JP2004175822A - 撥水コーティング剤 - Google Patents
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Abstract
【目的】耐候性、保存性に優れ、撥水性、非粘着性、抗菌性を備える新規な組成の撥水コーティング剤を提供する。
【構成】脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と、脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と、反応性シリコーン樹脂液3wt%と、高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と、無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%と、フッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成る撥水コーティング剤であり、撥水性、潤滑性、非粘着性を備えるとともに高い耐候性、抗菌性を備え、保存性にも優れ、フッ素処理材等を除く殆どの物品表面に塗布することができる。
【選択図】 図2
【構成】脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と、脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と、反応性シリコーン樹脂液3wt%と、高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と、無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%と、フッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成る撥水コーティング剤であり、撥水性、潤滑性、非粘着性を備えるとともに高い耐候性、抗菌性を備え、保存性にも優れ、フッ素処理材等を除く殆どの物品表面に塗布することができる。
【選択図】 図2
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、ガラス、プラスチック、コンクリート等の各種物品の表面に塗布して主に撥水性を付与する撥水コーティング剤に関し、特に、抗菌性、潤滑性、非粘着性等の諸特性をも備える撥水コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、撥水性を付与するコーティング剤として市販されているシリコーン樹脂系コーティング剤は、一般に通常のジメチルシリコーン樹脂をリグロイン若しくはトルエン等の有機溶剤に希釈溶解させたものであり、またこれにジメチルシリコーンオイル等を若干添加させたものである。
【0003】
なお、シリコーン(silicon)はシロキサン結合(Si−O−Si)をもつ高分子であって、ジメチルシロキサンの重合体が多く、耐熱性、耐寒性、耐油性、耐老化性に優れている。また、シリコーン樹脂は上記シロキサン結合を主鎖とするケイ素ポリマーの総称であって、分子量によりオイル、ゴム、樹脂の性状を示し、電気絶縁性、耐熱性、耐寒性、非粘着性、潤滑性等の点において特異な性質を示すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシリコーン樹脂系コーティング剤を金属材などの対象物品の表面にコーティングして成る皮膜は3次元架橋に至らず、したがって硬度があっても脆く、衝撃等によって亀裂を生じやすいという難点があった。
【0005】
また、自然環境の変化、腐食性ガス等によってカビの発生その他の劣化が進行しやすく、したがって撥水性、潤滑性等のシリコーン樹脂特有の特徴にも劣化が発生する場合があった。
【0006】
また、従来の撥水コーティング剤には、一旦付着した染み等が中性洗剤で水洗いしても基材使用条件によっては良く取れないものもある。
【0007】
さらに、従来の撥水コーティング剤は主として業務用が念頭に置かれており、一般家庭用としても使用でき、多様な材質の表面にコーティング可能な常温乾燥型の撥水コーティング剤は未だ実現していない。
【0008】
本発明は上記従来の撥水コーティング剤の問題点に鑑みてなされたものであり、撥水性、潤滑性、は勿論、耐候性、抗菌性、非粘着性、保存性に優れた新規な組成の撥水コーティング剤を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、
(1)イソヘキサン73〜85wt%を溶剤として、これに均質溶解させたジメチルシリコーン樹脂と、変性シリコーン樹脂と、フッ素系シラン化合物と、シリコーン系触媒と、抗菌剤と、から成ることを特徴とする撥水コーティング剤を提供する。
(2)ジメチルシリコーン樹脂液12〜16wt%と、変性シリコーン樹脂液3.1〜7wt%と、抗菌剤液0.5〜3wt%と、フッ素系シラン化合物0.1〜0.4wt%と、シリコーン系触媒0.3〜0.6wt%と、をイソヘキサン73〜85wt%で均質溶解させて成ることを特徴とする撥水コーティング剤を提供する。
(3)上記(2)に記載の撥水コーティング剤において、ジメチルシリコーン樹脂液として脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%、変性シリコーン樹脂液として反応性シリコーン樹脂液3wt%と高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%、及びフッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成ることを特徴とする撥水コーティング剤を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る撥水コーティング剤の実施の形態について説明する。なお、配合割合の数値は全て重量パーセント(wt%)で表記されている。
【0011】
図1は本発明に係る撥水コーティング剤の組成一覧である。
【0012】
図2は本発明に係る撥水コーティング剤の具体的実施例の組成一覧である。
【0013】
図3は本発明に係る撥水コーティング剤のカビ抵抗性試験における3つの試験ピースの試験終了時の写真である。
【0014】
前提として、一品種のシリコーン樹脂のみでは目的とする撥水性、非粘着性、潤滑性、光沢、耐候性等の諸特性を兼ね備えるものを得ることはできない。そのため、それぞれ特性の優れたシリコーン樹脂を子細に検討して選定し、相溶性を確かめ、相乗効果を観察した。また、従来型シリコーン樹脂系コーティング剤は光沢性、耐候性、耐熱性等皮膜全体に係る特性に比して、撥水性、潤滑性、非粘着性等表面特性に係る特性が比較的劣化の進行し易い傾向があるので、これらを補い、これに持続性を持たせるためには皮膜構造を一部でも3次元化させ、より皮膜を緻密化させることが重要であることに着目した。
【0015】
以上の観点から、本発明の撥水コーティング剤は、イソヘキサン73〜85wt%を有機溶剤として、これにジメチルシリコーン樹脂と、変性シリコーン樹脂と、フッ素系シラン化合物(例えばパーフルオロシラン)と、シリコーン系触媒(例えばメトキシシラン化合物)と、抗菌剤と、を組成物として均質溶解させて成る構成としている。
【0016】
また、比較的特性の低下が進み易い撥水性、潤滑性を持続させるためには、これにシリコーンオイルを加えるのでは当初のこれらの特性付与には好ましくても汚染し易く且つシリコーンオイルの揮発により特性が喪失し易いことに鑑みて、シリコーンオイルを配合から除き、代わって変性シリコーン樹脂(反応性シリコーン樹脂)を配合し、これにフッ素系シラン化合物とシリコーン系触媒(シリコーン系架橋剤)を加えて架橋構造を有機溶剤中で作らせることにより皮膜の一部を3次元化させるようにして皮膜の物理的強度及びその持続性を強化している。このことは後述の[表1]に示された市販品の従来型シリコーン樹脂系コーティング剤の参考品と本発明品との屋外暴露試験結果の対比から本発明品の優位性が確認される。
【0017】
次に、上記組成物からなる本発明の撥水コーティング剤のより具体的な好ましい組成割合は、本発明者による研究試作によれば、図1の一覧に示されるように、イソヘキサン73〜85wt%を有機溶剤として、これにジメチルシリコーン樹脂液12〜16wt%と、変性シリコーン樹脂液3.1〜7wt%と、抗菌剤液0.5〜3wt%と、フッ素系シラン化合物0.1〜0.4wt%と、シリコーン系触媒0.3〜0.6wt%と、を均質溶解させたものが撥水性、非粘着性等の諸特性に加えて優れた耐候性、抗菌性を兼ね備えていて、適当であることが判った。
【0018】
即ち、上記組成物の配合割合に適合する撥水コーティング剤は、常温硬化型ジメチルシリコーン樹脂の一般的特徴である非粘着性、光沢性、耐候性の特性に溶剤中で変性シリコーン樹脂とフッ素系シラン化合物がシリコーン系架橋剤によって常温下で結合して生成されたフッ素・シリコーン樹脂のより優れた撥水性と潤滑性に透明性のある抗菌剤による抗菌性が有効に付与されているのである。
【0019】
本撥水コーティング剤は、通常の使用条件内であればトップコートされた皮膜の表面に付着した埃、塵、汚染物を乾いた布などで拭き取るか、中性洗剤水で表面を濡らした後、水洗いで付着したゴミ、排気物、油煙物などを除去することによって本来の特性を復元維持させることができる。そして、段ボール等の紙工品から金属、メッキ加工材等多種多様な物品の表面に刷毛塗り又はスプレー塗りによって簡単に塗布でき、自然乾燥で強固な撥水性の皮膜が形成されるのである。
【0020】
ところで、現在のところ撥水コーティング剤に抗菌性を付与したものは未だ無く、また他分野においてJIS規格に適合した抗菌剤を含有させて抗菌性を付与したと謳っている各種製品は抗菌性について不完全なものが甚だ多いのが現状である。即ち、判っているだけでも建築物から検出される菌の数は120種、住空間から検出される浮遊菌の数は50種以上あり、従来の抗菌性はその内の数種に対してのみ有効な抗菌剤を用いているに過ぎないのである。
【0021】
上記に鑑みて抗菌性の付与につき本撥水コーティング剤では、多数のカビ、細菌、淡水性藻類に有効な抗菌剤液の商品名アピザスAP−SS(アピザス株式会社製)を用いることで優れた抗菌性を獲得した。この抗菌剤液は日本、アメリカ、欧州の公的機関認可の安定薬剤の複合物で組成されており、低濃度で高い抗菌性、安全性、持続性を備えるもので、本撥水コーティング剤の抗菌性付与に最適である。
【0022】
次に、本発明者が組成及び配合割合の最も好ましい条件を特定する試作実験を鋭意行った結果、図2に示されるように、ジメチルシリコーン樹脂液として脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%、変性シリコーン樹脂液として反応性シリコーン樹脂液3wt%と高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%、及びフッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液(アピザスAP−SS)2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成る撥水コーティング剤が最も好ましい実施例として挙げられる。
【0023】
本撥水コーティング剤の製造手順は、配合混合容器に密閉式防爆型の撹拌装置付きステンレス容器を使用し、上記各種シリコーン樹脂液を順次秤量して撹拌中の容器中に投入し、最後にイソヘキサンを加え、さらに撹拌を30分間継続して行った。
【0024】
以下、上記撥水コーティング剤の撥水性の屋外暴露試験と促進劣化試験とカビ抵抗性試験の結果について説明する。
【0025】
[撥水性の屋外暴露試験]
試験板は縦×横×厚さが200mm×200mm×2mmのみがき鉄板を使用し、表面をイソヘキサンで洗浄して脱脂してから刷毛塗り1回塗布した。試験板を屋外暴露試験台に固定して略1カ月毎に表面を中性洗剤水で洗った後、流水で流し落として水滴の撥水性を目視検査した。
【0026】
従来の市販品(ジメチルシリコーン樹脂液とジメチルシリコーンオイルとリグロインを組成物とする。)と本撥水コーティング剤の試験結果は、下記[表1]の通りであり、本撥水コーティング剤の撥水性の効果持続の優位性が明らかとなった。
【0027】
【表1】
判定の基準は、流水洗浄後の水切れの状態と付着水滴の形状の状態を観察して、
○・・・水切れ早く、水滴の付着少なく形状もほぼ円形状である。
△・・・水切れやや遅くなり、水滴やや数増し、水滴の形状に尾が出る。小連球が見られて、形状は半球状である。
×・・・水切れ遅く、水滴に広がりが見られる。撥水性は殆ど無い。
【0028】
[ウェザオメーターによる促進劣化試験]
アルミ基材上に流し塗りした皮膜を各2枚(#1は室温で1日硬化、#2は140℃で30分硬化)をウェザオメーターにかけ、初期と2000時間経過後の皮膜特性を調べた。試験結果は、下記[表2]の通りであり、双方とも劣化が殆ど無く、優れた耐候性(耐久性)を備えることが明らかとなった。
【0029】
【表2】
[菌抵抗性試験]
71品種の試験菌(真菌)による下記アピザス法によるカビ抵抗性試験の促進効果試験である。培養条件は温度28〜30℃、湿度85%R.H以上。
【0030】
抗菌剤液としてアピザスAP−SSを用い、これを無添加、0.5wt%添加、1.0wt%添加の3種の撥水コーティング剤をそれぞれ塗装板に塗布して試験ピースNo.1、2、3として試験した。
【0031】
試験結果は、下記[表3]及び図3のようになり、実質上の評価基準から換算すると、7日で約3カ月、14日で約1年、21日で約2年、28日で約3年以上の期間の抗菌性が確認された。なお、図3中の符号1はNo.1試験ピース、符号2はNo.2試験ピース、符号3はNo.3試験ピースである。
【0032】
【表3】
評価の基準は、1・・全く菌が発育しない。2・・10%以下の菌の発育が認められる。3・・10〜30%の菌の発育が認められる。4・・30〜60%の菌の発育が認められる。5・・60%以上の完全発育が認められる。
【0033】
自然界又は人工的環境下では、試験室での菌類の培養促進試験よりも苛酷な場合もあるので、前記最も好ましい実施例では配合割合を2wt%としている。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る撥水コーティング剤は上記のように構成されているため、
(1)撥水性、潤滑性、非粘着性を備えるとともに高い耐候性、抗菌性を備え、保存性にも優れた特性を有する。
【0035】
(2)業務用のみならず家庭用としてもフッ素処理材等を除き、殆どの物品表面に塗膜できるので、多目的用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撥水コーティング剤の組成一覧である。
【図2】本発明に係る撥水コーティング剤の具体的実施例の組成一覧である。
【図3】本発明に係る撥水コーティング剤のカビ抵抗性試験における3つの試験ピースの試験終了時の写真である。
【符号の説明】
1 No.1試験ピース
2 No.2試験ピース
3 No.3試験ピース
【発明の属する技術分野】
本発明は、金属、ガラス、プラスチック、コンクリート等の各種物品の表面に塗布して主に撥水性を付与する撥水コーティング剤に関し、特に、抗菌性、潤滑性、非粘着性等の諸特性をも備える撥水コーティング剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
現在、撥水性を付与するコーティング剤として市販されているシリコーン樹脂系コーティング剤は、一般に通常のジメチルシリコーン樹脂をリグロイン若しくはトルエン等の有機溶剤に希釈溶解させたものであり、またこれにジメチルシリコーンオイル等を若干添加させたものである。
【0003】
なお、シリコーン(silicon)はシロキサン結合(Si−O−Si)をもつ高分子であって、ジメチルシロキサンの重合体が多く、耐熱性、耐寒性、耐油性、耐老化性に優れている。また、シリコーン樹脂は上記シロキサン結合を主鎖とするケイ素ポリマーの総称であって、分子量によりオイル、ゴム、樹脂の性状を示し、電気絶縁性、耐熱性、耐寒性、非粘着性、潤滑性等の点において特異な性質を示すものである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のシリコーン樹脂系コーティング剤を金属材などの対象物品の表面にコーティングして成る皮膜は3次元架橋に至らず、したがって硬度があっても脆く、衝撃等によって亀裂を生じやすいという難点があった。
【0005】
また、自然環境の変化、腐食性ガス等によってカビの発生その他の劣化が進行しやすく、したがって撥水性、潤滑性等のシリコーン樹脂特有の特徴にも劣化が発生する場合があった。
【0006】
また、従来の撥水コーティング剤には、一旦付着した染み等が中性洗剤で水洗いしても基材使用条件によっては良く取れないものもある。
【0007】
さらに、従来の撥水コーティング剤は主として業務用が念頭に置かれており、一般家庭用としても使用でき、多様な材質の表面にコーティング可能な常温乾燥型の撥水コーティング剤は未だ実現していない。
【0008】
本発明は上記従来の撥水コーティング剤の問題点に鑑みてなされたものであり、撥水性、潤滑性、は勿論、耐候性、抗菌性、非粘着性、保存性に優れた新規な組成の撥水コーティング剤を提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
本発明は、上記課題を達成するために、
(1)イソヘキサン73〜85wt%を溶剤として、これに均質溶解させたジメチルシリコーン樹脂と、変性シリコーン樹脂と、フッ素系シラン化合物と、シリコーン系触媒と、抗菌剤と、から成ることを特徴とする撥水コーティング剤を提供する。
(2)ジメチルシリコーン樹脂液12〜16wt%と、変性シリコーン樹脂液3.1〜7wt%と、抗菌剤液0.5〜3wt%と、フッ素系シラン化合物0.1〜0.4wt%と、シリコーン系触媒0.3〜0.6wt%と、をイソヘキサン73〜85wt%で均質溶解させて成ることを特徴とする撥水コーティング剤を提供する。
(3)上記(2)に記載の撥水コーティング剤において、ジメチルシリコーン樹脂液として脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%、変性シリコーン樹脂液として反応性シリコーン樹脂液3wt%と高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%、及びフッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成ることを特徴とする撥水コーティング剤を提供する。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明に係る撥水コーティング剤の実施の形態について説明する。なお、配合割合の数値は全て重量パーセント(wt%)で表記されている。
【0011】
図1は本発明に係る撥水コーティング剤の組成一覧である。
【0012】
図2は本発明に係る撥水コーティング剤の具体的実施例の組成一覧である。
【0013】
図3は本発明に係る撥水コーティング剤のカビ抵抗性試験における3つの試験ピースの試験終了時の写真である。
【0014】
前提として、一品種のシリコーン樹脂のみでは目的とする撥水性、非粘着性、潤滑性、光沢、耐候性等の諸特性を兼ね備えるものを得ることはできない。そのため、それぞれ特性の優れたシリコーン樹脂を子細に検討して選定し、相溶性を確かめ、相乗効果を観察した。また、従来型シリコーン樹脂系コーティング剤は光沢性、耐候性、耐熱性等皮膜全体に係る特性に比して、撥水性、潤滑性、非粘着性等表面特性に係る特性が比較的劣化の進行し易い傾向があるので、これらを補い、これに持続性を持たせるためには皮膜構造を一部でも3次元化させ、より皮膜を緻密化させることが重要であることに着目した。
【0015】
以上の観点から、本発明の撥水コーティング剤は、イソヘキサン73〜85wt%を有機溶剤として、これにジメチルシリコーン樹脂と、変性シリコーン樹脂と、フッ素系シラン化合物(例えばパーフルオロシラン)と、シリコーン系触媒(例えばメトキシシラン化合物)と、抗菌剤と、を組成物として均質溶解させて成る構成としている。
【0016】
また、比較的特性の低下が進み易い撥水性、潤滑性を持続させるためには、これにシリコーンオイルを加えるのでは当初のこれらの特性付与には好ましくても汚染し易く且つシリコーンオイルの揮発により特性が喪失し易いことに鑑みて、シリコーンオイルを配合から除き、代わって変性シリコーン樹脂(反応性シリコーン樹脂)を配合し、これにフッ素系シラン化合物とシリコーン系触媒(シリコーン系架橋剤)を加えて架橋構造を有機溶剤中で作らせることにより皮膜の一部を3次元化させるようにして皮膜の物理的強度及びその持続性を強化している。このことは後述の[表1]に示された市販品の従来型シリコーン樹脂系コーティング剤の参考品と本発明品との屋外暴露試験結果の対比から本発明品の優位性が確認される。
【0017】
次に、上記組成物からなる本発明の撥水コーティング剤のより具体的な好ましい組成割合は、本発明者による研究試作によれば、図1の一覧に示されるように、イソヘキサン73〜85wt%を有機溶剤として、これにジメチルシリコーン樹脂液12〜16wt%と、変性シリコーン樹脂液3.1〜7wt%と、抗菌剤液0.5〜3wt%と、フッ素系シラン化合物0.1〜0.4wt%と、シリコーン系触媒0.3〜0.6wt%と、を均質溶解させたものが撥水性、非粘着性等の諸特性に加えて優れた耐候性、抗菌性を兼ね備えていて、適当であることが判った。
【0018】
即ち、上記組成物の配合割合に適合する撥水コーティング剤は、常温硬化型ジメチルシリコーン樹脂の一般的特徴である非粘着性、光沢性、耐候性の特性に溶剤中で変性シリコーン樹脂とフッ素系シラン化合物がシリコーン系架橋剤によって常温下で結合して生成されたフッ素・シリコーン樹脂のより優れた撥水性と潤滑性に透明性のある抗菌剤による抗菌性が有効に付与されているのである。
【0019】
本撥水コーティング剤は、通常の使用条件内であればトップコートされた皮膜の表面に付着した埃、塵、汚染物を乾いた布などで拭き取るか、中性洗剤水で表面を濡らした後、水洗いで付着したゴミ、排気物、油煙物などを除去することによって本来の特性を復元維持させることができる。そして、段ボール等の紙工品から金属、メッキ加工材等多種多様な物品の表面に刷毛塗り又はスプレー塗りによって簡単に塗布でき、自然乾燥で強固な撥水性の皮膜が形成されるのである。
【0020】
ところで、現在のところ撥水コーティング剤に抗菌性を付与したものは未だ無く、また他分野においてJIS規格に適合した抗菌剤を含有させて抗菌性を付与したと謳っている各種製品は抗菌性について不完全なものが甚だ多いのが現状である。即ち、判っているだけでも建築物から検出される菌の数は120種、住空間から検出される浮遊菌の数は50種以上あり、従来の抗菌性はその内の数種に対してのみ有効な抗菌剤を用いているに過ぎないのである。
【0021】
上記に鑑みて抗菌性の付与につき本撥水コーティング剤では、多数のカビ、細菌、淡水性藻類に有効な抗菌剤液の商品名アピザスAP−SS(アピザス株式会社製)を用いることで優れた抗菌性を獲得した。この抗菌剤液は日本、アメリカ、欧州の公的機関認可の安定薬剤の複合物で組成されており、低濃度で高い抗菌性、安全性、持続性を備えるもので、本撥水コーティング剤の抗菌性付与に最適である。
【0022】
次に、本発明者が組成及び配合割合の最も好ましい条件を特定する試作実験を鋭意行った結果、図2に示されるように、ジメチルシリコーン樹脂液として脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%、変性シリコーン樹脂液として反応性シリコーン樹脂液3wt%と高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%、及びフッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液(アピザスAP−SS)2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成る撥水コーティング剤が最も好ましい実施例として挙げられる。
【0023】
本撥水コーティング剤の製造手順は、配合混合容器に密閉式防爆型の撹拌装置付きステンレス容器を使用し、上記各種シリコーン樹脂液を順次秤量して撹拌中の容器中に投入し、最後にイソヘキサンを加え、さらに撹拌を30分間継続して行った。
【0024】
以下、上記撥水コーティング剤の撥水性の屋外暴露試験と促進劣化試験とカビ抵抗性試験の結果について説明する。
【0025】
[撥水性の屋外暴露試験]
試験板は縦×横×厚さが200mm×200mm×2mmのみがき鉄板を使用し、表面をイソヘキサンで洗浄して脱脂してから刷毛塗り1回塗布した。試験板を屋外暴露試験台に固定して略1カ月毎に表面を中性洗剤水で洗った後、流水で流し落として水滴の撥水性を目視検査した。
【0026】
従来の市販品(ジメチルシリコーン樹脂液とジメチルシリコーンオイルとリグロインを組成物とする。)と本撥水コーティング剤の試験結果は、下記[表1]の通りであり、本撥水コーティング剤の撥水性の効果持続の優位性が明らかとなった。
【0027】
【表1】
判定の基準は、流水洗浄後の水切れの状態と付着水滴の形状の状態を観察して、
○・・・水切れ早く、水滴の付着少なく形状もほぼ円形状である。
△・・・水切れやや遅くなり、水滴やや数増し、水滴の形状に尾が出る。小連球が見られて、形状は半球状である。
×・・・水切れ遅く、水滴に広がりが見られる。撥水性は殆ど無い。
【0028】
[ウェザオメーターによる促進劣化試験]
アルミ基材上に流し塗りした皮膜を各2枚(#1は室温で1日硬化、#2は140℃で30分硬化)をウェザオメーターにかけ、初期と2000時間経過後の皮膜特性を調べた。試験結果は、下記[表2]の通りであり、双方とも劣化が殆ど無く、優れた耐候性(耐久性)を備えることが明らかとなった。
【0029】
【表2】
[菌抵抗性試験]
71品種の試験菌(真菌)による下記アピザス法によるカビ抵抗性試験の促進効果試験である。培養条件は温度28〜30℃、湿度85%R.H以上。
【0030】
抗菌剤液としてアピザスAP−SSを用い、これを無添加、0.5wt%添加、1.0wt%添加の3種の撥水コーティング剤をそれぞれ塗装板に塗布して試験ピースNo.1、2、3として試験した。
【0031】
試験結果は、下記[表3]及び図3のようになり、実質上の評価基準から換算すると、7日で約3カ月、14日で約1年、21日で約2年、28日で約3年以上の期間の抗菌性が確認された。なお、図3中の符号1はNo.1試験ピース、符号2はNo.2試験ピース、符号3はNo.3試験ピースである。
【0032】
【表3】
評価の基準は、1・・全く菌が発育しない。2・・10%以下の菌の発育が認められる。3・・10〜30%の菌の発育が認められる。4・・30〜60%の菌の発育が認められる。5・・60%以上の完全発育が認められる。
【0033】
自然界又は人工的環境下では、試験室での菌類の培養促進試験よりも苛酷な場合もあるので、前記最も好ましい実施例では配合割合を2wt%としている。
【0034】
【発明の効果】
本発明に係る撥水コーティング剤は上記のように構成されているため、
(1)撥水性、潤滑性、非粘着性を備えるとともに高い耐候性、抗菌性を備え、保存性にも優れた特性を有する。
【0035】
(2)業務用のみならず家庭用としてもフッ素処理材等を除き、殆どの物品表面に塗膜できるので、多目的用途に使用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る撥水コーティング剤の組成一覧である。
【図2】本発明に係る撥水コーティング剤の具体的実施例の組成一覧である。
【図3】本発明に係る撥水コーティング剤のカビ抵抗性試験における3つの試験ピースの試験終了時の写真である。
【符号の説明】
1 No.1試験ピース
2 No.2試験ピース
3 No.3試験ピース
Claims (3)
- イソヘキサン73〜85wt%を溶剤として、これに均質溶解させたジメチルシリコーン樹脂と、変性シリコーン樹脂と、フッ素系シラン化合物と、シリコーン系触媒と、抗菌剤と、から成ることを特徴とする撥水コーティング剤。
- ジメチルシリコーン樹脂液12〜16wt%と、変性シリコーン樹脂液3.1〜7wt%と、抗菌剤液0.5〜3wt%と、フッ素系シラン化合物0.1〜0.4wt%と、シリコーン系触媒0.3〜0.6wt%と、をイソヘキサン73〜85wt%で均質溶解させて成ることを特徴とする撥水コーティング剤。
- 請求項2に記載の撥水コーティング剤において、ジメチルシリコーン樹脂液として脱メタノール型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%と脱オキシム型ジメチルシリコーン樹脂液7wt%、変性シリコーン樹脂液として反応性シリコーン樹脂液3wt%と高重合度シリコーン樹脂液1.8wt%と無溶剤シリコーン樹脂液0.6wt%、及びフッ素系シラン化合物0.2wt%と、シリコーン系架橋剤0.4wt%と、抗菌剤液2wt%と、をイソヘキサン78wt%で均質溶解させて成ることを特徴とする撥水コーティング剤。
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