JP2004176267A - 静的破砕材掘削工法 - Google Patents
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Abstract
【課題】発破や上述したような架台を必要とすること無く、また、トンネル内でバックホウ等の建設作業車が作業するためのスペースを容易に確保することができて、特に、トンネル拡幅工法に好適に適用できるような静的破砕材掘削工法の提供。
【解決手段】掘削予定領域(2Z)の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッド(3)を用いて複数の第1の掘削孔(22)を掘削し、掘削予定領域(2Z)の輪郭内側における所定の領域(領域A、B・・・)に可撓性を有するボーリングロッド(4)を用いて複数の第2の掘削孔(23)を掘削し、第2の掘削孔(23)に膨脹材(Mb)を充填し、充填された膨張材(Mb)を膨張し、第2の掘削孔(22)の掘削、膨脹材(Mb)の充填、膨張材(Mb)の膨張を、複数の第1の掘削孔(22)で輪郭が特定された掘削予定領域(2)全域が除去されるまで繰り返す。
【選択図】 図1
【解決手段】掘削予定領域(2Z)の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッド(3)を用いて複数の第1の掘削孔(22)を掘削し、掘削予定領域(2Z)の輪郭内側における所定の領域(領域A、B・・・)に可撓性を有するボーリングロッド(4)を用いて複数の第2の掘削孔(23)を掘削し、第2の掘削孔(23)に膨脹材(Mb)を充填し、充填された膨張材(Mb)を膨張し、第2の掘削孔(22)の掘削、膨脹材(Mb)の充填、膨張材(Mb)の膨張を、複数の第1の掘削孔(22)で輪郭が特定された掘削予定領域(2)全域が除去されるまで繰り返す。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、静的破砕材掘削工法に関する。特に、既存のトンネルを拡幅するトンネル拡幅工法に対して好適な静的破砕材掘削工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物流の国際化・大容量化に伴う車両の大型化及び車線増加のために既存のトンネルの拡幅が必要になってきている。既存のトンネルを拡幅するには現状の交通を遮断することなく、また第三者障害を起こすことなく、速やかに施工する必要がある。
【0003】
従来の工法では、図13及び図14に示すように、既存のトンネル10内にガード架台いわゆるガントリー30を設置して通行車両Vhを通行可能に保護し、掘削予定用域22を掘削していた。
【0004】
掘削の方法は、トンネル10の掘削拡幅側の内壁面10aとガントリー30の外壁面30aとの間の作業領域Sにバックホウあるいはブレーカー等を設備した建設作業車Vbを進入させて、ハツリあるいはブレーカーによる穿孔衝撃をかけていた。
または発破をかけて崩落させていた。
【0005】
しかし、バックホウあるいはブレーカーによる掘削では建設作業車Vbが作業する領域Sが狭くて作業が容易でなく、また、バックホウによるハツリ音やブレーカーによる打撃音の発生が作業環境の悪化をもたらしていた。
また発破であれば土砂粉塵の飛散、あるいは衝撃音波の車両への伝播防止が困難なため、車両の交通を一時規制せざるを得ないこと、及び掘削距離は10m程度が限度の長さしかないこと等の欠点があった。
さらに、トンネル10に湾曲がある場合はガントリー30の移動が簡単でないという問題があった。
【0006】
上述した以外の従来技術としては、例えば、バックホウによる掘削工法や、その他の掘削工法が、2001年2月26日発行の「土木工法事典 改訂V」(土木工法事典改訂V編集委員会編集、産業調査会事典出版センター発行)に記載されている。
しかし、その他の従来技術(各種掘削工法)でも、上記した様な従来技術の問題点を解決することは出来ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の様々な問題点に鑑みて提案されたものであり、発破や上述したような架台を必要とすること無く、また、トンネル内でバックホウ等の建設作業車が作業するためのスペースを容易に確保することができて、特に、トンネル拡幅工法に好適に適用できるような静的破砕材掘削工法の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の静的破砕材掘削工法は、掘削予定領域(例えば、トンネルの拡幅予定領域)(2Z)の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッド(3)を用いて(所謂「曲がりボーリング」により)複数の第1の掘削孔(22)を掘削する工程と、掘削予定領域(2Z)の輪郭(第1の掘削孔22で囲まれた領域)内側における所定の領域(領域A、B・・・)に可撓性を有するボーリングロッド(4)を用いて(所謂「曲がりボーリング」により)複数の第2の掘削孔(23)を掘削する工程と、第2の掘削孔(23)に膨脹材(例えば、静的破砕材や、凍結工法で用いられる凍結材)(Mb)を充填する工程と、充填された膨張材(Mb)を膨張(し以って掘削予定領域を地盤から除去)する工程とを有し、前記第2の掘削孔(23)を掘削する工程、膨脹材(Mb)を充填する工程、膨張材(Mb)を膨張する工程を、複数の第1の掘削孔(22)で輪郭が特定された掘削予定領域(2)全域が(地盤から)除去されるまで繰り返すことを特徴としている(請求項1)。
ここで、「静的破砕材」なる文言は、凍結工法においてブラインにより凍結され膨張する水分をも包含する意味で用いられている。換言すれば、本発明において、膨張材を膨張する工程として、凍結工法を実施する場合が含まれる。
【0009】
係る構成を具備する本発明の静的破砕材掘削工法によれば、前記所定の領域(領域A)内の第2の掘削孔に膨脹材を充填し、膨脹材を膨脹すれば、膨張材を充填された第2の掘削孔の周辺部分にクラック(亀裂)が入る。当該クラックが連続すれば、掘削するべき地盤から前記領域(A)が切り離されて、塊(ブロック)として落下或いは崩落する。
これを繰り返すことにより、掘削予定領域(例えば、トンネルの拡幅予定領域)が1部ずつ落下して、除去される。
【0010】
ここで、可撓性を有するボーリングロッドを用いて(曲がりボーリングにより)第1及び第2の掘削孔を掘削するので、掘削予定領域(例えばトンネルの拡幅領域)が湾曲していても、容易且つ正確に削孔出来る。
そして、従来技術のような課題は必要としないので、湾曲部分でガントリーが追随出来なくなる等の不都合は発生しない。
また、建設作業車のアーム先端に装着したバックホウあるいはブレーカーで、掘削予定領域の全領域に亘ってハツリあるいは打撃掘削をするのに比較して、発生する騒音が小さく、騒音防止の効果がある。
【0011】
さらに、膨張材を膨張することによりクラック(亀裂)を発生させて、掘削予定領域を地盤から切り離すので、発破やブレーカー等が不要である。
また、発破に比較して、実施に際しての危険が少ない。したがって、膨張材の膨張時であっても、発破実施の際のように車両通行を規制する必要が無い。
そして、発破では、例えばトンネルの方向について10m程度しか除去出来ないが、膨脹材を膨脹させることにより、トンネル方向に全領域に亘ってクラックを形成して、強制的に崩落させることが可能である。
【0012】
本発明の静的破砕材掘削工法の施行の際に、充填された膨張材を膨張して、第2の掘削孔を掘削した所定の領域A、B・・・を、地盤から落下或いは崩落させて除去する際に、落下或いは崩落した塊(ブロック)が破砕して、その周辺に飛散する恐れがある。そして、特に、本発明をトンネルの拡幅工法に実施した場合には、車両が通行している領域に岩の破片、石片等が飛散すると、通行中の車両に対する危険があって好ましくない。
【0013】
これに対して、本発明の実施に際して、掘削予定領域(2)(例えば、トンネルの拡幅予定領域)の側方に、掘削予定領域(2)を覆うように(トンネルの車両通行領域を拡幅予定領域から隔離するように)板状体(例えば、養生シートのようなシート状の可撓性部材、或いは、剛性を有する板体等)(15)を配置するのが好ましい(請求項2)。
【0014】
この様に構成すれば、例えば、養生シートのようなシート状の可撓性部材、或いは、剛性を有する板体等の様な板状体により、落下した破片等がトンネルの車両通行側に飛散する様な不都合が回避される。
【0015】
ここで、係る板状体を設置すると、架台を配置した従来技術に比較して、車両通行領域が狭くなってしまう場合も想定される。その様な場合、板状体を斜めに配置させて、下方の領域を広く確保すれば良い。
板状体が剛性材料であれば、そのまま斜めに配置させることができるし、養生シートの様な可撓性材料製の板状体であれば、その下端を何らかの手段で道路に固定すれば、斜めに配置可能である。
【0016】
本発明の実施に際して、充填された膨張材(Mb)を膨張(し以って第2の掘削孔を掘削した所定の領域A、B・・・を、地盤から除去)した後、掘削予定領域(2)(例えば、トンネルの拡幅予定領域)の輪郭内に残存した部分を除去することが好ましい(請求項3)。
除去するに際しては、例えば、通常のトンネル内部の仕上げ施工で処理すれば良い。
【0017】
想定された以上に大きな領域(塊)が掘削予定領域(例えば、トンネルの拡幅予定領域)の輪郭内に残存した場合には、当該領域に第2の掘削孔(膨脹材挿入孔)を新たに削孔(曲がりボーリングだけではなく、従来のドリルがそのまま使える)して、膨脹材を充填し、膨脹することが出来る。
或いは、当該領域を単に(バックホウなどで)打撃を加えれば、空孔の第1の掘削孔である空孔が掘削してあるので、当該領域を縁切りする様な亀裂が発生して、塊となって崩落する。
【0018】
上述した構成を具備する本発明では、例えばトンネル拡幅工事であれば、施工用の各種機器を、車両が通行する側の領域(トンネル拡幅領域ではない領域)に位置させておく必要が無く、地盤、岩盤等が除去された後のトンネル拡幅領域に位置させておけば良い。そのため、機器設置のスペースの問題が生じないので、種々の機器を使用して色々な対応が可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明をトンネル拡幅工法に適用した場合を示している。
図1は、既存の第1のトンネル10に別の第2のトンネル20を拡幅する態様を示す正面視を示し、図2は既存の第1のトンネル10が半径Rで湾曲しており、拡幅すべき第2のトンネル20が付随湾曲して第1のトンネル10を拡幅する態様の上面視を示している。
【0020】
図1において、工法手順の最初に、第1のトンネル10の拡幅予定領域2Z側に走行域R10と作業領域Svを隔離するための養生シート15を適宜の位置に吊設する。
なお、養生シート15が走行域R10を狭めて不都合が大きい場合は、図7に示すように、第1のトンネル10の上部の適宜な上部取付け位置15aと、第1のトンネル10の路面Lgの拡幅側の固定位置15bを結ぶ剛性のある板状体15Aを設置して実走行域R10の下方を拡げてもよい。
【0021】
あるいは、養生シート15を斜めに配置してもよい。この際養生シートの下端部の固定位置15bへの固定は従来公知の固定手段によって行う。
これによって、工事によって落下するブロックの走行域R10への転動、飛散が予防される。
【0022】
次いで、図1、図2及び図1の一部を拡大した図5で示すように、端面12から拡幅予定領域2Zの輪郭に沿って空孔である第1の掘削孔22s、22a、22b・・・22f、22g・・22k(以降、第1の掘削孔全体は符号22で略記する)を掘削する(複数の第1の掘削孔を掘削する工程)。
第1の掘削孔22は、図2で示すように、トンネル10の湾曲Rに沿って公知の曲がりボーリングロッド3によって行う。
【0023】
次いで、拡幅予定領域2Zの輪郭の内側即ち第1の掘削孔22の内側の所定の領域の、図では黒色のA縦列である領域に、膨脹材挿入孔である第2の掘削孔23b1、23b2を掘削する(複数の第2の掘削孔を掘削する工程)。
ここで、第1の掘削孔22及び第2の掘削孔23(以降、後記する第2の掘削孔23c1、23c2、・・を含む第2の掘削孔全体を符号23で略記する)の掘削に際しては、特開2002−242574号公報に記載された技術、すなわち、ジャイロ(3軸ジャイロ)により、掘削軌跡を能率良く、且つ、正確に計測し、捩れを修正して削孔方向を修正する技術を用いることが好適である。
係る技術を用いる等の手法により、第1の掘削孔22及び第2の掘削孔23を正確な位置及び軌跡で掘削しないと、拡幅予定領域2Zの地盤が上手く崩落しないからである。
【0024】
次いで、図3に示す、公知の充填手段40と、先端部に注入ノズル42aを有する注入管42とで構成される膨脹材注入装置40Aによって、第2の掘削孔23b1、23b2に静的破砕材あるいは冷結工法で用いられる凍結材を膨脹材Mbとして充填する(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)。
図4は、第2の掘削孔23内に膨脹材Mbが充填され、膨脹圧力Pによる拡径23Dの態様を模式的に示している。
【0025】
第1の掘削孔22の各隣接孔例えば22a〜22b間の距離、第2の掘削孔23の各隣接孔23b1〜23c1間の距離及び第1の掘削孔22と第2の掘削孔23の各々隣接する例えば22a〜23b1間の距離は、地盤の性状や孔径、あるいは除去される塊のサイズ等種々の要素によりケースバイケースで決定される。
【0026】
そして、各孔間のクラック発生とそれによる除去塊の脱落が行われる前提で、基本的には削孔数が少なく、削孔径が小さいことが工期およびコスト的に好ましい。
【0027】
次いで、前記図4のように充填された膨脹材Mbを公知の工法で膨脹させる(充填された膨脹材を膨脹する工程)。
膨脹材Mbは、第2の掘削孔23を膨脹によって図5のX部を拡大した図6のように半径方向外方への圧力Pを生じさせ、拡径23Dとなって周辺の地盤Gを圧縮して図6に示すクラックp1、p2、p3を生じさせて、地盤Gから塊Brを脱落させる。A縦列の第2の掘削孔23b2も同様である。
【0028】
このとき脱落する塊Brは、養生シートあるいは板状体15によって走行域R10への転落が防止され、走行車両Vhの安全を確保する。
【0029】
次ぎに、A縦列と同様に、B縦列の第2の掘削孔23c1、23c2、23c3、23c4を削孔して(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)、膨脹材Mbを充填し(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)、膨脹材Mbを膨脹させて(充填された膨脹材を膨脹する工程)周辺の地盤Gにクラックを発生させ、除去塊Brを造って落下させる。最低位置の第2の掘削孔23c4は空孔の第1の掘削孔22kにクラックが連通して、塊Brを剥離させる。なお、図示の例では説明の便宜上、領域A、B、C、D、Eの4縦領域になっているが、トンネルの大きさ、その他の条件によって領域数が適宜に決定される。
【0030】
以下、A、B縦列と同様にしてC、D、E縦列の順に第2の掘削孔23を削孔し(複数の第2の掘削孔を掘削する工程)、膨脹材Mbを充填し(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)、膨脹材Mbを膨脹させて(充填された膨脹材を膨脹する工程)周辺の地盤Gにクラックを発生させ、脱落塊Brを造って落下させ、あるいは剥離させる。
【0031】
このようにして空孔の第1の掘削孔22で囲まれる第2の掘削孔23を縦列に削孔して拡幅予定領域2Zの輪郭即ち第1の掘削孔22の内側の所定の領域全域に亘って掘削する。そのうえで、第1の掘削孔22で縁切りした領域(残存した地盤の下縁部)の凹凸は、通常のトンネル内部の仕上げ施工で処理して、掘削予定通りの滑らかな曲面に加工する。
【0032】
図8〜図11は、上記の拡幅掘削が不全な状態の対策手段を示している。図12のフローチャートを参照して説明する。
図8に示すような残存塊の状況を実態確認する。第2のトンネル20に残存塊Wが上部に残存していて、図示の例では残存塊Wに第1の掘削孔22cと22dが削孔されている。(ステップS1)
【0033】
次ぎに図9に示すように、この残存塊Wに新たに第2の掘削孔S1、S2を削孔する(ステップS2、第2の掘削孔を掘削する工程)。
次いで図10に示すように第2の掘削孔S1、S2に膨脹材Mbを充填する(ステップS3、膨脹材を充填する工程)。
次ぎに膨脹材Mbを膨脹させて(ステップS4、膨脹材を膨脹する工程)、残存塊Wにクラックpを発生させ分割剥離させる(ステップS5)。
【0034】
次いで図11に示すように、建設作業車VbのバックホウあるいはブレーカーBpによって塊Wを強制分解させて剥離脱落させる(ステップS6)。
次いで、さらに残存する凹凸を平滑仕上げ施工する。
【0035】
上記の形態では、各工程が第2のトンネル20内における作業なので、装置機材及び建設作業車Vbを車両の走行域R10に留めあるいは配置させる必要がなく、車両通行を保全することができる。また、色々な機材を第2のトンネル20内に設置あるいは仮置きできるので図8〜図11の手段以外にも各種の対応が可能である。
【0036】
なお、図示の実施形態は、新規のトンネル掘削にも適用が可能である。但し、新規のトンネル掘削の場合には、車両通行規制の必要性や騒音防止の要請は元々存在しない。また、発破やブレーカーによる打撃に対する規制も、既存のトンネルの拡幅工法に比較して緩やかである。その点で、上述した実施形態における各種メリットは、既存のトンネルにおける拡幅工事の方が、新規トンネル掘削に比較して、発揮され易い。
【0037】
図示の実施形態では、トンネル拡幅工法について本発明を実施する場合について説明されているが、本発明は、法面工事や、地盤を掘削するその他の工事についても適用可能である旨を付記する。
【0038】
【発明の効果】
本発明の効果を以下に列挙する。
(1) 本発明によって、掘削予定領域の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッドを用いて第1の掘削孔を掘削し、トンネルの拡幅予定領域の輪郭内部第2の掘削孔を掘削して、第2の掘削孔を膨脹材で充填させて膨脹させ、第1の掘削孔間、第2の掘削孔間、あるいは第1と第2の掘削孔間にクラックを生じさせて地盤を崩落させるので、ガントリーで車両走行域を確保する必要がなくガントリー設置の工期とコストが低減される。
(2) また、ガントリーでは困難な湾曲トンネルの拡幅ができる。
(3) 発破による掘削がないので振動、騒音が発生しないで静かな環境で作業が行われる。
(4) 掘削予定領域を覆うように板状体を配置すれば、砕石等の走行域への崩落や転動が防止できて安全であり、車両通行規制の必要がない。
(5) 掘削予定領域に掘削不全による残存塊が残った場合は、再度第2の掘削孔を掘削して膨脹材を注入し、膨脹させてクラックを発生させれば、建設作業車によって容易に除去できる。
(6) 発破では、せいぜい10m程度しか掘削出来ないが、膨脹材を膨脹させることにより、トンネル方向に全領域に亘ってクラックを形成して、強制的に長距離を掘削、崩落させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すトンネルの正面図。
【図2】図1のトンネルの上面図。
【図3】膨脹材注入装置の側面図。
【図4】膨脹材挿入孔の説明用の断面図。
【図5】図1の拡幅予定領域の掘削態様を示す拡大図。
【図6】図5の局部Xの拡大図。
【図7】既存トンネルの車両走行域と拡幅予定領域とを板状体によって隔離する態様を示す別図。
【図8】拡幅掘削が不全で残存塊がある状態を示す図。
【図9】図8の残存塊に膨脹材挿入孔を削孔した状態を示す工程図。
【図10】膨脹材挿入孔に膨脹材を注入して、膨脹させた状態を示す工程図。
【図11】クラックの入った残存塊を建設作業車のブレーカーで崩落させる状態を示す工程図。
【図12】残存塊を除去する作業のフローチャート。
【図13】従来のガントリー30を設置して走行域を確保し拡幅予定域を掘削する状態を示す正面図。
【図14】図13の斜視図。
【符号の説明】
G・・・・地盤
Mb・・・膨脹材
R10・・車両の走行域
Vh・・・建設作業車
2・・・・掘削予定領域
3、4・・可撓性を有するボーリングロッド
10・・・(既存)第1のトンネル
20・・・(拡幅)第2のトンネル
22・・・(空孔)第1の掘削孔
23・・・(膨脹材挿入孔)第2の掘削孔
30・・・ガントリー
【発明の属する技術分野】
本発明は、静的破砕材掘削工法に関する。特に、既存のトンネルを拡幅するトンネル拡幅工法に対して好適な静的破砕材掘削工法に関する。
【0002】
【従来の技術】
物流の国際化・大容量化に伴う車両の大型化及び車線増加のために既存のトンネルの拡幅が必要になってきている。既存のトンネルを拡幅するには現状の交通を遮断することなく、また第三者障害を起こすことなく、速やかに施工する必要がある。
【0003】
従来の工法では、図13及び図14に示すように、既存のトンネル10内にガード架台いわゆるガントリー30を設置して通行車両Vhを通行可能に保護し、掘削予定用域22を掘削していた。
【0004】
掘削の方法は、トンネル10の掘削拡幅側の内壁面10aとガントリー30の外壁面30aとの間の作業領域Sにバックホウあるいはブレーカー等を設備した建設作業車Vbを進入させて、ハツリあるいはブレーカーによる穿孔衝撃をかけていた。
または発破をかけて崩落させていた。
【0005】
しかし、バックホウあるいはブレーカーによる掘削では建設作業車Vbが作業する領域Sが狭くて作業が容易でなく、また、バックホウによるハツリ音やブレーカーによる打撃音の発生が作業環境の悪化をもたらしていた。
また発破であれば土砂粉塵の飛散、あるいは衝撃音波の車両への伝播防止が困難なため、車両の交通を一時規制せざるを得ないこと、及び掘削距離は10m程度が限度の長さしかないこと等の欠点があった。
さらに、トンネル10に湾曲がある場合はガントリー30の移動が簡単でないという問題があった。
【0006】
上述した以外の従来技術としては、例えば、バックホウによる掘削工法や、その他の掘削工法が、2001年2月26日発行の「土木工法事典 改訂V」(土木工法事典改訂V編集委員会編集、産業調査会事典出版センター発行)に記載されている。
しかし、その他の従来技術(各種掘削工法)でも、上記した様な従来技術の問題点を解決することは出来ない。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は上述した従来技術の様々な問題点に鑑みて提案されたものであり、発破や上述したような架台を必要とすること無く、また、トンネル内でバックホウ等の建設作業車が作業するためのスペースを容易に確保することができて、特に、トンネル拡幅工法に好適に適用できるような静的破砕材掘削工法の提供を目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の静的破砕材掘削工法は、掘削予定領域(例えば、トンネルの拡幅予定領域)(2Z)の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッド(3)を用いて(所謂「曲がりボーリング」により)複数の第1の掘削孔(22)を掘削する工程と、掘削予定領域(2Z)の輪郭(第1の掘削孔22で囲まれた領域)内側における所定の領域(領域A、B・・・)に可撓性を有するボーリングロッド(4)を用いて(所謂「曲がりボーリング」により)複数の第2の掘削孔(23)を掘削する工程と、第2の掘削孔(23)に膨脹材(例えば、静的破砕材や、凍結工法で用いられる凍結材)(Mb)を充填する工程と、充填された膨張材(Mb)を膨張(し以って掘削予定領域を地盤から除去)する工程とを有し、前記第2の掘削孔(23)を掘削する工程、膨脹材(Mb)を充填する工程、膨張材(Mb)を膨張する工程を、複数の第1の掘削孔(22)で輪郭が特定された掘削予定領域(2)全域が(地盤から)除去されるまで繰り返すことを特徴としている(請求項1)。
ここで、「静的破砕材」なる文言は、凍結工法においてブラインにより凍結され膨張する水分をも包含する意味で用いられている。換言すれば、本発明において、膨張材を膨張する工程として、凍結工法を実施する場合が含まれる。
【0009】
係る構成を具備する本発明の静的破砕材掘削工法によれば、前記所定の領域(領域A)内の第2の掘削孔に膨脹材を充填し、膨脹材を膨脹すれば、膨張材を充填された第2の掘削孔の周辺部分にクラック(亀裂)が入る。当該クラックが連続すれば、掘削するべき地盤から前記領域(A)が切り離されて、塊(ブロック)として落下或いは崩落する。
これを繰り返すことにより、掘削予定領域(例えば、トンネルの拡幅予定領域)が1部ずつ落下して、除去される。
【0010】
ここで、可撓性を有するボーリングロッドを用いて(曲がりボーリングにより)第1及び第2の掘削孔を掘削するので、掘削予定領域(例えばトンネルの拡幅領域)が湾曲していても、容易且つ正確に削孔出来る。
そして、従来技術のような課題は必要としないので、湾曲部分でガントリーが追随出来なくなる等の不都合は発生しない。
また、建設作業車のアーム先端に装着したバックホウあるいはブレーカーで、掘削予定領域の全領域に亘ってハツリあるいは打撃掘削をするのに比較して、発生する騒音が小さく、騒音防止の効果がある。
【0011】
さらに、膨張材を膨張することによりクラック(亀裂)を発生させて、掘削予定領域を地盤から切り離すので、発破やブレーカー等が不要である。
また、発破に比較して、実施に際しての危険が少ない。したがって、膨張材の膨張時であっても、発破実施の際のように車両通行を規制する必要が無い。
そして、発破では、例えばトンネルの方向について10m程度しか除去出来ないが、膨脹材を膨脹させることにより、トンネル方向に全領域に亘ってクラックを形成して、強制的に崩落させることが可能である。
【0012】
本発明の静的破砕材掘削工法の施行の際に、充填された膨張材を膨張して、第2の掘削孔を掘削した所定の領域A、B・・・を、地盤から落下或いは崩落させて除去する際に、落下或いは崩落した塊(ブロック)が破砕して、その周辺に飛散する恐れがある。そして、特に、本発明をトンネルの拡幅工法に実施した場合には、車両が通行している領域に岩の破片、石片等が飛散すると、通行中の車両に対する危険があって好ましくない。
【0013】
これに対して、本発明の実施に際して、掘削予定領域(2)(例えば、トンネルの拡幅予定領域)の側方に、掘削予定領域(2)を覆うように(トンネルの車両通行領域を拡幅予定領域から隔離するように)板状体(例えば、養生シートのようなシート状の可撓性部材、或いは、剛性を有する板体等)(15)を配置するのが好ましい(請求項2)。
【0014】
この様に構成すれば、例えば、養生シートのようなシート状の可撓性部材、或いは、剛性を有する板体等の様な板状体により、落下した破片等がトンネルの車両通行側に飛散する様な不都合が回避される。
【0015】
ここで、係る板状体を設置すると、架台を配置した従来技術に比較して、車両通行領域が狭くなってしまう場合も想定される。その様な場合、板状体を斜めに配置させて、下方の領域を広く確保すれば良い。
板状体が剛性材料であれば、そのまま斜めに配置させることができるし、養生シートの様な可撓性材料製の板状体であれば、その下端を何らかの手段で道路に固定すれば、斜めに配置可能である。
【0016】
本発明の実施に際して、充填された膨張材(Mb)を膨張(し以って第2の掘削孔を掘削した所定の領域A、B・・・を、地盤から除去)した後、掘削予定領域(2)(例えば、トンネルの拡幅予定領域)の輪郭内に残存した部分を除去することが好ましい(請求項3)。
除去するに際しては、例えば、通常のトンネル内部の仕上げ施工で処理すれば良い。
【0017】
想定された以上に大きな領域(塊)が掘削予定領域(例えば、トンネルの拡幅予定領域)の輪郭内に残存した場合には、当該領域に第2の掘削孔(膨脹材挿入孔)を新たに削孔(曲がりボーリングだけではなく、従来のドリルがそのまま使える)して、膨脹材を充填し、膨脹することが出来る。
或いは、当該領域を単に(バックホウなどで)打撃を加えれば、空孔の第1の掘削孔である空孔が掘削してあるので、当該領域を縁切りする様な亀裂が発生して、塊となって崩落する。
【0018】
上述した構成を具備する本発明では、例えばトンネル拡幅工事であれば、施工用の各種機器を、車両が通行する側の領域(トンネル拡幅領域ではない領域)に位置させておく必要が無く、地盤、岩盤等が除去された後のトンネル拡幅領域に位置させておけば良い。そのため、機器設置のスペースの問題が生じないので、種々の機器を使用して色々な対応が可能である。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、添付図面を参照しつつ、本発明の実施形態について説明する。なお、以下の実施形態は、本発明をトンネル拡幅工法に適用した場合を示している。
図1は、既存の第1のトンネル10に別の第2のトンネル20を拡幅する態様を示す正面視を示し、図2は既存の第1のトンネル10が半径Rで湾曲しており、拡幅すべき第2のトンネル20が付随湾曲して第1のトンネル10を拡幅する態様の上面視を示している。
【0020】
図1において、工法手順の最初に、第1のトンネル10の拡幅予定領域2Z側に走行域R10と作業領域Svを隔離するための養生シート15を適宜の位置に吊設する。
なお、養生シート15が走行域R10を狭めて不都合が大きい場合は、図7に示すように、第1のトンネル10の上部の適宜な上部取付け位置15aと、第1のトンネル10の路面Lgの拡幅側の固定位置15bを結ぶ剛性のある板状体15Aを設置して実走行域R10の下方を拡げてもよい。
【0021】
あるいは、養生シート15を斜めに配置してもよい。この際養生シートの下端部の固定位置15bへの固定は従来公知の固定手段によって行う。
これによって、工事によって落下するブロックの走行域R10への転動、飛散が予防される。
【0022】
次いで、図1、図2及び図1の一部を拡大した図5で示すように、端面12から拡幅予定領域2Zの輪郭に沿って空孔である第1の掘削孔22s、22a、22b・・・22f、22g・・22k(以降、第1の掘削孔全体は符号22で略記する)を掘削する(複数の第1の掘削孔を掘削する工程)。
第1の掘削孔22は、図2で示すように、トンネル10の湾曲Rに沿って公知の曲がりボーリングロッド3によって行う。
【0023】
次いで、拡幅予定領域2Zの輪郭の内側即ち第1の掘削孔22の内側の所定の領域の、図では黒色のA縦列である領域に、膨脹材挿入孔である第2の掘削孔23b1、23b2を掘削する(複数の第2の掘削孔を掘削する工程)。
ここで、第1の掘削孔22及び第2の掘削孔23(以降、後記する第2の掘削孔23c1、23c2、・・を含む第2の掘削孔全体を符号23で略記する)の掘削に際しては、特開2002−242574号公報に記載された技術、すなわち、ジャイロ(3軸ジャイロ)により、掘削軌跡を能率良く、且つ、正確に計測し、捩れを修正して削孔方向を修正する技術を用いることが好適である。
係る技術を用いる等の手法により、第1の掘削孔22及び第2の掘削孔23を正確な位置及び軌跡で掘削しないと、拡幅予定領域2Zの地盤が上手く崩落しないからである。
【0024】
次いで、図3に示す、公知の充填手段40と、先端部に注入ノズル42aを有する注入管42とで構成される膨脹材注入装置40Aによって、第2の掘削孔23b1、23b2に静的破砕材あるいは冷結工法で用いられる凍結材を膨脹材Mbとして充填する(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)。
図4は、第2の掘削孔23内に膨脹材Mbが充填され、膨脹圧力Pによる拡径23Dの態様を模式的に示している。
【0025】
第1の掘削孔22の各隣接孔例えば22a〜22b間の距離、第2の掘削孔23の各隣接孔23b1〜23c1間の距離及び第1の掘削孔22と第2の掘削孔23の各々隣接する例えば22a〜23b1間の距離は、地盤の性状や孔径、あるいは除去される塊のサイズ等種々の要素によりケースバイケースで決定される。
【0026】
そして、各孔間のクラック発生とそれによる除去塊の脱落が行われる前提で、基本的には削孔数が少なく、削孔径が小さいことが工期およびコスト的に好ましい。
【0027】
次いで、前記図4のように充填された膨脹材Mbを公知の工法で膨脹させる(充填された膨脹材を膨脹する工程)。
膨脹材Mbは、第2の掘削孔23を膨脹によって図5のX部を拡大した図6のように半径方向外方への圧力Pを生じさせ、拡径23Dとなって周辺の地盤Gを圧縮して図6に示すクラックp1、p2、p3を生じさせて、地盤Gから塊Brを脱落させる。A縦列の第2の掘削孔23b2も同様である。
【0028】
このとき脱落する塊Brは、養生シートあるいは板状体15によって走行域R10への転落が防止され、走行車両Vhの安全を確保する。
【0029】
次ぎに、A縦列と同様に、B縦列の第2の掘削孔23c1、23c2、23c3、23c4を削孔して(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)、膨脹材Mbを充填し(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)、膨脹材Mbを膨脹させて(充填された膨脹材を膨脹する工程)周辺の地盤Gにクラックを発生させ、除去塊Brを造って落下させる。最低位置の第2の掘削孔23c4は空孔の第1の掘削孔22kにクラックが連通して、塊Brを剥離させる。なお、図示の例では説明の便宜上、領域A、B、C、D、Eの4縦領域になっているが、トンネルの大きさ、その他の条件によって領域数が適宜に決定される。
【0030】
以下、A、B縦列と同様にしてC、D、E縦列の順に第2の掘削孔23を削孔し(複数の第2の掘削孔を掘削する工程)、膨脹材Mbを充填し(複数の第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程)、膨脹材Mbを膨脹させて(充填された膨脹材を膨脹する工程)周辺の地盤Gにクラックを発生させ、脱落塊Brを造って落下させ、あるいは剥離させる。
【0031】
このようにして空孔の第1の掘削孔22で囲まれる第2の掘削孔23を縦列に削孔して拡幅予定領域2Zの輪郭即ち第1の掘削孔22の内側の所定の領域全域に亘って掘削する。そのうえで、第1の掘削孔22で縁切りした領域(残存した地盤の下縁部)の凹凸は、通常のトンネル内部の仕上げ施工で処理して、掘削予定通りの滑らかな曲面に加工する。
【0032】
図8〜図11は、上記の拡幅掘削が不全な状態の対策手段を示している。図12のフローチャートを参照して説明する。
図8に示すような残存塊の状況を実態確認する。第2のトンネル20に残存塊Wが上部に残存していて、図示の例では残存塊Wに第1の掘削孔22cと22dが削孔されている。(ステップS1)
【0033】
次ぎに図9に示すように、この残存塊Wに新たに第2の掘削孔S1、S2を削孔する(ステップS2、第2の掘削孔を掘削する工程)。
次いで図10に示すように第2の掘削孔S1、S2に膨脹材Mbを充填する(ステップS3、膨脹材を充填する工程)。
次ぎに膨脹材Mbを膨脹させて(ステップS4、膨脹材を膨脹する工程)、残存塊Wにクラックpを発生させ分割剥離させる(ステップS5)。
【0034】
次いで図11に示すように、建設作業車VbのバックホウあるいはブレーカーBpによって塊Wを強制分解させて剥離脱落させる(ステップS6)。
次いで、さらに残存する凹凸を平滑仕上げ施工する。
【0035】
上記の形態では、各工程が第2のトンネル20内における作業なので、装置機材及び建設作業車Vbを車両の走行域R10に留めあるいは配置させる必要がなく、車両通行を保全することができる。また、色々な機材を第2のトンネル20内に設置あるいは仮置きできるので図8〜図11の手段以外にも各種の対応が可能である。
【0036】
なお、図示の実施形態は、新規のトンネル掘削にも適用が可能である。但し、新規のトンネル掘削の場合には、車両通行規制の必要性や騒音防止の要請は元々存在しない。また、発破やブレーカーによる打撃に対する規制も、既存のトンネルの拡幅工法に比較して緩やかである。その点で、上述した実施形態における各種メリットは、既存のトンネルにおける拡幅工事の方が、新規トンネル掘削に比較して、発揮され易い。
【0037】
図示の実施形態では、トンネル拡幅工法について本発明を実施する場合について説明されているが、本発明は、法面工事や、地盤を掘削するその他の工事についても適用可能である旨を付記する。
【0038】
【発明の効果】
本発明の効果を以下に列挙する。
(1) 本発明によって、掘削予定領域の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッドを用いて第1の掘削孔を掘削し、トンネルの拡幅予定領域の輪郭内部第2の掘削孔を掘削して、第2の掘削孔を膨脹材で充填させて膨脹させ、第1の掘削孔間、第2の掘削孔間、あるいは第1と第2の掘削孔間にクラックを生じさせて地盤を崩落させるので、ガントリーで車両走行域を確保する必要がなくガントリー設置の工期とコストが低減される。
(2) また、ガントリーでは困難な湾曲トンネルの拡幅ができる。
(3) 発破による掘削がないので振動、騒音が発生しないで静かな環境で作業が行われる。
(4) 掘削予定領域を覆うように板状体を配置すれば、砕石等の走行域への崩落や転動が防止できて安全であり、車両通行規制の必要がない。
(5) 掘削予定領域に掘削不全による残存塊が残った場合は、再度第2の掘削孔を掘削して膨脹材を注入し、膨脹させてクラックを発生させれば、建設作業車によって容易に除去できる。
(6) 発破では、せいぜい10m程度しか掘削出来ないが、膨脹材を膨脹させることにより、トンネル方向に全領域に亘ってクラックを形成して、強制的に長距離を掘削、崩落させることが可能である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施形態を示すトンネルの正面図。
【図2】図1のトンネルの上面図。
【図3】膨脹材注入装置の側面図。
【図4】膨脹材挿入孔の説明用の断面図。
【図5】図1の拡幅予定領域の掘削態様を示す拡大図。
【図6】図5の局部Xの拡大図。
【図7】既存トンネルの車両走行域と拡幅予定領域とを板状体によって隔離する態様を示す別図。
【図8】拡幅掘削が不全で残存塊がある状態を示す図。
【図9】図8の残存塊に膨脹材挿入孔を削孔した状態を示す工程図。
【図10】膨脹材挿入孔に膨脹材を注入して、膨脹させた状態を示す工程図。
【図11】クラックの入った残存塊を建設作業車のブレーカーで崩落させる状態を示す工程図。
【図12】残存塊を除去する作業のフローチャート。
【図13】従来のガントリー30を設置して走行域を確保し拡幅予定域を掘削する状態を示す正面図。
【図14】図13の斜視図。
【符号の説明】
G・・・・地盤
Mb・・・膨脹材
R10・・車両の走行域
Vh・・・建設作業車
2・・・・掘削予定領域
3、4・・可撓性を有するボーリングロッド
10・・・(既存)第1のトンネル
20・・・(拡幅)第2のトンネル
22・・・(空孔)第1の掘削孔
23・・・(膨脹材挿入孔)第2の掘削孔
30・・・ガントリー
Claims (3)
- 掘削予定領域の輪郭に沿って可撓性を有するボーリングロッドを用いて複数の第1の掘削孔を掘削する工程と、掘削予定領域の輪郭内側における所定の領域に可撓性を有するボーリングロッドを用いて複数の第2の掘削孔を掘削する工程と、第2の掘削孔に膨脹材を充填する工程と、充填された膨張材を膨張する工程とを有し、前記第2の掘削孔を掘削する工程、膨脹材を充填する工程、膨張材を膨張する工程を、複数の第1の掘削孔で輪郭が特定された掘削予定領域全域が除去されるまで繰り返すことを特徴とする静的破砕材掘削工法。
- 掘削予定領域の側方に、掘削予定領域を覆うように板状体を配置する請求項1の静的破砕材掘削工法。
- 充填された膨張材を膨張した後、掘削予定領域の輪郭内に残存した部分を除去する請求項1、2の何れかの静的破砕材掘削工法。
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JP2016156167A (ja) * | 2015-02-24 | 2016-09-01 | 株木建設株式会社 | トンネル掘削装置、及び、トンネル掘削方法 |
CN109854264A (zh) * | 2019-01-25 | 2019-06-07 | 中国铁建重工集团有限公司 | 一种用于隧道开挖的钻劈装置 |
-
2002
- 2002-11-25 JP JP2002340294A patent/JP2004176267A/ja active Pending
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