JP2004177555A - 画像形成装置 - Google Patents

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Takeshi Uchitani
武志 内谷
Masanori Kawasumi
正則 川隅
Toshio Koike
寿男 小池
Eisaku Murakami
栄作 村上
Masahito Yanagida
雅人 柳田
Naohiro Kumagai
直洋 熊谷
Atsushi Sanpei
敦史 三瓶
Takashi Shintani
剛史 新谷
Masami Tomita
正実 冨田
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Abstract

【課題】クリーニングレスの画像形成装置において、帯電部材への転写残トナー付着による潜像担持体の帯電不良を防止し、装置の小型化、低コスト化と画像品質の向上を両立した画像形成装置を提供する。
【解決手段】表面に荷電制御剤及び/又は有機微粒子を存在させた球形状のトナーを用い、転写効率を上げて転写残トナーを低減させる。転写残トナーのうち、逆帯電トナーTのみブラシローラ41で回収し、所定のタイミングで感光体ドラム1へ放出し、中間転写ベルト10に転写する。逆帯電トナーTが帯電領域を通過時、帯電バイアスを停止させるか、若しくは帯電ローラ3aを感光体ドラム1から離間させる。
【選択図】 図5

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、複写機、プリンタ、ファクシミリ等の画像形成装置及びこれに用いるプロセスカートリッジに関するものであり、詳しくは、現像同時クリーニング方式を採用するタンデム型の画像形成装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
潜像担持体と、これに接触しつつ表面移動する表面移動部材との間に転写電界を形成することで、潜像担持体上のトナー像の転写を行う静電転写方式を採用する画像形成装置においては、転写後の潜像担持体表面部分に転写残トナーが残留する。この転写残トナーが除去されないまま、その潜像担持体表面部分が次の画像形成工程に供されることになると、その潜像担持体表面部分で帯電ムラ等の帯電不良が生じ、画質劣化の原因となる。そのため、従来は、転写領域から帯電領域までの潜像担持体表面に対向する位置にクリーニング装置を設け、転写残トナーを除去していた。しかし、このようなクリーニング装置には、潜像担持体表面から回収した転写残トナーを収容する廃トナータンクや、回収した転写残トナーを再利用するためにその転写残トナーを搬送するリサイクルトナー搬送通路などを設けるスペースが必要になる。そのため、画像形成装置が大型化してしまい、また、部品の増加によるコストの上昇を招く。特に、近年では、カラー画像の画像形成スピードの高速化が強く要求されているため、潜像担持体を各色ごとに備えた所謂タンデム型の画像形成装置が主流になりつつある。このタンデム型の画像形成装置において、上記のようなクリーニング装置を利用する場合、そのクリーニング装置を複数ある潜像担持体のすべてに個別に設ける必要が生じる。そのため、タンデム型の画像形成装置では、装置の大型化及び高コスト化の問題がより顕著なものとなる。
【0003】
このような装置の大型化の問題に対処できるものとして、クリーニングレスの画像形成装置がある。例えば、潜像担持体表面に残留した転写残トナーを、現像装置を用いて回収する方式(以下、「現像同時クリーニング方式」という。)の画像形成装置に関する技術が開示されている(特許文献1参照)。この現像同時クリーニング方式では、クリーニングとは別の目的で設置されている現像装置をクリーニング手段として利用するため、別個独立に上記のようなクリーニング装置を設ける必要がない。よって、この現像同時クリーニング方式を採用すれば、装置の小型化及び低コスト化に大きく貢献することができる。
【0004】
また、上記技術では、現像同時クリーニング方式の画像形成装置に搭載する帯電装置として、潜像担持体に帯電ローラを接触させて帯電を行う実施例が記載されている。従来から、潜像担持体表面を一様に帯電する方式には、その表面に帯電ローラ等の帯電部材を接触又は近接させて一様帯電する接触・近接帯電方式と、コロナチャージャ等によって一様帯電するチャージャ帯電方式とが知られている。しかし、チャージャ帯電方式では、潜像担持体表面を所望の電位とするためには大量の放電を発生させる必要があるため、オゾンやNOx等の放電生成物が大量に発生し、環境面で問題がある。これに対し、接触・近接帯電方式であれば、チャージャ帯電方式に比べて発生する放電量が少なく環境面で有利である。したがって、上記実施例に記載の画像形成装置によれば、装置の小型化を図りつつ、放電生成物の発生量が少なくて環境面で有利となるという効果が得られるものと考えられる。
【0005】
ところが、このように現像同時クリーニング方式と接触・近接帯電方式を併用した画像形成装置においては、潜像担持体上の転写残トナーを現像領域まで搬送する間に、その転写残トナーと帯電部材とが接触することになる。そのため、帯電部材に付着した転写残トナーによって一様帯電が妨げられ、潜像担持体の表面電位を所望の電位にできなかったり、帯電ムラ等の帯電不良が生じたりする。その結果、画像濃度の低下や地肌汚れなどが生じ、画質劣化が生じるという問題があった。なお、この問題は、現像同時クリーニング方式を採用する場合に限らず、転写残トナーを潜像担持体上から除去しないまま帯電部材との接触領域に搬送する構成を有するものであれば、同様に生じ得るものである。
【0006】
【特許文献1】
特許第3091323号公報
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、クリーニングレスの画像形成装置であって、潜像担持体上の転写残トナーが帯電部材との接触領域を通過する構成を採用しても転写残トナーが帯電部材に付着せず、帯電不良によって生じる画質劣化を効果的に抑制し、装置の小型化、低コスト化、及び画像品質の向上を両立した画像形成装置を提供することである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の本発明は、潜像担持体と、所定極性の帯電バイアスが印加される帯電部材を該潜像担持体表面に接触又は近接させて該潜像担持体表面を一様に帯電する帯電手段と、一様帯電された潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、前記帯電バイアスと同じ極性に帯電したトナーを該潜像に付着させて現像を行う現像手段と、該潜像担持体とこれに接触しつつ表面移動する表面移動部材との間に転写電界を形成して、該現像手段により該潜像担持体表面に形成されたトナー像を、該表面移動部材との間に挟持される記録材上又は該表面移動部材上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、前記転写手段による転写後に上記潜像担持体表面に残留した転写残トナーのうち、前記所定極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーを該潜像担持体表面から回収して保持するとともに、その保持した逆帯電トナーを所定のタイミングで潜像担持体表面に戻す一時保持手段と、前記帯電部材との対向位置を通過した逆帯電トナーを該潜像担持体表面から回収するための回収手段とを設け、かつ、前記画像形成装置に用いるトナーは、荷電制御剤及び/又は有機微粒子が表面に存在することを特徴とする画像形成装置である。
請求項2に記載の本発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記一時保持手段によって該潜像担持体表面に戻された逆帯電トナーが前記帯電部材との対向位置に到達してから該対向位置を通過するまでの間、該帯電部材への帯電バイアスの印加を停止することを特徴とする画像形成装置である。
請求項3に記載の本発明は、請求項1に記載の画像形成装置において、前記帯電手段は、一時保持手段から像担持体上に戻された逆帯電トナーが帯電領域を通過する間は、像担持体表面から離間することを特徴とする画像形成装置である。
【0009】
請求項4に記載の本発明は、請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、前記一時保持手段は、逆帯電トナーを回収・保持するブラシ状のブラシ部材とバイアス印加手段とを備え、該バイアス印加手段は、逆帯電トナーを回収・保持するためのバイアスと、保持する逆帯電トナーを像担持体に戻すためのバイアスとを、選択してブラシ部材に印加することを特徴とする画像形成装置である。
請求項5に記載の本発明は、請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、前記現像手段は、一時保持手段から像担持体上に戻された逆帯電トナーが現像領域を通過する間は、現像領域に現像電界と同じ向きの電界を形成することを特徴とする画像形成装置である。
請求項6に記載の本発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、前記転写手段は、一時保持手段から像担持体上に戻された逆帯電トナーが転写領域を通過する間は、画像形成時とは逆の転写バイアスを印加することを特徴とする画像形成装置である。
【0010】
請求項7に記載の本発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、前記画像形成装置は中間転写体を備え、前記転写手段は、像担持体上の逆帯電トナーを中間転写体に転写することを特徴とする画像形成装置である。
請求項8に記載の本発明は、請求項7に記載の画像形成装置において、前記中間転写体は、中間転写体上のトナーをクリーニングするクリーニング手段を備えることを特徴とする画像形成装置である。
【0011】
請求項9に記載の本発明は、請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーの表面に存在する有機微粒子は、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂の中から選択される少なくとも1つであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項10に記載の本発明は、請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーの表面に存在する荷電制御剤は、サリチル酸金属錯体又は金属塩、有機硼素化合物、オキシナフトエ酸系金属錯体又は金属塩、含フッ素アンモニウム塩化合物の中から選択される少なくとも1つであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項11に記載の本発明は、請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーの表面に存在する荷電制御剤は、アンモニウム塩化合物、フェノール塩化合物の中から選択される少なくとも1つであることを特徴とする画像形成装置である。
請求項12に記載の本発明は、請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において、前記荷電制御剤は、トナー母体粒子表面に存在する重量(M)とトナー母体粒子全体に存在する重量(T)との比(M/T)が、100〜1000の範囲であることを特徴とする画像形成装置である。
【0012】
請求項13に記載の本発明は、請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーは、体積平均粒径が3〜8μmの範囲であって、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)による分散度が、1.25以下であることを特徴とする画像形成装置である。
請求項14に記載の本発明は、請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーは、平均円形度が0.93以上であることを特徴とする画像形成装置である。
請求項15に記載の本発明は、請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、前記トナーは、トナー表面とトナー内部で窒素原子の濃度に分布があり、トナー全体よりもトナー表面に窒素濃度が高く分布していることを特徴とする画像形成装置である。
請求項16に記載の本発明は、請求項1ないし15のいずれかに記載の画像形成装置において、画像形成装置本体に対して着脱可能であって、少なくとも像担持体と前記一時保持手段とが一体になって構成されたプロセスカートリッジを有することを特徴とする画像形成装置である。
【0013】
請求項17に記載の本発明は、感光体表面に形成された潜像を現像装置で可視像化するトナーにおいて、前記トナーは、請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置に用いるトナーであって、かつ、体積平均粒径が3〜8μmの範囲であって、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)による分散度が、1.25以下であることを特徴とするトナーである。
請求項18に記載の本発明は、請求項17に記載のトナーにおいて、前記トナーは、平均円形度が0.93以上であることを特徴とするトナーである。
請求項19に記載の本発明は、請求項17または18に記載のトナーにおいて、前記トナーは、トナー表面とトナー内部で窒素原子の濃度に分布があり、トナー全体よりもトナー表面に窒素濃度が高く分布していることを特徴とするトナーである。
請求項20に記載の本発明は、画像形成装置の本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、前記プロセスカートリッジは、請求項1ないし15のいずれかに記載の画像形成装置の構成のうち、少なくとも像担持体と、逆帯電トナーを像担持体上から回収・保持し、その後像担持体上に戻す一時保持手段とを一体に構成することを特徴とするプロセスカートリッジである。
【0014】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、画像形成装置としての電子写真方式のプリンタ(以下、単に「プリンタ」という。)に適用した一実施形態について説明する。本プリンタは、イエロー(以下、「Y」と記す。)、シアン(以下、「C」と記す。)、マゼンタ(以下、「M」と記す。)、ブラック(以下、「K」と記す。)の4色のトナーから、カラー画像を形成するものである。
まず、本プリンタの基本的な構成について説明する。
図1は、本実施形態に係るプリンタの概略構成図である。本プリンタは、潜像担持体として4つの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを備えている。なお、ここではドラム状の感光体を例に挙げているが、ベルト状の感光体を採用することもできる。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。本実施形態において、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、それぞれ中間転写ベルト10に接触しながら、図中矢印の方向に回転駆動する。各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kは、比較的薄い円筒状の導電性基体上に感光層を形成し、更にその感光層の上に保護層を形成したものであり、本実施形態に用いたものは、その外径が30[mm]で、その内径が28.5[mm]である。また、感光層と保護層との間に中間層を設けても良い。
【0015】
本実施形態では、低コスト化、感光体設計の自由度、無公害性等の観点から有機系感光体を用いることができる。有機系の感光体には、ポリビニルカルバゾール(PVK)に代表される光導電性樹脂を用いたものが知られている。また、有機系の感光体には、PVK−TNF(2,4,7−トリニトロフルオレノン)に代表される電荷移動錯体型、フタロシアニン−バインダーに代表される顔料分散型、電荷発生物質と電荷輸送物質とを組み合わせた機能分離型などがある。この中でも、近年では、特に機能分離型の感光体が注目されている。
【0016】
図2は、本実施形態で使用する感光体ドラム1の断面図である。この感光体ドラム1は、機能分離型の感光体であり、基体である導電性支持体51上に、電荷発生層52及び電荷輸送層53を積層した上に更に保護層54を積層したものである。この感光体ドラム1における静電潜像形成のメカニズムは、次のとおりである。すなわち、感光体ドラム1を帯電した後に光照射すると、光は透明な電荷輸送層53を通過し、電荷発生層52中の電荷発生物質により吸収される。光を吸収した電荷発生物質は電荷担体を発生し、この電荷担体は電荷輸送層53に注入され、帯電によって生じている電界にしたがって電荷輸送層53中を移動し、感光体ドラム表面の電荷を中和する。これにより、その中和部分が静電潜像となる。このような機能分離型の感光体は、主に紫外域で強い吸収特性を持つ電荷輸送物質と、主に可視域に強い吸収特性を持つ電荷発生物質とを組み合わせて用いるのが有用である。
【0017】
しかし、有機系感光体は、機械的、化学的な耐久性に乏しいという欠点がある。具体的に説明すると、電荷輸送物質の多くは低分子化合物として開発されているが、この低分子化合物は単独では製膜性がないため、通常、不活性高分子に分散・混合して利用されることになる。しかるに、電荷輸送物質である低分子化合物と不活性高分子とからなる電荷輸送層は一般に柔らかく、機械的耐久性に乏しい。そのため、その電荷輸送層を表面にもつ感光体ドラム1を繰り返し使用すると、その表面に接触する帯電ローラ3a、現像剤、中間転写ベルト10、ブラシローラ41などによる摺擦によって、膜削れを生じやすい。よって、感光体ドラム1として、特に有機系感光体を利用する場合には、その寿命を長くするために保護層を設けるのが有効である。
【0018】
上記保護層54に使用される材料としては、ABS樹脂、ACS樹脂、オレフィン−ビニルモノマー共重合体、塩素化ポリエーテル樹脂、アリル樹脂、フェノール樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリアクリレート樹脂、ポリアリルスルホン樹脂、ポリブチレン樹脂、ポリブチレンテレフタレート樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエチン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂、ポリイミド樹脂、アクリル樹脂、ポリメチルペンテン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリスルホン樹脂、AS樹脂、AB樹脂、BS樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリ塩化ビニル樹脂、ポリ塩化ビニリデン樹脂、エポキシ樹脂等の樹脂などが挙げられる。
【0019】
また、保護層54の耐摩耗性を向上するために、フィラーを添加してもよい。
このフィラーの材料としては、ポリテトラフルオロエチレンのような弗素樹脂、シリコーン樹脂、これら樹脂に酸化チタン、酸化スズ、チタン酸カリウム、シリカ、アルミナ等の無機材料を分散したもの等が挙げられる。このフィラーの含有量は、重量基準で、10[%]以上40[%]以下、好ましくは20[%]以上30[%]以下とするのがよい。フィラーの含有量が10%未満であると感光体ドラム1の表面削れに関連する感光体ドラム周辺の構成によっては、耐摩耗性が不十分となるおそれがあり、フィラーの含有量が40%を越えると露光に対する感度が低下するおそれがある。また、フィラーの分散性を向上させるために分散助剤を添加してもよい。この分散助剤としては、塗料等に使用されるものが適宜利用でき、その添加量は、重量基準で、フィラーの含有量に対して0.5[%]以上4[%]以下、好ましくは1[%]以上2[%]以下とする。また、上記保護層54には、電荷輸送材料を添加するのも有効である。また、酸化防止剤なども必要に応じて添加することができる。
【0020】
保護層54の形成方法としては、浸漬塗工法、スプレーコート法、ビートコート法、ノズルコート法、スピナーコー法ト、リングコート法等の公知の方法を用いることができる。保護層の厚さは、0.5[μm]以上10[μm]以下、好ましくは4[μm]以上6[μm]以下とする。
また、電荷発生層52及び電荷輸送層53からなる感光層と、保護層54との間に中間層を設けてもよい。この中間層には、一般にバインダー樹脂を主成分として用いる。このバインダー樹脂としては、ポリアミド、アルコール可溶性ナイロン、水溶性ポリビニルブチラール、ポリビニルブチラール、ポリビニルアルコールなどが挙げられる。中間層の形成方法としては、上述した保護層の形成方法と同様に、公知の塗布法を用いることができる。なお、中間層の厚さは、0.05[μm]以上2[μm]以下とするのがよい。
【0021】
図3は、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K周りの概略構成を示す図である。なお、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K周りの構成はすべて同じであるため、1つの感光体ドラムについてのみ図示し、色分け用の符号Y,C,M,Kについては省略してある。
感光体ドラム1の周りには、その表面移動方向に沿って、一時保持手段としてのトナー保持装置40、帯電手段としての帯電装置3、現像手段としての現像装置5の順に配置されている。帯電装置3と現像装置5との間には、潜像形成手段としての露光装置4から発せられる光が感光体ドラム1まで通過できるようにスペースが確保されている。
【0022】
帯電装置3は、感光体ドラム1の表面を負極性に一様帯電する。本実施形態における帯電装置3は、いわゆる接触・近接帯電方式で帯電処理を行う帯電部材としての帯電ローラ3aを備えている。すなわち、この帯電装置3は、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に接触又は近接させ、その帯電ローラ3aに負極性バイアスを印加することで、感光体ドラム1の表面を一様帯電する。本実施形態では、感光体ドラム1の表面電位が一様に−(マイナス)500[V]となるような直流の帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加している。なお、帯電バイアスとして、直流バイアスに交流バイアスを重畳させたものを利用することもできる。しかし、この場合には、交流電源が必要となるため、装置が大型化することになり、装置の小型化の観点からは好ましくない。また、本実施形態の帯電装置3には、帯電ローラ3aの表面をクリーニングするクリーニングブラシ3bが設けられている。本実施形態では、後述するように帯電ローラ3aの表面にトナーが付着することはほとんどない。しかし、トナーが僅かに付着した場合でも、帯電ローラ3aによる帯電ムラ等の帯電不良を引き起こす原因となる。よって、本実施形態では、帯電ローラ3aの表面をクリーニングブラシ3bによってクリーニングする構成を採用している。
なお、上記帯電装置3として、帯電ローラ3aの周面上の軸方向両端部分に薄いフィルムを巻き付け、これを感光体ドラム1の表面に当接するように設置してもよい。この構成においては、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間は、フィルムの厚さ分だけ離間した極めて近接した状態となる。したがって、帯電ローラ3aに印加される帯電バイアスによって、帯電ローラ3aの表面と感光体ドラム1の表面との間に放電が発生し、その放電によって感光体ドラム1の表面が一様帯電される。
【0023】
このようにして一様帯電した感光体ドラム1の表面には、露光装置4によって露光されて各色に対応した静電潜像が形成される。この露光装置4は、各色に対応した画像情報に基づき、感光体ドラム1に対して各色に対応した静電潜像を書き込む。なお、本実施形態の露光装置4は、レーザ方式の露光装置であるが、LEDアレイと結像手段からなる露光装置などの他の方式の露光装置を採用することもできる。
【0024】
現像装置5は、そのケーシングの開口から現像剤担持体としての現像ローラ5aが部分的に露出している。また、本実施形態ではトナーとキャリアとからなる二成分現像剤を使用しているが、キャリアを含まない一成分現像剤を使用してもよい。現像装置5は、図2に示したトナーボトル31Y,31C,31M,31Kから、対応する色のトナーの補給を受けてこれを内部に収容している。このトナーボトル31Y,31C,31M,31Kは、それぞれが単体で交換できるように、プリンタ本体に対して着脱可能に構成されている。このような構成とすることで、トナーエンド時にはトナーボトル31Y,31C,31M,31Kだけを交換すればよい。したがって、トナーエンド時にまだ寿命になっていない他の構成部材はそのまま利用でき、ユーザーの出費を抑えることができる。
【0025】
トナーボトル31Y,31C,31M,31Kから現像装置5内に補給されたトナーは、攪拌搬送スクリュー5bによってキャリアと撹拌されながら搬送され、現像ローラ5a上に担持されることになる。この現像ローラ5aは、磁界発生手段としてのマグネットローラと、その周りを同軸回転する現像スリーブとから構成されている。現像剤中のキャリアは、マグネットローラが発生させる磁力により現像ローラ5a上に穂立ちした状態となって感光体ドラム1と対向する現像領域に搬送される。ここで、現像ローラ5aは、現像領域において感光体ドラム1の表面よりも速い線速で同方向に表面移動する。そして、現像ローラ5a上に穂立ちしたキャリアは、感光体ドラム1の表面を摺擦しながら、キャリア表面に付着したトナーを感光体ドラム1の表面に供給する。このとき、現像ローラ5aには、図示しない電源から−300[V]の現像バイアスが印加され、これにより現像領域には現像電界が形成される。そして、感光体ドラム1上の静電潜像と現像ローラ5aとの間では、現像ローラ5a上のトナーに静電潜像側に向かう静電力が働くことになる。これにより、現像ローラ5a上のトナーは、感光体ドラム1上の静電潜像に付着することになる。この付着によって感光体ドラム1上の静電潜像は、それぞれ対応する色のトナー像に現像される。また、露光が行われず静電潜像が形成されなかった感光体ドラム1上に正規帯電の転写残トナーがある場合は、現像装置5に回収される。
【0026】
上記中間転写ベルト10は、3つの支持ローラ11,12,13に張架されており、図中矢印の方向に無端移動する構成となっている。この中間転写ベルト10上には、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像が静電転写方式により互いに重なり合うように転写される。静電転写方式には、転写チャージャを用いた構成もあるが、本実施形態では転写チリの発生が少ない転写ローラを用いた構成を採用している。具体的には、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kと接触する中間転写ベルト10の部分の裏面に、それぞれ転写手段としての一次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kを配置している。本実施形態では、各一次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kにより押圧された中間転写ベルト10の部分と各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kとによって、一次転写ニップ部が形成される。そして、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像を中間転写ベルト10上に転写する際には、各一次転写ローラ20に正極性のバイアスが印加される。これにより、各一次転写ニップ部には転写電界が形成され、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1K上のトナー像は、中間転写ベルト10上に静電的に付着し、転写される。
【0027】
中間転写ベルト10の周りには、その表面に残留したトナーを除去するためのベルトクリーニング装置15が設けられている。このベルトクリーニング装置15は、中間転写ベルト10の表面に付着した不要なトナーをファーブラシ及びクリーニングブレードで回収する構成となっている。なお、回収した不要トナーは、ベルトクリーニング装置15内から図示しない搬送手段により図示しない廃トナータンクまで搬送される。
【0028】
また、支持ローラ13に張架された中間転写ベルト10の部分には、二次転写ローラ16が接触して配置されている。この中間転写ベルト10と二次転写ローラ16との間には二次転写ニップ部が形成され、この部分に、所定のタイミングで記録材としての転写紙が送り込まれるようになっている。この転写紙は、露光装置4の図中下側にある給紙カセット20内に収容されており、給紙ローラ21、レジストローラ対22等によって、二次転写ニップ部まで搬送される。そして、中間転写ベルト10上に重ね合わされたトナー像は、二次転写ニップ部において、転写紙上に一括して転写される。この二次転写時には、二次転写ローラ16に正極性のバイアスが印加され、これにより形成される転写電界によって中間転写ベルト10上のトナー像が転写紙上に転写される。
【0029】
二次転写ニップ部の転写紙搬送方向下流側には、定着手段としての加熱定着装置23が配置されている。この加熱定着装置23は、ヒータを内蔵した加熱ローラ23aと、圧力を加えるための加圧ローラ23bとを備えている。二次転写ニップ部を通過した転写紙は、これらのローラ間に挟み込まれ、熱と圧力を受けることになる。これにより、転写紙上に載っていたトナーが溶融し、トナー像が転写紙に定着される。そして、定着後の転写紙は、排紙ローラ24によって、装置上面の排紙トレイ上に排出される。
【0030】
次に、感光体ドラム1の表面に残留する転写残トナーについて説明する。
転写残トナーの中には、正規の極性に帯電した正規帯電トナーと、正規の極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーが存在する。潜像形成前に感光体ドラム1の表面電位を正規帯電トナーと同極性となるように一様に帯電する構成の画像形成装置では、接触・近接帯電方式を採用していると、逆帯電トナーが帯電ローラ3aに静電的に付着してしまう。その結果、帯電ローラ3aに付着した逆帯電トナーによって感光体ドラム1の一様帯電が妨げられ、上述したように画質劣化が生じてしまう。
一方、正規帯電トナーは、その帯電極性が帯電ローラ3aに印加されている帯電バイアスと同極性であるため、帯電ローラ3aに付着することはない。しかも、正規帯電トナーは、現像領域に達することで、現像装置5の現像ローラ5a上のキャリアに付着して回収されるか、その画像形成工程のトナー像を構成することになる。すなわち、転写残トナーのうちの正規帯電トナーに関しては、画像形成工程にほとんど悪影響を与えることはない。
【0031】
図4(a)は、感光体ドラム1上に担持されたトナーの転写直前における帯電電位分布を示すグラフである。また、図4(b)は、転写後に感光体ドラム1上に残留した転写残トナーの帯電電位分布を示すグラフである。図4(a)に示すように、転写直前におけるトナーの帯電量は、ほぼ−30[μC/g]を中心に分布しており、そのほとんどが負極性に正規帯電している。一方、転写残トナーの帯電量は、およそ−2[μC/g]を中心に分布したものとなる。一般に、転写残トナーのほとんどは、トナーの組成不良などにより所望どおりの帯電特性が得られない不良トナーである。そのため、転写残トナーの一部は、一次転写ローラ14に印加された正極性バイアスによる電荷注入を受けるなどして、トナーの帯電極性が正極性に反転する。その結果、転写残トナーの中には、図4(b)中斜線部分で示すような正極性に反転してしまった逆帯電トナーが存在してしまう。
【0032】
このような逆帯電トナーは、感光体ドラム1に付着したまま帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されると、正極性の帯電バイアスが印加された帯電ローラ3aの表面に静電的に吸引されて付着してしまう。これは、帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面に近接させて配置した上述した構成であっても、同様である。そして、帯電ローラ3aの表面にトナーが付着すると、帯電ローラ3aの抵抗値や表面状態が変化するため、感光体ドラム1の表面との間の帯電開始電圧にムラが生じる。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加しても、感光体ドラム1の表面が所望の電位(−500[V])に均一にならなくなる。その結果、画像濃度ムラも生じるおそれがある。また、帯電ローラ3aの表面のごく一部にトナーが付着した場合、トナーが付着していない箇所に向けて帯電バイアスによる電流が集中することにある。これにより、逆帯電トナーが付着していない場合と同じ帯電バイアスを帯電ローラ3aに印加すると、感光体ドラム1表面の帯電電位が所望の電位よりも高くなる。その結果、露光装置4による露光を受けた部分すなわち静電潜像部分の電位が負極性側にシフトし、画像濃度が低下してしまう。また、帯電ローラ3aの表面のほぼ全域にトナーが付着して、帯電ローラ3aの表面にトナーがコーティングされた状態になると、帯電能力が低下し、感光体ドラム1の表面電位が所望の電位よりも下がる。これにより、露光装置4による露光を受けない部分すなわち非静電潜像部分(地肌部分)の電位が、現像ローラ5aに印加される現像バイアスに近づいてしまう。その結果、十分に帯電されていないトナーが感光体ドラム1上の地肌部分に付着して、地肌汚れが発生してしまう。
【0033】
一方で、転写残トナーの中には負極性のままの正規帯電トナーも存在する。しかし、この正規帯電トナーは、帯電装置3の帯電ローラ3aとの対向位置まで搬送されても、帯電バイアスが印加されていれば、その帯電ローラ3aの表面に付着することはない。したがって、転写残トナーのうちの逆帯電トナーをいかにして画像形成工程に悪影響を及ぼさないようにするかが重要となる。
そこで、本発明では、感光体ドラム1上の転写残トナーが帯電ローラ3aとの対向位置に達する前に、その転写残トナーのうちの逆帯電トナーを一時保持手段により感光体ドラム1から除去する。
【0034】
次に、本発明の特徴部分である、感光体ドラム1上の逆帯電トナーのクリーニングについて説明する。
まず、逆帯電トナーを一時保持手段で一時的に保持する一時保持工程について説明する。
図5は、一時保持手段としてのトナー保持装置40を示す概略構成図である。
このトナー保持装置40は、感光体ドラム1の表面に接触するブラシローラ41を備えている。このブラシローラ41は、ブラシ密度が比較的低くなるように形成されたものである。このようにブラシ密度が低ければ、回収した逆帯電トナーTを保持するための十分な空間をブラシ内部に確保することができる。よって、回収した逆帯電トナーTの収容能力が高まり、後述する逆帯電トナーTの放出工程の頻度を少なくできる。また、ブラシ密度を低くすることで、回収した逆帯電トナーTをブラシローラ41が保持したときの機械的な保持力が小さくなる。その結果、後述する逆帯電トナーTの放出工程をスムーズに実行することができるようになる。本実施形態では、ブラシローラ41の表面付近におけるブラシ密度が、12000[本/inch]以上858000[本/inch]以下となるようにブラシローラ41を形成した。
【0035】
上記ブラシローラ41は、駆動装置42によって図中矢印の方向に回転駆動する。そして、このブラシローラ41には、第1電源43又は第2電源44のいずれか一方からバイアスが印加される構成になっている。具体的には、これらの電源43,44とブラシローラ41との間に切替スイッチ45を設け、この切替スイッチ45の動作によってブラシローラ41に接続される電源を選択する。この切替スイッチ45の動作は、本プリンタの制御部によって制御されている。なお、第1電源43は、ブラシローラ41の表面部分の電位が−700[V]となるような保持バイアスを印加するものであり、第2電源44は、その電位が+200[V]となるような放出バイアスを印加するものである。これにより、保持バイアス印加時にはブラシローラ41に逆帯電トナーTを保持でき、放出バイアス印加時には保持した逆帯電トナーTを放出することができる。なお、本実施形態では、各電源43,44として直流電源を用いているが、直流に交流を重畳させたバイアスを印加する電源を用いてもよい。
【0036】
転写残トナーを付着させた感光体ドラム1の表面部分がブラシローラ41と接触する領域(以下、「ブラシ接触領域」という。)に到達する前から、ブラシローラ41には第1電源43が接続されている。これにより、ブラシローラ41にはその表面が−700[V]となるような保持バイアスが印加されることになる。このような保持バイアスが印加されたブラシローラ41が感光体ドラム1の表面に接触することで、その表面に付着した転写残トナーのうち、逆帯電トナーTがブラシローラ41に付着し、保持されることになる。
【0037】
詳しく説明すると、感光体ドラム1は、帯電装置3によってその表面が一様に−500[V]に帯電された後、露光装置4の露光を受けることにより潜像部分の電位は−50[V]程度になる。そして、その潜像部分にトナーを付着させる現像工程を経て、次いで転写工程を終えると、その潜像部分の電位は更に0[V]に近づくことになる。転写残トナーのほとんどは、潜像部分であった感光体ドラム1の表面部分に付着している。よって、この表面部分に付着した正極性をもつ逆帯電トナーTは、ブラシ接触領域において、−700[V]のバイアスが印加されたブラシローラ41側に向かう静電力を受けることになる。一方で、潜像部分以外の地肌部分の電位(−500[V])も転写工程を経ることで、その電位が0[V]側にシフトする。この地肌部分にも僅かながら転写残トナーが付着することがあるが、この地肌部分に付着する正極性をもつ逆帯電トナーTにも、ブラシ接触領域においてブラシローラ41側に向かう静電力が働くことになる。したがって、感光体ドラム1の表面に付着した転写残トナーのうち、逆帯電トナーTに関しては、ブラシ接触領域においてブラシローラ41に付着し、保持される。
【0038】
一方、転写残トナーのうちの正規帯電トナーTは、負極性に帯電しているため、ブラシ接触領域では感光体ドラム1側に向かう静電力を受けることになる。
したがって、正規帯電トナーTに関しては、ブラシローラ41に保持されずに感光体ドラム1の表面に付着し続けることになる。しかし、正規帯電トナーTが感光体ドラム1の表面に付着したままブラシ接触領域を通過しても、上述したように次の画像形成工程にほとんど悪影響はなく、次の画像形成工程のトナー像を構成するか、現像装置5に回収されることになる。
【0039】
ここで、本実施形態においては、ブラシローラ41を、ブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面移動方向とは逆方向(カウンタ方向)に表面移動させるように駆動している。このようにブラシローラ41を駆動することによって、多数のブラシ先端部分で感光体ドラム1の表面を摺擦することができる。本実施形態では使用するトナーがいわゆる球形トナーなので、上述したように転写効率が良く転写残トナーの量は比較的少ないが、長期的に使用すればフィルミング現象が発生する可能性がある。そこで、ブラシローラ41で感光体ドラム1表面を摺擦することにより、感光体ドラム1の表面に付着した正規帯電トナーTが拡散されることになる。このような拡散によって、感光体ドラム1の表面に対する正規帯電トナーTの付着力を弱めることができる。その結果、ブラシ接触領域を通過した感光体ドラム1上の正規帯電トナーTを現像装置5によって回収するのが容易になるという効果が得られる。
なお、この効果は、ブラシローラ41を、ブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面移動方向と同方向でかつ線速差が生じるように駆動すれば、同様にして得られるものである。
【0040】
このように、本発明では、各感光体ドラム1Y、1C、1M、1K用のクリーニング装置を別個に設ける必要がない。しかも、その位置に配置されるトナー保持装置40は、転写残トナーのうちでも逆帯電トナーTさえ一時的に保持できるものであればよく、従来のクリーニング装置に比べて遙かに小型化が可能である。
また、逆帯電トナーTさえ一時的に保持できるものであればよいため、クリーニングブレードのような強力な除去性能は必要としない。したがって、クリーニングブレードを当接させる構成に比べて、感光体ドラム1の駆動装置に加わる負荷トルクを大幅に減らすことができる。したがって、その駆動装置として小型のものを利用することが可能となるとともに、バンディング現象なども少なくなり、安定して高品質な画像を形成することが可能となる。
【0041】
次に、ブラシローラ41で保持した逆帯電トナーTを感光体ドラム1の表面に放出する放出工程について説明する。
本実施形態では、逆帯電トナーTをブラシローラ41で保持した後、その逆帯電トナーTを本プリンタが画像形成を行わないとき所定のタイミングで感光体ドラム1の表面に放出する。タイミングは適宜選択することができるが、画像形成工程50回に1回程度で良い。
放出工程について更に詳しく説明すると、上記タイミングで放出される逆帯電トナーTが付着する感光体ドラム1の表面部分には、前回の画像形成工程における残留電位が存在する。本実施形態においては、この残留電位はおよそ−50[V]程度である。この放出時には、ブラシローラ41に接続される電源が第1電源43から第2電源44に切り替えられる。これにより、ブラシローラ41にはその表面が+200[V]となるような放出バイアスが印加される。このような放出バイアスが印加されると、ブラシローラ41に保持されていた逆帯電トナーTには、表面電位が−50[V]である感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、ブラシローラ41に保持されていた逆帯電トナーTは、ブラシ接触領域において感光体ドラム1の表面に付着する。
【0042】
次に、ブラシローラ41から放出されて感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーTを回収する回収工程について説明する。
本実施形態では、感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーTが帯電ローラ3aとの接触領域に到達する前に、帯電ローラ3aに印加されている帯電バイアスを停止させる。具体的には、本プリンタの制御部がバイアス停止手段として機能し、帯電ローラ3aへの帯電バイアスの印加を停止する。これにより、帯電ローラ3aはアースされ、その表面電位はほぼ0[V]になる。一方、逆帯電トナーTが付着した感光体ドラム1の表面は、上述したようにおよそ−50[V]であるため、帯電ローラ3aとの接触領域では、逆帯電トナーTには感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーTは帯電ローラ3aに付着することなく、その接触領域を通過することができる。
【0043】
また、接触帯電方式の場合は、帯電装置3に離間手段を設け、帯電ローラ3aを感光体ドラム1表面から接離することが好ましい。図6は、離間手段を設けた帯電装置3を示す概略構成図である。
この場合は、ブラシローラ41から放出されて感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーTが帯電ローラ3aとの接触領域に到達する前に、離間手段としての接離機構30によって帯電ローラ3aを感光体ドラム1の表面から離間させる。この接離機構30としては、感光体ドラム1の表面に対して帯電ローラ3aを接離させることが可能な公知の手段を用いることができる。このような構成により、逆帯電トナーTは帯電ローラ3aに接触することなく、帯電ローラ3aとの対向領域を通過することができる。よって、逆帯電トナーTが帯電ローラ3aに付着するのを防止することができる。したがって、帯電ローラ3aと感光体ドラム1の表面との間の帯電開始電圧が変化することはなく、画像濃度の低下、地肌汚れの発生、画像濃度ムラの発生を防止することができる。
【0044】
帯電ローラ3aとの接触領域を通過した逆帯電トナーTは、次に現像領域に搬送される。本実施形態では、感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーTが現像領域に到達する前に、現像ローラ5aに印加されている現像バイアスも停止させる。これにより、現像ローラ5aはアースされ、その表面電位はほぼ0[V]になる。一方、逆帯電トナーTが付着した感光体ドラム1の表面は、上述したようにおよそ−50[V]であるため、現像領域では、逆帯電トナーTには感光体ドラム1側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーTは現像ローラ5aに付着することなく、現像領域を通過することができる。
【0045】
現像領域を通過した逆帯電トナーTは、次に中間転写ベルト10と接触する一次転写ニップ部に搬送される。図7は一次転写ニップ部を示す概略構成図である。
本実施形態では、感光体ドラム1の表面に付着した逆帯電トナーTが一次転写ニップ部に到達する前に、一次転写ローラ14には、通常の画像形成時とは逆極性のバイアスが印加される。具体的に説明すると、一次転写ローラ14には、第1転写電源117又は第2転写電源118のいずれか一方からバイアスが印加される構成になっている。これらの転写電源117,118と一次転写ローラ14との間には切替スイッチ119が設けられており、この切替スイッチ119の動作によって一次転写ローラ14に接続される転写電源が選択される。この切替スイッチ119の動作は、本プリンタの制御部によって制御されている。なお、第1転写電源117は、−300[V]の転写バイアスを印加するものである。
一方、第2転写電源118は、各一次転写ローラ14Y,14C,14M,14Kについてそれぞれ印加するバイアスが異なり、+400[V]以上でかつ+2000[V]以下の範囲の転写バイアスを印加する。そして、通常の画像形成時における転写工程では、第2転写電源118が一次転写ローラ14に接続され、逆帯電トナーTを感光体ドラム1の表面から回収する際には、第1転写電源117が一次転写ローラ14に接続される。
【0046】
回収工程において一次転写ローラ14に負極性バイアスが印加されることで、逆帯電トナーTが付着した感光体ドラム1の表面(−50[V])と、中間転写ベルト10との間には転写電界が形成される。そして、この転写電界によって、逆帯電トナーTには中間転写ベルト10側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーTは中間転写ベルト10上に転写されることになる。その後、中間転写ベルト10上に転写された逆帯電トナーTは、二次転写ローラ16と接触する二次転写ニップ部に搬送される。ここで、逆帯電トナーTが二次転写ニップ部に到達する前に、二次転写ローラ16には通常の画像形成時に印加される転写バイアスと同じ転写バイアスが印加される。すなわち、二次転写ローラ16には正極性のバイアスが印加される。一方、逆帯電トナーTが付着した中間転写ベルト10の表面電位は、二次転写ニップ部においてほぼ0[V]であるため、二次転写ニップ部では、逆帯電トナーTに中間転写ベルト10側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーTは二次転写ローラ16に付着することなく、二次転写ニップ部を通過することができる。
なお、本実施形態では、逆帯電トナーTが二次転写ニップ部を通過する際に二次転写ローラ16にバイアスを印加することで、二次転写ローラ16への逆帯電トナーTの付着を防止しているが、他の手段を採用してもよい。例えば、二次転写ローラ16を接離可能とし、逆帯電トナーTが二次転写ニップ部を通過する際には二次転写ローラ16を中間転写ベルト10から離間させる構成としてもよい。
【0047】
このようにして二次転写ニップ部を通過した逆帯電トナーTは、次に、ベルトクリーニング装置15との対向するクリーニング領域に搬送される。このクリーニング領域において、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーTは、ファーブラシによって拡散された後、クリーニングブレードによって掻き取られる。これにより、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーTはベルトクリーニング装置15に回収されることになる。
【0048】
なお、本実施形態では、中間転写ベルト10上に転写した逆帯電トナーTをベルトクリーニング装置15によって回収する構成について説明したが、他の構成であってもよい。例えば、中間転写ベルト10上の逆帯電トナーTが二次転写ニップ部に到達する前に、二次転写ローラ16に通常の画像形成時とは逆極性のバイアスを印加する。これにより、二次転写ニップ部において逆帯電トナーTは二次転写ローラ16側に付着し、回収することができる。なお、この場合、二次転写ローラ16の表面をクリーニングするクリーニング手段を設ける必要がある。または、転写紙に転写して回収しても良い。
【0049】
以上、本実施形態によれば、ブラシローラ41から放出した逆帯電トナーTを、中間転写ベルト10上に転写することで、感光体ドラム1の表面から回収する。よって、感光体ドラム1の表面上から回収したトナーを収容する廃トナータンクを個別に設ける必要もなくなり、装置の小型化を図ることができる。特に、本プリンタは、4つの感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを備えるいわゆるタンデム型の画像形成装置であるため、各感光体ドラムごとに個別に廃トナータンクを設ける場合に比べて大幅に装置の小型化を図ることができる。
【0050】
なお、逆帯電トナーTを現像装置5によって回収する構成にしてもよい。この場合は、現像装置5にクラッチを設け、感光体ドラム1上の逆帯電トナーがT現像領域に到達する時に、現像ローラ5aの回転をクラッチにより一時停止させる構成が好ましい。これにより、現像装置5内のトナーが感光体ドラム1の表面上に付着して無駄にトナーを消費することを抑えることができる。また、逆帯電トナーTが現像領域に到達する前に、回収手段としての現像装置5の現像ローラ5aには、画像形成時の現像バイアスと同じバイアスすなわち−300[V]のバイアスを印加する。これにより、逆帯電トナーTが付着した感光体ドラム1の表面(−50[V])と現像ローラ5aとの間では、逆帯電トナーTに現像ローラ5a側に向かう静電力が働くことになる。したがって、逆帯電トナーTは現像ローラ5aに付着することになる。その後、次の画像形成時に現像ローラ5aの駆動が開始されると、現像ローラ5aに付着した逆帯電トナーTは現像装置5の内部に搬送される。そして、現像装置5の内部で攪拌搬送され、正規の極性に帯電し直された後、再度現像に寄与することになる。
逆帯電トナーTを現像装置5で回収することで、トナーリサイクルシステムと画像形成装置本体の小型化を両立させることができる。
【0051】
さらに、逆帯電トナーTを中間転写ベルト10に搬送して回収する構成と、現像装置5で回収する構成とを併用しても良い。このように構成すれば、現像装置5によって回収しきれずに現像領域を通過した逆帯電トナーTを一次転写ニップ部で中間転写ベルト10上に回収することができる。このように感光体ドラム1上の逆帯電トナーTを2段階で回収する構成とすれば、感光体ドラム1上の逆帯電トナーの回収能力が高まり、より確実に回収することができる。また、このように逆帯電トナーの回収能力が高まれば、ブラシローラ41から一度に大量の逆帯電トナーTを放出しても、これを十分に回収することができる。その結果、ブラシローラ41から逆帯電トナーTを放出する頻度を少なくすることができるという効果が得られる。
【0052】
このように、感光体ドラム1の表面に残留した転写残トナーのうちの逆帯電トナーTをブラシローラ41によって一時的に保持することで、その逆帯電トナーTが帯電ローラ3aに付着するのを防止することができる。これにより、帯電ローラ3aと感光体ドラム1の表面との間の帯電開始電圧が変化することはなく、画像濃度の低下、地肌汚れの発生、画像濃度ムラの発生を防止することができる。
また、本発明はクリーニングレスの画像形成装置であるが、正規帯電のトナー回収に関しては従来の技術を用いることができ、現像装置で回収しても良いし、中間転写体に転写して回収しても良い。
なお、本発明に係るプリンタでは、転写紙が給紙中にジャムしたときなど画像形成動作が中断され、感光体ドラム1の表面に大量に付着した不要トナーをクリーニングしなければならない場合にも対応することができる。
【0053】
さらに、上述した画像形成装置内の構成のうち、少なくとも、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kを、それぞれに備えられたトナー保持装置40と一体に構成し、画像形成装置本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジとすることができる。プロセスカートリッジとしては、各感光体ドラム1Y,1C,1M,1Kの周囲に配置された現像装置等の部品、露光装置4、帯電装置3、中間転写ベルト10、ベルトクリーニング装置15等の中から選択して、一体化して構成することができる。よって、プロセスカートリッジ内に収容された部品に寿命が到来したり、メンテナンスが必要になったりしたときには、そのプロセスカートリッジを交換すればよく、利便性が向上する。
【0054】
次に、本発明の画像形成装置に使用するトナーについて説明する。
本発明の逆帯電トナー除去方法は、除去前のトナーの極性を利用したものであり、トナー極性は、トナーそのものの摩擦帯電性に大きく依存している。トナーの摩擦帯電量の分布をシャープに制御することで、転写効率を向上させて転写残トナーを低減することができる。さらに除去前の逆帯電トナー比率を低く抑えることができるため、たとえ転写残トナーが多い状態でも、安定した除去性能を維持することができる。
本実施形態で使用するトナーは、バインダー樹脂と、着色剤と、荷電制御剤と、有機微粒子と、好ましくは離型剤とからなる母体粒子に外添剤を添加したものを用いることができる。帯電量分布をシャープに制御するために、前記トナーは、荷電制御剤と有機微粒子のうちのいずれか又は双方がトナー表面に存在する。極性を持つ材料がトナー表面に存在することで、トナーの帯電分布をシャープにし、上記効果を得ることができる。
【0055】
図8は、本発明に使用した重合トナーと従来の粉砕型トナーとの帯電量分布において、転写バイアス印加による変化を示すためのグラフであり、以下の表1はその数値を示したものである。
【表1】
Figure 2004177555
表1及び図から分かるように、本発明に用いるトナーは従来のトナーに比べて、摩擦帯電による帯電量の差がトナー間で小さくなるために帯電分布がシャープであり、安定した帯電性を有している。
【0056】
前記荷電制御剤は、トナー母体粒子表面に存在する重量Mとトナー母体粒子全体に存在する重量Tとの比M/Tが、100以上1000以下である。ここで、重量比M/Tは、荷電制御剤以外の成分には存在せず、荷電制御剤のみに存在する、H、C、O、及び希ガス元素を除く長周期型の周期律表における第5周期までの1元素に対し、X線光電子分光法(XPS)で測定される値である。
【0057】
前記トナーは、バインダー樹脂としてガラス転移点(Tg)の低いポリエステルを用いるため、低温定着性に優れるトナーで、また、荷電制御剤が上記の重量比M/Tの値が示すように、圧倒的にトナー表面に存在することから、帯電安定性に優れたトナーである。さらに、トナー粒子の流動性、帯電性補助等のために無機微粒子を外添するが、この無機微粒子は、トナー表面に存在する荷電制御剤との反発で、トナーから遊離しやすい傾向にある。しかしながら、本発明の画像形成装置であれば、クリーニング性は良好であり、画像品質を高品質に保つことができる。より具体的には、無機微粒子の遊離率1.0〜20.0%の範囲であれば画像品質上問題ない。
【0058】
前記トナーの体積平均粒径は、3〜8μmの範囲が好ましい。粒径が小さいほど、細線の再現性が高くなり、高品位な画質を得ることができる。3μm未満では液滴の形成が困難であり、8μmを越えると乾式粉砕法のトナーと比べてコスト的に有利でない。
また、粒径分布は、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)が1.25以下であることが好ましい。より好ましくは1.05〜1.25である。粒径分布をシャープにすることで、帯電量分布が均一になり、地肌かぶりの少ない高品位な画像を得ることができ、また、転写率を高くすることができる。Dv/Dnは、画像品質上1.25以下が好適であり、また、1.05未満では製造上困難である。
【0059】
前記トナーは、後述する重合法により製造されるトナーであり、その形状は真球に近く平均円形度が高い。一方、粉砕法等によって製造されるトナーは、その表面にランダムな凹凸が存在するため、その平均円形度は低いものとなる。このように平均円形度の低いトナーは、一般に、その粒径分布がブロードになるため、各トナーの表面積のバラツキが大きくなる。よって、現像装置内での撹拌時やドクタ通過時における摩擦帯電による各トナーの帯電量が現像剤中のトナー間で大きく異なることになる。その結果、現像剤中におけるトナーの帯電分布が広がってしまい、感光体ドラム上に付着した全トナーに対して転写電界の作用が均一に働かず、転写率が低下してしまう。これに対し、本実施形態においては、使用するトナーの平均円形度が高いため、全トナーの形状を高い精度で制御できている。そのため、その粒径分布が狭く、各トナーの表面積のバラツキを小さくすることができる。よって、摩擦帯電によるトナーの帯電量の差が現像剤中のトナー間で小さくなる。その結果、トナーの帯電分布が狭くなり、転写率が向上し、感光体ドラム上に残留する転写残トナーの量を少なくすることができる。
【0060】
また、現像領域においては良好に帯電されたトナーが優先的に感光体ドラム1上の静電潜像に付着し、消費されることになる。そのため、経時使用するにつれて、現像装置5内には帯電状態が良好でないトナーの比率が上昇する。よって、粉砕法等によって形成されるトナーのように平均円形度が低い場合、上述のようにトナーの帯電分布がブロードになるため、経時使用により現像装置5内に残存する帯電状態が良好でないトナーの量は多い。このような帯電状態が良好でないトナーは、現像領域において現像電界を受けても感光体ドラム上の静電潜像部分に正確に付着されない。したがって、トナーの平均円形度が低い場合、経時使用により地肌汚れやドットのバラツキ等が発生するため、経時的に画像が劣化してしまう。
また、トナーの平均円形度が低い場合、キャリアとの接触面積が増える結果、スペントと呼ばれる現象が発生しやすくなる。スペントとは、トナーのキャリア表面へのフィルミング現象であり、経時的な使用によって悪化するものである。
この現象が生じると、新規トナーを新たに補給しても、その新規トナーが摩擦帯電されにくくなり、この現象も経時的な画像劣化の原因であると考えられる。
【0061】
これに対し、本実施形態においては、トナーの平均円形度が高いため、トナーの帯電分布が狭く、トナーの平均円形度の低い場合に比べて、もともと帯電状態が良好でないトナーの量が少ない。よって、経時使用しても、地肌汚れやドットのバラツキ等が発生しにくい。また、トナーの平均円形度が高いためにキャリアとの接触面積が小さく、スペントと呼ばれる現象が発生しにくい。したがって、平均円形度の高いトナーを使用すれば、経時的な画像劣化が生じにくいという効果が得られる。
【0062】
トナーの平均円形度の好適値を得るために、次のような実験を行った。この実験では、現像装置内に現像剤を充填した後、その現像装置を空駆動させて、スペントが観測されるまでの時間を測定した。その実験結果を、下記の表2に示す。
そして、トナーの平均円形度が0.93以上であれば、合格基準である15万枚の画像形成を行うのに必要な時間に相当する4200[分]以上経っても、スペントが観測されなかった。そこで、本実施形態では、円形度の平均値が0.93以上であるトナーを使用している。
【表2】
Figure 2004177555
【0063】
ここで、トナーの平均円形度は、各トナーの円形度の平均値であり、次の方法により測定したものである。
各トナーの円形度の測定は、株式会社SYSMEX製フロー式粒子像分析装置FPIA−2100を用いて行った。この測定では、まず、1級塩化ナトリウムを用いて、1[%]のNaCl水溶液を調整する。その後、このNaCl水溶液を0.45のフィルターを通して50〜100[ml]の液を得て、これに分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルフォン酸塩を0.1〜5[ml]加え、更に試料を1〜10[mg]加える。これを、超音波分散機で分散処理を1分間行い、粒子濃度を5000〜15000[個/μl]に調整し、分散液を得る。この分散液をCCDカメラで撮像し、トナーの二次元投影画像の面積と同じ面積をもつ円の円周長を、そのトナーの二次元投影画像の周囲長で割った値を、各トナーの円形度として用いた。なお、CCDの画素の精度から、トナーの二次元投影画像の面積と同じ面積をもつ円の直径(円相当径)が0.6[μm]以上であるトナーを有効なものとした。トナーの平均円形度は、各トナーの円形度を得た後、測定範囲内にある全トナーの円形度をすべて足し合わせ、それをトナー個数で割った値を用いたものである。
【0064】
また、前記円形度のうち、特に、形状係数SF−1が100〜180の範囲にあり、形状係数SF−2が100〜190の範囲にあることが好ましい。
図9は、形状係数SF−1と、形状係数SF−2とを説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。形状係数SF−1は、トナー形状の丸さの割合を示すものであり、下記式(1)で表される。トナーを二次元平面に投影してできる形状の最大長MXLNGの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−1={(MXLNG)/AREA}×(100π/4)……式(1)
SF−1の値が100の場合トナーの形状は真球となり、SF−1の値が大きくなるほど不定形になる。
また、形状係数SF−2は、トナーの形状の凹凸の割合を示すものであり、下記式(2)で表される。トナーを二次元平面に投影してできる図形の周長PERIの二乗を図形面積AREAで除して、100π/4を乗じた値である。
SF−2={(PERI)/AREA}×(100π/4)……式(2)
SF−2の値が100の場合トナー表面に凹凸が存在しなくなり、SF−2の値が大きくなるほどトナー表面の凹凸が顕著になる。
【0065】
形状係数の測定は、具体的には、走査型電子顕微鏡(S−800:日立製作所製)でトナーの写真を撮り、これを画像解析装置(LUSEX3:ニレコ社製)に導入して解析して計算した。
形状係数SF−1とSF−2は100以上がよい。また、SF−1とSF−2が大きくなると、画像上にトナーが散ってしまい画像品位が低下する。このために、SF−1は180を越えない方が好ましく、SF−2は190を越えない方が好ましい。
【0066】
また、前記トナーは、トナー表面とトナー内部で、表面の方が硬いものが好ましい。トナー全体の硬さの分布は、含まれる構成元素を分析することで把握することができる。ウレア結合したポリエステル樹脂は、窒素原子(N)を多く含む方が硬くなり、これをXPS(X線光電子分光法)等で組成分布を測定して確認することができる。
トナー表面を硬くすることで、長期間使用する場合であってもブロッキングすることを防止し、また、トナー粒子自体の流動性を良くすることで攪拌性・混合性を良くすることができる。さらに、トナー表面が硬いことで、外添剤がトナー表面に埋め込まれにくくなり、現像装置4内で長期間攪拌しても、トナーの流動性・帯電性を一定に保つことができる。また、内部の硬さを低くすることで、定着時における熱と圧力でトナー表面を破壊し、容易に変形させることで、離型剤を含むトナー内部を露出させ定着性を向上させることができる。
【0067】
以下に、トナーの具体的な構成成分、並びに製造方法について説明する。
(着色剤)
着色剤としては、公知の染料及び顔料が全て使用でき、例えば、カーボンブラック、ニグロシン染料、鉄黒、ナフトールイエローS、ハンザイエロー(10G、5G、G)、カドミュウムイエロー、黄色酸化鉄、黄土、黄鉛、チタン黄、ポリアゾイエロー、オイルイエロー、ハンザイエロー(GR、A、RN、R)、ピグメントイエローL、ベンジジンイエロー(G、GR)、パーマネントイエロー(NCG)、バルカンファストイエロー(5G、R)、タートラジンレーキ、キノリンイエローレーキ、アンスラザンイエローBGL、イソインドリノンイエロー、ベンガラ、鉛丹、鉛朱、カドミュウムレッド、カドミュウムマーキュリレッド、アンチモン朱、パーマネントレッド4R、パラレッド、ファイセーレッド、パラクロルオルトニトロアニリンレッド、リソールファストスカーレットG、ブリリアントファストスカーレット、ブリリアントカーンミンBS、パーマネントレッド(F2R、F4R、FRL、FRLL、F4RH)、ファストスカーレットVD、ベルカンファストルビンB、ブリリアントスカーレットG、リソールルビンGX、パーマネントレッドF5R、ブリリアントカーミン6B、ピグメントスカーレット3B、ボルドー5B、トルイジンマルーン、パーマネントボルドーF2K、ヘリオボルドーBL、ボルドー10B、ボンマルーンライト、ボンマルーンメジアム、エオシンレーキ、ローダミンレーキB、ローダミンレーキY、アリザリンレーキ、チオインジゴレッドB、チオインジゴマルーン、オイルレッド、キナクリドンレッド、ピラゾロンレッド、ポリアゾレッド、クロームバーミリオン、ベンジジンオレンジ、ペリノンオレンジ、オイルオレンジ、コバルトブルー、セルリアンブルー、アルカリブルーレーキ、ピーコックブルーレーキ、ビクトリアブルーレーキ、無金属フタロシアニンブルー、フタロシアニンブルー、ファストスカイブルー、インダンスレンブルー(RS、BC)、インジゴ、群青、紺青、アントラキノンブルー、ファストバイオレットB、メチルバイオレットレーキ、コバルト紫、マンガン紫、ジオキサンバイオレット、アントラキノンバイオレット、クロムグリーン、ジンクグリーン、酸化クロム、ピリジアン、エメラルドグリーン、ピグメントグリーンB、ナフトールグリーンB、グリーンゴールド、アシッドグリーンレーキ、マラカイトグリーンレーキ、フタロシアニングリーン、アントラキノングリーン、酸化チタン、亜鉛華、リトボン及びそれらの混合物が使用できる。着色剤の含有量はトナーに対して通常1〜15重量%、好ましくは3〜10重量%である。
【0068】
着色剤は樹脂と複合化されたマスターバッチとして用いることもできる。マスターバッチの製造、またはマスターバッチとともに混練されるバインダー樹脂としては、ポリスチレン、ポリ−p−クロロスチレン、ポリビニルトルエンなどのスチレン及びその置換体の重合体、あるいはこれらとビニル化合物との共重合体、ポリメチルメタクリレート、ポリブチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、エポキシ樹脂、エポキシポリオール樹脂、ポリウレタン、ポリアミド、ポリビニルブチラール、ポリアクリル酸樹脂、ロジン、変性ロジン、テルペン樹脂、脂肪族又は脂環族炭化水素樹脂、芳香族系石油樹脂、塩素化パラフィン、パラフィンワックスなどが挙げられ、単独あるいは混合して使用できる。
【0069】
(ポリエステル)
ポリエステルは、多価アルコール化合物と多価カルボン酸化合物との重縮合反応によって得られる。
多価アルコール化合物(PO)としては、2価アルコール(DIO)および3価以上の多価アルコール(TO)が挙げられ、(DIO)単独、または(DIO)と少量の(TO)との混合物が好ましい。2価アルコール(DIO)としては、アルキレングリコール(エチレングリコール、1,2−プロピレングリコール、1,3−プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオールなど);アルキレンエーテルグリコール(ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリテトラメチレンエーテルグリコールなど);脂環式ジオール(1,4−シクロヘキサンジメタノール、水素添加ビスフェノールAなど);ビスフェノール類(ビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールSなど);上記脂環式ジオールのアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物;上記ビスフェノール類のアルキレンオキサイド(エチレンオキサイド、プロピレンオキサイド、ブチレンオキサイドなど)付加物などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数2〜12のアルキレングリコールおよびビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物であり、特に好ましいものはビスフェノール類のアルキレンオキサイド付加物、およびこれと炭素数2〜12のアルキレングリコールとの併用である。3価以上の多価アルコール(TO)としては、3〜8価またはそれ以上の多価脂肪族アルコール(グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトールなど);3価以上のフェノール類(トリスフェノールPA、フェノールノボラック、クレゾールノボラックなど);上記3価以上のポリフェノール類のアルキレンオキサイド付加物などが挙げられる。
【0070】
多価カルボン酸(PC)としては、2価カルボン酸(DIC)および3価以上の多価カルボン酸(TC)が挙げられ、(DIC)単独、および(DIC)と少量の(TC)との混合物が好ましい。2価カルボン酸(DIC)としては、アルキレンジカルボン酸(コハク酸、アジピン酸、セバシン酸など);アルケニレンジカルボン酸(マレイン酸、フマール酸など);芳香族ジカルボン酸(フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、ナフタレンジカルボン酸など)などが挙げられる。これらのうち好ましいものは、炭素数4〜20のアルケニレンジカルボン酸および炭素数8〜20の芳香族ジカルボン酸である。3価以上の多価カルボン酸(TC)としては、炭素数9〜20の芳香族多価カルボン酸(トリメリット酸、ピロメリット酸など)などが挙げられる。なお、多価カルボン酸(PC)としては、上述のものの酸無水物または低級アルキルエステル(メチルエステル、エチルエステル、イソプロピルエステルなど)を用いて多価アルコール(PO)と反応させてもよい。
【0071】
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の比率は、水酸基[OH]とカルボキシル基[COOH]の当量比[OH]/[COOH]として、通常2/1〜1/1、好ましくは1.5/1〜1/1、さらに好ましくは1.3/1〜1.02/1である。
多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)の重縮合反応は、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。ポリエステルの水酸基価は5以上であることが好ましく、ポリエステルの酸価は通常1〜30、好ましくは5〜20である。酸価を持たせることで負帯電性となりやすく、さらには記録紙への定着時、記録紙とトナーの親和性がよく低温定着性が向上する。しかし、酸価が30を超えると帯電の安定性、特に環境変動に対し悪化傾向がある。
また、重量平均分子量1万〜40万、好ましくは2万〜20万である。1万未満では耐オフセット性が悪化し、40万を超えると低温定着性が悪化する。
【0072】
ポリエステルには、上記の重縮合反応で得られる未変性ポリエステルの他に、ウレア変性のポリエステルが好ましく含有される。ウレア変性のポリエステルは、上記の重縮合反応で得られるポリエステルの末端のカルボキシル基や水酸基等と多価イソシアネート化合物(PIC)とを反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得、これとアミン類との反応により分子鎖が架橋及び/又は伸長されて得られるものである。
多価イソシアネート化合物(PIC)としては、脂肪族多価イソシアネート(テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトメチルカプロエートなど);脂環式ポリイソシアネート(イソホロンジイソシアネート、シクロヘキシルメタンジイソシアネートなど);芳香族ジイソシアネート(トリレンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネートなど);芳香脂肪族ジイソシアネート(α,α,α’,α’−テトラメチルキシリレンジイソシアネートなど);イソシアネート類;前記ポリイソシアネートをフェノール誘導体、オキシム、カプロラクタムなどでブロックしたもの;およびこれら2種以上の併用が挙げられる。
【0073】
多価イソシアネート化合物(PIC)の比率は、イソシアネート基[NCO]と、水酸基を有するポリエステルの水酸基[OH]の当量比[NCO]/[OH]として、通常5/1〜1/1、好ましくは4/1〜1.2/1、さらに好ましくは2.5/1〜1.5/1である。[NCO]/[OH]が5を超えると低温定着性が悪化する。[NCO]のモル比が1未満では、ウレア変性ポリエステルを用いる場合、そのエステル中のウレア含量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の多価イソシアネート化合物(PIC)構成成分の含有量は、通常0.5〜40wt%、好ましくは1〜30wt%、さらに好ましくは2〜20wt%である。0.5wt%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。また、40wt%を超えると低温定着性が悪化する。
イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中の1分子当たりに含有されるイソシアネート基は、通常1個以上、好ましくは、平均1.5〜3個、さらに好ましくは、平均1.8〜2.5個である。1分子当たり1個未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0074】
次に、ポリエステルプレポリマー(A)と反応させるアミン類(B)としては、2価アミン化合物(B1)、3価以上の多価アミン化合物(B2)、アミノアルコール(B3)、アミノメルカプタン(B4)、アミノ酸(B5)、およびB1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)などが挙げられる。
2価アミン化合物(B1)としては、芳香族ジアミン(フェニレンジアミン、ジエチルトルエンジアミン、4,4’−ジアミノジフェニルメタンなど);脂環式ジアミン(4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジシクロヘキシルメタン、ジアミンシクロヘキサン、イソホロンジアミンなど);および脂肪族ジアミン(エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミンなど)などが挙げられる。3価以上の多価アミン化合物(B2)としては、ジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミンなどが挙げられる。アミノアルコール(B3)としては、エタノールアミン、ヒドロキシエチルアニリンなどが挙げられる。アミノメルカプタン(B4)としては、アミノエチルメルカプタン、アミノプロピルメルカプタンなどが挙げられる。アミノ酸(B5)としては、アミノプロピオン酸、アミノカプロン酸などが挙げられる。B1〜B5のアミノ基をブロックしたもの(B6)としては、前記B1〜B5のアミン類とケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど)から得られるケチミン化合物、オキサゾリジン化合物などが挙げられる。これらアミン類(B)のうち好ましいものは、B1およびB1と少量のB2の混合物である。
【0075】
アミン類(B)の比率は、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)中のイソシアネート基[NCO]と、アミン類(B)中のアミノ基[NHx]の当量比[NCO]/[NHx]として、通常1/2〜2/1、好ましくは1.5/1〜1/1.5、さらに好ましくは1.2/1〜1/1.2である。[NCO]/[NHx]が2を超えたり1/2未満では、ウレア変性ポリエステルの分子量が低くなり、耐ホットオフセット性が悪化する。
また、ウレア変性ポリエステル中には、ウレア結合と共にウレタン結合を含有していてもよい。ウレア結合含有量とウレタン結合含有量のモル比は、通常100/0〜10/90であり、好ましくは80/20〜20/80、さらに好ましくは、60/40〜30/70である。ウレア結合のモル比が10%未満では、耐ホットオフセット性が悪化する。
【0076】
ウレア変性ポリエステルは、ワンショット法などにより製造される。多価アルコール(PO)と多価カルボン酸(PC)を、テトラブトキシチタネート、ジブチルチンオキサイドなど公知のエステル化触媒の存在下、150〜280℃に加熱し、必要により減圧としながら生成する水を留去して、水酸基を有するポリエステルを得る。次いで40〜140℃にて、これに多価イソシアネート(PIC)を反応させ、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)を得る。さらにこの(A)にアミン類(B)を0〜140℃にて反応させ、ウレア変性ポリエステルを得る。
(PIC)を反応させる際、及び(A)と(B)を反応させる際には、必要により溶剤を用いることもできる。使用可能な溶剤としては、芳香族溶剤(トルエン、キシレンなど);ケトン類(アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなど);エステル類(酢酸エチルなど);アミド類(ジメチルホルムアミド、ジメチルアセトアミドなど)およびエーテル類(テトラヒドロフランなど)などのイソシアネート(PIC)に対して不活性なものが挙げられる。
【0077】
また、ポリエステルプレポリマー(A)とアミン類(B)との架橋及び/又は伸長反応には、必要により反応停止剤を用い、得られるウレア変性ポリエステルの分子量を調整することができる。反応停止剤としては、モノアミン(ジエチルアミン、ジブチルアミン、ブチルアミン、ラウリルアミンなど)、およびそれらをブロックしたもの(ケチミン化合物)などが挙げられる。
ウレア変性ポリエステルの重量平均分子量は、通常1万以上、好ましくは2万〜1000万、さらに好ましくは3万〜100万である。1万未満では耐ホットオフセット性が悪化する。ウレア変性ポリエステル等の数平均分子量は、先の未変性ポリエステルを用いる場合は特に限定されるものではなく、前記重量平均分子量とするのに得やすい数平均分子量でよい。ウレア変性ポリエステルを単独で使用する場合は、その数平均分子量は、通常2000〜15000、好ましくは2000〜10000、さらに好ましくは2000〜8000である。20000を超えると低温定着性およびフルカラー装置に用いた場合の光沢性が悪化する。
【0078】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを併用することで、低温定着性およびフルカラー画像形成装置に用いた場合の光沢性が向上するので、ウレア変性ポリエステルを単独で使用するよりも好ましい。尚、未変性ポリエステルはウレア結合以外の化学結合で変性されたポリエステルを含んでも良い。
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは、少なくとも一部が相溶していることが低温定着性、耐ホットオフセット性の面で好ましい。従って、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとは類似の組成であることが好ましい。
また、未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとの重量比は、通常20/80〜95/5、好ましくは70/30〜95/5、さらに好ましくは75/25〜95/5、特に好ましくは80/20〜93/7である。ウレア変性ポリエステルの重量比が5%未満では、耐ホットオフセット性が悪化するとともに、耐熱保存性と低温定着性の両立の面で不利になる。
【0079】
未変性ポリエステルとウレア変性ポリエステルとを含むバインダー樹脂のガラス転移点(Tg)は、通常45〜65℃、好ましくは45〜60℃である。45℃未満ではトナーの耐熱性が悪化し、65℃を超えると低温定着性が不十分となる。
また、ウレア変性ポリエステルは、得られるトナー母体粒子の表面に存在しやすいため、公知のポリエステル系トナーと比較して、ガラス転移点が低くても耐熱保存性が良好な傾向を示す。
【0080】
(荷電制御剤)
荷電制御剤としては、本実施形態ではカラートナーとして用いることから、荷電制御剤自体が無色若しくは単色で、トナーへの色調障害が無い公知のものが使用できる。例えば正荷電性としては四級アンモニウム塩化合物、負帯電性としてはサリチル酸若しくはアルキルサリチル酸のクロム、亜鉛、アルミニウム等の金属錯体又は金属塩、ベンジル酸の金属錯体又は金属塩、アミド化合物、フェノール化合物、ナフトール化合物等公知のものを単独又は併用して用いることができるが、特に、サリチル酸金属錯体又は金属塩、有機硼素化合物、オキシナフトエ酸系金属錯体又は金属塩、含フッ素アンモニウム塩化合物の中から選択される少なくとも1つを用いるのが好ましい。具体的には、サリチル酸系金属錯体のE−84(オリエント化学工業社製)、硼素錯体のLR−147(日本カーリット社製)、オキシナフトエ酸系金属錯体のE−82(オリエント化学工業社製)等が挙げられる。
【0081】
荷電制御剤の使用量は、バインダー樹脂の種類、必要に応じて使用される添加剤の有無、分散方法を含めたトナー製造方法によって決定されるもので、一義的に限定されるものではないが、好ましくはバインダー樹脂100重量部に対して、0.1〜10重量部の範囲で用いられる。好ましくは、0.2〜5重量部の範囲がよい。10重量部を超える場合にはトナーの帯電性が大きすぎ、主荷電制御剤の効果を減退させ、現像ローラとの静電的吸引力が増大し、現像剤の流動性低下や、画像濃度の低下を招く。
【0082】
(有機微粒子)
有機微粒子は、水系媒体中で形成されるトナー母体粒子を安定化させるために加えられる。特に、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂の中から選択される少なくとも1つを用いるのが良い。具体的には、ポリメタクリル酸メチル微粒子1μm、及び3μm、ポリスチレン微粒子0.5μm及び2μm、ポリ(スチレン―アクリロニトリル)微粒子1μm、商品名では、PB−200H(花王社製)、SGP(総研社製)、テクノポリマーSB(積水化成品工業社製)、SGP−3G(総研社製)、ミクロパール(積水ファインケミカル社製)等がある。
【0083】
(離型剤)
上記トナーは、離型剤を含有することが好ましい。
離型剤としては、融点が50〜120℃の低融点のワックスが、バインダー樹脂との分散の中でより離型剤として効果的に定着ローラとトナー界面との間で働き、これにより定着ローラにオイルの如き離型剤を塗布することなく高温オフセットに対し効果を示す。このようなワックス成分としては、以下のものが挙げられる。ロウ類及びワックス類としては、カルナバワックス、綿ロウ、木ロウ、ライスワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン等の動物系ワックス、オゾケライト、セルシン等の鉱物系ワックス、及びおよびパラフィン、マイクロクリスタリン、ペトロラタム等の石油ワックス等が挙げられる。また、これら天然ワックスの外に、フィッシャー・トロプシュワックス、ポリエチレンワックス等の合成炭化水素ワックス、エステル、ケトン、エーテル等の合成ワックス等が挙げられる。さらに、12−ヒドロキシステアリン酸アミド、ステアリン酸アミド、無水フタル酸イミド、塩素化炭化水素等の脂肪酸アミド及び、低分子量の結晶性高分子樹脂である、ポリ−n−ステアリルメタクリレート、ポリ−n−ラウリルメタクリレート等のポリアクリレートのホモ重合体あるいは共重合体(例えば、n−ステアリルアクリレート−エチルメタクリレートの共重合体等)等、側鎖に長いアルキル基を有する結晶性高分子等も用いることができる。
荷電制御剤、離型剤はマスターバッチ、バインダー樹脂とともに溶融混練することもできるし、もちろん有機溶剤に溶解、分散する際に加えても良い。
【0084】
(外添剤)
トナー粒子の流動性や現像性、帯電性を補助するための外添剤として、無機微粒子が好ましく用いられる。この無機微粒子の一次粒子径は、5×10−3〜2μmであることが好ましく、特に5×10−3〜0.5μmであることが好ましい。また、BET法による比表面積は、20〜500m/gであることが好ましい。この無機微粒子の使用割合は、トナーの0.01〜5wt%であることが好ましく、特に0.01〜2.0wt%であることが好ましい。0.01wt%より少ないと満足な流動性を得られず、5wt%を越えると外添剤がトナーから遊離しやすい。
無機微粒子の具体例としては、例えばシリカ、アルミナ、酸化チタン、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウム、チタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、酸化亜鉛、酸化スズ、ケイ砂、クレー、雲母、ケイ灰石、ケイソウ土、酸化クロム、酸化セリウム、ベンガラ、三酸化アンチモン、酸化マグネシウム、酸化ジルコニウム、硫酸バリウム、炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭化ケイ素、窒化ケイ素などを挙げることができる。中でも、流動性付与剤としては、疎水性シリカ微粒子と疎水性酸化チタン微粒子を併用するのが好ましい。特に両微粒子の平均粒径が5×10−2μm以下のものを使用して攪拌混合を行った場合、トナーとの静電力、ファンデルワールス力は格段に向上することより、所望の帯電レベルを得るために行われる現像機内部の攪拌混合によっても、トナーから流動性付与剤が脱離することなく、ホタルなどが発生しない良好な画像品質が得られて、さらに転写残トナーの低減が図られる。
【0085】
酸化チタン微粒子は、環境安定性、画像濃度安定性に優れている反面、帯電立ち上がり特性の悪化傾向にあることより、酸化チタン微粒子添加量がシリカ微粒子添加量よりも多くなると、この副作用の影響が大きくなることが考えられる。しかし、疎水性シリカ微粒子及び疎水性酸化チタン微粒子の添加量が0.3〜1.5wt%の範囲では、帯電立ち上がり特性が大きく損なわれず、所望の帯電立ち上がり特性が得られ、すなわち、コピーの繰り返しを行っても、安定した画像品質が得られる。
【0086】
次に、トナーの製造方法について説明する。ここでは、好ましい製造方法について示すが、これに限られるものではない。
1)着色剤、未変性ポリエステル、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー、離型剤を有機溶媒中に分散させトナー材料液を作る。
有機溶媒は、沸点が100℃未満の揮発性であることが、トナー母体粒子形成後の除去が容易である点から好ましい。具体的には、トルエン、キシレン、ベンゼン、四塩化炭素、塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、1,1,2−トリクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロホルム、モノクロロベンゼン、ジクロロエチリデン、酢酸メチル、酢酸エチル、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトンなどを単独あるいは2種以上組合せて用いることができる。特に、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒および塩化メチレン、1,2−ジクロロエタン、クロロホルム、四塩化炭素等のハロゲン化炭化水素が好ましい。有機溶媒の使用量は、ポリエステルプレポリマー100重量部に対し、通常0〜300重量部、好ましくは0〜100重量部、さらに好ましくは25〜70重量部である。
【0087】
2)トナー材料液を界面活性剤、有機微粒子の存在下、水系媒体中で乳化させる。
水系媒体は、水単独でも良いし、アルコール(メタノール、イソプロピルアルコール、エチレングリコールなど)、ジメチルホルムアミド、テトラヒドロフラン、セルソルブ類(メチルセルソルブなど)、低級ケトン類(アセトン、メチルエチルケトンなど)などの有機溶媒を含むものであってもよい。
トナー材料液100重量部に対する水系媒体の使用量は、通常50〜2000重量部、好ましくは100〜1000重量部である。50重量部未満ではトナー材料液の分散状態が悪く、所定の粒径のトナー粒子が得られない。20000重量部を超えると経済的でない。
【0088】
また、水系媒体中の分散を良好にするために、界面活性剤、有機微粒子等の分散剤を適宜加える。
界面活性剤としては、アルキルベンゼンスルホン酸塩、α−オレフィンスルホン酸塩、リン酸エステルなどのアニオン性界面活性剤、アルキルアミン塩、アミノアルコール脂肪酸誘導体、ポリアミン脂肪酸誘導体、イミダゾリンなどのアミン塩型や、アルキルトリメチルアンモニム塩、ジアルキルジメチルアンモニウム塩、アルキルジメチルベンジルアンモニウム塩、ピリジニウム塩、アルキルイソキノリニウム塩、塩化ベンゼトニウムなどの4級アンモニウム塩型のカチオン性界面活性剤、脂肪酸アミド誘導体、多価アルコール誘導体などの非イオン界面活性剤、例えばアラニン、ドデシルジ(アミノエチル)グリシン、ジ(オクチルアミノエチル)グリシンやN−アルキル−N,N−ジメチルアンモニウムべタインなどの両性界面活性剤が挙げられる。
【0089】
また、フルオロアルキル基を有する界面活性剤を用いることにより、非常に少量でその効果をあげることができる。好ましく用いられるフルオロアルキル基を有するアニオン性界面活性剤としては、炭素数2〜10のフルオロアルキルカルボン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホニルグルタミン酸ジナトリウム、3−[ω−フルオロアルキル(C6〜C11)オキシ]−1−アルキル(C3〜C4)スルホン酸ナトリウム、3−[ω−フルオロアルカノイル(C6〜C8)−N−エチルアミノ]−1−プロパンスルホン酸ナトリウム、フルオロアルキル(C11〜C20)カルボン酸及び金属塩、パーフルオロアルキルカルボン酸(C7〜C13)及びその金属塩、パーフルオロアルキル(C4〜C12)スルホン酸及びその金属塩、パーフルオロオクタンスルホン酸ジエタノールアミド、N−プロピル−N−(2−ヒドロキシエチル)パーフルオロオクタンスルホンアミド、パーフルオロアルキル(C6〜C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩、パーフルオロアルキル(C6〜C10)−N−エチルスルホニルグリシン塩、モノパーフルオロアルキル(C6〜C16)エチルリン酸エステルなどが挙げられる。
【0090】
商品名としては、サーフロンS−111、S−112、S−113(旭硝子社製)、フロラードFC−93、FC−95、FC−98、FC−129(住友3M社製)、ユニダインDS−101、DS−102(ダイキン工業社製)、メガファックF−110、F−120、F−113、F−191、F−812、F−833(大日本インキ社製)、エクトップEF−102、103、104、105、112、123A、123B、306A、501、201、204、(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−100、F150(ネオス社製)などが挙げられる。
また、カチオン性界面活性剤としては、フルオロアルキル基を右する脂肪族1級、2級もしくは2級アミン酸、パーフルオロアルキル(C6−C10)スルホンアミドプロピルトリメチルアンモニウム塩などの脂肪族4級アンモニウム塩、ベンザルコニウム塩、塩化ベンゼトニウム、ピリジニウム塩、イミダゾリニウム塩、商品名としてはサーフロンS−121(旭硝子社製)、フロラードFC−135(住友3M社製)、ユニダインDS−202(ダイキンエ業杜製)、メガファックF−150、F−824(大日本インキ社製)、エクトップEF−132(トーケムプロダクツ社製)、フタージェントF−300(ネオス社製)などが挙げられる。
また、リン酸三カルシウム、炭酸カルシウム、酸化チタン、コロイダルシリカ、ヒドロキシアパタイト等の無機化合物分散剤も用いることができる。
【0091】
また、有機微粒子、無機化合物分散剤と併用して使用可能な分散剤として、高分子系保護コロイドにより分散液滴を安定化させても良い。例えばアクリル酸、メタクリル酸、α−シアノアクリル酸、α−シアノメタクリル酸、イタコン酸、クロトン酸、フマール酸、マレイン酸または無水マレイン酸などの酸類、あるいは水酸基を含有する(メタ)アクリル系単量体、例えばアクリル酸−β−ヒドロキシエチル、メタクリル酸−β−ヒドロキシエチル、アクリル酸−β−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−β−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、メタクリル酸−γ−ヒドロキシプロピル、アクリル酸−3−クロロ2−ヒドロキシプロビル、メタクリル酸−3−クロロ−2−ヒドロキシプロピル、ジエチレングリコールモノアクリル酸エステル、ジエチレングリコールモノメタクリル酸エステル、グリセリンモノアクリル酸エステル、グリセリンモノメタクリル酸エステル、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミドなど、ビニルアルコールまたはビニルアルコールとのエーテル類、例えばビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルプロピルエーテルなど、またはビニルアルコールとカルボキシル基を含有する化合物のエステル類、例えば酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、酪酸ビニルなど、アクリルアミド、メタクリルアミド、ジアセトンアクリルアミドあるいはこれらのメチロール化合物、アクリル酸クロライド、メタクリル酸クロライドなどの酸クロライド類、ビニルピリジン、ビニルピロリドン、ビニルイミダゾール、エチレンイミンなどの含窒素化合物、またはその複素環を有するものなどのホモポリマーまたは共重合体、ポリオキシエチレン、ポリオキシプロピレン、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシプロピレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミド、ポリオキシプロピレンアルキルアミド、ポリオキシエチレンノニルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンラウリルフェニルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルフェニルエステル、ポリオキシエチレンノニルフェニルエステルなどのポリオキシエチレン系、メチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロースなどのセルロース類などが使用できる。
【0092】
分散の方法としては特に限定されるものではないが、低速せん断式、高速せん断式、摩擦式、高圧ジェット式、超音波などの公知の設備が適用できる。この中でも、分散体の粒径を2〜20μmにするために高速せん断式が好ましい。高速せん断式分散機を使用した場合、回転数は特に限定はないが、通常1000〜30000rpm、好ましくは5000〜20000rpmである。分散時間は特に限定はないが、バッチ方式の場合は、通常0.1〜5分である。分散時の温度としては、通常、0〜150℃(加圧下)、好ましくは40〜98℃である。
【0093】
3)乳化液の作製と同時に、アミン類(B)を添加し、イソシアネート基を有するポリエステルプレポリマー(A)との反応を行わせる。この反応は、分子鎖の架橋及び/又は伸長を伴う。反応時間は、ポリエステルプレポリマー(A)の有するイソシアネート基構造とアミン類(B)との反応性により選択されるが、通常10分〜40時間、好ましくは2〜24時間である。反応温度は、通常、0〜150℃、好ましくは40〜98℃である。また、必要に応じて公知の触媒を使用することができる。具体的にはジブチルチンラウレート、ジオクチルチンラウレートなどが挙げられる。
【0094】
4)反応終了後、乳化分散体(反応物)から有機溶媒を除去し、洗浄、乾燥してトナー母体粒子を得る。有機溶媒を除去するためには、系全体を徐々に層流の攪拌状態で昇温し、一定の温度域で強い攪拌を与えた後、脱溶媒を行うことで紡錘形のトナー母体粒子が作製できる。また、分散安定剤としてリン酸カルシウム塩などの酸、アルカリに溶解可能な物を用いた場合は、塩酸等の酸により、リン酸カルシウム塩を溶解した後、水洗するなどの方法によって、トナー母体粒子からリン酸カルシウム塩を除去する。その他酵素による分解などの操作によっても除去できる。
【0095】
5)上記で得られたトナー母体粒子に、荷電制御剤を打ち込み、ついで無機微粒子を外添させ、トナーを得る。荷電制御剤の打ち込み、及び無機微粒子の外添は、ミキサー等を用いた公知の方法によって行われる。
これにより、小粒径であって、粒度分布のシャープなトナーを得ることができる。さらに、有機溶媒を除去する工程で強い攪拌を与えることで、球形状を制御することができる。
【0096】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、クリーニングレスの画像形成装置であっても、逆帯電トナーを効果的に除去することで、逆帯電トナーにより帯電開始電圧が変化することがなく、画像濃度の低下、地肌汚れの発生、画像濃度ムラの発生を防止し、かつ、小型化と低コスト化を達成でき、優れた画像形成装置及びプロセスカートリッジを提供することができる。また、飛び散りが発生せず、転写効率の良好なトナーを用い、画像品質の向上を達成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係るプリンタの概略構成図である。
【図2】感光体ドラムの構成を示す断面図である。
【図3】感光体ドラム周りの概略構成図である。
【図4】感光体ドラム上のトナーの帯電電位分布を示すグラフであり、(a)転写直前、(b)転写後を示す。
【図5】一時保持手段としてのトナー保持装置を示す概略構成図である。
【図6】離間手段を設けた帯電装置を示す概略構成図である。
【図7】一次転写ニップ部を示す概略構成図である。
【図8】本発明に使用したトナーと従来のトナーとの帯電量分布において、転写バイアス印加による変化を示すためのグラフである。
【図9】形状係数SF−1と、形状係数SF−2とを説明するためにトナーの形状を模式的に表した図である。
【符号の説明】
1 感光体ドラム
3 帯電装置
3a 帯電ローラ
4 露光装置
5 現像装置
5a 現像ローラ
5b 攪拌搬送スクリュー
10 中間転写ベルト
11、12、13 支持ローラ
14 一次転写ローラ
15 ベルトクリーニング装置
16 二次転写ローラ
30 接離機構
31 トナーボトル
40 トナー保持装置
41 ブラシローラ
42 駆動装置
43 第1電源
44 第2電源
45 切替スイッチ
117 第1転写電源
118 第2転写電源
119 切替スイッチ

Claims (20)

  1. 潜像担持体と、
    所定極性の帯電バイアスが印加される帯電部材を該潜像担持体表面に接触又は近接させて該潜像担持体表面を一様に帯電する帯電手段と、
    一様帯電された潜像担持体表面に潜像を形成する潜像形成手段と、
    前記帯電バイアスと同じ極性に帯電したトナーを該潜像に付着させて現像を行う現像手段と、
    該潜像担持体とこれに接触しつつ表面移動する表面移動部材との間に転写電界を形成して、該現像手段により該潜像担持体表面に形成されたトナー像を、該表面移動部材との間に挟持される記録材上又は該表面移動部材上に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
    前記転写手段による転写後に上記潜像担持体表面に残留した転写残トナーのうち、前記所定極性とは逆極性に帯電した逆帯電トナーを該潜像担持体表面から回収して保持するとともに、その保持した逆帯電トナーを所定のタイミングで潜像担持体表面に戻す一時保持手段と、
    前記帯電部材との対向位置を通過した逆帯電トナーを該潜像担持体表面から回収するための回収手段とを設け、
    かつ、前記画像形成装置に用いるトナーは、荷電制御剤及び/又は有機微粒子が表面に存在する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  2. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記一時保持手段によって該潜像担持体表面に戻された逆帯電トナーが前記帯電部材との対向位置に到達してから該対向位置を通過するまでの間、該帯電部材への帯電バイアスの印加を停止する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  3. 請求項1に記載の画像形成装置において、
    前記帯電手段は、一時保持手段から像担持体上に戻された逆帯電トナーが帯電領域を通過する間は、像担持体表面から離間する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  4. 請求項1ないし3のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記一時保持手段は、逆帯電トナーを回収・保持するブラシ状のブラシ部材とバイアス印加手段とを備え、
    該バイアス印加手段は、逆帯電トナーを回収・保持するためのバイアスと、保持する逆帯電トナーを像担持体に戻すためのバイアスとを、選択してブラシ部材に印加する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  5. 請求項1ないし4のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記現像手段は、一時保持手段から像担持体上に戻された逆帯電トナーが現像領域を通過する間は、現像領域に現像電界と同じ向きの電界を形成する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  6. 請求項1ないし5のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記転写手段は、一時保持手段から像担持体上に戻された逆帯電トナーが転写領域を通過する間は、画像形成時とは逆の転写バイアスを印加する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  7. 請求項1ないし6のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記画像形成装置は中間転写体を備え、
    前記転写手段は、像担持体上の逆帯電トナーを中間転写体に転写する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  8. 請求項7に記載の画像形成装置において、
    前記中間転写体は、中間転写体上のトナーをクリーニングするクリーニング手段を備える
    ことを特徴とする画像形成装置。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナーの表面に存在する有機微粒子は、ビニル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、エポキシ系樹脂、シリコーン系樹脂、ポリエステル系樹脂、フッ素系樹脂の中から選択される少なくとも1つである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  10. 請求項1ないし9のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナーの表面に存在する荷電制御剤は、サリチル酸金属錯体又は金属塩、有機硼素化合物、オキシナフトエ酸系金属錯体又は金属塩、含フッ素アンモニウム塩化合物の中から選択される少なくとも1つである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  11. 請求項1ないし10のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナーの表面に存在する荷電制御剤は、アンモニウム塩化合物、フェノール塩化合物の中から選択される少なくとも1つである
    ことを特徴とする画像形成装置。
  12. 請求項1ないし11のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記荷電制御剤は、トナー母体粒子表面に存在する重量(M)とトナー母体粒子全体に存在する重量(T)との比(M/T)が、100〜1000の範囲である
    ことを特徴とする画像形成装置。
  13. 請求項1ないし12のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナーは、体積平均粒径が3〜8μmの範囲であって、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)による分散度が、1.25以下である
    ことを特徴とする画像形成装置。
  14. 請求項1ないし13のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナーは、平均円形度が0.93以上である
    ことを特徴とする画像形成装置。
  15. 請求項1ないし14のいずれかに記載の画像形成装置において、
    前記トナーは、トナー表面とトナー内部で窒素原子の濃度に分布があり、トナー全体よりもトナー表面に窒素濃度が高く分布している
    ことを特徴とする画像形成装置。
  16. 請求項1ないし15のいずれかに記載の画像形成装置において、
    画像形成装置本体に対して着脱可能であって、少なくとも像担持体と前記一時保持手段とが一体になって構成されたプロセスカートリッジを有する
    ことを特徴とする画像形成装置。
  17. 感光体表面に形成された潜像を現像装置で可視像化するトナーにおいて、
    前記トナーは、請求項1ないし16のいずれかに記載の画像形成装置に用いるトナーであって、
    かつ、体積平均粒径が3〜8μmの範囲であって、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dn)との比(Dv/Dn)による分散度が、1.25以下である
    ことを特徴とするトナー。
  18. 請求項17に記載のトナーにおいて、
    前記トナーは、平均円形度が0.93以上である
    ことを特徴とするトナー。
  19. 請求項17または18に記載のトナーにおいて、
    前記トナーは、トナー表面とトナー内部で窒素原子の濃度に分布があり、トナー全体よりもトナー表面に窒素濃度が高く分布している
    ことを特徴とするトナー。
  20. 画像形成装置の本体に対して着脱可能なプロセスカートリッジにおいて、
    前記プロセスカートリッジは、請求項1ないし15のいずれかに記載の画像形成装置の構成のうち、少なくとも像担持体と、逆帯電トナーを像担持体上から回収・保持し、その後像担持体上に戻す一時保持手段とを一体に構成する
    ことを特徴とするプロセスカートリッジ。
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