JP2004184943A - 光モジュール - Google Patents

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Kazuhisa Takagi
Toshitaka Aoyanagi
利隆 青柳
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Abstract

【課題】半導体光素子を含み、その端面を封止した光モジュールにおいて、封止状態と特性検査時での特性の差を小さくする。
【解決手段】光モジュールは、半導体光素子と、光ファイバと、両者の間に配置され、半導体光素子と光ファイバの中の一方からの出射光を他方に集光する集光部材と、これらの光素子、集光部材および光ファイバを実装する基板と、基板の上に実装された光素子の端面を覆う封止部とからなる。半導体光素子内に形成された光導波路は、端面において端面への垂線と7度以上の角度をなす曲がり導波路構造を備える。さらに、封止材料と接する光素子の端面は、端面に垂直な方向の光に対する反射率が、封止部と接する場合に0.5%以下であり、空気と接する場合に5%以下であるコーティング膜を備える。
【選択図】図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光ファイバ通信などに使用する、半導体光素子を含む光モジュールに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
光ファイバ通信などに使用する半導体光素子を用いた従来の光モジュールでは、基板の上に光ファイバと光素子などを配置している。封止材(シリコンゲルなど)と接する光素子の端面を、たとえば膜厚がλ/4の酸化チタン膜などでコーティングし、光素子の端面の反射率を0.1%以下に低減する。さらに、基板上の光素子などの端面は、封止材で封止して、気密性、耐湿性などを高めている。光路中に樹脂などの封止剤を含む光モジュールの例としては、光ファイバの導波路の途中に溝を形成し、溝の内部にフィルタを配置し、導波路の間を樹脂で充填して封止した光導波路モジュールも知られている(たとえば特許文献1)。
【0003】
封止材で封止した半導体光素子を用いた光モジュールでは、反射率を低減するための光素子の端面コーティングは、半導体光素子などを封止する前に行っている。その理由は、基板へのダイボンドと封止とに先だって半導体光素子の特性検査を行って半導体光素子を選別し、基板へのダイボンドと樹脂封止の後に発生する不良率を低減し、光モジュールを低コスト化するためである。
【0004】
【特許文献1】
特開2002−182051号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
封止材で端面を封止した半導体光素子を用いた光モジュールでは、半導体光素子の特性検査の工程で、半導体光素子が樹脂で封止されておらず空気に接しているため、端面反射率は3%程度に上昇する。このように、特性検査での端面反射率と実使用状態の端面反射率(0.5%以下)との差が大きいため、実装状態での特性が特性検査工程(チップテスト時)と異なるという問題があった。したがって、半導体光素子の特性検査工程とモジュール実装状態とで素子の特性評価の整合性がとれないことになる。とりわけλ/4シフトDFB半導体レーザや半導体光増幅器など、反射戻り光耐性の弱い半導体光素子においては、素子状態でサイドモード抑圧比などの正確な特性検査ができない。このため、不良の素子をモジュール化してしまったり、逆に良品の素子をモジュール化せずに不良としてしまうという不具合があり、光モジュール装置のコスト上昇の原因となっていた。したがって、封止状態とチップ検査時での特性測定値の差を小さくして、不良素子の前落としを可能とすることが望ましい。
【0006】
この発明の目的は、半導体光素子を含み、その端面を封止した光モジュールにおいて、封止状態と特性検査時での光素子の特性の差を小さくすることである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の光モジュールは、半導体光素子(半導体レーザ、半導体光増幅器、半導体光変調器、半導体受光素子など)と、光ファイバと、半導体光素子と光ファイバとの間に配置され、半導体光素子と光ファイバの中の一方からの出射光を他方に集光する集光部材と、半導体光素子、集光部材および光ファイバを実装する基板と、基板の上に実装された半導体光素子の端面を覆う封止部とからなる。半導体光素子内に形成された光導波路が、半導体光素子の端面において端面への垂線と7度以上の角度をなす曲がり導波路構造を備える。さらに、封止材料と接する光素子の端面は、端面に垂直な方向の光に対する反射率が、端面が封止部で封止されている状態で0.5%以下であり、端面が封止部で封止される前の状態で5%以下であるコーティング膜を備える。
【0008】
本発明に係る第2の光モジュールは、半導体光素子(半導体レーザ、半導体光増幅器、半導体光変調器、半導体受光素子など)と、光ファイバと、半導体光素子と光ファイバとの間に配置され、半導体光素子と光ファイバの中の一方からの出射光を他方に集光する集光部材と、半導体光素子、集光部材および光ファイバを実装する基板と、基板の上に実装された半導体光素子の端面を覆う封止部とからなる。半導体光素子内に形成された光導波路が、半導体光素子の端面において端面への垂線と平行でない曲がり導波路構造を備え、かつ、封止材料と接する光素子の端面は、コーティング膜を備える。半導体光素子の端面での反射率は、その端面が封止部で封止されている状態でも、封止部で封止される前の状態でも、0.5%以下である。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、添付の図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
図1〜図3に、封止材で端面を封止した半導体光素子を用いた光モジュールを示す。図1と図2は、光の出力または入力のみの1ポートを備えた光モジュールの1例を示し、図3は、光の入出力の2ポートを備えた光モジュールの1例を示す。これらの光モジュールでは、後で説明するように、光素子に曲がり導波路構造を用い、さらに、封止材(シリコンゲルなど)と接する光素子の端面(出射端面または入射端面)にコーティング膜を設けて、空気中、封止材中のいずれでも端面が低反射率となるようにして、封止状態と特性検査時での光素子の特性の差を小さくする。半導体光素子の端面での戻り光は、反射戻り光耐性の弱い半導体光素子への戻り光抑制に十分な0.5%以下にする。
【0010】
図1と図2に示す光モジュールでは、シリコン、窒化アルミなどよりなる基板5の上に、光素子の1例であるλ/4シフトDFB半導体レーザ1、集光用レンズの1例であるガラス球レンズ2、および、光ファイバ3が固定され、それらの間の光路は、気密および耐湿性を高めるための封止材(たとえばシリコンゲル)4で封止されている。半導体レーザ1からの出射光は、レンズ2で集光されて、光ファイバ3の端面に入射する。半導体レーザ1の端面はコーティング膜9で覆う。
【0011】
図3に示す光の入出力の2ポートを備えた光モジュールでは、シリコン、窒化アルミなどよりなる基板5の上に、λ/4シフトDFB半導体レーザなどの光素子6、集光用のガラス球レンズ2,7、および、光ファイバ3,8が固定され、それらは、気密および耐湿性を高めるためのシリカゲルなどの封止材4で封止されている。半導体レーザ1の2つの端面はそれぞれコーティング膜9で覆う。光ファイバ8からの出射光は、レンズ7で集光されて、光素子6の端面に入射する。光素子6からの出射光は、レンズ2で集光されて、光ファイバ3の端面に入射する。
【0012】
図4は、光モジュールの製造工程を示す。まず、半導体光素子のウェハを作成する(S10)。次に、ウェハをへき開して短冊状に切り出す(S12)。そして、へき開面にコーティング膜を形成する(S14)。半導体光素子の端面となるへき開面へのコーティングは、素子の特性検査の前に、したがって、封止材による封止の前に行う。次に、コーティング面を端面として個々の素子(チップ)に切り出して、各素子の特性を検査し、選別する(S16)。次に、選別した光素子を、他の部品とともに基板に固定する(ダイボンド)(S18)。最後に、半導体光素子の端面を封止材で封止する(S20)。
【0013】
光半導体の端面で0.5%以下の低反射率とするため、これらの光モジュールでは、半導体光素子1,6内に形成された光導波路がへき開面(すなわち端面)に対して傾いた(具体的には端面への垂線と7度以上の角度(図中のθ)をなす)曲がり導波路構造(斜め導波路構造ともいう)を備える。そして、封止材(たとえばシリカゲル)と接したときに低い端面反射率となるように、(垂直反射率に対して)数%の反射率のコーティング膜9、たとえば、λ/4膜厚(λは光の波長)の酸化チタンTiO膜とする。このコーティング膜9により、シリカゲルで封止した場合に0.1%以下、空気中では3%の反射率が得られる。
【0014】
半導体光素子1,6内に形成された光導波路は、光素子の出射端面または入射端面またはその両方において、端面への垂線と7度以上の角度θを有する曲がり導波路構造を備える。図5に示すビーム伝播法を用いた計算では、角度θが7度以上のときは、端面と光導波路が垂直である場合に比べて、実効的な光の反射率は約1/10となる。(図5において、反射率の低減率a=(実効的な光の反射率)/(端面に垂直な光に対する反射率)である。)表1は、端面に膜厚がλ/4の酸化チタン膜をコーティングした場合(波長1.55μm、InP素子)の反射率のデータを示す。ここで、封止材(シリカゲル)の屈折率は1.4である。したがって、膜厚がλ/4の酸化チタン膜を端面にコーティングした場合の反射率は、空気に接する場合で0.3%、樹脂に接する場合で0.01%以下となり、いずれの場合も、半導体光素子への戻り光抑制に十分な0.5%以下の低反射率を実現できる。
【0015】
【表1】
表1 反射率のデータ
Figure 2004184943
【0016】
光モジュールに組み込まれる半導体光素子1,6としては、λ/4シフトDFB半導体レーザの他、とりわけ戻り反射光を低減させる必要のある半導体光増幅器、半導体光変調器、または、半導体受光素子(導波路型ホトダイオード)に対しても同様の効果がある。
【0017】
また、上記の光モジュールでは、端面コーティング材料として酸化チタンを用いたが、半導体よりも屈折率が小さく封止材よりも屈折率の大きいアルミナ、シリコンなどの材料を使用しても同様の効果が得られる。
【0018】
【発明の効果】
封止材で封止する前の空気中の状態、封止材で封止した状態のいずれでも半導体光素子の端面が低反射率となるので、チップ特定テスト時(空気中)と封止時とで、組み込んだ光素子の特性の変化が小さい。このため、特性検査段階とモジュール実装状態とで、組み込んだ半導体光素子の特性評価の整合性がとれた光モジュールを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る1ポート型の光モジュールの斜視図
【図2】本発明に係る1ポート型の光モジュールの上面図
【図3】本発明に係る2ポート型の光モジュールの上面図
【図4】光モジュール製造工程のフローチャート
【図5】反射率の低減率のグラフ
【符号の説明】
1 半導体光素子、 2,7 集光レンズ、 3,8 光ファイバ、 4 封止部、 5 基板、 6 半導体光素子、 9 コーティング膜。

Claims (7)

  1. 半導体光素子と、
    光ファイバと、
    半導体光素子と光ファイバとの間に配置され、半導体光素子と光ファイバの中の一方からの出射光を他方に集光する集光部材と、
    半導体光素子、集光部材および光ファイバを実装する基板と、
    基板の上に実装された半導体光素子の端面を覆う封止部とからなり、
    半導体光素子内に形成された光導波路が、半導体光素子の端面において端面への垂線と7度以上の角度をなす曲がり導波路構造を備え、
    封止材料と接する光素子の端面は、端面に垂直な方向の光に対する反射率が、端面が封止部で封止されている状態で0.5%以下であり、端面が封止部で封止される前の状態で5%以下であるコーティング膜を備えることを特徴とする光モジュール。
  2. 半導体光素子と、
    光ファイバと、
    半導体光素子と光ファイバとの間に配置され、半導体光素子と光ファイバの中の一方からの出射光を他方に集光する集光部材と、
    半導体光素子、集光部材および光ファイバを実装する基板と、
    基板の上に実装された半導体光素子の端面を覆う封止部とからなり、
    半導体光素子内に形成された光導波路が、半導体光素子の端面において端面への垂線と平行でない曲がり導波路構造を備え、かつ、封止材料と接する光素子の端面は、コーティング膜を備え、
    半導体光素子の端面での反射率が、その端面が封止部で封止されている状態でも、封止部で封止される前の状態でも、0.5%以下であることを特徴とする光モジュール。
  3. 前記の半導体光素子の端面のコーティング膜がλ/4の膜厚の酸化チタン酸であることを特徴とする請求項1または2に記載された光モジュール。
  4. 前記の半導体光素子がλ/4シフトDFB半導体レーザであることを特徴とする請求項1または2に記載された光モジュール。
  5. 前記の半導体光素子が半導体光増幅器であることを特徴とする請求項1または2に記載された光モジュール。
  6. 前記の半導体光素子が半導体光変調器であることを特徴とする請求項1または2に記載された光モジュール。
  7. 前記の半導体光素子がホトディテクタであることを特徴とする請求項1または2に記載された光モジュール。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2007019219A (ja) * 2005-07-07 2007-01-25 Mitsubishi Electric Corp 半導体レーザ
US8277131B2 (en) 2009-04-02 2012-10-02 Lapis Semiconductor Co., Ltd. Semiconductor optical communication module and manufacturing method thereof

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