固体物質を含む層に侵入し絡んでいるものである。
【0007】
3)また、上述1)または2)において、前記固体物質を不定形カーボンまたはパーティクルとしたものであり、
4)上述1)〜3)のいずれかにおいて、前記固体物質を含む層の見掛け体積が、前記カーボンナノチューブ集合体全体の見掛け体積の1〜30%を占めるものである。
【0008】
5)上述1)〜4)において、前記固体物質として不定形カーボンを含む層の厚さが0.5〜10μmの範囲にあるものであり、
6)上述1)〜5)における前記固体物質として不定形カーボンを含む層が、その表面全体に多数の亀裂を有し、該亀裂総長さの50%は幅が1〜10μmの範囲にあるものであり、
7)上述1)〜3)のいずれかにおいて、前記固体物質としてパーティクルを含む層は、厚さが0.5〜5μmの範囲にあり、該層の見かけ体積が、前記カーボンナノチューブ集合体全体の見掛け体積の0.001%以上10%以下の範囲にあるものであり、
8)上述3)〜7)における前記パーティクルが、該パーティクル全体数の少なくとも80%が1〜100nmの粒径を有しているものである。
【0009】
9)また、上述1)〜8)のいずれかにおいて、前記第一面に構成された固体物質を含む層の固体物質を不定形カーボンとし、第二面に構成された固体物質を含む層の固体物質をパーティクルとしたものであり、
10)上述1)〜6)のいずれかにおいて、前記第一面または第二面の1面のみに構成された固体物質を含む層の固体物質を、不定形カーボンとしたものであり、
11)上述1)〜4)、7)または8)のいずれかにおいて、前記第一面または第二面の1面のみに構成された固体物質を含む層の固体物質を、パーティクルとしたものであり、
12)また、上述1)〜4)、7)または8)のいずれかにおいて、前記第一面および第二面に構成された固体物質を含む層の固体物質を、パーティクルとしたものであり、
13)上述1)〜4)、または7)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体において、固体物質を含む層が構成されて層構造を成していることに代わり、前記固体物質が明確な層を成すまでには至らずに付着状態にあるものである。
【0010】
さらに、本発明の層構造を有するカーボンナノチューブ集合体を用いた製品は、
14)上述3)〜13)(ただし、4)、7)、8)、11)、12)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含む面を貼付面として貼り付けたこ電極材料であり、
15)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた電子放出源であり、
16)また、上述3)〜13)(ただし、4)、7)、8)、11)、12)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含む面を貼付面として貼り付けた電子放出源であり、
17)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた発光デバイスであり、
18)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた半導体デバイスである。
【0011】
また、本発明の層構造を有するカーボンナノチューブ集合体を用いた製品は、
19)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた電気・電子機器であり、
20)上述3)〜13)(ただし、4)、5)、6)、10)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用い、パーティクルを含む面を吸着面とした吸着材料であり、
21)上述20)に記載の吸着材料を用いた、液体もしくは気体の吸着装置であり、
22)また、上述3)〜13)(ただし、4)、7)、8)、11)、12)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含むの面を貼付面として貼り付けた放熱材料であり、
23)上述22)に記載の放熱材料を用いた放熱板であり、
24)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を電極面に貼り付けた蓄電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明のカーボンナノチューブ(以下、CNTという)集合体の第1面の層の外観および電子顕微鏡での観察結果である。
各々のCNTは複雑に絡み合い綿状となっている。この集合体は粉末とは異なり、一体化している。構成するCNTの長さは10μm以上ものが大半を占め、中には20μmを越すものも見られ、数10μmに達するものが存在していることが推察される。
また、各々のCNTは途中で枝分かれしておらず、また、表面に露出した端部が直線状に延びていることから、アーク放電法特有の結晶性の高いカーボンナノチューブで構成されていることが確認される。さらに、CNT同士が絡み合った個所を観察すると、緩い弧を描いていることから、各々のCNTが弾性変形を起こしているものと推測される。
【0013】
CNT集合体のある一面を観察すると、表面にCNTの中に粒径の小さい不純物が付着していることが観察される。この不純物の直径が100nm以下、観察した限りではほとんどが粒径50nm以下のものであり、これらを除くとCNTの表面純度は99%を越える。なお、後述の手法により内面を露出させ観察したところ、前記不純物は見られなかった。よって、ある一面から内面まで見た純度は不純物を含めても99%以上であるといえる。
【0014】
なお、ここで不純物とは不定形カーボンおよびパーティクルの一方または両者の混合体を総称するものであって、それぞれ以下の内容である。
(不定形カーボン)
(1)CNT以外の物質を含み、層状または板状の形態をなす物質であって、層または板の厚さは、0.1〜10μmの範囲で、
(2)炭素クラスター、もしくは炭素を含む複合体、または炭素化合物で、
(3)具的的には、グラファイト、非晶質炭素クラスターであり、
(4)炭素複合体または炭素化合物について炭素以外の成分としてCa、Si、K、S、P、O の何れかを含む物質、である。
【0015】
(パーティクル)
(1)CNT以外の物質を含み、粒状の形態をなす物質であって、粒径は、0.1μm以下で、
(2)炭素クラスター、もしくは炭素を含む複合体、または炭素化合物で、
(3)具体的には、グラファイト、非晶質炭素クラスターであり、
(4)炭素複合体または炭素化合物について炭素以外の成分としてCa、Si、K、S、P、Oの何れかを含む物質である。以下、粒状のパーティクルと灰分の両方を含めてパーティクルという。
【0016】
図2は、本発明のCNT集合体生成のままの第2面の層の外観および電子顕微鏡での観察結果である。
第2面の層の表面を観察したところ、表面の20%以上、中には70%以上のものもあるが、ほぼ炭素からなる、膜状の不純物が付着していた。この膜厚を調べたところ、厚いところで100nm〜数μmであり、体積換算で集合体全体に対し多くとも20%以下の量であった。よって、集合体の全体の純度は体積比で少なくとも80%以上であるといえる。
各々のCNTに注目すると、端部付近では直線状の形状を有しているが、連続的な円弧状を描くものが多く見受けられ、曲率半径が1〜10μmのものが多く目に止まる。無論、直線部すなわち曲率半径無限大の部分も存在し、中には曲率半径200nm程度のものも見受けられる。
【0017】
さらに透過電子顕微鏡で観察したところ、構成するCNTは3層以上のグラフェンを有する多層のCNTが殆どであった。
図3は、層構造を成しているCNTの集合体を模式的に示した説明図である。図3において、1はCNT集合体、2は高純度CNT層、21は該高純度CNT層の第1面、22は該高純度CNT層の第2面、3はパーティクルを含む層、4は不定形カーボンを含む層である。
【0018】
前記のごとく、CNT集合体の第1面21および第2面22の表面層3および表面層4を観察すると、粒径の小さいパーティクルあるいは不定形カーボンが付着していることが観察される。
ある範囲における粒状のパーティクルの直径は100nm以下、観察した限りではほとんどが粒径50nm以下のものであり、これらの占める面積は視野全体の1%以下である(すなわち、CNTの表面における純度は面積比で99%を越える)。
なお、内部を露出させて観察したところ、高純度CNT層2には前記不純物は見られなかった。したがって、該範囲におけるCNT集合体の全体の純度は極めて高く略100%に近いものである。
【0019】
また、他の範囲において、不定形カーボンを含む層における不定形カーボンの量は、表面で20%以上、中には70%以上を占めるものもある。該不定形カーボンを含む層は、その厚さは厚いところで100nm〜数μm、体積換算で陰極堆積物の全体に対しては、多くとも20%以下の量であった。よって、CNT集合体の堆積物に占める割合(純度)は体積比で少なくとも80%以上であるとも言る。
【0020】
図4は、本実施の形態1におけるCNT集合体の生成装置である。
図4において、2Aは陰極電極、3はアーク、31は高純度CNTテープ、11は陽極電極である。
この場合、周囲ガスを大気、周囲圧力を大気圧、放電用ガスをアルゴンとし、陽極電極11は直径10mmの炭素棒に内径4mmの貫通穴を設けた円柱状陽極とし、陰極電極2Aには外形36mmの炭素棒状陰極を使用し、陰極電極2Aを0.5〜3rpmで回転し、陽極電極11を陰極電極に対して10〜50mm/secで相対的に移動させながらアーク放電3を行い高純度CNTテープを得た。
この高純度CNTテープ、すなわちCNT集合体は、生成のままでは幅1〜10nm、厚さ10〜500μmの集合体として得られた。長さは生成条件によっても左右されるが、任意の長さを容易に作成することができる。
【0021】
なお、アーク電流は100Aとし、放電用ガスは陽極電極11の孔に毎分0.5〜5リットル流している。この場合のアーク電圧は20Vであった。陽極電極11の材質は水冷銅電極でもかまわないが、陰極電極2Aの材質については、抵抗率の大きいもの、好ましくは2000μΩ・cm以上、さらに好ましくは4000μΩ・cm以上にて、容易に生成可能である。
なお、抵抗率が低い場合には、少なくとも陰極放電発生部を予熱、好ましくは500〜2000℃の範囲に予熱しながら、アーク放電を行うことにより、同様の集合体を得ることも可能である。
【0022】
アーク放電により、陰極電極2A表面の放電発生部は変質し、アークが通過してから数秒〜数分にて、陰極電極2Aから箔状のCNT集合体が剥離してくる場合がある。なお、剥離しない場合においても他の方法で、陰極からCNT集合体を剥すことが可能であり、任意の長さのCNT集合体を得ることができる。このCNT集合体を任意の大きさに分割することにより、所定のCNT集合体を得る。
【0023】
図5は、本実施の形態1にて得られたCNT集合体を示す図であり、図5(a)はその外観写真、図5(b)は電子顕微鏡写真である。
得られたCNT集合体の大きさは、ほぼ厚さ50μm各辺約3mm程度のほぼ方形のシートであり、その質量はおよそ20μgであった。黒鉛の比重は2.25g/cm3 であるから嵩密度は黒鉛に対して1/50程度となる。ただし、この密度についてはばらつきが大きく、また、外力により圧縮することで、より密にすることは可能である。しかしながら、外力により、密度を変化させた場合の電子放出特性を求めたところ、密度が高くなるに従い電子放出特性が悪くなることが判明した。
【0024】
[実施の形態2]
本実施の形態2においては、前記図4のCNT集合体の生成装置により、体積密度の異なるCNT集合体を作成し、平均電子放出密度との関係を調べた。体積密度は約1/2、1/10、1/50とした。
結果、体積密度1/2の場合、50μA/mm2 の平均電子放出密度を得るために、15KV/mmの平均電界強度を得る電圧を印加する必要があるが、体積密度1/10の場合には8KV/mm程度の平均電界強度を得る電圧を印加するだけで良い。さらに、体積密度1/50の場合には、6〜7KV/mmの平均電界強度を得る電圧を印加するだけで良いことがわかった。
これは、精製し純度を限りなく高めたCNTを塗布した場合でも、7〜8KV/mm程度であることから、非常に良い電子放出特性であることが言える。
これは、体積密度を高めることにより表面が巨視的に平滑化し、局所的電界強度が低下していることによると考えられる。観察の結果、炭素の比重を基準に1/10以下の嵩比重でないと電子放出源としては不適であることが判明した。
【0025】
[実施の形態3]
また、本実施の形態3においては、実施の形態1にて生成したCNT集合体を電子放出源として試用した。
この場合、低い印加電圧にて高い平均電流放出密度を得るものがいくつか認められた。 このCNT集合体の構成CNTの径を調べたところ、直径4〜15nmのものが全体の50〜80%を占めていた。
さらに、CNT集合体を引っ張り加工により破断した端面部分を観察した。図6は、破断面の近くを側面から観察した電子顕微鏡写真であって、破断面と垂直に近い角度で、CNT繊維が破断面より開放空間に伸びていることがわかった。この部分をさらに観察すると、CNT繊維は端部を有しているものが殆どであった。(両端がCNT集合体内に侵入して途中が破断面に現れたループ状のが少ない。)
なお、ここで言う端部とは、CNT繊維が破断した端部、および、CNT繊維特有の炭素原子で閉じた面(本来、生成状態において端部を有するもの)の両方を意味する。
【0026】
かかる、引っ張り破断面にのみ着目した小範囲の電子放出特性は、50μA/mm2 の平均電流密度を得るために、5〜6KV/mmの平均電界強度でよく、非常に良好な値を示している。
図7(a)、(b)は、本実施の形態3において、CNT集合体C21を電子放出源基板E1に貼り付けた後に、さらに別の電子放出源基板E2に貼り付け、引き剥がした場合を説明する図である。
すなわち、CNT集合体C21を電子放出源基板E1に接着剤B1により貼り付けた後に、さらに別の電子放出源基板E2に接着剤B2を介して貼り付け、電子放出源基板E1、E2を引き剥がしたところ、前記CNT集合体C21は厚さ方向の中間で部の引き剥がされた形となった。すなわち、電子放出源基板E1、E2のそれぞれにCNT集合体C21の面が接着されたまま、CNT集合体の内部が新たに表面に現れたことになる。
図7(b)は、引き剥がした後における電子放出源E1、2上のCNT集合体表面の電子顕微鏡写真である。観察の結果、生成のままで見られた不純物(特に非晶質カーボンやグラファイト粒)の量は激減し、さらに、CNTの端部が多く露出していることがわかった。
【0027】
この引き剥がしたCNT集合体C21を用いた電子放出源E1、2の電子放出特性を調べた。
結果、50μA/mm2 の平均電流密度を得るために、5〜6KV/mmの平均電界強度でよく、生成のままのCNT集合体を用いた場合に比べ、電子放出特性が極めて向上していることがわかった。
この理由は定かでないが、(イ)不純物が極めて少ないこと、(ロ)より多くのCNT繊維の端部が表面に毛羽立って露出されたこと、(ハ)さらにはいくつかのCNT繊維ががCNT集合体の表面付近で破断し、一般的には閉じているとされているCNT繊維のグラフェンシートが千切られ、グラフェンシートの端部が露出していること、によるものと考えられる。
【0028】
上述のごとく、本発明に係るCNT集合体の電子放出特性は、50μA/mm2 の平均電流密度を得るために、5〜8KV/mm程度の平均電界強度を得る電圧を印加するだけで済み、特に、体積密度1/50の場合には、6〜7KV/mm程度の平均電界強度を得る電圧を印加するだけでよい。
一方、気相法(CVD法)によって生成されたCNTを精製して、その純度を限りなく高めたものを塗布した場合であっても、7KV/mmの平均電流密度を得る電圧を印加する必要があることから、本発明に係るCNT集合体の電子放出特性は極めて優れているといえる。
よって、本発明のCNT集合体を電子放出源乃至電極材料として用いる場合には、基板上に生成のままCNT集合体(不純物の除去する精製処理を不要とする)を接着するだけでよい。さらに、望ましくは、粘着材等を用いCNT集合体を引き剥がして内部を露出させることが望ましい。
【0029】
[実施の形態4]
本実施の形態4においては、さらに引き剥がしだけでなく、図8(a)、(b)に示すごとく、幅3mm長さ10mmのCNT集合体C21を長手方向に引っ張り、途中で千切れてその千切れた面にCNT繊維C22の先端が多く露出したものを、1枚もしくは複数枚基板に貼り付けることで、良好な電子放出源を得ることができた。
図8(c)、(d)は、本実施の形態4において、長手方向に引っ張ったCNT集合体C21を電子放出源E1に用いた場合の説明図である。
すなわち、図8(a)は 長手方向に引っ張っり破断前のCNT集合体C21を示す説明図であり、図8(b)は、破断後の該CNT集合体C21(以下、破断後の一方を加工片という)を示す説明図である。図8(c)は、電子放出源E1に該加工片を貼り付けた場合を示す説明図であり、図8(d)は、複数の加工片を電子放出源E1に貼り付けた場合を示す説明図である。これにより、良好な電子放出源E1を得ることができた。
また、これにより、該電子放出源E1を用いた電気・電子機器、例えば光電管やフラットパネルディスプレイを容易に製造することが可能となった。
【0030】
[実施の形態5]
本発明のCNT集合体の体積密度は1/10以下であり、各カーボンナノチューブが複雑に絡み合っていることから、ろ過材として試用した。
さらにまた、実効の表面積が大きいことから、重量当たりの吸着量は活性炭に比べ大きいことが予想され、活性炭と同様に吸着材料として試用した。
【0031】
すなわち、ろ過材、吸着材料、および放熱材として本発明のCNT集合体を用いる場合には、CNT集合体を構成するCNT繊維の実際の表面積が大きいほうが性能が良い。このため、ある一面から観察した純度よりむしろ、CNT集合体全体の純度が重要になる。CNT集合体の全体について、純度(CNT繊維の割合)が80%以上であれば、前記用途に使用可能である。
なお、ここで言う純度は、CNT集合体の全体(後記する密の領域および粗の領域を共に含んだ全体)で見たものであり、局所的な領域(後記する密の領域または粗の領域の一方のみを含む狭い領域)で測定した純度は80%以下であっても構わない。
【0032】
従来手法で作られたCNTが、単体の大きさが小さく、直径70nm以下、長さ10μm以下程度のものが、弱い機械的接合で、言うなれば、堆積、付着しているだけであり、流体が流れることでこの接合が解かれ、流体と共に流れてしまうのに対し、本実施の形態4における集合体は流体の中においても崩れにくく、CNT集合体そのものを前記機能膜もしくは機能体としてそのまま使用可能であることがわかった。
【0033】
図9は、本実施の形態5におけるCNT集合体を用いたフィルタを説明する模式図である。
図9において、F1はフィルタ、F2は流体導入口、F3は筒状のろ過部、F4は集合体保持手段、F5は流体排出口、C21はCNT集合体である。
図において、流体導入口F2と流体排出口F5の間に、筒状のろ過部F3を有し、ろ過部F3にろ過体が配置されている。該ろ過体は複数のCNT集合体C21が平面状に配置された集合体層によって形成され、該集合体層が単層のまま又は複数が積層された状態でその表裏面が細かい網などによる集合体保持手段F4によって保持されている。これにより、流体が通過する際にCNT集合体が撹拌されて粉々に千切れることが防止される。
これらを、用いることにより液中もしくは気体中の特定物質のみを透過する、ろ過装置や特定物質を吸着するフィルタ、または脱臭装置などへの応用も期待できる。なお、CNT集合体とは前記CNTテープまたは加工片であってもよい。
【0034】
CNT集合体を用い、更にそのCNTの長さが長い場合、その外壁部に超微量物質が吸着し易い。加えて、そのCNT集合体は、0.001%以上10%以下のCNT以外の形態を成す固体物質を含むとき、その吸着効果は促進される。
超微量物質は、CNT類の側壁(チューブの外壁)にあたる外周部に吸着するが、CNTの長さが短いとその両端部の影響により側壁部の微量物質が吸着しにくくなる。しかし実験の結果、CNTが長くなると微量物質の吸着性能が向上することがわかった。
【0035】
一方、CNT集合体のCNT純度が極めて100%に近い場合、CNT類の内壁(チューブ内壁)に吸着対象物質が通過するほどの空隙率を維持できなくなり、吸着効果は低減する。またCNT類の外壁(チューブ外壁)間にも吸着対象物質が通過するほどの空隙率を維持できなくなり吸着効果は低減する。しかし、わずかでもパーティクル、例えばアモルファスの炭素群、SiやCaなどの無機物系や金属の不純物がそのCNT集合体のチューブ内および外壁間に混入していると、吸着物質が通過する空間を維持でき、吸着効果を維持することができる。しかしそれらが多すぎると、CNT外壁に吸着する本来の効果を阻害する要因となる。
【0036】
[実施の形態6]
さらに、実施の形態1における本発明のCNT集合体C21をアルミ板に取り付け放熱特性を測定した。
結果、CNT集合体なしの場合に比べ、20%放熱効果が向上した。
これは、集合体そのものの放熱特性、例えば綿状であることよりの実効表面積の大きさ、長いCNTが多くの熱伝達の良い接触点を持つことによる熱伝導性の良さから起因していると考えられる。すなわち金属板に限らず、例えば、半導体集積回路に貼ることで放熱性能を向上させることも期待できる。
付け加えれば、熱伝導の高さを活かし、伝熱材料、例えば冷却フィンと被冷却物の間に挟むことで、密着性を高めるのと同時に効率よく熱を伝えることも可能である。
【0037】
再度述べれば、本発明による層構造を有するCNT集合体は、その層状構造の特性により利用分野として以下のものが考えられる。
CNTの細束性および結晶性が優れている特性により、電界放出用電子源として、蛍光表示管やフィールドエミッションディスプレイ(FED)などの陰極材料および電子顕微鏡の探針などへ利用すること、また、CNTを電子源として用いることにより、効率の良いイオンやオゾンの発生装置を作ることなどである。これらのイオンやオゾンは脱臭や消臭効果を有すると共に、特にマイナスイオンは人への心理面、生理面において良い影響を及ぼすことが報告されている。
【0038】
また、本発明によるCNT集合体は結晶性が優れているものであり、これはCNTの強度が高いことを意味している。CNTは、理論的には鉄の100倍以上の引張強度を有し、比重はアルミニウムの約半分であるため、樹脂や金属に混入したり、樹脂や金属とカーボンナノチューブとの複合化により、軽くて強度の高い構造材料を造ることができる。また、その名の通り、ナノサイズの大きさであるので、マイクロマシンの構造部材やアクチュエータの構成部品としての利用も考えられる。
【0039】
また、導電性が優れているため、ICの配線材料としての利用が考えられる他、樹脂や繊維に混入することにより、これらの物質に導電性を持たせたり、静電気の帯電防止機能を持たせることができる。塗料に混入させた導電性塗膜や導電性インクへの利用も考えられる。これらのものは、導電性を必要とする部材に利用できると共に、電磁波の反射損失や誘電損失に基づく電磁波吸収・遮蔽材としても利用できる。また、二次電池の負極材料に混入させることにより、負極導電性の経年劣化を防止することができる。
【0040】
さらに、グリスに混入させることで、グリスに導電性を持たせると共に、通電部でのグリスの性能劣化を防止することができると考えられる。
また、CNTはダイヤモンド以上の熱伝導性を有しているため、ICなどの放熱材としての利用も考えられる。放熱材として利用する場合は、単体でも、または、樹脂や金属に混入したものを用いても良い。また、アルミ板などの表面に塗布もしくは貼り付けることによっても放熱特性を大きく向上させることが出来るものと思われる。
さらに、ナノサイズのきわめて小さな構造体であるCNTは、量子効果を利用したダイオードやトランジスタ、および量子コンピュータの基本素子である量子ドットなどの電子部品の材料としても利用できるものと考えられる。
【0041】
また、本発明のCNT集合体としての利用分野としては以下のものも考えられる。
ナノサイズの直径を持つ長さの長いCNTが複雑に絡み合った綿状のCNT集合体は、その密集度から決まるある大きさの空間を有しているため、特定の大きさを有する物質を選別するためのフィルターや分離膜としての利用が考えられる。
【0042】
また、その単位重量あたりの表面積の大きさは、活性炭をも凌ぐものであり、有害物質の吸着材や、水素やメタンなどのガス貯蔵材としての利用が考えられる。また、特定ガスを検出するガスセンサなど機能材料としての利用も考えられる。
さらに、触媒の担持材として利用することによって、各種化学反応の効率を向上させることが可能になると考えられ、さらには、医療分野等において、薬剤等を吸着・保持させて体内の病巣部へ運搬するキャリヤーとして利用できる可能性がある他、キャパシターの電極材料としての利用も考えられる。
【0043】
なお、前記各実施の形態においては、アーク放電法により得られたCNT集合体について述べた。アーク放電法で得られたCNT集合体は、上述のごとく優れた結晶性を有し、本発明品を製造する方法として好適なものである。しかし、本発明品の製造方法は、アーク放電法に限られるものではなく、気相成長法(CVD)等の他の方法で得られる場合でもかまわない。
【0044】
【発明の効果】
本発明の層状カーボンナノチューブ集合体は、以下の効果を有する。
1)半導体と導体が表裏一体となっているため、この導体部分に外部回路を接続すれば、この導体部分と外部回路はオーム性接触であるために、従来技術のように、金属と半導体の合金層や高濃度半導体層を介在させるなどの方法を用いること無しに、半導体と外部回路のオーム性接触を成り立たせることができる。
これにより、CNT−電極間でロスが少なく、良好な電気的特性を示すディスプレー(FED)の電子放出源、キャパシター、超高周波ダイオード(導体―半導体構造であるために、接合容量の極めて小さなショットキーバリアダイオードを構成できる)、発光素子(ナノサイズであるために量子サイズ効果で発光特性を示す)などに用いることができる。
【0045】
2)CNTと導体が表裏一体となっているため、半導体基板に導体蒸着のための一連の工程を経ることなしに、導体−半導体接合によるダイオードやトランジスターなどのエレクトロニクス部品を確実に廉価で構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCNT集合体生成のままの第1面の層の外観および電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明のカーボンナノチューブ集合体生成のままの第2面の層の外観および電子顕微鏡写真である。
【図3】層構造を有するカーボンナノチューブ集合体を模式的に示した図である。
【図4】実施の形態1におけるCNT集合体の生成装置である。
【図5】実施の形態1にて得られたCNT集合体を示す図である。
【図6】実施の形態1にて得られたCNT集合体の分割面の端部を示す顕微鏡写真である。
【図7】実施の形態3における、CNT集合体の両面に電子放出源基板に貼り付けた後、引き剥がした場合を説明する図である。
【図8】実施の形態4において、長手方向に引っ張ったCNT集合体を電子放出源に用いた場合の説明図である。
【図9】実施の形態5におけるCNT集合体を用いたフィルタを説明する模式図である。
【発明の属する技術分野】
本発明は、層構造を有するカーボンナノチューブ集合体およびそれを用いた製品に関する。
本発明の技術分野は広くはナノテク応用技術であり、特に、エレクトロニクス分野のトランジスタやダイオード、電子回路や、冷陰極分野の電界放出型電子源、フラットパネルディスプレー、蛍光表示装置、マイクロ波増幅器、各種電子線装置に適用できるものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、カーボンナノチューブを電界放出型電子源として用いる際には、電極ベースに導電ペーストを用いて接着していた。しかし、半導体であるカーボンナノチューブと導体である導電ペーストとの接合面では、オーミックロスから電気的な特性が悪化し、その結果として接合面での発熱や、発熱による破壊が起こるなどの問題を生じる恐れがあった。
また、導体−半導体接合によるダイオードやトランジスターなどのエレクトロニクス部品を構成する場合に、その半導体と金属の接合部は、半導体であるSiやGaAsなどの基板にフォトリソグラフィー、エッチング、不純物拡散、導体蒸着などの工程をそれぞれ1回または複数回経ることにより作製されている。(例えば、非特許文献1参照)
また、環境ホルモンや超微量物質などを吸着する吸着技術として、活性炭による吸着技術が多く行われていた。(例えば、非特許文献2参照)
【0003】
【非特許文献1】
「半導体デバイスの基礎」(株)マグロウヒル好学社、昭和56年6月25日発行第58〜59頁
【非特許文献2】
「科学大辞典」丸善株式会社、昭和60年3月5日発行、第230頁、21行〜26行
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
(1)カーボンナノチューブと外部回路とを接続する際のオーミックロスを低減、またはオーミックロスをゼロにすることによる効率の向上が要求されている。
(2)また、導体−半導体接合によるダイオードやトランジスターなどのエレクトロニクス部品を構成する際に、導体と半導体を接合するための工程(フォトリソグラフィー→エッチング→不純物拡散→蒸着)を省略することにより、経費を削減することがのぞまれている。
(3)従来のものより吸着物質を低濃度域まで吸着する吸着材乃至吸着装置を提供することにより、吸着効率の向上とそれによる環境問題への適応が強く期待されている。
【0005】
本発明は、従来不用品、ゴミと思われネガティブな存在とされていた「不定形カーボン」や「パーティクル」、特には「不定形カーボン」を、その存在がポジティブなものとして、その特性を生かした層構造を有するカーボンナノチューブ集合体、およびそれを用いた製品を供給することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の層構造を有するカーボンナノチューブ集合体は、
1)多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体と、該集合体は表裏の第1面と第2面を有し、該第1面および/または第2面にカーボンナノチューブ以外の固体物質を含む層が構成されているものであり、
2)上述1)における多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体のカーボンナノチューブの少なくとも一部分が、前記固体物質を含む層に侵入し絡んでいるものである。
【0007】
3)また、上述1)または2)において、前記固体物質を不定形カーボンまたはパーティクルとしたものであり、
4)上述1)〜3)のいずれかにおいて、前記固体物質を含む層の見掛け体積が、前記カーボンナノチューブ集合体全体の見掛け体積の1〜30%を占めるものである。
【0008】
5)上述1)〜4)において、前記固体物質として不定形カーボンを含む層の厚さが0.5〜10μmの範囲にあるものであり、
6)上述1)〜5)における前記固体物質として不定形カーボンを含む層が、その表面全体に多数の亀裂を有し、該亀裂総長さの50%は幅が1〜10μmの範囲にあるものであり、
7)上述1)〜3)のいずれかにおいて、前記固体物質としてパーティクルを含む層は、厚さが0.5〜5μmの範囲にあり、該層の見かけ体積が、前記カーボンナノチューブ集合体全体の見掛け体積の0.001%以上10%以下の範囲にあるものであり、
8)上述3)〜7)における前記パーティクルが、該パーティクル全体数の少なくとも80%が1〜100nmの粒径を有しているものである。
【0009】
9)また、上述1)〜8)のいずれかにおいて、前記第一面に構成された固体物質を含む層の固体物質を不定形カーボンとし、第二面に構成された固体物質を含む層の固体物質をパーティクルとしたものであり、
10)上述1)〜6)のいずれかにおいて、前記第一面または第二面の1面のみに構成された固体物質を含む層の固体物質を、不定形カーボンとしたものであり、
11)上述1)〜4)、7)または8)のいずれかにおいて、前記第一面または第二面の1面のみに構成された固体物質を含む層の固体物質を、パーティクルとしたものであり、
12)また、上述1)〜4)、7)または8)のいずれかにおいて、前記第一面および第二面に構成された固体物質を含む層の固体物質を、パーティクルとしたものであり、
13)上述1)〜4)、または7)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体において、固体物質を含む層が構成されて層構造を成していることに代わり、前記固体物質が明確な層を成すまでには至らずに付着状態にあるものである。
【0010】
さらに、本発明の層構造を有するカーボンナノチューブ集合体を用いた製品は、
14)上述3)〜13)(ただし、4)、7)、8)、11)、12)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含む面を貼付面として貼り付けたこ電極材料であり、
15)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた電子放出源であり、
16)また、上述3)〜13)(ただし、4)、7)、8)、11)、12)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含む面を貼付面として貼り付けた電子放出源であり、
17)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた発光デバイスであり、
18)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた半導体デバイスである。
【0011】
また、本発明の層構造を有するカーボンナノチューブ集合体を用いた製品は、
19)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用いた電気・電子機器であり、
20)上述3)〜13)(ただし、4)、5)、6)、10)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を用い、パーティクルを含む面を吸着面とした吸着材料であり、
21)上述20)に記載の吸着材料を用いた、液体もしくは気体の吸着装置であり、
22)また、上述3)〜13)(ただし、4)、7)、8)、11)、12)または13)のいずれかにおいて3)を引用しないものを除く)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含むの面を貼付面として貼り付けた放熱材料であり、
23)上述22)に記載の放熱材料を用いた放熱板であり、
24)上述1)〜13)のいずれかのカーボンナノチューブ集合体を電極面に貼り付けた蓄電池である。
【0012】
【発明の実施の形態】
[実施の形態1]
図1は、本発明のカーボンナノチューブ(以下、CNTという)集合体の第1面の層の外観および電子顕微鏡での観察結果である。
各々のCNTは複雑に絡み合い綿状となっている。この集合体は粉末とは異なり、一体化している。構成するCNTの長さは10μm以上ものが大半を占め、中には20μmを越すものも見られ、数10μmに達するものが存在していることが推察される。
また、各々のCNTは途中で枝分かれしておらず、また、表面に露出した端部が直線状に延びていることから、アーク放電法特有の結晶性の高いカーボンナノチューブで構成されていることが確認される。さらに、CNT同士が絡み合った個所を観察すると、緩い弧を描いていることから、各々のCNTが弾性変形を起こしているものと推測される。
【0013】
CNT集合体のある一面を観察すると、表面にCNTの中に粒径の小さい不純物が付着していることが観察される。この不純物の直径が100nm以下、観察した限りではほとんどが粒径50nm以下のものであり、これらを除くとCNTの表面純度は99%を越える。なお、後述の手法により内面を露出させ観察したところ、前記不純物は見られなかった。よって、ある一面から内面まで見た純度は不純物を含めても99%以上であるといえる。
【0014】
なお、ここで不純物とは不定形カーボンおよびパーティクルの一方または両者の混合体を総称するものであって、それぞれ以下の内容である。
(不定形カーボン)
(1)CNT以外の物質を含み、層状または板状の形態をなす物質であって、層または板の厚さは、0.1〜10μmの範囲で、
(2)炭素クラスター、もしくは炭素を含む複合体、または炭素化合物で、
(3)具的的には、グラファイト、非晶質炭素クラスターであり、
(4)炭素複合体または炭素化合物について炭素以外の成分としてCa、Si、K、S、P、O の何れかを含む物質、である。
【0015】
(パーティクル)
(1)CNT以外の物質を含み、粒状の形態をなす物質であって、粒径は、0.1μm以下で、
(2)炭素クラスター、もしくは炭素を含む複合体、または炭素化合物で、
(3)具体的には、グラファイト、非晶質炭素クラスターであり、
(4)炭素複合体または炭素化合物について炭素以外の成分としてCa、Si、K、S、P、Oの何れかを含む物質である。以下、粒状のパーティクルと灰分の両方を含めてパーティクルという。
【0016】
図2は、本発明のCNT集合体生成のままの第2面の層の外観および電子顕微鏡での観察結果である。
第2面の層の表面を観察したところ、表面の20%以上、中には70%以上のものもあるが、ほぼ炭素からなる、膜状の不純物が付着していた。この膜厚を調べたところ、厚いところで100nm〜数μmであり、体積換算で集合体全体に対し多くとも20%以下の量であった。よって、集合体の全体の純度は体積比で少なくとも80%以上であるといえる。
各々のCNTに注目すると、端部付近では直線状の形状を有しているが、連続的な円弧状を描くものが多く見受けられ、曲率半径が1〜10μmのものが多く目に止まる。無論、直線部すなわち曲率半径無限大の部分も存在し、中には曲率半径200nm程度のものも見受けられる。
【0017】
さらに透過電子顕微鏡で観察したところ、構成するCNTは3層以上のグラフェンを有する多層のCNTが殆どであった。
図3は、層構造を成しているCNTの集合体を模式的に示した説明図である。図3において、1はCNT集合体、2は高純度CNT層、21は該高純度CNT層の第1面、22は該高純度CNT層の第2面、3はパーティクルを含む層、4は不定形カーボンを含む層である。
【0018】
前記のごとく、CNT集合体の第1面21および第2面22の表面層3および表面層4を観察すると、粒径の小さいパーティクルあるいは不定形カーボンが付着していることが観察される。
ある範囲における粒状のパーティクルの直径は100nm以下、観察した限りではほとんどが粒径50nm以下のものであり、これらの占める面積は視野全体の1%以下である(すなわち、CNTの表面における純度は面積比で99%を越える)。
なお、内部を露出させて観察したところ、高純度CNT層2には前記不純物は見られなかった。したがって、該範囲におけるCNT集合体の全体の純度は極めて高く略100%に近いものである。
【0019】
また、他の範囲において、不定形カーボンを含む層における不定形カーボンの量は、表面で20%以上、中には70%以上を占めるものもある。該不定形カーボンを含む層は、その厚さは厚いところで100nm〜数μm、体積換算で陰極堆積物の全体に対しては、多くとも20%以下の量であった。よって、CNT集合体の堆積物に占める割合(純度)は体積比で少なくとも80%以上であるとも言る。
【0020】
図4は、本実施の形態1におけるCNT集合体の生成装置である。
図4において、2Aは陰極電極、3はアーク、31は高純度CNTテープ、11は陽極電極である。
この場合、周囲ガスを大気、周囲圧力を大気圧、放電用ガスをアルゴンとし、陽極電極11は直径10mmの炭素棒に内径4mmの貫通穴を設けた円柱状陽極とし、陰極電極2Aには外形36mmの炭素棒状陰極を使用し、陰極電極2Aを0.5〜3rpmで回転し、陽極電極11を陰極電極に対して10〜50mm/secで相対的に移動させながらアーク放電3を行い高純度CNTテープを得た。
この高純度CNTテープ、すなわちCNT集合体は、生成のままでは幅1〜10nm、厚さ10〜500μmの集合体として得られた。長さは生成条件によっても左右されるが、任意の長さを容易に作成することができる。
【0021】
なお、アーク電流は100Aとし、放電用ガスは陽極電極11の孔に毎分0.5〜5リットル流している。この場合のアーク電圧は20Vであった。陽極電極11の材質は水冷銅電極でもかまわないが、陰極電極2Aの材質については、抵抗率の大きいもの、好ましくは2000μΩ・cm以上、さらに好ましくは4000μΩ・cm以上にて、容易に生成可能である。
なお、抵抗率が低い場合には、少なくとも陰極放電発生部を予熱、好ましくは500〜2000℃の範囲に予熱しながら、アーク放電を行うことにより、同様の集合体を得ることも可能である。
【0022】
アーク放電により、陰極電極2A表面の放電発生部は変質し、アークが通過してから数秒〜数分にて、陰極電極2Aから箔状のCNT集合体が剥離してくる場合がある。なお、剥離しない場合においても他の方法で、陰極からCNT集合体を剥すことが可能であり、任意の長さのCNT集合体を得ることができる。このCNT集合体を任意の大きさに分割することにより、所定のCNT集合体を得る。
【0023】
図5は、本実施の形態1にて得られたCNT集合体を示す図であり、図5(a)はその外観写真、図5(b)は電子顕微鏡写真である。
得られたCNT集合体の大きさは、ほぼ厚さ50μm各辺約3mm程度のほぼ方形のシートであり、その質量はおよそ20μgであった。黒鉛の比重は2.25g/cm3 であるから嵩密度は黒鉛に対して1/50程度となる。ただし、この密度についてはばらつきが大きく、また、外力により圧縮することで、より密にすることは可能である。しかしながら、外力により、密度を変化させた場合の電子放出特性を求めたところ、密度が高くなるに従い電子放出特性が悪くなることが判明した。
【0024】
[実施の形態2]
本実施の形態2においては、前記図4のCNT集合体の生成装置により、体積密度の異なるCNT集合体を作成し、平均電子放出密度との関係を調べた。体積密度は約1/2、1/10、1/50とした。
結果、体積密度1/2の場合、50μA/mm2 の平均電子放出密度を得るために、15KV/mmの平均電界強度を得る電圧を印加する必要があるが、体積密度1/10の場合には8KV/mm程度の平均電界強度を得る電圧を印加するだけで良い。さらに、体積密度1/50の場合には、6〜7KV/mmの平均電界強度を得る電圧を印加するだけで良いことがわかった。
これは、精製し純度を限りなく高めたCNTを塗布した場合でも、7〜8KV/mm程度であることから、非常に良い電子放出特性であることが言える。
これは、体積密度を高めることにより表面が巨視的に平滑化し、局所的電界強度が低下していることによると考えられる。観察の結果、炭素の比重を基準に1/10以下の嵩比重でないと電子放出源としては不適であることが判明した。
【0025】
[実施の形態3]
また、本実施の形態3においては、実施の形態1にて生成したCNT集合体を電子放出源として試用した。
この場合、低い印加電圧にて高い平均電流放出密度を得るものがいくつか認められた。 このCNT集合体の構成CNTの径を調べたところ、直径4〜15nmのものが全体の50〜80%を占めていた。
さらに、CNT集合体を引っ張り加工により破断した端面部分を観察した。図6は、破断面の近くを側面から観察した電子顕微鏡写真であって、破断面と垂直に近い角度で、CNT繊維が破断面より開放空間に伸びていることがわかった。この部分をさらに観察すると、CNT繊維は端部を有しているものが殆どであった。(両端がCNT集合体内に侵入して途中が破断面に現れたループ状のが少ない。)
なお、ここで言う端部とは、CNT繊維が破断した端部、および、CNT繊維特有の炭素原子で閉じた面(本来、生成状態において端部を有するもの)の両方を意味する。
【0026】
かかる、引っ張り破断面にのみ着目した小範囲の電子放出特性は、50μA/mm2 の平均電流密度を得るために、5〜6KV/mmの平均電界強度でよく、非常に良好な値を示している。
図7(a)、(b)は、本実施の形態3において、CNT集合体C21を電子放出源基板E1に貼り付けた後に、さらに別の電子放出源基板E2に貼り付け、引き剥がした場合を説明する図である。
すなわち、CNT集合体C21を電子放出源基板E1に接着剤B1により貼り付けた後に、さらに別の電子放出源基板E2に接着剤B2を介して貼り付け、電子放出源基板E1、E2を引き剥がしたところ、前記CNT集合体C21は厚さ方向の中間で部の引き剥がされた形となった。すなわち、電子放出源基板E1、E2のそれぞれにCNT集合体C21の面が接着されたまま、CNT集合体の内部が新たに表面に現れたことになる。
図7(b)は、引き剥がした後における電子放出源E1、2上のCNT集合体表面の電子顕微鏡写真である。観察の結果、生成のままで見られた不純物(特に非晶質カーボンやグラファイト粒)の量は激減し、さらに、CNTの端部が多く露出していることがわかった。
【0027】
この引き剥がしたCNT集合体C21を用いた電子放出源E1、2の電子放出特性を調べた。
結果、50μA/mm2 の平均電流密度を得るために、5〜6KV/mmの平均電界強度でよく、生成のままのCNT集合体を用いた場合に比べ、電子放出特性が極めて向上していることがわかった。
この理由は定かでないが、(イ)不純物が極めて少ないこと、(ロ)より多くのCNT繊維の端部が表面に毛羽立って露出されたこと、(ハ)さらにはいくつかのCNT繊維ががCNT集合体の表面付近で破断し、一般的には閉じているとされているCNT繊維のグラフェンシートが千切られ、グラフェンシートの端部が露出していること、によるものと考えられる。
【0028】
上述のごとく、本発明に係るCNT集合体の電子放出特性は、50μA/mm2 の平均電流密度を得るために、5〜8KV/mm程度の平均電界強度を得る電圧を印加するだけで済み、特に、体積密度1/50の場合には、6〜7KV/mm程度の平均電界強度を得る電圧を印加するだけでよい。
一方、気相法(CVD法)によって生成されたCNTを精製して、その純度を限りなく高めたものを塗布した場合であっても、7KV/mmの平均電流密度を得る電圧を印加する必要があることから、本発明に係るCNT集合体の電子放出特性は極めて優れているといえる。
よって、本発明のCNT集合体を電子放出源乃至電極材料として用いる場合には、基板上に生成のままCNT集合体(不純物の除去する精製処理を不要とする)を接着するだけでよい。さらに、望ましくは、粘着材等を用いCNT集合体を引き剥がして内部を露出させることが望ましい。
【0029】
[実施の形態4]
本実施の形態4においては、さらに引き剥がしだけでなく、図8(a)、(b)に示すごとく、幅3mm長さ10mmのCNT集合体C21を長手方向に引っ張り、途中で千切れてその千切れた面にCNT繊維C22の先端が多く露出したものを、1枚もしくは複数枚基板に貼り付けることで、良好な電子放出源を得ることができた。
図8(c)、(d)は、本実施の形態4において、長手方向に引っ張ったCNT集合体C21を電子放出源E1に用いた場合の説明図である。
すなわち、図8(a)は 長手方向に引っ張っり破断前のCNT集合体C21を示す説明図であり、図8(b)は、破断後の該CNT集合体C21(以下、破断後の一方を加工片という)を示す説明図である。図8(c)は、電子放出源E1に該加工片を貼り付けた場合を示す説明図であり、図8(d)は、複数の加工片を電子放出源E1に貼り付けた場合を示す説明図である。これにより、良好な電子放出源E1を得ることができた。
また、これにより、該電子放出源E1を用いた電気・電子機器、例えば光電管やフラットパネルディスプレイを容易に製造することが可能となった。
【0030】
[実施の形態5]
本発明のCNT集合体の体積密度は1/10以下であり、各カーボンナノチューブが複雑に絡み合っていることから、ろ過材として試用した。
さらにまた、実効の表面積が大きいことから、重量当たりの吸着量は活性炭に比べ大きいことが予想され、活性炭と同様に吸着材料として試用した。
【0031】
すなわち、ろ過材、吸着材料、および放熱材として本発明のCNT集合体を用いる場合には、CNT集合体を構成するCNT繊維の実際の表面積が大きいほうが性能が良い。このため、ある一面から観察した純度よりむしろ、CNT集合体全体の純度が重要になる。CNT集合体の全体について、純度(CNT繊維の割合)が80%以上であれば、前記用途に使用可能である。
なお、ここで言う純度は、CNT集合体の全体(後記する密の領域および粗の領域を共に含んだ全体)で見たものであり、局所的な領域(後記する密の領域または粗の領域の一方のみを含む狭い領域)で測定した純度は80%以下であっても構わない。
【0032】
従来手法で作られたCNTが、単体の大きさが小さく、直径70nm以下、長さ10μm以下程度のものが、弱い機械的接合で、言うなれば、堆積、付着しているだけであり、流体が流れることでこの接合が解かれ、流体と共に流れてしまうのに対し、本実施の形態4における集合体は流体の中においても崩れにくく、CNT集合体そのものを前記機能膜もしくは機能体としてそのまま使用可能であることがわかった。
【0033】
図9は、本実施の形態5におけるCNT集合体を用いたフィルタを説明する模式図である。
図9において、F1はフィルタ、F2は流体導入口、F3は筒状のろ過部、F4は集合体保持手段、F5は流体排出口、C21はCNT集合体である。
図において、流体導入口F2と流体排出口F5の間に、筒状のろ過部F3を有し、ろ過部F3にろ過体が配置されている。該ろ過体は複数のCNT集合体C21が平面状に配置された集合体層によって形成され、該集合体層が単層のまま又は複数が積層された状態でその表裏面が細かい網などによる集合体保持手段F4によって保持されている。これにより、流体が通過する際にCNT集合体が撹拌されて粉々に千切れることが防止される。
これらを、用いることにより液中もしくは気体中の特定物質のみを透過する、ろ過装置や特定物質を吸着するフィルタ、または脱臭装置などへの応用も期待できる。なお、CNT集合体とは前記CNTテープまたは加工片であってもよい。
【0034】
CNT集合体を用い、更にそのCNTの長さが長い場合、その外壁部に超微量物質が吸着し易い。加えて、そのCNT集合体は、0.001%以上10%以下のCNT以外の形態を成す固体物質を含むとき、その吸着効果は促進される。
超微量物質は、CNT類の側壁(チューブの外壁)にあたる外周部に吸着するが、CNTの長さが短いとその両端部の影響により側壁部の微量物質が吸着しにくくなる。しかし実験の結果、CNTが長くなると微量物質の吸着性能が向上することがわかった。
【0035】
一方、CNT集合体のCNT純度が極めて100%に近い場合、CNT類の内壁(チューブ内壁)に吸着対象物質が通過するほどの空隙率を維持できなくなり、吸着効果は低減する。またCNT類の外壁(チューブ外壁)間にも吸着対象物質が通過するほどの空隙率を維持できなくなり吸着効果は低減する。しかし、わずかでもパーティクル、例えばアモルファスの炭素群、SiやCaなどの無機物系や金属の不純物がそのCNT集合体のチューブ内および外壁間に混入していると、吸着物質が通過する空間を維持でき、吸着効果を維持することができる。しかしそれらが多すぎると、CNT外壁に吸着する本来の効果を阻害する要因となる。
【0036】
[実施の形態6]
さらに、実施の形態1における本発明のCNT集合体C21をアルミ板に取り付け放熱特性を測定した。
結果、CNT集合体なしの場合に比べ、20%放熱効果が向上した。
これは、集合体そのものの放熱特性、例えば綿状であることよりの実効表面積の大きさ、長いCNTが多くの熱伝達の良い接触点を持つことによる熱伝導性の良さから起因していると考えられる。すなわち金属板に限らず、例えば、半導体集積回路に貼ることで放熱性能を向上させることも期待できる。
付け加えれば、熱伝導の高さを活かし、伝熱材料、例えば冷却フィンと被冷却物の間に挟むことで、密着性を高めるのと同時に効率よく熱を伝えることも可能である。
【0037】
再度述べれば、本発明による層構造を有するCNT集合体は、その層状構造の特性により利用分野として以下のものが考えられる。
CNTの細束性および結晶性が優れている特性により、電界放出用電子源として、蛍光表示管やフィールドエミッションディスプレイ(FED)などの陰極材料および電子顕微鏡の探針などへ利用すること、また、CNTを電子源として用いることにより、効率の良いイオンやオゾンの発生装置を作ることなどである。これらのイオンやオゾンは脱臭や消臭効果を有すると共に、特にマイナスイオンは人への心理面、生理面において良い影響を及ぼすことが報告されている。
【0038】
また、本発明によるCNT集合体は結晶性が優れているものであり、これはCNTの強度が高いことを意味している。CNTは、理論的には鉄の100倍以上の引張強度を有し、比重はアルミニウムの約半分であるため、樹脂や金属に混入したり、樹脂や金属とカーボンナノチューブとの複合化により、軽くて強度の高い構造材料を造ることができる。また、その名の通り、ナノサイズの大きさであるので、マイクロマシンの構造部材やアクチュエータの構成部品としての利用も考えられる。
【0039】
また、導電性が優れているため、ICの配線材料としての利用が考えられる他、樹脂や繊維に混入することにより、これらの物質に導電性を持たせたり、静電気の帯電防止機能を持たせることができる。塗料に混入させた導電性塗膜や導電性インクへの利用も考えられる。これらのものは、導電性を必要とする部材に利用できると共に、電磁波の反射損失や誘電損失に基づく電磁波吸収・遮蔽材としても利用できる。また、二次電池の負極材料に混入させることにより、負極導電性の経年劣化を防止することができる。
【0040】
さらに、グリスに混入させることで、グリスに導電性を持たせると共に、通電部でのグリスの性能劣化を防止することができると考えられる。
また、CNTはダイヤモンド以上の熱伝導性を有しているため、ICなどの放熱材としての利用も考えられる。放熱材として利用する場合は、単体でも、または、樹脂や金属に混入したものを用いても良い。また、アルミ板などの表面に塗布もしくは貼り付けることによっても放熱特性を大きく向上させることが出来るものと思われる。
さらに、ナノサイズのきわめて小さな構造体であるCNTは、量子効果を利用したダイオードやトランジスタ、および量子コンピュータの基本素子である量子ドットなどの電子部品の材料としても利用できるものと考えられる。
【0041】
また、本発明のCNT集合体としての利用分野としては以下のものも考えられる。
ナノサイズの直径を持つ長さの長いCNTが複雑に絡み合った綿状のCNT集合体は、その密集度から決まるある大きさの空間を有しているため、特定の大きさを有する物質を選別するためのフィルターや分離膜としての利用が考えられる。
【0042】
また、その単位重量あたりの表面積の大きさは、活性炭をも凌ぐものであり、有害物質の吸着材や、水素やメタンなどのガス貯蔵材としての利用が考えられる。また、特定ガスを検出するガスセンサなど機能材料としての利用も考えられる。
さらに、触媒の担持材として利用することによって、各種化学反応の効率を向上させることが可能になると考えられ、さらには、医療分野等において、薬剤等を吸着・保持させて体内の病巣部へ運搬するキャリヤーとして利用できる可能性がある他、キャパシターの電極材料としての利用も考えられる。
【0043】
なお、前記各実施の形態においては、アーク放電法により得られたCNT集合体について述べた。アーク放電法で得られたCNT集合体は、上述のごとく優れた結晶性を有し、本発明品を製造する方法として好適なものである。しかし、本発明品の製造方法は、アーク放電法に限られるものではなく、気相成長法(CVD)等の他の方法で得られる場合でもかまわない。
【0044】
【発明の効果】
本発明の層状カーボンナノチューブ集合体は、以下の効果を有する。
1)半導体と導体が表裏一体となっているため、この導体部分に外部回路を接続すれば、この導体部分と外部回路はオーム性接触であるために、従来技術のように、金属と半導体の合金層や高濃度半導体層を介在させるなどの方法を用いること無しに、半導体と外部回路のオーム性接触を成り立たせることができる。
これにより、CNT−電極間でロスが少なく、良好な電気的特性を示すディスプレー(FED)の電子放出源、キャパシター、超高周波ダイオード(導体―半導体構造であるために、接合容量の極めて小さなショットキーバリアダイオードを構成できる)、発光素子(ナノサイズであるために量子サイズ効果で発光特性を示す)などに用いることができる。
【0045】
2)CNTと導体が表裏一体となっているため、半導体基板に導体蒸着のための一連の工程を経ることなしに、導体−半導体接合によるダイオードやトランジスターなどのエレクトロニクス部品を確実に廉価で構成できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のCNT集合体生成のままの第1面の層の外観および電子顕微鏡写真である。
【図2】本発明のカーボンナノチューブ集合体生成のままの第2面の層の外観および電子顕微鏡写真である。
【図3】層構造を有するカーボンナノチューブ集合体を模式的に示した図である。
【図4】実施の形態1におけるCNT集合体の生成装置である。
【図5】実施の形態1にて得られたCNT集合体を示す図である。
【図6】実施の形態1にて得られたCNT集合体の分割面の端部を示す顕微鏡写真である。
【図7】実施の形態3における、CNT集合体の両面に電子放出源基板に貼り付けた後、引き剥がした場合を説明する図である。
【図8】実施の形態4において、長手方向に引っ張ったCNT集合体を電子放出源に用いた場合の説明図である。
【図9】実施の形態5におけるCNT集合体を用いたフィルタを説明する模式図である。
Claims (24)
- 多数のカーボンナノチューブが絡んで成る集合体と、該集合体は表裏の第1面と第2面を有し、該第1面および/または第2面にカーボンナノチューブ以外の固体物質を含む層が構成されていることを特徴とする層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記カーボンナノチューブが絡んで成る集合体のカーボンナノチューブの少なくとも一部分が、前記固体物質を含む層に侵入し絡んでいることを特徴とする請求項1記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記固体物質が、不定形カーボンまたはパーティクルであることを特徴とする請求項1または2に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記固体物質を含む層の見掛け体積が、前記カーボンナノチューブ集合体全体の見掛け体積の1〜30%を占めることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記固体物質として不定形カーボンを含む層の厚さが0.5〜10μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜4に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記固体物質として不定形カーボンを含む層の表面全体に多数の亀裂を有し、該亀裂総長さの50%は幅が1〜10μmの範囲にあることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記固体物質としてパーティクルを含む層は、厚さが0.5〜5μmの範囲にあり、該層の見かけ体積が、前記カーボンナノチューブ集合体全体の見掛け体積の0.001%以上10%以下の範囲にあることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記パーティクルは、該パーティクル全体数の少なくとも80%が1〜100nmの粒径を有していることを特徴とする請求項3〜7のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記第一面に構成された固体物質を含む層の固体物質は不定形カーボンであり、第二面に構成された固体物質を含む層の固体物質はパーティクルであることを特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記第一面または第二面の1面のみに構成された固体物質を含む層の固体物質が、不定形カーボンであることを特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記第一面または第二面の1面のみに構成された固体物質を含む層の固体物質が、パーティクルであることを特徴とする請求項1〜4、7または8のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 前記第一面および第二面に構成された固体物質を含む層の固体物質が、パーティクルであることを特徴とする請求項1〜4、7または8のいずれか1項に記載の層構造を成しているカーボンナノチューブ集合体。
- 請求項1〜4、または請求項7のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体において、固体物質を含む層が構成されて層構造を成していることに代えて、前記固体物質が明確な層を成すまでには至らずに付着状態にあることを特徴とするカーボンナノチューブ集合体。
- 前記請求項3〜13(ただし、請求項4、7、8、11、12または13のいずれかにおいて請求項3を引用しないものを除く)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含む面を貼付面として貼り付けたことを特徴とする電極材料。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を用いた電子放出源。
- 請求項3〜13(ただし、請求項4、7、8、11、12または13のいずれかにおいて請求項3を引用しないものを除く)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含む面を貼付面として貼り付けたことを特徴とする電子放出源。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を用いた発光デバイス。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を用いた半導体デバイス。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を用いた電気・電子機器。
- 請求項3〜13(ただし、請求項4、5、6、10または13のいずれかにおいて請求項3を引用しないものを除く)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を用い、パーティクルを含む面を吸着面とした吸着材料。
- 請求項20に記載の吸着材料を用いた、液体もしくは気体の吸着装置。
- 請求項3〜13(ただし、請求項4、7、8、11、12または13のいずれかにおいて請求項3を引用しないものを除く)のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体の不定形カーボンを含むの面を貼付面として貼り付けたことを特徴とする放熱材料。
- 請求項22に記載の放熱材料を用いたことを特徴とする放熱板。
- 請求項1〜13のいずれか1項に記載のカーボンナノチューブ集合体を電極面に貼り付けたことを特徴とする蓄電池。
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