JP2004181837A - 液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 - Google Patents

液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器 Download PDF

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Abstract

【課題】装置のオペレーターの労力を軽減でき、製造物のコスト低減が図れる液滴吐出装置、液滴吐出システム、かかる液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、かかる液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、かかる電気光学装置を備える電子機器を提供すること。
【解決手段】本発明の液滴吐出装置は、液滴吐出ヘッドがワークに対し液滴を吐出する前に捨て吐出した液体を受ける第1の捨て吐出用液受け部71と、液滴吐出ヘッドが待機時に捨て吐出した液体を受ける第2の捨て吐出用液受け部301と、液滴吐出ヘッドのドット抜け検査を行う際に吐出した液体を受けるドット抜け検査用液受け部191と、排液流路系70と、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191から排液流路系70を介して回収された液体を共通して貯留する排液タンク181、182とを備える。
【選択図】図20

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、液滴吐出装置、液滴吐出システム、電気光学装置、電気光学装置の製造方法および電子機器に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、インクジェットプリンターが主に民生用のプリンターとして広く用いられている。このインクジェットプリンターのインクジェット方式(液滴吐出方式)を応用した産業用の液滴吐出装置(インクジェット描画装置)が知られている。この産業用の液滴吐出装置は、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL表示装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに使用される。
【0003】
このような液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)の捨て吐出(フラッシングまたは予備吐出ともいう)という動作が行われる。この動作を行う目的は、次のようなものである。液滴吐出ヘッドは、液滴の吐出を休止してから吐出を再開するまでの時間が長くなると、液滴の吐出方向が乱れる、吐出量が多くなり過ぎる、吐出量が少なくなり過ぎる等の現象が起こり易くなり、液滴吐出動作が不安定になる傾向がある。すなわち、液滴吐出ヘッドは、液滴の吐出を開始した直後は、吐出状態が安定せずにまっすぐ飛びにくい、吐出量が安定しない等の傾向がある。このため、液滴吐出ヘッドが捨て吐出を行って吐出状態が安定した後に、基板等のワークに対するパターン形成(描画)を開始するようにしている。
【0004】
液滴吐出装置には、液滴吐出ヘッドがこのような捨て吐出をするための所定の捨て吐出場所が設けられており、この捨て吐出場所に液滴を受ける受け皿(液受け部)が設けられている。
また、このような液滴吐出装置では、液滴吐出ヘッドの各吐出ノズルの目詰まりの有無、すなわち、各吐出ノズルから適正に液滴が吐出されるか否かを検査するドット抜け検査という動作も行われる。ドット抜け検査は、液滴吐出ヘッドを駆動して、各吐出ノズルから液滴が吐出されているかどうかを例えば光学的な方法によって検出することにより行われる。
【0005】
従来の液滴吐出装置は、捨て吐出された液滴を受ける受け皿(液受け部)に溜まった液体を移送して廃液タンクに回収するようにしている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、ドット抜け検査で吐出された液滴を受ける受け皿(液受け部)に溜まった液体は、装置のオペレーターがこれを拭き取ったり、捨てたりする作業を行わなければならず、多大な労力が掛かっていた。また、受け皿に溜まった液体は、時間が経過するとその増粘作用によって粘性が大きくなり、拭き取ったり捨てたりする作業にさらに多大な労力がかかっていた。このようなことから、製造する基板等のコスト増をもたらしていた。
【0006】
【特許文献1】
特開2002−264366号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、装置のオペレーターの労力を軽減でき、製造物のコスト低減が図れる液滴吐出装置、液滴吐出システム、かかる液滴吐出装置を用いて製造される電気光学装置、かかる液滴吐出装置を用いる電気光学装置の製造方法、および、かかる電気光学装置を備える電子機器を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の液滴吐出装置は、装置本体と、ワークが載置されるワーク載置部と、前記ワーク載置部に載置されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
前記ワーク載置部と前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる相対移動機構と、
前記ワーク載置部の近傍に設けられ、前記液滴吐出ヘッドが前記ワークに対し液滴を吐出する前に捨て吐出した液体を受ける第1の捨て吐出用液受け部と、
前記液滴吐出ヘッドが待機時に捨て吐出した液体を受ける第2の捨て吐出用液受け部と、
前記液滴吐出ヘッドのドット抜け検査を行う際に前記液滴吐出ヘッドから吐出した液体を受けるドット抜け検査用液受け部と、
前記第1の捨て吐出用液受け部、前記第2の捨て吐出用液受け部および前記ドット抜け検査用液受け部で受けた液体をそれぞれ回収する排液流路系と、
前記第1の捨て吐出用液受け部、前記第2の捨て吐出用液受け部および前記ドット抜け検査用液受け部から前記排液流路系を介して回収された液体を共通して貯留する排液タンクとを備えることを特徴とする。
これにより、装置のオペレーターの労力を軽減でき、製造物のコスト低減が図れる液滴吐出装置を提供することができる。
【0009】
本発明の液滴吐出装置では、前記ワーク載置部と前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することにより、前記ワークに所定のパターンを形成することが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0010】
本発明の液滴吐出装置では、前記相対移動機構は、前記ワーク載置部および前記第1の捨て吐出用液受け部を前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、前記液滴吐出ヘッドを前記装置本体に対し前記Y軸方向に垂直かつ水平な方向(以下、「X軸方向」と言う)に移動させるX軸方向移動機構とで構成されることが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0011】
本発明の液滴吐出装置では、前記Y軸方向と前記X軸方向とのいずれか一方を主走査方向とし、他方を副走査方向として前記ワーク載置部と前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから前記ワークに対し液滴を吐出することが好ましい。
これにより、目的に合わせてワーク上に多彩なパターンを形成(描画)することができる。
【0012】
本発明の液滴吐出装置では、前記第1の捨て吐出用液受け部は、前記ワーク載置部の前記副走査方向に沿って伸びる辺の近傍に設けられていることが好ましい。
これにより、第1の捨て吐出用液受け部に対する捨て吐出を行った後、直ちに主走査に移行することができるので、ワークに対するパターンの形成(描画)を迅速に行うことができ、サイクルタイムの短縮が図れる。
【0013】
本発明の液滴吐出装置では、前記第2の捨て吐出用液受け部は、前記Y軸方向に移動可能に設けられていることが好ましい。
これにより、第2の捨て吐出用液受け部を他のユニットとともに少ないスペースに効率良く配置することができ、液滴吐出装置全体としての小型化が図れる。本発明の液滴吐出装置では、前記ドット抜け検査用液受け部は、水平方向に移動しないように設けられていることが好ましい。
これにより、液滴吐出装置の構造の簡素化が図れるとともに、ドット抜け検査を高い精度で行うことができる。
【0014】
本発明の液滴吐出装置では、前記排液流路系は、前記第1の捨て吐出用液受け部に接続された第1のチューブと、前記ドット抜け検出用液受け部に接続された第2のチューブとを有し、前記第1のチューブは、前記第2のチューブより可撓性の高いものであることが好ましい。
これにより、第1の捨て吐出用液受け部に接続されたチューブと、ドット抜け検出用液受け部に接続されたチューブとのそれぞれの使用状況に好適な種類のチューブを選定することができ、設計の合理化が図れる。
【0015】
本発明の液滴吐出装置は、前記排液流路系の途中に、流体を移送する移送手段をさらに備えることが好ましい。
これにより、液体の回収を迅速かつ確実に行うことができる。
本発明の液滴吐出装置では、前記排液流路系は、流路を切り替える流路切り替え手段を有し、該流路切り替え手段の流路の切り替えにより、前記第1の捨て吐出用液受け部、前記第2の捨て吐出用液受け部および前記ドット抜け検査用液受け部のうちから選択的に液体を回収することが好ましい。
これにより、液滴吐出装置の構造の簡素化が図れる。
【0016】
本発明の液滴吐出システムは、本発明の液滴吐出装置と、
前記液滴吐出装置を収容し、その内部の温度および/または湿度が管理されるチャンバとを備えることを特徴とする。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
本発明の液滴吐出システムは、前記チャンバ内の温度および/または湿度を調節する空調装置をさらに備えることが好ましい。
これにより、吐出液滴によるパターンの形成(描画)をより高い精度で行うことができる。
【0017】
本発明の電気光学装置は、本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、高い精度でパターンが形成(描画)された高性能の部品を備えるとともに、製造コストの低い電気光学装置を提供することができる。
本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。
これにより、ワークに対するパターンの形成(描画)を高い精度で行うことができるとともに、製造コストの低減が図れる電気光学装置の製造方法を提供することができる。
本発明の電子機器は、本発明の電気光学装置を備えることを特徴とする。
これにより、高い精度でパターンが形成(描画)された高性能の部品を備えるとともに、製造コストの低い電子機器を提供することができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムを添付図面に示す好適な実施形態に基づいて詳細に説明する。
図1および図2は、それぞれ、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムの実施形態を示す平面図および側面図、図9は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるタンク収納部を示す斜視図である。なお、以下では、説明の便宜上、水平な一方向(図1および図2中の左右方向に相当する方向)を「Y軸方向」と言い、このY軸方向に垂直であって水平な方向(図1中の上下方向に相当する方向)を「X軸方向」と言う。また、Y軸方向であって図1および図2中の右方向への移動を「Y軸方向に前進」、Y軸方向であって図1および図2中の左方向への移動を「Y軸方向に後退」と言い、X軸方向であって図1中の下方向への移動を「X軸方向に前進」、X軸方向であって図1中の上方向への移動を「X軸方向に後退」と言う。
【0019】
図1および図2に示す液滴吐出システム(液滴吐出系)10は、液滴吐出ヘッド111を有する液滴吐出装置(インクジェット描画装置)1と、この液滴吐出装置1を収容するチャンバ91とを備えている。
液滴吐出装置1は、ワークとしての基板Wに対し、例えばインクや、目的とする材料を含む機能液等の液体(吐出液)をインクジェット方式(液滴吐出方式)により微小な液滴の状態で吐出して所定のパターンを形成(描画)する装置であり、例えば液晶表示装置におけるカラーフィルタや有機EL表示装置等を製造したり、基板上に金属配線を形成したりするのに用いることができる産業用の液滴吐出装置である。
【0020】
液滴吐出装置1が対象とする基板Wの素材は、特に限定されず、板状の部材(ワーク)であればいかなるものでもよいが、例えば、ガラス基板、シリコン基板、フレキシブル基板等を対象とすることができる。また、本発明では、液滴吐出装置が対象とするワークは板状部材に限らずいかなるものでもよく、例えばレンズをワークとし、このレンズに液滴を吐出することにより光学薄膜等のコーティングを形成する液滴吐出装置などにも適用することができる。また、本発明は、比較的大型のワーク(例えば、長さ、幅がそれぞれ数十cm〜数m程度のもの)にも対応することができる比較的大型の液滴吐出装置1に特に好ましく適用することができる。
【0021】
この液滴吐出装置1は、装置本体2と、基板搬送テーブル(ワーク載置部)3と、複数の液滴吐出ヘッド(インクジェットヘッド)111を有するヘッドユニット11と、描画前フラッシングユニット7と、液滴吐出ヘッド111のメンテナンスをするメンテナンス装置12と、タンク収納部13と、基板Wにガスを吹き付けるブロー装置14と、基板搬送テーブル3の移動距離を測定するレーザー測長器15と、制御装置16と、排液装置18と、ドット抜け検出ユニット19とを備えている。
【0022】
液滴吐出ヘッド111から吐出する液体としては、特に限定されず、カラーフィルタのフィルタ材料を含むインクの他、例えば以下のような各種の材料を含む液体(サスペンション、エマルション等の分散液を含む)とすることができる。・有機EL(electroluminescence)表示装置におけるEL発光層を形成するための発光材料。・電子放出装置における電極上に蛍光体を形成するための蛍光材料。・PDP(Plasma Display Panel)装置における蛍光体を形成するための蛍光材料。・電気泳動表示装置における泳動体を形成する泳動体材料。・基板Wの表面にバンクを形成するためのバンク材料。・各種コーティング材料。・電極を形成するための液状電極材料。・2枚の基板間に微小なセルギャップを構成するためのスペーサを構成する粒子材料。・金属配線を形成するための液状金属材料。・マイクロレンズを形成するためのレンズ材料。・レジスト材料。・光拡散体を形成するための光拡散材料。
【0023】
図2に示すように、装置本体2は、床上に設置された架台21と、架台21上に設置された石定盤22とを有している。石定盤22の上には、基板搬送テーブル3が装置本体2に対しY軸方向に移動可能に設置されている。基板搬送テーブル3は、リニアモータ51の駆動により、Y軸方向に前進・後退する。この基板搬送テーブル3は、平面視で、Y軸方向に沿って延びる辺とX軸方向に沿って延びる辺とを有するほぼ長方形の外形をなしている。基板Wは、基板搬送テーブル3上に載置される。
【0024】
液滴吐出装置1では、基板搬送テーブル3と同程度の大きさの比較的大型の基板Wから、基板搬送テーブル3より小さい比較的小型の基板Wまで、様々な大きさおよび形状の基板Wを対象にすることができる。基板Wは、原則としては基板搬送テーブル3と中心を一致させるように位置決めした状態で液滴吐出動作をすることが好ましいが、比較的小型の基板Wの場合には、基板搬送テーブル3の端に寄せた位置に位置決めして液滴吐出動作をしてもよい。
【0025】
図1に示すように、基板搬送テーブル3のX軸方向(副走査方向)に沿って延びる2つの辺の近傍には、それぞれ、液滴吐出ヘッド111が基板Wに対して液滴を吐出する前(主走査を行う前)に捨て吐出(フラッシングまたは予備吐出ともいう)した液体(液滴)を受ける(受け取る)描画前フラッシング用液受け部(第1の捨て吐出用液受け部)71を有する描画前フラッシングユニット7が設置されている。描画前フラッシング用液受け部71には、排液装置18のチューブ701が接続されており、捨て吐出された吐出液は、このチューブ701を通って回収される。なお、描画前フラッシングユニット7および排液装置18については、後に詳述する。
【0026】
基板搬送テーブル3のY軸方向の移動距離は、移動距離検出手段としてのレーザー測長器15により測定される。レーザー測長器15は、装置本体2に設置されたレーザー測長器センサヘッド151、プリズム152およびレーザー測長器本体153と、基板搬送テーブル3に設置されたコーナーキューブ154とを有している。レーザー測長器センサヘッド151からX軸方向に沿って出射したレーザー光は、プリズム152で屈曲してY軸方向に進み、コーナーキューブ154に照射される。コーナーキューブ154での反射光は、プリズム152を経て、レーザー測長器センサヘッド151に戻る。液滴吐出装置1では、このようなレーザー測長器15によって検出された基板搬送テーブル3の移動距離(現在位置)に基づいて、液滴吐出ヘッド111からの吐出タイミングが生成される。
【0027】
また、装置本体2には、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ61が、基板搬送テーブル3の上方空間においてX軸方向に移動可能に設置されている。複数の液滴吐出ヘッド111を有するヘッドユニット11は、リニアモータとガイドとを備えたリニアモータアクチュエータ62の駆動により、メインキャリッジ61とともにX軸方向に前進・後退する。
【0028】
本実施形態の液滴吐出装置1では、液滴吐出ヘッド111のいわゆる主走査は、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動させながら、レーザー測長器15を用いて生成した吐出タイミングに基づき、液滴吐出ヘッド111を駆動して液滴を選択的に吐出することにより行う。また、これに対応して、いわゆる副走査は、液滴吐出ヘッド111の非駆動時(非吐出時)に、ヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)をX軸方向に段階的(間欠的)移動させることにより行う。
【0029】
また、装置本体2には、基板W上に吐出された液滴を乾燥させるブロー装置14が設置されている。ブロー装置14は、X軸方向に沿ってスリット状に開口するノズルを有しており、基板Wを基板搬送テーブル3によりY軸方向に搬送しつつ、このノズルより基板Wへ向けてガスを吹き付ける。本実施形態の液滴吐出装置1では、Y軸方向に互いに離れた個所に位置する2個のブロー装置14が設けられている。
【0030】
メンテナンス装置12は、架台21および石定盤22の側方に設置されている。このメンテナンス装置12は、ヘッドユニット11の待機時に液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット121と、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面をワイピングするクリーニングユニット122と、液滴吐出ヘッド111の定期的なフラッシングを受ける定期フラッシングユニット30と、重量測定ユニット125とを有している。
【0031】
また、メンテナンス装置12は、Y軸方向に移動可能な移動台124を有しており、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット30および重量測定ユニット125は、移動台124上にY軸方向に並んで設置されている。ヘッドユニット11がメンテナンス装置12の上方に移動した状態で移動台124がY軸方向に移動することにより、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット30および重量測定ユニット125のいずれかが液滴吐出ヘッド111の下方に位置し得るようになっている。ヘッドユニット11は、待機時(例えば、基板Wの給材・除材中など)にはメンテナンス装置12の上方に移動し、キャッピング、クリーニング(ワイピング)および定期フラッシングを所定の順番で行う。
【0032】
本実施形態では、キャッピングユニット121、クリーニングユニット122、定期フラッシングユニット30および重量測定ユニット125がY軸方向に移動可能に設けられていることにより、これらを極力少ないスペースに効率良く配置することができ、液滴吐出装置1の小型化(省スペース化)が図れる。
キャッピングユニット121は、複数の液滴吐出ヘッド111のそれぞれに対応するように配置された複数のキャップとこれらキャップを昇降させる昇降機構とを有している。各キャップには、吸引チューブ(図示せず)が接続されており、キャッピングユニット121は、各キャップで各液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を覆うとともに、ノズル形成面に形成されたノズルから吐出液を吸引することができる。このようなキャッピングを行うことにより、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面が乾燥するのを防止したり、ノズル詰まりを回復(解消)したりすることができる。
【0033】
キャッピングユニット121によるキャッピングは、ヘッドユニット11の待機時や、ヘッドユニット11に吐出液を初期充填する際、吐出液を異種のものに交換する場合にヘッドユニット11から吐出液を排出する際、洗浄液によって流路を洗浄する際などに行われる。
キャッピングユニット121によるキャッピング中に液滴吐出ヘッド111から排出された吐出液は、前記吸引チューブを通り、後述するキャッピング排液装置17により回収され、再利用に供される。ただし、流路の洗浄時に回収した洗浄液は再利用しない。
クリーニングユニット122は、洗浄液(例えば、吐出液を溶解可能な溶剤など)を含ませたワイピングシートをローラーにより走行させ、このワイピングシートにより液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取り、清掃するよう作動するものである。
【0034】
定期フラッシングユニット30は、定期フラッシング用液受け部(第2の捨て吐出用液受け部)301を有している。定期フラッシングユニット30は、ヘッドユニット11の待機時の液滴吐出ヘッド111が捨て吐出した液体(液滴)を定期フラッシング用液受け部301で受けるものである。定期フラッシング用液受け部301には、排液装置18のチューブ702が接続されており、捨て吐出された吐出液は、このチューブ702を通って回収される。
【0035】
重量測定ユニット125は、基板Wに対する液滴吐出動作の準備段階として、液滴吐出ヘッド111からの1回の液滴吐出量(重量)を測定するのに利用するものである。すなわち、基板Wに対する液滴吐出動作前、ヘッドユニット11は、重量測定ユニット125の上方に移動し、各液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルから1回または複数回液滴を重量測定ユニット125に対し吐出する。重量測定ユニット125は、吐出された液滴を受ける液受けと、電子天秤等の重量計とを備えており、吐出された液滴の重量を計測する。または、液受けを取り外して装置外部の重量計で計測してもよい。後述する制御装置16は、その重量計測結果に基づいて、吐出ノズルにおける1回の吐出液滴の量(重量)を算出し、その算出値が予め定められた設計値に等しくなるように、液滴吐出ヘッド111を駆動するヘッドドライバの印加電圧を補正する。
【0036】
ドット抜け検出ユニット19は、石定盤22上における基板搬送テーブル3の移動領域と重ならない場所であって、ヘッドユニット11の移動領域の下方に位置する場所に固定的に設置されている。ドット抜け検出ユニット19は、液滴吐出ヘッド111の吐出ノズルの目詰まりが原因となって生じるドット抜けの有無を検査(検出)するドット抜け検査(吐出確認検査)を行うものである。ドット抜け検出ユニット19は、例えばレーザー光を投光・受光する投光部および受光部と、ドット抜け検査用液受け部191とを備えている。
【0037】
ドット抜け検査を行う際には、ヘッドユニット11がドット抜け検出ユニット19の上方空間をX軸方向に移動しつつ、各液滴吐出ヘッド111の各吐出ノズルから液滴を吐出する。ドット抜け検出ユニット19は、この吐出された液滴に対し投光・受光を行って、目詰まりしている吐出ノズルの有無および個所を光学的に検出する。このドット抜け検査の際に液滴吐出ヘッド111から吐出された液体(液滴)は、ドット抜け検査用液受け部191で受けられる。
【0038】
ドット抜け検査用液受け部191には、排液装置18のチューブ703が接続されており、捨て吐出された吐出液は、このチューブ703を通って回収される。
なお、ドット抜け検査は、具体的には例えば特開2002−192740号公報に記載された方法によって行うことができるが、これに限定されず、いかなる方法で行われるものでもよい。
【0039】
装置本体2およびメンテナンス装置12の近傍には、ラック(棚)131を有するタンク収納部13が設置されている。図9に示すように、タンク収納部13のラック131には、液滴吐出ヘッド111から吐出する吐出液を貯留する第1の一次タンク401および第2の一次タンク402と、クリーニングユニット122に供給する洗浄液を貯留する第1の洗浄液タンク501および第2の洗浄液タンク502と、キャッピングユニット121から回収された排液を貯留する第1の再利用タンク171および第2の再利用タンク172と、描画前フラッシングユニット7、定期フラッシングユニット30およびドット抜け検出ユニット19において液滴吐出ヘッド111より捨て吐出された排液を貯留する第1の排液タンク181および第2の排液タンク182(図9中では図示を省略)とがそれぞれ設置(収納)されている。
【0040】
第1の一次タンク401、第2の一次タンク402は、それぞれ、空になったときに吐出液を補充したり、満杯になっているタンクに交換したりすることができるようになっている。なお、第1の一次タンク401および第2の一次タンク402は、交換(着脱)と、吐出液の補充との少なくとも一方が行えるようになっていればよい。
同様に、第1の洗浄液タンク501、第2の洗浄液タンク502も、それぞれ、交換または洗浄液の補充を行うことができるようになっている。また、第1の再利用タンク171、第2の再利用タンク172、第1の排液タンク181および第2の排液タンク182は、それぞれ、満杯になったときに空のタンクへの交換または排液の抜き取りを行うことができるようになっている。
【0041】
制御装置(制御手段)16は、液滴吐出装置1の各部の作動を制御するものであり、CPU(Central Processing Unit)と、液滴吐出装置1の制御動作を実行するためのプログラム等の各種プログラムおよび各種データを記憶(格納)する記憶部とを有している。図示の構成では、制御装置16は、後述するチャンバ91の外部に設置されている。
【0042】
このような液滴吐出装置1(制御装置16を除く)は、タンク収納部13を含めて、好ましくは、内部の温度および湿度が管理されるチャンバ91に収容(収納)されている。すなわち、液滴吐出装置1は、温度および湿度が管理された環境下で稼動する。これにより、基板W上に吐出液滴によるパターンを形成(描画)するに当たり、液滴吐出装置1の各部や基板Wが温度変化によって熱膨張・熱収縮することによる誤差を生じるのを防止することができるので、高い精度でパターンの形成(描画)を行うことができる。
【0043】
また、第1の一次タンク401および第2の一次タンク402に貯留された吐出液の温度が管理(調節)される結果、吐出液の粘度等の特性が安定することから、液滴吐出ヘッド111からの液滴吐出状態が安定するので、さらに高い精度でパターンの形成(描画)を行うことができる。また、チャンバ91内へのチリ、ホコリ等の侵入を防止することもでき、基板Wを清浄に維持した状態でパターンの形成(描画)を行うことができる。
【0044】
チャンバ91は、主室(第1の部屋)913と、副室(第2の部屋)916とを有している。主室913と副室916とは、隔壁914および915により隔てられている。主室913内には、液滴吐出装置1が収容されており、副室916内には、タンク収納部13が収容されている。すなわち、第1の一次タンク401および第2の一次タンク402は、チャンバ91内において液滴吐出装置1と別個の部屋である副室916に収容されている。
【0045】
副室916には、チャンバ91の外部に対する開閉扉(開閉部)918が設けられている(図1参照)。なお、副室916の開閉部は、開閉扉918のような開き戸に限らず、引き戸、シャッターなどでもよい。また、隔壁914には、主室913と副室916とを連通する連通部(開口)917が形成されている。また、副室916には、副室916内の気体を排出する排気口が形成され、この排気口には、外部へ延びる排気ダクト94が接続されている。
【0046】
このようなチャンバ91を備えるチャンバ装置9は、さらに、チャンバ91内の温度および湿度を調節(管理)する空調装置92を備えている。空調装置92は、公知のエアーコンディショナー装置を内蔵しており、温度および湿度を調節した空気(気体)を導入ダクト93を通してチャンバ91の天井裏911に送り込む。天井裏911に送り込まれた空気は、フィルタ912を透過して、チャンバ91の主室913に導入される。主室913内に導入された空気は、連通部917を通って副室916に流入し、副室916内を経由して排気ダクト94(排気口)により外部へと排出される。
【0047】
このような構成により、空調装置92によって温度および湿度が調節された空気が主室913および副室916の隅々まで確実に流入するので、簡単な構造で、液滴吐出装置1の周囲と、第1の一次タンク401および第2の一次タンク402の周囲との双方の温度および湿度を管理することができる。また、吐出液から発生する有害ガスをチャンバ91の外部に排出することができ、安全性が高い。
【0048】
本実施形態では、第1の一次タンク401、第2の一次タンク402の交換や吐出液の補充を行う際には、開閉扉918を開くことにより、主室913を外部に開放することなく、これを行うことができる。これにより、一次タンクの交換時や吐出液の補充時に、液滴吐出装置1の周囲(環境)の管理された温度および湿度を乱すことがないので、一次タンクの交換や吐出液の補充を行った直後でも、高い精度でパターンの形成(描画)を行うことができる。また、一次タンクの交換や吐出液の補充を行った後、主室913内の温度や液滴吐出装置1の各部の温度が管理された値に戻るのを待たずに済むので、スループット(生産能率)の向上が図れる。このようなことから、基板W等のワークを高い精度で量産するのに極めて有利であり、製造コストの低減が図れる。
【0049】
また、本実施形態では、洗浄液タンクの交換、洗浄液の補充、再利用タンクおよび排液タンクの交換または液体の抜き取り等の作業を行う場合でも、同様に、液滴吐出装置1の周囲(環境)の管理された温度および湿度を乱すことがないので、その作業の直後から高い精度でパターンの形成(描画)を行うことができ、スループット(生産能率)のさらなる向上が図れる。
【0050】
なお、排気ダクト94には、好ましくは流速センサ(図示せず)が設置されている。制御装置16は、この流速センサの検出結果に基づいて、常時、必要排気量が確保されているか監視しており、異常があった場合には、警報音、音声、操作パネル(図示せず)への表示などの方法により、その旨をオペレータに報知する。
【0051】
また、チャンバ91内には、空気以外のガス(例えば窒素、二酸化炭素、ヘリウム、ネオン、アルゴン、クリプトン、キセノン、ラドン等の不活性ガスなど)を温度および湿度を調節して供給・充填し、このガスの雰囲気中で液滴吐出装置1を稼動することとしてもよい。
また、副室916に設けられた外部に対する開閉部は、戸が二重または三重以上になっていて、それらの戸と戸の間に別個の部屋(空間)が形成されるようなものでもよい。
また、チャンバ91は、その内部の温度、湿度のいずれか一方が管理(調節)されるものであればよい。
また、本実施形態では、一次タンクを2個備えているが、一次タンクは、1個でも3個以上でもよい(他のタンクについても同様)。
【0052】
図3は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す平面図、図4は、図1および図2に示す液滴吐出装置における架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す側面図である。なお、図3および図4中では、描画前フラッシングユニット7の図示を省略する。
図3および図4に示すように、石定盤22の上には、基板搬送テーブル3と、基板搬送テーブル3をY軸方向に移動させるY軸方向移動機構5とが設置されている。図3に示すように、基板搬送テーブル3には、載置された基板Wを吸着して固定するための複数の吸引口(吸引部)332が形成されている。
【0053】
図4に示すように、Y軸方向移動機構5は、リニアモータ51と、エアスライダ52とを有している。エアスライダ52は、石定盤22上でY軸方向に沿って延在するスライドガイド521と、このスライドガイド521に沿って移動するスライドブロック522とを有している。スライドブロック522は、スライドガイド521との間に空気を吹き出す吹き出し口を有しており、この吹き出し口から吹き出す空気をスライドガイド521との間に介在させることにより、円滑に移動可能になっている。
【0054】
スライドブロック522上には、基板搬送テーブル3および描画前フラッシングユニット7(描画前フラッシング用液受け部71)を支持する支持体(ベース)108が固定されている。この支持体108の上に、基板搬送テーブル3がθ軸回転機構60を介して固定されている。このようにして、基板搬送テーブル3は、エアスライダ52によってY軸方向に円滑に移動可能に支持され、リニアモータ51の駆動によりY軸方向に移動するようになっている。また、基板搬送テーブル3は、θ軸回転機構60により、基板搬送テーブル3の中心を通る鉛直方向の軸(以下、「θ軸」という)を回転中心として所定範囲で回転(回動)可能になっている。
【0055】
Y軸方向移動機構5の上方には、例えばステンレス鋼等の金属材料で構成された一対の帯状の薄板101がY軸方向移動機構5を上側から覆うように張り渡されている。薄板101は、支持体108の上面に形成された凹部(溝)内を通って支持体108とθ軸回転機構60との間を挿通している。この薄板101が設けられていることにより、液滴吐出ヘッド111から吐出された吐出液がY軸方向移動機構5に付着するのを防止することができ、Y軸方向移動機構5を保護することができる。
【0056】
石定盤22は、無垢の石材(例えば、ベルファストブラック、ラステンバーグ、クルヌール、インディアンブラック等)で構成され、その上面は、高い平面度を有している。この石定盤22は、環境温度変化に対する安定性、振動に対する減衰性、経年変化(劣化)に対する安定性、吐出液に対する耐食性等の各種の特性に優れている。本実施形態では、このような石定盤22によってY軸方向移動機構5および後述するX軸方向移動機構6を支持したことにより、環境温度変化、振動、経年変化(劣化)等の影響による誤差が少なく、基板搬送テーブル3とヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)との相対的な移動に高い精度が得られるとともに、その高い精度を常に安定して維持することができる。その結果、吐出液滴によるパターンの形成(描画)を高い精度で、かつ常に安定して行うことができる。
【0057】
このような石定盤22は、架台21に支持されている。架台21は、アングル材等を方形に組んで構成された枠体211と、枠体211の下部に分散配置された複数の支持脚212とを有している。架台21は、好ましくは空気バネまたはゴムブッシュ等による防振構造を有しており、床からの振動を石定盤22に極力伝達しないように構成されている。
【0058】
図5は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図、図6は、図5中の矢印A方向から見た側面図、図7は、図5中の矢印B方向から見た正面図である。
図6および図7に示すように、石定盤22の上には、4本の支柱23と、これらの支柱23に支持されたX軸方向に沿って延びる互いに平行な2本の桁(梁)24および25とが設置されている。基板搬送テーブル3は、桁24および25の下を通過可能になっている。
【0059】
液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)をX軸方向に移動させるX軸方向移動機構6は、桁24および25を介して、4本の支柱23に支持されている。図5に示すように、X軸方向移動機構6は、ヘッドユニット11を支持するメインキャリッジ61と、桁24上に設置され、メインキャリッジ61をX軸方向に案内するとともに駆動するリニアモータアクチュエータ62と、桁25上に設置され、メインキャリッジ61をX軸方向に案内するガイド63とを有している。メインキャリッジ61は、リニアモータアクチュエータ62とガイド63との間に架け渡されるようにして設置されている。
なお、本実施形態では、Y軸方向移動機構5と、X軸方向移動機構6とで、基板搬送テーブル3と液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)とを相対的に移動させる相対移動機構が構成される。
【0060】
ヘッドユニット11は、メインキャリッジ61に対し着脱可能に支持されている。ヘッドユニット11がメインキャリッジ61とともにX軸方向に移動することにより、液滴吐出ヘッド111の副走査が行われる。また、ヘッドユニット11は、メインキャリッジ61に対するヘッドユニット11の高さを調整する高さ調整機構20を介してメインキャリッジ61に支持されている。これにより、基板Wの厚さに合わせて、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面と基板Wとの隙間を調整することができる。
【0061】
リニアモータアクチュエータ62とガイド63との間には、さらに、カメラキャリッジ106が架け渡されるようにして設置されている。カメラキャリッジ106は、リニアモータアクチュエータ62およびガイド63をメインキャリッジ61と共用するとともに、メインキャリッジ61と独立してX軸方向に移動する。
カメラキャリッジ106には、基板Wの所定の個所に設けられたアライメントマークを画像認識するための認識カメラ107が設置されている。認識カメラ107は、カメラキャリッジ106から下方に吊り下げられた状態で支持されている。なお、認識カメラ107は、他の用途に用いてもよい。
【0062】
図8は、図1および図2に示す液滴吐出装置におけるヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を模式的に示す平面図である。図8に示すように、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面には、液滴が吐出される多数の吐出ノズル(開口)が一列または二列以上に並んで形成されている。液滴吐出ヘッド111は、電圧の印加により変位(変形)する圧電素子を有し、この圧電素子の変位(変形)を利用して、吐出ノズルに連通するように形成された圧力室(液室)内の圧力を変化させることよって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものである。なお、液滴吐出ヘッド111は、このような構成に限らず、例えば、吐出液をヒータで加熱して沸騰させ、その圧力によって液滴を吐出ノズルから吐出するように構成されたものなどでもよい。
【0063】
ヘッドユニット11には、この液滴吐出ヘッド111が複数個(以下の説明では12個として説明する)設置されている。これらの液滴吐出ヘッド111は、6個ずつ二列に副走査方向(X軸方向)に並ぶとともに、ノズル列が副走査方向に対し所定角度傾斜するような姿勢で配置されている。
なお、このような配列パターンは一例であり、例えば、各ヘッド列における隣接する液滴吐出ヘッド111同士を90°の角度を持って配置(隣接ヘッド同士が「ハ」字状)したり、各ヘッド列間における液滴吐出ヘッド111を90°の角度を持って配置(列間ヘッド同士が「ハ」字状)したりしてもよい。いずれにしても、複数個の液滴吐出ヘッド111の全吐出ノズルによるドットが副走査方向において連続していればよい。
さらに、液滴吐出ヘッド111は、副走査方向に対し傾斜した姿勢で設置されていなくてもよく、また、複数個の液滴吐出ヘッド111が千鳥状、階段状に配設されていてもよい。また、メインキャリッジ61に複数のヘッドユニット11が支持されていてもよい。
【0064】
ここで、制御装置16の制御による液滴吐出装置1の全体の作動について簡単に説明する。液滴吐出装置1が備える基板位置決め装置(説明省略)の作動により基板搬送テーブル3上に載置(給材)された基板Wが所定の位置に位置決め(プリアライメント)されると、基板搬送テーブル3の各吸引口332からのエアー吸引により、基板Wは、基板搬送テーブル3に吸着・固定される。次いで、基板搬送テーブル3およびカメラキャリッジ106がそれぞれ移動することにより、認識カメラ107が基板Wの所定の個所(1箇所または複数箇所)に設けられたアライメントマークの上方に移動し、このアライメントマークを認識する。この認識結果に基づいて、θ軸回転機構60が作動して基板Wのθ軸回りの角度が補正されるとともに、基板WのX軸方向およびY軸方向の位置補正がデータ上で行われる(本アライメント)。
以上のような基板Wのアライメント作業が完了すると、液滴吐出装置1は、基板W上に所定のパターンを形成(描画)する動作を開始する。この動作は、液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)を基板Wに対し主走査および副走査することにより行われる。
【0065】
本実施形態の液滴吐出装置1では、主走査は、ヘッドユニット11を装置本体2に対し停止した(移動しない)状態で、基板搬送テーブル3の移動により基板WをY軸方向に移動させながら、基板Wに対し各液滴吐出ヘッド111から液滴を吐出することにより行う。すなわち、本実施形態では、Y軸方向が主走査方向となる。
【0066】
この主走査は、基板搬送テーブル3の前進(往動)中に行っても、後退(復動)中に行っても、前進および後退の両方(往復)で行ってもよい。また、基板搬送テーブル3を複数回往復させて、複数回繰り返し行ってもよい。このような主走査により、基板W上の、所定の幅(ヘッドユニット11により吐出可能な幅)で主走査方向に沿って延びる領域に、液滴の吐出が終了する。
【0067】
このような主走査の後、副走査を行う。副走査は、液滴の非吐出時に、メインキャリッジ61の移動により、ヘッドユニット11を前記所定の幅の分だけX軸方向に移動させることにより行う。すなわち、本実施形態では、X軸方向が副走査方向となる。
このような副走査の後、前記と同様の主走査を行う。これにより、前回の主走査で液滴が吐出された領域に隣接する領域に対し、液滴が吐出される。
このようにして、主走査と副走査とを交互に繰り返し行うことにより、基板Wの全領域に対して液滴が吐出され、基板W上に、吐出された液滴(液体)による所定のパターンを形成(描画)することができる。
【0068】
なお、本発明では、主走査方向と副走査方向とは、上述したのと逆になっていてもよい。すなわち、基板W(基板搬送テーブル3)を停止させた状態で液滴吐出ヘッド111(ヘッドユニット11)をX軸方向に移動させながら基板Wに対して液滴を吐出することによって主走査を行い、液滴の非吐出時に基板W(基板搬送テーブル3)をY軸方向に移動させることによって副走査を行うように構成されていてもよい。
【0069】
図10は、図1および図2に示す液滴吐出装置における給液装置および排液装置を模式的に示す配管系統図、図11は、液量検出手段の構成を模式的に示す図である。以下、これらの図、図6および図9に基づいて、液滴吐出装置1における吐出液供給装置4、洗浄液供給装置50およびキャッピング排液装置17について説明する。
【0070】
まず、各液滴吐出ヘッド111から吐出する吐出液を供給する吐出液供給装置(給液装置)4について説明する。図10に示すように、吐出液供給装置4は、吐出液を貯留する一次タンク系40と、この一次タンク系40と後述する二次タンク412とを接続する1本の一次流路411とを有している。
本実施形態では、一次タンク系40は、吐出液を貯留する第1の一次タンク(吐出液タンク)401および第2の一次タンク(吐出液タンク)402と、第1の一次タンク401に接続された流出配管(流出流路)403と、第2の一次タンク402に接続された流出配管(流出流路)404と、三方弁(流路切り替え手段)405とを有している。なお、一次タンク系40は、図示の構成に限らず、一次タンクの個数が1個のみのものでも、3個以上のものでもよい。
【0071】
三方弁405には、一次流路411と、流出配管403および404とがそれぞれ接続されている。三方弁405は、一次流路411と流出配管403とを接続する状態と、一次流路411と流出配管404とを接続する状態とを切り替え可能になっている。これにより、第1の一次タンク401または第2の一次タンク402から選択的に吐出液を一次流路411に供給することができる。三方弁405は、アクチュエータ(図示せず)により、自動で切り替わるようになっている。
第1の一次タンク401、第2の一次タンク402の個々の容量は、特に限定されないが、交換作業の容易化と、吐出液供給装置4全体としての容量確保との両立を考慮する観点から、1〜10リットル程度であるのが好ましく、3〜5リットル程度であるのがより好ましい。
【0072】
また、吐出液供給装置4は、第1の一次タンク401および第2の一次タンク402内に加圧気体を供給する加圧手段406と、第1の一次タンク401に接続された加圧配管(加圧経路)407と、第2の一次タンク402に接続された加圧配管(加圧経路)408と、三方弁(加圧経路切り替え手段)409とをさらに有している。
【0073】
加圧手段406としては、例えば、加圧された窒素ガス等の気体を供給する加圧気体供給源が使用される。三方弁409には、加圧手段406からの配管(経路)410と、加圧配管407および408とがそれぞれ接続されている。三方弁409は、配管410と加圧配管407とを接続する状態と、配管410と加圧配管408とを接続する状態とを切り替え可能になっている。これにより、第1の一次タンク401または第2の一次タンク402の内部を加圧手段406により選択的に加圧することができる。三方弁409は、アクチュエータ(図示せず)により、自動で切り替わるようになっている。
【0074】
図6に示すように、二次タンク412は、メインキャリッジ61に対し固定的に設置されている。すなわち、二次タンク412は、メインキャリッジ61とともにX軸方向移動する。二次タンク412には、三方弁405から延びる一次流路411の他端が接続されており、一次タンク系40の吐出液は、一次流路411を通って二次タンク412内に流入する。
【0075】
一次流路411は、好ましくは可撓性を有するチューブで構成されている。この一次流路411の途中には、メインキャリッジ61とともに移動する二次タンク412の移動に合わせて一次流路411の二次タンク412側の部分が移動可能となるように一次流路411を中継する中継部413が設けられている。
二次タンク412とヘッドユニット11との間は、ヘッドユニット11が備える12個の液滴吐出ヘッド111の各々に対応する12本の二次流路414によって接続されている。すなわち、ヘッドユニット11には、各液滴吐出ヘッド111に対応する12個の流入口(接続口)112が設けられており、二次タンク412から延びる12本の二次流路414の他端は、それぞれ、各流入口112に接続されている。なお、図6中では、見易くするため、12本の二次流路414のうちの2本のみを図示する。図示の構成では、二次流路414は、可撓性を有するチューブで構成されているが、これに限らず、硬質な管体で構成されていてもよい。
【0076】
二次タンク412内は、図示しない圧力制御ユニット(負圧制御ユニット)によって、圧力が制御され、負圧になっている。二次タンク412内で圧力制御された吐出液は、各二次流路414を通って各液滴吐出ヘッド111に供給される。これにより、各液滴吐出ヘッド111に供給される吐出液の圧力が制御され、各液滴吐出ヘッド111の各吐出ノズルにおいて良好な液滴吐出状態が得られる。
【0077】
各二次流路414の途中には、流路を遮断可能な遮断弁415が設けられている。遮断弁415は、前記圧力制御ユニットが何らかの原因で機能しない場合、二次流路414の流路を遮断し、二次タンク412より低い位置にある液滴吐出ヘッド111に二次タンク412から吐出液が流れ続けて液滴吐出ヘッド111から漏出するのを防止する。
【0078】
図11(a)に示すように、吐出液供給装置4は、第1の一次タンク401の内部の液量を検出する液量検出手段416をさらに有している。液量検出手段416は、第1の一次タンク401の外部において鉛直方向に沿って設けられ、その内腔が第1の一次タンク401内に連通した光透過性を有するチューブ417と、第1の一次タンク401の底部付近においてチューブ417を挟んで対向するように設置された投光部418および受光部419とで構成されている。この液量検出手段416は、受光部419での受光光量の変化により、第1の一次タンク401内の液量が減少して所定の下限レベルE(空の状態)になったとき、これを検出することができる。液量検出手段416の検出結果は、制御装置16に入力される。
【0079】
また、吐出液供給装置4は、第2の一次タンク402の内部の液量を検出する同様の液量検出手段420を有している。液量検出手段420は、第2の一次タンク402内の液量が減少して所定の下限レベルEになったとき、これを検出し、その検出結果を制御装置16に入力する。
このような吐出液供給装置4は、図10に示す状態では、加圧手段406により第1の一次タンク401内が加圧され、この圧力により第1の一次タンク401内の吐出液は、流出配管403および一次流路411内を通って送出され、液滴吐出ヘッド111に供給される。
【0080】
そして、第1の一次タンク401内の吐出液が消費されていき、液量検出手段416が第1の一次タンク401が空になったのを検出すると、制御装置16は、その検出結果に基づいて、三方弁405および三方弁409をそれぞれ切り替える。これにより、加圧手段406が第2の一次タンク402内を加圧するとともに、この圧力により第2の一次タンク402内の吐出液が、流出配管404および一次流路411内を通って送出され、液滴吐出ヘッド111に供給される状態に切り替わる。
【0081】
第2の一次タンク402から吐出液が供給されている間に、作業者は、空になった第1の一次タンク401をラック131から取り外し、吐出液を再充填した後、ラック131に戻す。その後、液量検出手段420が第2の一次タンク402が空になったのを検出すると、制御装置16は、三方弁405および三方弁409をそれぞれ切り替え、第1の一次タンク401から吐出液を供給する状態に切り替える。そして、第1の一次タンク401から吐出液が供給されている間に、作業者は、空になった第2の一次タンク402をラック131から取り外して吐出液を再充填する。
【0082】
制御装置16は、第1の一次タンク401が空になったとき、および、第2の一次タンク402が空になったときには、それぞれ、その旨を報知し、タンクの交換(吐出液の補充)を作業者に促すのが好ましい。この報知の方法としては、操作パネル(図示せず)に文字または図形などを表示したり、音または音声を出したりする方法が挙げられる。また、第1の一次タンク401が空になったときと、第2の一次タンク402が空になったときとで、報知のための文字、図形、音または音声等を異ならせ、いずれの一次タンクが空になったのかが分かるようにするのが好ましい。
【0083】
次に、液滴吐出ヘッド111のクリーニングを行うクリーニングユニット(クリーニング装置)122で用いる洗浄液を供給する洗浄液供給装置(給液装置)50について説明するが、前記吐出液供給装置4と同様の事項については説明を省略する。図10に示すように、洗浄液供給装置50は、ラック131に着脱可能に設置された、洗浄液を貯留する第1の洗浄液タンク501および第2の洗浄液タンク502と、第1の洗浄液タンク501に接続された流出配管(流出流路)503と、第2の洗浄液タンク502に接続された流出配管(流出流路)504と、流出配管503および504とクリーニングユニット122への給液配管(給液流路)511とがそれぞれ接続された三方弁(流路切り替え手段)505と、第1の洗浄液タンク501および第2の一次タンク502内に加圧気体を供給する加圧手段506と、第1の洗浄液タンク501に接続された加圧配管(加圧経路)507と、第2の洗浄液タンク502に接続された加圧配管(加圧経路)508と、加圧配管507および508と加圧手段506からの配管(経路)510とがそれぞれ接続された三方弁(加圧経路切り替え手段)509と、第1の洗浄液タンク501および第2の洗浄液タンク502の残液量を検出する液量検出手段(図示せず)とを有している。
【0084】
加圧手段506としては、例えば、加圧された窒素ガス等の気体を供給する加圧気体供給源が使用される。また、加圧手段406と加圧手段506とを別個に設けず、共用してもよい。給液流路511からクリーニングユニット122へ供給された洗浄液は、クリーニングユニット122に設置されたノズルより噴射され、液滴吐出ヘッド111のノズル形成面を拭き取るワイピングシートに含浸する。
このような洗浄液供給装置50は、吐出液供給装置4と同様に、三方弁505および509の切り替えにより、第1の洗浄液タンク501、第2の洗浄液タンク502の2つを切り替えながら使用する。
【0085】
次に、液滴吐出ヘッド111をキャッピングするキャッピングユニット(キャッピング装置)121からの排液(吐出液)を回収するキャッピング排液装置17について説明するが、前記吐出液供給装置4と同様の事項については説明を省略する。図10に示すように、キャッピング排液装置17は、ラック131に着脱可能に設置された、キャッピングユニット121から回収した排液を貯留する第1の排液タンク171および第2の排液タンク172と、第1の排液タンク171に接続された流入配管(流入流路)173と、第2の排液タンク172に接続された流入配管(流入流路)174と、三方弁(流路切り替え手段)175とを有している。三方弁175には、キャッピングユニット121からの排液配管(排液流路)176と、流入配管173および174とがそれぞれ接続されている。三方弁175は、排液配管176と流入配管173とを接続する状態と、排液配管176と流入配管174とを接続する状態とを切り替え可能になっている。これにより、キャッピングユニット121からの排液を第1の排液タンク171または第2の排液タンク172内に選択的に導入することができる。三方弁175は、アクチュエータ(図示せず)により、自動で切り替わるようになっている。
【0086】
図11(b)に示すように、キャッピング排液装置17は、第1の排液タンク171の内部の液量を検出する液量検出手段177aをさらに有している。液量検出手段177aは、第1の排液タンク171の外部において鉛直方向に沿って設けられ、その内腔が第1の排液タンク171内に連通した光透過性を有するチューブ178と、第1の排液タンク171の頂部付近においてチューブ178を挟んで対向するように設置された投光部179および受光部170とで構成されている。この液量検出手段177aは、受光部170での受光光量の変化により、第1の排液タンク171内の液量が増大して所定の上限レベルF(満杯の状態)になったとき、これを検出することができる。液量検出手段177aの検出結果は、制御装置16に入力される。また、キャッピング排液装置17は、第2の排液タンク172の内部の液量を検出する前記液量検出手段177aと同様の液量検出手段177bをさらに有している。
【0087】
このようなキャッピング排液装置17では、図10に示す状態では、キャッピングユニット121からの排液は、図示しない吸引ポンプに吸引され、第1の排液タンク171内に導入される。そして、第1の排液タンク171内の排液が蓄積していき、液量検出手段177aが第1の排液タンク171が満杯になったのを検出すると、制御装置16は、その検出結果に基づいて、三方弁175を切り替え、排液が第2の排液タンク172内に導入される状態に切り替える。
【0088】
制御装置16は、第1の排液タンク171が満杯になったとき、および、第2の排液タンク172が満杯になったときには、それぞれ、その旨を例えば前記と同様の方法で報知し、タンクの交換(排液の回収)を作業者に促すのが好ましい。キャッピング排液装置17により回収された排液は、比較的清浄な状態の吐出液であるので、再利用に供される。
【0089】
図12および図13は、それぞれ、図3中の矢印Dで示す部分を拡大して示す一部切欠き側面図である。以下、これらの図に基づいて、基板搬送テーブル3の構成について詳細に説明する。
これらの図に示すように、基板搬送テーブル3は、基台36と、基台36上に設置された複数のブロック33と、基台36上に設置された複数のボールリフト装置34とを有している。基台36は、第1の板31と、第1の板31の下面側に重ねて接合された第2の板32とで構成されている。
複数のブロック33は、基台36上で、互いに間隔を空けて行列状に並んで配置されている。これらのブロック33の上面は、基板Wが載置される(基板Wが当接する)載置面(当接面)331を構成する。
【0090】
各ブロック33には、載置された基板Wを負圧により吸着するための吸引部として、載置面331に開口する吸引口332が形成されている。
図示の構成では、9×11で99個のブロック33が設置されている(図14参照)。ブロック33の設置個数は、基板搬送テーブル3の大きさによってもその好ましい値は異なるが、通常、4〜400個程度であるのが好ましく、4〜100個程度であるのがより好ましい。
このようなブロック33が設けられていることにより、基板搬送テーブル3へ基板Wの給材(搬入)および除材(搬出)する際、基板Wと基台36との間に基板Wを支持する搬入治具が挿入可能な隙間(空間)が形成されるので、給材および除材を容易、円滑かつ迅速に行うことができる。
【0091】
複数のボールリフト装置34は、基台36上に、互いに間隔を空けて行列状に並んで配置されている(図14参照)。これら複数のボールリフト装置34は、互いに同様の構成であるので、1つのボールリフト装置34について代表して説明する。図12に示すように、ボールリフト装置34は、ブロック33より高さが低くされたハウジング341と、ハウジング341内に設けられた空気圧シリンダ(ボール昇降機構)342と、空気圧シリンダ342のピストンとしても機能するボール支持体343と、ボール支持体343に複数の小球(ベアリング)345を介して滑らかに回転可能に支持されたボール(球体)344とを有している。ボール344は、その上部がボール支持体343から露出した状態で支持されている。
【0092】
空気圧シリンダ342には、液滴吐出装置1の近傍(好ましくはチャンバ91の外)に設置された図示しないエアー供給源(圧力供給源)からの空気圧を供給する配管346が接続されている。Y軸方向に並ぶ1列の各ボールリフト装置34の各空気圧シリンダ342は、Y軸方向に並ぶハウジング341同士を連結する連結部348の内部に形成された通路347により互いに連通しており、1つの配管346によりY軸方向の1列のボールリフト装置34のすべてに空気圧が供給される。
空気圧シリンダ342の作動により、ボール344は、ボール支持体343とともに、ボール344の少なくとも一部が載置面331より上側に突出する上昇位置(図13に示す位置)と、ボール344の全体が載置面331より下側に退避する下降位置(図12に示す位置)とに昇降する。
【0093】
図13に示すように、ボールリフト装置34は、ボール344を上昇させることにより、各ボール344(基板Wの大きさが基板搬送テーブル3の大きさより小さいものである場合には、基板Wの領域内にあるボール344)で基板Wを持ち上げ、載置面331から離間した位置で基板Wを支持する。この状態では、基板Wが載置面331を擦ることがないとともにボール344が自由に回転するので、基板Wは、傷つくことなく基板搬送テーブル3上でY軸方向およびX軸方向に自由に移動(回転も含む)可能になる。なお、ボール344は、樹脂材料(例えばメラミン樹脂等)で構成されているのが好ましい。これにより、基板Wを傷つけることがより確実に防止される。
【0094】
本実施形態の基板搬送テーブル3では、図13に示す状態とすることにより、給材(搬入)された基板Wを基板搬送テーブル3上で動かして位置決め(プリアライメント)する工程を円滑、迅速かつ容易に行うことができる。そして、基板Wのプリアライメントの後、図12示す状態とすることにより、基板Wを載置面331に載置して吸引口332からのエアー吸引により基板Wを吸着・固定することができる。
【0095】
図示の構成では、8×11で88個のボールリフト装置34が設置されている。ボールリフト装置34の設置個数は、基板搬送テーブル3の大きさによってもその好ましい値は異なるが、通常、ブロック33の個数と同程度であるのが好ましい。また、ボールリフト装置34の最低個数としては、一直線上に並ばない少なくとも3つのボール344で基板Wを支持し得るように、一直線上に並ばないように配置された少なくとも3個のボールリフト装置34が設置されていればよい。
【0096】
図14は、基板搬送テーブルおよび描画前フラッシングユニットを示す平面図、図15および図16は、それぞれ、基板搬送テーブルおよび描画前フラッシングユニットを示す側面図、図17および図18は、それぞれ、図14中の矢印E方向から見た背面図、図19は、描画前フラッシングユニットの液受け部の横断面図(液受け部の長手方向に垂直な平面で切った断面図)である。以下、これらの図に基づいて、図1および図2に示す液滴吐出装置における描画前フラッシングユニットの構成について詳細に説明する。
【0097】
図14に示すように、基板搬送テーブル3における副走査方向(X軸方向)に沿って延びる互いに平行な二辺の近傍には、それぞれ、描画前フラッシングユニット7が設けられている。これらの描画前フラッシングユニット7は、Y軸方向移動機構5のスライドブロック522上に設置された支持体108に支持されており、基板搬送テーブル3とともにY軸方向に移動する。この2つの描画前フラッシングユニット7は、その構成が互いに同様であるので、以下ではその一方について代表して説明する。
【0098】
描画前フラッシングユニット7は、描画前フラッシング用液受け部71を有し、この描画前フラッシング用液受け部71は、基板搬送テーブル3のX軸方向に沿って延びる辺の近傍に、基板搬送テーブル3との間に隙間79を空けて非接触で設けられている。前述したような基板W上へのパターンの形成(描画)動作における主走査を行う際、液滴吐出ヘッド111は、描画前フラッシング用液受け部71が液滴吐出ヘッド111の下に移動して来たら、まずこの描画前フラッシング用液受け部71に対して捨て吐出を行い、さらに基板Wが液滴吐出ヘッド111の下に移動して来たら、所定のパターンを形成(描画)するための正規の液滴の吐出を基板Wに対して行う。
すなわち、液滴吐出ヘッド111は、基板Wに対する液滴の吐出を行う直前(主走査を行う直前)に、描画前フラッシング用液受け部71に対して捨て吐出を行う。このような描画前の捨て吐出を行う目的は、次のようなものである。
【0099】
一般に、液滴吐出ヘッド111は、液滴の吐出を休止してから吐出を再開するまでの時間が長くなると、液滴の吐出方向が乱れる、吐出量が多くなり過ぎる、吐出量が少なくなり過ぎる等の現象が起こり易くなり、液滴吐出動作が不安定になる傾向がある。すなわち、液滴吐出ヘッド111は、液滴の吐出を開始した直後は、吐出状態が安定せずにまっすぐ飛びにくい、吐出量が安定しない等の傾向がある。
【0100】
このため、基板Wに対して液滴を吐出する前(描画前)に、描画前フラッシング用液受け部71に対して捨て吐出をして、液滴吐出ヘッド111による液滴の吐出状態を安定させる。これにより、液滴吐出ヘッド111の適正な液滴吐出状態が得られ、この適正な液滴吐出状態で、基板Wに対するパターン形成(描画)を行うことができる。
【0101】
また、本発明では、捨て吐出を基板W上ではなく描画前フラッシング用液受け部71に対して行うので、基板Wの周縁部等に機能上不必要なパターンを形成(描画)するのを回避することができ、基板Wの全体を有効に利用することができるので、基板Wの無駄がなく、基板Wの製造コストの低減が図れる。
また、本実施形態では、描画前フラッシング用液受け部71が基板搬送テーブル3の互いに平行な二辺の近傍にそれぞれ設けられているので、主走査において基板W(基板搬送テーブル3)を前進(往動)させながら液滴を吐出する前と、後退(復動)させながら液滴を吐出する前との両方で捨て吐出を行うことができる。
【0102】
また、描画前フラッシング用液受け部71は、その近傍の基板搬送テーブル3の辺に沿って細長く形成され、その長さは、当該辺の長さとほぼ同じになっている。これにより、副走査によってヘッドユニット11(液滴吐出ヘッド111)がX軸方向に移動しても、液滴吐出ヘッド111と基板搬送テーブル3とのX軸方向の相対位置関係にかかわらず、描画前フラッシング用液受け部71で捨て吐出を受けることができる。また、描画前フラッシング用液受け部71が占有するスペースも少ない。
【0103】
図15に示すように、基板搬送テーブル3は、θ軸回転機構60を介して支持体108上に設置されている。θ軸回転機構60は、支持体108側に固定された固定部601と、基板搬送テーブル3側に固定された回転部602と、固定部601に対し基板搬送テーブル3側(回転部602側)を回動させるアクチュエータ(図示せず)とを有している。このようなθ軸回転機構60は、基板搬送テーブル3を基板搬送テーブル3の中心を通る鉛直方向のθ軸回りに所定範囲で回転(回動)させることができる。このθ軸回転機構60により基板搬送テーブル3のθ軸回りの姿勢(角度)を調整(微調整)することにより、基板搬送テーブル3上に載置された基板Wの姿勢がθ軸回りに斜めになっている場合、これを真っ直ぐな姿勢になるように正確に補正することができる。
【0104】
描画前フラッシングユニット7は、描画前フラッシング用液受け部71の下側に接合され描画前フラッシング用液受け部71を撓みなく保持するフレーム72と、フレーム72に固定された一対の支持脚73と、支持体108からX軸方向に外側に突出するように設置され、各支持脚73を支持する一対のブラケット74とをさらに有している。
【0105】
このように、基板搬送テーブル3は、θ軸回転機構60を介して支持体108に支持されており、描画前フラッシング用液受け部71は、ブラケット74を介して支持体108に支持されている。すなわち、基板搬送テーブル3および描画前フラッシング用液受け部71は、互いに非接触(離間状態)であり、支持体108にそれぞれ独立に支持されている。
【0106】
描画前フラッシング用液受け部71を基板搬送テーブル3の近傍に設置しようとする場合、単純には描画前フラッシング用液受け部71を基板搬送テーブル3に固定する構成が考えられる。これに対し、本実施形態では、基板搬送テーブル3と描画前フラッシング用液受け部71とを独立して支持する構成としたことにより、次のような利点がある。
【0107】
描画前フラッシング用液受け部71の荷重が基板搬送テーブル3にかからないので、描画前フラッシング用液受け部71の重みによって基板搬送テーブル3が下側に湾曲するように撓む(変形する)のを防止することができる。よって、基板搬送テーブル3の各載置面331の集合により形成される面の平面度等の精度を高く保つことができ、基板Wを高い平面度で支持することができる。その結果、基板W上へのパターンの形成(描画)をより高い精度で正確に行うことができる。特に、描画前フラッシング用液受け部71に液体が溜まってさらに重くなってきても、これにかかわらず、この効果を発揮することができる。
【0108】
また、描画前フラッシング用液受け部71は、θ軸回転機構60を介さずに支持体108に支持されている。これにより、θ軸回転機構60が基板搬送テーブル3のθ軸回りの姿勢(角度)を調整しても、描画前フラッシング用液受け部71のθ軸回りの姿勢(角度)は、変化せず、よって、液滴吐出ヘッド111が描画前に捨て吐出すべき位置を常に一定に保つことができる。
【0109】
これに対し、本実施形態と異なり、描画前フラッシング用液受け部71が基板搬送テーブル3とともに回転してしまう場合には、次のような不都合がある。すなわち、描画前フラッシング用液受け部71の位置がずれるので、これに合わせて液滴吐出ヘッド111が描画前に捨て吐出すべき位置を変更しなければならず、煩雑な制御を要する。あるいは、描画前フラッシング用液受け部71のY軸方向の幅の寸法を、位置ずれ分をカバーできるように大きくしなければならず、描画前フラッシングユニット7が重量増大および大型化するという問題を生じる。また、描画前フラッシング用液受け部71がθ軸回転機構60を介さずに基板搬送テーブル3と支持されていることにより、基板搬送テーブル3を回転させるときの慣性モーメントが小さいので、制御性が高く、基板搬送テーブル3のθ軸回りの角度調整をより高い精度で行うことができる。
【0110】
図17に示すように、各支持脚73は、各ブラケット74に対し昇降可能に支持されている。また、描画前フラッシングユニット7は、各ブラケット74に対し各支持脚73を昇降させる昇降装置としての一対の空気圧シリンダ75をさらに有している。各空気圧シリンダ75には、液滴吐出装置1の近傍(好ましくはチャンバ91の外)に設置された図示しないエアー供給源(圧力供給源)からの空気圧を供給する配管(図示せず)が接続されている。
本実施形態の描画前フラッシングユニット7では、支持脚73、ブラケット74および空気圧シリンダ75により、描画前フラッシング用液受け部71の高さを調整する高さ調整機構が構成され、空気圧シリンダ75を伸縮させることにより、描画前フラッシング用液受け部71の高さを調整することができる。
【0111】
図15および図17に示すように、描画前フラッシング用液受け部71の高さ調整機構は、描画前フラッシング用液受け部71が最上位置にあるとき、描画前フラッシング用液受け部71の上端の高さが基板搬送テーブル3の載置面331(ワーク載置面)の高さより高くなるように描画前フラッシング用液受け部71の高さを調整することができる。この状態とすることにより、描画前フラッシング用液受け部71の上端の高さが載置面331に載置された基板Wの上面の高さと同程度になるように調整可能である。換言すれば、描画前フラッシング用液受け部71の上端と液滴吐出ヘッド111(ノズル形成面)との隙間が十分に小さくなるようにすることができる。よって、液滴吐出ヘッド111から捨て吐出された液滴を周囲に飛散させることなく描画前フラッシング用液受け部71で受けることができる。
【0112】
図16および図18に示すように、描画前フラッシング用液受け部71の高さ調整機構は、描画前フラッシング用液受け部71が最下位置にあるとき、描画前フラッシング用液受け部71の上端の高さが基板搬送テーブル3の載置面331の高さより低くなるように描画前フラッシング用液受け部71の高さを調整することができる。基板Wを基板搬送テーブル3上に給材(搬入)および除材(搬出)する際には、この状態とすることにより、基板Wやこれを支持する搬入治具が描画前フラッシング用液受け部71に干渉(接触)するのを防止することができるので、基板Wの給材および除材を円滑、迅速かつ容易に行うことができ、また、給材工程および除材工程において基板Wを傷つけるようなことも防止することができる。
【0113】
また、描画前フラッシング用液受け部71の高さ調整機構は、ヘッドユニット11の高さ調整機構20により基板Wの厚さに応じて調節される液滴吐出ヘッド111の高さに合わせて描画前フラッシング用液受け部71の高さを調整することもできる。これにより、基板Wの厚さに応じて描画前フラッシング用液受け部71と液滴吐出ヘッド111との隙間を適正な大きさに調整することができ、基板Wの厚さによらず、液滴吐出ヘッド111から捨て吐出された液滴を周囲に飛散させることなく描画前フラッシング用液受け部71で受けることができる。
【0114】
図19に示すように、描画前フラッシング用液受け部71は、受け皿711と、受け皿711の凹部714を覆うように設置された液体を吸収し得る液体吸収体712と、液体吸収体712の縁部を押さえる押さえ部材713とを有している。液体吸収体712は、例えばスポンジなどで構成されており、捨て吐出された液滴は、まず、液体吸収体712に吸収される。これにより、捨て吐出された液滴が周囲に飛散するのをより確実に防止することができる。
【0115】
液体吸収体712に吸収された液体は、液体吸収体712を通過して、受け皿711の凹部714に溜まる。受け皿711の底部には、排液口(図示せず)が形成され、この排液口は、描画前フラッシング用液受け部71に接続されたチューブ701(図14〜図19中では図示せず)に連通している。描画前フラッシング用液受け部71が受けた液滴(液体)は、凹部714に溜まった後、チューブ701内を通って、後述する排液装置18により回収される。
【0116】
液体吸収体712は、液体をある程度吸収すると膨張するが、本実施形態では、押さえ部材713が膨張しようとする液体吸収体712を押さえ、この膨張を防止する。これにより、液体吸収体712が膨張して上側に膨らんで液滴吐出ヘッド111に接触してしまうのを確実に防止することができる。
なお、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191も、描画前フラッシング用液受け部71と同様に、例えばスポンジのような液体吸収体を有しているのが好ましい。これにより、受けた液滴(液体)が周囲に飛散するのをより確実に防止することができる。
さらに、キャッピングユニット121の各キャップ内にも、例えばスポンジのような液体吸収体が設置されているのが好ましい。これにより、キャップ内に液滴吐出ヘッド111から吐出された液体を、残らず迅速に、キャップに接続された吸引チューブへ排出することができる。
【0117】
図20は、図1および図2に示す液滴吐出装置における排液流路系、排液タンクおよびプロセスポンプを模式的に示す配管系統図である。以下、この図に基づいて、描画前フラッシングユニット7、定期フラッシングユニット30およびドット抜け検出ユニット19において液滴吐出ヘッド111より捨て吐出された排液(吐出液)を回収して貯留する排液装置18について説明するが、前述したキャッピング排液装置17と同様の事項については説明を省略する。
【0118】
図10に示すように、排液装置18は、ラック131に着脱可能に設置された(図9中には表れていない)第1の排液タンク181および第2の排液タンク182と、第1の排液タンク181に接続された流入配管(流入流路)183と、第2の排液タンク182に接続された流入配管(流入流路)184と、三方弁(流路切り替え手段)185と、排液流路系70と、排液流路系70の途中に設けられた流体を移送するプロセスポンプ(移送手段)187とを有している。
【0119】
また、第1の排液タンク181および第2の排液タンク182には、それぞれ、内部の液量を検出する前記液量検出手段177a、177bと同様の液量検出手段(図示せず)が設けられている。
なお、本実施形態の排液装置18は、第1の排液タンク181および第2の排液タンク182の2個の排液タンクを備えているが、本発明では、排液タンクの個数は1個でも3個以上でもよい。
【0120】
排液流路系70は、描画前フラッシング用液受け部71に接続されたチューブ(配管)701と、定期フラッシング用液受け部301に接続されたチューブ(配管)702と、ドット抜け検査用液受け部191に接続されたチューブ(配管)703と、三方弁(流路切り替え手段)704および705と、排液配管706とを有している。三方弁704、705および185は、図示しないアクチュエータを有し、制御装置16の制御に基づいて自動で切り替わるようになっている。
【0121】
チューブ701、702および703は、三方弁704および705を介して1つに合流し、排液配管706の一端に接続されている。排液配管706の他端は、三方弁185に接続され、三方弁185には、さらに流入配管183および184が接続されている。プロセスポンプ187は、排液配管706の途中に設置されており、排液配管706内の液体を第1の排液タンク181および第2の排液タンク182側に移送(送液)する。
【0122】
このような構成により、本発明では、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191で受けた液体は、排液流路系70によって回収(移送)され、第1の排液タンク181および第2の排液タンク182に共通して貯留される。これにより、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191に溜まった液体を拭き取ったり捨てたりする作業が不要であるので、液滴吐出装置1のオペレーターの労力を軽減することができ、また、その作業で液滴吐出装置1の稼動を停止する必要がないので、稼働率の向上が図れる。
【0123】
また、本発明では、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191に溜まった液体を拭き取ったり捨てたりする作業のためにチャンバ91内に立ち入る必要がないので、チャンバ91内の管理された温度や湿度を乱すことがなく、よって、基板W上へのパターンの形成(描画)を常に高い精度を保って行うことができる。また、チャンバ91を開けた後にチャンバ91内の温度や湿度が元に戻るのを待つこともないので、稼働率のさらなる向上が図れる。
【0124】
また、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191で受けた液体は、液体吸収体に触れるなどして異物(ゴミ)が混入していたり、外気に触れて溶媒が蒸発して濃度が変化していたりするので、通常はいずれも再利用せず廃棄されるものである。本発明では、これらの廃棄すべき液体が共通に第1の排液タンク181および第2の排液タンク182に貯留されるので、液体を廃棄する作業が1回で済む。よって、オペレーターの労力をさらに軽減することができる。また、この液体を再処理して再利用する場合であっても、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191で受けた液体は、互いに同じような状態になっているので、同様の状態の液体が1箇所に回収されることになって合理的であり、オペレーターの負担を軽減することができる。
このようなことから、本発明では、基板Wのような製造物の大幅なコスト低減が図れる。
【0125】
また、本実施形態の排液流路系70は、三方弁704および705の切り替えにより、描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191のうちから選択的に液体を回収することができる。これにより、1台のプロセスポンプ187を用いて描画前フラッシング用液受け部71、定期フラッシング用液受け部301およびドット抜け検査用液受け部191のそれぞれから液体を吸引することができるので、プロセスポンプ187の設置台数を1台で済ますことができ、よって、装置の構造の簡素化および小型化が図れる。
また、本実施形態の排液装置18は、第1の排液タンク181、第2の排液タンク182の2つを切り替えながら使用するので、全体として大容量化が図れ、液滴吐出装置1の大型化に伴う排液量の増大に有効に対応することができる。
【0126】
排液流路系70のチューブ701は、チューブ703より可撓性の高いものであるのが好ましい。これは、次のような理由によるものである。
描画前フラッシング用液受け部71は、基板搬送テーブル3とともに移動するので、これに接続されたチューブ701は、基板搬送テーブル3の付近に設置されたケーブルベア(長尺体支持案内装置)102内に収納され、描画前フラッシング用液受け部71の移動に追従できるようにされている(図4参照)。よって、チューブ701は、ケーブルベア102の変位に伴って、繰り返し湾曲変形する。
これに対し、ドット抜け検査用液受け部191は、水平方向に移動しないように設けられているので、これに接続されたチューブ703は、繰り返し湾曲変形する必要はない。
【0127】
よって、チューブ701をチューブ703より可撓性の高いものとすることにより、チューブ701、703としてそれぞれの使用状態に適した種類(仕様)のチューブを選定することができ、合理的な設計となって、耐久性の向上や、製造コストの低減が図れる。
ここで、「チューブ701がチューブ703より可撓性が高い」とは、チューブ701がチューブ703に対し、曲げ剛性が小さい(柔軟性が高い)、許容最小曲率半径が小さい、繰り返しの湾曲に対する耐久性が高い、外径が細い、のうちの少なくとも1つを満足することを言う。
また、チューブ701の可撓性を高めるため、チューブ701として蛇腹状のチューブを用いてもよい。ただし、十分な可撓性が得られるものであれば、液体の通過抵抗を考慮して、チューブ701として通常の形状のチューブを用いるのが好ましい。
【0128】
以上、本発明の液滴吐出装置および液滴吐出システムを図示の実施形態について説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、液滴吐出装置を構成する各部は、同様の機能を発揮し得る任意の構成のものと置換することができる。また、任意の構成物が付加されていてもよい。
また、本発明の液滴吐出装置は、ヘッドユニット(液滴吐出ヘッド)を装置本体に対し固定とし、ワーク(ワーク載置部)をY軸方向およびX軸方向にそれぞれ移動させることにより、主走査および副走査を行うよう構成されたものでもよい。この場合、ワーク載置部の四辺の近傍にそれぞれ第1の捨て吐出用液受け部を設けてもよい。また、これと逆に、ワーク(ワーク載置部)を装置本体に対し固定とし、ヘッドユニット(液滴吐出ヘッド)をY軸方向およびX軸方向にそれぞれ移動させることにより、主走査および副走査を行うよう構成されたものでもよい。すなわち、本発明における液滴吐出装置は、ワーク載置部と液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる相対移動機構を備えるものであればよい。
また、Y軸方向移動機構、X軸方向移動機構は、リニアモータで駆動するものに代えて、例えばボールネジ(送りネジ)などで駆動するものでもよい。
【0129】
また、本発明の電気光学装置は、以上説明したような本発明の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする。本発明の電気光学装置の具体例としては、特に限定されないが、例えば、液晶表示装置、有機EL表示装置などが挙げられる。
また、本発明の電気光学装置の製造方法は、本発明の液滴吐出装置を用いることを特徴とする。本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、液晶表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色のフィルタ材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、基板上に多数のフィルタエレメントを配列してなるカラーフィルタを製造し、このカラーフィルタを用いて液晶表示装置を製造することができる。この他、本発明の電気光学装置の製造方法は、例えば、有機EL表示装置の製造方法に適用することができる。すなわち、各色の発光材料を含む液体を本発明の液滴吐出装置を用いて基板に対し選択的に吐出することにより、EL発光層を含む多数の絵素ピクセルを基板上に配列してなる有機EL表示装置を製造することができる。
また、本発明の電子機器は、前述したようにして製造された電気光学装置を備えることを特徴とする。本発明の電子機器の具体例としては、特に限定されないが、前述したようにして製造された液晶表示装置や有機EL表示装置を搭載したパーソナルコンピュータや携帯電話機などが挙げられる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す平面図。
【図2】本発明の液滴吐出装置の実施形態を示す側面図。
【図3】架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す平面図。
【図4】架台、石定盤および基板搬送テーブルを示す側面図。
【図5】ヘッドユニットおよびX軸方向移動機構を示す平面図。
【図6】図5中の矢印A方向から見た側面図。
【図7】図5中の矢印B方向から見た正面図。
【図8】ヘッドユニットの構成および液滴吐出動作を示す模式的平面図。
【図9】タンク収納部を示す斜視図。
【図10】給液装置および排液装置を模式的に示す配管系統図。
【図11】液量検出手段の構成を模式的に示す図。
【図12】図3中の矢印Dで示す部分を拡大して示す一部切欠き側面図。
【図13】図3中の矢印Dで示す部分を拡大して示す一部切欠き側面図。
【図14】基板搬送テーブルおよび描画前フラッシングユニットを示す平面図。
【図15】基板搬送テーブルおよび描画前フラッシングユニットを示す側面図。
【図16】基板搬送テーブルおよび描画前フラッシングユニットを示す側面図。
【図17】図14中の矢印E方向から見た背面図。
【図18】図14中の矢印E方向から見た背面図。
【図19】描画前フラッシングユニットの液受け部の横断面図。
【図20】排液流路系、排液タンクおよびプロセスポンプを模式的に示す配管系統図。
【符号の説明】
18……排液装置、181……第1の排液タンク、182……第2の排液タンク、183……流入配管、184……流入配管、185……三方弁、187……プロセスポンプ、70……排液流路系、701……チューブ、702……チューブ、703……チューブ、704……三方弁、705……三方弁、706……排液配管、71……描画前フラッシング用液受け部、191……ドット抜け検査用液受け部、301……定期フラッシング用液受け部

Claims (15)

  1. 装置本体と、
    ワークが載置されるワーク載置部と、
    前記ワーク載置部に載置されたワークに対して液滴を吐出する液滴吐出ヘッドと、
    前記ワーク載置部と前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させる相対移動機構と、
    前記ワーク載置部の近傍に設けられ、前記液滴吐出ヘッドが前記ワークに対し液滴を吐出する前に捨て吐出した液体を受ける第1の捨て吐出用液受け部と、
    前記液滴吐出ヘッドが待機時に捨て吐出した液体を受ける第2の捨て吐出用液受け部と、
    前記液滴吐出ヘッドのドット抜け検査を行う際に前記液滴吐出ヘッドから吐出した液体を受けるドット抜け検査用液受け部と、
    前記第1の捨て吐出用液受け部、前記第2の捨て吐出用液受け部および前記ドット抜け検査用液受け部で受けた液体をそれぞれ回収する排液流路系と、
    前記第1の捨て吐出用液受け部、前記第2の捨て吐出用液受け部および前記ドット抜け検査用液受け部から前記排液流路系を介して回収された液体を共通して貯留する排液タンクとを備えることを特徴とする液滴吐出装置。
  2. 前記ワーク載置部と前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから液滴を吐出することにより、前記ワークに所定のパターンを形成する請求項1に記載の液滴吐出装置。
  3. 前記相対移動機構は、前記ワーク載置部および前記第1の捨て吐出用液受け部を前記装置本体に対し水平な一方向(以下、「Y軸方向」と言う)に移動させるY軸方向移動機構と、前記液滴吐出ヘッドを前記装置本体に対し前記Y軸方向に垂直かつ水平な方向(以下、「X軸方向」と言う)に移動させるX軸方向移動機構とで構成される請求項1または2に記載の液滴吐出装置。
  4. 前記Y軸方向と前記X軸方向とのいずれか一方を主走査方向とし、他方を副走査方向として前記ワーク載置部と前記液滴吐出ヘッドとを相対的に移動させつつ前記液滴吐出ヘッドから前記ワークに対し液滴を吐出する請求項3に記載の液滴吐出装置。
  5. 前記第1の捨て吐出用液受け部は、前記ワーク載置部の前記副走査方向に沿って伸びる辺の近傍に設けられている請求項4に記載の液滴吐出装置。
  6. 前記第2の捨て吐出用液受け部は、前記Y軸方向に移動可能に設けられている請求項3ないし5のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  7. 前記ドット抜け検査用液受け部は、水平方向に移動しないように設けられている請求項1ないし6のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  8. 前記排液流路系は、前記第1の捨て吐出用液受け部に接続された第1のチューブと、前記ドット抜け検出用液受け部に接続された第2のチューブとを有し、前記第1のチューブは、前記第2のチューブより可撓性の高いものである請求項1ないし7のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  9. 前記排液流路系の途中に、流体を移送する移送手段を備える請求項1ないし8のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  10. 前記排液流路系は、流路を切り替える流路切り替え手段を有し、該流路切り替え手段の流路の切り替えにより、前記第1の捨て吐出用液受け部、前記第2の捨て吐出用液受け部および前記ドット抜け検査用液受け部のうちから選択的に液体を回収する請求項1ないし9のいずれかに記載の液滴吐出装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置と、前記液滴吐出装置を収容し、その内部の温度および/または湿度が管理されるチャンバとを備えることを特徴とする液滴吐出システム。
  12. 前記チャンバ内の温度および/または湿度を調節する空調装置を備える請求項11に記載の液滴吐出システム。
  13. 請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置を用いて製造されたことを特徴とする電気光学装置。
  14. 請求項1ないし10のいずれかに記載の液滴吐出装置を用いることを特徴とする電気光学装置の製造方法。
  15. 請求項13に記載の電気光学装置を備えることを特徴とする電子機器。
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