JP2004185283A - 光学式座標入力装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】再帰反射光量の経時変化や部分的な光量の不均一にかかわりなく、安定な検出を行う。
【解決手段】再帰反射部材から反射光量分布の変化量(差分)と変化率(比)から遮光範囲を検出して座標を決定する。
変化量、変化率は初期状態の照明無しの時のデータと照明時の光量分布を記憶しておき、これらのデータからそれぞれを計算する。
また、初期データとして得られたデータに所定レベル以下の変化点が検出された場合には異常データとして報知を行う。
【選択図】 図1
【解決手段】再帰反射部材から反射光量分布の変化量(差分)と変化率(比)から遮光範囲を検出して座標を決定する。
変化量、変化率は初期状態の照明無しの時のデータと照明時の光量分布を記憶しておき、これらのデータからそれぞれを計算する。
また、初期データとして得られたデータに所定レベル以下の変化点が検出された場合には異常データとして報知を行う。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標入力装置、より詳しくは、入力面に指示具や指によって指示して座標を入力することにより、接続されたコンピュータを制御したり、文字や図形などを書き込むために用いられる座標入力装置であって、その性能を改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の装置としてはタッチパネルとして、各種方式のものが提案、または製品化されており、特殊な器具などを用いずに、画面上でPCなどの操作が簡単にできるため、広く用いられている。
【0003】
方式としては、抵抗膜を用いたもの、また、超音波を用いたものなど、さまざまなものがあるが、光を用いたものとして米国特許USP4507557などに見られるように、座標入力面外側に再帰性反射シートを設け、光を照明する手段からの光を再帰反射シートで反射し、受光手段により光量分布を検出する構成において、入力領域内にある、指などで遮蔽された領域の角度を検出し、遮蔽位置つまり入力位置の座標を決定するものが、知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、国内件においても特開2000−105671号公報や、特開2001−1472642号公報などにあるように、再帰反射部材を入力領域周辺に構成し、再帰反射光が遮光される部分の座標を検出する装置が開示されている。
【0005】
これらの装置において、例えば特開2000−105671号公報では、微分などの波形処理演算によって遮光部分のピークを検出することにより、遮光部分の角度を検出し、また、特開2001−1472642号公報では、特定のレベルパターンとの比較によって遮光部位の一方の端と他方の端を検出しそれらの座標の中心を検出する構成が示されている。
【0006】
また、先のUSP4507557においては、RAMイメージャーの各画素を読み出し、コンパレータで比較する事で、遮光部分を検出し、一定幅以上の遮光部位があった場合に、その両端の画素の中心(1/2位置)を検出する検知方式が示されている。
【0007】
しかし、実際には遮光データがピークを持たず、平坦であったり、また、部品ばらつきや再帰反射面の汚れなどの経時変化などで、反射強度が低下する等すると、固定閾値では正確な検出ができなくなるなどの不具合があった。
【0008】
また、汚れや、障害物などで極端に反射率が低下した場合、正常な入力ができなくなるなどの問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、入力領域の任意の位置を指または指示具等にて、座標入力する座標入力装置において、入力領域の角部に設けられた複数の受光検出手段と、前記入力領域の周辺部に設けられ再帰的に入射光を反射する再帰反射手段と該再帰性反射手段に光を投影する投光手段と、前記受光検出手段から得られる光量分布の変化量と前記受光検出手段から得られる光量分布の変化率とから指または指示具にて遮光された前記入力領域の遮光部分を検知する事で経時変化やばらつきに対応可能であるとともに、前記受光検出手段から得られる光量分布を記憶する記憶手段と該記憶手段に、前記投光手段からの投光が無い状態の光量分布を記憶するとともに、前記投光手段から投光された状態の光量分布をも記憶し、前期記憶される光量分布は電源投入後の初期データであることで、計時変化に対応可能であり、前期投光の無い状態の光量分布と前記投光手段から投光された状態の光量分布の差が、所定の値以下である場合に、その位置で異常発生したとみなして、報知することにより、異常個所を知らしめることが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第一の実施形態)
本発明に係る座標入力装置の概略構成について図1を用いて説明する。
【0012】
図中1L、1Rは投光手段および検出手段を有するセンサユニットであり、所定の距離はなれて設置されている。センサユニットは制御・演算を行う制御・演算ユニット2に接続され、制御信号を制御・演算ユニットから受け取ると共に、検出した信号を制御・演算ユニットに送信する。3は図2のように入射光を到来方向に反射する再帰反射面を有する反射手段であり、左右それぞれのセンサユニットから略90°範囲に投光された光を、センサユニットに向けて再帰反射する。
【0013】
反射された光は、集光光学系とラインCCD等によって構成されたセンサユニットの検出手段によって1次元的に検出され、その光量分布が制御・演算ユニットに送られる。
【0014】
5は入力領域であり、PDPやリアプロジェクタ、LCDパネルなどの表示装置の表示画面で構成されることで、インタラクティブな入力装置として、利用可能となっている。
【0015】
このような構成において、入力領域に指などによる入力指示がなされると、上記投光手段から投光された光が遮られ、再帰反射による反射光が得られなくなるため、入力指示位置のみ光量が得られなくなる。
【0016】
メインユニットの演算制御手段は、左右のセンサユニットの光量変化から、入力支持された部分の遮光範囲を検出し、同範囲内での検出点を特定してそれぞれの角度を算出する。算出された角度および、センサユニット間の距離等から、入力エリア上の座標位置を算出し、表示装置に接続されているPCなどに、USBなどのインタフェースを経由して座標値を出力する。
【0017】
このようにして、指などによって、画面上に線を描画したり、アイコンの操作するなどPCの操作が可能になる。
【0018】
以降各部分毎に詳細説明を行う。
【0019】
〈センサユニットの詳細説明〉
図3はセンサユニットにおける投光手段の構成例である。
【0020】
3−1は投光手段を上から(入力面に対し垂直方向)から見た図である。図中31は赤外光を発する赤外LEDであり、発光した光は投光レンズ32によって、略90°範囲に光を投光する。一方、3−2は同じ構成を横から見た図であり、(入力面に対し水平方向)この方向では、赤外LED31からの光は上下方向に制限された光束として投光され、主に、再帰反射手段4に対して光が投光されるようになっている。
【0021】
図4はセンサユニットにおける検出手段を入力面に対して垂直方向から見た図である。
【0022】
検出手段は、1次元のラインCCD41および集光光学系としてのレンズ42,43および、入射光の入射方向を制限する絞り44、可視光など余分な光の入射を防止する赤外フィルター45からなっている。
【0023】
投光手段からの光は再帰反射部材によって反射され、赤外フィルター45、絞り44を抜けて、集光用レンズ42,43によって入力面の略90°範囲の光がCCDの検出面にその入射角に依存した画素上に結像され、角度ごとの光量分布を示している。つまり画素番号が角度情報を表すことになる。
【0024】
図5は入力面と水平方向からの見たときの、上記投光手段と検出手段を重ねて、センサユニット1としたときの構成である。
【0025】
投光手段と検出手段の光軸間の距離は再帰反射部材の角度特性から充分検出可能な範囲に設定されていればよい。
【0026】
〈反射部材について〉
図1の再帰反射部材3は入射角度に対する反射特性を有してる。
【0027】
図6にあるように再帰性反射テープが平坦に構成されたばあいには、反射部材からの角度が45度を超えるあたりから得られる反射光量が減少し、遮蔽物があったばあいにその変化が充分に取れない事になる。
【0028】
反射光量は、光量分布(照明強度および距離)、反射部材の反射率(入射角度、反射部材の幅)、結像系照度(cosine 4乗則)によって決まる。
【0029】
光量が足りない場合に、照明強度を上げることが考えられるが、反射分布が均一で無い場合には、強い部分の光を受光したときに、受光手段である、CCDでその部分が飽和することがあり、照明強度を上げるには限界がある。
【0030】
裏返せば反射部材の反射の分布をなるべく均一にする事で低光量部分への入射光量の増大も望む事ができる。
【0031】
角度方向に対して均一化を計るために、再帰反射部材3を貼り付ける部材を図7のように三角柱を並べた形とし、この上に再帰反射部材3を設置している。このようにする事で、角度特性を改善する事ができる。尚三角柱の角度は再帰反射部材の反射特性から決定すればよく、また、そのピッチはCCDでの検出分解能以下に設定するのが、望ましい。
【0032】
〈制御・演算ユニットの説明〉
図1の制御・演算ユニットとセンサユニット1L,1Rの間では、CCDの制御信号、CCD用クロック信号とCCDの出力信号、および、LEDの駆動信号がやり取りされている。
【0033】
図8は制御・演算ユニットのブロック図である。CCD制御信号は、ワンチップマイコンなどで構成される演算制御回路83から出力されており、CCDのシャッタタイミングや、データの出力制御などをおこなっている。CCD用のクロックはクロック発生回路87からセンサユニットに送られると共に、CCDとの同期をとって、各種制御を行うために、演算制御回路83にも入力されている。
【0034】
LED駆動信号は演算制御回路83からLED駆動回路84L,84Rをへて、センサユニットの赤外LEDに供給されている。
【0035】
センサユニットの検出手段であるCCDからの検出信号は、制御・演算ユニットのADコンバータ81L,81Rに入力され、演算制御回路からの制御によって、デジタル値に変換される。
【0036】
変換されたデジタル値は82メモリに記憶され、角度計算に用いられる。
【0037】
計算された角度から、座標値が求められ外部PCなどにシリアルインタフェース88などを介して出力される。
【0038】
〈光量分布検出の説明〉
図9は制御信号のタイミングチャートである。
【0039】
91,92,93がCCD制御用の制御信号であり、91SH信号の間隔で、CCDのシャッタ解放時間が決定される。92、93はそれぞれ左右のセンサへのゲート信号であり、CCD内部の光電変換部の電荷を読み出し部へ転送する信号である。
【0040】
94、95は左右のLEDの駆動信号であり、SHの最初の周期で一方のLEDを点灯するために94の駆動信号がLED駆動回路を経てLEDに供給される。次の周期でもう一方のLEDが駆動される。双方のLEDの駆動が終了した後に、CCDの信号が左右のセンサから読み出される。
【0041】
読み出される信号は、入力がない場合には、それぞれのセンサからの出力として、図10のような光量分布が得られる。もちろん、このような分布がどのシステムでも必ず得られるわけではなく、再帰反射シートの特性やLEDの特性、また、計時変化(反射面の汚れなど)によって、分布は変化する。
【0042】
同図においては、Aのレベルが最大光量であり、Bのレベルが最低のレベルとなる。
【0043】
つまり反射光のない状態では、得られるレベルがB付近になり、反射光量が増えるほどAのレベルの方向になっている。この様にCCDから出力されたデータは、逐次AD変換されCPUにデジタルデータとして取り込まれる。
【0044】
図11は指などで入力を行った、つまり、反射光を遮った場合の出力の例である。
【0045】
Cの部分が指などで反射光が遮られたためその部分のみ、光量が低下している。
【0046】
検出は、この光量分布の変化から行う。
【0047】
具体的には、図10のような入力の無い初期状態を予め記憶しておいて、それぞれのサンプル期間に図11のような変化があるか初期状態との差分によって検出し、変化があったらその部分を入力点として入力角度を決定する演算を行う。
【0048】
〈角度計算出の説明〉
角度計算にあたっては、まず、遮光範囲を検出する必要がある。
【0049】
先にも述べた用に、光量分布は計時変化などで一定ではないため、システムの起動時などに記憶する事が望ましい。そうする事で、例えば、再帰反射面がほこりなどで汚れていても、完全に反射しないような場合を除いて使用可能になる。
【0050】
以降一方のセンサのデータについて説明するが、他方でも同様の処理を行っている。
【0051】
電源投入時、入力の無い状態で、まず投光手段から照明すること無しにCCDの出力をAD変換して、これをBas_data[N]として、メモリに記憶する。これは、CCDのバイアスのばらつき等を含んだデータとなり、図10のBのレベル付近のデータとなる。ここで、Nは画素番号であり、有効な入力範囲に対応する画素番号がもちいられる。
【0052】
次に、投光手段から照明した状態での光量分布を記憶する。図10の実線で表されたデータであり、Ref_data[N]とする。
【0053】
これらのデータを用いてまずは入力が成されたか、遮光範囲があるかどうかの判定を行う。
【0054】
あるサンプル期間のデータをNorm_data[N]とする。
【0055】
まず遮光範囲を特定するために、データの変化の絶対量によって、有無を判定する。これは、ノイズなどによる誤判定を防止し、所定量の確実な変化を検出するためである。
【0056】
変化の絶対量をおのおのの画素において以下の計算を行い、予め決定してある閾値Vthaと比較する。
【0057】
ここで、Norm_data_a[N]は各画素における絶対変化量である。
【0058】
この処理は、差をとり比較するだけなので、処理時間をさほど使わないので、入力の有無の判定を高速に行う事が可能である。
【0059】
Vthaを初めて超えた画素が所定数を超えて検出されたときに入力があったと判定する。
【0060】
次により高精度に検出するために、変化の比を計算して入力点の決定を行う。
【0061】
図12で121を再帰反射面とする。ここでA領域が汚れなどにより反射率が低下していたとすると、このときのRef_data[N]の分布は、図13の13−1のように、A領域の反射光量が少なくなる。この状態で、図12のように指などの指示具が挿入され、ほぼ再帰反射部材の半分を覆ったとすると、反射光量は略半分となるため、図13,13−2の太線で示した分布Norm_data[N]が観測される。
【0062】
この状態に対して、(1)を適用すると、図14の14−1のようになる。ここで、縦軸は初期状態との差分電圧になっている。
【0063】
このデータに対して、閾値を適用すると、本来の入力範囲をはずれてしまうような場合がある。もちろん、閾値を下げればある程度検出可能であるが、ノイズなどの影響を受ける可能性がある。
【0064】
そこで、変化の比を計算することとすると、A領域 B領域とも反射光量は最初の半分であるので、次式で比を計算する。
【0065】
Norm_data_r[N]=Norm_data_a[N]/(Bas_data[N]−Ref_data[N]) (2)
この計算結果を示すと、図14,14−2のようになり、変動比であらわされるため、反射率が異なる場合でも、等しく扱う事が可能になり、高精度に検出が可能になる。
【0066】
このデータに対して、閾値Vthrを適用して、その立ち上がり部と立下り部の画素番号から、両者の中央を入力画素として、角度を求める。
【0067】
図14−2は説明のために模式的に描いたもので、実際にはこのような立ち上がりにはなっておらず、画素ごとに異なるレベルを示している。
【0068】
図15は比計算を終わったあとの検出の例である。いま閾値Vthrで検出すると遮光領域の立ちあがり部分は、Nr番目の画素で閾値を越えたとする。さらに、Nf番の画素でVthrを下まわったとする。
【0069】
このまま中心画素Npを
Np=Nr+(NfNr)/2 (3)
のように計算してもよいが、そうすると、画素間隔が最小の分解能になってしまう。
【0070】
より細かく検出するために、それぞれの画素のレベルとその一つ前の画素のレベルを用い閾値を横切った仮想の画素番号を計算する。
【0071】
今NrのレベルをLr Nr1番画素のレベルをLr1とする。また、NfのレベルをLf、Nf1番がそのレベルをLf−1とすれば、それぞれの仮想画素番号Nrv,Nfvは、
Nrv=Nr1+(Vthr−Lr1)/(Lr−Lr1) (4)
Nfv=Nf1+(Vthr−Lf1)/(f−Lf1) (5)
と計算でき、仮想中心画素Npv
Npv=Nrv+(NfvNrv)/2 (6)
で決定される。
【0072】
このように、画素番号とそのレベルから仮想的な画素番号を計算することで、より分解能の高い検出ができる。
【0073】
得られた中央画素番号から、実際の座標値を計算するためには、角度情報に変換する必要がある。
【0074】
後述する実際の座標計算では、角度そのものよりもその角度における正接(tangent)の値を求めるほうが都合がよい。
【0075】
画素番号から、tanθへの変換には、テーブル参照や変換式を用いる。光学系の収差が無い場合は一次変換などで可能であるが、収差などがある場合は高次の多項式を用いる事で、収差の誤差を取り除く事ができる。
【0076】
図16は、画素番号に対するtanθ値をプロットしたものである。このデータに対して近似式を求め、その近似式を用いて画素番号、tanθ変換を行う。
【0077】
変換式はより高次の多項式を用いると精度を確保できるが次数などは計算能力および精度スペック等を鑑みて決定すればよい。
【0078】
5次多項式を用いる場合には係数が6個必要になるので、出荷時などにこのデータを不揮発性メモリーなどに記憶しておけばよい。
【0079】
今5次多項式の係数をL5,L4,L3,L2,L1,L0としたとき、tanθは
tanθ=(L5*Npr+L4)*Npr+L3)*Npr+L2)*Npr+L1)*Npr+L0 (7)
であらわす事ができる。
【0080】
同様なことを各々のセンサに対して行えば、それぞれの角度データを決定できる。
【0081】
もちろん、上記例ではtanθを求めているが、角度そのものを求め、その後tanθを求めても構わない。
【0082】
〈座標計算方法の説明〉
得られた角度データから座標を算出する。
【0083】
図17が画面座標との位置関係を示す図である。
【0084】
入力範囲の下辺左右にそれぞれのセンサユニットが取り付けられており、その間の距離はDsであらわされている。
【0085】
画面中央が画面の原点位置であり、P0はそれぞれのセンサユニットの角度0の交点である。
【0086】
それぞれの角度をθL、θRとして、それぞれtanθL,tanθRを上記多項式を用いて算出する。
【0087】
このとき点Pのx、y座標は
x=Ds*(tanθL+tanθR)/(1+(tanθL*tanθR)) (8)
y=Ds*(tanθR−tanθL−(2*tanθL*tanθR))/(1+(tanθL*tanθR))+P0Y (9)
で計算される。
【0088】
図18はデータ取得から座標計算までの工程をしめした、フローチャートである。
【0089】
S101で、電源投入されると、演算制御回路などのポート設定、タイマ設定などさまざまな初期化が行われるS102。S103は立ち上げ時のみに行う不要電荷除去のための準備である。CCDなどの光電変換素子において、動作させていないときに不要な電荷が蓄積している場合があり、そのデータをそのままリファレンスデータとして用いると、検出不能になったり、誤検出の原因となる。それを避けるために、最初に照明無しで、複数回データの読み出しを行っている。S103ではその読み込み回数を設定しており、S104で照明無しで、所定回数データを読み出すことで、不要電荷の除去を行っている。
【0090】
S105は所定回数繰り返すための判断文である。
【0091】
S106はリファレンスデータとしての照明無しでのデータの取り込みであり、上記Bas_dataに相当する。
【0092】
ここで取り込んだデータは、メモリに記憶され、以降計算に用いられる。
【0093】
これともう一つのリファレンスデータである、照明したときの初期光量分布に相当するデータRef_dataを取り込みS108,これもメモリーに記憶する。
【0094】
このステップまでが、電源投入時の初期設定動作になり、次から通常の取り込み動作になる。S110で上記説明したように光量分布を取り込み、S111でRef_dataとの差分値で遮光部分の有無を判定する。無いと判定されたときには、S110にもどりまた取り込みを行う。
【0095】
このとき、この繰り返し周期を10[msec]程度に設定すれば、100回/秒のサンプリングになる。
【0096】
S112で遮光領域が有りと判定されたら、S113で式(2)の処理により比を計算する。得られた比に対して閾値で立ち上がり部、立下り部を決定し、(4)、(5)、(6)式で中心を計算するS114。得られた中心値から近似多項式よりTanθを計算しS115、左右のセンサユニットでのTanθ値からx、y座標を(8)、(9)式を用いて算出するS116。次にS117にてタッチされたか否かの判定を行う。これは、例えばマウスのボタンを押下せずにカーソルを移動させてる状態のような近接入力状態と、左ボタンを押した状態であるタッチダウン状態の判定を行っている。実際には、先に得られた比の最大値が、ある所定値例えば0.5などの値を超えていればダウンと判定し、それ以下なら近接入力状態と判定する。この結果にしたがって、ダウンフラグのセットS118あるいはリセットS119を行う。
【0097】
座標値とダウン状態が決定されたので、そのデータをホストPCへ送信するS120。これは、USB、RS232などのシリアル通信で送っても良いし、任意のインタフェースで送ればよいい。送られたPC側では、ドライバーがデータを解釈し、カーソルの移動、マウスボタン状態の変更などを座標値、フラグなどを参照しておこないう事で、PC画面の操作が可能になる。
【0098】
S120の処理が終了したら、S110の動作に戻り、以降電源OFFまでこの処理を繰り返す事になる。
【0099】
(その他の実施形態)
再帰反射面の傾きや汚れがかなりひどい場合、障害物がある場合など、反射光強度が取れない場合、ノイズによってその場所が遮光範囲と判定されたり、また、その部分の入力ができなくなるなどのことが発生する。
【0100】
図19のようにたとえばある一辺の再帰反射板が外力等によって、傾いてしまった場合など再帰反射強度が極端に低下してしまう。
【0101】
光量が差分変化量の閾値以下になってしまえば検出はできなくなる。
【0102】
そこで、初期データ取得時にこのようなことが発生していないか検査を行う。
【0103】
例えば、Bas_data[N]とRef_data[N]の差分を、各画素ごとに計算し、その差分が所定の値以下であれば、異常があるとして、例えばPCのドライバーにエラーのある旨を報知して、ユーザの注意を喚起し、汚れや異物の場合にはそれを取り除いてもらうなどの処置を促すかサービスへの連絡を依頼する。
【0104】
差分の計算により、異常な範囲がどこであるか、画素番号でわかるので、画面上でどの当たりであるのか表示すると判りやすくなり、対処も早くできる。
【0105】
図20はその例であり、左右それぞれのセンサユニットからどの角度方向の光量が閾値以下になったかを示すものである。
【0106】
このような報知を行えばユーザ自身で対処したり、あるいはサービスへ連絡するなのどの対処がスムーズに行える。
【0107】
上述実施形態では、照明していない状態での分布を記憶している例をしめしたが、それぞれの画素のばらつきが大きくない場合は、例えば平均値のような代表値を求めて、その値を用いて変化量や変化率を求める事も可能である。
【0108】
このような場合にはメモリの節約にもなり、また計算速度の向上も図れる。
【0109】
【発明の効果】
本発明では、入力領域の任意の位置を指または指示具等にて、座標入力する座標入力装置において、投光手段からの光と再帰的に反射する反射手段からの光を検出し、その初期時の光量分布を記憶し、その記憶情報に対する、光量分布の変化量と変化率とから入力領域の遮光部分を判定することによって、経時時変化などにより光量分布が変化しても安定して検出でき、また、故障や不要物による遮光を検出可能となり、安定した入力装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を説明する平面図。
【図2】再帰反射の説明図。
【図3】投光手段の構成の説明図。
【図4】受光手段の構成。
【図5】センサユニットの構成の説明図。
【図6】入射角度に対する再帰反射特性の例。
【図7】再帰反射部材の添付部材の構成例。
【図8】制御ユニットのブロック図。
【図9】発光のタイミングチャート。
【図10】光量分布の例。
【図11】入力が成された場合の光量分布の例。
【図12】経時変化の例の説明図。
【図13】光量変化の説明図。
【図14】光量変化量と光量変化率の説明図。
【図15】遮光範囲の検出例。
【図16】補正のためのデータの例。
【図17】座標算出の説明図。
【図18】制御のフローチャート。
【図19】ある一辺の再帰反射板が外力等によって、傾いてしまった場合の図。
【図20】左右それぞれのセンサユニットからどの角度方向の光量が閾値以下になったかを示す図。
【符号の説明】
1L,1R センサユニット
2 制御ユニット
3 再帰反射部材
4 入力領域
【発明の属する技術分野】
本発明は、座標入力装置、より詳しくは、入力面に指示具や指によって指示して座標を入力することにより、接続されたコンピュータを制御したり、文字や図形などを書き込むために用いられる座標入力装置であって、その性能を改善する技術に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、この種の装置としてはタッチパネルとして、各種方式のものが提案、または製品化されており、特殊な器具などを用いずに、画面上でPCなどの操作が簡単にできるため、広く用いられている。
【0003】
方式としては、抵抗膜を用いたもの、また、超音波を用いたものなど、さまざまなものがあるが、光を用いたものとして米国特許USP4507557などに見られるように、座標入力面外側に再帰性反射シートを設け、光を照明する手段からの光を再帰反射シートで反射し、受光手段により光量分布を検出する構成において、入力領域内にある、指などで遮蔽された領域の角度を検出し、遮蔽位置つまり入力位置の座標を決定するものが、知られている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
また、国内件においても特開2000−105671号公報や、特開2001−1472642号公報などにあるように、再帰反射部材を入力領域周辺に構成し、再帰反射光が遮光される部分の座標を検出する装置が開示されている。
【0005】
これらの装置において、例えば特開2000−105671号公報では、微分などの波形処理演算によって遮光部分のピークを検出することにより、遮光部分の角度を検出し、また、特開2001−1472642号公報では、特定のレベルパターンとの比較によって遮光部位の一方の端と他方の端を検出しそれらの座標の中心を検出する構成が示されている。
【0006】
また、先のUSP4507557においては、RAMイメージャーの各画素を読み出し、コンパレータで比較する事で、遮光部分を検出し、一定幅以上の遮光部位があった場合に、その両端の画素の中心(1/2位置)を検出する検知方式が示されている。
【0007】
しかし、実際には遮光データがピークを持たず、平坦であったり、また、部品ばらつきや再帰反射面の汚れなどの経時変化などで、反射強度が低下する等すると、固定閾値では正確な検出ができなくなるなどの不具合があった。
【0008】
また、汚れや、障害物などで極端に反射率が低下した場合、正常な入力ができなくなるなどの問題があった。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明では、入力領域の任意の位置を指または指示具等にて、座標入力する座標入力装置において、入力領域の角部に設けられた複数の受光検出手段と、前記入力領域の周辺部に設けられ再帰的に入射光を反射する再帰反射手段と該再帰性反射手段に光を投影する投光手段と、前記受光検出手段から得られる光量分布の変化量と前記受光検出手段から得られる光量分布の変化率とから指または指示具にて遮光された前記入力領域の遮光部分を検知する事で経時変化やばらつきに対応可能であるとともに、前記受光検出手段から得られる光量分布を記憶する記憶手段と該記憶手段に、前記投光手段からの投光が無い状態の光量分布を記憶するとともに、前記投光手段から投光された状態の光量分布をも記憶し、前期記憶される光量分布は電源投入後の初期データであることで、計時変化に対応可能であり、前期投光の無い状態の光量分布と前記投光手段から投光された状態の光量分布の差が、所定の値以下である場合に、その位置で異常発生したとみなして、報知することにより、異常個所を知らしめることが可能になる。
【0010】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照して、本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0011】
(第一の実施形態)
本発明に係る座標入力装置の概略構成について図1を用いて説明する。
【0012】
図中1L、1Rは投光手段および検出手段を有するセンサユニットであり、所定の距離はなれて設置されている。センサユニットは制御・演算を行う制御・演算ユニット2に接続され、制御信号を制御・演算ユニットから受け取ると共に、検出した信号を制御・演算ユニットに送信する。3は図2のように入射光を到来方向に反射する再帰反射面を有する反射手段であり、左右それぞれのセンサユニットから略90°範囲に投光された光を、センサユニットに向けて再帰反射する。
【0013】
反射された光は、集光光学系とラインCCD等によって構成されたセンサユニットの検出手段によって1次元的に検出され、その光量分布が制御・演算ユニットに送られる。
【0014】
5は入力領域であり、PDPやリアプロジェクタ、LCDパネルなどの表示装置の表示画面で構成されることで、インタラクティブな入力装置として、利用可能となっている。
【0015】
このような構成において、入力領域に指などによる入力指示がなされると、上記投光手段から投光された光が遮られ、再帰反射による反射光が得られなくなるため、入力指示位置のみ光量が得られなくなる。
【0016】
メインユニットの演算制御手段は、左右のセンサユニットの光量変化から、入力支持された部分の遮光範囲を検出し、同範囲内での検出点を特定してそれぞれの角度を算出する。算出された角度および、センサユニット間の距離等から、入力エリア上の座標位置を算出し、表示装置に接続されているPCなどに、USBなどのインタフェースを経由して座標値を出力する。
【0017】
このようにして、指などによって、画面上に線を描画したり、アイコンの操作するなどPCの操作が可能になる。
【0018】
以降各部分毎に詳細説明を行う。
【0019】
〈センサユニットの詳細説明〉
図3はセンサユニットにおける投光手段の構成例である。
【0020】
3−1は投光手段を上から(入力面に対し垂直方向)から見た図である。図中31は赤外光を発する赤外LEDであり、発光した光は投光レンズ32によって、略90°範囲に光を投光する。一方、3−2は同じ構成を横から見た図であり、(入力面に対し水平方向)この方向では、赤外LED31からの光は上下方向に制限された光束として投光され、主に、再帰反射手段4に対して光が投光されるようになっている。
【0021】
図4はセンサユニットにおける検出手段を入力面に対して垂直方向から見た図である。
【0022】
検出手段は、1次元のラインCCD41および集光光学系としてのレンズ42,43および、入射光の入射方向を制限する絞り44、可視光など余分な光の入射を防止する赤外フィルター45からなっている。
【0023】
投光手段からの光は再帰反射部材によって反射され、赤外フィルター45、絞り44を抜けて、集光用レンズ42,43によって入力面の略90°範囲の光がCCDの検出面にその入射角に依存した画素上に結像され、角度ごとの光量分布を示している。つまり画素番号が角度情報を表すことになる。
【0024】
図5は入力面と水平方向からの見たときの、上記投光手段と検出手段を重ねて、センサユニット1としたときの構成である。
【0025】
投光手段と検出手段の光軸間の距離は再帰反射部材の角度特性から充分検出可能な範囲に設定されていればよい。
【0026】
〈反射部材について〉
図1の再帰反射部材3は入射角度に対する反射特性を有してる。
【0027】
図6にあるように再帰性反射テープが平坦に構成されたばあいには、反射部材からの角度が45度を超えるあたりから得られる反射光量が減少し、遮蔽物があったばあいにその変化が充分に取れない事になる。
【0028】
反射光量は、光量分布(照明強度および距離)、反射部材の反射率(入射角度、反射部材の幅)、結像系照度(cosine 4乗則)によって決まる。
【0029】
光量が足りない場合に、照明強度を上げることが考えられるが、反射分布が均一で無い場合には、強い部分の光を受光したときに、受光手段である、CCDでその部分が飽和することがあり、照明強度を上げるには限界がある。
【0030】
裏返せば反射部材の反射の分布をなるべく均一にする事で低光量部分への入射光量の増大も望む事ができる。
【0031】
角度方向に対して均一化を計るために、再帰反射部材3を貼り付ける部材を図7のように三角柱を並べた形とし、この上に再帰反射部材3を設置している。このようにする事で、角度特性を改善する事ができる。尚三角柱の角度は再帰反射部材の反射特性から決定すればよく、また、そのピッチはCCDでの検出分解能以下に設定するのが、望ましい。
【0032】
〈制御・演算ユニットの説明〉
図1の制御・演算ユニットとセンサユニット1L,1Rの間では、CCDの制御信号、CCD用クロック信号とCCDの出力信号、および、LEDの駆動信号がやり取りされている。
【0033】
図8は制御・演算ユニットのブロック図である。CCD制御信号は、ワンチップマイコンなどで構成される演算制御回路83から出力されており、CCDのシャッタタイミングや、データの出力制御などをおこなっている。CCD用のクロックはクロック発生回路87からセンサユニットに送られると共に、CCDとの同期をとって、各種制御を行うために、演算制御回路83にも入力されている。
【0034】
LED駆動信号は演算制御回路83からLED駆動回路84L,84Rをへて、センサユニットの赤外LEDに供給されている。
【0035】
センサユニットの検出手段であるCCDからの検出信号は、制御・演算ユニットのADコンバータ81L,81Rに入力され、演算制御回路からの制御によって、デジタル値に変換される。
【0036】
変換されたデジタル値は82メモリに記憶され、角度計算に用いられる。
【0037】
計算された角度から、座標値が求められ外部PCなどにシリアルインタフェース88などを介して出力される。
【0038】
〈光量分布検出の説明〉
図9は制御信号のタイミングチャートである。
【0039】
91,92,93がCCD制御用の制御信号であり、91SH信号の間隔で、CCDのシャッタ解放時間が決定される。92、93はそれぞれ左右のセンサへのゲート信号であり、CCD内部の光電変換部の電荷を読み出し部へ転送する信号である。
【0040】
94、95は左右のLEDの駆動信号であり、SHの最初の周期で一方のLEDを点灯するために94の駆動信号がLED駆動回路を経てLEDに供給される。次の周期でもう一方のLEDが駆動される。双方のLEDの駆動が終了した後に、CCDの信号が左右のセンサから読み出される。
【0041】
読み出される信号は、入力がない場合には、それぞれのセンサからの出力として、図10のような光量分布が得られる。もちろん、このような分布がどのシステムでも必ず得られるわけではなく、再帰反射シートの特性やLEDの特性、また、計時変化(反射面の汚れなど)によって、分布は変化する。
【0042】
同図においては、Aのレベルが最大光量であり、Bのレベルが最低のレベルとなる。
【0043】
つまり反射光のない状態では、得られるレベルがB付近になり、反射光量が増えるほどAのレベルの方向になっている。この様にCCDから出力されたデータは、逐次AD変換されCPUにデジタルデータとして取り込まれる。
【0044】
図11は指などで入力を行った、つまり、反射光を遮った場合の出力の例である。
【0045】
Cの部分が指などで反射光が遮られたためその部分のみ、光量が低下している。
【0046】
検出は、この光量分布の変化から行う。
【0047】
具体的には、図10のような入力の無い初期状態を予め記憶しておいて、それぞれのサンプル期間に図11のような変化があるか初期状態との差分によって検出し、変化があったらその部分を入力点として入力角度を決定する演算を行う。
【0048】
〈角度計算出の説明〉
角度計算にあたっては、まず、遮光範囲を検出する必要がある。
【0049】
先にも述べた用に、光量分布は計時変化などで一定ではないため、システムの起動時などに記憶する事が望ましい。そうする事で、例えば、再帰反射面がほこりなどで汚れていても、完全に反射しないような場合を除いて使用可能になる。
【0050】
以降一方のセンサのデータについて説明するが、他方でも同様の処理を行っている。
【0051】
電源投入時、入力の無い状態で、まず投光手段から照明すること無しにCCDの出力をAD変換して、これをBas_data[N]として、メモリに記憶する。これは、CCDのバイアスのばらつき等を含んだデータとなり、図10のBのレベル付近のデータとなる。ここで、Nは画素番号であり、有効な入力範囲に対応する画素番号がもちいられる。
【0052】
次に、投光手段から照明した状態での光量分布を記憶する。図10の実線で表されたデータであり、Ref_data[N]とする。
【0053】
これらのデータを用いてまずは入力が成されたか、遮光範囲があるかどうかの判定を行う。
【0054】
あるサンプル期間のデータをNorm_data[N]とする。
【0055】
まず遮光範囲を特定するために、データの変化の絶対量によって、有無を判定する。これは、ノイズなどによる誤判定を防止し、所定量の確実な変化を検出するためである。
【0056】
変化の絶対量をおのおのの画素において以下の計算を行い、予め決定してある閾値Vthaと比較する。
【0057】
ここで、Norm_data_a[N]は各画素における絶対変化量である。
【0058】
この処理は、差をとり比較するだけなので、処理時間をさほど使わないので、入力の有無の判定を高速に行う事が可能である。
【0059】
Vthaを初めて超えた画素が所定数を超えて検出されたときに入力があったと判定する。
【0060】
次により高精度に検出するために、変化の比を計算して入力点の決定を行う。
【0061】
図12で121を再帰反射面とする。ここでA領域が汚れなどにより反射率が低下していたとすると、このときのRef_data[N]の分布は、図13の13−1のように、A領域の反射光量が少なくなる。この状態で、図12のように指などの指示具が挿入され、ほぼ再帰反射部材の半分を覆ったとすると、反射光量は略半分となるため、図13,13−2の太線で示した分布Norm_data[N]が観測される。
【0062】
この状態に対して、(1)を適用すると、図14の14−1のようになる。ここで、縦軸は初期状態との差分電圧になっている。
【0063】
このデータに対して、閾値を適用すると、本来の入力範囲をはずれてしまうような場合がある。もちろん、閾値を下げればある程度検出可能であるが、ノイズなどの影響を受ける可能性がある。
【0064】
そこで、変化の比を計算することとすると、A領域 B領域とも反射光量は最初の半分であるので、次式で比を計算する。
【0065】
Norm_data_r[N]=Norm_data_a[N]/(Bas_data[N]−Ref_data[N]) (2)
この計算結果を示すと、図14,14−2のようになり、変動比であらわされるため、反射率が異なる場合でも、等しく扱う事が可能になり、高精度に検出が可能になる。
【0066】
このデータに対して、閾値Vthrを適用して、その立ち上がり部と立下り部の画素番号から、両者の中央を入力画素として、角度を求める。
【0067】
図14−2は説明のために模式的に描いたもので、実際にはこのような立ち上がりにはなっておらず、画素ごとに異なるレベルを示している。
【0068】
図15は比計算を終わったあとの検出の例である。いま閾値Vthrで検出すると遮光領域の立ちあがり部分は、Nr番目の画素で閾値を越えたとする。さらに、Nf番の画素でVthrを下まわったとする。
【0069】
このまま中心画素Npを
Np=Nr+(NfNr)/2 (3)
のように計算してもよいが、そうすると、画素間隔が最小の分解能になってしまう。
【0070】
より細かく検出するために、それぞれの画素のレベルとその一つ前の画素のレベルを用い閾値を横切った仮想の画素番号を計算する。
【0071】
今NrのレベルをLr Nr1番画素のレベルをLr1とする。また、NfのレベルをLf、Nf1番がそのレベルをLf−1とすれば、それぞれの仮想画素番号Nrv,Nfvは、
Nrv=Nr1+(Vthr−Lr1)/(Lr−Lr1) (4)
Nfv=Nf1+(Vthr−Lf1)/(f−Lf1) (5)
と計算でき、仮想中心画素Npv
Npv=Nrv+(NfvNrv)/2 (6)
で決定される。
【0072】
このように、画素番号とそのレベルから仮想的な画素番号を計算することで、より分解能の高い検出ができる。
【0073】
得られた中央画素番号から、実際の座標値を計算するためには、角度情報に変換する必要がある。
【0074】
後述する実際の座標計算では、角度そのものよりもその角度における正接(tangent)の値を求めるほうが都合がよい。
【0075】
画素番号から、tanθへの変換には、テーブル参照や変換式を用いる。光学系の収差が無い場合は一次変換などで可能であるが、収差などがある場合は高次の多項式を用いる事で、収差の誤差を取り除く事ができる。
【0076】
図16は、画素番号に対するtanθ値をプロットしたものである。このデータに対して近似式を求め、その近似式を用いて画素番号、tanθ変換を行う。
【0077】
変換式はより高次の多項式を用いると精度を確保できるが次数などは計算能力および精度スペック等を鑑みて決定すればよい。
【0078】
5次多項式を用いる場合には係数が6個必要になるので、出荷時などにこのデータを不揮発性メモリーなどに記憶しておけばよい。
【0079】
今5次多項式の係数をL5,L4,L3,L2,L1,L0としたとき、tanθは
tanθ=(L5*Npr+L4)*Npr+L3)*Npr+L2)*Npr+L1)*Npr+L0 (7)
であらわす事ができる。
【0080】
同様なことを各々のセンサに対して行えば、それぞれの角度データを決定できる。
【0081】
もちろん、上記例ではtanθを求めているが、角度そのものを求め、その後tanθを求めても構わない。
【0082】
〈座標計算方法の説明〉
得られた角度データから座標を算出する。
【0083】
図17が画面座標との位置関係を示す図である。
【0084】
入力範囲の下辺左右にそれぞれのセンサユニットが取り付けられており、その間の距離はDsであらわされている。
【0085】
画面中央が画面の原点位置であり、P0はそれぞれのセンサユニットの角度0の交点である。
【0086】
それぞれの角度をθL、θRとして、それぞれtanθL,tanθRを上記多項式を用いて算出する。
【0087】
このとき点Pのx、y座標は
x=Ds*(tanθL+tanθR)/(1+(tanθL*tanθR)) (8)
y=Ds*(tanθR−tanθL−(2*tanθL*tanθR))/(1+(tanθL*tanθR))+P0Y (9)
で計算される。
【0088】
図18はデータ取得から座標計算までの工程をしめした、フローチャートである。
【0089】
S101で、電源投入されると、演算制御回路などのポート設定、タイマ設定などさまざまな初期化が行われるS102。S103は立ち上げ時のみに行う不要電荷除去のための準備である。CCDなどの光電変換素子において、動作させていないときに不要な電荷が蓄積している場合があり、そのデータをそのままリファレンスデータとして用いると、検出不能になったり、誤検出の原因となる。それを避けるために、最初に照明無しで、複数回データの読み出しを行っている。S103ではその読み込み回数を設定しており、S104で照明無しで、所定回数データを読み出すことで、不要電荷の除去を行っている。
【0090】
S105は所定回数繰り返すための判断文である。
【0091】
S106はリファレンスデータとしての照明無しでのデータの取り込みであり、上記Bas_dataに相当する。
【0092】
ここで取り込んだデータは、メモリに記憶され、以降計算に用いられる。
【0093】
これともう一つのリファレンスデータである、照明したときの初期光量分布に相当するデータRef_dataを取り込みS108,これもメモリーに記憶する。
【0094】
このステップまでが、電源投入時の初期設定動作になり、次から通常の取り込み動作になる。S110で上記説明したように光量分布を取り込み、S111でRef_dataとの差分値で遮光部分の有無を判定する。無いと判定されたときには、S110にもどりまた取り込みを行う。
【0095】
このとき、この繰り返し周期を10[msec]程度に設定すれば、100回/秒のサンプリングになる。
【0096】
S112で遮光領域が有りと判定されたら、S113で式(2)の処理により比を計算する。得られた比に対して閾値で立ち上がり部、立下り部を決定し、(4)、(5)、(6)式で中心を計算するS114。得られた中心値から近似多項式よりTanθを計算しS115、左右のセンサユニットでのTanθ値からx、y座標を(8)、(9)式を用いて算出するS116。次にS117にてタッチされたか否かの判定を行う。これは、例えばマウスのボタンを押下せずにカーソルを移動させてる状態のような近接入力状態と、左ボタンを押した状態であるタッチダウン状態の判定を行っている。実際には、先に得られた比の最大値が、ある所定値例えば0.5などの値を超えていればダウンと判定し、それ以下なら近接入力状態と判定する。この結果にしたがって、ダウンフラグのセットS118あるいはリセットS119を行う。
【0097】
座標値とダウン状態が決定されたので、そのデータをホストPCへ送信するS120。これは、USB、RS232などのシリアル通信で送っても良いし、任意のインタフェースで送ればよいい。送られたPC側では、ドライバーがデータを解釈し、カーソルの移動、マウスボタン状態の変更などを座標値、フラグなどを参照しておこないう事で、PC画面の操作が可能になる。
【0098】
S120の処理が終了したら、S110の動作に戻り、以降電源OFFまでこの処理を繰り返す事になる。
【0099】
(その他の実施形態)
再帰反射面の傾きや汚れがかなりひどい場合、障害物がある場合など、反射光強度が取れない場合、ノイズによってその場所が遮光範囲と判定されたり、また、その部分の入力ができなくなるなどのことが発生する。
【0100】
図19のようにたとえばある一辺の再帰反射板が外力等によって、傾いてしまった場合など再帰反射強度が極端に低下してしまう。
【0101】
光量が差分変化量の閾値以下になってしまえば検出はできなくなる。
【0102】
そこで、初期データ取得時にこのようなことが発生していないか検査を行う。
【0103】
例えば、Bas_data[N]とRef_data[N]の差分を、各画素ごとに計算し、その差分が所定の値以下であれば、異常があるとして、例えばPCのドライバーにエラーのある旨を報知して、ユーザの注意を喚起し、汚れや異物の場合にはそれを取り除いてもらうなどの処置を促すかサービスへの連絡を依頼する。
【0104】
差分の計算により、異常な範囲がどこであるか、画素番号でわかるので、画面上でどの当たりであるのか表示すると判りやすくなり、対処も早くできる。
【0105】
図20はその例であり、左右それぞれのセンサユニットからどの角度方向の光量が閾値以下になったかを示すものである。
【0106】
このような報知を行えばユーザ自身で対処したり、あるいはサービスへ連絡するなのどの対処がスムーズに行える。
【0107】
上述実施形態では、照明していない状態での分布を記憶している例をしめしたが、それぞれの画素のばらつきが大きくない場合は、例えば平均値のような代表値を求めて、その値を用いて変化量や変化率を求める事も可能である。
【0108】
このような場合にはメモリの節約にもなり、また計算速度の向上も図れる。
【0109】
【発明の効果】
本発明では、入力領域の任意の位置を指または指示具等にて、座標入力する座標入力装置において、投光手段からの光と再帰的に反射する反射手段からの光を検出し、その初期時の光量分布を記憶し、その記憶情報に対する、光量分布の変化量と変化率とから入力領域の遮光部分を判定することによって、経時時変化などにより光量分布が変化しても安定して検出でき、また、故障や不要物による遮光を検出可能となり、安定した入力装置を提供可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の構成を説明する平面図。
【図2】再帰反射の説明図。
【図3】投光手段の構成の説明図。
【図4】受光手段の構成。
【図5】センサユニットの構成の説明図。
【図6】入射角度に対する再帰反射特性の例。
【図7】再帰反射部材の添付部材の構成例。
【図8】制御ユニットのブロック図。
【図9】発光のタイミングチャート。
【図10】光量分布の例。
【図11】入力が成された場合の光量分布の例。
【図12】経時変化の例の説明図。
【図13】光量変化の説明図。
【図14】光量変化量と光量変化率の説明図。
【図15】遮光範囲の検出例。
【図16】補正のためのデータの例。
【図17】座標算出の説明図。
【図18】制御のフローチャート。
【図19】ある一辺の再帰反射板が外力等によって、傾いてしまった場合の図。
【図20】左右それぞれのセンサユニットからどの角度方向の光量が閾値以下になったかを示す図。
【符号の説明】
1L,1R センサユニット
2 制御ユニット
3 再帰反射部材
4 入力領域
Claims (4)
- 入力領域の任意の位置を指または指示具等にて、座標入力する座標入力装置において、
入力領域の角部に設けられた複数の受光検出手段と、
前記入力領域の周辺部に設けられ再帰的に入射光を反射する再帰反射手段と
該再帰性反射手段に光を投影する投光手段と、
前記受光検出手段から得られる光量分布の変化量と
前記受光検出手段から得られる光量分布の変化率とから
指または指示具にて遮光された前記入力領域の遮光部分を検知する事を特徴とする座標入力装置。 - 前記第一項記載の座標入力装置において、
前記受光検出手段から得られる光量分布を記憶する記憶手段と
該記憶手段に、前記投光手段からの投光が無い状態の光量分布を記憶するとともに、
前記投光手段から投光された状態の光量分布をも記憶することを特徴とする座標入力装置。 - 前記第2項記載の座標入力装置において、
前記記憶される光量分布は電源投入後の初期データであることを特徴とする座標入力装置。 - 前記第2項記載の座標入力装置において、
前記投光の無い状態の光量分布と前記投光手段から投光された状態の光量分布の差が、所定の値以下である場合に、その位置で異常発生したとみなして、報知することを特徴とする。
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