JP2004181113A - 換気靴 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】靴底板に設けた踵部隆起の内部に中空の送気室を設け、該送気室の側壁部を比較的硬質で弾性的に変形可能な材料を以て構成すると共に、前記側壁部の一部に外部との連通孔を設け、靴底板には基端側が前記送気室と連通すると共に先端側が靴底板の足指相当部に到って開口する送気孔路を設け、前記送気室における外部との連通孔及び送気孔路との連通部には、送気室内の空気の送気孔路側への移動のみを許す逆止弁を設けた換気靴。
【選択図】 図1
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は換気靴に関し、更に詳しくは、靴装着者の歩行に伴い靴内部の空気が強制的に換気されるように構成した換気靴に関する。
【0002】
【従来の技術】
革靴等は、靴装着者の足首より下の部分を密封する状態となる履物であるため、靴装着者の足から分泌される汗の臭いや体臭が籠もり易い。そのため、靴を脱いだ際に悪臭が拡散して、靴装着者本人や周囲の人達に不快感を与えていた。
【0003】
又、靴の内部、特につま先部は湿気が籠もり易い構造である。とりわけ靴装着時には足裏の表皮から汗が分泌され体温も発散されるので、いわゆるムレタ状態となり、特につま先部等にカビ類が繁殖し易い。その結果、靴装着者の足指が水虫に感染して悩まされる場合も多かった。
【0004】
このような不具合から、従来、靴装着時における靴内部の換気を促進し、そのことによって上記した悪臭や水虫感染を防止しようとする提案が種々に行われている。例えば、靴のカバー(靴装着者の踵及び足の甲を被服する部分)の全体、あるいはカバーの内のつま先部を多孔性の編上げ又はメッシュ形態としたものが提供されている(従来技術1)。又、靴底板上に予め多孔性のクッションシートを敷いたもとで、靴を履く場合もある(従来技術2)。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記の従来技術1では、特に問題となる靴装着者の足裏が換気されないし、それ以外の部分においても換気効果は必ずしも十分ではない。上記の従来技術2では、靴装着者の足裏について対策されているとしても、靴の内部と外気とのガス交換が非常に少ない。そして、従来技術1と従来技術2との対策を同時に施すと、ある程度の相乗効果は期待できるが、本願発明者の実験によれば、満足すべきものではない。
【0006】
即ち、要するに上記の従来技術では、靴の内部と外気とのガス交換が強制的に行われるものではないため、換気効率が悪かった。又、特に悪臭、カビ感染等の問題が集中する靴装着者の足裏、とりわけ足指部分に対して効果的な対策がなされていないため、満足できる効果が得られなかった。
【0007】
そこで本発明は、このような問題点を劇的に改善できる換気靴を提供することを、解決すべき課題とする。本願発明者は、靴装着者の歩行動作が靴の踵部に対して強い圧力サイクルを与えると言う事実に着目することにより、本願発明を完成するに到った。
【0008】
【課題を解決するための手段】
(第1発明の構成)
上記課題を解決するための本願第1発明(請求項1に記載の発明)の構成は、靴底板に設けた踵部隆起の内部に中空の送気室を設け、該送気室の側壁部を比較的硬質で弾性的に変形可能な材料を以て構成すると共に、前記側壁部の一部に外部連通孔を設け、靴底板には基端側が前記送気室と連通すると共に先端側が靴底板の足指相当部に到って開口する送気孔路を設け、かつ、前記送気室における外部連通孔及び送気孔路との連通部には、送気室内の空気の送気孔路側への移動のみを許す逆止弁を設けた、換気靴である。
【0009】
(第1発明の作用・効果)
第1発明の換気靴を装着した者が歩行動作するとき、踏出した足の踵部に体重がかかり、換気靴の踵部に強い圧力が負荷される。踵部隆起の内部に設けた送気室の側壁部は弾性的に変形可能なので、上記圧力の負荷により側壁部が撓んで送気室の容積が減少し、送気室内部の空気を排出しようとする。
【0010】
その際、送気室における外部連通孔及び送気孔路との連通部には逆止弁を設けているので、送気室内部の空気は送気孔路を介して靴内部の足指相当部へ強制的に排出される。これによって、靴の内部、とりわけ靴装着者の足指部分に対する強制的な換気が常時行われ、悪臭、不衛生、湿気に基づくカビ類の繁殖等が有効に防止される。
【0011】
次に、歩行動作において足を前送りする時、踵部に対する体重(圧力)の負荷が解除されるため、送気室の側壁部は弾性的に元の形状に戻り、送気室の容積が再度拡大される。このため送気室は空気を吸入しようとするが、前記した逆止弁の作用により、送気室における外部連通孔からのみ吸気する。
【0012】
以上のようにして、換気靴装着者の一歩ずつの歩行動作ごとに、靴の踵部に負荷する圧力サイクルを利用して、外部の新鮮な空気が送気室に吸入され、靴装着者の足指部分に供給されるのである。なお、送気室の側壁部は比較的硬質な材料からなるので、上記の圧力の負荷により過剰に撓んで歩行動作に支障を来したり、不満足な歩行感を与えたりする恐れはない。
【0013】
(第2発明の構成)
上記課題を解決するための本願第2発明(請求項2に記載の発明)の構成は、前記第1発明に係る靴底板における少なくとも送気室の天井板を構成する部分が、比較的硬質で弾性的に変形可能な材料からなる、換気靴である。
【0014】
(第2発明の作用・効果)
第2発明においては、靴底板における少なくとも送気室の天井板を構成する部分が、比較的硬質で弾性的に変形可能な材料からなるので、換気靴装着者の歩行動作による圧力サイクルの負荷に対して、前記第1発明における送気室の側壁部と同様に挙動する。その結果、送気室の容積の減少量及び拡大量が更に大きくなり、第1発明の効果が更に向上する。
【0015】
なお、第1発明の場合と同様に、送気室の天井板を構成する部分は比較的硬質な材料からなるので、上記の圧力の負荷により過剰に撓んで歩行動作に支障を来したり、不満足な歩行感を与えたりする恐れはない。
【0016】
(第3発明の構成)
上記課題を解決するための本願第3発明(請求項3に記載の発明)の構成は、前記第1発明又は第2発明に係る靴底板における送気室の天井板を構成する部分が、一部が送気室に対して露出した連泡式の発泡クッション材を内蔵している、換気靴である。
【0017】
(第3発明の作用・効果)
第3発明においては、靴底板に内蔵された連泡式の発泡クッション材が上記の圧力サイクルに伴って収縮(空気の排出)と膨脹(空気の吸入)とを繰り返す。この発泡クッション材の一部は送気室に対して露出しているので、送気室での空気の吸入量と排出量が一層大きくなり、第1発明の効果が更に向上する。
【0018】
(第4発明の構成)
上記課題を解決するための本願第4発明(請求項4に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第3発明に係る送気孔路の先端側が、複数に分岐したもとで靴底板の足指相当部に分散して開口している、換気靴である。
【0019】
(第4発明の作用・効果)
上記の第4発明においては、送気孔路の先端側が複数に分岐して足指相当部に分散開口(例えば足の親指〜小指に到る各指に相当する部分、又は、これらの各指の間隙に相当する部分に分散して開口)しているので、足の各指に対して満遍なく効果を及ぼすことができる。
【0020】
(第5発明の構成)
上記課題を解決するための本願第5発明(請求項5に記載の発明)の構成は、前記第1発明〜第4発明に係る換気靴のつま先部カバーには排気孔が設けられ、あるいは、つま先部カバーが編上げ又はメッシュ形態である、換気靴である。
【0021】
(第5発明の作用・効果)
第5発明においては、換気靴のつま先部カバーに排気孔を設け、あるいはつま先部カバーが編上げ又はメッシュ形態であるため、換気靴装着者の歩行動作によって足指部分に供給された空気が靴の外部へ拡散され易い。即ち、靴の内部と外気とのガス交換が、より良好に行われる。
【0022】
【発明の実施の形態】
〔換気靴〕
換気靴の種類やカテゴリーは限定されない。代表的なものとして、革靴、合成皮革製の靴、ズック靴等を例示できるが、その他にも、スニーカー、登山靴等の各種の靴も例示できる。これらの靴には、男性用、女性用、児童用、成人用等の靴がいずれも含まれる。
【0023】
換気靴は、靴底板と、この靴底板上に設けたカバー(靴装着者の踵及び足の甲を被服する部分)と、靴底板の下面踵部に設けた踵部隆起とからなる。踵部隆起の内部には中空の送気室を設け、中空の送気室の側壁部の一部には外部連通孔を設けている。又、靴底板には、基端側が送気室と連通すると共に先端側が靴底板の足指相当部に到って開口する送気孔路を設け、かつ、送気室における外部連通孔及び送気孔路との連通部には、送気室内の空気の送気孔路側への移動のみを許す逆止弁を設けている。
【0024】
〔踵部隆起及び送気室〕
踵部隆起は、比較的硬質で、しかも弾性的に変形可能な材料を以て構成する。このような材料の種類は限定されないが、例えば、皮革、合成皮革、適度な硬度を有する樹脂材料やゴム材料等を例示することができる。「比較的硬質で弾性的に変形可能」とは、この踵部隆起に靴装着者の体重が負荷した場合にある程度撓み、しかも靴装着者の歩行感を害する程には撓まないような、弾性的な硬さを備えることを言う。
【0025】
踵部隆起の内部に設ける送気室は、踵部隆起の構成材料によってその底壁部と側壁部が形成され、靴底板によってその天井板が形成された中空構造である。送気室の側壁部の一部には外部連通孔が設けられる。又、送気室の他の一部は、後述する靴底板の送気孔路と連通される。
【0026】
送気室における外部連通孔には、送気室への外気の吸入を許すが送気室内の空気の外部への排出を許さない逆止弁が設けられる。又、送気室における送気孔路との連通部には、送気室内の空気の送気孔路側への移動を許すが送気孔路側から送気室への空気の移動を許さない逆止弁を設ける。これらの逆止弁の構成は、上記の機能を果たす限りにおいて任意であるが、例えば、上記の外部連通孔や連通部を閉塞し得る蓋状部材であって、その一端が薄肉のヒンジ部を介して外部連通孔や連通部により支持されたインテグラルヒンジ式の逆止弁を設けることができる。外部連通孔にこのような逆止弁を設けるに当たっては、好ましくは、外部連通孔の送気室側の開口部に、この開口部を覆うようにしてインテグラルヒンジ式の蓋状部材を設けることができる。
【0027】
送気室は単一の中空部のみからなるものでも良いし、スペースを縦割りするリブ状の補強壁部を内部に設け、これによって靴装着者の体重に対する耐圧性を高めた構造としても良い。送気室をこのような分室構造とする場合、補強壁部によって区画された各分室は互いに連通し、かつその一部が上記の外部連通孔や連通部と通じている。
【0028】
〔靴底板及び送気孔路〕
靴底板は、この用途に通常用いられる硬質な材料を以て構成できるが、比較的硬質で、しかも弾性的に変形可能な材料を以て靴底板の全体又は少なくとも送気室の天井板を構成する部分を構成することもできる。「比較的硬質で弾性的に変形可能」とは、靴底板に靴装着者の体重が負荷した場合にある程度撓み、しかも靴装着者の歩行感を害する程には撓まないような、弾性的な硬さを備えることを言う。以上の点から、靴底板の構成材料の種類は限定されないが、例えば、皮革、合成皮革、適度な硬度を有する樹脂材料やゴム材料等を例示できる。
【0029】
靴底板の内部には送気孔路が設けられる。この送気孔路は、基端側が前記送気室と連通すると共に、先端側が靴底板の足指相当部に到って開口するトンネル状の構造である。好ましくは、送気孔路は、その先端側が複数に分岐したもとで、靴底板の足指相当部に分散して開口する形態とされる。この分散開口の形態は限定されないが、例えば、足の親指〜小指に到る各指に相当する部分や、これらの各指の間隙に相当する部分に分散して開口する形態を例示できる。
【0030】
送気孔路における送気室との連通部又はその近傍部には、前記の逆止弁を設ける。この逆止弁をインテグラルヒンジ式に構成するに当たっては、好ましくは、送気孔路の孔径にほぼ一致する蓋状部材であって、その一端が薄肉のヒンジ部を介して送気孔路の内周壁部により支持されたものを送気孔路の内部に設け、この蓋状部材の送気室側への揺動を制約するストッパ用の段部を送気孔路の内周壁部に設けることができる。又、インテグラルヒンジ式の逆止弁を構成するに当たっては、好ましくは、次の筒状逆止弁ユニットを利用することもできる。即ち、合成樹脂や硬質ゴム等の材料を用い、基部にフランジを備えた筒体であってこの筒体の基部又は頂部には筒体を閉鎖できる蓋状部材を薄肉のヒンジ部を介して設けたものである。蓋状部材を筒体の基部に設けた場合には、筒体内部の空気移動を基部方向へのみ許す逆止弁となり、蓋状部材を筒体の頂部に設けた場合には、筒体内部の空気移動を頂部方向へのみ許す逆止弁となる。このいずれかの方式の逆止弁の筒体部分を、上記の外部連通孔又は連通部の開口部にはめ込むことができる。
【0031】
余り厚さのない靴底板の内部に上記のような送気孔路や逆止弁を形成することが技術的に困難な場合には、靴底板を上板と下板との2枚合わせの構造とし、これらの上板と下板とに送気孔路の上下半分ずつを溝状に形成したり、上板と下板とのいずれか一方のみに送気孔路に相当する溝を形成したりすることができる。逆止弁についても、これらの上板と下板とにストッパ用の段部の半分ずつを形成すると共に、上板と下板のいずれか一方にインテグラルヒンジ式の蓋状部材を形成することができる。更に逆止弁については、前記した筒状逆止弁ユニットを別体に形成しておき、これを送気孔路の基端側端部にはめ込むこともできる。これらの場合、上板と下板を接着することにより、あるいは更に筒状逆止弁ユニットを組み付けることにより、結果的に内部に送気孔路や逆止弁を備えた靴底板を構成することができる。
【0032】
一方、前記靴底板における送気室の天井板を構成する部分には、一部が送気室に対して露出した連泡式の発泡クッション材を内蔵させても良い。「連泡式」とは、発泡構造の各単位が互いに連通している形態を言う。発泡クッション材としては、例えば発泡ウレタンその他の連泡式の発泡合成樹脂材を好ましく利用することができる。
【0033】
〔カバー〕
換気靴のカバーにおいては、そのつま先部に排気孔を設けることが好ましい。換気靴のカバー全体がもともと編上げの形態やメッシュの形態である場合、あるいは、少なくともカバーのつま先部がこのような編上げ又はメッシュ形態である場合には、カバーの換気性が確保されているため、上記の排気孔を設けることは不要である。
【0034】
【実施例】
次に、第1発明〜第5発明に係る実施例を図面に基づいて説明する。第1発明〜第5発明の技術的範囲は、この実施例によって制約されない。
【0035】
〔換気靴〕
図1及び図2に示す換気靴1は、靴底板2と、この靴底板2上に設けたカバー3と、靴底板の下面踵部に設けた踵部隆起4とからなる。なお、図2は、換気靴1におけるカバー3と後述の靴底板上板2aとを取り除いた状態を示す平面図である。靴底板2と踵部隆起4は、比較的硬質で、しかも弾性的に変形可能な皮革、合成皮革、合成樹脂又は硬質ゴムを以て構成されている。カバー3の構成材料は任意であるが、任意の硬さを持った皮革、合成皮革、合成樹脂又は硬質ゴムを以て構成することができる。
【0036】
踵部隆起4の内部には中空の送気室5を設け、中空の送気室5の側壁部6の一部には外部連通孔7を複数設けている。又、靴底板2の内部には、基端側が送気室5と連通すると共に先端側が複数に分岐しながら靴底板2の足指相当部に到って分散開口する送気孔路8を設け、かつ、送気室5における外部連通孔7には逆止弁9を設け、送気室5における送気孔路8との連通部には逆止弁10を設けている。
【0037】
これらの逆止弁9,10は、送気室5内の空気の送気孔路8側への移動のみを許す機能を持っている。即ち、図5に詳しく示すように、逆止弁9は、送気室5の側壁部6に設けた外部連通孔7における送気室5側の開口部に、この開口部を覆うようにしてインテグラルヒンジ式の蓋状部材11を設けたものである。従って、外気が外部連通孔7を通過して送気室5へ移動する際には蓋状部材11が開くが、その逆方向への空気移動は、蓋状部材11が空気圧によって閉じることにより、許さない。又、逆止弁10は、図6(a)に詳しく示す筒状逆止弁ユニット12を送気孔路8の送気室5との連通部にはめ込んだものである。筒状逆止弁ユニット12は合成樹脂又は硬質ゴムからなり、その筒状本体の基部にはフランジ13を設けると共に、その筒状本体の頂部には筒状本体を閉鎖できる蓋状部材14を薄肉のヒンジ部を介して設けたものである。従って、送気室5の内部空気が送気孔路8側へ移動する際には蓋状部材14が開くが、その逆方向への空気移動は、蓋状部材14が空気圧によって閉じることにより、許さない。
【0038】
なお、外部連通孔7における送気室5側の開口部には、前記逆止弁9に代え、図6(b)に詳しく示す筒状逆止弁ユニット12bを用いることが、加工性の面で更に好ましい。筒状逆止弁ユニット12bは、上記の筒状逆止弁ユニットにおける蓋状部材が、その筒状本体におけるフランジ側の開口部にに設けられたものである。その筒状本体を、送気室側から外部連通孔7に挿入して用いる。その機能は逆止弁9と同様である。
【0039】
靴底板2は、靴底板上板2aと靴底板下板2bとの2枚合わせの構造である。そして、靴底板上板2aと靴底板下板2bとに送気孔路8の上下半分ずつの溝を予め形成しておき、あるいは靴底板上板2aと靴底板下板2bとのいずれか一方のみに送気孔路8に相当する溝を予め形成しておき、これらを2枚合わせする際に、送気室5との連通部に前記筒状逆止弁ユニット12をはめ込み状に組み付けて、構成されたものである。
【0040】
靴底板上板2aにおける送気室5の天井板を構成する部分には、一部が送気室に対して露出した連泡式の発泡クッション材15を内蔵させている。又、換気靴1のカバー3においては、そのつま先部に排気孔16を設けている。この排気孔16は、カバー3のつま先部中央に1個だけ設けても良いし、例えば送気孔路8の分散した複数の開口部に対応する位置に複数個設けても良い。
【0041】
以上のように構成された本実施例の換気靴1を装着した者が歩行動作するとき、踏出した足の踵部に体重がかかり、換気靴1の踵部に強い圧力が負荷される。踵部隆起4の内部に設けた送気室5の側壁部6は弾性的に変形可能なので、上記圧力の負荷により側壁部6が撓んで送気室5の容積が減少する。このとき、図1及び図2に示すように逆止弁9が閉じると共に逆止弁10が開くので、送気室5内部の加圧空気が送気孔路8へ送られ、その先端側の分散した開口部から靴内部の足指相当部へ強制的に排出される。そして、更に排気孔16から外部へ排出される。これによって、靴の内部のうち、靴装着者の足指部分に対する強制的な換気が行われることになり、悪臭、不衛生、湿気に基づくカビ類の繁殖等が有効に防止される。
【0042】
しかも、▲1▼送気室の天井板を構成する靴底板上板2aが、比較的硬質で弾性的に変形可能な合成樹脂又は硬質ゴムを以て構成されている点、及び、▲2▼靴底板上板2aに発泡クッション材15を内蔵させている点によって、前記した理由から、この効果は一層増大する。
【0043】
次に、歩行動作において足を前送りする時、踵部に対する体重(圧力)の負荷が解除される。このため、送気室5の側壁部6と、天井板を構成する靴底板上板2aと、靴底板上板2aに内蔵された発泡クッション材15とがいずれも弾性的に元の形状に戻るため、送気室5において容積拡大等に基づく空気吸入作用が起こる。このとき、図3及び図4に示すように逆止弁9が開くと共に逆止弁10が閉じるので、外部連通孔7から送気室5内部へ新鮮な外気が吸入される。
【0044】
以上のようにして、換気靴1の装着者の一歩ずつの歩行動作ごとに、靴の踵部に負荷する圧力サイクルを利用して、外部の新鮮な空気が送気室5に吸入され、靴装着者の足指部分に供給されるのである。なお、送気室5の側壁部6や靴底板上板2aは比較的硬質な材料からなるので、上記の圧力の負荷により過剰に撓んで歩行動作に支障を来したり、不満足な歩行感を与えたりする恐れはない。
【図面の簡単な説明】
【図1】換気靴1の中央縦断面図である。
【図2】換気靴1の要部の平面図である。
【図3】換気靴1の中央縦断面図である。
【図4】換気靴1の要部の平面図である。
【図5】逆止弁の詳細を示す断面図である。
【図6】逆止弁の詳細を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 換気靴
2 靴底板
2a
2b
3 カバー
4 踵部隆起
5 送気室
6 側壁部
7 外部連通孔
8 送気孔路
9,10 逆止弁
11,14 蓋状部材
12 筒状逆止弁ユニット
13 フランジ
15 発泡クッション材
16 排気孔
Claims (5)
- 靴底板に設けた踵部隆起の内部に中空の送気室を設け、該送気室の側壁部を比較的硬質で弾性的に変形可能な材料を以て構成すると共に、前記側壁部の一部に外部連通孔を設け、靴底板には基端側が前記送気室と連通すると共に先端側が靴底板の足指相当部に到って開口する送気孔路を設け、かつ、前記送気室における外部連通孔及び送気孔路との連通部には、送気室内の空気の送気孔路側への移動のみを許す逆止弁を設けたことを特徴とする換気靴。
- 前記靴底板における少なくとも送気室の天井板を構成する部分が、比較的硬質で弾性的に変形可能な材料からなることを特徴とする請求項1に記載の換気靴。
- 前記靴底板における送気室の天井板を構成する部分が、一部が送気室に対して露出した連泡式の発泡クッション材を内蔵していることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の換気靴。
- 前記送気孔路の先端側が、複数に分岐したもとで靴底板の足指相当部に分散して開口していることを特徴とする請求項1〜請求項3のいずれかに記載の換気靴。
- 前記換気靴のつま先部カバーには排気孔が設けられ、あるいは、つま先部カバーが編上げ又はメッシュ形態であることを特徴とする請求項1〜請求項4のいずれかに記載の換気靴。
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