JP2004184795A - ディジタル−アナログ変換回路の設計方法 - Google Patents

ディジタル−アナログ変換回路の設計方法 Download PDF

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Abstract

【課題】本発明は、高階調を可能とするディジタル−アナログ変換回路の設計方法を提供する。
【解決手段】本発明のディジタル−アナログ変換回路の設計方法は、最小輝度Lminまたは最大輝度Lmaxに相当するオフセットを用いて、透過率Tを計算するステップと、前記透過率Tに基づいてサンプル電圧Vを計算するステップと、前記サンプル電圧から抵抗値を計算するステップとを具備する。V−T特性を示す曲線を複数の領域にわけ、この設計方法を用いて、それぞれの領域に対して抵抗値を求める。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、LCDソース・ドライバ(またはデータ・ドライバ、カラム・ドライバ)およびCRTの設計において、ガンマ補正回路のDAC設計方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年LCDの画質向上が図られ、従来は6ビット(64階調)であったが現在は8ビット(256階調)へと階調数が増加している。このような諧調を制御するにあたり、従来はVTカーブ(電圧―透過率の特性曲線)を最終的には、いくつかの区間に分け、区間ごとに直線近似を行っていた。これはハードウェア実現でのハードウェア量のみならず、ソフトウェア実現でのデータ量としても、大きなデータを扱うことを削減するためであった。
【0003】
しかしながら、近年、階調数が増加し、直線による近似では視覚特性をうまく反映できなくなってきている。単純に、ビット数を増やして数値的に精度を上げても、視覚は本質的に非線形的特性であるため、従来の直線近似では、うまく視覚特性を表現できないためである。
【0004】
また、LCDデバイスの特性(VTカーブ)は、CRTと異なりS字型のカーブをしている。従来のCRT技術では、S字型カーブのような飽和特性を示さず累乗の形で表現できており、目の視覚特性と同じ形状であり、視覚特性とデバイス特性をあわせこむことは、さほど困難ではなかった。
【0005】
一方、LCDでは視覚特性とデバイス特性が異なり、それらのあわせこみを行うことは大変である。特に、デバイスが飽和する特性と視覚が累乗で増加する特性での差は大きい。そこで、現状においては、人による目での画質評価(主観評価)を行い、最終的なカーブを決定していた。このために、設計したカーブを最終評価により変更できるように、余分にガンマ抵抗を用意する必要がある。
【0006】
従来、ディスプレイのためのディジタル−アナログ変換器(DAC)において、LCDデバイス特性(VTカーブ)をできるだけ視覚特性とあわせるために、直線近似が一般的に行われている。実現技術としては、アナログ乗算器方式、抵抗(R−ストリング方式、R−DAC方式)、容量(C−DAC方式、CAP−DAC方式)、ROM・RAMによるメモリ方式、ランプ波形による電圧サンプル方式がハードウェア的に階調電圧を生成する方式として知られている。
【0007】
また、LCDパネルに与える電圧はDCでなく、AC的に与えてもよく、この場合には時間的な平均電圧が実効的な値となる。また、この特性を利用して、フレーム内で有効平均電圧を制御する方法もある。また、最終的な階調電圧を1段でつくらず、はじめに直線で近似すべき区間を与える2つの区間電圧を求めて、次にこれらを比例配分するという2段階法もある。
【0008】
アナログ乗算器方式として、例えばアナログ乗算器を実現しているギルバート・セルの特性(tanh関数を利用して近似される)をそのままVTカーブと考えるものである(例えば、特許文献1参照)。これは直線近似とくらべれば精度はいいが、VTカーブに根ざした技術でもなく、特にカーブの肩、足の部分では誤差が大きい。近似区間数も少なく、精度はきわめて悪い。
【0009】
R−DAC方式としては、2次式による近似について言及しているが、それでもハードウェア実現コストを考えた場合には直線近似を推奨している。また、これら直線近似の仮定の下で、設計値を可変にする機能を特に追加しているものがある。例えば、抵抗に付属するスイッチをオン・オフすることで、特性を変更する。あるいは、電流減を用いて強制的に電流を流して電圧の調整を行う。あるいは、視角度が変わったときに特性変化が大きいことを利用して、複数のVTカーブを対応させる。
【0010】
R−DAC方式は、基本的に抵抗分割だけで簡単に階調電圧を生成できるので、ハードウェア的にも量が小さく、また設計の自由度も大きいので、多くの技術がこれを採用しており、有力な技術である。
【0011】
C−DAC方式、CAP−DAC方式としては、区間にわけた直線による近似を採用している。これら容量を用いる方式は、一般に、製造バラツキは良いが、出力に先立ってコンデンサの初期化(放電)が必要であるという弱点がある。近年、改良されつつあるが、主流の技術ではない。
【0012】
メモリ方式としては、例えば諧調数が増加した場合の問題解決として、直線近似による第一段の近似と、さらにそれとの誤差をデータとして利用することで、データ量の削減を図っている。しかしメモリを利用する場合には保存するハードウェアだけでなく読み出し、それを最終的なアナログ量へ変換するといった非常に多くのハードウェアを用意する必要があり、好ましくない。特に、データ精度を電圧の精度として実現するには、結局それだけの精度のDA変換器を用意する必要がある。
【0013】
ランプ波形をサンプリングする方式としては、VTカーブを区間にわけて直線近似を行っている。ランプ波形電圧を発生させて、時間をカウントすることで階調数を数え、対応する電圧をサンプルする技術である。これも直線近似で精度が取れないうえに、ランプ波形の生成回路では、VTカーブにあわせた波形を生成することが非常に困難である。
【0014】
有効平均電圧法としては、時間的な幅を制御することで平均電圧を変更するのであるが、時間を測るのに等間隔であることが想定されており、結果的には等分している。したがって、これもまた区間を直線近似していることになる。
【0015】
2段階法としては、MOSドランジスタの比により電圧分割を行うか、抵抗による分割を行っている。はじめに区間分割の電圧を与える境界の電圧を求め、さらにそれをR−DAC方式で等分割する。したがって、自然とR−DAC方式と相性がよく、また区間を直線近似することにもなる。特に2段階で行う場合には、2段目は共通に分割を行うので、肩、足でも中央部分と同じようにせねばならず、すべて1:1の同じ比率となるように設計せざるをえない。
【0016】
以上、従来のDACは、ハードウゥア実現を考慮したことにより、区間で直線近似されることが、圧倒的に主流であった。このため結果的には、視覚特性をうまく表現できていない状態であった。特に、256以上の高諧調では、区間による直線近似はうまくいかなくなってきている。
【0017】
次に、LCDデバイス特性と視覚特性の関連に関して説明をする。デバイスの特性は従来、CRTに関するモデリングが主たる研究対象とされ、近年に至ってもまだ標準化されたモデルが確定されていない状況にある。
【0018】
一般に心理学では、ある刺激の強さIが微小量ΔIだけ変化したとき、識別できる変化量には、近似的にΔI/I=一定となることが実験で見いだされており、ウェーバーの法則と呼ばれている。ΔIの変化による感覚の変化ΔSは、感覚の最小単位であり、kを定数として、上の式からΔS=k・ΔI/Iと書ける。感覚の生じる最小の刺激値を絶対閾値と呼ぶが、この絶対閾値の値をIとすると上の式を積分して S=k・log(I/I)となり、これはウェーバー・フェヒナーの法則として知られている。
【0019】
産業応用にはlogでなく、S=k(I/I)βの冪法則によりlogの近似を行い、これを利用することが多い。この指数βは刺激により異なり、特に、光刺激に対して次のような値を持っている。5度暗順応視野ではβ=0.33、暗順応での点光源に対してはβ=0.5である。心理学では感覚を中心に上の式で表すが、デバイスの観点からは目に与える光刺激の量を定式化したいので、逆にγ=1/βとして、I=I・Sγと定式化することが便利であり、γという値をパラメータとして慣用的に用いることが多い。上のβから言えば、γ=2からγ=3の値である。
【0020】
主に、この範囲の中で、種々のガンマ値が利用されているが、このモデルをそのまま利用して10ビットの階調を制御しようとすると、低輝度領域で擬似輪郭が見えてしまうという問題がでてくる。特にTVで映画を見る場合には、薄暗い環境で見る場合が想定され、問題が顕著になってくる。
【0021】
この問題に関連して、近年、医療用のディスプレイの規格DICOM PS3.14として、グレースケール関数の標準化が進んでいる。これは胸部レントゲン写真など医療用にディスプレイを利用して診断する場合、細かな階調を必要とするからである。
【0022】
以下さらに、このDICOM PS3.14規格の技術詳細について述べる。DICOMグレースケール関数は次の式により与えられている。
【0023】
【数1】
Figure 2004184795
【0024】
ここで、Lは輝度(Luminance)[cd/m]、jはJND(Just Noticeable Difference)である。JNDとは、その諧調の違いを視覚で検出可能な最小の輝度を与えるΔLから定式化した、輝度に関する視覚(Brightness)を与えるインデックス(数値)である。これは心理的な量であり、工学的にはまさにグレースケールに対応している。JNDの値が1単位ダケずれた場合に、その違いを感じることができる。輝度Lにおける相対弁別閾ΔLhvsは、次式で与えられる。
【0025】
【数2】
Figure 2004184795
【0026】
ここで、この式は目の光学的変調伝達関数(optical modulation transfer function)MTFの特別な場合である。例えば、dは目の瞳孔が開いた直径[mm]を表すパラメータである。以下の現象を取り入れており、TVやモニタなどの実際の画像評価を行う場合、MTFは良い尺度となっているという認識は重要である。ニューロンのノイズ、側抑制、フォトンのノイズ、限定積分能力、目の光学的伝達特性、方向および時間的なフィルタリングなどの現象である。
【0027】
さて、このようなDICOM PS3.14規格に基づいてCRTおよびLCDでの階調設計が提案されている。しかしながら、現実にはまだCRTおよびLCDの設計は8ビットの従来技術、すなわち、TVでの規格を利用して設計されているため、これを後で調整してDICOM規格にあわせようとしている。これは、もともとハードウェア的にはDICOM規格に整合していない階調を利用して、DICOM規格に整合した階調を作り出そうとするもので、本質的には整合させるための誤差がはじめから存在し、ハードウェア的またはソフトェア的になんらかの工夫を余分に必要とすることを意味している。本発明はより直接的にハードウェアではじめからこの規格を実現しようとするものである。
【0028】
なお、デバイスの特性も最終的には視覚特性を再現することを目指しているので、以下に述べるデバイスの特性も同じく「ガンマ・カーブ」と呼ばれている。
【0029】
次に、CRTデバイスの特性モデリングについて説明する。CRTデバイスの特性は視覚特性と同じく、べき乗の式で表現できることがしられている。したがって、方法としては、まずγの値としては視覚のγ値と同じ値をそのまま採用することが可能である。このような観点から、従来、デファクト・スタンダードとして知られているのは1.8、あるいは、2.2である。しかし、このような方法では、階調数が増加するに従い、誤差もでてくる。このため、sRGB規格に基づいて、単純なべき乗の式に、オフセット項を追加したり、近似条件をつけたりする。また実際には、2.3,2.4,3.0等の数々のガンマ値が利用されている。
【0030】
この他の、さらに進んだモデルとしては、オフセットを導入したGOG(GainOffset Gamma)モデルやさらにGOGにオフセットを追加したGOGO(GOG with Offset)モデルが規格として提案されている。例えば、GOGモデルとしてはITU709規格、SMPTE240M規格、sRGB規格が知られている。また、GOGOモデルとしてはIEC61966規格が知られている。
【0031】
なお、従来(8ビット=256階調まで)、このCRTデバイスの特性と視覚特性とが偶然よく一致していたことから、意図的に混同して設計を行っていた。
【0032】
次に、LCDデバイスの特性モデリングについて説明する。LUT(lookup table)によるモデルは階調数が多いとデータが大きくなるので、解析的モデルが望ましい。解析的モデルとして、TRCモデル、SカーブモデルIとその修正モデルII、PCAモデルの3つがある。
【0033】
Sカーブモデルは、
【0034】
【数3】
Figure 2004184795
【0035】
によりS字型の曲線を近似する。修正版のIIはさらにその1次微分関数も考えて精度を向上させている。PCAモデルはその名前のとおり、統計での主成分解析の技法を適用したものであり、spline曲線などを利用した特別な形の階調関数を仮定していない。ここで利用する諧調曲線モデルは、3つのパラメータ(γ,C1,C2)で表される経験的な次の方程式であたえられている。
【0036】
【数4】
Figure 2004184795
【0037】
ここで、VはLCDを駆動する電圧、Tを規格化されたCIE X,Y,Zに対応する透過率、dacをDACに与える諧調レベル数とする。なお、この曲線は、V=1に対してはいつもT=1−1/e=0.632であり、この近傍でTを近似すると、中央付近ではGOGモデルで解釈できる。すなわち、足肩の飽和特性を持ちながら、中央の附近ではGOGモデル的な振る舞いをしている。(例えば、γ=3のとき、V=0.4のあたりおよびV=1.4のあたりで、S字の曲線のまがりかどがある。このような階調再現曲線のまがりかど部分をそれぞれ、「肩」や「足」と一般に呼んでいる。)Sカーブ・モデルでのαがCRTでのγに対応している。しかしβというパラメータも累乗で影響しており、値の大きさとして、α値そのものがγ値とよく対応するとは期待しにくいと思われる。PCAではspline曲線で近似しており、従来のγに対応する値そのものが存在しない。
【0038】
【特許文献1】
米国特許第5,461,430号明細書
【0039】
【発明が解決しようとする課題】
以上のように、視覚特性についてはDICOM規格が提案され、CRT設計およびLCD設計に適用されている。しかしながら、現在CRTやLCD自体は8ビットの階調で設計されており、ハードウェアとしては10ビットに対応できていない。キャリブレーションやソフトウェア的に後で再調整をしているが、本質的には10ビット対応できていない。また、LCDデバイスに対する標準的な特性(VT特性)に関しても確定されていない状況である。
【0040】
すなわち、視覚特性をうまく設計するための標準ワークフローがまだLCDでは存在しておらず、その設計はまだ経験にたよっている。さらに、特性を実現するハードウェア(ソフトウェア)量を削減する必要があるため、1024階調の高諧調では、高精度ガンマ抵抗の設計が困難になっている。したがって、高階調のDAC回路を設計することは困難である。
【0041】
本発明の目的は、高階調を可能とするディジタル−アナログ変換回路の設計方法を提供することである。
【0042】
【課題を解決するための手段】
この発明によるディジタル−アナログ変換回路の設計方法は、最小輝度または最大輝度に相当するオフセットを用いて、透過率を計算するステップと、前記透過率に基づいてサンプル電圧を計算するステップと、前記サンプル電圧から抵抗値を計算するステップとを具備することを特徴としている。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、図面を参照しながら本発明の実施の形態について説明する。はじめに、液晶セルのVT特性モデルの改良に関して説明する。
【0044】
図1は、本発明の実施の形態における区分的諧調再現曲線(piecewise−Tone Reproduction Curve)の考え方を示す図である。グラフの横軸はLC(液晶)セルに印加する電圧V、縦軸はLCセルの透過率Tを表す。このグラフの曲線は、LCセルのVT特性を表している。透過率TはLCセルの最大輝度を1として規格化した値である。従来は、1つのTRC曲線で全範囲のVT特性をカバーしようとしていた。しかしながら、従来の方法では、1つのTRCでVT特性を近似しようとすると2%−3%程度のフィッティング・エラーがでることがわかっている。10ビットには、透過率で1/1024=0.1%の精度が必要である。したがって、従来における1つのTRCでは10ビット精度確保は困難であった。
【0045】
これに対し本発明の実施の形態では、複数の領域ごとにTRCを用意して精度を高める。例えば、10ビット精度を確保するために、少なくとも8個のTRCを利用すればよい。
【0046】
このような区分的に利用されたTRCそれぞれのパラメータの例を表1に示す。
【0047】
【表1】
Figure 2004184795
【0048】
パラメータとして、V_high,V_low,start_V,end_V,gamma,mode/BW,Tthなる7つのパラメータが各TRCに存在している。V_high,V_lowは、LCセルに印加する電源電圧、電源グランド(コモン)の電圧を与えるものであり、各TRCで共通である。start_V,end_Vは、LCセルに印加する電圧をTRC正規化するためのパラメータである。従来技術では、1つのドメイン・LCセルのみを考慮していたので、このような定式化はされていない。本発明の実施の形態では、後述するデユアル・ドメイン・セルに代表されるようなマルチ・ドメイン・セルにも対処するため、このような定式化を行う。
【0049】
パラメータgamma(γ)はTRCの形を決めるもので、いわゆる従来のCRTでのガンマ・カーブでのガンマ値に対応している。パラメータmode/BWは、ノーマリ・ブラック(電圧がかからないときにブラックとなる特性モード)であるか、ノーマリ・ホワイト(電圧がかからないときにホワイトとなる特性モード)であるか特性のモードを指定する。ここではノーマリ・ホワイトを“0”で対応させ、ノーマリ・ブラックを“1”に対応させている。パラメータTthは、透過率Tにより区分する領域を指定するための透過率閾値である。ここでは、例えばT=0.94以上の領域でTRC1を利用することを指定している。一方、最後のTRC8はT=0.12以下で利用する。
【0050】
このように区分的なTRCを利用するために、さらにオフセットを導入する。LCセルの特性として、実際には完全な黒となることはなく、わずかではあるが最小輝度Lminが存在している。しかしながら、従来のTRCでは理想的に0になっており、この最小輝度Lminを表現できない。このため、低輝度領域でのTRCフィッティング・エラーが出てしまう。このエラーの絶対値は非常に小さなものであるが、10ビット精度の視覚特性を考慮する場合には問題となってくる。よって本発明の実施の形態では、最小輝度Lminに相当する透過率オフセットを導入する。
【0051】
例えば、区分的TRCの式は、以下のように与えられる。
【0052】
【数5】
Figure 2004184795
【0053】
Tは1で正規化された透過率、V1はセルに印加する電圧である。Offsetはオフセット値を与えるパラメータであり、γがパラメータgammaを与えている。実際の区分的TRCの各パラメータ値は非常に近い値を取っている。
【0054】
次に、このような区分的TRCをLCのVT特性モデルとしてデータにフィッティングを行う。直接LCセルデータを扱う場合もあるが、本発明ではLCDシミュレータを利用した場合を考える。
【0055】
一般的にLCセル設計が終了して、その後にはじめてLCセルの光学的特性データを確定するということは期待できない。実際にはガンマ抵抗の設計と同時にLCセル自身も特性改善活動が進み、コンカレントに設計が行われる可能性が高い。このような状況を改善するために、LCセルを試作する前に、LCセルの製造パラメータの影響をより簡便に見積もるために、LCDシミュレータを用いることができる。LCDシミュレータの例として、ここではLC3Dという3次元ダイレクタ・シミュレータおよび拡張Jones法による光伝播シミュレータを利用している。
【0056】
ダイレクタ・シミュレータは、液晶セルの電気的応答としてセル印加電圧に対してダイレクタの3次元的配向を計算する。このダイレクタ3次元配向を利用して、さらに拡張ジョーンズ法により透過する光の量(輝度)が計算される。この輝度を正規化することで、透過率Tのデータが得られる。
【0057】
このようなシミュレーションの一実施例として、表2にLC3Dに与えるパラメータ値を示す。パラメータは3つに大別されている。LCセルの材料(物性的な)のパラメータ群、パネルのパラメータ群、シミュレータ設定のためのパラメータ群である。
【0058】
【表2】
Figure 2004184795
【0059】
K11は広がり変形に関する弾性定数、K22はねじれ変形に関する弾性定数、K33は曲がり変形に関する弾性定数である。パラメータeps parとeps prepは、水平方向の比誘電率、垂直方向の比誘電率である。Gamma1は粘性率である。パラメータd/p ratioはカイラル剤(またはキラル剤)を入れた場合のd/p比であり、カイラル剤の濃度を最終的にd/p値として換算して取り込む。dはLC層の厚さ、pはLC層のピッチである。カイラル剤はLCの光学的特性改善のために入れられる。ここでは0とし、混入なしとしてシミュレーションしている。そして、パネルのパラメータとしてx方向、y方向の幅、z方向の厚さ、ガラスの比誘電率、ボトムおよびトップでのダイレクタのアジマス角、プレチルト角を指定している。
【0060】
さらに、シミュレーションを制御するパラメータがある。シミュレーションをするときの領域分割の個数(x方向、y方向、z方向)、シミュレーションでの緩和電圧、ダイレクタの方向の初期条件、シミュレーション時の境界条件、またシミュレーション高速化のための対称性の指定、シミュレーションの繰り返し計算に関する停止条件、印加電圧の与え方(定常的に与えるか、トランジェント的に時間変化させるか)、トップおよびボトムへの印加電圧、電極の形状(連続的に全平面としているか、デユアル・セル用に複数のセル・ドメインをもった固定された形状か)、電圧の境界条件(値が0か、またはその傾斜が0か)が指定されている。
【0061】
図2は、LCDシミュレーション結果を示す図である。図2では、Tが0.9から0.96にかけて連続的な変化はしているものの、0.94附近で2つの曲線に分かれるような形となっている。このような結果は、LC3Dダイレクタ・シミュレータのダイレク初期配置に鋭敏に影響されてできるシミュレーション・エラーであり、人の判断による訂正が必要である。
【0062】
ここで0.94以下の部分とより連続的に接続されるように、図3のように部分的にデータをそのまま用いることをやめ、最終的に図4のように連続的に接続されるようにフィッティングを行う。すなわち、区分的に0.94以上のTRC1で連続的にフィッティングする。図4において、simで指定されたカーブはシミュレータの結果データ、TRCで指定されているのはTRC計算結果である。
【0063】
図5乃至図7は、フィッティング・エラーがどのようになっているか、さらに解析した結果を示す図である。図5は、各々のTRC近似でのフィッティング・エラーの変化を示す図である。エラー値の上下はあるが、±0.0005の範囲内にあり、これは10ビット、すなわち1/1024≒0.001の精度を与えていることが確認できる。
【0064】
図6は、フィッティング・エラー値の分布統計を示す図である。0.0000を中心にUSL(upper specification Limit)=+0.0005,LSL(Lower specification Limit)=−0.0005の範囲内で正規分布していることが確認できる。
【0065】
図7は、解析の数値データの詳細を示す図である。なお、IチャートおよびMRチャートなどのラン・チャートの方向は図5の方向と逆になっている。エラーが範囲内におさまっていることから、フィッティングがうまくいっていることがわかる。
【0066】
また近年、広視野角を実現するためにLCセルは、マルチ・ドメイン・セル技術が用いられている。上記の実施の形態ではTN(twisted nematic)セルでもシングル・ドメインを前提としたTRCであった。これに対応するため、他の実施の形態では、マルチ・ドメイン・セルに対するTRCの考え方を説明する。
【0067】
2つの異なるドメインA,BによりLCセルが製造される場合、それぞれのドメインに関しては、従来のTRCによりその電気光学的特性をモデル化することができる。2つのセルのよる光量を合成して全体で1つの光量とすればよいので、2つのTRCを加算すればよい。このとき、2つのLCセルは、光学的に全く同じ特性となることはない。全く同じ光学的特性の場合は、セルが対称に製造される場合である。対称な場合、そのセルの境界(ディスクリミネーション・ライン)で完全な対称的な状態となることが期待される。しかしながら、これは理論的な仮定であり、現実には起こりえない。すなわち、物理的ポテンシャルからいえば、鞍点となり、力学系として不安定な状態となっている。
【0068】
したがって現実には、このような不安定さを避けるために、意図的に2つのLCセルは異なるように設計される。例えば、プレチルト角をラビングにより意図的に異なるようにする。さらにマルチ・ドメインは、通常は2つの異なる光学的特性をもつLCセルで実現されると考えてよい。例えば、4つのドメイン・セルを実現する場合、2つの異なる光学的特性をもったLCセルを、方向を変えて配置させる。製造過程を簡略化することができる。一方、4つの異なる特性を持つLCセルをつくる工程は、2つの方向が異なる2組のLCセルのつくる工程よりも大きくなる。
【0069】
図8は、2つのLCセルから構成されるデユアル・ドメイン・セルに対応したTRC(デユアルTRC)を示す図である。なお、デユアルTRCと区分的TRCとは、お互いに排他的ではなく組み合わせて使うことができる。
【0070】
このようなTRCによりVT特性の動作モデルを利用して、どのような電圧を設計すべきか、その原理について図9を用いて説明する。ここでは、例えば階調設計として、従来のTV技術として2.2乗の関数を仮定している。また、TRCとして先に述べたデユアルTRCを利用したVT特性を仮定している。
【0071】
まず、図9左側の階調特性カーブから階調レベルに対応したT(規格化されたT)が求められる。次に、図9左側のグラフで求めたTに基づいて、図9右側のグラフからそれを与える電圧Vを求める。これを各階調に対して繰り返し行い、設計すべきサンプル電圧が決定される。
【0072】
本発明の実施の形態では、透過率Tから電圧Vを求める。先のデユアルTRCのように、一般にマルチ・ドメイン・セルとして複数のTRCから合成されるために、TRCモデルは電圧Vが定まりそれから透過率Tが計算されるという計算方向でモデル化できる。しかしながら、透過率Tから電圧Vの方向で直接解析的な計算で求めることができないため、逆計算をする必要がなる。この逆計算を行うために、例えばここでは表計算ソフトでのGoal_seek関数を利用している。
【0073】
このような原理に基づき計算されたサンプル電圧Vを発生させるために、DACとしてRストリング方式を利用する。Rストリングを構成する各抵抗の値は、サンプル電圧Vを発生させるべく、比例配分により求められる(電流は共通である)。なお、求められた抵抗値は、IC製造の歩留まりによる最小抵抗値が存在している。したがって、この最小抵抗値と比例配分を考慮して、最終的に抵抗値が決定される。
【0074】
図10に、8ビット=256階調での計算結果を示す。図10では、最小抵抗値と20Ωとして計算している。
【0075】
次に、DICOM規格を利用して、階調設計を行う方法について説明する。上記(1)式のL(j)は階調jから輝度Lを求める関数であり、公式ではLog10(j)およびLog10(L)を利用して計算されている。従来のTV規格では相対値として規格化されたTを定義することが専らであったが、DICOMでは輝度L[cd/m]を直接定義している。また同様に、j(L)はL(j)の逆関数であり、Lからjを定める関数である。実際には、このj(L)が有用である。
【0076】
ここで、DICOM階調の一計算例を示す。Lmin=0.05[cd/m]からLmax=3916.335[cd/m]までのLを計算するために、j(0.05)=1.030449からj(3916.335)=1019.926のJNDインデックスを均等に配分し、求めたjからL(j)を計算する。例えば、8ビットでのフィッティングなら256等分する。このように均一にJNDインデックスを配分して、対応するLの表を作成することができる。
【0077】
図11は、このように定義されたDICOM規格を、従来の測定データやTV規格等と比較した図である。横軸はと輝度の対数Log10(L)、縦軸は分別できる輝度差ΔLとそのときの輝度Lの比対数Log(ΔL/L)である。W&S_FIG7_10_1(以下、W&S)により示されたカーブの低輝度側の直線部分はRose−Devried領域と呼ばれ、ベキ乗で近似される領域であり、TVでの規格のかたちとなっている。また、高輝度側の平坦部分はWeber領域と呼ばれ、対数関数で近似される領域である。DICOM(10bits)で示したカーブがDICOM規格である。2_2は2.2乗のガンマ・カーブであり、sRBG、ITU709、SMPTE240MはそれぞれTVでの規格に対応するカーブである。2_2_10bitsは、2.2乗のカーブを10ビットに拡大解釈して作成したカーブである。Whittleで示したものは、Whittleの公式により計算したカーブである。
【0078】
図11に示すように、従来のTV規格のカーブ群はすべて、DICOM規格より上に存在しており、8ビットTV規格では充分に視覚特性の限界まで到達していないことがわかる。特に、高輝度領域になると両カーブは近づいているが、低輝度領域では差が開いている。これは、艇庫度領域で階調再現がうまくいかず擬似輪郭が見えてしまうことに対応している。これらTV規格に比較すると、DICOM規格、W&SのデータおよびWhittleは、近い位置にある。
【0079】
さらに低輝度領域を見ると、Whittleのカーブは高めにズレており、DICOM規格の方がW&Sのデータに近い。一方、高輝度領域ではWhittleがより近い位置にある。これはWhittleの式およびW&Sのデータともに8ビット精度で、ΔLを測定していると考えられる。一方、10ビット精度を考えるときには、DICOM規格が良いガイドラインを示していると考えられる。
【0080】
次に、従来のTV規格の例として2.2乗のカーブを、10ビットで拡大解釈したカーブとDICOMカーブで比較してみる。高輝度領域ではTV10ビットのほうが細かくΔLを設定している一方、低輝度領域ではあきらかに精度が不足している。したがって、低輝度領域での擬似輪郭問題は、ただ単にTV規格を8から10ビットにビット数拡大を行っても、解決されないことがわかる。
【0081】
続いて、DICOMフィッティングを現状入手可能なLCDの性能で検討する。図12は、DICOM規格を用いた場合におけるビット数の変化によるカーブの変化を示す図である。DICOM規格で、UNIFORM8が8ビット、UNIFORM9が9ビット、UNIFORM10が10ビットを示す。このDICOMへのフィッティングは、ひとつの例として、輝度が0.5から400[cd/m2]の能力のLCDを仮定した。もともとのDICOM規格では0.05〜4000[cd/m]と広範囲の能力を必要とする。しかしながら、実際のLCDでは実現できていない。
【0082】
したがって、DICOM規格とUNIFORM10とは、異なるカーブとなっている。現実のこのようなDICOMフィッティング結果を見ると、8ビット、9ビットではDICOM規格のクリアできず、10ビットのフィッティングのみがDICOM規格より細かなΔLを達成できることがわかる。すなわち、Lmaxが理想的ではない現実のDICOMフィッティングにおいても、最低10ビットは必要であることがわかる。逆に、視覚特性からは、これ以上のビット数は不要であると判断できる。なお、ここでのビット数は階調数をエンコードするビット数であり、後で議論するDACとしての電圧の出力精度を表すビット数ではない。
【0083】
図13に、このようなDICOM規格におけるLCDサンプル電圧の計算方法を示す。基本的には、上述した図9と同じ考え方でよい。DICOMの場合には規格化された透過率Tではなく、より直接的に輝度Lを介して、電圧が計算される点が異なる。このためTRCとしては、規格化するときの最大輝度Lmaxを透過率Tにかけて、輝度Lとして計算を行う。このようにして計算された結果を図14乃至図17に示す。比較のため、従来のTV規格の代表として2.2乗、SRGBを10ビット拡張解釈した場合のカーブもあわせ示す。DICOM standardはオリジナルの規格カーブであり、DICOMはLCDデバイスを仮定した場合のフィッティング結果である。ここでは1.15〜500[cd/m]を仮定した。これはLmin,Lmaxからのコントラスト比により決まる。低輝度領域では、TV規格10ビット拡大がDICOM standardをクリアできていないことが図14からわかる。
【0084】
図15は、階調に対する輝度Lのカーブを示す図である。従来のTV規格カーブよりも、より多く低輝度の階調が割り当てられている。低輝度領域での擬似輪郭に対策していることが、このことからも見て取れる。図16は、階調に対するサンプル電圧Vを示す図である。より低輝度領域での階調を増やすために、サンプル電圧としては大きい電圧の方向へずれていることがわかる。図17は、階調に対する抵抗値を示す図である。階調が小さいところで、抵抗値が低くなっている。これは電圧サンプルがはじめ高めにずれていること、すなわち抵抗による電圧降下が少ないことに対応している。ここで、抵抗の最小値は20Ω以下である。
【0085】
しかしながら、従来のような単純なRストリング方式では、最小抵抗値をわってしまい、そのまま実現できなくなっている。そこで、これを解決するために、図18のような修正dual ladder方式のRストリングとして第1のDAC実現を示す。
【0086】
図18の修正dual ladder方式は、2重のラダーから構成させることをもとにしているが、さらに本発明ではRストリングを構成する抵抗の値が一様ではないという点を特徴としている。従来のDAC設計(電気的な電圧や電流といった電気的特性だけを考える)では、出力電圧値に関して線形になるような設計のみが検討されているのに対し、本発明では、出力電圧そのものは線形ではなく非線形のDACであるが、視覚的には線形なDACを設計する。
【0087】
さて、電気的には非線形であり、不均一な抵抗値からDACが構成されている。図18の縦方向に接続されるRストリングの抵抗は、概略抵抗(coarse resistor)であり、概略的に電圧を与える。一方、横方向に接続されている抵抗は、詳細抵抗(fine resistor)であり、詳細な電圧を与える。図18で示すように、詳細抵抗には並列に概略抵抗が接続されている。ここで、このような詳細抵抗に並列接続されている概略抵抗を、グループ抵抗と呼ぶことにする。例えばRf24,Rf25,…Rf48の一連の詳細抵抗には、Rc(24−48)なるグループ抵抗が並列接続されている。
【0088】
これら抵抗値の計算方法に関して説明する。なお、抵抗の途中からコンタクトをうち、詳細な精度で長さLを制御する方法もある。まず、詳細抵抗について説明する。先に提起したように、最小抵抗値20Ωより小さな値は、IC実現として望ましくない。例えば、R24で19.8Ωとなると、この値をそのまま用いて設計できない。そこで、概念的に2つの抵抗を並列にすることで、それらひとつひとつは20Ω以上ではあるが、合成すると20Ω以下とすることを考える。
【0089】
図19および図20は、詳細抵抗の並列化の概念を示す図である。例えば、R24に関しては、81.3Ωおよび26.2Ωの抵抗を並列化する。すなわち、19.8Ω=81.3Ω//26.2Ω(//は並列接続を表す)となる。ここで、個別の抵抗に関して並列の抵抗値の組を考えることも可能である(例えば詳細抵抗をいつも20Ωになるように固定して抵抗値を求める)が、ここでは簡便に一律にa倍する方法を採用している。ここで用いている倍率は、4.1である。グループ抵抗の値は、できるだけ均等に同じ値になることが望ましいので、本発明では全体抵抗を均等に分割している。このようなグループ抵抗は、比較的大きな値となるので、レイアウト的にはさらに分割して、図21のようなアンチ・パラレルなレイアウトを行うことで、さらに抵抗の製造による傾斜分布の影響を削減することができる。
【0090】
さらに、図22に第2のRストリング・アーキテクチャによる実現方法を示す。ここでは例えば、MRS(Modified Resistor String)法と呼ばれる方法のうち、すべての構成抵抗を一様に同じ値とした場合を利用する。アドレス変換器がここでの特徴であり、このアドレス変換器は共通の考え方として、MRS方式のほか一般の線形DACを用いた設計に適用できる。
【0091】
図22において、中央の縦方向に接続させる1本のRストリングの上下に詳細調整用の抵抗の回路(詳細抵抗)が接続されている。この詳細抵抗は、入力符号により制御され、上下2つの回路の抵抗和はつねに一定となるように、接続が制御されるものである。和を一定とするために、いつも上下の回路には双対となる符号を与えている。
【0092】
ここで、簡単のため3ビットを例にして説明を行う。例えば、上は000という符号ですべてのスイッチがオープンにされ、下は111という符号ですべてのスイッチがクローズするとする。図22において、上の抵抗はオープンであるので、R/8+R/4+R/2=15R/16(ひとつの抵抗はR)となり、下は0となり、合計は15R/16である。同様に、上011、下100の場合、上R/8、下R/2+R/4=3R/4で、合計15R/16となっている。このように一定に保つことで、レベルがぶれることなく、中央のRストリングにより生成される電圧値をいつもコンスタントに詳細シフトすることができる。
【0093】
目的とするDACはMRS方式のように線形ではなく、非線形なものである。そこで、本提案では10ビットから12ビットへのアドレス変換器を入力に用意することで、これの実現を行う。ここで、10ビット−12ビット変換器の構成方法を説明する。DICOM規格からサンプリング電圧を定める。供給電圧とGNDの差を求め、12ビット時の階調数を計算する。次に、各インデックスに対応する出力インデックスを計算する。以下、同様の計算を繰り返し、アドレス変換テーブルができあがる。また、これと双対の表として、階調数からカウントしていくことでもう一方の表も生成できる。
【0094】
このようにアドレス変換器は、TRCモデルおよびDICOM規格から計算により導き出された電圧により決定されるものであり、視覚的に線形なDACを実現するための重要な要素である。視覚的に線形なDACでガンマ補正を実現するために、その他の一般の線形DACでも同様な手法で設計を行うことができる。
【0095】
なお、MRS方式の場合には、さらにMSBとLSBにわけてデコーダを構成する必要がある。例えば、10ビットをLSB5+MSB7ビットとした場合、2828=101100001100(2進数)で、MSB7ビットの1011000で概略抵抗のデコーダを構成する表の第1エントリとなり、LSB5ビットの01100が詳細抵抗のデコーダ表の第1エントリとなる。以下、各要素について同じ計算を行い、順次エントリを作成していく。こうしてMSBおよびLSBのデコード表が構成されたら、Verilog−HDL記述などでそれを入力とした論理合成をすれば良い。ROMによる実現も同じく可能である。
【0096】
なお、本発明ではLCDをターゲットにしてTRCフィッティングを行った。CRTをターゲットとする場合には、CRTの規格曲線をTRCに代えて用いれば同様にDICOM規格に準拠した設計を行うことができる。そもそもCRT規格はCRTのデバイス的特性をよく近似するものであり、ベキ乗という視覚特性ともよく一致していた(8ビットの状況)ことから、混同されて利用されてきた。より精密な視覚特性を考慮する10ビットのDICOMでは、これら2つの曲線が異なるため、本発明のように設計を行うと、DAC部分の構成が可能である。すなわち、本発明のDAC方式によりCRTをターゲットとしたDICOM設計も可能である。
【0097】
【発明の効果】
本発明では、TRC(Tone Reproduction Curve:階調再現曲線)を用いて、高精度なLCDデバイスの特性モデルから視覚10ビット精度に耐えられる高精度な設計を効率的、且つ合理的に行うことができる。また、視覚線形を実現するDACとして、Rストリング・アーキテクチャを用いることにより、回路規模を削減できる。また、デユアルTRCにより、広視野角を得るためのマルチ・ドメイン・セルでの設計を可能にした。また、VT特性の逆関数を用いることにより、電圧サンプル・ポイントをアルゴリズミックに決定するので、どのような階調仕様に対しても効率的、且つ柔軟に設計することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態における区分的諧調再現曲線の考え方を示す図。
【図2】LCDシミュレーション結果を示す図。
【図3】従来におけるLCDシミュレーション結果を示す図。
【図4】フィッティング結果を示す図。
【図5】各々のTRC近似でのフィッティング・エラーの変化を示す図。
【図6】フィッティング・エラー値の分布統計を示す図。
【図7】解析の数値データの詳細を示す図。
【図8】2つのLCセルから構成されるデユアル・ドメイン・セルに対応したTRCを示す図。
【図9】サンプル電圧の計算方法を示す図。
【図10】8ビット=256階調での計算結果を示す図。
【図11】本発明で定義したDICOM規格を、従来の測定データやTV規格等と比較した図。
【図12】DICOM規格を用いた場合におけるビット数の変化によるカーブの変化を示す図。
【図13】DICOM規格におけるLCDサンプル電圧の計算方法を示す図。
【図14】DICOM規格における視覚特性の結果を示す図。
【図15】階調に対する輝度Lのカーブを示す図。
【図16】階調に対するサンプル電圧Vを示す図。
【図17】階調に対する抵抗値を示す図。
【図18】dual ladderによるDAC実現の結果の一例を示す図。
【図19】詳細抵抗の並列化の概念を示す図。
【図20】詳細抵抗の並列化の概念を示す図。
【図21】アンチ・パラレルレイアウトの一例を示す図。
【図22】第2のRストリング・アーキテクチャによる実現方法を示す図。
【符号の説明】
R0,R23…既略抵抗
Rc(24−48)…グループ抵抗
Rf24〜Rf48…詳細抵抗

Claims (5)

  1. 最小輝度または最大輝度に相当するオフセットを用いて、透過率を計算するステップと、
    前記透過率に基づいてサンプル電圧を計算するステップと、
    前記サンプル電圧から抵抗値を計算するステップと
    を具備することを特徴とするディジタル−アナログ変換回路の設計方法。
  2. 前記透過率は、複数の階調毎に算出する
    ことを特徴とする請求項1に記載のディジタル−アナログ変換回路の設計方法。
  3. 前記抵抗値に基づき、複数の抵抗素子を用いてディジタル−アナログ変換回路を構成する
    ことを特徴とする請求項1または2に記載のディジタル−アナログ変換回路の設計方法。
  4. 前記サンプル電圧は、シングル・ドメイン・セルに応じた電圧である
    ことを特徴とする請求項2に記載のディジタル−アナログ変換回路の設計方法。
  5. 前記サンプル電圧は、マルチ・ドメイン・セルに応じた電圧にである
    ことを特徴とする請求項2に記載のディジタル−アナログ変換回路の設計方法。
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