JP2004174523A - アーク溶接の制御方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際、溶接始端部での母材への充分な入熱と溶接終端部での母材への過度な入熱防止により、全領域で均質な溶接品質を実現するアーク溶接の制御方法を提供すること。
【解決手段】溶接開始により定常電流I0より大きな電流値の初期電流IBが通電され同時に溶接トーチが移動を開始する。トーチが溶接位置X1に移動するまでは初期電流IBが維持され母材100への迅速な入熱が行われる。その後、溶接電流Iは一定の割合で減少し定常電流I0となる。溶接終了時には溶接位置X3から溶接電流Iが一定の割合で減少し溶接位置X4からは終端電流IEが維持され母材100への入熱が定常状態に比して不足する状態で推移する。溶接初期での母材100の溶け込み不足の防止、及び溶接終期での母材100の溶け落ちやクレータの防止ができ、重ね隅肉溶接の全領域で均質な溶接品質を確保することができる。
【選択図】 図1
【解決手段】溶接開始により定常電流I0より大きな電流値の初期電流IBが通電され同時に溶接トーチが移動を開始する。トーチが溶接位置X1に移動するまでは初期電流IBが維持され母材100への迅速な入熱が行われる。その後、溶接電流Iは一定の割合で減少し定常電流I0となる。溶接終了時には溶接位置X3から溶接電流Iが一定の割合で減少し溶接位置X4からは終端電流IEが維持され母材100への入熱が定常状態に比して不足する状態で推移する。溶接初期での母材100の溶け込み不足の防止、及び溶接終期での母材100の溶け落ちやクレータの防止ができ、重ね隅肉溶接の全領域で均質な溶接品質を確保することができる。
【選択図】 図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク溶接の制御方法に関するものであり、特に、消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際のアーク溶接の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に開示されているクレータ処理方法では、アーク溶接におけるクレータの処理を目的としており、クレータ処理の開始時の溶接電圧は、定常時の溶接電圧レベルより始まり、所定のスロープ時間の間に、クレータ設定レベルまで減衰的に変化させている。
【0003】
また、特許文献2に開示されているアーク溶接方法では、溶接開始時の溶接ビードの形状改善を目的としており、溶接開始時点においてアークの逆極性比率を高め、多量の入熱をワイヤ及び母材に供給することにより溶け込み不足を解消している。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−107968号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】
特開平1−192482号公報(第2頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1においては、溶接電圧の制御により溶接終端部におけるクレータの発生を軽減することが可能ではあるものの、溶接始端部における溶接状態については何等考慮されていない。すなわち、図4(A)に示すように、重ね隅肉溶接において、溶接開始時における母材100への入熱が不充分であることによる母材100の溶け込み不足200が発生してしまうおそれがあり、重ね隅肉溶接における溶接始端部Bでの溶接が不十分となって溶接品質が悪化してしまうおそれがあり問題である。
【0006】
また、前記特許文献2においては、アーク極性の比率により溶接始端部での母材への入熱を確保することが可能ではあるものの、溶接終端部における溶接状態については何等考慮されていない。すなわち、図4(B)に示すように、重ね隅肉溶接において、溶接終端部Eにおいて母材100への入熱が過度に行われてしまい母材の溶け落ち210が発生してしまうおそれがある。更に、過度の入熱に伴いクレータ220が発生してしまうことも考えられる。重ね隅肉溶接における溶接終端部Eでの溶け落ち210やクレータ220の発生により溶接品質が悪化してしまうおそれがあり問題である。
【0007】
本発明は前記従来技術の課題を解消するためになされたものであり、消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際のアーク溶接の制御方法について、溶接始端部での母材への充分な入熱を確保すると共に溶接終端部での母材への過度な入熱を防止して、溶接始端部から溶接終端部に至る重ね隅肉溶接の全領域に渡って均質な溶接品質を実現することができるアーク溶接の制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1または6に係るアーク溶接方法は、消耗電極により重ね隅肉溶接を行うアーク溶接の制御方法であって、重ね隅肉溶接における溶接経路上、消耗電極が溶接始端部から第1溶接点に至る第1経路を移動する際、溶接電流が定常電流に比して大きな電流値を有する初期電流から定常電流にまで減少し、または溶接交流電流におけるEN比率が定常比率に比して小さな比率を有する初期比率から定常比率にまで増加する溶接初期工程と、消耗電極が第1溶接点から第2溶接点に至る第2経路を移動する際、溶接電流が定常電流を維持し、またはEN比率が定常比率を維持する定常溶接工程と、消耗電極が前記第2溶接点から溶接終端部に至る第3経路を移動する際、溶接電流が定常電流から定常電流に比して小さい電流値を有する終期電流にまで減少し、またはEN比率が定常比率から定常比率に比して大きな比率を有する終期比率にまで増加する溶接終期工程とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項1または6のアーク溶接の制御方法では、消耗電極による重ね隅肉溶接において、定常溶接工程により定常状態での溶接が行われる第2経路を挟んで、溶接初期側に第1経路が存在し、溶接終期側に第3経路が存在する。第2経路では消耗電極の移動と共に、溶接電流が初期電流から定常電流にまで減少し、または溶接交流電流のEN比率が初期比率から定常比率にまで増加する。第3経路では消耗電極の移動と共に、溶接電流が定常電流から終期電流にまで減少し、または溶接交流電流のEN比率が定常比率から終期比率にまで増加する。
【0010】
これにより、重ね隅肉溶接の溶接開始時に母材への入熱が充分に行われ、溶接始端部近傍の溶接開始領域における母材の溶け込みを充分に行うことができる。溶接開始領域における母材の溶け込み不足を改善し溶接開始領域における溶接状態を向上させることができる。定常電流または定常比率のEN比率での溶接が引き続き行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0011】
また、請求項2または7に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1または6に記載のアーク溶接の制御方法において、第1経路のうち、溶接始端部からの所定初期期間において、溶接電流は初期電流を維持し、またはEN比率は初期比率を維持することを特徴とする。これにより、溶接始端部からの所定初期期間における母材への入熱が更に行われることとなり、溶接開始領域における母材の溶け込みを更に充分に行うことができる。
【0012】
また、請求項3または8に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1または2、または請求項6または7に記載のアーク溶接の制御方法において、第3経路のうち、溶接終端部に至る所定終期期間において、溶接電流は終期電流を維持し、またはEN比率は終期比率を維持することを特徴とする。これにより、溶接終端部に至る所定終期期間における母材への入熱を徐々に減少させることができる。母材の溶け落ちを防止することができると共に、溶接終端部でのクレータの発生を防止することができる。定常電流または定常比率のEN比率での溶接が行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0013】
また、請求項4または9に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1乃至3の少なくとも何れか1項、または請求項6乃至8の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法において、溶接初期工程に先立つ初期停止期間において、消耗電極を溶接始端部に維持しながら、溶接電流として初期電流を通電し、またはEN比率を初期比率として溶接交流電流を通電する初期停止通電工程を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4または9のアーク溶接の制御方法では、初期停止通電工程により、溶接初期工程に先立つ初期停止期間において、溶接始端部に対して、初期電流の溶接電流を通電し、または初期比率のEN比率を有する溶接交流電流を通電する。
【0015】
これにより、重ね隅肉溶接の溶接始端部での母材への入熱が充分に行われ、溶接始端部近傍の溶接開始領域における母材の溶け込みを充分に行うことができる。溶接開始領域における母材の溶け込み不足を改善し溶接開始領域における溶接状態を向上させることができる。定常電流または定常比率のEN比率での溶接が引き続き行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0016】
また、請求項5または10に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1乃至4の少なくとも何れか1項、または請求項6乃至9の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法において、溶接終期工程に引き続く終期停止期間において、消耗電極を溶接終端部に維持しながら、溶接電流として終期電流を通電し、またはEN比率を終期比率として溶接交流電流を通電する終期停止通電工程を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5または10のアーク溶接の制御方法では、終期停止通電工程により、溶接終期工程に引き続く終期停止期間において、溶接終端部に対して、終期電流の溶接電流を通電し、または終期比率のEN比率を有する溶接交流電流を通電する。
【0018】
これにより、重ね隅肉溶接の溶接終端部での母材への入熱を制御して入熱量を徐々に減少させることができる。溶接終端部近傍での母材の溶け込み状態を徐々に解消して溶け込みの深さを徐々に減少させていくことができ、クレータの発生を有効に防止することができる。また、定常電流または定常比率のEN比率での溶接が行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアーク溶接の制御方法について具体化した実施形態を図1乃至図3に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。溶接電流Iの制御によるアーク溶接の制御方法に関する実施形態である。図1中、上段は、重ね隅肉溶接における母材溶接位置Xに対する溶接電流Iの関係を示す溶接電流波形である。下段は、重ね隅肉溶接が行なわれた際の母材100と溶接ビード1との状態を表わす模式図である。
【0021】
溶接始端位置XBにおいて溶接が開始されると、溶接電流Iとして、定常電流I0に比して大きな電流値を有する初期電流IBが通電される。通電と同時に溶接トーチ16(図3にて、後述)が母材100の溶接方向に移動を開始する。溶接初期においては、母材100は冷えており母材100の溶け込み温度にまで迅速に加熱する必要がある。このため、溶接トーチ16が溶接開始位置XBから溶接位置X1に移動するまでの間は、溶接電流Iとして初期電流IBが通電され母材100への迅速な入熱が行われる。この間に母材100への入熱が進行し母材100の溶融が始まる。
【0022】
母材100への入熱が充分に行われると共に、溶接電流Iを一定の割合で減少させて定常電流I0にまで低減する領域が、溶接トーチ16の溶接位置X1からX2に移動する期間である。初期電流IBが通電される溶接開始位置XBから溶接位置X1までの間に行われる入熱量に加えて、溶接位置X1からX2での期間では、溶接電流Iを徐々に減少させて母材100への入熱を行ないながら母材100の溶け込み量を調整する。ここで、溶接始端位置XBから溶接位置X2までの経路が第1経路であり、第1経路のうち溶接始端位置XBから溶接位置X1までの経路が所定初期期間に該当する。
【0023】
これにより、溶接初期段階における母材100への入熱を迅速かつ充分に行うことができ、溶接開始位置XBおよびその近傍における母材100の溶け込み不足を防止することができる。
【0024】
母材100への入熱が充分に行われ母材100の溶け込み状態が安定した段階で溶接状態が定常状態に移行する。定常状態では、溶接トーチ16は溶接電流Iとして定常電流I0を通電しながら、母材100上を溶接位置X2からX3まで移動して安定した溶け込み量の重ね隅肉溶接が継続される。ここで、溶接位置X2から溶接位置X3までの経路が第2経路である。
【0025】
溶接終端位置XEに近づく溶接位置X3から、溶接電流Iは定常電流I0から一定の割合で更に減少していく。この減少は溶接位置X4まで継続され、溶接位置X4において溶接電流Iとして終端電流IEが通電されることとなる。この後は溶接終端位置XEに至るまで、終端電流IEに維持された状態で溶接トーチ16が移動する。溶接電流Iが定常電流I0に比して小さな電流値である終端電流IEに減少していき(溶接位置X3からX4まで)その後は終端電流IEで維持される(溶接位置X4からXEまで)ことから、母材100への入熱は定常状態に比して不足する状態で推移することとなる。ここで、溶接位置X3から溶接終端位置XEまでの経路が第3経路であり、第3経路のうち溶接位置X4から溶接終端位置XEまでの経路が所定終期期間に該当する。
【0026】
これにより、母材温度が徐々に低下することに応じて母材100の溶け込み深さも徐々に浅くなっていく。更には、溶接終端位置XEにおいて必要最小限の入熱量で溶接を終了させることができるので、溶接終端位置XEにおける母材100の過度な溶け込みによる母材100の凹みも防止することができる。溶接終端位置XEの近傍における溶け落ちや溶接終端位置XEでのクレータの発生を防止することができる。
【0027】
溶接開始段階から溶接の定常状態への移行、および定常状態から溶接終了段階への移行において溶接電流Iを連続的に変化させるので、各段階の境界領域において溶接状態の不連続な変化による溶接品質の不連続を防止することができる。重ね隅肉溶接の全溶接領域において均質な溶接品質を確保することができる。
【0028】
尚、図1に示す第1実施形態では、溶接始端位置XBから溶接位置X1に至る期間において溶接電流Iを初期電流IBに維持し、更に溶接位置X4から溶接終端位置XEに至る期間において溶接電流Iを終期電流IEに維持する場合を例にとり説明したが、これらの溶接電流Iの維持期間は必ずしも必要な期間ではない。溶接開始時については、初期電流IBに維持した状態での溶接トーチ16の移動を省略して溶接始端位置XBから直ちに溶接電流Iを定常電流I0に向けて減少させる構成とすることも可能である。母材100の熱容量や熱伝導率、または初期電流IBの電流値等の条件に応じて、初期電流IBの維持期間が省略されても母材100への入熱が充分に行われ母材100の溶け込みが充分に行われる場合に適用することができる。
【0029】
また、溶接終了時については、終期電流IEに維持した状態での溶接トーチ16の移動を省略して溶接位置X3から溶接終端位置XEに至る期間で溶接電流Iを終期電流IEに向けて減少させる構成とすることも可能である。母材100の熱容量や熱伝導率、または初期電流IBの電流値等の条件に応じて、終期電流IEの維持期間が省略されて母材100への入熱が増えてしまうにも関わらず母材100の温度が低下し、溶け落ちやクレータの発生を充分に抑制することができる場合に適用することができる。
【0030】
更に、第1実施形態における、溶接始端位置XBから溶接位置X1までの初期電流IBの通電や、溶接位置X4から溶接終端位置XEまでの終期電流IEの通電に加えて、またはこれらの通電に代えて、溶接開始による溶接トーチ16の移動開始前に初期電流IBを通電する時間を設け、または溶接終了による溶接トーチ16の移動停止後に引き続き終期電流IEを通電する時間を設けることも可能である。母材100の熱容量や熱伝導率、または初期電流IBや終期電流IEの電流値等の条件に応じてこの期間を適宜に設けることにより、溶接開始時の母材100の溶け込み不足を解消し、または溶接終了時の母材100の溶け落ちやクレータの発生を防止することができる。ここで、溶接開始による溶接トーチ16の移動開始前に初期電流IBを通電する時間が初期停止期間であり、溶接終了による溶接トーチ16の移動停止後に引き続き終期電流IEを通電する時間が終期停止期間である。
【0031】
また、第1実施形態を適用することができる母材100の材料としては、アルミニウム、鉄、マグネシウム等が考えられる。
【0032】
図2は、第2実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。溶接交流電流におけるEN比率Rの制御によるアーク溶接の制御方法に関する実施形態である。図2中、上段は、重ね隅肉溶接における母材溶接位置Xに対するEN比率Rの関係を示すEN比率波形である。下段は、重ね隅肉溶接が行なわれた際の母材100と溶接ビード1との状態を表わす模式図である。
【0033】
ここで、EN比率とは、母材100の材料としてアルミニウムを想定する場合には、溶接交流電流の通電極性のうち、母材100に対して溶接トーチ16側が負電極になる時間割合である。アーク溶接における母材100の溶け込みは、通電極性により異なった特性を示すことが一般的である。消耗電極を有する溶接トーチ16を使用してアルミニウム材料の母材100を溶接する場合、アルミニウム材料については溶接トーチ16側が正電極となる通電条件において、より溶け込み量が大きくなることが知られている。すなわち、EN比率Rが低い場合に母材100の溶け込みが盛んに行われることとなる。図2の第2実施形態は、母材100の材料をアルミニウムとした場合のEN比率波形を示している。
【0034】
溶接始端位置XBにおいて、定常比率R0に比して低いEN比率である初期比率RBにより溶接が開始される。すなわち、アルミニウム材料を例とする母材100への入熱が盛んに行われて多量の溶け込み量が確保される、溶接交流電流における正極性の通電極性の割合が大きな初期比率RBで通電が開始される。通電と同時に溶接トーチ16が母材100の溶接方向に移動を開始し、あわせて一定の割合でEN比率Rが増大していく。溶接初期において初期比率RBでの通電を行うことにより、冷えている母材100の温度を溶け込み可能な温度にまで迅速に加熱する必要があるためである。EN比率Rが定常比率R0に比して低い比率で推移する、溶接開始位置XBから溶接位置X5までの間は、母材100への迅速な入熱が進行して母材100の溶け込みが始まる。この間、EN比率Rは、初期比率RBから定常比率R0にまで一定の割合で増加していき、母材100への入熱を行ないながら母材100の溶け込み量を調整する。ここで、溶接始端位置XBから溶接位置X5までの経路が第1経路である。
【0035】
これにより、溶接初期段階における母材100への入熱を迅速かつ充分に行うことができ、溶接開始位置XBおよびその近傍における母材100の溶け込み不足を防止することができる。
【0036】
母材100への入熱が充分に行われ、母材100の溶け込み状態が安定した段階で溶接状態は定常状態に移行する。定常状態では、溶接トーチ16は溶接交流電流をEN比率Rとして定常比率R0で通電しながら、母材100上を溶接位置X5からX6まで移動して安定した溶け込み量の重ね隅肉溶接が継続される。ここで、溶接位置X5から溶接位置X6までの経路が第2経路である。
【0037】
溶接位置X6から溶接終端位置XEに至るまでは、溶接交流電流のEN比率Rは定常比率R0から一定の割合で更に増加していく。溶接終端位置XEではEN比率Rとして終端比率REとなる。EN比率Rが定常比率R0に比して大きな比率である終端比率REに増加するから、母材100への入熱は定常状態に比して不足する状態で推移することとなる。
【0038】
これにより、母材100温度が徐々に低下することに応じて母材100の溶け込み深さも徐々に浅くなっていく。更には、溶接終端位置XEにおいて必要最小限の入熱量で溶接を終了させることができるので、溶接終端位置XEにおける母材100の過度な溶け込みによる母材100の凹みも防止することができる。溶接終端位置XEの近傍における溶け落ちや溶接終端位置XEでのクレータの発生を防止することができる。
【0039】
溶接開始段階から溶接の定常状態への移行、および定常状態から溶接終了段階への移行において、溶接交流電流のEN比率Rを連続的に変化させるので、各段階の境界領域において溶接状態の不連続な変化による溶接品質の不連続を防止することができる。重ね隅肉溶接の全溶接領域において均質な溶接品質を確保することができる。
【0040】
尚、図2に示す第2実施形態では、溶接始端位置XBから溶接位置X5に至る期間においてEN比率Rを初期比率RBから定常比率R0にまで一定の割合で増加させ、更に溶接位置X6から溶接終端位置XEに至る期間においてEN比率Rを定常比率R0から終端比率REにまで一定の割合で増加させる場合を例にとり説明したが、これらの期間に加えて、溶接始端位置XBから溶接位置X5に至るまでの所定位置までの期間においてEN比率Rを初期比率RBに維持し、更に溶接位置X6から所定位置進んだ位置から溶接終端位置XEに至るまでの期間においてEN比率Rを終期比率REに維持する構成とすることもできる。ここで、溶接始端位置XBからEN比率Rを初期比率RBに維持する期間が所定初期期間であり、溶接終端位置XBに至るEN比率Rを終期比率REに維持する期間が所定終期期間である。
【0041】
また、所定初期期間や所定終期期間に加えて、または図2のアーク溶接の制御方法に加えて、溶接開始による溶接トーチ16の移動開始前に初期比率RBにより溶接交流電流を通電する時間を設け、または溶接終了による溶接トーチ16の移動停止後に引き続き終期比率REにより溶接交流電流を通電する時間を設けることも可能である。
【0042】
これらの変形は、母材100の材料、またその熱容量や熱伝導率、または溶接交流電流の初期比率RBや終期比率RE等の条件に応じて、適宜に調整することにより、溶接開始時の母材100の溶け込み不足を解消し、または溶接終了時の母材100の溶け落ちやクレータの発生を防止することができる。
【0043】
尚、通電極性による母材100の溶け込み特性は、金属材料により異なる場合があることは言うまでもない。本発明は、アルミニウムの他、鉄、マグネシウム等のほかの金属材料における重ね隅肉溶接についても同様に適用することができるが、金属材料の種類に応じて通電する溶接交流電流の通電極性を適宜に調整することが必要である。
【0044】
図3には、本発明のアーク溶接の制御方法を実現するアーク溶接装置の実施例を示すシステム図である。母材100の溶接を行う溶接トーチ16を保持するロボット部14は、溶接トーチ16を先端に保持するアーム部15と、溶接トーチ16における消耗電極である溶接ワイヤWを供給支持するワイヤ支持・送り部17とを備えている。溶接ワイヤWは、ワイヤ収納部11に収納されておりワイヤ支持・送り部17を経て溶接トーチ16に溶接ワイヤWが送給される。
【0045】
アーク電源装置12は、アーク溶接時の通電装置である。通電線L1、L2は、各々、溶接トーチ16、および母材100に接続されており、溶接トーチ16に保持されている溶接ワイヤWと母材100との間でアーク放電をさせることにより、溶接ワイヤWおよび母材100を溶融して母材100の重ね隅肉溶接を行う。
【0046】
アーク制御装置13からは、制御信号線C1、C2が、各々、アーク電源装置12とロボット部14とに接続されており、アーク電源装置12およびロボット部14を制御する。アーク制御装置13は、重ね隅肉溶接におけるコントローラ機能も具備している。
【0047】
図3のアーク溶接装置においては、アーク制御装置13内のデータ記憶領域等に、母材100の材料や形状、大きさ等、または溶接長さや溶接時の母材の溶け込み量等の溶接仕様ごとに様々なデータが格納されている。
【0048】
例えば、第1実施形態(図1)の場合では、初期電流IB、終期電流IE、定常電流I0、または定常電流に対する初期電流や終期電流の比(IB/I0)、(IE/I0)、溶接トーチ16の移動開始前や移動終了後の停止時間、初期電流IBや終期電流IEに維持された状態での溶接トーチ16の移動距離(X1−XB)、(XE−X4)、溶接電流Iの減少割合、または減少させる際の溶接トーチ16の移動距離(X2−X1)、(X4−X3)等のデータが、そのままの形であるいは他のデータからの演算により算出される状態で記憶領域に格納される。
【0049】
また、第2実施形態(図2)の場合では、EN比率Rにおける、初期比率RB、終期比率RE、定常比率R0、または定常比率に対する初期比率や終期比率の比(RB/R0)、(RE/R0)、溶接トーチ16の移動開始前や移動終了後の停止時間、初期比率RBや終期比率REに維持された状態での溶接トーチ16の移動距離、EN比率の増加割合、または増加させる際の溶接トーチ16の移動距離(X5−XB)、(XE−X6)等のデータが、そのままの形であるいは他のデータからの演算により算出される状態で記憶領域に格納されている。
【0050】
溶接が行われるに先立ちアーク制御装置13に入力される溶接仕様に応じて、上記のような格納データに基づき、アーク溶接条件が選択され、あるいは算出されて第1または第2実施形態に示すような制御方法で重ね隅肉溶接が実行される。ここで、溶接仕様には、溶接開始時や溶接終了時における、溶接電流IやEN比率Rの通電仕様の選択も含まれる。すなわち、溶接開始前または溶接終了後の溶接トーチ16の停止状態における通電制御や、溶接始端位置XBからの、または溶接終端位置XEまでの所定期間における通電制御等を含むのものある。
【0051】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、溶接電流IやEN比率Rを初期値、定常値、終期値の3段階で変化する場合を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて4段階以上に多段階制御することにより更に細かく溶接状態を制御することが可能である。
【0052】
また、段階制御については、溶接開始時と終了時との各々について同様な可変制御を示したが、溶接状態に応じて何れか一方をより詳細に段階制御する構成とすることもできる。
【0053】
また、本実施形態においては、溶接電流IやEN比率Rについて、一定の割合で連続的に変化する制御を例にして説明したが、ステップ状に変化する等の制御を適宜に組み合わせて構成することも可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際のアーク溶接の制御方法について、溶接始端部での母材への充分な入熱を確保すると共に溶接終端部での母材への過度な入熱を防止して、溶接始端部から溶接終端部に至る重ね隅肉溶接の全領域に渡って均質な溶接品質を実現することができるアーク溶接の制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。
【図3】アーク溶接装置を示すシステム構成図である。
【図4】従来技術による重ね隅肉溶接を示す模式図である。
【符号の説明】
1 溶接ビード
11 ワイヤ収納部
12 アーク電源装置
13 アーク制御装置
14 ロボット部
15 アーム部
16 溶接トーチ
17 ワイヤ支持・送り部
100 母材
I 溶接電流
I0 定常電流
IB 初期電流
IE 終期電流
R 溶接交流電流のEN比率
R0 定常比率
RB 初期比率
RE 終期比率
C1、C2 制御信号線
L1、L2 通電線
W 溶接ワイヤ
【発明の属する技術分野】
本発明は、アーク溶接の制御方法に関するものであり、特に、消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際のアーク溶接の制御方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
特許文献1に開示されているクレータ処理方法では、アーク溶接におけるクレータの処理を目的としており、クレータ処理の開始時の溶接電圧は、定常時の溶接電圧レベルより始まり、所定のスロープ時間の間に、クレータ設定レベルまで減衰的に変化させている。
【0003】
また、特許文献2に開示されているアーク溶接方法では、溶接開始時の溶接ビードの形状改善を目的としており、溶接開始時点においてアークの逆極性比率を高め、多量の入熱をワイヤ及び母材に供給することにより溶け込み不足を解消している。
【0004】
【特許文献1】
特開平1−107968号公報(第2頁、第1図)
【特許文献2】
特開平1−192482号公報(第2頁、第1図)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前記特許文献1においては、溶接電圧の制御により溶接終端部におけるクレータの発生を軽減することが可能ではあるものの、溶接始端部における溶接状態については何等考慮されていない。すなわち、図4(A)に示すように、重ね隅肉溶接において、溶接開始時における母材100への入熱が不充分であることによる母材100の溶け込み不足200が発生してしまうおそれがあり、重ね隅肉溶接における溶接始端部Bでの溶接が不十分となって溶接品質が悪化してしまうおそれがあり問題である。
【0006】
また、前記特許文献2においては、アーク極性の比率により溶接始端部での母材への入熱を確保することが可能ではあるものの、溶接終端部における溶接状態については何等考慮されていない。すなわち、図4(B)に示すように、重ね隅肉溶接において、溶接終端部Eにおいて母材100への入熱が過度に行われてしまい母材の溶け落ち210が発生してしまうおそれがある。更に、過度の入熱に伴いクレータ220が発生してしまうことも考えられる。重ね隅肉溶接における溶接終端部Eでの溶け落ち210やクレータ220の発生により溶接品質が悪化してしまうおそれがあり問題である。
【0007】
本発明は前記従来技術の課題を解消するためになされたものであり、消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際のアーク溶接の制御方法について、溶接始端部での母材への充分な入熱を確保すると共に溶接終端部での母材への過度な入熱を防止して、溶接始端部から溶接終端部に至る重ね隅肉溶接の全領域に渡って均質な溶接品質を実現することができるアーク溶接の制御方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
前記目的を達成するために、請求項1または6に係るアーク溶接方法は、消耗電極により重ね隅肉溶接を行うアーク溶接の制御方法であって、重ね隅肉溶接における溶接経路上、消耗電極が溶接始端部から第1溶接点に至る第1経路を移動する際、溶接電流が定常電流に比して大きな電流値を有する初期電流から定常電流にまで減少し、または溶接交流電流におけるEN比率が定常比率に比して小さな比率を有する初期比率から定常比率にまで増加する溶接初期工程と、消耗電極が第1溶接点から第2溶接点に至る第2経路を移動する際、溶接電流が定常電流を維持し、またはEN比率が定常比率を維持する定常溶接工程と、消耗電極が前記第2溶接点から溶接終端部に至る第3経路を移動する際、溶接電流が定常電流から定常電流に比して小さい電流値を有する終期電流にまで減少し、またはEN比率が定常比率から定常比率に比して大きな比率を有する終期比率にまで増加する溶接終期工程とを有することを特徴とする。
【0009】
請求項1または6のアーク溶接の制御方法では、消耗電極による重ね隅肉溶接において、定常溶接工程により定常状態での溶接が行われる第2経路を挟んで、溶接初期側に第1経路が存在し、溶接終期側に第3経路が存在する。第2経路では消耗電極の移動と共に、溶接電流が初期電流から定常電流にまで減少し、または溶接交流電流のEN比率が初期比率から定常比率にまで増加する。第3経路では消耗電極の移動と共に、溶接電流が定常電流から終期電流にまで減少し、または溶接交流電流のEN比率が定常比率から終期比率にまで増加する。
【0010】
これにより、重ね隅肉溶接の溶接開始時に母材への入熱が充分に行われ、溶接始端部近傍の溶接開始領域における母材の溶け込みを充分に行うことができる。溶接開始領域における母材の溶け込み不足を改善し溶接開始領域における溶接状態を向上させることができる。定常電流または定常比率のEN比率での溶接が引き続き行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0011】
また、請求項2または7に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1または6に記載のアーク溶接の制御方法において、第1経路のうち、溶接始端部からの所定初期期間において、溶接電流は初期電流を維持し、またはEN比率は初期比率を維持することを特徴とする。これにより、溶接始端部からの所定初期期間における母材への入熱が更に行われることとなり、溶接開始領域における母材の溶け込みを更に充分に行うことができる。
【0012】
また、請求項3または8に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1または2、または請求項6または7に記載のアーク溶接の制御方法において、第3経路のうち、溶接終端部に至る所定終期期間において、溶接電流は終期電流を維持し、またはEN比率は終期比率を維持することを特徴とする。これにより、溶接終端部に至る所定終期期間における母材への入熱を徐々に減少させることができる。母材の溶け落ちを防止することができると共に、溶接終端部でのクレータの発生を防止することができる。定常電流または定常比率のEN比率での溶接が行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0013】
また、請求項4または9に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1乃至3の少なくとも何れか1項、または請求項6乃至8の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法において、溶接初期工程に先立つ初期停止期間において、消耗電極を溶接始端部に維持しながら、溶接電流として初期電流を通電し、またはEN比率を初期比率として溶接交流電流を通電する初期停止通電工程を有することを特徴とする。
【0014】
請求項4または9のアーク溶接の制御方法では、初期停止通電工程により、溶接初期工程に先立つ初期停止期間において、溶接始端部に対して、初期電流の溶接電流を通電し、または初期比率のEN比率を有する溶接交流電流を通電する。
【0015】
これにより、重ね隅肉溶接の溶接始端部での母材への入熱が充分に行われ、溶接始端部近傍の溶接開始領域における母材の溶け込みを充分に行うことができる。溶接開始領域における母材の溶け込み不足を改善し溶接開始領域における溶接状態を向上させることができる。定常電流または定常比率のEN比率での溶接が引き続き行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0016】
また、請求項5または10に係るアーク溶接の制御方法は、請求項1乃至4の少なくとも何れか1項、または請求項6乃至9の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法において、溶接終期工程に引き続く終期停止期間において、消耗電極を溶接終端部に維持しながら、溶接電流として終期電流を通電し、またはEN比率を終期比率として溶接交流電流を通電する終期停止通電工程を有することを特徴とする。
【0017】
請求項5または10のアーク溶接の制御方法では、終期停止通電工程により、溶接終期工程に引き続く終期停止期間において、溶接終端部に対して、終期電流の溶接電流を通電し、または終期比率のEN比率を有する溶接交流電流を通電する。
【0018】
これにより、重ね隅肉溶接の溶接終端部での母材への入熱を制御して入熱量を徐々に減少させることができる。溶接終端部近傍での母材の溶け込み状態を徐々に解消して溶け込みの深さを徐々に減少させていくことができ、クレータの発生を有効に防止することができる。また、定常電流または定常比率のEN比率での溶接が行われる第2経路との間で溶接状態の均質化を図ることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のアーク溶接の制御方法について具体化した実施形態を図1乃至図3に基づき図面を参照しつつ詳細に説明する。
【0020】
図1は、第1実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。溶接電流Iの制御によるアーク溶接の制御方法に関する実施形態である。図1中、上段は、重ね隅肉溶接における母材溶接位置Xに対する溶接電流Iの関係を示す溶接電流波形である。下段は、重ね隅肉溶接が行なわれた際の母材100と溶接ビード1との状態を表わす模式図である。
【0021】
溶接始端位置XBにおいて溶接が開始されると、溶接電流Iとして、定常電流I0に比して大きな電流値を有する初期電流IBが通電される。通電と同時に溶接トーチ16(図3にて、後述)が母材100の溶接方向に移動を開始する。溶接初期においては、母材100は冷えており母材100の溶け込み温度にまで迅速に加熱する必要がある。このため、溶接トーチ16が溶接開始位置XBから溶接位置X1に移動するまでの間は、溶接電流Iとして初期電流IBが通電され母材100への迅速な入熱が行われる。この間に母材100への入熱が進行し母材100の溶融が始まる。
【0022】
母材100への入熱が充分に行われると共に、溶接電流Iを一定の割合で減少させて定常電流I0にまで低減する領域が、溶接トーチ16の溶接位置X1からX2に移動する期間である。初期電流IBが通電される溶接開始位置XBから溶接位置X1までの間に行われる入熱量に加えて、溶接位置X1からX2での期間では、溶接電流Iを徐々に減少させて母材100への入熱を行ないながら母材100の溶け込み量を調整する。ここで、溶接始端位置XBから溶接位置X2までの経路が第1経路であり、第1経路のうち溶接始端位置XBから溶接位置X1までの経路が所定初期期間に該当する。
【0023】
これにより、溶接初期段階における母材100への入熱を迅速かつ充分に行うことができ、溶接開始位置XBおよびその近傍における母材100の溶け込み不足を防止することができる。
【0024】
母材100への入熱が充分に行われ母材100の溶け込み状態が安定した段階で溶接状態が定常状態に移行する。定常状態では、溶接トーチ16は溶接電流Iとして定常電流I0を通電しながら、母材100上を溶接位置X2からX3まで移動して安定した溶け込み量の重ね隅肉溶接が継続される。ここで、溶接位置X2から溶接位置X3までの経路が第2経路である。
【0025】
溶接終端位置XEに近づく溶接位置X3から、溶接電流Iは定常電流I0から一定の割合で更に減少していく。この減少は溶接位置X4まで継続され、溶接位置X4において溶接電流Iとして終端電流IEが通電されることとなる。この後は溶接終端位置XEに至るまで、終端電流IEに維持された状態で溶接トーチ16が移動する。溶接電流Iが定常電流I0に比して小さな電流値である終端電流IEに減少していき(溶接位置X3からX4まで)その後は終端電流IEで維持される(溶接位置X4からXEまで)ことから、母材100への入熱は定常状態に比して不足する状態で推移することとなる。ここで、溶接位置X3から溶接終端位置XEまでの経路が第3経路であり、第3経路のうち溶接位置X4から溶接終端位置XEまでの経路が所定終期期間に該当する。
【0026】
これにより、母材温度が徐々に低下することに応じて母材100の溶け込み深さも徐々に浅くなっていく。更には、溶接終端位置XEにおいて必要最小限の入熱量で溶接を終了させることができるので、溶接終端位置XEにおける母材100の過度な溶け込みによる母材100の凹みも防止することができる。溶接終端位置XEの近傍における溶け落ちや溶接終端位置XEでのクレータの発生を防止することができる。
【0027】
溶接開始段階から溶接の定常状態への移行、および定常状態から溶接終了段階への移行において溶接電流Iを連続的に変化させるので、各段階の境界領域において溶接状態の不連続な変化による溶接品質の不連続を防止することができる。重ね隅肉溶接の全溶接領域において均質な溶接品質を確保することができる。
【0028】
尚、図1に示す第1実施形態では、溶接始端位置XBから溶接位置X1に至る期間において溶接電流Iを初期電流IBに維持し、更に溶接位置X4から溶接終端位置XEに至る期間において溶接電流Iを終期電流IEに維持する場合を例にとり説明したが、これらの溶接電流Iの維持期間は必ずしも必要な期間ではない。溶接開始時については、初期電流IBに維持した状態での溶接トーチ16の移動を省略して溶接始端位置XBから直ちに溶接電流Iを定常電流I0に向けて減少させる構成とすることも可能である。母材100の熱容量や熱伝導率、または初期電流IBの電流値等の条件に応じて、初期電流IBの維持期間が省略されても母材100への入熱が充分に行われ母材100の溶け込みが充分に行われる場合に適用することができる。
【0029】
また、溶接終了時については、終期電流IEに維持した状態での溶接トーチ16の移動を省略して溶接位置X3から溶接終端位置XEに至る期間で溶接電流Iを終期電流IEに向けて減少させる構成とすることも可能である。母材100の熱容量や熱伝導率、または初期電流IBの電流値等の条件に応じて、終期電流IEの維持期間が省略されて母材100への入熱が増えてしまうにも関わらず母材100の温度が低下し、溶け落ちやクレータの発生を充分に抑制することができる場合に適用することができる。
【0030】
更に、第1実施形態における、溶接始端位置XBから溶接位置X1までの初期電流IBの通電や、溶接位置X4から溶接終端位置XEまでの終期電流IEの通電に加えて、またはこれらの通電に代えて、溶接開始による溶接トーチ16の移動開始前に初期電流IBを通電する時間を設け、または溶接終了による溶接トーチ16の移動停止後に引き続き終期電流IEを通電する時間を設けることも可能である。母材100の熱容量や熱伝導率、または初期電流IBや終期電流IEの電流値等の条件に応じてこの期間を適宜に設けることにより、溶接開始時の母材100の溶け込み不足を解消し、または溶接終了時の母材100の溶け落ちやクレータの発生を防止することができる。ここで、溶接開始による溶接トーチ16の移動開始前に初期電流IBを通電する時間が初期停止期間であり、溶接終了による溶接トーチ16の移動停止後に引き続き終期電流IEを通電する時間が終期停止期間である。
【0031】
また、第1実施形態を適用することができる母材100の材料としては、アルミニウム、鉄、マグネシウム等が考えられる。
【0032】
図2は、第2実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。溶接交流電流におけるEN比率Rの制御によるアーク溶接の制御方法に関する実施形態である。図2中、上段は、重ね隅肉溶接における母材溶接位置Xに対するEN比率Rの関係を示すEN比率波形である。下段は、重ね隅肉溶接が行なわれた際の母材100と溶接ビード1との状態を表わす模式図である。
【0033】
ここで、EN比率とは、母材100の材料としてアルミニウムを想定する場合には、溶接交流電流の通電極性のうち、母材100に対して溶接トーチ16側が負電極になる時間割合である。アーク溶接における母材100の溶け込みは、通電極性により異なった特性を示すことが一般的である。消耗電極を有する溶接トーチ16を使用してアルミニウム材料の母材100を溶接する場合、アルミニウム材料については溶接トーチ16側が正電極となる通電条件において、より溶け込み量が大きくなることが知られている。すなわち、EN比率Rが低い場合に母材100の溶け込みが盛んに行われることとなる。図2の第2実施形態は、母材100の材料をアルミニウムとした場合のEN比率波形を示している。
【0034】
溶接始端位置XBにおいて、定常比率R0に比して低いEN比率である初期比率RBにより溶接が開始される。すなわち、アルミニウム材料を例とする母材100への入熱が盛んに行われて多量の溶け込み量が確保される、溶接交流電流における正極性の通電極性の割合が大きな初期比率RBで通電が開始される。通電と同時に溶接トーチ16が母材100の溶接方向に移動を開始し、あわせて一定の割合でEN比率Rが増大していく。溶接初期において初期比率RBでの通電を行うことにより、冷えている母材100の温度を溶け込み可能な温度にまで迅速に加熱する必要があるためである。EN比率Rが定常比率R0に比して低い比率で推移する、溶接開始位置XBから溶接位置X5までの間は、母材100への迅速な入熱が進行して母材100の溶け込みが始まる。この間、EN比率Rは、初期比率RBから定常比率R0にまで一定の割合で増加していき、母材100への入熱を行ないながら母材100の溶け込み量を調整する。ここで、溶接始端位置XBから溶接位置X5までの経路が第1経路である。
【0035】
これにより、溶接初期段階における母材100への入熱を迅速かつ充分に行うことができ、溶接開始位置XBおよびその近傍における母材100の溶け込み不足を防止することができる。
【0036】
母材100への入熱が充分に行われ、母材100の溶け込み状態が安定した段階で溶接状態は定常状態に移行する。定常状態では、溶接トーチ16は溶接交流電流をEN比率Rとして定常比率R0で通電しながら、母材100上を溶接位置X5からX6まで移動して安定した溶け込み量の重ね隅肉溶接が継続される。ここで、溶接位置X5から溶接位置X6までの経路が第2経路である。
【0037】
溶接位置X6から溶接終端位置XEに至るまでは、溶接交流電流のEN比率Rは定常比率R0から一定の割合で更に増加していく。溶接終端位置XEではEN比率Rとして終端比率REとなる。EN比率Rが定常比率R0に比して大きな比率である終端比率REに増加するから、母材100への入熱は定常状態に比して不足する状態で推移することとなる。
【0038】
これにより、母材100温度が徐々に低下することに応じて母材100の溶け込み深さも徐々に浅くなっていく。更には、溶接終端位置XEにおいて必要最小限の入熱量で溶接を終了させることができるので、溶接終端位置XEにおける母材100の過度な溶け込みによる母材100の凹みも防止することができる。溶接終端位置XEの近傍における溶け落ちや溶接終端位置XEでのクレータの発生を防止することができる。
【0039】
溶接開始段階から溶接の定常状態への移行、および定常状態から溶接終了段階への移行において、溶接交流電流のEN比率Rを連続的に変化させるので、各段階の境界領域において溶接状態の不連続な変化による溶接品質の不連続を防止することができる。重ね隅肉溶接の全溶接領域において均質な溶接品質を確保することができる。
【0040】
尚、図2に示す第2実施形態では、溶接始端位置XBから溶接位置X5に至る期間においてEN比率Rを初期比率RBから定常比率R0にまで一定の割合で増加させ、更に溶接位置X6から溶接終端位置XEに至る期間においてEN比率Rを定常比率R0から終端比率REにまで一定の割合で増加させる場合を例にとり説明したが、これらの期間に加えて、溶接始端位置XBから溶接位置X5に至るまでの所定位置までの期間においてEN比率Rを初期比率RBに維持し、更に溶接位置X6から所定位置進んだ位置から溶接終端位置XEに至るまでの期間においてEN比率Rを終期比率REに維持する構成とすることもできる。ここで、溶接始端位置XBからEN比率Rを初期比率RBに維持する期間が所定初期期間であり、溶接終端位置XBに至るEN比率Rを終期比率REに維持する期間が所定終期期間である。
【0041】
また、所定初期期間や所定終期期間に加えて、または図2のアーク溶接の制御方法に加えて、溶接開始による溶接トーチ16の移動開始前に初期比率RBにより溶接交流電流を通電する時間を設け、または溶接終了による溶接トーチ16の移動停止後に引き続き終期比率REにより溶接交流電流を通電する時間を設けることも可能である。
【0042】
これらの変形は、母材100の材料、またその熱容量や熱伝導率、または溶接交流電流の初期比率RBや終期比率RE等の条件に応じて、適宜に調整することにより、溶接開始時の母材100の溶け込み不足を解消し、または溶接終了時の母材100の溶け落ちやクレータの発生を防止することができる。
【0043】
尚、通電極性による母材100の溶け込み特性は、金属材料により異なる場合があることは言うまでもない。本発明は、アルミニウムの他、鉄、マグネシウム等のほかの金属材料における重ね隅肉溶接についても同様に適用することができるが、金属材料の種類に応じて通電する溶接交流電流の通電極性を適宜に調整することが必要である。
【0044】
図3には、本発明のアーク溶接の制御方法を実現するアーク溶接装置の実施例を示すシステム図である。母材100の溶接を行う溶接トーチ16を保持するロボット部14は、溶接トーチ16を先端に保持するアーム部15と、溶接トーチ16における消耗電極である溶接ワイヤWを供給支持するワイヤ支持・送り部17とを備えている。溶接ワイヤWは、ワイヤ収納部11に収納されておりワイヤ支持・送り部17を経て溶接トーチ16に溶接ワイヤWが送給される。
【0045】
アーク電源装置12は、アーク溶接時の通電装置である。通電線L1、L2は、各々、溶接トーチ16、および母材100に接続されており、溶接トーチ16に保持されている溶接ワイヤWと母材100との間でアーク放電をさせることにより、溶接ワイヤWおよび母材100を溶融して母材100の重ね隅肉溶接を行う。
【0046】
アーク制御装置13からは、制御信号線C1、C2が、各々、アーク電源装置12とロボット部14とに接続されており、アーク電源装置12およびロボット部14を制御する。アーク制御装置13は、重ね隅肉溶接におけるコントローラ機能も具備している。
【0047】
図3のアーク溶接装置においては、アーク制御装置13内のデータ記憶領域等に、母材100の材料や形状、大きさ等、または溶接長さや溶接時の母材の溶け込み量等の溶接仕様ごとに様々なデータが格納されている。
【0048】
例えば、第1実施形態(図1)の場合では、初期電流IB、終期電流IE、定常電流I0、または定常電流に対する初期電流や終期電流の比(IB/I0)、(IE/I0)、溶接トーチ16の移動開始前や移動終了後の停止時間、初期電流IBや終期電流IEに維持された状態での溶接トーチ16の移動距離(X1−XB)、(XE−X4)、溶接電流Iの減少割合、または減少させる際の溶接トーチ16の移動距離(X2−X1)、(X4−X3)等のデータが、そのままの形であるいは他のデータからの演算により算出される状態で記憶領域に格納される。
【0049】
また、第2実施形態(図2)の場合では、EN比率Rにおける、初期比率RB、終期比率RE、定常比率R0、または定常比率に対する初期比率や終期比率の比(RB/R0)、(RE/R0)、溶接トーチ16の移動開始前や移動終了後の停止時間、初期比率RBや終期比率REに維持された状態での溶接トーチ16の移動距離、EN比率の増加割合、または増加させる際の溶接トーチ16の移動距離(X5−XB)、(XE−X6)等のデータが、そのままの形であるいは他のデータからの演算により算出される状態で記憶領域に格納されている。
【0050】
溶接が行われるに先立ちアーク制御装置13に入力される溶接仕様に応じて、上記のような格納データに基づき、アーク溶接条件が選択され、あるいは算出されて第1または第2実施形態に示すような制御方法で重ね隅肉溶接が実行される。ここで、溶接仕様には、溶接開始時や溶接終了時における、溶接電流IやEN比率Rの通電仕様の選択も含まれる。すなわち、溶接開始前または溶接終了後の溶接トーチ16の停止状態における通電制御や、溶接始端位置XBからの、または溶接終端位置XEまでの所定期間における通電制御等を含むのものある。
【0051】
尚、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の改良、変形が可能であることは言うまでもない。
例えば、本実施形態では、溶接電流IやEN比率Rを初期値、定常値、終期値の3段階で変化する場合を例にして説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、必要に応じて4段階以上に多段階制御することにより更に細かく溶接状態を制御することが可能である。
【0052】
また、段階制御については、溶接開始時と終了時との各々について同様な可変制御を示したが、溶接状態に応じて何れか一方をより詳細に段階制御する構成とすることもできる。
【0053】
また、本実施形態においては、溶接電流IやEN比率Rについて、一定の割合で連続的に変化する制御を例にして説明したが、ステップ状に変化する等の制御を適宜に組み合わせて構成することも可能である。
【0054】
【発明の効果】
本発明によれば、消耗電極を使用して重ね隅肉溶接を行う際のアーク溶接の制御方法について、溶接始端部での母材への充分な入熱を確保すると共に溶接終端部での母材への過度な入熱を防止して、溶接始端部から溶接終端部に至る重ね隅肉溶接の全領域に渡って均質な溶接品質を実現することができるアーク溶接の制御方法を提供することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。
【図2】本発明の第2実施形態のアーク溶接の制御方法を示す図である。
【図3】アーク溶接装置を示すシステム構成図である。
【図4】従来技術による重ね隅肉溶接を示す模式図である。
【符号の説明】
1 溶接ビード
11 ワイヤ収納部
12 アーク電源装置
13 アーク制御装置
14 ロボット部
15 アーム部
16 溶接トーチ
17 ワイヤ支持・送り部
100 母材
I 溶接電流
I0 定常電流
IB 初期電流
IE 終期電流
R 溶接交流電流のEN比率
R0 定常比率
RB 初期比率
RE 終期比率
C1、C2 制御信号線
L1、L2 通電線
W 溶接ワイヤ
Claims (10)
- 消耗電極により重ね隅肉溶接を行うアーク溶接の制御方法において、
前記重ね隅肉溶接における溶接経路上、
前記消耗電極が溶接始端部から第1溶接点に至る第1経路を移動する際、溶接電流が、定常電流に比して大きな電流値を有する初期電流から、前記定常電流にまで減少する溶接初期工程と、
前記消耗電極が前記第1溶接点から第2溶接点に至る第2経路を移動する際、前記溶接電流が前記定常電流を維持する定常溶接工程と、
前記消耗電極が前記第2溶接点から溶接終端部に至る第3経路を移動する際、前記溶接電流が、前記定常電流から前記定常電流に比して小さい電流値を有する終期電流にまで減少する溶接終期工程とを有することを特徴とするアーク溶接の制御方法。 - 前記第1経路のうち、前記溶接始端部からの所定初期期間において、前記溶接電流は前記初期電流を維持することを特徴とする請求項1に記載のアーク溶接の制御方法。
- 前記第3経路のうち、前記溶接終端部に至る所定終期期間において、前記溶接電流は前記終期電流を維持することを特徴とする請求項1または2に記載のアーク溶接の制御方法。
- 前記溶接初期工程に先立つ初期停止期間において、前記消耗電極を前記溶接始端部に維持しながら、前記溶接電流として前記初期電流を通電する初期停止通電工程を有することを特徴とする請求項1乃至3の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法。
- 前記溶接終期工程に引き続く終期停止期間において、前記消耗電極を前記溶接終端部に維持しながら、前記溶接電流として前記終期電流を通電する終期停止通電工程を有することを特徴とする請求項1乃至4の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法。
- 消耗電極により重ね隅肉溶接を行うアーク溶接の制御方法において、
前記重ね隅肉溶接における溶接経路上、
前記消耗電極が溶接始端部から第1溶接点に至る第1経路を移動する際、溶接交流電流におけるEN比率が、定常比率に比して小さな比率を有する初期比率から、前記定常比率にまで増加する溶接初期工程と、
前記消耗電極が前記第1溶接点から第2溶接点に至る第2経路を移動する際、前記EN比率が前記定常比率を維持する定常溶接工程と、
前記消耗電極が前記第2溶接点から溶接終端部に至る第3経路を移動する際、前記EN比率が、前記定常比率から前記定常比率に比して大きな比率を有する終期比率にまで増加する溶接終期工程とを有することを特徴とするアーク溶接の制御方法。 - 前記第1経路のうち、前記溶接始端部からの所定初期期間において、前記EN比率は前記初期比率を維持することを特徴とする請求項6に記載のアーク溶接の制御方法。
- 前記第3経路のうち、前記溶接終端部に至る所定終期期間において、前記EN比率は前記終期比率を維持することを特徴とする請求項6または7に記載のアーク溶接の制御方法。
- 前記溶接初期工程に先立つ初期停止期間において、前記消耗電極を前記溶接始端部に維持しながら、前記EN比率を前記初期比率として前記溶接交流電流を通電する初期停止通電工程を有することを特徴とする請求項6乃至8の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法。
- 前記溶接終期工程に引き続く終期停止期間において、前記消耗電極を前記溶接終端部に維持しながら、前記EN比率を前記終期比率として前記溶接交流電流を通電する終期停止通電工程を有することを特徴とする請求項6乃至9の少なくとも何れか1項に記載のアーク溶接の制御方法。
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