【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、滑り止めフィルム（滑り止めシートも含む）に関する。
【０００２】
【従来の技術】
近年、医療や介護等の現場では、雑菌による汚染や日常の汚れを防ぐ目的で、床や机等に保護カバー（防汚カバー）を敷いたり、掛けたりすることが一般的に行われている。保護カバーとしては、通常、布が用いられるが、保護カバーを床に敷いて上を歩行する場合、滑りやすく、転倒しやすいという問題点がある。また、保護カバーを机等に掛ける場合にも、手をついたり道具を置いた際に、滑ってケガをしやすかったり、道具が落下しやすいという問題点がある。したがって、通常はこれらのことに注意しながら作業が行われている。
【０００３】
一方、保護カバーが布製である場合、洗濯により再利用することができる。しかし、保護カバーが日常の汚れを防ぐ目的で床等に敷かれる場合、洗濯等の手数を省くためや、繰り返し使用されることによる衛生面の問題の発生を防止するために、使い捨て型の保護カバーが望まれている。
【０００４】
床に敷く敷物の滑り止め対策として、例えば、熱可塑性樹脂からなる糸（パイル）の先端を溶融させて球状溶融塊を形成させ、その球状溶融塊を敷物の裏面に特定の割合で分布させることにより、滑り止め機能を付与した敷物が開示されている（例えば、特許文献１参照。）。
【０００５】
しかし、上記方法は、熱可塑性樹脂からなる糸（パイル）を有している敷物にしか適用できないという問題点がある。
【０００６】
また、滑り止めシートとして、例えば、合成繊維を用いて多数のメッシュ孔が形成されたメッシュ地を編成し、このメッシュ地を構成する合成繊維の周囲全体にポリウレタン樹脂等の滑り止め剤を塗着するとともに、この滑り止め剤からなる薄い塗膜を一部のメッシュ孔に設けることにより、滑り止め機能を付与したノンスリップシートが開示されている（例えば、特許文献２参照。）。
【０００７】
さらに、荷崩れ防止用の包装袋として、例えば、片面上または両面上に常温下において微粘着性を有する荷崩れ防止用微粘着部を予め設けることにより、滑り止め性（荷崩れ防止性）を付与したプラスチック製重量用包装袋が開示されている（例えば、特許文献３参照。）。
【０００８】
しかし、これらのノンスリップシートや包装袋の場合、滑り止め剤を用いたり、滑り止め剤からなる塗膜や微粘着性を有する微粘着部を予め設ける必要があり、これらは繰り返し使用を前提としたものであって、使い捨て型としては過剰品質である。また、使い捨て型とするには、製造工程が増えるので、作業が煩雑であり、コスト面でも不利であるという問題点がある。さらに、滑り止め剤からなる塗膜や微粘着性を有する微粘着部が使用中や輸送中に剥がれて、効果を失ったり、不要な箇所に付着するという問題点もある。
【０００９】
【特許文献１】
特公平３−６０４８３号公報
【特許文献２】
特許第２５４３４３２号公報
【特許文献３】
特開昭５５−１４３２５９号公報
【００１０】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、上記問題点に鑑み、摩擦係数が高く、優れた滑り止め機能を発現するとともに、成形性（製膜性）が良好であってコスト面でも有利である、特に使い捨て用として好適な滑り止めフィルムを提供することにある。
【００１１】
【課題を解決するための手段】
請求項１に記載の発明（以下、「本発明１」と記す）による滑り止めフィルムは、基材層の片面に滑り止め層が積層されてなる少なくとも２層構成の滑り止めフィルムであって、上記滑り止め層が、密度０．８６０〜０．９１５ｇ／ｃｍ３ の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂から形成され、かつ、表面にエンボス加工処理が施されていることを特徴とする。
【００１２】
請求項２に記載の発明（以下、「本発明２」と記す）による滑り止めフィルムは、基材層の片面に滑り止め層が積層されてなる少なくとも２層構成の滑り止めフィルムであって、上記滑り止め層が、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂０〜９０重量％、および、密度０．９１０ｇ／ｃｍ３ 以下のポリオレフィン系エラストマーおよび／またはポリスチレン系エラストマー１０〜１００重量％を含有する樹脂組成物から形成され、かつ、表面にエンボス加工処理が施されていることを特徴とする。
【００１３】
請求項３に記載の発明（以下、「本発明３」と記す）による滑り止めフィルムは、基材層の片面に滑り止め層が積層されてなる少なくとも２層構成の滑り止めフィルムであって、上記滑り止め層が、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂０〜５０重量％および酢酸ビニル含有量が２０重量％以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体５０〜１００重量％を含有する樹脂組成物から形成され、かつ、表面にエンボス加工処理が施されていることを特徴とする。
【００１４】
また、請求項４に記載の発明による滑り止めフィルムは、上記請求項１〜請求項３のいずれか１項に記載の滑り止めフィルムにおいて、滑り止め層が積層されていない方の基材層面に表面層が積層されてなることを特徴とする。
【００１５】
本発明（本発明１〜本発明３）の滑り止めフィルムは、基材層の片面に滑り止め層を積層した少なくとも２層構成とし、上記基材層には、滑り止めフィルムとして必要なフィルム強度や柔軟性等の物性を発現させ、上記滑り止め層には、適度な粘着性（微粘着性）を付与して、優れた滑り止め機能を発現させることを骨子とする。
【００１６】
本発明の滑り止めフィルムを構成する基材層を形成するために用いられる基材層用樹脂としては、特に限定されるものではないが、例えば、ポリエチレン系樹脂、ポリプロピレン系樹脂、エチレン−酢酸ビニル共重合体などのポリオレフィン系樹脂、軟質塩化ビニル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリウレタン系樹脂、ポリカーボネート系樹脂等が挙げられるが、なかでも、後述する滑り止め層との密着性や親和性に優れることから、ポリオレフィン系樹脂が好適に用いられ、とりわけ、安全性やコスト面で有利であることから、ポリエチレン系樹脂がより好適に用いられる。これらの基材層用樹脂は、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００１７】
上記基材層用樹脂には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、充填剤、軟化剤（可塑剤）、酸化防止剤（老化防止剤）、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の１種類もしくは２種類以上が添加されていても良い。
【００１８】
本発明１の滑り止めフィルムを構成する滑り止め層は、密度が０．８６０〜０．９１５ｇ／ｃｍ３ の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂（以下、「ＬＬＤＰＥ」と記す）から形成される。上記ＬＬＤＰＥは、密度が０．８６０〜０．９１５ｇ／ｃｍ３ のものであるかぎり、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００１９】
滑り止め層を密度が０．８６０〜０．９１５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥから形成することにより、滑り止め層は、適度な粘着性（微粘着性）を帯びて、優れた滑り止め機能を発現するものとなり、得られる滑り止めフィルムは、優れた滑り止め機能と優れたフィルム強度や柔軟性等の物性とを兼備するものとなる。
【００２０】
上記ＬＬＤＰＥの密度が０．８６０ｇ／ｃｍ３ 未満であると、滑り止め層の粘着性が強くなりすぎ、逆に上記ＬＬＤＰＥの密度が０．９１５ｇ／ｃｍ３ を超えると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。
【００２１】
本発明２の滑り止めフィルムを構成する滑り止め層は、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ の直鎖状低密度ポリエチレン樹脂０〜９０重量％、および、密度０．９１０ｇ／ｃｍ３ 以下のポリオレフィン系エラストマーおよび／またはポリスチレン系エラストマー１０〜１００重量％を含有する樹脂組成物から形成される。
【００２２】
滑り止め層を上記樹脂組成物から形成することにより、滑り止め層は、適度な粘着性（微粘着性）を帯びて、優れた滑り止め機能を発現するものとなり、得られる滑り止めフィルムは、優れた滑り止め機能と優れたフィルム強度や柔軟性等の物性とを兼備するものとなる。
【００２３】
上記樹脂組成物に用いられうるＬＬＤＰＥは、密度が０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ であることが必要である。上記ＬＬＤＰＥは、密度が０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のものであるかぎり、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００２４】
上記ＬＬＤＰＥの密度が０．９１５ｇ／ｃｍ３ 未満であると、滑り止め層の粘着性が強くなりすぎ、逆に上記ＬＬＤＰＥの密度が０．９４０ｇ／ｃｍ３ を超えると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。
【００２５】
上記樹脂組成物に用いられうるポリオレフィン系エラストマーは、密度が０．９１０ｇ／ｃｍ３ 以下であることが必要である。上記ポリオレフィン系エラストマーの密度が０．９１０ｇ／ｃｍ３ を超えると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。
【００２６】
上記ポリオレフィン系エラストマーとは、常温ではゴム弾性を示し、高温では可塑化されて各種の成形加工が可能となるものであり、一般に、分子中にゴム弾性を有するソフトセグメント（エラストマー成分）と塑性変形を防止するためのハードセグメント（分子拘束成分）とを共有していることが多く、成形可能な範囲においては部分架橋構造を有する場合もあるが、広範囲の三次元架橋構造（網目構造）は有していない。
【００２７】
上記ポリオレフィン系エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、ソフトセグメントとしてポリエチレン、エチレンと少量のジエンとの共重合体、または、これらの部分架橋物等を有し、ハードセグメントとしてポリプロピレン等を有するブロック共重合体やエチレンとプロピレンとのエチレンを主体とするランダム共重合体等からなるポリエチレン系エラストマーや、プロピレンと少量のジエンとの共重合体やプロピレンとエチレンとのプロピレンを主体とするランダム共重合体等からなるポリプロピレン系エラストマー等が挙げられる。これらのポリオレフィン系エラストマーは、密度が０．９１０ｇ／ｃｍ３ 以下のものであるかぎり、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００２８】
上記樹脂組成物に用いられうるポリスチレン系エラストマーとしては、特に限定されるものではないが、例えば、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレン−イソプレン−スチレンブロック共重合体、これらの共役ジエン部分に水素添加して得られるスチレン−エチレン−ブチレン−スチレンブロック共重合体、スチレン−エチレン−プロピレン−スチレンブロック共重合体等が挙げられる。これらのポリスチレン系エラストマーは、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００２９】
上記樹脂組成物に用いられうる密度０．９１０ｇ／ｃｍ３ 以下のポリオレフィン系エラストマーおよびポリスチレン系エラストマーは、それぞれ単独で用いられても良いし、両者が併用されても良い。
【００３０】
本発明２で用いられる樹脂組成物は、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ０〜９０重量％および上記密度０．９１０ｇ／ｃｍ３ 以下のポリオレフィン系エラストマーおよび／またはポリスチレン系エラストマー１０〜１００重量％を含有していることが必要である。
【００３１】
上記ＬＬＤＰＥと上記エラストマーとを上記割合で含有する樹脂組成物を用いることにより、上記ＬＬＤＰＥの密度は本発明１で用いるＬＬＤＰＥの密度よりも高いにもかかわらず、滑り止め層は適度な粘着性（微粘着性）を帯びるものとなり、得られる滑り止めフィルムは優れた滑り止め機能を発現するものとなる。
【００３２】
上記樹脂組成物において、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥの含有量が９０重量％を超えるか、上記エラストマーの含有量が１０重量％未満であると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。
【００３３】
本発明３の滑り止めフィルムを構成する滑り止め層は、密度が０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ０〜５０重量％および酢酸ビニル含有量が２０重量％以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体５０〜１００重量％を含有する樹脂組成物から形成される。
【００３４】
滑り止め層を上記樹脂組成物から形成することにより、滑り止め層は、適度な粘着性（微粘着性）を帯びて、優れた滑り止め機能を発現するものとなり、得られる滑り止めフィルムは、優れた滑り止め機能と優れたフィルム強度や柔軟性等の物性とを兼備するものとなる。
【００３５】
上記樹脂組成物に用いられうるＬＬＤＰＥは、密度が０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ であることが必要である。上記ＬＬＤＰＥは、密度が０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のものであるかぎり、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００３６】
上記ＬＬＤＰＥの密度が０．９１５ｇ／ｃｍ３ 未満であると、滑り止め層の粘着性が強くなりすぎ、逆に上記ＬＬＤＰＥの密度が０．９４０ｇ／ｃｍ３ を超えると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。
【００３７】
上記樹脂組成物に用いられるエチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が２０重量％以上であることが必要である。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体の酢酸ビニル含有量が２０重量％未満であると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。上記エチレン−酢酸ビニル共重合体は、酢酸ビニル含有量が２０重量％以上のものであるかぎり、単独で用いられても良いし、２種類以上が併用されても良い。
【００３８】
本発明３で用いられる樹脂組成物は、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ０〜５０重量％および上記酢酸ビニル含有量が２０重量％以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体５０〜１００重量％を含有していることが必要である。
【００３９】
上記ＬＬＤＰＥと上記エチレン−酢酸ビニル共重合体とを上記割合で含有する樹脂組成物を用いることにより、上記ＬＬＤＰＥの密度は本発明１で用いるＬＬＤＰＥの密度よりも高いにもかかわらず、滑り止め層は適度な粘着性（微粘着性）を帯びるものとなり、得られる滑り止めフィルムは優れた滑り止め機能を発現するものとなる。
【００４０】
上記樹脂組成物において、密度０．９１５〜０．９４０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥの含有量が５０重量％を超えるか、酢酸ビニル含有量が２０重量％以上のエチレン−酢酸ビニル共重合体の含有量が５０重量％未満であると、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びず、得られる滑り止めフィルムの滑り止め機能が不十分となる。
【００４１】
本発明１で滑り止め層用として用いられる密度０．８６０〜０．９１５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ、本発明２で滑り止め層用として用いられる樹脂組成物および本発明３で滑り止め層用として用いられる樹脂組成物には、本発明の課題達成を阻害しない範囲で必要に応じて、例えば、充填剤、軟化剤（可塑剤）、酸化防止剤（老化防止剤）、熱安定剤、光安定剤、紫外線吸収剤、着色剤、滑剤、帯電防止剤、難燃剤等の各種添加剤の１種類もしくは２種類以上が添加されていても良い。
【００４２】
本発明の滑り止めフィルムを構成する滑り止め層は、表面にエンボス加工処理が施されている。
【００４３】
本発明の滑り止めフィルムは、滑り止め層が適度な粘着性（微粘着性）を帯びているため、滑りにくいが、滑り止め層の表面にエンボス加工処理を施すことにより、加工時や使用時における適度な滑り性や耐ブロッキング性（アンチブロッキング性）を付与することができる。
【００４４】
上記エンボス加工処理は、成形（製膜）された滑り止め層単体の表面に施しても良いし、基材層の片面に積層された滑り止め層の表面に施しても良い。
【００４５】
滑り止め層の表面にエンボス加工処理を施す方法は、特に限定されるものではなく、例えば、所望のエンボス形状（エンボスパターン）が刻線されたエンボスロールを用いて、常温下もしくは加熱下、そのエンボス形状を滑り止め層の表面に転写することにより、所望の形状のエンボスを滑り止め層の表面に施すことができる。
【００４６】
本発明の滑り止めフィルムの製造方法としては、特に限定されるものではないが、例えば、基材層と滑り止め層とを例えばＴダイ成形法やインフレーション成形法等により個別に成形（製膜）した後、例えばドライラミネート用接着剤を用いて両者を接着するドライラミネート法、基材層と滑り止め層とをＴダイ成形法により同時もしくは逐次的に押し出してラミネートする押出ラミネート法、基材層と滑り止め層とをＴダイ成形法により一括して同時に共押し出しする２層共押出法等が挙げられ、いずれの製造方法が採られても良いが、なかでも、生産性に優れ、滑り止め層表面へのエンボス加工処理も施しやすいことから、２層共押出法を採ることが好ましい。
【００４７】
本発明の滑り止めフィルムの厚みは、滑り止めフィルムの用途や使用目的等に対応して適宜設定されれば良く、特に限定されるものではない。
【００４８】
本発明の滑り止めフィルムは、補強効果や美粧性等を付与するために、滑り止め層が積層されていない方の基材層面に表面層が積層されていることが好ましい。
【００４９】
上記表面層としては、滑り止めフィルムに補強効果や美粧性等を付与しうるものであれば良く、特に限定されるものではないが、例えば、紙、化粧紙、ダンボール、織布、不織布、各種プラスチックフィルム等やこれらの積層体等が挙げられる。
【００５０】
滑り止め層が積層されていない方の基材層面に表面層を積層する方法は、特に限定されるものではなく、例えば、表面層が押出成形不能な材料である場合、例えばドライラミネート法等により基材層の所定の面に表面層を積層すれば良い。
また、表面層が押出成形可能な材料である場合、基材層の一方の面に滑り止め層が積層され、基材層の他方の面に表面層が積層されるように、Ｔダイ成形法による３層共押出成形を行って、表面層、基材層および滑り止め層をこの順に積層すれば良い。
【００５１】
【作用】
本発明の滑り止めフィルムは、基材層の片面に滑り止め層が積層された少なくとも２層構成となされており、かつ、上記基材層が滑り止めフィルムとして必要なフィルム強度や柔軟性等の物性を発現し、上記滑り止め層が、特定の密度を有するＬＬＤＰＥや特定の樹脂組成物から形成されることにより、適度な粘着性（微粘着性）を帯びて、優れた滑り止め機能を発現するようになされているので、優れた滑り止め機能と優れたフィルム強度や柔軟性等の物性とを兼備する。
【００５２】
また、本発明の滑り止めフィルムは、上記滑り止め層の表面にエンボス加工処理が施されているので、加工時や使用時において適度な滑り性や耐ブロッキング性を発現する。
【００５３】
さらに、本発明の滑り止めフィルムは、滑り止め層が積層されていない方の基材層面に表面層を積層することにより、フィルム強度等の物性がより向上したり、美粧性が付与されたものとなる。
【００５４】
【発明の実施の形態】
本発明をさらに詳しく説明するため以下に実施例を挙げるが、本発明はこれらの実施例のみに限定されるものではない。なお、実施例中の「部」は「重量部」を意味する。
【００５５】
（実施例１）
基材層用として、密度が０．９３５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ（商品名「ノバテックＬＬ−ＳＦ９４１」、日本ポリケム社製）８０部および密度が０．９２０ｇ／ｃｍ３ の低密度ポリエチレン樹脂（商品名「サンテックＬＤ−Ｆ１９２０」、旭化成工業社製）２０部を混合して、ポリオレフィン系樹脂組成物を調製した。また、滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ（商品名「エボリューＳＰ０５４０」、三井化学社製）を単独で用いた。
【００５６】
上記基材層用のポリオレフィン系樹脂組成物と滑り止め層用のＬＬＤＰＥとを、層厚比が基材層／滑り止め層＝４／１となるように、Ｔダイ成形法により２層共押し出し成形を行った。上記成形の際には、滑り止め層の表面にエンボス加工処理（マット加工処理）を施して、厚み３５μｍの２層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００５７】
また、上記で得られた２層構成の滑り止めフィルムの滑り止め層が積層されていない方の基材層面に、不織布とポリエチレン系樹脂フィルムとが積層されてなる表面層のポリエチレン系樹脂フィルム面をドライラミネート法によって積層し、３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００５８】
（実施例２）
滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ０５４０」の代わりに、密度が０．９２０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ（商品名「エボリューＳＰ２０４０」、三井化学社製）５０部および密度が０．８８０ｇ／ｃｍ３ のポリエチレン系エラストマー（商品名「タフマーＡ４０８５」、三井化学社製）５０部からなる樹脂組成物を用いたこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムおよび３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００５９】
（実施例３）
滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ０５４０」の代わりに、密度が０．９２０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ２０４０」５０部およびポリスチレン系エラストマー（商品名「タフテックＨ１０５２」、旭化成工業社製）５０部からなる樹脂組成物を用いたこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムおよび３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００６０】
（実施例４）
滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ０５４０」の代わりに、密度が０．９００ｇ／ｃｍ３ のポリプロピレン系エラストマー（商品名「キャタロイＫＳ３５９」、サンアロマー社製）を単独で用いたこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムおよび３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００６１】
（実施例５）
滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ０５４０」の代わりに、酢酸ビニル含有量が２５重量％のエチレン−酢酸ビニル共重合体（商品名「ウルトラセン６３５」、東ソー社製）を単独で用いたこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムおよび３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００６２】
（比較例１）
滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ０５４０」の代わりに、密度が０．９２０ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ２０４０」を単独で用いたこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムおよび３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００６３】
（比較例２）
滑り止め層用として、密度が０．９０５ｇ／ｃｍ３ のＬＬＤＰＥ「エボリューＳＰ０５４０」の代わりに、酢酸ビニル含有量が８重量％のエチレン−酢酸ビニル共重合体（商品名「エバフレックスＶ９８３」、三井デュポン社製）を単独で用いたこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムおよび３層構成の滑り止めフィルムを製造した。
【００６４】
（比較例３）
滑り止め層の表面にエンボス加工処理（マット加工処理）を施さなかったこと以外は実施例１の場合と同様にして、２層構成の滑り止めフィルムを製造したが、滑り止め層の滑りが悪かったため、フィルムに皺が入り、綺麗な滑り止めフィルムを得ることができなかった。したがって、３層構成の滑り止めフィルムを製造することができなかった。
【００６５】
実施例１〜実施例５、ならびに、比較例１〜比較例３で得られた２層構成の滑り止めフィルムの性能（▲１▼成形性、▲２▼摩擦係数、▲３▼滑り止め性）を以下の方法で評価した。その結果は表１に示すとおりであった。
【００６６】
▲１▼成形性
２層共押し出し成形時の成形性を下記判定基準により評価した。
〔評価基準〕
○‥‥何ら問題なく成形（製膜）できた。
×‥‥滑り止め層の滑りが悪く、フィルムに皺が入り、綺麗な滑り止めフィ
ルムを得られなかった。
▲２▼摩擦係数
ＪＩＳ Ｋ−７１２５「プラスチック−フィルム及びシート−摩擦係数試験方法」に準拠して、滑り止めフィルムの静摩擦係数および動摩擦係数を測定した。なお、上記摩擦係数の測定は、滑り止め層面−滑り止め層面、滑り止め層面−基材層面、滑り止め層面−金属面（ＪＩＳ Ｋ−７１２５に規定される非磁性金属面）の３種の組み合わせについて行った。
【００６７】
▲３▼滑り止め性
２層構成の滑り止めフィルムの滑り止め層面を塩化ビニル製タイルの上に敷き、基材層面に足を載せて角度９０度に捻った時の滑り止めフィルムの滑り具合を確認し、下記判定基準により滑り止めフィルムの滑り止め性を官能的に評価した。
〔判定基準〕
○‥‥滑り止めフィルムは全く滑らなかった。
△‥‥滑り止めフィルムに若干の浮きが認められた。
×‥‥滑り止めフィルムが完全に浮き、足にまとわりついた。
【００６８】
また、実施例１〜実施例５、ならびに、比較例１および比較例２で得られた３層構成の滑り止めフィルムの性能（▲４▼滑り止め性）を以下の方法で評価した。その結果は表１に示すとおりであった。
【００６９】
▲４▼滑り止め性
３層構成の滑り止めフィルムの滑り止め層面を塩化ビニル製タイルの上に敷き、不織布面に足を載せて角度９０度に捻った時の滑り止めフィルムの滑り具合を確認し、▲３▼の場合と同様の判定基準により滑り止めフィルムの滑り止め性を官能的に評価した。
【００７０】
【表１】
【００７１】表１から明らかなように、本発明による実施例１〜実施例５の２層構成の滑り止めフィルムは、いずれも成形性が良好であるとともに、摩擦係数が高く、優れた滑り止め性を発現した。また、これらの２層構成の滑り止めフィルムを用いて作製した３層構成の滑り止めフィルムも全て優れた滑り止め性を発現した。
【００７２】
これに対し、滑り止め層用として密度が０．９１５ｇ／ｃｍ３ を超えていたＬＬＤＰＥを単独で用いた比較例１の２層構成の滑り止めフィルムは、摩擦係数が低く、この２層構成の滑り止めフィルムを用いて作製した３層構成の滑り止めフィルムともども、滑り止め性が悪かった。また、滑り止め層用として酢酸ビニル含有量が２０重量％未満のエチレン−酢酸ビニル共重合体を単独で用いた比較例２の２層構成の滑り止めフィルムは、摩擦係数が低く、この２層構成の滑り止めフィルムを用いて作製した３層構成の滑り止めフィルムともども、滑り止め性が劣っていた。さらに、滑り止め層の表面にエンボス加工処理（マット加工処理）を施さなかった比較例３の２層構成の滑り止めフィルムは、滑り止め層の滑りが悪く、フィルムに皺が入り、綺麗な滑り止めフィルムを得ることができなかったので、３層構成の滑り止めフィルムを製造することができなかった。
【００７３】
【発明の効果】
以上述べたように、本発明の滑り止めフィルムは、摩擦係数が高く、優れた滑り止め性を発現するとともに、成形性（製膜性）が良好であってコスト面でも有利であるので、医療用途や介護用途を始め各種用途むけの特に使い捨て用の保護カバー（防汚カバー）等として好適に用いられる。[0001]
TECHNICAL FIELD OF THE INVENTION
The present invention relates to a non-slip film (including a non-slip sheet).
[0002]
[Prior art]
2. Description of the Related Art In recent years, in the field of medical care and nursing care, a protective cover (antifouling cover) is generally laid or hung on a floor or a desk for the purpose of preventing contamination by bacteria and daily dirt. As the protective cover, a cloth is usually used, but when walking on the floor with the protective cover laid thereon, there is a problem that it is slippery and falls easily. Further, when the protective cover is hung on a desk or the like, there is also a problem that, when the user puts his hand or puts the tool, he or she easily slips and is injured, or the tool easily falls. Therefore, work is usually performed while paying attention to these points.
[0003]
On the other hand, when the protective cover is made of cloth, it can be reused by washing. However, when the protective cover is laid on the floor to prevent daily dirt, disposable protection is required to reduce the number of steps such as washing, and to prevent the occurrence of hygiene problems due to repeated use. A cover is desired.
[0004]
As a non-slip measure for rugs laid on the floor, for example, the tip of a thread (pile) made of a thermoplastic resin is melted to form a spherical molten mass, and the spherical molten mass is distributed at a specific ratio on the back surface of the rug. Discloses a rug provided with a non-slip function (for example, see Patent Document 1).
[0005]
However, there is a problem that the above method can be applied only to a rug having a thread (pile) made of a thermoplastic resin.
[0006]
Further, as a non-slip sheet, for example, a knitted mesh fabric having a large number of mesh holes formed using synthetic fibers is coated with a non-slip agent such as a polyurethane resin around the entirety of the synthetic fibers constituting the mesh fabric. In addition, a non-slip sheet provided with an anti-slip function by providing a thin coating film made of the anti-slip agent in some mesh holes is disclosed (for example, see Patent Document 2).
[0007]
Further, as a packing bag for preventing the collapse of the load, for example, by providing a slightly adhesive portion for preventing the collapse of the load having a slight adhesiveness at room temperature on one or both sides in advance, the anti-slip property (prevention of the collapse of the load) is provided. A plastic weight packaging bag provided is disclosed (for example, see Patent Document 3).
[0008]
However, in the case of these non-slip sheets and packaging bags, it is necessary to use a non-slip agent, or to provide a coating film or a micro-adhesive portion having a slight adhesive property of the anti-slip agent in advance, and these are premised on repeated use. It is an excessive quality for a disposable type. In addition, the use of a disposable type has a problem that the number of manufacturing steps is increased, the work is complicated, and the cost is disadvantageous. Further, there is also a problem that a coating film made of an anti-slip agent or a slightly tacky portion having a slight tackiness is peeled off during use or transportation, losing its effect, or adhering to an unnecessary portion.
[0009]
[Patent Document 1]
Japanese Patent Publication No. 3-60483
[Patent Document 2]
Japanese Patent No. 2543432
[Patent Document 3]
JP-A-55-143259
[0010]
[Problems to be solved by the invention]
SUMMARY OF THE INVENTION In view of the above problems, an object of the present invention is to provide a high coefficient of friction, exhibit an excellent anti-slip function, and have good moldability (film-forming properties) and are also advantageous in terms of cost. It is to provide a suitable anti-slip film.
[0011]
[Means for Solving the Problems]
The non-slip film according to the invention of claim 1 (hereinafter, referred to as “the present invention 1”) is a non-slip film having at least two-layer structure in which a non-slip layer is laminated on one surface of a base material layer, The anti-slip layer has a density of 0.860 to 0.915 g / cm 3 Characterized by being formed from a linear low-density polyethylene resin and having an embossed surface.
[0012]
The non-slip film according to the invention of claim 2 (hereinafter referred to as “the present invention 2”) is a non-slip film having at least a two-layer structure in which a non-slip layer is laminated on one surface of a base material layer, The anti-slip layer has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 0 to 90% by weight of a linear low density polyethylene resin having a density of 0.910 g / cm 3 It is characterized by being formed from a resin composition containing the following polyolefin-based elastomer and / or polystyrene-based elastomer in an amount of 10 to 100% by weight, and having a surface subjected to embossing.
[0013]
The non-slip film according to the invention according to claim 3 (hereinafter, referred to as “the present invention 3”) is a non-slip film having at least two layers in which a non-slip layer is laminated on one surface of a base material layer, The anti-slip layer has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 Of a linear low density polyethylene resin of 0 to 50% by weight and an ethylene / vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of 20% by weight or more and 50 to 100% by weight. It is characterized by having been subjected to embossing processing.
[0014]
The anti-slip film according to the fourth aspect of the present invention is the anti-slip film according to any one of the first to third aspects, wherein the non-slip layer is not laminated on the surface of the base material layer. It is characterized in that a surface layer is laminated.
[0015]
The non-slip film of the present invention (the present invention 1 to the present invention 3) has at least a two-layer structure in which a non-slip layer is laminated on one surface of a base material layer. The main point is that physical properties such as flexibility and the like are exhibited, and the above-mentioned anti-slip layer is provided with an appropriate tackiness (slightly tackiness) to exhibit an excellent anti-slip function.
[0016]
The resin for the base layer used to form the base layer constituting the anti-slip film of the present invention is not particularly limited. For example, a polyethylene resin, a polypropylene resin, ethylene-vinyl acetate Polyolefin-based resins such as copolymers, soft vinyl chloride-based resins, polyamide-based resins, polyester-based resins, polyurethane-based resins, polycarbonate-based resins, and the like. Polyolefin resins are preferably used because of their excellent properties, and polyethylene resins are more preferably used because they are particularly advantageous in terms of safety and cost. These base layer resins may be used alone or in combination of two or more.
[0017]
The resin for the base layer may be, if necessary, in a range not hindering the achievement of the object of the present invention, for example, a filler, a softener (plasticizer), an antioxidant (antiaging agent), a heat stabilizer, and a light stabilizer. One or more of various additives such as a stabilizer, an ultraviolet absorber, a coloring agent, a lubricant, an antistatic agent, and a flame retardant may be added.
[0018]
The non-slip layer constituting the anti-slip film of the present invention 1 has a density of 0.860 to 0.915 g / cm. 3 (Hereinafter, referred to as “LLDPE”). The LLDPE has a density of 0.860 to 0.915 g / cm. 3 May be used alone or in combination of two or more.
[0019]
The anti-slip layer has a density of 0.860 to 0.915 g / cm. 3 By forming from the LLDPE, the anti-slip layer has appropriate adhesiveness (slight adhesiveness) and exhibits an excellent anti-slip function, and the obtained anti-slip film has an excellent anti-slip function. It has both physical properties such as excellent film strength and flexibility.
[0020]
The density of the above LLDPE is 0.860 g / cm 3 If it is less than 3, the adhesiveness of the anti-slip layer becomes too strong, and conversely, the density of the LLDPE becomes 0.915 g / cm. 3 When it exceeds, the anti-slip layer does not have a proper adhesiveness (slightly adhesive), and the anti-slip function of the obtained anti-slip film becomes insufficient.
[0021]
The non-slip layer constituting the anti-slip film of the present invention 2 has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 0 to 90% by weight of a linear low density polyethylene resin having a density of 0.910 g / cm 3 It is formed from a resin composition containing 10 to 100% by weight of the following polyolefin-based elastomer and / or polystyrene-based elastomer.
[0022]
By forming the non-slip layer from the above resin composition, the non-slip layer takes on an appropriate degree of tackiness (slightly tacky) and exhibits an excellent non-slip function. It has both excellent anti-slip function and excellent physical properties such as film strength and flexibility.
[0023]
LLDPE that can be used for the resin composition has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 It is necessary to be. The LLDPE has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 May be used alone or in combination of two or more.
[0024]
The density of the LLDPE is 0.915 g / cm 3 If it is less than 3, the adhesion of the anti-slip layer becomes too strong, and conversely, the density of the LLDPE becomes 0.940 g / cm. 3 When it exceeds, the anti-slip layer does not have a proper adhesiveness (slightly adhesive), and the anti-slip function of the obtained anti-slip film becomes insufficient.
[0025]
The polyolefin-based elastomer that can be used in the resin composition has a density of 0.910 g / cm. 3 It must be: The density of the polyolefin elastomer is 0.910 g / cm 3 When it exceeds, the anti-slip layer does not have a proper adhesiveness (slightly adhesive), and the anti-slip function of the obtained anti-slip film becomes insufficient.
[0026]
The above-mentioned polyolefin-based elastomer exhibits rubber elasticity at normal temperature and is plasticized at high temperature to enable various molding processes. In general, a soft segment (elastomer component) having rubber elasticity in a molecule and a plastic deformation It often shares a hard segment (molecule-restricted component) to prevent cracking, and may have a partially crosslinked structure within the moldable range, but has a wide range of three-dimensional crosslinked structure (network structure). I haven't.
[0027]
Examples of the polyolefin-based elastomer include, but are not particularly limited to, for example, polyethylene as a soft segment, a copolymer of ethylene and a small amount of a diene, or a partially crosslinked product thereof, and polypropylene as a hard segment. Polyethylene-based elastomers such as block copolymers having a random copolymer mainly composed of ethylene and ethylene and propylene, etc., and copolymers of propylene and a small amount of diene and propylene mainly composed of propylene and ethylene. And a polypropylene-based elastomer comprising a random copolymer. These polyolefin elastomers have a density of 0.910 g / cm 3 As long as the following are used, they may be used alone or two or more kinds may be used in combination.
[0028]
The polystyrene-based elastomer that can be used in the resin composition is not particularly limited, and examples thereof include a styrene-butadiene-styrene block copolymer, a styrene-isoprene-styrene block copolymer, and a conjugated diene moiety thereof. And a styrene-ethylene-butylene-styrene block copolymer, a styrene-ethylene-propylene-styrene block copolymer, and the like, which are obtained by hydrogenating styrene. These polystyrene-based elastomers may be used alone or in combination of two or more.
[0029]
Density 0.910 g / cm that can be used for the resin composition 3 The following polyolefin-based elastomer and polystyrene-based elastomer may be used alone or in combination.
[0030]
The resin composition used in the present invention 2 has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 0 to 90% by weight of LLDPE and the above density of 0.910 g / cm 3 It is necessary to contain 10 to 100% by weight of the following polyolefin-based elastomer and / or polystyrene-based elastomer.
[0031]
By using the resin composition containing the above LLDPE and the above elastomer in the above ratio, the anti-slip layer has a moderate adhesiveness (even though the density of the above LLDPE is higher than the density of the LLDPE used in the present invention 1). ), And the obtained anti-slip film exhibits an excellent anti-slip function.
[0032]
In the above resin composition, the density is 0.915 to 0.940 g / cm. 3 When the content of LLDPE exceeds 90% by weight or the content of the elastomer is less than 10% by weight, the anti-slip layer does not have appropriate tackiness (slightly tackiness), and Insufficient anti-slip function.
[0033]
The anti-slip layer constituting the anti-slip film of the present invention 3 has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 LLDPE of 0 to 50% by weight and a resin composition containing 50 to 100% by weight of an ethylene-vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of 20% by weight or more.
[0034]
By forming the non-slip layer from the above resin composition, the non-slip layer takes on an appropriate degree of tackiness (slightly tacky) and exhibits an excellent non-slip function. It has both excellent anti-slip function and excellent physical properties such as film strength and flexibility.
[0035]
LLDPE that can be used for the resin composition has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 It is necessary to be. The LLDPE has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 May be used alone or in combination of two or more.
[0036]
The density of the LLDPE is 0.915 g / cm 3 If it is less than 3, the adhesion of the anti-slip layer becomes too strong, and conversely, the density of the LLDPE becomes 0.940 g / cm. 3 When it exceeds, the anti-slip layer does not have a proper adhesiveness (slightly adhesive), and the anti-slip function of the obtained anti-slip film becomes insufficient.
[0037]
The ethylene-vinyl acetate copolymer used in the resin composition needs to have a vinyl acetate content of 20% by weight or more. When the vinyl acetate content of the ethylene-vinyl acetate copolymer is less than 20% by weight, the anti-slip layer does not have appropriate tackiness (slightly tackiness), and the anti-slip function of the obtained anti-slip film is not good. Will be enough. The ethylene-vinyl acetate copolymer may be used alone or in combination of two or more as long as the vinyl acetate content is 20% by weight or more.
[0038]
The resin composition used in the present invention 3 has a density of 0.915 to 0.940 g / cm. 3 It is necessary to contain 0 to 50% by weight of LLDPE and 50 to 100% by weight of an ethylene-vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of 20% by weight or more.
[0039]
By using the resin composition containing the LLDPE and the ethylene-vinyl acetate copolymer in the above ratio, the density of the LLDPE is higher than the density of the LLDPE used in the first aspect of the present invention. Has an appropriate tackiness (slightly tackiness), and the obtained anti-slip film exhibits an excellent anti-slip function.
[0040]
In the above resin composition, the density is 0.915 to 0.940 g / cm. 3 When the content of LLDPE exceeds 50% by weight, or the content of ethylene-vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of 20% by weight or more is less than 50% by weight, the non-slip layer has a moderate tackiness. (Slight adhesion), and the anti-slip function of the obtained anti-slip film becomes insufficient.
[0041]
Density 0.860 to 0.915 g / cm used for anti-slip layer in Invention 1 3 The LLDPE, the resin composition used for the anti-slip layer in the present invention 2 and the resin composition used for the anti-slip layer in the present invention 3 may be, if necessary, as long as the object of the present invention is not hampered. For example, various additives such as fillers, softeners (plasticizers), antioxidants (antiaging agents), heat stabilizers, light stabilizers, ultraviolet absorbers, coloring agents, lubricants, antistatic agents, and flame retardants. One type or two or more types may be added.
[0042]
The surface of the anti-slip layer constituting the anti-slip film of the present invention has been subjected to an embossing treatment.
[0043]
The anti-slip film of the present invention is hard to slip because the anti-slip layer has an appropriate tackiness (slightly tackiness), but the embossing process is performed on the surface of the anti-slip layer so that the anti-slip layer can be processed or used. In this case, appropriate slip properties and anti-blocking properties (anti-blocking properties) can be imparted.
[0044]
The embossing treatment may be performed on the surface of the formed (small) non-slip layer, or may be performed on the surface of the non-slip layer laminated on one surface of the base material layer.
[0045]
The method of performing the embossing treatment on the surface of the anti-slip layer is not particularly limited. For example, using an embossing roll in which a desired embossed shape (embossed pattern) is engraved, at room temperature or under heating, By transferring the emboss shape to the surface of the anti-slip layer, an emboss of a desired shape can be applied to the surface of the anti-slip layer.
[0046]
The method for producing the anti-slip film of the present invention is not particularly limited. For example, the base material layer and the anti-slip layer are individually formed (film formation) by, for example, a T-die molding method or an inflation molding method. After that, for example, a dry lamination method in which the both are adhered by using an adhesive for dry lamination, an extrusion lamination method in which the base layer and the anti-slip layer are simultaneously or sequentially extruded by a T-die molding method and laminated, a base layer And a two-layer co-extrusion method in which the non-slip layer and the non-slip layer are simultaneously co-extruded simultaneously by a T-die molding method, and any production method may be adopted. It is preferable to employ a two-layer coextrusion method because embossing treatment can be easily applied to the layer surface.
[0047]
The thickness of the non-slip film of the present invention may be appropriately set according to the use and purpose of use of the non-slip film, and is not particularly limited.
[0048]
The anti-slip film of the present invention preferably has a surface layer laminated on the side of the base material layer on which the non-slip layer is not laminated, in order to impart a reinforcing effect, aesthetics, and the like.
[0049]
The surface layer is not particularly limited as long as it can impart a reinforcing effect or a cosmetic property to the anti-slip film, and is not particularly limited. For example, paper, decorative paper, cardboard, woven fabric, nonwoven fabric, various types Examples thereof include a plastic film and the like and a laminate thereof.
[0050]
The method of laminating the surface layer on the side of the base material layer on which the non-slip layer is not laminated is not particularly limited.For example, when the surface layer is a material that cannot be extruded, for example, by a dry lamination method or the like What is necessary is just to laminate | stack a surface layer on the predetermined surface of a base material layer.
When the surface layer is made of an extrudable material, a T-die molding method is used such that a non-slip layer is laminated on one surface of the substrate layer and a surface layer is laminated on the other surface of the substrate layer. , A surface layer, a base material layer, and a non-slip layer may be laminated in this order.
[0051]
[Action]
The non-slip film of the present invention has at least a two-layer structure in which a non-slip layer is laminated on one surface of a base material layer, and the base material layer has a film strength and flexibility required as a non-slip film. By exhibiting physical properties, the above-mentioned anti-slip layer is formed from LLDPE having a specific density or a specific resin composition, so that it has appropriate adhesiveness (slightly adhesive) and exhibits an excellent anti-slip function. Therefore, it has both excellent anti-slip function and excellent physical properties such as film strength and flexibility.
[0052]
Further, since the anti-slip film of the present invention has been subjected to the embossing treatment on the surface of the anti-slip layer, it exhibits appropriate slip and blocking resistance during processing and use.
[0053]
Further, the anti-slip film of the present invention is a film in which physical properties such as film strength are further improved or cosmetics are imparted by laminating a surface layer on the side of the base material layer on which the anti-slip layer is not laminated. It becomes.
[0054]
BEST MODE FOR CARRYING OUT THE INVENTION
EXAMPLES The present invention will be described in more detail with reference to Examples, but the present invention is not limited to these Examples. In the examples, “parts” means “parts by weight”.
[0055]
(Example 1)
For base material layer, density is 0.935g / cm 3 80 parts of LLDPE (trade name “Novatech LL-SF941”, manufactured by Nippon Polychem Co., Ltd.) and the density is 0.920 g / cm. 3 Was mixed with 20 parts of a low-density polyethylene resin (trade name “Suntech LD-F1920”, manufactured by Asahi Kasei Corporation) to prepare a polyolefin-based resin composition. Further, for the anti-slip layer, the density is 0.905 g / cm. 3 LLDPE (trade name “Evolue SP0540”, manufactured by Mitsui Chemicals, Inc.) was used alone.
[0056]
Two layers of the polyolefin resin composition for the base material layer and the LLDPE for the non-slip layer are co-extruded by a T-die molding method so that the layer thickness ratio is 4/1. Molding was performed. During the molding, the surface of the anti-slip layer was subjected to an embossing process (matting process) to produce a 35-μm-thick two-layer anti-slip film.
[0057]
In addition, the non-slip layer of the non-slip layer of the two-layered non-slip film obtained above has a polyethylene-based resin film surface of a surface layer obtained by laminating a nonwoven fabric and a polyethylene-based resin film on the non-slip layer surface. Were laminated by a dry lamination method to produce a three-layer anti-slip film.
[0058]
(Example 2)
For anti-slip layer, density is 0.905g / cm 3 Density of 0.920 g / cm instead of LLDPE "Evolu SP0540" 3 LLDPE (trade name “Evolue SP2040”, manufactured by Mitsui Chemicals, Inc.) and the density is 0.880 g / cm. 3 A two-layer non-slip film and three layers in the same manner as in Example 1 except that a resin composition consisting of 50 parts of a polyethylene elastomer (trade name “Toughmer A4085”, manufactured by Mitsui Chemicals, Inc.) was used. A non-slip film of the composition was produced.
[0059]
(Example 3)
For anti-slip layer, density is 0.905g / cm 3 Density of 0.920 g / cm instead of LLDPE "Evolu SP0540" 3 2 layers in the same manner as in Example 1 except that a resin composition comprising 50 parts of LLDPE “Evolue SP2040” and 50 parts of a polystyrene-based elastomer (trade name “Tuftec H1052”, manufactured by Asahi Kasei Corporation) was used. An anti-slip film having a constitution and a non-slip film having a three-layer constitution were produced.
[0060]
(Example 4)
For anti-slip layer, density is 0.905g / cm 3 Density of 0.900 g / cm instead of LLDPE “Evolu SP0540” 3 In the same manner as in Example 1 except that the polypropylene-based elastomer (trade name “Cataroy KS359” manufactured by Sun Allomer Co., Ltd.) was used alone, a two-layer anti-slip film and a three-layer anti-slip film were prepared. Manufactured.
[0061]
(Example 5)
For anti-slip layer, density is 0.905g / cm 3 Example 1 except that an ethylene-vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of 25% by weight (trade name “Ultracene 635” manufactured by Tosoh Corporation) was used alone instead of LLDPE “Evolue SP0540” of the present invention. In the same manner as in the above case, a two-layer anti-slip film and a three-layer anti-slip film were produced.
[0062]
(Comparative Example 1)
For anti-slip layer, density is 0.905g / cm 3 Density of 0.920 g / cm instead of LLDPE "Evolu SP0540" 3 A two-layer anti-slip film and a three-layer anti-slip film were produced in the same manner as in Example 1 except that LLDPE "Evolue SP2040" was used alone.
[0063]
(Comparative Example 2)
For anti-slip layer, density is 0.905g / cm 3 Example 2 except that an ethylene-vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of 8% by weight (trade name “Evaflex V983”, manufactured by Mitsui Dupont) was used alone instead of LLDPE “Evolue SP0540” of the present invention. In the same manner as in Example 1, a two-layer non-slip film and a three-layer anti-slip film were produced.
[0064]
(Comparative Example 3)
A two-layer anti-slip film was produced in the same manner as in Example 1 except that the surface of the anti-slip layer was not subjected to embossing (matting), but the anti-slip layer was not slippery. For this reason, the film was wrinkled, and a beautiful anti-slip film could not be obtained. Therefore, a three-layer anti-slip film could not be produced.
[0065]
Performance of the two-layered anti-slip film obtained in Examples 1 to 5 and Comparative Examples 1 to 3 ((1) moldability, (2) coefficient of friction, (3) anti-slip property) Was evaluated by the following method. The results were as shown in Table 1.
[0066]
(1) Formability
The moldability during two-layer coextrusion was evaluated according to the following criteria.
〔Evaluation criteria〕
○ ‥‥ The molding (film formation) was completed without any problem.
× ‥‥ The anti-slip layer is not slippery, wrinkles the film,
Lum could not be obtained.
(2) Friction coefficient
The static friction coefficient and the dynamic friction coefficient of the non-slip film were measured in accordance with JIS K-7125 "Plastic-Film and Sheet-Friction Coefficient Test Method". The measurement of the coefficient of friction was performed by a combination of three types of a non-slip layer surface-a non-slip layer surface, a non-slip layer surface-a substrate layer surface, a non-slip layer surface-a metal surface (a non-magnetic metal surface specified in JIS K-7125). I went about.
[0067]
(3) Non-slip properties
Lay the non-slip layer surface of the two-layer anti-slip film on a vinyl chloride tile, place your foot on the substrate layer surface and twist it at an angle of 90 degrees to check the slip condition of the anti-slip film. The sensory evaluation of the anti-slip property of the anti-slip film was carried out.
(Judgment criteria)
○ ‥‥ The anti-slip film did not slip at all.
Δ ‥‥ Slight lifting was recognized in the anti-slip film.
× ‥‥ The non-slip film floated completely and clung to the feet.
[0068]
Further, the performance (4) of the three-layered anti-slip film obtained in Examples 1 to 5, and Comparative Examples 1 and 2 was evaluated by the following method. The results were as shown in Table 1.
[0069]
▲ 4 ▼ Non-slip property
Lay the non-slip layer surface of the three-layer anti-slip film on a vinyl chloride tile, place a foot on the non-woven fabric surface and twist the 90-degree angle to check the slip condition of the anti-slip film. The anti-slip property of the anti-slip film was sensually evaluated according to the same criteria as in the case.
[0070]
[Table 1]
As is clear from Table 1, the two-layered non-slip films of Examples 1 to 5 according to the present invention have good moldability, a high coefficient of friction, and excellent anti-slip properties. Sex was expressed. In addition, all three-layered anti-slip films produced using these two-layered anti-slip films also exhibited excellent anti-slip properties.
[0072]
On the other hand, for a non-slip layer, the density is 0.915 g / cm. 3 The non-slip film of the two-layer configuration of Comparative Example 1 using LLDPE alone, which exceeded the anti-slip film of the three-layer configuration produced using the anti-slip film of the two-layer configuration, has a low coefficient of friction. The slip resistance was poor. Further, the two-layered anti-slip film of Comparative Example 2 in which an ethylene-vinyl acetate copolymer having a vinyl acetate content of less than 20% by weight alone was used for the anti-slip layer had a low coefficient of friction. The anti-slip properties of the three-layer anti-slip film produced using the anti-slip film of the present invention were inferior. Furthermore, the two-layered anti-slip film of Comparative Example 3 in which the surface of the anti-slip layer was not subjected to the embossing treatment (matting treatment) had poor slip of the anti-slip layer, wrinkled into the film, and had a beautiful slip. Since a stop film could not be obtained, a three-layer anti-slip film could not be produced.
[0073]
【The invention's effect】
As described above, the anti-slip film of the present invention has a high coefficient of friction, exhibits excellent anti-slip properties, has good moldability (film-forming properties), and is advantageous in terms of cost. It is suitably used as a disposable protective cover (antifouling cover) for various uses including use and nursing care.
