JP2004178923A - イオン発生電極及びそれを用いたイオン発生装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】従来のNi系の電極と比較して、これと同等又はそれ以上のイオン発生能力を有し、しかもオゾン発生量を大幅に削減できるイオン発生電極を提供する。
【解決手段】イオン発生電極27は、高電圧印加による放電によりイオンを発生させるイオン発生装置用の電極であって、少なくとも先端部27nが、スズを含有した銅合金にて構成される。
【選択図】 図2
【解決手段】イオン発生電極27は、高電圧印加による放電によりイオンを発生させるイオン発生装置用の電極であって、少なくとも先端部27nが、スズを含有した銅合金にて構成される。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、イオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−277235号公報
【0003】
従来、室内あるいは自動車内の空気の浄化、殺菌あるいは消臭等を行なうために、イオン発生装置が使用されている。これらの多くは、筐体内に交流電源部と昇圧用のトランスと針状電極とを配し、トランスにて昇圧された交流高電圧を針状電極に印加してコロナ放電を生じさせ、その放電により発生するイオンを、筐体に孔設されたイオン放出口から放出させるものである。このようなイオン発生装置用の電極としては、特許文献1に示されているようなNi製の電極が、安価でイオン発生能力も大きいので広く使用されている。
【0004】
ところで、イオン発生のための放電がいわゆる無声放電に近い形態となる場合、空気中ではオゾンを発生しやすい問題がある。オゾンは酸化力が強く、殺菌力や有機物等への酸化分解力にも優れているが、発生量が多くなると不快な刺激臭が強くなってしまう欠点がある。本発明者らが検討したところによると、Ni系の電極はオゾン発生が比較的顕著であり、形状等の工夫ではオゾン発生を抑制しきれないことがわかった。また、特許文献1においては、Ni電極の先端が先鋭な場合はオゾン発生量が小さくなる傾向にあると記載されているが、この記載が正しいなら、電極が消耗して先端部の先鋭度が鈍ると、オゾン発生量も増加することになるので、恒久的な解決にはならないと考えられる。さらに、特許文献1にに開示された電極は、電極消耗によるイオン発生能力の変化を抑制するために、先端がアール状に形成されており、先端が先鋭となるほどオゾン発生が抑制されることが明記されている以上、オゾン発生抑制の観点においては本来的に譲歩を行なった構成であると解釈せざるを得ない。
【0005】
本発明の課題は、従来のNi系の電極と比較して、これと同等又はそれ以上のイオン発生能力を有し、しかもオゾン発生量を大幅に削減できるイオン発生電極と、それを用いたイオン発生装置とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明のイオン発生電極は、高電圧印加による放電によりイオンを発生させるイオン発生装置用の電極であって、少なくとも先端部を、スズを含有した銅合金にて構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のイオン発生装置は、上記本発明のイオン発生電極と、該イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給する高電圧電源回路とを有したことを特徴とする。
【0008】
スズを含有した銅合金よりなる本発明のイオン発生電極は、特許文献1等に記載されたNi系の電極と比較して、これと同等又はそれ以上のイオン発生能力を有し、しかもオゾン発生量を大幅に削減できる。特に、高電圧電源回路が、一次側交流入力をトランスにより二次側交流出力の形で昇圧し、さらに正イオン又は負イオン発生のために、整流素子により正極性又は負極性の脈流高電圧をイオン発生用の高電圧として供給するものである場合、従来のNi系の電極を用いた場合はオゾン発生が一層顕著となるが、スズを含有した銅合金によりイオン発生電極を構成すれば、オゾン発生を劇的に抑制することができる。
【0009】
特に、イオン発生用高電圧発生部が、電圧印加極性が負の側に優位となるように、イオン発生電極へ高電圧を印加するものである場合、すなわち負イオン発生装置に適用した場合は、この効果がより顕著である。また、イオン発生電極が、放電用対向電極を伴わない孤立電極として構成されている場合も、オゾン発生効果はより顕著に現われる。
【0010】
本発明に使用するスズ含有銅合金は一般には安価であるため、イオン発生電極の全体を該銅合金で作製することが、製造工程が簡略化されるので有利である。しかし、イオン発生上の本発明の諸効果に特に深く関与する電極部分は電極先端部であるため、電極先端部をスズ含有銅合金で構成し、その他の部分を別の材質にて構成することも可能である。
【0011】
上記銅合金中のスズの含有量は、1質量%以上20質量%以下とすることが望ましい。スズの含有量が1質量%未満ではオゾン発生抑制効果が顕著でなくなる。また、スズの含有量が20質量%を超えると、合金の電極形状への加工が困難となり、また、材料が脆くなるので電極先端部の折損等も生じやすくなる(例えば、イオン発生装置の組立時等において電極先端部に衝撃が加わった場合など)。本発明に使用する銅合金は銅を主成分(最も含有率の高い成分)とするものである。
【0012】
本発明に使用する銅合金は、スズの他にさらにリンを含有するものを採用すると、オゾン抑制効果が一層顕著となり、また、電極の耐消耗性をより向上させることができる。この場合、銅合金中のリンの含有量は0.01質量%以上1質量%以下とすることが望ましい。リンの含有量が0.01質量%未満では、リンの添加によるオゾン発生抑制効果あるいは耐消耗性効果の改善がそれほど顕著ではなくなる。また、リンの含有量が1質量%を超えると、合金の電極形状への加工が困難となり、また、材料が脆くなるので電極先端部の折損等も生じやすくなる。
【0013】
スズ含有銅合金よりなるイオン発生電極は、電極先端が尖鋭に形成されていないこと、すなわち、電極先端が平坦(ないしアール面状)とされている場合の方が、オゾン発生抑制効果が一層顕著となる。これは、特許文献1等に記載されたNi系電極では先端が先鋭化するほどオゾン発生が起こりにくくなるのと、いわば正反対の傾向を示すものであり、本発明における大きな特徴の一つであるといえる。電極先端が平坦面ないしアール面となっていれば、特許文献1にも記載されている通り、電極が多少消耗しても電極先端形状が大きく変化することはなく、イオン発生能力も安定に維持される。しかし、従来のNi系電極の場合、既に説明した通り、オゾン抑制の観点においては電極先端が尖鋭化した方が有利であると考えられていたから、尖鋭でない電極先端形状を採用することは、オゾン抑制効果を犠牲にしてでもイオン発生能力の安定化を優先させる、という、いわば窮余の選択を迫られていたに過ぎないのである。しかし、本発明に使用するスズ含有銅合金は、尖鋭でない電極先端形状の採用により、オゾン抑制効果は却って高められるので、イオン発生能力の安定化との両立を難なく図ることができる。
【0014】
ここで、「尖鋭でない電極先端形状」とは、図4に示すように、電極先端(27t)から電極長手方向(O)に沿って0.5mmだけ隔たった位置において、該電極長手方向(O)と直交する平面(S)にて先端部(27n)を切断したときの、仮想切断面(27t)の面積が0.1mm2以上0.4mm2以下となっていることをいう。また、電極長手方向(O)は、図2に示すように、電極(27)を平面視したときに、その最先端点を通って電極(27)を横切る最も長い線分Lが引ける向きをいう。仮想切断面(27t)の面積が0.1mm2未満ではオゾン抑制効果の向上が顕著でなくなり、0.4mm2を超えると電極先端への電界集中が鈍るため、イオン発生能力が損なわれることにつながる。
【0015】
次に、本発明のイオン発生電極は、図2に示されるように、その先端部(27n)を(少なくとも)、厚さtが0.2mm以上0.5mm以下の板状に形成することが望ましい。先端部の厚さtが0.2mm未満になると、電極消耗が生じやすくなり、良好なイオン発生能力を長期間維持することが困難になる。また、厚さtが0.5mmを超えることは、硬さの高いスズ含有銅合金の場合、加工状の制約が多くなる欠点が生ずる。なお、電極の先端部(27n)において電極先端面を平坦とした形状は加工が容易であり、また、オゾン抑制効果も顕著であるため、本発明に好適に採用できる。
【0016】
さらに、本発明のイオン発生電極は、先端部を含めた全体が銅合金により板状に形成すれば、スズ含有銅合金板材の打抜ないしエッチングにより容易に製造できるので好都合である。この場合、電極への高電圧給電部を兼ねた電極固定用の貫通孔が板厚方向に形成しておけば、イオン発生装置の電極接続部に該イオン発生電極を、ねじやボルトナットあるいはリベットなどの締結部材により容易に結合できる。
【0017】
銅合金のスズの含有率は2質量%以上10質量%以下とすることがより望ましい。スズの含有率を2質量%以上とすることで、オゾン抑制効果は一層顕著なものとなる。また、板状の素材を用いる場合、スズの含有率が10質量%を超えると、圧延等による板材への加工が困難になり、また、打抜加工により電極形状を得ようとする場合は、割れやクラックなどの不良を生じやすくなる。
【0018】
さらに、リンを添加する場合は、銅合金のリンの含有率を0.03質量%以上0.35質量%以下とすることが望ましい。リンの含有率を0.03質量%以上とすることで、オゾン抑制効果及び耐消耗性改善効果は一層顕著なものとなる。また、板状の素材を用いる場合、リンの含有率が0.35質量%を超えると、圧延等による板材への加工が困難になり、また、打抜加工により電極形状を得ようとする場合は、割れやクラックなどの不良を生じやすくなる。
【0019】
以下、本発明のイオン発生装置に付加可能な要件について説明する。本発明のイオン発生装置は、
イオン発生電極を接続するための電極接続部と、
電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであって、昇圧用の圧電トランスと、その圧電トランスの一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(以下、駆動源直流という)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路とを含んで構成された高電圧電源回路と、
複数種類の電圧の外部直流が入力可能とされ、その入力された外部直流を、入力電圧とは無関係に、予め定められた一定電圧の駆動源直流に変換する直流電源回路と、
それら電極接続部と高電圧電源回路と直流電源回路とが一体に取り付けられる基板と、を備えたイオン発生装置用モジュールを有するものとして構成することができる。
【0020】
上記の構成によると、複数種類の電圧の外部直流が入力可能とされ、その入力された外部直流を、入力電圧とは無関係に、予め定められた一定電圧の駆動源直流に変換する直流電源回路を設けたから、駆動電源として使用できる外部直流の電圧レベルが適用用途により異なっても、従来のように、仕様の異なる電圧変換回路を個別に搭載した複数種類のモジュールを用意する必要がなくなる。その結果、圧電トランスによるイオン発生用の高電圧を、入力電圧の種類によらず常に安定的に発生でき、ひいてはコンパクトで汎用性に優れたイオン発生装置用回路モジュールが実現できる。また、複数種類の外部直流を、単一の直流電源回路にて処理できることも、モジュールのコンパクト化を図る上での重要な利点である。
【0021】
また、本発明のイオン発生装置は、
イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、
電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであって、昇圧用の圧電トランスと、その圧電トランスの一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(以下、駆動源直流という)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路とを含んで構成された高電圧電源回路と、
それら電極接続部と高電圧電源回路とが一体に取り付けられる基板と、
基板上において、圧電トランスが有する圧電セラミック素子を、高電圧電源回路の構成部品とともにモールドする高分子材料モールド部とを備え、
その高分子材料モールド部が、JIS:K−6253(1997)に規定されたタイプAのデュロメータ硬さにおいて80以下の硬度を有するゴム又はエラストマーにより構成されたイオン発生装置用モジュールを有するものとして構成することができる。
【0022】
従来の電子回路基板では、ノイズ防止や強度向上等を優先するために、回路部品をエポキシ樹脂等の比較的硬質の高分子材料によりモールドすることが多く行なわれてきた。しかし、本発明者らが検討したところ、このような硬質のモールドにて、イオン発生装置回路基板に設けられた圧電トランスを覆った場合、圧電セラミック素子の振動が拘束され、スムーズな振動が妨げられる結果、十分な出力電圧ひいてはイオン発生性能が得られなくなることがわかった。また、硬質のモールドは、圧電セラミック素子と基板やケースなどの周辺部品との間の機械的な結合を高めるため、連成振動等による寄生共振モードを生じやすく、これも圧電トランスの出力を低下させる一因となる。
【0023】
そこで、さらに検討を重ねた結果、高分子材料モールド部を上記のような硬さのゴム又はエラストマーにより構成することにより、圧電セラミック素子の振動拘束の問題が顕著に解消されてスムーズな振動が可能となり、結果として圧電トランスの出力電圧の低下、ひいてはイオン発生性能の低下を効果的に抑制できることを見出した。また、このように、適度に柔軟なゴム又はエラストマーをモールド部の材質として採用することで、圧電セラミック素子の振動がモールド部に弾性的に吸収され、基板やケースなどの周辺部品との機械的な結合が緩和される。その結果、寄生共振モード等による出力の低下も起こり難い。
【0024】
さらに、本発明のイオン発生装置は、
イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、
電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであって、昇圧用の圧電トランスと、その圧電トランスの一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(以下、駆動源直流という)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路とを含んで構成された高電圧電源回路と、
それら電極接続部と高電圧電源回路とが一体に取り付けられる基板と、
基板上において、圧電トランスが有する圧電セラミック素子を、高電圧電源回路の構成部品とともにコーティングする高分子材料コーティング部とを備え、
その高分子材料モールド部の圧電セラミック素子に対する被覆厚さが1mm以下とされたイオン発生装置用モジュールを有するものとして構成することができる。
【0025】
上記の構成は、前記の高分子材料モールド部を高分子材料コーティング部で置き換えたものであり、該コーティング部の圧電セラミック素子に対する被覆厚さを1mm以下とした。このように、圧電セラミック素子に対するコーティング厚さを薄くすることにより、圧電セラミック素子の振動拘束の問題が顕著に解消されてスムーズな振動が可能となり、結果として圧電トランスの出力電圧の低下、ひいてはイオン発生性能の低下を効果的に抑制できる。なお、該コーティング厚さは、基板の強度向上あるいはノイズ防止等の効果を十分に確保する観点から、0.1mm以上確保されていることが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。
図1は、本発明のイオン発生装置の要部をなす回路モジュール(以下、単に回路モジュールともいう)1の外観を示すものである。回路モジュール1は、イオン発生電極27を接続するための電極接続部27aと、電極接続部27aに対しイオン発生用の高電圧を供給する圧電トランス70を有した高電圧電源回路(後述)、さらには、その高電圧電源回路に対し駆動源電流となる直流電流を供給するための直流電源回路(後述)を、ガラス−エポキシ樹脂複合材料等からなる基板31に一体的に組み付けたものである。そして、その基板31上において、圧電トランス70が有する圧電セラミック素子を、高電圧電源回路の構成部品とともにモールドする高分子材料モールド部30が設けられている。
【0027】
図5は、上記回路モジュールを用いた負イオン発生装置の回路構成の一例を示すブロック図である。該回路は、前述の通り高電圧電源回路41と、直流電源回路36とを含む。高電圧電源回路41は、電極接続用端子27qに対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであり、昇圧用の圧電トランス70と、その圧電トランス70の一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(駆動源直流)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路42を含む。また、直流電源回路36は、複数種類の電圧の外部直流が入力可能とされ、その入力された外部直流を、入力電圧とは無関係に、予め定められた一定電圧の駆動源直流に変換するものである。これら、電極接続用端子27qと高電圧電源回路41と直流電源回路36とが、図1の基板31に一体に取り付けられている。
【0028】
図1に戻り、高分子材料モールド部30は、JIS:K−6253(1997)に規定されたタイプAのデュロメータ硬さにおいて80以下の硬度を有するゴム又はエラストマーにより構成されている。高分子材料モールド部30の硬さが上記タイプAデュロメータ硬さにおいて80を超えると、圧電トランス70の出力低下が生じやすくなる。また、該硬さの下限値に特に制限はないが、該硬さが1程度までのものであれば、市販のゴムから選択できる利点がある。また、硬さが極度に低いものは、モールドとしての保型機能が維持できなくなる場合があり、このような不具合が生じない範囲にて硬さの選択を行なうことが望ましい。なお、高分子材料モールド部30の硬さは、より望ましくは10〜50程度の範囲で選択するのがよい。
【0029】
採用するゴム/エラストマーの材質は、上記の硬さ範囲を満たすものであれば特に限定されないが、常温未硬化状態にて液状のゴム/エラストマー(例えばシリコーン系やウレタン系のもの)を使用すると、注型によるモールドを簡単に行なうことができる。本実施形態では、基板31をケース35に収容し、該ケース35内に基板31を配置した状態で、ゴム又はエラストマー(当然、液状状態のものである)を注型し、その後これを硬化させることにより、基板31上に実装されている前記回路の構成部品Cを、該基板31とともにケース35内にてモールドするようにしている。
【0030】
ケース35は、具体的には、基板31を収容するための開口部35cが上面側に形成され、基板31は、基板裏面側に配置された部品Cがケース底面と接触しないように、スペーサ35a(ケース底面から突出形成されている)により該底面から一定距離浮かせた形でケース31内に配置されている。なお、注型時において基板裏面側の空間を満たす気体を排出するための貫通部31aが板厚方向に形成されている。これにより、注型後に基盤周辺に気泡等が残留して耐食性等が損なわれる不具合を防止ないし抑制することができる。
【0031】
基板31は、スペーサ35aに対しボルト等の締結部材35bにより固定されている。また、基板31の表面に形成された電極接続用端子27qには、高電圧出力用ケーブル27bの基端が接続されるとともに、反対側がモールド部30の外に延出して、その先端にスズグ状の金具よりなる電極接続部27aが設けられ、ここにイオン発生電極27が取り付けられるようになっている。
【0032】
なお、基板31を上記のようにモールドする代わりに、図1(c)に示すように、基板31の全体を高分子材料コーティング部130で覆った構成とすることができる。この場合、高分子材料コーティング部130の硬さを限定しない代わりに、その圧電セラミック素子70に対する被覆厚さ(平均値)tを、1mm以下(0.1mm以上)とするようにしてもよい。なお、高分子材料コーティング部130の材質は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を使用できる。
【0033】
イオン発生電極27は、その全体がスズ含有銅合金にて構成されている。銅合金中のスズの含有量は1質量%以上20質量%以下の範囲で設定され、本実施形態では2質量%以上10質量%以下の範囲で設定されている。本実施形態において、イオン発生電極27は、図2に示すように、本体部27mと、その本体部27mの外周縁から延出する先端部27nとを有し、それら本体部27mと先端部27nとを含む全体がスズ含有銅合金により板状に形成されている。その厚さtは、0.2mm以上0.5mm以下である。なお、スズ含有銅合金は、リンをさらに含有した、いわゆるリン青銅にて構成することも可能であり、この場合のリンの含有量は0.01質量%以上1質量%以下、望ましくは0.03質量%以上0.35質量%以下とされる。
【0034】
本体部27mは、電極長手方向Oにおいて、後方側が半円状、前方側がテーパ状の外形を有し、そのテーパ状の部分の先端から、前記した先端部27nが針状に延出している。また、本体部27mの後方側には、電極への高電圧給電部を兼ねた電極固定用の貫通孔27fが板厚方向に形成されており、図1に示すように、ここにスズグ状の電極接続部27aを重ね、ボルトナットあるいはリベットなどの締結部材27jを挿通することにより、電極27をケーブル27bに接続することができる。なお、図2に示すように、本体部27mには、貫通孔27fの前方側に、これよりも径小の電極位置決め用の貫通孔27hが形成されている。該形状のイオン発生電極27は、スズ含有銅合金板材の打抜加工により製造される。
【0035】
図4に示すように、イオン発生電極27の先端部27nの先端面27tは平坦に形成されている。電極を平面視したとき、先端面27tをなす縁の中点(電極先端)から電極長手方向Oに沿って0.5mmだけ隔たった位置において、該電極長手方向Oと直交する平面Sにて先端部27nを切断したときの、仮想切断面の面積は0.1mm2以上0.4mm2以下とされている。
【0036】
次に、図5に示すように、高電圧電源回路41は、発振部37、スイッチング部38、昇圧部39及び整流部40を含む。図6は、その具体的な回路構成の一例を示すものである。昇圧部39に含まれる圧電トランス70は、圧電セラミック素子板71に入力側端子72a,73aと出力側端子74aとを形成し、その入力側端子72a,73aからの一次側交流入力電圧を、圧電セラミック素子板71の機械振動を介して一次側交流電圧よりも高圧の二次側交流電圧に変換し、出力側端子74aからイオン発生電極27に向けて出力するものである。
【0037】
一方、図6の整流部40は、イオン発生電極27への電圧印加極性が負(第一極性)の側に優位となるように、圧電トランスの二次側交流出力を整流するものである。これにより、イオン発生電極27は主に負イオン発生源として機能することとなる。他方、本発明は、正イオン発生装置として機能させる構成も可能であるが、この場合は、整流部40の接続方向を逆とすればよい。
【0038】
発振部37は、直流電源部36からの駆動源直流を受けて、圧電トランス70への一次側交流入力に対応した周波数にて発振波形を生成する。この発振部37は、本実施形態では、オペアンプ62と、負帰還側の抵抗器52とコンデンサ53にて構成される方形波発振回路として構成されている。なお、抵抗器54及び55は、発振入力の基準電圧、つまり、発振の電圧振幅の中心値を規定するためのものである。さらに、コンデンサ57は、基準電圧に重畳されるノイズ除去用のものであるが、基準電圧が安定な場合は省略できる。
【0039】
また、スイッチング部(スイッチング回路)38は、発振部37からの波形信号を受けて、電源ユニット30からの直流定電圧入力を高速スイッチングすることにより、圧電トランス70の一次側への入力交流波形を生成する。具体的には、スイッチング部38は、1対のトランジスタ65,66を含むプッシュプルスイッチング回路として構成されている。これらトランジスタ65,66は、オペアンプ62の出力(43はプルアップ抵抗である)によりオン・オフし、発振部37の発振周波数にて発振する方形波交流波形を生じさせる。この波形が圧電トランス70の一次側に入力される。なお、コンデンサ58は、トランジスタ65,66のスイッチング入力に重畳されるノイズ除去用のものであるが、ノイズが少ない場合は省略できる。
【0040】
次に、圧電トランス70の圧電セラミック素子板71は横長板状に形成され、その板面長手方向中間位置にて、板厚方向に分極処理された第一板状領域71aと、板面長手方向に分極処理された第二板状領域71bとに区切られている。そして、第一板状領域71aの両面を覆う形で、入力側端子72a,73aが接続される入力側電極対72,73が形成される一方、第二板状領域71bの板面長手方向の端面に、出力側端子74aが接続される出力側電極74が形成されている。
【0041】
上記の構成の圧電トランス70では、入力側電極対72,73を介して第一板状領域71aに対し交流入力を行なうと、第一板状領域71aではその分極方向が厚さ方向であるから、長手方向に伝播する板波が板厚方向の電界と強く結合する形となり、電気エネルギーの大半が、長手方向に伝播する板波のエネルギーに変換される。他方、この長手方向の板波は第二板状領域71bに伝わるが、ここでは分極方向が長手方向であるから、該板波は長手方向の電界と強く結合する。そして、入力側の交流周波数を圧電セラミック素子板71の機械振動の共振周波数に対応(望ましくは一致)させるとき、素子71のインピーダンスは、入力側では略最小(共振)となるのに対し出力側では略最大(反共振)となり、このインピーダンス変換比に応じた昇圧比により一次側入力が昇圧されて二次側出力となる。
【0042】
このような作動原理を有する圧電トランス70は構造が簡単であり、前述の通り、鉄芯を有する巻線型トランスと比較すると非常に軽量・コンパクトに構成できる利点がある。そして、負荷の大きい条件ではインピーダンス変換効率が高く、安定で高い昇圧比を得ることができる。また、イオン放出に伴う放電電流の発生を除けば負荷開放に近い条件で駆動されるイオン発生装置では、イオン発生に適した高圧を安定的に発生することができ、前記の圧電トランス特有の利点も有効に活用することができる。
【0043】
圧電セラミック素子71の材質は特に限定されないが、例えば本実施例ではジルコン酸チタン酸鉛系ペロブスカイト型圧電セラミック(いわゆるPZT)にて構成している。これは、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛との固溶体を主体に構成されるものであり、インピーダンス変換効率に優れていることから本発明に好適に使用できる。なお、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛と配合比は、ジルコン酸鉛/チタン酸鉛のモル比にて0.8〜1.3程度とすることが、良好なインピーダンス変換効率を実現する上で望ましい。また、必要に応じてジルコニウムあるいはチタンの一部を、Ni、Nb、Mg、Co、Mn等で置換することもできる。
【0044】
なお、PZT系の圧電セラミック素子は、駆動周波数が極端に高くなると共振尖鋭度が急速に鈍くなり、変換効率の低下を招くことから、一次側交流入力の周波数は、40〜300kHz(望ましくは、50〜150kHz)程度の比較的低い周波数範囲にて、素子71の機械的共振周波数に対応した値に設定することが望ましい。逆に言えば、素子71の機械的共振周波数が上記の周波数範囲に収まるように、素子71の寸法を決定することが望ましい。
【0045】
なお、PZT系の圧電セラミック素子を使用する場合、その一次側交流入力の電圧レベルは、負イオンの発生効率を確保し、かつ素子の耐久性確保の観点から、15〜40V程度に設定される。これにより、イオン発生電極27への印加電圧レベルは、前記の一次側交流入力の周波数範囲にて最大で4000〜6000V程度を確保できる。
【0046】
次に、整流部40は、整流回路をなすダイオード76を含んでいる。このダイオード76は、イオン発生電極27を負極性にチャージアップさせる向きの電荷移動は許容し、これと逆向きの電荷移動を阻止するように、圧電トランス70の二次側交流出力を整流する役割を果たす。なお、本実施形態では、耐電圧を確保するために複数個(ここでは4個)のダイオード76を直列接続している。また、交流高電圧電源つまり圧電トランス70の出力端子74aにイオン発生電極27が接続され、その出力端子からイオン発生電極へ向かう経路から分岐して放電路90が設けられている。なお、放電路90の末端は接地されている。
【0047】
図9(a)は基板31の表面側、(b)は同じく裏面側の部品実装レイアウトの一例を示すものである。図中の符号は図6及び図7の回路図中の符号に対応している。本実施形態では、(a)に示すように、基板31に圧電トランス70を、圧電セラミック素子板71と基板面とが互いに略平行となるように実装している。また、(b)に示すように、基板31の裏面側において圧電セラミック素子板73に対応する領域が金属膜電極75にて覆われており、該金属膜電極75と圧電セラミック素子板71とが、基板31の両者の間に位置する部分とともに帰還キャパシタンスを構成している。
【0048】
次に、図7は、直流電源回路36の構成例を示す回路図である。この回路においては、一定範囲の直流電圧(本実施形態では、DC4.5V〜DC32V)が、基板上に設けられた単一の入力コネクタ2から連続可変入力可能とされ、当該入力電圧よりも昇圧された直流を生成して、これを駆動源直流(本実施形態ではDC32V)として出力する入力可変型ステップアップ回路として構成されている。既に説明した通り、エアコンなどの一般家電製品や、自動車用などの種々の用途に、イオン発生装置をモジュールの形で組み込む場合、外部直流として使用できる電圧は、組み込み対象となる製品に応じてまちまちである(例えば前者はDC5V、後者はDC12Vあるいは24V)。しかし、直流電源回路36を上記のような入力可変型ステップアップ回路として構成しておけば、使用する外部直流の電圧に関係なく常に一定の電圧の駆動源直流が得られる。また、それらの外部直流を、単一の入力コネクタ2から入力すればよく、電圧によるコネクタの使い分けの必要もないから、一層汎用性を高めることができる。
【0049】
さらに、上記構成の大きな特徴は、入力される外部直流の電圧レベルが多少変動したり、あるいは比較的大きなリップルが形成されたりしている場合でも、入力可変型に構成されているため、ほとんどその影響を受けることなく一定電圧の駆動源直流に変換できる点である。このことは、電圧変動の影響を受けやすい圧電トランスの駆動源直流として有利に作用する。さらに、結果的に本ステップアップ回路の前段に、電圧安定化のための回路を特に設ける必要がなくなり、電源回路の大幅な簡略化を図ることができる。以上の効果は、車載バッテリー電圧にオルターネータ交流波形が重畳される結果、リップルが特に大きくなる自動車用の用途において、とりわけ顕著に達成される。
【0050】
以下、図7の入力可変型ステップアップ回路の詳細構成についてさらに説明する。該回路は、制御用IC21(本実施形態では、新日本無線(株)製の市販品(NJM2360A)を用いている)と、該制御用IC21に外付け接続されたインダクタ10(本実施形態ではシールドコイルである)、及び整流・平滑化部をなすダイオード13及びコンデンサ16を主体に構成されている。制御用IC21の等価回路は図8に示す通りであり、発振回路103と、外部直流の一部を分岐入力させ、その分岐直流入力を発振回路103が規定する一定周波数にて断続スイッチングするスイッチング部106と、出力側直流電圧を基準電圧と比較して、それら出力側直流電圧と基準電圧との差が縮小するように、分岐入力直流の断続スイッチングの許容及び禁止を制御する制御部107とを有する。図8の各端子番号は、図7の端子番号に対応している。
【0051】
図7に示すように、インダクタ10は、分岐直流入力の断続スイッチングに基づいて誘導電流を発生させるとともに、その誘導電流に基づくリップル電圧を外部直流の入力電圧に重畳させた形で出力するものである。また、整流・平滑化部13,16は、インダクタ10からの出力電圧を整流及び平滑化することにより外部直流よりも昇圧された直流を生成し、これを駆動源直流(DC32V)として出力するためのものである。
【0052】
この回路の動作は、基本的には、制御用IC21において、一定周波数で断続スイッチングされる電流をインダクタ10に導き、その誘導電流による電圧波形を入力電圧に重畳させた後平滑化を行なうことで、入力電圧よりも高電圧の直流を発生させる、一般的なステップアップ回路と同一の原理によっている。そして、その特徴は、出力電圧を制御用IC21にフィードバックし(5番端子)、これを制御部107において基準電圧と比較するとともに、もし出力電圧が基準電圧をオーバーシュートした場合は、誘導電流を発生させるためのスイッチングを一時的に中止して、基準電圧に向けた電圧復帰が生ずるように制御される点である。インダクタ10の誘導電流による電圧成分は交流波形であり、これを整流・平滑化したときの電圧レベルが、ステップアップによる電圧増分の最大値となる。従って、入力電圧の平均レベルと、得るべき駆動源直流の目標電圧との差分よりも大きくなるようにスイッチング周波数を設定しておけば、入力電圧と目標電圧との差がどのような値であっても、そのスイッチング動作の停止/継続の時間比を調整することで、常に目標電圧に近い出力を得ることができる。このことは、入力電圧が規定された範囲内(本実施形態では、DC4.5〜DC32V)で連続可変であり、突発的な要因による電圧変動や入力側のリップルの影響なども全て吸収できることを意味する。
【0053】
本実施形態では、外部直流は、制御用IC21内に組み込まれたスイッチング部をなすトランジスタ106aのドライバコレクタ端子(8番端子)とトランジスタ106bのスイッチコレクタ端子(1番端子)とを短絡する短絡経路25に入力され、インダクタ10はその短絡経路25上に配置されている。これにより、インダクタ10の誘導電流に基づくリップル電圧を外部直流の入力電圧に重畳させる回路構成を合理的に実現できる。
【0054】
図7において、外部直流は入力コネクタ2から入力される。コネクタ2の1番端子から入力された直流電圧は、調整用の抵抗8を経て短絡経路25に入力され、整流・平滑化回路をなすダイオード13を経て出力される。このダイオードは、スイッチングがオフされるときのインダクタ10に向けたフライバック電流を遮断する役割も果たす。他方、平滑化機能を担うコンデンサ16は、この出力経路と並列に接続されている。なお、コネクタ2の2番端子及び3番端子はジャンパ7(結線状態)により短絡された接地線につながっている。また、符号9及び10は電波吸収体をなすフェライトコアである。また、図7の回路に現われているコンデンサ19,20,22はノイズ吸収用のものである。さらに、符号3は、サージ対策用のバリスタであり、符号4は過電流防止用のヒューズである。
【0055】
出力電圧のフィードバックは、抵抗14及び15により分圧調整されて制御用IC21に入力される。図7に示すように、制御回路107はコンパレータ102、ANDゲート104及びRSラッチ105からなり、発振器103の出力はANDゲート104とRSラッチ105のリセット端子に分配されている。また、コンパレータ102の出力は、ANDゲート104の他方の端子に入力される。フィードバックされた出力電圧Vは5番端子からコンパレータ102に入力され、そこで基準電圧発生部101からの基準電圧Vrと比較される。他方、ANDゲート104の出力はRSラッチ105のセット端子に入力される一方、発振器103の出力は反転した形でRSラッチ105のリセット端子に入力されている。従って、RSラッチ105は、V<Vrのとき、発振器103と同期したパルスを出力し、そのパルス波形に同期してトランジスタ106a,106bをスイッチングする。他方、V≧Vrのときは、RSラッチ105は発振器103の出力を遮断し、スイッチングは停止する。なお、トランジスタ106a,106bは、スイッチングの電流容量を確保するため2段にダースズトン接続されたものが用いられている。また、発振器103の発振周波数は、3番端子に接続されるコンデンサ(タイミングキャパシタ:図7の符号18)の容量により調整される。
【0056】
本実施形態においては、図7に示すように、直流電源回路36からの出力の一部を、高電圧電源回路41(図5)以外の外部回路に供給するための、外部出力用コネクタ23が基板31上に設けられている。このようにすると、直流電源回路36を高電圧電源回路41以外の電源部としても活用することができる。例えば、イオン発生装置の周辺回路用として、高電圧電源回路41と同一電圧仕様の電源系統として用いることが可能であり、このような電源回路の共用化により装置全体としての一層のコンパクト化を図ることができる。本実施形態では、図1に示すように、外部出力用コネクタ23が入力コネクタ2とともに、高分子材料モールド部30の上面に差し込み口を露出させる形で配置されている。
【0057】
このような外部出力用コネクタ2には、例えば電極接続用端子27qに取り付けられたイオン発生電極27(図1)をクリーニングするためのクリーニング機構を接続することができる。イオン発生装置を長期間使用していると、気流に含まれている埃や油、あるいはその他の汚れ物質がイオン発生電極に付着し、やがては放電面がそれらの汚れ物質にて覆われてしまう。このような状態になると、イオン発生のための放電が著しく妨げられ、イオン発生効率の低下や、甚だしい場合にはイオン発生の停止につながる場合がある。そこで、このようなクリーニング機構を設けておけば、イオン発生電極27を常に正常な状態に保つことができ、ひいてはイオン発生効率を高めることが可能である。
【0058】
クリーニング機構は、イオン発生電極に付着した汚れを電気的発熱により焼失させる電気的クリーニング機構とすることができる。この電気的クリーニング機構は、例えばイオン発生電極自体あるいはイオン発生に近接して配置された別体の抵抗発熱体を抵抗通電発熱させることにより焼失させるものとしてもよいが、本実施形態では、以下のようなものを採用している。 すなわち、該電気的クリーニング機構79においては、図12(a)に示すように、高電圧電源部が火花放電用高電圧発生部に兼用され、イオン発生電極27と火花放電対向電極83との間に形成されるギャップに、火花放電用の高電圧が印加される。そして、その高電圧印加にてイオン発生電極27と火花放電対向電極83との間に発生する放電火花により、イオン発生電極に付着した付着物が焼失・除去される。このような火花放電による付着物が焼失・除去を繰り返し行なうと、イオン発生電極27の先端部27nはより消耗しやすい状況となる。しかし、本実施形態では、厚さ0.2mm以上のスズ含有銅合金にてイオン発生電極27を構成することで、該火花による電極の消耗も進みにくくなっている。
【0059】
なお、火花放電対向電極83は接地しておくこともできるが、火花放電時間が短ければ装置キャパシタンスにて放電電流を吸収することができるので、特に接地しない構成としてもよい。
【0060】
火花放電対向電極83はイオン発生電極27の先端部27nと対向する形で配置される。具体的には火花放電対向電極83は棒状に形成され、その棒状の火花放電対向電極83の先端面又は側面(本実施形態では側面)がイオン発生電極27の先端部27nと対向する。
【0061】
また、図11に示すように、火花放電対向電極83をイオン発生電極27に対して、イオン発生電極27からイオン発生させるための離間位置((b))と、火花放電対向電極83とイオン発生電極27との間で放電火花を発生させるための接近位置((a))との間で少なくとも、相対的に接近・離間させる火花放電対向電極移動機構78が設けられている。ここでは、イオン発生電極27の位置が固定とされ、火花放電対向電極移動機構78は火花放電対向電極83を移動させるものとして構成されている。
【0062】
具体的には、火花放電対向電極移動機構78はソレノイド80を含み、その進退ロッド81の先端部に結合部材82を介して棒状の火花放電対向電極83の後端部が結合されており、進退ロッド81がソレノイド80によって進退駆動されることにより、火花放電対向電極83の先端部がイオン発生電極27の先端部に向けて接近・離間する。なお、84aはソレノイド80を固定するための位置決めプレートである。また、84は火花放電対向電極83が挿通されるガイド穴を有したガイドプレートであり、火花放電対向電極83がイオン発生電極27に向けて略水平に接近・離間するから、火花放電のギャップ形成精度を高めることができる。
【0063】
図10は、火花放電対向電極移動機構78の電気的構成の一例を示す回路図である。ソレノイド80は、コネクタ87を前記した外部入力用コネクタ2に接続することで、図5の直流電源部36から受電する(DC32V)。他方、ソレノイド80の付勢信号は、スイッチ機構85(本実施形態ではフォトMOSにて構成している)を介して制御部86より供給される。制御部86は、出入力ポート86aと、これに接続されたCPU86b、RAM8c及び86dとが組み込まれたマイクロプロセッサにて構成され、ROM86dには火花放電対向電極移動機構78の動作制御プログラムが書き込まれている。CPU86bは、RAM86cをワークエリアとして動作制御プログラムを実行することにより、放電対向電極移動機構78の動作制御主体として機能する。制御部86が火花放電対向電極移動機構78の駆動指令信号を発すると、フォトMOS85がターンオンし、ソレノイド80が直流駆動電圧を受電して付勢されるようになっている。
【0064】
図12(a)に示すように、火花放電対向電極83はソレノイド80の付勢によりイオン発生電極27に向けて接近する。これにより、同図(b)に示すように、火花放電対向電極83の先端部83aはイオン発生電極27の先端部27nに対し、所定量のギャップが形成されるように位置決めされる。例えば、この状態でイオン発生電極27に放電用の電圧を印加しておくことで、ギャップには放電火花SPが発生し、火花による熱集中によりイオン発生電極27の先端部27nに付着した埃や汚れなどの付着物が焼き飛ばされる。他方、同図(c)に示すように、火花放電対向電極83が後退すれば電極間距離が拡大し、放電火花の発生は停止する。しかしながら、クリーニング中もイオン発生電極27には引き続きイオン発生用電圧が印加されているから、火花放電が終了するとともに直ちにイオン発生モードに移行することができる。
【0065】
図7に戻り、回路モジュール1においては、交流電源入力に共用化できるように、以下のような工夫がなされている。すなわち、前記した直流入力用のステップアップ回路配線部と並列に、ダイオードブリッジからなる全波整流回路5が設けられている。交流使用時は、ステップアップ回路を構成する制御用IC21及びその周辺の素子類は省略することができる。また、外部交流電源を使用する場合は、その外部交流電源側の接地系統を使用することになるので、回路モジュール側の接地配線系統は不使用となる。従って、ジャンパ7は切断して用いる。なお、直流入力のみで使用する場合は、本交流入力共用化のための回路部分は省略することも可能である。
【0066】
上記本発明の回路モジュール1では、図7の高電圧電源回路41が直流電源部36から直流定電圧の供給を受け、発振部37及びスイッチング部38の作動により方形波交流を発生させるとともに、これが圧電トランス70の入力側端子72aに調整用抵抗67(波形調整用の可変抵抗67aを含む)を介して一次側交流入力として入力される。圧電トランス70は、前述の作動原理に従いこれを昇圧し、出力側端子74aから二次側交流出力として出力する
【0067】
上記構成においては、図6において、圧電トランス70の二次側が負の半波を出力するとき、イオン発生電極27は負に帯電する。その結果、イオン発生電極27の周囲には負イオン発生に好都合な電界勾配が生じ、周囲の空気中の分子、例えば水分子を、ヒドロキシルイオン等の形でイオン化する。すなわち、負イオンを発生させる。次いで、正の半波が出力されるときは、イオン発生電極27の負電荷は接地側に放電しようとするが、この電荷の流れはダイオード76により阻止される。かくして、イオン発生電極27の負極性帯電状態が常時維持され、負イオンを恒常的に発生させることができる。
【0068】
そして、そのイオン発生電極27を前述のスズ含有銅合金で構成することで、長時間安定に高いイオン発生効率を保つことができ、しかもオゾンの発生を劇的に減ずることができる。以下、これを検証した実験結果について説明する。
【0069】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
(実施例1)
図6及び図7の回路構成にて負イオン発生装置を構成した。圧電セラミック素子板71の組成として、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛と配合比はモル比でほぼ1:1、添加元素としてNbを約2重量%含有するものを選定し、例えば長さ52mm、厚さ1.85mm、幅13mmの寸法に形成した。また、イオン発生電極27は厚さ約0.3mmのリン青銅板(スズ含有銅合金板、JIS:H3110(2000);C5191R−H、組成:スズ=6.6質量%、リン=0.1質量%、残部=銅+不可避不純物)にて図2のように構成した、その先端部27nは、長さ約5mmにて形成した。また、図4の平面Sによる仮想断面の幅wは0.57mmであり、従って該仮想断面の面積は0.17mm2である。なお、参考例として、先端を図3のように尖鋭に形成した電極も作成した。この電極は、図4の平面Sによる仮想断面の幅wは0.1mmであり、該仮想断面の面積は0.03mm2である。さらに、比較例として、リン青銅板に代えてニッケル板および白金板により、同様の寸法・形状に構成した電極も作成した。
【0070】
これら電極を負イオン発生装置に取り付け、圧電トランス70への一次側交流入力の周波数を約70kHz、電圧をpeak to peakにて24Vとして作動させたところ、イオン発生電極27への印加電圧レベルは約1000Vとなった。この状態にて、イオン発生電極27の電極先端から前方側に1m離間した位置において、毎秒の負イオン発生量を市販のイオンカウンタ(供給元:日本MJP株式会社、製品名:エアーイオンカウンタ、No.IC−1000)を用いて、1時間放電継続したときの平均値にて測定した。また、オゾン発生量を、市販のオゾン濃度計(荏原実業(株)製、AET−030P)により、1時間放電継続したときの平均値にて測定した。以上の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
いずれの電極も、イオン発生量は、1000cps以上の高い数値を示しているが、リン青銅を用いた実施例の電極は1700cps以上と、イオン発生レベルが特に高い。そして、オゾン発生量は、先端部27nを尖鋭に構成したものでは、比較例であるニッケル電極や白金電極と比べて半分程度に軽減されている。さらに、先端を平坦に形成したものでは、オゾン発生量はさらに2桁以上も劇的に低減されていることがわかる。これに対し、ニッケル電極や白金電極では、先端を平坦に形成しても、オゾン発生抑制効果は顕著でないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン発生装置に使用する回路モジュールの一例を示す外観斜視図、及びその内部構成を示す断面図。
【図2】本発明のイオン発生電極の一例を示す平面図、側面図及び斜視図。
【図3】本発明のイオン発生電極の参考例を示す平面図。
【図4】図2のイオン発生電極の先端を拡大して示す平面図。
【図5】イオン発生回路ユニットの構成を示すブロック図。
【図6】図5の高電圧電源部の一例を示す回路図。
【図7】同じく直流電源部の一例を示す回路図。
【図8】図7の制御用ICの等価回路図。
【図9】図1のイオン発生回路ユニットの、基板実装レイアウトの例を示す図。
【図10】クリーニング機構の電気的構成例を示す回路図。
【図11】火花放電式クリーニング機構の一例を、その動作とともに示す説明図。
【図12】図11のクリーニング機構の作用説明図。
【符号の説明】
1 イオン発生装置用回路モジュール
27 イオン発生電極
27m 本体部
27n 先端部
27a 電極接続部
41 高電圧電源回路
70 圧電トランス
【発明の属する技術分野】
この発明は、イオン発生装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
【特許文献1】
特開2000−277235号公報
【0003】
従来、室内あるいは自動車内の空気の浄化、殺菌あるいは消臭等を行なうために、イオン発生装置が使用されている。これらの多くは、筐体内に交流電源部と昇圧用のトランスと針状電極とを配し、トランスにて昇圧された交流高電圧を針状電極に印加してコロナ放電を生じさせ、その放電により発生するイオンを、筐体に孔設されたイオン放出口から放出させるものである。このようなイオン発生装置用の電極としては、特許文献1に示されているようなNi製の電極が、安価でイオン発生能力も大きいので広く使用されている。
【0004】
ところで、イオン発生のための放電がいわゆる無声放電に近い形態となる場合、空気中ではオゾンを発生しやすい問題がある。オゾンは酸化力が強く、殺菌力や有機物等への酸化分解力にも優れているが、発生量が多くなると不快な刺激臭が強くなってしまう欠点がある。本発明者らが検討したところによると、Ni系の電極はオゾン発生が比較的顕著であり、形状等の工夫ではオゾン発生を抑制しきれないことがわかった。また、特許文献1においては、Ni電極の先端が先鋭な場合はオゾン発生量が小さくなる傾向にあると記載されているが、この記載が正しいなら、電極が消耗して先端部の先鋭度が鈍ると、オゾン発生量も増加することになるので、恒久的な解決にはならないと考えられる。さらに、特許文献1にに開示された電極は、電極消耗によるイオン発生能力の変化を抑制するために、先端がアール状に形成されており、先端が先鋭となるほどオゾン発生が抑制されることが明記されている以上、オゾン発生抑制の観点においては本来的に譲歩を行なった構成であると解釈せざるを得ない。
【0005】
本発明の課題は、従来のNi系の電極と比較して、これと同等又はそれ以上のイオン発生能力を有し、しかもオゾン発生量を大幅に削減できるイオン発生電極と、それを用いたイオン発生装置とを提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段及び作用・効果】
上記の課題を解決するために、本発明のイオン発生電極は、高電圧印加による放電によりイオンを発生させるイオン発生装置用の電極であって、少なくとも先端部を、スズを含有した銅合金にて構成したことを特徴とする。
【0007】
また、本発明のイオン発生装置は、上記本発明のイオン発生電極と、該イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給する高電圧電源回路とを有したことを特徴とする。
【0008】
スズを含有した銅合金よりなる本発明のイオン発生電極は、特許文献1等に記載されたNi系の電極と比較して、これと同等又はそれ以上のイオン発生能力を有し、しかもオゾン発生量を大幅に削減できる。特に、高電圧電源回路が、一次側交流入力をトランスにより二次側交流出力の形で昇圧し、さらに正イオン又は負イオン発生のために、整流素子により正極性又は負極性の脈流高電圧をイオン発生用の高電圧として供給するものである場合、従来のNi系の電極を用いた場合はオゾン発生が一層顕著となるが、スズを含有した銅合金によりイオン発生電極を構成すれば、オゾン発生を劇的に抑制することができる。
【0009】
特に、イオン発生用高電圧発生部が、電圧印加極性が負の側に優位となるように、イオン発生電極へ高電圧を印加するものである場合、すなわち負イオン発生装置に適用した場合は、この効果がより顕著である。また、イオン発生電極が、放電用対向電極を伴わない孤立電極として構成されている場合も、オゾン発生効果はより顕著に現われる。
【0010】
本発明に使用するスズ含有銅合金は一般には安価であるため、イオン発生電極の全体を該銅合金で作製することが、製造工程が簡略化されるので有利である。しかし、イオン発生上の本発明の諸効果に特に深く関与する電極部分は電極先端部であるため、電極先端部をスズ含有銅合金で構成し、その他の部分を別の材質にて構成することも可能である。
【0011】
上記銅合金中のスズの含有量は、1質量%以上20質量%以下とすることが望ましい。スズの含有量が1質量%未満ではオゾン発生抑制効果が顕著でなくなる。また、スズの含有量が20質量%を超えると、合金の電極形状への加工が困難となり、また、材料が脆くなるので電極先端部の折損等も生じやすくなる(例えば、イオン発生装置の組立時等において電極先端部に衝撃が加わった場合など)。本発明に使用する銅合金は銅を主成分(最も含有率の高い成分)とするものである。
【0012】
本発明に使用する銅合金は、スズの他にさらにリンを含有するものを採用すると、オゾン抑制効果が一層顕著となり、また、電極の耐消耗性をより向上させることができる。この場合、銅合金中のリンの含有量は0.01質量%以上1質量%以下とすることが望ましい。リンの含有量が0.01質量%未満では、リンの添加によるオゾン発生抑制効果あるいは耐消耗性効果の改善がそれほど顕著ではなくなる。また、リンの含有量が1質量%を超えると、合金の電極形状への加工が困難となり、また、材料が脆くなるので電極先端部の折損等も生じやすくなる。
【0013】
スズ含有銅合金よりなるイオン発生電極は、電極先端が尖鋭に形成されていないこと、すなわち、電極先端が平坦(ないしアール面状)とされている場合の方が、オゾン発生抑制効果が一層顕著となる。これは、特許文献1等に記載されたNi系電極では先端が先鋭化するほどオゾン発生が起こりにくくなるのと、いわば正反対の傾向を示すものであり、本発明における大きな特徴の一つであるといえる。電極先端が平坦面ないしアール面となっていれば、特許文献1にも記載されている通り、電極が多少消耗しても電極先端形状が大きく変化することはなく、イオン発生能力も安定に維持される。しかし、従来のNi系電極の場合、既に説明した通り、オゾン抑制の観点においては電極先端が尖鋭化した方が有利であると考えられていたから、尖鋭でない電極先端形状を採用することは、オゾン抑制効果を犠牲にしてでもイオン発生能力の安定化を優先させる、という、いわば窮余の選択を迫られていたに過ぎないのである。しかし、本発明に使用するスズ含有銅合金は、尖鋭でない電極先端形状の採用により、オゾン抑制効果は却って高められるので、イオン発生能力の安定化との両立を難なく図ることができる。
【0014】
ここで、「尖鋭でない電極先端形状」とは、図4に示すように、電極先端(27t)から電極長手方向(O)に沿って0.5mmだけ隔たった位置において、該電極長手方向(O)と直交する平面(S)にて先端部(27n)を切断したときの、仮想切断面(27t)の面積が0.1mm2以上0.4mm2以下となっていることをいう。また、電極長手方向(O)は、図2に示すように、電極(27)を平面視したときに、その最先端点を通って電極(27)を横切る最も長い線分Lが引ける向きをいう。仮想切断面(27t)の面積が0.1mm2未満ではオゾン抑制効果の向上が顕著でなくなり、0.4mm2を超えると電極先端への電界集中が鈍るため、イオン発生能力が損なわれることにつながる。
【0015】
次に、本発明のイオン発生電極は、図2に示されるように、その先端部(27n)を(少なくとも)、厚さtが0.2mm以上0.5mm以下の板状に形成することが望ましい。先端部の厚さtが0.2mm未満になると、電極消耗が生じやすくなり、良好なイオン発生能力を長期間維持することが困難になる。また、厚さtが0.5mmを超えることは、硬さの高いスズ含有銅合金の場合、加工状の制約が多くなる欠点が生ずる。なお、電極の先端部(27n)において電極先端面を平坦とした形状は加工が容易であり、また、オゾン抑制効果も顕著であるため、本発明に好適に採用できる。
【0016】
さらに、本発明のイオン発生電極は、先端部を含めた全体が銅合金により板状に形成すれば、スズ含有銅合金板材の打抜ないしエッチングにより容易に製造できるので好都合である。この場合、電極への高電圧給電部を兼ねた電極固定用の貫通孔が板厚方向に形成しておけば、イオン発生装置の電極接続部に該イオン発生電極を、ねじやボルトナットあるいはリベットなどの締結部材により容易に結合できる。
【0017】
銅合金のスズの含有率は2質量%以上10質量%以下とすることがより望ましい。スズの含有率を2質量%以上とすることで、オゾン抑制効果は一層顕著なものとなる。また、板状の素材を用いる場合、スズの含有率が10質量%を超えると、圧延等による板材への加工が困難になり、また、打抜加工により電極形状を得ようとする場合は、割れやクラックなどの不良を生じやすくなる。
【0018】
さらに、リンを添加する場合は、銅合金のリンの含有率を0.03質量%以上0.35質量%以下とすることが望ましい。リンの含有率を0.03質量%以上とすることで、オゾン抑制効果及び耐消耗性改善効果は一層顕著なものとなる。また、板状の素材を用いる場合、リンの含有率が0.35質量%を超えると、圧延等による板材への加工が困難になり、また、打抜加工により電極形状を得ようとする場合は、割れやクラックなどの不良を生じやすくなる。
【0019】
以下、本発明のイオン発生装置に付加可能な要件について説明する。本発明のイオン発生装置は、
イオン発生電極を接続するための電極接続部と、
電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであって、昇圧用の圧電トランスと、その圧電トランスの一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(以下、駆動源直流という)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路とを含んで構成された高電圧電源回路と、
複数種類の電圧の外部直流が入力可能とされ、その入力された外部直流を、入力電圧とは無関係に、予め定められた一定電圧の駆動源直流に変換する直流電源回路と、
それら電極接続部と高電圧電源回路と直流電源回路とが一体に取り付けられる基板と、を備えたイオン発生装置用モジュールを有するものとして構成することができる。
【0020】
上記の構成によると、複数種類の電圧の外部直流が入力可能とされ、その入力された外部直流を、入力電圧とは無関係に、予め定められた一定電圧の駆動源直流に変換する直流電源回路を設けたから、駆動電源として使用できる外部直流の電圧レベルが適用用途により異なっても、従来のように、仕様の異なる電圧変換回路を個別に搭載した複数種類のモジュールを用意する必要がなくなる。その結果、圧電トランスによるイオン発生用の高電圧を、入力電圧の種類によらず常に安定的に発生でき、ひいてはコンパクトで汎用性に優れたイオン発生装置用回路モジュールが実現できる。また、複数種類の外部直流を、単一の直流電源回路にて処理できることも、モジュールのコンパクト化を図る上での重要な利点である。
【0021】
また、本発明のイオン発生装置は、
イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、
電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであって、昇圧用の圧電トランスと、その圧電トランスの一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(以下、駆動源直流という)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路とを含んで構成された高電圧電源回路と、
それら電極接続部と高電圧電源回路とが一体に取り付けられる基板と、
基板上において、圧電トランスが有する圧電セラミック素子を、高電圧電源回路の構成部品とともにモールドする高分子材料モールド部とを備え、
その高分子材料モールド部が、JIS:K−6253(1997)に規定されたタイプAのデュロメータ硬さにおいて80以下の硬度を有するゴム又はエラストマーにより構成されたイオン発生装置用モジュールを有するものとして構成することができる。
【0022】
従来の電子回路基板では、ノイズ防止や強度向上等を優先するために、回路部品をエポキシ樹脂等の比較的硬質の高分子材料によりモールドすることが多く行なわれてきた。しかし、本発明者らが検討したところ、このような硬質のモールドにて、イオン発生装置回路基板に設けられた圧電トランスを覆った場合、圧電セラミック素子の振動が拘束され、スムーズな振動が妨げられる結果、十分な出力電圧ひいてはイオン発生性能が得られなくなることがわかった。また、硬質のモールドは、圧電セラミック素子と基板やケースなどの周辺部品との間の機械的な結合を高めるため、連成振動等による寄生共振モードを生じやすく、これも圧電トランスの出力を低下させる一因となる。
【0023】
そこで、さらに検討を重ねた結果、高分子材料モールド部を上記のような硬さのゴム又はエラストマーにより構成することにより、圧電セラミック素子の振動拘束の問題が顕著に解消されてスムーズな振動が可能となり、結果として圧電トランスの出力電圧の低下、ひいてはイオン発生性能の低下を効果的に抑制できることを見出した。また、このように、適度に柔軟なゴム又はエラストマーをモールド部の材質として採用することで、圧電セラミック素子の振動がモールド部に弾性的に吸収され、基板やケースなどの周辺部品との機械的な結合が緩和される。その結果、寄生共振モード等による出力の低下も起こり難い。
【0024】
さらに、本発明のイオン発生装置は、
イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、
電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであって、昇圧用の圧電トランスと、その圧電トランスの一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(以下、駆動源直流という)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路とを含んで構成された高電圧電源回路と、
それら電極接続部と高電圧電源回路とが一体に取り付けられる基板と、
基板上において、圧電トランスが有する圧電セラミック素子を、高電圧電源回路の構成部品とともにコーティングする高分子材料コーティング部とを備え、
その高分子材料モールド部の圧電セラミック素子に対する被覆厚さが1mm以下とされたイオン発生装置用モジュールを有するものとして構成することができる。
【0025】
上記の構成は、前記の高分子材料モールド部を高分子材料コーティング部で置き換えたものであり、該コーティング部の圧電セラミック素子に対する被覆厚さを1mm以下とした。このように、圧電セラミック素子に対するコーティング厚さを薄くすることにより、圧電セラミック素子の振動拘束の問題が顕著に解消されてスムーズな振動が可能となり、結果として圧電トランスの出力電圧の低下、ひいてはイオン発生性能の低下を効果的に抑制できる。なお、該コーティング厚さは、基板の強度向上あるいはノイズ防止等の効果を十分に確保する観点から、0.1mm以上確保されていることが望ましい。
【0026】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態につき、図面に示す実施例を参照して説明する。
図1は、本発明のイオン発生装置の要部をなす回路モジュール(以下、単に回路モジュールともいう)1の外観を示すものである。回路モジュール1は、イオン発生電極27を接続するための電極接続部27aと、電極接続部27aに対しイオン発生用の高電圧を供給する圧電トランス70を有した高電圧電源回路(後述)、さらには、その高電圧電源回路に対し駆動源電流となる直流電流を供給するための直流電源回路(後述)を、ガラス−エポキシ樹脂複合材料等からなる基板31に一体的に組み付けたものである。そして、その基板31上において、圧電トランス70が有する圧電セラミック素子を、高電圧電源回路の構成部品とともにモールドする高分子材料モールド部30が設けられている。
【0027】
図5は、上記回路モジュールを用いた負イオン発生装置の回路構成の一例を示すブロック図である。該回路は、前述の通り高電圧電源回路41と、直流電源回路36とを含む。高電圧電源回路41は、電極接続用端子27qに対しイオン発生用の高電圧を供給するためのものであり、昇圧用の圧電トランス70と、その圧電トランス70の一次側駆動交流を、予め定められた電圧の直流(駆動源直流)からの変換により生成する駆動用直流−交流変換回路42を含む。また、直流電源回路36は、複数種類の電圧の外部直流が入力可能とされ、その入力された外部直流を、入力電圧とは無関係に、予め定められた一定電圧の駆動源直流に変換するものである。これら、電極接続用端子27qと高電圧電源回路41と直流電源回路36とが、図1の基板31に一体に取り付けられている。
【0028】
図1に戻り、高分子材料モールド部30は、JIS:K−6253(1997)に規定されたタイプAのデュロメータ硬さにおいて80以下の硬度を有するゴム又はエラストマーにより構成されている。高分子材料モールド部30の硬さが上記タイプAデュロメータ硬さにおいて80を超えると、圧電トランス70の出力低下が生じやすくなる。また、該硬さの下限値に特に制限はないが、該硬さが1程度までのものであれば、市販のゴムから選択できる利点がある。また、硬さが極度に低いものは、モールドとしての保型機能が維持できなくなる場合があり、このような不具合が生じない範囲にて硬さの選択を行なうことが望ましい。なお、高分子材料モールド部30の硬さは、より望ましくは10〜50程度の範囲で選択するのがよい。
【0029】
採用するゴム/エラストマーの材質は、上記の硬さ範囲を満たすものであれば特に限定されないが、常温未硬化状態にて液状のゴム/エラストマー(例えばシリコーン系やウレタン系のもの)を使用すると、注型によるモールドを簡単に行なうことができる。本実施形態では、基板31をケース35に収容し、該ケース35内に基板31を配置した状態で、ゴム又はエラストマー(当然、液状状態のものである)を注型し、その後これを硬化させることにより、基板31上に実装されている前記回路の構成部品Cを、該基板31とともにケース35内にてモールドするようにしている。
【0030】
ケース35は、具体的には、基板31を収容するための開口部35cが上面側に形成され、基板31は、基板裏面側に配置された部品Cがケース底面と接触しないように、スペーサ35a(ケース底面から突出形成されている)により該底面から一定距離浮かせた形でケース31内に配置されている。なお、注型時において基板裏面側の空間を満たす気体を排出するための貫通部31aが板厚方向に形成されている。これにより、注型後に基盤周辺に気泡等が残留して耐食性等が損なわれる不具合を防止ないし抑制することができる。
【0031】
基板31は、スペーサ35aに対しボルト等の締結部材35bにより固定されている。また、基板31の表面に形成された電極接続用端子27qには、高電圧出力用ケーブル27bの基端が接続されるとともに、反対側がモールド部30の外に延出して、その先端にスズグ状の金具よりなる電極接続部27aが設けられ、ここにイオン発生電極27が取り付けられるようになっている。
【0032】
なお、基板31を上記のようにモールドする代わりに、図1(c)に示すように、基板31の全体を高分子材料コーティング部130で覆った構成とすることができる。この場合、高分子材料コーティング部130の硬さを限定しない代わりに、その圧電セラミック素子70に対する被覆厚さ(平均値)tを、1mm以下(0.1mm以上)とするようにしてもよい。なお、高分子材料コーティング部130の材質は、ウレタン樹脂、アクリル樹脂、エポキシ樹脂等を使用できる。
【0033】
イオン発生電極27は、その全体がスズ含有銅合金にて構成されている。銅合金中のスズの含有量は1質量%以上20質量%以下の範囲で設定され、本実施形態では2質量%以上10質量%以下の範囲で設定されている。本実施形態において、イオン発生電極27は、図2に示すように、本体部27mと、その本体部27mの外周縁から延出する先端部27nとを有し、それら本体部27mと先端部27nとを含む全体がスズ含有銅合金により板状に形成されている。その厚さtは、0.2mm以上0.5mm以下である。なお、スズ含有銅合金は、リンをさらに含有した、いわゆるリン青銅にて構成することも可能であり、この場合のリンの含有量は0.01質量%以上1質量%以下、望ましくは0.03質量%以上0.35質量%以下とされる。
【0034】
本体部27mは、電極長手方向Oにおいて、後方側が半円状、前方側がテーパ状の外形を有し、そのテーパ状の部分の先端から、前記した先端部27nが針状に延出している。また、本体部27mの後方側には、電極への高電圧給電部を兼ねた電極固定用の貫通孔27fが板厚方向に形成されており、図1に示すように、ここにスズグ状の電極接続部27aを重ね、ボルトナットあるいはリベットなどの締結部材27jを挿通することにより、電極27をケーブル27bに接続することができる。なお、図2に示すように、本体部27mには、貫通孔27fの前方側に、これよりも径小の電極位置決め用の貫通孔27hが形成されている。該形状のイオン発生電極27は、スズ含有銅合金板材の打抜加工により製造される。
【0035】
図4に示すように、イオン発生電極27の先端部27nの先端面27tは平坦に形成されている。電極を平面視したとき、先端面27tをなす縁の中点(電極先端)から電極長手方向Oに沿って0.5mmだけ隔たった位置において、該電極長手方向Oと直交する平面Sにて先端部27nを切断したときの、仮想切断面の面積は0.1mm2以上0.4mm2以下とされている。
【0036】
次に、図5に示すように、高電圧電源回路41は、発振部37、スイッチング部38、昇圧部39及び整流部40を含む。図6は、その具体的な回路構成の一例を示すものである。昇圧部39に含まれる圧電トランス70は、圧電セラミック素子板71に入力側端子72a,73aと出力側端子74aとを形成し、その入力側端子72a,73aからの一次側交流入力電圧を、圧電セラミック素子板71の機械振動を介して一次側交流電圧よりも高圧の二次側交流電圧に変換し、出力側端子74aからイオン発生電極27に向けて出力するものである。
【0037】
一方、図6の整流部40は、イオン発生電極27への電圧印加極性が負(第一極性)の側に優位となるように、圧電トランスの二次側交流出力を整流するものである。これにより、イオン発生電極27は主に負イオン発生源として機能することとなる。他方、本発明は、正イオン発生装置として機能させる構成も可能であるが、この場合は、整流部40の接続方向を逆とすればよい。
【0038】
発振部37は、直流電源部36からの駆動源直流を受けて、圧電トランス70への一次側交流入力に対応した周波数にて発振波形を生成する。この発振部37は、本実施形態では、オペアンプ62と、負帰還側の抵抗器52とコンデンサ53にて構成される方形波発振回路として構成されている。なお、抵抗器54及び55は、発振入力の基準電圧、つまり、発振の電圧振幅の中心値を規定するためのものである。さらに、コンデンサ57は、基準電圧に重畳されるノイズ除去用のものであるが、基準電圧が安定な場合は省略できる。
【0039】
また、スイッチング部(スイッチング回路)38は、発振部37からの波形信号を受けて、電源ユニット30からの直流定電圧入力を高速スイッチングすることにより、圧電トランス70の一次側への入力交流波形を生成する。具体的には、スイッチング部38は、1対のトランジスタ65,66を含むプッシュプルスイッチング回路として構成されている。これらトランジスタ65,66は、オペアンプ62の出力(43はプルアップ抵抗である)によりオン・オフし、発振部37の発振周波数にて発振する方形波交流波形を生じさせる。この波形が圧電トランス70の一次側に入力される。なお、コンデンサ58は、トランジスタ65,66のスイッチング入力に重畳されるノイズ除去用のものであるが、ノイズが少ない場合は省略できる。
【0040】
次に、圧電トランス70の圧電セラミック素子板71は横長板状に形成され、その板面長手方向中間位置にて、板厚方向に分極処理された第一板状領域71aと、板面長手方向に分極処理された第二板状領域71bとに区切られている。そして、第一板状領域71aの両面を覆う形で、入力側端子72a,73aが接続される入力側電極対72,73が形成される一方、第二板状領域71bの板面長手方向の端面に、出力側端子74aが接続される出力側電極74が形成されている。
【0041】
上記の構成の圧電トランス70では、入力側電極対72,73を介して第一板状領域71aに対し交流入力を行なうと、第一板状領域71aではその分極方向が厚さ方向であるから、長手方向に伝播する板波が板厚方向の電界と強く結合する形となり、電気エネルギーの大半が、長手方向に伝播する板波のエネルギーに変換される。他方、この長手方向の板波は第二板状領域71bに伝わるが、ここでは分極方向が長手方向であるから、該板波は長手方向の電界と強く結合する。そして、入力側の交流周波数を圧電セラミック素子板71の機械振動の共振周波数に対応(望ましくは一致)させるとき、素子71のインピーダンスは、入力側では略最小(共振)となるのに対し出力側では略最大(反共振)となり、このインピーダンス変換比に応じた昇圧比により一次側入力が昇圧されて二次側出力となる。
【0042】
このような作動原理を有する圧電トランス70は構造が簡単であり、前述の通り、鉄芯を有する巻線型トランスと比較すると非常に軽量・コンパクトに構成できる利点がある。そして、負荷の大きい条件ではインピーダンス変換効率が高く、安定で高い昇圧比を得ることができる。また、イオン放出に伴う放電電流の発生を除けば負荷開放に近い条件で駆動されるイオン発生装置では、イオン発生に適した高圧を安定的に発生することができ、前記の圧電トランス特有の利点も有効に活用することができる。
【0043】
圧電セラミック素子71の材質は特に限定されないが、例えば本実施例ではジルコン酸チタン酸鉛系ペロブスカイト型圧電セラミック(いわゆるPZT)にて構成している。これは、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛との固溶体を主体に構成されるものであり、インピーダンス変換効率に優れていることから本発明に好適に使用できる。なお、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛と配合比は、ジルコン酸鉛/チタン酸鉛のモル比にて0.8〜1.3程度とすることが、良好なインピーダンス変換効率を実現する上で望ましい。また、必要に応じてジルコニウムあるいはチタンの一部を、Ni、Nb、Mg、Co、Mn等で置換することもできる。
【0044】
なお、PZT系の圧電セラミック素子は、駆動周波数が極端に高くなると共振尖鋭度が急速に鈍くなり、変換効率の低下を招くことから、一次側交流入力の周波数は、40〜300kHz(望ましくは、50〜150kHz)程度の比較的低い周波数範囲にて、素子71の機械的共振周波数に対応した値に設定することが望ましい。逆に言えば、素子71の機械的共振周波数が上記の周波数範囲に収まるように、素子71の寸法を決定することが望ましい。
【0045】
なお、PZT系の圧電セラミック素子を使用する場合、その一次側交流入力の電圧レベルは、負イオンの発生効率を確保し、かつ素子の耐久性確保の観点から、15〜40V程度に設定される。これにより、イオン発生電極27への印加電圧レベルは、前記の一次側交流入力の周波数範囲にて最大で4000〜6000V程度を確保できる。
【0046】
次に、整流部40は、整流回路をなすダイオード76を含んでいる。このダイオード76は、イオン発生電極27を負極性にチャージアップさせる向きの電荷移動は許容し、これと逆向きの電荷移動を阻止するように、圧電トランス70の二次側交流出力を整流する役割を果たす。なお、本実施形態では、耐電圧を確保するために複数個(ここでは4個)のダイオード76を直列接続している。また、交流高電圧電源つまり圧電トランス70の出力端子74aにイオン発生電極27が接続され、その出力端子からイオン発生電極へ向かう経路から分岐して放電路90が設けられている。なお、放電路90の末端は接地されている。
【0047】
図9(a)は基板31の表面側、(b)は同じく裏面側の部品実装レイアウトの一例を示すものである。図中の符号は図6及び図7の回路図中の符号に対応している。本実施形態では、(a)に示すように、基板31に圧電トランス70を、圧電セラミック素子板71と基板面とが互いに略平行となるように実装している。また、(b)に示すように、基板31の裏面側において圧電セラミック素子板73に対応する領域が金属膜電極75にて覆われており、該金属膜電極75と圧電セラミック素子板71とが、基板31の両者の間に位置する部分とともに帰還キャパシタンスを構成している。
【0048】
次に、図7は、直流電源回路36の構成例を示す回路図である。この回路においては、一定範囲の直流電圧(本実施形態では、DC4.5V〜DC32V)が、基板上に設けられた単一の入力コネクタ2から連続可変入力可能とされ、当該入力電圧よりも昇圧された直流を生成して、これを駆動源直流(本実施形態ではDC32V)として出力する入力可変型ステップアップ回路として構成されている。既に説明した通り、エアコンなどの一般家電製品や、自動車用などの種々の用途に、イオン発生装置をモジュールの形で組み込む場合、外部直流として使用できる電圧は、組み込み対象となる製品に応じてまちまちである(例えば前者はDC5V、後者はDC12Vあるいは24V)。しかし、直流電源回路36を上記のような入力可変型ステップアップ回路として構成しておけば、使用する外部直流の電圧に関係なく常に一定の電圧の駆動源直流が得られる。また、それらの外部直流を、単一の入力コネクタ2から入力すればよく、電圧によるコネクタの使い分けの必要もないから、一層汎用性を高めることができる。
【0049】
さらに、上記構成の大きな特徴は、入力される外部直流の電圧レベルが多少変動したり、あるいは比較的大きなリップルが形成されたりしている場合でも、入力可変型に構成されているため、ほとんどその影響を受けることなく一定電圧の駆動源直流に変換できる点である。このことは、電圧変動の影響を受けやすい圧電トランスの駆動源直流として有利に作用する。さらに、結果的に本ステップアップ回路の前段に、電圧安定化のための回路を特に設ける必要がなくなり、電源回路の大幅な簡略化を図ることができる。以上の効果は、車載バッテリー電圧にオルターネータ交流波形が重畳される結果、リップルが特に大きくなる自動車用の用途において、とりわけ顕著に達成される。
【0050】
以下、図7の入力可変型ステップアップ回路の詳細構成についてさらに説明する。該回路は、制御用IC21(本実施形態では、新日本無線(株)製の市販品(NJM2360A)を用いている)と、該制御用IC21に外付け接続されたインダクタ10(本実施形態ではシールドコイルである)、及び整流・平滑化部をなすダイオード13及びコンデンサ16を主体に構成されている。制御用IC21の等価回路は図8に示す通りであり、発振回路103と、外部直流の一部を分岐入力させ、その分岐直流入力を発振回路103が規定する一定周波数にて断続スイッチングするスイッチング部106と、出力側直流電圧を基準電圧と比較して、それら出力側直流電圧と基準電圧との差が縮小するように、分岐入力直流の断続スイッチングの許容及び禁止を制御する制御部107とを有する。図8の各端子番号は、図7の端子番号に対応している。
【0051】
図7に示すように、インダクタ10は、分岐直流入力の断続スイッチングに基づいて誘導電流を発生させるとともに、その誘導電流に基づくリップル電圧を外部直流の入力電圧に重畳させた形で出力するものである。また、整流・平滑化部13,16は、インダクタ10からの出力電圧を整流及び平滑化することにより外部直流よりも昇圧された直流を生成し、これを駆動源直流(DC32V)として出力するためのものである。
【0052】
この回路の動作は、基本的には、制御用IC21において、一定周波数で断続スイッチングされる電流をインダクタ10に導き、その誘導電流による電圧波形を入力電圧に重畳させた後平滑化を行なうことで、入力電圧よりも高電圧の直流を発生させる、一般的なステップアップ回路と同一の原理によっている。そして、その特徴は、出力電圧を制御用IC21にフィードバックし(5番端子)、これを制御部107において基準電圧と比較するとともに、もし出力電圧が基準電圧をオーバーシュートした場合は、誘導電流を発生させるためのスイッチングを一時的に中止して、基準電圧に向けた電圧復帰が生ずるように制御される点である。インダクタ10の誘導電流による電圧成分は交流波形であり、これを整流・平滑化したときの電圧レベルが、ステップアップによる電圧増分の最大値となる。従って、入力電圧の平均レベルと、得るべき駆動源直流の目標電圧との差分よりも大きくなるようにスイッチング周波数を設定しておけば、入力電圧と目標電圧との差がどのような値であっても、そのスイッチング動作の停止/継続の時間比を調整することで、常に目標電圧に近い出力を得ることができる。このことは、入力電圧が規定された範囲内(本実施形態では、DC4.5〜DC32V)で連続可変であり、突発的な要因による電圧変動や入力側のリップルの影響なども全て吸収できることを意味する。
【0053】
本実施形態では、外部直流は、制御用IC21内に組み込まれたスイッチング部をなすトランジスタ106aのドライバコレクタ端子(8番端子)とトランジスタ106bのスイッチコレクタ端子(1番端子)とを短絡する短絡経路25に入力され、インダクタ10はその短絡経路25上に配置されている。これにより、インダクタ10の誘導電流に基づくリップル電圧を外部直流の入力電圧に重畳させる回路構成を合理的に実現できる。
【0054】
図7において、外部直流は入力コネクタ2から入力される。コネクタ2の1番端子から入力された直流電圧は、調整用の抵抗8を経て短絡経路25に入力され、整流・平滑化回路をなすダイオード13を経て出力される。このダイオードは、スイッチングがオフされるときのインダクタ10に向けたフライバック電流を遮断する役割も果たす。他方、平滑化機能を担うコンデンサ16は、この出力経路と並列に接続されている。なお、コネクタ2の2番端子及び3番端子はジャンパ7(結線状態)により短絡された接地線につながっている。また、符号9及び10は電波吸収体をなすフェライトコアである。また、図7の回路に現われているコンデンサ19,20,22はノイズ吸収用のものである。さらに、符号3は、サージ対策用のバリスタであり、符号4は過電流防止用のヒューズである。
【0055】
出力電圧のフィードバックは、抵抗14及び15により分圧調整されて制御用IC21に入力される。図7に示すように、制御回路107はコンパレータ102、ANDゲート104及びRSラッチ105からなり、発振器103の出力はANDゲート104とRSラッチ105のリセット端子に分配されている。また、コンパレータ102の出力は、ANDゲート104の他方の端子に入力される。フィードバックされた出力電圧Vは5番端子からコンパレータ102に入力され、そこで基準電圧発生部101からの基準電圧Vrと比較される。他方、ANDゲート104の出力はRSラッチ105のセット端子に入力される一方、発振器103の出力は反転した形でRSラッチ105のリセット端子に入力されている。従って、RSラッチ105は、V<Vrのとき、発振器103と同期したパルスを出力し、そのパルス波形に同期してトランジスタ106a,106bをスイッチングする。他方、V≧Vrのときは、RSラッチ105は発振器103の出力を遮断し、スイッチングは停止する。なお、トランジスタ106a,106bは、スイッチングの電流容量を確保するため2段にダースズトン接続されたものが用いられている。また、発振器103の発振周波数は、3番端子に接続されるコンデンサ(タイミングキャパシタ:図7の符号18)の容量により調整される。
【0056】
本実施形態においては、図7に示すように、直流電源回路36からの出力の一部を、高電圧電源回路41(図5)以外の外部回路に供給するための、外部出力用コネクタ23が基板31上に設けられている。このようにすると、直流電源回路36を高電圧電源回路41以外の電源部としても活用することができる。例えば、イオン発生装置の周辺回路用として、高電圧電源回路41と同一電圧仕様の電源系統として用いることが可能であり、このような電源回路の共用化により装置全体としての一層のコンパクト化を図ることができる。本実施形態では、図1に示すように、外部出力用コネクタ23が入力コネクタ2とともに、高分子材料モールド部30の上面に差し込み口を露出させる形で配置されている。
【0057】
このような外部出力用コネクタ2には、例えば電極接続用端子27qに取り付けられたイオン発生電極27(図1)をクリーニングするためのクリーニング機構を接続することができる。イオン発生装置を長期間使用していると、気流に含まれている埃や油、あるいはその他の汚れ物質がイオン発生電極に付着し、やがては放電面がそれらの汚れ物質にて覆われてしまう。このような状態になると、イオン発生のための放電が著しく妨げられ、イオン発生効率の低下や、甚だしい場合にはイオン発生の停止につながる場合がある。そこで、このようなクリーニング機構を設けておけば、イオン発生電極27を常に正常な状態に保つことができ、ひいてはイオン発生効率を高めることが可能である。
【0058】
クリーニング機構は、イオン発生電極に付着した汚れを電気的発熱により焼失させる電気的クリーニング機構とすることができる。この電気的クリーニング機構は、例えばイオン発生電極自体あるいはイオン発生に近接して配置された別体の抵抗発熱体を抵抗通電発熱させることにより焼失させるものとしてもよいが、本実施形態では、以下のようなものを採用している。 すなわち、該電気的クリーニング機構79においては、図12(a)に示すように、高電圧電源部が火花放電用高電圧発生部に兼用され、イオン発生電極27と火花放電対向電極83との間に形成されるギャップに、火花放電用の高電圧が印加される。そして、その高電圧印加にてイオン発生電極27と火花放電対向電極83との間に発生する放電火花により、イオン発生電極に付着した付着物が焼失・除去される。このような火花放電による付着物が焼失・除去を繰り返し行なうと、イオン発生電極27の先端部27nはより消耗しやすい状況となる。しかし、本実施形態では、厚さ0.2mm以上のスズ含有銅合金にてイオン発生電極27を構成することで、該火花による電極の消耗も進みにくくなっている。
【0059】
なお、火花放電対向電極83は接地しておくこともできるが、火花放電時間が短ければ装置キャパシタンスにて放電電流を吸収することができるので、特に接地しない構成としてもよい。
【0060】
火花放電対向電極83はイオン発生電極27の先端部27nと対向する形で配置される。具体的には火花放電対向電極83は棒状に形成され、その棒状の火花放電対向電極83の先端面又は側面(本実施形態では側面)がイオン発生電極27の先端部27nと対向する。
【0061】
また、図11に示すように、火花放電対向電極83をイオン発生電極27に対して、イオン発生電極27からイオン発生させるための離間位置((b))と、火花放電対向電極83とイオン発生電極27との間で放電火花を発生させるための接近位置((a))との間で少なくとも、相対的に接近・離間させる火花放電対向電極移動機構78が設けられている。ここでは、イオン発生電極27の位置が固定とされ、火花放電対向電極移動機構78は火花放電対向電極83を移動させるものとして構成されている。
【0062】
具体的には、火花放電対向電極移動機構78はソレノイド80を含み、その進退ロッド81の先端部に結合部材82を介して棒状の火花放電対向電極83の後端部が結合されており、進退ロッド81がソレノイド80によって進退駆動されることにより、火花放電対向電極83の先端部がイオン発生電極27の先端部に向けて接近・離間する。なお、84aはソレノイド80を固定するための位置決めプレートである。また、84は火花放電対向電極83が挿通されるガイド穴を有したガイドプレートであり、火花放電対向電極83がイオン発生電極27に向けて略水平に接近・離間するから、火花放電のギャップ形成精度を高めることができる。
【0063】
図10は、火花放電対向電極移動機構78の電気的構成の一例を示す回路図である。ソレノイド80は、コネクタ87を前記した外部入力用コネクタ2に接続することで、図5の直流電源部36から受電する(DC32V)。他方、ソレノイド80の付勢信号は、スイッチ機構85(本実施形態ではフォトMOSにて構成している)を介して制御部86より供給される。制御部86は、出入力ポート86aと、これに接続されたCPU86b、RAM8c及び86dとが組み込まれたマイクロプロセッサにて構成され、ROM86dには火花放電対向電極移動機構78の動作制御プログラムが書き込まれている。CPU86bは、RAM86cをワークエリアとして動作制御プログラムを実行することにより、放電対向電極移動機構78の動作制御主体として機能する。制御部86が火花放電対向電極移動機構78の駆動指令信号を発すると、フォトMOS85がターンオンし、ソレノイド80が直流駆動電圧を受電して付勢されるようになっている。
【0064】
図12(a)に示すように、火花放電対向電極83はソレノイド80の付勢によりイオン発生電極27に向けて接近する。これにより、同図(b)に示すように、火花放電対向電極83の先端部83aはイオン発生電極27の先端部27nに対し、所定量のギャップが形成されるように位置決めされる。例えば、この状態でイオン発生電極27に放電用の電圧を印加しておくことで、ギャップには放電火花SPが発生し、火花による熱集中によりイオン発生電極27の先端部27nに付着した埃や汚れなどの付着物が焼き飛ばされる。他方、同図(c)に示すように、火花放電対向電極83が後退すれば電極間距離が拡大し、放電火花の発生は停止する。しかしながら、クリーニング中もイオン発生電極27には引き続きイオン発生用電圧が印加されているから、火花放電が終了するとともに直ちにイオン発生モードに移行することができる。
【0065】
図7に戻り、回路モジュール1においては、交流電源入力に共用化できるように、以下のような工夫がなされている。すなわち、前記した直流入力用のステップアップ回路配線部と並列に、ダイオードブリッジからなる全波整流回路5が設けられている。交流使用時は、ステップアップ回路を構成する制御用IC21及びその周辺の素子類は省略することができる。また、外部交流電源を使用する場合は、その外部交流電源側の接地系統を使用することになるので、回路モジュール側の接地配線系統は不使用となる。従って、ジャンパ7は切断して用いる。なお、直流入力のみで使用する場合は、本交流入力共用化のための回路部分は省略することも可能である。
【0066】
上記本発明の回路モジュール1では、図7の高電圧電源回路41が直流電源部36から直流定電圧の供給を受け、発振部37及びスイッチング部38の作動により方形波交流を発生させるとともに、これが圧電トランス70の入力側端子72aに調整用抵抗67(波形調整用の可変抵抗67aを含む)を介して一次側交流入力として入力される。圧電トランス70は、前述の作動原理に従いこれを昇圧し、出力側端子74aから二次側交流出力として出力する
【0067】
上記構成においては、図6において、圧電トランス70の二次側が負の半波を出力するとき、イオン発生電極27は負に帯電する。その結果、イオン発生電極27の周囲には負イオン発生に好都合な電界勾配が生じ、周囲の空気中の分子、例えば水分子を、ヒドロキシルイオン等の形でイオン化する。すなわち、負イオンを発生させる。次いで、正の半波が出力されるときは、イオン発生電極27の負電荷は接地側に放電しようとするが、この電荷の流れはダイオード76により阻止される。かくして、イオン発生電極27の負極性帯電状態が常時維持され、負イオンを恒常的に発生させることができる。
【0068】
そして、そのイオン発生電極27を前述のスズ含有銅合金で構成することで、長時間安定に高いイオン発生効率を保つことができ、しかもオゾンの発生を劇的に減ずることができる。以下、これを検証した実験結果について説明する。
【0069】
【実施例】
以下、本発明の効果を確認するために行なった実験結果について説明する。
(実施例1)
図6及び図7の回路構成にて負イオン発生装置を構成した。圧電セラミック素子板71の組成として、ジルコン酸鉛とチタン酸鉛と配合比はモル比でほぼ1:1、添加元素としてNbを約2重量%含有するものを選定し、例えば長さ52mm、厚さ1.85mm、幅13mmの寸法に形成した。また、イオン発生電極27は厚さ約0.3mmのリン青銅板(スズ含有銅合金板、JIS:H3110(2000);C5191R−H、組成:スズ=6.6質量%、リン=0.1質量%、残部=銅+不可避不純物)にて図2のように構成した、その先端部27nは、長さ約5mmにて形成した。また、図4の平面Sによる仮想断面の幅wは0.57mmであり、従って該仮想断面の面積は0.17mm2である。なお、参考例として、先端を図3のように尖鋭に形成した電極も作成した。この電極は、図4の平面Sによる仮想断面の幅wは0.1mmであり、該仮想断面の面積は0.03mm2である。さらに、比較例として、リン青銅板に代えてニッケル板および白金板により、同様の寸法・形状に構成した電極も作成した。
【0070】
これら電極を負イオン発生装置に取り付け、圧電トランス70への一次側交流入力の周波数を約70kHz、電圧をpeak to peakにて24Vとして作動させたところ、イオン発生電極27への印加電圧レベルは約1000Vとなった。この状態にて、イオン発生電極27の電極先端から前方側に1m離間した位置において、毎秒の負イオン発生量を市販のイオンカウンタ(供給元:日本MJP株式会社、製品名:エアーイオンカウンタ、No.IC−1000)を用いて、1時間放電継続したときの平均値にて測定した。また、オゾン発生量を、市販のオゾン濃度計(荏原実業(株)製、AET−030P)により、1時間放電継続したときの平均値にて測定した。以上の結果を表1に示す。
【0071】
【表1】
【0072】
いずれの電極も、イオン発生量は、1000cps以上の高い数値を示しているが、リン青銅を用いた実施例の電極は1700cps以上と、イオン発生レベルが特に高い。そして、オゾン発生量は、先端部27nを尖鋭に構成したものでは、比較例であるニッケル電極や白金電極と比べて半分程度に軽減されている。さらに、先端を平坦に形成したものでは、オゾン発生量はさらに2桁以上も劇的に低減されていることがわかる。これに対し、ニッケル電極や白金電極では、先端を平坦に形成しても、オゾン発生抑制効果は顕著でないことがわかる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のイオン発生装置に使用する回路モジュールの一例を示す外観斜視図、及びその内部構成を示す断面図。
【図2】本発明のイオン発生電極の一例を示す平面図、側面図及び斜視図。
【図3】本発明のイオン発生電極の参考例を示す平面図。
【図4】図2のイオン発生電極の先端を拡大して示す平面図。
【図5】イオン発生回路ユニットの構成を示すブロック図。
【図6】図5の高電圧電源部の一例を示す回路図。
【図7】同じく直流電源部の一例を示す回路図。
【図8】図7の制御用ICの等価回路図。
【図9】図1のイオン発生回路ユニットの、基板実装レイアウトの例を示す図。
【図10】クリーニング機構の電気的構成例を示す回路図。
【図11】火花放電式クリーニング機構の一例を、その動作とともに示す説明図。
【図12】図11のクリーニング機構の作用説明図。
【符号の説明】
1 イオン発生装置用回路モジュール
27 イオン発生電極
27m 本体部
27n 先端部
27a 電極接続部
41 高電圧電源回路
70 圧電トランス
Claims (13)
- 高電圧印加による放電によりイオンを発生させるイオン発生装置用の電極であって、少なくとも先端部を、スズを含有した銅合金にて構成したことを特徴とするイオン発生電極。
- 前記銅合金中のスズの含有量が1質量%以上20質量%以下である請求項1記載のイオン発生電極。
- 前記銅合金は、スズの他にさらにリンを含有する請求項1又は2に記載のイオン発生電極。
- 前記銅合金中のリンの含有量が0.01質量%以上1質量%以下である請求項3記載のイオン発生電極。
- 電極先端から電極長手方向に0.5mmだけ隔たった位置において、前記電極長手方向と直交する平面にて前記先端部を切断したときの仮想切断面の面積が、0.1mm2以上0.4mm2以下とされる請求項1ないし4のいずれか1項に記載のイオン発生電極。
- 前記先端部が厚さ0.2mm以上0.5mm以下の板状に形成されてなる請求項1ないし5のいずれか1項に記載のイオン発生電極。
- 前記先端部において電極先端面が平坦に形成されてなる請求項1ないし6のいずれか1項に記載のイオン発生電極。
- 前記先端部を含めた全体が前記銅合金により板状に形成され、かつ、電極への高電圧給電部を兼ねた電極固定用の貫通孔が板厚方向に形成されてなる請求項1ないし7のいずれか1項に記載のイオン発生電極。
- 前記銅合金のスズの含有率が2質量%以上10質量%以下である請求項8記載のイオン発生電極。
- 前記銅合金のリンの含有率が0.03質量%以上0.35質量%以下である請求項8又は9に記載のイオン発生電極。
- 請求項1ないし10のいずれか1項に記載のイオン発生電極と、
該イオン発生電極を取り付けるための電極接続部と、
前記電極接続部に対しイオン発生用の高電圧を供給する高電圧電源回路とを有したことを特徴とするイオン発生装置。 - 前記イオン発生電極は、放電用対向電極を伴わない孤立電極として構成されている請求項11記載のイオン発生装置。
- 前記イオン発生用高電圧発生部は、電圧印加極性が負の側に優位となるように、前記イオン発生電極へ高電圧を印加するものである請求項11又は12に記載のイオン発生装置。
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