JP2004186029A - 燃料電池システム - Google Patents
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Abstract
【課題】システム全体の効率低下を招くことなく、燃料電池スタックが格納される筐体内の換気を効果的に行って、筐体内の水素濃度の増加を確実に防止できるようにする。
【解決手段】燃料電池スタック1が格納された筐体2内を換気するための筐体換気手段13を設ける。筐体換気手段13は、分岐配管14を通って供給される空気供給装置8からの送風空気の一部と、走行風導入配管15を通って供給される燃料電池自動車の走行風とを、換気切替部16にて適宜切り替えられながら、筐体2内に導入する。
【選択図】 図1
【解決手段】燃料電池スタック1が格納された筐体2内を換気するための筐体換気手段13を設ける。筐体換気手段13は、分岐配管14を通って供給される空気供給装置8からの送風空気の一部と、走行風導入配管15を通って供給される燃料電池自動車の走行風とを、換気切替部16にて適宜切り替えられながら、筐体2内に導入する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池スタックが筐体内に格納された状態で車両に搭載される車載型の燃料電池システムに関し、特に筐体内の換気を行う手段を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池スタックの燃料極に水素を含む燃料ガス、空気極に空気をそれぞれ供給し、電解質膜を介してこれら燃料ガスと空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば車両の駆動動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
車両に搭載する車載型の燃料電池システムでは、発電を行う燃料電池スタックとして、主に、固体高分子タイプの燃料電池スタックが用いられている。固体高分子タイプの燃料電池スタックは、発電単位である各セルの燃料極と空気極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられ、このようなセルがセパレータを介して多数積層されてなるものである。
【0004】
また、車載型の燃料電池システムでは、車両に対する据え付け性等の観点から、以上のような燃料電池スタックを筐体内に格納した状態で車両に搭載する試みがなされている。
【0005】
ところで、上述したように水素と酸素との反応により発電する燃料電池スタックにおいては、水素の分子量が小さいために完全なシール性の確保が困難であり、各セルを構成する積層体の隙間等から水素ガスが漏洩することが想定される。そして、このような燃料電池スタックを筐体内に格納した場合には、燃料電池スタックから漏洩した水素ガスが筐体内に蓄積されることも想定されるため、筐体内に漏洩した水素ガスが常に一定以下の低濃度となるように、筐体内を換気することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1には、燃料電池スタックが格納される筐体内に専用の電動換気ファンを設置して、この電動換気ファンの運転によって筐体内の換気を行う例が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−86891号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来の技術では、筐体内の換気のために電動換気ファンを設置して、これを常時運転させておく必要があるため、この電動換気ファン運転のための消費電力が、燃料電池システム全体の効率低下を招く要因となるといった問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点を解決すべく創案されたものであり、システム全体の効率低下を招くことなく、燃料電池スタックが格納される筐体内の換気を効果的に行って、筐体内の水素濃度の増加を確実に防止することができる燃料電池システム可能を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料電池システムは、空気供給装置からの空気と燃料供給源からの水素を含む燃料ガスとを反応させて発電を行う燃料電池スタックが筐体内に格納され、車両に搭載されて車両の駆動動力源として用いられる車載型の燃料電池システムであり、燃料電池スタックが格納される筐体内の換気を行う筐体換気手段を備える。そして、この筐体換気手段が、空気供給装置からの空気の一部を分岐させて換気用空気として筐体内に導入する第1の換気用配管と、車両の走行風を換気用空気として筐体内に導入する第2の換気用配管とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る燃料電池システムでは、空気供給装置から供給される空気の一部と車両の走行によって生じる走行風とが、筐体を換気するための換気用空気として利用される。ここで、第1の換気用配管から筐体内に導入される換気用空気としては、圧縮機等の空気供給装置を効率的な運転状態で運転させて、そのときに燃料電池スタックで要求される空気量を超える余剰分の空気を利用する。
【0012】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、空気供給装置から燃料電池スタックに供給される空気の一部と、車両の走行によって生じる走行風とを換気用空気として利用して、燃料電池スタックが格納される筐体内を換気するようにしているので、筐体内における水素濃度の上昇を確実に防止することできる。
【0013】
また、この燃料電池システムでは、筐体内の換気を行うための専用の換気ファン等を設ける必要がなく、また、圧縮機等の空気供給装置を効率のよい状態で運転し続けることができるため、システム全体の効率を向上させることができ、更には、このようなシステム全体の効率向上によって、車両としての燃費を改善させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本発明を適用した車載型の燃料電池システムの要部構成を図1に概略的に示す。この燃料電池システムは、燃料電池自動車に駆動動力源として搭載されるものであり、燃料電池スタック1筐体2内に格納されている。筐体2内の燃料電池スタック1には、この燃料電池スタック1に水素を含む燃料ガスを供給するための燃料ガス供給配管3と、この燃料電池スタック1に酸化剤である空気を供給するための空気供給配管4とが接続されている。また、この燃料電池システムは、燃料電池スタック1における反応により発生する熱を吸収するための冷却機構5を備えている。
【0016】
燃料電池スタック1は、燃料ガスが供給される燃料極と空気が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されると共に、複数の発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。各発電セルの電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0017】
本発明を適用した燃料電池システムでは、以上のような燃料電池スタック1が筐体2内に収納されている。この筐体2は、例えば、鋼板等の金属板やガラス繊維強化プラスチック板等が補強材と共に組み立てられて、箱状に形成されてなるものである。
【0018】
燃料ガス供給配管3は、例えば高圧水素タンク等の燃料供給源6からの燃料ガスを、筐体2内に格納された燃料電池スタック1の燃料極に供給する。なお、この燃料ガス供給配管3には、図示は省略するが、燃料供給源6から供給される燃料ガスの圧力や流量を調整するための制御バルブ等が設けられる。
【0019】
燃料電池スタック1では、前記燃料ガス供給配管3によって供給された燃料ガスが全て消費されるわけではなく、消費されずに残った燃料ガスが排燃料ガス配管7から排出される。この排燃料ガス配管7から排出される水素ガスは、例えば図示を省略する水素循環配管を通ってエゼクタ等により循環され、新たに供給される水素ガスと混合されて、再び燃料電池スタック1の燃料極に供給される。
【0020】
空気供給配管4は、例えば圧縮機やブロア等の空気供給装置8を介して、外気を導入する外気導入配管9に接続されている。そして、空気供給配管4は、空気供給装置8の運転によって外気導入配管8から導入される外気(送風空気)を、筐体2内に格納された燃料電池スタック1の空気極に供給する。なお、燃料電池スタック1からの排空気は、排空気配管10から大気中に排出される。
【0021】
冷却機構5は、筐体2内に格納された燃料電池スタック1へ冷却水を供給する冷却水供給配管11と、燃料電池スタック1にて発生した熱を吸収して加熱された冷却水を排出する冷却水戻り配管12とを備える。冷却機構5においては、冷却水戻り配管12から排出された冷却水が、図示を省略する熱交換器によって冷却されて、循環ポンプによって再度冷却水供給配管11へと循環される。
【0022】
ところで、本発明を適用した燃料電池システムのように燃料電池スタック1を筐体2内に格納した場合、燃料電池スタック1の水素に対するシール性を完全なものとすることは困難であるため、燃料電池スタック1から微量の水素ガスが漏洩して、これが筐体2内に徐々に蓄積されていくことも想定される。そこで、本発明を適用した燃料電池システムでは、筐体2内の換気を行うための筐体換気手段13を設け、燃料電池スタック1から漏洩した水素ガスを筐体2内に滞留させずに積極的に筐体2外部に排出し、筐体2内の水素ガス濃度が一定の低濃度以下となるようにしている。そして、特に本発明を適用した燃料電池システムでは、この筐体換気手段13が、圧縮機等の空気供給装置8から供給される送風空気の一部と、当該燃料電池システムが搭載された燃料電池自動車の走行によって生じる走行風とを適宜切り替えて筐体2内に導入することで、筐体2の換気を行い、筐体2内の水素濃度の上昇を防止するようにしている。
【0023】
一般的に、燃料電池自動車に搭載される燃料電池システムでは、数十kWクラスの高出力の燃料電池スタックが使用される。そして、このような高出力の燃料電池スタックでは、発電に必要な空気が数十NL/minから数千NL/minまでと、非常に広いダイナミックレンジが要求される。しかしながら、図2に示す一般的な圧縮機の断熱効率の等高線図からわかるように、一般的な圧縮機では、空気の流量が下がり、圧力比が小さいほど断熱効率が急激に低下する。このため、燃料電池自動車のアイドル停止時等、燃料電池スタックに要求される発電量が低い場合には、燃料電池スタックでの発電に必要な空気量のみを送風するように圧縮機を運転すると、圧縮機にとっては非常に効率の悪い運転となり、これにより燃料電池システム全体の効率にも悪影響を与えることになる。そこで、本発明を適用した燃料電池システムでは、燃料電池スタック1に要求される発電量が低い場合であっても、圧縮機(空気供給装置8)をあまり効率が下がらない状態で運転し、燃料電池スタック1での発電に必要とされる分以外の余剰分の送風空気を、筐体2内の換気用空気として利用するようにしている。
【0024】
一方、燃料電池スタック1に要求される発電量が高く、燃料電池スタック1で必要とされる空気量が多くなる場合には、余剰分の送風空気が少なくなり、この余剰分の送風空気だけでは筐体2内の換気を十分に行えないことも考えられる。しかしながら、燃料電池スタック1に高い発電量が要求されるのは、通常、燃料電池自動車が高速で走行しているときであり、この燃料電池自動車の走行によって生じる走行風を利用すれば、筐体2内の換気を十分に行うことができる。そこで、本発明を適用した燃料電池システムでは、燃料電池スタック1での発電に使用されない余剰分の送風空気では筐体2内の換気を十分に行えないような場合には、燃料電池自動車の走行風を、筐体2内の換気用空気として利用するようにしている。そして、このような換気用空気の切り替えが、筐体換気手段13にて行えるようにしている。
【0025】
筐体換気手段13は、図1及び図3に示すように、空気供給配管4から分岐された分岐配管(第1の換気用配管)14と、燃料電池自動車の走行風を導入する走行風導入配管(第2の換気用配管)15と、これら分岐配管14からの送風空気と走行風導入配管15からの走行風との切り替えを行う換気切替部16と、この換気切替部16を経た空気を換気用空気として筐体2内に導入する換気用空気供給配管17とを備えて構成される。
【0026】
分岐配管14は、圧縮機等の空気供給装置8から空気供給配管4を通って燃料電池スタック1に供給される送風空気の一部、具体的には、燃料電池スタック1での発電に必要とされる分以外の余剰分の送風空気を換気切替部16へと供給する。走行風導入配管15は、燃料電池システムが搭載された燃料電池自動車の走行によって生じる走行風を換気切替部16へと供給する。
【0027】
換気切替部16は、分岐配管14からの送風空気と走行風導入配管15からの走行風との合流地点でこれらの切り替えを行うものであり、走行風導入配管15との接続部に設けられた逆流防止蓋18と、分岐配管14との接続部に設けられた遮断弁19とを有している。逆流防止蓋18は、一端が回転軸18aにて支持されてこの回転軸18aを中心に回動可能となっており、走行風導入配管15の開口を開閉する機能を有する。遮断弁19は、分岐配管14からの送風空気が、走行風導入配管15からの走行風よりも常に高い圧力となるような口径とされている。したがって、遮断弁19が開かれて分岐配管14からの送風空気が換気切替部16に供給されている場合には、この分岐配管14からの送風空気の圧力によって逆流防止蓋18が押され、走行風導入配管15の開口が閉塞されることになる。
【0028】
また、換気切替部16には、当該換気切替部16内に供給される走行風又は空気供給装置8からの送風空気によって過大な圧力がかかるような場合に、その圧力を逃がすためのリリーフ弁20が設置されている。
【0029】
換気用空気供給配管17は、換気切替部16と筐体2とを連通させ、筐体2内に換気用空気を導入する。なお、筐体2内に導入された換気用空気は、換気用空気排出配管21によって筐体2の外部に排出される。
【0030】
本発明を適用した燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて、燃料電池自動車に設けられる車両コントローラ22によって分岐配管14が接続される遮断弁19の開閉を制御することで、筐体2内を換気するための換気用空気として、分岐配管14からの余剰分の送風空気を供給するか、或いは走行風導入配管15からの走行風を供給するかが切り替えられる。具体的には、燃料電池自動車の走行速度が遅い場合、及び燃料電池自動車の走行速度が速くとも燃料電池スタック1に要求される発電量が少ない場合には、車両コントローラ22の指令により遮断弁19が開かれ、換気切替部16に分岐配管14からの余剰分の送風空気が供給される。このとき、前述のように遮断弁19を通って換気切替部16に供給される送風空気の圧力によって、逆流防止蓋18が走行風導入配管15の開口部に押し付けられ、走行風導入配管15が閉塞される。これによって、空気供給装置8から送風されて分岐配管14にて分岐された送風空気のみが、換気用空気供給配管17から筐体2の内部へと導入されることになる。なお、このとき、換気切替部16に過大な圧力がかかるような場合には、リリーフ弁20が開放される。
【0031】
また、燃料電池自動車の走行速度が速く、且つ燃料電池スタック1に要求される発電量が多い場合には、車両コントローラ22の指令により遮断弁19が閉じられ、分岐配管14からの送風空気が換気切替部16に供給されなくなる。そして、送風空気の供給が停止すると、走行風によって逆流防止蓋18が押し開けられ、走行風導入配管15からの走行風が換気切替部16に供給される。これによって、走行風のみが換気用空気供給配管17から筐体2の内部へと導入されることになる。
【0032】
以下、図4に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0033】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS1)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が開かれる(ステップS2)。これにより、空気供給装置8からの余剰分の送風空気が分岐配管14及び遮断弁19を通って換気切替部16に入り、換気用空気として筐体2内に導入される。
【0034】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS3)。そして、このステップS3で取得された現在の走行速度Vと、筐体2内の換気に十分な走行風を得ることのできる速度として予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS4)。このステップS4において、現在の走行速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風によっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS2の処理へと戻って遮断弁19の開放状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0035】
前記ステップS4において、現在の走行速度Vが速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS3で取得された現在の要求発電量Pと、筐体2の換気に十分な余剰分の送風空気を得ることができなくなる発電量として予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS5)。このステップS5において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風によって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS2の処理へと戻って遮断弁19の開放状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0036】
そして、前記ステップS5において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が閉じられ(ステップS6)、走行風導入配管15から走行風が筐体2内の換気用空気として供給されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS2の処理へと戻り、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0037】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度や燃料電池スタック1に要求される発電量に応じて、燃料電池自動車の走行風と空気供給装置8による送風空気とを切り替えながら筐体2内に換気用空気として導入するようにしているので、常に筐体2内が十分に換気され、筐体2内における水素濃度の上昇を確実に防止することできる。したがって、筐体2内の換気を行うための専用の換気ファン等を設ける必要がなく、システム全体としての効率を向上させることができる。そして、このようなシステム効率の向上により、燃料電池自動車としての燃費も改善され、コストアップの抑制をも図ることができる。
【0038】
また、本実施形態の燃料電池システムでは、圧縮機等の空気供給装置8を運転効率が低くなり過ぎない範囲で運転し、この運転によって生じる送風空気のうちで、燃料電池スタック1での発電に必要とされる分以外の余剰分の送風空気を筐体2内の換気に利用するようにしているので、燃料電池システムのシステム効率を更に向上させることができる。一方で、燃料電池スタック1に要求される発電量が高い場合には、空気供給装置8からの送風空気は筐体2内の換気に利用されずに燃料電池スタック1での発電に利用され、筐体2内の換気には燃料電池自動車の走行風が利用されるため、これによっても燃料電池システムのシステム効率を向上させることができる。
【0039】
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、空気供給装置8からの送風空気により筐体2内を換気する場合、走行風導入配管15が逆流防止蓋18によって閉塞されるため、空気供給装置8からの送風空気が走行風導入配管15へと逆流することがない。このため、換気切替部16に入った送風空気は全て筐体2内に導入されることになり、筐体2内を効率よく換気することができる。また、送風空気の逆流防止は、遮断弁19の開閉に連動させて、それ自体無動力の逆流防止蓋18で走行風導入配管15を開閉するという簡易な構成で実現されるため、レイアウトの自由度が高く、設置が容易で消費電力も小さく済む。このため、システム全体の効率を更に向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、圧縮機等の空気供給装置8からの送風空気で筐体2内の換気を行うか否かを、燃料電池自動車の走行速度及び燃料電池スタック1に要求される発電量の双方から判断している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方でのみ判断するものであってもよい。例えば、燃料電池自動においては、燃料電池スタック1に要求される発電量が所定発電量以上であれば、ある程度の走行風が得られる車両速度に達しているはずであるから、この要求発電量のみでもって圧縮機等の空気供給装置8による換気が不要であると判断してもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の燃料電池システムについて説明する。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムは、上述した第1の実施形態における遮断弁19に可変オリフィス付きの遮断弁を使用したものである。可変オリフィス付きの遮断弁は、開状態のときの開度が可変とされており、このような可変オリフィス付きの遮断弁を使用することで、筐体2内に換気用空気として導入する空気供給装置2からの送風空気の流量圧力を調整することが可能となる。なお、その他の構成については、上述した第1の実施形態と同様であるので、これら同様の構成については同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態の燃料電池システムでは、可変オリフィス付きの遮断弁を開閉することで、筐体2内を換気する換気用空気として、空気供給装置8からの送風空気を供給するか、或いは燃料電池自動車の走行風を供給するかが切り替えられる。
【0044】
以下、図5に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0045】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS11)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁のオリフィス開度がアイドル状態の開度に設定されて、この遮断弁が開かれる(ステップS12)。これにより、空気供給装置8からの余剰分の送風空気が換気用空気として筐体2内に導入される。
【0046】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS13)。そして、このステップS13にて取得した情報を元に、現在の要求発電量Pを燃料電池スタック1で発電するのに必要な空気流入量と圧力とを演算し、更にこの結果から空気供給装置8を効率のよい運転状態に保ったままで、この運転状態における余剰分の送風空気が筐体2の換気に適した圧力流量になるような遮断弁のオリフィス開度を演算する(ステップS14)。
【0047】
次に、前記ステップS13で取得された現在の走行速度Vと、予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS15)。このステップS15において、現在の走行速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風によっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、遮断弁の開放状態が維持されると共に、オリフィス開度が前記ステップS14にて演算した開度に設定され(ステップS16)、その後、再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0048】
前記ステップS15において、現在の走行速度Vが速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS13で取得された現在の要求発電量Pと、予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS17)。このステップS17において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風によって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS16の処理に進んで遮断弁の開放状態が維持されると共に、オリフィス開度が前記ステップS14にて演算した開度に設定され、その後、前記ステップS13の処理へと戻って再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0049】
そして、前記ステップS17において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁のオリフィス開度が最小に設定されて遮断弁が閉じられ(ステップS18)、走行風導入配管15から走行風が筐体2内の換気用空気として導入されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS13の処理へと戻り、その時点での走行速度と要求発電量との取り込みが行われ、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0050】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、可変オリフィス付きの遮断弁を使用し、この遮断弁のオリフィス開度を制御することによって、筐体2内に導入される換気用空気の流量圧力をより精密に制御して、空気供給装置8をできるだけ効率の良い状態で運転することができるようになる。したがって、本実施形態の燃焼電池システムによれば、システム全体の効率をより向上させることができる。また、このような可変オリフィスを有する遮断弁の制御によって筐体2内に導入される換気用空気の流量圧力を制御するようにしているので、燃料電池自動車のように不規則な過渡運転状態であっても、安定した換気用空気を筐体2内に導入することができるようになり、これによっても燃料電池システムのシステム効率を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態の燃料電池システムにおいては、開状態のときの開度が可変の遮断弁として可変オリフィス付き遮断弁を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これに代えて遮断機能を有する比例制御弁等を使用するようにしてもよい。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の燃料電池システムについて説明する。
【0053】
本実施形態の燃料電池システムは、上述した第1の実施形態における逆流防止蓋18の開閉動作を機械的に制御できるようにしたものである。なお、その他の構成については、上述した第1の実施形態と同様であるので、これら同様の構成については同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
図6は、本実施形態の燃料電池システムにおける換気切替部16の一部を破断して示す斜視図である。この換気切替部16では、逆流防止蓋18を支持する回転軸18aが配管外部まで延在され、配管外部に突出した回転軸18aの端部にレバー31が取り付けられている。レバー31は、図示を省略するアクチュエータによって駆動され、逆流防止蓋18の開閉動作を換気切替部16の外部から機械的に制御可能とするものである。
【0055】
以下、図7に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0056】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS21)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が開かれると共に、アクチュエータの駆動によって逆流防止蓋18が閉じられる(ステップS22)。これにより、空気供給装置8からの余剰分の送風空気が換気用空気として筐体2内に導入される。
【0057】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS23)。そして、このステップS23で取得された現在の走行速度Vと、予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS24)。このステップS24において、現在の車両速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風によっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS22へと戻って遮断弁19の開放状態及び逆流防止蓋18の閉塞状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0058】
前記ステップS24において、現在の走行速度Vが車両速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS23で取得された現在の要求発電量Pと、予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS25)。このステップS25において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風によって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS22の処理へと戻って遮断弁19の開放状態及び逆流防止蓋18の閉塞状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0059】
そして、前記ステップS25において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が閉じられると共に、アクチュエータの駆動によってレバー31が操作されて逆流防止蓋18が開けられ(ステップS26)、走行風導入配管15から走行風が筐体2内の換気用空気として供給されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS23の処理へと戻り、その時点での走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われ、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0060】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、逆流防止蓋18の開閉動作が、車両コントローラ22からの指令に応じて機械的に制御できるようになっており、遮断弁19の開放と同時に逆流防止蓋18を閉塞し、また、遮断弁19の閉塞と同時に逆流防止蓋18を開放することができるので、走行風と空気供給装置8による送風空気との切り替えを瞬時に行うことが可能である。したがって、本実施形態の燃料電池システムによれば、換気用空気が一時的に滞留する不具合を確実に防止でき、また、過渡運転時に圧縮機等の空気供給装置8を効率の低いレンジで運転させる時間を短縮することができるので、システム効率をより向上させることができる。
【0061】
なお、本実施形態の燃料電池システムにおいては、アクチュエータにより駆動されるレバー31で逆流防止蓋18の開閉動作を制御するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、逆流防止蓋18の軸を直接ステッピングモータ等で駆動して、開閉動作を制御するようにしてもよい。
【0062】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の燃料電池システムについて説明する。
【0063】
本実施形態の燃料電池システムは、第2の実施形態と同様に遮断弁に可変オリフィス付き遮断弁が使用されていると共に、第3の実施形態と同様に逆流防止蓋18の開閉動作が機械的に制御できるようになっている。また、本実施形態の燃料電池システムでは、筐体2内に導入される換気用空気の圧力を検出できるようにしている。
【0064】
本実施形態の燃料電池システムの要部構成を図8に、筐体換気手段16の具体的な構成を図9にそれぞれ示す。この燃料電池システムでは、遮断弁に可変オリフィス付き遮断弁41が使用され、また、逆流防止蓋18の軸が配管外部に延在されてその端部にレバー31が取り付けられている。更に、筐体2への換気用空気供給配管17には圧力センサ42が設置されており、この圧力センサ42によって、筐体2内に導入される換気用空気の圧力を検出できるようになっている。なお、その他の構成については、上述した第1の実施形態と同様であるので、これら同様の構成については同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0065】
本実施形態の燃料電池システムでは、排換気用空気配管21における排換気用空気の圧力が大気圧と等しいことから、この排換気用空気の圧力と、前記圧力センサ42で検出した換気用空気供給配管17における換気用空気の圧力との差から、換気用空気が筐体2内を正常に流れているかを判断する。そして、換気用空気が正常に流れていないと判断した場合には、例えば燃料電池システムの運転を停止させると共に、二次バッテリにて走行が引き続き可能な状態として、運転者に警告を与えるようにする。
【0066】
また、本実施形態の燃料電池システムでは、遮断弁41の可変オリフィスの開度に加えて、レバー31をアクチュエータ等によって駆動し制御することで逆流防止蓋18の開度が設定されるようになっている。そして、空気供給装置8からの送風空気と走行風との流量圧力を調整して、これらが共に筐体2内に導入されるようにしている。
【0067】
以下、図10に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0068】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS31)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁41のオリフィス開度がアイドル状態の開度に設定され、遮断弁41が開かれると共に、逆流防止蓋18の開度が設定される(ステップS32)。このとき、逆流防止蓋18を完全な閉塞状態ではない開度に設定することで、走行風と送風空気とが共に筐体2内に換気用空気として導入されることになる。
【0069】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS33)。そして、ステップS33にて取得した情報を元に、現在の要求発電量Pを燃料電池スタック1で発電するのに必要な空気流入量と圧力とを演算し、更にこの結果から空気供給装置8を効率のよい運転状態に保ったままで、この運転状態において筐体2の換気に適した圧力流量の換気用空気になるような遮断弁41のオリフィス開度と逆流防止蓋18の開度とを演算する(ステップS34)。
【0070】
次に、前記ステップS33で取得された現在の走行速度Vと、予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS35)。このステップS35において、現在の走行速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風のみによっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、空気供給装置8からの送風空気と走行風とが換気用空気として筐体2内に導入されるように、遮断弁41の開放状態が維持されると共に、遮断弁41のオリフィス開度と逆流防止蓋18の開度とが前記ステップS34にて演算した開度に設定され(ステップS36)、その後、再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0071】
前記ステップS35において、現在の走行速度Vが速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS33で取得された現在の要求発電量Pと、予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS37)。このステップS37において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風のみによって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気と走行風とが換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS36の処理に進んで遮断弁41の開放状態が維持されると共に、遮断弁41のオリフィス開度と逆流防止蓋18の開度とが前記ステップS34にて演算した開度に設定され、その後、前記ステップS33の処理へと戻って再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0072】
そして、前記ステップS37において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁41のオリフィス開度が最小に設定されて遮断弁41が閉じられると共に、アクチュエータの駆動によってレバー31が操作されて逆流防止蓋18が開けられ(ステップS38)、走行風導入配管15から走行風のみが筐体2内の換気用空気として導入されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS33へと戻り、その時点での走行速度と要求発電量との取り込みが行われ、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0073】
本実施形態の燃料電池システムでは、圧力センサ42によって筐体2内に導入される換気用空気の圧力を検出し、これに基づいて逆流防止蓋18の開度を調節することができる。したがって、筐体2内に導入される換気用空気の流量圧力をより精密に制御することが可能となり、空気供給装置8をできるだけ効率のよい状態で運転してシステム効率をより向上させることができる。また、圧力センサ42で換気用空気供給配管17を通る換気用空気の圧力を検出することで、より精密に空気供給装置8の運転状態が把握可能となり、更に、過大な圧力がかかるような異常時には、遮断弁41を閉じると共に、運転者に異常の発生を警告することもできるので、安全性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の燃料電池システムの要部構成を概略的に示す図である。
【図2】一般的な圧縮機の断熱効率の等高線図である。
【図3】筐体換気手段の概略構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】第3の実施形態の燃料電池システムにおける筐体換気手段の一部を破断して示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】第4の実施形態の燃料電池システムの要部構成を概略的に示す図である。
【図9】第4の実施形態の燃料電池システムにおける筐体換気手段の概略構成を示す図である。
【図10】第4の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 筐体
4 空気供給配管
8 圧縮機
13 筐体換気手段
14 分岐配管
15 走行風導入配管
16 換気切替部
17 換気用空気供給配管
18 逆流防止蓋
19 遮断弁
22 車両コントローラ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料電池スタックが筐体内に格納された状態で車両に搭載される車載型の燃料電池システムに関し、特に筐体内の換気を行う手段を備えた燃料電池システムに関する。
【0002】
【従来の技術】
燃料電池システムは、燃料電池スタックの燃料極に水素を含む燃料ガス、空気極に空気をそれぞれ供給し、電解質膜を介してこれら燃料ガスと空気中の酸素とを電気化学的に反応させて発電電力を得るものである。このような燃料電池システムは、例えば車両の駆動動力源等としての実用化に大きな期待が寄せられており、現在、実用化に向けての研究開発が盛んに行われている。
【0003】
車両に搭載する車載型の燃料電池システムでは、発電を行う燃料電池スタックとして、主に、固体高分子タイプの燃料電池スタックが用いられている。固体高分子タイプの燃料電池スタックは、発電単位である各セルの燃料極と空気極との間に電解質膜として固体高分子膜が設けられ、このようなセルがセパレータを介して多数積層されてなるものである。
【0004】
また、車載型の燃料電池システムでは、車両に対する据え付け性等の観点から、以上のような燃料電池スタックを筐体内に格納した状態で車両に搭載する試みがなされている。
【0005】
ところで、上述したように水素と酸素との反応により発電する燃料電池スタックにおいては、水素の分子量が小さいために完全なシール性の確保が困難であり、各セルを構成する積層体の隙間等から水素ガスが漏洩することが想定される。そして、このような燃料電池スタックを筐体内に格納した場合には、燃料電池スタックから漏洩した水素ガスが筐体内に蓄積されることも想定されるため、筐体内に漏洩した水素ガスが常に一定以下の低濃度となるように、筐体内を換気することが検討されている(例えば、特許文献1参照)。
【0006】
この特許文献1には、燃料電池スタックが格納される筐体内に専用の電動換気ファンを設置して、この電動換気ファンの運転によって筐体内の換気を行う例が記載されている。
【0007】
【特許文献1】
特開平11−86891号公報
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載されている従来の技術では、筐体内の換気のために電動換気ファンを設置して、これを常時運転させておく必要があるため、この電動換気ファン運転のための消費電力が、燃料電池システム全体の効率低下を招く要因となるといった問題がある。
【0009】
本発明は、以上のような従来技術の有する問題点を解決すべく創案されたものであり、システム全体の効率低下を招くことなく、燃料電池スタックが格納される筐体内の換気を効果的に行って、筐体内の水素濃度の増加を確実に防止することができる燃料電池システム可能を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る燃料電池システムは、空気供給装置からの空気と燃料供給源からの水素を含む燃料ガスとを反応させて発電を行う燃料電池スタックが筐体内に格納され、車両に搭載されて車両の駆動動力源として用いられる車載型の燃料電池システムであり、燃料電池スタックが格納される筐体内の換気を行う筐体換気手段を備える。そして、この筐体換気手段が、空気供給装置からの空気の一部を分岐させて換気用空気として筐体内に導入する第1の換気用配管と、車両の走行風を換気用空気として筐体内に導入する第2の換気用配管とを有することを特徴とする。
【0011】
本発明に係る燃料電池システムでは、空気供給装置から供給される空気の一部と車両の走行によって生じる走行風とが、筐体を換気するための換気用空気として利用される。ここで、第1の換気用配管から筐体内に導入される換気用空気としては、圧縮機等の空気供給装置を効率的な運転状態で運転させて、そのときに燃料電池スタックで要求される空気量を超える余剰分の空気を利用する。
【0012】
【発明の効果】
本発明に係る燃料電池システムによれば、空気供給装置から燃料電池スタックに供給される空気の一部と、車両の走行によって生じる走行風とを換気用空気として利用して、燃料電池スタックが格納される筐体内を換気するようにしているので、筐体内における水素濃度の上昇を確実に防止することできる。
【0013】
また、この燃料電池システムでは、筐体内の換気を行うための専用の換気ファン等を設ける必要がなく、また、圧縮機等の空気供給装置を効率のよい状態で運転し続けることができるため、システム全体の効率を向上させることができ、更には、このようなシステム全体の効率向上によって、車両としての燃費を改善させることができる。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
【0015】
(第1の実施形態)
本発明を適用した車載型の燃料電池システムの要部構成を図1に概略的に示す。この燃料電池システムは、燃料電池自動車に駆動動力源として搭載されるものであり、燃料電池スタック1筐体2内に格納されている。筐体2内の燃料電池スタック1には、この燃料電池スタック1に水素を含む燃料ガスを供給するための燃料ガス供給配管3と、この燃料電池スタック1に酸化剤である空気を供給するための空気供給配管4とが接続されている。また、この燃料電池システムは、燃料電池スタック1における反応により発生する熱を吸収するための冷却機構5を備えている。
【0016】
燃料電池スタック1は、燃料ガスが供給される燃料極と空気が供給される空気極とが電解質・電極触媒複合体を挟んで重ね合わされて発電セルが構成されると共に、複数の発電セルが多段積層された構造を有し、電気化学反応により化学エネルギーを電気エネルギーに変換する。各発電セルの電解質としては、高エネルギー密度化、低コスト化、軽量化等を考慮して、例えば固体高分子電解質が用いられる。固体高分子電解質は、例えばフッ素樹脂系イオン交換膜等、イオン(プロトン)伝導性の高分子膜からなるものであり、飽和含水することによりイオン伝導性電解質として機能する。
【0017】
本発明を適用した燃料電池システムでは、以上のような燃料電池スタック1が筐体2内に収納されている。この筐体2は、例えば、鋼板等の金属板やガラス繊維強化プラスチック板等が補強材と共に組み立てられて、箱状に形成されてなるものである。
【0018】
燃料ガス供給配管3は、例えば高圧水素タンク等の燃料供給源6からの燃料ガスを、筐体2内に格納された燃料電池スタック1の燃料極に供給する。なお、この燃料ガス供給配管3には、図示は省略するが、燃料供給源6から供給される燃料ガスの圧力や流量を調整するための制御バルブ等が設けられる。
【0019】
燃料電池スタック1では、前記燃料ガス供給配管3によって供給された燃料ガスが全て消費されるわけではなく、消費されずに残った燃料ガスが排燃料ガス配管7から排出される。この排燃料ガス配管7から排出される水素ガスは、例えば図示を省略する水素循環配管を通ってエゼクタ等により循環され、新たに供給される水素ガスと混合されて、再び燃料電池スタック1の燃料極に供給される。
【0020】
空気供給配管4は、例えば圧縮機やブロア等の空気供給装置8を介して、外気を導入する外気導入配管9に接続されている。そして、空気供給配管4は、空気供給装置8の運転によって外気導入配管8から導入される外気(送風空気)を、筐体2内に格納された燃料電池スタック1の空気極に供給する。なお、燃料電池スタック1からの排空気は、排空気配管10から大気中に排出される。
【0021】
冷却機構5は、筐体2内に格納された燃料電池スタック1へ冷却水を供給する冷却水供給配管11と、燃料電池スタック1にて発生した熱を吸収して加熱された冷却水を排出する冷却水戻り配管12とを備える。冷却機構5においては、冷却水戻り配管12から排出された冷却水が、図示を省略する熱交換器によって冷却されて、循環ポンプによって再度冷却水供給配管11へと循環される。
【0022】
ところで、本発明を適用した燃料電池システムのように燃料電池スタック1を筐体2内に格納した場合、燃料電池スタック1の水素に対するシール性を完全なものとすることは困難であるため、燃料電池スタック1から微量の水素ガスが漏洩して、これが筐体2内に徐々に蓄積されていくことも想定される。そこで、本発明を適用した燃料電池システムでは、筐体2内の換気を行うための筐体換気手段13を設け、燃料電池スタック1から漏洩した水素ガスを筐体2内に滞留させずに積極的に筐体2外部に排出し、筐体2内の水素ガス濃度が一定の低濃度以下となるようにしている。そして、特に本発明を適用した燃料電池システムでは、この筐体換気手段13が、圧縮機等の空気供給装置8から供給される送風空気の一部と、当該燃料電池システムが搭載された燃料電池自動車の走行によって生じる走行風とを適宜切り替えて筐体2内に導入することで、筐体2の換気を行い、筐体2内の水素濃度の上昇を防止するようにしている。
【0023】
一般的に、燃料電池自動車に搭載される燃料電池システムでは、数十kWクラスの高出力の燃料電池スタックが使用される。そして、このような高出力の燃料電池スタックでは、発電に必要な空気が数十NL/minから数千NL/minまでと、非常に広いダイナミックレンジが要求される。しかしながら、図2に示す一般的な圧縮機の断熱効率の等高線図からわかるように、一般的な圧縮機では、空気の流量が下がり、圧力比が小さいほど断熱効率が急激に低下する。このため、燃料電池自動車のアイドル停止時等、燃料電池スタックに要求される発電量が低い場合には、燃料電池スタックでの発電に必要な空気量のみを送風するように圧縮機を運転すると、圧縮機にとっては非常に効率の悪い運転となり、これにより燃料電池システム全体の効率にも悪影響を与えることになる。そこで、本発明を適用した燃料電池システムでは、燃料電池スタック1に要求される発電量が低い場合であっても、圧縮機(空気供給装置8)をあまり効率が下がらない状態で運転し、燃料電池スタック1での発電に必要とされる分以外の余剰分の送風空気を、筐体2内の換気用空気として利用するようにしている。
【0024】
一方、燃料電池スタック1に要求される発電量が高く、燃料電池スタック1で必要とされる空気量が多くなる場合には、余剰分の送風空気が少なくなり、この余剰分の送風空気だけでは筐体2内の換気を十分に行えないことも考えられる。しかしながら、燃料電池スタック1に高い発電量が要求されるのは、通常、燃料電池自動車が高速で走行しているときであり、この燃料電池自動車の走行によって生じる走行風を利用すれば、筐体2内の換気を十分に行うことができる。そこで、本発明を適用した燃料電池システムでは、燃料電池スタック1での発電に使用されない余剰分の送風空気では筐体2内の換気を十分に行えないような場合には、燃料電池自動車の走行風を、筐体2内の換気用空気として利用するようにしている。そして、このような換気用空気の切り替えが、筐体換気手段13にて行えるようにしている。
【0025】
筐体換気手段13は、図1及び図3に示すように、空気供給配管4から分岐された分岐配管(第1の換気用配管)14と、燃料電池自動車の走行風を導入する走行風導入配管(第2の換気用配管)15と、これら分岐配管14からの送風空気と走行風導入配管15からの走行風との切り替えを行う換気切替部16と、この換気切替部16を経た空気を換気用空気として筐体2内に導入する換気用空気供給配管17とを備えて構成される。
【0026】
分岐配管14は、圧縮機等の空気供給装置8から空気供給配管4を通って燃料電池スタック1に供給される送風空気の一部、具体的には、燃料電池スタック1での発電に必要とされる分以外の余剰分の送風空気を換気切替部16へと供給する。走行風導入配管15は、燃料電池システムが搭載された燃料電池自動車の走行によって生じる走行風を換気切替部16へと供給する。
【0027】
換気切替部16は、分岐配管14からの送風空気と走行風導入配管15からの走行風との合流地点でこれらの切り替えを行うものであり、走行風導入配管15との接続部に設けられた逆流防止蓋18と、分岐配管14との接続部に設けられた遮断弁19とを有している。逆流防止蓋18は、一端が回転軸18aにて支持されてこの回転軸18aを中心に回動可能となっており、走行風導入配管15の開口を開閉する機能を有する。遮断弁19は、分岐配管14からの送風空気が、走行風導入配管15からの走行風よりも常に高い圧力となるような口径とされている。したがって、遮断弁19が開かれて分岐配管14からの送風空気が換気切替部16に供給されている場合には、この分岐配管14からの送風空気の圧力によって逆流防止蓋18が押され、走行風導入配管15の開口が閉塞されることになる。
【0028】
また、換気切替部16には、当該換気切替部16内に供給される走行風又は空気供給装置8からの送風空気によって過大な圧力がかかるような場合に、その圧力を逃がすためのリリーフ弁20が設置されている。
【0029】
換気用空気供給配管17は、換気切替部16と筐体2とを連通させ、筐体2内に換気用空気を導入する。なお、筐体2内に導入された換気用空気は、換気用空気排出配管21によって筐体2の外部に排出される。
【0030】
本発明を適用した燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて、燃料電池自動車に設けられる車両コントローラ22によって分岐配管14が接続される遮断弁19の開閉を制御することで、筐体2内を換気するための換気用空気として、分岐配管14からの余剰分の送風空気を供給するか、或いは走行風導入配管15からの走行風を供給するかが切り替えられる。具体的には、燃料電池自動車の走行速度が遅い場合、及び燃料電池自動車の走行速度が速くとも燃料電池スタック1に要求される発電量が少ない場合には、車両コントローラ22の指令により遮断弁19が開かれ、換気切替部16に分岐配管14からの余剰分の送風空気が供給される。このとき、前述のように遮断弁19を通って換気切替部16に供給される送風空気の圧力によって、逆流防止蓋18が走行風導入配管15の開口部に押し付けられ、走行風導入配管15が閉塞される。これによって、空気供給装置8から送風されて分岐配管14にて分岐された送風空気のみが、換気用空気供給配管17から筐体2の内部へと導入されることになる。なお、このとき、換気切替部16に過大な圧力がかかるような場合には、リリーフ弁20が開放される。
【0031】
また、燃料電池自動車の走行速度が速く、且つ燃料電池スタック1に要求される発電量が多い場合には、車両コントローラ22の指令により遮断弁19が閉じられ、分岐配管14からの送風空気が換気切替部16に供給されなくなる。そして、送風空気の供給が停止すると、走行風によって逆流防止蓋18が押し開けられ、走行風導入配管15からの走行風が換気切替部16に供給される。これによって、走行風のみが換気用空気供給配管17から筐体2の内部へと導入されることになる。
【0032】
以下、図4に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0033】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS1)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が開かれる(ステップS2)。これにより、空気供給装置8からの余剰分の送風空気が分岐配管14及び遮断弁19を通って換気切替部16に入り、換気用空気として筐体2内に導入される。
【0034】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS3)。そして、このステップS3で取得された現在の走行速度Vと、筐体2内の換気に十分な走行風を得ることのできる速度として予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS4)。このステップS4において、現在の走行速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風によっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS2の処理へと戻って遮断弁19の開放状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0035】
前記ステップS4において、現在の走行速度Vが速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS3で取得された現在の要求発電量Pと、筐体2の換気に十分な余剰分の送風空気を得ることができなくなる発電量として予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS5)。このステップS5において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風によって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS2の処理へと戻って遮断弁19の開放状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0036】
そして、前記ステップS5において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が閉じられ(ステップS6)、走行風導入配管15から走行風が筐体2内の換気用空気として供給されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS2の処理へと戻り、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0037】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度や燃料電池スタック1に要求される発電量に応じて、燃料電池自動車の走行風と空気供給装置8による送風空気とを切り替えながら筐体2内に換気用空気として導入するようにしているので、常に筐体2内が十分に換気され、筐体2内における水素濃度の上昇を確実に防止することできる。したがって、筐体2内の換気を行うための専用の換気ファン等を設ける必要がなく、システム全体としての効率を向上させることができる。そして、このようなシステム効率の向上により、燃料電池自動車としての燃費も改善され、コストアップの抑制をも図ることができる。
【0038】
また、本実施形態の燃料電池システムでは、圧縮機等の空気供給装置8を運転効率が低くなり過ぎない範囲で運転し、この運転によって生じる送風空気のうちで、燃料電池スタック1での発電に必要とされる分以外の余剰分の送風空気を筐体2内の換気に利用するようにしているので、燃料電池システムのシステム効率を更に向上させることができる。一方で、燃料電池スタック1に要求される発電量が高い場合には、空気供給装置8からの送風空気は筐体2内の換気に利用されずに燃料電池スタック1での発電に利用され、筐体2内の換気には燃料電池自動車の走行風が利用されるため、これによっても燃料電池システムのシステム効率を向上させることができる。
【0039】
更に、本実施形態の燃料電池システムでは、空気供給装置8からの送風空気により筐体2内を換気する場合、走行風導入配管15が逆流防止蓋18によって閉塞されるため、空気供給装置8からの送風空気が走行風導入配管15へと逆流することがない。このため、換気切替部16に入った送風空気は全て筐体2内に導入されることになり、筐体2内を効率よく換気することができる。また、送風空気の逆流防止は、遮断弁19の開閉に連動させて、それ自体無動力の逆流防止蓋18で走行風導入配管15を開閉するという簡易な構成で実現されるため、レイアウトの自由度が高く、設置が容易で消費電力も小さく済む。このため、システム全体の効率を更に向上させることができる。
【0040】
なお、本実施形態においては、圧縮機等の空気供給装置8からの送風空気で筐体2内の換気を行うか否かを、燃料電池自動車の走行速度及び燃料電池スタック1に要求される発電量の双方から判断している。しかしながら、本発明はこれに限定されるものではなく、いずれか一方でのみ判断するものであってもよい。例えば、燃料電池自動においては、燃料電池スタック1に要求される発電量が所定発電量以上であれば、ある程度の走行風が得られる車両速度に達しているはずであるから、この要求発電量のみでもって圧縮機等の空気供給装置8による換気が不要であると判断してもよい。
【0041】
(第2の実施形態)
次に、第2の実施形態の燃料電池システムについて説明する。
【0042】
本実施形態の燃料電池システムは、上述した第1の実施形態における遮断弁19に可変オリフィス付きの遮断弁を使用したものである。可変オリフィス付きの遮断弁は、開状態のときの開度が可変とされており、このような可変オリフィス付きの遮断弁を使用することで、筐体2内に換気用空気として導入する空気供給装置2からの送風空気の流量圧力を調整することが可能となる。なお、その他の構成については、上述した第1の実施形態と同様であるので、これら同様の構成については同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0043】
本実施形態の燃料電池システムでは、可変オリフィス付きの遮断弁を開閉することで、筐体2内を換気する換気用空気として、空気供給装置8からの送風空気を供給するか、或いは燃料電池自動車の走行風を供給するかが切り替えられる。
【0044】
以下、図5に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0045】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS11)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁のオリフィス開度がアイドル状態の開度に設定されて、この遮断弁が開かれる(ステップS12)。これにより、空気供給装置8からの余剰分の送風空気が換気用空気として筐体2内に導入される。
【0046】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS13)。そして、このステップS13にて取得した情報を元に、現在の要求発電量Pを燃料電池スタック1で発電するのに必要な空気流入量と圧力とを演算し、更にこの結果から空気供給装置8を効率のよい運転状態に保ったままで、この運転状態における余剰分の送風空気が筐体2の換気に適した圧力流量になるような遮断弁のオリフィス開度を演算する(ステップS14)。
【0047】
次に、前記ステップS13で取得された現在の走行速度Vと、予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS15)。このステップS15において、現在の走行速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風によっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、遮断弁の開放状態が維持されると共に、オリフィス開度が前記ステップS14にて演算した開度に設定され(ステップS16)、その後、再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0048】
前記ステップS15において、現在の走行速度Vが速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS13で取得された現在の要求発電量Pと、予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS17)。このステップS17において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風によって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS16の処理に進んで遮断弁の開放状態が維持されると共に、オリフィス開度が前記ステップS14にて演算した開度に設定され、その後、前記ステップS13の処理へと戻って再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0049】
そして、前記ステップS17において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁のオリフィス開度が最小に設定されて遮断弁が閉じられ(ステップS18)、走行風導入配管15から走行風が筐体2内の換気用空気として導入されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS13の処理へと戻り、その時点での走行速度と要求発電量との取り込みが行われ、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0050】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、可変オリフィス付きの遮断弁を使用し、この遮断弁のオリフィス開度を制御することによって、筐体2内に導入される換気用空気の流量圧力をより精密に制御して、空気供給装置8をできるだけ効率の良い状態で運転することができるようになる。したがって、本実施形態の燃焼電池システムによれば、システム全体の効率をより向上させることができる。また、このような可変オリフィスを有する遮断弁の制御によって筐体2内に導入される換気用空気の流量圧力を制御するようにしているので、燃料電池自動車のように不規則な過渡運転状態であっても、安定した換気用空気を筐体2内に導入することができるようになり、これによっても燃料電池システムのシステム効率を向上させることができる。
【0051】
なお、本実施形態の燃料電池システムにおいては、開状態のときの開度が可変の遮断弁として可変オリフィス付き遮断弁を使用しているが、本発明はこれに限定されるものではなく、これに代えて遮断機能を有する比例制御弁等を使用するようにしてもよい。
【0052】
(第3の実施形態)
次に、第3の実施形態の燃料電池システムについて説明する。
【0053】
本実施形態の燃料電池システムは、上述した第1の実施形態における逆流防止蓋18の開閉動作を機械的に制御できるようにしたものである。なお、その他の構成については、上述した第1の実施形態と同様であるので、これら同様の構成については同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0054】
図6は、本実施形態の燃料電池システムにおける換気切替部16の一部を破断して示す斜視図である。この換気切替部16では、逆流防止蓋18を支持する回転軸18aが配管外部まで延在され、配管外部に突出した回転軸18aの端部にレバー31が取り付けられている。レバー31は、図示を省略するアクチュエータによって駆動され、逆流防止蓋18の開閉動作を換気切替部16の外部から機械的に制御可能とするものである。
【0055】
以下、図7に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0056】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS21)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が開かれると共に、アクチュエータの駆動によって逆流防止蓋18が閉じられる(ステップS22)。これにより、空気供給装置8からの余剰分の送風空気が換気用空気として筐体2内に導入される。
【0057】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS23)。そして、このステップS23で取得された現在の走行速度Vと、予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS24)。このステップS24において、現在の車両速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風によっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS22へと戻って遮断弁19の開放状態及び逆流防止蓋18の閉塞状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0058】
前記ステップS24において、現在の走行速度Vが車両速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS23で取得された現在の要求発電量Pと、予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS25)。このステップS25において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風によって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気が換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS22の処理へと戻って遮断弁19の開放状態及び逆流防止蓋18の閉塞状態が維持され、再度現在の走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われる。
【0059】
そして、前記ステップS25において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁19が閉じられると共に、アクチュエータの駆動によってレバー31が操作されて逆流防止蓋18が開けられ(ステップS26)、走行風導入配管15から走行風が筐体2内の換気用空気として供給されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS23の処理へと戻り、その時点での走行速度Vと要求発電量Pの取得が行われ、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0060】
以上のように、本実施形態の燃料電池システムでは、逆流防止蓋18の開閉動作が、車両コントローラ22からの指令に応じて機械的に制御できるようになっており、遮断弁19の開放と同時に逆流防止蓋18を閉塞し、また、遮断弁19の閉塞と同時に逆流防止蓋18を開放することができるので、走行風と空気供給装置8による送風空気との切り替えを瞬時に行うことが可能である。したがって、本実施形態の燃料電池システムによれば、換気用空気が一時的に滞留する不具合を確実に防止でき、また、過渡運転時に圧縮機等の空気供給装置8を効率の低いレンジで運転させる時間を短縮することができるので、システム効率をより向上させることができる。
【0061】
なお、本実施形態の燃料電池システムにおいては、アクチュエータにより駆動されるレバー31で逆流防止蓋18の開閉動作を制御するようにしているが、本発明はこれに限定されるものではなく、逆流防止蓋18の軸を直接ステッピングモータ等で駆動して、開閉動作を制御するようにしてもよい。
【0062】
(第4の実施形態)
次に、第4の実施形態の燃料電池システムについて説明する。
【0063】
本実施形態の燃料電池システムは、第2の実施形態と同様に遮断弁に可変オリフィス付き遮断弁が使用されていると共に、第3の実施形態と同様に逆流防止蓋18の開閉動作が機械的に制御できるようになっている。また、本実施形態の燃料電池システムでは、筐体2内に導入される換気用空気の圧力を検出できるようにしている。
【0064】
本実施形態の燃料電池システムの要部構成を図8に、筐体換気手段16の具体的な構成を図9にそれぞれ示す。この燃料電池システムでは、遮断弁に可変オリフィス付き遮断弁41が使用され、また、逆流防止蓋18の軸が配管外部に延在されてその端部にレバー31が取り付けられている。更に、筐体2への換気用空気供給配管17には圧力センサ42が設置されており、この圧力センサ42によって、筐体2内に導入される換気用空気の圧力を検出できるようになっている。なお、その他の構成については、上述した第1の実施形態と同様であるので、これら同様の構成については同一の符号を付して、ここでは詳細な説明を省略する。
【0065】
本実施形態の燃料電池システムでは、排換気用空気配管21における排換気用空気の圧力が大気圧と等しいことから、この排換気用空気の圧力と、前記圧力センサ42で検出した換気用空気供給配管17における換気用空気の圧力との差から、換気用空気が筐体2内を正常に流れているかを判断する。そして、換気用空気が正常に流れていないと判断した場合には、例えば燃料電池システムの運転を停止させると共に、二次バッテリにて走行が引き続き可能な状態として、運転者に警告を与えるようにする。
【0066】
また、本実施形態の燃料電池システムでは、遮断弁41の可変オリフィスの開度に加えて、レバー31をアクチュエータ等によって駆動し制御することで逆流防止蓋18の開度が設定されるようになっている。そして、空気供給装置8からの送風空気と走行風との流量圧力を調整して、これらが共に筐体2内に導入されるようにしている。
【0067】
以下、図10に示すフローチャートに従って、本実施形態における筐体換気手段13での筐体2の換気動作を説明する。
【0068】
まず、燃料電池システムが起動される(ステップS31)と、車両コントローラ22からの指令により遮断弁41のオリフィス開度がアイドル状態の開度に設定され、遮断弁41が開かれると共に、逆流防止蓋18の開度が設定される(ステップS32)。このとき、逆流防止蓋18を完全な閉塞状態ではない開度に設定することで、走行風と送風空気とが共に筐体2内に換気用空気として導入されることになる。
【0069】
次に、現在の燃料電気自動車の走行速度Vと燃料電池スタック1に要求される発電量Pとが車両コントローラ22において取得される(ステップS33)。そして、ステップS33にて取得した情報を元に、現在の要求発電量Pを燃料電池スタック1で発電するのに必要な空気流入量と圧力とを演算し、更にこの結果から空気供給装置8を効率のよい運転状態に保ったままで、この運転状態において筐体2の換気に適した圧力流量の換気用空気になるような遮断弁41のオリフィス開度と逆流防止蓋18の開度とを演算する(ステップS34)。
【0070】
次に、前記ステップS33で取得された現在の走行速度Vと、予め設定されている所定の速度Vsetとが比較される(ステップS35)。このステップS35において、現在の走行速度Vが速度Vset未満であった場合には、走行風のみによっては筐体2内を換気するための十分な風量が得られないため、空気供給装置8からの送風空気と走行風とが換気用空気として筐体2内に導入されるように、遮断弁41の開放状態が維持されると共に、遮断弁41のオリフィス開度と逆流防止蓋18の開度とが前記ステップS34にて演算した開度に設定され(ステップS36)、その後、再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0071】
前記ステップS35において、現在の走行速度Vが速度Vset以上であった場合には、更に前記ステップS33で取得された現在の要求発電量Pと、予め設定されている所定の発電量Psetとが比較される(ステップS37)。このステップS37において、現在の要求発電量Pが発電量Pset未満であった場合には、走行風のみによって筐体2内の換気を十分に行うことができるが、未だ余剰分の送風空気を利用して筐体2を十分に換気することができるため、引き続き空気供給装置8からの送風空気と走行風とが換気用空気として筐体2内に導入されるように、前記ステップS36の処理に進んで遮断弁41の開放状態が維持されると共に、遮断弁41のオリフィス開度と逆流防止蓋18の開度とが前記ステップS34にて演算した開度に設定され、その後、前記ステップS33の処理へと戻って再度現在の走行速度と要求発電量の取得が行われる。
【0072】
そして、前記ステップS37において、現在の要求発電量Pが発電量Pset以上であった場合には、車両コントローラ22からの指令により遮断弁41のオリフィス開度が最小に設定されて遮断弁41が閉じられると共に、アクチュエータの駆動によってレバー31が操作されて逆流防止蓋18が開けられ(ステップS38)、走行風導入配管15から走行風のみが筐体2内の換気用空気として導入されるよう切り替えられる。その後、本実施形態の燃料電池システムでは、燃料電池自動車の走行速度と燃料電池スタック1に要求される発電量とに応じて適宜筐体2内へ導入する換気用空気を切り替えるために、前記ステップS33へと戻り、その時点での走行速度と要求発電量との取り込みが行われ、以降の各処理が繰り返し行われる。
【0073】
本実施形態の燃料電池システムでは、圧力センサ42によって筐体2内に導入される換気用空気の圧力を検出し、これに基づいて逆流防止蓋18の開度を調節することができる。したがって、筐体2内に導入される換気用空気の流量圧力をより精密に制御することが可能となり、空気供給装置8をできるだけ効率のよい状態で運転してシステム効率をより向上させることができる。また、圧力センサ42で換気用空気供給配管17を通る換気用空気の圧力を検出することで、より精密に空気供給装置8の運転状態が把握可能となり、更に、過大な圧力がかかるような異常時には、遮断弁41を閉じると共に、運転者に異常の発生を警告することもできるので、安全性も向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施形態の燃料電池システムの要部構成を概略的に示す図である。
【図2】一般的な圧縮機の断熱効率の等高線図である。
【図3】筐体換気手段の概略構成を示す図である。
【図4】第1の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【図5】第2の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【図6】第3の実施形態の燃料電池システムにおける筐体換気手段の一部を破断して示す斜視図である。
【図7】第3の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【図8】第4の実施形態の燃料電池システムの要部構成を概略的に示す図である。
【図9】第4の実施形態の燃料電池システムにおける筐体換気手段の概略構成を示す図である。
【図10】第4の実施形態の燃料電池システムにおける筐体の換気動作を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 燃料電池スタック
2 筐体
4 空気供給配管
8 圧縮機
13 筐体換気手段
14 分岐配管
15 走行風導入配管
16 換気切替部
17 換気用空気供給配管
18 逆流防止蓋
19 遮断弁
22 車両コントローラ
Claims (8)
- 空気供給装置からの空気と燃料供給源からの水素を含む燃料ガスとを反応させて発電を行う燃料電池スタックが筐体内に格納され、車両に搭載されて車両の駆動動力源として用いられる車載型の燃料電池システムであって、
前記筐体内の換気を行う筐体換気手段を備え、
前記筐体換気手段が、前記空気供給装置からの空気の一部を分岐させて換気用空気として前記筐体内に導入する第1の換気用配管と、前記車両の走行風を換気用空気として前記筐体内に導入する第2の換気用配管とを有することを特徴とする燃料電池システム。 - 前記筐体換気手段は、前記筐体内に導入する換気用空気を、前記第1の換気用配管からの空気と、前記第2の換気用配管からの走行風とで切り替える切替手段を有することを特徴とする請求項1に記載の燃料電池システム。
- 前記切替手段は、前記第1の換気用配管からの空気を遮断する遮断弁と、前記第2の換気用配管を閉塞すると共に前記第1の換気用配管からの空気が前記第2の換気用配管へ逆流することを防止する逆流防止蓋とを有することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
- 前記筐体換気手段は、前記車両の走行速度が所定の速度以下の場合には、前記第1の換気用配管からの空気を換気用空気として前記筐体内へ導入することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
- 前記筐体換気手段は、前記燃料電池スタックの発電量が所定の発電量以下の場合には、前記第1の換気用配管からの空気を換気用空気として前記筐体内へ導入することを特徴とする請求項2又は3に記載の燃料電池システム。
- 前記遮断弁は、開状態のときの開度が可変とされていることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記逆流防止蓋は、開閉動作が機械的に制御されることを特徴とする請求項3に記載の燃料電池システム。
- 前記筐体換気手段は、前記筐体内に導入される換気用空気の圧力を検出する圧力センサを有することを特徴とする請求項2に記載の燃料電池システム。
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