JP2004176766A - 燃料系チューブの帯電防止構造 - Google Patents
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Abstract
【課題】燃料系チューブの帯電防止構造の部品点数を少なくすることもに、チューブをワンタッチで簡易に車体側に取り付けると同時にアースできるようにする。
【解決手段】樹脂被覆チューブ10の樹脂被膜13の一部が剥離した部分を覆うように、導電性熱収縮チューブ16を樹脂被覆チューブ10に密着させ、導電性材料からなる着脱式のクランプ部材17で導電性熱収縮チューブ16の部分を保持して、樹脂被覆チューブ10からなる燃料系配管を車体に固定する。
【選択図】 図1
【解決手段】樹脂被覆チューブ10の樹脂被膜13の一部が剥離した部分を覆うように、導電性熱収縮チューブ16を樹脂被覆チューブ10に密着させ、導電性材料からなる着脱式のクランプ部材17で導電性熱収縮チューブ16の部分を保持して、樹脂被覆チューブ10からなる燃料系配管を車体に固定する。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料系チューブの帯電防止構造に係り、特に、自動車の燃料系配管を車体に固定する構造から静電気を車体側に逃がすようにした燃料系チューブの帯電防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の燃料配管やブレーキ用の油空圧配管に用いられる金属チューブは、高い耐久性が要求されるので、錆の発生を防止し、また、塩害やバッテリー液、洗浄液等に対して腐食しないようにする必要性が非常に高い。耐食性や耐薬品性を強化するための、最も基本的な手段は、素管の外周面に亜鉛メッキを施し、その上を樹脂被膜で被覆することである。
【0003】
この種の樹脂被覆金属チューブの用途が、自動車の燃料タンクとエンジンをつなぐ燃料系の集合配管である場合、この集合配管は車体の下側を引き回してエンジンまで延びるのが一般的であり、走行中に跳ねた小石などが当たって樹脂被膜を毀損しないように耐チッピング性を高めるためる必要がある。また、複雑な経路をたどる配管同士、車体あるいは他部品と擦れ合って樹脂被膜が毀損しないようにするため、比較的厚い樹脂層で保護する必要がある。この最上層の比較的厚い樹脂層には、押出成形によりチューブ全面に被覆するものや、あるいは、熱収縮性の樹脂からなるチューブを挿入し、加熱して収縮せしめてチューブ全面に密着させたものなどがある。
【0004】
ところで、自動車の燃料系配管では、燃料タンクの燃料をポンプで吐出するとき、また、燃料チューブの流路抵抗による摩擦によって静電気が発生し、燃料チューブが帯電するという現象がある。
【0005】
帯電した状態を放置すると、スパークが発生し燃料チューブの被膜が損傷し、その耐食性、耐摩耗性が劣化するという不都合が生じる。そのため、従来から燃料系配管の途中で車体側にアースして静電気を逃がす帯電防止構造が設けられている。
【0006】
そこで、図8に、従来の帯電防止構造を示す。この帯電防止構造は、複数本の燃料チューブ類を結束して車体に固定するとともに、静電気を逃がすために車体に対してアースをしている。
【0007】
チューブ1では表層の樹脂被膜の一部を剥離して金属面又はめっき面を露出させ、その表面を密着して覆うように導電性のゴムからなる円筒ゴム3が被せられている。さらに円筒ゴム3を保護するために、同じく導電性のラバー4を円筒ゴム3に重ねて巻き付け、ラバー4を鉄枠5で囲い、この鉄枠5を金属製のブラケット6を用いて車体に固定している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の帯電防止構造では、円筒ゴム3、ラバー4をチューブ1に被せた上で、さらに鉄枠5、ブラケット6などの取付金具を用いて車体に固定するというように、必要部品数が多く、組み立てて車体に取り付ける作業が煩雑な作業となる欠点があった。
【0009】
また、円筒ゴム3の内側に水が次第に滲入するようになって、樹脂被膜2が剥離されている金属露出面が錆びることもあり、耐久性に問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、部品点数を少なくすることもに、チューブをワンタッチで簡易に車体側に取り付けると同時にアースできるようにした燃料系チューブの帯電防止構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブからなり自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、前記樹脂被覆チューブの樹脂被膜の一部が剥離した部分を覆うように、導電性熱収縮チューブを当該樹脂被覆チューブに密着させ、導電性材料からなる着脱式のクランプ部材で前記導電性熱収縮チューブの部分を保持して、前記樹脂被覆チューブからなる配管を車体に固定したことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブの端末部に樹脂製のクイックコネクタを介して樹脂チューブを接続し、自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、前記クイックコネクタの本体部を導電性樹脂から形成し、樹脂被覆チューブの端末部に前記樹脂被膜を剥離し素管と導通した導電部を露出させた部分を設け、導電性ゴムを材料とするOリングにより、前記クイックコネクタの内径部と前記端末部の間の隙間をシールし、前記クイックコネクタを導電性材料からなるクランプ部材で車体に固定したことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、請求項5に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブの端末部に少なくとも2つのスプール部を形成し、樹脂チューブを前記端末部に圧入接続してなり、自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、導電性樹脂を材料とするパイロットキャップを前記樹脂被覆チューブの端末部の先端に装着し、導電性樹脂からなる樹脂チューブを前記樹脂被覆チューブに圧入するとともに、前記樹脂チューブを導電性材料からなるクランプ部材で車体に固定したことを特徴とするものである。
【0014】
さらにまた、請求項6に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブからなり自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、前記樹脂被覆チューブの樹脂被膜を突き破り素管と導通した導電部と接点をもつ突起部を有する導電材料からなる導電体と、前記導電体を車体に固定する、導電性材料からなるクランプ部材と、からなることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による燃料系チューブの帯電防止構造の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による燃料系チューブの帯電防止構造を示す。この図1において、参照符号10は、それぞれ4本の樹脂被覆チューブを示し、これらは燃料タンクからエンジンまで並列に延びる燃料系集合配管を構成するチューブであり、クランプ12を用いてひとまとめにして車体に固定するようになっている。図2は、樹脂被覆チューブ10の縦断面を示す。図1の各樹脂被覆チューブ10は、外径が異なるだけで同じ構造のチューブである。
【0016】
図2に示すように、樹脂被覆チューブ10は、鉄を材料とする素管11の外周表面をメッキ被膜で覆い、さらにポリアミドなどの樹脂被膜13で被覆したチューブで、樹脂被膜自体は非電導性の絶縁体である。この樹脂被膜13は、図2では一層として表しているが、多層であってもよい。
【0017】
素管11には、周方向に一回りする凸部14が所定の位置に加工されており、樹脂被膜13は、凸部14のある素管11の表面全体を被覆する。この凸部14が露出するように、凸部14の幅に亘って樹脂被膜13が剥離されている。そして、熱収縮チューブ16は、樹脂被膜13から露出した凸部14をカバーする所定の範囲を被覆する薄肉筒状のチューブである。この熱収縮チューブ16は、ポリ塩化ビニルや、ポリエチレンなどにカーボンファイバー等の導電材料を混合した樹脂を原料にして押出成形により成形される。カーボンファイバー等を混合したのは、樹脂に導電性を付与するためである。
【0018】
成形当初の熱収縮チューブ16の内径は、樹脂被覆チューブ10の外径よりも若干大きくなっていて、その未収縮の熱収縮チューブ16を凸部14を覆うようにして樹脂被覆チューブ10に被せてから、熱風などをあてて熱収縮チューブ16を加熱して収縮させることで、樹脂被覆チューブ10の表面に隙間なく密着させることができる。
【0019】
次に、クランプ12について説明する。このクランプ12は、樹脂を材料とするモールド製品であり、特に、樹脂材料にカーボンファイバー等の導電材料を混合することでクランプ12の本体部17は電導性をもつようになっている。クランプ12の本体部17には、それぞれ樹脂被覆チューブ10が嵌合する嵌合溝18が所定の間隔をおいて並列に配置されている。それぞれの嵌合溝18に張り出すように、爪20が形成されている。これらの爪20は、樹脂被覆チューブ10を押し込むときには変形しながら通過を許容するが、樹脂被覆チューブ10がいったん嵌合溝18の底に着座してしまうと爪20はいずれも突っ張った状態になって樹脂被覆チューブ10が抜けないように拘束する。なお、爪20には、樹脂収縮チューブ10の凸部14のふくらみを受ける凹部21が形成されている。クランプ12の本体部17の底面には、車体側に取り付けられるボルト用の挿入口が開口するようになっており、この挿入口から車体に取り付けられたボルトを螺合させることで、クランプ12の本体部17を車体に直接固定することができる。
【0020】
以上のように構成される第1実施形態によれば、図1に示すように、樹脂被覆チューブ10をクランプ12に固定するには、熱収縮チューブ16を被せた部分を持って嵌合溝18に押し込めば、ワンタッチでクランプ12に対して固定することができる。
【0021】
各樹脂被覆チューブ10は、クランプ12を用いて車体に固定された状態においては、素管の凸部14と接触している熱収縮チューブ16とクランプ12の本体部17とが導電性の樹脂を材質としているので、車体と電気的に導通したアースを構成し、樹脂被覆チューブ10に生じた静電気を車体に逃がすことができる。
【0022】
しかも、熱収縮チューブ16は、熱収縮により凸部14の前後に亘ってぴったりと隙間の生じないように密着するので、水の侵入を防止し、耐久性を確保することができる。また、凸部14のふくらみをクランプ12の爪20に形成した凹部21に係合させるようにすれば、樹脂被覆チューブ10を固定した後で位置ずれをなくすことができる。
【0023】
第2実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料系チューブの帯電防止構造について、図3を参照しながら説明する。
この第2実施形態による燃料系チューブの帯電防止構造は、樹脂被覆チューブ30と、樹脂チューブ32をクイックコネクタ34を用いて接続した燃料系チューブに適用される。
【0024】
クイックコネクタ34の本体部は、円筒状のハウジング31と圧入取付部33とが一体構造になった樹脂製のコネクタである。このクイックコネクタ34は、樹脂チューブ32に圧入取付部33を圧入することで取り付けることができる。
【0025】
ハウジング31の内部には、圧入取付部33に向かって段階的に内径が小さくなる段付きの通路35が貫通形成されている。この通路35には、二つのOリング36a、36bが間にスペーサを介在させて装着されている。
【0026】
一方、樹脂被覆チューブ30には、その先端から所定の距離だけ離れた位置に、外周部を周回するスプール部37が形成されている。このスプール部37には、リテーナー38の備える以下に説明する爪部が係合し、この爪部が雄継手部材である樹脂被服チューブ30を抜けないように拘束する。
【0027】
このリテーナー38には、爪部39a、39bが軸方向に延びるように形成されている。この爪部39a、39bの先端部は、樹脂被服チューブ30のスプール部37に係合する。また、爪部39a、39bの外側面には、ハウジング31の窓部の縁部のうち開口側に近い方の縁部41a、41bに係合するロック爪が形成されている。
【0028】
したがって、リテーナー38をクイックコネクタ34のハウジング31に装着しておいてから、樹脂被覆チューブ30をハウジング31に押し込むと、リテーナー38の爪部39a、39bの先端部がスプール部37に係合した状態で、爪部39a、39bのロック爪が窓部の縁部41a、41bに係合してロックされる。このロック状態では、樹脂被覆チューブ30を抜管させる軸方向の力が作用しても、リテーナー16のロック爪39a、39bは樹脂被覆チューブ30の軸方向の移動を阻止し、抜けないようにクイックコネクタ34に結合する。
【0029】
本実施の形態では、クイックコネクタ34の本体部は、カーボンファイバー等の導電材料を混合して導電性を付加した樹脂を材料としている。さらに、樹脂被覆チューブ30の先端部において図3に示す範囲で樹脂皮膜を剥離して素管と電気的に導通する導電部が露出するようにするとともに、Oリング36a、36bのうち、樹脂被覆チューブ30の導電部と接触するOリング36aとして、導電性ゴムを材質とするOリングを用いている。したがって、樹脂被覆チューブ30は、電気的に絶縁されずに、その樹脂皮膜を剥離した導電部から、Oリング36a、クイックコネクタ34と電気的に導通するので、例えば、第1実施形態で説明したクランプ12でクイックコネクタ34を車体に対して固定すれば、樹脂被覆チューブ30に発生した静電気をOリング36a、クイックコネクタ34を通ってクランプ12から車体に逃がすことができる。
【0030】
しかも、本実施形態のように、クイックコネクタ34それ自体を導電性としているので、特にアースするための必要な部品を必要とすることなく、通常の接続作業と同時にアースをすることができる。
【0031】
以上の実施形態では、導電性のOリング36aを用いる例について説明したが、樹脂皮膜を剥離した樹脂被覆チューブ30の先端部や、もともとその先端部に樹脂被膜が被っていない金属管の端面に導電性樹脂を材料とするリングを装着し、このリングをクイックコネクタ34の内周面に接触させるようにしてもよい。
【0032】
第3実施形態
次に、図4は、本発明の第3の実施形態に係る燃料系チューブの帯電防止構造を示す。
この第3実施形態は、本発明の帯電防止構造を本出願人が特開平8−75069号において提案した燃料系チューブの接続構造に適用した実施の形態である。
【0033】
この第3実施形態の樹脂被覆チューブ50の端末接続部には、先端に近い位置に第1のスプール部51が形成されているとともに、この第1スプール部51から所定距離だけ離れた位置に第2のスプール部52が形成されている。また、樹脂被覆チューブ50の先端部、この場合第1スプール部51から先の部分では、樹脂皮膜は剥離されて導電部が露出するようになっており、この先端部に、パイロットキャップ54が装着されている。
【0034】
このパイロットキャップ54は、相手方の樹脂チューブ56の圧入を案内する部材である。パイロットキャップ54を案内にして樹脂チューブ56を樹脂被覆チューブ50に圧入すると、樹脂チューブ56が第1スプール部51、第2スプール部52に引っ掛かり抜けないように接続することができる。
【0035】
本実施の形態では、パイロットキャップ54と、樹脂チューブ56についてカーボンファイバー等の導電材料を混合して導電性を付加した樹脂を材料とするものを用いている。したがって、樹脂被覆チューブ50は、電気的に絶縁されずに、その先端部の樹脂皮膜を剥離した導電部から、パイロットキャップ54、導電性の樹脂チューブ56に至る経路が電気的に導通するので、例えば、第1実施形態で説明したクランプ12で樹脂チューブ56を車体に対して固定すれば、樹脂被覆チューブ50に発生した静電気をパイロットキャップ54、樹脂チューブ56を通してクランプ12から車体に逃がすことができる。
【0036】
しかも、本実施形態のように、樹脂チューブ56を圧入するだけで管継手を用いずに簡易に接続でき、特にアースするための必要な部品を必要とすることなく、通常の接続作業と同時にアースをすることができる。
【0037】
第4実施形態
図5乃至図7は、本発明の第4の実施形態に係る燃料系チューブの帯電防止構造を示す。
この第4実施形態は、突起部を設けた導電体を利用した帯電防止構造を樹脂被覆チューブ60に設けるようにした実施の形態である。
【0038】
図5(a)において、61a、61bは導電性を付加した樹脂を材料とするステーを示している。このステー61a、61bは、矩形のステーを二つ割りにして樹脂被覆チューブ60を挟むようにして溶着するようにしたものである。一方のステー61aの内側面には、先の尖った突起部62が形成されている。
【0039】
図5(b)に示すように、ステー61a、61bは、超音波溶着法により樹脂被覆チューブ60を覆う樹脂皮膜にステー61a、61bの内側面を溶着せしめることにより一体構造となる。したがって、ステー61a、61bの樹脂材料としては、樹脂被膜の材料の樹脂よりも高融点の樹脂が用いられる。
このようなステー61a、61bを溶着すると、突起部62は樹脂被膜13を突き通り樹脂被覆チューブ60の素管11と電気的に導通する導電部に接触することになる。したがって、樹脂被覆チューブ60は、突起部62を介して導電体であるステー61a、61bと電気的に導通するので、ステー61a、61bを金属製のブラケットなどのクランプ部材を用いて車体に固定すれば、固定と同時にアースをして樹脂被膜チューブ60に生じた静電気を逃がすことができる。
【0040】
次に、図6は、導電体の他の構成例を示す。この構成例では、導電体は、導電性を付加した樹脂を材料とするステー64と、薄い金属版からなるクリップ65から構成されている。クリップ65には突起部66が形成されている。、
ステー64を射出成形により成形するときに、クリップ65を樹脂被覆チューブ60に巻き付けておいて型に入れ、樹脂を射出してクリップ65と一体モールド成形品する。このとき、突起部66は樹脂被覆チューブ60の表面に樹脂被膜13を突き通して樹脂被覆チューブ60の素管11と電気的に導通する導電部に接触することになるので、ステー64を金属製のブラケットなどのクランプ部材を用いて車体に固定すれば、固定と同時にアースをして樹脂被膜チューブ60に生じた静電気を逃がすことができる。
【0041】
図7は、導電体のさらに別の構成例を示す。クリップ65は、樹脂被覆チューブ60の樹脂被膜を剥離した部分に巻き付けられ、このクリップ65を覆うように導電性を付加した樹脂を材料にして、型を用いて樹脂円筒部67を被せる射出成形を行う。この樹脂円筒部67の外径は、樹脂被覆チューブの外径と同じであることが好ましい。
【0042】
図6の導電体の構成例と同様にして、突起部66は樹脂被覆チューブ60の表面から樹脂被膜を突き通して樹脂被覆チューブ60の素管と電気的に導通する導電部に接触することになるので、第1実施形態で示したクランプ12を用いて車体に固定すれば、固定と同時にアースを施すことができる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、部品点数を少なくすることもに、チューブをワンタッチで簡易に車体側に取り付けると同時にアースできるようにした燃料系チューブの帯電防止機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構を示す斜視図。
【図2】図1の帯電防止機構の縦断面図。
【図3】本発明の第2実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構を示す縦断面図。
【図4】本発明の第3実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構を示す縦断面図。
【図5】本発明の第4実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構の説明図。
【図6】本発明の第4実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構の他の構成例を示す横断面図。
【図7】本発明の第4実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構のさらに他の構成例を示す一部破断斜視図。
【図8】従来の燃料系チューブの帯電防止構造を示す斜視図。
【符号の説明】
10 樹脂被覆チューブ
11 素管
12 クランプ
13 樹脂被膜
14 凸部
16 熱収縮チューブ
17 クランプの本体部
20 爪
30 樹脂被覆チューブ
32 クイックコネクタ
36a 導電性のOリング
37 スプール部
38 リテーナー
50 樹脂被覆チューブ
54 電導性のパイロットキャップ
【発明の属する技術分野】
本発明は、燃料系チューブの帯電防止構造に係り、特に、自動車の燃料系配管を車体に固定する構造から静電気を車体側に逃がすようにした燃料系チューブの帯電防止構造に関する。
【0002】
【従来の技術】
自動車の燃料配管やブレーキ用の油空圧配管に用いられる金属チューブは、高い耐久性が要求されるので、錆の発生を防止し、また、塩害やバッテリー液、洗浄液等に対して腐食しないようにする必要性が非常に高い。耐食性や耐薬品性を強化するための、最も基本的な手段は、素管の外周面に亜鉛メッキを施し、その上を樹脂被膜で被覆することである。
【0003】
この種の樹脂被覆金属チューブの用途が、自動車の燃料タンクとエンジンをつなぐ燃料系の集合配管である場合、この集合配管は車体の下側を引き回してエンジンまで延びるのが一般的であり、走行中に跳ねた小石などが当たって樹脂被膜を毀損しないように耐チッピング性を高めるためる必要がある。また、複雑な経路をたどる配管同士、車体あるいは他部品と擦れ合って樹脂被膜が毀損しないようにするため、比較的厚い樹脂層で保護する必要がある。この最上層の比較的厚い樹脂層には、押出成形によりチューブ全面に被覆するものや、あるいは、熱収縮性の樹脂からなるチューブを挿入し、加熱して収縮せしめてチューブ全面に密着させたものなどがある。
【0004】
ところで、自動車の燃料系配管では、燃料タンクの燃料をポンプで吐出するとき、また、燃料チューブの流路抵抗による摩擦によって静電気が発生し、燃料チューブが帯電するという現象がある。
【0005】
帯電した状態を放置すると、スパークが発生し燃料チューブの被膜が損傷し、その耐食性、耐摩耗性が劣化するという不都合が生じる。そのため、従来から燃料系配管の途中で車体側にアースして静電気を逃がす帯電防止構造が設けられている。
【0006】
そこで、図8に、従来の帯電防止構造を示す。この帯電防止構造は、複数本の燃料チューブ類を結束して車体に固定するとともに、静電気を逃がすために車体に対してアースをしている。
【0007】
チューブ1では表層の樹脂被膜の一部を剥離して金属面又はめっき面を露出させ、その表面を密着して覆うように導電性のゴムからなる円筒ゴム3が被せられている。さらに円筒ゴム3を保護するために、同じく導電性のラバー4を円筒ゴム3に重ねて巻き付け、ラバー4を鉄枠5で囲い、この鉄枠5を金属製のブラケット6を用いて車体に固定している。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
従来の帯電防止構造では、円筒ゴム3、ラバー4をチューブ1に被せた上で、さらに鉄枠5、ブラケット6などの取付金具を用いて車体に固定するというように、必要部品数が多く、組み立てて車体に取り付ける作業が煩雑な作業となる欠点があった。
【0009】
また、円筒ゴム3の内側に水が次第に滲入するようになって、樹脂被膜2が剥離されている金属露出面が錆びることもあり、耐久性に問題があった。
【0010】
そこで、本発明の目的は、前記従来技術の有する問題点を解消し、部品点数を少なくすることもに、チューブをワンタッチで簡易に車体側に取り付けると同時にアースできるようにした燃料系チューブの帯電防止構造を提供することにある。
【0011】
【課題を解決するための手段】
前記の目的を達成するために、請求項1に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブからなり自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、前記樹脂被覆チューブの樹脂被膜の一部が剥離した部分を覆うように、導電性熱収縮チューブを当該樹脂被覆チューブに密着させ、導電性材料からなる着脱式のクランプ部材で前記導電性熱収縮チューブの部分を保持して、前記樹脂被覆チューブからなる配管を車体に固定したことを特徴とするものである。
【0012】
また、請求項4に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブの端末部に樹脂製のクイックコネクタを介して樹脂チューブを接続し、自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、前記クイックコネクタの本体部を導電性樹脂から形成し、樹脂被覆チューブの端末部に前記樹脂被膜を剥離し素管と導通した導電部を露出させた部分を設け、導電性ゴムを材料とするOリングにより、前記クイックコネクタの内径部と前記端末部の間の隙間をシールし、前記クイックコネクタを導電性材料からなるクランプ部材で車体に固定したことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、請求項5に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブの端末部に少なくとも2つのスプール部を形成し、樹脂チューブを前記端末部に圧入接続してなり、自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、導電性樹脂を材料とするパイロットキャップを前記樹脂被覆チューブの端末部の先端に装着し、導電性樹脂からなる樹脂チューブを前記樹脂被覆チューブに圧入するとともに、前記樹脂チューブを導電性材料からなるクランプ部材で車体に固定したことを特徴とするものである。
【0014】
さらにまた、請求項6に係る発明は、金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブからなり自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、前記樹脂被覆チューブの樹脂被膜を突き破り素管と導通した導電部と接点をもつ突起部を有する導電材料からなる導電体と、前記導電体を車体に固定する、導電性材料からなるクランプ部材と、からなることを特徴とするものである。
【0015】
【発明の実施の形態】
以下、本発明による燃料系チューブの帯電防止構造の実施形態について、添付の図面を参照しながら説明する。
第1実施形態
図1は、本発明の第1の実施形態による燃料系チューブの帯電防止構造を示す。この図1において、参照符号10は、それぞれ4本の樹脂被覆チューブを示し、これらは燃料タンクからエンジンまで並列に延びる燃料系集合配管を構成するチューブであり、クランプ12を用いてひとまとめにして車体に固定するようになっている。図2は、樹脂被覆チューブ10の縦断面を示す。図1の各樹脂被覆チューブ10は、外径が異なるだけで同じ構造のチューブである。
【0016】
図2に示すように、樹脂被覆チューブ10は、鉄を材料とする素管11の外周表面をメッキ被膜で覆い、さらにポリアミドなどの樹脂被膜13で被覆したチューブで、樹脂被膜自体は非電導性の絶縁体である。この樹脂被膜13は、図2では一層として表しているが、多層であってもよい。
【0017】
素管11には、周方向に一回りする凸部14が所定の位置に加工されており、樹脂被膜13は、凸部14のある素管11の表面全体を被覆する。この凸部14が露出するように、凸部14の幅に亘って樹脂被膜13が剥離されている。そして、熱収縮チューブ16は、樹脂被膜13から露出した凸部14をカバーする所定の範囲を被覆する薄肉筒状のチューブである。この熱収縮チューブ16は、ポリ塩化ビニルや、ポリエチレンなどにカーボンファイバー等の導電材料を混合した樹脂を原料にして押出成形により成形される。カーボンファイバー等を混合したのは、樹脂に導電性を付与するためである。
【0018】
成形当初の熱収縮チューブ16の内径は、樹脂被覆チューブ10の外径よりも若干大きくなっていて、その未収縮の熱収縮チューブ16を凸部14を覆うようにして樹脂被覆チューブ10に被せてから、熱風などをあてて熱収縮チューブ16を加熱して収縮させることで、樹脂被覆チューブ10の表面に隙間なく密着させることができる。
【0019】
次に、クランプ12について説明する。このクランプ12は、樹脂を材料とするモールド製品であり、特に、樹脂材料にカーボンファイバー等の導電材料を混合することでクランプ12の本体部17は電導性をもつようになっている。クランプ12の本体部17には、それぞれ樹脂被覆チューブ10が嵌合する嵌合溝18が所定の間隔をおいて並列に配置されている。それぞれの嵌合溝18に張り出すように、爪20が形成されている。これらの爪20は、樹脂被覆チューブ10を押し込むときには変形しながら通過を許容するが、樹脂被覆チューブ10がいったん嵌合溝18の底に着座してしまうと爪20はいずれも突っ張った状態になって樹脂被覆チューブ10が抜けないように拘束する。なお、爪20には、樹脂収縮チューブ10の凸部14のふくらみを受ける凹部21が形成されている。クランプ12の本体部17の底面には、車体側に取り付けられるボルト用の挿入口が開口するようになっており、この挿入口から車体に取り付けられたボルトを螺合させることで、クランプ12の本体部17を車体に直接固定することができる。
【0020】
以上のように構成される第1実施形態によれば、図1に示すように、樹脂被覆チューブ10をクランプ12に固定するには、熱収縮チューブ16を被せた部分を持って嵌合溝18に押し込めば、ワンタッチでクランプ12に対して固定することができる。
【0021】
各樹脂被覆チューブ10は、クランプ12を用いて車体に固定された状態においては、素管の凸部14と接触している熱収縮チューブ16とクランプ12の本体部17とが導電性の樹脂を材質としているので、車体と電気的に導通したアースを構成し、樹脂被覆チューブ10に生じた静電気を車体に逃がすことができる。
【0022】
しかも、熱収縮チューブ16は、熱収縮により凸部14の前後に亘ってぴったりと隙間の生じないように密着するので、水の侵入を防止し、耐久性を確保することができる。また、凸部14のふくらみをクランプ12の爪20に形成した凹部21に係合させるようにすれば、樹脂被覆チューブ10を固定した後で位置ずれをなくすことができる。
【0023】
第2実施形態
次に、本発明の第2の実施形態に係る燃料系チューブの帯電防止構造について、図3を参照しながら説明する。
この第2実施形態による燃料系チューブの帯電防止構造は、樹脂被覆チューブ30と、樹脂チューブ32をクイックコネクタ34を用いて接続した燃料系チューブに適用される。
【0024】
クイックコネクタ34の本体部は、円筒状のハウジング31と圧入取付部33とが一体構造になった樹脂製のコネクタである。このクイックコネクタ34は、樹脂チューブ32に圧入取付部33を圧入することで取り付けることができる。
【0025】
ハウジング31の内部には、圧入取付部33に向かって段階的に内径が小さくなる段付きの通路35が貫通形成されている。この通路35には、二つのOリング36a、36bが間にスペーサを介在させて装着されている。
【0026】
一方、樹脂被覆チューブ30には、その先端から所定の距離だけ離れた位置に、外周部を周回するスプール部37が形成されている。このスプール部37には、リテーナー38の備える以下に説明する爪部が係合し、この爪部が雄継手部材である樹脂被服チューブ30を抜けないように拘束する。
【0027】
このリテーナー38には、爪部39a、39bが軸方向に延びるように形成されている。この爪部39a、39bの先端部は、樹脂被服チューブ30のスプール部37に係合する。また、爪部39a、39bの外側面には、ハウジング31の窓部の縁部のうち開口側に近い方の縁部41a、41bに係合するロック爪が形成されている。
【0028】
したがって、リテーナー38をクイックコネクタ34のハウジング31に装着しておいてから、樹脂被覆チューブ30をハウジング31に押し込むと、リテーナー38の爪部39a、39bの先端部がスプール部37に係合した状態で、爪部39a、39bのロック爪が窓部の縁部41a、41bに係合してロックされる。このロック状態では、樹脂被覆チューブ30を抜管させる軸方向の力が作用しても、リテーナー16のロック爪39a、39bは樹脂被覆チューブ30の軸方向の移動を阻止し、抜けないようにクイックコネクタ34に結合する。
【0029】
本実施の形態では、クイックコネクタ34の本体部は、カーボンファイバー等の導電材料を混合して導電性を付加した樹脂を材料としている。さらに、樹脂被覆チューブ30の先端部において図3に示す範囲で樹脂皮膜を剥離して素管と電気的に導通する導電部が露出するようにするとともに、Oリング36a、36bのうち、樹脂被覆チューブ30の導電部と接触するOリング36aとして、導電性ゴムを材質とするOリングを用いている。したがって、樹脂被覆チューブ30は、電気的に絶縁されずに、その樹脂皮膜を剥離した導電部から、Oリング36a、クイックコネクタ34と電気的に導通するので、例えば、第1実施形態で説明したクランプ12でクイックコネクタ34を車体に対して固定すれば、樹脂被覆チューブ30に発生した静電気をOリング36a、クイックコネクタ34を通ってクランプ12から車体に逃がすことができる。
【0030】
しかも、本実施形態のように、クイックコネクタ34それ自体を導電性としているので、特にアースするための必要な部品を必要とすることなく、通常の接続作業と同時にアースをすることができる。
【0031】
以上の実施形態では、導電性のOリング36aを用いる例について説明したが、樹脂皮膜を剥離した樹脂被覆チューブ30の先端部や、もともとその先端部に樹脂被膜が被っていない金属管の端面に導電性樹脂を材料とするリングを装着し、このリングをクイックコネクタ34の内周面に接触させるようにしてもよい。
【0032】
第3実施形態
次に、図4は、本発明の第3の実施形態に係る燃料系チューブの帯電防止構造を示す。
この第3実施形態は、本発明の帯電防止構造を本出願人が特開平8−75069号において提案した燃料系チューブの接続構造に適用した実施の形態である。
【0033】
この第3実施形態の樹脂被覆チューブ50の端末接続部には、先端に近い位置に第1のスプール部51が形成されているとともに、この第1スプール部51から所定距離だけ離れた位置に第2のスプール部52が形成されている。また、樹脂被覆チューブ50の先端部、この場合第1スプール部51から先の部分では、樹脂皮膜は剥離されて導電部が露出するようになっており、この先端部に、パイロットキャップ54が装着されている。
【0034】
このパイロットキャップ54は、相手方の樹脂チューブ56の圧入を案内する部材である。パイロットキャップ54を案内にして樹脂チューブ56を樹脂被覆チューブ50に圧入すると、樹脂チューブ56が第1スプール部51、第2スプール部52に引っ掛かり抜けないように接続することができる。
【0035】
本実施の形態では、パイロットキャップ54と、樹脂チューブ56についてカーボンファイバー等の導電材料を混合して導電性を付加した樹脂を材料とするものを用いている。したがって、樹脂被覆チューブ50は、電気的に絶縁されずに、その先端部の樹脂皮膜を剥離した導電部から、パイロットキャップ54、導電性の樹脂チューブ56に至る経路が電気的に導通するので、例えば、第1実施形態で説明したクランプ12で樹脂チューブ56を車体に対して固定すれば、樹脂被覆チューブ50に発生した静電気をパイロットキャップ54、樹脂チューブ56を通してクランプ12から車体に逃がすことができる。
【0036】
しかも、本実施形態のように、樹脂チューブ56を圧入するだけで管継手を用いずに簡易に接続でき、特にアースするための必要な部品を必要とすることなく、通常の接続作業と同時にアースをすることができる。
【0037】
第4実施形態
図5乃至図7は、本発明の第4の実施形態に係る燃料系チューブの帯電防止構造を示す。
この第4実施形態は、突起部を設けた導電体を利用した帯電防止構造を樹脂被覆チューブ60に設けるようにした実施の形態である。
【0038】
図5(a)において、61a、61bは導電性を付加した樹脂を材料とするステーを示している。このステー61a、61bは、矩形のステーを二つ割りにして樹脂被覆チューブ60を挟むようにして溶着するようにしたものである。一方のステー61aの内側面には、先の尖った突起部62が形成されている。
【0039】
図5(b)に示すように、ステー61a、61bは、超音波溶着法により樹脂被覆チューブ60を覆う樹脂皮膜にステー61a、61bの内側面を溶着せしめることにより一体構造となる。したがって、ステー61a、61bの樹脂材料としては、樹脂被膜の材料の樹脂よりも高融点の樹脂が用いられる。
このようなステー61a、61bを溶着すると、突起部62は樹脂被膜13を突き通り樹脂被覆チューブ60の素管11と電気的に導通する導電部に接触することになる。したがって、樹脂被覆チューブ60は、突起部62を介して導電体であるステー61a、61bと電気的に導通するので、ステー61a、61bを金属製のブラケットなどのクランプ部材を用いて車体に固定すれば、固定と同時にアースをして樹脂被膜チューブ60に生じた静電気を逃がすことができる。
【0040】
次に、図6は、導電体の他の構成例を示す。この構成例では、導電体は、導電性を付加した樹脂を材料とするステー64と、薄い金属版からなるクリップ65から構成されている。クリップ65には突起部66が形成されている。、
ステー64を射出成形により成形するときに、クリップ65を樹脂被覆チューブ60に巻き付けておいて型に入れ、樹脂を射出してクリップ65と一体モールド成形品する。このとき、突起部66は樹脂被覆チューブ60の表面に樹脂被膜13を突き通して樹脂被覆チューブ60の素管11と電気的に導通する導電部に接触することになるので、ステー64を金属製のブラケットなどのクランプ部材を用いて車体に固定すれば、固定と同時にアースをして樹脂被膜チューブ60に生じた静電気を逃がすことができる。
【0041】
図7は、導電体のさらに別の構成例を示す。クリップ65は、樹脂被覆チューブ60の樹脂被膜を剥離した部分に巻き付けられ、このクリップ65を覆うように導電性を付加した樹脂を材料にして、型を用いて樹脂円筒部67を被せる射出成形を行う。この樹脂円筒部67の外径は、樹脂被覆チューブの外径と同じであることが好ましい。
【0042】
図6の導電体の構成例と同様にして、突起部66は樹脂被覆チューブ60の表面から樹脂被膜を突き通して樹脂被覆チューブ60の素管と電気的に導通する導電部に接触することになるので、第1実施形態で示したクランプ12を用いて車体に固定すれば、固定と同時にアースを施すことができる。
【0043】
【発明の効果】
以上の説明から明らかなように、本発明によれば、部品点数を少なくすることもに、チューブをワンタッチで簡易に車体側に取り付けると同時にアースできるようにした燃料系チューブの帯電防止機構を構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構を示す斜視図。
【図2】図1の帯電防止機構の縦断面図。
【図3】本発明の第2実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構を示す縦断面図。
【図4】本発明の第3実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構を示す縦断面図。
【図5】本発明の第4実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構の説明図。
【図6】本発明の第4実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構の他の構成例を示す横断面図。
【図7】本発明の第4実施形態による燃料系チューブの帯電防止機構のさらに他の構成例を示す一部破断斜視図。
【図8】従来の燃料系チューブの帯電防止構造を示す斜視図。
【符号の説明】
10 樹脂被覆チューブ
11 素管
12 クランプ
13 樹脂被膜
14 凸部
16 熱収縮チューブ
17 クランプの本体部
20 爪
30 樹脂被覆チューブ
32 クイックコネクタ
36a 導電性のOリング
37 スプール部
38 リテーナー
50 樹脂被覆チューブ
54 電導性のパイロットキャップ
Claims (8)
- 金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブからなり自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、
前記樹脂被覆チューブの樹脂被膜の一部が剥離した部分を覆うように、導電性熱収縮チューブを当該樹脂被覆チューブに密着させ、導電性材料からなる着脱式のクランプ部材で前記導電性熱収縮チューブの部分を保持して、前記樹脂被覆チューブからなる配管を車体に固定したことを特徴とする燃料系チューブの帯電防止構造。 - 前記樹脂被覆チューブには、樹脂被膜の剥離した部分に凸部を形成し、前記クランプ部材には前記凸部を受ける凹部を設けたことを特徴とする請求項1に記載の燃料系チューブの帯電防止構造。
- 前記クランプ部材は、その底面に車体側のボルトに螺合するスタッドボルト挿入口を有するスタッド形のクランプ部材であることを特徴とする請求項1または2に記載の燃料系チューブの帯電防止構造。
- 金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブの端末部に樹脂製のクイックコネクタを介して樹脂チューブを接続し、自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、
前記クイックコネクタの本体部を導電性樹脂から形成し、樹脂被覆チューブの端末部に前記樹脂被膜を剥離し素管と導通した導電部を露出させた部分を設け、導電性ゴムを材料とするOリングにより、前記クイックコネクタの内径部と前記端末部の間の隙間をシールし、前記クイックコネクタを導電性材料からなるクランプ部材で車体に固定したことを特徴とする燃料系チューブの帯電防止構造。 - 金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブの端末部に少なくとも2つのスプール部を形成し、樹脂チューブを前記端末部に圧入接続してなり、自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、
導電性樹脂を材料とするパイロットキャップを前記樹脂被覆チューブの端末部の先端に装着し、導電性樹脂からなる樹脂チューブを前記樹脂被覆チューブに圧入するとともに、前記樹脂チューブを導電性材料からなるクランプ部材で車体に固定したことを特徴とする燃料系チューブの帯電防止構造。 - 金属製の素管の外周部を非導電性の樹脂被膜で被覆した樹脂被覆チューブからなり自動車の車体に配管される燃料系チューブの帯電防止構造であって、
前記樹脂被覆チューブの樹脂被膜を突き破り素管と導通した導電部と接点をもつ突起部を有する導電材料からなる導電体と、
前記導電体を車体に固定する、導電性材料からなるクランプ部材と、
からなることを特徴とする燃料系チューブの帯電防止構造。 - 前記導電体は、前記樹脂被膜の樹脂材料よりも高融点の樹脂材料を材質とし前記樹脂被覆チューブに溶着される2分割形のステーからなることを特徴とする請求項6に記載の燃料系チューブの帯電防止構造。
- 前記導電体は、前記樹脂被覆チューブに巻装され前記突起部を有する、金属材料からなるクリップと、このクリップを覆うように一体モールド成形された導電性樹脂体とからなることを特徴とする請求項6に記載の燃料系チューブの帯電防止構造。
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Cited By (2)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
GB2416932A (en) * | 2004-07-30 | 2006-02-08 | Newfrey Llc | Conductive mount for elongate component |
JP2009144864A (ja) * | 2007-12-17 | 2009-07-02 | Aoi:Kk | ワンタッチ継手 |
-
2002
- 2002-11-25 JP JP2002341382A patent/JP2004176766A/ja active Pending
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