JP2004181290A - 磁性粒子攪拌装置及び攪拌方法 - Google Patents

磁性粒子攪拌装置及び攪拌方法 Download PDF

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Katsuyoshi Shimokawa
勝義 下川
Noriko Tamura
範子 田村
Tomohiro Tamura
具博 田村
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    • C12M27/00Means for mixing, agitating or circulating fluids in the vessel
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    • B01FMIXING, e.g. DISSOLVING, EMULSIFYING OR DISPERSING
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    • B01F2101/00Mixing characterised by the nature of the mixed materials or by the application field
    • B01F2101/23Mixing of laboratory samples e.g. in preparation of analysing or testing properties of materials

Abstract

【課題】如何なる容器に注入された溶液であっても磁性粒子を用いて確実に攪拌する。
【解決手段】液体を注入するための容器を載置するための架台部と、上記架台部の上部に配設され、上記容器に注入された液体に対して上方から磁界を印加する上部磁界発生部と、上記架台部の下部に配設され、上記容器に注入された液体に対して下方から磁界を印加する下部磁界発生部とを備え、上記上部磁界発生部及び下部磁界発生部は、上記架台部に載置された容器に対して位相の異なる周期で磁界をそれぞれ印加する。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、磁性粒子を用いて容器内に注入された液体を攪拌する磁性粒子攪拌装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、バイオサイエンス分野において磁性ビーズ等の磁性粒子を用いた研究手法が急速に普及しつつある。この磁性ビーズを用いた手法は、磁性体である磁性ビーズの表面を加工し、加工表面に結合する物質を、磁力により迅速に単離・精製する方法である。また、この磁性ビーズ表面の性質や加工手法を変えることで、プラスミドDNAの調製を行うこともできる。さらに、磁性ビーズの表面にpoly(T)を固定することで全量RNAからのpoly(A)RNAの回収を行うこともできる。その他、磁性ビーズを用いることによって、抗原、DNAや薬剤など様々な生体活性分子を単離することができる。
【0003】
また、磁性ビーズの用途としては、上述したような生体活性分子を表面に固定化することで医療用途及び診断用途、或いは標的細胞の分離用途等様々な用途に利用されている。
【0004】
この磁性ビーズを用いた実験手法は、試料溶液と磁性ビーズの攪拌に引き続き、磁石を利用して磁性ビーズを回収する方法が一般的である。具体的に特許文献1には、試料液体中に含まれる磁気吸引可能な粒子を容器底部近くに環状又は部分環状ペレットを形成するよう造形された磁石系を用いて分離する方法が開示されている。しかし、この方法では粒子を回収することはできても、試料溶液を攪拌することは容易でない。
【0005】
そこで、最近では、容器内の試料溶液中にノズルを差し込み、液体や気泡を吐出して粒子の攪拌を行った後、磁石を用いて磁性ビーズを回収する方法が採られ、この方法を自動化した自動核酸抽出装置がロボットとして製品化されている。磁気ビーズを用いた自動核酸抽出装置においては、例えば、市販の96穴容器(8x12列)を用い、複数の試料を同時に処理することで効率的な核酸抽出処理を実現している。
【0006】
しかしながら、この自動核酸抽出装置においては、96穴容器の各穴を複数同時に攪拌するための多チャンネル・ノズルを必要とするため、装置構成が複雑化、大型化することになり、その結果、コストも高くなるといった問題がある。さらに、自動核酸抽出装置においては、多チャンネル・ノズルの位置決めや吸排動作を正確に制御する必要もあるため、精密な機械構成及び制御装置のためのコストも高くなるといった問題がある。
【0007】
さらに、自動核酸抽出装置においては、使用する容器の種類に応じて多チャンネル・ノズルを固定して備え付ける場合が多く、使用態様が限定されてしまうといった問題がある。換言すると、自動核酸抽出装置においては、様々な容器を用いる場合には、その都度、使用する容器に応じて多チャンネル・ノズルを付け替える必要があり、操作が煩雑であるとともにコストも高くなるといった問題がある。
【0008】
【特許文献1】
特開平6−198214号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
そこで、本発明は、上述したような実状に鑑み、如何なる容器に注入された溶液であっても磁性粒子を用いて確実に攪拌することができ、簡易且つ低コストな磁性粒子撹拌装置を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述した目的を達成した本発明は以下を包含する。
(1)液体を注入するための容器を載置するための架台部と、上記架台部の上部に配設され、上記容器に注入された液体に対して上方から磁界を印加する上部磁界発生部と、上記架台部の下部に配設され、上記容器に注入された液体に対して下方から磁界を印加する下部磁界発生部とを備え、上記上部磁界発生部及び下部磁界発生部は、上記架台部に載置された容器に対して位相の異なる周期で磁界をそれぞれ印加することを特徴とする磁性粒子撹拌装置。
【0011】
(2) 上記上部磁界発生部及び上記下部磁界発生部を、上記架台部の面内方向に移動可能とする磁界発生部駆動装置を備えることを特徴とする(1)記載の磁性粒子撹拌装置。
【0012】
(3)上記架台部を、上記上部磁界発生部と上記下部磁界発生部との間に面内方向に移動可能とする架台部駆動装置を備えることを特徴とする(1)記載の磁性粒子撹拌装置。
【0013】
(4)上記上部磁界発生部と上記下部磁界発生部とのうちいずれか一方又は両方を上記架台部に対して接離可能とすることを特徴とする(2)又は(3)記載の磁性粒子撹拌装置。
【0014】
(5)上記上部磁界発生部及び下部磁界発生部は、上記架台部の面内方向に並列させた複数の電磁誘導装置をそれぞれ備え、これら複数の電磁誘導装置を並列方向に周期的にオン・オフ制御することを特徴とする(1)記載の磁性粒子撹拌装置。
【0015】
(6)上記上部磁界発生部と上記下部磁界発生部から生ずる磁界強度を制御する制御装置を備えることを特徴とする(1)記載の磁性粒子撹拌装置。
(7)液体及び当該液体内に加えられた磁性粒子とを有する容器に対して、当該容器の上方及び下方から位相の異なる周期で磁界をそれぞれ印加することを特徴とする液体攪拌方法。
【0016】
(8)上記容器に対して上方から印加する磁界を発生させる上部磁界発生部と、上記容器に対して下方から印加する磁界を発生させる下部磁界発生部との間に上記容器を取り付け、
上記上部磁界発生部及び上記下部磁界発生部の間で上記容器の面内方向に、上記容器又は上記上部磁界発生部及び上記下部磁界発生部を往復運動させることを特徴とする(7)記載の液体攪拌方法。
【0017】
(9)上記容器に対して上方から印加する磁界を発生させる上部磁界発生部と、上記容器に対して下方から印加する磁界を発生させる下部磁界発生部との間に上記容器を取り付け、
上記上部磁界発生部から上記容器の面内方向に強度の異なる磁界を周期的に発生させるとともに、上記下部磁界発生部から上記容器の面内方向に強度の異なる磁界を周期的に発生させることを特徴とする(7)記載の液体撹拌装置。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明を適用した磁性粒子撹拌装置は、例えば、図1乃至3に示すように、筐体1と、容器2を載置するための筐体1内部に配設された架台部3と、容器2の上方に配設された一対の上部磁界発生部4a,4bと、容器2の下方に配設された下部磁界発生部5とを備えている。本例では、容器2として、7行9列の63穴プレートを用いている。
【0019】
なお、図1乃至3に示した磁性粒子撹拌装置においては、架台部3上に2個の容器2を取り付けることができる。したがって、磁性粒子撹拌装置は、一対の上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5を、2個の容器2に対応するようにそれぞれ2個ずつ備えている。
【0020】
磁性粒子撹拌装置は、図1中「X方向」と示した矢印の方向(以下、単に「X方向」と呼ぶ)に架台部3を移動させるための架台部駆動装置を備えている。架台部駆動装置は、架台部3を固定する可動部材6と、軸状部材に所定のピッチでねじ切り加工が施されており可動部材6に螺合された可動用軸7と、可動用軸7に回転力を与える可動用モータ8とから構成されている。
【0021】
上部磁界発生部4a,4bは、所定の磁力を生ずる強磁性体から構成され、所定距離をおいてX方向に並列して配設されている。下部磁界発生部5は、所定の磁力を生ずる強磁性体から構成され、上部磁界発生部4a,4bの中間部に対向する位置に配設されている。
【0022】
7行9列の63穴プレートを容器2として用いた場合、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の容器2に対する対向面は、それぞれ7行1.5〜2列に相当する形状とする。
【0023】
磁性粒子撹拌装置は、図1中「Z方向」と示した矢印の方向に上部磁界発生部4a,4bを移動させるための上部位置決め装置を備えている。上部位置決め装置は、上部磁界発生部4a,4bを配設した上部スライドレール9と、上部スライドレール9の両端部に配設され上部スライドレール9を支持する一対の上部高さ調節移動部材10と、一対の上部高さ調節移動部材10にそれぞれ螺合された一対の上部高さ調節可動軸11と、一方の上部高さ調節可動軸11に回転力を与える上部高さ調節用モータ12と、一方の上部高さ調節可動軸11に与えられた回転力を他方の上部高さ調節可動軸11に伝達する上部ベルト13とを備える。
【0024】
磁性粒子撹拌装置は、図1中「Z方向」と示した矢印の方向に下部磁界発生部5を移動させるための下部位置決め装置を備えている。下部位置決め装置は、下部磁界発生部5を配設した下部スライドレール14と、下部スライドレール14の両端部に配設され下部スライドレール14を支持する一対の下部高さ調節移動部材15と、一対の下部高さ調節移動部材15にそれぞれ螺合された一対の下部高さ調節可動軸16と、一方の下部高さ調節可動軸15に回転力を与える下部高さ調節用モータ17と、一方の下部高さ調節可動軸15に与えられた回転力を他方の下部高さ調節可動軸15に伝達する下部ベルト18とを備える。
【0025】
磁性粒子撹拌装置は、架台部駆動装置の可動用モータ8と、上部位置決め装置の上部高さ調節用モータ12と、下部位置決め装置の下部高さ調節用モータ17を駆動制御する制御装置19を備えている。
【0026】
なお、磁性粒子撹拌装置は、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5を除く各部材を、非磁性材料を用いて作製することが好ましい。上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5を除く各部材を非磁性材料とすることによって、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5によって作り出される磁界のバランスを維持することができる。
【0027】
一方、容器2は、液体を注入するために区画されたものであれば特に限定されず、如何なる容器2であっても磁性粒子撹拌装置に用いることができる。すなわち、本例では容器2として7行9列の63穴プレートを例示したが、磁性粒子撹拌装置に用いる容器2としてはこれに限定されない。磁性粒子撹拌装置には、例えば、8行12列の96穴プレート、1の区画のみからなる試験管やチューブ等を用いることもできる。
【0028】
また、容器2は、各穴(63穴)に液体を注入する前或いは液体を注入した後、攪拌対象の液体が注入された穴内に磁性粒子を加える。磁性粒子とは、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5から生じた磁力によって液体内を移動可能なものであれば、如何なる材料、形状、粒径を有するものであっても良い。
【0029】
特に、磁性粒子としては、攪拌対象の液体の粘度等に応じて適宜選択されることが好ましい。例えば、磁性粒子の平均粒径は、攪拌対象の液体の粘度に応じて、10〜300μmの範囲から選ばれることが好ましく、20〜150μmの範囲から選ばれることがより好ましい。
【0030】
磁性粒子は、表面処理が施されたものであっても良い。表面処理としては、例えば、特定の生体関連物質との親和性が高い基質を固定する処理、表面の物理的状態(電荷、表面性、形状等を含む)を改変する処理、識別可能な色素や蛍光物質を含めた物質のコーティング処理等を挙げることができる。
【0031】
例えば、磁性粒子に対して特定の生体関連物質に対する親和性が高い基質を固定する表面処理を施すことによって、特定の生体関連物質を特異的に吸着することができたり、また、特定の生体関連物質の吸着効率を増大させることができたりする。また、磁性粒子に対して表面の物理的状態(電荷、表面性、形状等を含む)を改変する表面処理を施すことによって、生体関連物質の吸着効率を増大させることができる。
【0032】
以上のように構成された磁性粒子撹拌装置は、以下のようにして、容器2の各穴(63穴)に注入された液体を攪拌することができる。先ず、容器2の63穴に対して攪拌対象の液体を注入するとともに、所定量の磁性粒子を加える。磁性粒子の量としては、特に限定されないが、注入した液体の容積に対して0.5〜5%の範囲で加えることが好ましい。なお、容器2は蓋やシートで覆ってもよい。容器2を蓋やシートで覆うことによって、容器2に注入された液体の流出を防止する或いは隣接する穴の間における液体の混和を防止することができる。
【0033】
次に、容器2を磁性粒子撹拌装置の架台部3に載置する。このとき、容器2は、架台部3に対して固定して取り付けることが望ましい。容器2を架台部3に対して固定することによって、架台部3の移動に際して容器2の位置ずれを防止することができる。
【0034】
次に、上部位置決め装置及び下部位置決め装置を駆動して、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の位置決めを行う。これら上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5のZ方向における位置は、攪拌対象の溶液に印加する磁界強度(磁束密度)に応じて設定する。
【0035】
具体的には、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5のZ方向の位置を設定すると、制御手段19が上部位置決め装置及び下部位置決め装置を駆動制御する。上部位置決め装置及び下部位置決め装置では、先ず、上部高さ調節用モータ12及び下部高さ調節用モータ17の回動力がそれぞれ一方の上部高さ調節可動軸11及び一方の下部高さ調節可動軸16に伝達される。一方の上部高さ調節可動軸11及び一方の下部高さ調節可動軸16が回動すると、その回動力がベルト13及びベルト18を介して他方の上部高さ調節可動軸11及び他方の下部高さ調節可動軸16が回動する。
【0036】
このように、上部高さ調節用モータ12及び下部高さ調節用モータ17により一対の上部高さ調節可動軸11及び一対の下部高さ調節可動軸16に回動力が伝達されると、その回動力によって一対の上部高さ調節移動部材10及び一対の下部高さ調節移動部材14がZ方向に移動する。一対の上部高さ調節移動部材10及び一対の下部高さ調節移動部材14がZ方向に移動することによって、上部スライドレール9に固定された上部磁界発生部4a,4b及び下部スライドレール14に固定された下部磁界発生部5が所定の位置に移動する。
【0037】
以上の動作により、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の位置決めを行うことができる。これにより、攪拌対象の溶液に対して、これら上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5から所望の磁界を印加することができる。また、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の位置決めは、攪拌対象の溶液の粘度、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の磁界強度(磁束密度)、磁性粒子の形状等の物性に応じて適宜設定することができる。なお、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の位置決めは、容器2の取り付けに先立って行っても良い。
【0038】
次に、架台部3を駆動して容器2内に注入された液体を攪拌する。具体的には、制御手段19が架台駆動装置を制御することによって、架台部3をX方向に往復運動させることによって、容器2内に注入された液体を攪拌することができる。架台部3をX方向に往復運動させるには、先ず、制御装置19に駆動制御により可動用モータ8を所定の方向に回動させる。可動用モータ8の回動力は可動用軸7に伝達される。可動用軸7が回動すると、可動用軸7の回転量に応じて可動部材6がX方向のうちいずれか一方の方向に所定の距離だけ移動する。容器2は、可動部材6の移動に伴って架台部3とともに、X方向のうちいずれか一方の方向に所定の距離だけ移動することとなる。
【0039】
容器2を所定の距離だけ移動させた後、制御装置19に駆動制御により可動用モータ8を反対の方向に回動させる。これにより、容器2は、同様にして、逆方向に所定の距離だけ移動することとなる。
【0040】
以上の動作を繰り返し行うことによって、架台部3に固定された容器2をX方向に往復運動させることができる。容器2は、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5により所定の磁界が印加された状態で往復運動するため、注入された液体内で磁性粒子が回転運動する。この磁性粒子の回転運動によって、容器2に注入された液体が攪拌されることとなる。容器2をX方向に往復運動させる際の速度は特に限定されないが、好ましくは1.0〜3.0cm/秒、より好ましくは1.3〜1.5cm/秒の速度で行う。容器2をX方向に往復運動させる際の速度は、制御装置19が可動用モータ8を駆動制御することで調節できる。
【0041】
磁性粒子による液体の攪拌作用を、図4乃至9に模式的に示す。なお図4乃至9は、容器2がX方向に移動したときの一つの穴20と、上部磁界発生部4a及び下部磁界発生部5との位置関係を示している。先ず、図4に示すように、穴20と上部磁界発生部4a,4bと下部磁界発生部5とが十分に離間した位置関係からスタートしたとする。図4に示す状態において、穴20内の磁性粒子は、自重によって穴20の底面に沈んでいる。
【0042】
次に、図5に示すように、架台部3を可動用軸7に沿って駆動すると、穴20は一方の上部磁界発生部4aに近接する方向に移動することとなる。これにより、穴20の底面に沈降していた磁性粒子には、一方の上部磁界発生部4aから生じた磁界によって磁気吸引力が作用する。その結果、磁性粒子は、穴20内に注入された液体内で磁気浮上し始める。
【0043】
次に、図6に示すように、架台部3を可動用軸7に沿って駆動すると、穴20は一方の上部磁界発生部4aの直下に移動することとなる。この状態では、一方の上部磁界発生部4aから生じた磁界が穴20に対して最も強く作用することになる。このとき、磁性粒子は、穴20に注入された液体の表面近傍に溜まることになるが、液体の表面張力によって外部へ放出されることはない。
【0044】
次に、図7に示すように、架台部3を可動用軸7に沿って駆動すると、穴20は一方の上部磁界発生部4aに離間する方向に移動することとなる。これにより、液体の表面近傍に溜まった磁性粒子に対しては、一方の上部磁界発生部4aから生じた磁界による磁気吸引力の影響が減少することとなる。その結果、磁性粒子は、自重によって液体内で徐々に沈降を始める。
【0045】
次に、図8に示すように、架台部3を可動用軸7に沿って駆動すると、穴20は下部磁界発生部5に近接する方向に移動することとなる。徐々に沈降を始めた磁性粒子には、下部磁界発生部5から生ずる磁界による磁気吸引力が作用する。その結果、磁性粒子の自重による沈降速度が加速するとともに、磁性粒子の沈降方向が下部磁界発生部5方向に変化する。
【0046】
次に、図9に示すように、架台部3を可動用軸7に沿って駆動すると、穴20は下部磁界発生部5の直上に移動することとなる。この状態では、下部磁界発生部5から生じた磁界が穴20に対して最も強く作用することになる。その結果、磁性粒子は、穴20の底面方向に急激に引き寄せられる。また、架台部3の移動に伴って穴20底面も移動するため、穴20底面の端部から徐々に下部磁界発生部5に近接することとなり、移動に伴って穴20底面の端部から徐々に磁気吸引力が増大してくることになる。その結果、穴20底面には、その端部から磁性粒子が沈降することになり、図9に示すように最終的には磁性粒子が均一に沈降する。
【0047】
以上、図4乃至9に示したように、架台部3を可動用軸7に沿って駆動することによって、穴20内の磁性粒子が液体内を回転し、液体を攪拌することができる。なお、図9に示した状態の後、図示しないが、架台部3を可動用軸7に沿って駆動することで、穴20が下部磁界発生部5から離間し、他方の上部磁界発生部4bに近接する。このときも、同様にして磁性粒子が穴20内を回転し、液体を攪拌することができる。さらに、図示しないが、架台部3が可動用軸7に沿って往復運動することによって、穴20が上部磁界発生部4a,4bと下部磁界発生部5とから生ずる位相の異なる周期で磁界を複数回にわって印加する。これにより、穴20内に注入された液体は、磁性粒子の回転によって十分に攪拌されることとなる。
【0048】
以上説明したように、磁性粒子撹拌装置によれば、上部磁界発生部4a,4bと下部磁界発生部5とから生ずる位相の異なる周期で磁界を架台部3に載置された容器2に対して印加することによって、容器2に注入された液体を確実に攪拌することができる。特に、磁性粒子撹拌装置においては、架台部3とともに容器2を往復運動させながら、上部磁界発生部4a,4bと下部磁界発生部5とから生ずる位相の異なる周期で磁界を容器2に印加している。これにより、磁性粒子撹拌装置は、容器2に注入された液体を確実に攪拌することができる。
【0049】
このように、磁性粒子撹拌装置は、攪拌用ノズル及び攪拌用ノズルに連結した吸引排気装置といった装置構成を有さなくてもよく、簡易な装置構成で液体を攪拌することができる。また、磁性粒子撹拌装置は、上述したように、上部磁界発生部4a,4bと下部磁界発生部5とから生ずる位相の異なる周期で磁界を容器2に印加すれば液体を攪拌できるため、容器2の形状、種類等を制限することなく、幅広い種類の容器2を用いることができる。言い換えれば、攪拌対象の液体は、如何なる形状、種類の容器2に注入されていても、磁性粒子撹拌装置を用いれば攪拌することができる。
【0050】
また、磁性粒子撹拌装置では、容器2の区画に注入された液体の粘度や、区画の容積、磁性粒子の形状等に応じて、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の位置を調節することができる。磁性粒子撹拌装置においては、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5を所望の位置に調節することで、容器2に対して印加する磁界強度を制御することができる。磁性粒子撹拌装置においては、容器2に注入された液体の粘度や、容器2の容積、磁性粒子の形状等に応じた磁界を印加することで、如何なる種類の容器を用いて、如何なる種類の液体をも確実に攪拌することができる。
【0051】
上述した磁性粒子撹拌装置では、可動部材6がX方向に往復運動することによって、固定された上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5の間を容器2がその面内方向に往復運動していた。本発明を適用した磁性粒子撹拌装置としては、架台部3に取り付けられた容器2を固定し、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5を往復運動させるような構成であっても良い。この場合でも、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5は、図4乃至9に示したように、容器2に対して位相の異なる周期で磁界をそれぞれ印加することができる。この場合でも、磁性粒子撹拌装置は、容器2に注入された液体を十分に攪拌することができる。
【0052】
ところで、本発明に係る磁性粒子撹拌装置は、上述したような上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5を備え、架台部3に取り付けた容器2を架台部3と共に往復運動させるようなものに限定されない。本発明を適用した磁性粒子撹拌装置は、例えば、図10に示すように、複数の電磁コイル部30乃至35を有する上部磁界発生部36及び複数の電磁コイル部37乃至42を有する下部磁界発生部43とを備え、架台部3に取り付けた容器2を往復運動させることなく、容器2に対して位相の異なる周期で磁界を印加しても良い。
【0053】
具体的には、図10に示す磁性粒子撹拌装置において、上部磁界発生部36は、複数の穴を有する容器2に対して対向して配設された複数の電磁コイル部30乃至35を有し、下部磁界発生部43は、当該容器2に対して対向して配設された複数の電磁コイル部37乃至42を有している。また、これら複数の電磁コイル部30乃至35と電磁コイル部37乃至42は、制御装置44に接続されている。
【0054】
このように構成された磁性粒子撹拌装置においては、制御装置44によって、複数の電磁コイル部30乃至35と電磁コイル部37乃至42から生じる磁界を制御し、容器2に印加する磁界強度を制御することができる。磁性粒子撹拌装置においては、例えば図11乃至15に示すように、複数の電磁コイル部30乃至35と電磁コイル部37乃至42を制御装置44が制御することによって、穴45に注入された液体を攪拌することができる。なお、図11乃至15は、電磁コイル32の直下であって電磁コイル39の直上に位置する一つの穴45に対して上部磁界発生部36及び下部磁界発生部43を用いて位相の異なる周期で磁界を印加した時の磁性粒子の動きを示している。
【0055】
先ず、図11に示す状態では、上部磁界発生部36において電磁コイル32が磁界を発生しない或いは最も弱い磁界を発生するとともに、下部磁界発生部43において電磁コイル39が最も強い磁界を発生する。この図11に示した状態では、電磁コイル39から生じた磁界による磁気吸引力により磁性粒子は穴45の底面に存在する。
【0056】
次に、図12に示す状態に移行する。図12に示した状態では、上部磁界発生部36において電磁コイル33が最も強い磁界を発生し電磁コイル32が比較的強い磁界を発生するとともに、下部磁界発生部43において電磁コイル39から生ずる磁界が弱まっている。この図12に示した状態では、電磁コイル32及び33から生ずる磁界による磁気吸引力にり、磁性粒子は穴45内で磁気浮上し始める。
【0057】
次に、図13に示す状態に移行する。図13に示した状態では、上部磁界発生部36において電磁コイル32が最も強い磁界を発生するとともに、下部磁界発生部43において電磁コイル39が磁界を発生しない或いは最も弱い磁界を発生する。この図13に示した状態では、電磁コイル32から生ずる磁界による磁気吸引力により、磁性粒子は穴45に注入された液体の表面近傍に溜まることになる。
【0058】
次に、図14に示す状態に移行する。図14に示した状態では、上部磁界発生部36において発生する磁界と、下部磁界発生部43において発生する磁界とがほぼ釣り合うこととなる。この図14に示した状態では、上部磁界発生部36及び下部磁界発生部43から生ずる磁界が互いに相殺され磁気吸引力が生じ得ず、磁性粒子は自重により穴45の底面方向に沈降を始める。
【0059】
次に、図15に示す状態に移行する。図15に示した状態では、上部磁界発生部36において電磁コイル32から生ずる磁界が弱まるとともに、下部磁界発生部43において電磁コイル40が最も強い磁界を発生し電磁コイル39が比較的強い磁界を発生する。この図15に示した状態では、電磁コイル39及び40から生ずる磁界による磁気吸引力が、徐々に沈降を始めた磁性粒子に作用する。その結果、磁性粒子の自重による沈降速度が加速するとともに、磁性粒子の沈降方向が直下方向から電磁コイル40の方向へと徐々に変化する。
【0060】
次に、図11に示す状態に移行する。図15に示した状態から図11に示した状態への移行に伴って、穴45底面の電磁コイル40側の端部から徐々に磁気吸引力が増大し、図11に示した状態において完全に均一な磁気吸引力が穴45の底面全体に作用する。その結果、穴45底面には、電磁コイル40側の端部から磁性粒子が沈降することになり、図11に示すように最終的には磁性粒子が均一に沈降する。
【0061】
このように、図11乃至図15に示した状態を繰り返し作り出すことによって、穴45内の磁性粒子は、穴45に注入された液体内を繰り返し回転することができる。これにより、磁性粒子撹拌装置は、穴45内に注入された液体を確実に攪拌できる。
【0062】
以上のように、図10に示した磁性粒子撹拌装置では、架台部3とともに容器2を往復運動させることなく、容器2に対して位相の異なる周期で磁界を印加することができ、液体を攪拌することができる。この場合も磁性粒子撹拌装置は、攪拌用ノズル及び攪拌用ノズルに連結した吸引排気装置といった装置構成を有さなくてもよく、簡易な装置構成で液体を攪拌することができる。また、磁性粒子撹拌装置は、上述したように、上部磁界発生部36と下部磁界発生部43とから生ずる磁界を、位相の異なる周期で容器2に印加すれば液体を攪拌できるため、容器2の形状、種類等を制限することなく、幅広い種類の容器2を用いることができる。言い換えれば、この場合も、攪拌対象の液体は、如何なる形状、種類の溶液2に注入されていても、磁性粒子撹拌装置を用いれば攪拌することができる。
【0063】
また、図10に示した磁性粒子撹拌装置においては、上部磁界発生部36及び下部磁界発生部43のZ方向の位置を調節する機構を有していても良いが、電磁コイル部30乃至35と電磁コイル部36乃至42に供給する電圧を制御することによって磁界強度を制御できるため、当該機構を有していなくても良い。いずれの場合であっても、注入された液体の粘度や、容器2の容積、磁性粒子の形状等に応じて、容器2に対して印加する磁界強度を制御することができる。磁性粒子撹拌装置においては、容器2に注入された液体の粘度や、容器2の容積、磁性粒子の形状等に応じた磁界を印加することで、如何なる種類の容器を用いて、如何なる種類の液体をも確実に攪拌することができる。
【0064】
一方、本発明に係る磁性粒子撹拌装置は、単に液体の攪拌目的に使用しても良いが、攪拌だけでなくその他の目的に使用しても良い。例えば、磁性粒子撹拌装置は、容器2に注入された液体中に含まれる生体関連物質を磁性粒子に吸着させて分離する目的で使用されても良い。ここで、生体関連物質としては、DNA及びRNA等の核酸成分、タンパク質成分等を挙げることができる。また、磁性粒子撹拌装置は、タンパク質を含む触媒機能を持つ物質を磁性粒子表面に吸着させたものを溶液内で反応させるバイオリアクターの目的で使用しても良い。
【0065】
また、磁性粒子撹拌装置は、例えば、所定の溶液を容器2に分注する機能を有する分注装置、注入された液体の温度制御を行うための温度制御装置、容器2の架台部3への取り付けや容器2の移動を行うアーム装置等いかなる装置を備えていてもよい。
【0066】
【実施例】
以下、実施例を用いて本発明をより詳細に説明するが、本発明の技術的範囲はこれら実施例に限定されるものではない。
【0067】
〔実施例1〕
本例は、大腸菌内で発現誘導されたN末側あるいはC末側に6×ヒスチジンタグを持つ組換えタンパク質を、ニッケルをキレートした磁性化アガロースビーズを用いて精製する例である。
【0068】
(培養条件)
古細菌サーモプラズマ・アシドフィラム由来のN末側に6×ヒスチジンタグを融合したトリコーンプロテアーゼインターラクティングファクター1(以下F1と表記)タンパク質(T. Tamura et al., FEBS Lett. 398, 101−105 (1996))、C末側に6×ヒスチジンタグを融合したトリコーンプロテアーゼインターラクティングファクター2、3(以下それぞれF2、F3と表記)タンパク質(N. Tamura etal., Cell 95, 637−648 (1998))、およびトリコーンプロテアーゼ(以下TRIと表記)タンパク質(T. Tamura et al., Science 274, 1385−1389 (1996))をコードする遺伝子を組込んだ4種の発現ベクターをそれぞれ大腸菌BL21−CodonPuls(DE3)−RIL(以後単にBL21(DE3)RILと表記、STRATAGENE社製)に形質転換した。形質転換体を4mlのアンピシリン(100μg/ml)およびクロラムフェニコール(34μg/ml)含有LB培地(1% Difco Bacto Tryptone、0.5% Difco Yeast Extract、1% 塩化ナトリウム)に移植し、37℃にて約10時間振とう培養した後、培養液400μlをLB培地4mlに加え、37℃で引き続き旋回培養をした。タンパク質発現は、IPTG(終濃度0.5mM)を培養液に添加することで誘導し、誘導は終夜行った。タンパク質発現誘導後、菌体は1500xg、20分間の遠心操作により集菌し、以下に示す未変成条件下でのタンパク質精製に供した。
【0069】
(未変性条件下での大腸菌の破砕)
上記方法により回収した菌体は、培養液を充分取り除いた後、−20℃にて30分間から終夜凍結し、細胞破砕直前に氷上で解凍し、組成の異なる3種の細胞破砕バッファー(バッファーA:100mM NaCl含有50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、10% BugBuster(Novagen社製)、細胞破砕バッファーB:100mM NaCl含有50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1% tritonX−100、細胞破砕バッファーC:100mM NaCl含有50mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)、1%n−ドデシル−b−D−マルトシド(DDM、n−Dodecyl−b−D−maltoside))400μlに再懸濁した。なお、菌体は、液体窒素を用いて凍結融解を2〜3回繰り返した後に細胞破砕バッファーに懸濁してもよい。細胞破砕バッファーに含まれるBugBusterおよび界面活性剤は誘導タンパク質のニッケルをキレーティングした磁性アガロースビーズ(以後単に磁性ビーズと表記、東洋紡績社製)への結合に何ら影響を与えないことを確認している。
【0070】
菌体懸濁後、核酸類を分解するため1/1000容量のbenzonase(25U/μl、Novergen社製)を添加した。更にBugBusterを添加したバッファーAの条件では、Novergen社が推奨する条件、すなわち、終濃度1mg/mlの卵白由来リゾチーム(以後単にリゾチームと表記、シグマ社製)を別途加えた。懸濁液は1穴あたりに培養液2ml分の細胞が含まれるように調製し、200μlずつ96穴のプレート(Nunc 社製)に分注した。
【0071】
組換えタンパク質の精製効率は、細胞の破砕程度に依存するので、磁性ビーズによる精製開始前に細胞の破砕を確実にする必要がある。細胞破砕度は、菌体懸濁液の透明度で判断できるが、細胞破砕を確実にするため上記方法に加え、試料を含んだプレートにカバーシールを貼り付け、超音波洗浄器(Branson B2200)水浴上にプレートを浮かせ、10分程度処理することによって細胞の破砕を促進させてもよい。細胞破砕後、菌体残さを除去せずにあらかじめ細胞破砕バッファーで平衡化し、25%懸濁液とした磁性ビーズを1穴あたり20μlずつ直接加えた。この磁性ビーズを加えたプレートを容器2として、図1乃至3に示した磁性粒子撹拌装置に装着し、磁性ビーズによって細胞破砕液を攪拌した。
【0072】
(6xヒスチジンタグ融合タンパク質の磁性ビーズへの結合と溶出)
本例においては、磁性粒子撹拌装置を用いることで磁性ビーズによって細胞破砕液を攪拌することができ、誘導タンパク質を磁性ビーズに結合させることができる。具体的には、プレートを磁性粒子撹拌装置に装着後、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5に対してプレートを1.0〜3.0cm/秒、好ましくは1.3〜1.5cm/秒の速度で左右交互に往復移動させ、磁性ビーズを細胞破砕液中で回転させ攪拌した。攪拌を室温で20分間行った後、磁性粒子撹拌装置よりプレートを脱着し、別途用意した永久磁石をプレートの下に置き、磁性ビーズを穴の底部に集めるとともに吸着し、上清を8チャンネルのピペッターを用いて除去した。
【0073】
上清除去後、プレートの各穴に対して100mM NaCl含有50 mMトリス塩酸緩衝液(pH8.0)を200μl加え、ピペッティングあるいは磁性粒子撹拌装置を用いて磁性ビーズを洗浄した。磁性粒子撹拌装置を用いて磁性ビーズを洗浄する場合には、磁性ビーズを上記緩衝液中で数回回転させるだけでよい。洗浄後、プレートを脱着し、永久磁石をプレートの下に置き、磁性ビーズを穴の底部に集めるとともに吸着し、上清を8チャンネルのピペッターを用いて除去した。この洗浄操作を3回繰り返し、磁性ビーズを十分に洗浄した。
【0074】
その後、プレートの各穴に対して50mM トリス塩酸緩衝液(pH7.0)に100mM EDTAを加えた溶液20μlを添加し、磁性ビーズに結合した融合タンパク質を溶出させた。プレートをプレート用シェーカーで5分間攪拌した後、永久磁石をプレートの下に置き、磁性ビーズを穴の底部に集めるとともに吸着した状態で溶出液10μlをサンプリングしてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。
【0075】
12.5% SDS−PAGEにより精製タンパク質を分離後、クマーシーブリリアントブルーG250で染色を行った。染色後のゲルを撮像した写真を図16に示す。なお、図16中、「F1」としたゲルは、F1タンパク質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターを形質転換した大腸菌BL21(DE3)RILを使用したときの結果を示している。図16中、「F2」「F3」及び「TRI」としたゲルについても同様に、それぞれF2タンパク質、F3タンパク質及びTRIタンパク質をコードする遺伝子を組み込んだ発現ベクターを形質転換した大腸菌BL21(DE3)RILを使用したときの結果を示している。また、各ゲルにおいて、「Mr」としたレーンは分子量マーカーであり、レーン1は細胞破砕バッファーAにより細胞破砕したときの結果であり、レーン2は細胞破砕バッファーBにより細胞破砕したときの結果であり、レーン3は細胞破砕バッファーCにより細胞破砕したときの結果である。
【0076】
図16から判るように、電気泳動の結果、いずれの細胞破砕バッファーを用いた場合でも、各6xヒスチジン融合タンパク質は、アミノ酸配列から予想される分子量(F1タンパク質34.3 kDa、F2タンパク質及びF3タンパク質89 kDA、TRIタンパク質120 KDa)付近にバンドとして検出された。磁性粒子撹拌装置を用いることによって、異なる細胞破砕バッファーを使用した場合でも、磁性ビーズで精製操作が可能なこと、分子量の異なるタンパク質を複数同時に精製できることが確認された。
【0077】
〔実施例2〕
本例は、図1乃至3に示した磁性粒子撹拌装置を用いて、多検体試料を同時に迅速かつ均一に処理して、多検体試料から目的とするタンパク質を精製可能か否か検討した。
【0078】
本例では、先ず、実施例1で調製したF2タンパク質をコードする遺伝子で形質転換した大腸菌BL21(DE3)RILを、10mlのアンピシリン(100μg/ml)およびクロラムフェニコール(34μg/ml)含有LB培地で10時間旋回培養した。その後、培養液全量を100mlのLB培地に加え、IPTG(終濃度0.5mM)を添加して終夜タンパク質の発現を誘導した。その後、1500 x g、20分間の遠心操作により集菌し、−20℃にて凍結保存した。凍結した菌体は氷上で解凍するか、解凍後、液体窒素を用いて凍結融解を数回繰り返した後、100mM NaCl含有50 mMトリス塩酸緩衝液に終濃度10%のBugBasterを加えた溶液を用いて未変性条件下にて再懸濁した。次に、1/1000容量のBenzonaseと終濃度1 mg/mlのリゾチームとを懸濁液に加え、懸濁液中の細胞を破砕し、細胞破砕液を調製した。
【0079】
そして、得られた細胞破砕液を、1穴あたり培養液2ml分の細胞が入るように調製し、200 μlずつ96穴のプレートのうち4列(1列8穴)に分注した。そこへ、100mM NaCl含有トリス塩酸緩衝液であらかじめ平衡化し、25%懸濁液とした磁性ビーズを20μlずつ添加した。この磁性ビーズを加えたプレートを容器2として、図1乃至3に示した磁性粒子撹拌装置に装着し、磁性ビーズによって細胞破砕液を攪拌した。
【0080】
次に、プレートを磁性粒子撹拌装置に装着後、上部磁界発生部4a,4b及び下部磁界発生部5に対してプレートを1.0〜3.0cm/秒、好ましくは1.3〜1.5cm/秒の速度で左右交互に往復移動させ、磁性ビーズを細胞破砕液中で回転させ攪拌した。攪拌を室温で20分間行った後、磁性粒子撹拌装置よりプレートを脱着し、別途用意した永久磁石をプレートの下に置き、磁性ビーズを穴の底部に集めるとともに吸着し、上清を8チャンネルのピペッターを用いて除去した。
【0081】
その後、磁性ビーズの洗浄及び融合タンパク質の溶出は実施例1と同様に行った。実施例1と同様に、サンプリングした溶出液10μlを用いてSDSポリアクリルアミドゲル電気泳動に供した。12.5% SDS−PAGEにより精製タンパク質を分離後、クマーシーブリリアントブルーG250で染色を行った。染色後のゲルを撮像した写真を図17に示す。なお、図17においては、使用したプレートにおける1列目及び2列目(各列8穴)からサンプリングした結果を示している。
【0082】
図17に示すように、サンプリングした溶出液のすべてにおいて、89 kDaのところにバンド(F2タンパク質に相当)が確認され、各穴から精製されたF2タンパク質のバンドの濃さは均一であった。このことから、磁性粒子撹拌装置を用いることで、多検体試料を同時かつ均一に処理できることが判明した。
【0083】
【発明の効果】
以上詳細に説明したように、本発明に係る磁性粒子撹拌装置は、如何なる容器に注入された液体であっても磁性粒子を用いて確実に攪拌することができる。また、磁性粒子撹拌装置は、磁性粒子を用いた液体の攪拌に要する装置構成を簡易且つ低コストなもとすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を適用した磁性粒子撹拌装置の要部正面図である。
【図2】磁性粒子撹拌装置の要部上面図である。
【図3】磁性粒子撹拌装置の要部側面図である。
【図4】磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図5】図4に示した段階の続きであり、磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図6】図5に示した段階の続きであり、磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図7】図6に示した段階の続きであり、磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図8】図7に示した段階の続きであり、磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図9】図8に示した段階の続きであり、磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図10】本発明を適用した磁性粒子撹拌装置における上部磁界発生部及び下部磁界発生部と容器とを示す模式図である。
【図11】図10に示した磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図12】図11に示した段階の続きであり、図10に示した磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図13】図12に示した段階の続きであり、図10に示した磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図14】図13に示した段階の続きであり、図10に示した磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図15】図14に示した段階の続きであり、図10に示した磁性粒子撹拌装置を用いて液体を攪拌する工程を説明するための模式図である。
【図16】融合タンパク質を、磁性粒子撹拌装置を用いて精製した結果を示す電気泳動写真である。
【図17】多検体試料から目的とする融合タンパク質を、磁性粒子撹拌装置を用いて精製した結果を示す電気泳動写真である。
【符号の説明】
2・・・容器、3・・・架台部、4a,4b・・・上記磁界発生部、5・・・下部磁界発生部

Claims (9)

  1. 液体を注入するための容器を載置するための架台部と、
    上記架台部の上部に配設され、上記容器に注入された液体に対して上方から磁界を印加する上部磁界発生部と、
    上記架台部の下部に配設され、上記容器に注入された液体に対して下方から磁界を印加する下部磁界発生部とを備え、
    上記上部磁界発生部及び下部磁界発生部は、上記架台部に載置された容器に対して位相の異なる周期で磁界をそれぞれ印加することを特徴とする磁性粒子撹拌装置。
  2. 上記上部磁界発生部及び上記下部磁界発生部を、上記架台部の面内方向に移動可能とする磁界発生部駆動装置を備えることを特徴とする請求項1記載の磁性粒子撹拌装置。
  3. 上記架台部を、上記上部磁界発生部と上記下部磁界発生部との間に面内方向に移動可能とする架台部駆動装置を備えることを特徴とする請求項1記載の磁性粒子撹拌装置。
  4. 上記上部磁界発生部と上記下部磁界発生部とのうちいずれか一方又は両方を上記架台部に対して接離可能とすることを特徴とする請求項2又は3記載の磁性粒子撹拌装置。
  5. 上記上部磁界発生部及び下部磁界発生部は、上記架台部の面内方向に並列させた複数の電磁誘導装置をそれぞれ備え、これら複数の電磁誘導装置を並列方向に周期的にオン・オフ制御することを特徴とする請求項1記載の磁性粒子撹拌装置。
  6. 上記上部磁界発生部と上記下部磁界発生部から生ずる磁界強度を制御する制御装置を備えることを特徴とする請求項1記載の磁性粒子撹拌装置。
  7. 液体及び当該液体内に加えられた磁性粒子とを有する容器に対して、当該容器の上方及び下方から位相の異なる周期で磁界をそれぞれ印加することを特徴とする液体攪拌方法。
  8. 上記容器に対して上方から印加する磁界を発生させる上部磁界発生部と、上記容器に対して下方から印加する磁界を発生させる下部磁界発生部との間に上記容器を取り付け、
    上記上部磁界発生部及び上記下部磁界発生部の間で上記容器の面内方向に、上記容器又は上記上部磁界発生部及び上記下部磁界発生部を往復運動させることを特徴とする請求項7記載の液体攪拌方法。
  9. 上記容器に対して上方から印加する磁界を発生させる上部磁界発生部と、上記容器に対して下方から印加する磁界を発生させる下部磁界発生部との間に上記容器を取り付け、
    上記上部磁界発生部から上記容器の面内方向に強度の異なる磁界を周期的に発生させるとともに、上記下部磁界発生部から上記容器の面内方向に強度の異なる磁界を周期的に発生させることを特徴とする請求項7記載の液体撹拌装置。
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